JP3785706B2 - 石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出方法及び装置 - Google Patents

石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、石炭焚ボイラの場合、図3に示される如く、コールバンカ1に貯留された石炭を、モータ等の駆動装置2によって駆動される給炭機3により、石炭粉砕用のミル4へ投入し、該ミル4において粉砕された微粉炭を微粉炭管5を介してバーナ6へ空気搬送し、ボイラ7の火炉8内において燃焼させるようになっている。
【0003】
尚、図中、9はモータ等の駆動装置10によって開閉される石炭ゲートである。
【0004】
前記ミル4からボイラ7の火炉8内へ供給される石炭(微粉炭)の出炭量は、直接計測することができないため、給炭機3上に現在ある石炭の重量を図示していないロードセル等で測定すると共に、給炭機3の駆動装置2の回転数を測定し、これらの積を給炭機3からミル4へ供給される給炭量とし、該給炭量を前記ミル4からボイラ7の火炉8内へ供給されると予測される石炭の出炭量としている。
【0005】
又、前記ミル4は、一基のボイラ7に対して、通常、複数台(例えば六台)設けられており、ボイラ7の定常運転時においては、各ミル4の出炭量の合計と、ボイラ負荷指令(MWD)に基づく燃料流量指令とを比較し、該比較結果に応じて各給炭機3への給炭量指令を求め、該給炭量指令に基づいて各給炭機3の制御を行うようになっている。
【0006】
一方、例えば、一台のミル4に何らかの異常が発生した場合、該ミル4と、それに対応する給炭機3とを緊急停止させるが、その後、ミル4を再び起動する際には、ミル4内に残った石炭を一旦火炉8内へ払い出した後、給炭機3を起動する、いわゆるミル残炭起動を行う必要がある。
【0007】
しかしながら、前述の如く、一台のミル4を緊急停止した後、残りの複数台(例えば五台)のミル4からボイラ7の火炉8内へ供給される石炭の出炭量がバランスしている状態で、緊急停止したミル4の残炭起動を行った場合、前記燃料流量指令を上回る必要以上の石炭がボイラ7の火炉8内へ供給されてしまうこととなり、燃料過多となって排ガスO2が低下したり、蒸気温度が上昇する虞れがあった。
【0008】
このため、従来においては、図4及び図5に示される如く、ミルトリップ時には給炭機3停止時点での給炭量11をホールドして残炭量を表わす信号12として出力する(図中、a側に切り換えられる)一方、それ以外の時には給炭機3からミル4へ投入される給炭量11をそのまま信号12として出力する(図中、b側に切り換えられる)切換器13と、
ミルトリップ後のミル残炭起動指令14が出力された時点から所要時間(t[分])の間だけ“1”の信号15を出力するタイマ16と、
ミルトリップ後のミル残炭起動時には前記切換器13から出力される信号12を、前記タイマ16で設定された時間の間だけ信号19として出力する(図中、a側に切り換えられる)一方、それ以外の時には信号発生器17から出力される“0”の信号18を信号19として出力する(図中、b側に切り換えられる)切換器20と、
該切換器20から出力される信号19が変化した場合に、その信号19の変化に対し、予め設定した時間遅れが生じるよう追従させて、ミル残炭起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量模擬信号21を出力する一次遅れ器22と、
残炭払い出し完了後のミル通常起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量模擬信号43を求めて出力するミル通常起動時出炭量算出器47と、
残炭払い出し完了後のミル通常起動時における給炭機3起動時には前記ミル通常起動時出炭量算出器47から出力される出炭量模擬信号43を信号45として出力する(図4中、a側に切り換えられる)一方、それ以外の時には前記給炭量11をそのまま信号45として出力する(図4中、b側に切り換えられる)切換器46と、
前記一次遅れ器22から出力される出炭量模擬信号21を前記切換器46から出力される信号45に加え、出炭量23を出力する加算器24と
からミル残炭起動時における出炭量算出装置を構成していた。
【0009】
尚、前記ミル通常起動時出炭量算出器47は、残炭払い出し完了後のミル通常起動時において給炭機3を起動する給炭機起動指令36が出力された時点から所要時間(t’[分])経過後、“1”の信号37を出力するタイマ38と、
残炭払い出し完了後のミル通常起動時における給炭機起動指令36が出力された時点から前記タイマ38で設定された時間(t’[分])だけ信号発生器39から出力される“0”の信号40を信号41として出力する(図4中、a側に切り換えられる)一方、それ以外の時には給炭機3からミル4へ投入される給炭量11をそのまま信号41として出力する(図4中、b側に切り換えられる)切換器42と、
該切換器42から出力される信号41が変化した場合に、その信号41の変化に対し、予め設定した時間遅れが生じるよう追従させて、残炭払い出し完了後のミル通常起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量模擬信号43を出力する一次遅れ器44と
を備えてなる構成を有している。
【0010】
前述の如き従来のミル残炭起動時における出炭量算出装置の場合、定常運転時(給炭機起動時以外)には、給炭機3からミル4へ投入される給炭量11が切換器46を介して信号45として加算器24へ出力されると共に、該給炭量11が切換器13を経由し、そのまま信号12として切換器20へ出力されるが、該切換器20においては定常運転時(ミル残炭起動からタイマ16で設定された時間の間以外)には信号発生器17から出力される“0”の信号18が信号19として一次遅れ器22へ出力され、該一次遅れ器22から前記加算器24へ出力される出炭量模擬信号21は“0”となるため、加算器24からは給炭量11がそのまま出炭量23として出力される。
【0011】
一方、ミル4に何らかの異常が発生し、該ミル4と、それに対応する給炭機3とを緊急停止させた場合、図5に示される如く、給炭量11はミルトリップ時にx[ton/h]から“0”となるが、切換器13は給炭機3停止時点での給炭量11をホールドして残炭量を表わす信号12として切換器20へ出力する。
【0012】
ミルトリップ後、ミル残炭起動指令14が出力されると、タイマ16から所要時間(t[分])の間だけ“1”の信号15が出力され、前記切換器13から出力される信号12が、前記タイマ16で設定された時間の間だけ切換器20から信号19として一次遅れ器22へ出力され、該一次遅れ器22においては、切換器20から出力される信号19の変化に対し、予め設定した時間遅れが生じるよう追従させて、ミル残炭起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量模擬信号21が加算器24へ出力され、該加算器24において、前記一次遅れ器22から出力される出炭量模擬信号21が前記給炭機3からミル4へ投入される給炭量11(ミルトリップ後は“0”となっている)に加えられ、出炭量23として出力される。
【0013】
続いて、前記ミル4内に残っていた石炭の払い出しが完了した後、該ミル4に対応するコールバンカ1の石炭ゲート9が開放され、且つ給炭機3を起動する給炭機起動指令36が出力されて給炭機3が再び起動されると、図5に示される如く、給炭機3からミル4へ投入される給炭量11は“0”からz[ton/h]となるが、タイマ38から出力される信号37は、前記給炭機起動指令36が出力されてから所要時間(t’[分])経過するまでは“0”のままであるため、残炭払い出し完了後のミル通常起動時における給炭機起動指令36が出力された時点から前記タイマ38で設定された時間(t’[分])の間は、切換器42は、図4中、a側に切り換えられ、信号発生器39から出力される“0”の信号40が信号41として出力される。
【0014】
前記信号発生器39から出力される“0”の信号40が信号41として出力されていた状態から、前記タイマ38で設定された時間(t’[分])だけ経過すると、前記切換器42が、図4中、b側に切り換えられ、z[ton/h]となっている給炭量11が信号41として一次遅れ器44へ出力され、該一次遅れ器44においては、切換器42から出力される信号41の変化に対し、予め設定した時間遅れが生じるよう追従させて、残炭払い出し完了後のミル通常起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量模擬信号43が、図4中、a側に切り換えられた切換器46へ出力され、該切換器46から前記出炭量模擬信号43が信号45として加算器24へ出力され、このとき、切換器20においては信号発生器17から出力される“0”の信号18が信号19として一次遅れ器22へ出力され、該一次遅れ器22から前記加算器24へ出力される出炭量模擬信号21は“0”となるため、加算器24からは前記出炭量模擬信号43がそのまま出炭量23として出力される。
【0015】
尚、図5に示した例においては、給炭量11は、給炭機起動指令36が出力されて給炭機3が起動された時点で“0”からz[ton/h]となり、続いて、z[ton/h]の状態が所定時間継続した後、ある傾斜角度で増加して行き、y[ton/h]となった時点でミル4の起動が完了し定常運転に移行するようになっている。
【0016】
前記ミル4の起動が完了し、定常運転に移行すると、前記切換器46が、図4中、b側に切り換えられ、給炭機3からミル4へ投入される給炭量11が切換器46を介してそのまま信号45として加算器24へ出力され、該加算器24から出炭量23として出力される。
【0017】
これにより、一台のミル4を緊急停止した後、残りの複数台(例えば五台)のミル4からボイラ7の火炉8内へ供給される石炭の出炭量23がバランスしている状態で、緊急停止したミル4の残炭起動を行った場合には、残炭起動によってボイラ7の火炉8内へ供給される石炭の出炭量23の分だけ、残りの複数台のミル4からボイラ7の火炉8内へ供給される石炭の出炭量23が減少される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
前述の如く、ミル残炭起動を開始してミル4から石炭が出炭される場合、その出炭量23は、ミル残炭起動開始からある時間経過するまでは増加して行き、その後、略一定となる状態が所定時間継続し、続いて減少して行くパターンとなるが、前述の如く、単に一次遅れ器22を設けて出炭量模擬信号21を作成するのでは、ミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量23増加の傾きと、出炭量23減少の傾きとを一義的に決まる同一のカーブでしか設定することができないため、実際の出炭量との誤差が大きくなり、精度的に見て充分であるとは言えず、依然として燃料過多となって排ガスO2が低下したり、蒸気温度が上昇する虞れがあり、改善の余地が残されていた。
【0019】
本発明は、斯かる実情に鑑み、ミル残炭起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量23を精度よく求めることができ、燃料流量指令を上回る必要以上の石炭がボイラ7の火炉8内へ供給されてしまうことをなくし、排ガスO2の低下並びに蒸気温度の上昇を防止し得る石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出方法及び装置を提供しようとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ミルトリップ時に給炭機3停止時点での給炭量11をホールドして残炭量とし、該残炭量に対して、実機でのテストデータに対応させた時間の関数として与えられ且つミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量23増加の傾きと、出炭量23が略一定となる状態と、出炭量23減少の傾きとを示す出炭量模擬ゲイン34を掛け、ミル残炭起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量23を求めることを特徴とする石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出方法にかかるものである。
【0021】
又、本発明は、ミルトリップ時には給炭機3停止時点での給炭量11をホールドして残炭量を表わす信号12として出力する一方、それ以外の時には給炭機3からミル4へ投入される給炭量11を信号12として出力する切換器13と、
ミルトリップ後のミル残炭起動時には信号発生器27から出力される“1”の信号を受け、それ以外の時には信号発生器25から出力される“0”の信号を受け、何れも信号30として出力する切換器29と、
該切換器29から出力される信号30が“0”から“1”へ変化した場合に、その変化率を実機でのテストデータに対応させた設定値以下の範囲内に制限する処理を行って変化率補正信号32を出力する変化率制限器31と、
前記変化率補正信号32に基づき、実機でのテストデータに対応させた時間の関数として与えられ且つミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量23増加の傾きと、出炭量23が略一定となる状態と、出炭量23減少の傾きとを示す出炭量模擬ゲイン34を求めて出力する関数発生器33と、
前記出炭量模擬ゲイン34を前記信号12に掛け、ミル残炭起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量模擬信号21を出力する乗算器35と、
残炭払い出し完了後のミル通常起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量模擬信号43を求めて出力するミル通常起動時出炭量算出器47と、
残炭払い出し完了後のミル通常起動時における給炭機3起動時には前記出炭量模擬信号43を、またそれ以外の時には前記給炭量11を夫々信号45として出力する切換器46と、
前記出炭量模擬信号21を前記信号45に加え、出炭量23を出力する加算器24と
を備えたことを特徴とする石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出装置にかかるものである。
【0022】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0023】
本発明の石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出方法においては、ミルトリップ時に給炭機3停止時点での給炭量11をホールドして残炭量とし、該残炭量に対して、実機でのテストデータに対応させた時間の関数として与えられ且つミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量23増加の傾きと、出炭量23が略一定となる状態と、出炭量23減少の傾きとを示す出炭量模擬ゲイン34が掛けられ、ミル残炭起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量23が求められる。
【0024】
又、本発明の石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出装置においては、定常運転時(給炭機起動時以外)には、給炭機3からミル4へ投入される給炭量11が切換器46を介して信号45として加算器24へ出力されると共に、該給炭量11が切換器13を経由し、そのまま信号12として乗算器35へ出力されるが、該乗算器35には、定常運転時(ミル残炭起動時以外)には信号発生器25から出力される“0”の信号26が切換器29と変化率制限器31と関数発生器33とを介して出炭量模擬ゲイン34として出力され、乗算器35から前記加算器24へ出力される出炭量模擬信号21は“0”となるため、加算器24からは給炭量11がそのまま出炭量23として出力される一方、ミル4に何らかの異常が発生し、該ミル4と、それに対応する給炭機3とを緊急停止させた場合、給炭量11はミルトリップ時に“0”となるが、切換器13は給炭機3停止時点での給炭量11をホールドして残炭量を表わす信号12として乗算器35へ出力し、ミルトリップ後、残炭起動のためにミル4が起動されると、信号発生器27から出力される“1”の信号28が切換器29から信号30として変化率制限器31へ出力され、該変化率制限器31において、“0”から“1”へ変化した切換器29からの信号30の変化率を実機でのテストデータに対応させた設定値以下の範囲内に制限する処理が行われ、変化率補正信号32が関数発生器33へ出力され、該関数発生器33において前記変化率制限器31から出力される変化率補正信号32に基づき、実機でのテストデータに対応させた時間の関数として与えられ且つミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量23増加の傾きと、出炭量23が略一定となる状態と、出炭量23減少の傾きとを示す出炭量模擬ゲイン34が求められて乗算器35へ出力され、該乗算器35において、前記関数発生器33から出力される出炭量模擬ゲイン34が前記切換器13から出力される給炭量11の信号12に掛けられ、残炭起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量模擬信号21が前記加算器24へ出力され、該加算器24において、前記乗算器35から出力される出炭量模擬信号21が前記給炭機3からミル4へ投入される給炭量11(ミルトリップ後は“0”となっている)に加えられ、出炭量23として出力される。
【0025】
続いて、前記ミル4内に残っていた石炭の払い出しが完了した後、該ミル4に対応する給炭機3が再び起動されると、ミル通常起動時出炭量算出器47において残炭払い出し完了後のミル通常起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量模擬信号43が求められて切換器46へ出力され、該切換器46から前記出炭量模擬信号43が信号45として加算器24へ出力され、このとき、切換器20においては信号発生器17から出力される“0”の信号18が信号19として一次遅れ器22へ出力され、該一次遅れ器22から前記加算器24へ出力される出炭量模擬信号21は“0”となるため、加算器24からは前記出炭量模擬信号43がそのまま出炭量23として出力される。
【0026】
前記ミル4の起動が完了し、定常運転に移行すると、前記切換器46が切り換えられ、給炭機3からミル4へ投入される給炭量11が切換器46を介してそのまま信号45として加算器24へ出力され、該加算器24から出炭量23として出力される。
【0027】
これにより、一台のミル4を緊急停止した後、残りの複数台のミル4からボイラ7の火炉8内へ供給される石炭の出炭量23がバランスしている状態で、緊急停止したミル4の残炭起動を行った場合には、残炭起動によってボイラ7の火炉8内へ供給される石炭の出炭量23の分だけ、残りの複数台のミル4からボイラ7の火炉8内へ供給される石炭の出炭量23が減少される。
【0028】
ここで、従来のように、単に一次遅れ器22を設けて出炭量模擬信号21を作成するのでは、ミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量23増加の傾きと、出炭量23減少の傾きとを一義的に決まる同一のカーブでしか設定することができないが、本発明の場合には、変化率制限器31と関数発生器33との組合せにより、ミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量23増加の傾きと、出炭量23が略一定となる状態と、出炭量23減少の傾きとをそれぞれ、実機でのテストデータに対応させた時間の関数として設定することができるため、前記加算器24から出力される出炭量23と実際の出炭量との誤差が最小限に抑えられ、燃料過多となって排ガスO2が低下したり、蒸気温度が上昇することがなくなる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0030】
図1及び図2は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図3〜図5と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、29はミルトリップ後のミル残炭起動時には信号発生器27から出力される“1”の信号28を信号30として出力する一方、それ以外の時には信号発生器25から出力される“0”の信号26を信号30として出力する切換器、31は前記切換器29から出力される信号30が“0”から“1”へ変化した場合に、その変化率を実機でのテストデータに対応させた設定値以下の範囲内に制限する処理を行って変化率補正信号32を出力する変化率制限器、33は前記変化率制限器31から出力される変化率補正信号32に基づき、実機でのテストデータに対応させた時間の関数として与えられ且つミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量23増加の傾きと、出炭量23が略一定となる状態と、出炭量23減少の傾きとを示す出炭量模擬ゲイン34を求めて出力する関数発生器、35は前記関数発生器33から出力される出炭量模擬ゲイン34を切換器13から出力される給炭量11の信号12に掛け、ミル残炭起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量模擬信号21を出力する乗算器であり、該乗算器35から出力される出炭量模擬信号21を、加算器24において切換器46から出力される信号45に加え、出炭量23を出力するよう構成してある。
【0031】
尚、前記変化率制限器31の変化率と、関数発生器33の関数は、それぞれ予め行ったテストデータに基づいて設定するようになっている。
【0032】
次に、上記図示例の作動を説明する。
【0033】
定常運転時(給炭機起動時以外)には、給炭機3からミル4へ投入される給炭量11が切換器46を介して信号45として加算器24へ出力されると共に、該給炭量11が切換器13を経由し、そのまま信号12として乗算器35へ出力されるが、該乗算器35には、定常運転時(ミル残炭起動時以外)には信号発生器25から出力される“0”の信号26が切換器29と変化率制限器31と関数発生器33とを介して出炭量模擬ゲイン34として出力され、乗算器35から前記加算器24へ出力される出炭量模擬信号21は“0”となるため、加算器24からは給炭量11がそのまま出炭量23として出力される。
【0034】
一方、ミル4に何らかの異常が発生し、該ミル4と、それに対応する給炭機3とを緊急停止させた場合、図2に示す如く、給炭量11はミルトリップ時にx[ton/h]から“0”となるが、切換器13は給炭機3停止時点での給炭量11をホールドして残炭量を表わす信号12として乗算器35へ出力する。
【0035】
ミルトリップ後、残炭起動のためにミル4が起動されると、信号発生器27から出力される“1”の信号28が切換器29から信号30として変化率制限器31へ出力され、該変化率制限器31において、“0”から“1”へ変化した切換器29からの信号30の変化率を実機でのテストデータに対応させた設定値以下の範囲内に制限する処理が行われ、変化率補正信号32が関数発生器33へ出力され、該関数発生器33において前記変化率制限器31から出力される変化率補正信号32に基づき、実機でのテストデータに対応させた時間の関数として与えられ且つミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量23増加の傾きと、出炭量23が略一定となる状態と、出炭量23減少の傾きとを示す出炭量模擬ゲイン34が求められて乗算器35へ出力され、該乗算器35において、前記関数発生器33から出力される出炭量模擬ゲイン34が前記切換器13から出力される給炭量11の信号12に掛けられ、残炭起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量模擬信号21が前記加算器24へ出力され、該加算器24において、前記乗算器35から出力される出炭量模擬信号21が前記給炭機3からミル4へ投入される給炭量11(ミルトリップ後は“0”となっている)に加えられ、出炭量23として出力される。
【0036】
続いて、前記ミル4内に残っていた石炭の払い出しが完了した後、該ミル4に対応するコールバンカ1の石炭ゲート9が開放され、且つ給炭機3を起動する給炭機起動指令36が出力されて給炭機3が再び起動されると、図2に示す如く、給炭機3からミル4へ投入される給炭量11は“0”からz[ton/h]となるが、タイマ38から出力される信号37は、前記給炭機起動指令36が出力されてから所要時間(t’[分])経過するまでは“0”のままであるため、残炭払い出し完了後のミル通常起動時における給炭機起動指令36が出力された時点から前記タイマ38で設定された時間(t’[分])の間は、切換器42は、図1中、a側に切り換えられ、信号発生器39から出力される“0”の信号40が信号41として出力される。
【0037】
前記信号発生器39から出力される"0"の信号40が信号41として出力されていた状態から、前記タイマ38で設定された時間(t'[分])だけ経過すると、前記切換器42が、図1中、b側に切り換えられ、z[ton/h]となっている給炭量11が信号41として一次遅れ器44へ出力され、該一次遅れ器44においては、切換器42から出力される信号41の変化に対し、予め設定した時間遅れが生じるよう追従させて、残炭払い出し完了後のミル通常起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量模擬信号43が、図1中、a側に切り換えられた切換器46へ出力され、該切換器46から前記出炭量模擬信号43が信号45として加算器24へ出力され、このとき、切換器29においては信号発生器25から出力される " " の信号26が信号30として変化率制限器31へ出力され、該変化率制限器31と関数発生器33とを介して出炭量模擬ゲイン34として乗算器35へ出力され、該乗算器35から前記加算器24へ出力される出炭量模擬信号21は"0"となるため、加算器24からは前記出炭量模擬信号43がそのまま出炭量23として出力される。
【0038】
前記ミル4の起動が完了し、定常運転に移行すると、前記切換器46が、図1中、b側に切り換えられ、給炭機3からミル4へ投入される給炭量11が切換器46を介してそのまま信号45として加算器24へ出力され、該加算器24から出炭量23として出力される。
【0039】
これにより、一台のミル4を緊急停止した後、残りの複数台(例えば五台)のミル4からボイラ7の火炉8内へ供給される石炭の出炭量23がバランスしている状態で、緊急停止したミル4の残炭起動を行った場合には、残炭起動によってボイラ7の火炉8内へ供給される石炭の出炭量23の分だけ、残りの複数台のミル4からボイラ7の火炉8内へ供給される石炭の出炭量23が減少される。
【0040】
ここで、従来のように、単に一次遅れ器22を設けて出炭量模擬信号21を作成するのでは、ミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量23増加の傾きと、出炭量23減少の傾きとを一義的に決まる同一のカーブでしか設定することができないが、本図示例の場合には、変化率制限器31と関数発生器33との組合せにより、ミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量23増加の傾きと、出炭量23が略一定となる状態と、出炭量23減少の傾きとをそれぞれ、実機でのテストデータに対応させた時間の関数として設定することができるため、前記加算器24から出力される出炭量23と実際の出炭量との誤差が最小限に抑えられ、燃料過多となって排ガスO2が低下したり、蒸気温度が上昇することがなくなる。
【0041】
こうして、ミル残炭起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量23を精度よく求めることができ、燃料流量指令を上回る必要以上の石炭がボイラ7の火炉8内へ供給されてしまうことをなくし、排ガスO2の低下並びに蒸気温度の上昇を防止し得る。
【0042】
尚、本発明の石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出方法及び装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0043】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出方法及び装置によれば、ミル残炭起動時にミル4から出炭されると予測される出炭量23を精度よく求めることができ、燃料流量指令を上回る必要以上の石炭がボイラ7の火炉8内へ供給されてしまうことをなくし、排ガスO2の低下並びに蒸気温度の上昇を防止し得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施する形態の一例のブロック図である。
【図2】 本発明を実施する形態の一例のタイムチャート図である。
【図3】 一般的な石炭焚ボイラの石炭の供給系統を表わす概略図である。
【図4】 従来の石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出装置の一例を表わすブロック図である。
【図5】 図4に示す従来例のタイムチャート図である。
【符号の説明】
3 給炭機
4 ミル
11 給炭量
12 信号
13 切換器
21 出炭量模擬信号
23 出炭量
24 加算器
25 信号発生器
26 信号
27 信号発生器
28 信号
29 切換器
30 信号
31 変化率制限器
32 変化率補正信号
33 関数発生器
34 出炭量模擬ゲイン
35 乗算器
43 出炭量模擬信号
45 信号
46 切換器
47 ミル通常起動時出炭量算出器

Claims (2)

  1. ミルトリップ時に給炭機(3)停止時点での給炭量(11)をホールドして残炭量とし、該残炭量に対して、実機でのテストデータに対応させた時間の関数として与えられ且つミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量(23)増加の傾きと、出炭量(23)が略一定となる状態と、出炭量(23)減少の傾きとを示す出炭量模擬ゲイン(34)を掛け、ミル残炭起動時にミル(4)から出炭されると予測される出炭量(23)を求めることを特徴とする石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出方法。
  2. ミルトリップ時には給炭機(3)停止時点での給炭量(11)をホールドして残炭量を表わす信号(12)として出力する一方、それ以外の時には給炭機(3)からミル(4)へ投入される給炭量(11)を信号(12)として出力する切換器(13)と、
    ミルトリップ後のミル残炭起動時には信号発生器(27)から出力される“1”の信号を受け、それ以外の時には信号発生器(25)から出力される“0”の信号を受け、何れも信号(30)として出力する切換器(29)と、
    該切換器(29)から出力される信号(30)が“0”から“1”へ変化した場合に、その変化率を実機でのテストデータに対応させた設定値以下の範囲内に制限する処理を行って変化率補正信号(32)を出力する変化率制限器(31)と、
    前記変化率補正信号(32)に基づき、実機でのテストデータに対応させた時間の関数として与えられ且つミル残炭起動開始からある時間経過するまでの出炭量(23)増加の傾きと、出炭量(23)が略一定となる状態と、出炭量(23)減少の傾きとを示す出炭量模擬ゲイン(34)を求めて出力する関数発生器(33)と、
    前記出炭量模擬ゲイン(34)を前記信号(12)に掛け、ミル残炭起動時にミル(4)から出炭されると予測される出炭量模擬信号(21)を出力する乗算器(35)と、
    残炭払い出し完了後のミル通常起動時にミル(4)から出炭されると予測される出炭量模擬信号(43)を求めて出力するミル通常起動時出炭量算出器(47)と、
    残炭払い出し完了後のミル通常起動時における給炭機(3)起動時には前記出炭量模擬信号(43)を、またそれ以外の時には前記給炭量(11)を夫々信号(45)として出力する切換器(46)と、
    前記出炭量模擬信号(21)を前記信号(45)に加え、出炭量(23)を出力する加算器(24)と
    を備えたことを特徴とする石炭焚ボイラのミル残炭起動時における出炭量算出装置。
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