JP2005197234A - エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 透明導電性フィルムを有するエレクトロルミネッセンス素子において、該透明導電性フィルムが透明な金属酸化物および/または有機物の導電性膜と網目状金属細線もしくはストライプ状金属細線を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。または、蛍光染料と酸化防止剤および紫外線吸収剤を含有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】 なし
Description
特許文献2および3には、塩酸および硫化水素雰囲気で、焼成を行うことにより高輝度化することが記載されている。
また、特許文献4〜6には、気体状の溶解塩を噴霧して加熱分解・反応を起こして粒子形成することにより、均質な蛍光体粒子を形成する手段が記載されている。
しかしながら、これらの方法だけでは、十分に高輝度で長寿命のエレクトロルミネッセンスを示す粒子を得ることが出来ていなかった。
因になって高輝度化を妨げたり、フィルム劣化の要因となったりするための弊害が無視できなかった。
すなわち、0.25m2以上の大面積を、高輝度発光させ、かつ長い発光寿命を与えるエレクトロルミネッセンス素子を提供することが、本発明の課題である。
<2> 透明導電性フィルムを有するエレクトロルミネッセンス素子において、該透明導電性フィルムが透明な金属酸化物および/または有機物の導電性膜とストライプ状金属細線を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
<3> 前記透明導電性フィルムの表面抵抗率が、0.01Ω/□〜100Ω/□であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
<4> 蛍光染料、酸化防止剤および紫外線吸収剤をそれぞれ少なくとも一種含有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
<5> 蛍光体粒子を含有し、その平均球相当径が、0.1μm〜15μmであることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス素子。<6> 0.25m2以上の発光面積を有することを特とする前記<1>〜<5>のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
<7> 前記<1>〜<6>のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス素子を500Hz以上5KHz以下の交流電界で駆動することを特徴とする平面光源システム。
[1] 透明電極として、透明な金属酸化物および/又は有機物の導電性膜と網目状金属細線を有する透明導電性フィルムを有する。
[1]' 透明電極として、透明な金属酸化物および/又は有機物の導電性膜とストライプ状金属細線を有する透明導電性フィルムを有する。
[2] 蛍光染料、酸化防止剤および紫外線吸収剤をそれぞれ少なくとも一種含有する。
前記[1](もしくは[1]')と[2]との要件を組み合わせたエレクトロルミネッセンス素子は、白色発光のエレクトロルミネッセンス素子として、より好ましい。
本発明に用いられる透明導電性フィルムの表面抵抗率は、0.01Ω/□〜100Ω/□であることが好ましい。特に0.1Ω/□〜30Ω/□が好ましい。
透明電極は、ポリエチレンテレフタレートやトリアセチルセルロースベース等の透明フィルム上に、インジウム・錫酸化物(ITO)や錫酸化物、酸化亜鉛等の透明導電性物質を蒸着、塗布、印刷等の方法で付着、成膜することで得られる。本発明のエレクトロルミネッセンス素子においては、透明フィルム上に、透明な金属酸化物および/または有機物の導電性膜を有することが好ましい。本発明のEL素子において、導電性膜には一般的に用いられる任意の透明電極材料が用いられる。例えばインジウムドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫などの酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどの共役系高分子などが挙げられる。
しかしながら、これら単独では、十分に低抵抗化できない場合がある。この問題を解決するために、網目状又はストライプ状金属細線を配置して通電性を改善する。網目状構造としては、例えば櫛型あるいはグリッド型等が、本発明のEL素子でのより好ましい態様である。網目状金属細線の組成物としては、銅や銀、アルミニウムが好ましく用いられる。この金属細線の太さは、任意であるが、0.5μm程度から20μmの間が好ましい。金属細線は、50μmから10mmの間隔のピッチで配置されていることが、好ましく、特に100μmから、1mmピッチが、好ましい。ストライプ状金属細線としては、上記網目状金属細線と同様の組成物、太さおよびピッチが挙げられ、好ましい範囲も同様である。金属細線を配置することで、光の透過率が、減少するが、この減少は出来るだけ小さいことが重要で、好ましくは、90%以上100%未満の透過率を確保することが、好ましい。
金属細線を導電性膜に貼り合わせてもよいし、フィルム上に形成した網目状又はストライプ状金属細線の上からITOを塗布、蒸着しても良い。
前記透明電極と対になる他方の電極(背面電極)としては、導電性の有る任意の材料が
使用出来る。金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウムなどの金属や、グラファイトなどの中から、作成する素子の形態、作成工程の温度等により適時選択されるが、その中でも熱伝導率が高いことが重要で、好ましくは、2.0W/cm・deg以上であることであることが好ましい。
また、EL素子の周辺部に高い放熱性と通電性を確保するために、金属シートや金属メッシュを用いることも好ましい。
本発明のEL素子は、最後に適当な封止材料を用いて、外部環境からの湿度の影響を排除するよう加工することが好ましい。素子の基板自体が十分な水分の遮蔽性を有する場合には、作成した素子の上方に遮蔽性のシートを重ね、周囲をエポキシ等の硬化材料を用いて封止することが好ましい。また、面状素子をカールさせないために両面に遮蔽性シートを配しても良い。素子の基板が、水分透過性を有する場合は、両面に遮蔽性シートを配する必要がある。
このような遮蔽性のシートは、ガラス、金属、プラスチックフイルム等の中から目的に応じて選択されるが、例えば特開平2003−249349号公報に開示されているような酸化珪素からなる層と有機高分子化合物からなる多層構成の防湿フィルムを好ましく用いることができるし、3フッ化塩化エチレン等も好ましく用いることができる。
上記封止工程は、特公昭63−27837号公報に記載の如く、真空ないし不活性ガス置換された雰囲気下で行うことが好ましく、封止工程実施前には、特開平5−166582号公報に記載の如く、含水分量を十分に低減することが重要である。
これらのEL素子を作成する際に、遮蔽性シートより内部に、吸水層を設けることが、好ましい。給水層は、ナイロンやポリビニルアルコール等の吸水性が高く、水分保持能力が高い素材からなることが、好ましい。透明性が、高いことも重要である。透明性さえ高ければ、セルロースや紙の様な素材も好ましく用いることが出来る。
特開平4−230996号公報や米国特許第5418062号明細書に記載の如く、フィルムによる防湿だけでなく蛍光体粒子を金属酸化物や窒化物で被覆することで、防湿性を向上させることも好ましく併用することが出来る。
本発明の用途は、特に限定されるものではないが、光源としての用途を考えると、発光色は白色が好ましい。
発光色を白色とする方法としては、例えば、銅とのマンガンが付活され、焼成後に徐冷された硫化亜鉛蛍光体のように単独で白色発光する蛍光体粒子を用いる方法や、3原色または補色関係に発光する複数の蛍光体を混合する方法が好ましい。(青−緑−赤の組み合わせや、青緑−オレンジの組み合わせなど)また、特開平7−166161号公報、特開平9−245511号公報、特開2002−62530号公報に記載の青色や青緑色発光の蛍光体と蛍光顔料や蛍光染料を用いて発光の一部を緑色や赤色に波長変換(発光)させて白色化する方法も好ましい。好ましい蛍光染料としては、ローダミン系の蛍光染料が用いられる。さらに、染料の色としてはCIE色度座標(x,y)において、x値が0.30〜0.4の範囲で、かつy値が0.30〜0.40の範囲であるものが好ましい。
本発明には、酸化防止剤として、写真感光材料におけるレドックス化合物を好ましく用いることができる。
本発明において、酸化防止剤として、ヒドロキサム酸誘導体(例えば、特開平11−109576号公報に記載の化合物)、カルボニル基に隣接して、両端がアミノ基もしくはヒドロキシル基が置換した二重結合を有す環状ケトン類(例えば、特開平11−327094号公報に記載の化合物で、特に一般式(S1)で表されるもので、段落番号0036〜0071に記載の化合物が好ましい。)、スルホ置換のカテコール(例えば、特開平1
1−143011号に記載の化合物)やハイドロキノン類(例えば、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸およびこれらの塩など)、特開平11−102045号に記載の一般式(I)〜(III)で表される還元剤が好ましく使用される。
これらの化合物は、蛍光染料と混合して用いる、又は蛍光染料を分散するバインダーに添加、分散して用いることが好ましい。
本発明のEL素子において、蛍光染料1モルに対して、酸化防止剤を0.001モルから10モルの範囲で用いることが好ましく、0.01モルから10モルの範囲で用いることが、より好ましい。
本発明には、特開平9−22781号公報に記載されている酸化セリウム等の無機化合物を用いることができるが、より好ましくは、有機化合物を用いる。
本発明においては紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の公報並びに明細書に記載の化合物を用いることができる。
これらは、写真感光材料に好ましく添加されるが、本発明のEL素子に含有しても有効である。例えば、特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号、独国特許出願公開第19739797A号、欧州特許出願公開第711804A号及び特表平8−501291号等の公報並びに明細書に記載されている化合物を使用できる。
これらの紫外線吸収剤は、蛍光体粒子ならびに蛍光染料が、紫外線に曝され難いように配置することが重要であり、蛍光体粒子ならびに蛍光染料を分散したバインダー中に添加、分散したり、また透明電極より外側の遮蔽性シートや吸水フィルム中に添加して用いることが好ましい。また、遮蔽性シートや吸水フィルム面上に、紫外線吸収剤を塗布して用いることも好ましい。
本発明のEL素子において、紫外線吸収剤は330nm〜380nmの光を、少なくとも1/2以下に減じる量を添加することが好ましい。エレクトロルミネッセンス素子の透明性が損なわれ、輝度が減少するのでEL素子発光面1m2あたり10g以下の添加量が好ましい。紫外線吸収剤の吸収係数にもよるが、EL素子発光面1m2あたり0.0001g以上の添加量が好ましく、より好ましくは0.001g以上である。
本発明に用いるエレクトロルミネッセンス蛍光体粒子は、平均球相当直径が、好ましくは、0.1μm以上〜15μm以下で、さらに好ましくは、1μm以上10μm以下である。球相当直径の変動係数は、30%以下であることが好ましく、より好ましくは、5%以上20%以下である。その調整方法としては、焼成法、尿素溶融法、噴霧熱分解法、水熱合成法(Hydrothermal method)を好ましく用いることができる。
合成された粒子は、多重双晶構造を有することが好ましい。硫化亜鉛の場合、多重双晶(積層欠陥構造)の面間隔は、1nm〜10nmが好ましく、より好ましくは、2nm〜5nmが好ましい。
第1の焼成をおこない、粒子を得る。
第1の焼成によって得られる中間蛍光体粉末をイオン交換水で繰り返し洗浄してアルカリ金属ないしアルカリ土類金属及び過剰の付活剤、共付活剤を除去する。
次いで、得られた中間体蛍光体粉末に第2の焼成をほどこす。第2の焼成は、第1の焼成より低温の500〜800℃で、また短時間の30分〜3時間の加熱(アニーリング)をする。
これら焼成により蛍光体粒子内には多くの積層欠陥が発生するが、微粒子でかつより多くの積層欠陥が蛍光体粒子内に含まれるように、第1の焼成と第2の焼成の条件を適宜選択することが好ましい。
また、第1の焼成物に、ある範囲の大きさの衝撃力を加えることにより、粒子を破壊することなく、積層欠陥の密度を大幅に増加させることができる。衝撃力を加える方法としては、中間蛍光体粒子同士を接触混合させる方法、アルミナ等の球体を混ぜて混合させる(ボールミル)方法、粒子を加速させ衝突させる方法、超音波を照射する方法などを好ましく用いることができる。
本発明の粒子は、この頻度が50%個を超えるものが好ましく、さらに好ましくは、70%を超えるものが好ましい。頻度は、高いほど良い。積層欠陥の間隔は、狭いほど良い。
その後、該中間蛍光体を、HCl等の酸でエッチングして表面に付着している金属酸化物を除去し、さらに表面に付着した硫化銅を、KCNで洗浄して除去する。続いて該中間蛍光体を乾燥してEL蛍光体を得る。
従って、この系では粒子は水溶媒中で自由に動くことができ、かつ添加されたイオンは水中を拡散して粒子成長を均一に起こすことができるため、粒子内部における付活剤もしくは共付活剤の濃度分布を変化させることができ、焼成法では得られない粒子を得ることができる。また粒子サイズ分布の制御において、核形成過程と成長過程を明確に分離することができ、かつ粒子成長中の過飽和度を自由に制御することにより、粒子サイズ分布を制御することが可能で、サイズ分布の狭い単分散な硫化亜鉛粒子を得ることが可能となる。核形成過程と成長過程の間に、オストワルド熟成工程を入れることが粒子サイズの調節及び、多重双晶構造の実現のために好ましい。
例えば硫化亜鉛結晶は、水における溶解度が非常に低く、これは水溶液中でイオン反応によって粒子を成長させることにおいて非常に不利な性質である。硫化亜鉛の水への溶解度は、温度を高くすればする程、上昇するが、375℃以上では水は超臨界状態となって、イオンの溶解度は激減する。従って、粒子調製温度は。100℃以上375℃以下が好ましく、200℃以上375℃以下がさらに好ましい。粒子調製にかける時間は好ましくは100時間以内、より好ましくは12時間以内で5分以上である。
硫化亜鉛の水への溶解度を増加させる他の方法として、本発明ではキレート剤を用いることが好ましい。Znイオンのキレート剤としては、アミノ基、カルボキシル基を有するものが好ましく、具体的には、エチレンジアミン四酢酸(以下EDTAと表す)、N,2−ヒドロオキシエチルエチレンジアミン三酢酸(以下EDTA−OHと表す)、ジエチレ
ントリアミン五酢酸、2−アミノエチルエチレングリコール四酢酸、1,3−ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸、ニトリロ三酢酸、2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、2−ヒドロキシエチルグリシン、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリアミノトリエチルアミン、アリルアミン、エタノールアミン、等があげられる。
また、本発明に利用可能な蛍光体の形成方法として、尿素溶融法を用いることも好ましい。尿素溶融法は、蛍光体を合成する媒体として溶融した尿素を用いる方法である。尿素を融点以上の温度で維持して溶融状態にした液中に、蛍光体母体や付活剤を形成する元素を含む物質を溶解する。必要に応じて、反応剤を添加する。例えば、硫化物蛍光体を合成する場合は、硫酸アンモニウム、チオ尿素、チオアセトアミド、等の硫黄源を添加して沈殿反応を起こさせる。その融液を450℃程度まで徐々に昇温すると、蛍光体粒子や蛍光体中間体が、尿素由来の樹脂中に均一に分散した固体が得られる。この固体を微粉砕した後、電気炉中で樹脂を熱分解させながら焼成する。焼成雰囲気として、不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、アンモニア雰囲気、真空雰囲気を選択することで、酸化物、硫化物、窒化物を母体とした蛍光体粒子が合成できる。
また、本発明に利用可能な蛍光体の形成方法として、噴霧熱分解法を用いることも好ましい。蛍光体の前駆体溶液を、霧化器を用いて微小液滴化して、液滴内での凝縮や化学反応または液滴周囲の雰囲気ガスとの化学反応により、蛍光体粒子または蛍光体中間生成物を合成できる。液滴化の条件を好適にすることで、微粒子化,微量不純物の均一化,球形化,狭粒子サイズ分布化した粒子を得ることができる。微小液滴を生成する霧化器としては、2流体ノズル,超音波霧化器,静電霧化器を用いることが好ましい。霧化器によって生成した微小液滴を、キャリアガスで電気炉などに導入し、加熱することで、脱水・縮合し、さらに液滴内物質同士の化学反応や焼結、または雰囲気ガスとの化学反応により目的とする蛍光体粒子または蛍光体中間生成物を得る。得られた粒子を、必要に応じて追加焼成する。
例えば、硫化亜鉛蛍光体を合成する場合は、硝酸亜鉛とチオ尿素の混合溶液を霧化し、800℃程度で、不活性ガス(例えば窒素)中で熱分解して、球形の硫化亜鉛蛍光体を得る。出発の混合溶液中に、Mn,Cu及び希土類などの微量不純物を溶解させておけば、発光中心をとして作用する。また、硝酸イットリウムと硝酸ユーロピウムの混合溶液を出発溶液として、1000℃程度で、酸素雰囲気中で熱分解して、ユーロピウムで付活された酸化イットリウム蛍光体を得る。
液滴中の成分は、全てが溶解している必要はなく、二酸化珪素の超微粒子を含有させても良い。亜鉛溶液と二酸化珪素の超微粒子を含んだ微小液滴の熱分解で、珪酸亜鉛蛍光体の粒子が得られる。
また、本発明に利用可能な蛍光体の形成方法として、レーザー・アブレーション法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリングや抵抗加熱、電子ビーム法、流動油面蒸着を組み合わせた方法などの気相法と、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法なども用いることができる。
これらの方法において、粒子の調製条件を制御することで、本発明に好ましい0.1μm以上10μm以下のサイズの微粒子を得ることができる。
また国際公開第02/080626号パンフレットに記載のごとく、発光中心を含むコ
ア部と非発光のシェル部からなる2重構造化することで、光取り出し効率を高める技術を好ましく用いることができる。
蛍光体粒子は、粒子の表面に非発光シェル層を有することがより好ましい。このシェル層形成は、蛍光体粒子のコアとなる半導体微粒子の調製に引き続いて化学的な方法を用いて0.01μm以上の厚みで設置するのが好ましい。好ましくは0.01μm以上1.0μm以下である。
非発光シェル層は、酸化物、窒化物、酸窒化物や、母体蛍光体粒子上に形成した同一組成で発光中心を含有しない物質から作成することができる。また、母体蛍光体粒子材料上にエピタキシャルに成長させた異なる組成の物質により形成することができる。
非発光シェル層の形成方法として、レーザー・アブレーション法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリングや抵抗加熱、電子ビーム法などと、流動油面蒸着を組み合わせた方法などの気相法と、複分解法、ゾルゲル法、超音波化学法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、水熱合成法、尿素溶融法、凍結乾燥法などの液相法や噴霧熱分解法なども用いることができる。
特に、蛍光体の粒子形成で好適に用いられる、水熱合成法、尿素溶融法や噴霧熱分解法は、非発光シェル層の合成にも適している。
例えば、水熱合成法を用いて硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層を付設する場合は、溶媒中にコア粒子となる硫化亜鉛蛍光体を添加し、懸濁させる。粒子形成の場合と同様に、非発光シェル層材料となる金属イオンと、必要に応じてアニオンを含む溶液を反応容器外から、制御された流量で、決められた時間で添加する。反応容器内を十分に撹拌することで、粒子は溶媒中を自由に動くことができ、かつ添加されたイオンは溶媒中を拡散して粒子成長を均一に起こすことができるため、コア粒子の表面に非発光シェル層を均一に形成することができる。この粒子を必要に応じて焼成することで、非発光シェル層を表面に有する硫化亜鉛蛍光体粒子が合成できる。
この固体を微粉砕した後、電気炉中で樹脂を熱分解させながら焼成する。焼成雰囲気として、不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、アンモニア雰囲気、真空雰囲気を選択することで、酸化物、硫化物、窒化物からなる非発光シェル層を表面に有する硫化亜鉛蛍光体粒子が合成できる。
また、噴霧熱分解法を用いて硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層を付設する場合は、非発光シェル層材料となる金属塩が溶解した溶液中に、硫化亜鉛蛍光体を添加する。この溶液を霧化し、熱分解することで、硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層が生成する。熱分解の雰囲気や追加焼成の雰囲気を選択することで、酸化物、硫化物、窒化物からなる非発光シェル層を表面に有する硫化亜鉛蛍光体粒子が合成できる。
共付活剤が塩素、臭素、ヨウ素、及びアルミニウムから選択された少なくとも一種のイオンを好ましく用いることができる。
本発明に好ましく用いられる粒子の母体材料としては、具体的には第II族元素と第VI元素とから成る群から選ばれる元素の一つあるいは複数と、第III族元素と第V族元素とから成る群から選ばれる一つあるいは複数の元素とから成る半導体の微粒子であり、必要な発光波長領域により任意に選択される。例えば、CdS,CdSe,CdTe,ZnS,
ZnSe,ZnTe,CaS,MgS,SrS,GaP,GaAs,及びそれらの混晶などが挙げられるが、ZnS,CdS,CaSなどを好ましく用いることができる。
さらに、粒子の母体材料としては、BaAl2S4、CaGa2S4、Ga2O3、Zn2SiO4、Zn2GaO4、ZnGa2O4,ZnGeO3,ZnGeO4,ZnAl2O4,CaGa2O4,CaGeO3,Ca2Ge2O7,CaO,Ga2O3,GeO2,SrAl2O4,SrGa2O4,SrP2O7,MgGa2O4,Mg2GeO4,MgGeO3,BaAl2O4,Ga2Ge2O7,BeGa2O4,Y2SiO5,Y2GeO5,Y2Ge2O7,Y4GeO8,Y2O3、Y2O2S,SnO2及びそれらの混晶などを好ましく用いることができる。
また、発光中心は、MnやCrなどの金属イオン及び、希土類を好ましく用いることができる。
このような、母体材料の選択により、いくつかの蛍光体を用いることで、実質的に、染料や蛍光染料を用いることなく、色度図上 0.3<x<0.4、0.3<y<0.4の範囲の白色発光を得ることもできる。
本発明のEL素子は、基本的には蛍光体層を、少なくとも一方が透明で、対向する一対の電極で挟持した構成をもつ。蛍光体層と電極の間に誘電体層を隣接することが好ましい。
蛍光体層は、蛍光体粒子をバインダーに分散したものを用いる。バインダーとしては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。これらの樹脂に、BaTiO3やSrTiO3などの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。分散方法としては、ホモジナイザー,遊星型混練機,ロール混練機、超音波分散機などを用いることができる。
誘電体層は、誘電率と絶縁性が高く、且つ高い誘電破壊電圧を有する材料であれば任意のものが用いられる。これらは金属酸化物、窒化物から選択され、例えばTiO2,BaTiO3,SrTiO3,PbTiO3,KNbO3,PbNbO3,Ta2O3,BaTa2O6,LiTaO3,Y2O3,Al2O3,ZrO2,AlON,ZnSなどが用いられる。これらは均一な膜として設置されても良いし、また粒子構造を有する膜として用いても良い。
蛍光体層と誘電体層は、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、あるいはスプレー塗布法などを用いて塗布することが好ましい。特に、スクリーン印刷法のような印刷面を選ばない方法やスライドコート法のような連続塗布が可能な方法を用いることが好ましい。例えば、スクリーン印刷法は、蛍光体や誘電体の微粒子を高誘電率のポリマー溶液に分散した分散液を、スクリーンメッシュを通して塗布する。メッシュの厚さ、開口率、塗布回数を選択することにより膜厚を制御できる。分散液を換えることで、発光層や誘電体層のみならず、背面電極層なども形成でき、さらにスクリーンの大きさを変えることで大面積化が容易である。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子においては、蛍光体層の厚みは1μm以上25μm以下が好ましい。特に好ましいのは、3μm以上20μm以下である。
蛍光体層厚みの下限は、蛍光体粒子サイズであり、素子の平滑性を確保するためには、蛍光体粒子のサイズに対して蛍光体層の厚みが1〜5倍であることが好ましい。
蛍光体層と必要に応じて隣接させる誘電体層との合計膜厚みが、蛍光体の平均粒子サイズの2倍〜10倍であることが好ましく、特に3倍から5倍であることが好ましい。
上記素子構成において電極間距離のバラツキを中心線平均粗さRaとして見たとき、蛍光体層厚みdに対して(d*1/8)以下の平滑性を有していることが好ましい。
本発明のEL素子で用いる誘電体物質は、薄膜結晶層であっても粒子形状であってもよい。またそれらの組合せであっても良い。誘電体物質を含む誘電体層は、蛍光体粒子層の片側に設けてもよく、また蛍光体粒子層の両側に設けることが好ましい。薄膜結晶層の場合は、基板にスパッタリング等の気相法で形成した薄膜であっても、BaやSrなどのアルコキサイドを用いたゾルゲル膜であっても良い。粒子形状の場合は、蛍光体粒子の大きさに対し十分に小さいことが好ましい。具体的には蛍光体粒子サイズの1/3〜1/1000の大きさが好ましい。
本発明は、上記のようなEL素子構成物を適宜組み合わせることが好ましく、それにより高輝度・高効率のEL素子を提供することができる。
通常分散型エレクトロルミネッセンス素子は、交流で駆動される。典型的には、100Vで50Hzから400Hzの交流電源を用いて駆動される。輝度は面積が小さい場合には、印加電圧ならびに周波数にほぼ比例して増加する。しかしながら、0.25m2以上の大面積素子の場合、素子の容量成分が増大し、素子と電源のインピーダンスマッチングがずれたり、素子への蓄電荷に必要な時定数が大きくなるため、高電圧化や特に高周波化しても電力供給が十分に行われない状態になりやすい。特に0.25m2以上の素子では、500Hz以上の交流駆動に対しては、しばしば駆動周波数の増大に対して印加電圧の低下がおこり、低輝度化が起こることがしばしば起こる。
これに対し本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、0.25m2以上の大サイズでも高い周波数の駆動が、可能で、高輝度化することが出来る。その場合、500Hz以上5KHzでの駆動が好ましく、より好ましくは、800Hz以上3KHz以下の駆動が好ましい。
<蛍光体粒子A>
平均粒子径20nmの硫化亜鉛(ZnS)粒子粉末25gと、硫酸銅をZnSに対し0.07モル%添加した乾燥粉末に、融剤としてNaClおよびMgClと塩化アンモニウム(NH3Cl)粉末を適量、並びに酸化マグネシウム粉末を蛍光体粉末に対し20質量%アルミナ製ルツボに入れて1200℃で3.5時間焼成したのち降温した。そののち粉末を取り出し、ボールミルにて粉砕分散し、さらにZnCl2 5gと硫酸銅をZnSに対し0.10モル%添加したのちMgCl2を1g加え、乾燥粉末を作成し、再度アルミナルツボに入れて700℃で6時間焼成した。このとき雰囲気として10%の硫化水素ガスをフローさせながら焼成を行なった。
焼成後の粒子は、再度粉砕し、40℃のH2Oに分散・沈降、上澄み除去を行なって洗浄したのち、塩酸10%液を加えて分散・沈降、上澄み除去を行い、不要な塩を除去して
乾燥させた。さらに10%のKCN溶液を70℃に加熱して表面のCuイオン等を除去した。
さらに6モル/Lの塩酸で粒子全体の10質量%に相当する表面層をエッチング除去した。
この様にして得られた粒子をさらに篩いにかけて、小サイズ粒子を取り出した。
このようにして得られた蛍光体粒子は、平均粒径が10.3μm、変動係数が20%で、あった。また、すり鉢で粒子を粉砕し、厚みが0.2μm以下の砕片を取り出して、200KVの加速電圧条件で、その電子顕微鏡観察を行ったところ、砕片粒子の少なくとも80%以上が5nm間隔以下の積層欠陥を10枚以上有する部分を含み、500nmに発光ピークを有する青緑色を示した。
平均粒子径20nmの硫化亜鉛(ZnS)粒子粉末25gと、硫酸銅と炭酸マンガンをZnSに対し、それぞれ0.08モル%と0.2モル%添加した乾燥粉末を用意し、それ以外は、蛍光体粒子Aの作成条件と同様にして、1200℃で3.5時間焼成した。これ以降の工程は、蛍光体粒子Aの作製工程と同様にして蛍光体粒子Bを作製した。
このようにして得られた蛍光体粒子Bは、平均粒径が9.3μm、該粒子の砕片の少なくとも85%以上が5nm以下の間隔で10層以上の積層欠陥を有し、オレンジ発光を示した。
<EL素子>
平均粒子サイズが0.02μmのBaTiO3微粒子を、30wt%のシアノレジン液に分散し、誘電体層厚みが25μmになるように厚み75μmのアルミシート(背面電極)上に塗布し、温風乾燥機を用いて120℃で1時間乾燥した。
上記蛍光体A,Bを発光色がCIE色度座標でx=3.3±0.2、y=3.4±0.2となる様な割合で混合し、30wt%濃度のシアノレジン液に分散し、ITOを塗布した透明フィルム(透明電極)0.5m×0.7mの基板上に、蛍光体層厚みが20μmになるように誘電体層上に塗布した。温風乾燥機を用いて120℃で1時間乾燥した。
上記素子の透明電極と背面電極から、それぞれ厚み80μmの銅アルミシートを用いて外部接続用の端子を取り出した後、素子を2枚のナイロン6からなる吸水性シートと2枚のSiO2層を有する防湿フィルムと挟んで熱圧着した。
網目状金属細線は、200μmピッチの正方形で、高さ3μm、幅5μmで上記のITOを塗布した上に形成した。
結果を表1に示す。
実施1の蛍光体粒子Aの粒子焼成時のMgOの量を変えることと、素子を100%蛍光体粒子A型の形成方法で形成すること以外は(従ってこれだけでは、白色ではない)、実施例1の試料1及び5と同様にして、ただし、100Vで1KHzの駆動時に、発光色がCIE色度座標でx=3.3±0.2 y=3.4±0.2となる様に、蛍光染料A−1をメラミン系熱可塑性樹脂に分散させて蛍光体層に混合添加し、試料101および102を作製した。また紫外線吸収材料B−1、B−2および酸化防止剤C−1、C−2を最適に用いて、それぞれ表3に記載の素子試料103〜112を作製した。これらの試料を、実施例1と同様に25℃、60%の温湿度条件において、500ルクスの水銀ランプを照射しながら1KHzの条件で初期相対輝度が、実施例1記載の200となるよう各々の電圧を調整し(従って試料1仕様の素子は、電圧を相対的に上げた)500時間駆動し、相対輝度の変化を求めると表3のようになる。本発明のエレクトロルミネッセンスが、長寿命でカラーバランスの変化も小さいことが判る。
Claims (7)
- 透明導電性フィルムを有するエレクトロルミネッセンス素子において、該透明導電性フィルムが透明な金属酸化物および/または有機物の導電性膜と網目状金属細線を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
- 透明導電性フィルムを有するエレクトロルミネッセンス素子において、該透明導電性フィルムが透明な金属酸化物および/または有機物の導電性膜とストライプ状金属細線を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
- 前記透明導電性フィルムの表面抵抗率が、0.01Ω/□〜100Ω/□であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
- 蛍光染料、酸化防止剤および紫外線吸収剤をそれぞれ少なくとも一種含有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
- 蛍光体粒子を含有し、その平均球相当径が、0.1μm〜15μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
- 0.25m2以上の発光面積を有することを特とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス素子を500Hz以上5KHz以下の交流電界で駆動することを特徴とする平面光源システム。
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