JP2005026023A - 非水電解質空気電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極と、リチウムイオンを吸蔵、放出する能力を有する負極と、溶融塩を含む非水電解質と、前記正極に酸素を供給するための空気孔を備える収納容器とを具備した非水電解質空気電池において、前記溶融塩を構成するアニオン成分として[N(CN)2]−を含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素を正極活物質として利用する非水電解質空気電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話や電子メール端末などの携帯型情報機器の市場は急速に拡大しつつあり、これらの機器の小型軽量化が進むにつれて、電源にも小型かつ軽量であることが求められるようになってきた。現在、これらの携帯機器には高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池が多用されているが、さらに高容量が得られる電池が求められている。
【0003】
空気中の酸素を正極活物質に用いる空気電池は、正極活物質を電池に内蔵する必要がないため、高容量化が期待できる。非特許文献1(ページ[A1190]の[Experimental]参照)には、MnO2及びカーボンブラックを含む正極と、カーボンブラック及びアセチレンブラックを含む負極と、正極と負極の間に配置されるセパレータと、正極と負極とセパレータに含浸される非水電解液とを備えるリチウム/酸素有機電解質電池が記載されている。この空気電池の非水電解液には、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、テトラヒドロフラン(THF)やテトラヒドロピラン(THP)のような有機溶媒にLiPF6などのリチウム塩を溶解させたものが用いられている。
【0004】
これら非水電解液を用いた有機溶媒を使用したリチウム/酸素有機電解質電池は、非水電解液の導電性が高いために大電流放電特性に優れている。しかしながら、非水電解液に使用する有機溶媒の蒸気圧が高いため、非水電解液に有機溶媒を使用したリチウム/酸素有機電解質電池は使用状態、すなわち正極へ酸素を取り入れる空気孔を開放した状態では、非水電解液に使用する有機溶媒が揮発してしまい、リチウムイオン伝導度が低下し、放電容量が著しく低下してしまうという問題点がある。このような現象は、特に高温条件下で著しく発現する。
【0005】
【非特許文献1】
Journal of The Electrochemical Society, 149(9) A1190−A1195(July 29, 2002)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記課題を解決するために、蒸気圧の低い溶融塩を使用することが考えられる。前記溶融塩としては、たとえば1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートにリチウムテトラフルオロボレートを溶解した、室温で液体状態である溶融塩をあげることができる。このような常温溶融塩を用いることにより非水電解液の揮発は防ぐことが可能となる。しかしながら、これら溶融塩は電気伝導度が低く、大電流放電特性に劣るという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、大電流放電特性に優れ、かつ高温貯蔵後の容量維持率が向上された非水電解質空気電池を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の非水電解質空気電池は、正極と、リチウムイオンを吸蔵、放出する能力を有する負極と、溶融塩を含む非水電解質と、前記正極に酸素を供給する空気孔を備える収納容器とを具備した非水電解質空気電池において、
前記溶融塩を構成するアニオン成分として[N(CN)2]−を含有することを特徴とする。
【0009】
請求項2の非水電解質空気電池は、請求項1において、前記溶融塩を構成するカチオン成分として、下記化学式1乃至化学式6に示すカチオンのうちの少なくとも1種類を含有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解質空気電池。
【0010】
【化7】
【0011】
但し、R1、R2、R3及びR4は、炭素数が8以下のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、及び炭素数が8以下で炭素、水素、及び酸素からなる置換基から選ばれる。
【0012】
【化8】
【0013】
但し、R5及びR7は、炭素数が8以下のアルキル基、及び炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基から選ばれ、R6、R8は、炭素数が8以下のアルキル基、及び炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基、及び水素から選ばれる。
【0014】
【化9】
【0015】
但し、R9は、炭素数が8以下のアルキル基、及び炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基から選ばれる。
【0016】
【化10】
【0017】
但し、R10及びR11は、炭素数が8以下のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、及び炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基から選ばれる。
【0018】
【化11】
【0019】
但し、R12及びR13は、炭素数が8以下のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、及び炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基から選ばれる。
【0020】
【化12】
【0021】
但し、R14及びR16は、炭素数が8以下のアルキル基、炭素、水素及び酸素からなる置換基から選ばれ、R15は、炭素数が8以下のアルキル基から選ばれる。請求項3の非水電解質空気電池は、請求項1において、前記溶融塩が、BF4 −、PF6 −、B(C2O4)2 −、あるいは下記化学式A乃至化学式Cに示すアニオンのうちの少なくとも1種類を含有することを特徴とする。
【0022】
但し、mは1以上、8以下である。
【0023】
但し、n及びpはそれぞれ1以上、8以下の範囲内である。
【0024】
但し、前記化学式Cにおいて、qは1以上、8以下の範囲内である。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明に係る非水電解質空気電池は、正極と、リチウムイオンを吸蔵、放出する能力を有する負極と、溶融塩を含む非水電解質と、前記正極に酸素を供給するための空気孔を備える収納容器とを具備した非水電解質空気電池において、前記溶融塩を構成するアニオン成分として[N(CN)2]−を含有することを特徴とするものである。
【0026】
また、前記溶融塩を構成するカチオン成分としては、上述した化学式1乃至化学式6に示すカチオンのうちの少なくとも1種類を含有することが大電流放電特性を向上することから望ましい。
【0027】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、非水電解質空気電池の電解液として[N(CN)2]−をアニオン成分として有する溶融塩を用いると、蒸気圧が低いために放電中の電解液の揮発を抑制することができ、さらに電気伝導度が高いために大電流放電特性に優れた非水電解質空気電池が得られることを見出した。
【0028】
次に、正極、負極、非水電解質、収納容器について説明する。
1)正極
正極は、正極集電体と、この正極集電体に担持された正極層とを含む。
【0029】
前記集電体としては、酸素の拡散を速やかに行わせるために多孔質の導電性基板(メッシュ、パンチドメタル、エクスパンディドメタル等)を用いることが好ましい。前記導電性基板の材質としては、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタンなどを挙げることができる。なお、前記集電体は、酸化を抑制するために表面に耐酸化性の金属または合金を被覆しても良い。
【0030】
前記正極層は、例えば、炭素質物と結着剤とを混合し、この混合物をフィルム状に圧延して製膜し、乾燥することで形成することができる。あるいは、例えば炭素質物と結着剤とを溶媒中で混合し、これを集電体に塗布し、乾燥・圧延して形成することができる。
【0031】
前記炭素質物としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラック、ファーネスブラック、活性炭、活性炭素繊維、木炭類等を挙げることができる。この炭素質物の表面にコバルトフタロシアニンなどの酸素発生過電圧を低下させる機能を有する微粒子を担持させ、酸素の還元反応の効率を高めることも可能である。また、炭素質物にアセチレンブラックなどの高導電性炭素質物を添加し、正極層の導電性を高めることも可能である。
【0032】
炭素質物を層状に形状維持するとともに、集電体に付着させるための結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などを用いることができる。
【0033】
結着剤は、正極層の形状を保ち、かつ正極層を集電体に接着させる機能を有する。かかる結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などを用いることができる。
【0034】
正極における炭素質物及び結着剤の配合割合は、炭素質物70〜98重量%、結着剤2〜30重量%の範囲であることが好ましい。
【0035】
2)負極
この負極は、負極集電体と、前記負極集電体に担持される負極活物質含有層とを含む。
【0036】
負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵放出する材料を用いることができる。
【0037】
リチウムイオンを吸蔵放出する材料としては、従来よりリチウムイオン電池またはリチウム電池に使用されている材料を使用することができる。中でも、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、リチウム金属、リチウム合金、リチウム複合酸化物、またはリチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物よりなる群から選択される少なくとも1種類の材料を、負極活物質として使用することが好ましい。
【0038】
リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物としては、例えば黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料、熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体などに500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料を挙げることができる。
【0039】
前記金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などを挙げることができる。
【0040】
前記金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物、チタン硫化物などを挙げることができる。
【0041】
前記金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物などを挙げることができる。
【0042】
前記リチウム合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金などを挙げることができる。
【0043】
負極集電体としては、例えば、多孔質構造の導電性基板、無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。多孔質構造の導電性基板としては、メッシュ、パンチドメタル、エクスパンディドメタル等を用いたり、あるいは金属箔に負極活物質含有層を担持させた後、前記金属箔に孔を開けたものを多孔質構造の導電性基板として用いることができる。
【0044】
炭素質物のような負極活物質を含む負極は、例えば、負極活物質と結着剤とを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製することができる。
【0045】
前記結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンープロピレンーブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。
【0046】
前記炭素質物及び前記結着剤の配合割合は、炭素質物80〜98重量%、結着剤2〜20重量%の範囲であることが好ましい。
【0047】
また、負極活物資として、リチウムイオンやリチウム合金などの金属材料を使用すれば、これらの金属材料は単独でもシート形状に加工することが可能なため、結着剤を使用せずに負極活物質層を形成することができる。また、これらの金属材料で形成された負極活物質層は直接負極端子に接続することもできる。
【0048】
なお、本発明の非水電解質電池を一次電池として使用する際には、負極活物質としては、金属イオンの放出能のみ有していれば良い。
【0049】
3)非水電解質
この非水電解質には溶融塩が含まれており、前記溶融塩を構成するアニオン成分として[N(CN)2]−を含有するものを用いることができる。また、溶融塩を構成するカチオン成分としては、例えば、前述した化学式1乃至化学式6に示すカチオンのうちの少なくとも1種類を用いることが望ましい。
【0050】
前述した化学式1に示すカチオンを構成するR1、R2、R3及びR4については、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、または炭素、水素及び酸素からなる置換基の中では、アルキル基が好ましい。フェニル基、ベンジル基はいずれか1つを含むことが望ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下するからである。炭素数のより好ましい範囲は、1〜4である。
【0051】
前述した化学式1に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
以下、種類を(1)〜(n)で分類分けして具体的材料を示した。
【0052】
(1)R1、R2、R3及びR4が、炭素数が8以下のアルキル基の材料として、例えば、N,N,N,N−テトラメチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルイソプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルイソブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルイソペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルネオペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−tert−ペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−(2−メチルブチル)アンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルヘプチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルオクチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N,N−ジメチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルイソプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルイソブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルペンチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−イソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N,N−ジイソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチル−N−メチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルイソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルイソブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルペンチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N,N−ジプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N,N−ジイソプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルイソブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルイソブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N,N,N,N−テトラエチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチルプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチルイソプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチルブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N,N−ジプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−イソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N,N−ジイソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルブチルアンモニウムイオン、N,N,N,N−テトラプロピルアンモニウムイオン、N,N,N,N−テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0053】
(2)R1、R2、R3及びR4が、炭素数が8以下のフェニル基の材料として、例えば、N,N,N−トリメチルアニリニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルアニリニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルアニリニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルアニリニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルアニリニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルアニリニウムイオン、N−メチル−N,N−ジプロピルアニリニウムイオン、N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルアニリニウムイオン、N−メチル−N,N−ジイソプロピルアニリニウムイオン、N,N,N−トリエチルアニリニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルアニリニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルアニリニウムイオン、N−ブチル−N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N,N−ジメチル−N−ペンチルアニリニウムイオン、N−ヘキシル−N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N−ヘプチル−N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N,N−ジメチル−N−オクチルアニリニウムイオン、N,N,N−トリメチルトルイジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルトルイジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルトルイジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルトルイジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルトルイジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルトルイジニウムイオン、N−メチル−N,N−ジプロピルトルイジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルトルイジニウムイオン、N−メチル−N,N−ジイソプロピルトルイジニウムイオン、N,N,N−トリエチルトルイジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルトルイジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルトルイジニウムイオン、N−ブチル−N,N−ジメチルトルイジニウムイオンが挙げられる。
【0054】
(3)R1、R2、R3及びR4が、炭素数が8以下のベンジル基の材料として、例えば、N,N,N−トリメチルベンジルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルベンジルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルベンジルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N−メチル−N,N−ジプロピルベンジルアンモニウムイオン、N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N−メチル−N,N−ジイソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N−ブチル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−ペンチルベンジルアンモニウムイオン、N−ヘキシル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムイオン、N−ヘプチル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−オクチルベンジルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0055】
(4)R1、R2、R3及びR4が、炭素数が8以下で炭素、水素、及び酸素からなる置換基の材料として、例えば、2−メトキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−エトキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−プロポキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−イソプロポキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−メトキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルペンチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルヘキシルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルヘプチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルオクチルアンモニウムイオン、2−エトキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、2−プロポキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、2−イソプロポキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルアニシジニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルアニシジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルアニシジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルアニシジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルアニシジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルアニシジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルアニシジニウムイオン、N−メチル−N,N−ジプロピルアニシジニウムイオン、N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルアニシジニウムイオン、N−メチル−N,N−ジイソプロピルアニシジニウムイオン、N,N,N−トリエチルアニシジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルアニシジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルアニシジニウムイオン、N−ブチル−N,N−ジメチルアニシジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−ペンチルアニシジニウムイオン、N−ヘキシル−N,N−ジメチルアニシジニウムイオン、N−ヘプチル−N,N−ジメチルアニシジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−オクチルアニシジニウムイオンが挙げられる。
中でも、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオンが好ましい。
【0056】
前述した化学式2に示すカチオンを構成するR5、R6、R7及びR8については、アルキル基、または炭素、水素及び酸素からなる置換基の中では、アルキル基が好ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下するからである。炭素数のより好ましい範囲は、R5及びR7においては1〜4であり、R6及びR8においては0〜2である。炭素数が0の場合とは、水素の場合である。
【0057】
前述した化学式2に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
【0058】
(1)R5及びR7が、炭素数が8以下のアルキル基、R6及びR8が、水素である材料として、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−tert−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−ネオペンチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムイオン、1−(2−メチルブチル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−tert−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−フェニルイミダゾリウムイオン、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−tert−ブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−ネオペンチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−イソペンチルイミダゾリウムイオン、1−(2−メチルブチル)−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−tert−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−ヘプチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジ−プロピルイミダゾリウムイオン、1−プロピル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−tert−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ペンチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ネオペンチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−イソペンチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−(2−メチルブチル)−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−tert−ペンチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1,3−ジイソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−tert−ブチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ペンチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ネオペンチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−イソペンチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−(2−メチルブチル)−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−tert−ペンチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1,3−ジブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−イソブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−sec−ブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−tert−ブチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジイソブチルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−sec−ブチルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−tert−ブチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジーsec−ブチルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−tert−ブチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
【0059】
(2)R5、R6、R7及びR8が、炭素数が8以下のアルキル基である材料として、例えば、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムイオン、3−エチル−1,2−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、2−エチル−1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、2−エチル−1−メチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジエチル−4−メチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
【0060】
(3)R5及びR7が、炭素数が8以下のアルキル基、R6及びR8が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基である材料として、例えば、2−(2−メトキシエチル)ー1−エチルー3−メチルイミダゾリウムイオン、2−(2−メトキシエチル)−1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、2−(2−メトキシエチル)ー1,3−ジエチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
【0061】
(4)R5及びR7が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基、R6及びR8が水素である材料として、例えば、1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジ(2−メトキシエチル)イミダゾリウムイオン、1−(2−エトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
【0062】
(5)R5及びR7が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基、R6及びR8が、炭素数が8以下のアルキル基である材料として、例えば、1−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジ(2−メトキシエチル)−2−メチルイミダゾリウムイオン、1−(2−エトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオンが挙げられる
(6)R5、R6、R7及びR8が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基の材料として、例えば、1,2−ジ(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジ(2−メトキシエチル)−3−エチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
【0063】
中でも、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムイオンが好ましい。とくに、負極として金属リチウム、あるいは炭素質物を用いる場合は、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオンがより好ましい。
【0064】
前述した化学式3に示すカチオンを構成するR9については、アルキル基、または炭素、水素及び酸素からなる置換基の中では、アルキル基が好ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下するからである。炭素数のより好ましい範囲は、1〜4である。
【0065】
前述した化学式3に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
【0066】
(1)R9は、炭素数が8以下のアルキル基の材料として、
N−メチルピリジニウムイオン、N−エチルピリジニウムイオン、N−プロピルピリジニウムイオン、N−イソプロピルピリジニウムイオン、N−ブチルピリジニウムイオン、N−イソブチルピリジニウムイオン、N−sec−ブチルピリジニウムイオン、N−tert−ブチルピリジニウムイオン、N−ペンチルピリジニウムイオン、N−ネオペンチルピリジニウムイオン、N−イソペンチルピリジニウムイオン、N−(2−メチルブチル)ピリジニウムイオン、N−tert−ペンチルピリジニウムイオン、N−ヘキシルピリジニウムイオン、N−へプチルピリジニウムイオン、N−オクチルピリジニウムイオン、
が挙げられる。
【0067】
(2)R9は、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基の材料として、OLE_LINK1N−(2−メトキシエチル)ピリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)ピリジニウムイオン、が挙げられる。OLE_LINK1中でも、N−ブチルピリジニウムイオンが好ましい。また、前述した化学式3を用いる場合、負極活物質としては、リチウムチタン酸化物など、金属リチウムに対して0.5V以上高い電位で放電することが可能な活物質を用いることが好ましい。
【0068】
前述した化学式4に示すカチオンを構成するR10及びR11については、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、または炭素、水素及び酸素からなる置換基の中では、アルキル基または炭素、水素及び酸素からなる置換基が好ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下するからである。炭素数のより好ましい範囲は、1〜4である。
【0069】
前述した化学式4に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
【0070】
(1)R10及びR11は、炭素数が8以下のアルキル基の材料として、例えば、N,N−ジメチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−イソブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−tert−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−オクチルピロリジニウムイオン、N,N−ジエチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−イソブチル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−tert−ブチル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−ペンチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−ヘキシルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−ヘプチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−オクチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−プロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−イソプロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオンが挙げられる。
【0071】
(2)R10及びR11は、炭素数が8以下のフェニル基の材料として、例えば、N−メチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−フェニル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−フェニル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−ペンチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−オクチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−プロピル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−イソプロピル−N−トリル−ピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ペンチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−オクチル−N−トリルピロリジニウムイオンが挙げられる。
【0072】
(3)R10及びR11は、炭素数が8以下のベンジル基の材料として、例えば、N−ベンジル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ブチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ペンチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ヘキシルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ヘプチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−オクチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−プロピル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−イソプロピル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ペンチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−オクチル−N−トリルピロリジニウムイオンが挙げられる。
【0073】
(4)R10及びR11は、炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基の材料として、例えば、N−(2−メトキシエチル)ーN−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)ーN−メチルピロリジニウムイオン、N−メチルーN−(2−メトキシフェニル)ピロリジニウムイオン、N−メチルーN−(4−メトキシフェニル)ピロリジニウムイオン、N−エチルーN−(2−メトキシフェニル)ピロリジニウムイオン、N−エチルーN−(4−メトキシフェニル)ピロリジニウムイオンが挙げられる。
中でも、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−イソブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオンが好ましい。
【0074】
前述した化学式5に示すカチオンを構成するR12及びR13については、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、または炭素、水素及び酸素からなる置換基の中では、アルキル基または炭素、水素及び酸素からなる置換基が好ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下するからである。炭素数のより好ましい範囲は、1〜4である。
【0075】
前述した化学式5に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
【0076】
(1)R12及びR13は、炭素数が8以下のアルキル基の材料として、例えば、N,N−ジメチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−イソブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−tert−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−オクチルピペリジニウムイオン、N,N−ジエチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−イソブチル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−tert−ブチル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−ヘキシルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−ヘプチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−オクチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−プロポキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−イソプロポキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオンが挙げられる。
【0077】
(2)R12及びR13は、炭素数が8以下のフェニル基の材料として、例えば、N−メチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−フェニル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−フェニル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−ペンチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−オクチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−プロピル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−イソプロピル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ペンチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−オクチル−N−トリルピペリジニウムイオンが挙げられる。
【0078】
(3)R12及びR13は、炭素数が8以下のベンジル基の材料として、例えば、N−ベンジル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ブチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ヘキシルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ヘプチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−オクチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−プロピル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−イソプロピル−N−トリル−ピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ペンチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−オクチル−N−トリルピペリジニウムイオンが挙げられる。
【0079】
(4)R12及びR13は、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基の材料として、例えば、N−(2−メトキシエチル)ーN−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)ーN−メチルピペリジニウムイオン、N−メチルーN−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−メチルーN−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−エチルーN−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−エチルーN−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオンが挙げられる。
【0080】
中でも、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−イソブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオンが好ましい。
【0081】
前述した化学式6に示すR14、R15、及びR16については、アルキル基、または炭素、水素及び酸素からなる置換基の中では、アルキル基が好ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下するからである。炭素数のより好ましい範囲は、R14及びR16においては1〜4であり、R15においては1〜2である。
【0082】
前述した化学式6に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
【0083】
(1)R14、R15、及びR16が、炭素数が8以下のアルキル基である材料として、例えば、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウムイオン、3−エチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリニウムイオン、1,2−ジメチル−3−イソプロピルイミダゾリニウムイオン、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウムイオン、2−エチル−1−メチル−3−プロピルイミダゾリニウムイオン、2−エチル−1−メチル−3−イソプロピルイミダゾリニウムイオン、が挙げられる。
【0084】
(2)R14及びR16が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基、R15が炭素数が8以下のアルキル基である材料として、例えば、1−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリニウムイオン、1,3−ジ(2−メトキシエチル)−2−メチルイミダゾリニウムイオン、1−(2−エトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリニウムイオンが挙げられる
中でも、3−エチル−1,2−ジメチル−イミダゾリニウムイオンが好ましい。また、前述した化学式6を用いる場合、負極活物質としては、リチウムチタン酸化物など、金属リチウムに対して0.5V以上高い電位で放電することが可能な活物質を用いることが好ましい。
【0085】
また、前記溶融塩を構成するアニオン成分として、BF4 −、PF6 −、B(C2O4)2 −、あるいは下記(化学式A)〜(化学式C)に示すアニオンのうちの少なくとも1種類を含有することが望ましい。
これらのBF4 −、PF6 −、B(C2O4)2 −アニオンを生じさせる塩としては、アルカリ金属或いはアルカリ土類金属のカチオン、或いは化学式1〜化学式6のカチオンとBF4 −、PF6 −、B(C2O4)2 −アニオンを組み合わせて得られる塩を挙げることができる。
【0086】
但し、前記(化学式A)式におけるmは1以上、8以下である。
この化学式Aのアニオン成分を有する塩として、アルカリ金属或いはアルカリ土類金属のカチオン、或いは化学式1〜化学式6のカチオンと化学式Aのアニオンを組み合わせて得られる塩を挙げることができる。
【0087】
但し、前記(化学式B)式において、n及びpはそれぞれ1以上、8以下の範囲内で、かつ互いに同じ値でも異なっていても良い。
この化学式Bのアニオン成分を生じさせる溶融塩として、アルカリ金属或いはアルカリ土類金属のカチオン、或いは化学式1〜化学式6のカチオンと化学式Bのアニオンを組み合わせて得られる塩を挙げることができる。
【0088】
但し、前記(化学式C)式において、qは1以上、8以下の範囲内である。これは、mが8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下する恐れがあるからである。
【0089】
この化学式Cのアニオン成分を生じさせる溶融塩として、アルカリ金属或いはアルカリ土類金属のカチオン、或いは化学式1〜化学式6のカチオンと化学式Cのアニオンを組み合わせて得られる塩を挙げることができる。
これらのアニオン成分の濃度は、0.001〜5モル/Lとすることが望ましい。
【0090】
前記溶融塩に[N(CN)2]−以外に前記アニオン成分を加えることにより、融点が降下し、低温放電特性を向上させることができる。中でも、(CF3SO2)2N−が好ましい。
【0091】
また、前記溶融塩中のリチウムイオンの濃度は、0.1〜4モル/Lとすることが望ましい。
【0092】
また、前記溶融塩には、銀イオンなどリチウムイオンよりも酸化還元電位が高い金属イオンを添加してもよい。これら添加金属イオンは、負極上で皮膜を生成して負極の安定性を高めることができる。これら添加金属イオンの添加量は、0.1モル/L以下であることが望ましい。添加金属イオンの濃度が0.1モル/Lを上回ると、負極表面上の皮膜が厚くなり、リチウムイオンの吸蔵放出反応を阻害してしまう。
【0093】
また、前記溶融塩には、非イオン性の有機溶媒を添加してもよい。有機溶媒を添加することにより粘度が低下し、さらに導電性を向上させることができる。この有機溶媒はリチウム二次電池に用いられる有機溶媒を用いることができ、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、メチルプロピルカーボネートなどの炭酸エステル類や、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなどのエステル類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、及び前記化合物にフッ素などの置換器を導入した各種溶媒からなる群より選択される溶媒を用いることができる。中でも、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートまたはビニレンカーボネートが好ましい。有機溶媒の添加は、非水電解質の粘度を低下させるが、同時に高い蒸気圧を有するために電池使用時に揮発してしまう。そのため、有機溶媒の添加量としては、20体積%以下とすることが望ましい。
【0094】
尚、セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリビニリデンフルオライド(PVdF)を含む多孔質フィルムや、合成樹脂製不織布、あるいはガラス繊維製不織布などを用いることができる。
【0095】
また、高分子材料を溶融塩に溶解することによりゲル状電解質を得、セパレーターの代替として用いることができる。高分子材料としては、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PVdF、ポリメタクリル酸類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポリアクリル酸エステル類等を挙げることができる。
【0096】
また、前記化学式1〜化学式6で表されるカチオン成分は、高分子に固定されていてもよい。例えば、1−ビニルイミダゾールとメタクリル酸エチルの共重合体を、4級化した後にアニオン交換によりジシアナミド塩としたもの等を挙げることができる。
【0097】
4)容器(収納容器)
この容器は、例えば、金属板、樹脂層を有するシート等から形成することができる。
【0098】
前記金属板は、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウムから形成することができる。
【0099】
前記シートとしては、金属層と、前記金属層を被覆する樹脂層とから構成されることが好ましい。前記金属層は、アルミニウム箔から形成することが好ましい。一方、前記樹脂層は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂から形成することができる。前記樹脂層は、単層もしくは多層構造にすることができる。
【0100】
本発明に係る非水電解質空気電池の一例を図1に示す。
【0101】
図1で、例えばラミネートフィルムなどの収納容器1内には、電極群2が収納されている。
【0102】
電極群2は、例えば多孔性導電性基板からなる正極集電体3に正極層4が担持された構造を有する正極5と、例えば多孔性導電性基板からなる負極集電体6に負極活物質層7が担持された構造を有する負極8と、正極5及び負極8の間に介在する非水電解質含有層9とから構成される。なお、非水電解液は、正極5と非水電解質含有層9と負極8に保持されている。
【0103】
正極集電体3及び負極集電体6には、それぞれ正極端子11及び負極端子12の一端が接続されており、正極端子11及び負極端子12の他端は、それぞれ収納容器1外部へ延出されている。
【0104】
また、正極に形成される収納容器1面には、空気孔13が形成されており、空気孔13から供給された空気(空気中に含有される酸素)は空気拡散層10によって拡散し、正極層4に供給される。空気拡散層10としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはPTFEなどのフッ素樹脂を含む多孔質フィルムや、ポリプロピレンやPTFEなどの合成樹脂製不織布、ガラス繊維不織布等を挙げることができる。
【0105】
さらに、収納容器1の外表面には、空気孔13を閉塞するシールテープ14が着脱可能に配置されており、電池使用時にはこのシールテープ14を外すことで正極層4に空気を供給できるようになっている。
【0106】
【実施例】
以下、本発明の実施例では、図面1の構造の電池を作成したので、詳細に説明する。
【0107】
(実施例1)
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアイオダイドと、ジシアナミド銀より、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムジシアナミドを得た。また、ナトリウムジシアナミドと塩化リチウムより、リチウムジシアナミド(Li[N(CN)2])を得た。得られた1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。
【0108】
ケッチェンブラック(EC600JDTM )90重量%と、ポリテトラフルオロエチレン10重量%を乾式混合し、圧延することにより縦横20mm、厚さ200μmのフィルム状の正極層4を得た。この正極層4を正極集電体3であるステンレス製メッシュに圧着し、正極5を作製した。さらに得られた正極の正極集電体3が露出した部分に正極端子11の一端を接続した。
【0109】
次に、負極端子12の一端が接続され、負極集電体6である金属リチウム箔をニッケル製メッシュに圧着した負極8、グラスフィルターからなるセパレータ、ポリプロピレン製不織布及びPTFE製多孔質膜からなる空気拡散層10を準備した。
【0110】
前記非水電解質を前記セパレータに含浸させた後、負極8、セパレータ(非水電解質含有層9を兼ねる)、正極5及び空気拡散層10を順次積層した。この積層物を収納容器1用のラミネートフィルム内に収納した。なお、このラミネートフィルムには空気孔13が設けられており、この空気孔が空気拡散層上に配置されるように収納した。さらに、この空気孔にシールテープ14を貼付して閉塞した。また、正極端子及び負極端子の他端はラミネートフィルムの開口部から延出させた。
【0111】
この非水電解質空気電池の大気中での放電容量を以下の条件で測定した。
【0112】
非水電解質空気電池からシールテープを除去した後、温度20℃の条件で、放電電流を0.04mA、0.4mAとし、2.0Vまで放電し、放電容量を測定した。また、非水電解質空気電池からシールテープを除去した後、80℃の恒温槽で24時間貯蔵し、恒温槽から取り出して温度20℃の条件で、放電電流を0.04mA、0.4mAとし、2.0Vまで放電し、放電容量を測定した。このとき、80℃恒温槽に貯蔵することなく、温度20℃、放電電流0.04mAの条件での放電容量を100%としたときの各条件下での容量維持率を表1に示す。
【0113】
(実施例2)
実施例1と同様の手法により得られたN−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0114】
(実施例3)
実施例1と同様の手法により得られたN−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0115】
(実施例4)
実施例1と同様の手法により得られたN−メチル−N−プロピルピペリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0116】
(実施例5)
N−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドに0.49モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解し、さらに0.01モル/Lの割合でビストリフルオロメタンスルホニルアミドリチウム[LiN(SO2CF3)2]を溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0117】
(実施例6)
N−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドに、0.1モル/Lの割合でジシアナミド銀を加え、室温で8時間攪拌した。不溶物をろ別し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。非水電解液中の銀イオン濃度をICPにより測定したところ、300ppmであった。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0118】
(実施例7)
N−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドに10体積%の割合でビニレンカーボネートを加え、さらに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0119】
(実施例8)
実施例1と同様の手法により得られたN−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0120】
(実施例9)
実施例1と同様の手法により得られたN−プロピル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0121】
(実施例10)
実施例1と同様の手法により得られたN,N,N−トリメチルブチルアンモニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0122】
(実施例11)
実施例1と同様の手法により得られたN−メチル−N−プロピルピロリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0123】
(実施例12)
実施例1と同様の手法により得られたN−メチル−N−ペンチルピロリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0124】
(実施例13)
実施例1と同様の手法により得られたN−ブチル−N−メチルピペリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0125】
(実施例14)
実施例1と同様の手法により得られたN−メチル−N−ペンチルピペリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0126】
(実施例15)
N−ブチル−N−メチルピロリジニウムビストリフルオロメタンスルホニルアミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0127】
(実施例16)
実施例1と同様の手法により得られたN−エチル−N,N−ジメチルアニリニウムジシアナミドとN−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムジシアナミドを体積比で1:1に混合し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0128】
(実施例17)
実施例1と同様の手法により得られたN−エチル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムジシアナミドとN−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムジシアナミドを体積比で1:1に混合し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0129】
(実施例18)
実施例1と同様の手法により得られた2−メトキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0130】
(実施例19)
実施例1と同様の手法により得られた2−(2−メトキシエチル)ー1−エチルー3−メチルイミダゾリウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0131】
(実施例20)
実施例1と同様の手法により得られた1−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0132】
(実施例21)
実施例1と同様の手法により得られた1,2−ジ(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0133】
(実施例22)
実施例1と同様の手法により得られたN−エチル−N−フェニルピロリジニウムジシアナミドとN−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドを体積比で1:1に混合し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0134】
(実施例23)
実施例1と同様の手法により得られたN−ベンジル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドとN−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドを体積比で1:1に混合し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0135】
(実施例24)
実施例1と同様の手法により得られたN−(2−メトキシエチル)ーN−メチルピロリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0136】
(実施例25)
実施例1と同様の手法により得られたN−エチル−N−フェニルピペリジニウムジシアナミドとN−メチル−N−プロピルピペリジニウムジシアナミドを体積比1:1で混合し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0137】
(実施例26)
実施例1と同様の手法により得られたN−ベンジル−N−メチルピペリジニウムジシアナミドとN−メチル−N−プロピルピペリジニウムジシアナミドを体積比1:1で混合し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0138】
(実施例27)
実施例1と同様の手法により得られたN−(2−メトキシエチル)ーN−メチルピペリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0139】
実施例2〜27に対し、実施例1と同様の放電試験を実施した。このとき、実施例1の電池の、80℃恒温槽に貯蔵することなく、温度20℃、放電電流0.04mAの条件での放電容量を100%としたときの各条件下での容量維持率を表1に示す。
【0140】
(実施例28)
実施例1と同様の手法により得られた1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。また、チタン酸リチウム70重量%と、アセチレンブラック20重量%と、ポリテトラフルオロエチレン10重量%を乾式混合し、圧延することによりフィルム状の負極層を得た。この負極層をニッケル製メッシュに圧着しすることにより負極を作製した。前記非水電解質及び前記負極を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0141】
(実施例29)
実施例1と同様の手法により得られたN−ブチルピリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例28と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0142】
(実施例30)
実施例1と同様の手法により得られた1−エチル−2,3−ジメチルー2−イミダゾリニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例28と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0143】
(実施例31)
実施例1と同様の手法により得られた1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例28と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0144】
(実施例32)
実施例1と同様の手法により得られたN−(2−メトキシエチル)ピリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例28と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0145】
(実施例33)
実施例1と同様の手法により得られた1−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例28と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
実施例28〜33に対し、放電試験時の終止電圧を1.5Vとしたこと以外は実施例1と同様の放電試験を実施した。このとき、実施例1の電池の、80℃恒温槽に貯蔵することなく、温度20℃、放電電流0.04mAの条件での放電容量を100%としたときの各条件下での容量維持率を表1に示す。
【0146】
(比較例1)
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニルアミドに、0.5モル/Lの割合でリチウムビストリフルオロメタンスルホニルアミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。
前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。
【0147】
この非水電解質空気電池に対し、実施例1と同様の放電試験を実施した。このとき、実施例1の電池の、80℃恒温槽に貯蔵することなく、温度20℃、放電電流0.04mAの条件での放電容量を100%としたときの各条件下での容量維持率を表1に示す。
【0148】
(比較例2)
非水電解質として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)を体積比で1:1の割合で混合した有機溶媒中に、1モル/Lの割合で過塩素酸リチウムからなる電解質を溶解させることにより調製した非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。この非水電解質空気電池に対して実施例1と同様にして放電特性を検討した。このとき、実施例1の電池の、80℃恒温槽に貯蔵することなく、温度20℃、放電電流0.04mAの条件での放電容量を100%としたときの各条件下での容量維持率を表1に示す。
【0149】
【表1】
【0150】
比較例1の電池は、溶融塩を用いているために80℃貯蔵での電解液の揮発が抑制され、また溶融塩が疎水性であるためにシールテープ除去後に電池内部への水分侵入が抑制される。そのため低電流放電特性と、80℃貯蔵特性に優れている。しかしながら、伝導度が低いために大電流放電特性に劣る。
【0151】
比較例2の電池は、有機電解液を用いているために大電流放電特性に優れている。しかしながら、有機溶媒の蒸気圧が高いために、低電流放電時と80℃貯蔵時に有機溶媒が揮発してしまい、放電容量が低下してしまう。
【0152】
これに対し、実施例1〜7の電池は、いずれも大電流放電特性に優れ、また80℃貯蔵後の容量劣化が抑制されているのがわかる。
【0153】
表1から明らかなように、実施例1〜18の非水電解質空気電池は、大電流放電特性と80℃での高温貯蔵後の容量維持率とが比較例の空気電池に比較して高いことが理解できる。
【0154】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、大電流放電特性に優れ、かつ高温貯蔵後の容量維持率が向上された非水電解質空気電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解質空気電池の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1…収納容器、
2…電極群、
3…正極集電体、
4…正極層、
5…正極、
6…負極集電体、
7…負極層、
8…負極、
9…非水電解質含有層、
10…空気拡散層、
11…正極端子、
12…負極端子、
13…空気孔、
14…シールテープ。
Claims (3)
- 正極と、リチウムイオンを吸蔵、放出する負極と、溶融塩を含む非水電解質と、前記正極に酸素を供給する空気孔を備える収納容器とを具備した非水電解質空気電池において、
前記溶融塩を構成するアニオン成分として[N(CN)2]−を含有することを特徴とする非水電解質空気電池。 - 前記溶融塩を構成するカチオン成分として、下記化学式1乃至化学式6に示すカチオンのうちの少なくとも1種類を含有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解質空気電池。
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