JP2005040685A - 重金属吸着材及び重金属処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】重金属吸着材自体から有害重金属類が溶出せず、浄化または処理対象物に含有される単一または複数の有害重金属類を同時に効率よく吸着できる安価な重金属吸着材及び重金属処理方法を提供する。
【解決手段】重金属吸着材は、300〜1100℃で仮焼したカルシウムアルミネート水和物を主成分とし、好適には、カルシウムアルミネート水和物は、合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物を使用することができる。また、かかる重金属吸着材を、重金属を含有する処理対象物に混合することにより、重金属を有効に処理することができる。
【選択図】なし
【解決手段】重金属吸着材は、300〜1100℃で仮焼したカルシウムアルミネート水和物を主成分とし、好適には、カルシウムアルミネート水和物は、合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物を使用することができる。また、かかる重金属吸着材を、重金属を含有する処理対象物に混合することにより、重金属を有効に処理することができる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重金属吸着材及び当該重金属吸着材を用いた重金属処理方法に関し、特に有害重金属類を含有する排水、廃液、焼却灰や汚染土壌等に含まれる重金属を有効に浄化処理することができる重金属吸着材及び重金属処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平成15年2月15日から土壌汚染対策法が施行され、六価クロム、モリブデン、砒素、セレン、アンチモン、鉛、カドミウム、水銀、銅、亜鉛、ニッケル等の有害重金属類を含有する工場排水や鉱山廃水等の浄化、汚染土壌や各種廃棄物等の処理等、環境浄化に関するニーズはますます増大している。
【0003】
これまでに有害重金属類に汚染された土壌の改良方法として、アルミン酸カルシウム(カルシウムアルミネート;CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3、3CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3等)、ハロアルミン酸カルシウム(11CaO・7Al2O3・CaF2など)を含有するセメントや、これらの水和物を重金属固定剤またはセメント系固化材として使用する提案が、特開昭53−11758号公報や特開平10−279937号公報に開示されている。
【0004】
しかしながら、かかるアルミン酸カルシウムやハロアルミン酸カルシウムを多く含有するアルミナセメントやジェットセメントは、汚染土壌等の処理対象物に添加混合した場合、処理対象物を高アルカリ性とするため、高アルカリ性下で難溶性の水酸化物を形成するカドミウムの不溶化には効果があるが、両性金属である鉛に対しては、酸化鉛(PbO)や水酸化鉛(Pb(OH)2)が、高アルカリ性下では亜鉛酸イオン(HPbO2 −)や鉛酸イオン(PbO2 2−)として再溶解する場合があるため、不溶化効果は不十分である。
【0005】
さらに六価クロムやモリブデンは、クロム酸イオン(CrO4 2−)、ニクロム酸イオン(Cr2O7 2−)、モリブデン酸イオン(MoO4 2−)等の非常に安定な陰イオンの状態で存在し、高アルカリ性下では難溶性の水酸化物を形成しないため、六価クロムやモリブデンに対する不溶化効果はほとんど期待できない。
【0006】
また上記提案では、アルミン酸カルシウムやハロアルミン酸カルシウムが、共存する石膏と反応することによって生成するアルミン酸硫酸カルシウム水和物であるエトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)による重金属類の固定化方法が開示されているが、エトリンガイトによるクロム酸イオン(CrO4 2−)、ニクロム酸イオン(Cr2O7 2−)、モリブデン酸イオン(MoO4 2−)の吸着量は低く、またエトリンガイトは熱及び化学的に不安定であるため、いずれも実用上において、十分な重金属吸着能力を有するものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、重金属吸着材自体から有害重金属類が溶出せず、浄化または処理対象物に含有される単一または複数の有害重金属類を同時に効率よく吸着できる安価な重金属吸着材を提供することである。
また、本発明の他の目的は、排水、廃液、焼却灰、汚染土壌等の重金属を含有する浄化または処理対象物への安定的な直接適用が幅広く可能となる重金属吸着材を提供することである。
本発明の他の目的は、前記本発明の重金属吸着材を用いて、重金属類を含有する排水、廃液、焼却灰や汚染土壌等に含まれる種々の重金属を有効に同時に浄化処理することが可能となる簡便な重金属処理方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した如き課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、様々な有害重金属類(六価クロム、モリブデン、砒素、セレン、アンチモン、鉛、カドミウム、水銀、銅、亜鉛、ニッケルなど)を広範なpH域で効果的に同時吸着できる安価な重金属吸着材を見出した。
【0009】
本発明の重金属吸着材は、300〜1100℃で仮焼したカルシウムアルミネート水和物を主成分とすることを特徴とする。
好適には、上記本発明の重金属吸着材において、カルシウムアルミネート水和物が、水酸化カルシウムと金属アルミニウムと水とから合成した合成カルシウムアルミネート水和物であることを特徴とする。
好適には、上記本発明の重金属吸着材において、水酸化カルシウムと金属アルミニウムとのモル比が2:1〜1:2の範囲であることを特徴とする。
【0010】
または好適には、上記本発明の重金属吸着材において、カルシウムアルミネート水和物が、アルミナセメントまたはジェットクリンカの水和反応によって得られたカルシウムアルミネート水和物であることを特徴とする。
好適には、上記本発明の重金属吸着材において、カルシウムアルミネート水和物が3CaO・Al2O3・6H2Oであることを特徴とする。
【0011】
好適には、上記本発明の重金属吸着材において、更にシリカヒューム、非晶質シリカ、シリカゲル、ゼオライト、酸性白土、活性白土、セピオライト、アタパルジャイト、ベントナイト、カオリン、メタカオリン、バーミキュライト、アロフェン、イモゴライト、アルミナゲル、ベーマイト、ギブサイト、活性アルミナ、カルサイト、ポルトランドセメント、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、活性炭、金属アルミニウム粉、鉄粉からなる群より選ばれた少なくとも一種の吸収助剤を含有することを特徴とする。
また、本発明の重金属処理方法は、上記本発明の重金属吸着材を、重金属を含有する処理対象物に混合することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明を以下の好適例を用いて説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明の重金属吸着材は、カルシウムアルミネート水和物を300〜1100℃で仮焼したものを主成分するものである。
ここで、仮焼とは、カルシウムアルミネート水和物を種々の温度で加熱処理することであり、仮焼対象物中の水分(付着水や結晶水)または炭酸ガスを飛散させる程度の温度で加熱処理することを目的とするものをいう。一方、焼成とは、仮焼よりは高温で加熱処理することをいい、対象物を溶融、半溶融または焼結させることを目的とするものである。
【0013】
本発明の重金属吸着材に用いるカルシウムアルミネート水和物としては、水酸化カルシウムと金属アルミニウムと水とから合成して得られる合成カルシウムアルミネート水和物、あるいはカルシウムアルミネートを多量に含有するセメントまたはクリンカを水和させて得られるカルシウムアルミネート水和物が好適に使用できる。
【0014】
前記合成カルシウムアルミネート水和物の原料となる水酸化カルシウムは、工業用消石灰等の高純度で粒度が小さく比表面積の大きい反応性の高いものが好ましいが、有害重金属類を含有していない水酸化カルシウムであれば、ケイ素、アルミニウム、鉄、マグネシウム等の多少の不純物を含有していても問題なく使用できる。例えば、通常廃棄物として処理されるホタテやカキ等の貝殻を焼成した後に水で消化して得た水酸化カルシウムや、安価な工業用生石灰を水で消化して得た水酸化カルシウムを使用することができる。
【0015】
同様に、合成カルシウムアルミネート水和物の原料となる金属アルミニウムも、ALC(Autoclaved Lightweight Concrete)製造に使用する発泡剤のような高純度で粒度が小さく比表面積の大きな反応性の高いものが好ましいが、有害重金属類を含有していないアルミニウムであれば、ケイ素、カルシウム、鉄、マグネシウム等の多少の不純物を含んでいても問題なく使用でき、例えば、金属アルミニウム加工業や溶融精錬業から排出される廃アルミスラッジ、アルミドロス、また粒度の大きいアルミニウム粒や安価なアルミスクラップ等を微粉砕して得られたアルミニウム微粉末を使用することができる。
【0016】
上記水酸化カルシウムと金属アルミニウム粉末とを、所定のモル比、好適にはモル比2:1〜1:2で、例えば50℃の水中で反応させると、ハイドロガーネット(3CaO・Al2O3・6H2O)やハイドログロシュラー(3CaO・Al2O3・6H2O)等の種々のカルシウムアルミネート水和物を得ることができ、特にカルシウムアルミネート水和物としては、3CaO・Al2O3・6H2Oを使用することが、より低い仮焼温度で重金属吸着能力が発現する点から望ましい。
【0017】
かかる3CaO・Al2O3・6H2Oカルシウムアルミネート水和物を合成する場合には、水酸化カルシウムと金属アルミニウムとの理論モル比は3:2であるが、モル比に多少幅があっても、合成したカルシウムアルミネート水和物の仮焼後の重金属吸着能力には差が少ないため、本発明においては水酸化カルシウムと金属アルミニウムとのモル比は2:1〜1:2の範囲であることが好ましい。
【0018】
カルシウムアルミネート水和物を合成するには公知の方法を使用することができ、例えば水酸化カルシウムに約3〜10倍容量の清浄な水を加えてスラリーとし、当該スラリーに金属アルミニウム粉末を少しずつ添加して撹拌しながら反応させて水酸化カルシウムを合成する方法を好適に使用することができる。この場合、粒度の大きいアルミニウム粒を使用する場合は、ボールミル等に、アルミニウム粒と水酸化カルシウムと水とを共に入れて湿式混合粉砕しながら反応させても良い。
【0019】
反応系中の金属アルミニウムが完全に溶解した後、スラリーを約50〜100℃で数時間〜数日間養生して、合成カルシウムアルミネート水和物を得る。なお、反応時に発生する水素ガスは適宜回収して、燃料等として有効利用することが可能である。
【0020】
また、本発明で好適に使用することができる他のカルシウムアルミネート水和物としては、カルシウムアルミネートを多量に含有するセメントまたはクリンカを水和させて得られるカルシウムアルミネート水和物がある。
前記カルシウムアルミネートを多量に含有するセメントまたはクリンカとしては、アルミナセメント(CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3、12CaO・7Al2Oを高含有するセメント)や、超速硬セメントの原料となるジェットクリンカ(11CaO・7Al2O3・CaF2を高含有するクリンカ)などが挙げられるが、特に限定されず、種々のセメントやクリンカを使用することができる。
【0021】
前記アルミナセメントやジェットクリンカに、約3〜10倍程容量の清浄な水を加えてスラリーとし、当該スラリーを常温で数時間〜数日間撹拌して、アルミナセメントやジェットクリンカを水和反応させ、3CaO・Al2O3・6H2O等の各種カルシウムアルミネート水和物を得る。特にカルシウムアルミネート水和物として、3CaO・Al2O3・6H2Oを好適に用いることができることは上記と同様である。水和反応を促進させたい場合には、熱水を使用したり、スラリーを加温あるいはボールミルなどで湿式粉砕しながら、水和反応を行うことにより実施できる。
このようにして得られた各種カルシウムアルミネート水和物を多量に含むスラリーを、デカンタやろ過器を使用して余分な水分を分離した後、例えば約50〜200℃で乾燥する。
【0022】
次いで、乾燥した各種カルシウムアルミネート水和物を、空気中で300〜1100℃の温度範囲で仮焼、例えば1時間仮焼するが、各種カルシウムアルミネート水和物は、乾燥後いったん解砕してから仮焼しても、未解砕のブロック状乾燥ケーキを仮焼しても、いずれの方法を用いても良い。
このように仮焼することにより、カルシウムアルミネート水和物の有害重金属類に対する吸着能力が著しく向上改善される。かかる仮焼による水和物の変化や重金属吸着原理はまだ十分に解明できていないが、カルシウムアルミネート水和物中の水分子が失われ、極めて多孔質で比表面積の大きな12CaO・7Al2O3やCa12Al14O33などの各種カルシウムアルミネートが生成するためであることも1つの要因と考えられる。
【0023】
仮焼温度は、少なくとも300℃以上であることが、カルシウムアルミネート水和物の重金属類の吸着性能を向上させる点から望ましく、これは、300℃未満では重金属吸着能力が十分に改善されないからである。一方、1100℃を超える温度での仮焼は、得られるカルシウムアルミネートが溶融または焼結するおそれがある上に、加熱エネルギーが過大となりコスト的にも好ましくない。カルシウムアルミネートが一旦溶融したり、または焼結すると、得られるカルシウムアルミネートが重金属類を有効に吸着することができなくなるためである。
仮焼を終了した材料は、その後急冷あるいは除冷しても良い。このようにして得られた仮焼重金属吸着材は、用途に応じて粉体、ブロック状または造粒して使用することができる。
【0024】
このようにして得られた重金属吸着材には、浄化または処理対象となる排水、廃液、焼却灰、汚染土壌などの性状に応じて、様々な吸着助剤を更に混合添加することができ、その方法は特に限定されず、均一に混合できれば任意の方法を用いることができる。
吸着助剤としては、そのものから有害重金属類が環境基準値を越えて溶出しない限り特に限定されず種々のものが使用できるが、例えばシリカヒューム、非晶質シリカ、シリカゲル、ゼオライト、酸性白土、活性白土、セピオライト、アタパルジャイト、ベントナイト、カオリン、メタカオリン、バーミキュライト、アロフェン、イモゴライト、アルミナゲル、ベーマイト、ギブサイト、活性アルミナ、カルサイト、ポルトランドセメント、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、活性炭、金属アルミニウム粉、鉄粉からなる群より選ばれる少なくとも一種以上を、所望する性状に応じて任意量で混合することができ、ポルトランドセメントとしては、改良対象となる土壌の性状や施工コストを考慮した上で、普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩などの各種ポルトランドセメントから任意に一種以上を選択することができる。
【0025】
このようにして得られた重金属吸着材は、有害重金属類を含む排水、廃液、焼却灰、汚染土壌等、広範な浄化、処理対象物に直接適用することにより、有効に重金属類を吸着処理することができる。重金属吸着材の使用量は、含有される重金属の種類、量によって異なるが、例えば、通常、処理対象物100重量部に対して、重金属吸着材を10〜100重量部混合することで、十分に重金属類を吸着処理することができる。
また、重金属を含有する排水、廃液、焼却灰、汚染土壌等を処理するにあたっては、本発明の重金属吸着材を、粉末状で散布混合したり、スラリー状にして混合する方法等、従来の混合方法を使用することで、後述する効果を十分に得ることができる。
【0026】
【実施例】
本発明を、以下の実施例及び比較例を示して更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成カルシウムアルミネート水和物及びその仮焼品の調製
以下の実施例及び比較例で使用する重金属吸着材としての合成カルシウムアルミネート水和物及びその仮焼品を、次のようにして調製した。
特級試薬水酸化カルシウム(キシダ化学株式会社製)に、当該水酸化カルシウムに対して10倍容量の蒸留水を添加して攪拌し、スラリー状にした。当該スラリーを温度50℃に保持しながら、該スラリーにALC発泡用金属アルミニウム微粉末(大和金属粉工業株式会社製)を、水酸化カルシウムと金属アルミニウムとのモル比が1:1となるように少しずつ添加し、攪拌して反応させ、反応系中の金属アルミニウムを完全に溶解させた。
【0027】
得られたスラリーを温度50℃で24時間養生し、次いで50℃で乾燥後、粒径125μm以下になるまで解砕してカルシウムアルミネート水和物を得た。
得られたカルシウムアルミネート水和物をアルミナルツボに入れて電気炉内で60分間それぞれ仮焼し、仮焼後は空気中で放冷して、合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を調製した。
【0028】
アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物及び普通ポルトランドセメント水和物、並びにその仮焼品の調製
以下の実施例及び比較例で使用する重金属吸着材としてのアルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物及び普通ポルトランドセメント水和物、並びにその仮焼品を、次のようにして調製した。
アルミナセメント(製品名 セカール51;ラファージュ社製)、ジェットクリンカ(住友大阪セメント株式会社製)及び普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製)を使用し、それぞれ10倍容量の蒸留水を加えて常温(20℃)で24時間撹拌し、次いで50℃で乾燥後、粒径125μm以下になるまで解砕してカルシウムアルミネート水和物、ジェットクリンカ水和物及び普通ポルトランドセメント水和物を得た。
得られた各水和物をアルミナルツボに入れて電気炉内で60分間、それぞれ下記実施例または比較例で示す温度で仮焼し、仮焼後は空気中で放冷して、各仮焼品を調製した。
【0029】
実施例1〜4
蒸留水に二クロム酸カリウム試薬(キシダ化学株式会社製)を溶解して、pH5の六価クロム(濃度;1000mg/l)の重金属溶液を調製した。
一方、仮焼温度をそれぞれ300℃、600℃、800℃、1100℃として得られた合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を重金属吸着材として用い、当該粉末状重金属吸着材1gと前記重金属溶液50mlとを、100mlポリエチレン瓶に密封し、振とう機で4時間撹拌後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表1に示す。
ただし、六価クロムの残存濃度は、JISK0102に準拠してICP−AES(誘導結合型プラズマ発光分光装置)により測定した。また吸着率は、ブランク(比較例1)の六価クロム濃度に対する上記残存濃度の減少量から算出したものである。
【0030】
比較例1
上記実施例1で使用した重金属溶液に、重金属吸着材を添加しない以外は、実施例1と同様にして、ブランク溶液としての六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表2に示す。
比較例2〜4
重金属吸着材として、特級試薬水酸化カルシウム(キシダ化学株式会社製)、仮焼する前の合成カルシウムアルミネート水和物(50℃乾燥)、仮焼温度を200℃として得られた合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表2に示す。
【0031】
実施例5〜8
重金属吸着材として、仮焼温度をそれぞれ300℃、600℃、800℃、1100℃として得られたアルミナセメント水和物仮焼品を用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表1に示す。
【0032】
比較例5〜7
重金属吸着材として、アルミナセメント(製品名 セカール51;ラファージュ社製)、仮焼する前のアルミナセメント水和物(50℃乾燥)、仮焼温度を200℃として得られたアルミナセメント水和物仮焼品をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表2に示す。
【0033】
実施例9〜12
重金属吸着材として、仮焼温度をそれぞれ300℃、600℃、800℃、1100℃として得られたジェットクリンカ水和物仮焼品を用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表1に示す。
【0034】
比較例8〜10
重金属吸着材として、ジェットクリンカ(住友大阪セメント株式会社製)、仮焼する前の前記ジェットクリンカ水和物(50℃乾燥)、仮焼温度を200℃として得られたジェットクリンカ水和物仮焼品を用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表2に示す。
【0035】
比較例11〜12
重金属吸着材として、普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製)、仮焼する前の普通ポルトランドセメント水和物(50℃乾燥)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表2に示す。
【0036】
比較例13〜15
重金属吸着材として、高炉水砕スラグ(セメント混合用スラグ;住友金属工業株式会社製)、活性白土(製品名 SA1;日本活性白土株式会社製)、カルシウム型ベントナイト(製品名ベンゲルライト11;豊順鉱業株式会社製)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
上記実施例1〜12及び比較例2〜10より、合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物をそれぞれ300〜1100℃で仮焼した場合には、六価クロム吸着率が著しく改善され、一方、本発明の重金属吸着材の原料である、水酸化カルシウム、アルミナセメント、ジェットセメントや、仮焼を実施していない水和物(合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物)や、仮焼温度を200℃として得られた水和物仮焼品(合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物)は、六価クロム吸着率が極めて低いことがわかる。
【0040】
比較例11〜15より、普通ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント水和物、高炉水砕スラグ、活性白土、カルシウム型ベントナイトには、六価クロムに対する吸着効果はなく、六価クロム吸着率が極めて低いことがわかる。
【0041】
実施例13〜16
pH11のアンモニア水に試薬ニクロム酸カリウム(キシダ化学株式会社製)、試薬モリブデン酸(キシダ化学株式会社製)、試薬亜砒酸(キシダ化学株式会社製)を溶解して、六価クロム(濃度;507mg/l)、モリブデン(濃度;454mg/l)、砒素(濃度;71mg/l)の重金属を3種含有する重金属混合溶液を調製した。仮焼温度をそれぞれ300℃、600℃、800℃、1100℃として得られた合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を重金属吸着材として用い、当該粉末状重金属吸着材5gと前記重金属混合溶液50mlとを、100mlポリエチレン瓶に密封し、振とう機で4時間撹拌後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、前記3種の重金属の残存濃度と吸着率とをそれぞれ測定した。その結果を下記表3に示す。
ただし、各重金属残存濃度は、実施例1と同様に、JISK0102に準拠してICP−AESにより測定した。また吸着率は、ブランク(比較例16)中の各重金属濃度に対する残存濃度の減少量から算出したものである。
【0042】
比較例16
上記実施例13で使用した重金属混合溶液に、重金属吸着材を添加しない以外は、実施例13と同様にして、ブランク溶液としての各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表4に示す。
比較例17〜19
重金属吸着材として、特級試薬水酸化カルシウム(キシダ化学株式会社製)、仮焼する前の合成カルシウムアルミネート水和物(50℃乾燥)、仮焼温度を200℃として得られた合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を用いた以外は、実施例13と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表4に示す。
【0043】
実施例17〜20
重金属吸着材として、仮焼温度をそれぞれ300℃、600℃、800℃、1100℃として得られたアルミナセメント水和物仮焼品を用いた以外は、実施例13と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表3示す。
【0044】
比較例20〜22
重金属吸着材として、アルミナセメント(製品名 セカール51;ラファージュ社製)、仮焼する前の前記アルミナセメント水和物(50℃乾燥)、仮焼温度を200℃として得られたアルミナセメント水和物仮焼品をそれぞれ用いた以外は、実施例13と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表4に示す。
【0045】
実施例21〜24
重金属吸着材として、仮焼温度をそれぞれ300℃、600℃、800℃、1100℃として得られた上記ジェットクリンカ水和物仮焼品をそれぞれ用いた以外は、実施例13と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表3に示す。
【0046】
比較例23〜25
重金属吸着材として、ジェットクリンカ(住友大阪セメント株式会社製)、仮焼する前の前記ジェットクリンカ水和物(50℃乾燥)、仮焼温度を200℃で実施して得られたジェットクリンカ水和物仮焼品を用いた以外は、実施例13と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表4に示す。
【0047】
比較例26〜29
重金属吸着材として、普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製)、高炉水砕スラグ(製品名セメント混合用スラグ;住友金属工業株式会社製)、活性白土(製品名SA1;日本活性白土株式会社製)、カルシウム型ベントナイト(製品名ベンゲルブライト11;豊順鉱業株式会社製)をそれぞれ用いた以外は、実施例13と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表4に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
上記実施例13〜24及び比較例17〜25より、合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物をそれぞれ300〜1100℃で仮焼した場合には、六価クロム、モリブデン及び砒素のすべての重金属の吸着率が同時に著しく改善され、一方、本発明の重金属吸着材の原料である、水酸化カルシウム、アルミナセメント、ジェットセメントや、仮焼を実施していない水和物(合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物)や、仮焼温度を200℃で行った水和物仮焼品(合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物)は、六価クロム、モリブデン吸着率は極めて低いことがわかる。
【0051】
比較例26〜29より、普通ポルトランドセメント、高炉水砕スラグ、活性白土、カルシウム型ベントナイトの場合には、六価クロム及びモリブデンに対する吸着効果はなく、六価クロム及びモリブデンの吸着率は極めて低いことがわかる。
なお砒素に関しては、比較例28及び29を除いたすべての事例で効率よく吸着したため、水和物の差異および仮焼の有無による差はないものと考えられる。
【0052】
実施例25
pH13の水酸化ナトリウム水溶液に、試薬塩化鉛(キシダ化学株式会社製)、試薬モリブデン酸(キシダ化学株式会社製)、試薬亜砒酸(キシダ化学株式会社製)を溶解して、鉛(濃度;412mg/l)、モリブデン(濃度;213mg/l)、砒素(濃度;22mg/l)の重金属を3種含有する重金属混合溶液を調製した。
仮焼温度を800℃として得られた合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を重金属吸着材として用い、当該粉末状重金属吸着材5gと前記重金属混合溶液50mlとを、100mlポリエチレン瓶に密封し、振とう機で4時間撹拌後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、前記3種の重金属の残存濃度と吸着率とをそれぞれ測定した。その結果を下記表5に示す。
ただし、各重金属残存濃度は、実施例1と同様に、JISK0102に準拠してICP−AESにより測定した。また吸着率は、ブランク(比較例30)中の各重金属濃度に対する残存濃度の減少量から算出したものである。
【0053】
比較例30
上記実施例25で使用した重金属混合溶液に、重金属吸着材を添加しない以外は、実施例25と同様にして、ブランク溶液としての各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
比較例31〜32
重金属吸着材として、特級試薬水酸化カルシウム(キシダ化学株式会社製)、仮焼する前の前記合成カルシウムアルミネート水和物(50℃乾燥)を用いた以外は、実施例25と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0054】
実施例26
重金属吸着材として、前記合成カルシウムアルミネート水和物800℃仮焼品の代わりに、アルミナセメント水和物800℃仮焼品を用いた以外は、実施例25と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0055】
比較例33〜34
重金属吸着材として、アルミナセメント(製品名 セカール51;ラファージュ社製)、仮焼する前のアルミナセメント水和物(50℃乾燥)を用いた以外は、実施例25と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0056】
実施例27
重金属吸着材として、合成カルシウムアルミネート水和物800℃仮焼品の代わりに、ジェットクリンカ水和物800℃仮焼品を用いた以外は、実施例25と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0057】
比較例35〜36
重金属吸着材として、ジェットクリンカ(住友大阪セメント株式会社製)、仮焼する前のジェットクリンカ水和物(50℃乾燥)を用いた以外は、実施例25と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0058】
比較例37〜41
重金属吸着材として、普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製)、高炉スラグ(製品名セメント混合用スラグ;住友金属工業株式会社製)、活性白土(製品名SA1;日本活性白土株式会社製)、アタパルジャイト(製品名アタゲルDC150;三共精粉株式会社製)、セピオライト(製品名ファイバーS;日本タルク株式会社製)をそれぞれ用いた以外は、実施例25と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0059】
【表5】
【0060】
上記実施例25〜27及び比較例31〜36より、合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物をそれぞれ800℃で仮焼した場合には、鉛、モリブデン及び砒素のすべての重金属の吸着率が同時に著しく改善され、一方、本発明の重金属吸着材の原料である、水酸化カルシウム、アルミナセメント、ジェットセメントや、仮焼を実施していない水和物(合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物)は、鉛、モリブデン吸着率が極めて低いことがわかる。
【0061】
比較例37〜38より、普通ポルトランドセメント、高炉水砕スラグは、鉛とモリブデンとの吸着率が低く、比較例39〜41より、粘土鉱物である活性白土、アタパルジャイト、セピオライトの場合には、鉛の吸着率は高かったが、モリブデンと砒素の吸着率は極めて低かった。
なお砒素に関しては、比較例38〜41を除いたすべての事例で効率よく吸着したため、水和物の差異および仮焼の有無による差はないものと考えられる。
【0062】
実施例28
pH1の希硝酸に、試薬ニクロム酸カリウム(キシダ化学株式会社製)、試薬モリブデン酸(キシダ化学株式会社製)、試薬酸化カドミウム(キシダ化学株式会社製)を溶解して、六価クロム(濃度;408mg/l)、モリブデン(濃度;134mg/l)、カドミウム(濃度;50mg/l)の重金属を3種含有する重金属混合溶液を調製した。
仮焼温度を800℃として得られた合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を重金属吸着材として用い、当該粉末状重金属吸着材5gと前記重金属混合溶液50mlとを、100mlポリエチレン瓶に密封し、振とう機で4時間撹拌後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、前記3種の重金属の残存濃度と吸着率とをそれぞれ測定した。その結果を下記表6に示す。
ただし、各重金属残存濃度は、実施例1と同様に、JISK0102に準拠してICP−AESにより測定した。また吸着率は、ブランク(比較例42)中の各重金属濃度に対する残存濃度の減少量から算出したものである。
【0063】
比較例42
上記実施例28で使用した重金属混合溶液に、重金属吸着材を添加しない以外は、実施例28と同様にして、ブランク溶液としての各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表7に示す。
比較例43〜44
重金属吸着材として、特級試薬水酸化カルシウム(キシダ化学株式会社製)、仮焼する前の前記合成カルシウムアルミネート水和物(50℃乾燥)を用いた以外は、実施例28と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表7に示す。
【0064】
実施例29
重金属吸着材として、前記合成カルシウムアルミネート水和物800℃仮焼品の代わりに、アルミナセメント水和物800℃仮焼品を用いた以外は、実施例28と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表6に示す。
【0065】
比較例45〜46
重金属吸着材として、アルミナセメント(製品名 セカール51;ラファージュ社製)、仮焼する前のアルミナセメント水和物(50℃乾燥)を用いた以外は、実施例28と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表7に示す。
【0066】
実施例30
重金属吸着材として、前記合成カルシウムアルミネート水和物800℃仮焼品の代わりに、ジェットクリンカ水和物800℃仮焼品を用いた以外は、実施例28と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表6に示す。
【0067】
比較例47〜48
重金属吸着材として、ジェットクリンカ(住友大阪セメント株式会社製)、仮焼する前のジェットクリンカ水和物(50℃乾燥)を用いた以外は、実施例28と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表7に示す。
【0068】
比較例49〜53
重金属吸着材として、普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製)、高炉水砕スラグ(製品名セメント混合用スラグ;住友金属工業株式会社製)、活性白土(製品名SA1;日本活性白土株式会社製)、アタパルジャイト(製品名アタゲルDC150;三共精粉株式会社製)、セピオライト(製品名ファイバーS;日本タルク株式会社製)をそれぞれ用いた以外は、実施例28と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表7に示す。
【0069】
【表6】
【0070】
【表7】
【0071】
上記実施例28〜30及び比較例43〜48より、合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物をそれぞれ800℃で仮焼した場合には、六価クロム、モリブデン及びカドミウムのすべての重金属の吸着率が同時に著しく改善され、一方、本発明の重金属吸着材の原料である、水酸化カルシウム、アルミナセメント、ジェットセメントや、仮焼を実施していない水和物(合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物)は、六価クロム、モリブデン吸着率が極めて低いことがわかる。
【0072】
比較例49及び53より、普通ポルトランドセメント、セピオライトは、カドミウムの吸着率が高かったが、六価クロムとモリブデンの吸着率は極めて低かった。
比較例50〜52より、高炉水砕スラグ、活性白土、アタパルジャイトの場合には、重金属3種すべての吸着率が極めて低かった。
なおカドミウムに関しては、比較例50〜53を除いたすべての事例で効率よく吸着したため、水和物の差異および仮焼の有無による差はないものと考えられる。
【0073】
【発明の効果】
本発明の重金属吸着材は、工場排水、鉱山廃水、焼却灰、ばいじん、汚染土壌等に含まれる六価クロム、モリブデン、砒素、鉛、カドミウム、銅などの有害重金属類を同時に吸着除去または吸着固定することができ、従って、例えば排水の浄化、焼却灰や汚染土壌中の有害重金属類の不溶化(封じ込め)を低コストで行うことを可能とする。
また、本発明の重金属類の処理方法は、上記本発明の重金属吸着材を用いて、工場排水、鉱山廃水、焼却灰、ばいじん、汚染土壌等と直接混合することにより、重金属を同時に吸着除去または吸着固定することを簡便に行うことを可能とする。
【発明の属する技術分野】
本発明は、重金属吸着材及び当該重金属吸着材を用いた重金属処理方法に関し、特に有害重金属類を含有する排水、廃液、焼却灰や汚染土壌等に含まれる重金属を有効に浄化処理することができる重金属吸着材及び重金属処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平成15年2月15日から土壌汚染対策法が施行され、六価クロム、モリブデン、砒素、セレン、アンチモン、鉛、カドミウム、水銀、銅、亜鉛、ニッケル等の有害重金属類を含有する工場排水や鉱山廃水等の浄化、汚染土壌や各種廃棄物等の処理等、環境浄化に関するニーズはますます増大している。
【0003】
これまでに有害重金属類に汚染された土壌の改良方法として、アルミン酸カルシウム(カルシウムアルミネート;CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3、3CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3等)、ハロアルミン酸カルシウム(11CaO・7Al2O3・CaF2など)を含有するセメントや、これらの水和物を重金属固定剤またはセメント系固化材として使用する提案が、特開昭53−11758号公報や特開平10−279937号公報に開示されている。
【0004】
しかしながら、かかるアルミン酸カルシウムやハロアルミン酸カルシウムを多く含有するアルミナセメントやジェットセメントは、汚染土壌等の処理対象物に添加混合した場合、処理対象物を高アルカリ性とするため、高アルカリ性下で難溶性の水酸化物を形成するカドミウムの不溶化には効果があるが、両性金属である鉛に対しては、酸化鉛(PbO)や水酸化鉛(Pb(OH)2)が、高アルカリ性下では亜鉛酸イオン(HPbO2 −)や鉛酸イオン(PbO2 2−)として再溶解する場合があるため、不溶化効果は不十分である。
【0005】
さらに六価クロムやモリブデンは、クロム酸イオン(CrO4 2−)、ニクロム酸イオン(Cr2O7 2−)、モリブデン酸イオン(MoO4 2−)等の非常に安定な陰イオンの状態で存在し、高アルカリ性下では難溶性の水酸化物を形成しないため、六価クロムやモリブデンに対する不溶化効果はほとんど期待できない。
【0006】
また上記提案では、アルミン酸カルシウムやハロアルミン酸カルシウムが、共存する石膏と反応することによって生成するアルミン酸硫酸カルシウム水和物であるエトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)による重金属類の固定化方法が開示されているが、エトリンガイトによるクロム酸イオン(CrO4 2−)、ニクロム酸イオン(Cr2O7 2−)、モリブデン酸イオン(MoO4 2−)の吸着量は低く、またエトリンガイトは熱及び化学的に不安定であるため、いずれも実用上において、十分な重金属吸着能力を有するものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、重金属吸着材自体から有害重金属類が溶出せず、浄化または処理対象物に含有される単一または複数の有害重金属類を同時に効率よく吸着できる安価な重金属吸着材を提供することである。
また、本発明の他の目的は、排水、廃液、焼却灰、汚染土壌等の重金属を含有する浄化または処理対象物への安定的な直接適用が幅広く可能となる重金属吸着材を提供することである。
本発明の他の目的は、前記本発明の重金属吸着材を用いて、重金属類を含有する排水、廃液、焼却灰や汚染土壌等に含まれる種々の重金属を有効に同時に浄化処理することが可能となる簡便な重金属処理方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した如き課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、様々な有害重金属類(六価クロム、モリブデン、砒素、セレン、アンチモン、鉛、カドミウム、水銀、銅、亜鉛、ニッケルなど)を広範なpH域で効果的に同時吸着できる安価な重金属吸着材を見出した。
【0009】
本発明の重金属吸着材は、300〜1100℃で仮焼したカルシウムアルミネート水和物を主成分とすることを特徴とする。
好適には、上記本発明の重金属吸着材において、カルシウムアルミネート水和物が、水酸化カルシウムと金属アルミニウムと水とから合成した合成カルシウムアルミネート水和物であることを特徴とする。
好適には、上記本発明の重金属吸着材において、水酸化カルシウムと金属アルミニウムとのモル比が2:1〜1:2の範囲であることを特徴とする。
【0010】
または好適には、上記本発明の重金属吸着材において、カルシウムアルミネート水和物が、アルミナセメントまたはジェットクリンカの水和反応によって得られたカルシウムアルミネート水和物であることを特徴とする。
好適には、上記本発明の重金属吸着材において、カルシウムアルミネート水和物が3CaO・Al2O3・6H2Oであることを特徴とする。
【0011】
好適には、上記本発明の重金属吸着材において、更にシリカヒューム、非晶質シリカ、シリカゲル、ゼオライト、酸性白土、活性白土、セピオライト、アタパルジャイト、ベントナイト、カオリン、メタカオリン、バーミキュライト、アロフェン、イモゴライト、アルミナゲル、ベーマイト、ギブサイト、活性アルミナ、カルサイト、ポルトランドセメント、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、活性炭、金属アルミニウム粉、鉄粉からなる群より選ばれた少なくとも一種の吸収助剤を含有することを特徴とする。
また、本発明の重金属処理方法は、上記本発明の重金属吸着材を、重金属を含有する処理対象物に混合することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明を以下の好適例を用いて説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明の重金属吸着材は、カルシウムアルミネート水和物を300〜1100℃で仮焼したものを主成分するものである。
ここで、仮焼とは、カルシウムアルミネート水和物を種々の温度で加熱処理することであり、仮焼対象物中の水分(付着水や結晶水)または炭酸ガスを飛散させる程度の温度で加熱処理することを目的とするものをいう。一方、焼成とは、仮焼よりは高温で加熱処理することをいい、対象物を溶融、半溶融または焼結させることを目的とするものである。
【0013】
本発明の重金属吸着材に用いるカルシウムアルミネート水和物としては、水酸化カルシウムと金属アルミニウムと水とから合成して得られる合成カルシウムアルミネート水和物、あるいはカルシウムアルミネートを多量に含有するセメントまたはクリンカを水和させて得られるカルシウムアルミネート水和物が好適に使用できる。
【0014】
前記合成カルシウムアルミネート水和物の原料となる水酸化カルシウムは、工業用消石灰等の高純度で粒度が小さく比表面積の大きい反応性の高いものが好ましいが、有害重金属類を含有していない水酸化カルシウムであれば、ケイ素、アルミニウム、鉄、マグネシウム等の多少の不純物を含有していても問題なく使用できる。例えば、通常廃棄物として処理されるホタテやカキ等の貝殻を焼成した後に水で消化して得た水酸化カルシウムや、安価な工業用生石灰を水で消化して得た水酸化カルシウムを使用することができる。
【0015】
同様に、合成カルシウムアルミネート水和物の原料となる金属アルミニウムも、ALC(Autoclaved Lightweight Concrete)製造に使用する発泡剤のような高純度で粒度が小さく比表面積の大きな反応性の高いものが好ましいが、有害重金属類を含有していないアルミニウムであれば、ケイ素、カルシウム、鉄、マグネシウム等の多少の不純物を含んでいても問題なく使用でき、例えば、金属アルミニウム加工業や溶融精錬業から排出される廃アルミスラッジ、アルミドロス、また粒度の大きいアルミニウム粒や安価なアルミスクラップ等を微粉砕して得られたアルミニウム微粉末を使用することができる。
【0016】
上記水酸化カルシウムと金属アルミニウム粉末とを、所定のモル比、好適にはモル比2:1〜1:2で、例えば50℃の水中で反応させると、ハイドロガーネット(3CaO・Al2O3・6H2O)やハイドログロシュラー(3CaO・Al2O3・6H2O)等の種々のカルシウムアルミネート水和物を得ることができ、特にカルシウムアルミネート水和物としては、3CaO・Al2O3・6H2Oを使用することが、より低い仮焼温度で重金属吸着能力が発現する点から望ましい。
【0017】
かかる3CaO・Al2O3・6H2Oカルシウムアルミネート水和物を合成する場合には、水酸化カルシウムと金属アルミニウムとの理論モル比は3:2であるが、モル比に多少幅があっても、合成したカルシウムアルミネート水和物の仮焼後の重金属吸着能力には差が少ないため、本発明においては水酸化カルシウムと金属アルミニウムとのモル比は2:1〜1:2の範囲であることが好ましい。
【0018】
カルシウムアルミネート水和物を合成するには公知の方法を使用することができ、例えば水酸化カルシウムに約3〜10倍容量の清浄な水を加えてスラリーとし、当該スラリーに金属アルミニウム粉末を少しずつ添加して撹拌しながら反応させて水酸化カルシウムを合成する方法を好適に使用することができる。この場合、粒度の大きいアルミニウム粒を使用する場合は、ボールミル等に、アルミニウム粒と水酸化カルシウムと水とを共に入れて湿式混合粉砕しながら反応させても良い。
【0019】
反応系中の金属アルミニウムが完全に溶解した後、スラリーを約50〜100℃で数時間〜数日間養生して、合成カルシウムアルミネート水和物を得る。なお、反応時に発生する水素ガスは適宜回収して、燃料等として有効利用することが可能である。
【0020】
また、本発明で好適に使用することができる他のカルシウムアルミネート水和物としては、カルシウムアルミネートを多量に含有するセメントまたはクリンカを水和させて得られるカルシウムアルミネート水和物がある。
前記カルシウムアルミネートを多量に含有するセメントまたはクリンカとしては、アルミナセメント(CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3、12CaO・7Al2Oを高含有するセメント)や、超速硬セメントの原料となるジェットクリンカ(11CaO・7Al2O3・CaF2を高含有するクリンカ)などが挙げられるが、特に限定されず、種々のセメントやクリンカを使用することができる。
【0021】
前記アルミナセメントやジェットクリンカに、約3〜10倍程容量の清浄な水を加えてスラリーとし、当該スラリーを常温で数時間〜数日間撹拌して、アルミナセメントやジェットクリンカを水和反応させ、3CaO・Al2O3・6H2O等の各種カルシウムアルミネート水和物を得る。特にカルシウムアルミネート水和物として、3CaO・Al2O3・6H2Oを好適に用いることができることは上記と同様である。水和反応を促進させたい場合には、熱水を使用したり、スラリーを加温あるいはボールミルなどで湿式粉砕しながら、水和反応を行うことにより実施できる。
このようにして得られた各種カルシウムアルミネート水和物を多量に含むスラリーを、デカンタやろ過器を使用して余分な水分を分離した後、例えば約50〜200℃で乾燥する。
【0022】
次いで、乾燥した各種カルシウムアルミネート水和物を、空気中で300〜1100℃の温度範囲で仮焼、例えば1時間仮焼するが、各種カルシウムアルミネート水和物は、乾燥後いったん解砕してから仮焼しても、未解砕のブロック状乾燥ケーキを仮焼しても、いずれの方法を用いても良い。
このように仮焼することにより、カルシウムアルミネート水和物の有害重金属類に対する吸着能力が著しく向上改善される。かかる仮焼による水和物の変化や重金属吸着原理はまだ十分に解明できていないが、カルシウムアルミネート水和物中の水分子が失われ、極めて多孔質で比表面積の大きな12CaO・7Al2O3やCa12Al14O33などの各種カルシウムアルミネートが生成するためであることも1つの要因と考えられる。
【0023】
仮焼温度は、少なくとも300℃以上であることが、カルシウムアルミネート水和物の重金属類の吸着性能を向上させる点から望ましく、これは、300℃未満では重金属吸着能力が十分に改善されないからである。一方、1100℃を超える温度での仮焼は、得られるカルシウムアルミネートが溶融または焼結するおそれがある上に、加熱エネルギーが過大となりコスト的にも好ましくない。カルシウムアルミネートが一旦溶融したり、または焼結すると、得られるカルシウムアルミネートが重金属類を有効に吸着することができなくなるためである。
仮焼を終了した材料は、その後急冷あるいは除冷しても良い。このようにして得られた仮焼重金属吸着材は、用途に応じて粉体、ブロック状または造粒して使用することができる。
【0024】
このようにして得られた重金属吸着材には、浄化または処理対象となる排水、廃液、焼却灰、汚染土壌などの性状に応じて、様々な吸着助剤を更に混合添加することができ、その方法は特に限定されず、均一に混合できれば任意の方法を用いることができる。
吸着助剤としては、そのものから有害重金属類が環境基準値を越えて溶出しない限り特に限定されず種々のものが使用できるが、例えばシリカヒューム、非晶質シリカ、シリカゲル、ゼオライト、酸性白土、活性白土、セピオライト、アタパルジャイト、ベントナイト、カオリン、メタカオリン、バーミキュライト、アロフェン、イモゴライト、アルミナゲル、ベーマイト、ギブサイト、活性アルミナ、カルサイト、ポルトランドセメント、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、活性炭、金属アルミニウム粉、鉄粉からなる群より選ばれる少なくとも一種以上を、所望する性状に応じて任意量で混合することができ、ポルトランドセメントとしては、改良対象となる土壌の性状や施工コストを考慮した上で、普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩などの各種ポルトランドセメントから任意に一種以上を選択することができる。
【0025】
このようにして得られた重金属吸着材は、有害重金属類を含む排水、廃液、焼却灰、汚染土壌等、広範な浄化、処理対象物に直接適用することにより、有効に重金属類を吸着処理することができる。重金属吸着材の使用量は、含有される重金属の種類、量によって異なるが、例えば、通常、処理対象物100重量部に対して、重金属吸着材を10〜100重量部混合することで、十分に重金属類を吸着処理することができる。
また、重金属を含有する排水、廃液、焼却灰、汚染土壌等を処理するにあたっては、本発明の重金属吸着材を、粉末状で散布混合したり、スラリー状にして混合する方法等、従来の混合方法を使用することで、後述する効果を十分に得ることができる。
【0026】
【実施例】
本発明を、以下の実施例及び比較例を示して更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成カルシウムアルミネート水和物及びその仮焼品の調製
以下の実施例及び比較例で使用する重金属吸着材としての合成カルシウムアルミネート水和物及びその仮焼品を、次のようにして調製した。
特級試薬水酸化カルシウム(キシダ化学株式会社製)に、当該水酸化カルシウムに対して10倍容量の蒸留水を添加して攪拌し、スラリー状にした。当該スラリーを温度50℃に保持しながら、該スラリーにALC発泡用金属アルミニウム微粉末(大和金属粉工業株式会社製)を、水酸化カルシウムと金属アルミニウムとのモル比が1:1となるように少しずつ添加し、攪拌して反応させ、反応系中の金属アルミニウムを完全に溶解させた。
【0027】
得られたスラリーを温度50℃で24時間養生し、次いで50℃で乾燥後、粒径125μm以下になるまで解砕してカルシウムアルミネート水和物を得た。
得られたカルシウムアルミネート水和物をアルミナルツボに入れて電気炉内で60分間それぞれ仮焼し、仮焼後は空気中で放冷して、合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を調製した。
【0028】
アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物及び普通ポルトランドセメント水和物、並びにその仮焼品の調製
以下の実施例及び比較例で使用する重金属吸着材としてのアルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物及び普通ポルトランドセメント水和物、並びにその仮焼品を、次のようにして調製した。
アルミナセメント(製品名 セカール51;ラファージュ社製)、ジェットクリンカ(住友大阪セメント株式会社製)及び普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製)を使用し、それぞれ10倍容量の蒸留水を加えて常温(20℃)で24時間撹拌し、次いで50℃で乾燥後、粒径125μm以下になるまで解砕してカルシウムアルミネート水和物、ジェットクリンカ水和物及び普通ポルトランドセメント水和物を得た。
得られた各水和物をアルミナルツボに入れて電気炉内で60分間、それぞれ下記実施例または比較例で示す温度で仮焼し、仮焼後は空気中で放冷して、各仮焼品を調製した。
【0029】
実施例1〜4
蒸留水に二クロム酸カリウム試薬(キシダ化学株式会社製)を溶解して、pH5の六価クロム(濃度;1000mg/l)の重金属溶液を調製した。
一方、仮焼温度をそれぞれ300℃、600℃、800℃、1100℃として得られた合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を重金属吸着材として用い、当該粉末状重金属吸着材1gと前記重金属溶液50mlとを、100mlポリエチレン瓶に密封し、振とう機で4時間撹拌後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表1に示す。
ただし、六価クロムの残存濃度は、JISK0102に準拠してICP−AES(誘導結合型プラズマ発光分光装置)により測定した。また吸着率は、ブランク(比較例1)の六価クロム濃度に対する上記残存濃度の減少量から算出したものである。
【0030】
比較例1
上記実施例1で使用した重金属溶液に、重金属吸着材を添加しない以外は、実施例1と同様にして、ブランク溶液としての六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表2に示す。
比較例2〜4
重金属吸着材として、特級試薬水酸化カルシウム(キシダ化学株式会社製)、仮焼する前の合成カルシウムアルミネート水和物(50℃乾燥)、仮焼温度を200℃として得られた合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表2に示す。
【0031】
実施例5〜8
重金属吸着材として、仮焼温度をそれぞれ300℃、600℃、800℃、1100℃として得られたアルミナセメント水和物仮焼品を用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表1に示す。
【0032】
比較例5〜7
重金属吸着材として、アルミナセメント(製品名 セカール51;ラファージュ社製)、仮焼する前のアルミナセメント水和物(50℃乾燥)、仮焼温度を200℃として得られたアルミナセメント水和物仮焼品をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表2に示す。
【0033】
実施例9〜12
重金属吸着材として、仮焼温度をそれぞれ300℃、600℃、800℃、1100℃として得られたジェットクリンカ水和物仮焼品を用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表1に示す。
【0034】
比較例8〜10
重金属吸着材として、ジェットクリンカ(住友大阪セメント株式会社製)、仮焼する前の前記ジェットクリンカ水和物(50℃乾燥)、仮焼温度を200℃として得られたジェットクリンカ水和物仮焼品を用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表2に示す。
【0035】
比較例11〜12
重金属吸着材として、普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製)、仮焼する前の普通ポルトランドセメント水和物(50℃乾燥)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表2に示す。
【0036】
比較例13〜15
重金属吸着材として、高炉水砕スラグ(セメント混合用スラグ;住友金属工業株式会社製)、活性白土(製品名 SA1;日本活性白土株式会社製)、カルシウム型ベントナイト(製品名ベンゲルライト11;豊順鉱業株式会社製)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、六価クロムの残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
上記実施例1〜12及び比較例2〜10より、合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物をそれぞれ300〜1100℃で仮焼した場合には、六価クロム吸着率が著しく改善され、一方、本発明の重金属吸着材の原料である、水酸化カルシウム、アルミナセメント、ジェットセメントや、仮焼を実施していない水和物(合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物)や、仮焼温度を200℃として得られた水和物仮焼品(合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物)は、六価クロム吸着率が極めて低いことがわかる。
【0040】
比較例11〜15より、普通ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント水和物、高炉水砕スラグ、活性白土、カルシウム型ベントナイトには、六価クロムに対する吸着効果はなく、六価クロム吸着率が極めて低いことがわかる。
【0041】
実施例13〜16
pH11のアンモニア水に試薬ニクロム酸カリウム(キシダ化学株式会社製)、試薬モリブデン酸(キシダ化学株式会社製)、試薬亜砒酸(キシダ化学株式会社製)を溶解して、六価クロム(濃度;507mg/l)、モリブデン(濃度;454mg/l)、砒素(濃度;71mg/l)の重金属を3種含有する重金属混合溶液を調製した。仮焼温度をそれぞれ300℃、600℃、800℃、1100℃として得られた合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を重金属吸着材として用い、当該粉末状重金属吸着材5gと前記重金属混合溶液50mlとを、100mlポリエチレン瓶に密封し、振とう機で4時間撹拌後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、前記3種の重金属の残存濃度と吸着率とをそれぞれ測定した。その結果を下記表3に示す。
ただし、各重金属残存濃度は、実施例1と同様に、JISK0102に準拠してICP−AESにより測定した。また吸着率は、ブランク(比較例16)中の各重金属濃度に対する残存濃度の減少量から算出したものである。
【0042】
比較例16
上記実施例13で使用した重金属混合溶液に、重金属吸着材を添加しない以外は、実施例13と同様にして、ブランク溶液としての各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表4に示す。
比較例17〜19
重金属吸着材として、特級試薬水酸化カルシウム(キシダ化学株式会社製)、仮焼する前の合成カルシウムアルミネート水和物(50℃乾燥)、仮焼温度を200℃として得られた合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を用いた以外は、実施例13と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表4に示す。
【0043】
実施例17〜20
重金属吸着材として、仮焼温度をそれぞれ300℃、600℃、800℃、1100℃として得られたアルミナセメント水和物仮焼品を用いた以外は、実施例13と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表3示す。
【0044】
比較例20〜22
重金属吸着材として、アルミナセメント(製品名 セカール51;ラファージュ社製)、仮焼する前の前記アルミナセメント水和物(50℃乾燥)、仮焼温度を200℃として得られたアルミナセメント水和物仮焼品をそれぞれ用いた以外は、実施例13と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表4に示す。
【0045】
実施例21〜24
重金属吸着材として、仮焼温度をそれぞれ300℃、600℃、800℃、1100℃として得られた上記ジェットクリンカ水和物仮焼品をそれぞれ用いた以外は、実施例13と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表3に示す。
【0046】
比較例23〜25
重金属吸着材として、ジェットクリンカ(住友大阪セメント株式会社製)、仮焼する前の前記ジェットクリンカ水和物(50℃乾燥)、仮焼温度を200℃で実施して得られたジェットクリンカ水和物仮焼品を用いた以外は、実施例13と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表4に示す。
【0047】
比較例26〜29
重金属吸着材として、普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製)、高炉水砕スラグ(製品名セメント混合用スラグ;住友金属工業株式会社製)、活性白土(製品名SA1;日本活性白土株式会社製)、カルシウム型ベントナイト(製品名ベンゲルブライト11;豊順鉱業株式会社製)をそれぞれ用いた以外は、実施例13と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表4に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
上記実施例13〜24及び比較例17〜25より、合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物をそれぞれ300〜1100℃で仮焼した場合には、六価クロム、モリブデン及び砒素のすべての重金属の吸着率が同時に著しく改善され、一方、本発明の重金属吸着材の原料である、水酸化カルシウム、アルミナセメント、ジェットセメントや、仮焼を実施していない水和物(合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物)や、仮焼温度を200℃で行った水和物仮焼品(合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物)は、六価クロム、モリブデン吸着率は極めて低いことがわかる。
【0051】
比較例26〜29より、普通ポルトランドセメント、高炉水砕スラグ、活性白土、カルシウム型ベントナイトの場合には、六価クロム及びモリブデンに対する吸着効果はなく、六価クロム及びモリブデンの吸着率は極めて低いことがわかる。
なお砒素に関しては、比較例28及び29を除いたすべての事例で効率よく吸着したため、水和物の差異および仮焼の有無による差はないものと考えられる。
【0052】
実施例25
pH13の水酸化ナトリウム水溶液に、試薬塩化鉛(キシダ化学株式会社製)、試薬モリブデン酸(キシダ化学株式会社製)、試薬亜砒酸(キシダ化学株式会社製)を溶解して、鉛(濃度;412mg/l)、モリブデン(濃度;213mg/l)、砒素(濃度;22mg/l)の重金属を3種含有する重金属混合溶液を調製した。
仮焼温度を800℃として得られた合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を重金属吸着材として用い、当該粉末状重金属吸着材5gと前記重金属混合溶液50mlとを、100mlポリエチレン瓶に密封し、振とう機で4時間撹拌後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、前記3種の重金属の残存濃度と吸着率とをそれぞれ測定した。その結果を下記表5に示す。
ただし、各重金属残存濃度は、実施例1と同様に、JISK0102に準拠してICP−AESにより測定した。また吸着率は、ブランク(比較例30)中の各重金属濃度に対する残存濃度の減少量から算出したものである。
【0053】
比較例30
上記実施例25で使用した重金属混合溶液に、重金属吸着材を添加しない以外は、実施例25と同様にして、ブランク溶液としての各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
比較例31〜32
重金属吸着材として、特級試薬水酸化カルシウム(キシダ化学株式会社製)、仮焼する前の前記合成カルシウムアルミネート水和物(50℃乾燥)を用いた以外は、実施例25と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0054】
実施例26
重金属吸着材として、前記合成カルシウムアルミネート水和物800℃仮焼品の代わりに、アルミナセメント水和物800℃仮焼品を用いた以外は、実施例25と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0055】
比較例33〜34
重金属吸着材として、アルミナセメント(製品名 セカール51;ラファージュ社製)、仮焼する前のアルミナセメント水和物(50℃乾燥)を用いた以外は、実施例25と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0056】
実施例27
重金属吸着材として、合成カルシウムアルミネート水和物800℃仮焼品の代わりに、ジェットクリンカ水和物800℃仮焼品を用いた以外は、実施例25と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0057】
比較例35〜36
重金属吸着材として、ジェットクリンカ(住友大阪セメント株式会社製)、仮焼する前のジェットクリンカ水和物(50℃乾燥)を用いた以外は、実施例25と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0058】
比較例37〜41
重金属吸着材として、普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製)、高炉スラグ(製品名セメント混合用スラグ;住友金属工業株式会社製)、活性白土(製品名SA1;日本活性白土株式会社製)、アタパルジャイト(製品名アタゲルDC150;三共精粉株式会社製)、セピオライト(製品名ファイバーS;日本タルク株式会社製)をそれぞれ用いた以外は、実施例25と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表5に示す。
【0059】
【表5】
【0060】
上記実施例25〜27及び比較例31〜36より、合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物をそれぞれ800℃で仮焼した場合には、鉛、モリブデン及び砒素のすべての重金属の吸着率が同時に著しく改善され、一方、本発明の重金属吸着材の原料である、水酸化カルシウム、アルミナセメント、ジェットセメントや、仮焼を実施していない水和物(合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物)は、鉛、モリブデン吸着率が極めて低いことがわかる。
【0061】
比較例37〜38より、普通ポルトランドセメント、高炉水砕スラグは、鉛とモリブデンとの吸着率が低く、比較例39〜41より、粘土鉱物である活性白土、アタパルジャイト、セピオライトの場合には、鉛の吸着率は高かったが、モリブデンと砒素の吸着率は極めて低かった。
なお砒素に関しては、比較例38〜41を除いたすべての事例で効率よく吸着したため、水和物の差異および仮焼の有無による差はないものと考えられる。
【0062】
実施例28
pH1の希硝酸に、試薬ニクロム酸カリウム(キシダ化学株式会社製)、試薬モリブデン酸(キシダ化学株式会社製)、試薬酸化カドミウム(キシダ化学株式会社製)を溶解して、六価クロム(濃度;408mg/l)、モリブデン(濃度;134mg/l)、カドミウム(濃度;50mg/l)の重金属を3種含有する重金属混合溶液を調製した。
仮焼温度を800℃として得られた合成カルシウムアルミネート水和物仮焼品を重金属吸着材として用い、当該粉末状重金属吸着材5gと前記重金属混合溶液50mlとを、100mlポリエチレン瓶に密封し、振とう機で4時間撹拌後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、前記3種の重金属の残存濃度と吸着率とをそれぞれ測定した。その結果を下記表6に示す。
ただし、各重金属残存濃度は、実施例1と同様に、JISK0102に準拠してICP−AESにより測定した。また吸着率は、ブランク(比較例42)中の各重金属濃度に対する残存濃度の減少量から算出したものである。
【0063】
比較例42
上記実施例28で使用した重金属混合溶液に、重金属吸着材を添加しない以外は、実施例28と同様にして、ブランク溶液としての各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表7に示す。
比較例43〜44
重金属吸着材として、特級試薬水酸化カルシウム(キシダ化学株式会社製)、仮焼する前の前記合成カルシウムアルミネート水和物(50℃乾燥)を用いた以外は、実施例28と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表7に示す。
【0064】
実施例29
重金属吸着材として、前記合成カルシウムアルミネート水和物800℃仮焼品の代わりに、アルミナセメント水和物800℃仮焼品を用いた以外は、実施例28と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表6に示す。
【0065】
比較例45〜46
重金属吸着材として、アルミナセメント(製品名 セカール51;ラファージュ社製)、仮焼する前のアルミナセメント水和物(50℃乾燥)を用いた以外は、実施例28と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表7に示す。
【0066】
実施例30
重金属吸着材として、前記合成カルシウムアルミネート水和物800℃仮焼品の代わりに、ジェットクリンカ水和物800℃仮焼品を用いた以外は、実施例28と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表6に示す。
【0067】
比較例47〜48
重金属吸着材として、ジェットクリンカ(住友大阪セメント株式会社製)、仮焼する前のジェットクリンカ水和物(50℃乾燥)を用いた以外は、実施例28と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表7に示す。
【0068】
比較例49〜53
重金属吸着材として、普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製)、高炉水砕スラグ(製品名セメント混合用スラグ;住友金属工業株式会社製)、活性白土(製品名SA1;日本活性白土株式会社製)、アタパルジャイト(製品名アタゲルDC150;三共精粉株式会社製)、セピオライト(製品名ファイバーS;日本タルク株式会社製)をそれぞれ用いた以外は、実施例28と同様にして、各重金属残存濃度と吸着率とを測定した。その結果を下記表7に示す。
【0069】
【表6】
【0070】
【表7】
【0071】
上記実施例28〜30及び比較例43〜48より、合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物をそれぞれ800℃で仮焼した場合には、六価クロム、モリブデン及びカドミウムのすべての重金属の吸着率が同時に著しく改善され、一方、本発明の重金属吸着材の原料である、水酸化カルシウム、アルミナセメント、ジェットセメントや、仮焼を実施していない水和物(合成カルシウムアルミネート水和物、アルミナセメント水和物、ジェットクリンカ水和物)は、六価クロム、モリブデン吸着率が極めて低いことがわかる。
【0072】
比較例49及び53より、普通ポルトランドセメント、セピオライトは、カドミウムの吸着率が高かったが、六価クロムとモリブデンの吸着率は極めて低かった。
比較例50〜52より、高炉水砕スラグ、活性白土、アタパルジャイトの場合には、重金属3種すべての吸着率が極めて低かった。
なおカドミウムに関しては、比較例50〜53を除いたすべての事例で効率よく吸着したため、水和物の差異および仮焼の有無による差はないものと考えられる。
【0073】
【発明の効果】
本発明の重金属吸着材は、工場排水、鉱山廃水、焼却灰、ばいじん、汚染土壌等に含まれる六価クロム、モリブデン、砒素、鉛、カドミウム、銅などの有害重金属類を同時に吸着除去または吸着固定することができ、従って、例えば排水の浄化、焼却灰や汚染土壌中の有害重金属類の不溶化(封じ込め)を低コストで行うことを可能とする。
また、本発明の重金属類の処理方法は、上記本発明の重金属吸着材を用いて、工場排水、鉱山廃水、焼却灰、ばいじん、汚染土壌等と直接混合することにより、重金属を同時に吸着除去または吸着固定することを簡便に行うことを可能とする。
Claims (7)
- 300〜1100℃で仮焼したカルシウムアルミネート水和物を主成分とすることを特徴とする重金属吸着材。
- 請求項1記載の重金属吸着材において、カルシウムアルミネート水和物が、水酸化カルシウムと金属アルミニウムと水とから合成した合成カルシウムアルミネート水和物であることを特徴とする重金属吸着材。
- 請求項2記載の重金属吸着材において、水酸化カルシウムと金属アルミニウムとのモル比が2:1〜1:2の範囲であることを特徴とする重金属吸着材。
- 請求項1記載の重金属吸着材において、カルシウムアルミネート水和物が、アルミナセメントまたはジェットクリンカの水和反応によって得られたカルシウムアルミネート水和物であることを特徴とする重金属吸着材。
- 請求項1〜4のいずれかの項記載の重金属吸着材において、カルシウムアルミネート水和物が3CaO・Al2O3・6H2Oであることを特徴とする重金属吸着材。
- 請求項1〜5いずれかの項記載の重金属吸着材において、更にシリカヒューム、非晶質シリカ、シリカゲル、ゼオライト、酸性白土、活性白土、セピオライト、アタパルジャイト、ベントナイト、カオリン、メタカオリン、バーミキュライト、アロフェン、イモゴライト、アルミナゲル、ベーマイト、ギブサイト、活性アルミナ、カルサイト、ポルトランドセメント、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、活性炭、金属アルミニウム粉、鉄粉からなる群より選ばれる少なくとも一種の吸着助剤を含有することを特徴とする重金属吸着材。
- 請求項1〜6いずれかの項記載の重金属吸着材を、重金属を含有する処理対象物に混合することを特徴とする重金属処理方法。
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