JP2005322567A - 分散型エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

分散型エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】EL素子の電極の抵抗率を下げることで高輝度化を達成し、EL素子の大面積化に伴う発光ムラや発熱の問題を解決し、EL素子の発熱を緩和するとともに、放熱を促進することで、EL素子の寿命を延長すること。
【解決手段】少なくとも透明電極と、背面電極と、それら両電極に挟持され、エレクトロルミネッセンス蛍光体粒子を含有する発光層とを具備する分散型エレクトロルミネッセンス素子において、前記透明電極は、その周縁部の内側にバス電極を有し、前記バス電極の面積は発光層面積の1%以上であり、分散型エレクトロルミネッセンス素子の輝度が200cd/m2以上であることを特徴とする分散型エレクトロルミネッセンス素子。

Description

本発明は、エレクトロルミネッセンス(EL)蛍光体粒子を分散塗布した発光層を有する分散型エレクトロルミネッセンス素子に関し、さらに詳細には、高輝度であり、発光ムラや発熱の問題がなく、寿命も長い分散型EL素子に関するものである。
エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」ともよぶ。)蛍光体は電圧励起型の蛍光体であり、蛍光体粒子を電極の間に挟んで発光素子とした分散型EL素子として用いられることが知られている。分散型EL素子の一般的な形状は、蛍光体粒子を高誘電率のバインダー中に分散したものを、少なくとも一方が透明な二枚の電極の間に挟み込んだ構造であり、両電極間に交流電場を印加することにより発光する。蛍光体粒子を用いて作成された発光素子であるEL素子は数mm以下の厚さとすることが可能で、面発光体であり、発熱が少ないなど数多くの利点を有するため、道路標識、各種インテリアやエクステリア用の照明、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用の光源、大面積の広告用の照明光源等としての用途がある。
分散型EL素子は、高温プロセスを用いないため、プラスチックを基板としたフレキシブルな素子の形成が可能であること、真空装置を使用することなく比較的簡便な工程で、低コストで製造が可能であること、また発光色の異なる複数の蛍光体粒子を混合することで素子の発光色の調節が容易であるという特長を有し、LCDなどのバックライト、表示素子へ応用されている。しかしながら、発光輝度及び効率が低いことや高輝度発光に100V以上の高電圧が必要なことから、応用範囲が限られており、更なる発光輝度および発光効率の改良が望まれている。
発光輝度を上げる手段又は発光電圧を下げる手段として、発光層の膜厚を薄くすることで発光層内の電界を高める方法が広く知られている。しかしながら、通常、蛍光体粒子が20μm以上の場合、膜厚を60μm以下に押さえて平滑な発光層を塗布しようとすると凹凸ができてしまい素子の耐電圧性能の低下や寿命の低下、発光の不均一が起きてしまうという問題があった。一方、粒子の小サイズ化は、輝度低下を招くことがよく知られており、特に5μmを切る様な粒子では、発光層を薄層化することはできても、高輝度、高効率化と両立しないことが当業界で広く知られている。
蛍光体粒子としては、硫化亜鉛を母体として、銅等の付活剤(発光中心としての金属イオン)及び塩素等の共付活剤が添加されたものが広く知られている。しかし、この発光素子は、他の原理に基づく発光素子に較べて発光輝度が低く、また発光寿命が短いという欠点があり、このため従来から種々の改良が試みられてきたが、EL素子に要求されているような高輝度を達成するという点では充分ではなかった。これらの蛍光体粒子は、通常20μm以上の粒子サイズを有する不定形粒子であり、その製造法は、例えば特許文献1や2に記載されているように、原料の硫化亜鉛粒子をフラックスと呼ばれる無機塩と共に1000℃〜1300℃の非常に高い温度で第一焼成を行って粒子を成長させ、続いて500℃〜1000℃で第二焼成を行うことにより、発光効率の高いEL用の硫化亜鉛粒子を得る方法が主流であった。このような従来の焼成方法では、核形成−成長を分離した成長様式を取ることができず、成長ルツボ内での粒子の対流も期待できないため、温度や雰囲気のローカリティーの影響も受けやすく、サイズの増大とともに粒子サイズ分布は、広くなってしまう。すなわち成長と共に大きくなる粒子は、大きくなり、小さい粒子は成長が遅く、分布が広がることになる。結果として、発光特性の粒子間分布が大きくなり、高電圧を印加しないと高輝度が得にくくなる傾向にあり、従来の製造方法で作成した蛍光体粒子では、EL素子に用いた際に十分な効果が得られなかった。
さらに、高輝度を得るためには、EL素子の電極の抵抗率を下げて印加される交流電源の電圧や周波数が効率よく発光層に供給できるようにすることが必要である。また、EL素子の大面積化においても、電極の抵抗率が高いと発光ムラや発熱の原因となる。これらの問題を解決するために、特許文献3,4に記載のように、透明電極に接してバス電極を配置する方法が開示されている。
特許文献3では、EL素子のほぼ全周にわたり形成されたバス電極が開示されているが、バス電極の体積抵抗率が高いことが予想でき、2カ所以上の電力供給部を必要としており、製造工程の増加の原因となっている。
特許文献4では、金属ペーストの上に金属箔を積層したバス電極を発光層と透明電極の間に配置した構成を開示しているが、いまだ十分な高輝度のものは得られていないのが現状である。
要するに、EL素子のさらなる高輝度化のためには、高電圧と高周波駆動に対応できるバス電極が必要であるが、従来提案されているバス電極ではいまだ不十分であった。また、従来のバス電極は、EL素子の放熱に対しては考慮されておらず、EL素子の寿命を悪化させていた。さらには、従来のバス電極は背面電極との短絡の危険を、完全に回避できていない。このため、これらの問題点を解消したEL素子の開発が要望されているのが現状である。
特開平7−62342号公報 特開平6−330035号公報 特開平5−226076号公報 特開平6−223969号公報
本発明は、EL素子の電極の抵抗率を下げて高輝度化を達成することを目的とするとともに、EL素子の大面積化に伴う発光ムラや発熱の問題を解決することを目的とする。さらに、本発明は、EL素子の発熱を緩和するとともに、放熱を促進することで、EL素子の寿命を延長することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解消するべく鋭意検討した結果、透明電極に敷設するバス電極の面積を特定の範囲内とすることにより、バス電極を発光層と透明電極との間に配設してもバス電極と背面電極とが短絡することがなく、発光ムラや発熱を抑え、十分な輝度を有することを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の手段により実現される。
(1)少なくとも透明電極と、背面電極と、それら両電極に挟持され、エレクトロルミネッセンス蛍光体粒子を含有する発光層とを具備する分散型エレクトロルミネッセンス素子において、前記透明電極は、その周縁部の内側にバス電極を有し、前記バス電極の面積は発光層面積の1%以上であり、分散型エレクトロルミネッセンス素子の輝度が200cd/m2以上であることを特徴とする分散型エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に「分散型EL素子」と称する場合もある)。
(2)前記バス電極が、透明電極の内側の略全周にわたり塗布形成された導電部からなることを特徴とする(1)に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(3)前記バス電極が、透明電極の内側の略全周にわたり塗布形成された導電部と、前記導電部の少なくとも一部に重ねて積層した金属材料とからなることを特徴とする(1)又は(2)に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(4)前記バス電極が、導電部と、該導電部の面積の少なくとも1/2以上の面積に重ねて積層した金属材料とからなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(5)前記バス電極が、発光面側から見て発光層を形成した部分の外側に配置されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(6)前記透明電極の表面抵抗率が、300Ω/□以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(7)前記背面電極が、背面電極周縁部の内側の少なくとも一部に重ねて金属材料を積層して形成された補助電極を有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一項に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(8)前記透明電極又は前記背面電極に配設した前記金属材料を、エレクトロルミネッセンス素子の外部に延長して、電源を供給するためのリード電極として使用することを特徴とする前記(3)又は(7)に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(9)前記発光層の膜厚が、0.5μm以上30μm以下の範囲であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか一項に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(10)前記エレクトロルミネッセンス蛍光体粒子の平均粒径が、0.1μm以上15μm以下の範囲であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか一項に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
ここで、電極の表面抵抗率及び体積抵抗率は、JIS K6911に記載の測定方法に準じて測定された値である。
本発明の分散型EL素子は、電極の抵抗率が低いため発光層への電力供給が効率よく行うことができるとともに、さらなる高輝度化のために高電圧と高周波の電源の使用にも対応できる。また、バス電極を発光層の外側に配置することで、高輝度化のために発光層の膜厚を薄くした場合でも、バス電極の厚みによる短絡の危険性も回避できる。
さらに、本発明の分散型EL素子は、EL素子の発熱を緩和するとともに、放熱を促進することで、EL素子の寿命を延長する効果も奏するものである。
以下、本発明の分散型EL素子について詳細に説明する。
本発明の分散型EL素子は、少なくとも透明電極と、背面電極と、それら両電極に挟持され、エレクトロルミネッセンス蛍光体粒子を含有する発光層とを有する。
そして、本発明の分散型EL素子においては、前記透明電極は、その周縁部の内側に特定の面積でバス電極を有し、分散型EL素子が特定の輝度を有することを特徴とする。
以下、更に詳細に説明する。
まず、本発明において用いられる前記透明電極及び前記背面電極について説明する。
[透明電極]
本発明のEL素子において用いられる前記透明電極としては、一般的に用いられる任意の透明電極材料を用いて形成された電極が用いられる。該透明電極材料としては、例えば錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫などの酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどのπ共役系高分子などが挙げられる。
前記透明電極の表面抵抗率は、300Ω/□以下の範囲が、分散型EL素子が高輝度を発揮する点で好ましく、100Ω/□以下の範囲がより好ましく、30Ω/□以下の範囲がさらに好ましい。
表面抵抗率は、JIS K6911に記載の測定方法によって測定することができる。
[背面電極]
前記背面電極は、光を取り出さない側であり、導電性の有る任意の材料(通常、この種の背面電極の形成に用いられる材料)を用いて形成できる。形成に際しては、導電性微粒子を結合剤に分散した導電性ペーストを用いて塗布形成しても、銅、アルミニウム、金、銀、等の金属材料を貼り合わせても良い。貼り合わせる金属材料はシート状のものであることが好ましい。また、金属シートの代わりにグラファイト・シートを用いることもできる。
前記背面電極の熱伝導率は100W/m・K以上であることが好ましく、200W/m・K以上であることがより好ましい。
また、両電極とも塗布形成する場合には、後述のスライドコーター又はエクストルージョンコーターを用いて塗布することもできる。
そして、前記透明電極には、透明電極の周縁部の内側にバス電極が設けられる。
[バス電極]
該バス電極の上記の特定の面積は、発光層の面積に対して1%以上の面積であり、更に発光層へ効率良く電力を供給するために、2%以上がより好ましい。バス電極は、発光層の面積の増加に応じて増加させる必要があるため、発光層総面積に対する面積比率で表すことが必要である。1%以上とするのは、高輝度化のために、発光層膜厚を薄くしたり、駆動電圧や周波数を増加させるためである。しかしながら、10%以上のバス電極面積はEL素子の性能に影響しないため不必要に非発光部を増加させたり、素子面積を大きくしてしまうため好ましくない。
バス電極は、透明電極の周縁部の内側の略全周にわたり形成することが好ましい。バス電極は、銀、銅、カーボン等の導電性微粒子を、フェノール、ポリエステル、アクリル、ウレタン、塩化ビニル、エポキシ、ポリイミド等の結合剤、及びアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸ブチル、アセトニトリル等の溶媒に分散した導電性ペーストを用いて形成することが好ましい。すなわち、前記バス電極は、透明電極の内側の略全周にわたり塗布して形成された導電部からなるのが好ましい。
前記導電部の形成方法としては、スクリーン印刷法やキャスティング法などが利用できる。
前記導電部の熱伝導率は100W/m・K以上であることが好ましく、200W/m・K以上であることがより好ましい。
さらに、バス電極は、導電性ペーストで塗布形成した前記導電部に、金属材料を積層した2層構造を有することが好ましい。すなわち、前記バス電極は、透明電極の内側の略全周にわたり塗布形成された導電部と、前記導電部の少なくとも一部に重ねて積層した金属材料とからなるのが好ましい。
金属材料は塗布形成した前記導電部の面積の1/2以上、更には前記導電部の面積の75%〜100%に重ねて積層することが好ましい。例えば、長方形のEL素子では、一方の長辺部と一方の短辺部と(周縁部全周のほぼ半分)に金属材料を積層する。前記導電部の膜厚は、透明電極や金属材料との密着性や導電性の確保のため、1μm以上30μm以下の範囲が好ましく、5μm以上15μm以下がより好ましい。このように形成した前記導電部の体積抵抗率は、1×10-2Ω・cm以下が好ましく、1×10-3Ω・cm以下がより好ましい。金属材料としては、箔状の銅、アルミニウム、銀、金、等が好ましく用いられ、特に導電性とコストの点で銅が好ましい。金属材料の表面は、密着性向上のため、粗面処理やエンボス加工しても良い。また、金属材料は、背面電極との接触を避けるため、前記導電部からはみ出さない大きさとすることが好ましい。金属材料の前記導電部と貼り合わせる面に対向する面には、背面電極との接触を避けるために絶縁層を付与することも好ましい。金属材料の積層方法としては、形成した前記導電部に直接熱圧着することや、金属材料に導電性接着剤を塗布して導電部に貼り合わせること等が挙げられる。
バス電極は、発光層と重なる位置に配置しても良いが、発光層の背面に位置する背面電極との接触を避けるため、発光面側から見て発光層の外側(発光層の周縁の外方)に配置することが好ましい。高輝度化のために発光層の膜厚が薄くなるとバス電極と背面電極との接触によるEL素子の短絡の危険性が高くなるためである。このときバス電極と発光層との間隔は1mm以上設けることが好ましい。
[補助電極]
また、前記背面電極は、背面電極周縁部の内側の少なくとも一部に重ねて金属材料を積層して形成した金属材料の補助電極を有するのが好ましい。該補助電極は、後述する誘電体層を設ける場合、該誘電体層と接する面とは反対側の面に配置することが好ましい(図3及び4参照)。該補助電極は、発光部に影響しないため、大きさの制限はないが、例えば背面電極の周縁部の内側に沿って配置する場合には、周縁部の辺長の1/2以上の範囲に積層することが好ましい。このような構成にするとEL素子を大面積化した場合でも、該補助電極から1つのリード電極および/またはリード線を取ることで十分な電力供給を行うことができる。
[リード電極]
バス電極(導電部や金属材料)は、電力を供給するためのリード電極を有してもよい。
また、背面電極は、電力を供給するためのリード電極を有してもよい。背面電極が補助電極を有する場合には、補助電極がリード電極を有してもよい。
好ましい材料としては金、銀、銅、アルミニウム、ベリリウム、イリジウム、カリウム、マグネシウム、モリブデン、ナトリウム、珪素、タングステン、亜鉛、グラファイト等の金属およびこれらの合金、並びに無機物等を挙げることができ、更に好ましい材料としては金、銀、銅、アルミニウム、ベリリウム、グラファイト等の金属およびこれらの合金並びに無機物などが挙げられる。放熱性の観点では、リード電極は熱伝導率が高いことが好ましい。具体的には、熱伝導率が100W/m・K以上であることが好ましく、200W/m・K以上であることが更に好ましい。リード電極としてはいずれの形態でもよく、リード線であっても、またシート状であってもよい。
リード電極は、バス電極、背面電極あるいは補助電極との接触面積が大きい程、放熱効果が高く好ましい。具体的には接触面積が、バス電極、背面電極あるいは補助電極の面積の 1/500以上であることが好ましく、1/200であることがさらに好ましく、1/100以上であることがより好ましい。
上述の透明電極や背面電極に積層したバス電極(導電部や金属材料)や補助電極をEL素子からはみ出させて、はみ出した部分をリード電極として用いることも可能である。すなわち、バス電極や補助電極がリード電極と一体化していることが好ましい。このような構成はリード電極を作成する工程が省略でき放熱効果も高いため好ましい。
ついで、前記発光層について説明する。
[発光層]
前記発光層としては、エレクトロルミネッセンス蛍光体粒子(以下、単に「蛍光体粒子」という場合もある)を結合剤に分散させた層等を用いることができる。
前記結合剤としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。これらの結合剤に、BaTiO3やSrTiO3などの高誘電率の微粒子を、結合剤100質量部に対して5〜100質量部混合して誘電率を調整することもできる。分散方法としては、ホモジナイザー,遊星型混練機,ロール混練機、超音波分散機などを用いることができる。
本発明に好ましく用いられるEL蛍光体粒子は、母体材料と付活剤と必要に応じて共付活剤とを混合して焼成など種々調整法により調整してなる粒子が用いられる。この際用いられる母体材料としては、具体的には第II族元素とVI族元素とから成る群から選ばれる元素の一つあるいは複数と、第III族元素と第V族元素とから成る群から選ばれる一つあるいは複数の元素とから成る半導体の微粒子であり、必要な発光波長領域により任意に選択される。例えば、CdS,CdSe,CdTe,ZnS,ZnSe,ZnTe,CaS,MgS,SrS,GaP,GaAs,及びそれらの混晶などが挙げられるが、ZnS,CdS,CaSなどを好ましく用いることができる。さらに、粒子の母体材料としては、BaAl24、CaGa24、Ga23、Zn2SiO4、Zn2GaO4、ZnGa24,ZnGeO3,ZnGeO4,ZnAl24,CaGa24,CaGeO3,Ca2Ge27,CaO,Ga23,GeO2,SrAl24,SrGa24,SrP27,MgGa24,Mg2GeO4,MgGeO3,BaAl24,Ga2Ge27,BeGa24,Y2SiO5,Y2GeO5,Y2Ge27,Y4GeO8,Y23、Y22S,SnO2及びそれらの混晶などを好ましく用いることができる。また、付活剤としては、MnやCuなどの金属イオン及び、希土類元素などを好ましく用いることができる。また、必要に応じて添加される共付活剤としては、Cl,Br,Iなどのハロゲン元素やAlなどを好ましく用いることができる。
さらに、本発明では、以下の蛍光体粒子を用いることがより好ましい。
(a)平均粒子サイズ(球相当直径)が、0.1μm以上15μm以下、特に好ましくは0.1μm以上10μm以下の範囲で粒子サイズの変動係数が3%以上30%以下の範囲である蛍光体粒子。
(b)尿素溶融法によって合成された、0.1μm以上15μm以下、特に好ましくは0.1μm以上10μm以下の範囲の平均粒子サイズをもつ蛍光体粒子。
(c)噴霧熱分解法によって合成された、0.1μm以上15μm以下、特に好ましくは0.1μm以上10μm以下の範囲の平均粒子サイズをもつ蛍光体粒子。
(d)水熱合成法(Hydrothermal method)によって合成された、多重双晶構造を有する5nm以上15μm以下、特に好ましくは0.1μm以上10μm以下の範囲の平均粒子サイズをもつ硫化亜鉛からなる蛍光体粒子。
(e)平均粒子サイズが、0.1μm以上15μm以下、特に好ましくは0.1μm以上10μm以下の範囲で、粒子内部に多重双晶構造を平均面間隔が0.2nm以上10nm以下の範囲で有する硫化亜鉛からなる蛍光体粒子。
(f)平均粒子サイズが、0.1μm以上15μm以下、特に好ましくは0.1μm以上10μm以下の範囲で、該粒子の30%以上が粒子の長軸と短軸の比が1.5以上を有する硫化亜鉛からなる蛍光体粒子。
(g)0.01μm以上の厚みを有する非発光シェル層で被覆されている前記(a)〜(f)のいずれかの蛍光体粒子。
(h)付活剤が銅、マンガン、銀、金及び希土類元素から選択された少なくとも一種のイオンである前記(a)〜(g)のいずれかの蛍光体粒子。
(i)共付活剤が塩素、臭素、ヨウ素、及びアルミニウムから選択された少なくとも一種のイオンである前記(a)〜(h)のいずれかの蛍光体粒子。
(j)付活剤が銅イオンであり、共付活剤が塩素イオンである前記(a)〜(i)のいずれかの蛍光体粒子。
本発明に利用可能な蛍光体粒子は、当業界で広く用いられる焼成法(固相法)で形成することができる。例えば、硫化亜鉛の場合、液相法で結晶子サイズ10nm以上50nm以下の範囲の微粒子粒子(通常生粉と呼ぶ)を作成し、これを一次粒子として用い、これに付活剤と呼ばれる不純物を混入させて融剤とともに坩堝にて900℃以上1300℃以下の範囲の高温で30分以上10時間以下の範囲、第1の焼成を行い粒子を得る。第1の焼成によって得られる中間蛍光体粉末をイオン交換水で繰り返し洗浄してアルカリ金属ないしアルカリ土類金属及び過剰の付活剤、共付活剤を除去する。次いで、得られた中間体蛍光体粉末に第2の焼成を施す。第2の焼成は、第1の焼成より低温の500以上800℃以下の範囲で、また短時間の30分以上3時間以下の範囲の加熱(アニーリング)をする。これら焼成により蛍光体粒子内には多くの積層欠陥が発生するが、微粒子でかつより多くの積層欠陥が蛍光体粒子内に含まれるように、第1の焼成と第2の焼成の条件を適宜選択することが好ましい。また、上記中間体蛍光体粉末に、ある範囲の大きさの衝撃力を加えることにより、粒子を破壊することなく、積層欠陥の密度を大幅に増加させることができる。衝撃力を加える方法としては、中間蛍光体粒子同士を接触混合させる方法、アルミナ等の球体を混ぜて混合させる(ボールミル)方法、粒子を加速させ衝突させる方法、超音波を照射する方法などを好ましく用いることができる。その後、HCl等の酸でエッチングして表面に付着している金属酸化物を除去し、さらに表面に付着した硫化銅を、KCNで洗浄して除去、乾燥して蛍光体粒子を得る。
また、硫化亜鉛を用いる場合に好ましく用いられる上記水熱合成法は、蛍光体結晶中に多重双晶構造を導入するのに適した方法である。
水熱合成法の系では、粒子は、よく攪拌された水溶媒に分散されており、かつ粒子成長を起こす亜鉛イオン及び/又は硫黄イオンは、反応容器外から、水溶液で制御された流量で、決められた時間で添加する。従って、この系では粒子は水溶媒中で自由に動くことができ、かつ添加されたイオンは水中を拡散して粒子成長を均一に起こすことができるため、粒子内部における付活剤もしくは共付活剤の濃度分布を変化させることができ、焼成法では得られない粒子を得ることができる。また粒子サイズ分布の制御において、核形成過程と成長過程を明確に分離することができ、かつ粒子成長中の過飽和度を自由に制御することにより、粒子サイズ分布を制御することが可能で、サイズ分布の狭い単分散な硫化亜鉛粒子を得ることが可能となる。核形成過程と成長過程の間に、オストワルド熟成工程を入れることが粒子サイズの調節及び、多重双晶構造の実現のために好ましい。
硫化亜鉛は、水における溶解度が非常に低く、これは水溶液中においてイオン反応で粒子を成長させることにおいて非常に不利な性質である。硫化亜鉛の水での溶解度は、温度を高くすればするほど上昇するが、375℃以上では水は超臨界状態となって、イオンの溶解度は激減する。したがって、粒子調製温度は、100℃以上375℃以下の範囲が好ましく、200℃以上375℃以下の範囲がさらに好ましい。粒子調製にかける時間は好ましくは100時間以内、より好ましくは12時間以内で5分以上である。
硫化亜鉛の水での溶解度を増加させる他の方法として、本発明ではキレート剤を用いることが好ましい。亜鉛イオンのキレート剤としては、アミノ基、カルボキシル基を有するものが好ましく、具体的には、エチレンジアミン四酢酸(以下EDTAと表す)、N,2−ヒドロオキシエチルエチレンジアミン三酢酸(以下EDTA−OHと表す)、ヂエチレントリアミン五酢酸、2−アミノエチルエチレングリコール四酢酸、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸、ニトリロ三酢酸、2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、2−ヒドロキシエチルグリシン、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ヂエチルアミン、ヂエチレントリアミン、トリアミノトリエチルアミン、アリルアミン、エタノールアミン、等が挙げられる。
また、構成元素の先駆体を用いず、構成する金属イオンとカルコゲンアニオンを直接の沈殿反応により合成する場合には、両者の溶液の急速混合が必要で、ダブルジェット式の混合器を用いるのが好ましい。
また、本発明に利用可能な蛍光体の形成方法として好ましく用いられる上記尿素溶融法は、蛍光体を合成する媒体として溶融した尿素を用いる方法である。尿素を融点以上の温度で維持して溶融状態にした液中に、蛍光体母体や付活剤を形成する元素を含む物質を溶解する。必要に応じて、反応剤を添加する。例えば、硫化物蛍光体を合成する場合は、硫酸アンモニウム、チオ尿素、チオアセトアミド、等の硫黄源を添加して沈殿反応を起こさせる。その融液を450℃程度まで徐々に昇温すると、蛍光体粒子や蛍光体中間体が、尿素由来の樹脂中に均一に分散した固体が得られる。この固体を微粉砕した後、電気炉中で樹脂を熱分解させながら焼成する。焼成雰囲気として、不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、アンモニア雰囲気、真空雰囲気を選択することで、酸化物、硫化物、窒化物を母体とした蛍光体粒子が合成できる。
また、本発明に利用可能な蛍光体の形成方法として好ましく用いられる上記噴霧熱分解法は、蛍光体の前駆体溶液を、霧化器を用いて微小液滴化して、液滴内での凝縮や化学反応又は液滴周囲の雰囲気ガスとの化学反応により、蛍光体粒子又は蛍光体中間生成物を合成する方法である。液滴化の条件を好適にすることで、微粒子化,微量不純物の均一化,球形化,狭粒子サイズ分布化した粒子を得ることができる。微小液滴を生成する霧化器としては、2流体ノズル,超音波霧化器,静電霧化器を用いることが好ましい。霧化器によって生成した微小液滴を、キャリアガスで電気炉などに導入し、加熱することで、脱水・縮合し、さらに液滴内物質同士の化学反応や焼結、又は雰囲気ガスとの化学反応により目的とする蛍光体粒子又は蛍光体中間生成物を得る。得られた粒子を、必要に応じて追加焼成する。例えば、硫化亜鉛蛍光体を合成する場合は、硝酸亜鉛とチオ尿素の混合溶液を霧化し、800℃程度で、不活性ガス(例えば窒素)中で熱分解して、球形の硫化亜鉛蛍光体を得る。出発の混合溶液中に、Mn,Cu及び希土類などの微量不純物を溶解させておけば、発光中心として作用する。また、硝酸イットリウムと硝酸ユーロピウムの混合溶液を出発溶液として、1000℃程度で、酸素雰囲気中で熱分解して、ユーロピウムで付活された酸化イットリウム蛍光体を得る。液滴中の成分は、全てが溶解している必要はなく、二酸化珪素の超微粒子を含有させても良い。亜鉛溶液と二酸化珪素の超微粒子を含んだ微小液滴の熱分解で、珪酸亜鉛蛍光体の粒子が得られる。
また、本発明に利用可能な蛍光体の形成方法としては、レーザー・アブレーション法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリングや抵抗加熱、電子ビーム法、流動油面蒸着を組み合わせた方法などの気相法と、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法なども用いることができる。
これらの方法において、粒子の調製条件を制御することで、本発明に好ましく用いられる0.1μm以上15μm以下の平均粒子サイズ、特に好ましくは0.1μm以上10μm以下の平均粒子サイズの蛍光体粒子を得ることができる。
蛍光体粒子は、粒子の表面に非発光シェル層を有することがより好ましい。このシェル層形成は、蛍光体粒子のコアとなる微粒子の調製に引き続いて化学的な方法を用いて0.01μm以上の厚みで設置するのが好ましい。好ましくは0.01μm以上1.0μm以下の範囲である。非発光シェル層は、酸化物、窒化物、酸窒化物や、母体蛍光体粒子上に形成した同一組成で発光中心を含有しない物質から作成することができる。また、母体蛍光体粒子材料上に異なる組成の物質をエピタキシャルに成長させることによっても形成することができる。非発光シェル層の形成方法として、レーザー・アブレーション法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリングや抵抗加熱、電子ビーム法などと、流動油面蒸着を組み合わせた方法などの気相法と、複分解法、ゾルゲル法、超音波化学法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、水熱合成法、尿素溶融法、凍結乾燥法などの液相法や噴霧熱分解法なども用いることができる。
特に、蛍光体の粒子形成で好適に用いられる、水熱合成法、尿素溶融法や噴霧熱分解法は、非発光シェル層の合成にも適している。例えば、水熱合成法を用いて硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層を付設する場合は、溶媒中にコア粒子となる硫化亜鉛蛍光体を添加し、懸濁させる。粒子形成の場合と同様に、非発光シェル層材料となる金属イオンと、必要に応じてアニオンを含む溶液を反応容器外から、制御された流量で、決められた時間で添加する。反応容器内を十分に撹拌することで、粒子は溶媒中を自由に動くことができ、かつ添加されたイオンは溶媒中を拡散して粒子成長を均一に起こすことができるため、コア粒子の表面に非発光シェル層を均一に形成することができる。この粒子を必要に応じて焼成することで、非発光シェル層を表面に有する硫化亜鉛蛍光体粒子が合成できる。
また、尿素溶融法を用いて硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層を付設する場合は、非発光シェル層材料となる金属塩が溶解し、溶融した尿素溶液中に、硫化亜鉛蛍光体を添加する。硫化亜鉛は尿素に溶解しないため、粒子形成の場合と同様に溶液を昇温し、尿素由来の樹脂中に硫化亜鉛蛍光体と非発光シェル層材料が均一に分散した固体を得る。この固体を微粉砕した後、電気炉中で樹脂を熱分解させながら焼成する。焼成雰囲気として、不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、アンモニア雰囲気、真空雰囲気を選択することで、酸化物、硫化物、窒化物からなる非発光シェル層を表面に有する硫化亜鉛蛍光体粒子が合成できる。
また、噴霧熱分解法を用いて硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層を付設する場合は、非発光シェル層材料となる金属塩が溶解した溶液中に、硫化亜鉛蛍光体を添加する。この溶液を霧化し、熱分解することで、硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層が生成する。熱分解の雰囲気や追加焼成の雰囲気を選択することで、酸化物、硫化物、窒化物からなる非発光シェル層を表面に有する硫化亜鉛蛍光体粒子が合成できる。
上記発光層は、EL蛍光体粒子含有塗布液を塗工して形成することができる。該EL蛍光体粒子含有塗布液は、少なくともEL蛍光体粒子、結合剤、及び結合剤を溶解する溶剤を含有してなる塗布液である。ここで、溶剤としては、アセトン、MEK、DMF、酢酸ブチル、アセトニトリルなどが用いられる。常温におけるEL蛍光体粒子含有塗布液の粘度は、0.1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲が好ましく、0.3Pa・s以上1.0Pa・s以下の範囲が特に好ましい。EL蛍光体粒子含有塗布液の粘度が、低すぎるときは、塗膜の膜厚ムラが生じやすくなり、また分散後の時間経過とともに蛍光体粒子が分離沈降してしまうことがある。一方、EL蛍光体粒子含有塗布液の粘度が高すぎるときには、比較的高速での塗布が困難となる場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。なお、前記粘度は、塗布温度と同じ16℃において測定される値である。
本発明のEL素子の発光層は、スライドコーター又はエクストルージョンコーターなどを用いて、透明電極を付設したプラスチック支持体や背面電極と後述する必要に応じて設けることのできる誘電体層を積層した積層体の上に、塗膜の乾燥膜厚が0.5μm以上30μm以下の範囲になるように連続的に塗布して形成することが好ましい。このとき、発光層の膜厚変動は、12.5%以下とするのが好ましく、特に5%以下とするのが好ましい。発光層の薄層化は、発光層に印加させる電圧が同一駆動条件では従来のEL素子のように発光層が厚い場合に比べて高くなるため、輝度が高くなる。従来のEL素子と同程度の輝度で駆動する場合には、駆動電圧や周波数を低くすることができるため、電力消費が少なくなり、さらに振動や騒音を改善することができる。そのような効果を得るためには、発光層の厚みが0.5μm以上で30μm以下の範囲が好ましく、特に15μm以下が好ましい。
さらに、蛍光体粒子を含む発光層と、蛍光体粒子を含む発光層と必要に応じて隣接させる後述する誘電体層との合計膜厚みが、蛍光体粒子の平均粒子サイズの3倍以上10倍以下の範囲であることが好ましい。蛍光体粒子と誘電体粒子とが接触する場合、蛍光体粒子が非発光シェル層で完全に被覆、ないしは部分的に被覆されていることが好ましい。しかし、蛍光体粒子と誘電体粒子が単に接触していてもよい。また、素子厚みの下限は、蛍光体粒子サイズであるが、素子の平滑性を確保するためには、蛍光体粒子のサイズに対して素子の厚みが3倍以上10倍以下の範囲であることが好ましい。ここで言う素子の厚みとは、電極で挟まれた蛍光体粒子を含む発光層とそれに近接する誘電体層の合計厚みを指す。この場合、合計厚みは1μm以上で50μm以下の範囲が好ましく、特に30μm以下が好ましい。
本発明に用いられる蛍光体粒子の平均粒径は、0.1μm以上15μm以下の範囲とするのが好ましく、0.1μm以上10μm以下の範囲とするのがさらに好ましい。この範囲内とすることで、発光層を30μm以下とした場合に、均一に形成することができ好ましい。また発光層中の蛍光体粒子の充填率に制限しないが、好ましくは60質量%以上95質量%以下の範囲で、より好ましくは80質量%以上90質量%以下の範囲である。本発明の一実施態様において蛍光体粒子の粒子サイズを15μm以下にすることで、発光層の塗膜の膜厚の均一性が向上し、塗膜表面の平滑性も同時に向上する。さらに、単位面積当たりの粒子数が大幅に増加することで、微細な発光ムラが著しく改善できる。さらに、粒子サイズの減少は、蛍光体粒子の印加電圧の増加につながり、発光層の薄層化による発光層への電界強度の増加と併せて、EL素子の輝度向上にとって好ましく、雑音の原因となる振動の抑制にも好ましい。
[誘電体層]
また、本発明の分散型EL素子においては、上述の電極及び発光層の他に、誘電体層を設けることが好ましい。誘電体層は、発光層と背面電極の間に、発光層に隣接させて配置することが好ましい。該誘電体層は、誘電率と絶縁性とが高く、且つ高い誘電破壊電圧を有する誘電体材料であれば任意のものを用いて形成することができる。このような材料は、金属酸化物、窒化物から選択され、例えばTiO2,BaTiO3,SrTiO3,PbTiO3,KNbO3,PbNbO3,Ta23,BaTa26,LiTaO3,Y23,Al23,ZrO2,AlON,ZnSなどが用いられる。これらは薄膜結晶層として設置されても良いし、また粒子構造を有する膜として用いても良い。
また、本発明の誘電体層は、発光層の片側に設けてもよく、また発光層の両側に設けることも好ましい。誘電体層を塗布で形成する場合は、発光層と同様に、スライドコーター又はエクストルージョンコーターを用いることが好ましい。薄膜結晶層の場合は、基板にスパッタリングや真空蒸着等の気相法で形成した薄膜であっても、BaやSrなどのアルコキサイドを用いたゾルゲル膜であっても良く、この場合膜の厚みは通常0.1μm以上10μm以下の範囲である。粒子形状の場合は、蛍光体粒子の大きさに対し十分に小さいことが好ましい。具体的には蛍光体粒子サイズの1/1000以上1/3以下の範囲の大きさが好ましい。
上記誘電体層は、好ましくは誘電体粒子含有塗布液を塗布して形成される。該誘電体粒子含有塗布液は、少なくとも誘電体粒子、結合剤、及び結合剤を溶解する溶剤を含有してなる塗布液である。ここで、結合剤としては、前記発光層に用いられるものと同様のものが挙げられる。溶剤としては、アセトン、MEK、DMF、酢酸ブチル、アセトニトリルなどが用いられる。常温における誘電体粒子含有塗布液の粘度は、0.1Pa・s以上5Pa・s以下の範囲が好ましく、0.3Pa・s以上1.0Pa・s以下の範囲が特に好ましい。誘電体粒子含有塗布液の粘度が、低すぎるときは、塗膜の膜厚ムラが生じやすくなり、また分散後の時間経過とともに誘電体粒子が分離沈降してしまうことがある。一方、誘電体粒子含有塗布液の粘度が高すぎるときには、比較的高速での塗布が困難となる場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。なお、前記粘度は、塗布温度と同じ16℃において測定される値である。
[その他の層およびEL素子の形成]
その他、本発明の素子構成において、各種保護層、フィルター層、光散乱反射層などを必要に応じて付与することができる。
また、本発明の分散型EL素子は、支持体上に上記透明電極を配置するのが好ましい。この際用いることができる支持体としては、以下のものなどを挙げることができる。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等
支持体上に塗布された各機能層は、少なくとも塗布から乾燥工程までを連続工程として形成することが好ましい。乾燥工程は、塗膜が乾燥固化するまでの恒率乾燥工程と、塗膜の残留溶媒を減少させる減率乾燥工程に分けられる。本発明では、各機能層の結合剤比率が高いため、急速乾燥させると表面だけが乾燥し塗膜内で対流が発生し、いわゆるベナードセルが生じやすくなり、また急激な溶媒の膨張によりブリスター故障を発生しやすくなり、塗膜の均一性を著しく損う。逆に、最終の乾燥温度が低いと、溶媒が各機能層内に残留してしまい、防湿フィルムのラミネート工程等のEL素子化の後工程に影響を与えてしまう。したがって、乾燥工程は、恒率乾燥工程を緩やかに実施し、溶媒が乾燥するのに十分な温度で減率乾燥工程を実施することが好ましい。恒率乾燥工程を緩やかに実施する方法としては、支持体が走行する乾燥室をいくつかのゾーンに分けて、塗布工程終了後からの乾燥温度を段階的に上昇することが好ましい。
本発明のEL素子の製造においては、好ましくは、発光層にカレンダー処理機を用いてカレンダー処理を施す。カレンダー処理により形成された発光層の両主面の平滑度は、0.5μm以下の範囲がであり、0.2μm以下がより好ましい。使用するカレンダー処理機は特に限定されるものではなく、公知の装置の中から適宜選択することができる。少なくとも一方を例えば50℃〜200℃に加熱した一対のロールの間に、加圧しながら結合剤中に蛍光体粒子を分散させた発光層を対象物として通すことで平滑化処理を施すものである。カレンダー処理において、カレンダーロールの加熱温度は、発光層に含まれる結合剤の軟化温度以上にすることが好ましい。また、カレンダー圧力と搬送速度は、蛍光体粒子を破壊したり、必要以上に発光層を延伸しないように、カレンダー温度とEL発光層の塗布幅も考慮して、必要な平滑度が得られるように適宜選択することが好ましい。
本発明のEL素子の製造方法において発光層や誘電体層はスクリーン印刷等で形成しても、前述のスライドコーターやエクストルージョンコーター等で連続塗布しても良い。比較的少量で定型の製造においては、予めバス電極が形成された透明電極上に、スクリーン印刷等で発光層、誘電体層を順次積層することが好ましい。バス電極を発光層の外側に形成する場合には、同様の方法で発光層等を形成した後、バス電極を形成することもできる。また、多量で大面積の製造においては、発光層や誘電体層をスライドコーターやエクストルージョンコーター等で連続塗布した後、所望の大きさに切断して予めバス電極が形成された透明電極上に貼り合わせることが好ましい。バス電極を発光層の外側に形成する場合には、同様の方法で発光層等を貼り合わせた後、バス電極を形成することもできる。
EL素子の振動抑制のために補償電極を付与する場合にも、前述の導電性材料を用いることができる。例えば光を取り出す透明電極の外側に補償電極を付与する場合には、ITO,錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫などの酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどのπ共役系高分子などの透明電極材料を用いることが好ましい。
また、光を取り出さない背面電極の外側に補償電極を付与する場合にも、前述と同様の導電性材料が使用できるが、導電性さえあればITO等の透明電極を用いても良い。この補償電極は前記の透明電極や背面電極と絶縁層を介して付設されるが、絶縁層材料は絶縁性の無機材料や高分子材料、無機材料粉体を高分子材料に分散した分散液などを蒸着、塗布などにより形成できる。また、導電性の前記微粒子材料を結合剤とともに分散した導電材料含有塗布液を作製して、前述のスライドコーター又はエクストルージョンコーターを用いて塗布することもできる。さらに、前記絶縁性材料を結合剤とともに分散した絶縁材料含有塗布液を作製して、前記導電材料含有塗布液と同時に塗布することもできる。付設した補償電極に駆動電源より電圧を印加するが、このとき発光層に印加される電圧と逆位相にすることで、発光層で発生する振動を相殺できる。補償電極は、透明電極の外側又は背面電極の外側のいずれかに絶縁層を挟んで付設しても同様の効果があるが、同時に付設して一方を接地させることで、さらなる振動抑制効果を期待できるので好ましい。また、発光層(と誘電体層)の誘電率と補償電極の内側の絶縁層の誘電率が実質同等であるように調整することが振動抑制を効果的に行うためには好ましい。
EL素子の振動抑制のための別の方法としてEL素子に緩衝材層を付与する場合には、該緩衝材層として衝撃吸収能の高い高分子材料や発泡剤を加えて発泡させた高分子材料を用いることが好ましい。衝撃吸収能の高い高分子材料としては、例えば天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハイパロン、シリコンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴムなどが使用できる。これら高分子材料の硬度としては、振動吸収能の点から50以下が好ましく、30以下がさらに好ましい。また、ブチルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどは、吸水性が低いためEL素子を水分から保護する保護膜としても機能するためより好ましい。上記のゴム材料やポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン樹脂に発泡剤を加えて発泡させた材料を緩衝材として用いることも好ましい。これらの緩衝材を用いた緩衝材層は、緩衝材層を接着剤でEL素子に貼り付けることで付設することができるが、緩衝材料を溶剤に溶解して緩衝材料含有塗布液を作製し、前述のスライドコーター又はエクストルージョンコーターを用いて塗布することもできる。緩衝材層の膜厚は、高分子材料の硬度にもよるが、振動を十分に吸収するためには20μm以上が必要で、50μm以上が好ましい。200μm以上になると素子厚みが大きく増加して、重量やフレキシビリティの点で好ましくない。また、上記の補助電極と緩衝材層の併用は、さらに振動を抑制することができるので好ましい。
本発明の分散型EL素子は、最後に封止フィルムを用いて、外部環境からの湿度や酸素の影響を排除するよう加工するのが好ましい。
EL素子を封止する封止フィルムは、JIS K7129に記載の測定方法に準じて測定される、40℃−90%RHにおける水蒸気透過率が0.05g/m2/day以下が好ましく、0.01g/m2/day以下がより好ましい。さらに40℃−90%RHでの酸素透過率が0.1cm3/m2/day/atm以下が好ましく、0.01cm3/m2/day/atm以下がより好ましい。このような封止フィルムとしては、有機物膜と無機物膜との積層膜が好ましく用いられる。
有機物膜の形成材料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などが好ましく用いられ、特にポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂などは吸水性があるため、あらかじめ真空加熱などの処理を施すことで絶乾状態にしたものを用いることがより好ましい。これらの樹脂を塗布などの方法によりシート状に加工したものの上に、無機物膜を蒸着、スパッタリング、CVD法などを用いて堆積させる。堆積させる無機物膜の形成材料としては、酸化ケイ素、窒化珪素、酸窒化珪素、酸化ケイ素/酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどが好ましく用いられ、特に酸化ケイ素がより好ましく用いられる。より低い水蒸気透過率や酸素透過率を得たり、無機物膜が曲げ等によりひび割れることを防止するために、有機物膜と無機物膜の形成を繰り返したり、無機物膜を堆積した有機物膜を接着剤層を介して複数枚貼り合わせて多層膜とすることが好ましい。有機物膜の膜厚は、5μm以上300μm以下の範囲が好ましく、10μm以上200μm以下の範囲がより好ましい。無機物膜の膜厚は、10nm以上300nm以下の範囲が好ましく、20nm以上200nm以下の範囲がより好ましい。積層した封止フィルムの膜厚は、30μm以上1000μm以下の範囲が好ましく、50μm以上300μm以下の範囲がより好ましい。例えば、40℃−90%RHにおける水蒸気透過率が0.05g/m2/day以下の封止フィルムを得るためには、上記の有機物膜と無機物膜とが2層ずつ積層された構成では50〜100μmの膜厚で済んでしまうが、従来から封止フィルムとして使用されているポリ塩化三フッ化エチレンでは200μm以上の膜厚を必要とする。封止フィルムの膜厚は、薄い方が光透過性や素子の柔軟性の点で好ましい。
この封止フィルムでELセルを封止する場合、2枚の封止フィルムでELセルを挟んで周囲を接着封止しても、1枚の封止フィルムを半分に折って封止フィルムが重なる部分を接着封止しても良い。封止フィルムで封止されるELセルは、ELセルのみを別途作成しても良いし、封止フィルム上に直接ELセルを作成することもできる。この場合には、支持体の替わりとすることができる。また、封止工程は、真空又は露点管理された乾燥雰囲気中で行うことが好ましい。
高度な封止加工を実施した場合でも、ELセルの周囲に乾燥剤層を配置することが好ましい。乾燥剤層に用いられる乾燥剤としては、CaO、SrO、BaOなどのアルカリ土類金属酸化物、酸化アルミニウム、ゼオライト,活性炭、シリカゲル、紙や吸湿性の高い樹脂などが好ましく用いられるが、特にアルカリ土類金属酸化物が吸湿性能の点でより好ましい。これらの吸湿剤は粉体の状態でも使用することはできるが、例えば樹脂材料と混合して塗布や成形などによりシート状に加工したものを使用したり、樹脂材料と混合した塗布液をディスペンサーなどを用いてEL素子の周囲に塗布したりして乾燥剤層を配置することが好ましい。さらに、ELセルの周囲のみならず、ELセルの下面や上面を乾燥剤で覆うことがより好ましい。この場合、光を取り出す面には透明性の高い乾燥剤層を選択することが好ましい。透明性の高い乾燥剤層としては、ポリアミド系樹脂等を用いることができる。
そして、本発明の分散型EL素子は、200cd/m2以上の輝度を有し、好ましくは300cd/m2以上の輝度を有する。
以下に、本発明の分散型EL素子について図面を参照してその構造を説明する。
ここで、図1は、本発明の分散型EL素子の1実施形態を模式的に示す平面図であり、図2は、そのa−a'断面図である。図3は、本発明の分散型EL素子の1実施形態を模式的に示す平面図であり、図4は、そのb−b'断面図である。図5は、本発明の分散型EL素子の1実施形態を模式的に示す平面図であり、図6は、そのc−c'断面図である。図7は、本発明の分散型EL素子の1実施形態を模式的に示す平面図であり、図8は、そのd−d'断面図である。図9は、本発明の分散型EL素子の1実施形態を模式的に示す平面図である。
図1及び2に示す形態の分散型EL素子は、支持体9と、支持体9上に形成された、支持体9とほぼ同形状の、透明電極としてのITO電極1と、ITO電極よりも小さく形成された背面電極3と、ITO電極1と背面電極3とにより狭持された発光層7と、背面電極3及び発光層7間に配置された誘電体層8とを有する。そして、透明電極としてのITO電極1には、その周縁部の内側の全周に亘って導電性ペーストで塗布形成した導電部6により形成されたバス電極が設けられている。また、背面電極3と導電部6とには両者に電気を流すためのリード線4が連結されている。背面電極3に連結されたリード線4は、他の部位に電気的影響を与えないように絶縁テープ5上に載置されている。
そして、バス電極の面積は、発光層7の面積の1%以上の面積である。
次いで、他の形態の分散型EL素子について説明する。ここでは、図1及び2に示す形態の分散型EL素子と異なる点を主に説明する。特に説明しない点については、上述の図1及び2に示す形態の説明が適宜適用される。
図3及び4に示す形態の分散型EL素子は、透明電極としてのITO電極1の周縁部の内側の全周に亘って導電性ペーストで塗布形成した導電部6及び導電部6の半周に亘って、すなわち導電部6の全周の1/2に積層された金属材料としての銅テープ2により形成されたバス電極が設けられている。また、背面電極3と銅テープ2とには両者に電気を流すためのリード線4が連結されている。この他は図1及び2に示す形態と同様である。
図5及び6に示す形態の分散型EL素子は、発光層7、誘電体層8及び背面電極3が、バス電極に積層されて設けられている以外は、図3及び4に示す形態と同様である。このようにバス電極の設置面積を特定の範囲内とすれば発光層と透明電極との間にバス電極を配しても、本発明所望の効果が得られる。
図7及び8に示す形態の分散型EL素子は、背面電極3上の周縁にそって且つ周縁の半周に亘って、補助電極としての銅テープ2が配されている。また、バス電極としての銅テープ2と補助電極としての銅テープ2とには両者に電気を流すためのリード線4が連結されている。この他は図3及び4に示す形態と同様である。
図9に示す形態の分散型EL素子は、バス電極としての銅テープ2と補助電極としての銅テープ2の一方の端部を延長して、EL素子の外部に突出させている。このようにバス電極や補助電極をEL素子からはみ出させて、はみ出した部分をリード電極として用いることができる。リード線4は連結されていない。リード電極として用いる補助電極は、他の部位に電気的影響を与えないように絶縁テープ5上に載置されている。この他は図7及び8に示す形態と同様である。
[用途]
本発明の用途は、特に限定されるものではないが、光源としての用途を考えると、発光色は白色が好ましい。発光色を白色とする方法としては、例えば、銅とのマンガンが付活され、焼成後に徐冷された硫化亜鉛蛍光体のように単独で白色発光する蛍光体粒子を用いる方法や、3原色又は補色関係に発光する複数の蛍光体を混合する方法が好ましい。(青−緑−赤の組み合わせや、青緑−オレンジの組み合わせなど)また、特開平7−166161号公報、特開平9−245511号公報、特開2002−62530号公報に記載の青色のように短い波長で発光させて、蛍光顔料や蛍光染料を用いて発光の一部を緑色や赤色に波長変換(発光)させて白色化する方法も好ましい。さらに、CIE色度座標(x,y)は、x値が0.30以上0.43以下の範囲で、かつy値が0.27以上0.41以下の範囲が好ましい。
本発明のEL素子は、高輝度を得るために、100V以上の電圧と400Hz以上の周波数の交流電圧で駆動されることが好ましく、150V以上の電圧と800Hz以上の周波数で駆動することがより好ましい。交流電圧の波形は、正弦波でも矩形波でも良いが、寿命の点で正弦波が好ましい。
以下に、本発明のEL素子を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明の実施例は以下の各実施例に制限されるものではない。
[蛍光体粒子Aの作成]
平均結晶子サイズが20nmの硫化亜鉛(ZnS)粒子25gと、硫酸銅をZnSに対して0.07モル%添加した乾燥粉末に、融剤として塩化アンモニウム(NH4Cl)5gを添加した混合物をアルミナるつぼに入れて、第1焼成として空気中で1200℃で2時間焼成した。次いで、この焼成粒子を取り出し、0.1Nの塩酸水溶液で洗浄した後、イオン交換水で5回水洗して、反応副生成物や残留する融剤を除去して乾燥した。次いで、この洗浄した粒子を1mmφのアルミナボールを用いて20分間ボールミル粉砕した。次いで、この粉砕した粒子をアルミナるつぼに入れて、第2焼成として空気中で700℃で1時間焼成した。次いで、この焼成した粒子を、10%のシアン化カリウム(KCN)水溶液で洗浄した後、イオン交換水で5回水洗して粒子表面の不要な銅化合物等を除去して乾燥した。最後に、この粒子を篩いにかけ、15μm以上の粒子と5μm以下の粒子を除去してZnS:Cu,Cl蛍光体粒子Aを得た。このようにして得られたZnS:Cu,Cl蛍光体粒子Aは、平均サイズが12.2μmで、変動係数が28%で、透過型電子顕微鏡観察から蛍光体粒子の少なくとも90%以上が1粒子当たり10枚以上の積層欠陥を有していた。
[蛍光体粒子Bの作成]
第1焼成の融剤として、塩化ナトリウム(NaCl)1.0g、塩化バリウム2水和物(BaCl2・2H2O)2.1g、塩化マグネシウム6水和物(MgCl2・6H2O)4.25gを用いて、30μm以上の粒子と5μm以下の粒子を篩いがけで除去したこと以外は、蛍光体粒子Aと同様にしてZnS:Cu,Cl蛍光体粒子Cを得た。このようにして得られたZnS:Cu,Cl蛍光体粒子Cは、平均サイズが20.6μmで、変動係数が36%で、透過型電子顕微鏡観察から蛍光体粒子の少なくとも90%以上が1粒子当たり10枚以上の積層欠陥を有していた。
[ELセルの作成]
100μmのPET支持体上に表面抵抗率400Ω/□のITO電極を積層させ、次にITO電極の表面に、前記のZnS:Cu,Cl蛍光体粒子Bをシアノレジン(信越化学工業社製;CR−S)に分散した蛍光体粒子分散液(溶剤としてDMFを使用、固形分濃度68質量%)をスクリーン印刷で塗布することにより、発光層を、A3サイズで且つ40μmの乾燥膜厚で形成した。次いで、形成した発光層の上に、発光層と同じ面積で、球相当径0.2μmのBaTiO3誘電体粒子をシアノレジンに分散した誘電体粒子分散液(溶剤としてDMFを使用、固形分濃度63質量%)をスクリーン印刷で塗布することにより、誘電体層を20μmの乾燥膜厚で形成した。次いで、誘電体層の上に、誘電体層と同じ面積で、銀微粒子をポリエステル樹脂に分散した銀粒子分散液(溶剤として酢酸ブチルを使用、固形分濃度65質量%)を用いて背面電極層を10μmの膜厚でスクリーン印刷で形成し、ITO電極上に発光層、誘電体層、背面電極が順次積層されたELセルを得た。
(実施例1)
上記ELセルの発光層の外側のITO電極上に発光層から1mmの間隔を設けて、背面電極と同様の銀粒子分散液を用いて幅5mmで膜厚10μmの導電部を、ITO電極周縁の全周にわたりスクリーン印刷で形成してバス電極を設けた。次いで、前記導電部と背面電極に電力供給用のリード線を取り付け、背面電極用リード線がバス電極と透明電極を跨ぐ箇所の下に絶縁テープを取り付けて、ELセル全体を封止フィルムで封止して(図示せず)、図1及び2に示す構成のEL素子を得た。
バス電極の面積は、発光層の面積の5.9%であった。
(実施例2)
上記ELセルの発光層の外側のITO電極上に発光層から1mmの間隔を設けて、背面電極と同様の銀粒子分散液を用いて幅5mmで膜厚10μmの導電部を、ITO電極周縁部の全周にわたりスクリーン印刷で形成した。次いで、導電部の一方の長辺と一方の短辺との上に、幅5mmで厚さ50μmの銅テープをL字形に貼り合わせて、導電部と金属材料とからなるバス電極を作成した。最後に、銅テープと背面電極に電力供給用のリード線を取り付け、背面電極用リード線がバス電極と透明電極を跨ぐ箇所の下に絶縁テープを取り付けた。更に、ELセル全体を封止フィルムで封止して、図3及び4に示す構成の分散型EL素子を得た。
バス電極の面積は、発光層の面積の5.9%とした。
(実施例3)
100μmのPET支持体上に表面抵抗率400Ω/□のITO電極を積層し、形成したITO電極上に背面電極と同様の銀粒子分散液を塗布して幅5mmで膜厚10μmの導電部を、ITO電極の周縁部全周にわたりスクリーン印刷で形成した。次いで、導電部の一方の長辺と一方の短辺との上に、幅5mmで厚さ50μmの銅テープをL字形に貼り合わせて、導電部と金属材料とからなるバス電極を作成し、バス電極に電力供給用のリード線を取り付けた。バス電極に重なるようにして、上述の〔ELセル〕と同様にして発光層、誘電体層及び背面電極をスクリーン印刷で順次積層した。最後に、背面電極に電力供給用のリード線を取り付け、背面電極用リード線が透明電極を跨ぐ箇所の下に絶縁テープを取り付けて、ELセル全体を封止フィルムで封止して、図5及び6に示す構成の分散型EL素子を得た。
バス電極の面積は、発光層の面積の6.0%とした。
(実施例4)
実施例2と同様にITO電極上にバス電極を形成したELセルを作成した。次いで、背面電極の周縁部の一方の長辺と一方の短辺との上に、幅5mmで厚さ50μmの銅テープをL字形に貼り合わせ、バス電極と平行な補助電極を形成した。最後に、両銅テープに電力供給用のリード線を取り付け、背面電極用リード線がバス電極と透明電極を跨ぐ箇所の下に絶縁テープを取り付け、ついでELセル全体を封止フィルムで封止して、図7及び8に示す構成の分散型EL素子を得た。
バス電極の面積は、発光層の面積の5.9%とした。
(実施例5)
表面抵抗率が100Ω/□のITO電極を用いたこと以外は実施例2と同様にして、図3及び4に示す構成の分散型EL素子を得た。
バス電極の面積は、発光層の面積の5.9%とした。
(実施例6)
上記ELセルの発光層にZnS:Cu,Cl蛍光体粒子Aを用いて、20μmの乾燥膜厚で発光層を形成したこと以外は実施例2と同様にして、図3及び4に示す構成の分散型EL素子を得た。
バス電極の面積は、発光層の面積の5.9%とした。
(実施例7)
透明電極上に形成した導電部に貼り合わせた銅テープ及び背面電極上に貼り合わせた銅テープの一方の端部を延長して、EL素子の外部に突出させたこと以外は実施例4と同様にして、図9に示す構成の分散型EL素子を得た。
バス電極の面積は、発光層の面積の5.9%とした。
(実施例8)
上記ELセルのITO電極に表面抵抗率が100Ω/□のITO電極を用いたことと、発光層にZnS:Cu,Cl蛍光体粒子Aを用いて、20μmの乾燥膜厚で発光層を形成したこと以外は実施例7と同様にして、図9に示す構成の分散型EL素子を得た。
バス電極の面積は、発光層の面積の5.9%とした。
(比較例)
上記ELセルの発光層の外側のITO電極上に発光層から1mmの間隔を設けて、背面電極と同様の銀粒子分散液を用いて、幅0.7mmで膜厚10μmの導電部を、ITO電極周縁の全周にわたりスクリーン印刷で形成してバス電極を設けた。次いで、前記導電部と背面電極に電力供給用のリード線を取り付け、背面電極用リード線がバス電極と透明電極を跨ぐ箇所の下に絶縁テープを取り付けて、ELセル全体を封止フィルムで封止して、図1及び2に示す構成のEL素子を得た。
バス電極の面積は、発光層の面積の0.8%であった。
[EL素子の評価]
実施例と比較例で得られたEL素子を、150Vで1.2kHzの正弦波で駆動したときの輝度、輝度ムラ、輝度半減期、及びEL素子表面の温度を測定した。評価結果を表1に示す。ここで輝度ムラは、EL素子の発光層内の最大輝度と最小輝度の差の平均輝度に対する割合を示す値である。また、表面温度は、EL素子の発光面側の任意の5カ所を、表面温度計で測定したときの平均値である。
表1に示すように、実施例1〜8のEL素子は、比較例のEL素子に比べて輝度が高いため、EL素子の発光層に電力が効率よく供給されている。特に、1kHz以上の高周波駆動する場合には顕著である。輝度ムラと輝度半減期も同様に、比較例のEL素子に比べて実施例のEL素子の方が良好である。比較例のEL素子は、表面温度が実施例のEL素子に比べて高くなっていることが判り、これがEL素子の劣化を促進していると考えられる。このことから、比較例のEL素子は、バス電極の面積不足がEL素子への効果的な電力供給を防止し、発熱の原因になっていることが判る。また、実施例1と実施例2の比較からから、バス電極を導電性ペーストと金属材料との複合材料とすることで、EL素子への電力供給と放熱性が高くなることが判る。この効果は実施例4、5、7及び8のように、背面電極に金属材料を配置したり、ITO電極の抵抗率を下げたり、金属材料でリード線を兼ねることでさらに向上する。実施例6及び8のように、発光層膜厚が薄くなっても、バス電極を発光層よりも外側に形成することで、背面電極とバス電極との短絡の危険性も回避できる。このように、本発明の分散型EL素子のようなバス電極の構成とすることにより、電力供給の高効率化と放熱性の向上により、高輝度、長寿命のEL素子が得られることが明白である。
Figure 2005322567
図1は、本発明の分散型EL素子の1実施形態(実施例1及び比較例に記載した分散型EL素子)を模式的に示す平面図である。 図2は、図1のa−a'断面図である。 図3は、本発明の分散型EL素子の1実施形態(実施例2、5及び6に記載した分散型EL素子)を模式的に示す平面図である。 図4は、図3のb−b'断面図である。 図5は、本発明の分散型EL素子の1実施形態(実施例3に記載した分散型EL素子)を模式的に示す平面図である。 図6は、図5のc−c'断面図である。 図7は、本発明の分散型EL素子の1実施形態(実施例4に記載した分散型EL素子)を模式的に示す平面図である。 図8は、図7のd−d'断面図である。 図9は、本発明の分散型EL素子の1実施形態(実施例7及び8に記載した分散型EL素子)を模式的に示す平面図である。
符号の説明
1 透明電極(ITO電極)
2 銅テープ
3 背面電極
4 リード線
5 絶縁テープ
6 導電部
7 発光層
8 誘電体層
9 支持体

Claims (10)

  1. 少なくとも透明電極と、背面電極と、それら両電極に挟持され、エレクトロルミネッセンス蛍光体粒子を含有する発光層とを有する分散型エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記透明電極は、その周縁部の内側にバス電極を有し、前記バス電極の面積は発光層面積の1%以上であり、
    分散型エレクトロルミネッセンス素子の輝度が200cd/m2以上であることを特徴とする分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記バス電極が、透明電極の内側の略全周にわたり塗布形成された導電部からなることを特徴とする請求項1に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記バス電極が、透明電極の内側の略全周にわたり塗布形成された導電部と、前記導電部の少なくとも一部に重ねて積層した金属材料とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記バス電極が、導電部と、該導電部の面積の少なくとも1/2以上の面積に重ねて積層した金属材料とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記バス電極が、発光面側から見て発光層を形成した部分の外側に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記透明電極の表面抵抗率が、300Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記背面電極が、背面電極周縁部の内側の少なくとも一部に重ねて金属材料を積層して形成された補助電極を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記透明電極又は前記背面電極に配設した前記金属材料を、エレクトロルミネッセンス素子の外部に延長して、電源を供給するためのリード電極として使用することを特徴とする請求項3又は7に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 前記発光層の膜厚が、0.5μm以上30μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 前記エレクトロルミネッセンス蛍光体粒子の平均粒径が、0.1μm以上15μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
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