JP2006280837A - 転倒しにくい杖 - Google Patents

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Hiroaki Morita
寛明 盛田
Taiji Sagawa
泰司 左川
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Abstract

【課題】 物や身体に立て掛ける等した場合に転倒しにくい杖を提供すること。
【解決手段】 本杖はその表面に滑り止め材が被覆されており、基材と一体成型されていることを主たる構成とする。該滑り止め材は、杖の握り部1全体の表面に被覆することも、また杖の柄部2下端の杖先ゴムキャップ取り付け部を除いた柄部2全体の表面に被覆することも、またそのいずれにも被覆するものとすることもできる。柄部2の横断面形状は、四角形等の線接触ないし回転抵抗のある形状とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は転倒しにくい杖に係り、特に、簡易な構成により、杖を物に引っ掛けて置いた場合、物や身体に立て掛けて置いた場合の転倒を効果的に防止することのできる、転倒しにくい杖に関する。
高齢者・障害者の障害予防ならびに日常生活活動およびQOLの向上をめざす場合のリスク回避として、対象者の転倒予防の方策が急務となる。地域の高齢者・障害者が杖を使用することにより、立位・歩行時の安定性の増加、および歩行時の駆動性と制動性の向上を図ることができる。また適切な杖の処方により、歩行距離の増大および歩容の改善をもたらし、転倒の予防に大いに貢献する。適切な杖の使用がADL自立度や意欲の向上に結びつくことも明らかであり、杖は高齢者・障害者の生活に欠かせないものといえる。
杖に関する先行研究は従来、立ち上がり・立位・歩行時の機能的性能面にとどまっている。高齢者および障害者には、T字杖が多用されているが、従来のT字杖の表面の材質は金属製(アルミ等)、樹脂製、木製(表面に塗装皮膜)等であるために滑りやすい。したがって、杖を、立位・座位で自分の身体に立て掛けたり、壁や柱、または椅子等に立て掛けて置いた場合に、杖が床面に転倒してしまうことが多々見受けられる。例をあげると、杖を、壁や柱、または自動車や電車等の座席に安易により掛けて置く場面、あるいは、使用者が立位および座位で、杖を安易に自分の身体により掛けて置く場面などである。
高齢者や障害者は、下肢筋力やバランス能力の低下、腰痛等を呈することが多く、この場合、立位または座位姿勢で床上の物を拾う動作は困難であり、また、その拾う動作を無理に行えば本人の転倒および腰痛の増悪等、さらなる障害が発生する可能性が大きい。特に脳卒中片麻痺者においては、立位〜床上動作は基本動作中、最も難易度の高い動作である。このため、床上に転倒した杖を拾おうとする場合、使用者が転倒する危険性、転倒したことによる骨折・脳外傷等、二次的な障害、および腰痛の増悪などが生ずるおそれがある。
かかる状況の中、杖についての種々の提案が特許出願等によりなされているが、その一部を記す。
特開2001−286315号公報「つえ」。 特開2002−306217号公報「立て掛けた際に転倒しづらい、懸垂させた際に落下しづらい杖」。 特開2001−204525号公報「杖」。 実用新案登録第3064598号公報「杖」。
しかしながら、これら特許文献に開示されている技術はいずれも、下記のような問題点の少なくとも一つを有している。
(I)杖の特徴的機能を発揮させるためには、杖を置く床面、立て掛ける物、より掛ける物、引っ掛ける面等の形状が限定され、不便である。
(II)使用時に、杖の特定の面を立て掛ける面等に向けたり、高さに合わせる必要があるなど、使用時の方向性が限定され、不便である。
(III)かえって握りにくくなり、立位・歩行時のバランスが低下し、むしろ危険性が増大する恐れがある。
(IV)杖を使用する者の身体機能、床面の状態、積雪等の気候等の条件により、杖先ゴムキャップの交換が必要な場合も、杖の特徴的機能上、杖先ゴムキャップの交換が不可能である。
(V)構成が複雑であったり、一般的な杖の外観の範疇を外れ、使いにくい。
かかる従来技術の各問題点を踏まえ、高齢者・障害者において使用頻度の高いT字杖において、物に引っ掛けて置いた場合、物や身体に立て掛けて置いた場合等、日常生活場面で遭遇するあらゆる杖使用場面において転倒しにくい機能・構造を有した杖を提供できれば、使用者の生活環境改善および障害予防にも確実に資することができる。
つまり本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を除き、簡易な構成により、杖を物に引っ掛けて置いた場合、物や身体に立て掛けて置いた場合の転倒を効果的に防止することのできる、転倒しにくい杖を提供することである。
本願発明者は上記課題について検討した結果、杖表面の構造および断面形状を工夫すること等によって上記課題の解決が可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下のとおりである。
(1) 杖の表面に滑り止め材が被覆されており、基材と一体成型されていることを特徴とする、転倒しにくい杖。
(2) 杖の握り部全体の表面に滑り止め材が被覆されており、基材と一体成型されていることを特徴とする、転倒しにくい杖。
(3) 杖の柄部下端の杖先ゴムキャップ取り付け部を除いた柄部全体の表面に滑り止め材が被覆されており、基材と一体成型されていることを特徴とする、転倒しにくい杖。
(4) 前記滑り止め材にポリ塩化ビニルもしくはサーモプラスティックエラストマーが含有されていることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の転倒しにくい杖。
(5) 前記柄部の横断面形状における断面重心から該断面形状の外郭線の一点までの距離とは異なる距離の、該外郭線上の一点が存在することにより、回転抵抗があることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載の転倒しにくい杖。
(6) 前記柄部の横断面形状の外郭線が直線部分を含むものであることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載の転倒しにくい杖。
(7) 前記柄部下端には杖先ゴムキャップ取り付け部があり、該杖先ゴムキャップ取り付け部を除いた柄部全体の横断面形状が、概略n角形(3≦n≦8)であることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載の転倒しにくい杖。
(8) 前記柄部下端には杖先ゴムキャップ取り付け部があり、該杖先ゴムキャップ取り付け部を除いた柄部全体の横断面形状が、概略正n角形(3≦n≦6)であることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載の転倒しにくい杖。
(9) 前記杖先ゴムキャップ取り付け部は横断面形状が円形であり、これに杖先ゴムキャップが脱着可能であることを特徴とする、(1)ないし(8)のいずれかに記載の転倒しにくい杖。
本発明の転倒しにくい杖は上述のように構成されるため、これによれば、簡易な構成により、杖を物に引っ掛けて置いた場合、物や身体に立て掛けて置いた場合の転倒を効果的に防止することができる。
具体的には、本発明の杖を用いると、杖を壁・机面端・座席面端・身体等に立て掛ける場合、および机面縁に引っ掛ける場合において、杖の方向性や立て掛けたり引っ掛けたりする面の形状を気にすることなく無造作にこれらの動作を行っても、杖の転倒防止を容易に行うことができる。杖基材と滑り止め材が一体成型されているため、使用者が滑り止め材を貼り付ける手間、および長期間の使用や汗雨等が付着しての繰り返し使用等による握り部の滑り止め材の剥がれといった問題が生じない。また、握り部の滑り止め材の継ぎ目や貼り付け段差がないため握りやすく、歩行・立位バランスが向上するとともに握り部からの手の滑りを防止できる。その上、構成は簡易であり、杖としての外観も何ら損なわれる点がない。
以下、本発明を図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の転倒しにくい杖の構成を示す説明図である。また、
図1−2は、本発明の柄部の横断面を示す説明図である。これらに図示するように本杖は、その表面に滑り止め材4が被覆されており、基材10と一体成型されていることを、主たる構成とする。従来のように、市販の杖等に接着剤塗布面等で貼り付けるのではなく、製造段階で握り部基材と一体成型される。図1では、杖先ゴムキャップ3が装着された状態が示されている。
該滑り止め材4は、杖の握り部1全体の表面に被覆することも、また杖の柄部2下端の杖先ゴムキャップ取り付け部5(図5)を除いた柄部2全体の表面に被覆することも、またそのいずれにも被覆するものとすることもできる。
該滑り止め材4としては、滑り止め効果を奏することのできる適宜の材料を用いることができるが、特に滑り止め材として、ポリ塩化ビニルもしくはサーモプラスティックエラストマーが含有された材料を用いることができる。滑り止め材4としてはその柔軟性にも配慮し、握り部1を被覆したときに基材10に密着して握り部1形状が浮き出るような材質にすれば、取り扱いに便宜である。
特にサーモプラスティックエラストマーは、高分子としてゴムとプラスティックの中間の位置づけであり、ゴム原料の選択性によって耐熱性、耐油性、対抗性、着色性、対摩耗性、成型性、摩擦係数等の物理特性が広範囲に選択可能である。したがって、握り部の凹凸形状に密着させ、かつ、滑り止め性能を有する素材として適している。
かかる構成により本発明の転倒しにくい杖は、物や身体に引っ掛けられたり立て掛けられたりしている状態から、杖先(5)を中心にした回転運動等によって転倒させるような力が加わった場合であっても、該滑り止め材4による摩擦力に基づく滑り止め効果によって、容易には転倒せずに、引っ掛かけられた状態もしくは立て掛けられた状態を維持することができる。
図2は、本発明の転倒しにくい杖の柄部の横断面形状の基本的な形成例を示す断面図である。図示するように本杖では、その柄部の横断面形状を、横断面形状における断面重心Gから該断面形状の外郭線の一点P1までの距離とは異なる距離の、該外郭線上の一点P2が存在するような形状に形成するものとすることができる。
かかる構成により本杖では、該柄部が回転しようとする場合に回転抵抗が生じ、そのために物や身体に引っ掛けられたり立て掛けられたりしている状態から、柄部に対し、杖先を中心にした回転運動によって転倒させるような力が加わった場合であっても、該回転抵抗によって容易には回転せず、したがって転倒しにくくなり、引っ掛かけられた状態もしくは立て掛けられた状態を維持することができる。
図3は、本発明の転倒しにくい杖の柄部の横断面形状の別の形成例を示す断面図である。図示するように本杖は、その柄部の横断面形状として、外郭線に直線部分を含む形状を用いることができる。ここで、図示した3例はあくまでも例示であり、本発明はかかる形状のみに限定されるものではない。
かかる構成により、図2により説明した構成を備えて回転抵抗を有することができ、物や身体に引っ掛けられたり立て掛けられたりしている状態から、柄部に対し、杖先を中心にした回転運動によって転倒させるような力が加わった場合であっても、断面が円形の場合と異なり点接触ではなく線接触となり、回転抵抗を生じ、滑り止め材の摩擦力と相まって該回転抵抗によって容易には回転せず、したがって転倒しにくくなり、引っ掛かけられた状態もしくは立て掛けられた状態を維持することができる。
図4は、本発明の転倒しにくい杖の柄部の横断面形状の別の形成例を示す断面図である。図示するように本杖は、その柄部の横断面形状として、杖先ゴムキャップ取り付け部を除いた柄部全体の横断面形状が概略n角形(3≦n≦8)である形状を用いることができる。あるいはまた、概略正n角形(3≦n≦6)である形状を用いることもできる。ここで、図示した4例はあくまでも例示であり、本発明はかかる形状のみに限定されるものではない。
かかる構成により、図2により説明した構成を備えて回転抵抗を一層大きく有することができ、物や身体に引っ掛けられたり立て掛けられたりしている状態から、柄部に対し、杖先を中心にした回転運動によって転倒させるような力が加わった場合であっても、線接触による回転抵抗と滑り止め材の摩擦力とが相まって転倒しにくい効果を大きくすることができ引っ掛かけられた状態もしくは立て掛けられた状態を維持することができる。
特に、該柄部の横断面形状を四角形とすることにより、机縁等に立て掛ける等した場合、断面が円形の場合と異なり、点接触ではなく線接触となり、滑り止め材の摩擦力と相まって転倒しにくい効果を大きくすることができる。
図5は、本発明の転倒しにくい杖の別の構成を示す、杖先部の斜視図である。図示するように本杖は、前記杖先ゴムキャップ取り付け部5の横断面形状が円形であり、これに杖先ゴムキャップ13が脱着可能である構成とすることができる。 かかる構成により、上述した本発明杖の転倒しにくい効果を維持しつつ、通常、従来の杖の柄の横断面形状に合わせて円形に形成された嵌め込み穴部を有する市販の杖先ゴムキャップ13を、必要に応じて容易に着脱、交換することができる。
該杖先ゴムキャップ取り付け部5は、たとえば断面形状が直径20mm程度の円形に形成し、滑り止め材が被覆されていないものとすることができる。杖先ゴムキャップ13は多種多様の物が市販されており、高齢者・障害者の場合、キャップ低の形状、底の面積、高さ、ゴムの材質等について身体機能、動作能力、積雪等の気候、使用場所の内外等の条件に適合させるよう選択のニーズがあるが、本発明ではこの選択交換が容易に可能である。
本発明杖の製造においては、滑り止め材は、柄部下端の杖先ゴムキャップ取り付け部を除く柄部全体に被覆し、製造段階で握り部基材と一体成型する方法を採ることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。
<実施例1>
図6は、本発明杖の実施例1について、これを壁や柱等に立て掛けている状態を示す説明図である。この例では壁(柱)100に斜めに杖を立て掛けている。壁(柱)との接触部分である握り部21の表面には滑り止め材が被覆されている。この滑り止め材は握り部全面にわたって被覆されているため、無造作に立て掛けた場合、壁面と平行方向および垂直方向に斜めに立て掛けても杖の転倒の可能性を少なくできる。また、またどのように置いても握り部21の一部が必ず壁(柱)と接することにより転倒の可能性を少なくできるため、立て掛けるときの杖の方向性を気にすることなく立て掛けが可能である。
さらに立て掛ける壁(柱)の形状が壁のように平面である場合に限らず、杖との接点部においてカウンターの淵のような線状、あるいは窓枠の出っ張りのような点状、あるいはまた曲面状、段差状等の形状であっても、握り部21の一部が必ず壁(柱)と接することにより転倒の可能性を少なくできるため、立て掛ける物の形状を気にすることなく立て掛けが可能である。この2点により、立て掛けたときに、立て掛け動作時間の短縮や立て掛けるときの気苦労をせずにすむことが期待できる。杖先ゴムキャップ23と床面101との摩擦力による相乗効果で立て掛けた杖の転倒の可能性をさらに少なくできる。
<実施例2>
図7は、本発明杖の実施例2について、これを立位の使用者の身体に立て掛けている状態を示す説明図である。この例では、滑り止め材が握り部全面にわたって被覆されているため、無造作に身体Hに立て掛けた場合でも、体幹と平行方向および垂直方向に斜めに立て掛けても杖の転倒の可能性を少なくできる。また、どのように置いても握り部の滑り止め材一部が必ず身体の衣服と接することにより転倒の可能性を少なくできるため、立て掛けるときの杖の方向性を気にすることなく立て掛けが可能である。
さらに杖を身体に立て掛けたまま使用者が他の動作・作業等のために身体を移動・動揺させても、握り部側面および柄部220の一部の滑り止め材が身体衣服と接触していることによる摩擦力により、杖の転倒の可能性を少なくできる。したがって、立て掛けたときに、立て掛け動作時間の短縮および立て掛けるときの気苦労の減少が期待でき、立て掛けたまま他の動作・作業の遂行が可能となる。杖先ゴムキャップと床面との摩擦力による相乗効果で立て掛けた杖の転倒の可能性をさらに少なくできる。
<実施例3>
図8、9は、本発明杖の実施例3について、これを机面端等に立て掛けている状態を示す説明図である。図8の例では、机面102縁等に斜めに杖を立て掛けている。滑り止め材は下端の杖先ゴムキャップ部を除いて柄部32の全面にわたって被覆されているため、無造作に立て掛けた場合、机面端と平行方向に斜めに、あるいはまた垂直方向に斜めに立て掛けても、杖の転倒の可能性を少なくできる。また、どのように置いても柄部32の一部が必ず机面端等と接することにより転倒の可能性を少なくできるため、立て掛けるときの杖の方向性を気にすることなく立て掛けが可能である。
図9のごとく、立て掛ける机面等の高さが低い場合、あるいはまた変化する場合であっても、無造作に立て掛けても、柄部32の一部が必ず机面端等と接するため、立て掛ける机面等の高さを、柄部における滑り止め材設置位置の高さに合わせる必要もなく、立て掛けが可能である。さらに、従来の杖では柄部の断面形状が円形であるため机面端等との接触が点接触になり転がって転倒しやすいが、本例ではその断面形状が四角形であるため線接触となり、杖先ゴムキャップと床面との摩擦力との相乗効果で立て掛けた杖の転倒の可能性をさらに少なくできる。
<実施例4>
図10は、本発明杖の実施例4について、これを座位の使用者の身体の一部に立て掛けている状態を示す説明図である。図10の例では、使用者の大腿部に斜めに杖を立て掛けている。滑り止め材は下端の杖先ゴムキャップ部を除いて柄部42の全面にわたって被覆されているため、無造作に立て掛けた場合でも柄部42の滑り止め材の一部が必ず身体Hの衣服と接することにより転倒の可能性を少なくできるため、立て掛けるときの杖の方向性を気にすることなく立て掛けが可能である。また、立て掛ける身体部の高さが変化する場合に、無造作に立て掛けても、柄部42の滑り止め材の一部が必ず身体の一部と接するため、立て掛ける身体部を柄部42の滑り止め材の高さに合わせること等を気にすることなく立て掛けが可能である。
さらに、従来の杖では柄部の断面形状が円形であるため転がって転倒しやすいが、本例ではその断面形状が四角形等であるため接する面積が大きくなり、杖先ゴムキャップと床面との摩擦力との相乗効果で立て掛けた杖の転倒の可能性をさらに少なくできる。さらに杖を身体に立て掛けたまま使用者が他の動作・作業等、および電車自動車等の揺れのために身体を移動・動揺させても、握り部41側面および柄部42の一部の滑り止め材が身体Hの衣服と接触していることによる摩擦力により、杖の転倒の可能性を少なくできる。したがって、立て掛けたときに、立て掛け動作時間の短縮および立て掛けるときの気苦労の減少が期待でき、立て掛けたまま他の動作・作業の遂行が可能となる。
<実施例5>
図11は、本発明杖の実施例5について、これを机面縁等に引っ掛けて置いている状態を示す説明図である。図11の例では、握り部51先端下端と杖先ゴムキャップ端との支持により、机面104に引っ掛けて置いている。従来の杖では握り部が樹脂製であるため、このように引っ掛けた場合に握り部が滑って杖が転倒してしまうが、本例では握り部51全面に滑り止め材を被覆していることにより、仮に無造作に杖を斜めに引っ掛けても握り部51の滑り止め材の一部が必ず机面104と接するため、杖先ゴムキャップと机側面との摩擦力の相乗効果で引っ掛けた杖の転倒の可能性を少なくできる。
また、引っ掛ける机面104の形状が、壁のように平面である場合に限らず、杖との接点部においてカウンターの淵のような線状、あるいは窓枠の出っ張りのような点状、あるいはまた曲面状、段差状等の形状であっても、握り部51の滑り止め材の一部が必ず机面104と接することにより転倒の可能性を少なくできるため、引っ掛ける物の形状を気にすることなく引っ掛けることが可能である。この2点により、引っ掛けたときに、その動作時間の短縮や引っ掛けておくときの気苦労をせずにすむことが期待できる。
<実施例6>
図12は、本発明杖の実施例6の握り部の構成を示す説明図である。図示するように握り部61は、握り動作を容易にし安定させるため、手掌・手指の形状に合わせて基材が成型されたものとし、これに滑り止め材を全面にわたって被覆するものとすることができる。滑り止め材の材質がポリ塩化ビニルもしくはサーモプラスティックエラストマーであり、滑り止め性能を有するとともに易加工性、柔軟性に優れるため、握り部61全面に密着させて被覆することが可能である。したがって、前述の手掌・手指の形状が損なわれることはなく、しっかり握ることができ、歩行・立位時のバランス・安定性が向上する。
また、既存の杖の握り部に滑り止め材を接着面で貼り付ける方法では、歩行・立位時における同部へのくり返される体重負荷、手掌・手指皮膚面との摩擦・捻れ、屋外雨天等および汗の付着などにより、貼り付け面がはがれる可能性がある。しかし本例では、加工時に基材と滑り止め材を一体成型するため、そのような心配がない。
<実施例7>
本発明の転倒しにくい杖の効果を確認するため、本発明実施例7と従来タイプの杖を用いて転倒試験を行い、両者の転倒角度を比較した。
<試験品>
従来タイプの杖としては、握り部および柄部ともに滑り止め材による被覆がなく通常の塗装表面がなされ、横断面形状が円形のものを用いた。また実施例7としては、握り部および柄部ともに滑り止め材による被覆がなされ、横断面形状が四角形のものを用いた。
《試験1 壁面における転倒試験》
図13、14は、試験1の方法を示す、それぞれ正面視、側面視の写真図である。これらに示すように、握り部の短端部が正面に向かって左側に来るように、杖を壁面に立て掛けた。立て掛ける位置は、正面視(図13)において柄部と床面とが垂直となり、側面視(図14)において壁面と杖のなす角度γが25°となるようにし、この位置を初期位置とした。
床面上の杖先ゴムキャップの位置は固定させ、かつ角度γも25°に固定したまま、杖をα方向に傾斜させた角度で壁面に立て掛け、立て掛ける際の角度を徐々に大きくしていき、杖が初めて転倒したときの傾斜角度α(以下、転倒角度α)を測定した。同様に、β方向においても試験し、杖が初めて転倒したときの傾斜角度β(以下、転倒角度β)を測定した。
《試験2 椅子座面における転倒試験》
図15、16は、試験2の方法を示す、それぞれ正面視、側面視の写真図である。これらに示すように、握り部の短端部が正面に向かって手前側に来るように、杖を椅子座面縁に立て掛けた。立て掛ける位置は、正面視(図15)において柄部と床面とが垂直となり、側面視(図16)において杖と座面のなす角度εを75°となるようにし、この位置を初期位置とした。
床面上の杖先ゴムキャップの位置は固定させ、かつ角度εも75°に固定したまま、杖をδ方向に傾斜させた角度で椅子座面縁に立て掛け、立て掛ける際の角度を徐々に大きくしていき、杖が初めて転倒したときの傾斜角度δ(以下、転倒角度δ)を測定した。転倒角度δは、杖先部から立て掛けられた椅子座面縁までの距離ζが515mm、725mmそれぞれの場合で測定した。
《試験結果》
表1に試験1の結果を、表2に試験2の結果を示す。各表中、「プロトタイプ」とあるのは本発明実施例7である。
















これらに示されるように、本発明実施例7の杖は従来タイプと比較して、壁面への立て掛けにおいては2.3〜2.5倍程度、また椅子座面への立て掛けにおいては5〜6倍程度の転倒防止性能を有していることが明らかとなった。本発明が高齢者・障害者の障害予防および日常生活活動の拡大に結びつく可能性が示された。
本発明の転倒しにくい杖によれば、簡易な構成により、杖を物に引っ掛けたり立て掛けて置いた場合の転倒を効果的に防止することができる。したがって、特に高齢者・障害者を対象とした健康・福祉分野において、産業上利用価値が高い発明である。
本発明の転倒しにくい杖の構成を示す説明図である。 本発明の柄部の横断面を示す説明図である。 本発明の転倒しにくい杖の柄部の横断面形状の基本的な形成例を示す断面図である。 本発明の転倒しにくい杖の柄部の横断面形状の別の形成例を示す断面図である。 本発明の転倒しにくい杖の柄部の横断面形状の別の形成例を示す断面図である。 本発明の転倒しにくい杖の別の構成を示す、杖先部の斜視図である。 本発明杖の実施例1について、これを壁や柱等に立て掛けている状態を示す説明図である。 本発明杖の実施例2について、これを立位の使用者の身体に立て掛けている状態を示す説明図である。 本発明杖の実施例3について、これを机面端等に立て掛けている状態を示す説明図である。 本発明杖の実施例3について、これを机面端等に立て掛けている状態を示す説明図である。 本発明杖の実施例4について、これを座位の使用者の身体の一部に立て掛けている状態を示す説明図である。 本発明杖の実施例5について、これを机面縁等に引っ掛けて置いている状態を示す説明図である。 本発明杖の実施例6の握り部の構成を示す説明図である。 試験1の方法を示す正面視の写真図である。 試験1の方法を示す側面視の写真図である。 試験2の方法を示す正面視の写真図である。 試験2の方法を示す側面視の写真図である。
符号の説明
1…握り部
2…柄部
3、13…杖先ゴムキャップ
4…滑り止め材
5…杖先ゴムキャップ取り付け部
10…基材
21、31、41、51、61…握り部
22、32、42、52、62、220…柄部
23…杖先ゴムキャップ
100…壁(柱)、 101…床面、102、103、104…机面
G…柄部の横断面形状における断面重心
H…身体
P1、P2…柄部の横断面形状における外郭線の一点
α、β、δ…転倒角度(実施例7)
γ、ε…初期位置の立て掛け角度(実施例7)
ζ…杖先部から立て掛けられた椅子座面縁までの距離ζ(実施例7)

Claims (9)

  1. 杖の表面に滑り止め材が被覆されており、基材と一体成型されていることを特徴とする、転倒しにくい杖。
  2. 杖の握り部全体の表面に滑り止め材が被覆されており、基材と一体成型されていることを特徴とする、転倒しにくい杖。
  3. 杖の柄部下端の杖先ゴムキャップ取り付け部を除いた柄部全体の表面に滑り止め材が被覆されており、基材と一体成型されていることを特徴とする、転倒しにくい杖。
  4. 前記滑り止め材にポリ塩化ビニルもしくはサーモプラスティックエラストマーが含有されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の転倒しにくい杖。
  5. 前記柄部の横断面形状における断面重心から該断面形状の外郭線の一点までの距離とは異なる距離の、該外郭線上の一点が存在することにより、回転抵抗があることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の転倒しにくい杖。
  6. 前記柄部の横断面形状の外郭線が直線部分を含むものであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の転倒しにくい杖。
  7. 前記柄部下端には杖先ゴムキャップ取り付け部があり、該杖先ゴムキャップ取り付け部を除いた柄部全体の横断面形状が、概略n角形(3≦n≦8)であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の転倒しにくい杖。
  8. 前記柄部下端には杖先ゴムキャップ取り付け部があり、該杖先ゴムキャップ取り付け部を除いた柄部全体の横断面形状が、概略正n角形(3≦n≦6)であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の転倒しにくい杖。
  9. 前記杖先ゴムキャップ取り付け部は横断面形状が円形であり、これに杖先ゴムキャップが脱着可能であることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の転倒しにくい杖。
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