JP2005042345A - 安全手摺 - Google Patents

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Noboru Okumura
昇 奥村
Tamotsu Kawai
保 河合
Shinichi Okumura
晋一 奥村
Yasuaki Osawa
泰明 大澤
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Abstract

【課題】概円棒状の安全手摺は、夫々、使用目的に応じ、外周面に滑り止めの凹凸等を付形したものや、外周面が平滑なものがあるが、握掴力等が劣る老人や婦女子にとって、手摺を確実に握掴し安全を確保することが難しく、人身事故の原因となっている。
【解決手段】五指の内、親指を除く、残りの四指の指腹面全部と、これらの四指の第三関節の屈曲部からなる握締面が概ね接触する範囲の外周面に、該手摺円周長の約25%以下の幅寸法からなる握掴側筋状凹凸を1〜7個、及び/又は、前記握締面を除く親指の指腹面と手の平面からなる支締面が概ね接触する範囲の外周面に、該手摺円周長の約25%以下の幅寸法からなる支握側筋状凹凸を1〜7個を、夫々、軸線方向に沿って形成させてなる安全手摺。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物や建造物の屋内外の歩行通路や浴室やトイレ等の動作壁面や介護器具や鉄道、船舶の動線の要部等に設けられ、歩行時、非歩行時を問わず、転倒防止や姿勢制御や体重支承等の安全に供される手摺に係り、特に、不測時には、瞬時に強い握掴力が得られ、滑り難く、安全確保が得やすい手摺に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の建築物や建造物の屋内外の壁面等に設けられる個別手摺や連続手摺は、各種の握掴構造のものが採用され、その殆どが、手で握り易く、滑り難いという設計が施されている。
【0003】
この種の技術としては、主として、浴室や玄関等の特定場所に設置される個別手摺と屋内外の通路等に沿って設けられる連続手摺があるが、これらの手摺の握り易さや、滑り難さの構造例として、特許文献1や特許文献2では、手摺の円周全面に軸線方向に沿って多数の凹凸条を設けた手摺が開示されている。この種の類似商品としては、手摺の下面半周面等の軸線方向に沿って多数の凹凸条を設けたもの(商品名:四国化成製セフティビームグリップタイプ)等がある。
【0004】
特許文献3では、手摺の軸線方向と交差する円周方向に複数の環状の凹凸条を形成させるものが記載されている。この種の類似商品としては、手摺の円周方向に沿って五指が触れる位置に複数の概指型状で非環状の凹型グリップ溝を付形し、五指の指腹部になじみ易くしたもの(商品名:積水樹脂製プラハンド)等が市販されている。
【0005】
これらの軸線方向や、円周方向に設ける凹凸条等に代えて、手摺の外周の全面又は部分に、独立した多数の小さな凹凸部を設け、滑り止めとする方法があり、特許文献4には、円周上に複数条の線材を介装させて格子状の多数の膨出凹凸部を形成させるものが開示されている。これらの特許文献1〜4に記載のもの等は、使用目的や使用条件を限定し、その範囲で望ましい軸線方向や、円周方向や、外周全体や部分に、滑り難さを考慮した凹凸等が付形されている。
【0006】
上記した如き、軸線方向や円周方向に設ける凹凸条や、外周の全体、又は、部分に、独立した小さな凹凸等を多数に形成させた個別手摺は、使用目的に応じ、それぞれ、五指の指腹面や手の平面への形状的な馴染みや、引っ掛かり等により、摩擦力を大きくして、滑りを防止するというものであるが、使用方向等の制約から、用途面での共用化が難しいという課題がある。
【0007】
一方、屋内外の公共設備等で設置されている手摺は、設置場所や、使用目的がまちまちで、使用者も老人や婦女子等を含む、不特定多数が利用するため、特定の滑り止め等の凹凸を施すことで、逆に危険性が増したり、使い勝手が悪くなる等の問題が発生する場合がある。このために、最も一般的で、無難な手摺として、外周面が平滑な、金属製、合成樹脂製、及び木製等の中実状体や中空状体の概円棒状の手摺が採用されている。又、最近は、公的な通路等では、老人や婦女子に配慮して、外周面が平滑な概円棒状の手摺を2段構造とし、手摺の外径も、大小2種類を配備して、安全性を向上させている。
【0008】
又、手摺の垂直下面側の軸線方向に沿って、ブラケット取り付け用の切欠き溝を連続して設けた中空状体(パイプ状体)の手摺(商品名:四国化成製セフティビーム 商品名: 商品名:積水樹脂製Eハンド)や、合成樹脂や、木製の、中実状体や中空状体の概円棒状で、手摺の垂直下面側の円弧部をカットした平面部や凹溝を連続して設ける等、施工性やデザイン性を配慮した手摺があり、前記切欠き溝を埋め戻す方法として、手摺の形状と概同形のアンダーカバー(特許文献2参照)等を嵌挿させ、切欠き溝を埋め戻す方法等のものがある。
【0009】
【特許文献1】実開昭59−79097(4〜5頁)
【特許文献2】実開平1−86895(4〜5頁)
【特許文献3】実開平6−58030(4〜5頁)
【特許文献4】特開平9−296580(4〜5頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記した特許文献1、2の軸線方向に沿って凹凸条を形成させるものは、手摺の全周に凹凸条が多数並ぶ配置となるので、円周方向の摩擦力が増加し、手摺に対面して握掴たり、立位からの座位等の姿勢転換や体重支承等には効果的である。しかしながら、歩行時には、軸線方向に軽く手を添えて歩行すると、全周に設けられた多数の凹凸条が手の平全体に引っかかり、抵抗感や、煩わしさを感じ、手摺面より手を浮かせて歩行することとなり、不測時の瞬時の握掴が不確実となる。通常、多数の凹凸条を握掴した時の各条毎の握掴力は総握掴力÷(総条数×握掴接触面積)で応力分散されるので、前記したように、肝心の握掴が不十分で握掴固定が困難となり、特に握掴力の弱い老人や婦女子には、軸線方向にも滑りやすく事故の原因となりやすかった。
【0011】
一方、これらの欠点を解決するため、手摺の上面側の概半周面を平滑面とし、下面側の概半周面の軸線方向に沿って、頂部や谷部を緩やかな円弧状とした凹凸状(セフティービームグリップタイプ)や、手摺の軸線方向に螺旋状の凹凸を設けたものは、該緩やかな円弧状の凹凸条の頂面に手を添えた時の抵抗感や違和感は軽減されるものの、その分、緩やかな円弧状ゆえに、その凹凸条の頂面に沿って滑り易く、通常の凹凸条の無い外周面がフラットな概円棒状の手摺と実質的に大差が無くなり、手が小さく、握掴力の弱い老人や婦女子にとっては安全性の確保が困難となる課題があった。
【0012】
又、手摺の円周方向に沿って複数の環状凹凸条を形成させたものは、先の例とは逆に、対面で握掴した場合、軸線方向への滑り防止に効果はあるが、軸線方向への歩行時には、凹凸条が手の平の全面に引っかかり煩わしく、そのため、手摺面より手を浮かせると不測時の瞬時の握掴が不確実となり、また、円周方向の各条毎の握掴力が応力分散されるので、相当に強く握らないと凹凸条が滑性の誘導溝となり、凹凸条に沿って滑りを生じることとなる。また、握掴面に、概指幅で複数の非環状の凹凸条のグリップ溝を連続して付形したものは、円周方向の滑り防止には効果があるが、歩行用としては、凹凸条が手に引っ掛かり不向きで、対面設置等の特定の個別手摺に限定される。
【0013】
又、手摺の表面に多数の小さな凹凸部を付形したものは、先の例と比較すると、方向性の制限は受け難いが、握締面や支締面に無数の接触点を確保することで摩擦力を高める構造となっているため、握掴力の弱い婦女子や老人では、凹凸毎の握掴力は、総握掴力÷(凹凸数×握掴接触面積)の数式から、凹凸の数に応じて応力分散され、逆に滑り易くなる欠点がある。また、本構造のものは、対面使用では効果があるが、歩行時には、無数の凹凸の手触りが煩わしく、手を浮かせる度合いが大きくなり、歩行用手摺としての適正は低い。
【0014】
このように、従来の軸線方向や円周方向に沿って凹凸条を形成させたものは、使用方向や使用姿勢によって、滑り止めの効果の差が大きくなり、使用目的以外の採用には適さず、トイレや浴室等の特定の個別手摺として用いられているに過ぎない。又、円周方向に複数の滑り止めの凹凸条を設たり、指型に沿って滑り止めの凹溝等を設けたものは、これらの凹溝が握締面や支締面との接触面積や接触点を増大させることとなり、逆に総握掴力が弱いと、単位接触面積当りの握掴力が低下し、握掴固定性を低下させる結果となり、滑り易さを引き起こすこととなる。このことは、高い握掴力で握掴した時のみに、その効果を奏することを意味し、握掴を躊躇する構造でありながら、緊急を要する時のみに、強い握掴力を要求することは、特に老人や婦女子には不適格なものであった。
【0015】
又、手摺の垂直下面側の軸線方向に沿って、ブラケット取付け用の切り欠き溝や、円弧状をカットした平面部や、凹溝を連続して設けた手摺を握掴した場合、最も高い握掴力を発現する五指の親指を除く四指の指先から第二関節までの指腹面の一部、又は、全部が、前記切り欠き溝や、平面部や、凹溝の位置と合致するため、指先が切り欠き溝内に陥没する等の握掴不全を起し、著しく握掴力の低下を招く等により、安全性が低下する欠陥がある。
【0016】
上記の欠点を排除するために、使用目的や利用者等が特定できない不特定の各種の個別手摺や、連続手摺等の用途では、一般的に、使用上の方向性等の制約を受け難い、外周面に凹凸の無いフラットな概円棒状の手摺が採用されることが多い。これらの外周面がフラットな概円棒状の手摺は、使用条件の制限や方向性の制約を受けないため、致命的な欠点は解消される反面、外周面を、より強く、より広く握り締めることで目的が達成されることから、握掴接触面積が大となり、握掴固定力が低くなり、円周方向や軸線方向を含む全方向に、総じて滑り易いという欠点がある。
【0017】
又、公的施設や家庭等の連続手摺は、通路に沿って、水平、昇り降り、曲がり、対面、垂直、螺旋状等、さまざまな形態で設置され、さらに、車両や船舶等では揺れや振動や慣性力等の過酷な条件も加わり、取り付け面も通路沿いや対面や垂直、天面等、さまざまな形態があり、手摺を握掴する姿勢や手の角度や握掴位置や握掴力も様々で、安全面での課題が多い。例えば、標準的な外径35mmの概円棒状の手摺でも、手摺を握掴する手首の掌握角度は、水平、昇り、降り、曲がり、螺旋位置等で夫々に変化し、それらの部位毎に握締面や支締面の握掴面積や中心位置が変動し、握掴力に大きな差が出る。しかし、特に事故の多い昇降、傾斜部や曲がり角等での握掴力の低下を防止する対策は、未だ成されていず、全長に亘ってフラットな手摺で統一されているのである。
【0018】
本発明によって解決すべき課題は、手摺が個別手摺や連続手摺の区別なく、手摺の使用目的が、例えば、トイレや浴室や玄関等で対面や垂直設置された個別手摺での姿勢制御や体重支承等や、水平、昇降、垂直、螺旋等の歩行使用であっても、電車やバスや船舶等の乗降等の姿勢制御等であっても、不測時には、安全確保が容易かつ確実にできることにある。又、平時に軽く手を添えている時は、手摺表面の凹凸が不快感とならず、不測時には、握掴力の弱い老人や婦女子であっても、瞬時に確実に握掴が出来、安全性が確保できることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、上記した従来技術の課題に対応した解決策を見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
即ち、上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、概円棒状の個別手摺や連続手摺等の安全手摺であって、手摺の外周面を握掴した際に、五指の内、親指を除く、残りの四指の指腹面全部と、これら四指の第三関節の屈曲部からなる握締面が概ね接触する範囲の外周面に、該手摺円周長の約25%以下の幅寸法からなる握掴側筋状凹凸を1〜7個、及び/又は、前記握締面を除く、親指の指腹面と、手の平面からなる支締面が概ね接触する範囲の外周面に、該手摺円周長の約25%以下の幅寸法からなる支握側筋状凹凸を1〜7個を、夫々、軸線方向に沿って形成させてなる安全手摺を内容とする。
【0021】
本発明の請求項2に係る発明は、握掴側筋状凹凸、又は、支握側筋状凹凸を構成する凹の深さ、及び/又は、凸の高さが、手摺の外周面に対し5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の安全手摺を内容とする。
【0022】
本発明の請求項3に係る発明は、握掴側筋状凹凸、又は、支握側筋状凹凸を構成する筋状凸が、その中心線を手摺の中心線からずらし、左右非対称の法面で形成させたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の安全手摺を内容とする。
【0023】
本発明の請求項4に係る発明は、2個以上の筋状凸を、手摺円周上で相互に対向、又は、非対向に形成させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の安全手摺を内容とする。
【0024】
本発明の請求項5に係る発明は、握掴側筋状凹凸、又は、支握側筋状凹凸を構成する凹、又は、凸の法面の内、少なくとも1の法面を手摺の中心線に沿って形成させるか、又は、中心線よりも内側に窪ませて形成させることを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれか1項に記載の安全手摺を内容とする。
【0025】
本発明の請求項6に係る発明は、安全手摺の本体に嵌挿溝を設け、請求項1、2、3、4、5のいずれか1項に記載の握掴側筋状凹凸、又は、支握側筋状凹凸を有し、該嵌挿溝に嵌挿可能な形状の(1)握掴側筋状凹凸部材、又は、(2)支握側筋状凹凸部材を準備し、更に加えて、嵌挿溝に嵌挿することで安全手摺の表面を平坦化しうる形状の(3)嵌挿溝埋設部材を準備し、該手摺本体に(1)〜(3)以上を嵌挿したことを特徴とする安全手摺を内容とする。
【0026】
本発明の請求項7に係る発明は、嵌挿溝を設けた個別手摺本体や連続手摺本体の軸線方向に沿って、異なる部位毎の設置目的や使用条件に応じ、最適箇所に(1)握掴側筋状凹凸部材、(2)支握側筋状凹凸部材、及び、(3)嵌挿溝埋設部材の1以上を選定し手摺本体に嵌挿させてなる請求項6に記載の安全手摺を内容とする。
【0027】
本発明の請求項8に係る発明は、請求項6、又は、7に記載の安全手摺を設置後、経年に伴って求められる手摺の機能の変化に応じ、(1)握掴側筋状凹凸部材、(2)支握側筋状凹凸部材、及び、(3)嵌挿溝埋設部材の1以上を再選定し、手摺本体に嵌挿し直すことを特徴とする安全手摺を内容とする。
【0028】
本発明の請求項9に係る発明は、外周面が平滑な概円棒状の既設手摺本体の適所に、請求項1、2、3、4、5のいずれか1項に記載の握掴側筋状凹凸、又は、支握側筋状凹凸を有する、(a)握掴側筋状凹凸補助部材、及び/又は、(b)支握側筋状凹凸補助部材を嵌挿してなる安全手摺を内容とする。
【0029】
本発明の請求項10に係る発明は、手摺の垂直下面側の軸線方向に沿って、ブラケット固定用の切欠き溝や、円弧面をカットした平面部や、凹溝を連続して設けた中空状体、又は、中実状体の概円棒状の手摺において、該切り欠き溝や、該平面部や該凹溝の全部、又は、部分に(a)握掴側筋状凹凸補助部材を設け、更に必要に応じて、支締面に(b)支握側筋状凹凸補助部材を嵌挿してなる安全手摺を内容とする。
【0030】
本発明の請求項11に係る発明は、嵌挿溝を設けた手摺本体の材質と、握掴側筋状凹凸部材や支握側筋状凹凸部材や嵌挿溝埋設部材の材質が、同種材料、又は、異種材料であることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の安全手摺を内容とする。
【0031】
本発明の請求項12に係る発明は、既設手摺本体の材質と、握掴側筋状凹凸補助部材や支握側筋状凹凸補助部材の材質が、同種材料、又は、異種材料であることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の安全手摺を内容とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明は、個別手摺や連続手摺の区別なく、手摺の設置目的や使用目的が、例えば、対面や垂直に設置された個別手摺の姿勢制御や体重支承等であっても、水平、昇降、垂直、螺旋等が連続する連続手摺の安全歩行であっても、電車やバスや船舶等の乗降や転倒防止であっても、軸線方向の握掴側筋状凹凸や支握側筋状凹凸等からなる最適の握掴構造を選択、設置することで目的が達成されるのである。
【0033】
又、設置目的や使用形態に応じて、個別手摺や連続手摺の軸線方向の必要部位毎に最適の握掴構造を、適宜、選択し、設置することが可能である長所を有する。
【0034】
又、本発明は、嵌挿溝を有する手摺本体に、例えば、新築時には、家族構成や年齢に合致した最適な握掴側筋状凹凸部材や支握側筋状凹凸部材や嵌挿溝埋設部材を嵌挿させて設置しうる。そして、経年や、高齢化に伴って求められる手摺の機能の変化に応じて、最適の握掴側筋状凹凸部材や支握側筋状凹凸部材や嵌挿溝埋設部材に変更する等、手摺の安全上のリニューアル化を可能とすることが出来る長所を有する。
【0035】
さらに、本発明は、すでに設置済みの既設の外周面がフラットな手摺や、ブラケット取付け用の切欠き溝や切欠き面を設けた手摺等であっても、該手摺の外周面に、本来の設置目的に適した握掴側筋状凹凸補助部材や支握側筋状凹凸補助部材を、嵌挿等により取り付け、本発明の握掴構造に、適宜、改良、改造することができる長所を有する。
【0036】
本発明の手摺(安全手摺)とは、握る、掴む、添える、支える、ぶら下る、押え押す等によって、歩行誘導補助や転倒防止や姿勢制御や体重支承や体勢転換等の安全を図るためのもので、公共建造物や建築物の屋内外や電車、船舶等輸送施設や介護機器等に設けられている概円棒状の握り掴み部を指す総称で、手摺や欄干や安全柵の上部横桟や天吊手摺や把手や電車の乗降握り縦棒等、多面的な用途に用いられているものを含む。
【0037】
本発明でいう個別手摺とは、玄関や浴室やトイレや電車等の乗降口やデッキや車椅子等の特定の場所に特定の目的で対面、垂直、傾斜、螺旋、屈曲、並列等で個別の場所に独立して設置される、主として短尺の手摺の総称である。
【0038】
本発明でいう連続手摺とは、屋内外の建造物や船舶等のデッキ等の通路に沿って、水平、昇降、折れ曲がり、垂直、螺旋等、概ね、連続的に設けられる、主として長尺の手摺の総称である。
【0039】
本発明の手摺の握掴構造とは、不測時等に概円棒状の手摺に掴まった時に、瞬時に、かつ、滑りや、ずれが無く、確実に握り掴むことが可能な握掴構造であって、手摺の外周面の軸線方向に沿って形成させる握掴側筋状凹凸や支握側筋状凹凸からなる手摺や、嵌挿溝を有する手摺本体と、(1)握掴側筋状凹凸部材や、(2)支握側筋状凹凸部材や、(3)嵌挿溝埋設材とからなる組立型の手摺や、既設の手摺本体に、(a)握掴側筋状凹凸補助部材や、(b)支握側筋状凹凸補助部材を取り付けた手摺等の断面構造を指す。
【0040】
本発明の手摺の性能は、手側の握締面と支締面が、手摺側の握掴面と支締面を確実に握掴すること確保される。この関係において、(イ)五指の親指を除く、他の四指の指腹全面と、四指の第三関節の屈曲部からなる握締面が概ね接触する範囲の手摺の外周面を、手摺側の握掴面と称する(図2参照)。又、(ロ)前記握締面を除く、親指の指腹面と、手の平面からなる支締面が概ね接触する範囲の手摺の外周面を、手摺側の支握面と称す(図2参照)。そして、手摺を握り掴む際に生じる握掴力とは、前記した手摺側の支握面を、握掴時の力学的な支点として、手側の握締面が手摺側の握掴面を、手側の支締面が手摺側の支握面を、相互に強く握り締めることを、握掴すると称し、握掴することにより、手摺を握り掴む力が発生し、これを握掴力という。
【0041】
この握掴力を増大させるには、握掴面や支握面で、軸線方向や円周方向を含む多面方向に滑りや筋肉のずれを生じさせない構造とすることが重要で、本発明では、握掴側筋状凹凸や支握側筋状凹凸を確実に握掴することで、手摺外周面での応力分散が抑制され、握掴側筋状凹凸部や支握側筋状凹凸部では、高い集中応力が発現し、円周方向や軸線方向を含む多面方向の滑りや、ずれを確実に防止できるので、従来の手摺の使用上の制約が解消されるのである。例えば、用途を特定して、円周方向や軸線方向や外周面に専用の凹凸や独立突起等を設けている従来の個別手摺の偏狭な使用上の制約等の課題が解消され、又、一般的に、最も無難な手摺として多用されている、外周面がフラットな概円棒状の個別手摺や連続手摺の課題も解消され、手摺に係わる安全性と信頼性が向上するのである。
【0042】
本発明の握掴側筋状凹凸とは、五指の内、親指を除く、残りの四指の指腹面全部と、これら四指の第三関節の屈曲部からなる握締面が概ね接触する範囲の外周面に、該手摺円周長の約25%以下の幅寸法からなる、握掴面の滑りと筋肉のずれを防止し握掴力を増大させるための、軸線方向に沿って形成させる筋状の凹凸をいう。支握側筋状凹凸とは、前記握締面を除く、親指の指腹面と、手の平面からなる支締面が概ね接触する範囲の外周面に、該手摺円周長の約25%以下の幅寸法からなる、支握面の滑りと筋肉のずれを防止し、握掴力を増大させるための力学的な支点となる、軸線方向に沿って形成させる筋状の凹凸をいう。
【0043】
握掴側筋状凹凸や支握側筋状凹凸が言う凹とは、概円棒状の外周輪郭線より内側に、軸線方向に沿って窪み状凹を形成させている形状、あるいは、凸と組み合わせることで、外周輪郭線より外側に突出して、軸線方向に沿って窪み状凹を形成させた形状であってもよく、握掴した際には、凹の形成面に接触する指腹部位や手の平部位の皮膚や筋肉が、該凹に適度に食い込み、又は、馴染み沿って、皮膚面の滑りや当該筋肉のずれを防止することが出来る凹形状を指す。但し、従来の手摺の垂直下面側にブラケット取付け用の切り欠き溝や、円弧面をカットした平面部や、筋状の凹溝を設けたものは、本発明の効果を著しく阻害するものであることから、本発明の凹とは、形成位置も、目的も、効果も、似て非なるものであって、これらのものは除外される。
【0044】
又、握掴面に1個の凹のみを形成させる場合は、親指を除く、四指の指先から第二関節までの指腹面が、凹に沿って適度に食い込み、又は、馴染んで該凹に沿うことにより、滑りや筋肉のずれを防止し高い握掴力を得ることを目的としていることから、凹の幅は、望ましくは、20mm以下、さらに望ましくは、15mm以下、最も望ましくは、10mm以下が適切である。又、握掴面における握掴側筋状凹凸の凹の形成に当たっては、1個の凹の単独形成より凹の複数形成が望ましく、更に望ましくは、凹と凸との組み合わせである。但し、支握面に形成させる支握面側筋状凹凸の凹にあっては、1個の凹の形成は、力学的な支点機能等の目的に合致しており望ましい。この支握面においても、複数の凹の形成や、凹と凸との組み合わせの構成であっても、その目的は充分達成されうる。
【0045】
握掴側筋状凹凸や支握側筋状凹凸が言う凸とは、概円棒状の外周輪郭線より大であって、手摺の軸線方向に沿って外側に向け筋状に隆起した凸であることを含め、凹の底面に手摺の外周輪郭線と同等の高さ、又は、低い高さで、外周面の外側に向けて筋状に隆起させ、これらの筋状凸を握掴することによって、指腹部位や手の平部位の皮膚や当該筋肉に筋状の凸が食い込み、皮膚面の滑りや筋肉のずれを防止することが出来る凸形状を指す。
【0046】
又、握掴側筋状凹凸や、支握側筋状凹凸を形成する法面とは、手摺の外周面の軸線方向に沿って、握掴側筋状凸や、支握側筋状凸を、筋状に形成させる左右両側の立上り面や、握掴側筋状凹や、支握側筋状凹を、筋状に形成させる左右両側の彫りこみ面を言う。この凹凸を形成する左右両側の法面を、適宜、対称形、非対称形にすることにより、該箇所の皮膚面の滑りや筋肉のずれ防止の方向性を付与することが出来、この法面の形状の如何で、その効果を増減させることが可能となる。又、例えば、2の非対称形の凸を対向して設けると、軸線方向を含む、円周方向の正、負側の、双方の滑りやずれを同時に防止でき、握掴側筋状凹凸や、支握側筋状凹凸の数や、法面の形態の組み合わせで、様々な目的に合致した手摺を、適宜、提供することが可能となる。
【0047】
本発明が、確実、かつ、安定した握掴構造を形成させる上で、最も重要なことは、手摺に係わる人体構造上の握掴時の欠点を、手摺の握掴構造で克服することにある。つまり、人体構造上、手は、手摺の構造如何を問わず、握掴する方向に曲げた時、五指の指腹と手の平の皮膚と筋肉は、手を広げた状態に比べ、完全に緩み、弛む、撓む状態となっており、例えば、フラットな概円棒状の手摺面と、指腹や手の平の皮膚面との間に、一切の滑りを生じさせない状態に握掴固定されたと仮定しても、指腹と手の平の筋肉は、緩み、弛む、撓む状態のままであり、この状態で、ある一定の力が作用した時、この筋肉の緩みや弛みや撓みは、円周上の皮膚面を介して多面方向に筋肉のずれを発生させ、実質的に手摺表面の滑りと同じ現象を生じさるので握掴が不安定となるのである。
【0048】
更に、これが、手の皮膚と手摺の表面との滑りを引き起こす誘発的な相関関係を形成し、これが原因となって、更に、握掴力の低下や、不安定な握掴状態を増大させているのであって、これらの相関関係を形成させない握掴構造とするで、本来の手摺に求められる高い握掴力と安定した握固定が得られるのである。
【0049】
又、手摺における総握掴力は、本来、属人的な握力や手の大きさ等に概比例的に発現されるが、手摺面と皮膚との滑りや筋肉のずれが生じると応力分散されやすく、又、握掴力を発現する支点がずれることで、握掴力は予想以上に低下する。そのため、手摺外周面に接触する握締面と支締面が、手摺を握掴した際には、握掴面や支握面のいずれか単独、又は、双方との間で発生する皮膚面での滑りや、筋肉のずれを生じさせない本発明の握掴構造とすることによって、加えられた総握掴力が、集中応力化し、安定した高い握掴力が確保できるのである。しかしながら、従来技術のように、円周方向や、軸線方向等に、ただ単に、方向性等の制約が多く、摩擦力の向上策や指型凹部での指固定力の増加等の滑り止め策を付加しても、接触面積が増え応力分散され滑り易くなったり、皮膚面の滑りは防止できても、筋肉のずれが防止できないか、せいぜい半減、減殺されるに過ぎないのである。
【0050】
本発明の手摺は、手摺に係わる人体構造上の課題である、手摺の外周面を握掴した際に生じる、皮膚面の滑りや、筋肉のずれによる握掴の不安定化等を解決するために、手摺の外周面を握掴した際に、五指の内、親指を除く、残りの四指の指腹面全部と、これら四指の第三関節の屈曲部からなる握締面が概ね接触する範囲の外周面に、該手摺円周長の約25%以下の幅寸法からなる握掴側筋状凹凸を1〜7個、及び/又は、前記握締面を除く、親指の指腹面と、手の平面からなる支締面が概ね接触する範囲の外周面に該手摺円周長の約25%以下の幅寸法からなる支握側筋状凹凸を1〜7個を、夫々、軸線方向に沿って形成することを特徴とする。
【0051】
通常、手摺は、不特定多数の人が利用し、同じ手摺でも、背の高さや、手の大きさや、手摺との位置関係等により、同じ水平部の手摺を握り締めても、個々人の適性に差が生じるのは当然であるが、現実には、設置目的と標準的な利用者の体形を基準に設置される。本発明も同じ考え方で、利用者の標準的な人を対象に設置されることが基本である。この場合、個々人の最適な握掴位置や、支握位置に差があっても、例えば、不特定多数を対称に、標準的に握り易いとされる外径35mmの手摺の握掴面や支握面の全部、又は一部に重複する位置に、該手摺円周長の約25%以下の幅寸法からなる握掴側筋状凹凸や、支握側筋状凹凸を設ければ、大人と子供ほどの差を除き、所期の目的は達成される。
【0052】
又、同じ握掴構造の手摺であっても、例えば、中、高等学校生等の、標準の大人より、体形が小さく、子供より体形が大きい人の利用頻度が多い場合、握掴筋状凹凸や、支握筋状凹凸の付形位置や手摺の取り付け角度を適方に振る等の対応で適応性が向上する。更に、又、使用者群に合せ、手摺の外径を変更したり、設置高さを設定すると更に望ましい。
【0053】
又、大人を標準に設計した本発明の手摺を、子供が使用した場合、子供にとって、最適な握掴構造とはいえないが、子供の手側の握締面や支締面の一部に該手摺円周長の約25%以下の幅寸法からなる握掴側筋状凹凸や、支握側筋状凹凸が重複して形成されていれば、皮膚面の滑りや、筋肉のずれを防止でき、従来のフラットな手摺より優れた握掴効果が発揮され、安全が確保されるのである。このように、予め、不特定多数を想定した手摺であれば、その前提で、握掴構造を前記条件に沿って適宜選定すれば、より望ましい手摺とすることが出来る。又、上下2段の手摺であれば、大人と子供の適性にあった握掴構造を、夫々、別途、選定し設置することは言うまでもない。
【0054】
握掴側筋状凹凸や、支握側筋状凹凸を、該手摺円周の約25%以下の幅寸法とする目的は、最も効果的な握掴位置や、支握位置に、該手摺円周の約25%以下の幅寸法からなる握掴側筋状凹凸や、支握側筋状凹凸を形成させることにより、握掴接触面積の増大や、応力分散が防止され、更に、凸部が、握締面や支締面の指腹や手の平の皮膚や、筋肉に効果的に食い込み、凹部では、凹形成面に沿って、指腹や、手の平の皮膚や、筋肉が馴染み沿い易く、滑りや、ずれを効果的に防止し、握掴時の力学的な支点の機能を高度に発揮するのである。
【0055】
握掴側筋状凹凸や、支握側筋状凹凸が握掴力の増大や滑りやずれの防止等を効率的に発揮するための凹凸の幅寸法は、望ましくは、該手摺円周長の約25%以下、更に望ましくは、約20%以下、更に望ましくは、15%以下が望ましいが、使用目的や利用者群や凹凸の構造やや形成寸法の大小や形成位置等から総合的に判断することが望ましく、特に限定するものではない。
【0056】
又、握掴側筋状凹凸や、支握側筋状凹凸を、該手摺の円周長の約25%以下の幅寸法とする別の目的は、筋状の凹凸を設けていない手摺面は、基本的には、凹凸の無いフラットな面で形成されるので、平時に軽く手を添えて歩行しても違和感が無く、フラットな手摺とほぼ同じ触感が得られ利点があり、又、平時に、指腹面や手の平面が、わずかに感じ取っている該手摺円周長の約25%以下からなる幅狭の筋状凹凸の触感は、不測時には確実に握掴出来るという、潜在的な安心感を利用者に与えるという潜在的効果も期待されるのである。
【0057】
握掴側筋状凹凸や、支握側筋状凹凸の形成数は、滑りや、ずれを効果的に防止するために、望ましくは、7個以下、さらに望ましくは5個以下、さらに望ましくは3個以下とすることが望ましいが、握掴効果は、凹凸の形成数と、凹凸構造や形状寸法等との相関で総合的に判断し決定すればよい。又、これらの凹凸の形成数の計数に当っては、例えば、凸に可撓性を付与するために、凸の下部の片側、又は、両側を手摺外周面より掘り込む場合の補助的な凹部(図5(a)参照)や、凸と凸の間に形成される谷部等の補助的な凹(図1(b)参照)等は、凹として計数されない。又、効果的な凹を形成させるために、凹の端面を手摺外周面よりも隆起させる場合(図6(b)参照)等の補助的な凸は、凸として計数しない。本発明で言う凹凸の計数は、握掴効果や支握効果を主的に発揮する凹凸の数を指し、例えば、凹凸の摩擦力を増大させるために、凹凸の頂面や法面に微細な突起や、窪み等を付形しても計数上には加えない。
【0058】
本発明の手摺本体の材質は、アルミや鉄等の金属製や合成樹脂等の押出品や木製等、さらに、これらの手摺の外周に、樹脂やゴム等を被覆させたものや、塗装したもの等、特に限定されるものではない。又、嵌挿溝を有する手摺本体と、握掴側筋状凹凸部材や、支握側筋状凹凸部材や、嵌挿溝埋設部材との構成や、既設手摺と握掴側筋状凹凸補助部材や、支握側筋状凹凸補助部材との構成において、これらの各種の部材を、摩擦力が高く、触感の良いゴム製や合成樹脂製等の異種材料による構成としてもよく、同種材料でもよく、軸線方向の部位毎に適宜組合わせることも可能で、特に限定するものではない。
【0059】
さらに、本発明の手摺は、軸線方向に沿って、握掴側筋状凹凸や、支握側筋状凹凸や、握掴側筋状凹凸補助材や、支握側筋状凹凸補助材や、嵌挿溝埋設材等の、手摺構成上の構成部材の選択肢が多岐に亘り、共用化が可能となる利点がある。例えば、従来のように、特定の手摺毎に多種少量生産を行う必要性が無くなり、個別手摺用途や、連続手摺用途であっても、予め、本発明の握掴構造で製造された、各種の握掴構造の手摺を適宜、選択、裁断し、任意の構成からなる個別手摺や連続手摺を、自由に選択、設置させることが出来るのである。
【0060】
又、連続手摺で、比較的安全度が高い水平部は、従来の表面が平滑な概円棒状の手摺とし、昇降部や折れ曲がり部や螺旋部等、危険性が増す部位には、本発明の握掴側筋状凹凸や、支握側筋状凹凸や、握掴側筋状凹凸補助材や、支握側筋状凹凸補助材等を、適宜、選択、組み合わせる等により、手摺の個性化や、汎用性や、安全性を更に向上させることができるのである。
【0061】
又、嵌挿溝を有する手摺本体と、握掴側筋状凹凸部材や、支握側筋状凹凸部材や、嵌挿溝埋設材、又は、既設手摺と握掴側筋状凹凸補助部材や、支握側筋状凹凸補助部材等の種々の組立方法に関して、本発明では、これらを総称して、嵌挿すると記載しているが、具体的には、嵌合、嵌挿構造や、接着や、釘止めや、被冠構造等の取り付け方法を含み、実質的に剥離、離脱しない方法であればよく、特に限定しない。
【0062】
本発明の握掴構造の効果が、最も効果的に発揮される手摺の外径は、不特定多数を前提とする場合は、望ましくは25mm〜45mm、さらに望ましくは、28mm〜38mmで、更に望ましくは、35mm前後が望ましいが、設置場所や傾斜度等の設置条件に合わせて適宜選定されればよく、特に限定するものではない。また、手摺の外殻形状は、概円棒状のものが望ましいが、楕円形の物でも、本握掴構造が効果的に採用できる形状のものであれば本発明に含まれ、断面が中空状体のものでも、木製等の中実状体でも特に限定するものではない。
【0063】
【実施例】
本発明は、上記の手摺に係わる人間工学的な解析に鑑み、種々の目的に沿う安全手摺を提供するものであり、以下、本発明の実施例を示して、更に詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。
【0064】
実施例1
本実施例の図1は、本発明の握掴構造を有する連続手摺の実施形態の1例を示すものである。図1(a)は、建造物AにブラケットBを介して敷設される、握掴側筋状凹凸2aを形成させた概円棒状の中実状体の手摺本体1aを、標準体形の大人が、歩行中の不測時に握掴する際の手Cの握掴状態を示す概念図である。安定的に高い握掴力を得るための基本的な構成は、握掴側筋状凹凸2aが、握締面の五指の内、親指を除く、残りの四指の指先から第二関節までの指腹面に当接されることが最も望ましいが、この基本をベースに、設置目的や使用条件等から総合的に判断すればよく、特に限定するものではない。
【0065】
本実施例の握掴側筋状凹凸2aの詳細は、図1(b)に示す通り、手摺本体1aの外周面の握掴面C1に、該手摺円周長の25%以下の幅寸法からなる、3個の握掴側筋状凹凸2aを設け、その中央の1の凸が、手摺本体1aの中心線上に、左右対称の法面2bからなる凸を形成し、他の左右非対称の法面2bで形成される2の凸が、前記1の凸と等距離の左右対象の位置に、手摺本体1aの中心線から、凸の中心線の角度をθ゜だけ振り、かつ、夫々の1の法面2bを、手摺本体1aの中心線に沿って形成し、他の法面2bが中央の1の凸の法面2bの下部と連続して形成させてなる握掴構造によってなされている。
【0066】
この握掴構造によって、不測時には、3個の凸の内、中心の1個の凸が中心線方向の、左右の2個の凸が、夫々、握締面5aの指腹の皮膚と筋肉に瞬時に食い込み、高い集中応力を発現することによって、円周方向や、軸線方向や、その他の多面方向への滑りと筋肉のずれを防止することが出来るのである。本実施例の握掴構造は、凹凸の数が3個であって、かつ、滑り止めの方向性を配慮した、左右非対称の凸形状を形成させているため、握り易く、滑り難く、ずれ難く、高い握掴力の確保も容易で、例えば、弱い握掴力の老人や婦女子であっても、又、多少の手の大小差があっても、確実に握掴出来、不測時には、多面方向に輻輳して発生する、人体の不安定で、不規則な動きの制動、制御、体重支承、転倒防止等に素早く対応が出来、安全性が確保されるのである。
【0067】
図1(b)は、最も一般的に採用されている、外径が35mmの手摺本体1aを例に、手摺本体1aの握掴面C1には、握掴側筋状凹凸2aを、支握面C1には支握側筋状凹凸3aを、該手摺円周長の20%以下の幅寸法で形成させた握掴構造の断面図である。握掴方向は、図1(a)と同じ方向から行われる引例として図示した。このように、握掴側筋状凹凸2aと、支握側筋状凹凸3aを、手摺本体1aの外周の概対称位置に設けると、支握側筋状凹凸3aが力学的な支点となり、握掴側筋状凹凸2aで、高い握掴力が発現されるのである。これらの、握掴側筋状凹凸2aと、支握側筋状凹凸3aの円周上の形成場所や付形角度は、本図の位置に限定されるものではなく、連続手摺や、個別手摺等の使用目的や、利用者等を考慮し、適宜、最適な位置や、角度で形成、敷設させればよい。
【0068】
図1(c)は、図1(b)の斜視図である。これらの握掴構造は、連続的に形成されることが望ましいが、ブラケット部や手摺の接続部や端部や曲がり部等、非連続部があっても、実質的に安全が確保されるものであればよい。又、対面設置等の個別手摺の場合、例えば、要部の握掴面C1にのみ、握掴側筋状凹凸2aや、支握面C2に支握側筋状凹凸3aを形成させ、端部は外周面がフラットな概円棒状としてもよい。又、連続手摺の場合、例えば、水平部は、握掴側筋状凹凸2aのみを形成させ、傾斜部等には、握掴側筋状凹凸2aと、支握側筋状凹凸3aを形成させる等、実用面から、適宜、選択、組合せれば、さらに、安全性が向上するので望ましい。
【0069】
実施例2
本実施例の図2(a)は、歩行中の標準の大人が、不測時に握掴する際の、手摺本体1aにおける手C側の握締面5aと支締面5bと手摺1a側の握掴面C1と支握面C2の相関関係の概念を示す断面図である。五指の内、親指を除く、他の四指の指腹面4bの全部と四指の第三関節の屈曲部面4cからなる握締面5aが手摺本体1aに概ね接触する範囲の外周面を手摺1a側の握掴面C1とし、親指の指腹面4aと手の平面からなる支締面5bが、手摺本体1aと概ね接触する範囲の外周面を、手摺1a側の支握面C2とする手摺本体1aを握掴した際の手Cと手摺本体1aの機能概念図である。
【0070】
この手摺本体1aの握掴面C1の範囲内に、握掴側筋状凹凸2aの全部、又は、一部が形成されることが望ましく、その一部の残余が支握面C2に、はみ出して形成される場合に限って、その残余の握掴側筋状凹凸2aが形成する範囲までを握掴面C1と定義するが、握掴面C1に握掴側筋状凹凸2aの全部が形成されることが最も望ましい。又、手摺本体1aの支握面C2の範囲内に、支握側筋状凹凸3aの全部、又は、一部が形成されることが望ましく、その一部の残余が握掴面C1に、はみ出して形成される場合に限って、その残余の支握側筋状凹凸3aが形成される範囲までを支握面C2と定義するが、支握面C2に支握側筋状凹凸3aの全部が形成されることが最も望ましい。かくして、支握側筋状凹凸3aが力学的な支点機能を発揮し、握掴側筋状凹凸2aで高い握掴力が発現されるのである。
【0071】
図2(b)は、手摺本体1aを握掴する際、五指の内、親指を除く、残りの四指の指腹面4bの全部と、該四指の第三関節の屈曲部4cからなる握締面5aと、前記握締面5aを除く、親指の指腹面4aと手の平面4dからなる支締面5bが、手摺本体1aを握掴する際の、手Cの握掴機能の概念図である。
【0072】
人間の手は、大きさや形状等、個々人差や、大人、子供、老人等、様々があり、定義として、手摺外周面の握掴面C1と支握面C2は、この範囲であって、手摺外周面を握り締める手Cの握締面5aと支締面5bはこの範囲であると、厳密に範囲を限定することは不可能であるが、手摺に係わる人間工学的な観点から、概ね、図2(a)、図2(b)の標準体の大人を基準とする安全手摺に係わる機能概念図に基き、夫々の設置目的に応じて、手摺本体1aの外周面に握掴側筋状凹凸2aや、支握側筋状凹凸3a等からなる最も望ましい握掴構造を形成させて握掴することによって高い安全性が確保されるのである。
【0073】
実施例3
本実施例の図3では、本発明の握掴構造が、連続手摺や、各種の個別手摺の握掴構造として、共通的に最適で 、かつ効果的であることを、外周面に握掴側筋状凹凸2aを設けた連続手摺1aを引例に、図3(a)、図3(b)、図3(c)、図3(d)の夫々の握掴形態図の実施例から明らかにする。例えば、連続手摺本体1aは、水平、昇り、降り、対面、垂直、螺旋、上下の懸架、体重支承、方向転換等、様々な目的で使用される。その際、図3(a)は水平歩行の握掴状態を、図3(b)は昇り時の握掴状態を、図3(c)は降りの握掴状態を、図3(d)は上下の懸架、支承の握掴状態を、夫々、表している。
【0074】
これらの図示例から、同じ握掴構造の手摺であっても、その使用形態毎に手Cの握掴角度が変化し、さらに、握掴面積や支握面積の増減、握締面5aや支締面5bの応力の中心部の変化や、総握掴力や四指毎の握掴力の増減等、その都度、安全性と握掴固定性が変化するのである。例えば、連続手摺1aにおいて、最も事故の多い降り時の握締面5aの応力の中心部が、人差指から小指方向にずれることで、握掴力は、昇りや水平時に比し大幅に低下するのである。従って、本来、手摺は、昇り、降り、曲がり等の危険箇所を中心に、使用部位毎に適した握掴構造とすることが望ましく、本発明では、使用箇所に適合した握掴構造を、適宜、選択、組み合わせることを可能としているのである。
【0075】
図3(d)は、手摺本体1aを、上下に押し上げ下げたり、引くことで体重支承しながら、様々な姿勢制御を行う特定の個別手摺1aの握掴構造例である。この場合、押す、引く、支える等の方向によって握掴力の差があると、転倒等の危険性が増す。そのため、本実施例では、握掴側筋状凹凸2aと支握側筋状凹凸3a、3bを設けることで、多面的な課題に対応することが出来るのである。
【0076】
実施例4
本実施例の図4は、図4(a)が、外周面の矢印方向への滑り防止を主体とする2個の握掴筋状凹凸2aを設けてなる浴室等の対面水平に設置する個別手摺1aの実施例である。手前に強く引くことで、2個の握掴筋状凹凸2aが握締面5aに食い込み、握締面5aの滑りと筋肉のずれを防止することで、体重を確実に支承して立ち上がる等、様々な対応に供される。握掴面C1には、左右の法面を非対称とし下方向に対峙するように、2個の握掴側筋状凹凸2aを形成させて、指腹面の皮膚や筋肉に食い込ませ、主に、矢印方向の滑りを防止させている。
【0077】
握掴側筋状凹凸2aが、効果的に滑りや筋肉のずれを効果的に防止するために、本実施例では、凸2aの高さを2mmとして、2個の凸条で十分な集中応力を確保し、さらに、凸の頂部に丸みを付与することで、強く握掴しても痛さや違和感の無い構造としている。又、浴室等の手摺1aにあっては、手摺1aの表面の水分付着は避けられないが、握掴側筋状凹凸2aが手に食い込み水分を除去できるので、従来の水で滑る心配は解消されるのである。
【0078】
又、図4(b)は、玄関やトイレ等の、対面垂直で設置された手摺本体1aの例で、握掴側筋状凹2cを中央に形成させ、左右面側に握掴側筋状凸2aを設けることで、主として、軸線方向や、円周方向の滑りや、筋肉のずれを防止させる。本実施例の握掴筋状凸2aを形成する法面2bは、左右非対称であって、その1の法面2bが、手摺本体1aの中心線より内側に窪ませて形成させることによって、手Cの握締面5aの指腹に堅固に食い込むため、円周方向や、軸線方向等の滑りや、筋肉のずれが防止でき、老人や婦女子等でも高い握掴力が得られるのである。
【0079】
通常、これらの個別手摺では、円周方向に凹凸を設けたものや、表面がフラットな垂直手摺1aが設置されているが、例えば、座位から立位等に体位を変換する時、手摺1aを掴む際の、手Cの角度が立ち上がり姿勢や、体位の移動で変化するため、握掴力が変動し不安定となり、多面方向に滑り易く、又、円周方向の凹凸に沿って握掴される指腹面4bは、体位が上下動をするに応じて追従し難い欠点がある。本実施例では、軸線方向の幅狭の2個の握掴側筋状凸2aと、1個の握掴側筋状凹2cが、握締面5aの皮膚や筋肉へ食い込んだ状態で、握りかえることなく、体位の上下動に追従して、握締面5aの応力の中心が、人差指から小指方向や、その逆方向にも、軸線方向上でスムースに移動出来るため、従来の手摺の滑りや握掴の不安定さの課題が解決されるのである。
【0080】
実施例5
本実施例の図5は、握掴側筋状凹凸2a、2cと支握側筋状凹凸3a、3cを設けた各種の握掴構造例である。図5(a)は、握掴面C1に握掴側筋状凸2aに可撓性を付与するため、両側に補助凹部を設けた1個の握掴側筋状凸2aを設け、支握面C2には、手摺本体1aの外周面を概底面とする支握側筋状凹3aを形成させる補助的な凸を両側に設けた例である。図5(b)は、握掴面C1に、1個の握掴側筋状凸2aの左右両側の法面2bを、手摺本体1aの中心線より内側に窪ませる請求項5に記載の構造とすることで、1個の握掴側筋状凸2aでありながら、円周上の正負方向の滑りを効果的に防止することが可能となり、支握面C2には、手摺本体1aの外周面を円弧状に彫りこんでなる1個の支握面側筋状凹3aを形成させて、支握面C2での滑りやずれを防止させることで高い握掴力を得るための力学的支点とする実施例である。
【0081】
図5(c)は、握掴側筋状凸2aと、支握側筋状凸3bの形状を同形とし、手摺本体1aの外周上に概対称位置に配した握掴構造例である。図5(d)は、握掴側筋状凹凸2a、2cと、支握側筋状凹3aが、手摺本体1aの外周面より突出させない構造であっても、高い握掴力が確保できる実施例である。握掴側筋状凸2aは、外周面と同じ高さとし、握掴筋状凹2cは、手摺本体1aの外周面から2mmの深さで掘り下げ、手摺本体1aの中心線に沿って、左右対称形の法面2bを形成させ、その底面中央に、握掴側筋状凸2aを形成させている。又、支握側筋状凹3aを、握掴側筋状凹凸2a、2cの概対称の外周上に、支握側筋状凹凸3aを円皿状に2.5mmの深さで形成させた握掴構造例である。この実施例は、手摺本体1aの外周面に突出部を形成させることなく、不測時には、瞬時に、高い握掴力が確保され、平時に手摺本体1aに軽く手を添えて歩行しても、違和感や不快感がなく、フラットな手摺とほぼ同等の触感が得られる。
【0082】
実施例6
本実施例の図6は、嵌挿溝20を有する中実状体の手摺本体1bや、中空状体の手摺本体1cと、嵌挿溝20に嵌挿する握掴側筋状凹凸部材6aや支握側筋状凹凸部材6bや嵌挿溝埋設部材6cとからなる組立構造の実施例である。図6(a)は、嵌挿溝20を有する中実状体の手摺本体1bの握掴面C1に、握掴側筋状凹凸部材6aを嵌挿させ、支握面C2には、嵌挿溝埋設材6cを嵌挿させた実施例である。握掴側筋状凹凸部材6aと、嵌挿溝埋設材6cの材質を、摩擦係数の高い、ゴムや樹脂等の弾性体とすると、握掴構造の効果は、さらに増大する。
【0083】
図6(b)は、嵌挿溝20を有する中実状体の手摺本体1bの握掴面C1に、握掴側筋状凹凸部材6aを嵌挿させ、支握面C2に支握側筋状凹凸部材6bを嵌挿させた実施例である。組立構造は、嵌合構造であっても、接着法でも、ネジ釘や被冠構造等、又、これらの組み合わせでもよく、使用中や、経時劣化で、実質的に脱落しない強度で組み立てられていればよく、特に限定しないが、手摺のリニューアル化のために、取替えを前提とした組立構造とすることが望ましい。
【0084】
図6(c)及び図6(d)は、嵌挿溝を有する金属製や樹脂等の中空状体の手摺本体1cの握掴面C1に、握掴側筋状凹凸部材6aを嵌挿させ、支握面C2に、支握側筋状凹凸部材6bを嵌挿させた実施例である。取付は、嵌合や、接着等で実施することが望ましいが、中空状体の手摺本体1cの構造や材質によって、適宜、最適な方法を選定すればよい。
【0085】
実施例7
本実施例の図7は、主として、概円棒状で表面がフラットな既設の中実状体の手摺本体10aや、既設の中空状体の手摺本体10bの外周面に、握掴側筋状凹凸補助部材7aと、支握側筋状凹凸補助部材7bを取り付けることにより、既設の手摺本体10a、10bを、本発明の握掴構造に改良、改造することが出来る実施例である。図7(a)は、中実状体の手摺本体10aの握掴面C1に、握掴側筋状凹凸補助部材7aを、支握面C2に、支握側筋状凹凸補助部材7bを、木ネジで取り付けた実施例である。
【0086】
図7(b)は、中実状体の手摺本体10aの握掴面C1に、手摺本体10aの外周下方向から、ゴムや樹脂製の柔軟性のある材料で被冠可能な構造に成型した、握掴側筋状凹凸補助部材7aを、被冠固定することによって、改造する実施例である。本実施例の、ゴムや樹脂製の柔軟性のある材料で、被冠可能な構造に成型した握掴側筋状凹凸補助部材7aや、支握側筋状凹凸補助部材7bを被冠固定する握掴構造は、本実施例の既設手摺10a、10bにのみ、適用されるものではなく、外周面がフラットな中実状体や、中空状体からなる連続手摺や個別手摺や、ブラケット取付用の切欠き溝や平面部や凹溝を有する手摺等に、適宜、被冠することによって、本発明の握掴構造とすることが可能であり、これらは、本発明の範疇に属する。
【0087】
図7(c)は、中空状体の手摺本体10bの外周の握掴面C1に、握掴側筋状凹凸補助部材7aを取り付けた実施例である。図7(d)は、中空状体の手摺本体10bの外周の握掴面C1に、握掴側筋状凹凸補助部材7aを設け、支握面C2に、支握側筋状凹凸補助部材7bを木ネジで取り付けた実施例で、取付に際しては、実施例2の記載に準じて行われることが望ましい。これらの実施例の如く、既設の外周がフラットな手摺であっても、本発明の握掴構造に、容易に、改良、改善することが可能で、安価で手摺の安全性が確保され手摺のリニューアルが可能となるのである。
【0088】
実施例8
本実施例の図8は、従来の中空状体で、手摺の垂直下面の軸線方向に沿ってブラケット取り付け用の切り欠き溝30を設けた手摺本体10cに、握掴側筋状凹凸補助部材7aを嵌挿する実施例である。手摺の垂直下面の軸線方向に沿ってブラケット取り付け用の凹溝を設けた手摺本体の改良、改善も本実施例に類似する方法で可能となる。図8(a)は、手摺本体10cの切り欠き溝30に握掴側筋状凹凸補助部材7aを嵌挿させ木ネジで固定した実施例である。図8(b)は、手摺本体10cの切り欠き溝30に嵌合係止することが可能な凹凸を設けた、ゴム弾性材料からなる握掴側筋状凹凸補助部材7aを嵌挿させた実施例である。
【0089】
図8(c)は、手摺本体10cの切り欠き溝30を含む、手摺本体10cの、少なくとも半周以上を被冠可能な構造に成形した、ゴムや、樹脂製の柔軟性のある材料からなる握掴側筋状凹凸補助部材7aを、握掴面C1側から被冠させて改造する実施例である。これらの被冠する固定方法は、実質的に、脱落、剥離しない方法であれば、特に、限定するものではなく、成形品の弾性力の利用や接着剤との併用等、適宜、実施すればよい。
【0090】
図8(d)は、図8(a)に示す、手摺本体10aの切り欠き溝30に、握掴側筋状凹凸補助部材7aが嵌挿されている状態の斜視図である。通常、これらの切り欠き溝30を設けた既設の手摺10cは、切り欠き溝30が、手摺10cの最下面に垂直に開口する形態で敷設されている。この切り欠き溝30の位置は、図2(a)に示す、手摺側の握掴面C1の範囲に一部がオーバーラップしていることから、この最下面の切り欠き溝30に、そのまま握掴側筋状凹凸補助部材7aを嵌挿すれば、本発明の効果は発揮されるが、さらに望ましくは、切り欠き溝30を、図2(a)に示す握掴面C1の方向に再設定して嵌挿することで握掴面C1に掴側筋状凹凸補助部材7aの全部を形成させることが出来、その効果が向上する。又、別の対応では、切り欠き溝30の位置は既設の侭とし、握掴側筋状凹凸補助部材7aの凹凸の全部が、図2(a)に示す握掴面C1の範囲に形成される構造の成形品として被冠する方法も、握掴効果を向上する上で望ましい。
【0091】
上記実施例において、図1〜図8に、夫々、中実状体の手摺や、中空状体の手摺本体等を引例に、各種の握掴構造例を表したが、いずれも、図示した手摺本体の種類に限定されるものではなく、又、図示した夫々の握掴構造例は、手摺本体が中実状体、中空状体を問わず、個別手摺や連続手摺であることを問わず、夫々に、適用できることは言うまでもない。
【0092】
【発明の効果】
叙上のとおり、本発明の安全手摺及びその握掴構造は、各種の個別手摺や連続手摺等の区別なく、夫々の設置目的に沿って、軸線方向に沿って、握掴側筋状凹凸の1〜7個、及び/又は、支握側筋状凹凸の1〜7個からなる握掴構造を適宜形成させることで、応力分散が抑制され、効果的に滑りや、筋肉のずれが防止でき、握掴力の弱い老人や、婦女子等であっても、高い安全性が確保できる。
【0093】
又、必要に応じて、個別手摺や、連続手摺の個別部位毎に求められる、その箇所の最適な握掴構造を、適宜、選択、構成することができるので、さらに安全性と信頼性が向上する。
【0094】
又、本発明の安全手摺及びその握掴構造は、既設の外周面がフラットな手摺の外周面に、本来の該手摺の設置目的や、特定部位毎の必要機能に合せて、最適な握掴側筋状凹凸補助部材や、支握側筋状凹凸補助部材を取り付けることによって、既設手摺であっても、本発明の握掴構造に、容易に、かつ、安価で、改良、改造することができる。
【0095】
さらに、本発明は、嵌挿溝を有する組立型の手摺本体と、最適な握掴側筋状凹凸部材や、支握側筋状凹凸部材、又は、嵌挿溝埋設部材で組立て、設置し、経年後の、その時点における、最適な握掴側筋状凹凸部材や、支握側筋状凹凸部材や、嵌挿溝埋設部材を取り替えることで、安価で、安全な手摺のリニューアル化が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の安全手摺の握掴構造を示す断面図と斜視図である。
【図2】本発明の安全手摺とそれを掴む手の夫々の握掴機能の概念を示す断面図と平面図である。
【図3】本発明の安全手摺の他の実施例を示す平面図である。
【図4】本発明の安全手摺の他の実施例を示す断面図である。
【図5】本発明の安全手摺の他の実施例を示す断面図である。
【図6】本発明の安全手摺の他の実施例を示す断面図である。
【図7】本発明の安全手摺の他の実施例を示す断面図である。
【図8】本発明の安全手摺の他の実施例を示す断面図と斜視図である。
【符号の説明】
A 建造物
B ブラケット
C 手
C1 握掴面(手摺側)
C2 支握面(手摺側)
1a 手摺本体(中実状体)
1a 嵌挿溝を有する手摺本体(中実状体)
1b 手摺本体(中空状体)
2a 握掴側筋状凸(握掴側筋状凹凸)
2b 法面
2c 握掴側筋状凹(握掴側筋状凹凸)
3a 支握側筋状凹(支握側筋状凹凸)
3b 支握側筋状凸(支握側筋状凹凸)
4a 親指の指腹面
4b 四指の指腹面
4c 四指の第三関節
5a 握締面(手側)
5b 支締面(手側)
6a 握掴側筋状凹凸部材(握掴側筋状凹凸)
6b 支握側筋状凹凸部材(支握側筋状凹凸)
6c 嵌挿溝埋設部材
7a 握掴側筋状凹凸補助部材(握掴側筋状凹凸)
7b 支握側筋状凹凸補助部材(支握側筋状凹凸)
10a 既設手摺本体(中実状体)
10b 既設手摺本体(中空状体)
10c 既設手摺本体(切り欠き溝付中空状体)
20 嵌挿溝
30 切り欠き溝

Claims (12)

  1. 概円棒状の個別手摺や連続手摺等の安全手摺であって、手摺の外周面を握掴した際に、五指の内、親指を除く、残りの四指の指腹面全部と、これら四指の第三関節の屈曲部からなる握締面が概ね接触する範囲の外周面に、該手摺円周長の約25%以下の幅寸法からなる握掴側筋状凹凸を1〜7個、及び/又は、前記握締面を除く、親指の指腹面と、手の平面からなる支締面が概ね接触する範囲の外周面に、該手摺円周長の約25%以下の幅寸法からなる支握側筋状凹凸を1〜7個を、夫々、軸線方向に沿って形成させてなる安全手摺。
  2. 握掴側筋状凹凸、又は、支握側筋状凹凸を構成する凹の深さ、及び/又は、凸の高さが、手摺の外周面に対し5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の安全手摺。
  3. 握掴側筋状凹凸、又は、支握側筋状凹凸を構成する筋状凸がその中心線を手摺の中心線からずらし、左右非対称の法面で形成させたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の安全手摺。
  4. 2個以上の筋状凸を、手摺円周上で相互に対向、又は、非対向に形成させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の安全手摺。
  5. 握掴側筋状凹凸、又は、支握側筋状凹凸を構成する凹、又は、凸の法面の内、少なくとも1の法面を手摺の中心線に沿って形成させるか、又は、中心線よりも内側に窪ませて形成させることを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれか1項に記載の安全手摺。
  6. 安全手摺の本体に嵌挿溝を設け、請求項1、2、3、4、5のいずれか1項に記載の握掴側筋状凹凸、又は、支握側筋状凹凸を有し、該嵌挿溝に嵌挿可能な形状の(1)握掴側筋状凹凸部材、又は、(2)支握側筋状凹凸部材を準備し、更に加えて、嵌挿溝に嵌挿することで安全手摺の表面を平坦化しうる形状の(3)嵌挿溝埋設部材を準備し、該手摺本体に(1)〜(3)の1以上を嵌挿したことを特徴とする安全手摺。
  7. 嵌挿溝を設けた個別手摺本体や連続手摺本体の軸線方向に沿って、異なる部位毎の設置目的や使用条件に応じ、最適箇所に(1)握掴側筋状凹凸部材、(2)支握側筋状凹凸部材、及び、(3)嵌挿溝埋設部材の1以上を選定し手摺本体に嵌挿させてなる請求項6に記載の安全手摺。
  8. 請求項6、又は、7に記載の安全手摺を設置後、経年に伴って求められる手摺の機能の変化に応じ、(1)握掴側筋状凹凸部材、(2)支握側筋状凹凸部材、及び、(3)嵌挿溝埋設部材の1以上を再選定し、手摺本体に嵌挿し直すことを特徴とする安全手摺。
  9. 外周面が平滑な概円棒状の既設手摺本体の適所に、請求項1、2、3、4、5のいずれか1項に記載の握掴側筋状凹凸、又は、支握側筋状凹凸を有する、(a)握掴側筋状凹凸補助部材、及び/又は、(b)支握側筋状凹凸補助部材を嵌挿してなる安全手摺。
  10. 手摺の垂直下面側の軸線方向に沿って、ブラケット固定用の切欠き溝や、円弧面をカットした平面部や、凹溝を連続して設けた中空状体、又は、中実状体の概円棒状の手摺において、該切り欠き溝や、該平面部や該凹溝の全部、又は、部分に(a)握掴側筋状凹凸補助部材を設け、更に必要に応じて、支締面に(b)支握側筋状凹凸補助部材を嵌挿してなる安全手摺。
  11. 嵌挿溝を設けた手摺本体の材質と、握掴側筋状凹凸部材や支握側筋状凹凸部材や嵌挿溝埋設部材の材質が、同種材料、又は、異種材料であることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の安全手摺。
  12. 既設手摺本体の材質と、握掴側筋状凹凸補助部材や支握側筋状凹凸補助部材の材質が、同種材料、又は、異種材料であることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の安全手摺。
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