JP2005028646A - カラー感熱プリンタの濃度むら補正方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オーバー加熱及び印画位置のずれにより記録紙の側端に発生する濃度むらを補正する。
【解決手段】濃度測定パターン31は、各色のベタ画像からなる基準パターンを、感熱記録紙の中央位置、左オフセット位置及び右オフセット位置に配置した3パターンから構成される。記録紙に印画された濃度測定パターン31は、スキャナ32で読み取られ、濃度測定部33に入力される。濃度測定部33は、各ベタ画像に対して主走査方向の濃度分布を測定する。濃度補正データ生成部34は、測定された各ベタ画像の濃度分布に基づいて記録紙の左端と右端のどちらにオーバー加熱が生じているかを判定する。この判定結果に応じて、記録紙の左端及び右端に位置する各色の画像データに対して、濃度補正データが生成される。
【選択図】 図2
【解決手段】濃度測定パターン31は、各色のベタ画像からなる基準パターンを、感熱記録紙の中央位置、左オフセット位置及び右オフセット位置に配置した3パターンから構成される。記録紙に印画された濃度測定パターン31は、スキャナ32で読み取られ、濃度測定部33に入力される。濃度測定部33は、各ベタ画像に対して主走査方向の濃度分布を測定する。濃度補正データ生成部34は、測定された各ベタ画像の濃度分布に基づいて記録紙の左端と右端のどちらにオーバー加熱が生じているかを判定する。この判定結果に応じて、記録紙の左端及び右端に位置する各色の画像データに対して、濃度補正データが生成される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー感熱プリンタを用いて、余白の無い、いわゆる縁無しプリントを行った際に発生する濃度むらの補正方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多数の発熱素子が主走査方向にライン状に配列されたサーマルヘッドを用いて、このサーマルヘッドに直交する副走査方向にカラー感熱記録紙(以下、記録紙と略記)を搬送させながら、各色の画像をライン単位で記録するカラー感熱プリンタがある。このカラー感熱プリンタの中には、余白の無い、いわゆる縁無しプリントを得るために、センサを用いて記録紙の側端に対応するサーマルヘッドの発熱素子を特定し、この発熱素子より外側に位置する発熱素子を印加しないようにして余白を残すことなく記録紙の幅いっぱいに画像を記録するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−272217号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したカラー感熱プリンタを用いて縁無しプリントした場合、記録紙の側端に印画する画像データの濃度に応じてサーマルヘッドからの熱が記録紙の側端面(裁断面)からも伝わり、記録紙の側端の濃度が上昇してこげてしまう現象、いわゆるオーバー加熱が生じるという問題がある。更には、プリンタの紙送り精度に起因して画像データの印画位置が主走査方向でずれ、記録紙の一方の側端が余白になってしまうことがある。
【0005】
本発明は、オーバー加熱及び印画位置のずれにより記録紙の側端に発生する濃度むらを補正することができるカラー感熱プリンタの濃度むら補正方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のカラー感熱プリンタの濃度むら補正方法は、複数の感熱発色層を備えたカラー感熱記録紙を副走査方向に搬送させながら、多数の発熱素子が主走査方向にライン状に配列されたサーマルヘッドにより各色の画像データをライン記録するカラー感熱プリンタに対するものであり、各色毎に所定のライン数分連続して記録される各色のベタ画像からなる基準パターンを、前記カラー感熱記録紙の中央位置、左オフセット位置及び右オフセット位置に配置した3パターンから構成される画像データを印画して濃度測定パターンを得る第1ステップと、前記3パターンの各色のベタ画像に対して、主走査方向の濃度分布を測定する第2ステップと、前記3パターンの配置された各色のベタ画像の濃度分布に基づいて、前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する各色の画像データの濃度を補正する第3ステップとを備え、前記第3ステップは、3パターンの各色のベタ画像の濃度分布に基づいて、前記カラー感熱記録紙の左端濃度平均値DL、右端濃度平均値DRを求める第1サブステップと、前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する前記発熱素子からX素子分内側の左端検出範囲AL、右端検出範囲ARに対し、それらの左端及び右端の各濃度平均値DL, DRからY%以上上昇した濃度値を検出する第2サブステップと、この検出結果に応じて前記カラー感熱プリンタが画像データを印画する印画位置を特定する第3サブステップと、特定した印画位置から前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する各色の画像データに対する補正濃度値を求める第4サブステップとを備えることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明で使用されるカラー感熱プリンタ2の概要を示す概略図である。カラー感熱プリンタ2では、記録媒体として長尺のカラー感熱記録紙(以下、単に記録紙という)10が用いられる。記録紙10は、ロール状に巻かれた記録紙ロール11の形態でカラー感熱プリンタ2にセットされる。記録紙ロール11は、外周に当接された給紙ローラ12によって回転され、これにより記録紙10の送り出しと巻き戻しとが行われる。
【0008】
記録紙ロール11の近傍には、記録紙10を挟み込んで搬送する搬送ローラ対13が配置されている。この搬送ローラ対13は、搬送用モータ14で回転駆動されるキャプスタンローラ15と、このキャプスタンローラ15に圧接するピンチローラ16とからなり、記録紙10を搬送方向と、戻し方向とに往復搬送する。
【0009】
記録紙10は、周知のように支持体上にシアン感熱発色層、マゼンタ感熱発色層、イエロー感熱発色層が順次層設されている。最上層となるイエロー感熱発色層は熱感度が最も高く、小さな熱エネルギーでイエローに発色する。最下層となるシアン感熱発色層は熱感度が最も低く、大きな熱エネルギーでシアンに発色する。イエロー感熱発色層は、420nmの近紫外線が照射されたときに発色能力が消失する。マゼンタ感熱発色層は、イエロー感熱発色層とシアン感熱発色層との中間程度の熱エネルギーでマゼンタに発色し、365nmの紫外線が照射されたときに発色能力が消失する。なお、上記の感熱発色層の他に、例えばブラック感熱発色層を設けて、記録紙10を4層構造としてもよい。
【0010】
搬送ローラ対13の搬送方向の下流側には、サーマルヘッド17とプラテンローラ18とが、記録紙10の搬送経路を挟み込むように配置されている。サーマルヘッド17の記録紙10と対向する面には、多数の発熱素子が搬送方向と直交する方向(主走査方向)にライン状に形成された発熱素子アレイ19が設けられている。プラテンローラ18は、発熱素子アレイ19に対面する位置で搬送経路の下方に配置されている。このプラテンローラ18は、上下方向に移動自在となっており、図示しないバネによってサーマルヘッド17に圧接する方向に付勢されている。
【0011】
サーマルヘッド17は、搬送ローラ対13によって戻し方向に搬送される記録紙10に圧接し、発熱素子アレイ19を所定の温度に発熱させて各感熱発色層を発色させる。プラテンローラ18は、記録紙10の搬送に応じて従動回転して、記録紙10と発熱素子との摺接を容易にする。
【0012】
サーマルヘッド17の搬送方向の下流側には、光定着装置20が配置されている。この光定着装置20は、イエロー用定着ランプ21、マゼンタ用定着ランプ22、およびリフレクタ23から構成される。イエロー用定着ランプ21は、発光ピークが420nmの近紫外線を放射して、記録紙10のイエロー感熱発色層を定着する。マゼンタ用定着ランプ22は365nmの紫外線を放射して、マゼンタ感熱発色層を定着する。リフレクタ23は、各定着ランプ21、22から放射された紫外線を記録紙10に向けて反射させる。
【0013】
イエロー用定着ランプ21の搬送方向の下流側には、長尺の記録紙10を記録エリア毎にカットするカッタ24が設けられている。カッタ24の下流側には、カットされたシート状の記録紙10を排出する排紙口25が設けられている。
【0014】
プリント指示がなされると、記録紙10が給紙ローラ12によって給紙され、搬送ローラ対13によって搬送方向に搬送される。次に、搬送ローラ対13を逆転して記録紙10を戻し方向に搬送する。この搬送中にイエロー感熱発色層に対してサーマルヘッド17によるイエロー画像の熱記録を行う。
【0015】
イエロー画像の熱記録後に、記録紙10を搬送方向に搬送してイエロー用定着ランプ21を点灯し、これから放射された420nm付近に発光ピークを持つ近紫外線を記録紙10に照射して、イエロー感熱発色層に光定着を施す。
【0016】
再び記録紙10を搬送方向に送ってから、戻し方向に搬送しながらマゼンタ感熱発色層に対してサーマルヘッド17によるマゼンタ画像の熱記録を行う。マゼンタ画像の熱記録後に、記録紙10を搬送方向に搬送してマゼンタ用定着ランプ22を点灯し、365nm付近に発光ピークを持つ紫外線を記録紙10に照射して、マゼンタ感熱発色層に光定着を施す。
【0017】
マゼンタ画像の光定着後、記録紙10を搬送方向に送ってから、戻し方向に搬送しながらシアン感熱発色層に対してシアン画像の熱記録を行う。シアン画像の熱記録後、記録紙10は搬送方向に所定量搬送され、カッタ24により記録エリアをカットされる。この記録紙10の記録済み部分は、排紙口25から排出されて図示しない排紙トレイに順次積層される。
【0018】
図2は、本発明を実施した濃度補正装置30の概要を示すブロック図である。濃度補正装置30は、スキャナ32と濃度測定部33と濃度補正データ生成部34とから構成されている。
【0019】
カラー感熱プリンタ2は、濃度測定パターン31の画像データを印画する命令を受信すると、通常のカラー画像と同様に、イエロー、マゼンタ、シアンの各感熱発色層に対して熱記録及び光定着を行って濃度測定パターン31を印画する。
【0020】
スキャナ32は、カラー感熱プリンタ2が印画した濃度測定パターン31を読み取って、濃度測定部33に読み取った画像データを送信する。スキャナ32は例えば解像度600dpi(ドットサイズ40μm)のものが用いられる。
【0021】
濃度測定部33は、スキャナ32で読み取った濃度測定パターン31の各ベタ画像に対して、主走査方向の濃度分布を測定する。測定された各ベタ画像の濃度分布は濃度補正データ生成部34に送信される。
【0022】
濃度補正データ生成部34は、濃度測定部33が測定した各ベタ画像の濃度分布に基づいて、記録紙10の左端及び右端に位置する各色の画像データに対する補正濃度データを生成する。生成された補正濃度データは、カラー感熱プリンタ2に送信される。
【0023】
次に、本発明の濃度むら補正方法について詳細に説明する。図3は、濃度測定パターン31を印画する画像データを示す説明図である。濃度測定パターン31は、シアン、マゼンタ、イエローの各色のベタ画像36a, 36b, 36cを副走査方向に順に印画した基準パターン36と、この基準パターンを主走査方向に±X画素分移動して印画した左オフセットパターン37、右オフセットパターン38とから構成される。各ベタ画像36a〜36c, 37a〜37c, 38a〜38cは、各色の最高濃度で100ライン分(例えば、1ライン幅80μm)印画される。
【0024】
濃度補正装置30は、カラー感熱プリンタ2で印画された濃度測定パターン31をスキャナ32で読み取り、濃度測定部33に読み取った画像データを入力する(図2参照)。濃度測定部33は、入力された濃度測定パターン31の各ベタ画像36a〜36c, 37a〜37c, 38a〜38cに対して、100ライン分の濃度データを測定する。そして、測定した100ライン分の濃度データから各発熱素子が印画した濃度の平均値を求め、主走査方向(発熱素子の配列方向)の濃度分布を作成する。図4は、左オフセットパターン37のシアンのベタ画像37aにおける濃度分布を示している。記録紙10の左端では、サーマルヘッド17からの熱が裁断面からも伝わって濃度が急激に上昇しており、オーバー加熱が生じている。一方、右端では、「0」に近い濃度値を取り、X画素分の余白を確認できる。濃度測定部33が作成した各ベタ画像の濃度分布は、濃度補正データ生成部34に入力される。
【0025】
濃度補正データ生成部34は、図4に示すように、入力された濃度分布に基づいて、信頼性のある記録紙10の左右側部の平均濃度を算出するために左端平均化範囲DL、右端平均化範囲DRを特定し、これらの各平均化範囲DL, DRにおける左端濃度平均値DLave、右端濃度平均値DRaveを求める。
【0026】
次に、左端及び右端濃度平均値DLave, DRaveからY%上昇した濃度値DLjdg, DRjdgを算出する。濃度値DLjdg, DRjdgを算出した後、左端及び右端の各平均化範囲DL, DRよりも外側に位置し、記録紙10の左右端に位置する発熱素子から、X素子分内側の左端検出範囲SL及び右端検出範囲SRに対し、濃度値DLjdg, DRjdg以上の値を検出する。濃度値DLjdg, DRjdg以上の値が検出された側端は、オーバー加熱と判定される。
【0027】
濃度補正データ生成部34は、上述したオーバー加熱の判定を各ベタ画像に行って、カラー感熱プリンタ2が画像データを印画した印画位置を特定する。図5は、各パターンにおけるシアンのベタ画像36a, 37a, 38aを示している。例えば、画像データが正規の印画位置からG画素分ずれて印画され、基準パターン36a、左及び右のオフセットパターン37a, 38aの各左端がオーバー加熱と判定された場合には、最も右端の余白が少ない右オフセットパターン38aの濃度分布に基づいて、左端及び右端の各補正濃度値を算出する。左端の補正濃度値を左端濃度平均値DLave、右端の補正濃度値を右端濃度平均値DRaveとして、カラー感熱記録紙2の濃度補正データを生成する。濃度補正データ生成部34は、同様にして各色の濃度補正データを生成し、生成した各色の濃度補正データをカラー感熱プリンタ2に入力する。カラー感熱プリンタ2は、これらの各色の濃度補正データを濃度むらの補正に用いる。
【0028】
次に、本発明の作用について、図6のフローチャートを参照して説明する。まず、カラー感熱プリンタ2を用いて、濃度測定パターン31を印画する。印画された濃度測定パターン31は、スキャナ32で読み取られ、濃度測定部33で各ベタ画像36a〜36c, 37a〜37c, 38a〜38cに対して、主走査方向の濃度分布が測定される。測定された各ベタ画像の濃度分布は、濃度補正データ生成部34に入力される。
【0029】
濃度補正データ生成部34は、入力された濃度分布に基づいて、信頼性のある記録紙10の左右側部の平均濃度として、左端濃度平均値DLave、右端濃度平均値DRaveを求め、求めた左端及び右端濃度平均値DLave, DRaveからY%上昇した濃度値DLjdg, DRjdgを算出する。濃度値DLjdg, DRjdgを算出した後、記録紙10の左右端に位置する発熱素子から、X素子分内側の左端検出範囲SL及び右端検出範囲SRに対し、濃度値DLjdg, DRjdg以上の値を検出するオーバー加熱判定を行う。
【0030】
オーバー加熱判定の結果により、左端がオーバー加熱である場合は、右オフセットパターン38の濃度分布に基づいて、左端及び右端の各濃度補正値を算出する。一方、右端がオーバー加熱である場合には、左オフセットパターン37の濃度分布に基づいて、左端及び右端の各濃度補正値を算出する。算出された左端及び右端の各濃度補正値から各色の濃度補正データを生成する。生成された各色の濃度補正データは、カラー感熱プリンタ2に入力され、
【0031】
上記実施形態によれば、カラー感熱プリンタ2によって濃度測定パターン31を印画し、濃度測定装置30によって濃度補正データを生成したが、カラー感熱プリンタに、濃度補正データを生成する濃度測定装置の機能を持たせてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、各色毎に所定のライン数分連続して記録される各色のベタ画像からなる基準パターンを、カラー感熱記録紙の中央位置、左オフセット位置及び右オフセット位置に配置した3パターンから構成される画像データを印画して濃度測定パターンを得る第1ステップと、前記3パターンの各色のベタ画像に対して、主走査方向の濃度分布を測定する第2ステップと、前記3パターンの配置された各色のベタ画像の濃度分布に基づいて、前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する各色の画像データの濃度を補正する第3ステップとを備え、前記第3ステップは、3パターンの各色のベタ画像の濃度分布に基づいて、前記カラー感熱記録紙の左端濃度平均値DL、右端濃度平均値DRを求める第1サブステップと、前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する前記発熱素子からX素子分内側の左端検出範囲AL、右端検出範囲ARに対し、それらの左端及び右端の各濃度平均値DL, DRからY%以上上昇した濃度値を検出する第2サブステップと、この検出結果に応じて前記カラー感熱プリンタが画像データを印画する印画位置を特定する第3サブステップと、特定した印画位置から前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する各色の画像データに対する補正濃度値を求める第4サブステップとを備えるから、オーバー加熱及び印画位置のずれにより記録紙の側端に発生する濃度むらを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラー感熱プリンタの概要を示す概略図である。
【図2】本発明を実施した濃度補正装置の概要を示すブロック図である。
【図3】濃度補正パターンの説明図である。
【図4】オーバー加熱の判定方法の説明図である。
【図5】左オーバー加熱の場合の濃度分布の説明図である。
【図6】濃度補正データを生成する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 カラー感熱プリンタ
10 カラー感熱記録紙
17 サーマルヘッド
30 濃度補正装置
31 テストパターン
32 スキャナ
33 濃度測定部
34 濃度補正データ生成部
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー感熱プリンタを用いて、余白の無い、いわゆる縁無しプリントを行った際に発生する濃度むらの補正方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多数の発熱素子が主走査方向にライン状に配列されたサーマルヘッドを用いて、このサーマルヘッドに直交する副走査方向にカラー感熱記録紙(以下、記録紙と略記)を搬送させながら、各色の画像をライン単位で記録するカラー感熱プリンタがある。このカラー感熱プリンタの中には、余白の無い、いわゆる縁無しプリントを得るために、センサを用いて記録紙の側端に対応するサーマルヘッドの発熱素子を特定し、この発熱素子より外側に位置する発熱素子を印加しないようにして余白を残すことなく記録紙の幅いっぱいに画像を記録するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−272217号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したカラー感熱プリンタを用いて縁無しプリントした場合、記録紙の側端に印画する画像データの濃度に応じてサーマルヘッドからの熱が記録紙の側端面(裁断面)からも伝わり、記録紙の側端の濃度が上昇してこげてしまう現象、いわゆるオーバー加熱が生じるという問題がある。更には、プリンタの紙送り精度に起因して画像データの印画位置が主走査方向でずれ、記録紙の一方の側端が余白になってしまうことがある。
【0005】
本発明は、オーバー加熱及び印画位置のずれにより記録紙の側端に発生する濃度むらを補正することができるカラー感熱プリンタの濃度むら補正方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のカラー感熱プリンタの濃度むら補正方法は、複数の感熱発色層を備えたカラー感熱記録紙を副走査方向に搬送させながら、多数の発熱素子が主走査方向にライン状に配列されたサーマルヘッドにより各色の画像データをライン記録するカラー感熱プリンタに対するものであり、各色毎に所定のライン数分連続して記録される各色のベタ画像からなる基準パターンを、前記カラー感熱記録紙の中央位置、左オフセット位置及び右オフセット位置に配置した3パターンから構成される画像データを印画して濃度測定パターンを得る第1ステップと、前記3パターンの各色のベタ画像に対して、主走査方向の濃度分布を測定する第2ステップと、前記3パターンの配置された各色のベタ画像の濃度分布に基づいて、前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する各色の画像データの濃度を補正する第3ステップとを備え、前記第3ステップは、3パターンの各色のベタ画像の濃度分布に基づいて、前記カラー感熱記録紙の左端濃度平均値DL、右端濃度平均値DRを求める第1サブステップと、前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する前記発熱素子からX素子分内側の左端検出範囲AL、右端検出範囲ARに対し、それらの左端及び右端の各濃度平均値DL, DRからY%以上上昇した濃度値を検出する第2サブステップと、この検出結果に応じて前記カラー感熱プリンタが画像データを印画する印画位置を特定する第3サブステップと、特定した印画位置から前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する各色の画像データに対する補正濃度値を求める第4サブステップとを備えることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明で使用されるカラー感熱プリンタ2の概要を示す概略図である。カラー感熱プリンタ2では、記録媒体として長尺のカラー感熱記録紙(以下、単に記録紙という)10が用いられる。記録紙10は、ロール状に巻かれた記録紙ロール11の形態でカラー感熱プリンタ2にセットされる。記録紙ロール11は、外周に当接された給紙ローラ12によって回転され、これにより記録紙10の送り出しと巻き戻しとが行われる。
【0008】
記録紙ロール11の近傍には、記録紙10を挟み込んで搬送する搬送ローラ対13が配置されている。この搬送ローラ対13は、搬送用モータ14で回転駆動されるキャプスタンローラ15と、このキャプスタンローラ15に圧接するピンチローラ16とからなり、記録紙10を搬送方向と、戻し方向とに往復搬送する。
【0009】
記録紙10は、周知のように支持体上にシアン感熱発色層、マゼンタ感熱発色層、イエロー感熱発色層が順次層設されている。最上層となるイエロー感熱発色層は熱感度が最も高く、小さな熱エネルギーでイエローに発色する。最下層となるシアン感熱発色層は熱感度が最も低く、大きな熱エネルギーでシアンに発色する。イエロー感熱発色層は、420nmの近紫外線が照射されたときに発色能力が消失する。マゼンタ感熱発色層は、イエロー感熱発色層とシアン感熱発色層との中間程度の熱エネルギーでマゼンタに発色し、365nmの紫外線が照射されたときに発色能力が消失する。なお、上記の感熱発色層の他に、例えばブラック感熱発色層を設けて、記録紙10を4層構造としてもよい。
【0010】
搬送ローラ対13の搬送方向の下流側には、サーマルヘッド17とプラテンローラ18とが、記録紙10の搬送経路を挟み込むように配置されている。サーマルヘッド17の記録紙10と対向する面には、多数の発熱素子が搬送方向と直交する方向(主走査方向)にライン状に形成された発熱素子アレイ19が設けられている。プラテンローラ18は、発熱素子アレイ19に対面する位置で搬送経路の下方に配置されている。このプラテンローラ18は、上下方向に移動自在となっており、図示しないバネによってサーマルヘッド17に圧接する方向に付勢されている。
【0011】
サーマルヘッド17は、搬送ローラ対13によって戻し方向に搬送される記録紙10に圧接し、発熱素子アレイ19を所定の温度に発熱させて各感熱発色層を発色させる。プラテンローラ18は、記録紙10の搬送に応じて従動回転して、記録紙10と発熱素子との摺接を容易にする。
【0012】
サーマルヘッド17の搬送方向の下流側には、光定着装置20が配置されている。この光定着装置20は、イエロー用定着ランプ21、マゼンタ用定着ランプ22、およびリフレクタ23から構成される。イエロー用定着ランプ21は、発光ピークが420nmの近紫外線を放射して、記録紙10のイエロー感熱発色層を定着する。マゼンタ用定着ランプ22は365nmの紫外線を放射して、マゼンタ感熱発色層を定着する。リフレクタ23は、各定着ランプ21、22から放射された紫外線を記録紙10に向けて反射させる。
【0013】
イエロー用定着ランプ21の搬送方向の下流側には、長尺の記録紙10を記録エリア毎にカットするカッタ24が設けられている。カッタ24の下流側には、カットされたシート状の記録紙10を排出する排紙口25が設けられている。
【0014】
プリント指示がなされると、記録紙10が給紙ローラ12によって給紙され、搬送ローラ対13によって搬送方向に搬送される。次に、搬送ローラ対13を逆転して記録紙10を戻し方向に搬送する。この搬送中にイエロー感熱発色層に対してサーマルヘッド17によるイエロー画像の熱記録を行う。
【0015】
イエロー画像の熱記録後に、記録紙10を搬送方向に搬送してイエロー用定着ランプ21を点灯し、これから放射された420nm付近に発光ピークを持つ近紫外線を記録紙10に照射して、イエロー感熱発色層に光定着を施す。
【0016】
再び記録紙10を搬送方向に送ってから、戻し方向に搬送しながらマゼンタ感熱発色層に対してサーマルヘッド17によるマゼンタ画像の熱記録を行う。マゼンタ画像の熱記録後に、記録紙10を搬送方向に搬送してマゼンタ用定着ランプ22を点灯し、365nm付近に発光ピークを持つ紫外線を記録紙10に照射して、マゼンタ感熱発色層に光定着を施す。
【0017】
マゼンタ画像の光定着後、記録紙10を搬送方向に送ってから、戻し方向に搬送しながらシアン感熱発色層に対してシアン画像の熱記録を行う。シアン画像の熱記録後、記録紙10は搬送方向に所定量搬送され、カッタ24により記録エリアをカットされる。この記録紙10の記録済み部分は、排紙口25から排出されて図示しない排紙トレイに順次積層される。
【0018】
図2は、本発明を実施した濃度補正装置30の概要を示すブロック図である。濃度補正装置30は、スキャナ32と濃度測定部33と濃度補正データ生成部34とから構成されている。
【0019】
カラー感熱プリンタ2は、濃度測定パターン31の画像データを印画する命令を受信すると、通常のカラー画像と同様に、イエロー、マゼンタ、シアンの各感熱発色層に対して熱記録及び光定着を行って濃度測定パターン31を印画する。
【0020】
スキャナ32は、カラー感熱プリンタ2が印画した濃度測定パターン31を読み取って、濃度測定部33に読み取った画像データを送信する。スキャナ32は例えば解像度600dpi(ドットサイズ40μm)のものが用いられる。
【0021】
濃度測定部33は、スキャナ32で読み取った濃度測定パターン31の各ベタ画像に対して、主走査方向の濃度分布を測定する。測定された各ベタ画像の濃度分布は濃度補正データ生成部34に送信される。
【0022】
濃度補正データ生成部34は、濃度測定部33が測定した各ベタ画像の濃度分布に基づいて、記録紙10の左端及び右端に位置する各色の画像データに対する補正濃度データを生成する。生成された補正濃度データは、カラー感熱プリンタ2に送信される。
【0023】
次に、本発明の濃度むら補正方法について詳細に説明する。図3は、濃度測定パターン31を印画する画像データを示す説明図である。濃度測定パターン31は、シアン、マゼンタ、イエローの各色のベタ画像36a, 36b, 36cを副走査方向に順に印画した基準パターン36と、この基準パターンを主走査方向に±X画素分移動して印画した左オフセットパターン37、右オフセットパターン38とから構成される。各ベタ画像36a〜36c, 37a〜37c, 38a〜38cは、各色の最高濃度で100ライン分(例えば、1ライン幅80μm)印画される。
【0024】
濃度補正装置30は、カラー感熱プリンタ2で印画された濃度測定パターン31をスキャナ32で読み取り、濃度測定部33に読み取った画像データを入力する(図2参照)。濃度測定部33は、入力された濃度測定パターン31の各ベタ画像36a〜36c, 37a〜37c, 38a〜38cに対して、100ライン分の濃度データを測定する。そして、測定した100ライン分の濃度データから各発熱素子が印画した濃度の平均値を求め、主走査方向(発熱素子の配列方向)の濃度分布を作成する。図4は、左オフセットパターン37のシアンのベタ画像37aにおける濃度分布を示している。記録紙10の左端では、サーマルヘッド17からの熱が裁断面からも伝わって濃度が急激に上昇しており、オーバー加熱が生じている。一方、右端では、「0」に近い濃度値を取り、X画素分の余白を確認できる。濃度測定部33が作成した各ベタ画像の濃度分布は、濃度補正データ生成部34に入力される。
【0025】
濃度補正データ生成部34は、図4に示すように、入力された濃度分布に基づいて、信頼性のある記録紙10の左右側部の平均濃度を算出するために左端平均化範囲DL、右端平均化範囲DRを特定し、これらの各平均化範囲DL, DRにおける左端濃度平均値DLave、右端濃度平均値DRaveを求める。
【0026】
次に、左端及び右端濃度平均値DLave, DRaveからY%上昇した濃度値DLjdg, DRjdgを算出する。濃度値DLjdg, DRjdgを算出した後、左端及び右端の各平均化範囲DL, DRよりも外側に位置し、記録紙10の左右端に位置する発熱素子から、X素子分内側の左端検出範囲SL及び右端検出範囲SRに対し、濃度値DLjdg, DRjdg以上の値を検出する。濃度値DLjdg, DRjdg以上の値が検出された側端は、オーバー加熱と判定される。
【0027】
濃度補正データ生成部34は、上述したオーバー加熱の判定を各ベタ画像に行って、カラー感熱プリンタ2が画像データを印画した印画位置を特定する。図5は、各パターンにおけるシアンのベタ画像36a, 37a, 38aを示している。例えば、画像データが正規の印画位置からG画素分ずれて印画され、基準パターン36a、左及び右のオフセットパターン37a, 38aの各左端がオーバー加熱と判定された場合には、最も右端の余白が少ない右オフセットパターン38aの濃度分布に基づいて、左端及び右端の各補正濃度値を算出する。左端の補正濃度値を左端濃度平均値DLave、右端の補正濃度値を右端濃度平均値DRaveとして、カラー感熱記録紙2の濃度補正データを生成する。濃度補正データ生成部34は、同様にして各色の濃度補正データを生成し、生成した各色の濃度補正データをカラー感熱プリンタ2に入力する。カラー感熱プリンタ2は、これらの各色の濃度補正データを濃度むらの補正に用いる。
【0028】
次に、本発明の作用について、図6のフローチャートを参照して説明する。まず、カラー感熱プリンタ2を用いて、濃度測定パターン31を印画する。印画された濃度測定パターン31は、スキャナ32で読み取られ、濃度測定部33で各ベタ画像36a〜36c, 37a〜37c, 38a〜38cに対して、主走査方向の濃度分布が測定される。測定された各ベタ画像の濃度分布は、濃度補正データ生成部34に入力される。
【0029】
濃度補正データ生成部34は、入力された濃度分布に基づいて、信頼性のある記録紙10の左右側部の平均濃度として、左端濃度平均値DLave、右端濃度平均値DRaveを求め、求めた左端及び右端濃度平均値DLave, DRaveからY%上昇した濃度値DLjdg, DRjdgを算出する。濃度値DLjdg, DRjdgを算出した後、記録紙10の左右端に位置する発熱素子から、X素子分内側の左端検出範囲SL及び右端検出範囲SRに対し、濃度値DLjdg, DRjdg以上の値を検出するオーバー加熱判定を行う。
【0030】
オーバー加熱判定の結果により、左端がオーバー加熱である場合は、右オフセットパターン38の濃度分布に基づいて、左端及び右端の各濃度補正値を算出する。一方、右端がオーバー加熱である場合には、左オフセットパターン37の濃度分布に基づいて、左端及び右端の各濃度補正値を算出する。算出された左端及び右端の各濃度補正値から各色の濃度補正データを生成する。生成された各色の濃度補正データは、カラー感熱プリンタ2に入力され、
【0031】
上記実施形態によれば、カラー感熱プリンタ2によって濃度測定パターン31を印画し、濃度測定装置30によって濃度補正データを生成したが、カラー感熱プリンタに、濃度補正データを生成する濃度測定装置の機能を持たせてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、各色毎に所定のライン数分連続して記録される各色のベタ画像からなる基準パターンを、カラー感熱記録紙の中央位置、左オフセット位置及び右オフセット位置に配置した3パターンから構成される画像データを印画して濃度測定パターンを得る第1ステップと、前記3パターンの各色のベタ画像に対して、主走査方向の濃度分布を測定する第2ステップと、前記3パターンの配置された各色のベタ画像の濃度分布に基づいて、前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する各色の画像データの濃度を補正する第3ステップとを備え、前記第3ステップは、3パターンの各色のベタ画像の濃度分布に基づいて、前記カラー感熱記録紙の左端濃度平均値DL、右端濃度平均値DRを求める第1サブステップと、前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する前記発熱素子からX素子分内側の左端検出範囲AL、右端検出範囲ARに対し、それらの左端及び右端の各濃度平均値DL, DRからY%以上上昇した濃度値を検出する第2サブステップと、この検出結果に応じて前記カラー感熱プリンタが画像データを印画する印画位置を特定する第3サブステップと、特定した印画位置から前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する各色の画像データに対する補正濃度値を求める第4サブステップとを備えるから、オーバー加熱及び印画位置のずれにより記録紙の側端に発生する濃度むらを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラー感熱プリンタの概要を示す概略図である。
【図2】本発明を実施した濃度補正装置の概要を示すブロック図である。
【図3】濃度補正パターンの説明図である。
【図4】オーバー加熱の判定方法の説明図である。
【図5】左オーバー加熱の場合の濃度分布の説明図である。
【図6】濃度補正データを生成する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 カラー感熱プリンタ
10 カラー感熱記録紙
17 サーマルヘッド
30 濃度補正装置
31 テストパターン
32 スキャナ
33 濃度測定部
34 濃度補正データ生成部
Claims (1)
- 複数の感熱発色層を備えたカラー感熱記録紙を副走査方向に搬送させながら、多数の発熱素子が主走査方向にライン状に配列されたサーマルヘッドにより各色の画像データをライン記録するカラー感熱プリンタの濃度むら補正方法において、
各色毎に所定のライン数分連続して記録される各色のベタ画像からなる基準パターンを、前記カラー感熱記録紙の中央位置、左オフセット位置及び右オフセット位置に配置した3パターンから構成される画像データを印画して濃度測定パターンを得る第1ステップと、
前記3パターンの各色のベタ画像に対して、主走査方向の濃度分布を測定する第2ステップと、
前記3パターンの配置された各色のベタ画像の濃度分布に基づいて、前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する各色の画像データの濃度を補正する第3ステップとを備え、
前記第3ステップは、3パターンの各色のベタ画像の濃度分布に基づいて、前記カラー感熱記録紙の左端濃度平均値DL、右端濃度平均値DRを求める第1サブステップと、前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する前記発熱素子からX素子分内側の左端検出範囲AL、右端検出範囲ARに対し、それらの左端及び右端の各濃度平均値DL, DRからY%以上上昇した濃度値を検出する第2サブステップと、この検出結果に応じて前記カラー感熱プリンタが画像データを印画する印画位置を特定する第3サブステップと、特定した印画位置から前記カラー感熱記録紙の左端及び右端に位置する各色の画像データに対する補正濃度値を求める第4サブステップとを備えることを特徴とするカラー感熱プリンタの濃度むら補正方法。
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