JP2005037469A - 負帯電性トナー、その製造方法およびその負帯電性トナーを用いたフルカラー画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の負帯電性トナーは、着色剤を含有した樹脂粒子表面に外添剤を被覆した負帯電性トナーにおいて、外添剤が、平均一次粒子径が異なる2種のシリカ粒子であって、一方の個数平均一次粒子径が5〜20nmであり、他方のシリカ粒子の個数平均一次粒子径が30〜50nmであるシリカ粒子、また、チタン、スズ、ジルコニウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物を使用した湿式処理により表面改質され、疎水化処理された表面改質シリカ粒子、および焔内加水分解法により得られ、疎水化処理された酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子とからなる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電印刷等に用いる負帯電性トナー、その製造方法およびその負帯電性トナーを用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法では、光導電性物質を設けた感光体に形成した静電潜像を着色剤を含有したトナー粒子を用いて現像を行った後に、熱、圧力等により紙等の転写材にトナー画像を定着して複写物、印刷物を形成している。
【0003】
トナー粒子には、トナーの有する物性を改善することを目的として外添剤(表面処理剤)を添加することが一般に行われているが、トナー粒子には粒度分布がある関係で、トナー粒子に外添剤を添加しても帯電量分布が存在し、負帯電性トナーであっても正に帯電したトナーを含有するという避けきれない状況があり、負帯電反転現像で作製する画像形成装置では、像担持体(感光体)の非画像部にトナーが付着し、印字枚数が増すに従い、トナーの劣化も相まってカブリ付着トナー量が更に増え、感光体におけるクリーニング負荷も増大するという問題があり、特に、フルカラートナーとする場合には、トナーの粒度分布に由来するトナーの帯電分布の広がりにより選択現像が生じたり、また、正帯電トナーが存在するとカブリの問題のみならず、色重ねに際して逆転写する「逆転写トナー」が発生するという問題がある。
【0004】
また、一成分非磁性トナーにおいては、トナーの劣化防止を目的としてシリカ粒子を多量に添加すると、トナーの流動性は確保できるものの定着性が低下する結果となり、また、トナーの負帯電能力を高めることを目的として、トナー極性とは逆の正帯電性チタニアをシリカ粒子と共に添加することが知られているが、印字枚数が増えるに従い、トナー表面から正帯電性チタニアが遊離していくことがあり、連続印字時の画像濃度の維持性に問題となる。また、トナーの負帯電能力が高くなりすぎると、印字画像濃度が低下するので、その防止のために比較的低電気抵抗であって、また、埋没防止のために一次粒子径の大きなチタニアを使用することも知られているが、印字枚数が増えると前述同様にトナー母粒子表面から遊離し、その効果を十分に発揮できないという問題がある。さらに、フィルミング防止のために、酸化アルミニウム(アルミナ)粒子をシリカ粒子と同時に添加することも知られているが、アルミナ粒子の疎水化処理は困難であり、また、アルミナ粒子を入れすぎると感光体寿命を短命化させるという問題がある。
【0005】
また、各種の金属酸化物粒子を外添するにあたり、比較的大きな粒子径のものと比較的小さな粒子径のものとを組合せて添加することにより、トナーの流動性、クリーニング性、転写特性、帯電性並びにトナー寿命を長くする「耐久性」を向上させることが知られ、また、トナー母粒子からの外添剤の遊離率を規定し、帯電安定性、カブリ防止、白抜け防止、画像濃度の維持やフィルミング防止を可能とすることも知られ、さらに、酸化アルミニウムと二酸化珪素とからなる複合酸化物粒子を外添剤として使用し、流動性に優れると共に安定な電荷挙動を示すトナー粒子とできることが知られている(参考文献1)が、いずれにあっても、フルカラートナーに適用する場合には、トナーの粒度分布に由来するトナーの帯電分布の広がりにより選択現像が生じたり、また、正帯電トナーが存在することによりカブリの問題のみならず、色重ねに際して逆転写する「逆転写トナー」が発生するという問題がある。
【0006】
また、トナー粒子に複数種の外添剤を組合せ使用する代わりに、単一微粒子の表面または一部を他の材質で改質することで、複数種の外添剤の効果を得ることが行われ、流動性、帯電性、画像濃度の維持性、カブリやフィルミングを防止することが知られており、例えば、シリカ微粒子を、水系でチタン、錫、ジルコニウムおよびアルミニウムの一種以上の水酸化物あるいは酸化物で被覆した表面を、アルコキシシランで被覆した疎水性微粒子を外添剤として用いた電子写真用トナーが知られ(参考文献2)、また、シリカ粒子の外面を酸化チタンで被覆したシリカ内包酸化チタン粒子を外添剤としたトナーが提案されており(参考文献3)、正帯電トナー量を減少させることが可能であるが、平均帯電量の大きさが充分なものではなく、転写効率の向上と逆転写トナーの減少という両者の課題を満足するものではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−181130号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2002−29730号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2002−148848号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、現像時における感光体上のトナーによる非画像部のカブリが少なく、トナーの過帯電を防止できる結果、転写効率が向上し、かつ、2色目以降における感光体上への逆転写トナーの発生を抑制することができる外添剤の新規な組合せを有する負帯電性トナー、その製造方法、その負帯電性トナーを用いたフルカラー画像形成装置に関する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の負帯電性トナーは、着色剤を含有した樹脂粒子表面に外添剤を被覆した負帯電性トナーにおいて、外添剤が、
(1)平均一次粒子径が異なる2種のシリカ粒子であって、一方の個数平均一次粒子径が5〜20nmであり、他方のシリカ粒子の個数平均一次粒子径が30〜50nmであるシリカ粒子、
(2)チタン、スズ、ジルコニウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物を使用した湿式処理により表面改質され、疎水化処理された表面改質シリカ粒子、および
(3)焔内加水分解法により得られ、疎水化処理された酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子
とからなることを特徴とする。
【0012】
シリカ粒子のトナー母粒子あたりの添加量が0.5〜1.5重量%であって、個数平均一次粒子径が5〜20nmのシリカ粒子と個数平均一次粒子径が30〜50nmのシリカ粒子との割合(重量比)が5:1〜1:5であることを特徴とする。
【0013】
表面改質シリカ粒子のトナー母粒子あたりの添加量が0.005〜0.5重量%、酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子のトナー母粒子あたりの添加量が0.005〜0.5重量%であって、両者の合計添加量が0.01〜1重量%であることを特徴とする。
【0014】
外添剤のトナー母粒子あたりの添加量が0.51〜2.5重量%であることを特徴とする。
【0015】
負帯電性トナーが重合法トナーであることを特徴とする。
【0016】
負帯電性トナーの円形度が0.94以上であることを特徴とする。
【0017】
負帯電性トナーの個数平均粒径が9μm以下であることを特徴とする。
【0018】
負帯電性トナーがフルカラートナーであることを特徴とする。
【0019】
本発明の負帯電性トナーの製造方法は、着色剤を含有した樹脂粒子を、
(1)平均一次粒子径が異なる2種のシリカ粒子であって、一方の個数平均一次粒子径が5〜20nmであり、他方のシリカ粒子の個数平均一次粒子径が30〜50nmであるシリカ粒子により外添処理する工程、該シリカ粒子により外添処理された樹脂粒子を、
(2)チタン、スズ、ジルコニウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物を使用した湿式処理により表面改質され、疎水化処理された表面改質シリカ粒子および(3)焔内加水分解法により得られ、疎水化処理された酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子によりさらに外添処理する工程
に付すことを特徴とする。
【0020】
本発明のフルカラー画像形成装置は、感光体上に形成されたトナー画像を記録媒体上に転写する中間転写媒体を有するフルカラー画像形成装置において、トナー画像が着色剤を含有した樹脂粒子表面に外添剤を含有させた負帯電性トナーからなり、該外添剤が、
(1)平均一次粒子径が異なる2種のシリカ粒子であって、一方の個数平均一次粒子径が5〜20nmであり、他方のシリカ粒子の個数平均一次粒子径が30〜50nmであるシリカ粒子、
(2)チタン、スズ、ジルコニウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物を使用した湿式処理により表面改質され、疎水化処理された表面改質シリカ粒子、および
(3)焔内加水分解法により得られ、疎水化処理された酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子
とからなることを特徴とする。
【0021】
感光体が負帯電の有機感光体であることを特徴とする。
【0022】
中間転写媒体がベルトから形成されたものであることを特徴とする。
【0023】
感光体と現像装置を一体化してプロセスカートリッジとし、画像形成装置本体に取り外し自在に支持できることを特徴とする。
【0024】
感光体と中間転写媒体の周速差を0.95〜1.05としたことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明は、着色剤を含有した樹脂粒子表面に外添剤を被覆した負帯電性トナーにおいて、外添剤として、(1)平均一次粒子径が異なる2種のシリカ粒子であって、一方のシリカ粒子の個数平均一次粒子径が5〜20nmであり、他方のシリカ粒子の個数平均一次粒子径が30〜50nmであるシリカ粒子(以下、粒径の異なるシリカ粒子ともいう)、および(2)チタン、スズ、ジルコニウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物を使用した湿式処理により表面改質され、疎水化処理された表面改質シリカ粒子(以下、表面改質シリカ粒子)、さらに(3)焔内加水分解法により得られ、疎水化処理された酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子(以下、酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子、または複合酸化物粒子ともいう)とをそれぞれ所定の量を含有させることによってトナーの帯電特性を高めるとともに、逆帯電するトナー量を減少させ、トナーの帯電特性の安定化と転写効率を向上させることが可能であり、フルカラートナーとして適した負帯電性トナーとできることを見出したものである。
【0026】
トナー母粒子としては、粉砕法および重合法により得られるトナー母粒子が例示される。粉砕法トナーとしては、バインダー樹脂に少なくとも顔料を含有し、離型剤、荷電制御剤等を添加し、ヘンシェルミキサー等で均一混合した後、2軸押し出し機で溶融混練され、冷却後、粗粉砕−微粉砕工程を経て、分級処理され、さらに、外添粒子が付着されてトナー粒子とされる。
【0027】
バインダー樹脂としてはトナー用樹脂として使用されている合成樹脂が使用可能であり、例えばポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等が単独又は複合して使用できる。本発明においては、特に、スチレン−アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。バインダー樹脂としてはガラス転移温度が50〜75℃、フロー軟化温度が100〜150℃の範囲が好ましい。
【0028】
着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の染料および顔料を単独あるいは複合したトナー用着色剤が使用可能であり、少なくとも4色のトナーとされる。
【0029】
例えばブラック(K)用着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック等が例示される。
【0030】
イエロー(Y)用着色剤としては、クロムイエロー、ハンザイエローG、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、ベンジジンイエロー等が例示される。
【0031】
また、マゼンタ(M)用着色剤としては、キナクリドン、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド184、ローダミン6G等が例示される。
【0032】
また、シアン(C)用着色剤としては、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カルコオイルブルー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が例示される。
【0033】
離型剤としては、トナー用離型剤が使用可能である。例えばパラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等が挙げられる。中でもポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、エステルワックス、ライスワックス等を使用することが好ましい。
【0034】
荷電調整剤としては、トナー用荷電調整剤が使用可能である。例えば、オイルブラック、オイルブラックBY、ボントロンS−22およびS−34(オリエント化学工業製)、サリチル酸金属錯体E−81、E−84(オリエント化学工業製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学工業製)、カリックスアレン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシルカルボン酸系金属錯体、芳香族ジカルボン酸系金属錯体、多糖類等が挙げられる。なかでもカラートナー用には無色ないしは白色のものが好ましい。
【0035】
粉砕法トナーにおける成分比としては、バインダー樹脂100重量部に対して、着色剤は0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部であり、また、離型剤は1〜10重量部、好ましくは2.5〜8重量部であり、また、荷電制御剤は0.1〜7重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
【0036】
粉砕法トナーにあっては、転写効率の向上のために球形化処理されるとよく、粉砕工程で、比較的丸い球状で粉砕可能な装置、例えば機械式粉砕機として知られるターボミル(川崎重工業製)を使用すれば円形度を0.93まで高めることができる。また、粉砕したトナーを熱風球形化装置(日本ニューマチック工業製)を使用することによって円形度を1.00まで高めることができる。本発明においては、円形度は0.94〜0.98に調節される。円形度が0.94より小さいと所望の転写効率は得られず、また、0.98より大きいとクリーニング性に問題が生じる。
【0037】
次に、重合法トナーは、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等により得られるものであり、フルカラートナーに適したものとできる。懸濁重合法においては、重合性単量体、着色顔料、離型剤とを必要により更に、染料、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤を添加した複合物を溶解又は分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤(水溶性高分子、難水溶性無機物質)を含む水相中に攪拌しながら添加して造粒し、重合させて所望の粒子サイズを有する着色重合トナー粒子を形成することができる。重合法トナー作製に用いられる材料において、着色剤、離型剤、荷電制御剤、に関しては、上述した粉砕トナーと同様の材料が使用できる。
【0038】
乳化重合法においては、単量体と離型剤、必要により更に重合開始剤、乳化剤(界面活性剤)などを水中に分散させて重合を行い、次いで凝集過程で着色剤、荷電制御剤と凝集剤(電解質)等を添加することによって所望の粒子サイズを有する着色トナー粒子を形成することができる。
【0039】
重合性単量体成分としては、公知のビニル系モノマーが使用可能であり、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、無水マレイン酸、無水フタル酸、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルナフタレン等が挙げられる。なお、フッ素含有モノマーとしては例えば2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロプロピレンなどはフッ素原子が負荷電制御に有効であるので使用が可能である。
【0040】
乳化剤(界面活性剤)としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル等がある。
【0041】
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル等がある。
【0042】
凝集剤(電解質)としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸鉄等が挙げられる。
【0043】
重合法トナーの円形度の調節法としては、乳化重合法は2次粒子の凝集過程で温度と時間を制御することで、円形度を自由に変えることができ、その範囲は0.94〜1.00である。また、懸濁重合法では、真球のトナーが可能であるため、円形度は0.98〜1.00の範囲となるが、トナーのTg温度以上で加熱変形させることで、円形度を0.94〜0.98まで自由に調節することができる。
【0044】
また、トナーの個数平均粒径は、粉砕法トナー、重合法トナー共に9μm以下であることが好ましく、8μm〜4.5μmであることがより好ましい。9μmよりも大きなトナー粒子では、1200dpi以上の高解像度で潜像を形成しても、その解像度の再現性が小粒子径のトナーに比べて低下し、また4.5μm以下になると、トナーによる隠蔽性が低下するとともに、流動性を高めるために外添剤の使用量が増大し、その結果、定着性能が低下する傾向があるので好ましくない。本発明における上述したトナー母粒子やトナー粒子の平均粒径は、粒子像分析装置(シスメックス製 FPIA2100)で測定した値であり、個数平均粒径を意味する。
【0045】
次に、外添剤について説明する。トナー母粒子表面には、外添剤として、平均一次粒子径が異なる2種のシリカ粒子、表面改質シリカ粒子、さらに酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子とをそれぞれ所定の量を被覆する。なお、本発明における外添剤の粒径は、電子顕微鏡像によって観察して測定したもので、個数平均粒子径である。
【0046】
疎水性シリカ粒子としては、負帯電性、流動性付与を目的として添加されるもので、ケイ素のハロゲン化物等から乾式で作製した粒子、およびケイ素化合物から液中で析出した湿式法によるもののいずれをも用いることができる。疎水性シリカ粒子は平均粒径分布が異なるシリカ粒子を混合して用いることが好ましく、平均一次粒子径が5nm〜20nm、好ましくは7〜16nmの小粒径のシリカ粒子と平均一次粒子径が30nm〜50nm、好ましく30〜40nmの大粒径とシリカ粒子を併用することが好ましい。粒径が小さいシリカ粒子により、好ましい流動性、負帯電性を得ることができ、粒径が大きなシリカ粒子によりトナー母粒子中に外添剤粒子の埋め込みを防止できる。シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径が5nmより小さいと、トナーの母粒子に埋没しやすくなり、また、負に帯電しやすくなる。また、50nmを超えるとトナー母粒子の流動性付与効果が悪化し、トナーを均一に負に帯電させることが困難になる結果、逆帯電である正に帯電したトナー量が増加する傾向となる。
【0047】
疎水性シリカ粒子の添加量としては、トナー母粒子あたり0.5〜1.5重量%である。0.5重量%よりも少ない場合には流動性の付与に効果がなく、逆に1.5重量%を超えると定着性の悪化をもたらすので好ましくない。また、小粒径粒子と大粒径粒子との割合(重量比)は5:1〜1:5である。小粒径粒子が多過ぎると定着性の悪化をもたらし、少な過ぎると流動性の低下につながる。
【0048】
次に、表面改質シリカ粒子は、特開2002−29730号公報に記載の方法により作製されるものであり、湿式法あるいは気相法で製造された50〜400m2 /gの比表面積を有するシリカ粒子の水中分散液中に、チタン、スズ、ジルコニウム、アルミニウムの少なくとも一種の金属の酸化物、水酸化物の水溶液を滴下して得られるものである。被覆量としては、シリカ粒子に対してチタン、スズ、ジルコニウム、アルミニウムの少なくとも一種の金属の酸化物、水酸化物を1〜30重量%の割合である。
【0049】
表面改質シリカ粒子の疎水化処理は、表面改質シリカ粒子が形成されたスラリー中に、アルコキシシランをシリカ微粒子に対して30〜50重量%の割合で添加して行われ、ろ過、水洗、乾燥工程を経て疎水化処理された表面改質シリカ粒子とされる。なお、疎水化処理は、表面改質シリカ粒子をろ過、水洗、乾燥工程して得たのち、アルコキシシランを添加し、ヘンシェルミキサー等を使用して行われてもよいものである。疎水化処理された表面改質シリカ粒子は、個数基準での一次粒子径としては、5〜50nm、好ましくは7〜40nmである。
【0050】
表面改質シリカ粒子は、トナー母粒子あたりの添加量が0.005〜0.5重量%、好ましくは0.08〜0.5重量%とするとよい。表面改質シリカ粒子は、シリカ成分に基づく負の摩擦帯電サイトと、チタン、スズ、ジルコニウム、またはアルミニウム成分に基づく正の摩擦帯電サイトを有しており、シリカ粒子による過帯電を防止する機能を有し、安定した画像形成を行うことができるものと考えられる。また、表面改質シリカ粒子粒子における基顔をなすシリカ成分がトナー表面にシリカ粒子を介して固着し、その結果として、連続印字における外添剤の遊離率が少なくなり、長期にわたって安定した帯電特性を付与できるものと考えられる。表面改質シリカ粒子の添加量が0.5重量%より多いと、正の摩擦帯電サイトが増えすぎる問題があるので好ましくない。なお、実施例等においては、シリカ粒子をチタン化合物により表面改質する例を説明するが、スズ、ジルコニウム、またはアルミニウム化合物により表面改質された表面改質シリカ粒子においても、同様の作用を示すものである。
【0051】
次に、酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子は、特許第2533067号公報に記載の珪素−アルミニウム複合酸化物微粉末の製法により作製されるもので、下記の作製工程よりなる。
(1) 珪素ハロゲン化物およびアルミニウムハロゲン化物を蒸発させ、それぞれの蒸気をキャリアガスと共に複合ユニット中で空気、酸素および水素と均一複合する。
(2) 次いで、得られた複合蒸気をバーナーに供給し、燃焼室内で焔内反応させ、得られたガスおよび固体を熱交換ユニット中で冷却する。
(3) ガスを固体から分離し、生成物に付着しているハロゲン化物残分を湿った空気を用いた熱処理により除去し、複合酸化物粒子が得られる。
【0052】
複合酸化物粒子中のAl2 O3 とSiO2 の割合は、珪素ハロゲン化物およびアルミニウムハロゲン化物の供給量、水素供給量、空気供給量等の反応条件により適宜調整され、Al2 O3 の含有量が55重量%〜85重量%、SiO2 の含有量は45重量%〜15重量%の範囲とされる。また、複合酸化物粒子は焔内中で粒子化されることにより非晶質構造で、十分な微粒状性を有し、BET法による比表面積が20〜200m2 /gのものとなる。複合酸化物粒子の一次粒子径は7〜80nm、好ましくは10〜40nmであり、個数基準で20nm以上が30%以上である。
【0053】
複合酸化物粒子は、トナー母粒子あたり0.005〜0.5重量%、好ましくは0.08〜0.5重量%の割合で添加するとよい。
【0054】
複合酸化物粒子は、トナー母粒子に外添されると正と負の二つの摩擦帯電サイトを与えるものと考えられるが、単に、酸化アルミニウム粒子と二酸化珪素粒子との混合粒子ではなく、酸化アルミニウムと二酸化珪素とが粒子内で複合化しているものと考えられ、そのため、粒子内で電荷移動が容易であり、トナー粒子の過帯電を効果的に防止するものと考えられる。
【0055】
表面改質シリカ粒子(A)と複合酸化物粒子(B)の使用割合は、重量比で (A):(B)=2:50〜50:2とするとよく、表面改質シリカ粒子と複合酸化物粒子の両者の合計添加量は、トナー母粒子あたり、0.01〜1重量%とするとよい。負帯電性のシリカ粒子を被覆したトナー粒子に表面改質シリカ粒子単独を添加してトナー粒子としても、帯電の維持性の点で不十分であり、また、負帯電性のシリカ粒子を被覆したトナー粒子に複合酸化物粒子単独を添加しても、過帯電防止の維持性の点で不十分である。
【0056】
表面改質シリカ粒子と複合酸化物粒子の合計添加量は、トナー母粒子あたり、0.01〜1重量%、好ましくは0.02〜0.8重量%とするとよい。
【0057】
本発明は、負帯電性のシリカ粒子を被覆したトナー粒子に表面改質シリカ粒子と複合酸化物粒子とを外添することにより、トナー粒子の正帯電トナー量を減少でき、フルカラー化に適したトナー粒子とできる。表面改質シリカ粒子や複合酸化物粒子を単独では、表面改質シリカ粒子におけるチタン、スズ、ジルコニウム、またはアルミニウム成分や複合酸化物粒子における酸化アルミニウム成分が正帯電サイトとして機能することから逆転写トナーが生じてカブリが増大し、ひいては転写効率も低下するという問題がある。
【0058】
また、表面改質シリカ粒子や複合酸化物粒子とシリカ粒子とを併用すると、従来のシリカ、チタニア、アルミナ等の添加系に比して、外添剤量を低減できるので、定着性を低下させることがない。
【0059】
なお、本発明においては、上記の外添剤の作用を損なわない範囲で、他の各種の無機および有機のトナー用外添剤を併用可能である。例えば、正帯電性シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、マグネタイト、二硫化モリブデン、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸金属塩、ケイ素金属塩、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子が例示される。
【0060】
また、外添粒子として金属石けん粒子が添加されるとよく、外添粒子の個数遊離率を低下させ、カブリの発生を防止すると共に感光体表面の傷発生防止や転写効率の向上等を可能とする。
【0061】
金属石けん粒子としては、高級脂肪酸の亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミウムから選ばれる金属塩であり、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸モノアルミニウム、ステアリン酸トリアルミニウム等が例示される。金属石けん粒子の平均粒子径は0.5〜20μm、好ましくは0.8〜10μmとするとよい。
【0062】
金属石けん粒子の添加量は、トナー母粒子に対して0.05〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%である。0.05重量%より少ないと滑剤としての機能およびバインダーとしての機能が不十分であり、また、0.5重量%より多いと逆にカブリが増大する傾向にある。また、金属石けん粒子の添加量は、上述した外添粒子に対して2〜10重量%の添加割合とするとよい。2重量%よりも少ない場合には滑剤やバインダーとしての効果がなく、逆に10重量%を超えると流動性の低下やカブリの増大につながるので好ましくない。
【0063】
次に、トナー母粒子への各種外添剤の外添方法としては、トナー母粒子にまず粒径の相違する2種類の疎水性シリカ粒子を外添処理した後、表面改質シリカ粒子、複合酸化物粒子と共に金属石けん粒子が外添処理されるとよい。疎水性シリカ粒子について、その仕事関数を後述の方法により測定すると、5.0〜5.3eVであり、また、トナー母粒子の仕事関数は5.3〜5.8eVであり、負帯電性トナーにおいては仕事関数の小さい外添粒子はトナー母粒子表面に仕事関数差による電荷移動により固着する。そして、後工程で添加される表面改質シリカ粒子や複合酸化物粒子は、そのシリカ成分を介してトナー粒子表面のシリカ粒子、また、トナー母粒子表面に固着するものと考えられる。
【0064】
また、金属石けん粒子は、トナー母粒子表面のシリカ粒子、表面改質シリカ粒子、複合酸化物粒子近傍あるいはトナー母粒子表面に直接付着するが、トナー母粒子と金属石けん粒子との仕事関数を略同一(絶対値差が0.15eV以内)としておくことにより、(1)無機外添粒子の作用効果である流動性付与、帯電性付与といった特性を阻害することがなく、トナー母粒子の流動性や帯電性の維持を可能とするものと考えられ、また、(2)外添粒子における電荷移動を阻害しないので、外添粒子の個数遊離率をより低下させることができ、カブリの発生をより防止できるものと考えられ、(3)金属石けん粒子のトナー母粒子に対する付着性を弱くすることができるので、トナー粒子から潜像担持体表面に金属石けん粒子を移行させやすくすることができ、クリーニング時における潜像担持体表面の傷発生をより防止でき、また、転写効率の向上により寄与させることができる。
【0065】
また、後工程で添加される表面改質シリカ粒子の仕事関数としては、5.2〜5.5eVであり、複合酸化物粒子の仕事関数としては、本出願人が先に出願した特願2001−300083号に記載するように5.0〜5.4の範囲の第1の仕事関数と、5.4〜5.7の範囲の第2の仕事関数の2種類の仕事関数を示すものであり、いずれも、トナー粒子表面のシリカ粒子近傍やトナー母粒子に付着するものと考えられる。
【0066】
仕事関数(Φ)は、その物質から電子を取り出すために必要なエネルギーとして知られており、仕事関数が小さいほど電子を放出しやすく、大きい程電子を出しにくい。そのため、仕事関数の小さい物質と大きい物質を接触させると、仕事関数の小さい物質は正に、仕事関数の大きい物質は負に帯電する。仕事関数は、その物質から電子を取り出すためのエネルギー(eV)として数値化され、種々の物質間の接触による帯電性を評価しうる。仕事関数(Φ)は表面分析装置(理研計器製 AC−2、低エネルギー電子計数方式)を使用して測定される。該装置において、重水素ランプを使用し、照射光量500nWに設定し、分光器により単色光を選択し、照射面積を4mm角とし、エネルギー走査範囲3.4〜6.2eV、測定時間10sec/1個所で試料に照射する。そして、試料表面から放出される光電子を検出して求めるものであり、仕事関数に関しては、繰り返し精度(標準偏差)0.02eVで測定されるものである。なお、データ再現性を確保するための測定環境としては、使用温湿度25℃、55%RHの条件下で24時間放置品を測定試料とする。トナー母粒子や外添粒子、金属石けん粒子、トナー粒子等の測定用試料については、トナー専用測定セルを用いて測定されるものである。
【0067】
本発明における外添粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等で疎水化処理して使用することが好ましい。疎水化率としては40%以上、好ましくは50%以上である。疎水化剤としては、例えばジメチルジクロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−iso −プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t −ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジペンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、(4−t −ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルペンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−iso −プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン等が例示される。また、カップリング処理した後でシリコーンオイル等で処理し、更に疎水性を高めてもよい。
【0068】
外添粒子の全体としての添加量は、トナー母粒子に対して0.51〜2.5重量%、好ましくは0.8〜2.3重量%である。0.51重量%より少ない場合には流動性付与、および過帯電防止に効果がなく、逆に2.5重量部を超えると、負帯電の電荷量が低下すると同時に逆極性である正帯電のトナー量が増加し、カブリや逆転写トナー量を増加してフルカラー用として適さない結果となる。
【0069】
本発明のトナーの製造方法は、上述したように、トナー母粒子にまず疎水性シリカ粒子を外添処理した後、表面改質シリカ粒子、複合酸化物粒子また金属石けん粒子が外添処理されるとよい。トナー母粒子への各外添剤の添加方法としては、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)、メカノフュージョンシステム(細川ミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)等より行うとよいが、ヘンシェルミキサーを使用する場合、第1段階の疎水性シリカ粒子の添加に際しては5,000rpm〜7,000rpmで、1分〜3分とするとよく、また、第2段階の表面改質シリカ粒子や複合酸化物粒子および金属石けん粒子の添加に際しては5,000rpm〜7,000rpmで1分〜3分とするとよい。
【0070】
このようにして得られる負帯電トナーの仕事関数としては、5.3〜5.9eV、好ましくは5.4〜5.85eVとされる。なお、感光体表面の仕事関数より負帯電トナーの仕事関数を大きくすることにより、実施例で記載するように、カブリをより低減でき、転写効率をより向上させることができる。また、トナー規制部材による現像ローラへのトナーの薄層規制に際して、負帯電トナーにおける帯電量が非常に高くなる「過帯電」の現象を生じることがあるが、感光体表面の仕事関数より負帯電トナーの仕事関数を小さくすれば、その現象を抑制することができる。
【0071】
また、本発明の負帯電トナーは、粉砕法トナーにあっては個数基準の平均粒径が5μm〜10μm、好ましくは6μm〜9μmであり、また、重合法トナーは、個数50%粒子径が8μm以下、好ましくは4.5〜8μmであり、3μm以下が10%以下であり、好ましくは5%以下の粒径分布を有するものである。
【0072】
また、本発明の負帯電トナーとしては、粉砕法、重合法のいずれの場合においても、円形度(球状化係数)を0.94以上とするとよく、望ましくは、0.95以上である。円形度(球状化係数)0.97まではクリーニングブレードにより、それ以上ではブラシクリーニングを併用するとよい。円形度(球状化係数)が0.94以上とすることにより、転写効率を向上させることができる。
【0073】
なお、トナー母粒子やトナー粒子の平均粒径と円形度(球状化係数)は、シスメックス(株)製「FPIA2100」で測定する値である。また、外添粒子における平均粒径は電子顕微鏡法により測定する値である。
【0074】
次に、本発明の画像形成装置について説明する。図1は、本発明のトナーを用いた画像形成装置において、接触現像方式の一例を示すものである。
【0075】
感光体1は直径24〜86mmで表面速度60〜300mm/sで回転する感光体ドラムで、コロナ帯電器2によりその表面が均一に負帯電された後、記録すべき情報に応じた露光3が行なわれることにより、静電潜像が形成される。現像器10は、一成分現像装置であり、有機感光体上に一成分非磁性トナーTを供給することで有機感光体における静電潜像を反転現像し、可視像化するものである。現像手段には、一成分非磁性トナーTが収納されており、図示のごとく反時計方向で回転するトナー供給ローラ7によりトナーを現像ローラ9に供給する。現像ローラ9は反時計方向に回転し、トナー供給ローラ7により搬送されたトナーTをその表面に保持した状態で有機感光体との接触部に搬送し、有機感光体1上の静電潜像を可視像化する。
【0076】
現像ローラ9は、例えば直径16〜24mmで、金属製管にめっきやブラスト処理したローラ、あるいは中心軸周面にブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等からなる体積抵抗値104〜108Ω・cm、硬度が40〜70°(アスカーA硬度)の導電性弾性体層が形成されたもので、この管の軸等を介して図示しない電源より現像バイアス電圧が印加される。また、現像ローラ9、トナー供給ローラ7、トナー規制ブレード8からなる現像器10は、図示しないばね等の付勢手段により有機感光体に押圧力19.6〜98.1N/m、好ましくは24.5〜68.6N/mで、ニップが幅1〜3mmとなるように圧接されるとよい。
【0077】
規制ブレード8としてはステンレス、リン青銅、ゴム板、金属薄板にゴムチップの貼り合わせたもの等が使用されるが、現像ローラに対して図示しないばね等の付勢手段により、あるいは弾性体としての反発力を利用して線圧245〜490mN/cmで押圧され、現像ローラ上のトナー層厚を2層以上とすると良い。
【0078】
接触現像方式にあっては、感光体の暗電位としては−500〜−700V、明電位としては−50〜−150V、図示していないが現像バイアス電圧としては−100〜−400Vとすると良く、現像ローラとトナー供給ローラとは同電位とすると良い。
【0079】
接触現像方式にあっては、反時計方向に回転する現像ローラの周速を、時計方向に回転する有機感光体に対して1.2〜2.5、好ましくは1.5〜2.2の周速比とするとよく、これにより、小粒径のトナー粒子であっても、有機感光体との接触摩擦帯電を確実にできる。
【0080】
また、規制ブレード、現像ローラにおけるそれぞれの仕事関数と、トナーの仕事関数との関係に格別の制限はないが、好ましくは規制ブレード、現像ローラにおけるそれぞれの仕事関数をトナーの仕事関数より小さくして、規制ブレードと接触するトナーを負に接触帯電させておくことにより、より均一な負帯電トナーとできる。また、規制ブレード8に電圧を印加してブレードに接触するトナーへ電荷注入してトナー帯電量を制御してもよい。
【0081】
次に、本発明の画像形成装置における中間転写媒体について説明する。図1において、中間転写媒体4は、感光体1とバックアップローラ6との間に送られ、電圧が印加されることにより、感光体1上の可視像が中間転写媒体上に転写され、中間転写媒体上にトナー画像が形成される。感光体上に残留するトナーは、クリーニングブレード5により除去され、感光体上の静電荷は消去ランプにより消去され、感光体は再使用に供せられる。本発明の画像形成装置にあっては逆帯電トナーを抑制できるので、感光体上に残留するトナー量を少なくでき、クリーニングトナー容器を小さくできる。
【0082】
中間転写媒体を転写ドラムや転写ベルトとする場合には、その導電性層に一次転写電圧として+250〜+600Vの電圧が印加され、また、紙等の転写材への二次転写に際しては、二次転写電圧として+400〜+2800Vの電圧が印加されるとよい。
【0083】
中間転写媒体として、転写ベルトまたは転写ドラムを用いることができる。
転写ベルトとしては、合成樹脂製の基体からなるフィルムやシート上に転写層を設けるものであり、他方は弾性体の基層上に表層である転写層を設けるものである。また、転写ドラムとしては、感光体が剛性のあるドラム、例えばアルミニウム製のドラム上に有機感光層を設けた場合には、転写媒体としてはアルミニウム等の剛性のあるドラム基体上に弾性の表層である転写層を設けるものである。また、感光体の支持体がベルト状、あるいはゴム等の弾性支持体上に感光層を設けたいわゆる弾性感光体である場合には、転写媒体としてはアルミニウム等の剛性のあるドラム基体上に直接あるいは導電性中間層を介して転写層を設けるとよい。基体としては、導電性あるいは絶縁性基体が使用可能である。転写ベルトの場合には、体積抵抗104 〜1012Ω・cm、好ましくは106 〜1011Ω・cmの範囲が好ましい。
【0084】
フィルムおよびシートに適する材質と作製方法としては、変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに導電性カーボンブラック、導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、導電性シリカ等の導電材料を分散した厚さ50〜500μmの半導電性フィルム基体を押し出し、あるいは成形でシームレス基体とし、その外側にさらに表面エネルギーを下げ、トナーのフィルミングを防止する表面保護層として厚さ5〜50μmのフッ素樹脂被覆を行ったシームレスベルトである。
【0085】
表面保護層の形成方法としては、浸漬コーティング法、リングコーティング法、スプレーコーティング法等を用いることができる。なお、転写ベルトの両端部には転写ベルトの端部での亀裂や伸び、および蛇行防止のために、膜厚80μmのポリエチレンテレフタレートフイルム等のテープやウレタンゴム等のリブを貼り付けて使用する。
【0086】
フィルムまたはシートで基体を作製する場合には、ベルト状とするために端面を超音波溶着を行うことで、ベルトを作製することができ、具体的にはシート、またはフィルム上に導電性層並びに表面層を設けてから、超音波溶着を行うことにより所望の物性を有する転写ベルトを作製することができる。より具体的には基体に厚さ60〜150μmのポリエチレンテレフタレートを絶縁性基体として用いた場合には、その表面にアルミニウム等を蒸着し、あるいはさらにカーボンブラック等の導電材料と樹脂からなる中間導電性層を塗工し、その上にそれより高い表面抵抗を有するウレタン樹脂、フッ素樹脂、導電性材料からなる半導電性表面層を設けて転写ベルトとすることができる。塗工後の乾燥時に熱をさほど必要としない抵抗層を設けることができる場合には、先にアルミニウム蒸着フィルムを超音波溶着させてから上記の抵抗層を設け、転写ベルトを作製することも可能である。
【0087】
ゴム等の弾性基体に適する材質と作製方法としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム等に上記の導電材料を分散した厚さ0.8〜2.0mmの半導電性ゴムベルトを押出し成形で作製後、表面をサンドペーパーやポリシャー等の研磨材により所望の表面粗さに制御する。このときの弾性層をこのままで使用してもよいが、さらに上記と同じようにして表面保護層を設けることができる。
【0088】
転写ドラムの場合には、体積抵抗104 〜1012Ω・cm、好ましくは107 〜1011Ω・cmの範囲が好ましい。転写ドラムはアルミニウム等の金属円筒上に必要により弾性体の導電性中間層を設けて導電性弾性基体とし、さらにその上に表面エネルギーを下げ、トナーのフィルミングを防止する表面保護層として半導電性の厚さ5〜50μmの、例えばフッ素樹脂被覆を形成して作製することができる。
【0089】
導電性弾性基体としては、例えばシリコンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料に、カーボンブラック、導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、導電性シリカ等の導電材料を配合、混練、分散した導電性ゴム素材を、直径が90〜180mmのアルミニウム円筒に密着成形して、研磨後の厚さが0.8〜6mmで、体積抵抗が104 〜1010Ω・cmとするとよい。次いでウレタン樹脂、フッ素樹脂、導電材料、フッ素系樹脂微粒子からなる半導電性の表面層を膜厚約15〜40μm設けて、所望の体積抵抗107 〜1011Ω・cmを有する転写ドラムとすることができる。このときの表面粗さは1μm(Ra)以下が好ましい。また、別の例としては、上記のように作製した導電性弾性基体の上にフッ素樹脂等の半導電性のチューブを被せて、加熱により収縮させ、所望の表面層と電気抵抗を有する転写ドラムを作製することも可能である。
【0090】
次に、図2は、本発明のトナーを使用した画像形成装置における非接触現像方式の一例を示すものである。この方式にあっては、現像ローラ9と感光体1とを現像ギャップdを介して対向させるものである。現像ギャップとしては100〜350μmとすると良く、また、図示しないが直流電圧の現像バイアスとしては−200〜−500Vであり、これに重畳する交流電圧としては1.5〜3.5kHz、P−P電圧1000〜1800Vの条件とすると良い。また、非接触現像方式にあって、反時計方向に回転する現像ローラの周速としては、時計方向に回転する有機感光体に対して1.0〜2.5、好ましくは1.2〜2.2の周速比とするとよい。
【0091】
現像ローラ9は図示のごとく反時計方向に回転し、トナー供給ローラ7により搬送されたトナーTをその表面に吸着した状態で有機感光体との対向部にトナーTを搬送するが、有機感光体と現像ローラとの対向部において、交流電圧を重畳して印加することにより、トナーTは現像ローラ表面と有機感光体表面との間で振動することにより現像される。本発明にあっては、交流電圧の印加により現像ローラ表面と有機感光体表面との間でトナーTが振動する間にトナー粒子と感光体とを接触させることができるので、小粒径の正帯電トナーを負に帯電させることができ、カブリを減少させることができるものと考えられる。
【0092】
また、中間転写媒体は、可視像化された感光体1とバックアップローラ6との間に送られるが、バックアップローラ6による感光体1への押圧力を、接触現像方式に比して3割程度高くして24.5〜58.8mN/m、好ましくは34.3〜49N/mとすると良い。
【0093】
これにより、トナー粒子と感光体との接触を確実なものとすることができ、トナー粒子をより負帯電化して転写効率を向上できる。
【0094】
なお、非接触現像方式における上記以外の事項は、上述した接触現像方式と同様である。
【0095】
図1、図2で示す現像プロセスをイエローY、シアンC、マゼンタM、ブラックKからなる4色のトナー(現像剤)による現像器と感光体を組み合わせればフルカラー画像を形成することのできる装置となる。
【0096】
次に、本発明の負帯電トナーが適用されるフルカラー画像形成装置について説明する。図3は4サイクル方式のフルカラープリンターの一例を説明する図である。
【0097】
図3において、100は像担持体ユニットが組み込まれた像担持体カートリッジである。この例では、感光体カートリッジとして構成されていて、感光体と現像部ユニットが個別に装着できるようになっており、電子写真感光体(潜像担持体)140が図示しない適宜の駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。感光体140の周りにはその回転方向に沿って、帯電手段として帯電ローラ160、現像手段としての現像器10(Y、M、C、K)、中間転写装置30、およびクリーニング手段170が配置される。
【0098】
帯電ローラ160は、感光体140の外周面に当接してその外周面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体140の外周面には露光ユニット40によって所望の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、この露光L1によって感光体140上に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器10によって現像剤が付与されて現像される。
【0099】
現像器としてイエロー用の現像器10Y、マゼンタ用の現像器10M、シアン用の現像器10C、およびブラック用の現像器10Kが設けられている。これら現像器10Y、10C、10M、10Kはそれぞれ揺動可能に構成されており、選択的に一つの現像器の現像ローラ9のみが感光体140に圧接されるように構成されている。これらの現像器10は、負帯電トナーを現像ローラ上に保持しているものであり、これらの現像器10はイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKのうちのいずれかのトナーを感光体140の表面に付与して感光体140上の静電潜像を現像する。現像ローラ9は硬質のローラ、例えば表面を粗面化した金属ローラで構成されている。現像されたトナー像は、中間転写装置30の中間転写ベルト36上に転写される。クリーニング手段170は、上記転写後に感光体140の外周面に付着しているトナーTを掻き落とすクリーナブレードと、このクリーナブレードによって掻き落とされたトナーを受けるクリーニングトナー回収部とを備えている。
【0100】
中間転写装置30は、駆動ローラ31と、4本の従動ローラ32、33、34、35と、これら各ローラの周りに張架された無端状の中間転写ベルト36とを有している。駆動ローラ31は、その端部に固定された図示しない歯車が感光体140の駆動用歯車とかみ合っていることによって感光体140とほぼ同一の周速で回転駆動され、したがって中間転写ベルト36が感光体140とほぼ同一の周速で図示矢印方向に循環駆動されるようになっている。
【0101】
従動ローラ35は駆動ローラ31との間で中間転写ベルト36がそれ自身の張力によって感光体140に圧接される位置に配置されており、感光体140と中間転写ベルト36との圧接部において、一次転写部T1が形成されている。従動ローラ35は、中間転写ベルトの循環方向上流側において一次転写部T1の近くに配置されている。
【0102】
駆動ローラ31には中間転写ベルト36を介して図示しない電極ローラが配置されており、この電極ローラを介して中間転写ベルト36の導電性層に一次転写電圧が印加される。従動ローラ32は、テンションローラであり、図示しない付勢手段によって中間転写ベルト36をその張り方向に付勢している。従動ローラ33は二次転写部T2を形成するバックアップローラである。このバックアップローラ33には中間転写ベルト36を介して二次転写ローラ38が対向配置されている。二次転写ローラには二次転写電圧が印加され、図示しない間隔調整機構により中間転写ベルト36に対して間隔が調整可能に構成されている。従動ローラ34はベルトクリーナ39のためのバックアップローラである。ベルトクリーナ39は図示しない間隔調整機構により中間転写ベルト36に対して間隔調整可能に構成されている。
【0103】
中間転写ベルト36は、導電層とこの導電層上に形成され、感光体140に圧接される抵抗層とを有する複層ベルトで構成されている。導電層は合成樹脂からなる絶縁性基体の上に形成されており、この導電層に前述した電極ローラを介して一次転写電圧が印加される。なお、ベルト側縁部において、抵抗層が帯状に除去されることによって導電層が帯状に露出し、この露出部に電極ローラが接触するようになっている。
【0104】
中間転写ベルト36が循環駆動される過程で、一次転写部T1において、感光体体140上のトナー像が中間転写ベルト36上に転写され、中間転写ベルト36上に転写されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラ38との間に供給される用紙等の記録媒体Sに転写される。シートSは、給紙装置50から給送され、ゲートローラ対Gによって所定のタイミングで二次転写部T2に供給される。51は給紙カセット、52はピックアップローラである。
【0105】
2次転写部T2でトナー像が定着され、排紙経路70を通って装置本体の筐体80上に形成されたシート受け部81上に排出される。なお、この画像形成装置は、排紙経路70として互いに独立した2つの排紙経路71、72を有しており、定着装置60を通ったシートはいずれかの排紙経路71又は72を通って排出される。また、この排紙経路71、72はスイッチバック経路をも構成しており、シートの両側に画像を形成する場合には排紙経路71又は72に一旦進入したシートが、返送ローラ73を通って再び二次転写部T2に向けて給紙されるようになっている。
【0106】
以上のような画像形成装置全体の作動の概要は次の通りである。
(1) 図示しないパーソナルコンピュータ等から画像情報が画像形成装置の制御部90に送信されると、感光体140、現像器10の各ローラ9、および中間転写ベルト36が回転駆動される。
(2) 感光体140の外周面が帯電ローラ160によって一様に帯電される。
(3) 一様に帯電した感光体140の外周面に、露光ユニット40によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、イエロー用の静電潜像が形成される。
(4) 感光体140には、第1色目の例えばイエロー用の現像器10Yの現像ローラのみが接触し、これによって上記静電潜像が現像され、第1色目のイエローのトナー像が感光体140上に形成される。
(5) 中間転写ベルト36には、上記トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加され、感光体140上に形成されたトナー像が一次転写部T1において中間転写ベルト36上に転写される。このとき、二次転写ローラ38およびベルトクリーナ39は中間転写ベルト36から離間している。
(6) 感光体140上に残留しているトナーがクリーニング手段170によって除去された後、除去手段41から徐電光L2によって感光体140が除電される。
(7) 上記(2)〜(6)の動作に必要に応じて繰り返される。すなわち、上記印字指令信号に応じて第2色目、第3色目、第4色目と繰り返され、上記印字指令信号の内容に応じたトナー像が中間転写ベルト36上において重ね合わされて形成される。
(8) 所定のタイミングで給紙装置50からシートSが給送され、シートSの先端が二次転写部T2に達する直前あるいは達した後に、すなわちシートS上の所望の位置に、中間転写ベルト36上のトナー像が転写されるタイミングで、二次転写ローラ38が中間転写ベルト36上のトナー像、すなわち4色のトナー像が重ね合わせられたフルカラー画像がシートS上に転写される。また、ベルトクリーナ39が中間転写ベルト36に当接し、二次転写後に中間転写ベルト36上に残留しているトナーが除去される。
(9) 記録媒体Sが定着装置60を通過することによってシートS上のトナー像が定着し、その後、シートSが所定の位置に向け(両面印刷でない場合にはシート受け部81に向け、両面印刷の場合にはスイッチバック経路71または72を経て返送ローラ73に向け)搬送される。
【0107】
本発明に係る画像形成装置では、感光体140には現像ローラ9、中間転写媒体36を当接状態としてもよく、また、現像を非接触方式としてもよい。
【0108】
同様に、本発明に使用するタンデム方式のフルカラープリンターの概略正面図を図4に示す。この場合には、感光体と現像部ユニットが同一のユニットすなわち、プロセスカートリッジとして装着できるように構成されており、現像は接触方式の例であるが、非接触方式も採用できる。
【0109】
この画像形成装置は、駆動ローラ11、従動ローラ12の2本のローラのみ張架されて図示矢印方向(反時計方向)に循環駆動される中間転写ベルト30と、この中間転写ベルト30に対して配置された4個の単色トナー像形成手段20(Y)、20(C)、20(M)、20(K)とを備え、中間転写ベルト30に対して複数個の単色トナー像形成手段20によるトナー像が個別の転写手段13、14、15、16で順次一次転写されるように構成される。それぞれの一次転写部をT1Y、T1C、T1M、T1Kで示す。
【0110】
単色トナー像形成手段は、イエロー用のもの20(Y)と、マゼンタ用のもの20(M)と、シアン用のもの(C)と、ブラック用のもの20(K)とが配置されている。これらの単色トナー像形成手段20(Y)、20(C)、20(M)、20(K)はそれぞれ外周面に感光層を有する感光体21と、この感光体21の外周面を一様に帯電させる帯電手段としての帯電ローラ22と、この帯電ローラ22より一様に帯電させられた外周面を選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段23と、この露光手段23により形成された静電潜像に現像剤あるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像手段としての現像ローラ24と、この現像ローラ24により現像されたトナー像が一次転写対象である中間転写ベルト30に転写された後に感光体21の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレード25とを有している。
【0111】
これら単色トナー像形成手段20(Y)、20(C)、20(M)、20(K)は中間転写ベルト30の弛み側に配置されている。中間転写ベルト30に順次一次転写され、中間転写ベルト30上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写部T2において用紙等の記録媒体Sに二次転写され、定着ローラ対61を通ることで記録媒体S上に定着され、排紙ローラ対62によって所定の場所、すなわち図示しない排紙トレイ上等へ排出される。51は記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、52は給紙カセット51から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、Gは二次転写部T2への記録媒体Pの給紙タイミングを規定するゲートローラ対である。
【0112】
また、63は中間転写ベルト30との間で二次転写部T2を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、64は二次転写後に中間転写ベルト30の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。二次転写後のクリーニングブレード64は、従動ローラ13にではなく駆動ローラ12への中間転写ベルト30の巻きかけ部において中間転写ベルト30に当接している。
【0113】
【実施例】
以下に、後述する実施例で使用するトナー母粒子等についてその作製方法等を示す。
【0114】
(トナー母粒子1の作製)
・ スチレンモノマー ・・・ 80重量部
・ アクリル酸ブチル ・・・ 20重量部
・ アクリル酸 ・・・ 5重量部
からなるモノマー混合物を、
・ 水 ・・・ 105重量部
・ ノニオン乳化剤 ・・・ 1重量部
・ アニオン乳化剤 ・・・ 1.5重量部
・ 過硫酸カリウム ・・・ 0.55重量部
の水性混合物に添加し、窒素気流中下で攪拌しながら70℃で8時間重合を行った。重合反応後冷却し、乳白色の粒径0.25μmの樹脂エマルジョンを得た。
【0115】
次に、
・ 得られた樹脂エマルジョン ・・・ 200重量部
・ ポリエチレンワックスエマルジョン(三洋化成工業製 パーマリンPN)・・・ 20重量部
・ フタロシアニンブルー ・・・ 7重量部
の混合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部を含んだ水中へ分散し、ジエチルアミンを添加してpHを5.5に調整後、攪拌しながら硫酸アルミニウム0.3重量部を加え、次いで乳化分散装置(特殊機化工業製 TKホモミキサー)で高速攪拌して分散を行った。
【0116】
更に、スチレンモノマー40重量部、アクリル酸ブチル10重量部、サリチル酸亜鉛5重量部を水40重量部と共に追加し、窒素気流下で攪拌しながら同様にして、90℃に加熱し、過酸化水素を加えて5時間重合して粒子を成長させた。重合停止後、会合粒子の結合強度を上げるため、pHを5以上に調整しながら95℃に昇温して5時間保持した。その後得られた粒子を水洗し、45℃で真空乾燥を10時間行った。
【0117】
得られたシアントナーは個数基準で平均粒径6.8μmで、円形度0.980のトナーであった。このトナー母粒子1の仕事関数を同様に測定すると5.57eVであった。
【0118】
(トナー母粒子2の作製)
トナー母粒子1の作製において、フタロシアニンブルーに代えてキナクリドンを同様に使用し、また、二次粒子の会合と造膜結合強度を上げるために、95℃に昇温しないで90℃のままで同様に保持し、同様にしてマゼンタトナーを得た。得られたマゼンタトナーは、個数基準で平均粒径7.0μmで、円形度0.976のトナーであった。このトナー母粒子2の仕事関数を同様に測定すると5.64eVであった。
【0119】
(トナー母粒子3、4の作製)
トナー母粒子1の作製において、フタロシアニンブルーに代えてピグメントイエロー180とカーボンブラックを同様に使用した以外は、トナー母粒子2と同様にして重合し、同様にしてイエロートナーとブラックトナーを得た。
【0120】
得られたイエロートナーは、個数基準で平均粒径6.9μmで、円形度0.973のトナーであった。また、このトナー母粒子3の仕事関数を同様に測定すると5.59eVであった。
【0121】
また、得られたブラックトナーは、個数基準で平均粒径7.0μmで、円形度0.974のトナーであった。また、このトナー母粒子4の仕事関数を同様に測定すると5.52eVであった。
【0122】
(トナー母粒子5の作製)
・ 芳香族ジカルボン酸とアルキレンエーテル化ビスフェノールAとの重縮合ポリエステルと、該重縮合ポリエステルの多価金属化合物による一部架橋物の50:50(重量比)混合物(三洋化成工業(株)製 ハイマーES−803)・・・ 100重量部
・ シアン顔料のピグメントブルー15:1 ・・・ 5重量部
・ 離型剤としてポリプロピレン(融点152℃、重量平均分子量4000)・・・ 3重量部
・ 荷電制御剤としてのサリチル酸金属錯体(オリエント化学工業製 E−81) ・・・ 4重量部
をヘンシェルミキサーを用い均一混合した後、内温140℃の二軸押出し機で混練し、冷却した。冷却物を2mm角以下に粗分砕し、更にジェットミルで微粉砕し、ローター回転による分級装置により分級し、個数平均粒径6.2μmで、円形度0.905の分級トナーを得た。
【0123】
分級トナーに対して重量比で0.2%の疎水性シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積250m2 /g)を加えて表面処理した後、熱風球形化装置「サーフュージョンシステム」を用い、熱処理温度250℃に設定し、部分的に球形化処理を行った後、ローター回転による分級装置により再度分級し、個数平均粒径6.3μmで、円形度0.943のシアントナーを得た。このトナー母粒子5の仕事関数を同様に測定すると5.46eVを示した。
【0124】
(トナー母粒子6、7、8の作製)
トナー母粒子5の作製において、顔料をナフトールAS系の6Bに代えた以外は、トナー母粒子5と同様にして粉砕、分級、熱処理による表面処理、再分級して、個数平均粒径6.6μmで円形度0.943のマゼンタトナーを得た。このトナー母粒子6の仕事関数を同様に測定すると5.53eVを示した。
【0125】
同様にしてトナー母粒子7(イエロートナーとしてピグメントイエロー93を使用)、トナー母粒子8(ブラックトナーとしてカーボンブラックを使用)をそれぞれ作製した。得られたトナー母粒子の平均粒径と円形度はトナー母粒子6と同様の値であり、また、トナー母粒子7の仕事関数は5.57、トナー母粒子8の仕事関数は5.63であった。
【0126】
(現像ローラの作製)
外径18mmのアルミニウム管表面に、厚さ10μmのニッケルめっきを施した。めっき層の表面粗さ(Ra)は4μmであった。この現像ローラ表面の一部を切り欠き、仕事関数を有機感光体と同様に測定したところ4.58eVであった。
【0127】
(規制ブレードの作製)
厚さ80μmのSUS板に厚さ1.5mmの導電性ウレタンゴム片を導電性接着剤で貼り付けて製造したものであり、ウレタンゴム部の仕事関数を有機感光体と同様に測定したところ約5eVであった。
【0128】
(転写ベルト1の作製)
アルミニウムを蒸着した厚さ130μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に
・ 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 ・・・ 30重量部
・ 導電性カーボンブラック ・・・ 10重量部
・ メタノール ・・・ 70重量部
の均一分散液を、ロールコーティング法で乾燥後の塗布膜の厚さが20μmとなるように塗布乾燥し、中間導電性層を作製した。
【0129】
次いで、中間導電性層上に
・ ノニオン系水系ウレタン樹脂(固形分62%) ・・・ 55重量部
・ ポリテトラフルオロエチレンエマルジョン(固形分60%)・・・ 11.6重量部
・ 導電性酸化スズ ・・・ 25重量部
・ ポリテトラフルオロエチレン微粒子(最大粒子径0.3μm以下)・・・ 34重量部
・ ポリエチレンエマルジョン(固形分35%) ・・・ 5重量部
・ イオン交換水 ・・・ 20重量部
の混合分散してなる分散液を、乾燥後の厚さが10μmとなるようにロールコーティング法にて塗布乾燥した。塗布膜を形成したシートを長さ540mmに切断し、端部を合わせて環状にして超音波溶着を行うことにより転写ベルトを作製した。この転写ベルトの体積抵抗は2.5×1010Ω・cmであった。また、仕事関数は5.37eV、規格化光電子収率6.90を示した。
【0130】
{有機感光体(OPC1)の製造例}
直径85.5mmのアルミニウム管を導電性支持体上に
・ アルコール可溶性ナイロン樹脂(東レ(株)製CM8000)・・・ 6重量部
・ アミノシラン処理された酸化チタン微粒子 ・・・ 4重量部
をメタノール100重量部に溶解、分散させてなる塗工液を、リングコーティング法で塗工し、温度100℃で40分乾燥させ、膜厚1.5〜2μmの下引き層を形成した。
【0131】
この下引き層上に、
・ 電荷発生剤としてオキシチタニウムフタロシアニン・・ 1重量部
・ ブチラール樹脂(積水化学製 BX−1) ・・・ 1重量部
をジクロルエタン100重量部に直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで8時間分散させ、得られた分散液をリングコーティング法で塗工し、80℃で20分間乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0132】
得られた電荷発生層上に、
・ 下記構造式(1)のスチリル化合物からなる電荷輸送物質・・・ 40重量部
・ ポリカーボネート樹脂(帝人化成製 パンライトTS)・・・ 60重量部
をトルエン400重量部に溶解させ、乾燥膜厚が22μmになるように浸漬コーティング法で塗工、乾燥させて電荷輸送層を形成して、電荷発生層と電荷輸送層の2層からなる感光層を有する有機感光体(1)を作製した。
【0133】
【化1】
【0134】
得られた有機感光体の一部を切り欠き、試料片としては仕事関数を表面分析装置(理研計器製 AC−2)を用い、照射光量500nWで測定すると5.48eVを示した。
【0135】
{有機感光体(OPC2)の製造例}
有機感光体(OPC1)において、導電性支持体としてシームレスの厚さ40μmで直径85.5mmのニッケル電鋳管を用いるとともに、電荷輸送物質を下記構造式(2)のジスチリル化合物に変えた以外は同様にして有機感光体(OPC2)を作製した。この有機感光体の仕事関数を同様に測定すると5.50eVであった。
【0136】
【化2】
【0137】
{有機感光体(OPC3)の製造例}
導電性支持体として、直径30mmのアルミニウム管を用いた以外は、有機感光体(OPC1)と同様にして感光体を作製した。得られた有機感光体のの仕事関数を同様に測定すると、5.48eVを示した。
【0138】
(表面改質シリカ粒子の作製)
気相法で製造したシリカ粒子(比表面積130m2 /g)100gを2000mlの水に分散し、液温を70℃に加温し、TiO2 として100g/lの硫酸チタン水溶液250mlと5N水酸化ナトリウム水溶液をpHが6.0となるように同時に滴下し、滴下終了後、液温を40℃まで冷却し、pHを4.0に調整した後、引き続いてn−ヘキシルトリメトキシシラン25gを添加した。4時間攪拌保持後、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを6.5に調整し、更に2時間攪拌保持した後、ろ過、水洗の後に乾燥を行い、更に微粉砕機で微粉砕し、酸化物によって表面改質したシリカ粒子を得た。比表面積は88.4m2 /gであり、疎水化度は62.5%であった。
【0139】
疎水化度の測定方法は、メタノール濃度が異なる水溶液を調製し、メタノール水溶液10mlを25ml共栓付き試験管に入れ、測定すべき試料10mgを投入し、目視によって沈降を開始するメタノール濃度(質量%)を疎水化度(%)として表した。
【0140】
また、表面改質シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径は約18nmであり、また、仕事関数を同様に測定すると5.38eVを示した。
【0141】
(複合酸化物粒子の製造)
図5は複合酸化物粒子を製造するためのバーナー装置である。図中1は燃焼室、2は二重ジャケット管、3は環状ダイヤフラム、4は内側管、5は外側管、6は水冷焔管である。燃焼室1には二重ジャケット管2が突出させられ、二重ジャケット管2の内側管4からは水素1.4Nm3 /h、空気5.5Nm3 /hおよび予め蒸発させたガス状SiCl4 1.30kg/hの割合で混合した200℃の熱混合蒸気が導入され、次いで、この熱混合蒸気に予め300℃で蒸発させたガス状AlCl3 が2.34kg/hの割合で付加供給されて炎管中に導入されると共に付加的に空気12Nm3 /hが供給されて燃焼させられる。この際、燃焼室には空気が導入され、また、環状ダイヤフラム3から付加的に空気が導入される。焔中では、生成する水と塩化物との急激な反応が生じ、複合酸化物粒子が形成される。炎管通過後に、生じた粉末はフィルターまたはサイクロンを使用して分離され、また、粉末に付着した塩酸分が除去される。得られる複合酸化物粒子の組成はAl2 O3 65重量%、SiO2 35重量%であり、一次粒子の平均粒子径は14nm、BET比表面積74m2 /g、体積抵抗率1012Ω・cmである。得られた複合酸化物粒子をジメチルシラン(DMS)により疎水化処理した。得られた複合酸化物粒子の仕事関数を同様に測定したところ5.18eVと5.61eVの2種類の仕事関数を示した。
【0142】
(実施例1)
上記で得たトナー母粒子2に対して、ヘキサメチルジシラザン処理した疎水性シリカ微粒子(BET法比表面積300m2 /g、粒径7nm)を0.1重量%添加混合した後、得られたシリカ微粒子被覆トナーに対して、下記の表1に外添剤を0.2重量%添加混合し、2−1〜2−5の5種類のマゼンタトナーを作製した。
【0143】
(トナー母粒子からの各種外添剤の遊離率測定)
下記表1の各種外添剤のトナー母粒子からの遊離率を、パーティクルアナライザー(横河電機(株)製「PT1000」)を使用して求め、その結果を表2に示す。ここで、遊離率の測定は、パーティクルアナライザーによる測定元素の検出個数から計算され、下記の式で定義されるものである。
【0144】
個数遊離率(%)=(遊離添加剤の検出数/添加剤の全検出数)
【0145】
【表1】
【0146】
表中の疎水化剤は、1):ヘキサメチルジシラザン、2):n−ブチルトリメトキシシラン、3):ジメチルシラン、4):n−ヘキシルトリメトキシシランであり、3)の複合酸化物粒子と4)の表面改質シリカ粒子は上記で作製したものである。
【0147】
【表2】
【0148】
表1、2から明らかなように、トナー母粒子からの外添剤の個数遊離率において、複合酸化物粒子を添加したトナー(2−4)は、シリカ微粒子添加トナー(2−1)と比較すると、Si遊離率は低く抑えることができることがわかる。なお、アルミナ添加トナー(2−2)と比較すると、Si遊離率は同等以下であり、Al遊離率を比較すると同等であった。また、チタニア添加トナー(2−3)と、チタニアで表面改質シリカ粒子を添加したトナー(2−5)とを比較すると、後者の方が外添剤のSi、Tiの個数遊離率が共に低く、表面改質シリカ粒子はトナー母粒子に強く固着することかわかる。
【0149】
(作像試験と帯電特性の測定)
上記で得たトナー母粒子1に対してヘキサメチルジシラザン処理した疎水性シリカ微粒子(S、平均一次粒子径約7nm)とヘキサメチルジシラザン処理した疎水性シリカ微粒子(L、平均一次粒子径約40nm)とを下記の表3に示す添加割合で添加混合した後、得られたシリカ微粒子被覆トナーに対して、下記の表3に外添剤におけるシリカ以外の外添剤をそれぞれ表3に記載の添加割合(トナー母粒子あたり、重量%)で添加混合し、1−1〜1−7の7種類のシアントナーを作製した。各シアントナーを使用した作像試験結果と、帯電特性を調べた結果を表4、表5に示す。
【0150】
作像試験は、前述の有機感光体1、現像ローラ、規制ブレード、転写ベルト1を装着した図3に示す4サイクルカラープリンタを用い、有機感光体の周速を180mm/s、現像ローラの周速は感光体に対して周速比1.3とし、また、有機感光体と中間転写ベルトとの周速差を転写ベルトが3%早くなるように設定している。3%以上となると、予備実験で転写画像にチリの発生を確認しているため3%を上限とした。そして、前記トナー規制ブレードの規制条件を現像ローラ上のトナー搬送量が0.38mg/cm2 前後となるように調整した。また、作像条件は、現像ギャップを210μmに設定した非接触現像方式(暗電位−600V、明電位−80V、DC現像バイアス−200V、ACバイアス1.4kV、交流周波数2.5kHz)で、シアン現像器にトナー1−1〜1−7をセットし、作像した。作像は、ベタ印字と5%原稿を2枚印字した。
【0151】
帯電特性は、現像ローラ上のトナーの帯電特性をホソカワミクロン(株)製の帯電量分布測定器(E−SPARTアナライザEST−3型)で測定し、表4にその結果を示す。また、表5には、作像時のベタ画像濃度、有機感光体上のカブリ濃度と感光体上に転写した逆転写トナーのOD値を示す。
【0152】
ベタOD値は、ベタ画像を印字し、定着後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite社製 X−Rite404)を使用して求めた。
【0153】
また、有機感光体上の非画像部のカブリ濃度はテープ転写法で求めた。また、ベタ画像を形成した後に有機感光体上に戻る所謂「逆転写トナー」濃度も同様にテープ転写法で求めた。
【0154】
テープ転写法とは、有機感光体上のトナーに粘着テープ(住友3M製 メンディングテープ 801−1−18)を貼り付け、次いで白紙上にテープを貼り付けて、テープ上から反射濃度計(X−Rite社製 X−Rite404)で濃度測定を行い、その測定値から、トナーを転写せずにテープのみを貼り付けた部分の濃度の測定結果を差し引いて反射濃度値を求める手法である。
【0155】
【表3】
【0156】
表中、トナー1−1は、平均一次粒子径が約7nmの疎水性シリカ(S)をトナー母粒子あたり0.5重量%、平均一次粒子径が約40nmの疎水性シリカ(L)をトナー母粒子あたり0.3重量%添加した後、表1記載のアルミナをトナー母粒子あたり0.2重量%、表1記載のチタニアをトナー母粒子あたり0.5重量%、ステアリン酸マグネシウム(StMg、関東化学(株)製、仕事関数5.57eV)を0.2重量%それぞれ添加したことを示す。トナー1−2〜1−7においても同様である。
【0157】
【表4】
【0158】
【表5】
【0159】
表4、5からわかるように、本発明のトナー(1−3〜1−6)は、トナー1−1に比して量的に少ない量で所望の帯電特性と画質の向上(カブリ、逆転写トナーの防止と画像濃度の確保)を可能とすることがわかる。従来の使用量以下で同等以上の効果をえることができ、外添剤の使用量が少なくなる結果、定着性も向上する。また、トナー1−2において、複合酸化物粒子を添加しないと画像濃度が低下することがわかり、また、トナー1−7において表面改質シリカ粒子を添加しないと、カブリ、逆転写トナーの防止と画像濃度の確保に問題があることがわかる。
【0160】
(実施例2)
上記で作製したトナー母粒子5に対して、ヘキサメチルシラザン処理した疎水性シリカ微粒子(S、平均一次粒子径約12nm)を0.5重量%と同様に疎水化処理した疎水性シリカ微粒子(L、平均一次粒子径約40nm)を0.5重量%添加混合した後、得られたシリカ微粒子被覆トナーに対して、下記の表6の外添剤におけるシリカ以外の外添剤をそれぞれ表3に記載の添加割合(重量%)で添加混合し、5−1〜5−7の7種類のシアントナーを作製した。各シアントナーを使用した作像試験による画像特性の評価結果を表7、表8に示す。
【0161】
【表6】
【0162】
表中の意味は、表3と同様であり、また、StCaは、ステアリン酸カルシウム(関東化学製、仕事関数5.49eV)である。
【0163】
【表7】
【0164】
【表8】
【0165】
表7、8からわかるように、本発明のトナー(5−3〜5−6)は、トナー5−1に比して量的に少ない量で所望の帯電特性と画質の向上(カブリ、逆転写トナーの防止と画像濃度の確保)を可能とすることがわかる。従来の使用量以下で同等以上の効果をえることができ、外添剤の使用量が少なくなる結果、定着性も向上する。
【0166】
(実施例3)
実施例1のシアントナー1−5と同様に外添剤をトナー母粒子2、トナー母粒子3、トナー母粒子4に対して添加混合し、それぞれ、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーを作製した。
【0167】
次に、有機感光体2の弾性感光体を用い、現像ローラと規制ブレード、中間転写ベルト1を装着した図3に示す中間転写媒体方式の4サイクルカラープリンタを用いて、上記で得た各トナーを各現像ユニットに充填し、接触一成分現像方式による作像試験を行った。現像器のセット順は上流側から、マゼンタを第1現像器、イエローを第2現像器、シアンを第3現像器、ブラックを第4現像器とした。
【0168】
なお、作像に際しては、有機感光体の周速を180mm/s、現像ローラの周速は感光体に対して周速比2とし、また、有機感光体と中間転写ベルトである転写ベルトとの周速差を転写ベルトが3%早くなるように設定した。作像条件は、感光体の暗電位を−600V、明電位を−60V、現像バイアスを−200Vとし、現像ローラと供給ローラとは同電位とした。そして、一次転写部の高圧電源には定電圧電源を用い、転写電圧を+450Vに設定し、二次転写部の高圧電源には定電流電源を用い、転写電流を16μAに制御して行った。この条件で、各色5%カラー原稿に相当するA4の文字原稿を10,000枚連続印字してプリントを行い、感光体上とドラム周りの状態をチェックしたところ、カブリと逆転写トナーの発生はほとんど認められなく、また、トナー飛散もなく安定したトナー帯電特性であることがわかった。そして、感光体と中間転写ベルトのクリーニング量を測定すると約10gであり、予定の約1/30であった。これは、トナーの転写効率を向上させ、また、カブリトナーや逆転写トナーの発生を極力抑えることができた結果である。
【0169】
(実施例4)
実施例2で得られたシアントナー5−5と同様に、トナー母粒子6、トナー母粒子7、トナー母粒子8に外添処理を行い、それぞれ、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナーを得た。
【0170】
次に、各トナーを、図4に示すタンデム方式のフルカラープリンタの各色現像カートリッジに装填し、非接触一成分現像方式による作像試験を行った。なお、有機感光体としては、有機感光体3を、また、現像ローラと規制ブレードは上記同様とし、また、中間転写ベルトは転写ベルト1の製造例に準じた。
【0171】
現像器のセット順は上流側から、ブラックを第1現像器、イエローを第2現像器、マゼンタを第3現像器、シアンを第4現像器とした。
【0172】
作像に際しては、DCの現像バイアス−200Vに重畳するACは周波数2.5kHz、P−P電圧1400Vの条件で印加し、1次転写部と2次転写部の条件は実施例3と同様に設定し、各色5%カラー原稿に相当するA4の文字原稿を10,000枚連続印字してプリントを行い、感光体上とドラム周りの状態をチェックしたところ、カブリと逆転写トナーの発生はほとんど認められなく、また、トナー飛散もなく安定したトナー帯電特性であることがわかった。
【0173】
そして、感光体と中間転写ベルトのクリーニング量を測定すると約23gであり、予定の約1/13であった。これは、トナーの転写効率を向上させ、また、カブリトナーや逆転写トナーの発生を極力抑えることができた結果である。
【0174】
【発明の効果】
本発明の負帯電性トナーの外添剤である表面改質シリカ粒子は、シリカ成分に基づく負の摩擦帯電サイトと正の摩擦帯電サイトを有し、また、基顔粒子であるシリカ成分はトナー母粒子表面に固着しやすいために、従来のチタニアやアルミナ等の外添粒子を添加する場合に比してトナー母粒子から遊離しにくくなるものと考えられ、長期にわたる連続印字において安定した帯電特性を付与できる。
【0175】
また、外添剤として、粒径の異なるシリカ粒子と共に表面改質シリカ粒子および複合酸化物粒子を添加混合することにより、従来のチタニア、アルミナ等の添加量に比して、格段に少量で流動性の付与のみならず、帯電の安定化、フィルミング防止、カブリと逆帯電トナーの発生を防止でき、安定したフルカラー印字品質を与えることができ、また、トナーの定着性を低下させることがない。特に、重合法トナーにおける外添剤として使用すると、従来のシリカ、チタニア、アルミナの併用系に比して、その使用量を少なくすることができ、定着性を低下させることがない。
【0176】
また、粉砕法トナー、重合法トナーを問わず、トナー粒子径を小さくすると、シリカの添加量を増大する必要があり、その結果、トナーの帯電量が初期では大きくなりすぎ、印字が進むにつれて外添剤が埋没したり飛散したりして外添剤の有効表面量が減少し、トナーの帯電量が低下するという問題があり、画像濃度の変動やカブリ量の増大からトナー消費量が増加する傾向となり、トナーとして使用しずらかったが、負帯電性トナーの外添剤として粒径の異なるシリカ粒子と共に表面改質シリカ粒子および複合酸化物粒子を添加混合することにより、印字期間を通じて安定した帯電量の負帯電性トナーとできるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のトナーを用いた画像形成装置における接触現像方式の一例を説明する図である。
【図2】図2は、本発明のトナーを使用した画像形成装置における非接触現像方式の一例を示すものである。
【図3】図3は、本発明のトナーを使用する4サイクル方式のフルカラープリンターの一例を説明する図である。
【図4】図4は、本発明のトナーを使用するタンデム方式のフルカラープリンターの概略正面図を説明する図である。
【図5】図5は、本発明における複合酸化物粒子を製造するためのバーナー装置である。
【符号の説明】
1…感光体、2…コロナ帯電器、3…露光、4…中間転写媒体、5…クリーニングブレード、6…バックアップ、7…トナー供給ローラ、8…規制ブレード、9…現像ローラ、10…現像器、10(Y),10(M),10(C)、10(K)…現像器、11…駆動ローラ、12…従動ローラ、20(Y),20(C),20(M),20(K)…単色トナー像形成手段、30…中間転写装置、40…露光ユニット、L1…露光、50…給紙装置、100…像担持体カートリッジ、140…感光体、160…帯電ローラ、170…クリーニング手段、L1…露光、T…トナー…露光ユニット、L1…露光、50…給紙装置
Claims (14)
- 着色剤を含有した樹脂粒子表面に外添剤を被覆した負帯電性トナーにおいて、外添剤が、
(1)平均一次粒子径が異なる2種のシリカ粒子であって、一方の個数平均一次粒子径が5〜20nmであり、他方のシリカ粒子の個数平均一次粒子径が30〜50nmであるシリカ粒子、
(2)チタン、スズ、ジルコニウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物を使用した湿式処理により表面改質され、疎水化処理された表面改質シリカ粒子、および
(3)焔内加水分解法により得られ、疎水化処理された酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子
とからなることを特徴とする負帯電性トナー。 - シリカ粒子のトナー母粒子あたりの添加量が0.5〜1.5重量%であって、個数平均一次粒子径が5〜20nmのシリカ粒子と個数平均一次粒子径が30〜50nmのシリカ粒子との割合(重量比)が5:1〜1:5であることを特徴とする請求項1記載の負帯電性トナー。
- 表面改質シリカ粒子のトナー母粒子あたりの添加量が0.005〜0.5重量%、酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子のトナー母粒子あたりの添加量が0.005〜0.5重量%であって、両者の合計添加量が0.01〜1重量%であることを特徴とする請求項1記載の負帯電性トナー。
- 外添剤のトナー母粒子あたりの添加量が0.51〜2.5重量%であることを特徴とする請求項1記載の負帯電性トナー。
- 負帯電性トナーが重合法トナーであることを特徴とする請求項1記載の負帯電性トナー。
- 負帯電性トナーの円形度が0.94以上であることを特徴とする請求項1記載の負帯電性トナー。
- 負帯電性トナーの個数平均粒径が9μm以下であることを特徴とする請求項1記載の負帯電性トナー。
- 負帯電性トナーがフルカラートナーであることを特徴とする請求項1記載の負帯電性トナー。
- 着色剤を含有した樹脂粒子を、
(1)平均一次粒子径が異なる2種のシリカ粒子であって、一方の個数平均一次粒子径が5〜20nmであり、他方のシリカ粒子の個数平均一次粒子径が30〜50nmであるシリカ粒子により外添処理する工程、該シリカ粒子により外添処理された樹脂粒子を、
(2)チタン、スズ、ジルコニウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物を使用した湿式処理により表面改質され、疎水化処理された表面改質シリカ粒子および(3)焔内加水分解法により得られ、疎水化処理された酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子によりさらに外添処理する工程
に付すことを特徴とする負帯電性トナーの製造方法。 - 感光体上に形成されたトナー画像を記録媒体上に転写する中間転写媒体を有するフルカラー画像形成装置において、トナー画像が着色剤を含有した樹脂粒子表面に外添剤を含有させた負帯電性トナーからなり、該外添剤が、
(1)平均一次粒子径が異なる2種のシリカ粒子であって、一方の個数平均一次粒子径が5〜20nmであり、他方のシリカ粒子の個数平均一次粒子径が30〜50nmであるシリカ粒子、
(2)チタン、スズ、ジルコニウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物を使用した湿式処理により表面改質され、疎水化処理された表面改質シリカ粒子、および
(3)焔内加水分解法により得られ、疎水化処理された酸化アルミニウム−二酸化珪素複合酸化物粒子
とからなることを特徴とするフルカラー画像形成装置。 - 感光体が負帯電の有機感光体であることを特徴とする請求項10記載のフルカラー画像形成装置。
- 中間転写媒体がベルトから形成されたものであることを特徴とする請求項10記載のフルカラー画像形成装置。
- 感光体と現像装置を一体化してプロセスカートリッジとし、画像形成装置本体に取り外し自在に支持できることを特徴とする請求項10記載のフルカラー画像形成装置。
- 感光体と中間転写媒体の周速差を0.95〜1.05としたことを特徴とする請求項10記載のフルカラー画像形成装置。
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