JPWO2006008863A1 - 無機分散型エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

無機分散型エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

発熱による劣化を抑制して高輝度で長時間発光させることが可能な新規な構造を有する無機分散型EL素子を提供すること。 背面電極及び透明電極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を有する無機分散型エレクトロルミネッセンス素子であって、背面電極の発光層とは反対側の面に、熱放射率が0.8以上で、厚さ50μm〜1000μmのセラミックシートを有することを特徴とする無機分散型エレクトロルミネッセンス素子。

Description

本発明は、無機分散型エレクトロルミネッセンス素子に関する。
エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」ともよぶ)蛍光体は電圧励起型の蛍光体であり、蛍光体粉末を電極の間に挟んで発光素子とした無機分散型EL素子として用いられることが知られている。無機分散型EL素子の一般的な形状は、蛍光体粉末を高誘電率のバインダー中に分散したものを、少なくとも一方が透明な二枚の電極の間に挟み込んだ構造からなり、両電極間に交流電場を印加することにより発光する。蛍光体粉末を用いて作成されたEL素子は数mm以下の厚さとすることが可能で、面発光体であり、発熱が少ないなど数多くの利点を有するため、道路標識、各種インテリアやエクステリア用の照明、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用の光源、大面積の広告用の照明光源等としての用途がある。
無機分散型EL素子は、高温プロセスを用いないため、プラスチックを基板としたフレキシブルな素子の形成が可能であること、真空装置を使用することなく比較的簡便な工程で、低コストで製造が可能であること、また発光色の異なる複数の蛍光体粒子を混合することで素子の発光色の調節が容易であるという特長を有し、LCDなどのバックライト、表示装置へ応用されている。しかしながら、発光輝度及び効率が低いことや高輝度発光に100V以上の高電圧が必要なことから、応用範囲が限られており、従来は高輝度で長時間発光する用途(例えば、サインアンドディスプレイ用途)には使用できなかった。
また、一般的にEL素子は電圧をかけると発熱するという問題がある。EL素子は熱に弱く、発熱によって熱に弱い部分(例えば、無機分散型EL素子でいえば、蛍光体粉末を分散させているバインダー)の劣化が加速されるため、長時間発光させることができない。
この問題を解決するために、例えば特許文献1では、EL素子の背面部に熱伝導性の高いグラファイトシートを貼付することで、局所的な発熱を放熱、均熱化し、駆動寿命を改善する方法を開示しているが、グラファイトシートを貼り付けることのみでは均熱化は可能であるが、放熱性は高いとはいえない。
一方、特許文献2では、各種機器に取り付けられる放熱体に、珪酸ナトリウムおよび/または珪酸カリウムを含有する塗膜を形成させることで、放熱体の放熱効果を向上させる方法を開示している。
特開2003−59644号公報 特開2003−309383号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、発熱による劣化を抑制して高輝度で長時間発光させることが可能な新規な構造を有する無機分散型EL素子を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解消するべく鋭意検討した結果、印加電圧を高くすることや交流の周波数を上げることによって無機分散型EL素子を高輝度で発光させることができるが、無機分散型EL素子では、特に高輝度発光における発光効率が著しく低く、投入電力の大半が発熱で消費されてしまう、即ち高輝度発光時では素子の劣化が著しいことを知見した。
上記課題は、下記特定の構造を有する無機分散型EL素子によって
解決されるに至った。
(1)背面電極及び透明電極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を有する無機分散型エレクトロルミネッセンス素子であって、背面電極の発光層とは反対側の面に、熱放射率が0.8以上で、厚さ50μm〜1000μmのセラミックシートを有することを特徴とする無機分散型エレクトロルミネッセンス素子(第1の実施態様)。
(2)背面電極及び透明電極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を有する無機分散型エレクトロルミネッセンス素子であって、前記背面電極がグラファイトシートであることを特徴とする無機分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(3)前記背面電極がグラファイトシートであることを特徴とする上記(1)に記載の無機分散型エレクトロルミネッセンス素子(第2の実施態様)。
(4)前記背面電極の熱伝導率が200W/m・K以上であることを特徴とする上記(2)または(3)に記載の無機分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(5)前記透明電極が、透明導電膜部分と、金属及び/または合金の細線構造部分とを有してなる透明導電シートであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の無機分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(6)前記発光層内に含有される蛍光体粒子の平均サイズが0.1〜15μmであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の無機分散型エレクトロルミネッセンス素子。
本発明によれば、発熱を抑制して長時間高輝度で発光させることができる新規な構造を有する無機分散型EL素子を提供することができる。
第1の実施態様の無機分散型EL素子の一例であり、概略断面図である。 第1の実施態様の無機分散型EL素子の一例であり、防湿フィルムを有する無機分散型EL素子の概略断面図である。 第2の実施態様の無機分散型EL素子の一例であり、概略平面図である。 第2の実施態様の無機分散型EL素子の一例であり、概略断面図である。
符号の説明
1 背面電極
2 誘電体層
3 発光層
4 透明電極
5 供電部
6 防湿フィルム
7 発光部
10 セラミックシート
12a、12b リード片
13a、13b リード線
以下、本発明の無機分散型EL素子について以下に詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味として使用される。
(第1の実施態様)
本発明の無機分散型EL素子の第1の実施態様は、背面電極及び透明電極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を有する無機分散型エレクトロルミネッセンス素子において、背面電極の発光層とは反対側の面に、熱放射率が0.8以上で、厚さ50μm〜1000μmのセラミックシートを有することを特徴とする。
背面電極の発光層とは反対側の面に、熱放射率の高いセラミックシートを載設することによって、発生した熱を放射させ、無機分散型EL素子の長寿命化を達成することができる。
上記態様の無機分散型EL素子は、特に強い発熱を伴う高輝度発光させた場合、好ましくは輝度が300cd/m以上、より好ましくは500cd/m以上で発光させた場合に、特に顕著な放熱効果を奏する。
第1の実施態様の無機分散型EL素子について、図1及び図2を参照し、以下に説明する。
図1は、第1の実施態様の無機分散型EL素子の一例を示す概略断面図である。また、図2は、防湿フィルムで被覆した場合における第1の実施態様の無機分散型EL素子の一例を示す概略断面図である。
図1に示される無機分散型EL素子は、背面電極1上に、誘電体層2、発光層3および透明電極4がこの順に積層された発光部7を有する。発光部7において、透明電極4の発光層3に接する側の少なくとも1辺近傍には、導電性の供電部(パスライン)5が電気的に接続された状態で載設されている。さらに、背面電極1には、熱放射性に優れたセラミックシート10が載設されている。背面電極1および供電部5には、それぞれ交流電源に接続されるリード片12a、12bが設けられている。また、リード片12a、12bは、それぞれリード線13a、13bと電気的に接続されている。
また、発光部7または発光部7および供電部5を、外部環境からの湿度の影響を排除するよう防湿フィルム6で被覆してもよい。図2に、防湿フィルム6により発光部7の全体が被覆された第1の実施態様の無機分散型EL素子の一例を示す。図2に示される態様の無機分散型EL素子は、背面電極1上に、誘電体層2、発光層3および透明電極4がこの順に積層された発光部7を有する。発光部7において、透明電極4の発光層3に接する側の少なくとも1辺近傍には、導電性の供電部(パスライン)5が電気的に接続された状態で載設されている。さらに、背面電極1には、防湿フィルム6を挟んで、熱放射性に優れたセラミックシート10が載設されている。背面電極1および供電部5には、それぞれ交流電源に接続されるリード片12a、12bが設けられている。また、リード片12a、12bは、それぞれリード線13a、13bと電気的に接続されている。
[セラミックシート]
以下、本発明で用いられるセラミックシートについて、詳細に説明する。
本発明で使用されるセラミックシートは、基材上に珪酸ナトリウム及び/または珪酸カリウムを含有する塗膜を有する。
セラミックシートの厚さは50μm〜1000μmであり、好ましくは80μm〜800μm、より好ましくは100μm〜500μmである。シート厚みが50μm未満であると、熱放射率が低下してしまい、さらには脆くなって折り曲げ強度が低下してしまう。一方、1000μmを超えると、熱容量が大きくなることから、熱を放射しにくくなり、さらには折り曲げにくくなって可撓性とは言いがたい。
また、本発明のセラミックシートの熱放射率(JIS A 1423)は0.8以上であり、0.85以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。保熱性の観点から、熱放射率は高い程好ましい。
尚、熱放射とは、熱エネルギーの電磁波変換による熱放出のことであり、熱放射率とは、物体が熱を帯びている時に出す赤外線の強さを表す数値を、「理想黒体」を1.0(100%)にしたときの比率で表したものである。
基材としては、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリイミド、トリアセチルセルロース等の可撓性ポリマーのほか、住友3M製アクリルソフトテープ9894FR−10等の両面粘着テープ等が挙げられる。
珪酸ナトリウム及び/又は珪酸カリウムを含有する塗膜としては、特に、珪酸ナトリウム、珪酸カリウムの両者を混合使用したものが好ましい。塗膜には、ナトリウムやカリウム以外のアルカリ珪酸塩、例えば、珪酸リチウムも含有させることができる。この塗膜は、更に、金属酸化物を含有することができる。該金属酸化物として、酸化珪素、酸化アルミニウムが好ましい。また、塗膜は、更に酸化錫を含有することができる。酸化錫は、珪酸ナトリウム及び/又は珪酸カリウムの系に添加しても良いし、珪酸ナトリウム及び/又は珪酸カリウムの系に金属酸化物を添加し、更に酸化錫を加えても良い。塗膜に含有させる金属酸化物としては、珪酸アルミニウム(カオリン)、珪酸マグネシウム(タルク)、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化錫の他に、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、酸化硼素、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化ビスマス等を挙げることができる。
また、これらの金属化合物を含むカオリン、タルク等の天然鉱物も含有させることができることはいうまでもない。また、金属の窒化物を含有させることができる。金属窒化物として、具体的には、窒化硼素、窒化ジルコニウム、窒化錫、窒化ストロンチウム、窒化チタン、窒化バリウム等を挙げることができる。本発明における塗膜に含有させる上記金属酸化物、金属窒化物等は、微粉末の状態で使用するのがよい。微粉末にするには、ボールミル、ジェットミル等で粉砕するのがよい。
珪酸ナトリウムと珪酸カリウムを混合使用する場合、珪酸ナトリウムと珪酸カリウムの割合は重量比で、珪酸カリウム1に対して珪酸ナトリウム0.5〜7(固形分ベース)が好ましい。珪酸アルカリの塗膜中の含有量は、3〜30重量%が好ましい。また、金属酸化物の量的割合は、塗膜固形分中12〜92重量%が好ましい。酸化錫の塗膜中固形分に対する割合は、6〜45重量%が好ましい。
塗膜を形成するためのコーティング材は、基本成分として、珪酸ナトリウム及び/又は珪酸カリウムを含む。珪酸ナトリウム及び珪酸カリウムは、それぞれ水溶液の形態で入手できる。珪酸ナトリウムの水溶液は水ガラスとして知られるものである。珪酸ナトリウム、珪酸カリウムの水溶液は、水で希釈して使用して用いることができる。この珪酸ナトリウム及び/又は珪酸カリウムを含有する水溶液をコーティング材として、吹き付け、刷毛等による塗布又はスクリーン印刷等の方法で、基材上にコーティングする。コーティングした後は、大気中で風乾する。風乾後には基材の表面に塗膜が生成する。得られたセラミックシートは、優れた放熱性を示す。
また、塗膜を形成するコーティング材には、更に、酸化珪素や酸化アルミニウムの微粒子を添加することができる。この場合は、コーティング液は懸濁液となる。この懸濁液を同様にして基材上にコーティングして得られたセラミックシートは、顕著な放熱効果を示す。更に、酸化錫の微粉末を添加することができる。酸化錫を添加したコーティング材は、更に優れた放熱性を示す。コーティング液は適度の粘度にする必要があるので、添加物の種類や量に応じて適宜水を添加して液の粘度を調整するのがよい。
第一の実施態様における無機分散型EL素子は、背面電極の発光層を有する側とは反対面にセラミックシートを有する。なお、上記態様のEL素子は、放熱性の観点から、必ずしも防湿フィルムを必要としないが、図2に示される態様のように、発光部7の全体または発光部7および供電部5の全体を防湿フィルム6で被覆する場合には、防湿フィルム6を挟んで背面電極1に載設することができる。但し、放熱性の観点からは、背面電極に直接接するように載設することが好ましい。
セラミックシートの面積には特に制限はなく、素子設計上に制約がない限り、より大面積なものが放熱性の観点から好ましいが、面積が大き過ぎると無機分散型EL素子の軽量性、柔軟性、設置場所の自由度の観点では好ましくない。セラミックシートの面積は、無機分散型EL素子の発光部分の面積の0.7倍〜2倍であることが好ましく、0.9倍〜1.5倍であることがさらに好ましい。
無機分散型EL素子へのセラミックシートの載設方法は特に制限はなく、例えば、接着剤による装着、防湿フィルム6への埋め込み、樹脂による基板への塗り固め等の方法を挙げることができる。
セラミックシートは、放熱効果を高める目的で、これらを冷却する機構を備えていることも好ましい。具体的には、セラミックシートに冷却フィンを設置する方法や、ペルチェ素子等の電子冷却素子を設置する方法等が挙げられる。
[背面電極]
光を取りさない側の背面電極1は、導電性を有する任意の材料を用いて作製することができる。例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ベリリウム、コバルト、クロム、鉄、ゲルマニウム、イリジウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、モリブデン、ナトリウム、ニッケル、白金、珪素、錫、タンタル、タングステン、亜鉛等の金属、及びグラファイトシートなどの中から、作製する無機分散型EL素子の形態や作製工程の温度に応じて適宜選択して作製できる。その中でも、グラファイトシートを用いることが好ましい。グラファイトシートは、電気伝導性、熱伝導性に優れ、さらに一般的に背面電極として用いられる銅などの金属に比べて軽く、柔軟性があるため、電極材料として好適であるためである。本発明では、グラファイトシートを電極としてだけでなく、熱拡散、放熱シートとして作用させて用いることが好ましい。グラファイトシートを背面電極として用いることで、発光層における発熱が効果的に熱拡散および放熱され、高輝度かつ長時間の発光が可能となる。
ここで用いられるグラファイトシートとは、グラファイトを実質的に主成分とするシートであり、グラファイトシート中、炭素原子を好ましくは98.0質量%以上、より好ましくは99.0質量%以上、更に好ましくは99.5質量%以上含有するものである。
本発明で用いるグラファイトシートは、上記の中でも、特に電気伝導性および熱伝導性に優れた高配向性グラファイトシートであることが好ましい。以下、高配向性グラファイトシートの製法について記すが、これらに限定されるものではない。
高配向性グラファイトシートは、延伸した芳香族イミドフィルムを不活性ガス雰囲気で2600度で処理することにより得られる。フィルムを延伸することで、芳香族ユニットがフィルム面に平行に配向し、配向性グラファイトが得やすくなると考えられる。さらに別の製法として、炭素粉末と、フェノール樹脂との混合物を、所定形状になるよう加熱し加圧硬化することによっても高配向性グラファイトシートが得られる。ここでいう炭素粉末は、炭素を主成分とするものであれば適用可能で、例えばカーボンブラック、グラファイト、木炭粉等を挙げることができる。炭素粉末の形状は、特に限定されるものではないが、中でも球状の炭素粉末は、フェノール樹脂中に均一に分散し易く、素子を形成したときの信頼性が高く好ましい。フェノール樹脂としては、その合成条件によってノボラック型とレゾール型が知られているが、本発明はいずれも適用可能である。
さらに、グラファイトシートの電気伝導度は高いほど好ましく、1000S/cm以上であることが好ましく、5000S/cm以上であることがより好ましい。
無機分散型EL素子における発熱による温度上昇を抑制する観点では、グラファイトシートの熱伝導率は高いことが好ましく、具体的には200W/m・K以上であることが好ましく、より好ましくは300W/m・K以上、更に好ましくは400W/m・K以上である。
また、グラファイトシートの厚みは、50μm〜5nmであることが好ましく、80μm〜3nmがより好ましく、100μm〜1nmがさらに好ましい。
[発光層]
以下、発光層について説明する。
発光部7に含まれる発光層3は、EL蛍光体粒子を分散含有して形成された層である。本発明で用いるEL蛍光体粒子は、平均球相当径が0.1〜15μmであることが好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。平均平均球相当径を上記サイズとすることで、高輝度発光可能な素子を得ることができる。また球相当径の変動係数は、30%以下であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましい。
なお、ここにいう「球相当径」とは、EL蛍光体粒子サイズをそれと体積が等しい球に換算したときの球の直径を意味する。
EL蛍光体粒子の調製方法としては、焼成法、尿素溶融法、噴霧熱分解法または水熱合成法(Hydrothermal method)を好ましく用いることができる。調製されたEL蛍光体粒子は多重双晶構造を有することが好ましい。例えば、EL蛍光体粒子が硫化亜鉛である場合には、多重双晶(積層欠陥構造)の面間隔は1〜10nmであることが好ましく、2〜5nmであることがさらに好ましい。
本発明で用いるEL蛍光体粒子は、当業界で広く用いられている焼成法(固相法)により調製できる。例えば、硫化亜鉛の場合、液相法で10〜50nmの粒子粉末(通常生粉と呼ぶ)を作製し、これを一次粒子として用い、これに付活剤と呼ばれる不純物を混入させて融剤とともに坩堝にて900〜1300℃の高温で30分〜10時間、第1の焼成を行い、中間蛍光粉末を得る。次いで、得られた中間蛍光体粉末をイオン交換水で繰り返し洗浄し、アルカリ金属またはアルカリ土類金属および過剰の付活剤、共付活剤を除去する。次いで、得られた中間体蛍光体粉末に第2の焼成を行う。第2の焼成は、第1の焼成より低温の500〜800℃で行い、かつ焼成時間は30分〜12時間と短時間の加熱(アニーリング)を行う。
第1および第2の焼成により中間蛍光体粒子内には多くの積層欠陥が発生するが、粒子サイズをより小さく、かつより多くの積層欠陥を粒子内に含むように第1の焼成および第2の焼成の条件を適宜選択することが好ましい。
また第1の焼成物にある範囲の大きさの衝撃力を加えることにより、粒子を破壊することなく、積層欠陥の密度を大幅に増加させることもできる。衝撃力を加える方法としては、中間蛍光粒子同士を接触混合させる方法、アルミナ等の球体を混ぜて混合させる(ボールミル)方法、中間蛍光体粒子を加速させ衝突させる方法、超音波を照射する方法などを好ましく用いることができる。
上記方法により、本発明では5nm以下の積層欠陥密度を有する積層欠陥を10層以上有する粒子を形成することができる。その頻度の評価法としては、粒子を乳鉢で磨り潰し、ほぼ0.2μm以下の厚みの砕片に砕いたものを加速電圧200KVの電子顕微鏡で観察した際に、5nm以下の積層欠陥を10層以上含む破片粒子の頻度で評価できる。なお、粒径が0.2μm未満である場合には、前記破砕は不要である。
本発明の素子をより高輝度発光させるためには、上記頻度が50%を超えるものが好ましく、70%を超えるものがさらに好ましい。頻度は高いほどよく、間隔は狭いほどよい。
その後、前記中間蛍光体粒子を、HCl等の酸でエッチングして表面に付着している金属酸化物を除去し、さらに表面に付着した硫化銅をKCN溶液で洗浄して除去する。続いて該中間蛍光体を乾燥してEL蛍光体粒子を得る。
硫化亜鉛の場合などは、蛍光体結晶中に多重双晶構造を導入するため、蛍光体の粒子形成方法として水熱合成法を用いることが好ましい。水熱合成系では、粒子は、よく攪拌された水溶媒に分散されており、かつ粒子成長を起こす亜鉛イオンおよび/または硫黄イオンは、反応容器外から水溶液で制御された流量で、決められた時間添加される。したがって、この系では粒子は水溶媒中で自由に動くことができ、かつ添加されたイオンは水中を拡散して粒子成長を均一に起こすことができる。このため、水熱合成法によれば、粒子内部における付活剤または共付活剤の濃度分布を変化させることができ、焼成法では得られない粒子を得ることができる。また粒径分布の調整において、核形成過程と成長過程を明確に分離でき、かつ粒子成長中の過飽和度を自由に制御することにより粒径分布を調整可能で、粒径分布の狭い単分散の硫化亜鉛粒子を得ることができる。核形成過程と成長過程の間に、オストワルド熟成工程を入れることが粒径の調整および多重双晶構造の実現のために好ましい。
例えば、硫化亜鉛結晶は、水における溶解度が非常に低く、これは水溶液中においてイオン反応により粒子を成長させる場合に非常に不利となる。硫化亜鉛結晶の水での溶解度は、温度上昇に伴い上昇するが、375℃以上では水は超臨界状態となってイオンの溶解度は激減する。したがって、粒子調製温度は100〜375℃であることが好ましく、200〜375℃であることがさらに好ましい。粒径調整にかける時間は好ましくは100時間以内であり、さらに好ましくは5分〜12時間である。
硫化亜鉛の水に対する溶解度を増加させる他の方法として、本発明ではキレート剤を用いることが好ましい。Znイオンのキレート剤としては、アミノ基、カルボキシル基を有するものが好ましく、具体的には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−2−ヒドロオキシエチルエチレンジアミン三酢酸(EDTA−OH)、ジエチレントリアミン五酢酸、2−アミノエチルエチレングリコール四酢酸、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸、ニトリロ三酢酸、2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、2−ヒドロキシエチルグリシン、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリアミノトリエチルアミン、アリルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
また、構成元素の先駆体を用いず、構成する金属イオンとカルゴゲンアニオンを直接の沈殿反応による場合には、両者の溶液の急速混合が必要で、ダブルジェット式の混合器を用いるのが好ましい。
また、本発明で用いる蛍光体粒子の調製方法として、尿素溶融法を用いることが好ましい。尿素溶融法は、蛍光体粒子を合成する媒体として溶融した尿素を用いる方法である。尿素を融点以上の温度で維持して溶融状態にした液中に、蛍光体母体や付活剤を形成する元素を含む物質を溶解する。必要に応じて、反応剤を添加する。例えば、硫化物蛍光体を合成する場合は、硫酸アンモニウム、チオ尿素、チオアセトアミド等の硫黄源を添加して沈殿反応を起こさせる。その融液を450℃程度まで徐々に昇温すると、蛍光体粒子や蛍光体中間体が、尿素由来の樹脂中に均一に分散した固体が得られる。この固体を微粉砕した後、電気炉中で樹脂を熱分解させながら焼成する。焼成雰囲気として、不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、アンモニア雰囲気、真空雰囲気を選択することで、酸化物、硫化物、窒化物を母体とした蛍光体粒子が合成できる。
また、本発明で用いる蛍光体の調製方法として、噴霧熱分解法を用いることも好ましい。噴霧熱分解法により、霧化器を用いて蛍光体の前駆体溶液を微小液滴化し、液滴内での凝縮や化学反応または液滴周囲の雰囲気ガスとの化学反応により、蛍光体粒子または蛍光体中間生成物を合成できる。液滴化の条件を好適にすることで、微粒子化、微量不純物の均一化、球形化、狭粒子サイズ分布化した粒子が得られる。微小液滴を生成する霧化器としては、2流体ノズル、超音波霧化器、静電霧化器を用いることが好ましい。霧化器によって生成した微小液滴を、キャリアガスで電気炉などに導入し、加熱することで、脱水・縮合し、さらに液滴内物質同士の化学反応や焼結、または雰囲気ガスとの化学反応により目的とする蛍光体粒子または蛍光体中間生成物を得る。得られた粒子を、必要に応じて追加焼成する。
例えば、硫化亜鉛蛍光体を合成する場合、硝酸亜鉛とチオ尿素の混合溶液を霧化し、800℃程度の温度において、不活性ガス(例えば窒素)中で熱分解し、球形の硫化亜鉛蛍光体を得る。出発の混合溶液中に、Mn、Cuおよび希土類などの微量不純物を溶解させておけば、発光中心をとして作用する。また、硝酸イットリウムと硝酸ユーロピウムの混合溶液を出発溶液として、1000℃程度で、酸素雰囲気中で熱分解して、ユーロピウムで付活された酸化イットリウム蛍光体を得る。液滴中の成分は、すべてが溶解している必要はなく、二酸化珪素の超微粒子を含有させてもよい。亜鉛溶液と二酸化珪素の超微粒子を含んだ微小液滴の熱分解で、珪酸亜鉛蛍光体の粒子が得られる。
また、本発明で用いる蛍光体粒子の調製方法として、レーザー・アブレーション法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリングや抵抗加熱、電子ビーム法、流動油面蒸着を組み合わせた方法などの気相法と、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法なども用いることができる。これらの方法において、粒子の調製条件を制御することで、本発明に好ましい0.1〜15μmの大きさの蛍光体粒子を得ることができる。
蛍光体粒子は、特許第2756044号公報や米国特許6458512号明細書に記載されているように、0.01μm以上の金属酸化物や金属窒化物で構成される非発光シェル層で被覆することにより良好な防水性と耐水性を付与できる。またWO02/080626号公報に記載されているように、発光中心を含むコア部と非発光のシェル部からなる2重構造化することにより光取り出し効率を高める技術を好ましく用いることができる。
本発明で用いられる蛍光体粒子は、粒子の表面に非発光シェル層を有することがより好ましい。この非発光シェル層は、EL蛍光体粒子のコアとなる半導体微粒子の調製に引き続いて化学的な方法を用いて0.01μm以上、好ましくは0.01〜1.0μmの厚みで形成することが望ましい。
非発光シェル層は、酸化物、窒化物、酸窒化物や、母体蛍光体粒子上に形成した同一組成で発光中心を含有しない物質から作製できる。また、母体蛍光体粒子材料上にエピタキシャルに成長させた、異なる組成の物質から作製できる。
非発光シェル層の形成方法として、レーザー・アブレーション法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリングや抵抗加熱、電子ビーム法などと流動油面蒸着を組み合わせた方法などの気相法と、複分解法、ゾルゲル法、超音波化学法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、水熱合成法、尿素溶融法、凍結乾燥法などの液相法や噴霧熱分解法なども用いることができる。特に、蛍光体の粒子形成で好適に用いられる、水熱合成法、尿素溶融法や噴霧熱分解法は、非発光シェル層の合成にも適している。
例えば、水熱合成法を用いて硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層を形成する場合には、溶媒中にコア粒子となる硫化亜鉛蛍光体を添加し、懸濁させる。粒子形成の場合と同様に、非発光シェル層材料となる金属イオンと、必要に応じてアニオンを含む溶液を反応容器外から、制御された流量で、決められた時間で添加する。反応容器内を十分に撹拌することで、粒子は溶媒中を自由に動くことができ、かつ添加されたイオンは溶媒中を拡散して粒子成長を均一に起こすことができるため、コア粒子の表面に非発光シェル層を均一に形成することができる。この粒子を必要に応じて焼成することで、非発光シェル層を表面に有する硫化亜鉛蛍光体粒子が合成できる。
また、尿素溶融法を用いて硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層を形成する場合、非発光シェル層材料となる金属塩が溶解、溶融した尿素溶液中に、硫化亜鉛蛍光体粒子を添加する。硫化亜鉛は尿素に溶解しないため、粒子形成の場合と同様に溶液を昇温し、尿素由来の樹脂中に硫化亜鉛蛍光体と非発光シェル層材料が均一に分散した固体を得る。この固体を微粉砕した後、電気炉中で樹脂を熱分解させながら焼成する。焼成雰囲気として、不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、アンモニア雰囲気、真空雰囲気を選択することで、酸化物、硫化物、窒化物からなる非発光シェル層を表面に有する硫化亜鉛蛍光体粒子が合成できる。
また、噴霧熱分解法を用いて硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層を形成する場合には、非発光シェル層材料となる金属塩が溶解した溶液中に、硫化亜鉛蛍光体を添加する。この溶液を霧化し、熱分解することで、硫化亜鉛蛍光体粒子の表面に非発光シェル層が生成する。熱分解の雰囲気や追加焼成の雰囲気を選択することで、酸化物、硫化物、窒化物からなる非発光シェル層を表面に有する硫化亜鉛蛍光体粒子が合成できる。
本発明で好ましく用いるEL蛍光体粒子の母体材料としては、具体的には第II族元素と第VI族元素とからなる群から選ばれる元素の1つまたは複数と、第III族元素と第V族元素とからなる群から選ばれる1つまたは複数の元素とからなる半導体の微粒子であり、必要な発光波長領域により任意に選択される。例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CaS、MgS、SrS、GaP、GaAs、およびそれらの混晶などが挙げられるが、ZnS、CdS、CaSなどを好ましく用いることができる。
さらに、EL蛍光体粒子の母体材料としては、BaAl、CaGa、Ga、ZnSiO、ZnGaO、ZnGa、ZnGeO、ZnGeO、ZnAl、CaGa、CaGeO、CaGe、CaO、Ga、GeO、SrAl、SrGa、SrP、MgGa、MgGeO、MgGeO、BaAl、GaGe、BeGa、YSiO、YGeO、YGe、YGeO、Y、YS、SnOおよびそれらの混晶などを好ましく用いることができる。
また、本発明で用いるEL蛍光体粒子の付活剤としては、銅、マンガン、銀、金および希土類元素から選択された少なくとも一種のイオンを好ましく用いることができる。また共付活剤としては、塩素、臭素、ヨウ素およびアルミニウムから選択された少なくとも一種のイオンを好ましく用いることができる。
また、発光中心としては、MnやCrなどの金属イオンおよび希土類を好ましく用いることができる。
上記のEL蛍光体粒子の母体材料、付活剤および発光中心を適宜選択し、複数の蛍光体粒子を用いることにより、染料や蛍光染料を用いなくても、色度図上0.3<x<0.4、0.3<y<0.4の範囲の白色発光を実質的に得ることができる。
発光層3は、上述した蛍光体粒子を分散剤中に分散させることにより形成することができる。発光層3で蛍光体粒子を分散するために用いられる分散剤としては、例えば、シアノエチルセルロース系樹脂のような比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂にBaTiOやSrTiOなどの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。分散剤の分散方法としては、ホモジナイザー、遊星型混練機、ロール混練機、超音波分散機などを用いることができる。高輝度発光させるには、発光層における粒子と分散剤との重量比は、5.0〜20であることが好ましい。
高輝度を得るためには、発光層3の厚みは薄いことが好ましく、1〜60μmであることが好ましく、3〜50μmであることがさらに好ましい。また、発光層3は、後述する背面電極1と透明電極4の間の距離のバラツキを中心線平均粗さRaとして見たとき、発光層3の表面は、発光層3の厚みdに対して(d×1/8)以下の平滑性を有していることが好ましい。
[誘電体層]
本発明における無機分散型EL素子は、無機誘電体物質を含有する誘電体層2を必要に応じて発光層3に隣接させて形成することができる。無機誘電体物質は、誘電率および絶縁性が高く、かつ高い誘電破壊電圧を有する材料であれば任意のものが用いられる。無機誘電体物質は、各種の金属酸化物および窒化物を用いることができ、例えば、SiO、TiO、BaTiO、SrTiO、PbTiO、KNbO、PbNbO、Ta、BaTa、LiTaO、Y、Al、ZrO、AlON、ZnSなどを用いることができる。これらは単独でまたは組み合わせて用いることができる。誘電体層2は、均一な膜として形成されてもよいし、また粒子構造を有する膜として形成されてもよい。さらに、誘電体層2は単層であっても異なる絶縁層を積層させたものであってもよい。
誘電体層2は、薄膜結晶層構造および粒子形状構造のいずれの構造でもよく、さらにそれらの組合せた構造であってもよい。また誘電体層2は、図2のように発光層3の片面側だけに設けられていてもよいが、高輝度を得る観点からは発光層3の両面に設けることが好ましい。誘電体層2が薄膜結晶層構造を有する場合、基板にスパッタリング等の気相法で薄膜化させたものでも、BaやSrなどのアルコキサイドを用いたゾルゲル膜であってもよい。また、誘電体層2が粒子形状構造を有する場合、誘電体物質のサイズは、蛍光体粒子サイズと比較して十分小さいサイズであることが好ましい。具体的には、誘電体物質の粒子は、蛍光体粒子の平均粒子サイズの1/3〜1/1000のサイズであることが好ましい。
本発明の無機分散型EL素子は、少なくとも一方が透明な、対向する一対の電極で狭持した蛍光体物質を含む発光層を有する構成を有する。そのため前述の発光層3と誘電体層2との合計の厚み(以下「素子厚み」ともいう)は、EL蛍光体粒子の平均球相当径以上のサイズであるが、素子の平滑性を確保するためには、EL蛍光体粒子の平均球相当径に対して素子厚みが1.1〜10倍であることが好ましく、2〜10倍であることがより好ましく、3〜5倍であることがさらに好ましい。
また、粒子の上部の一部を覆うように、すなわち発光層3の一部に、誘電体層2が一部乗り入れるように塗設することにより接触点を増加させ、あるいは素子表面の平滑性を改善するなどの効果が現れるため好ましい。
誘電体層2に含有される誘電体物質と発光層3に含有される蛍光体粒子とは、誘電体物質と蛍光体粒子とが直接接触することもできるが、誘電体物質は、非発光シェル層で完全に被覆または部分的に被覆された状態の蛍光体粒子と接触することが好ましい。また、誘電体物質と蛍光体物質との接触は、単に接触させるだけでもよいが、蛍光体粒子の上部を完全にまたは一部を覆うように、すなわち発光層3の全体に誘電体層2が覆うように接触させるか、あるいは発光層3に誘電体層2が一部乗り入れるように接触させた状態で塗設して接触させることは、接触点を増加させ、また素子表面の平滑性を改良するなどの効果を発現できる観点から好ましい。
誘電体層2および発光層3は、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、またはスプレー塗布法などを用いて塗布して形成されることが好ましい。特に、スクリーン印刷法のような印刷面を選ばない方法やスライドコート法のような連続塗布が可能な方法を用いることが好ましい。例えば、スクリーン印刷法は、蛍光体や誘電体の微粒子を高誘電率のポリマー溶液に分散した分散液を、スクリーンメッシュを通して塗布する。スクリーンメッシュの厚さ、開口率、塗布回数を適宜選択することにより膜厚を制御できる。分散液を調整することにより誘電体層2や発光層3のみならず、背面電極1なども形成でき、さらにスクリーンメッシュの大きさを変えることで大面積化が容易である。また、誘電体層2の調製法はスパッター法、真空蒸着法等の気相法であってもよい。また、発光層3の一部に誘電体層2が一部乗り入れるように塗設することにより発光体粒子と誘電体物質の接触点を増加させることができ、さらにEL素子の平滑性を改良するなどの効果を得ることができるため好ましい。
[透明電極]
透明電極4は、一般的に用いられる任意の透明電極材料で形成することができる。そのような透明電極材料としては、例えば、錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫、錫ドープインジウム(ITO)などの酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどのπ共役系高分子などが挙げられる。透明電極は、ポリエチレンテレフタラート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等の透明シートからなる基材上に、上記透明電極材料から形成される透明導電膜を設けることによって形成することができる。
透明電極4として好ましく用いられる透明導電性シートの抵抗値は、発光面における輝度の均一性の観点では、表面抵抗率が0.05〜50Ω/□であることが好ましく、0.1〜30Ω/□であることがさらに好ましい。
透明電極4の調製法はスパッター法および真空蒸着等の気相法のいずれであってもよい。しかし、これらの単独では十分に低抵抗化できない場合がある。その場合には、例えば櫛型あるいはグリッド型等の網目状の金属および/または合金の細線を配置して通電性を改善することが好ましい。
金属や合金の細線としては、銅や銀、アルミニウムが好ましいが、目的によっては透明導電膜の形成で使用される上記透明電極材料を用いてもよく、電気伝導性と熱伝導性が高い材料であることが好ましい。この金属および/または合金の細線の太さは任意であるが、0.1μm〜100μmの間が好ましい。細線は50μm〜1000μmの間隔のピッチで配置されていることが好ましく、100μm〜500μmピッチであることが特に好ましい。金属および/または合金の細線を配置することで光の透過率が減少するが、減少を出来るだけ小さく抑えることが重要であり、細線の間隔を狭くしすぎたり、細線幅や高さを大きく取りすぎたりすることなく、90%以上100%未満の透過率を確保することが重要である。
好ましい細線の形状は、正方形網目状、長方形網目状、又は、ひし形網目状が挙げられる。細線の幅は目的に応じて決めればよいが、典型的には、細線間隔の1/10000以上、1/10以下が好ましい。
細線の高さも同様であるが、細線の幅に対して1/100以上10倍以下の範囲が好ましく用いられる。
透明導電膜部分と、金属および/または合金の細線構造部とを有する透明電極の形成方法としては、細線を透明導電性シートに貼り合わせてもよいし、シート上に形成した網目状細線上にITO等の透明電極材料を塗布、蒸着しても良い。
[供電部]
供電部5は、透明電極4と電気的に接続された導電性のバスラインであり、例えば、図1及び図2に示されるように発光層3と透明電極4との間であって、発光層3の少なくとも一辺近傍上に載設することができる。また、供電部5は、透明電極4の少なくとも一辺近傍上に載設することもできる。供電部5は、例えば、銀ペースト、カーボンペーストのような導体ペーストの印刷層で形成することができる。また、金、銀、銅、アルミニウム、ベリリウム、コバルト、クロム、鉄、ゲルマニウム、イリジウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、モリブデン、ナトリウム、ニッケル、白金、珪素、錫、タンタル、タングステン、亜鉛、グラファイトシート等の金属並びにこれらの合金および無機物等によって形成することもできる。図1及び図2に示される態様のように、供電部を載設する場合には、後述するリード片12aと供電部5とを一体化して作製することもできる。
一方、背面電極1にも供電部を載設してもよく、背面電極1と誘電体層2の間の背面電極1の少なくとも一辺近傍上に載設できる。
なお、本明細書における「辺近傍に載設する」とは、素子の各辺に完全に一致させて載設する場合はもちろん、素子辺長の1/100〜1/10程度、素子辺から素子の中心側の位置に載設する場合も含まれる。
供電部5の長手方向および幅方向の長さは、設計される無機分散型EL素子の大きさに合わせて適宜決定することができる。例えば、図2に示される態様の無機分散型EL素子の場合、供電部5の長手方向の長さは、供電部5の長手方向の素子辺長と略同一の長さであることができる。
[防湿フィルム]
実施態様1の無機分散型EL素子は、図2の態様のように、発光部7または発光部7および供電部5は、外部環境からの湿度の影響を排除するよう防湿フィルム6で被覆することができる。発光部7自体が湿度に対して十分な遮蔽性を有する場合には、形成した発光部7または発光部7および供電部5の上方に遮蔽性のシートを重ね、周囲をエポキシ等の硬化材料を用いて封止する。このような遮蔽性のシートは、金属およびプラスチックフイルム等の中から目的に応じて選択される。
防湿フィルム6は、軽量性、柔軟性、設置場所の自由度の観点では、例えば樹脂製フィルムのような軽量で柔軟性が高い材料で作製することが好ましい。また防湿フィルム6は、ポリクロロトリフルオロエチレンフィルムのような水湿透過率の小さい透明フィルムを用いることができる。防湿フィルム6は、発光部7または発光部7および供電部5の全体を2枚のシート間に挟み込み、熱とロール圧力をかけてシートのはみ出し部をシールすることにより、発光部7または発光部7および供電部5を封止することができる。
防湿フィルム6により発光部7または発光部7および供電部5を封止する場合、経時による発光部7の吸湿を防止するため、透明電極4と防湿フィルム6との間に、これらと一体的に吸湿層(図示せず)を設けることが好ましい。吸湿層は、例えば6−ナイロンフィルム等のように吸湿性のフィルムを用いることができる。
[リード片およびリード線]
第1の実施態様の無機分散型EL素子では、背面電極1および透明電極4に交流電界を印加する目的で、背面電極1および透明電極4に対して電気的に接続したリード線13aおよび13bが配設される。リード線13aおよび13bは、それぞれリード片12aおよび12bを介して背面電極1および透明電極4と電気的に接続されている。但し、透明電極4と発光層3との間に供電部5を有する場合には、リード片12aと供電部5とを電気的に接続する。無機分散型EL素子の高輝度発光の観点では、リード片(12a、12b)およびリード線(13a、13b)の電気伝導性が高いことが好ましい。さらに、電気伝導性の観点からは、リード片とリード線(12aと13a、12bと13b)、リード片12aと透明電極4または供電部5、リード片12bと背面電極1とをそれぞれ一体に作製することが好ましい。
具体的には、例えばグラファイトシートからなる本発明の背面電極1とリード片12bとを一体に作製する場合、グラファイトシートを型抜きして、リード片部分を有する背面電極を作製し、これを用いることで、背面電極とリード片を一体化させることができる。
放熱性の観点からは、リード片12aおよび12bの熱伝導率が高いことが好ましい。具体的には、リード片の熱伝導率は100W/m・K以上であることが好ましく、200W/m・K以上であることが更に好ましい。
好ましい材料としては金、銀、銅、アルミニウム、ベリリウム、イリジウム、カリウム、マグネシウム、モリブデン、ナトリウム、珪素、タングステン、亜鉛、グラファイトシート等から選ばれる金属並びにこれらの合金および無機物等を挙げることができ、更に好ましい材料としては金、銀、銅、アルミニウム、ベリリウム、グラファイトシート等の金属並びにこれらの合金および無機物などが挙げられる。
特に、リード片12bの背面電極1への取り付け部分、およびリード片12aの透明電極4または供電部5への取り付け部分における熱伝導性を高める観点では、透明電極4上に供電部5を載設することが好ましい。
より熱伝導性を高める観点では、透明電極4に載設された供電部5とリード片12a、および背面電極1とリード片12bとが、それぞれ一体化して作製されていることがより好ましい。これらとリード線13aおよび13bとが一体に作製されていることがさらに好ましい。
[製造方法]
次に、第1の実施態様のEL素子の製造方法について説明する。
第1の実施態様のEL素子は、透明電極4と背面電極1の間に発光層3を有する発光部7を形成する工程によって製造することができ、図1に示される態様とする場合には、前記工程に加えて、透明電極4上に供電部5を載設する工程と、背面電極1にリード片12bを載設する工程と、透明電極4または供電部5にリード片12aを載設する工程と、リード片12a、12bにリード線13a、13bを電気的に接続する工程と、背面電極1にセラミックシート10を載設する工程とを有する製造方法によって製造することができる。
なお、図2の態様のように、発光部7の全体または発光部7および供電部5の全体を防湿フィルム6で被覆する工程を有していてもよく、その場合には、被覆後に防湿フィルム6の上から背面電極1にセラミックシート10を貼付けてもよいが、放熱性の観点から背面電極1にセラミックシート10を直接貼り合わせてから防湿フィルム6で被覆することが好ましい。
発光部7を形成する工程では、背面電極1上に、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、またはスプレー塗布法などを用いて所望の形状に誘電体層2および発光層3を積層した後、供電部5を載設した透明電極4を積層することにより作製することができる。
リード片12aを載設する工程では、発光部7または発光部7および供電部5に、リード片12aを、透明電極4または供電部5と電気的に接続された状態で取り付ける。
リード線13aを載設する工程では、これとリード片12aとが電気的に接続された状態で取り付ける。リード片12aは供電部5と一体に作製されていることが好ましく、これらとリード線13aとが一体であることがさらに好ましい。
さらに、防湿フィルム6で、発光部7または発光部7および供電部5を被覆する場合には、リード片12bを背面電極1と電気的に接続された状態で防湿フィルム6により、発光部7または発光部7および供電部5全体を被覆できる。
リード線13bを載設する工程では、これとリード片12bとが電気的に接続された状態で取り付ける。リード片12bは背面電極1と一体に作製されていることが好ましく、これらとリード線13bとが一体であることがさらに好ましい。
(第2の実施態様)
本発明における第2の実施態様の無機分散型EL素子は、背面電極及び透明電極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を有する無機分散型エレクトロルミネッセンス素子において、前記背面電極がグラファイトシートであることを特徴とする。
グラファイトシートは、電極として作用するだけではなく、熱拡散、放熱シートとしても作用するものである。
第2の実施態様の無機分散型EL素子は、特に強い発熱を伴う高輝度発光させた場合、好ましくは輝度が100cd/m以上、より好ましくは300cd/m以上で発光させた場合に、特に顕著な熱拡散および放熱効果を奏する。
図3及び図4に、防湿フィルム6により発光部7の全体が被覆されている第2の実施態様の無機分散型EL素子の一例を示す(図3は概略平面図、図4は概略断面図である)。図3及び図4に示される態様の無機分散型EL素子は、背面電極1上に、誘電体層2、発光層3および透明電極4がこの順に積層された発光部7を有する。発光部7において、透明電極4の発光層3に接する側の少なくとも1辺近傍には、導電性の供電部(パスライン)5が電気的に接続された状態で載設されている。背面電極1および供電部5には、それぞれ交流電源に接続されるリード片12a、12bが設けられている。また、リード片12a、12bは、それぞれリード線13a、13bと電気的に接続されている。
第2の実施態様において背面電極として用いられるグラファイトシートとしては、第1の実施態様において説明したグラファイトシートを用いることができる。また、発光層、背面電極、透明電極等のその他の部材も第1の実施態様において説明したものを用いることができる。
[製造方法]
次に、第2の実施態様の無機分散型EL表示素子の製造方法について説明する。
第2の実施態様のEL表示素子は、透明電極1と背面電極4の間に発光層3を有する発光部7を形成する工程と、透明電極4上に供電部5を載設する工程と、背面電極1にリード片12bを載設する工程と、透明電極4または供電部5にリード片12aを載設する工程と、リード片12a、12bにリード線13a、13bを電気的に接続する工程と、発光部7の全体または発光部7および供電部5の全体を防湿フィルム6で被覆する工程とを有することにより製造することができる。
発光部7を形成する工程では、背面電極1上に、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、またはスプレー塗布法などを用いて所望の形状に誘電体層2および発光層3を積層した後、供電部5を載設した透明電極4を積層することにより作製することができる。
リード片12aを載設する工程では、発光部7または発光部7および供電部5に、リード片12aを、透明電極4または供電部5と電気的に接続された状態で取り付ける。リード線13aを載設する工程では、これとリード片12aとが電気的に接続された状態で取り付ける。リード片12aは供電部5と一体に作製されていることが好ましく、これらとリード線13aとが一体であることがさらに好ましい。リード片12bは背面電極1と電気的に接続された状態で取り付けられた状態で、防湿フィルム6により、発光部7または発光部7および供電部5全体を被覆できる。リード線13bを載設する工程では、これとリード片12bとが電気的に接続された状態で取り付ける。リード片12bは背面電極1と一体に作製されていることが好ましく、これらとリード線13bとが一体であることがさらに好ましい。
[用途]
本発明で用いられる無機分散型EL素子の発光色は、光源としての用途を考えると、白色であることが好ましい。発光色を白色とする具体的な方法としては、例えば、銅とのマンガンが賦活され、焼成後に徐冷されたZnS蛍光体のように単独で白色発光する蛍光体粒子を用いる方法や、3原色または補色関係に発光する複数の蛍光体を混合する方法(例えば、青色−緑色−赤色の組み合わせや、青緑色−オレンジ色の組み合わせなど)を用いることが好ましい。また、特開平7−166161号公報、特開平9−245511号公報、特開2002−62530号公報に記載の青色のように短い波長で発光させて、蛍光顔料や蛍光染料を用いて発光の一部を緑色や赤色に波長変換(発光)させて白色化する方法を用いることも好ましい。さらに、CIE色度座標(x,y)は、x値が0.30〜0.40の範囲で、かつy値が0.30〜0.40の範囲であることが好ましい。
通常、無機分散型EL素子は交流で駆動され、典型的には100Vで50〜400Hzの交流電源を用いて駆動される。無機分散型EL素子の面積が小さい場合には、輝度は印加電圧および周波数にほぼ比例して増加する。しかし、0.25m以上の大面積な無機分散型EL素子の場合、無機分散型EL素子の容量成分が増大し、無機分散型EL素子と電源のインピーダンスマッチングとの間にずれが生じたり、素子への蓄電荷に必要な時定数が大きくなったりする。そのため、大面積の無機分散型EL素子では、高電圧化、特に高周波化しても電力供給が不十分になる場合がある。特に0.25m以上の大面積の無機分散型EL素子では、500Hz以上の交流駆動に対しては、しばしば駆動周波数の増大に対して印加電圧の低下がおこり、低輝度化が起こることがしばしば起こる。
これに対し、本発明の無機分散型EL素子は発熱による素子の劣化を抑制できるため、0.25m以上のサイズでも通常より高い周波数の駆動、好ましくは500Hz〜5KHzでの駆動、さらに好ましくは800Hz〜4KHzでの駆動が可能であり、高輝度を得ることができる。
本発明の無機分散型EL素子は、例えば、インクジェット記録方法で画像記録されたインクジェット記録用バックライトディスプレイ用フィルムのバックライトとして利用することができる。
また、本発明の無機分散型EL素子は、例えば、最大濃度が1.5以上ある高画質な透過プリント画像のバックライトとしても利用することができ、高画質な大面積広告等を実現することができる。
以下に本発明の無機分散型EL素子の具体的な実施例を記載するが、本発明はこの実施例に制限されるものではない。
(第1の実施態様)
<実施例1−1>
平均粒径25μmの蛍光体粒子(ZnS;Cu,Cl)と平均粒径が4μmである赤色顔料(シンロイヒFA−001、シンロイヒ社製)とを30質量%のシアノエチルセルロース溶液に分散して、発光層用ペーストとした。また30質量%のシアノエチルセルロース溶液に平均粒径0.2μmのチタン酸バリウム粉末を均一に分散し、誘電体ペーストとした。
上記誘電体ペーストをアルミシート(厚み75μm、熱放射率0.04、熱伝導率180W/m・K)上に、乾燥後の膜厚が35μmになるように塗布し、温風乾燥機にて110℃で4時間乾燥させた。さらにこの上に上記発光層用ペーストを乾燥後の膜厚が35μmになるように塗布し、温風乾燥機にて110℃で6時間乾燥させた。
次に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート上にITOをスパッターにより100nmの厚さに均一に付着したシートを透明電極として用い、該シートの導電面側に給電線として銀ペーストをスクリーン印刷法により印刷、乾燥し、銅アルミシートからなるリード片よりなるリード電極を取り付けた。
さらに、上記アルミシートの塗布面とは反対側に、銅アルミシートからなるリード片よりなるリード電極を取り付け、その後、上記アルミシートの塗布面と上記透明導電シートの導電面とを貼りあわせて熱圧着した。さらに、アルミシートの塗布面とは反対側に、セラミックシート(「まず貼る一番」セラミッション製、熱放射率;0.96、シート厚み300μm)を貼付した。なお、素子の発光面の大きさが500mm×500mmとなるようにした。
<実施例1−2>
上記アルミシートの替わりにグラファイトシート(「PGSグラファイトシート」松下電子部品製、熱伝導率;800W/m・K)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様に行った。
<実施例1−3>
厚さ100ミクロンのポリエチレンテレフタレート上に、真空蒸着法により、幅5ミクロン、高さ2.5ミクロンの銅の細線を間隔1mmで正方形になるように蒸着し、さらにその上にITOをスパッターにより30nmの厚さに均一に付着したシートを透明電極として用いたこと以外、実施例1−1と同様に行った。
<実施例1−4>
平均粒径10μmの蛍光体粒子(ZnS;Cu,Cl)を用い、発光層用ペーストを作製したこと以外、実施例1−1と同様に行った。
<実施例1−5>
厚さ100ミクロンのポリエチレンテレフタレート上に、真空蒸着法により、幅5ミクロン、高さ2.5ミクロンの銅の細線を間隔1mmで正方形になるように蒸着し、さらにその上にITOをスパッターにより30nmの厚さに均一に付着したシートを透明電極として用いたこと以外、実施例1−4と同様に行った。
<実施例1−6>
上記アルミシートの替わりにグラファイトシート(「PGSグラファイトシート」松下電子部品製、熱伝導率;800W/m.K)を用いたこと以外は、実施例1−5と同様に行なった。
<比較例1−1>
アルミシートにセラミックシートを貼り付けないこと以外は、実施例1−1と同様に行った。
<比較例1−2>
アルミシートにグラファイトシート(「PGSグラファイトシート」松下電子部品製、熱伝導率;800W/m.K、熱放射率0.75)を貼り付けた以外は、実施例1−1と同様に行なった。
<比較例1−3>
アルミシートにセラミックシート(熱放射率0.5、厚み40μm)を貼り付けた以外は、実施例1−1と同様に行なった。
電圧200V、周波数1KHzの駆動条件において、実施例1−1〜1−6および比較例1−1および1−3のEL表示パネルを、気温20℃、湿度60%の環境において駆動した場合、初期の輝度はいずれも600cd/mであった。さらに、これらの素子を同じ環境下において300時間連続駆動した場合の、初期輝度に対する相対輝度を表1に示す。
Figure 2006008863
比較例1−1に対して、実施例1−1や1−2のように背面電極の発光層とは反対側の面にセラミックシートを用いることによって、放熱性が高められ、経時後の相対輝度が増大した。また、背面電極をグラファイトシートに変更することによってその効果がより増大することがわかった。
比較例1−2と比較すると、グラファイトシート貼付よりもセラミックシート貼付の方が、その効果が大きいことがわかった。特に実施例1−2は背面電極がグラファイトシートであるため、発光層の局所的な熱を均熱化し、さらにセラミックシートで放熱するため、その効果が顕著に現れた。
また実施例1−1に対して、実施例1−3のように透明電極をITOから銅細線+ITOに変更することで、ITOの劣化だけでなく透明電極からの放熱性も高められるため、さらに経時後の相対輝度の変化が少なかった。
実施例1−4のように蛍光体粒子の平均粒径を小さくすると、発熱量も多くなるので、結果として実施例1−1に対して放熱効果が高められ寿命が向上した。
さらに実施例1−4に対し、実施例1−5のように透明電極を銅細線+ITOに変更することで、良好な結果が得られた。実施例1−6は、実施例1−5から背面電極をグラファイトシートに変更することで、さらに放熱効果が得られ、最も良好な結果が得られた。
比較例1−3のように、セラミックシートでも熱放射率が0.8未満かつシート厚みが50μm未満であると、放熱効果が得られなかった。
(第2の実施態様)<実施例2−1>
平均粒径25μmの蛍光体粒子(ZnS;Cu,Cl)と平均粒径が4μmである赤色顔料(シンロイヒFA−001、シンロイヒ社(製))とを30質量%のシアノエチルセルロース溶液に分散して、発光層用ペーストとした。また30質量%のシアノエチルセルロース溶液に平均粒径0.2μmのチタン酸バリウム粉末を均一に分散し、誘電体ペーストとした。
上記誘電体ペーストをグラファイトシート(PGSグラファイトシート(熱伝導率;800W/m・K)、松下電子部品(株)製)上に、膜厚35μmになるように塗布し、温風乾燥機にて110℃で4時間乾燥させた。さらにこの上に上記発光層用ペーストを膜厚35μmになるように塗布し、温風乾燥機にて110℃で6時間乾燥させた。
次に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート上にITOをスパッターにより100nmの厚さに均一に付着したシートを透明電極として用い、該シートの導電面側に給電線として銀ペーストをスクリーン印刷法により印刷、乾燥し、銅アルミシートからなるリード片よりなるリード電極を取り付けた。
上記グラファイトシートの塗布面と上記透明導電シートの導電面とを貼りあわせて熱圧着し、無機分散型エレクトロルミネッセンス素子を得た。
なお、素子の発光面の大きさが500mm×500mmとなるようにした。
<実施例2−2>
グラファイトシートを、スーパーλGS(熱伝導率;350W/m・K、鈴木総業社(株)製)に変更した以外は、実施例2−1と同様に行った。
<実施例2−3>
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート上に真空蒸着法により幅5μm、高さ2.5μmの銅の細線を間隔1mmで正方形になるように蒸着し、さらにその上にITOをスパッターにより30nmの厚さに均一に付着したシートを透明電極として用いたこと以外は、実施例2−1と同様に行った。
<実施例2−4>
平均粒径10μmの蛍光体粒子(ZnS;Cu,Cl)を用い、発光層用ペーストを作製したこと以外は、実施例2−1と同様に行った。
<実施例2−5>
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート上に真空蒸着法により幅5μm、高さ2.5μmの銅の細線を間隔1mmで正方形になるように蒸着し、さらにその上にITOをスパッターにより30nmの厚さに均一に付着したシートを透明電極として用いたこと以外は、実施例2−4と同様に行った。
<比較例2−1>
グラファイトシートの替わりにアルミシートを用いたこと以外、実施例2−1と同様に行った。
<比較例2−2>
アルミシートの背面部(背面電極の発光層とは反対側の面)にグラファイトシート(PGSグラファイトシート(熱伝導率;800W/m・K、松下電子部品(株)製)を配置した以外は、比較例2−1と同様に行なった。
電圧200V、周波数1KHzの駆動条件において、実施例2−1〜2−5、比較例2−1および2−2のEL表示パネルを気温20℃、湿度60%の環境において駆動した場合、初期の輝度はいずれも600cd/mであった。さらに、これらの素子を同じ環境下で連続して駆動した場合の輝度半減期(EL輝度が初期輝度の半分に低下するのに要する駆動時間)を表2に示す。
Figure 2006008863
背面電極をアルミシートとした比較例2−1に対して、実施例2−1や2−2のように背面電極をグラファイトシートにすることによって放熱性が高められ、輝度半減期が増大した。特に実施例2−1は背面電極の熱伝導率が高いため、その効果が顕著に現れた。また実施例2−3のように透明電極をITOから銅細線+ITOに変更することで、透明電極からの放熱性も高められるため、さらに輝度半減期が増大した。実施例2−4のように蛍光体粒子の平均粒径を小さくすると、発熱量も多くなるので、結果として実施例2−1に対して放熱効果が高められ寿命が向上した。さらに実施例2−5のように透明電極を銅細線+ITOに変更することで、最も良好な結果が得られた。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2004年7月15日出願の日本特許出願(特願2004−208790)、2004年7月28日出願の日本特許出願(特願2004−220330)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims (6)

  1. 背面電極及び透明電極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を有する無機分散型エレクトロルミネッセンス素子であって、背面電極の発光層とは反対側の面に、熱放射率が0.8以上で、厚さ50μm〜1000μmのセラミックシートを有することを特徴とする無機分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 背面電極及び透明電極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を有する無機分散型エレクトロルミネッセンス素子であって、前記背面電極がグラファイトシートであることを特徴とする無機分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記背面電極がグラファイトシートであることを特徴とする請求項1に記載の無機分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記背面電極の熱伝導率が200W/m・K以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の無機分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記透明電極が、透明導電膜部分と、金属及び/または合金の細線構造部分とを有してなる透明導電シートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の無機分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記発光層内に含有される蛍光体粒子の平均サイズが0.1〜15μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無機分散型エレクトロルミネッセンス素子。
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