JP5701560B2 - キノフタロン系化合物及び着色組成物 - Google Patents

キノフタロン系化合物及び着色組成物 Download PDF

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Description

本発明は、黄色の新規なキノフタロン系化合物、ならびにそれを含有する着色組成物に関する。さらに詳しくは、カラーフィルタ、インクジェットプリンタ、カラートナー用途などに使用可能な新規な黄色化合物、及びそれを含有する着色組成物に関する。
これまでに種々の顔料が開発されている。例えば、アントラキノン、ペリレン、ペリノン等は比較的早い段階で開発が行われていた。次いでジオキサジン、キナクリドン等の開発が行われ、近年ではキノフタロン、ジケトピロロピロール、メチン系顔料等の開発が行われている。
これらの顔料の中で、キノフタロンは特に黄色の顔料として開発されたものであり、キナルジンと無水フタル酸との縮合により合成される鮮明な黄色化合物である。この化合物は、特に耐光性と耐溶剤性を向上させる為の研究が行われ、有機顔料として広く使用されている(特許文献1)。
一般に、顔料に要求される性質としては、着色力、鮮明性、色相等の色彩的特性、耐光性、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐マイグレーション性等の耐久性及び分散性、流動性等が挙げられる。これらの要求特性のうち色彩的特性及び耐久性は顔料の品質に直接影響する性質であり、特に重要である。例えば、顔料をプラスチック着色剤として用いる場合は、製品の製造工程において、顔料分散剤として用いられる金属塩と顔料が相互作用することにより、顔料が色相変化を示すことがあり、この様な観点からも、顔料に対しては耐久性、特に熱性性が要求されている。
通常、インキや塗料において用いられている顔料の着色力や鮮明性は、顔料粒子の性状と密接な関係にある。例えば、顔料粒子は、一次粒子の凝集体を形成し、一次粒子が微細であるほど顔料の着色力は高くなり、かつ鮮明性も高くなることが知られている。従って、顔料の着色力、鮮明性を向上させるには一次粒子の凝集体をより微細な粒子状態にする必要がある。
一方、顔料粒子は微細化するに従い、粒子間での凝集が起こり易くなるので、顔料粒子を微細化した状態で安定に分散させる必要がある。しかしながら、実際には、安定な分散体を調製することは困難であることが多く、インキや塗料などの品質に対して影響を及ぼすことがある。
また、顔料の微細粒子を含む分散体は往々にして結晶化により顔料の凝集を示し、その結果、ヘイズ値が大きくなり顔料本来の鮮やかさを失ってしまうことも知られている。
例えば、従来のカラーフィルタは一般に、顔料と分散安定剤、さらには分散助剤を組み合わせることで、顔料の有機溶媒中の分散安定性を向上させ、顔料インキの安定性を維持させていた。しかしながら、近年のカラー液晶表示装置の普及に伴い、カラーフィルタは、従来以上のカラー表示性能(例えば、色濃度、光透過性やコントラスト比など)を向上させることが要求され、そのために、画素の性能を改良する目的で、顔料の粒子径をさらに小さくする(超微粒子化)傾向になっている。その結果、超微粒子化した顔料を安定に分散するために、分散安定剤や分散助剤の使用量をそれに合わせて増加せざるを得なくなり、結果として、カラーフィルタとして要求される画素の色の高濃度化、高精細性、高コントラスト性などの光学的要求特性に対応させるために、前記顔料インキの性状を維持することが非常に困難になってきている。
以上のような問題点を克服するため、様々な検討が行われてきた。顔料の骨格、あるいはそれに類似の化学構造を有する誘導体を使用する試みもその一つである。例えば、顔料骨格に酸性基や塩基性基、フタルイミドメチル基などの官能基を導入した顔料誘導体や、樹脂の一部に顔料骨格を結合した顔料誘導体など、様々な構造が開示されており、分散剤や粒子成長防止剤、結晶転移防止剤などの用途に古くから用いられている。
これらのうち、キノフタロン構造においては、スルホン酸基、カルボキシル基、アルキルアミノ基、含窒素複素環基等の特定の官能基を導入する方法が提案されており(特許文献2〜8)、キノフタロン系顔料のスルホン酸二価金属塩も提案されている(特許文献9)。
しかしながら、何れの提案も分散状態の改善効果をもたらすものであるが、顔料粒子のさらなる微細化、及びそれに伴う特性及び安定性の点では、優れた効果をもたらすとは言えず、より有効な手段が望まれている。
特公昭47−3476号公報 特表2004−501911号公報 特開2002−179979号公報 特開2004−67715号公報 特開2001−335711号公報 特開2002−121457号公報 特開2003−167112号公報 特開2002−121418号公報 特開2004−292785号公報
本発明の課題は、着色力、鮮明性、色相等の色彩的特性、耐光性、耐熱性等の耐久性に優れた黄色化合物を提供することである。ならびに、該黄色化合物を含むことで、顔料分散時の凝集を改善し、経時安定性が良好であるという諸特性を有する着色組成物を提供することである。
本発明者等は、有機顔料としてのキノフタロンに関し鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(i)下記一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物、
Figure 0005701560
〔式中、R1〜R5、及びR9〜R13は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基を表す。R6〜R8、及びR14〜R16は、互いに独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基を表す。Aは、二価の有機残基を表す。〕
(ii)二価の有機残基が、置換または未置換のフェニレン基、直鎖状または分岐状アルキレン基、脂環式アルキレン基、または下記一般式(2)で示される基から選択される基である上記(i)のキノフタロン系化合物、
Figure 0005701560
〔式中、R21又はR22は、それぞれ独立に水素原子、置換基としてハロゲン原子を有しても良い炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子を表し、Bは、メチレン基[−CH2−]、エチリデン基[−CH(CH3)−]、イソプロピリデン基[−C(CH3)2−]、または酸素原子を表す。なお、(+)は結合位置を示す。〕
(iii)上記(i)のキノフタロン系化合物を含有する着色組成物、
(iv)上記(i)のキノフタロン系化合物以外の着色顔料をさらに配合してなる(iii)の着色組成物。
(v)上記(i)のキノフタロン系化合物が顔料分散剤として配合されてなる(iii)又は(iv)の着色組成物。
さらに、
(vi)上記(i)のキノフタロン系化合物を用いたカラーフィルタ、
(vii)上記(i)のキノフタロン系化合物以外の着色顔料をさらに配合してなる(vi)のカラーフィルタに関するものである。
本発明により、従来の黄色顔料と比較して、色鮮明性、着色性、熱安定性、耐光性、耐熱性に優れた黄色のキノフタロン系化合物を提供することが可能となった。また、本発明のキノフタロン系化合物を含有することにより、顔料分散時の凝集を改善し、経時安定性が良好であるという諸特性を有する黄色の着色組成物を提供することが可能になった。又、該化合物を顔料分散剤として用いることで、顔料の微細化や、かつ分散時の凝集問題に対してより高い改善効果が得られ、透明性、着色力が高く、保存安定性の良好な着色組成物を調製することも可能となった。
さらに、本発明のキノフタロン系化合物を含有する着色組成物を用いることにより、高品質で安定性の高い、カラーフィルタ、インクジェットプリンタ、カラートナーなどに使用可能な着色組成物を提供することが可能となった。
本発明者等は、前記した課題を鋭意検討した結果、有機残基で2個のキノフタロン骨格を連結した構造をもつ新規なキノフタロン系化合物により解決できることを発見し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明に関し詳細に説明する。
<キノフタロン系化合物>
本発明のキノフタロン系化合物は、一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0005701560
〔式中、R1〜R5、及びR9〜R13は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基を表す。R6〜R8、及びR14〜R16は、互いに独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアルコキシ基、置換または未置換のアルキルチオ基を表す。Aは、二価の有機残基を表す。〕

尚、本明細書において、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素環式芳香族基、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基などの複素環式芳香族基を表す。
(置換基R1〜R5、R9〜R13)
一般式(1)で表される化合物において、R1〜R5、及びR9〜R13は、好ましくは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜24の置換または未置換のアルキル基、炭素数1〜24の置換または未置換のアルコキシ基、炭素数4〜30の置換または未置換のアリール基、炭素数4〜30の置換または未置換のアリールオキシ基、炭素数1〜24の置換または未置換のアルキルチオ基、炭素数4〜30の置換または未置換のアリールチオ基を表す。

R1〜R5、及びR9〜R13は、より好ましくは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜12の置換または未置換のアルキル基、炭素数1〜12の置換または未置換のアルコキシ基、炭素数6〜18の置換または未置換のアリール基、炭素数6〜18の置換または未置換のアリールオキシ基、炭素数1〜12の置換または未置換のアルキルチオ基、炭素数6〜18の置換または未置換のアリールチオ基である。

R1〜R5、及びR9〜R13は、さらに好ましくは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、臭素原子、炭素数1〜6の置換または未置換のアルキル基、炭素数1〜6の置換または未置換のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換または未置換のアリール基、炭素数6〜12の置換または未置換のアリールオキシ基、炭素数1〜6の置換または未置換のアルキルチオ基、炭素数6〜12の置換または未置換のアリールチオ基である。
一般式(1)におけるR1〜R5、及びR9〜R13の具体例を以下に示す。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。

未置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、n−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、n−ノニル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、1−エチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、1−ヘキシルヘプチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、1−ヘプチルオクチル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、1−オクチルノニル基、n−オクタデシル基、1−ノニルデシル基、1−デシルウンデシル基、n−エイコシル基、n−ドコシル基、n−テトラコシル基、1−アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基などの炭素原子と水素原子のみからなる直鎖、分岐または環状のアルキル基が挙げられる。
置換基を有するアルキル基の具体例としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−ブトキシメチル基、n−ヘキシルオキシメチル基、(2−エチルブチルオキシ)メチル基、n−オクチルオキシメチル基、n−デシルオキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロポキシエチル基、2−イソプロポキシエチル基、2−n−ブトキシエチル基、2−n−ペンチルオキシエチル基、2−n−ヘキシルオキシエチル基、2−(2'−エチルブチルオキシ)エチル基、2−n−ヘプチルオキシエチル基、2−n−オクチルオキシエチル基、2−(2'−エチルヘキシルオキシ)エチル基、2−n−デシルオキシエチル基、2−n−ドデシルオキシエチル基、2−n−テトラデシルオキシエチル基、2−シクロヘキシルオキシエチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−n−プロポキシプロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、3−(n−ブトキシ)プロピル基、3−(n−ペンチルオキシ)プロピル基、3−(n−ヘキシルオキシ)プロピル基、3−(2'−エチルブトキシ)プロピル基、3−(n−オクチルオキシ)プロピル基、3−(2'−エチルヘキシルオキシ)プロピル基、3−(n−デシルオキシ)プロピル基、3−(n−ドデシルオキシ)プロピル基、3−(n−テトラデシルオキシ)プロピル基、3−シクロヘキシルオキシプロピル基、4−メトキシブチル基、4−エトキシブチル基、4−n−プロポキシブチル基、4−イソプロポキシブチル基、4−n−ブトキシブチル基、4−n−ヘキシルオキシブチル基、4−n−オクチルオキシブチル基、4−n−デシルオキシブチル基、4−n−ドデシルオキシブチル基、5−メトキシペンチル基、5−エトキシペンチル基、5−n−プロポキシペンチル基、6−エトキシヘキシル基、6−イソプロポキシヘキシル基、6−n−ブトキシヘキシル基、6−n−ヘキシルオキシヘキシル基、6−n−デシルオキシヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、7−エトキシヘプチル基、7−イソプロポキシヘプチル基、8−メトキシオクチル基、10−メトキシデシル基、10−n−ブトキシデシル基、12−エトキシドデシル基、12−イソプロポキシドデシル基、テトラヒドロフルフリル基などの、アルキルオキシ基を有するアルキル基。
例えば、(2−メトキシエトキシ)メチル基、(2−エトキシエトキシ)メチル基、(2−n−ブチルオキシエトキシ)メチル基、(2−n−ヘキシルオキシエトキシ)メチル基、(3−メトキシプロピルオキシ)メチル基、(3−エトキシプロピルオキシ)メチル基、(3−n−ブチルオキシプロピルオキシ)メチル基、(3−n−ペンチルオキシプロピルオキシ)メチル基、(4−メトキシブチルオキシ)メチル基、(6−メトキシヘキシルオキシ)メチル基、(10−エトキシデシルオキシ)メチル基、2−(2’−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2’−エトキシエトキシ)エチル基、2−(2’−n−ブトキシエトキシ)エチル基、3−(2’−エトキシエトキシ)プロピル基、3−(2’−メトキシプロピルオキシ)プロピル基、3−(2’−イソプロピルオキシプロピルオキシ)プロピル基、3−(3’−メトキシプロピルオキシ)プロピル基、3−(3’−エトキシプロピルオキシ)プロピル基などの、アルキルオキシアルキルオキシ基を有するアルキル基。
例えば、ベンジルオキシメチル基、2−ベンジルオキシエチル基、2−フェネチルオキシエチル基、2−(4'−メチルベンジルオキシ)エチル基、2−(2'−メチルベンジルオキシ)エチル基、2−(4'−フルオロベンジルオキシ)エチル基、2−(4'−クロロベンジルオキシ)エチル基、3−ベンジルオキシプロピル基、3−(4'−メトキシベンジルオキシ)プロピル基、4−ベンジルオキシブチル基、2−(ベンジルオキシメトキシ)エチル基、2−(4'−メチルベンジルオキシメトキシ)エチル基などの、アラルキルオキシ基を有するアルキル基。
例えば、フェニルオキシメチル基、4−メチルフェニルオキシメチル基、3−メチルフェニルオキシメチル基、2−メチルフェニルオキシメチル基、4−メトキシフェニルオキシメチル基、4−フルオロフェニルオキシメチル基、4−クロロフェニルオキシメチル基、2−クロロフェニルオキシメチル基、2−フェニルオキシエチル基、2−(4'−メチルフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−エチルフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−メトキシフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−クロロフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−ブロモフェニルオキシ)エチル基、2−(1'−ナフチルオキシ)エチル基、2−(2'−ナフチルオキシ)エチル基、3−フェニルオキシプロピル基、3−(2'−ナフチルオキシ)プロピル基、4−フェニルオキシブチル基、4−(2'−エチルフェニルオキシ)ブチル基、5−(4'−tert−ブチルフェニルオキシ)ペンチル基、6−(2'−クロロフェニルオキシ)ヘキシル基、8−フェニルオキシオクチル基、10−フェニルオキシデシル基、10−(3'−クロロフェニルオキシ)デシル基、2−(2'−フェニルオキシエトキシ)エチル基、3−(2'−フェニルオキシエトキシ)プロピル基、4−(2'−フェニルオキシエトキシ)ブチル基などの、アリールオキシ基を有するアルキル基。
例えば、n−ブチルチオメチル基、n−ヘキシルチオメチル基、2−メチルチオエチル基、2−エチルチオエチル基、2−n−ブチルチオエチル基、2−n−ヘキシルチオエチル基、2−n−オクチルチオエチル基、2−n−デシルチオエチル基、3−メチルチオプロピル基、3−エチルチオプロピル基、3−n−ブチルチオプロピル基、4−エチルチオブチル基、4−n−プロピルチオブチル基、4−n−ブチルチオブチル基、5−エチルチオペンチル基、6−メチルチオヘキシル基、6−エチルチオヘキシル基、6−n−ブチルチオヘキシル基、8−メチルチオオクチル基などのアルキルチオ基を有するアルキル基。
例えば、フルオロメチル基、3−フルオロプロピル基、6−フルオロヘキシル基、8−フルオロオクチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−プロピル基、1,1,3−トリヒドローパーフルオローn−プロピル基、2−ヒドロ−パーフルオロ−2−プロピル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ブチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ペンチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ヘキシル基、6−フルオロヘキシル基、4−フルオロシクロヘキシル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−オクチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−デシル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ドデシル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−テトラデシル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ヘキサデシル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル基、ジクロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、4−クロロシクロヘキシル基、7−クロロヘプチル基、8−クロロオクチル基、2,2,2−トリクロロエチル基などのハロゲン原子を有するアルキル基。
例えば、フルオロメチルオキシメチル基、3−フルオロ−n−プロピルオキシメチル基、6−フルオロ−n−ヘキシルオキシメチル基、トリフルオロメチルオキシメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチルオキシメチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−プロピルオキシメチル基、2−ヒドロ−パーフルオロ−2−プロピルオキシメチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ブチルオキシメチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ペンチルオキシメチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ヘキシルオキシメチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−オクチルオキシメチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−デシルオキシメチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−テトラデシルオキシメチル基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピルオキシメチル基、3−クロロ−n−プロピルオキシメチル基、2−(8−フルオロ−n−オクチルオキシ)エチル基、2−(1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチルオキシ)エチル基、2−(1,1,3−トリヒドローパーフルオローn−プロピルオキシ)エチル基、2−(1,1−ジヒドローパーフルオローn−ペンチルオキシ)エチル基、2−(6−フルオロ−n−ヘキシルオキシ)エチル基、2−(1,1−ジヒドローパーフルオローn−オクチルオキシ)エチル基、3−(4−フルオロシクロヘキシルオキシ)プロピル基、3−(1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチルオキシ)プロピル基、3−(1,1−ジヒドローパーフルオローn−ドデシルオキシ)プロピル基、4−(パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ)ブチル基、4−(1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチルオキシ)ブチル基、6−(2−クロロエチルオキシ)ヘキシル基、6−(1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチルオキシ)ヘキシル基などの、ハロゲノアルキルオキシ基を有するアルキル基。
例えば、フェニルオキシメチル基、4−メチルフェニルオキシメチル基、3−メチルフェニルオキシメチル基、2−メチルフェニルオキシメチル基、4−エチルフェニルオキシメチル基、4−n−プロピルフェニルオキシメチル基、4−n−ブチルフェニルオキシメチル基、4−tert−ブチルフェニルオキシメチル基、4−n−ヘキシルフェニルオキシメチル基、4−n−オクチルフェニルオキシメチル基、4−n−デシルフェニルオキシメチル基、4−メトキシフェニルオキシメチル基、4−エトキシフェニルオキシメチル基、4−ブトキシフェニルオキシメチル基、4−n−ペンチルオキシフェニルオキシメチル基、4−フルオロフェニルオキシメチル基、3−フルオロフェニルオキシメチル基、2−フルオロフェニルオキシメチル基、3,4−ジフルオロフェニルオキシメチル基、4−クロロフェニルオキシメチル基、2−クロロフェニルオキシメチル基、4−フェニルフェニルオキシメチル基、1−ナフチルオキシメチル基、2−ナフチルオキシメチル基、2−フリルオキシメチル基、1−フェニルオキシエチル基、2−フェニルオキシエチル基、2−(4’−メチルフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−エチルフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−n−ヘキシルフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−メトキシフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−n−ブトキシフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−フルオロフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−クロロフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−ブロモフェニルオキシ)エチル基、2−(1’−ナフチルオキシ)エチル基、2−(2’−ナフチルオキシ)エチル基、2−フェニルオキシプロピル基、3−フェニルオキシプロピル基、3−(4’−メチルフェニルオキシ)プロピル基、3−(2’−ナフチルオキシ)プロピル基、4−フェニルオキシブチル基、4−(2’−エチルフェニルオキシ)ブチル基、4−フェニルオキシペンチル基、5−フェニルオキシペンチル基、5−(4’−tert−ブチルフェニルオキシ)ペンチル基、6−フェニルオキシヘキシル基、6−(2’−クロロフェニルオキシ)ヘキシル基、8−フェニルオキシオクチル基、10−フェニルオキシデシル基、10−(3’−メチルフェニルオキシ)デシル基などの、アリールオキシ基を有するアルキル基があげられる。
置換または未置換のアルコキシ基としては、前記に挙げたアルキル基と同様な置換基を有しても良いアルコキシ基であり、前記アルキル基の具体例として示したアルキル基から誘導されるアルコキシ基が挙げられる。

未置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−アントラセニル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、2−フルオランテニル基、3−フルオランテニル基、7−フルオランテニル基、8−フルオランテニル基。
置換基を有するアリール基の具体例としては、例えば、1−メチル−2−ピレニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−(4'−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、4−エチル−1−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、2,4−ジメチルフェニル基などのアルキル基を有するアリール基。
例えば、4−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、3−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、3−イソプロポキシフェニル基、2−イソプロポキシフェニル基、2−sec−ブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−イソペンチルオキシフェニル基、2−メチル−5−メトキシフェニル基、2−フェニルオキシフェニル基などのアルコキシ基及びアリ−ルオキシ基を有するアリール基。
例えば、4−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、2−フェニルフェニル基、2,6−ジフェニルフェニル基、4−(2'−ナフチル)フェニル基、2−フェニル−1−ナフチル基、1−フェニル−2−ナフチル基、7−フェニルー1−ピレニル基などのアリ−ル基を有するアリール基。
例えば、4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−クロロ−5−メチルフェニル基、2−クロロ−6−メチルフェニル基、2−メチル−3−クロロフェニル基、2−メトキシ−4−フルオロフェニル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニル基などのハロゲン原子を有するアリール基。
さらには、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル基、4−パ−フルオロエチルフェニル基、4−メチルチオフェニル基、4−エチルチオフェニル基、4−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基などが挙げられる。

置換または未置換のアリ−ルオキシ基としては、前記に挙げたアリール基と同様な置換基を有しても良いアリ−ルオキシ基であり、前記に挙げた置換のアリール基の具体例として示した置換基から誘導される置換または未置換のアリールオキシ基が挙げられる。

置換または未置換のアルキルチオ基としては、前記に挙げたアルキル基と同様な置換基を有しても良いアルキルチオ基であり、前記アルキル基の具体例として示したアルキル基から誘導されるアルキルチオ基が挙げられる。

置換または未置換のアリールチオ基としては、前記に挙げたアリール基と同様な置換基を有しても良いアリールチオ基であり、前記に挙げた置換のアリール基の具体例として示した置換基から誘導される置換または未置換のアリールチオ基が挙げられる。
(置換基R6〜R8、R14〜R16)
又、一般式(1)で表される化合物において、R6〜R8、及びR14〜R16は、好ましくは、互いに独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜24の置換または未置換のアルキル基、炭素数1〜24の置換または未置換のアルコキシ基、炭素数1〜24の置換または未置換のアルキルチオ基である。

R6〜R8、及びR14〜R16は、より好ましくは、互いに独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜12の置換または未置換のアルキル基、炭素数1〜12の置換または未置換のアルコキシ基、炭素数1〜12の置換または未置換のアルキルチオ基である。

R6〜R8、及びR14〜R16は、さらに好ましくは、互いに独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜6の置換または未置換のアルキル基、炭素数1〜6の置換または未置換のアルコキシ基、炭素数1〜6の置換または未置換のアルキルチオ基である。
一般式(1)におけるR6〜R8、及びR14〜R16の具体例を下記に示す。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。

置換または未置換のアルキル基としては、前記に挙げたアルキル基と同様な置換基を有しても良いアルキル基であり、前記アルキル基の具体例として示したアルキル基が挙げられる。

置換または未置換のアルコキシ基としては、前記に挙げたアルキル基と同様な置換基を有しても良いアルコキシ基であり、前記アルキル基の具体例として示したアルキル基から誘導されるアルコキシ基が挙げられる。

置換または未置換のアルキルチオ基としては、前記に挙げたアルキル基と同様な置換基を有しても良いアルキルチオ基であり、前記アルキル基の具体例として示したアルキル基から誘導されるアルキルチオ基が挙げられる。
(有機残基A)
又、一般式(1)で表される化合物において、Aは、二価の有機残基を表す。なお、本明細書においては、脂肪族炭化水素化合物の異なる2個の炭素原子が有する水素原子をそれぞれ1個ずつ除去することにより生成される二価基、さらには、芳香族炭化水素化合物の環を構成する異なる2個の炭素原子が有する水素原子をそれぞれ1個ずつ除去することにより生成される二価基を総じて「二価の有機残基」と表わす。

Aは、好ましくは、置換または未置換のフェニレン基、直鎖状または分岐状アルキレン基、脂環式アルキレン基、または下記一般式(2)で示される基である。
Figure 0005701560
〔式中、R21又はR22は、それぞれ独立に水素原子、置換基としてハロゲン原子を有しても良い炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子を表し、Bは、メチレン基[−CH2−]、エチリデン基[−CH(CH3)−]、イソプロピリデン基[−C(CH3)2−]、または酸素原子を表す。なお、(+)は結合位置を示す。〕

Aは、より好ましくは、置換または未置換のフェニレン基、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキレン基、炭素数4〜12の脂環式アルキレン基、または上記一般式(2)で示される基である。
一般式(1)における、Aが未置換のフェニレン基である場合の具体例としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基が挙げられる。

Aが、置換基を有するフェニレン基である場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルコキシ基、ハロゲン原子がより好ましい。

アルキル基を有するフェニレン基の具体例としては、例えば、3,6−ジメチル−1,2−フェニレン基、4−tert−ブチル−1,3−フェニレン基などが挙げられ、
アルコキシ基を有するフェニレン基の具体例としては、例えば、5−メトキシ−1,3−フェニレン基、4−iso−プロポキシ−1,2−フェニレン基などが挙げられ、
ハロゲン原子を有するフェニレン基の具体例としては、例えば、4−フルオロ−1,2−フェニレン基、2−クロロ−1,3−フェニレン基などが挙げられる。

Aが、直鎖状のアルキレン基であるものの具体例としては、例えば、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−CH2−CH2−]、n−プロピレン基[−CH2−CH2−CH2−]、n−ブチレン基[−CH2−CH2−CH2−CH2−]などの炭素原子と水素原子のみからなる直鎖状のアルキレン基が挙げられる。

Aが、分岐状のアルキレン基であるものの具体例としては、例えば、1,2−ジメチルエチレン基[−CH(CH3)−CH(CH3)−]、エチリデン基[−CH(CH3)−]、イソプロピリデン基[−C(CH3)2−]などの直鎖状アルキレン基の水素がアルキル基で置換された分岐状のアルキレン基が挙げられる。

Aが、脂環式アルキレン基であるものの具体例としては、例えば、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロヘキシレン基、2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプチレン基、2.5−ビシクロ[2.2.1]ヘプチレン基、2,6−ビシクロ[2.2.1]ヘプチレン基、2,6−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、1,3−アダマンチレン基などの単環式または架橋環式の脂環式アルキレン基が挙げられる。
Aが、上記一般式(2)で表される基である場合、R21、R22としては置換基としてハロゲン原子を有しても良い炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子が好ましく、置換基としてハロゲン原子を有しても良い炭素数1〜2のアルキル基、ハロゲン原子がより好ましい。

一般式(2)における、R21及びR22の具体例を下記に示す。

ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。

置換基としてハロゲン原子を有しても良い炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの炭素原子と水素原子のみからなる直鎖または分岐のアルキル基、例えば、フルオロメチル基、3−フルオロプロピル基、トリフルオロメチル基、ジクロロメチル基、2−クロロエチル基などハロゲン原子を有するアルキル基が挙げられる。
上記一般式(2)で表される基の具体例としては、例えば以下の基を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005701560
なお、一般式(1)で表される化合物には、下記一般式(1−a)、(1−b)、及び(1−c)等の構造の互変異性体も存在するが、これらの互変異性体についても本発明の権利範囲内のものである。
Figure 0005701560
一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005701560
Figure 0005701560
Figure 0005701560
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Figure 0005701560
Figure 0005701560

<キノフタロン系化合物の製造法>
一般式(1)で表される化合物は、種々の有機化学的手法で製造することが可能である。すなわち、一般式(1)で表される化合物は、例えば、溶媒中、一般式(3)〜一般式(4)で表される化合物と、ハロゲン化剤とを、所望によりN,N−ジメチルホルムアミドの存在下で反応させることにより酸ハロゲン化物を生成させ、この酸ハロゲン化物に、一般式(5)で表されるジアミン化合物を反応させることにより製造することができる。
Figure 0005701560

〔式中、R1〜R8、R9〜R16、及びAは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
なお、一般式(3)〜一般式(4)で表される化合物は、それ自体公知の方法を参考にして製造することができる。例えば、下記一般式(6)〜一般式(7)で表される3−ヒドロキシ−2−メチル−4−シンコニン酸誘導体と、下記一般式(8)〜一般式(9)で表される無水フタル酸誘導体とを、ニトロベンゼン、スルホラン、ジクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの高沸点溶媒中、150〜230℃で1〜20時間反応させることにより製造することができる〔例えば、特開平5−39269号、特開平7−292264号公報に記載の方法に従って製造することができる〕。
Figure 0005701560

〔式中、R2〜R8、及びR10〜R16は一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
反応に用いる前記のハロゲン化剤としては、一般式(3)〜一般式(4)で表される化合物に存在するカルボキシル基と反応して、一般式(3)〜一般式(4)で表される化合物を酸ハロゲン化物に変換することができる化合物であれば特に限定されないが、例えば、塩化チオニル、ホスゲン、オキサリルクロライド、塩化ホスホリル、五塩化リン、三塩化リンが挙げられる。

これらのなかでも塩化チオニル、ホスゲンは反応後の除去が容易である点で好ましく、ハロゲン化剤の使用量は、一般式(3)〜一般式(4)で表される化合物に存在するカルボキシル基1当量に対して、通常0.05〜20当量が用いられるが、好ましくは0.5〜5当量である。
反応に用いる前記の溶媒としては、本反応を阻害しないものであれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができ、これらの溶媒は反応の起こりやすさにしたがって適宜選択され、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。

溶媒を用いる場合、一般に、溶媒の量が多くなると反応の効率が低下し、反対に少なくなると、均一に加熱・撹拌するのが困難になったり、副反応が起り易くなる。したがって、溶媒の使用量は、一般式(3)〜一般式(4)で表される化合物1重量部に対して通常1〜100部を用いることができるが、好ましくは3〜20重量部である。

ハロゲン化剤で処理するに際して、N,N−ジメチルホルムアミドを添加して反応してもよい。添加量は溶媒1重量部に対して0.1〜0.00001重量部であり、好ましくは0.01〜0.0001重量部である。添加方法は処理前に装入しておいてもよいし、処理途中で装入してもよい。N,N−ジメチルホルムアミドは酸ハロゲン化物の生成を促進させる効果があり、反応時間を短縮することができる。

ハロゲン化剤で処理する際の反応温度は、−30℃〜150℃が好ましく、さらに好ましくは10℃〜100℃である。ハロゲン化剤で処理する温度は反応の進行具合で決定するのが好ましい。反応の進行が遅すぎる場合は反応温度を高めに設定し、早すぎて制御しにくい場合は低めに設定するのが好ましく、反応時間は、反応スケール、反応温度により一定しないが、1〜12時間の範囲で適宜選択すれば良い。反応終了後は、減圧下で溶媒と共に、余剰のハロゲン化剤を回収する。
次に、アルカリ化合物の存在下、一般式(3)〜一般式(4)で表される化合物の酸ハロゲン化物と、一般式(5)で表されるジアミン化合物をアミド化反応させることにより、一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物を製造することができる。

なお、一般式(5)で表されるジアミン化合物は、それ自体公知の方法を参考にして製造することができるが、フェニレンジアミン誘導体、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、又はジアミノジフェニルメタン誘導体など一部は市販品として入手可能であり、例えば、東京化成工業、和光純薬工業から容易に入手することができる。

一例として挙げると、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルは、非プロトン性極性溶剤中で、4−クロロニトロベンゼンと4−ニトロフェノールとを、塩基性物質の存在下で反応させ、さらに還元することにより製造することができる〔その他の製造方法としては、例えば、特開平5−310649号公報、米国特許4440954号、ドイツ特許963422号、Synthesis、341−346(1990)に記載の方法に従っても製造することができる〕。

一般式(5)で表されるジアミン化合物の使用量は特に制限されるものではないが、本反応は0.5倍モル反応であるので、一般式(3)〜一般式(4)で表される化合物の酸ハロゲン化物に、一般式(5)で表される化合物を、0.5倍モル反応させれば良いが、一般式(5)で表される化合物の使用量としては、0.5〜0.8倍モルの範囲で適宜選択すれば良く、好ましくは0.5〜0.6倍モルの範囲である。

アルカリ化合物としては、一般式(3)〜一般式(4)で表される化合物の酸ハロゲン化物と一般式(5)で表されるジアミン化合物のアミド化反応を促進させることができる化合物であれば特に限定されないが、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが挙げられる。

これらのなかでもピリジンが反応溶媒としても使用できる点で好ましく、ピリジンの使用量は、使用したハロゲン化剤に対するモル比で、0.5〜6.0倍モルの範囲で適宜選択すれば良く、好ましくは1.5〜4.0倍モルの範囲である。
反応温度は、−30℃〜150℃の範囲で適宜選択すれば良いが、好ましくは10℃〜100℃の範囲であり、反応時間は、反応スケール、反応温度により一定しないが、1〜12時間の範囲で適宜選択すれば良い。

反応終了後は、析出物を濾別してメタノール、次いで水で洗浄する。必要に応じて析出物を、1%硫酸水溶液、1%苛性ソーダ水溶液で順次洗浄して精製し、目的とする、一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物を得ることができる。

本発明のキノフタロン系化合物は、着色力、鮮明性、色相等の色彩的特性、耐光性、耐熱性等の耐久性に優れ、黄色の顔料、着色剤として広い用途に使用できる。
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、少なくとも、一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物を含有することを特徴としている。又、本発明の着色組成物は、他の着色成分として、一般的な顔料を同時に含有しても良く、この場合には、一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物は、他顔料の微細化、微粒子化に有効な材料、つまり顔料分散剤として働く。特に、他のキノフタロン系顔料と同時に使用する際には、顔料の結晶成長を抑制する効果が非常に高くなる。

本発明のキノフタロン系化合物が、優れた顔料分散効果を示す理由は明確でないが、例えば、有機残基で2個のキノフタロン誘導体の無水フタル酸誘導体部分を連結した構造をもつことから、お互いのキノフタロン誘導体の自由度が高くなり、結果として、顔料の結晶成長を抑制する効果を持つと考えられる。

さらに、本発明のキノフタロン系化合物は黄色の化合物であり黄色の着色作用を有することから、他の着色剤や一般的な分散剤を必要としない優れた黄色の着色組成物となる。

本発明の着色組成物に使用可能な、本発明のキノフタロン系化合物以外の顔料としては、アゾ系、アントラキノン系、イソインドリン系、インダンスロン系、キナクリドン系、キノフタロン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、ペリノン系、ペリレン系などの有機顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料を使用することができる。また、これらの顔料を二種類以上併用してもよい。
本発明の着色組成物に使用可能な、本発明のキノフタロン系化合物以外の顔料として、好ましくは次に挙げるものである。

黄色顔料としては、カラーインデックス(C.I.)においてイエローに分類される顔料のことであり、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー154などが挙げられるが、これらの中でもC.I.ピグメントイエロー138、154がとりわけ好ましい。これらの顔料はそれぞれ単独で使用してよく、二種類以上を併用してもよい。

緑色顔料としては、カラーインデックス(C.I.)においてグリーンに分類される顔料のことであり、C.I.グメントグリーン7、10、36、37などが挙げられるが、これらの中でもC.I.ピグメントグリーン7、36が特に好ましい。

赤色顔料としては、カラーインデックス(C.I.)においてレッドまたはオレンジに分類される顔料のことであり、C.I.ピグメントレッド254、255、264、177、179、207、48などが挙げられ、橙色顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ71、73などが挙げられるが、これらの中でもC.I.ピグメントレッド254が好ましい。
なお、色相調整のために、上記で挙げた各色の顔料を、混合して使用することができる。混合する顔料の組み合わせとしては、所望の色相が得られればよく、特に制限はない。顔料の組み合わせとしては黄色顔料と緑色顔料、赤色顔料と緑色顔料、青色顔料と黄色顔料などが挙げられる。また3種類以上の顔料を混合することも、黄色、緑色、赤色以外の顔料でも、同色の顔料を2種以上混合することもできる。

本発明の着色組成物に併せて使用される本発明のキノフタロン系化合物以外の顔料は、そのまま使用してよいが、必要に応じてソルベントソルトミリング、ドライミリング、または、アシッドペースティングなどの方法による顔料粒子の微細化を施した後に使用してもよい。例えば、有機顔料をソルベントソルトミリングにより微細化する場合には、有機顔料、水溶性無機塩及び水溶性溶剤から成る混合物をニーダー等の混練機を用いて強力に混練する。次に、混練した混合物を水中に注入し、各種撹拌機により撹拌してスラリー状態とする。これを濾過することにより無機塩及び溶剤を除去する。以上の工程を経て、微細化された有機顔料を得ることが出来る。この顔料微細化法においては、本発明のキノフタロン系化合物以外の顔料は単一でも二種類以上の混合物の何れであってもよい。
上記の微細化方法においては、一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物と本発明のキノフタロン系化合物以外の顔料を予め混合してもよい。その場合、一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物が顔料分散剤として機能するため、本発明のキノフタロン系化合物以外の顔料と一般的な分散剤で微細化する場合と比較してより微細な粒子を得ることができ、より高品位な着色組成物が調製可能となるので、好ましい。

本発明の着色組成物に併せて本発明のキノフタロン系化合物以外の顔料を使用する場合、一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物の添加量は、本発明のキノフタロン系化合物以外の顔料100重量部に対して0.5〜70重量部が好ましい。一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物の添加量が0.5重量部より少ない場合、顔料分散効果が小さく好ましくない。また、30重量部より多く使用しても、添加量に応じた分散効果は期待できず、さらに場合によっては粘度特性や塗膜物性などが低下する。
本発明の着色組成物の調製方法としては、例えば、一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物と本発明のキノフタロン系化合物以外の顔料粉末を混合するのみでも十分な分散効果が得られるが、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ロールミル、アトライター、サンドミルなどの各種粉砕機を用いて機械的に混合する方法、本発明のキノフタロン系化合物以外の顔料の水あるいは有機溶媒の懸濁液に、一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物の溶液あるいは懸濁液を添加する方法、硫酸等の良溶媒に一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物及び本発明のキノフタロン系化合物以外の顔料を溶解し、この溶液を水等の貧溶媒中に注入して共沈させるなどの方法が挙げられる。

なお、本発明の着色組成物において、一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物のみを着色成分として用いる場合は、上記の顔料の微細化方法で、一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物の微細化を施すことが好ましい。

本発明の着色組成物は、カラーフィルタの画素形成用着色組成物として使用することができる。なお、該画素形成用着色組成物は、本発明の着色組成物を分散して成るものであり、分散媒体及び皮膜形成材料を加えることで、カラーフィルタの画素形成用のインキとすることもできる。

該画素形成用着色組成物は、本発明の着色組成物、熱可塑性樹脂、光硬化性化合物、光重合開始剤、有機溶剤の混合物を必須成分として、各種分散機で分散することにより調製することができる。例えば、本発明の着色組成物と有機溶剤から分散液を調整し、そこに熱硬化性樹脂を加える方法が一般的であるが、添加順序、添加方法については特に限定されない。
有機溶剤としては、特に限定されないが、一般的に溶剤として用いられるものは全て使用可能である。例えば、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、石油系溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは混合の何れにおいても使用することができる。なお、有機溶剤の添加量は、本発明の着色組成物100質量部に対して300〜1000質量部が好ましく、均一となる様に撹拌分散して分散液を調整することができる。
次いでこの分散液に、本発明の着色組成物1質量部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が3〜20質量部、光硬化性化合物1質量部当たり0.05〜3質量部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に撹拌分散して、カラーフィルタの画素形成用着色組成物を得ることができる。

カラーフィルタの画素形成用着色組成物を調製する為に使用する分散機は特に指定されないが、例えば横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター、マイクロフルイタイザー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機、ペイントコンディショナーなどが挙げられる。通常、各種分散体を調製する際に使用されるあらゆる分散機や混合機を使用することができる。また、各種分散機により分散を行う前に、ニーダー、3本ロールミル等の混合機による前分散、あるいは2本ロールミル等による固形分散などの処理を施してもよい。また、各種分散機で分散した後、30〜80℃の加温状態にて数時間〜1週間程度保存する処理、及び超音波分散機や衝突型ビーズレス分散機を用いて処理することが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド酸系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。

光硬化性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、等の様な2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーが挙げられる。

光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。

カラーフィルタは、平行な一対の透明電極間に液晶材料を封入し、透明電極を不連続な微細区間に分割すると共に、この透明電極上のブラックマトリクスにより格子状に区分けされた微細区間のそれぞれに、各色相を交互にパターン状に設ける方法あるいは基板上にカラーフィルタを形成した後、透明電極を設ける様にすることで得ることができる。なお、本発明の着色組成物を使用して製造されたカラーフィルタは、透明性(Y値)がより高くなる。さらに該カラーフィルタを使用して製造された液晶表示装置は、高色純度と高透過率を両立させた色特性と、コントラストの高い表示特性の両方を満足させることができる。

本発明のキノフタロン系化合物は、鮮明な黄色を呈し、詳記したカラーフィルタ用途以外にも、塗料、プラスチック、印刷インク、ゴム、レザー、捺染、電子写真用トナー、ジェットインキ、熱転写インキ等の着色に適する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)例示化合物(1−4)の合成
トルエン400gに、下記化合物(3−1)66.6g、N,N−ジメチルホルムアミド1gを加え、撹拌しながら75℃まで加熱昇温させた。塩化チオニル26.2gを同温で滴下して加え、7時間撹拌した。次いで、減圧下で塩化チオニルとトルエンの混合溶液20gを留去した後、ピリジン31.6gと、エチレンジアミン6gを加え、更に75℃で4時間撹拌した。室温まで冷却し、反応物をメタノール500mLに排出した後、析出物をろ過、水洗及び乾燥し、例示化合物(1−4)の黄色結晶を69.1g得た。
Figure 0005701560
(実施例2)例示化号物(1−15)の合成
実施例1において、エチレンジアミン6gの代わりに、4,4’−ジアミノジフェニルメタン19.8gを用いた以外は、実施例1と同様にして例示化合物(1−15)を85.6g得た。
(実施例3)例示化号物(1−21)の合成
実施例1において、化合物(3−1)の代わりに、下記化合物(3−2)69.4g、エチレンジアミン6gの代わりに、o−フェニレンジアミン10.8gを用いた以外は、実施例1と同様にして例示化合物(1−21)を73.3g得た。
Figure 0005701560
(実施例4)例示化合物(1−28)の合成
実施例1において、化合物(3−1)の代わりに、下記化合物(3−3)87.3g、エチレンジアミン6gの代わりに、1,2−シクロヘキサンジアミン11.4gを用いた以外は、実施例1と同様にして例示化合物(1−28)を88.4g得た。
Figure 0005701560
(実施例5)例示化合物(1−39)の合成
実施例1において、化合物(3−1)の代わりに、下記化合物(3−4)77.8g、エチレンジアミン6gの代わりに、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル20.0gを用いた以外は、実施例1と同様にして例示化合物(1−39)を79.1g得た。

Figure 0005701560
(実施例6)
ポリアミド66樹脂(デュポン社製 :ZYTEL70G33L) 1000gと例示化合物(1−4)2gをステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた着色組成物を、射出成形機(東洋機械金属社製
商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度がそれぞれ、180℃、200℃、250℃および300℃となるよう射出成形して4種の着色片を得た。

さらに、以下に示す方法で物性評価試験をおこなった。
<物性評価試験>
(1)色鮮明性
上記射出成形において、200℃で作製した着色片が鮮やかな色相であれば「良好;○」、それ以外の色相を「不良;×」と判断した。結果を表1に示す。
(2)着色性
上記射出成形において、200℃で作製した着色片が均一に着色していれば「良好;○」、不均一であれば「不良;×」と判断した。結果を表1に示す。
(3)耐熱性試験
上記射出成形において、180℃で作製した黄色の着色片について、分光色差計(伊原テクニーク社製「S900」)を用いて測色値を測定した。さらに、300℃で作製した黄色の着色片についても同様に側色値を測定し、二つの側色値の色差(△E)を、耐熱性の指標とした。△Eが1.0以下を「A」、1.0〜3.0を「B」、3.0以上を「C」とし、結果を表1に示す。
(4)耐湿性試験
上記射出成形において、200℃で作製した着色片を恒温槽に入れ、80℃、湿度95%で1週間放置した後、着色片の表面を白い布で拭き取った。白い布の着色を耐湿性の指標とし、着色していなければ「良好;○」、着色していれば「不良;×」と判断した。結果を表1に示す。
(5)耐光性試験
上記射出成形において、180℃で作製した黄色の着色片を紫外線ロングライフ・フェードメーター(スガ試験機株式会社製「FAL−5H」)により192時間光照射を施し、分光色差計を用いて測色値を測定した。照射前後の測色値の色差(△E)を、耐光性の指標とした。△Eが1.0以下を「A」、1.0〜3.0を「B」、3.0以上を「C」とし、結果を表1に示す。
(実施例7〜15、比較例1〜2)
実施例6において、例示化合物(1−4)2gの代わりに、表1に記載した本発明のキノフタロン系色素2gをそれぞれ用いた以外は、実施例6と同様にして着色組成物を製造し、着色片を得て、物性評価試験を行った。結果を表1に示す。また、比較例1及び2では、例示化合物(1−4)2gの代わりに、C.I.ピグメントイエロー83及びC.I.ソルベントイエロー114をそれぞれ2g用いた以外は、実施例6と同様にして着色片を得、物性評価試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005701560
Figure 0005701560

表1の結果から明らかなように、本発明のキノフタロン系色素を用いた着色組成物は、比較例に比べ、耐光性、耐湿性、耐熱性が高い。
(実施例16)
既存のキノフタロン系黄色顔料であるC.I.ピグメントイエロー138を40gと、例示化合物(1−1)40gをステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合して着色組成物を得た。
得られた着色組成物2.0gと、芳香族ナイロン樹脂(デュポン社製 商品番号:ZYTEL HTN51G35HSL)400gをステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合して、黄色着色組成物を得た。
この黄色着色組成物を、透過型電子顕微鏡を用いて平均粒系及び粒度分布を測定した。また、この黄色着色組成物を、200℃で40時間保管し、平均粒系及び粒度分布を測定した。結果を表2に示す。
(実施例17)
実施例16において、例示化合物(1−1)40gの代わりに、例示化合物(1−9)40gを用いた以外は、実施例16と同様にして黄色着色組成物を評価した。
(比較例3)
実施例16において、例示化合物(1−1)40gの代わりに、C.I.ピグメントイエロー138を40g用いた以外は、実施例16と同様にして黄色着色組成物を評価した。
(比較例4)
実施例16において、例示化合物(1−1)40gの代わりに、下記黄色化合物(10)40gを用いた以外は、実施例16と同様にして黄色組成物を評価した。
Figure 0005701560
Figure 0005701560
表2の結果から明らかなように、比較例の化合物に比べ、本発明のキノフタロン系色素は、顔料の微細化や、分散時の凝集防止に高い効果を有する。
(実施例18)
既存のキノフタロン系黄色顔料であるC.I.ピグメントイエロー138を20gと、例示化合物(1−4)0.6gをステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合して着色組成物を得た。芳香族ナイロン樹脂(デュポン社製 商品番号:ZYTEL HTN51G35HSL)400gと上記着色組成物2.0gをステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた着色組成物を、射出成形機を用いて、シリンダー温度がそれぞれ、180℃および290℃となるよう射出成形して2種の着色片を得た。
さらに、以下に示す方法で物性評価試験をおこなった。
<物性評価試験>
(1)色相
上記射出成形において、290℃で作製した着色片の外観にて判断した。結果を表3に示す。
(2)耐熱性試験
上記射出成形において、180℃で作製した黄色の着色片について、分光色差計(伊原テクニーク社製「S900」)を用いて測色値を測定した。さらに、300℃で作製した黄色の着色片についても同様に側色値を測定し、二つの側色値の色差(△E)を、耐熱性の指標とした。△Eが1.0以下を「A」、1.0〜3.0を「B」、3.0以上を「C」とし、結果を表3に示す。
(3)耐光性試験
上記射出成形において、290℃で作製した黄色の着色片を紫外線ロングライフ・フェードメーター(スガ試験機株式会社製「FAL−5H」)により192時間光照射を施し、分光色差計を用いて測色値を測定した。照射前後の測色値の色差(△E)を、耐光性の指標とした。△Eが1.0以下を「A」、1.0〜3.0を「B」、3.0以上を「C」とし、結果を表3に示す。
(実施例19)
実施例18において、例示化合物(1−4)0.6gの代わりに、例示化合物(1−15)0.6gを用いた以外は、実施例18と同様にして着色片を得た。さらに、実施例18と同様にして物性評価試験を行った。結果を表3に示す。
(比較例5)
実施例18において、例示化合物(1−4)0.6gの代わりに、C.I.ピグメントイエロー83を0.6g用いた以外は実施例18と同様にして着色片を得た。さらに、実施例18と同様にして物性評価試験を行った。結果を表3に示す。
(実施例20)
フタロシアニン系緑色顔料のC.I.ピグメントグリーン36を20gと、例示化合物(1−4)0.6gをステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合して着色組成物を得た。芳香族ナイロン樹脂(デュポン社製 商品番号:ZYTEL HTN51G35HSL)400gと上記着色組成物2.0gをステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた着色組成物を、射出成形機を用いて、シリンダー温度がそれぞれ、180℃および290℃となるよう射出成形して2種の着色片を得た。
さらに、実施例18と同様にして物性評価試験を行った。結果を表3に示す。
(実施例21)
実施例20において、例示化合物(1−4)0.6gの代わりに、例示化合物(1−15)0.6gを用いた以外は、実施例20と同様にして着色片を得た。さらに、実施例18と同様にして物性評価試験を行った。結果を表3に示す。
(比較例6)
実施例20において、例示化合物(1−4)0.6gの代わりに、C.I.ピグメントイエロー83を0.6g用いた以外は実施例20と同様にして着色片を得た。さらに、実施例18と同様にして物性評価試験を行った。結果を表3に示す。
(実施例22)
ジケトピロロピロール系赤色顔料のC.I.ピグメントレッド254を20gと、例示化合物(1−4)0.6gをステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合して着色組成物を得た。芳香族ナイロン樹脂(デュポン社製 商品番号:ZYTEL HTN51G35HSL)400gと上記着色組成物2.0gをステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた着色組成物を、射出成形機を用いて、シリンダー温度がそれぞれ、180℃および290℃となるよう射出成形して2種の着色片を得た。
さらに、実施例18と同様にして物性評価試験を行った。結果を表3に示す。
(実施例23)
実施例22において、例示化合物(1−4)0.6gの代わりに、例示化合物(1−15)0.6gを用いた以外は、実施例22と同様にして着色片を得た。さらに、実施例18と同様にして物性評価試験を行った。結果を表3に示す。
(比較例7)
実施例22において、例示化合物(1−4)0.6gの代わりに、C.I.ピグメントイエロー83を0.6g用いた以外は実施例22と同様にして着色片を得た。さらに、実施例18と同様にして物性評価試験を行った。結果を表3に示す。

Figure 0005701560
表3の結果から明らかなように、既存の顔料に本発明のキノフタロン系色素を少量添加することにより、耐光性と耐熱性が向上する。
本発明のキノフタロン系化合物は、着色力、鮮明性、色相等の色彩的特性に優れた黄色を呈し、塗料、プラスチック、印刷インク、ゴム、レザー、捺染、電子写真用トナー、ジェットインキ、熱転写インキ等の着色に用いることができる。
また、顔料等の分散剤としても有用である。
さらに、本発明のキノフタロン系化合物を含有する着色組成物は、カラーフィルタの画素形成用着色組成物等として適している。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物。
    Figure 0005701560
    〔式中、R1〜R5、及びR9〜R13は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換または未置換のアルキル基、炭素数1〜6の置換または未置換のアルコキシ基、炭素数6〜18の置換または未置換のアリール基、炭素数6〜18の置換または未置換のアリールオキシ基、炭素数1〜12の置換または未置換のアルキルチオ基、炭素数6〜18の置換または未置換のアリールチオ基を表す。R6〜R8、及びR14〜R16は、互いに独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換または未置換のアルキル基、炭素数1〜12の置換または未置換のアルコキシ基、炭素数1〜12の置換または未置換のアルキルチオ基を表す。Aは、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキレン基、炭素数4〜12の脂環式アルキレン基または下記一般式(2)で表される基を示す。〕
    Figure 0005701560

    〔式中、R21又はR22は、それぞれ独立に水素原子、置換基としてハロゲン原子を有しても良い炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子を表し、Bは、メチレン基[−CH2−]、エチリデン基[−CH(CH3)−]、イソプロピリデン基[−C(CH3)2−]、または酸素原子を表す。なお、(+)は結合位置を示す。〕
  2. 請求項1記載のキノフタロン系化合物を含有する着色組成物。
  3. 請求項1のキノフタロン系化合物以外の着色顔料をさらに配合してなる請求項の着色組成物。
  4. 請求項1のキノフタロン系化合物を顔料分散剤として配合されてなる請求項又はの着色組成物。
  5. 請求項1のキノフタロン系化合物を用いたカラーフィルタ。
  6. 請求項1のキノフタロン系化合物以外の着色顔料をさらに配合してなる請求項のカラーフィルタ。
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