JP2005061777A - ボイラ自動制御方法およびその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ボイラ負荷降下制御時における燃料エネルギーの低下を抑制し、結果として発電量が低下するのを抑制すること。
【解決手段】 100%負荷相当の発電機出力指令83に基づく通常運転時には、比例積分器77から80%負荷相当の石炭供給流量指令78を出力し、比例積分器83から20%負荷相当の軽油供給流量指令84を出力し、一次通風機6、7の1台が故障したランバック動作時には、ランバック負荷設定回路64から70%負荷相当の発電機出力指令108を出力し、燃料プログラム生成器68の出力による燃料流量指令として70%負荷相当の指令を出力し、除算器71からは、実際の石炭流量と実際の軽油の流量にしたがった混焼率として2/10〜2/7の信号を出力し、比例積分器83から20%負荷相当の軽油供給流量指令を出力し、比例積分器77からは50%負荷相当の石炭供給流量指令78を出力し、ランバック動作時でも、軽油燃焼を用いることで発電量を20%多く確保する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ボイラ自動制御方法およびその装置に係り、特に、混焼石炭焚ボイラに対する石炭供給流量と燃料油供給流量との割合を負荷に応じて設定し、この設定にしたがってボイラに対する石炭粉末と燃料油の供給流量を制御するに好適なボイラ自動制御方法およびその装置に関する。
火力発電所などに設置された混焼石炭焚ボイラを制御するに際して、従来、発電機出力指令に基づいてボイラに対する石炭供給流量と燃料油供給流量の割合を設定し、この設定にしたがって石炭供給流量指令と燃料油供給流量指令を生成し、石炭供給流量指令にしたがってミルからボイラの石炭バーナに石炭粉末を供給し、燃料油供給流量指令にしたがってボイラの燃料油バーナに燃料油を供給するとともに、ボイラおよびミルに空気を供給することが行われている。この場合、ボイラには押込通風機からの空気が空気加熱器を介して供給され、ミルには一次通風機からの空気と、一次通風機からの空気を空気加熱器で加熱した空気とが混合された空気が供給されるようになっている。すなわち、ミルには、温かい空気と冷えた空気が適度に混合された空気が供給され、この空気の圧力によって石炭粉末がボイラに圧送されるようになっている。また、ボイラ内の排気ガスは誘引通風機、煙突を介して外気に排気されるようになっている。
すなわち、ボイラには、空気の吸排気などを行うための補機として、一次通風機、押込通風機、誘引通風機などが設置されており、これら補機のうちいずれかの補機が何らかの原因により停止した場合、残りの補機で運転ができる負荷まで、急速且つ安全にボイラ負荷を降下させる制御、いわゆるランバック制御が行われる。ここで、ミルへの送風が2台の一次通風機で行われている場合に、1台の一次通風機が故障すると、定格負荷の半分である50%まで負荷を降下させる制御が行われている。
また、この種の技術としては、例えば、混焼石炭焚ボイラにおいて、複数のミルのうちいずれかのミルが停止したときに、停止したミルに応じた負荷喪失分だけボイラ負荷指令を絞り込み、絞り込まれたボイラ負荷指令に従ってミルランバックを自動的に行うようにしたもの(特許文献1参照)、あるいは負荷設定信号と発電量指令とを比較し、この比較結果を基に通常運転を継続するかランバック動作に入るか否かを判定するようにしたもの(特許文献2参照)が挙げられる。
特開平10−122549号公報(第2頁から第5頁、図1、図2) 特開平11−294704号公報(第3頁から第4頁、図1)
従来技術においては、ランバック時の負荷設定に関して、混焼時の運転を考慮しておらず、2台の一次通風機のうち1台故障したときのランバック動作後は一律に50%負荷という設定となっており、50%以上での負荷運転が可能な状態であっても、必ず50%まで負荷を降下させる制御となっていた。このためランバック動作後は発電量を多く確保することができなかった。
また、特許文献1、2においても、ボイラ負荷を降下させるランバック動作時に、発電量を多く確保することについては何ら配慮されていない。すなわち、特許文献1のものは、ミルのトリップに応じた負荷喪失分だけボイラ負荷指令を絞り込み、ミルランバックを自動的に行っているが、ミルランバック時にボイラの燃焼エネルギーの低下を抑制するための制御は行っていない。一方、特許文献2のものは、複数台の補機のうち一部が停止したときに、残りの補機の容量に見合った負荷設定信号と発電量指令値とを比較し、負荷設定信号より発電量指令値の方が小さいときは通常運転を継続し、負荷設定信号より発電量指令値の方が大きいときにはランバック動作を行うようになっているが、ランバック動作時にボイラの燃焼エネルギーの低下を抑制するための制御は行っていない。
本発明の課題は、ボイラ負荷降下制御時における燃料エネルギーの低下を抑制し、結果として発電量が低下するのを抑制することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、発電機出力指令に基づいて混焼石炭焚ボイラに対する石炭供給流量と燃料油供給流量の割合を設定し、この設定に従って石炭供給流量指令と燃料油供給流量指令を生成し、前記石炭供給流量指令に従ってミルから前記ボイラの石炭バーナに石炭粉末を供給し、前記燃料油供給流量指令に従って前記ボイラの燃料油バーナに燃料油を供給する過程で、前記ミルに空気を供給する複数の補機のいずれかが停止したときに、残りの補機の容量に見合った負荷よりも前記石炭供給流量指令が大きいことを条件として、前記発電機出力指令をボイラ負荷降下制御時の発電機出力指令に変更し、変更された発電機出力指令に従って前記ボイラに対する石炭供給流量を前記いずれかの補機が停止する前の石炭供給流量より少ない石炭供給流量に変更し、前記ボイラに対する燃料油供給流量については前記燃料油の供給を継続するための燃料油供給流量として、前記ボイラに対する石炭供給流量と燃料油供給流量との割合を再設定するボイラ自動制御方法を採用したものである。
前記ボイラ自動制御方法を採用するに際しては、前記発電機出力指令が変更されたときに、前記ボイラに対する燃料油供給流量をボイラ負荷降下制御時より前の値に保持することができる。
また、本発明は、発電機出力指令に基づいて混焼石炭焚ボイラに対する石炭供給流量と燃料油供給流量の割合を設定し、この設定に従って石炭供給流量指令と燃料油供給流量指令を生成する石炭・燃料油供給流量指令生成手段と、前記石炭供給量指令に従って前記ボイラの石炭バーナに石炭粉末を供給する石炭粉末供給手段と、前記燃料油供給量指令に従って前記ボイラの燃料油バーナに燃料油を供給する燃料油供給手段と、前記石炭粉末供給手段に空気を供給する複数の補機のいずれかが停止したときにボイラ負荷降下制御時の動作指令を出力する動作指令出力手段と、前記ボイラ負荷降下制御時の動作指令が出力されたときに、前記複数の補機のうち停止した補機以外の補機の容量に見合った負荷よりも前記石炭供給流量指令が大きいことを条件として、前記石炭・燃料油供給流量指令生成手段に対する発電機出力指令をボイラ負荷降下制御時の発電機出力指令に変更する発電機出力指令変更手段とを備え、前記石炭・燃料油供給流量指令生成手段は、ボイラ負荷降下制御時には、前記ボイラに対する石炭供給流量を前記いずれかの補機が停止する前の石炭供給流量より少ない石炭供給流量に変更し、前記ボイラに対する燃料油供給流量については前記燃料油の供給を継続するための燃料油供給流量として、前記ボイラに対する石炭供給流量と燃料油供給流量との割合を再設定してなるボイラ自動制御装置を構成したものである。
前記ボイラ自動制御装置を構成するに際しては、以下の要素を付加することができる。
(1)前記ボイラの石炭バーナに供給される石炭粉末の供給流量を検出する石炭粉末供給流量検出手段と、前記ボイラの燃料油バーナに供給される燃料油の供給流量を検出する燃料油供給流量検出手段とを備え、前記石炭・燃料油供給流量指令生成手段は、ボイラ負荷降下制御時には、前記ボイラに対する石炭供給流量と燃料油供給流量の割合を前記石炭粉末供給流量検出手段の検出値と前記燃料油供給流量検出手段の検出値に基づいて設定してなる。
(2)前記石炭・燃料油供給流量指令生成手段は、ボイラ負荷降下制御時における前記ボイラに対する燃料油供給流量として、ボイラ負荷降下制御時より前に保持された燃料油供給流量を用い、前記保持された燃料油供給流量に従ってボイラ負荷降下制御時における燃料油供給流量指令を生成してなる。
(3)前記発電機出力指令変更手段は、前記石炭・燃料油供給流量指令生成手段に対する発電機出力指令を、前記ボイラに対する石炭供給流量として、前記停止した補機以外の補機の容量に見合った負荷に対応する石炭供給流量を含み、前記ボイラに対する燃料油供給流量として、ボイラ負荷降下制御時より前に保持された燃料油供給流量を含む発電機出力指令に変更してなる。
前記した手段によれば、ボイラ負荷降下制御時(ランバック動作時)には、燃料油の供給継続を条件として、発電機出力指令がボイラ負荷降下制御時の発電機出力指令に変更され、燃料油供給流量は少なくとも供給継続が可能な流量とされ、ボイラに対する石炭供給流量は、ボイラ負荷降下制御時より前の石炭供給流量よりも少ない石炭供給流量(例えば、停止した補機以外の補機の容量に見合った負荷に対応する石炭供給流量)とされ、この流量に従った石炭粉末が石炭バーナに供給され、燃料油バーナにも燃料油が継続して供給されるため、ボイラ負荷降下制御時における燃焼エネルギーが低下するのを抑制することができ、結果として、発電量を燃料油供給流量の分だけ多く確保することが可能になる。
本発明によれば、ボイラ負荷降下制御時における燃焼エネルギーが低下するのを抑制することができ、結果として、発電量を燃料油供給流量の分だけ多く確保することが可能になる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示すボイラ自動制御装置のブロック構成図、図2はランバック判定回路のブロック構成図、図3はランバック負荷設定回路のブロック構成図、図4はボイラと補機との関係を示すブロック構成図である。
図4において、ボイラ3は混焼石炭焚ボイラとして構成されており、このボイラ3には、石炭バーナ(図示せず)と、燃料油バーナとしての軽油バーナ(図示せず)が設置されている。軽油バーナには、燃料油としての軽油1が供給され、石炭バーナには、石炭を粉末状に加工するミル2から石炭粉末が供給されるようになっている。このボイラ3の周囲には、ボイラ3またはミル2に空気を供給したり、ボイラ3の排ガスを排出したりするための補機として、空気加熱器4、5、一次通風機6、7、押込通風機8、9、誘引通風機10、11が設けられており、誘引通風機10、11はそれぞれ煙突14に接続されている。一次通風機6と押込通風機8には空気12が供給され、一次通風機7と押込通風機9には空気13が供給されており、一次通風機6、7に供給された空気12、13の一部はそのままミル2側に送られ、残りは空気加熱器4、5で加熱され、暖められた空気としてミル2側に送られる。すなわち、ミル2には、冷えたままの空気と暖められた空気とが混合された空気が導入されるようになっている。ミル2内に暖かい空気と冷えた空気が適度に混合されて導入されると、その空気の圧力によって石炭粉末がボイラ2内に押し込まれるようになっている。
一方、押込通風機8、9に取り込まれた空気12、13は空気加熱器4、5でそれぞれ暖められたあとボイラ3の中に取り込まれ、燃焼用空気として利用される。ボイラ3内に燃料用空気が取り込まれると、石炭バーナによって石炭粉末が燃焼し、軽油バーナによって軽油が燃焼し、この燃焼によって蒸気が発生するとともに、排ガスが発生し、発生した蒸気によって火力発電所の蒸気タービン(図示せず)が駆動されて発電が行なわれる。一方、排ガスは誘引通風機10、11、煙突14を通り、外気に排出される。
ここで、石炭専焼ボイラの場合、2台の一次通風機を用いてミルへの送風を全て賄っていることから、通常、一次通風機1台当たりの容量は定格負荷の50%である。したがって、2台の一次通風機のうち1台が停止すると、プラントは定格で運転することができず、残りの補機の容量に見合った負荷、この場合、50%まで降下させるボイラ負荷降下制御時の制御動作(以下、ランバック動作という)を行うことになる。
ところが、本発明では、ボイラ3として混焼石炭焚ボイラを用いており、2台の一次通風機6、7のうちいずれか1台が停止した場合には、停止した一次通風機の負荷を補うために、軽油の燃焼を継続して行い、ランバック動作時における負荷目標値を50%以上にすることを狙いとしており、以下、ボイラ自動制御装置の具体的内容について説明する。
ボイラ自動制御装置の主制御系は、図1に示すように、NOT回路61、AND回路62、ランバック負荷設定回路64、低値選択器65、ボイラマスタ制御器66、燃焼率設定器67、燃料プログラム生成器68、信号切替器69、除算器71、減算器73、掛算器74、減算器76、比例積分器77、保持器79、減算器82、比例積分器83、関数発生器85、軽油流量検出器87、加算器90などを備えて構成されており、NOT回路61にはX%ランバック動作33に関する信号が入力され、AND回路62には混焼率設定許可60に関する信号が入力され、低値選択器65とランバック負荷設定回路64には発電機出力指令(MWD)63が入力され、保持器79にはX%ランバック動作33に関する信号が入力され、比例積分器77からは石炭供給流量指令78が出力され、比例積分器83からは軽油供給流量指令84が出力されるようになっている。軽油供給流量指令84は、燃料油供給流量指令として軽油流量調節バルブ89に入力されており、軽油流量調節バルブ89は、軽油パイプ88内の軽油の流量を制御し、軽油供給流量指令84にしたがってボイラ3の軽油バーナに軽油を供給する燃料油供給手段として構成されている。石炭供給流量検出器75は、ミル2からボイラ3に押し込まれる石炭粉末の実際の供給流量を検出する石炭粉末供給流量検出手段として構成され、軽油流量検出器87は、軽油パイプ88内を通過する軽油の実際の軽油供給流量70、81を検出する燃料油供給流量検出手段として構成されている。
図1に示すボイラ自動制御装置の主制御系は、発電機指令(MWD)63に基づいてボイラ3に対する石炭供給流量と軽油(燃料油)供給流量との割合を設定し、この設定にしたがって石炭供給流量指令78と軽油供給流量指令(燃料油供給流量指令)84を生成する石炭・燃料油供給流量指令生成手段として構成されている。この石炭・燃料油供給流量指令生成手段は、一次通風機6、7のうちいずれか1台が故障したランバック動作時(ボイラ負荷降下制御時)には、停止した一次通風機以外の一次通風機(健全な一次通風機)の容量に見合った負荷よりも石炭供給流量指令が大きいことを条件として、ボイラ3に対する石炭供給流量を、いずれか1台の一次通風機が停止する前の石炭供給流量よりも少ない石炭供給流量、例えば、健全な一次通風機の容量に見合った負荷に対応する石炭供給流量に変更し、ボイラ3に対する軽油供給流量については軽油の供給を継続するための軽油供給流量として、ボイラ3に対する石炭供給流量と軽油供給流量との割合を再設定する要素を備えている。さらに、石炭・燃料油供給流量指令生成手段は、ランバック動作時(ボイラ負荷降下制御時)には、ボイラ3に対する石炭供給流量と軽油供給流量との割合を石炭供給流量検出器(燃料油供給流量検出手段)75の検出値と軽油流量検出器(燃料油供給流量検出手段)87の検出値に基づいて設定する要素を備えて構成されている。
そして、ランバック動作による制御(ボイラ負荷降下制御時の制御)を行うか否かを判定するために、図2に示すように、ランバック判定回路が設けられているとともに、ランバック動作時に、健全な一次通風機(補機)の容量に見合った負荷よりも石炭供給流量が大きいときに、軽油の供給継続を条件として、石炭・燃料油供給流量指令生成手段に対する発電機出力指令をランバック動作時の発電機出力指令に変更する発電機出力指令変更手段として、図3に示すように、ランバック負荷設定回路が設けられている。
ランバック判定回路は、図2に示すように、OR回路24、信号切替器(H/L)25、AND回路26、30、31、39、42、信号遅延器38、41、OR回路40、43、46、フリップフロップ回路48、49を備えて構成されている。
OR回路24には、一次通風機6が故障したことを示すAPAF停止21に関する信号と、一次通風機7の故障を示すBPAF停止22に関する信号が入力され、信号切替器25には石炭流量指令23が入力されるようになっている。AND回路30にはタービンマスタ自動28に関する信号とボイラマスタ自動29に関する信号が入力され、AND回路39にはX%ランバック目標到達32に関する信号が入力され、信号遅延器38にはX%ランバック動作33を示す信号が入力され、AND回路42には50%ランバック目標到達34に関する信号が入力され、信号遅延器41には50%ランバック動作35に関する信号が入力され、OR回路44にはMFT動作36に関する信号と解列37に関する信号が入力され、OR回路46の一端にはその他のランバック動作45に関する信号が入力されるようになっている。
ランバック判定回路において、一次通風機6、7のうちいずれか一方が故障して停止したときにはOR回路24からの信号がAND回路26に出力され、信号切替器25に、石炭流量指令23として、50%負荷以上の指令が入力されたときには、信号切替器25からの信号がAND回路26に出力されるようになっている。さらにタービンマスタ自動28、ボイラマスタ自動29が成立したときにはAND回路30からAND26に対しての信号が出力されるようになっている。すなわち、一次通風機6、7のうちいずれか1台が故障し、このときの石炭流量指令23が50%負荷を超え、且つタービンマスタ自動28、ボイラマスタ自動29の条件が成立したときにAND回路26からの信号が出力され、フリップフロップ48がセットされ、OR回路46からランバック動作47に関する信号がランバック負荷設定回路64に出力されるとともに、フリップフロップ48からX%ランバック動作33に関する信号がランバック負荷設定回路64に出力されるようになっている。
ランバック負荷設定回路64は、図3に示すように、信号発生器101、加算器102、信号切替器103、信号発生器104、信号切替器105、106、変化率制限器107、減算器109、111、信号切替器110、112を備えて構成されており、変化率制限器107からは発電機出力指令(MWD)108が低値選択器65に出力され、信号切替器110からは50%ランバック目標到達34に関する信号が出力され、信号切替器112からはX%ランバック目標到達32に関する信号が出力されるようになっている。また信号切替器103にはX%ランバック動作33に関する信号が入力され、信号切替器105には50%ランバック動作35に関する信号が入力され、信号切替器106と変化率制限器107にはランバック動作47に関する信号が入力されるようになっている。
上記構成におけるランバック負荷設定回路64において、ボイラの通常運転時には、発電機出力指令(MWD)63による信号(100%負荷相当の信号)をそのまま信号切替器103、105、106、変化率制限器107を介して発電機出力指令(MWD)108として低値選択器65に出力するようになっている。
一方、一次通風機6、7のうちいずれか1台が故障したランバック動作時には、X%ランバック動作33に関する信号が信号切替器103に入力され、ランバック動作47に関する信号が信号切替器106、変化率制限器107に入力されるため、信号切替器103、106による信号の切替が行われる。すなわち、ランバック動作時には、軽油負荷指令86として、例えば、20%負荷相当の指令が加算器102に入力されるとともに、信号発生器101から、健全な一次通風機(補機)の容量に見合った負荷相当の指令、例えば、50%負荷相当の指令が入力され、加算器102からは70%負荷相当の指令が出力され、この指令が信号切替器103、105、106、変化率制限器107を介してランバック動作時の発電機出力指令(MWD)108として出力される。このときの発電機出力指令108は、通常運転時に100%負荷相当の指令であったものが、70%負荷相当の指令に変更されることになる。
次に、ボイラの通常運転時における動作について説明する。まず、発電機出力指令(MWD)63として、例えば、100%負荷相当の指令が出力されると、この発電機出力指令63はランバック負荷設定回路64をそのまま通過して低値選択器65に入力されるとともに、発電機出力指令63が直接低値選択器65に入力され、低値選択器65からは、100%負荷相当の発電機出力指令63がそのままボイラマスタ制御器66と混焼率設定器67に出力される。ボイラマスタ制御器66においては、入力された発電機出力指令63に関する信号を主蒸気圧力の偏差による補正を行い、補正された信号をボイラ入力指令(BID)に変換して燃料プログラム生成器68に出力する。この燃料プログラム生成器68からは、燃料流量指令(FRD)として、例えば、100%負荷相当の指令が出力される。
一方、混焼率設定器67に発電機出力指令63が入力されると、混焼率設定器67において、発電機出力指令63を基に、石炭(石炭粉末)と軽油との混焼割合の設定、すなわち石炭供給流量と軽油供給流量との割合を設定する。例えば、石炭粉末の供給流量を80%負荷相当に、軽油の供給流量を20%負荷相当に設定し、設定した値のうち軽油の割合を示す値(2/10)に関する信号を信号切替器69に出力する。信号切替器69は、通常運転時は、混焼率設定器67からの信号を選択しているため、混焼率設定器67からの信号が信号切替器69を介して掛算器74に出力される。なお、混焼率設定器67における混焼率の設定は、運転状況を考慮して自動的に設定する方法や、CRT操作により手動で設定することもできる。
混焼割合に関する信号が掛算器74に入力されると、100%負荷相当の燃料流量指令と混焼割合を示す値、例えば、2/10とが掛算され、掛算器74からは,燃料流量指令として20%負荷相当の指令が出力される。この20%負荷相当の燃料流量指令は軽油流量指令80として保持器79を介して関数発生器85と減算器82に出力される。20%負荷相当の燃料流量指令が関数発生器85に入力されると、関数発生器85からは20%負荷相当の軽油負荷指令86が出力される。減算器82には、軽油流量指令80の他に、軽油流量検出器87の検出による軽油供給流量81が入力されており、減算器82は、軽油流量指令80から軽油供給流量81を減算した信号を比例積分器83に出力する。比例積分器83は、軽油流量指令80と実際の軽油供給流量81との差である偏差を0に抑制するための軽油供給流量指令84を生成し、生成した軽油供給流量指令84を軽油流量調節バルブ89に対して出力する。これにより、軽油供給流量指令84にしたがって軽油流量調節バルブ89の開度が調整され、ボイラ3に対する軽油の供給流量が制御されることになる。
一方、100%負荷を示す燃料流量指令(FRD)が減算器73に入力されるとともに、掛算器74から20%負荷相当の燃料流量指令を示す信号が減算器73に入力されると、減算器73において両者の差が求められ、減算器73から減算器76に対して、80%負荷相当の石炭流量指令23が出力される。減算器76には、石炭流量指令23の他に、石炭粉末の実際の供給流量を検出する検出器から、実際の石炭供給流量75を示す信号が入力されており、減算器76は、石炭流量指令23と石炭供給流量75との差を示す信号を比例積分器77に出力する。比例積分器77は、石炭流量指令23と石炭供給流量75との差である偏差を0に抑制するための石炭供給流量指令78を生成し、生成した石炭供給流量指令78をミル2に出力する。これにより、ミル2からは、石炭供給流量指令78にしたがった量の石炭粉末がボイラ3に送られる。
すなわち、図5(a)に示すように、80%負荷を石炭粉末による流量が補い、20%負荷を軽油の流量が補うことで、ボイラ3における燃焼を円滑に行うことができる。
次に、一次通風機6、7のうちいずれか1台が故障したランバック動作時(ボイラ負荷降下制御時)には、図2に示すランバック判定回路からランバック動作47に関する信号とX%ランバック動作33に関する信号が出力され、これらの信号がランバック負荷設定回路64に入力されるとともに、NOT回路61、保持器79に入力される。
X%ランバック動作33に関する信号が保持器79に入力されると、保持器79は、ランバック動作が起きる前の値を保持することになり、比例積分器83からは、軽油の供給継続を行なうための指令として、20%負荷相当の軽油供給流量指令84が出力されたままになる。また関数発生器85からも20%負荷に相当する軽油負荷指令86が出力されたままになる。
一方、ランバック負荷設定回路64においては、ランバック動作47に関する信号またはX%ランバック動作33に関する信号に応答した信号切替器103、106において信号の切替が行われ、加算器102において、信号発生器101から出力された50%負荷相当の指令と20%負荷相当の軽油負荷指令86とが加算される。そして、加算器102で加算された指令は、信号切替器103、105、106を介して変化率制限器107に入力され、変化率制限器107からは、70%負荷相当の指令が発電機出力指令108として出力される。これにより、低値選択器65においては、100%負荷相当としての発電機出力指令63の代わりに、70%負荷相当を示す発電機出力指令108を選択し、選択した発電機出力指令をボイラマスタ制御器66と混焼率設定器67に出力する。70%負荷相当の発電機出力指令108がボイラマスタ制御器66で補正されたあと燃料プログラム生成器68に入力されると、燃料プログラム生成器68からは、70%負荷相当の燃料流量指令(FRD)を掛算器74と減算器73に出力する。この場合、NOT回路61にX%ランバック動作33に関する信号が入力されているため、AND回路62の出力が無くなり、信号切替器69は除算器71からの信号を選択するようになっている。
除算器71には、軽油流量検出器87の検出による軽油供給流量70に関する信号が入力されているとともに、軽油流量検出器87の検出による軽油供給流量70と実際の石炭供給流量75との和を示す信号が加算器90から入力されている。ランバック動作開始時には、除算器71には、加算器90から100%負荷相当の信号が入力され、軽油流量検出器87からは軽油供給流量70として、20%負荷相当の信号が入力されるため、除算器71からは、混焼率のうち軽油の割合の値として2/10に関する信号が出力される。この信号が信号切替器69を介して掛算器74に入力されると、掛算器74からは、70×2/10=14%の信号が出力される。
ここで、除算器71は、実際の軽油供給流量70と実際の石炭供給流量75とを基に軽油と石炭との混焼率を求めているため、除算器71からは、混焼率として、2/10から目標値の2/7まで徐々に低下する信号が出力されるようになっている。
すなわち、掛算器74において、ランバック動作開始時に、70%負荷に相当する燃料流量指令と混焼率2/10とが掛算されると、掛算器74からは14%負荷相当の燃料流量指令が出力される。この信号が減算器73において、70%負荷相当の信号から14%負荷相当の信号が減算されると、減算器73からは、56%負荷相当の石炭流量指令23が出力され、石炭供給流量指令78は56%負荷相当の指令に低下することになる。この結果、石炭の供給流量が低下すると、加算器90に入力される実際の石炭供給流量75も低下する。このような制御が繰り返されると、除算器71からは、混焼率として、最終的には目標値の2/7に低下した信号が出力されることになる。
このように、本実施形態においては、ランバック動作時においては、軽油供給流量指令84を20%負荷相当に維持する制御を行うとともに、石炭供給流量指令78を、80%負荷相当の指令から徐々に50%負荷相当の指令に低下させるようにしたため、軽油供給流量指令84を20%負荷相当に維持した分、ボイラ3における燃焼エネルギーが低下するのを抑制することができ、発電量を多く確保することが可能になる。
次に、本発明による制御方法を用いた場合と従来の方法による制御方法を用いたときの効果を図5にしたがって説明する。図5は、横軸を時間(T)、縦軸を負荷(%)とした場合の負荷変化図であって、2台の一次通風機のうち1台の一次通風機が故障(トリップ)前の混焼率に関して2つの場合を示してある。
(a)の場合は、一次通風機トリップ前の軽油が20%負荷相当で、石炭が一次通風機2台当たりの容量に見合った負荷よりも大きいとき、ここでは、80%負荷相当の場合である。この場合、従来の回路では、一次通風機トリップ後は、50%負荷ランバック動作になり、軽油負荷122は0%、石炭負荷121は50%になり、ボイラにおける燃焼率が急激に低下し、発電量を十分に確保できないことになる。
これに対して、本発明では、石炭流量指令23が50%以上にあることを条件にランバック動作になるが、軽油負荷124は20%負荷相当に維持されたままとなり、石炭負荷123は一次通風機1台分の負荷の50%になっている。したがって、石炭の燃焼の他に軽油の燃焼を行うことで、発電量を従来のものよりも20%だけ多く確保することができる。
(b)の場合は、一次通風機トリップ前における軽油が50%負荷、石炭が50%負荷となっている場合である。この場合も、従来の回路では、トリップ後は50%負荷ランバック動作になり、軽油負荷126は0%、石炭負荷125は50%になり、ボイラにおける燃焼エネルギーの低下に伴って発電量も低下することになる。
これに対して、本発明では、石炭流量指令23が50%以上でないことからランバック動作を起こすことはなく、軽油負荷128、石炭負荷127とも変わらず50%のままとなる。したがって、石炭の燃焼とともに軽油の燃焼を行うことで、燃焼エネルギーの低下を抑制することができ、発電量を従来のものよりも50%だけ多く確保することができる。また、この場合は、負荷ランバックが発生しないことから、発電プラントの運転を安定化することにも寄与することができる。
なお、前記実施形態において、信号切替器112からX%ランバック目標到達32に関する信号が出力されると、AND回路39の論理積の条件が満たされ、OR回路40からの信号が出力され、フリップフロップ回路48がリセットされ、ランバック動作が終了することになる。
本実施形態によれば、ボイラ3において、一次通風機6、7のうち1台が停止した場合、軽油燃焼による発電量を利用するようにしたため、従来のランバックによる定格負荷の50%までの降下に至ることはなく、燃焼エネルギーの低下を抑制し、発電量を多く確保することができる。また軽油バーナを消化する必要がないため、バーナ消化によるボイラ燃焼状態への影響やランバックによる負荷急減動作がないことから、安定性の高い運転をすることができる。
なお、本実施形態では、石炭と混焼するものとして軽油を例として説明しているが、軽油の他に、重油などその他の燃料に対しても本発明を適用することができる。
本発明の一実施形態を示すボイラ自動制御装置のブロック構成図である。 ランバック判定回路のブロック構成図である。 ランバック負荷設定回路のブロック構成図である。 ボイラと補機との関係を説明するためのブロック構成図である。 本発明と従来との効果を対比するための負荷変化図であって、(a)は一次通風機トリップ前の軽油が20%負荷相当で石炭が80%負荷相当の場合の負荷変化図、(b)は一次通風機トリップ前の軽油が50%負荷で石炭が50%負荷相当における負荷変化図である。
符号の説明
2 ミル
3 ボイラ
4、5 空気加熱器
6、7 一次通風機
8、9 押込通風機
10、11 誘引通風機
64 ランバック負荷設定回路
65 低値選択器
66 ボイラマスタ制御器
67 混焼率設定器
68 燃料プログラム生成器
69 信号切替器
71 除算器
73 減算器
74 掛算器
76 減算器
77 比例積分器
79 保持器
82 減算器
83 比例積分器
85 関数発生器
87 軽油流量検出器
89 軽油流量調節バルブ

Claims (6)

  1. 発電機出力指令に基づいて混焼石炭焚ボイラに対する石炭供給流量と燃料油供給流量の割合を設定し、この設定に従って石炭供給流量指令と燃料油供給流量指令を生成し、前記石炭供給流量指令に従ってミルから前記ボイラの石炭バーナに石炭粉末を供給し、前記燃料油供給流量指令に従って前記ボイラの燃料油バーナに燃料油を供給する過程で、前記ミルに空気を供給する複数の補機のいずれかが停止したときに、残りの補機の容量に見合った負荷よりも前記石炭供給流量指令が大きいことを条件として、前記発電機出力指令をボイラ負荷降下制御時の発電機出力指令に変更し、変更された発電機出力指令に従って前記ボイラに対する石炭供給流量を前記いずれかの補機が停止する前の石炭供給流量より少ない石炭供給流量に変更し、前記ボイラに対する燃料油供給流量については前記燃料油の供給を継続するための燃料油供給流量として、前記ボイラに対する石炭供給流量と燃料油供給流量との割合を再設定するボイラ自動制御方法。
  2. 請求項1に記載のボイラ自動制御方法において、前記発電機出力指令が変更されたときに、前記ボイラに対する燃料油供給流量をボイラ負荷降下制御時より前の値に保持することを特徴とするボイラ自動制御方法。
  3. 発電機出力指令に基づいて混焼石炭焚ボイラに対する石炭供給流量と燃料油供給流量の割合を設定し、この設定に従って石炭供給流量指令と燃料油供給流量指令を生成する石炭・燃料油供給流量指令生成手段と、前記石炭供給量指令に従って前記ボイラの石炭バーナに石炭粉末を供給する石炭粉末供給手段と、前記燃料油供給量指令に従って前記ボイラの燃料油バーナに燃料油を供給する燃料油供給手段と、前記石炭粉末供給手段に空気を供給する複数の補機のいずれかが停止したときにボイラ負荷降下制御時の動作指令を出力する動作指令出力手段と、前記ボイラ負荷降下制御時の動作指令が出力されたときに、前記複数の補機のうち停止した補機以外の補機の容量に見合った負荷よりも前記石炭供給流量指令が大きいことを条件として、前記石炭・燃料油供給流量指令生成手段に対する発電機出力指令をボイラ負荷降下制御時の発電機出力指令に変更する発電機出力指令変更手段とを備え、前記石炭・燃料油供給流量指令生成手段は、ボイラ負荷降下制御時には、前記ボイラに対する石炭供給流量を前記いずれかの補機が停止する前の石炭供給流量より少ない石炭供給流量に変更し、前記ボイラに対する燃料油供給流量については前記燃料油の供給を継続するための燃料油供給流量として、前記ボイラに対する石炭供給流量と燃料油供給流量との割合を再設定してなるボイラ自動制御装置。
  4. 請求項3に記載のボイラ自動制御装置において、前記ボイラの石炭バーナに供給される石炭粉末の供給流量を検出する石炭粉末供給流量検出手段と、前記ボイラの燃料油バーナに供給される燃料油の供給流量を検出する燃料油供給流量検出手段とを備え、前記石炭・燃料油供給流量指令生成手段は、ボイラ負荷降下制御時には、前記ボイラに対する石炭供給流量と燃料油供給流量の割合を前記石炭粉末供給流量検出手段の検出値と前記燃料油供給流量検出手段の検出値に基づいて設定してなることを特徴とするボイラ自動制御装置。
  5. 請求項3または4に記載のボイラ自動制御装置において、前記石炭・燃料油供給流量指令生成手段は、ボイラ負荷降下制御時における前記ボイラに対する燃料油供給流量として、ボイラ負荷降下制御時より前に保持された燃料油供給流量を用い、前記保持された燃料油供給流量に従ってボイラ負荷降下制御時における燃料油供給流量指令を生成してなることを特徴とするボイラ自動制御装置。
  6. 請求項3、4または5のうちいずれか1項に記載のボイラ自動制御装置において、前記発電機出力指令変更手段は、前記石炭・燃料油供給流量指令生成手段に対する発電機出力指令を、前記ボイラに対する石炭供給流量として、前記停止した補機以外の補機の容量に見合った負荷に対応する石炭供給流量を含み、前記ボイラに対する燃料油供給流量として、ボイラ負荷降下制御時より前に保持された燃料油供給流量を含む発電機出力指令に変更してなることを特徴とするボイラ自動制御装置。
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