JP2005048038A - 軟質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents

軟質ポリウレタンフォームの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の軟質ポリウレタンフォームの欠点であった紫外線等による変色、上記提案の反応性のアンバランスによる不均一なセル状態、スコーチの発生等の問題点を解決し、従来の生産状況に適合する軟質ポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】 有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、触媒(C)、発泡剤(D)、整泡剤(E)の混合液を反応発泡、硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、上記有機ポリイソシアネート成分(A)は、アルコール性水酸基含有化合物(a−1)と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネート(a−2)とからなるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物を含み、公称平均官能基数が2〜6、数平均分子量が100〜20,000のポリオール(B)からなることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法により解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、幅広い用途に用いられている軟質ポリウレタンフォームにおいて、太陽光等の光に暴露しても長期に渡ってフォームの変色が少ない軟質ポリウレタンフォーム、特にナプキン、紙おむつ等の生理用品、肩パット、ブラカップ等の衣料品に適したに軟質ポリウレタンフォーム関する。
従来、軟質ポリウレタンフォームは、柔軟性と弾力性等の優れた性能により、クッション等車両や家具、ブラパッドや肩パッド等の衣料用途等、幅広く使用されており、その製造に当たっては、トルエンジイソシアネート(TDI)等の芳香族系のポリイソシアネートが使用されている。しかし、芳香族ポリイソシアネートを用いて得られるポリウレタンフォームは、太陽光線等の光によって比較的容易に変色する傾向がある。ポリウレタンフォームが変色、特に黄変する原因は、紫外線によりベンゼン環のキノイド化によるものと考えられ、このような黄変を防止する手段として、芳香族ポリイソシアネートに代えて脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートを使用した軟質ポリウレタンフォームが提案されている。例えば特許文献1には脂肪族又は脂環式のポリイソシアネートに対し、特殊な触媒を使用する技術が記載されており、特許文献2には、イソシアネートとしてNCOが芳香族環に直接結合していないポリイソシアネートを使用してポリウレタンの色安定性が得られることが開示されている。また、最近では特許文献3には、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート(IPDI)を用い、触媒としてスズ系の触媒と3級アミン触媒であるジメチルアミノエチルエーテル及び/又はトリエチレンジアミンを同時に併用することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法が開示されている。しかし、これらの提案において、(1)脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートを用いてポリウレタンフォームを製造しようとする場合、反応のバランス調整が難しく、部分的な反応の不均一性、硬化と発泡のアンバランス等により荒いセル、陥没が発生する問題、又は独立気泡状態を有する部分による変形する、(2)変色防止剤を添加しないと発泡時にスコーチが発生する。(3)IPDI等特定の脂環族イソシアネートの使用に限定されている、等の問題がある。
特開昭50−64389号公報 特開昭52−128997号公報 特開平10−36543号公報
本発明による製造方法によってこれまでの課題であった紫外線、NOx及び熱に対して優れた耐変色性を備えた均一で美しいセル構造を有する軟質ポリウレタンフォームが得られる。更に本発明の製造方法によれば、作業環境を悪化させることなく長期に渡ってフォームの変色が少ない軟質ポリウレタンフォームを得ることができ、商業的に広い用途へ利用することが可能となることが期待できる。
本発明は、従来の軟質ポリウレタンフォームの欠点であった紫外線等による変色、上記提案の反応性のアンバランスによる不均一なセル状態、スコーチの発生等の問題点を解決し、従来の生産状況に適合する軟質ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
本発明は、前述の課題を解決し、優れた耐変色性を有し、かつ従来の生産状況に適した成形性を備えた軟質ポリウレタンフォーム用組成物を提供するために鋭意検討の結果、見出されたものである。
すなわち本発明は、以下の(1)〜(6)に示されるものである。
(1)有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、触媒(C)、発泡剤(D)、整泡剤(E)の混合液を反応発泡、硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、上記有機ポリイソシアネート成分(A)は、アルコール性水酸基含有化合物(a−1)と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネート(a−2)とからなるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物を含み、公称平均官能基数が2〜6、数平均分子量が100〜20,000のポリオール(B)からなることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(2)有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、触媒(C)、発泡剤(D)、整泡剤(E)の混合液を反応発泡、硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、前記有機ポリイソシアネート(A)は、アルコール性水酸基含有化合物(a−1)と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネート(a−2)とからなるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物並びに脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートを含み、公称平均官能基数が2〜6、数平均分子量が100〜20,000のポリオール(B)からなることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(3)前記有機ポリイソシアネート(A)は、アロファネート触媒(a−3)としてカルボン酸ジルコニウム塩の存在下、アルコール性水酸基含有化合物(a−1)と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネート(a−2)を反応させて得られるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物を含むことを特徴とする(1)又は(2)の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(4)前記アルコール性水酸基含有化合物(a−1)は、少なくとも炭素数1〜40のモノオール化合物を含み、かつ、得られるアロファネート変性ポリイソシアネート組成物は、2官能成分を60質量%以上含有することを特徴とする(1)、(2)又は(3)の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(5)前記アロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物は、遊離のヘキサメチレンジイソシアネートが1質量%以下の含有率であることを特徴とする(1)から(4)のいずれかの軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
(6)前記触媒(C)が少なくともトリレンジアミン塩とジブチルスズアセテートを用いることを特徴とする(1)から(5)のいずれかの軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
本発明を更に詳細に説明する。本発明に使用される有機ポリイソシアネート(A)は、アルコール性水酸基含有化合物(a−1)と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネート(a−2)とからなるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物を含むものを使用する。
アルコール性水酸基含有化合物(a−1)としては、下記のものが挙げられる。
低分子量脂肪族アルコール:
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、異性ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール及びヘプタノール、アリルアルコール、2−エチルヘキサノール、炭素原子数10〜20の脂肪族アルコール、エタンジオール、プロパンジオール−1,2、プロパンジオール−1,3、ブタンジオール−1,2、ブタンジオール−1,3、ブタンジオール−1,4、ペンタンジオール−1,5、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール−1,6、ヘキサンジオール−2,5、3−メチルペンタンジオール−1,5、2−メチル−2−プロピルプロパンジオール−1,3、2,2−ジエチルプロパンジオール−1,3、2−エチルヘキサンジオール−1,3、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3、トリメチル−ヘキサンジオール−1,6、デカンジオール−1,10、ドデカンジオール−1,2、2−ブタンジオール−1,4、2−メチレンプロパンジオール−1,3、グリセロール、ブタントリオール、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロパンジオール−1,3、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、エチレングリコールモノアルキル−もしくは−アリールエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール並びにテトラエチレングリコール。
脂環式アルコール:
シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、トリメチルシクロヘキサノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール、メントール、ボルネオール及びイソボルネオール、2−ヒドロキシデカリン、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジオール、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン,1,4−ビス−ヒドロキシメチルシクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2−メチル−2,4−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−ペンタン、フルフリル及びテトラヒドロ−フルフリルアルコール、ビス−ヒドロキシメチルノルボルナン並びにジヒドロキシメチル−トリシクロデカン。
高分子ポリオール:
ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール。また、特に公知の1〜6個の水酸基を有するポリエーテルポリオールも使用することができ、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、テトラヒドロフラン、酸化スチレン又はエピクロロヒドリンのようなエポキシドを重合させるか、又はアルコールもしくはフェノールのような反応性水素原子を有する出発化合物、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコール−1,3、プロピレングリコール−1,2、トリメチロールプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパンに、任意に混合物状態で又は順に加えることによって製造し得る。チオジグリコール自体の、及び/又は別のグリコール、ジカルボン酸もしくはホルムアルデヒドとの縮合生成物をポリチオエーテルとして使用してもよい。この生成物は、補助成分に応じて、混合ポリチオエーテル、ポリチオエーテルエステル又はポリチオエーテルポリアセタールである。本発明では、アルコール性水酸基含有化合物(a−1)は、有機ポリイソシアネート(A)の粘度やポリオール(B)に対する相溶性等を考慮すると、少なくとも炭素数1〜40のモノオール化合物を含むことが好ましい。
アロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物を製造する出発材料として使用するジイソシアネート(a−2)は、脂肪族系或いは脂環族系のものであれば特に制限するものではない。脂肪族ジイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート類が、また脂環族ジイソシアネートの例として、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシレンジイソシアネート(水添XDI)シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート類がある。なお、芳香環を有するがイソシアネート基が直接芳香環に結合していないキシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)も脂肪族ジイソシアネートに属するものとして本発明で使用することができる。本発明においては、商業的な製造を考慮した場合、HDIを使用することが好適である。ここで、HDIの蒸気圧が非常に低いために作業環境を考慮した場合、使用されるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物中に含まれる遊離のHDIが1質量%以下であるように調整されることが好ましい。
アルコール性水酸基含有化合物と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートとからなるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物を製造する際に用いる触媒としては、すでに公知となっているいずれの塩基性化合物も使用し得る。本発明において適している触媒は、カルボン酸、例えば炭酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸及び任意に置換した安息香酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、及び酸化アルカリ土類金属の塩である。特にカルボン酸ジルコニウム、カルボン酸ジルコニルの塩が反応性、副生成物の抑制の点で最も適している。その他の触媒としては、第三アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、1,4−ジアザビシクロ−オクタン、1,5−ジアザビシクロ−ノネン、テトラメチルブタンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン及びビス−N−ジメチルアミノエチルエーテルである。ナトリウムフェノラートのようなフェノラート、及びナトリウムメチラートのようなアルコラートも適当な触媒である。窒素を含む芳香族化合物、例えばピリジン、モノC1〜C4−アルキルピリジン、ジメチルピリジン、N−ジメチルアミノ−ピリジン、ジエチルピリジン及びトリメチルピリジンも使用し得る。C1〜C4−N−アルキル−ピロール、−ピロリン、−ピロリジン、ピラゾール、−イミダゾール、−イミダゾリン、−イミダゾリジン、−1,2,3−トリアゾール、−1,2,4−トリアゾール、及び任意にアルキル化したピリミジン、ピリダジン、1,2,3−、1,2,4−、1,3,5−トリアジン、並びに任意にアルキル化したキノリン、イソキノリン、キノキサリン及びアクリジンも適当である。
本発明に使用するポリオール(B)は、公称平均官能基数が2〜6、数平均分子量が100〜20,000であるものであり、通常の軟質ポリウレタンフォームに使用されるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールを用いることができる。具体的には、単量体のポリオールとして、水を含むエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、エチレンジアミン、ソルビトール等のほか、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールを開始剤としてエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)又はその両方を付加重合したポリエーテルポリオール、又は上記ポリオールに対しアクリロニトリルやビニル等のラジカル重合によるポリマーポリオール、アミン/イソシアネートの反応による分散ウレアを含む変性ポリエーテルポリオール、メラミン変性ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールである。また、ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸とエチレングリコール、ブチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等との縮合ポリエステルポリオール等が使用できる。その他、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、含燐ポリオール、ポリエステルエーテルポリオール等が使用できる。
これらのポリオールにおいて好ましいのは、公称平均官能基数が2〜4であって、当量200〜10,000の末端1級及び/又は2級の水酸基を含むポリエーテルポリオール又はこれらの変性ポリエーテルポリオール、公称平均官能基数2〜4であって当量200〜2,000の縮合又は重合ポリエステルポリオール、当量200〜3,000のポリテトラメチレンエーテルポリオール、当量200〜2,000のポリカーボネートジオール等である。これらは、用途に応じて選択すればよく、また2種以上を混合して使用することもできる。
本発明で使用する触媒(C)は、特に制限はなく、本発明ではポリウレタンフォームの製造に通常使用されている、アミン系触媒、金属触媒、アミジノ基を有するアミン及びその誘導体がすべて使用できる。アミン系触媒としては、比較的マイルドな第3級アミン類、特にトリエチレンジアミンが好適であるが、その他、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、ジメチルエチルエチルエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、トリエチルアミン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、メチルモルフォリン、エチルモルフォリン、ジエタノールアミン、テトラメチルヘキサメチメチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、テトラメチルエチレンジアミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−ρ−トリアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、ジメチルアミノヘキサノール、メチルヒドロキシルピペラジン等が例示できる。また、従来使用されているアミジノ基を有するアミン及びその誘導体も使用可能である。このアミジノ基を有するアミン及びその誘導体としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が好ましく用いられる。ジアザビシクロアルカン類としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以降、DBUとも略記する)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が例示できる。その他、弱酸のアルカリ金属塩、三量化触媒等も使用できる。金属触媒としては、スタナスオクテート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、その他の通常ポリウレタンフォームに使用される比較的マイルドなスズ系触媒が好ましく用いられる。
上記の触媒において、本発明では、良好な反応性のバランス、セルの均一性、独立気泡性が少なく、安定な発泡体としてのフォームを得るためには、少なくともトリレンジアミン塩とジブチルスズアセテートを用いることが最も適している。
本発明で使用する発泡剤(D)としては、通常ウレタン発泡に用いられる公知の発泡剤を使用することができる。例えば、物理的発泡剤としては、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素化合物、HCFC−141b、HCFC−123、HCFC−22、HFC−245fa、HFC−365mfc、HFC−134a等のいわゆる代替フロンを含むハロゲン化炭化水素等を挙げることができ、化学的発泡剤としては、水、有機酸等を挙げることができる。またガスローディング装置を用いて原液中に空気、窒素ガス、炭酸ガス等を混入溶解させて用いることもできる。これら発泡剤は、2種以上併用して用いることもでき、その使用量は、ポリオールの1〜50質量%が適当である。
本発明で使用する整泡剤(E)としては、L−5309、L−5366、L−5420、L−6202B(日本ユニカー製)、F−242T、F−303、F−703(信越化学工業製)、SH−193、PRX−607、SRX−280A、SF−2914、F−122、SF−2962(東レシリコーン製)、B−8300、B−4113LF(ゴールドシュミット製)、DC−5169、DC−193(エアープロダクツ製)等の軟質、硬質或いはHR用ポリウレタンフォームに用いられる整泡剤を使用することができる。
本発明には、また必要に応じて従来公知の他の添加剤も使用できる。例えば、酸化防止剤又は紫外線吸収剤を配合することによって本発明の特徴である優れた耐変色性を一層向上させることができる。具体的には、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノール系の紫外線吸収剤等がある。また、これ以外に、公知の難燃剤、界面活性剤、着色剤、導電剤、絶縁剤、発光剤、抗菌剤、芳香剤等を添加することもできる。
これらの原料物質を用いて、本発明の軟質ポリウレタンフォームを製造するには、何ら特別の技術を必要とせず、従来からの軟質ポリウレタンフォームの製造方法をそのまま適用することができる。すなわち、一般的には、別々の容器に保管又は調製しておいたポリイソシアネート成分、ポリオール成分、触媒、発泡剤、及びその他の添加剤をひとつの反応容器に投入し、均質になるよう撹拌混合しながら反応を開始させる。そして混合物を型枠や底紙を敷いたコンベア上に注入して、反応、発泡、及び硬化を行わせる。あるいはまた、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分の二液システムにして、加圧ボックスと簡易発泡機により加圧発泡することにより、レディキュレーション不要のセル形状の均質でセル方向性のないフォームを得ることができる。更には、別々の容器に保管又は調製しておいたポリイソシアネート成分、ポリオール成分、触媒、及びその他の添加剤をひとつのミキシングヘッドに不活性ガスを混入しながら投入し、均質になるよう混合し、所定のモールド等に注型して加熱硬化させる方法も可能である。
このときのイソシアネートインデックス(イソシアネート基/活性水素基×100)は50〜150が好ましく、特に好ましくは60〜120の範囲である。インデックスが低すぎる場合は、フォーム表面にべと付き感が生じやすい。また、インデックスが高すぎる場合は、発泡しない場合や、陥没してして柔軟なフォームが得られない場合がある。
型枠を用いる場合、その際に硬化を均一に、かつ十分な発泡倍率を得るために、型枠は30〜80℃の範囲で調節されていることが望ましいが、表皮との一体成形の場合などはその必要が無い。脱型時間は短い方が生産効率の面から好ましく、本発明では注入後3〜8分間で脱型できるが、不良率削減のために生産設備の条件に適した脱型時間を任意に設定することもできる。脱型後の製品はそのままでも使用できるが、従来公知の方法で圧縮又は減圧下でセルを破壊し、製品の外観、寸法を安定化させることもできる。
以下、更に、本発明の具体的実施例について述べるが、勿論本実施例のみによって本発明が限定されることはない。
〔アロファネート変性ポリイソシアネートの製造〕
合成例1
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量:1Lの反応器に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を975g、メタノールを25g仕込み、90℃で2時間ウレタン化反応を行った。反応生成物をFT−IRにて分析したところ、水酸基は消失していた。次に2−エチルヘキサン酸ジルコニウムを0.2g仕込み、90℃にて3時間反応させた。反応生成物をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は消失していた。次いで、リン酸を0.1g仕込み50℃で1時間停止反応を行った。停止反応後の反応生成物のイソシアネート含量は42.1%であった。この反応生成物を130℃・0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、イソシアネート含量が21.1%、25℃の粘度が118mPa・s、遊離のヘキサメチレンジイソシアネート含有量が0.1%、色数が20APHA、2官能成分が73%のポリイソシアネートP−1を得た。P−1をFT−IR、13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基はその存在が認められず、アロファネート基の存在が確認された。また、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基は痕跡程度認められた。
合成例2〜6
以下、同様にHDIとエタノールを用い、2−エチルヘキサン酸ジルコニルの存在下で、イソシアネート含量が20.0%、25℃の粘度が98mPa・s、遊離のHDI含有量が0.1%のポリイソシアネートP−2、HDIとイソプロパノールを用い、2−エチルヘキサン酸ジルコニルの存在下で、イソシアネート含量が19.3%、25℃の粘度が100mPa・s、遊離のHDI含有量が0.1%以下のポリイソシアネートP−3、HDIとPP−2000(ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、公称平均官能基数=2、数平均分子量=2,000)を用い、2−エチルヘキサン酸ジルコニルの存在下で、イソシアネート含量が6.0%、25℃の粘度が1,400mPa・s、遊離のHDI含有量が0.1%のポリイソシアネートP−4、HDIとGP−1500(ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、公称平均官能基数=3、数平均分子量=1,500)を用い、2−エチルヘキサン酸ジルコニウムの存在下で、イソシアネート含量が9.1%、25℃の粘度が2,500mPa・s、遊離のHDI含有量が0.1%のポリイソシアネートP−5を得た。更にイソホロンジイソシアネート(IPDI)とGP−1500を用い、2−エチルヘキサン酸ジルコニルの存在下で、イソシアネート含量が9.1%、25℃の粘度が3,000mPa・s、遊離のIPDI含有量が0.1%のポリイソシアネートP−6を得た。
Figure 2005048038
実施例1
反応容器中に、ポリオール成分として数平均分子量2,200、水酸基価(mgKOH/g)60のポリエステルポリオールA「ニッポランN−2200」(日本ポリウレタン工業製)、有機ポリイソシアネート成分としてイソシアネート「P−1」、触媒として1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−5「DBU」(サンアプロ製)、スタナスオクテート「Dabco T−9」(エアープロダクツ製)、トリレンジアミン塩とジブチルスズアセテートの混合物「Dabco DC−2」(エアープロダクツ製)及びビス−(ジメチルアミノエチル)エーテル「Toyocat ET」(東ソー製)を表2に記載の水、L−5309(日本ユニカー製)の配合比率で混合した。混合とともに発熱し、発泡して、ポリウレタンフォームが形成された。冷却、養生後、発泡体を切り出し、ポリウレタンフォームの特性を評価した。評価結果を表2に合わせて示した。
実施例2
反応容器中に、ポリオール成分として数平均分子量5,000、水酸基価34(mgKOH/g)のポリエーテルポリオールB「サンニックスFA−703」(三洋化成工業製)、有機ポリイソシアネート成分としてイソシアネート「P−1」、架橋剤として「ジエタノールアミン」(日本触媒化学製)、触媒としてジブチルチンジラウレート「Dabco T−12」(エアープロダクツ製)、「Dabco DC−2」及び「Toyocat ET」を表2に記載の水、DC−5169(エアープロダクツ製)の配合比率で混合した。混合とともに発熱し、発泡して、ポリウレタンフォームが形成された。冷却、養生後、発泡体を切り出し、ポリウレタンフォームの特性を評価した。評価結果を表2に合わせて示した。
実施例3〜9
実施例1及び2と同様の方法で各有機ポリイソシアネート成分として表1中にあるイソシアネート「P−2」〜「P−6」を用い、それぞれの成分を表2に記載の配合比率で混合した。実施例4〜7ではトリエチレンジアミンのDPG溶液「TEDA L−33」(東ソー製)を用いた。また、実施例5〜8ではポリオール成分として数平均分子量7,000、水酸基価24(mgKOH/g)のポリエーテルポリオールC「エクセノール851B」(旭硝子製)を使用した。混合とともに発熱し、発泡して、ポリウレタンフォームが形成され、養生後、発泡体を切り出し、ポリウレタンフォームの特性を評価した。評価結果を表2に合わせて示した。ただし、実施例8における有機ポリイソシアネートは表1に示されたイソシアネート「P−4」とIPDIを30:70の重量比率で混合、調整したものを使用し、実施例9においては、有機ポリイソシアネートとしてイソシアネート「P−3」とHDIの三量体及び三量体の混合物「コロネートHX」(日本ポリウレタン工業製;NCO%=21.3%)とを80:20の重量比で混合、調整したものを使用した。
Figure 2005048038
表2によれば、フォームの密度は使用する有機ポリイソシアネートの種類や水等の配合比率により高低は見られたが、フォーム製造時の反応性は実用上、特に問題とならない範囲であった。また、製造時及び養生期間での作業環境は良好であり、HDI等有機ポリイソシアネートに由来する不快な刺激臭等は感じられなかった。
紫外線変色は、フェードメーター試験機にて、紫外線を40時間連続照射し色差を比較した。その結果、いずれのフォームもΔYI値が5以下と良好な結果であった。
NOx変色は、JIS L0855「窒素酸化物に対する染色堅ろう度試験方法」に準じて実施した。その結果、いずれのフォームの場合もΔYI値が5以下と良好な結果であった。
熱変色では120℃のギアオーブン中に4時間放置し色差を比較した結果、ΔYI値が5以下と良好な結果であった。
比較例1〜4
実施例と同様の方法で表3に記載の各成分を各配合比率で混合した。混合とともに発熱し、発泡して、ポリウレタンフォームが形成された。冷却、養生後、発泡体を切り出し、ポリウレタンフォームの特性を評価した。評価結果を表3に合わせて示した。ただし、比較例1では触媒としてN−メチルモルフォリン「カオーライザ−No.21」(花王製)を使用し、有機ポリイソシアネートとしてトリレンジイソシアネート「コロネートT−80」(日本ポリウレタン工業製)を使用した。また、比較例2では有機イソシアネートとしてトリレンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニルイソシアネートが80:20の質量比で混合された「C−1021」(日本ポリウレタン工業製)を使用した。比較例3では有機ポリイソシアネートとしてHDI(日本ポリウレタン工業製)を使用した。比較例4ではポリオールDとして「1,4−PG」(出光BASF製)を使用した。
Figure 2005048038
比較例1、2においてはフォーム製造時の反応性は実用上、特に問題とならない範囲であったが、比較例3の場合においては発泡体表面が完全に硬化するまでに長時間を要したほか、不均一なセルであり、部分的につぶれた状態であった。またいずれの比較例の場合においても製造時及び養生期間でHDI等有機ポリイソシアネートに由来する不快な刺激臭等が強く感じられた。また、比較例4においては、HDI等の有機ポリイソシアネートに由来する不快な刺激臭は感じられず高密度のフォームが得られたが、非常に硬く柔軟性の無いフォームであった。更に製造時の発熱により得られたフォームは褐色に変色していたため変色試験を実施しなかった。
変色試験を実施例と同様の方法で実施した結果、比較例1、2においては著しい変色が認められた。比較例3は熱変色が劣る結果であった。

Claims (6)

  1. 有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、触媒(C)、発泡剤(D)、整泡剤(E)の混合液を反応発泡、硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、上記有機ポリイソシアネート成分(A)がアルコール性水酸基含有化合物(a−1)と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネート(a−2)とからなるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物を含み、公称平均官能基数が2〜6、数平均分子量が100〜20,000のポリオール(B)からなることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  2. 有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、触媒(C)、発泡剤(D)、整泡剤(E)の混合液を反応発泡、硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、前記有機ポリイソシアネート(A)は、アルコール性水酸基含有化合物(a−1)と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネート(a−2)とからなるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物並びに脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネートを含み、公称平均官能基数が2〜6、数平均分子量が100〜20,000のポリオール(B)からなることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  3. 前記有機ポリイソシアネート(A)は、アロファネート触媒(a−3)としてカルボン酸ジルコニウム塩の存在下、アルコール性水酸基含有化合物(a−1)と脂肪族系及び/又は脂環族系ジイソシアネート(a−2)を反応させて得られるアロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  4. 前記アルコール性水酸基含有化合物(a−1)は、少なくとも炭素数1〜40のモノオール化合物を含み、かつ、得られるアロファネート変性ポリイソシアネート組成物は、2官能成分を60質量%以上含有することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  5. 前記アロファネート変性有機ポリイソシアネート組成物は、遊離のヘキサメチレンジイソシアネートが1質量%以下の含有率であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  6. 前記触媒(C)が少なくともトリレンジアミン塩とジブチルスズアセテートを用いることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
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