JP2005036214A - 蛍光体、その製造方法およびそれを有するエレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

蛍光体、その製造方法およびそれを有するエレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 発光素子用として十分な高い輝度を示す粉末蛍光体を提供する。
さらに、このような発光素子用として極めて好適な蛍光体の製造方法を提供する。
【解決手段】 平均粒子サイズが20μm以下で、かつ、粒子サイズ分布が単分散であり、粒子内部に多重双晶構造を有する硫化亜鉛粒子を含有してなる粉末状エレクトロルミネッセンス蛍光体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、硫化亜鉛を母体とし発光の中心となる付活剤及び/又は共付活剤を含有するエレクトロルミネッセンス(EL)蛍光体、特に、高輝度で長寿命のエレクトロルミネッセンス蛍光体に関する。
EL蛍光体素子は電圧励起型の蛍光体素子であり、蛍光体を電極の間に挟んで発光素子とした分散型EL蛍光体素子と薄膜型EL蛍光体素子が知られている。分散型EL蛍光体素子の一般的な形状は、蛍光体粉末を高誘電率のバインダー中に分散したものを、少なくとも一方が透明な二枚の電極の間に挟み込んだ構造からなり、両電極間に交流電場を印加する事により発光する。EL蛍光体粉末を用いて作成された発光素子は数mm以下の厚さとする事が可能で、面発光体であり、発熱がなく発光効率が良いなど数多くの利点を有する。そのため、道路標識、各種インテリアやエクステリア用の照明、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用の光源、大面積の広告用の照明光源等としての用途が期待されている。
EL蛍光体粉末としては、硫化亜鉛を母体として、銅等の付活剤(発光中心としての金属イオン)及び塩素等の共付活剤が添加されたものが広く知られている。しかし、この蛍光体粉末を用いて作成された発光素子は、他の原理に基づく発光素子に較べて発光輝度が低く、また発光寿命が短いという欠点がある。このため従来から種々の改良が試みられてきた。特許文献1には、高い輝度の発光をもたらす蛍光体粒子の構造として従来、面状の積層面欠陥(双晶面)を粒子全体に均一且つ高密度に有しており、その積層面欠陥の平均面間隔が0.2〜10nmである事を特徴とする硫化亜鉛蛍光体粒子が開示されている。該粒子では、硫化亜鉛母体結晶に、付活剤である銅イオンが積層面欠陥に偏在し、それが導電層を形成して、電圧が印加された時、高い効率で電子と正孔を放出する事ができ、それによって高い発光輝度を得る事ができると記載されている。
一方、硫化亜鉛の単結晶を用いて、その発光機構と粒子構造の関係が詳細に研究され、特に印加される電場の方向と蛍光体粒子の構造の関係に関して、次の知見が得られた。即ち、印加された電場の方向と、硫化亜鉛蛍光体粒子の(111)面が、平行である場合、得られる発光輝度が最大であり、かつ、その発光はこの(111)面上に存在する転位線にそって起こる事が示された。この知見から、硫化亜鉛粒子をEL発光体として用いる場合は、粒子に存在する双晶面及び/又は面欠陥を含む事が重要である事が示唆された。
分散型無機EL素子における蛍光体粒子を合成するには、例えば下記特許文献1にあるように原料の硫化亜鉛粒子をフラックスと呼ばれる無機塩と共に1300℃〜1000℃の非常に高い温度で第一焼成を行って粒子を成長させ、続いて500〜1000℃で第二焼成を行う事により、発光効率の高いEL素子用の硫化亜鉛粒子を得る方法が主流であった。この製造法に関しては、例えば下記特許文献2、3に記載されている。
一方、液相にて無機EL素子の発光材料用の硫化亜鉛粒子を合成する方法に関しては、特許文献4に見られるように、水系でナノサイズの粒子を合成する方法、また、下記の非特許文献1、2及び3に記載された水系で硫化亜鉛の結晶をサブミクロンサイズまで成長させた報告がある。非特許文献1では得られたサブミクロンの球形粒子は、ナノサイズの微結晶の凝集体粒子であり、また非特許文献2においても粒子サイズがミクロンオーダーの球径粒子が得られているが、同様に粒子は小サイズ粒子の結晶の凝集体であって、双晶構造もない。非特許文献3では、得られたサブミクロン粒子には、一重双晶しか観察されていなく、本発明に開示した、液相で結晶成長させかつ、多重双晶構造がある粒子の合成を示す報告はこれまでまだ開示されていない。
特開平8−183954号公報(第3−4頁、第1図) 特開平7−62342号公報 特開平6−330035号公報 特開2002−313568号公報 "ファインパーティクルス"サーファクタント・サイエンス・シリーズ・ボリューム92,スギモト編("FINE PARTICLES" surfactant science series volume 92 edited by Sugimoto),(MARCEL DEKKER INC.発行),(2000)190−196頁 コロイズ・アンド・サーフェイスA(Colloids and Surface A),(1998) vol.135 207-226頁 クリスタル・リサーチ・テクノロジー(Crystal Research Technology),(2000) vol.35 279-289頁
本発明は、従来のEL蛍光体粉末における上記課題を解決したものであって、発光素子用として十分な高い輝度を示す粉末蛍光体を提供する事を目的とする。
また、本発明は、このような発光素子用として極めて好適な蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、輝度等に優れたEL素子の製造に用いる分散物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、発光効率、輝度、輝度寿命において優れるEL素子を提供することを目的とする。
焼成法では、高温の炉内で焼成を行うので、焼成を始めてから終えるまでに、系に物質を添加することが難しく、例えば粒子内部における付活剤もしくは共付活剤の濃度分布を粒子内で変化させるということは不可能である。ところが、液中で硫化亜鉛粒子を合成する場合は、付活剤もしくは共付活剤を含む溶液を、粒子成長中に反応液中に、その量を制御して添加することによって、粒子内部における付活剤もしくは共付活剤の濃度分布を変化させることができ、焼成法では得られない粒子を得る事ができる。また粒子サイズ分布の制御において、核形成過程と成長過程を明確に分離する事ができ、かつ、粒子成長中の過飽和度を自由に制御することにより、粒子サイズ分布を制御する事が可能で、サイズ分布の狭い、単分散な硫化亜鉛粒子を得る事が可能となる。
本発明者らは、上記の従来の硫化亜鉛よりなる粉末蛍光体における結晶の凝集体形成の問題を克服し、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、水熱合成法に従う反応によって、多重双晶構造を有する平均粒径の小さい、均一な、硫化亜鉛粒子が得られること、この硫化亜鉛粒子は小サイズ粒子の凝集体ではなく、蛍光体として好適な、粒子サイズ分布の狭い硫化亜鉛粒子からなること、そして、この硫化亜鉛より調製した蛍光体粉末を用いたEL発光素子が高輝度であることを見い出し、この知見に基づき本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、
(1)平均粒子サイズが20μm以下で、かつ、粒子サイズ分布が単分散であり、粒子内部に多重双晶構造を有する硫化亜鉛粒子を含有してなることを特徴とするエレクトロルミネッセンス蛍光体。
(2)水熱合成法(Hydrothermal System)によって合成された、多重双晶構造を有する5nm〜20μmの平均粒径をもつ硫化亜鉛粒子からなる事を特徴とするエレクトロルミネッセンス蛍光体。
(3)硫化亜鉛粒子が付活剤および/または共付活剤を含有することを特徴とする(1)または(2)項に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体。
(4)硫化亜鉛粒子が、付活剤として銅、マンガン、銀、金及び希土類元素から選択された少なくとも一種のイオンを含有する(3)項に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体。
(5)硫化亜鉛粒子が、共付活剤として塩素、臭素、ヨウ素、及びアルミニウムから選択された少なくとも一種のイオンを含有する(1)〜(4)項のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体。
(6)付活剤として銅イオンを、共付活剤として塩素イオンを含有する(1)〜(5)項のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体。
(7)粉末状であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体。
(8)水を反応溶媒として、粒子成長における温度150〜370℃で、硫黄イオンと亜鉛イオンとを水熱反応させて、多重双晶構造を有する、5nm〜20μmの平均粒径をもつ硫化亜鉛粒子を得る製造方法。
(9)アミノ基および/または、カルボキシル基を有し、亜鉛と錯体を形成しうる化合物を用いる(8)項に記載の硫化亜鉛粒子の製造方法。
(10)付活剤及び/又は共付活剤の存在下に硫黄イオンと亜鉛イオンを反応させることを特徴とする(8)又は(9)項の硫化亜鉛粒子の製造方法。
(11)前記(1)から(7)項のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体を含有してなることを特徴とする分散物。
(12)前記(1)から(7)項のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体を含有してなることを特徴とするエレクトロルミネッセンス蛍光体素子。
を提供するものである。
本発明の粒子内部に多重双晶構造を有する硫化亜鉛の粉末からなるEL蛍光体は粒子サイズが単分散であり、発光素子用として十分な高い輝度を有する。
また、本発明の硫化亜鉛の水熱合成によれば、上記の物性を有し、発光素子用として優れた性能を示す、高品質のEL蛍光体を製造することができる。
また、本発明の分散物は、輝度等に優れたEL素子の製造に用いることができる。
さらに、本発明のEL素子は、発光効率、輝度、輝度寿命において優れる。
本発明の粉末状蛍光体は、これまで当業界で広く用いられてきた焼成法(固相)による方法とは全く異なった、高い温度で溶媒に水を用いた系、即ち水熱合成法(Hydrothermal System)によって調製することができる。
焼成法においては、例えば既述の特許文献1には、原料硫化亜鉛と付活剤ないし共付活剤となる金属化合物と金属塩化物フラックスを含む混合粉末を磁製るつぼに添加し、1200℃で6時間第一焼成し、平均径28μmの中間蛍光体を得る。この後、粒子に物理的衝撃を加えた後、700℃で6時間第二焼成し、続いて塩酸水溶液で表面エッチング処理をして、平均粒径21μmのEL用蛍光体粒子を得る事が開示されている。この様な焼成法においては、例えば塩化バリウムや塩化マグネシウム、塩化カリウム等のフラックスが高い温度で溶融し、硫化亜鉛の成長をもたらす。しかし、フラックスの量は少なく硫化亜鉛粒子の表面を覆う程度であり、系は攪拌されていない。そのため、フラックス液に粒子が分散されて、粒子が液中を自由に動いたり、或いは亜鉛イオン、硫黄イオンが自由にかつ均一に拡散したりする状況になく、粒子成長は専ら、凝集機構によってのみ進行する。
また、るつぼ内にはフラックス液の対流も起こらないため、るつぼ内に温度分布が生ずる事は避けられない。特に工業的に焼成を行う場合、ルツボのサイズを大きくする必要があるが、その場合ルツボの表面に近い部分と内部の部分では、温度差ができ、前者の方が高い温度になる事は避けられない。かくして焼成法においては、粒子成長が全体として均一に行われないことは先見的に明らかである。
従来から行われている、上記の焼成法の欠点を解決するのが本発明で開示した水熱合成系(Hydrothermal System)での硫化亜鉛粒子形成法である。本発明の水熱合成系では、粒子は、よく攪拌された水溶媒に分散されており、かつ粒子成長を起こす亜鉛イオン及び/又は硫黄イオンは、反応容器外から、水溶液で制御された流量で、決められた時間で添加される。従って、この系では粒子は水溶媒中で自由に動く事ができ、かつ添加されたイオンは水中を拡散して粒子成長を均一に起こす事ができ、また反応容器中の液の温度は均一である。
本発明の水熱合成法により硫化亜鉛を製造するために採用しうる反応系は下記の二つに大別される。
1.閉じた系
亜鉛イオン水溶液及び硫黄イオン水溶液を全量添加した後、系を閉じてそのままオストワルド熟成をする。その際、反応イオン溶液の添加の方法は、どちらかの溶液に、もう一方の溶液を添加するか、一定量の水の中に両者の溶液を添加するかどちらでも良い。
この際、銅イオンの様な付活剤、或いは塩素イオンの様な共付活剤を同時に添加する事が好ましい。オストワルド熟成の時間は好ましくは100時間以内、より好ましくは12時間以内で10分以上である。オストワルド熟成が行われる温度は、150〜370℃であり、好ましくは200〜370℃である。
2.開いた系
粒子を構成する亜鉛イオンと硫黄イオンは、水溶液として連続的に添加される、その際付活剤、共付活剤も同時に連続添加する事が好ましい。添加のパターンは種々可能である。例えば、核形成と成長の工程は分けて、それぞれの最適の過飽和度を実現すべくそれぞれのイオン溶液の添加速度を決める事が好ましく、亜鉛イオン或いは硫黄イオン溶液を一定流量で添加してもよいし、間欠的に添加してもよく、また段階的に或いは連続的に添加流量を増加させたり、或いは段階的或いは連続的に添加流量を減少させたりする事もできる。これらは付活剤及び共付活剤の添加に関しても同様である。核形成及び粒子成長の温度は、好ましくは150℃〜370℃、より好ましくは200℃〜350℃であり、粒子調製にかける時間は好ましくは100時間以内、より好ましくは12時間以内で5分以上である。核形成過程と成長過程の間に、オストワルド熟成工程を入れる事が粒子サイズの調節及び、多重双晶構造の実現の為に好ましい。このオストワルド熟成は、好ましくは温度が150℃〜370℃、より好ましくは200℃〜350℃で行われ、また熟成時間は、5分〜50時間が好ましく、より好ましくは、20分〜10時間である。
硫化亜鉛結晶は、水における溶解度が非常に低く、室温における溶解度は10-12mol/Lのオーダーである事が知られており、これは水溶液中でイオン反応によって粒子を成長させる事において非常に不利な性質である。この問題を解決する為、本発明では硫化亜鉛粒子調製を高い温度で行う。硫化亜鉛結晶の水での溶解度は、温度を高くすればする程、上昇し、例えば300℃では10-8mol/Lのオーダーに上昇するが、375℃以上では水は超臨界状態となって、イオンの溶解度は激減する。従って本発明での粒子調製(核形成と粒子生成(成長))温度は、150℃以上375℃未満が好ましく、200℃以上375℃未満がさらに好ましい。
硫化亜鉛の水での溶解度を増加させる他の方法として、本発明では亜鉛と錯体を形成しうる化合物を用いる事が好ましい。Znイオンの錯体形成剤としては、アミノ基および/またはカルボキシル基を有するものが好ましく、具体的には、エチレンジアミン四酢酸(以下EDTAと表す)、N,2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(以下EDTA−OHと表す)、ジエチレントリアミン五酢酸、2−アミノエチルエチレングリコール四酢酸、1,3−ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸、ニトリロ三酢酸、2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、2−ヒドロキシエチルグリシン、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリアミノトリエチルアミン、アリルアミン、エタノールアミン、等があげられる。
この錯体形成剤の使用量はZnイオン1モル当り2〜0.01モルが好ましく、1〜0.05モルがより好ましい。
本発明の硫化亜鉛粒子の製造方法に用いられる装置は種々考えられるが、高温で硫化亜鉛粒子調製が行われる為、耐圧構造である事が必須である。また反応容器を高温にする為には、発熱体とその制御装置が必要である。さらに高圧下で反応溶液を添加する為には、耐圧性の精密ポンプを使用する事が必須である。EL用の硫化亜鉛粒子形成をする際、不純物となる金属イオンは非常に有害で、特に鉄、ニッケル、コバルトは避ける必要がある。この為、粒子調製に用いられる容器、添加パイプ、攪拌機、その他の接液する部品は、これらの金属の含量が少ないかあるいは全くない材質を用いる必要がある。これらの本発明に必要な要請にこたえる材質としては、チタン、テフロン(商品名)、ハステロイ(商品名)等が好ましい。本発明の粒子調製装置には、攪拌機構が具備される事が好ましい。
攪拌装置に関しては特公昭55−10545号公報、及び、特公昭49−48964号公報を参考にする事ができる。また別の粒子調製法として、あらかじめ調製した微粒子を反応容器に添加して、容器内でオストワルド熟成を起こさせる事によって粒子を成長させる事が好ましい。さらに、微粒子を反応容器に添加する直前に調製してそれを連続的に反応容器に添加する事も好ましい方法である。これに関しては特公平7−23218号、特開平10−43570号公報等を参考にする事ができる。
反応容器内での、反応液の濃度に関しては生成した硫化亜鉛の濃度として、1mM以上5M以下が好ましく、5mM以上3M以下がさらに好ましい。
本発明によって得られた硫化亜鉛粒子は、一つの粒子に3枚以上の双晶面を含む粒子数が全体の粒子数の30%以上であり、好ましくは50%以上であり、より好ましくは70%以上である。双晶面を検出するには、得られた硫化亜鉛粒子をそのまま直接透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope, 以下TEMと称する)で観察する。電子顕微鏡観察における加速電圧は高い方がより鮮明な像が得られて、双晶面の確認が容易となる。加速電圧は、200kV以上が好ましく、より好ましは400kV以上である。硫化亜鉛粒子のサイズがより大きくなると、そのままではTEM像が得られにくくなるので、フィロソフィカル・マガジンA(Philosophical Magazine A.)vol.62 No.4, 387-394 1990に示される様に、硫化亜鉛蛍光体粒子をアルコール中でめのうの乳鉢ですり潰した後、そのTEM像を得ることで双晶面の数、その密度を観察する事ができる。
本発明の、水熱合成法により得られる硫化亜鉛粒子を効率の良い蛍光発光体(光励起蛍光体:photoluminescence、電場励起蛍光体:Electroluminescence)にし、さらにはその発光波長の制御をするためには、付活剤及び/又は共付活剤を粒子内にド−ピングする。発光中心となる付活剤は、付活剤として蛍光体に一般に使用されているものであれば良く、例えば、銅、マンガン、銀、金及び希土類元素等の各種の金属イオンが好ましく用いられる。具体的には、これらの元素の酢酸塩、硫酸塩等が好ましく用いられる。これらは単独でも、複数を組み合わせて用いてもよい。蛍光発光の波長(色)は付活剤の種類に依存しており、例えば、青緑色(銅)、オレンジ色(マンガン)、青色(銀)等の蛍光が得られる。付活剤の好ましい濃度は付活剤の種類によるが、例えば、銅付活剤の場合は最終製品の母体の硫化亜鉛に対して銅濃度で0.01〜0.1質量%の範囲であればよい。付活剤を硫化亜鉛粒子中にドープするに為には、ドープ物質の錯体を形成して、粒子調製中あるいはその前後に添加する事が好ましい。その際、ドープ物質の錯体の溶解度が、硫化亜鉛粒子の溶解度に近いことが好ましい。これに関しては、特開2002−338961号公報の記載を参照して実施することができる。
共付活剤としては、ハライド化合物の溶液を添加する事により、硫化亜鉛粒子内にドープされる。特に塩化物を用いる事が好ましい。化合物としては、硝酸アルミニウム、並びに塩素、臭素及びヨウ素のナトリウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
共付活剤の量は母体の硫化亜鉛に対し、好ましくは1.0質量%以上添加される。
付活剤、共付活剤の硫化亜鉛粒子内ドーピングに関しては、いったん水熱系で硫化亜鉛粒子を調製した後、それを乾燥し粉末にして、その粉末に付活剤、及びまたは共付活剤を添加して、焼成する事によってドーピングする事ができる。その際焼成温度は300〜1200℃が好ましく、より好ましくは400〜1000℃であり、焼成時間は、30分〜10時間が好ましく、より好ましくは1〜7時間である。この焼成の際、フラックスを添加する事もできる。フラックスとしては食塩、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化アンモニウム等が挙げられる。
また、焼成法でEL蛍光体の発光特性向上のために行われる衝撃修飾(粒子を破壊しない範囲の大きさの衝撃力を加える処理)も、本発明のEL蛍光体粒子に用いることができる。衝撃力を加える方法としては、粒子同士を接触混合させる方法、アルミナ等の球体を混ぜて混合させる(ボールミル)方法、粒子を加速させ衝突させる方法、超音波を照射する方法などが好ましく用いられる。
本発明のEL蛍光体粒子は、粒子の表面に非発光シェル層を有することもできる。このシェル層形成は、コアとなる蛍光体の調製に引き続いて化学的な方法を用いて0.01μm以上の厚みで設置するのが好ましい。好ましくは0.01μm以上1.0μm以下の範囲である。非発光シェル層は、酸化物、窒化物、酸窒化物や、母体蛍光体粒子上に形成した同一組成で発光中心を含有しない物質から作成することができる。また、母体蛍光体粒子材料上に異なる組成の物質をエピタキシャルに成長させることによっても形成することができる。非発光シェル層の形成方法として、レーザー・アブレーション法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリングや抵抗加熱、電子ビーム法などと、流動油面蒸着を組み合わせた方法などの気相法と、複分解法、ゾルゲル法、超音波化学法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、水熱合成法、尿素溶融法、凍結乾燥法などの液相法や噴霧熱分解法なども用いることができ、特に本発明の液相法は、非発光シェル層の合成にも適している。
かくして得られた付活剤、共付活剤がドープされた硫化亜鉛蛍光体は、水洗、乾燥した後、塩酸、青酸カリウム溶液で洗浄した後、乾燥してEL蛍光体粉末を得る。この蛍光体を有機バインダー中に分散し、塗布してEL発光層が形成される。この発光層を、背面電極上の反射絶縁層と透明電極との間に配置した電界発光素子を外皮フィルムで密封封止すると、電界発光灯(EL発光素子)が完成する。両電極の間に電圧を印加すると、両電極に形成される高い電界によって、発光層の蛍光体が発光する。蛍光体粒子が高い電場におかれると、粒子内の付活剤、たとえば銅イオンが局在する伝導層に電場が集中し、そこで非常に高い電場が生じ、この伝導層から電子と正孔が発生し、それらが付活剤、共付活剤を介して、再結合することによって発光する。EL蛍光体粒子においてはこの電子発生を効率良く行う事が非常に大切である。付活剤である銅イオン、共付活剤である塩素イオンは、粒子内に存在する欠陥、特に面欠陥である双晶面に局在しやすいと考えられている。本発明の硫化亜鉛粒子は、多重双晶構造を有する為、これらの付活剤、共付活剤の局在を容易に起こす事ができ、効率の高い発光をもたらすと考えられる。さらに本発明によれば、粒子サイズ分布の均一性(単分散であること)、さらに粒子構造の粒子間のばらつきが少ない為、さらに高い発光効率をもたらす事ができる。
続いて本発明の硫化亜鉛EL蛍光体粒子を用いたEL発光素子(以下EL素子)について詳細を記述する。
本発明のEL素子は、発光層を、少なくとも一方が透明な、対向する一対の電極で挟持した構成をもつ。発光層と電極の間には誘電体層を隣接することが好ましい。発光層は、蛍光体粒子を結合剤に分散したものを用いることができる。結合剤としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。これらの樹脂に、BaTiOやSrTiOなどの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。分散方法としては、ホモジナイザー、遊星型混練機、ロール混練機、超音波分散機などを用いることができる。誘電体層は、誘電率と絶縁性が高く、且つ高い誘電破壊電圧を有する材料であれば任意のものが用いられる。これらは金属酸化物、窒化物から選択され、例えばTiO、BaTiO、SrTiO、PbTiO、KNbO、PbNbO、Ta、BaTa、LiTaO、Y、Al、ZrO、AlON、ZnSなどが用いられる。これらは均一な膜として設置されても良いし、また粒子構造を有する膜として用いても良い。均一な膜の場合は、誘電膜の調製法はスパッター、真空蒸着等の気相法であっても良く、この場合膜の厚みは通常0.1μm以上10μm以下の範囲で用いられる。また本発明の素子構成において、各種保護層、フィルター層、光散乱反射層などを必要に応じて付与することもできる。
EL素子の製造に用いるEL蛍光体粒子含有塗布液又は誘電体微粒子含有塗布液は、少なくともEL蛍光体粒子又は誘電体微粒子、結合剤、及び結合剤を溶解する溶剤を含有してなる塗布液である。常温におけるEL蛍光体粒子含有塗布液又は誘電体微粒子含有塗布液の粘度としては、0.1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲が好ましく、0.3Pa・s以上1.0Pa・s以下の範囲が特に好ましい。EL蛍光体粒子含有塗布液又は誘電体微粒子含有塗布液の粘度が、低すぎるときは、塗膜の膜厚ムラが生じやすくなり、また分散後の時間経過とともに蛍光体粒子又は誘電体微粒子が分離沈降してしまうことがある。一方、EL蛍光体粒子含有塗布液又は誘電体微粒子含有塗布液の粘度が高すぎるときには、比較的高速での塗布が困難となる。なお、前記粘度は、塗布温度と同じ16℃において測定される値である。
発光層は、スライドコーター又はエクストルージョンコーターなどを用いて、透明電極を付設したプラスチック支持体等の上に、塗膜の乾燥膜厚が0.5μm以上30μm以下の範囲になるように連続的に塗布することが好ましい。このとき、発光層の膜厚変動は、12.5%以下が好ましく、特に5%以下が好ましい。
支持体上に塗布された各機能層は、少なくとも塗布から乾燥工程までを連続工程とすることが好ましい。乾燥工程は、塗膜が乾燥固化するまでの恒率乾燥工程と、塗膜の残留溶媒を減少させる減率乾燥工程に分けられる。本発明では、各機能層の結合剤比率が高いため、急速乾燥させると表面だけが乾燥し塗膜内で対流が発生し、いわゆるベナードセルが生じやすくなり、また急激な溶媒の膨張によりブリスター故障を発生しやすくなり、塗膜の均一性を著しく損なう。逆に、最終の乾燥温度が低いと、溶媒が各機能層内に残留してしまい、防湿フィルムのラミネート工程等のEL素子化の後工程に影響を与えてしまう。したがって、乾燥工程は、恒率乾燥工程を緩やかに実施し、溶媒が乾燥するのに十分な温度で減率乾燥工程を実施することが好ましい。恒率乾燥工程を緩やかに実施する方法としては、支持体が走行する乾燥室をいくつかのゾーンに分けて、塗布工程終了後からの乾燥温度を段階的に上昇することが好ましい。
本発明のEL素子の製造においては、発光層にカレンダー処理機を用いてカレンダー処理を施すことも好ましい。カレンダー処理により形成された発光層の両主面の平滑度は、0.5μm以下の範囲が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。使用するカレンダー処理機は特に限定されるものではなく、公知の装置の中から適宜選択することができる。少なくとも一方を例えば50℃〜200℃に加熱した一対のロールの間に、加圧しながら結合剤中に蛍光体粒子を分散させた発光層を対象物として通すことで平滑化処理を施すものである。カレンダー処理において、カレンダーロールの加熱温度は、発光層に含まれる結合剤の軟化温度以上にすることが好ましい。また、カレンダー圧力と搬送速度は、蛍光体粒子を破壊したり、必要以上に発光層を延伸しないように、カレンダー温度とEL発光層の塗布幅も考慮して、必要な平滑度が得られるように適宜選択することが好ましい。
本発明のEL素子において、透明電極は一般的に用いられる任意の透明電極材料が用いられる。例えば錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫などの酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどのπ共役系高分子などが挙げられる。これら透明電極にはこれに櫛型あるいはグリッド型等の金属細線を配置して通電性を改善することも好ましい。透明電極の比抵抗率は、0.01Ω/□以上30Ω/□以下の範囲が好ましい。光を取り出さない側の背面電極は、導電性の有る任意の材料が使用できる。金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウムなどの金属、グラファイトなどの中から、作成する素子の形態、作成工程の温度等により適時選択されるが、導電性さえあればITO等の透明電極を用いても良い。また、両電極とも、導電性の前記微粒子材料を結合剤とともに分散した導電材料含有塗布液を作製して、前述のスライドコーター又はエクストルージョンコーターを用いて塗布することもできる。
EL素子の振動抑制のために補償電極を付与する場合にも、前述の導電材料を用いることができる。例えば光を取り出す透明電極の外側に補償電極を付与する場合には、錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫などの酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどのπ共役系高分子などの透明電極材料を用いることが好ましい。
また、光を取り出さない背面電極の外側に補償電極を付与する場合には、金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウムなどの金属、グラファイトなど導電性の有る任意の材料が使用できるが、導電性さえあればITO等の透明電極を用いても良い。この補償電極は前記の透明電極や背面電極と絶縁層を介して付設されるが、絶縁層材料は絶縁性の無機材料や高分子材料、無機材料粉体を高分子材料に分散した分散液などを蒸着、塗布などにより形成できる。また、導電性の前記微粒子材料を結合剤とともに分散した導電材料含有塗布液を作製して、前述のスライドコーター又はエクストルージョンコーターを用いて塗布することもできる。さらに、前記絶縁性材料を結合剤とともに分散した絶縁材料含有塗布液を作製して、前記導電材料含有塗布液と同時に塗布することもできる。付設した補償電極に駆動電源より電圧を印加するが、このとき発光層に印加される電圧と逆位相にすることで、発光層で発生する振動を相殺できる。補償電極は、透明電極の外側又は背面電極の外側のいずれかに絶縁層を挟んで付設しても同様の効果があるが、同時に付設して一方を接地させることで、さらなる振動抑制効果を期待できるので好ましい。また、発光層(と誘電体層)の誘電率と補償電極の内側の絶縁層の誘電率が実質同等であるように調整することが振動抑制を効果的に行うためには好ましい。
EL素子の振動抑制のための別の方法としてEL素子に用いる緩衝材層を付与する場合には、衝撃吸収能の高い高分子材料や発泡剤を加えて発泡させた高分子材料を用いることが好ましい。衝撃吸収能の高い高分子材料としては、例えば天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハイパロン、シリコンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴムなどが使用できる。これら高分子材料の硬度としては、振動吸収能の点から50以下が好ましく、30以下がさらに好ましい。また、ブチルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどは、吸水性が低いためEL素子を水分から保護する保護膜としても機能するためより好ましい。上記のゴム材料やポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン樹脂に発泡剤を加えて発泡させた材料を緩衝材として用いることも好ましい。これらの緩衝材を用いた緩衝材層は、緩衝材層を接着剤でEL素子に貼り付けることで付設することができるが、緩衝材料を溶剤に溶解して緩衝材料含有塗布液を作製し、前述のスライドコーター又はエクストルージョンコーターを用いて塗布することもできる。緩衝材層の膜厚は、高分子材料の硬度にもよるが、振動を十分に吸収するためには20μm以上が必要で、50μm以上が好ましい。200μm以上になると素子厚みが大きく増加して、質量やフレキシビリティの点で好ましくない。また、上記の補償電極と緩衝材層の併用は、さらに振動を抑制することができるので好ましい。
本発明に用いられる蛍光体粒子としては、30μm以下の発光層を均一に形成するために平均粒径が0.1μm以上15μm以下の範囲の粒子を使用することが好ましい。また発光層中の蛍光体粒子の充填率に制限しないが、好ましくは60質量%以上95質量%以下の範囲で、より好ましくは80質量%以上90質量%以下の範囲である。本発明の一実施態様において蛍光体粒子の粒子サイズを15μm以下にすることで、発光層の塗膜の膜厚の均一性が向上し、塗膜表面の平滑性も同時に向上する。さらに、単位面積当たりの粒子数が大幅に増加することで、微細な発光ムラが著しく改善できる。さらに、粒子サイズの減少は、蛍光体粒子の印加電圧の増加につながり、発光層の薄層化による発光層への電界強度の増加と併せて、EL素子の輝度向上にとって好ましく、雑音の原因となる振動の抑制にも好ましい。
また、本発明の誘電体粒子は、薄膜結晶層であっても粒子形状であってもよい。またそれらの組み合わせであっても良い。誘電体粒子を含む誘電体層は、蛍光体粒子層の片側に設けてもよく、また蛍光体粒子層の両側に設けることが好ましい。誘電体層を塗布で形成する場合は、発光層と同様に、スライドコーター又はエクストルージョンコーターを用いることが好ましい。薄膜結晶層の場合は、基板にスパッタリング等の気相法で形成した薄膜であっても、BaやSrなどのアルコキサイドを用いたゾルゲル膜であっても良い。粒子形状の場合は、蛍光体粒子の大きさに対し十分に小さいことが好ましい。具体的には蛍光体粒子サイズの1/1000以上1/3以下の範囲の大きさが好ましい。
本発明の分散型EL素子は、最後に封止フィルムを用いて、外部環境からの湿度や酸素の影響を排除するよう加工する。EL素子を封止する封止フィルムは、40℃〜90%RHにおける水蒸気透過率が0.05g/m/day以下が好ましく、0.01g/m/day以下がより好ましい。さらに40℃〜90%RHでの酸素透過率が0.1cm/m/day/atm以下が好ましく、0.01cm/m/day/atm以下がより好ましい。このような封止フィルムとしては、有機物膜と無機物膜の積層膜が好ましく用いられる。有機物膜としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などが好ましく用いられ、特にポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂などは吸水性があるため、あらかじめ真空加熱などの処理を施すことで絶乾状態にしたものを用いることがより好ましい。
これらの樹脂を塗布などの方法によりシート状に加工したものの上に、無機物膜を蒸着、スパッタリング、CVD法などを用いて堆積させる。堆積させる無機物膜としては、酸化ケイ素、窒化珪素、酸窒化珪素、酸化ケイ素/酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどが好ましく用いられ、特に酸化ケイ素がより好ましく用いられる。より低い水蒸気透過率や酸素透過率を得たり、無機物膜が曲げ等によりひび割れることを防止するために、有機物膜と無機物膜の形成を繰り返したり、無機物膜を堆積した有機物膜を接着剤層を介して複数枚貼り合わせて多層膜とすることが好ましい。有機物膜の膜厚は、5μm以上300μm以下の範囲が好ましく、10μm以上200μm以下の範囲がより好ましい。無機物膜の膜厚は、10nm以上300nm以下の範囲が好ましく、20nm以上200nm以下の範囲がより好ましい。積層した封止フィルムの膜厚は、30μm以上1000μm以下の範囲が好ましく、50μm以上300μm以下の範囲がより好ましい。例えば、40℃〜90%RHにおける水蒸気透過率が0.05g/m/day以下の封止フィルムを得るためには、上記の有機物膜と無機物膜とが2層ずつ積層された構成では50〜100μmの膜厚で済んでしまうが、従来から封止フィルムとして使用されているポリ塩化三フッ化エチレンでは200μm以上の膜厚を必要とする。封止フィルムの膜厚は、薄い方が光透過性や素子の柔軟性の点で好ましい。
この封止フィルムでELセルを封止する場合、2枚の封止フィルムでELセルを挟んで周囲を接着封止しても、1枚の封止フィルムを半分に折って封止フィルムが重なる部分を接着封止しても良い。封止フィルムで封止されるELセルは、ELセルのみを別途作成しても良いし、封止フィルム上に直接ELセルを作成することもできる。また、封止工程は、真空又は露点管理された乾燥雰囲気中で行うことが好ましい。
高度な封止加工を実施した場合でも、ELセルの周囲に乾燥剤層を配置することが好ましい。乾燥剤層に用いられる乾燥剤としては、CaO、SrO、BaOなどのアルカリ土類金属酸化物、酸化アルミニウム、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、紙や吸湿性の高い樹脂などが好ましく用いられるが、特にアルカリ土類金属酸化物が吸湿性能の点でより好ましい。これらの吸湿剤は粉体の状態でも使用することはできるが、例えば樹脂材料と混合して塗布や成形などによりシート状に加工したものを使用したり、樹脂材料と混合した塗布液をディスペンサーなどを用いてEL素子の周囲に塗布したりして乾燥剤層を配置することが好ましい。さらに、ELセルの周囲のみならず、ELセルの下面や上面を乾燥剤で覆うことがより好ましい。この場合、光を取り出す面には透明性の高い乾燥剤層を選択することが好ましい。透明性の高い乾燥剤層としては、ポリアミド系樹脂等を用いることができる。
本発明の用途は、特に限定されるものではないが、光源としての用途を考えると、発光色は白色が好ましい。発光色を白色とする方法としては、例えば、銅とのマンガンが付活され、焼成後に徐冷された硫化亜鉛蛍光体のように単独で白色発光する蛍光体粒子を用いる方法や、3原色又は補色関係に発光する複数の蛍光体を混合する方法が好ましい。(青−緑−赤の組み合わせや、青緑−オレンジの組み合わせなど)また、特開平7−166161号公報、特開平9−245511号公報、特開2002−62530号公報に記載の青色のように短い波長で発光させて、蛍光顔料や蛍光染料を用いて発光の一部を緑色や赤色に波長変換(発光)させて白色化する方法も好ましい。さらに、CIE色度座標(x,y)は、x値が0.30以上0.43以下の範囲で、かつy値が0.27以上0.41以下の範囲が好ましい。
蛍光発光体としての硫化亜鉛粒子においては、面欠陥即ち双晶面が高い密度で存在している事が観察され、その重要性が論じられてきた。それに関しては(i)フィロソフィカル・マガジンA(Philosophical Magazine A),(1990)vol.62, No.4, 387-394頁及び(ii)フィロソフィカル・マガジンB(Philosophical Magazine B),(2001)vol.81, No.3, 279-297頁に開示されている。
上記文献において、硫化亜鉛蛍光体粒子内部には非常に高密度に存在する、平行な多数の双晶面がTEM写真で明示されている。硫化亜鉛結晶は、立方晶(zincblend)と六方晶(wurtzite)の二種があり、双晶面は、この立方体型と六方型が互いに入り混じる事により形成される事が上記文献(i)において、図2、3、7、9、10に図示されている。さらに文献(ii)で、Fig.7に示されている、個々の粒子の発光状態の写真は、重要な事実を提示している。即ち、焼成法で調製されたEL用硫化亜鉛粒子は、その粒子サイズの分布が広く、かつ発光効率の粒子間のばらつきが非常の大きいことである。特に粒子サイズの小さい粒子は発光にあまり寄与していない事が観察され、また大きなサイズの粒子間にもよく発光する粒子とそうでない粒子がある事も認められる。
より高いEL効率をもった硫化亜鉛粒子を調製するには、下記を達成することが重要となる。
1.全て又は殆んどの粒子(粒子数で50%以上)が均一に多重双晶構造を有する。
2.粒子サイズ分布が狭い。
これまで行われてきた焼成法では、上記は達成できていない事はこれまで述べた通りである。本発明の水熱合成法によって、より均一性の高い硫化亜鉛粒子集団が得られ、より高いEL発光性能が達成される。
一方、粒子の均一性、特に粒子サイズ分布は、効率の良いEL発光素子を形成する為の最も重要な因子となる。ある電場をこの素子に加えた場合、蛍光体層の厚さが薄ければ薄い程、高い電場が蛍光体層、即ち蛍光体粒子にかかり、より有効にEL発光を起こす事ができるが、一方高い電圧がかかると蛍光体層の厚さが薄い部分により高い電圧がかかり、そこで短絡が起こって素子が破壊することになる。蛍光体粒子の分布が大きくて、大きな粒子は、隣の層まではみ出した状態になっていることが通常観察される。この様な状態では、蛍光体層を薄くする事は不可能である。即ち、蛍光体層とそれに隣接する誘電体層の界面は、滑らかで平面が厳密に保たれている事が重要である。従来用いられてきた、平均粒子サイズ20〜30μmでかつその粒子サイズ分布が非常に広い粒子の替わりに、本発明の粒子サイズ分布が狭い蛍光体粒子を用いれば、この様な事態は防ぐ事ができ、またその際、平均粒子サイズがより小さくすれば、より薄い蛍光体層を設ける事が可能となる。つまり本発明の蛍光体粒子の粒子サイズ分布及び平均粒子サイズは、より高い発光効率をもつEL素子を作る際に非常に重要な因子となる。
本発明の硫化亜鉛粒子は、水熱合成法を用いる事によって調製が可能となった、サイズ分布が狭く、かつ従来の粒子に比べてより平均粒子サイズの小さいEL用硫化亜鉛粒子の集団である。本発明においては、粒子の集団とは、粒子数100個以上の集合を示し、粒子サイズ分布は、粒子100個以上で測定した変動係数(COV:Coefficient of Variation)で表す。
変動係数=(サイズの標準偏差/平均粒子サイズ)×100
本発明の硫化亜鉛蛍光体粒子は単分散であり、変動係数は小さいほど好ましいが、通常35%以下、好ましくは30%以下である。本発明の蛍光体粒子の平均粒子サイズは、20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。下限は特に制限はないが、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上である。個々の粒子サイズは、体積を球換算してその直径で表す。粒子サイズは、その個々の粒子の写真をとって測定してもよいし、光学的にその分布を測定してもよいし、沈降速度から分布を割り出してもよい。特に、単分散性が高く、粒子内部に多重双晶構造を有する本発明の硫化亜鉛ナノ粒子からは高い輝度が得られる。
次に、実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣意を逸脱しない限り適宜変更する事ができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例1
6mMのエチレンジアミン四酢酸亜鉛二ナトリウム水溶液(以下、Zn-EDTAと略)40gを6mMの硫化ナトリウム水溶液(以下Na2Sと略)40g中に室温にて添加し、混合した。これを耐圧密閉容器に入れて、2時間かけて200℃に上げ、200℃に1もしくは12もしくは60時間保った。反応液が室温に戻った後、得られた液中から粉状硫化亜鉛粒子を取り出し、透過型電子顕微鏡(以下TEMと略)にて観察した。粒子数で50%以上に相当する粒子の内部に多数枚の双晶面が存在する事が観察され、それぞれ平均粒径が20、65、75nmである多重双晶粒子A、B、Cが観察された。これは結晶の凝集体を形成していなかった。この多重双晶粒子A、B、Cの粒径の変動係数はそれぞれ28%、30%、32%、であった。多重双晶粒子B(平均粒径65nm)のTEMによる写真を図1に示した。
熟成時間が60時間になると、さらに粒子は成長し平均75nmのサイズの硫化亜鉛粒子が得られた。明確な多数枚の双晶面からなる、多重双晶粒子が観察された。双晶面が互いに平行である場合が多いが、そうでない非平行双晶構造も見られた。
透過型電子顕微鏡によって得られた硫化亜鉛粒子の透過写真において、外形から粒子サイズが解り、その内部構造から双晶面の有無及びその密度を観察する事ができる。図1及び以下の図3〜図5において白線長が50nmに相当する。
実施例2
6mMのZn-EDTA水溶液200gを6mMのNa2S水溶液200gに室温にて混合した。これを耐圧密閉容器に入れ、295℃に5時間保った。このとき、295℃まで温度が上がるのに、2時間を要した。反応液が室温に戻った後、得られた液中から粉状硫化亜鉛粒子を取り出し、TEMにて観察した結果、粒子数で50%以上の粒子の内部には多重双晶構造が見られ、双晶面は互いに平行である場合、非平行である場合があった。このTEMによる写真を図2に示した。この硫化亜鉛粒子は凝集体を形成したものではなく、平均粒径150nmであり、粒径の変動係数26%であった。図2において白線長が100nmに相当する。
実施例3
30mMのZn-EDTA水溶液200gを30mMのNa2S水溶液200gに室温にて混合した。これを密閉容器に入れ、2時間を要して295℃に上げ、295℃に4時間保ち、反応液が室温に戻った後、得られた液中から粉状硫化亜鉛粒子を取り出し、TEMにて観察したところ、粒子数で50%以上の粒子に多重双晶構造が見られた。このTEMによる写真を図3に示した。
調製条件は、反応液の濃度を6mMから30mMに増加させた以外は実施例2と略同じものである。濃度を増加させても、実施例2と同様、サブミクロンサイズの粒子が得られ、さらに粒子内部に多重双晶構造が存在していた。
この硫化亜鉛粒子は凝集体を形成したものではなく、平均粒径170nmであり、粒径の変動係数30%であった。
実施例4
6mMのヒドロキシエチレンジアミン三酢酸亜鉛水溶液40gと6mMのNa2S水溶液40gを室温で混合した。これを密閉容器に入れて1時間30分〜2時間かけて200℃まで上昇させ、200℃に12時間保ち、室温に下げて液を取り出した。
この実施例の調製条件は、実施例1において、エチレンジアミン四酢酸亜鉛二ナトリウムの代わりに、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸亜鉛を用いた場合で、120時間の結果である。
得られた液中から粉状硫化亜鉛粒子を取り出し、これをTEMにて観察したところ、粒子内部に双晶面が観察され、粒子数で50%以上の粒子に多重双晶構造の入った粒子が得られた。このTEMによる写真を図4に示した。この硫化亜鉛粒子は凝集体を形成したものではなく、平均粒径160nmであり、粒径の変動係数27%であった。
比較例1
6mMのZn-EDTA水溶液250gを6mMのNa2S水溶液250gに混合し、24時間室温に保った後、液中から粒子を取り出し、TEMにて観察したところ、図5に見られるような小サイズの粒子の凝集粒子が得られた。これらの粒子には、多重双晶構造は見られなかった。
室温で調製した粒子のサイズは、写真では20〜30nmくらいに観察されるが、これらの粒子は、X線回折測定によって、平均粒子サイズが3nmの粒子が凝集した二次粒子である事が分かった。このような粒子の内部には双晶構造は存在しなかった。
以下、実施例5〜比較例2は、開いた系でのZnS粒子の水熱合成について具体的に説明する。
実施例5
図6に示される反応装置を用いて粒子形成を行った。300℃(圧力は成り行きで約9MPa)に保った0.1モル/LのNa2S水溶液150mLに、0.1モル/LのNa2S水溶液150mLと0.1モル/LのZn(NO3)2水溶液および0.05モル/Lのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム水溶液(以下EDTAと略記)を混合した溶液150mLを攪拌しながら同時にゆっくりと添加した。図6において、装置は加熱ヒーター3を具備した耐圧容器1と耐圧蓋2からなり、20MPaの圧力に耐えられるよう設計されている。耐圧容器の内部には試料を保持する試料容器4(内容積800mL)があり、該容器内の試料液は、攪拌装置5によって攪拌される。ヒーター3は、耐圧容器1の周りを螺旋状に取り巻いている。添加液は、30MPa耐圧性を有する耐圧精密ポンプ7によって、導入管6を通して、試料液中に添加される。反応装置において試料溶液に接する部品は、全てチタン製で構成されている。
生成した粒子は平均粒径2.0μmであり、粒径の変動係数は、30%であり、またTEMによって粒子数で50%以上の粒子に、一粒子あたり平均5枚以上の双晶面が存在する事が観察された。また、X線回折パターンからセン亜鉛結晶構造の硫化亜鉛である事が解った。
実施例6
実施例5と同様に、300℃(圧力は成り行きで約9MPa)に保った0.2モル/LのNa2S水溶液75mLに、0.2モル/LのNa2S水溶液75mL、0.2モル/LのZn(NO3)2水溶液および0.1モル/LのEDTA水溶液を混合した溶液75mLを攪拌しながら同時にゆっくりと添加した。添加の途中で硫酸銅とEDTAが1:1に混ざった溶液と硝酸アルミニウムの水溶液を、生成する硫化亜鉛に対してそれぞれ0.1mol%、0.1mol%になるように加えた。生成した粒子は平均粒径1.5μmであり、粒径の変動係数は27%であり、またTEMによって粒子数で50%以上の粒子に、一粒子あたり平均5枚以上の双晶面が存在する事が観察された。またX線回折パターンからセン亜鉛結晶構造の硫化亜鉛である事が分かった。
比較例2
粒子調製温度を室温で行った以外は、実施例6と同様に行った。生成した粒子は、平均粒径0.2μmの球形の粒子であったが、この粒子は、平均粒子サイズが10nmの微細な粒子の凝集体である事が、X線解析から判明した。結晶構造は、セン亜鉛構造であった。これらの粒子には、多重双晶構造は見られなかった。
実施例7
実施例6、比較例2の硫化亜鉛粒子をそれぞれ用いて、2種類のEL素子を作成し発光特性を評価した。なお、各塗布液の粘度は、粘度計(商品名:VISCONIC ELD.R及び VISCOMETER CONTROLLER E−200 ローターNo.71、東京計器(株)製)を用い、撹拌(回転数:20rpm)下、16℃液温において測定した。
(蛍光体塗布液の調製)
硫化亜鉛粒子と結合剤としてシアノレジン(信越化学社製;CR−S(商品名))を下記の組成比でDMF有機溶媒中に添加し、プロペラミキサー(回転数3000rpm)で分散させ、16℃における粘度が0.5Pa・sであるEL蛍光体粒子含有塗布液を調製した。
・硫化亜鉛粒子・・・・・・・・・・・100質量部
・シアノレジン・・・・・・・・・・・・25質量部
(誘電体微粒子含有塗布液の調製)
誘電体微粒子としてチタン酸バリウム(キャボットスペシャリティケミカルズ製;商品名BT−8:平均粒径120nm)および結合剤としてシアノレジン(信越化学社製;商品名CR−S)を下記の組成比でDMF有機溶媒中に添加し、プロペラミキサー(回転数3000rpm)で分散させ、25℃における粘度が0.5Pa・sである誘電体微粒子含有塗布液を調製した。
・チタン酸バリウム・・・・・90質量部
・シアノレジン・・・・・・・30質量部
(EL素子の作成と評価)
支持体としてITO透明電極がスパッタリングされているポリエチレンテレフタレート(厚み100μm)上に、スライドコーターを用いてEL蛍光体粒子含有塗布液を乾燥塗膜の目標膜厚が10μmになるように塗布した。塗布後、120℃で乾燥して、EL蛍光体層がITO上に形成されたシート状積層体Aを得た。続いてシート状積層体Aを、前述のスライドコーターを配置した塗布装置に再度配置し、発光層の塗布と同様の方法で誘電体微粒子含有塗布液を、塗膜の乾燥膜厚が10μmになるように、塗布、乾燥して、ITO上にEL蛍光体層と誘電体層を積層したシート状積層体Bを得た。シート状積層体Bの上に、背面電極として30μm厚のアルミ箔を貼り合わせ、透明電極と背面電極に電圧を供給するためのリード線を付設した後、全体を封止フィルムで封止してEL素子を得た。実施例6、比較例2の硫化亜鉛粒子をそれぞれ用いて作製したEL素子に、100V1kHzの交流を印加した時の結果を表−1に示す。
表−1から明らかなように、比較例2の硫化亜鉛粒子を用いて作製したEL素子に比べ、本発明の硫化亜鉛粒子を用いて作製したEL素子は、輝度、輝度寿命いずれにおいても2倍以上優れていることが分かった。
実施例1にて合成した粒子のTEM写真である。 実施例2にて合成した粒子のTEM写真である。 実施例3にて合成した粒子のTEM写真である。 実施例4にて合成した粒子のTEM写真である。 比較例1にて合成した粒子のTEM写真である。 実施例5〜比較例2で使用した水熱合成用装置の概要を示す説明図である。
符号の説明
1 耐圧容器
2 耐圧蓋
3 ヒーター
4 試料容器
5 攪拌装置
6 導入管
7 耐圧精密ポンプ

Claims (12)

  1. 平均粒子サイズが20μm以下で、かつ、粒子サイズ分布が単分散であり、粒子内部に多重双晶構造を有する硫化亜鉛粒子を含有してなることを特徴とするエレクトロルミネッセンス蛍光体。
  2. 水熱合成法によって合成された、多重双晶構造を有する5nm〜20μmの平均粒径をもつ硫化亜鉛粒子からなる事を特徴とするエレクトロルミネッセンス蛍光体。
  3. 硫化亜鉛粒子が付活剤および/または共付活剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体。
  4. 硫化亜鉛粒子が、付活剤として銅、マンガン、銀、金及び希土類元素から選択された少なくとも一種のイオンを含有する請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体。
  5. 硫化亜鉛粒子が、共付活剤として塩素、臭素、ヨウ素、及びアルミニウムから選択された少なくとも一種のイオンを含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体。
  6. 付活剤として銅イオンを、共付活剤として塩素イオンを含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体。
  7. 粉末状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体。
  8. 水を反応溶媒として、粒子成長における温度150〜370℃で、硫黄イオンと亜鉛イオンとを水熱反応させて、多重双晶構造を有する、5nm〜20μmの平均粒径をもつ硫化亜鉛粒子を得る製造方法。
  9. アミノ基および/または、カルボキシル基を有し、亜鉛と錯体を形成しうる化合物を用いる請求項8に記載の硫化亜鉛粒子の製造方法。
  10. 付活剤及び/又は共付活剤の存在下に硫黄イオンと亜鉛イオンを反応させることを特徴とする請求項8又は9の硫化亜鉛粒子の製造方法。
  11. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体を含有してなることを特徴とする分散物。
  12. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス蛍光体を含有してなることを特徴とするエレクトロルミネッセンス蛍光体素子。
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