JP2004142212A - サーマルプリンタ及びその濃度補正方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サーマルヘッド21の温度を測定するヘッド温度センサ34に加えて、プラテンローラ37の温度を測定するプラテン温度センサ37を設ける。プラテンローラ37には、サーマルヘッド21のように冷却機構が設けられていないので、大量(例えば、20枚以上)に連続印画した場合のプラテン温度の上昇率は、ヘッド温度よりも大きい。前記各温度センサ34,37で測定されたヘッド温度及びプラテン温度に応じて、サーマルヘッド21に印加される電圧を補正する。これにより、サーマルヘッド21が発生する熱エネルギーが補正されるので、大量に連続印画した場合の濃度変動を小さくすることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッドによりカラー感熱記録紙を加熱して画像を記録するカラー感熱プリンタ及びその濃度補正方法並びに、印画ヘッドによりその加熱エネルギーに応じた濃度で記録紙に画像を形成するプリンタ及びその濃度補正方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イエロー,マゼンタ,シアンの各色に発色する複数の感熱発色層が層設されたカラー感熱記録紙を用い、サーマルヘッドにより各感熱発色層を面順次に加熱してフルカラー画像を熱記録するカラー感熱プリンタが知られている。サーマルヘッドは、周知のように、多数の発熱素子がライン状に配列された発熱素子アレイを備えており、画像データに基づいて各画素の濃度に応じた熱エネルギーを与えて各色の感熱発色層を発色させる。
【0003】
このようなカラー感熱プリンタでは、同じ画像データに基づいてプリントする場合であっても、サーマルヘッドの温度変化に応じて記録画像の発色濃度が変化することが知られている。このため、例えば、特許文献1に記載されているカラー感熱プリンタでは、サーマルヘッドの温度を測定し、このヘッド温度変化に応じてサーマルヘッドの加熱エネルギーを補正している。
【0004】
また、このカラー感熱プリンタでは、プリンタ本体内の相対湿度を測定し、この相対湿度に応じて、サーマルヘッドの加熱エネルギーを補正することで、相対湿度変化に起因する濃度変動を抑えている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−328760号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図10に示すように、従来のたカラー感熱プリンタで少量の枚数を印画する場合には、濃度変動幅が小さく抑えられているものの、大量の連続印画を行った場合、特に20枚を越えるような連続印画の場合には、濃度変動幅ΔODc1が著しく大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
また、従来のカラー感熱プリンタでは、相対湿度変化に応じてサーマルヘッドの加熱エネルギーを補正しているが、従来の補正方法では、相対湿度と濃度との関係を、温度とは無関係な比例関係(相対湿度が上昇すれば濃度が上がり、相対湿度が下がれば濃度も下がる)として捉え、この関係に基づいて補正を行っている。しかし、図11に示すように、最新の実験によれば、相対湿度と濃度の関係は、温度とは無関係な比例関係にはならないということが分かった。すなわち、相対湿度が同じであっても温度が異なると濃度も異なり、また、低温(5℃付近)においては、相対湿度に変化があっても、濃度差があまり生じない。このように、相対湿度と温度とは密接な関係があり、従来のように、相対湿度と濃度を単純な比例関係で捉える方法では、相対湿度や温度変化による濃度変動幅を抑制しきれなかった。
【0008】
本発明は、大量連続印画をした場合の濃度変動幅を小さくすることを目的とする。
【0009】
また、本発明の別の目的は、相対湿度や温度変化による濃度変動幅を小さくすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のサーマルプリンタ及びその濃度補正方法は、サーマルヘッドの温度と前記プラテンローラの温度とに基づいて、前記サーマルヘッドが発生する熱エネルギーを補正する。サーマルヘッドの温度に加えて、大量に連続印画を行った場合にサーマルヘッドよりも温度上昇率が高いプラテンローラの温度に基づいて、前記熱エネルギーを調節することにより、大量の連続印画の際にも濃度変動を安定化させることができる。
【0011】
また、本発明の別のサーマルプリンタ及びその濃度補正方法は、プリンタ本体内の絶対湿度を測定し、測定された絶対湿度に応じて前記サーマルヘッドが発生する熱エネルギーを補正することを特徴とする。濃度変動との密接な関係を持つ相対湿度及び温度の2つのパラメータによって決定される絶対湿度を、熱エネルギー補正のパラメータとして用いることで、相対湿度及び温度の変化に起因する濃度変動を安定化させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を実施したカラー感熱プリンタの概略を示すものである。このカラー感熱プリンタ10には、長尺のカラー感熱記録紙11(以下、記録紙という)がロール形態に巻かれてセットされる。給紙ローラ12は、記録紙ロール13と当接してこれを回転させ、記録紙ロール13から記録紙11の先端を引き出して搬送路へ給紙する。
【0013】
図2に示すように、記録紙11は、周知のように、支持体16上にシアン感熱発色層17,マゼンタ感熱発色層18,イエロー感熱発色層19が順次層設されている。なお、保護層20は、透明な樹脂層であり、各感熱発色層17〜19に傷が付いたりするのを防止する。
【0014】
図3は、これら各感熱発色層17〜18の発色特性を示す。最上層となるイエロー感熱発色層19は熱感度が最も高く、小さな熱エネルギーでイエローに発色する。最下層となるシアン感熱発色層は熱感度が最も低く、大きな熱エネルギーでシアンに発色する。イエローの画像を記録する場合には、イエロー用のバイアス熱エネルギーEbyに階調熱エネルギーEgyを加えた熱エネルギーが記録紙11に与えられる。このバイアス熱エネルギーEbyは、イエロー感熱発色層19が発色する直前の熱エネルギーであり、階調熱エネルギーEgyは、記録する画素の発色濃度、すなわちイエローの階調レベルに応じて決められる。イエロー感熱発色層19には、こらら階調熱エネルギーEgyとバイアス熱エネルギーEbyとを合計した熱エネルギーEyが与えられることにより、イエロー画像が熱記録される。なお、マゼンタ,シアンについても同様であるので、それぞれに記号Ebm,Egm,Ebc,Egcを付してある。
【0015】
また、イエロー感熱発色層19とマゼンタ感熱発色層18とは、それぞれ特有な波長域の光による光定着性を有しており、イエロー感熱発色層19は、ピーク波長が約420nm付近の青紫色の光であるイエロー定着光が照射されたときに、発色能力が消失する。マゼンタ感熱発色層は、ピーク波長が365nm付近の近紫外線であるマゼンタ定着光が照射されたときに発色能力が消失する。
【0016】
給紙ローラ12の下流側には、サーマルヘッド21,搬送ローラ対22,光定着器23,カッタ24が順に配置されている。搬送ローラ対22は、給紙された記録紙11をニップして、給紙側から排紙側へ向かうA方向と、排紙側から給紙側へ向かうB方向とに搬送する。搬送ローラ対22は、給紙ローラ12とともに搬送モータ26により駆動される。搬送モータ26としては、例えば、与えられた駆動パルスの個数に応じて回転量が決まるパルスモータが使用される。コントローラは、この駆動パルスをアップ及びダウンカウントすることにより、記録紙11のA方向及びB方向の搬送量を制御する。
【0017】
記録紙11は、この搬送中にサーマルヘッド21による熱記録と光定着器23による光定着が行われる。光定着器23は、イエロー定着光を発光するイエロー用定着ランプ23aと、マゼンタ用定着光を発光するマゼンタ用定着ランプ23bと、リフレクタとからなる。イエロー定着ランプ23aは、イエロー画像を熱記録済みのイエロー感熱発色層19に対してイエロー定着光を照射して光定着する。マゼンタ用定着ランプ24aは、マゼンタ画像を記録済みのマゼンタ感熱発色層18に対してマゼンタ定着光を照射して光定着する。リフレクタは、イエロー用及びマゼンタ用の各定着ランプ23a,23bが放射した光を記録紙11に向けて反射する。カッタ24は、記録紙11のプリント済みの部分をシート状にカットする。カットされた記録紙11は、ケース28に形成された排紙口28aから排紙される。
【0018】
サーマルヘッド21は、記録紙11と圧接して各感熱発色層を加熱することによりイエロー,マゼンタ,シアンの各色の画像を熱記録する。サーマルヘッド21には、多数の発熱素子をライン状に配列した発熱素子アレイ31が設けられている。発熱素子アレイ31は、画像データに基づいて各発熱素子が駆動され、画素毎の濃度に応じた熱エネルギーを記録紙に与える。
【0019】
サーマルヘッド21は高温に達するので、その上面には、放熱フィン32と冷却ファン33とからなる冷却機構が取り付けられている。また、サーマルヘッド21には、サーマルヘッド21の温度(ヘッド温度Th)を測定するヘッド温度センサ34が取り付けられている。さらに、サーマルヘッド21の上方には、ケース28内の環境温度Teを測定する環境温度センサ36が設けられている。周知のように、ヘッド温度Thや環境温度Teが変化すると、記録紙11の発色濃度の変動が生じる。そのため、これらヘッド温度Thと環境温度Teとに基づいてサーマルヘッド21が発生する熱エネルギーEy,Em,Ecが補正される。
【0020】
ヘッド温度センサ34,環境温度センサ36のいずれも、温度変化に応じて電気抵抗が変化する性質を利用するサーミスタが使用される。
【0021】
サーマルヘッド21と対向する位置には、サーマルヘッド21からの押圧を受ける記録紙11を裏面から支持するプラテンローラ37が設けられている。記録紙11は、これらサーマルヘッド21とプラテンローラ37とで挟み込まれた状態で熱記録される。
【0022】
実験によって、このプラテンローラ37は、サーマルヘッド21から記録紙11を通じて伝達される熱により、高温に達することが分かった。図4は、連続印画した場合のヘッド温度Th、プラテンローラ37の温度(プラテン温度Tp)、環境温度Teのそれぞれの変化を示すグラフである。ヘッド温度Thは、プラテン温度Tpと比較して、連続印画枚数が少ないときから、温度上昇の勾配が大きいが、連続印画枚数が100枚を越えた辺りから、その勾配はほぼフラットになる。一方、プラテン温度Tpは、連続印画枚数が少ないときには、ヘッド温度Thと比較して、温度上昇の勾配が小さい反面、連続印画枚数が100枚を越えた後は、ヘッド温度Thよりも、温度上昇の勾配が大きくなる。
【0023】
すなわち、大量に連続してプリントを行った場合には、プラテン温度Tpは、ヘッド温度Thよりも温度変化が大きい。この原因は、サーマルヘッド21には上述の冷却機構が設けられている一方、プラテンローラ37には冷却機構が設けられていないことにあると考えられる。このことから、大量に連続して印画する場合に濃度変動の幅が大きくなる原因は、プラテンローラ37の温度変化に起因するものと考えられる。このため、プラテンローラ37を冷却する冷却機構を設けることも考えられるが、こうすると、プリンタが大型化してしまう。
【0024】
そこで、プラテンローラ37の近傍に、プラテン温度Tpを測定するプラテン温度センサ38を設け、測定されたプラテン温度Tpに基づいて、各色の熱エネルギーEy,Em,Ecを補正している。
【0025】
プラテン温度センサ38としては、環境温度センサ36と同様に接触型温度センサが使用される。プラテン温度Tpを正確に測定するためには、接触型温度センサを該ローラ37に直に取り付ける必要があるが、プラテンローラ37は回転体であるため、接触型温度センサを該ローラ37に直に取り付けることはできない。他方、プラテンローラ37から放射される赤外線により温度を測定する非接触型温度センサを設けることも考えられるが、非接触型温度センサは接触型温度センサと比較して非常に高価であるため、部品コストを考慮すると、これを採用することは難しい。
【0026】
そこで、プラテンローラ37の近傍で、かつ、プラテンローラ37の温度変化と相関の高い場所、例えば、プラテンローラ37から約20mm離れた場所に非接触型温度センサを配置し、その場所の気温をプラテン温度Tpとして利用している。こうすることで、温度測定の正確性を確保するとともに、部品コストの増加を抑えている。もちろん、ローコスト化よりも温度測定の正確性を優先させるのであれば、高価な非接触型温度センサを使用してもよい。
【0027】
また、プラテン温度センサ38の近傍には、相対湿度センサ39が設けられている。このプラテン温度センサ38と相対湿度センサ39とは、サーマルヘッド21付近の絶対湿度Habを測定する絶対湿度測定手段を構成する。上述したとおり、相対湿度Hrと濃度の関係は、温度と密接な関係を持つ。そのため、本例においては、相対湿度Hrと温度Tpとの2つのパラメータによって決定される物理量である絶対湿度Habを測定し、この絶対湿度Habに応じて前記熱エネルギーEy,Em,Ecを補正している。周知のように、相対湿度Hrは、空気中に含むことができる水蒸気の限界量(g)と、実際に含んでいる水蒸気の量(g)との割合(%)をいい、他方、絶対湿度Habは、ある温度における空気1m3 中の水蒸気量(g)をいう。
【0028】
以下に示す式(1) は、絶対湿度Habと相対湿度Hrの関係を示す。
Hab=W(T)×Hr ・・・・ 式(1)
ここで、W(T)は、温度Tの時の空気1m3 中の飽和水蒸気量(g/m3 )である。
【0029】
この式(1) により、相対湿度センサ39によって測定された相対湿度Hrと、プラテン温度センサ38によって測定された温度Tpとに基づいて、絶対湿度Habが求められる。本例では、サーマルヘッド21付近の絶対湿度Habを測定するために、プラテン温度センサ38を利用しているが、これは、連続印画枚数の多寡に関わらず、常に濃度の変動幅を抑制するためである。したがって、大量に連続印画を行う場合を考慮しないのであれば、ヘッド温度センサ34の近傍に相対湿度センサを設け、これらに基づいてサーマルヘッド21付近の絶対湿度Habを測定し、この絶対湿度Habに基づいて熱エネルギーの補正を行ってもよい。その場合でも、連続印画の枚数が少ない範囲においては、濃度の変動幅を抑制することができる。
【0030】
以下に、熱エネルギーの補正式を示す。
E=E0×(1−Ke・Te−Kh・Th−Kp・Tp−Kab・Hab)・・・・・式(2)
ここで、E0は、補正前の熱エネルギーであり、Eは、補正後の熱エネルギーである。また、Ke,Kh,Kp,Kabは、それぞれ環境温度Te,ヘッド温度Th,プラテン温度TP,絶対湿度Habのそれぞれの係数である。熱エネルギーEは、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の感熱発色層に応じて異なるので、補正は各色毎に行われる。
【0031】
図5は、上記補正を施した場合における連続印画時の濃度変動を示すグラフであり、図6は、上記補正を施した場合における、環境温度Teと相対湿度HRの変化による濃度変動を示すグラフである。図5のグラフから明らかなように、上記補正を施した場合には、従来の補正方法と比較して、連続印画枚数が20枚を越えた後に濃度変動の幅が大きくなることはない。このため、最大濃度と最小濃度との濃度差ΔODc2の値は、0.026となり、従来の濃度差ΔODc1の値(0.15)と比較して、1/5以下に抑えられる。また、図6のグラフから明らかなように、環境温度Teと相対湿度HRの変化に起因する濃度差ΔODh2の値は、0.04となり、従来(図11参照)のΔODh1の値(0.2)と比較すると、1/5程度に抑えられる。
【0032】
図7は、サーマルヘッド及びヘッド制御部の電気構成を示すブロック図である。フレームメモリ40には、1フレームの画像データが色毎に分離された状態で書き込まれている。階調表現加熱に際して、フレームメモリ40からプリントすべき色の画像データが1ラインずつ読み出されてラインメモリ41に書き込まれる。画像データは、例えば、256階調を表現する画素毎のデータの集合である。ラインメモリ41の画像データは、画素毎に読み出されてコンパレータ42に送られる。コンパレータ42には、階調データ発生回路43が接続されている。階調データ発生回路43は、階調データ(比較データ)を発生してこれをコンパレータ42に送る。コンパレータ42は、各画素の画像データと階調データとを比較し、画像データの方が大きい場合には、「1」の信号を出力し、小さい場合には「0」の信号を出力する。これにより、「0」階調から「N」階調までアクティブかノンアクティブかの駆動データがサーマルヘッド21へ送られる。
【0033】
階調データ発生回路43は、例えば256階調の場合に、16進法で「0」〜「FF」の階調データを順番に発生する。コンパレータ42は、階調データ発生回路43「0」の階調データが送られると、この階調データに対して、各画素の画像データを順番に比較する。これにより、1ライン分の比較結果がシリアル信号としてコンパレータ42から出力され、シフトレジスタ44に送られる。1ライン分の画像データの比較が終了すると、階調データ発生回路43は、「1」の階調データを発生してコンパレータ42に送る。これを「0」〜「FF」まで繰り返すことにより、各画素の画像データは256回比較され、256ビットの駆動データに変換される。そして、この256ビットの駆動データは、256回に分けてシフトレジスタ44に送られる。
【0034】
シリアルな駆動データは、コントローラ45からのクロックによってシフトレジスタ44内でシフトされてパラレル信号に変換される。シフトレジスタ44でパラレル信号に変換された駆動データは、ラッチ信号に同期してラッチアレイ46にラッチされる。
【0035】
ANDゲートアレイ47には通電時間制御回路48が接続されている。通電時間制御回路48はコントローラ45からの制御信号によりストローブ信号をANDゲートアレイ47に送る。ANDゲートアレイ47は、ストローブ信号が入力されたときに、入力されている駆動信号が「1」の場合に「H」の信号を出力する。これらのANDゲートアレイ47とラッチアレイ46とは、各画素毎に回路素子が設けられている。
【0036】
ANDゲートアレイ47の各出力端子には、トランジスタ55a〜55nがそれぞれ接続されており、出力信号が「H」の場合にトランジスタがONする。これらのトランジスタ55a〜55nには、発熱素子31a〜31nが直接に接続されている。各発熱素子31a〜31nとしては抵抗素子が用いられている。発熱素子31a〜31nには電圧制御回路57が接続されている。
【0037】
電圧制御回路57は、整流回路、電圧安定化回路等から構成されており、サーマルヘッド21に対して異なる電圧値を印加する複数のポートを備えている。これらのポートは、セレクタ58によって選択され、選択された電圧が発熱素子31a〜31nに印加される。
【0038】
コントローラ45には、ヘッド温度センサ34,環境温度センサ36,プラテン温度センサ38、相対湿度センサ39がそれぞれA/Dコンバータ59を介して接続されており、各センサから温度データ及び相対湿度データが入力される。コントローラ45内の電圧補正部61は、前記各センサによって測定された温度データと相対湿度データとに基づいて、予め記憶された補正前の各色の熱エネルギーE0を、前記式(2) にしたがって補正する。そして、算出された補正後の熱エネルギーEに基づいて、次式(3)により、ヘッド電圧Vhを算出する。
Vh=√(E/R)・・・・式(3)
ここで、Rは、サーマルヘッドの平均抵抗値である。
【0039】
コントローラ45は、算出した補正電圧データの値に対応するポートが選択されるように、セレクタ58を制御する。これにより、サーマルヘッド21に対して印加される電圧値が制御されて、サーマルヘッド21の熱エネルギーEが調節される。
【0040】
以下、上記構成による作用について、図8及び図9に示すフローチャートに基づいて説明する。記録紙11が給紙されると、イエロー画像の熱記録が開始される。このイエロー画像の熱記録の際には、イエロー用の熱エネルギーEyが補正される。図9に示すように、コントローラ45は、まず、ヘッド温度センサ34、環境温度センサ36、プラテン温度センサ38、相対湿度センサ39から、それぞれの温度Th、Te、Tpと、相対湿度Hrを読み取る。次に、プラテン温度Tpと、相対湿度Hrとから絶対湿度Habを求め、ヘッド温度Th、環境温度Te、絶対湿度Habに基づいて、式(2)により、イエロー用の熱エネルギーEyを補正する。そして、補正されたイエロー用の熱エネルギーEyに基づいて、式(3)により、ヘッド電圧Vhを求める。
【0041】
コントローラ45は、算出したヘッド電圧Vhに基づいて、セレクタ58を切り換える。サーマルヘッド21には、温度及び絶対湿度に基づいて補正されたヘッド電圧Vhが印加される。サーマルヘッド21は、このヘッド電圧Vhのもと、1ラインずつ読み出される画像データに基づいて駆動される。これにより、画素毎の階調レベルに応じて記録紙11が加熱されてイエロー画像が記録される。
【0042】
イエロー画像の熱記録開始時には、イエロー定着ランプ23aが点灯し、イエロー画像の記録済み部分が光定着器23に送られると、順次イエローの光定着が行われる。イエロー画像の熱記録及び光定着が終了すると、記録紙11は、B方向に搬送されていったん巻き戻された後、マゼンタ画像の熱記録が開始される。
【0043】
マゼンタ画像を開始する際には、上記イエロー用熱エネルギーの補正手順と同様に、マゼンタ用熱エネルギーEmが補正され、それに応じたヘッド電圧Vhが求められる。このヘッド電圧Vhがサーマルヘッド21に印加されてマゼンタ画像が熱記録される。マゼンタ画像が記録された記録済み部分は、光定着器23に送られて、光定着が行われる。マゼンタ画像の熱記録及び光定着が終了すると、再度、記録紙11が巻き戻された後、シアン画像の熱記録が開始される。このシアン画像の熱記録に際しては、イエロー及びマゼンタと同様に、シアンの熱エネルギーEcが補正され、それに応じたヘッド電圧Vhがサーマルヘッド21に印加されて、シアン画像の熱記録が行われる。シアン画像の熱記録が終了すると、印画済み部分が切断されて、排紙口28aから排紙される。
【0044】
連続印画をする場合には、上記手順が繰り返される。連続印画をすると、サーマルヘッド21及びプラテンローラ37の温度が上昇するが、これらの温度変化に応じて熱エネルギーが補正されるから、濃度変動を抑えることができる。
【0045】
上記実施形態では、プラテン温度Tpによる補正と、絶対湿度Habによる補正の両方を行っているが、いずれか一方でもよい。プラテン温度Tpのみによる補正の場合には、熱エネルギーEの補正式は、次式(4)のようになる。
E=E0×(1−Ke・Te−Kh・Th−Kp・Tp)・・・・・式(4)
この補正によれば、大量の連続印画を行った場合の濃度変動を抑えることができるが、温度と相対湿度の変化に応じた濃度変動を抑えることはできない。
【0046】
他方、絶対湿度Habのみによる補正の場合には、熱エネルギーEの補正式は、次式(5)のようになる。
E=E0×(1−Ke・Te−Kh・Th−Kab・Hab)・・・・・式(5)
この補正によれば、温度と相対湿度の変化に応じた濃度変動を抑えることはできるが、大量の連続印画を行った場合の濃度変動を抑えることはできない。
【0047】
また、上記熱エネルギーEの補正式では、いずれも、環境温度Teをパラメータに含めているが、これをパラメータから除いてもよい。
【0048】
また、絶対湿度として、サーマルヘッド付近の絶対湿度を測定し、この測定値を基に補正を行っているが、絶対湿度の測定ポイントは、プリンタ本体内の任意のポイントでよく、例えば、環境温度センサで測定した環境温度Teと、その測定ポイントの相対湿度とから絶対湿度(環境絶対湿度)を求め、これを基に補正してもよい。
【0049】
絶対湿度測定手段を、温度センサと相対湿度センサとから構成し、測定した温度及び相対湿度から演算によって求めているが、直接絶対湿度を測定可能な絶対湿度センサを用いてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、サーマルヘッドへ印加する電圧を調節することで、濃度補正を行っているが、これ以外でも、加熱時間を調節することにより濃度補正を行ってもよい。
【0051】
上記実施形態では、カラー感熱プリンタを例に説明したが、カラー感熱プリンタ以外のサーマルプリンタ、例えば、サーマルヘッドによりインクを加熱して記録紙に転写する熱転写方式のサーマルプリンタに本発明を適用してもよい。また、ヒートローラが発生する熱エネルギーを調節することで、画像を形成するトナーの濃度を調節するプリンタに適用してもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は、サーマルヘッドの温度と、プラテンローラの温度とを測定し、これらヘッド温度とプラテン温度とに基づいて、サーマルヘッドが発生する熱エネルギーを補正するようにしたから、大量に連続印画した場合の濃度変動を小さくすることができる。
【0053】
また、プリンタ本体内の絶対湿度を測定し、この絶対湿度に基づいてサーマルヘッドが発生する熱エネルギーを補正するようにしたから、温度及び相対湿度が変化した場合の濃度変動を小さくすることができる。
【0054】
また、プリンタ本体内の各種の温度及び湿度の変化に基づいて濃度補正を行うようにしたから、サーマルヘッドの温度を安定化させる冷却機構を小型化することも可能になる。この結果としてプリンタの小型化、ローコスト化にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラー感熱プリンタの構成図である。
【図2】カラー感熱記録紙の層構成を示す断面図である。
【図3】カラー感熱記録紙の発色特性を示すグラフである。
【図4】連続印画を行ったときの各部の温度変化を示すグラフである。
【図5】連続印画を行ったときの濃度変動を示すグラフである。
【図6】環境温度変化による濃度変動を示すグラフである。
【図7】サーマルヘッド及びヘッド制御部の電気構成を示すブロック図である。
【図8】印画手順を示すフローチャートである。
【図9】熱エネルギー補正手順を示すフローチャートである。
【図10】従来の補正方法によって連続印画を行ったときの濃度変動を示すグラフである。
【図11】従来の方法によって温度と相対湿度の変化に応じた補正をした場合の濃度変動を示すグラフである。
【符号の説明】
10 カラー感熱プリンタ
11 カラー感熱記録紙
21 サーマルヘッド
34 ヘッド温度センサ
36 環境温度センサ
37 プラテンローラ
38 プラテン温度センサ
39 相対湿度センサ
45 コントローラ
61 電圧算出部
Claims (4)
- 画素の濃度に応じた熱エネルギーを発生して記録紙への印画を行うサーマルヘッドと、このサーマルヘッドと対向する位置に配置され記録紙を裏面から支持するプラテンローラとを備えたサーマルプリンタにおいて、
前記サーマルヘッドの温度を測定するヘッド温度測定手段と、前記プラテンローラの温度を測定するプラテン温度測定手段と、前記ヘッド温度測定手段及びプラテン温度測定手段によって測定されたヘッド温度及びプラテン温度に基づいて、前記サーマルヘッドが発生する熱エネルギーを補正する補正手段とを設けたことを特徴とするサーマルプリンタ。 - 画素の濃度に応じた熱エネルギーを発生して記録紙への印画を行うサーマルヘッドと、このサーマルヘッドと対向する位置に配置され記録紙を裏面から支持するプラテンローラとを備えたサーマルプリンタの濃度補正方法において、
前記サーマルヘッドの温度と前記プラテンローラの温度とを測定し、これらの温度に応じて前記サーマルヘッドが発生する熱エネルギーを補正するサーマルプリンタの濃度補正方法。 - 画素の濃度に応じた熱エネルギーを発生して記録紙への印画を行うサーマルヘッドと、このサーマルヘッドと対向する位置に配置され記録紙を裏面から支持するプラテンローラとを備えたサーマルプリンタにおいて、
プリンタ本体内の絶対湿度を測定する絶対温度測定手段を設け、測定された絶対湿度に応じて前記サーマルヘッドが発生する熱エネルギーを補正するサーマルプリンタ。 - 画素の濃度に応じた熱エネルギーを発生して記録紙への印画を行うサーマルヘッドと、このサーマルヘッドと対向する位置に配置され記録紙を裏面から支持するプラテンローラとを備えたサーマルプリンタの濃度補正方法において、
プリンタ本体内の絶対湿度を測定し、測定された絶対湿度に応じて前記サーマルヘッドが発生する熱エネルギーを補正することを特徴とするサーマルプリンタの濃度補正方法。
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2002
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