JP2005060698A - 金属錯体着色剤,および,着色用組成物 - Google Patents

金属錯体着色剤,および,着色用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】アゾモイエティを含む金属錯体着色剤を提供する。
【解決手段】多様な色相具現が可能であり,耐光性および耐水性などの堅牢度が向上した,下記化学式1の金属錯体着色剤:
Figure 2005060698

式中、COLORANTは着色剤を意味し、A,Aはそれぞれアルケニレン基を表わし、X,Xは、ヒドロキシ基,カルボキシル基等を表わす。nは1〜3の整数である。Lは、中性中性または陰性のリガンドを表わし、Jはリンカーを表わす。
【選択図】なし

Description

本発明は金属錯体着色剤および着色用組成物に係り,より詳細には多様な色相具現が可能であり,耐光性および耐水性などの堅牢度が向上した,アゾモイエティを含む金属錯体着色剤および着色用組成物を提供する。
一般的に可視光線を選択的に吸収または反射することにより固有な色を表す物質を着色剤というが,このような着色剤は食品,医薬品,化粧品,塗料,インクジェットプリンタ用インク,印刷用インク,プラスチック着色,ゴム着色,家具製造,捺染,製紙,窯業など色を具現する多様な分野で広く使用されている。
着色剤は染料と顔料の2種類に大別できるが,染料は水や油などに溶解されて単分子形態に分散され,繊維などの分子と結合して着色される有色物質をいい,顔料は水や油に溶解されずに粉体のままで物体表面に不透明な有色膜を作る物質を意味する。
通常的に染料は色具現範囲が広く,色相が明るくて鮮明であるが,光により脱色/変色されるか,水や有機溶媒により染みるなど耐光性および耐水性が脆弱な問題点がある一方,顔料は染料と比較して耐光性/耐水性は優秀であるが,相対的に色の具現範囲が狭いという脆弱点がある。したがって,多様な色の具現という染料の長所を保持しつつ耐光性,耐水性などを高めるためにいろいろな研究が行われつつあるが,そのうち一つが金属錯体を利用する方法である。
代表的に米国特許第5095100号明細書では,染料分子内のアゾ基および特定作用基を金属と配位結合させることによって耐光性の向上した金属錯体染料を得る方法を開示している。しかし,前記発明は金属と配位結合が可能なアゾ基および特定作用基が着色剤分子内に含まれていなければならないという制約があるため,金属錯体をなしうる着色剤の種類が限定されるという問題がある。
特開2002−272382号公報 特開平11−061015号公報 特開平11−343437号公報 米国特許第5180705号明細書 米国特許第5166326号明細書 米国特許第5095100号明細書
本発明が解決しようとする技術的課題は,アゾモイエティを含む金属錯体着色剤を提供することである。
本発明が解決しようとする他の技術的課題は,前記金属錯体着色剤を含む組成物を提供することである。
前記技術的課題を解決するために本発明は,アゾモイエティが着色剤に結合され,前記アゾモイエティを通じて金属が配位結合された下記化学式1の金属錯体着色剤を提供する。
Figure 2005060698
化学式1中,AおよびAはそれぞれ独立的に少なくとも一つ以上の二重結合を持つ炭素原子数2〜30個の置換または非置換のアルケニレン基を含有し,かつアゾ基と共役が形成されたモイエティであり,XおよびXはヒドロキシ基,炭素数1〜4のアルコキシ基,カルボキシル基,または置換または非置換のアミノ基よりなる群から選択され,Mは多価転移金属を表し,Lは中性または陰イオン性リガンドを表し,nは1〜3の整数であり,Jはリンカーを表す。また本明細書中,COLORANTは着色剤を意味するものとする。
前記化学式1の金属錯体着色剤としては下記化学式2または化学式3の化合物が望ましい。
Figure 2005060698
化学式2中,J,X,X,M,Lおよびnは前記定義した通りであり,Rは炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキレン基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキレン基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のアルケニレン基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のヘテロアルケニレン基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリーレン基,および炭素原子数6〜30の置換または非置換のヘテロアリーレン基よりなる群から選択され,X,XおよびRはそれぞれ独立的に水素,ハロゲン原子,ヒドロキシ基,カルボキシル基,置換または非置換のアミノ基,スルホン酸基,燐酸基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のアルケニル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のヘテロアルケニル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数6〜30の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される。
Figure 2005060698
化学式3中,X,X,M,J,Lおよびnは前記定義した通りであり,QおよびQはそれぞれ独立的に少なくとも一つ以上の二重結合を含む炭素原子数2〜20の置換または非置換のシクロアルケニレン基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリーレン基,炭素原子数2〜30の置換または非置換のヘテロシクロアルケニレン基,炭素原子数4〜30の置換または非置換のヘテロアリーレン基よりなる群から選択され,Yは−O−,−S−,−P−,置換または非置換のアミノ基,スルホン酸基,燐酸基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のアルケニル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のヘテロアルケニル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,または炭素原子数6〜30の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される。
前記他の技術的課題を達成するために本発明は,前記化学式1の金属錯体着色剤,キャリア媒質および/または添加剤を含む組成物を提供する。
化学式1で表現される本発明の金属錯体着色剤は,分子内に金属と配位結合を形成できるモイエティを持っていない着色剤に対しても着色剤の制限なしに金属錯体着色剤を容易に製造でき,したがって,多様な色相具現が可能であり,耐光性,耐水性などの堅牢度が向上できる。
以下,本発明をさらに具体的に説明する。
一般的に着色剤はカルボン酸基,スルホン酸基,ヒドロキシ基,アミノ基,燐酸基などを含んでいるので,このような作用基と反応できる作用基が末端に含まれたアゾモイエティを着色剤と結合させれば,エステル結合やアミド結合によりアゾモイエティを着色剤に導入できる。着色剤に導入されたアゾモイエティは金属と反応して錯体を形成する。このように着色剤が金属錯体を形成することによって多様な色相の具現が可能になり,耐光性および耐水性などの堅牢性が向上する。
本発明による金属錯体着色剤は下記化学式1の構造を持つ。
Figure 2005060698
化学式1中,AおよびAはそれぞれ独立的に少なくとも一つ以上の二重結合を持つ炭素原子数2〜30個の置換または非置換のアルケニレン基を含有し,かつアゾ基と共役が形成されたモイエティであり,XおよびXはヒドロキシ基,炭素数1〜4のアルコキシ基,カルボキシル基,および置換または非置換のアミノ基よりなる群から選択され,Mは多価転移金属を表し,Lは中性または陰イオン性リガンドを表し,nは1〜3の整数であり,Jはリンカーを表す。
前記化学式1の金属錯体で,AおよびAは炭素数2〜30,望ましくは炭素数2〜15個のアルケニレン基を含有するモイエティであって,その形態は環システムまたは非環システムの形態を持つことができる。環システムの場合には芳香族または非芳香族いずれも可能である。
前記AおよびAは金属との結合が可能な置換基XおよびXを含んでおり,前記XおよびXはそれぞれ独立的にヒドロキシ基,炭素数1〜4のアルコキシ基,カルボキシル基またはアミノ基などを使用できる。
前記化学式1の金属錯体で,多価転移金属Mとして酸化数+1価〜+5価の金属,例えばアルミニウム,金,セリウム,コバルト,クロム,銅,ユウロピウム,鉄,ポタシウム,ゲルマニウム,インジウム,ランタン,マンガン,ニッケル,パラジウム,白金,ロジウム,ルテニウム,スカンジウム,シリコン,サマリウム,チタン,ウラン,亜鉛,ジルコニウムなどを使用できる。望ましくはニッケル,銅,亜鉛,鉄,クロム,パラジウム,白金,コバルトなどを使用できる。
前記化学式1の金属錯体で,中性リガンドとしては1桁単座リガンド,10桁リガンド,100桁リガンドなどが使われ,その具体的な例としてはアンモニア,水,トリフェニルホスフィン,*NHR''NH*(R''は炭素数1〜20の置換または非置換のアルキレン基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキレン基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリーレン基,および炭素原子数4〜30の置換または非置換のヘテロアリーレン基よりなる群から選択される),2,2’−ビピリジン,1,10−フェナントロリン,2,2’,2''−テルピリジンなどが使われうる。
本発明で使われる中性リガンドは前記金属Mと結合する前に電荷を帯びない物質であって,前記金属Mと結合した後には非親水性になりうる。
前記化学式1の金属錯体で,陰イオン性リガンドとしては1〜6の負電荷を持っており,その具体的な例としては,ハロゲン原子イオンF,Cl,Br,I,R''−NO*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール,および炭素原子数4〜30の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキルカルボキシレートイオン(例:アセテート,トリフルオロアセテート),R''CN*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),−(CHCHO)−(Zは1〜50の数である),R''OO*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),R''O*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),R''SCN*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),R''N*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),R''CO*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),およびR''SO*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される)よりなる群から選択された一つ以上が使われうる。
本発明で使われる陰イオン性リガンドは前記金属Mと結合する前に負電荷を帯びる物質であって,前記金属Mと結合した後には非親水性になりうる。
前記化学式1の金属錯体で,Jはリンカーを表し,アゾ基と着色剤とを互いに結合させる役割をする。このようなリンカーJはアゾ基を着色剤と化学的に結合させる過程で発生でき,あらかじめ前記リンカーを着色剤と化学的に結合させた後,アゾ基を結合させる過程で発生することもある。このようなリンカーJは具体的には−O−,−NR−,−N=N−,−S−,−P−,−C(=O)−NR−,−NR−C(=O)−,−S(=O)(=O)O−,−C(=O)O−,−O−C(=O)−,−P(=O)O−,−C(=O)−O−C(=O)−,−C(=O)−S−C(=O)−,−C(=O)−NR−C(=O)−,−C(=N)−O−C(=N)−,−C(=S)−O−C(=S)−,−C(=N)−NR−C(=N)−,−C(=S)−NR−C(=S)−,−C(=N)−S−C(=N)−,または−C(=S)−S−C(=S)−であり,単純な化学結合,すなわち単一結合または二重結合である場合も可能である。前記式のうちRは水素または炭素原子数1〜4の置換または非置換のアルキル基を表す。
前記化学式1の金属錯体でAおよびAが非環状システムである場合を下記の化学式2に表す。
Figure 2005060698
化学式2中,J,X,X,M,Lおよびnは前記定義した通りであり,Rは炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキレン基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキレン基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のアルケニレン基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のヘテロアルケニレン基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリーレン基,または炭素原子数6〜30の置換または非置換のヘテロアリーレン基よりなる群から選択され,X,XおよびRはそれぞれ独立的に水素,ハロゲン原子,ヒドロキシ基,カルボキシル基,置換または非置換のアミノ基,スルホン酸基,燐酸基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のアルケニル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のヘテロアルケニル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数6〜30の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される。
前記化学式2の金属錯体はアゾ基に隣接して位置するAおよびAが非環状の共役システムを持つ場合であって,前記式中XおよびXはアゾ基に隣接して位置し,二重結合を形成する炭素のうちいずれか一つに結合されており,中心金属であるMと配位結合を形成する。
また,前記化学式1の金属錯体でアゾ基に隣接して位置するアルケニレン基含有モイエティが環状システムである場合を下記の化学式3に表す。
Figure 2005060698
化学式3中,X,X,M,J,Lおよびnは前記定義した通りであり,QおよびQはそれぞれ独立的に少なくとも一つ以上の二重結合を含む炭素原子数2〜20の置換または非置換のシクロアルケニレン基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリーレン基,炭素原子数2〜30の置換または非置換のヘテロシクロアルケニレン基,および炭素原子数4〜30の置換または非置換のヘテロアリーレン基よりなる群から選択され,Yは−O−,−S−,−P−,カルボキシル基,置換または非置換のアミノ基,スルホン酸基,燐酸基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のアルケニル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のヘテロアルケニル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数6〜30の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される。
前記化学式3の金属錯体は,前記化学式1の金属錯体でAおよびAが環状システムである場合を表し,前記環状システムはアゾ基と隣接した位置にアルケニレン基を持つ。特に前記環状システムはアルケニレン基を含む以外に,特別な制限なしに芳香族または非芳香族いずれも可能である。また4員環系〜8員環系システムよりなり,それらは適切な置換基を持つことができる。また,2環式または3環式などの多重環システムでも形成可能であり,各環は互いに融合して融合環を形成することも可能である。前記環状システムの置換基は1置換基または多置換基で構成され,多置換基である場合には同一または相異なる置換基で構成され,例えば,水素,ハロゲン原子,ヒドロキシ基,カルボキシル基,置換または非置換のアミノ基,スルホン酸基,燐酸基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のアルケニル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のヘテロアルケニル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,または炭素原子数6〜30の置換または非置換のヘテロアリール基を表す。
前記本発明による化学式1〜3の金属錯体は着色剤に通常的に含まれているカルボン酸基,スルホン酸基,ヒドロキシ基,アミノ基,燐酸基などをアゾモイエティが末端に含有する作用基と一般的な化学結合,例えばエステル結合またはアミド結合させてアゾモイエティを着色剤に導入した後,それを中性または陰イオン性リガンドと共に金属に配位結合させて得られる。
本発明でアゾモイエティと結合可能な着色剤としては,通常的に使われる染料または顔料中分子内にアミノ基,カルボキシル基,ヒドロキシル基,燐酸基またはスルホン酸基が存在するか,または一般的な反応を通じてそれを導入できるならば特別な制限なしに使用できる。
前記染料の具体的な例としてC.I.DIRECT BLACK 9,17,19,22,32,56,91,94,97,166,168,174,199,C.I.DIRECT BLUE 1,10,15,22,77,78,80,200,201,202,203,207,211,C.I.DIRECT LED 2,4,9,23,31,39,63,72,83,84,89,111,173,184,240,C.I.DIRECT YELLOW 8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58などがあり,顔料の具体的な例としてはカーボンブラック,グラファイト,ガラスカーボン,活性化チャコール,活性化炭素,アントラキノン,フタロシアニンブルー,フタロシアニングリーン,ジアゾス,モノアゾス,ピラントロン,ペリレン,キナクリドン,インジゴイド系顔料などを例として挙げられる。
前記化学式1の金属錯体着色剤は繊維,皮革,毛皮,食品,医薬品,化粧品,インクジェットインク,印刷インク,塗料,プラスチック着色,ゴム着色,家具製造,捺染,製紙,窯業などに多様に使用でき,本発明は前記化学式1の金属錯体着色剤を含む組成物を提供する。本発明の組成物は前記化学式1の金属錯体着色剤,キャリア媒質および/または添加剤を含む。
以下では,前記組成物の一具現例であるインク組成物について具体的に説明するが,本発明が必ずしもそれに限定されるものではない。
前記本発明の一具現例によるインク組成物において,各成分の含有量比は,前記インク組成物100重量部を基準に前記化学式1の金属錯体着色剤が1〜20重量部,望ましくは1〜10重量部を使用できる。
本発明の他の具現例によるインク組成物は,着色剤として通常の着色剤および本発明による金属錯体着色剤を共に含むインク組成物である。すなわち,本発明の他の具現例によるインク組成物は通常の着色剤および前記化学式1の金属錯体着色剤の混合物,キャリア媒質および/または添加剤を含む。
前記本発明の他の具現例によるインク組成物において,各成分の含有量比は,前記インク組成物100重量部を基準に前記通常の着色剤1〜15重量部および前記化学式1の金属錯体着色剤1〜15重量部であり,前記通常の着色剤および前記化学式1の金属錯体着色剤の総含有量が前記インク組成物100重量部を基準に2〜20重量部であることが望ましい。前記通常の着色剤および前記化学式1の金属錯体着色剤の総含有量は前記インク組成物100重量部を基準に2〜10重量部であることがさらに望ましい。
本発明の一具現例および他の具現例によるインク組成物において,前記着色剤および本発明による金属錯体着色剤はキャリア媒質に溶解または分散されていることが望ましい。
前記キャリア媒質は水または1種以上の有機溶媒単独,または1種以上の有機溶媒5〜50重量部と水50〜95重量部との混合物を使用できる。特に,そのようなキャリア媒質に添加される水と有機溶媒との量は多様な要因,例えば粘度,表面張力,乾燥速度などのようにインク組成物の特性によって変わり,その性質はインクが使われる印刷方法によって変わり,またインクが印刷される機材の種類によって変わる。
前記キャリア媒質に使われる有機溶媒はメチルアルコール,エチルアルコール,n−プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,n−ブチルアルコール,sec−ブチルアルコール,t−ブチルアルコールまたはイソブチルアルコールのアルコール類化合物;アセトン,メチルエチルケトン,ジエチルケトンまたはジアセトンアルコールのケトン化合物;メチルアセテート,エチルアセテートまたはエチルラクテートのエステル化合物;エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,プロピレングリコール,ブチレングリコール,1,4−ブタンジオール,1,2,4−ブタントリオール,1,5−ペンタンジオール,1,2,6−へキサントリオール,へキシレングリコール,グリセロール,グリセロールエトキシレートまたはトリメチロールプロパンエトキシレートの多価アルコール化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル,ジエチレングリコールメチルエーテル,ジエチレングリコールエチルエーテル,トリエチレングリコールモノメチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノエチルエーテルのエーテル化合物;2−ピロリドンまたはN−メチル−2−ピロリドンの含窒素化合物;およびジメチルスルホキシド,テトラメチレンスルホンまたはチオグリコールの含硫黄化合物よりなる群から選択されたものが望ましい。
本発明による一具現例および他の具現例による前記インク組成物は分散剤,粘度調節剤,界面活性剤,保存安定剤,湿潤剤,pH調節剤そして透過剤よりなる群から選択される一つ以上の添加物をさらに含むことができる。
前記インク組成物で着色剤が顔料であるか,または水に溶解されない染料である場合には,着色剤の分散安定性のために必要に応じて1種以上の分散剤を含むことができる。本発明で使用可能な分散剤について特別な制限はない。すなわち,比較的構造が単純で分子量の小さな分散剤だけでなく,ブロックコポリマーのような大きい分子量の分散剤も本発明のインク組成物では使われうる。
比較的分子量が小さくて構造が簡単な分散剤の具体的例としては,ポリビニルアルコール(PVA),セルロース系ポリマー,エチレンオキサイドに改質されたフェノール系ポリマー,エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドポリマー,ポリアクリル酸ナトリウム溶液(TEGO,DISPERSE
715W),変性ポリアクリル樹脂溶液(TEGO,DISPERSE 735W),低分子ポリカルボン酸ポリマーのアルキロールアンモニウム塩溶液(BYK−CHEMIE,DISPERBYK),多機能性ポリマーのアルキロールアンモニウム溶液(BYK−CHEMIE,DISPERBYK−181),またはそれらの混合物などを挙げられるが,必ずしもそれに限定されない。
構造が複雑で分子量の大きい分散剤の具体的な例としては,ポリエーテルシロキサン共重合体(TEGO,WET KL 245/WET 260)のようなシロキサン系列;ABまたはBAB構造の親水性ポリマー(この時,Aは,置換または非置換の炭素数が1〜30であるアクリル系モノマーの疎水性ホモポリマーまたはコポリマーであり,Bは,置換または非置換の炭素数が1〜30であるアクリル系モノマーの親水性ポリマーまたはコポリマーよりなる親水性ポリマーのABまたはBABポリマー)などを挙げられるが,必ずしもそれに限定されるものではない。前記構造が複雑で分子量の大きい分散剤のさらに具体的な例としては,アクリル酸/アクリレートコポリマー,メタクリル酸/メタクリレートコポリマー,アクリル酸/ポリジアルキルシロキサン/アクリレートブロックコポリマーまたはそれらの混合物などが使用できるが,必ずしもそれに限定されるものではない。
本発明の一具現例および他の具現例によるインク組成物において,前記分散剤の含有量は前記インク組成物100重量部を基準に1〜20重量部であることが望ましい。
粘度調節剤は円滑な噴射が維持されるようにインク組成物の粘度を調節する役割をする。その具体的な例としてカゼイン,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,カルボキシメチルセルロースなどを使用できる。粘度調節剤の含有量はインク組成物100重量部を基準に0.1〜5.0重量部であることが望ましい。
界面活性剤はインク組成物の表面張力を調節してノズルでのジェット性能を安定化させるためのものであるが,陰イオン性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤を使用することが望ましい。
前記陰イオン性界面活性剤の例としては,炭素数1〜1000のアルキルカルボン酸の塩(望ましくは炭素数10〜200のアルキルカルボン酸の塩),炭素数1〜1000のアルコールスルホン酸エステルの塩(望ましくは炭素数10〜200のアルコールスルホン酸エステルの塩),炭素数1〜1000のアルキルスルホン酸の塩(望ましくは,炭素数10〜200のアルキルスルホン酸の塩),炭素数1〜1000のアルキルベンゼンスルホン酸の塩(望ましくは,炭素数10〜200のアルキルベンゼンスルホン酸の塩),またはその混合物を挙げられる。
陽イオン性界面活性剤の例としては,脂肪酸アミン塩,4級アンモニウム塩,スルホン塩,ホスホニウム塩,それらの塩またはそれらの混合物を使用できる。
非イオン性界面活性剤の例としては,ポリオキシエチレンアルキルエーテル(但し,アルキルは炭素数1〜1000のアルキル基であり,望ましくは炭素数10〜200のアルキル基である),ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ただ,アルキルは炭素数1〜1000のアルキル基,望ましくは炭素数10〜200のアルキル基である),ポリオキシエチレン二次アルコールエーテル,ポリオキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー,ポリグリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,またはその混合物を挙げられる。
本発明の一具現例および他の具現例によるインク組成物において,前記界面活性剤の含有量は前記インク組成物100重量部を基準に0.1〜5重量部であることが望ましい。
湿潤剤はインク組成物がノズルで閉塞されることを防止するためのものであって,多価アルコールが望ましい。湿潤剤の具体的な例として,グリセリン,エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,へキシレングリコール,1,3−ブタンジオール,1,4−ブタンジオール,1,5−ペンタンジオール,2−ブテン−1,4−ジオール,2−メチル−2−ペンタンジオールおよびその混合物を挙げられる。
本発明の一具現例および他の具現例によるインク組成物において,前記湿潤剤の含有量は前記インク組成物100重量部を基準に5〜30重量部であることが望ましい。
一方,本発明の一具現例および他の具現例のインク組成物において,前記分散剤,粘度調節剤,界面活性剤,保存安定剤,湿潤剤,pH調節剤そして透過剤よりなる群から選択された一つ以上の添加剤の総含有量は,前記インク組成物100重量部を基準に0.5〜40重量部であることが望ましい。
以下,前記本発明の一具現例および他の具現例によるインク組成物の製造方法を説明する。
前記金属錯体着色剤および/または通常の着色剤をキャリア媒質に入れ,それに必要に応じて分散剤,粘度調節剤,界面活性剤などその他の添加物を混合した後,それを十分に攪拌して均一なインク組成物を製造する。その後,この組成物を0.45〜0.8μmのフィルタに通過させて濾過すれば,本発明によるインク組成物が最終的に得られる。
以下,本発明を下記実施例を挙げて詳細に説明するが,本発明が下記実施例に限定されるものではない。本発明はインクを中心に特性を評価したことを明らかにし,その評価の方法はインク以外にも,ウェットトナー,ドライトナー,塗料および/またはコーティング液に適用できる。以下,化学式1の金属錯体着色剤を適用した組成物に関する実施例の代表としてインクについてのみ記述するが,それは本発明の実施がインクにのみ限定されるものではないということを意味する。
<合成例1>
(1)500ml三角フラスコにACID RED 4(E−SONa)36.5g,DMSO 300ml,そして下記化学式4のアゾ化合物31.5gを入れて溶かした。これに沸騰石1〜2個を入れて濃硫酸30mlを徐々に滴下した後,還流冷却機に連結して80℃で8時間以上十分に反応させた。この反応液を室温に冷却させた後,過量のメタノールを加えて生じた結晶を吸入濾過器で濾過させた。未反応物を除去するために前記結晶をDMSOに再び溶かした後,メタノールを加えて生じた結晶を同様に吸入濾過器で濾過し,オーブンで乾燥させて下記化学式5の着色剤42.6gを得た。
(2)(1)で得た化学式5の着色剤34.2gとアンモニア水溶液(30%)13gとを400mlのエチレングリコールに入れ,ここにCo(CHCOO)・4HO 13gを添加した後,100℃で十分に攪拌した。この反応液に熱湯400mlとアンモニウムクロライド50gとを入れた後に沈殿させ,濾過,洗浄後にオーブンで乾燥させて金属錯体着色剤28gを得た。
Figure 2005060698
Figure 2005060698
<合成例2>
(1)500ml三角フラスコにDMSO 100ml,そして下記化学式6のアゾ化合物21.2gを加えて溶解した。ここにSOCl 14.8gを入れて室温で1時間以上反応させて溶液(A)を得た。
DMSO 200mlにC.I.PIGMENT RED 177(E−NH) 478gを溶かした溶液を前記溶液(A)に入れて沸騰石1〜2個を入れた後,還流冷却機に連結して80℃で6時間以上十分に反応させた。この反応液を室温に冷却させた後,過量のメタノールを加えて生じた結晶を吸入濾過器で濾過した。未反応物を除去するために,前記結晶をDMSOに再び溶かした後にメタノールを加えて生じた結晶を同様に吸入濾過器で濾過し,かつオーブンで乾燥させて下記化学式7の着色剤45.0gを得た。
(2)トルエン500mlにアンモニア20gを入れ,それに8.5gのCuCl・2HOを入れて溶かした。この溶液に(1)で得た化学式7の着色剤31.5gを添加し,かつ80℃に加熱して十分に攪拌した後,35gの塩化アンモニウムと熱湯150mlとを加えた。ここにNaClを添加して沈殿させた後に濾過し,かつオーブンで乾燥させて金属錯体着色剤23.7gを得た。
Figure 2005060698
Figure 2005060698
<合成例3>
(1)500ml三角フラスコにDIRECT BLACK 51(E−COOH)41.3g,DMSO 300ml,そして下記化学式8のアゾ化合物25.0gを入れて溶かした。それに沸騰石1〜2個を入れて濃硫酸30mlを徐々に滴下した後,還流冷却機に連結して80℃で8時間以上十分に反応させた。この反応液を室温に冷却させた後,過量のメタノールを加えて生じた結晶を吸入濾過器で濾過した。未反応物を除去するために前記結晶をDMSOに再び溶かした後,メタノールを加えて生じた結晶を同様に吸入濾過器で濾過し,かつオーブンで乾燥させて下記化学式9の着色剤42.2gを得た。
(2)(1)で得た化学式9の着色剤33.3gを水150mlに溶かし,それにCrCl・6HO 10.7gを添加した。この溶液をpH3で6時間以上還流させた後に反応液をpH6に処理して沈殿させ,その沈殿物を濾過,洗浄して金属錯体着色剤25.5gを得た。
Figure 2005060698
Figure 2005060698
<合成例4>
(1)前記化学式8のアゾ化合物25.0gの代わりに化学式6のアゾ化合物23.2gを利用し,DIRECT BLACK 51(E−COOH)41.3gの代わりにDIRECT BLACK 168(E−OH)73.1gを利用したことを除いては,前記合成例3の(1)と同じ方法で実験して下記化学式10の着色剤54.3gを得た。
(2)水500mlにアンモニア20gを入れ,それに6.8gのCuCl・2HOを入れて溶かした。この溶液に(1)から得た化学式10の着色剤32.4gを添加して80℃に加熱して十分に攪拌した後,35gの塩化アンモニウムおよび熱湯150mlを加えた。それにNaClを添加して沈殿させた後,濾過してオーブンで乾燥させて金属錯体着色剤27.5gを得た。
Figure 2005060698
<合成例5>
(1)500ml三角フラスコにDMSO 200ml,下記化学式11のアゾ化合物26.7gを溶かし,それにPIGMENT RED 177(E−NH) 41.3gを入れて120℃で12時間以上反応させ,反応液を濃縮させた。この濃縮液をエーテルに溶かした後,蒸溜水で数回洗浄しかつ抽出して得たエーテル層を再び濃縮して下記化学式12の着色剤43.2gを得た。
(2)(1)で得た化学式12の着色剤36.9gおよびCo(CHCOO)・4HO 13.2gを利用して前記合成例1の(2)と同じ方法で実験して金属錯体着色剤29.6gを得た。
Figure 2005060698
Figure 2005060698
<合成例6>
(1)化学式6のアゾ化合物21.2gの代わりに下記化学式13のアゾ化合物41.4gを利用し,C.I.PIGMENT RED 177(E−NH)47.8gの代わりにDIRECT BLACK 51(E−NH)34.4gを利用したことを除いては,前記合成例3の(1)と同じ方法で実験して下記化学式10の着色剤54.3gを得た。
(2)(1)で得た化学式14の着色剤34.2gを水150mlに溶かし,それにCrCl・6HO 9.2gを添加した。この溶液をpH3で6時間以上還流させた後に反応液をpH6に処理して沈殿させ,この沈殿物を濾過,洗浄して金属錯体着色剤26.0gを得た。
Figure 2005060698
Figure 2005060698
<実施例1>
インク組成
前記合成例1(2)の金属錯体着色剤 4g
水 77g
イソプロピルアルコール 3g
エチレングリコール 10g
グリセリン 6g
前記成分を混合して攪拌機で30分以上十分に攪拌して均一な状態にした。その後,結果物を0.45μmのフィルタに通過させて目的とする本発明の金属錯体着色剤を含むインク組成物を製造した。
<実施例2>
前記実施例1で合成例1(2)の金属錯体着色剤の代りに合成例2(2)の金属錯体着色剤を使用して実施例1と同じ方法でインク組成物を製造した。但し,分散剤としてTEGO DISPERSE 750W 3.0gを添加し,その代わりに水量は74gに減らし,インク組成物は0.8μmのフィルタに通過させて得た。
<実施例3>
前記実施例1で,合成例1(2)の金属錯体着色剤の代わりに合成例3(2)の金属錯体着色剤を使用したことを除いては実施例1と同じ方法でインク組成物を製造した。
<実施例4>
前記実施例1で,合成例1(2)の金属錯体着色剤の代わりに合成例4(2)の金属錯体着色剤を使用したことを除いては実施例1と同じ方法でインク組成物を製造した。
<実施例5>
前記実施例1で合成例1(2)の金属錯体着色剤の代りに合成例5(2)の金属錯体着色剤を使用して実施例1と同じ方法でインク組成物を製造した。但し,分散剤としてTEGO DISPERSE 750W 3.0gを添加し,その代わりに水量は74gに減らし,インク組成物は0.8μmのフィルタに通過させて得た。
<実施例6>
前記実施例1で,合成例1(2)の金属錯体着色剤の代わりに合成例6(2)の金属錯体着色剤を使用したことを除いては実施例1と同じ方法でインク組成物を製造した。
<比較例1>
前記実施例1で,合成例1(2)の金属錯体着色剤の代りにACID RED 4を使用したことを除いては実施例1と同じ方法でインク組成物を製造した。
<比較例2>
前記比較例1で,ACID RED 4の代わりにPIGMENT RED 177を使用して0.8μmのフィルタを使用したことを除いては比較例1と同じ方法でインク組成物を製造した。
<比較例3>
前記比較例1で,ACID RED 4の代わりにDIRECT BLACK 51を使用したことを除いては比較例1と同じ方法でインク組成物を製造した。
<比較例4>
前記比較例1で,ACID RED 4の代わりにDIRECT BLACK 168を使用したことを除いては比較例1と同じ方法でインク組成物を製造した。
前記実施例および比較例によって製造されたインク組成物の特性を下記方法によって評価した。
<実験例1>長期保存安定性テスト
前記実施例1〜6および比較例1〜4で得られたインク組成物を耐熱性ガラス瓶にそれぞれ100mlずつ入れて密封した後,60℃の恒温槽に保存した。それを2ケ月間放置した後,底の沈殿有無を確認して次のように評価し,その結果を表1に表した。
Figure 2005060698
前記表1を参照すれば,本発明の金属錯体着色剤を使用して得られたインク組成物である実施例1〜6の場合,通常の着色剤を使用した比較例1〜4の場合と同様に沈殿形成が観察されず,保存安定性に優れたことが分かる。
<実験例2>耐光性テスト
実施例1〜6および比較例1〜4で得られたインク組成物を三星インクカートリッジ(三星電子株式会社製)に入れて2cm×2cmのソリッドパターンを印刷した後,それをQ−SUN ゼノンテストチャンバで100時間光露出させた後,テスト前後のOD値変化を測定して次のように評価し,その結果を次の表2に表した。
Figure 2005060698
表2を参照すれば,本発明の金属錯体着色剤を使用して得られたインク組成物である実施例1〜6の場合,通常の着色剤を使用した比較例1〜4と比較して耐光性に優れたことから,着色剤が金属錯体を形成することによって耐光性が強化されたことが確認できる。
<実験例3>耐水性テスト
実施例1〜6および比較例1〜4で得られたインク組成物を使用して前記実験例2と同じ方法でソリッドパターンを印刷して1時間乾燥させた後,その画像を蒸溜水が満たされた容器に5分間浸漬してから取り出して乾燥させた。蒸溜水に浸漬する前後の前記画像のOD値変化を測定して次の通り評価し,その結果を次の表3に表した。
Figure 2005060698
表3を参照すれば,本発明の金属錯体着色剤を使用して得られたインク組成物の実施例1〜6の場合,通常の着色剤を使用した比較例1〜4と比較して耐水性に優れたことから,着色剤が金属錯体を形成することによって耐水性が強化されたことが確認できる。
以上,本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は金属錯体着色剤および着色用組成物に係り,より詳細には多様な色相具現が可能であり,耐光性および耐水性などの堅牢度が向上した,アゾモイエティを含む金属錯体着色剤および着色用組成物に利用可能である。そして,本発明の金属錯体着色剤はその用途が特別に制限されず,繊維,食品,医薬品,化粧品,塗料,インク,窯業など色を表そうとするあらゆる分野で使用できる。

Claims (18)

  1. 下記化学式1の金属錯体着色剤:
    Figure 2005060698
    化学式1中,COLORANTは着色剤を意味し,AおよびAはそれぞれ独立的に少なくとも一つ以上の二重結合を持つ炭素原子数2〜30個の置換または非置換のアルケニレン基を含有し,かつアゾ基と共役が形成されたモイエティであり,XおよびXはヒドロキシ基,炭素数1〜4のアルコキシ基,カルボキシル基および置換または非置換のアミノ基よりなる群から選択され,Mは多価転移金属を表し,Lは中性または陰イオン性リガンドを表し,nは1〜3の整数であり,Jはリンカーを表す。
  2. 前記化学式1の金属錯体着色剤が下記化学式2または3の化合物であることを特徴とする,請求項1に記載の金属錯体着色剤:
    Figure 2005060698
    化学式2中,COLORANTは着色剤を意味し,J,X,X,M,Lおよびnは前記定義した通りであり,Rは炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキレン基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキレン基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のアルケニレン基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のヘテロアルケニレン基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリーレン基,および炭素原子数6〜30の置換または非置換のヘテロアリーレン基よりなる群から選択され,X,XおよびRはそれぞれ独立的に水素,ハロゲン原子,ヒドロキシ基,カルボキシル基,置換または非置換のアミノ基,スルホン酸基,燐酸基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のアルケニル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のヘテロアルケニル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数6〜30の置換または非置換のヘテロアリーレン基よりなる群から選択される。
    Figure 2005060698
    化学式3中,COLORANTは着色剤を意味し,X,X,M,J,Lおよびnは前記定義した通りであり,QおよびQはそれぞれ独立的に少なくとも一つ以上の二重結合を含む炭素原子数2〜20の置換または非置換のシクロアルケニレン基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリーレン基,炭素原子数2〜30の置換または非置換のヘテロシクロアルケニレン基,および炭素原子数4〜30の置換または非置換のヘテロアリーレン基よりなる群から選択され。Yは−O−,−S−,−P−,置換または非置換のアミノ基,スルホン酸基,燐酸基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のアルケニル基,炭素原子数2〜20の置換または非置換のヘテロアルケニル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数6〜30の置換または非置換のヘテロアリーレン基よりなる群から選択される。
  3. 前記多価転移金属が銀,アルミニウム,金,セリウム,コバルト,クロム,銅,ユウロピウム,鉄,ポタシウム,ゲルマニウム,インジウム,ランタン,マンガン,ニッケル,パラジウム,白金,ロジウム,ルテニウム,スカンジウム,シリコン,サマリウム,チタン,ウラン,亜鉛およびジルコニウムよりなる群から選択されたことを特徴とする,請求項1または2に記載の金属錯体着色剤。
  4. 前記中性リガンドがアンモニア,水,トリフェニルホスフィン,*NHR''NH*(R''は炭素数1〜20の置換または非置換のアルキレン基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキレン基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリーレン基,炭素原子数4〜30の置換または非置換のヘテロアリーレン基,および炭素原子数4〜30の置換または非置換のヘテロアリーレン基よりなる群から選択される),2,2’−ビピリジン,1,10−フェナントロリンおよび2,2’,2''−テルピリジンよりなる群から選択されたことを特徴とする,請求項1または2に記載の金属錯体着色剤。
  5. 前記陰イオン性リガンドがハロゲン原子イオン(F,Cl,Br,I),R''−NO*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール,および炭素原子数4〜30の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキルカルボキシレートイオン(例:アセテート,トリフルオロアセテート),R''CN*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),−(CHCHO)−(Zは1〜50の数である),R''OO*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),R''O*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),R''SCN*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),R''N*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),R''CO*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される),およびR''SO*(R''は炭素原子数1〜20の置換または非置換のアルキル基,炭素原子数1〜20の置換または非置換のヘテロアルキル基,炭素原子数6〜30の置換または非置換のアリール基,および炭素原子数4〜20の置換または非置換のヘテロアリール基よりなる群から選択される)よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする,請求項1または2に記載の金属錯体着色剤。
  6. 前記リンカーが−O−,−NR−,−N=N−,−S−,−P−,−C(=O)−NR−,−NR−C(=O)−,−S(=O)(=O)O−,−C(=O)O−,−O−C(=O)−,−P(=O)O−,−C(=O)−O−C(=O)−,−C(=O)−S−C(=O)−,−C(=O)−NR−C(=O)−,−C(=N)−O−C(=N)−,−C(=S)−O−C(=S)−,−C(=N)−NR−C(=N)−,−C(=S)−NR−C(=S)−,−C(=N)−S−C(=N)−,−C(=S)−S−C(=S)−,単一結合および二重結合(式中,Rは水素または炭素原子数1〜4の置換または非置換のアルキル基を表す)よりなる群から選択されたことを特徴とする,請求項1または2に記載の金属錯体着色剤。
  7. 請求項1または2による金属錯体着色剤,およびキャリア媒質を含むことを特徴とする着色用組成物。
  8. 前記着色用組成物100重量部を基準に前記金属錯体着色剤が1〜20重量部であることを特徴とする,請求項7に記載の着色用組成物。
  9. 前記キャリア媒質が水または有機溶媒を単独で使用するか,または水と1種以上の有機溶媒とを混合して使用することを特徴とする,請求項7に記載の着色用組成物。
  10. 前記キャリア媒質が水と有機溶媒との混合物である場合,キャリア媒質中の有機溶媒の含有量がキャリア媒質100重量部を基準に5〜50重量部であることを特徴とする,請求項9に記載の着色用組成物。
  11. 前記有機溶媒がメチルアルコール,エチルアルコール,n−プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,n−ブチルアルコール,sec−ブチルアルコール,t−ブチルアルコールまたはイソブチルアルコールのアルコール化合物;アセトン,メチルエチルケトン,ジエチルケトンまたはジアセトンアルコールの脂肪族ケトン化合物;メチルアセテート,エチルアセテートまたはエチルラクテートのエステル化合物;エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,プロピレングリコール,ブチレングリコール,1,4−ブタンジオール,1,2,4−ブタントリオール,1,5−ペンタンジオール,1,2,6−へキサントリオール,へキシレングリコール,グリセロール,グリセロールエトキシレートまたはトリメチロールプロパンエトキシレートの多価アルコール化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル,ジエチレングリコールメチルエーテル,ジエチレングリコールエチルエーテル,トリエチレングリコールモノメチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノエチルエーテルのエーテル化合物;2−ピロリドンまたはN−メチル−2−ピロリドンの含窒素化合物;およびジメチルスルホキシド,テトラメチレンスルホンまたはチオグリコールの含硫黄化合物よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする,請求項9または10に記載の着色用組成物。
  12. 分散剤,粘度調節剤,界面活性剤,保存安定剤,および湿潤剤よりなる群から選択された一つ以上の添加剤を前記着色用組成物100重量部を基準に0.5〜40重量部さらに含むことを特徴とする,請求項7に記載の着色用組成物。
  13. 着色剤と,
    請求項1または2による金属錯体着色剤よりなる群から選択された一つ以上の金属錯体着色剤と,
    キャリア媒質と,
    を含むことを特徴とする着色用組成物。
  14. 前記着色用組成物100重量部を基準に前記着色剤の含有量が1〜15重量部であり,前記金属錯体着色剤の含有量が1〜15重量部であり,前記着色剤および前記金属錯体着色剤の総含有量が前記着色用組成物100重量部を基準に2〜20重量部であることを特徴とする,請求項13に記載の着色用組成物。
  15. 前記キャリア媒質が水または1種以上の有機溶媒を単独で使用するか,または水と1種以上の有機溶媒とを混合して使用することを特徴とする,請求項14に記載の着色用組成物。
  16. 前記キャリア媒質中の有機溶媒の含有量がキャリア媒質100重量部を基準に5〜50重量部であることを特徴とする,請求項15に記載の着色用組成物。
  17. 前記有機溶媒がメチルアルコール,エチルアルコール,n−プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,n−ブチルアルコール,sec−ブチルアルコール,t−ブチルアルコールまたはイソブチルアルコールのアルコール化合物;アセトン,メチルエチルケトン,ジエチルケトンまたはジアセトンアルコールの脂肪族ケトン化合物;メチルアセテート,エチルアセテートまたはエチルラクテートのエステル化合物;エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,プロピレングリコール,ブチレングリコール,1,4−ブタンジオール,1,2,4−ブタントリオール,1,5−ペンタンジオール,1,2,6−へキサントリオール,へキシレングリコール,グリセロール,グリセロールエトキシレートまたはトリメチロールプロパンエトキシレートの多価アルコール化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル,ジエチレングリコールメチルエーテル,ジエチレングリコールエチルエーテル,トリエチレングリコールモノメチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノエチルエーテルのエーテル化合物;2−ピロリドンまたはN−メチル−2−ピロリドンの含窒素化合物;およびジメチルスルホキシド,テトラメチレンスルホンまたはチオグリコールの含硫黄化合物よりなる群から選択されたことを特徴とする,請求項15または16に記載の着色用組成物。
  18. 前記組成物が分散剤,粘度調節剤,界面活性剤,保存安定剤,および湿潤剤よりなる群から選択された一つ以上の添加剤を前記着色用組成物100重量部を基準に0.5〜40重量部さらに含むことを特徴とする,請求項13に記載の着色用組成物。
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