JP2005066622A - アルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤ及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた送給性安定によるアーク安定性と耐ブローホール性が両立したアルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤ及びその製造方法を提供する
【解決手段】 ワイヤ素材表面の酸化膜を除去し、39乃至86%の断面減少率でワイヤ素材をロール伸線加工した後、穴ダイス伸線加工してワイヤ表面を平滑化する。これにより、ワイヤ表面に網目状の凹部により模様が形成された溶接用ワイヤを製造する。前記網目状凹部は、ワイヤ表面から10μm以下の深さの溝である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤ及びその製造方法に関し、特に、Mgを1.5乃至6%含有し、更にSiを含有するアルミニウム又はアルミニウム合金のミグ溶接に好適の溶接用ワイヤ及びその製造方法に関する。
アルミニウム又はアルミニウム合金ワイヤ(以下、アルミニウム又はアルミニウム合金を総称してアルミニウムという。)を使用した溶接は、一般的に溶接用ワイヤとして通常5乃至10kgのスプール又は大容量容器からワイヤを引き出し、矯正ローラ及び送給ローラを経て、ワイヤをコンジットチューブ内に通し、コンジットチューブの先端に配置された溶接トーチからワイヤを溶接部に向けて送給することにより行われる。この場合に、溶接トーチ内の給電チップからワイヤに対して給電される。
ワイヤ先端の近傍には、不活性ガスがシールドガスとして供給され、給電されたワイヤ先端と母材との間にアークが発生し、母材はアーク熱により溶融すると共に、ワイヤからの溶滴は大気から遮断するための不活性ガスシールド中を落下して母材に移行し、溶接部が形成される。
しかしながら、アルミニウムの溶接に際して良好な溶接部を得るためには、耐ブローホール性及び送給安定性を考慮する必要がある。アルミニウムは液相と固相とで水素溶解度差が大きく、液相から固相に変態する際に、水素を吸収しやすく、水素によるブローホールが極めて発生しやすいという問題点がある。また、実際に溶接される現場で種々の状態で配置されたコンジットチューブの内面とワイヤ表面との間の摩擦抵抗と、ワイヤに給電するための給電チップ内面とワイヤ表面とが接触するときの摩擦抵抗とにより、ワイヤが安定して送給できなくなることがある。このように、ワイヤを安定して送給できなくなった場合には、ワイヤ送給性が阻害され、アーク安定性及びビード形状が劣化することになる。
これらの問題点のうち、ブローホールの発生を防ぐ技術としては、伸線加工されたワイヤを最終工程であるスプール巻及び大容量容器への収納前に洗浄し、水素源である油(伸線油等)を除去する方法が一般的に行われている。
また、送給の安定性を確保する技術として、耐ブローホール性に悪影響を及ぼさない範囲で油を一定量以下付着させてコンジットチューブ内の抵抗を低下させたアルミニウム溶接用ワイヤなどが開示されている(特開平5−277786号公報)。更に、ワイヤ表面の比表面積を0.50以下とし、長時間の連続溶接の場合及びコンジットチューブが長くワイヤ送給にとって厳しい場合でも、安定したアークが得られるようにした技術が開示されている(特開平7−32186号公報)。また、表面処理により金属間化合物を除去することにより、4乃至20μmの孔を生成することにより、送給性を向上させることができることが開示されている(特開平9−136185号公報)。
特開平5−277786号公報 特開平7−32186号公報 特開平9−136185号公報
しかしながら、近年、エネルギーコスト及び環境問題に関する情勢の厳しさから、自動車、電車、小型船及び圧力容器等のアルミニウム化が加速されており、これに伴い、アルミニウムワイヤを使用した溶接の適用対象及び必要性が拡大している。
また、これらの分野における溶接においては、高速化及び高能率による省人化の観点から、自動機又は溶接ロボットが多数導入されており、これらの溶接ラインでは、溶接用ワイヤを送給するためのコンジットライナーが長く且つ湾曲したものとなり、ワイヤ送給性が極めて問題となる。このため、耐ブローホール性が優れていると共に、ワイヤ送給性が優れていてアーク安定性が優れた溶接用ワイヤの開発が要求されている。
一方、圧力容器へのアルミニウム溶接の適用に関しては、LNGタンク等の被溶接物の大型化に併せて板厚が増大する傾向にあり、溶接部の水素がパイルアップし、ブローホールが発生し易い傾向にある。このため、送給性安定によるアーク安定性と共に、より優れた耐ブローホール性を有する溶接用ワイヤが要求されている。
しかしながら、従来のように、最終工程でのワイヤ洗浄と一定量の油を付着させたアルミニウムワイヤでは、送給性安定によるアーク安定性及び耐ブローホール性の点で、これらの双方を満足させることができないのが現状である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、優れた送給性安定によるアーク安定性と耐ブローホール性が両立したアルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤの製造方法は、ワイヤ素材表面の酸化膜を除去する工程と、39乃至86%の総断面減少率でワイヤ素材をロール伸線加工する工程と、その後穴ダイス伸線加工してワイヤ表面を平滑化する工程と、を有し、これにより、ワイヤ表面に網目状の凹部により模様が形成された溶接用ワイヤを製造することを特徴とする。
また、本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤは、ワイヤ素材表面の酸化膜を除去した後、39乃至86%の総断面減少率でワイヤ素材をロール伸線加工し、穴ダイス伸線加工により表面平滑化されたワイヤであって、ワイヤ表面を400倍に拡大して観察したときに、170μm×230μmの視野内に総長が3250μm以上の網目状凹部が存在することを特徴とする。
前記網目状凹部は、例えば、ワイヤ表面から10μm以下の深さの溝である。
本発明によれば、最終伸線加工としての穴ダイス伸線加工の前工程で、減面率が39乃至86%のロール伸線加工を行うので、ワイヤ表面に網目状凹部が形成され、これにより、ワイヤ表面の通電安定性が飛躍的に向上し、連続溶接においても送給性を損なうことがなく、安定した溶接が可能である。
以下、本発明の実施形態に係るアルミニウム又はアルミニウム合金用溶接ワイヤの製造方法について詳細に説明する。
本発明者等がアルミニウム又はアルミニウム合金用溶接ワイヤにおける上記課題を解決するために、鋭意研究し、種々の実験研究を行った。その結果、アルミニウムの溶接において、ワイヤの送給安定性を向上させ、アーク安定性を確保するためには、ワイヤに給電するための給電チップ内面とワイヤ表面とが接触する状態において、溶接用ワイヤ表面の接触電気抵抗を安定させることが必要であり、また、耐ブローホール性を確保するためには、ワイヤの製造過程において、ワイヤ表面に水素を吸着させないことが重要な要素であることを見出した。
先ず、ワイヤの送給安定性及びアーク安定性を向上させる方法について説明する。このワイヤの送給安定性及びアーク安定性を向上させるために、ワイヤ表面に網目状凹部を形成し、これにより通電特性を改良する。
溶接時の給電チップとの間の通電抵抗の安定性を確保するために、ワイヤ表面に網目状凹部を形成するためには、先ず、荒引き伸線及び焼鈍等でワイヤ表面に存在する酸化膜を除去することが重要である。このため、ワイヤ素材を伸線加工すると共に、シェービングダイス等を通すことによりワイヤ素材表面の皮剥きを行い、ワイヤ素材表面の酸化膜を除去する。このように、溶接用ワイヤに供する素材の表面酸化膜を除去した後、従来の溶接用ワイヤの製造方法においては、穴ダイスを用いて伸線加工を行っていた。しかし、穴ダイス伸線加工においては、ワイヤ中心部は理想変形に近くて引張り応力と圧縮応力によって変形するが、ワイヤ表層部は剪断変形となり、ワイヤ表面が平坦な状態になる。伸線加工には単純な引張り力のみを付与する伸線加工と逆張力を与えた伸線加工があるが、引張力を与えた場合は勿論のこと、逆張力を与えた場合でも、多少小さくなるものの、ワイヤ表層部は剪断変形となり、ワイヤ表面が平坦となる。ワイヤ表面が平坦な状態にあるため、酸化膜除去後の穴ダイス伸線加工工程では、穴ダイスが劣化すると共にワイヤ表面に凸部を形成してしまう傾向にある。また、アルミニウムワイヤの表面に点在するAl−Fe−Mg−Mn−Si、Al−Fe、Al−Fe−Si等からなる晶出物がワイヤ表面に押し込められた状態で点在し、これらのワイヤ表面の凸部及び晶出物が溶接時における給電チップとの安定接触及び通電状態の不安定を招く要素となる。
これらの点から、本願発明者等が種々検討した結果、伸線加工と共にシェービングダイス等でワイヤ表面の皮剥きを行うことにより酸化膜を除去した後、ロール伸線加工を行うことにより、ワイヤ長手方向への変形のみでなく、ワイヤ断面方向への変形を付与することができ、これにより、ワイヤ表面に存在するAl−Fe−Mg−Mn−Si、Al−Fe、Al−Fe−Si等からなる晶出物が起点となるワイヤ表面の割れを形成することができることを見出した。
これらのワイヤ表面の微細な割れは、ロール伸線加工で39%以上の総減面率を付与することにより形成できる。このロール伸線加工は、1段でも複数段でもよいが、ロール伸線加工による総減面率は総86%以下とする必要がある。なお、複数段の場合の総減面率は、ロール伸線加工前のワイヤ断面積から、複数段のロール伸線加工が終了した後のワイヤ断面積を減じ、それをロール伸線加工前のワイヤ断面積で除した百分率である。図1は、複数段のロール伸線加工を行う伸線機を示す。伸線機の架台13上に伸線釜14がその回転軸を垂直にして設置されており、架台13の側面に、4段のロールを備えたローラーダイス10が設置されている。このローラーダイス10においては、回転軸を垂直にした2対のロール11と、回転軸を水平にした2対のロール12とが交互に配置されている。そして、伸線釜14に複数回巻回されたワイヤ15が、伸線釜14の回転により引張され、ワイヤ15は先ず1対のロール11により伸線加工された後、1対のロール12により伸線加工を受け、その後、1対のロール11により伸線加工された後、1対のロール12により伸線加工される。
このような複数段の伸線ロール11,12を備えた伸線機においては、先ず、初段の伸線ロール11により伸線加工を受けて、微細な晶出物を起点とする割れ(凹部)がワイヤ表面に生じ、この微細な割れをベースとして、その後の2段目以降のロール伸線加工により、表面に複雑な網目状の凹部を均一に形成することができる。図2(a)、(b)はこの晶出物を起点としたワイヤ表面の割れを示す二次電子線像(走査型電子顕微鏡写真:(a)2000倍、(b)5000倍)である。このワイヤ表面の微細な割れ発生及び複雑な網目状の凹凸形成は、ロール伸線の総減面率を39%以上86%以下とすることにより、保持することができる。
この網目状の凹部形成の過程で晶出物を起点に割れがワイヤ表面に発生するが、割れの起点となったワイヤ最表面の晶出物は、ロール伸線加工におけるワイヤ断面方向の変形過程で脱落し、ワイヤ表面に残存することが無い。従って、晶出物を起点とした割れのみがワイヤ表面に残存し、39乃至86%の総減面率が与えられることで比較的鋭利な割れが複雑な網目状を形成することになる。このワイヤ表面の微細な割れについては、ワイヤ表面の任意の位置を400倍に拡大した状態で観察すると、Al−Fe−Mg−Mn−Si、Al−Fe、又はAl−Fe−Si等からなる晶出物が起点となってワイヤ表面に割れが形成されており、このワイヤ表面の割れが、網目状に連続又は不連続の状態で存在し、170μm×230μmの視野内において、総割れ長さが3250μm以上である。
この網目状の凹部を形成した後、製造過程の最終段階で穴ダイス伸線による加工を行うことにより、ワイヤ表面が平坦化され、平坦な円柱面からなるワイヤ表面に、ロール伸線加工で形成された網目状の凹部のみが残存する。図3は穴ダイス伸線加工後のワイヤ表面を示すX線マイクロアナライザ(EPMA)による観察写真(50倍及び400倍)である。図3のロール伸線の欄が、本発明のワイヤの表面を示し、穴ダイス伸線の欄が、表4の従来例25乃至28に相当する穴ダイス伸線加工したワイヤの表面を示すものである。
ロール伸線加工における総減面率は、前述の如く、39乃至86%であるが、1段当たりの減面率は、好ましくは10乃至35%である。その背景として1000系及び4000系の軟質系アルミニウムワイヤは高張力が低いことからワイヤの破断荷重以下の引抜き力でロール伸線加工を行う必要があり、5000系合金ワイヤの抗張力は軟質系ワイヤより高いが、各段での減面率を大きくすると、ワイヤ断面方向の変形量が大きくなり、微細な割れとならなくなり、大きな割れが生じ、伸線加工中に断線が生ずると共に、ワイヤの最終脱脂工程でワイヤ表面の凹部(割れ)が深くなり、脱脂し難くなる。
以上のとおり、ワイヤ表面に網目状の凹部を形成することにより、ワイヤ表面の通電安定状態は飛躍的に向上し、連続溶接においても送給性を損なうことなく安定した溶接が可能である。そのメカニズムは、ワイヤ表面がロール伸線加工過程でワイヤ断面方向(軸心方向)の変形を与えられることで、ロール伸線後のワイヤ最表面に存在するAl−Fe−Mg−Mn−Si、Al−Fe、Al−Fe−Si等からなる晶出物が起点となり、ワイヤ表面に割れを生じさせ、更に、ワイヤ表面に割れを生じさせたワイヤ最表面の晶出物が脱落していることと、ロール伸線を実施することにより、穴ダイスなどの加工で生じ易い軽度なダイスマーク等が発生し難いこととにより、表面に凸部が無いワイヤを製造可能である。このため、溶接時の給電チップを想定した通電性評価で通電の安定を確保できる。
図4(a)乃至(c)は通電安定性を示すグラフ図である。図において、横軸はワイヤ長さ、縦軸はワイヤと給電チップとの間の抵抗値である。
ワイヤ表面から10μm以下の凹部を形成するためには、ワイヤ表面に存在するAl−Fe−Mg−Mn−Si、Al−Fe、Al−Fe−Si等からなる晶出物の大きさが大きな要素となる。下記表1及び表3に示す成分系のアルミニウムワイヤのワイヤ最表面に存在する晶出物の大きさは、本願発明者等が調査した結果、10μm以下であった。これらの状況から、ワイヤ最表面のAl−Fe−Mg−Mn−Si、Al−Fe、Al−Fe−Si等からなる晶出物が起点となって割れが生じた場合、割れの深さは晶出物の大きさ以上の状態にはなり得ない。
次に、耐ブローホール性の向上について説明する。耐ブローホール性の向上については、ワイヤ製造過程において、荒引き伸線及び焼鈍工程等でワイヤ表面に形成された酸化膜を除去することが必要である。これらの酸化膜を除去する方法としては、伸線加工と共にシェービングダイス等でワイヤ表面の皮剥きを行い、酸化膜を除去すればよい。このように、溶接用ワイヤ製造用のワイヤ素材の表面酸化膜を除去した後、従来の製造方法においては、穴ダイスを使用して伸線加工を行っている。しかし、穴ダイス伸線においては、ワイヤ表層部は剪断変形となり、伸線加工時に使用する脂肪酸等の潤滑剤及び生産時の雰囲気から水素がワイヤ表面に吸着する現象が起こる。
しかし、本発明においては、ロール伸線を行っているので、このロール伸線により、ワイヤ表面への網目状の凹部を形成すると同時に、ワイヤ表面への水素吸着を防止することができる。つまり、ロール伸線の場合は、ワイヤ表層部が剪断変形することがなく、また脂肪酸等の潤滑剤を使用しないので、水素の吸着を防止することができ、このロール伸線により伸線加工率をかせいで、穴ダイス伸線を軽度にすれば、水素吸着を防止しつつ、酸化膜除去のための皮剥き後の伸線加工率を上げることができ、このように伸線加工率が高い場合においても、水素吸着を防止できる。
以下、本発明の実施例の特性について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先ず、下記表1及び表2に示す組成のアルミニウム線材(品種JIS−5356、5183、1100、4043)を伸線加工した後、下記表3及び表4に示す「皮剥き線径」になるように皮剥き加工し、アルミニウムワイヤ表面の酸化膜を除去した。なお、表1及び表2において、上矢印は、その欄の数値がその上欄の数値と同一であることを示す。その後、ロール伸線又は穴ダイス伸線を、下記表3及び表4の「加工方式(段数)」欄に示すとおりに実施し、最終工程で穴ダイスによる伸線を行い、製品径1.2mmのワイヤを製造した。そのときのロール伸線による減面率をロール伸線無しの0%からロール伸線での最大86%まで付与し、その後、水素源である伸線油などを洗浄により除去し、当該製品ワイヤの製品径1.2mmでのワイヤ表面の状態を観察した。
Figure 2005066622
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製品径1.2mmのワイヤ表面に形成した網目状の凹部は、電子顕微鏡で確認し、その存在状態は前述の図2(a)、(b)に示すとおりであった。製品径1.2mmのワイヤの通電特性は、接触電気抵抗を測定することにより評価した。図5は、3端子式の接触電気抵抗の測定装置である。この3端子式接触電気抵抗測定装置においては、一定速度で移動させたワイヤ表面に、電極1を加圧状態で接触させる。この電極1が電流端子と電圧端子を兼用している。定電流電源5から電流端子電極1を介してワイヤに電流(0.5A)を供給し、別途設置した電流端子電極2から電流を回収する。スプールに巻回されたワイヤの終端に電圧端子電極3を接続し、電圧端子電極1と電圧端子電極3との間の電位差を電位差記録器4により測定する。この電流端子電極1よりワイヤに0.5±0.1Aの直流電流を供給し、微小電流を流したときの電圧端子電極1とワイヤとの間に発生する電位差(V)を電位差記録器4で測定し、この電位差を測定電流で除することによって、接触電気抵抗(Ω)を計算した。
これらの接触電気抵抗をワイヤ長手方向に溶接作業を模擬したように測定することで、ワイヤ表面の均一性を評価することが可能であり、この方法を使用して接触電気抵抗を測定した。このとき、図4(b)のように、抵抗値が低位安定し変動が少ない場合を○、抵抗値が低位安定しているが、部分的に0.5Ω以内の変動がある場合を○△、抵抗値が1.0Ω以内で変動するが、均一である状態を△、図4(c)に示すように、抵抗値が1.0Ωレベルまで高位であると共に、部分的に抵抗値が変動する状態を×で示して、通電性を評価した。なお、ロール伸線加工した場合は、各段における減面率は同一である。
本発明の範囲に入る実施例1乃至4、実施例7乃至10、実施例13乃至16、実施例19乃至22の場合は、網目状凹部が形成されているので、通電性が良好であった。これに対し、比較例5、11、17、23の場合は、ロール伸線減面率が39%未満であるため、網目状凹部が形成されず、通電性が不安定であった。また、比較例6、12、18、24の場合も、従来と同様に、ダイスのみによる伸線加工を行っているので、通電性が不安定であった。更に、従来と同様に、10段のダイスを使用した場合も、通電性が不安定であった。
複数段のロール伸線加工を行う伸線機を示す。 晶出物を起点としたワイヤ表面の割れを示す走査型電子顕微鏡写真(2000倍、5000倍)である。 アルミニウムワイヤ表面の状態を示すX線マイクロアナライザ写真(50倍、400倍)である。 通電安定性を示すチャートである。 接触電気抵抗の測定装置を示す図である。
符号の説明
1、2、3:電極
4:電位差記録器
5:定電流電源
10:ローラーダイス
11,12:ロール
14:伸線釜
15:ワイヤ

Claims (4)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤの製造方法において、ワイヤ素材表面の酸化膜を除去する工程と、39乃至86%の総断面減少率でワイヤ素材をロール伸線加工する工程と、その後穴ダイス伸線加工してワイヤ表面を平滑化する工程と、を有し、これにより、ワイヤ表面に網目状の凹部により模様が形成された溶接用ワイヤを製造することを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤの製造方法。
  2. 前記網目状凹部は、ワイヤ表面から10μm以下の深さの溝であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤの製造方法。
  3. アルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤにおいて、ワイヤ素材表面の酸化膜を除去した後、39乃至86%の総断面減少率でワイヤ素材をロール伸線加工し、穴ダイス伸線加工により表面平滑化されたワイヤであって、ワイヤ表面を400倍に拡大して観察したときに、170μm×230μmの視野内に総長が3250μm以上の網目状凹部が存在することを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤ。
  4. 前記網目状凹部は、ワイヤ表面から10μm以下の深さの溝であることを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金ミグ溶接用ワイヤ。
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