JP2005032551A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融塩を含む非水電解質を具備した非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話や電子メール端末などの携帯型情報機器の市場は急速に拡大しつつあり、これらの機器の小型軽量化が進むにつれて、電源にも小型かつ軽量であることが求められるようになってきた。現在、これらの携帯機器には高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池が多用されており、研究が継続されている。
【0003】
かかる二次電池のうち、正極にリチウム金属酸化物を用い、負極にリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を用い、電解液として有機電解液を用いた非水電解質二次電池が、大電流放電特性とサイクル寿命に優れた二次電池として広く研究されている。しかしながら、有機電解液は引火性があるため安全性が十分とはいえず、また充電状態の正極及び負極に対して不安定であるため、高温条件での貯蔵特性あるいは高温条件での充放電特性に問題があった。
これに対し、正極にリチウム金属酸化物を用い、負極にリチウム金属、あるいはリチウム合金、もしくはリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を用い、電解液としてリチウム塩とハロゲン化アルミニウムと、ハロゲン化学式4級アンモニウムからなる常温溶融塩を用いた非水電解質二次電池が、安全性に優れた二次電池として、特許文献1に開示されている。
【0004】
また、正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含む負極と、リチウムイオンを具備し、4級アンモニウムイオンと、ホウ素、リン及び硫黄から選ばれる元素のフッ化物アニオンからなる溶融塩を用いた非水電解質二次電池が、優れた安全性を備え、かつサイクル寿命及び放電容量が向上された二次電池として、特許文献2に開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの溶融塩は粘度が高く、電気伝導度が低いために大電流放電特性に劣るという問題点があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−349365号公報
【特許文献2】
特開平11−86905号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の非水電解質二次電池は、高温での放電特性と大電流放電特性が十分ではないと言う問題があった。
【0008】
本発明の目的は、安全性に優れ、かつ高温での放電特性と大電流放電特性が向上した非水電解質二次電池を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の非水電解質二次電池は、正極と、負極と、溶融塩からなる非水電解質とを具備する非水電解質二次電池において、下記化学式1乃至化学式5から選ばれる少なくとも1種類のカチオンと、ジシアナミドアニオン([N(CN)2]−)とを具備することを特徴とする非水電解質二次電池。
【0010】
【化6】
【0011】
但し、R1、R2、R3及びR4は、炭素数が8以下のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、及び炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基から選ばれる。
【0012】
【化7】
【0013】
但し、R5及びR7は、炭素数が8以下のアルキル基、及び炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基から選ばれ、R6、R8は、炭素数が8以下のアルキル基、及び炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基、及び水素から選ばれる。
【0014】
【化8】
【0015】
但し、R9は、炭素数が8以下のアルキル基、及び炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基から選ばれる。
【0016】
【化9】
【0017】
但し、R10及びR11は、炭素数が8以下のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、及び炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基から選ばれる。
【0018】
【化10】
【0019】
但し、R12及びR13は、炭素数が8以下のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、及び炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基から選ばれる。請求項2の非水電解質二次電池は、請求項1において、前記溶融塩が、BF4 −、PF6 −、及びB(C2O4)2 −、から選ばれる少なくとも1種類を含有するアニオンであることを特徴とする。
【0020】
請求項3の非水電解質二次電池は、請求項1の非水電解質二次電池において、前記溶融塩が、下記化学式A乃至化学式Cに示すアニオンのうちの少なくとも1種類を含有することを特徴とする。
【0021】
(CmF2m+1SO3)− ・・・(化学式A)
但し、前記化学式Aにおけるmは1以上、8以下である。
【0022】
(CnF2n+1SO2)(CpF2p+1SO2)N− ・・・(化学式B)
但し、前記化学式Bにおいて、n及びpはそれぞれ1以上、8以下である。
【0023】
(CqF2q+1SO2)(CN)N− ・・・(化学式C)
但し、前記化学式Cにおいて、qは1以上、8以下である。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、正極、負極、及び非水電解質について説明する。
【0025】
1)正極
この正極は、例えば、正極活物質、導電剤及びバインダーを混練し、得られた合剤を膜状に成形することにより作製される。
【0026】
正極活物質としては、例えば、リチウムコバルト酸化物(LixCoO2)、リチウム鉄酸化物(LixFeO2)、リチウムニッケル酸化物(LixNiO2)、リチウムニッケルコバルト酸化物(LixNiyCo1−yO;0<y<1)、リチウムマンガン酸化物(LixMn2O4)等のリチウム金属酸化物、マンガン酸化物(MnO2)、五酸化バナジウム(V2O5)、クロム酸化物(Cr3O8,CrO2)、三酸化モリブデン(MoO3)、二酸化チタン(TiO2)等の金属酸化物を用いることができる。これら金属酸化物を用いることによって、高電圧で、高容量の非水電解質二次電池が得られる。特に、より電圧を高める観点から、LixCoO2 、LixFeO2 、LixNiO2 、LixNiyCo1−yO2 (0<y<1)、LiMn2O4 を用いることが望ましい。また、上記化合物において、xの範囲は、充放電反応の可逆性を高める観点から、0≦x≦2、好ましくは0<x<1.1とすると良い。
【0027】
導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。バインダーとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
【0028】
正極集電体としては、例えばアルミニウム、ステンレス、ニッケル、タングステン、チタン、又はモリブデンからなる金属箔、金属網等を用いることができる。
【0029】
なお、前記集電体は、酸化を抑制するために表面に耐酸化性の金属または合金を被覆しても良い。
【0030】
2)負極
負極活物質としては、従来よりリチウムイオン電池またはリチウム電池に使用されている材料を使用することができる。中でも、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、リチウム金属、リチウム合金、リチウム複合酸化物、またはリチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物よりなる群から選択される少なくとも1種類の材料を、負極活物質として使用することが好ましい。
金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などを挙げることができる。
【0031】
金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物、チタン硫化物などを挙げることができる。
【0032】
金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物などを挙げることができる。
【0033】
リチウム合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金などを挙げることができる。
【0034】
炭素質物としては、例えば、黒鉛、等方性黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素などを挙げることができる。中でも、メソフェーズピッチを原料とした炭素繊維や、球状炭素を含む負極は、充電効率が高いためにサイクル寿命を向上することができ、好適である。さらに、メソフェーズピッチを原料とした炭素繊維や、球状炭素の黒鉛結晶の配向は、放射状であることが好ましい。メソフェーズピッチを原料とした炭素繊維や、球状炭素は、例えば、石油ピッチ、コールタール、樹脂などの原料を550℃〜2000℃で熱処理することにより炭素化するか、あるいは2000℃以上の熱処理で黒鉛化することによって作製することができる。
【0035】
炭素質物は、X線回折ピークから得られる黒鉛結晶の(002)面の面間隔d002が0.3354nm〜0.40nmの範囲にあることが好ましい。炭素質物は、BET法による比表面積が0.5m2 /g以上であることが好ましい。比表面積のより好ましい範囲は、1m2 /g以上である。
【0036】
負極集電体としては、例えば、多孔質構造の導電性基板、無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。多孔質構造の導電性基板としては、メッシュ、パンチドメタル、エクスパンディドメタル等を用いたり、あるいは金属箔に負極活物質含有層を担持させた後、金属箔に孔を開けたものを多孔質構造の導電性基板として用いることができる。
【0037】
バインダーとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンープロピレンーブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。
【0038】
また、負極活物資として、リチウムイオンやリチウム合金などの金属材料を使用すれば、これらの金属材料は単独でもシート形状に加工することが可能なため、バインダーを使用せずに負極活物質層を形成することができる。また、これらの金属材料で形成された負極活物質層は直接負極端子に接続することもできる。
【0039】
なお、本発明の非水電解質電池を一次電池として使用する際には、負極活物質としては、金属イオンの放出能のみ有していれば良い。
【0040】
3)非水電解質
この非水電解質には溶融塩が含まれており、前記溶融塩を構成するアニオン成分として[N(CN)2]−を含有するものを用いることができる。また、溶融塩を構成するカチオン成分としては、例えば、前述した化学式1乃至化学式5に示すカチオンのうちの少なくとも1種類を用いることが望ましい。
【0041】
前述した化学式1に示すカチオンを構成するR1、R2、R3及びR4については、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、または炭素、水素及び酸素からなる置換基の中では、アルキル基が好ましい。フェニル基、ベンジル基はいずれか1つを含むことが望ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下するからである。炭素数のより好ましい範囲は、1乃至4である。
【0042】
前述した化学式1に示すカチオンとしては、具体的には、以下の材料を使用することができる。
【0043】
(1)R1、R2、R3及びR4が、炭素数が8以下のアルキル基の材料として、例えば、N,N,N,N−テトラメチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルイソプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルイソブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルイソペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルネオペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−tert−ペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチル−(2−メチルブチル)アンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルヘプチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルオクチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N,N−ジメチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルイソプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルイソブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルペンチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−イソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N,N−ジイソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチル−N−メチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルイソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルイソブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルペンチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N,N−ジプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N,N−ジイソプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルイソブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルイソブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N,N,N,N−テトラエチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチルプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチルイソプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチルブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチル−sec−ブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチル−tert−ブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N,N−ジプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−イソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N,N−ジイソプロピルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルブチルアンモニウムイオン、N,N,N,N−テトラプロピルアンモニウムイオン、N,N,N,N−テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0044】
(2)R1、R2、R3及びR4が、炭素数が8以下のフェニル基の材料として、例えば、N,N,N−トリメチルアニリニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルアニリニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルアニリニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルアニリニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルアニリニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルアニリニウムイオン、N−メチル−N,N−ジプロピルアニリニウムイオン、N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルアニリニウムイオン、N−メチル−N,N−ジイソプロピルアニリニウムイオン、N,N,N−トリエチルアニリニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルアニリニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルアニリニウムイオン、N−ブチル−N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N,N−ジメチル−N−ペンチルアニリニウムイオン、N−ヘキシル−N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N−ヘプチル−N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N,N−ジメチル−N−オクチルアニリニウムイオン、N,N,N−トリメチルトルイジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルトルイジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルトルイジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルトルイジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルトルイジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルトルイジニウムイオン、N−メチル−N,N−ジプロピルトルイジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルトルイジニウムイオン、N−メチル−N,N−ジイソプロピルトルイジニウムイオン、N,N,N−トリエチルトルイジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルトルイジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルトルイジニウムイオン、N−ブチル−N,N−ジメチルトルイジニウムイオンが挙げられる。
【0045】
(3)R1、R2、R3及びR4が、炭素数が8以下のベンジル基の材料として、例えば、N,N,N−トリメチルベンジルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルベンジルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルベンジルアンモニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N−メチル−N,N−ジプロピルベンジルアンモニウムイオン、N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N−メチル−N,N−ジイソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N,N,N−トリエチルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルベンジルアンモニウムイオン、N−ブチル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−ペンチルベンジルアンモニウムイオン、N−ヘキシル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムイオン、N−ヘプチル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−オクチルベンジルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0046】
(4)R1、R2、R3及びR4が、炭素数が8以下で炭素、水素、及び酸素からなる置換基の材料として、例えば、2−メトキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−エトキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−プロポキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−イソプロポキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−メトキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルペンチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルヘキシルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルヘプチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルオクチルアンモニウムイオン、2−エトキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、2−プロポキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、2−イソプロポキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルアニシジニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルアニシジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルアニシジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−イソプロピルアニシジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−メチルアニシジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−プロピルアニシジニウムイオン、N−エチル−N−メチル−N−イソプロピルアニシジニウムイオン、N−メチル−N,N−ジプロピルアニシジニウムイオン、N−メチル−N−プロピル−N−イソプロピルアニシジニウムイオン、N−メチル−N,N−ジイソプロピルアニシジニウムイオン、N,N,N−トリエチルアニシジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−プロピルアニシジニウムイオン、N,N−ジエチル−N−イソプロピルアニシジニウムイオン、N−ブチル−N,N−ジメチルアニシジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−ペンチルアニシジニウムイオン、N−ヘキシル−N,N−ジメチルアニシジニウムイオン、N−ヘプチル−N,N−ジメチルアニシジニウムイオン、N,N−ジメチル−N−オクチルアニシジニウムイオンが挙げられる。
【0047】
中でも、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチル−N−プロピルブチルアンモニウムイオンが好ましい。
【0048】
前述した化学式2に示すカチオンを構成するR5、R6、R7及びR8については、アルキル基、または炭素、水素及び酸素からなる置換基の中では、アルキル基が好ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下するからである。炭素数のより好ましい範囲は、R5及びR7においては1乃至4であり、R6及びR8においては0乃至2である。炭素数が0の場合とは、水素の場合である。
【0049】
前述した化学式2に示すカチオンとしては、具体的には、以下に示す材料を使用することができる。
【0050】
(1)R5及びR7が、炭素数が8以下のアルキル基、R6及びR8が、水素である材料として、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−tert−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−ネオペンチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムイオン、1−(2−メチルブチル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−tert−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−フェニルイミダゾリウムイオン、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−tert−ブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−ネオペンチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−イソペンチルイミダゾリウムイオン、1−(2−メチルブチル)−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−tert−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−ヘプチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジ−プロピルイミダゾリウムイオン、1−プロピル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−tert−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ペンチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ネオペンチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−イソペンチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−(2−メチルブチル)−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−tert−ペンチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1,3−ジイソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−tert−ブチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ペンチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−ネオペンチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−イソペンチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−(2−メチルブチル)−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−tert−ペンチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1,3−ジブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−イソブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−sec−ブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−tert−ブチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジイソブチルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−sec−ブチルイミダゾリウムイオン、1−イソブチル−3−tert−ブチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジーsec−ブチルイミダゾリウムイオン、1−sec−ブチル−3−tert−ブチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
【0051】
(2)R5、R6、R7及びR8が、炭素数が8以下のアルキル基である材料として、例えば、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムイオン、3−エチル−1,2−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、2−エチル−1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、2−エチル−1−メチル−3−イソプロピルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジエチル−4−メチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
【0052】
(3)R5及びR7が、炭素数が8以下のアルキル基、R6及びR8が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基である材料として、例えば、2−(2−メトキシエチル)ー1−エチルー3−メチルイミダゾリウムイオン、2−(2−メトキシエチル)−1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、2−(2−メトキシエチル)ー1,3−ジエチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
【0053】
(4)R5及びR7が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基、R6及びR8が水素である材料として、例えば、1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジ(2−メトキシエチル)イミダゾリウムイオン、1−(2−エトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
【0054】
(5)R5及びR7が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基、R6及びR8が、炭素数が8以下のアルキル基である材料として、例えば、1−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジ(2−メトキシエチル)−2−メチルイミダゾリウムイオン、1−(2−エトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
【0055】
(6)R5、R6、R7及びR8が、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基の材料として、例えば、1,2−ジ(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジ(2−メトキシエチル)−3−エチルイミダゾリウムイオンが挙げられる。
【0056】
中でも、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムイオンが好ましい。とくに、負極として金属リチウム、あるいは炭素質物を用いる場合は、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオンがより好ましい。
【0057】
前述した化学式3に示すカチオンを構成するR9については、アルキル基、または炭素、水素及び酸素からなる置換基の中では、アルキル基が好ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下するからである。炭素数のより好ましい範囲は、1乃至4である
前述した化学式3に示すカチオンとしては、具体的には、以下に示す材料を使用することができる。
【0058】
(1)R9は、炭素数が8以下のアルキル基の材料として、
N−メチルピリジニウムイオン、N−エチルピリジニウムイオン、N−プロピルピリジニウムイオン、N−イソプロピルピリジニウムイオン、N−ブチルピリジニウムイオン、N−イソブチルピリジニウムイオン、N−sec−ブチルピリジニウムイオン、N−tert−ブチルピリジニウムイオン、N−ペンチルピリジニウムイオン、N−ネオペンチルピリジニウムイオン、N−イソペンチルピリジニウムイオン、N−(2−メチルブチル)ピリジニウムイオン、N−tert−ペンチルピリジニウムイオン、N−ヘキシルピリジニウムイオン、N−へプチルピリジニウムイオン、N−オクチルピリジニウムイオン、
が挙げられる。
【0059】
(2)R9は、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基の材料として、N−(2−メトキシエチル)ピリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)ピリジニウムイオン、が挙げられる。中でも、N−ブチルピリジニウムイオンが好ましい。また、前述した化学式3に示すカチオンを用いる場合、負極活物質としては、リチウムチタン酸化物など、金属リチウムに対して0.5V以上高い電位で放電することが可能な活物質を用いることが好ましい。
【0060】
前述した化学式4に示すカチオンを構成するR10及びR11については、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、または炭素、水素及び酸素からなる置換基の中では、アルキル基または炭素、水素及び酸素からなる置換基が好ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下するからである。炭素数のより好ましい範囲は、1乃至4である。
【0061】
前述した化学式4に示すカチオンの具体例を以下に挙げる。
【0062】
(1)R10及びR11は、炭素数が8以下のアルキル基の材料として、例えば、N,N−ジメチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−イソブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−tert−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−オクチルピロリジニウムイオン、N,N−ジエチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−イソブチル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−tert−ブチル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−ペンチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−ヘキシルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−ヘプチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−オクチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−プロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−イソプロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオンが挙げられる。
【0063】
(2)R10及びR11は、炭素数が8以下のフェニル基の材料として、例えば、N−メチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−フェニル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−フェニル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−ペンチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−オクチル−N−フェニルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−プロピル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−イソプロピル−N−トリル−ピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ペンチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−オクチル−N−トリルピロリジニウムイオンが挙げられる。
【0064】
(3)R10及びR11は、炭素数が8以下のベンジル基の材料として、例えば、N−ベンジル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−エチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ブチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ペンチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ヘキシルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ヘプチルピロリジニウムイオン、N−ベンジル−N−オクチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−プロピル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−イソプロピル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ペンチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−トリルピロリジニウムイオン、N−オクチル−N−トリルピロリジニウムイオンが挙げられる。
【0065】
(4)R10及びR11は、炭素数が8以下で、炭素、水素及び酸素からなる置換基の材料として、例えば、N−(2−メトキシエチル)ーN−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)ーN−メチルピロリジニウムイオン、N−メチルーN−(2−メトキシフェニル)ピロリジニウムイオン、N−メチルーN−(4−メトキシフェニル)ピロリジニウムイオン、N−エチルーN−(2−メトキシフェニル)ピロリジニウムイオン、N−エチルーN−(4−メトキシフェニル)ピロリジニウムイオンが挙げられる。
【0066】
中でも、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−イソプロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−イソブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオンが好ましい。
【0067】
前述した化学式5に示すカチオンを構成するR12及びR13については、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、または炭素、水素及び酸素からなる置換基の中では、アルキル基または炭素、水素及び酸素からなる置換基が好ましい。また、炭素数を8以下に限定するのは、炭素数が8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下するからである。炭素数のより好ましい範囲は、1乃至4である。
【0068】
前述した化学式5に示すカチオンとしては、具体的には、以下に示す材料を使用することができる。
【0069】
(1)R12及びR13は、炭素数が8以下のアルキル基の材料として、例えば、N,N−ジメチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−イソブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−tert−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−オクチルピペリジニウムイオン、N,N−ジエチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−イソブチル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−tert−ブチル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−ヘキシルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−ヘプチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−オクチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−プロポキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−イソプロポキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオンが挙げられる。
【0070】
(2)R12及びR13は、炭素数が8以下のフェニル基の材料として、例えば、N−メチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−フェニル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−フェニル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−ペンチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−オクチル−N−フェニルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−プロピル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−イソプロピル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ペンチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−オクチル−N−トリルピペリジニウムイオンが挙げられる。
【0071】
(3)R12及びR13は、炭素数が8以下のベンジル基の材料として、例えば、N−ベンジル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−エチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ブチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ヘキシルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−ヘプチルピペリジニウムイオン、N−ベンジル−N−オクチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−プロピル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−イソプロピル−N−トリル−ピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ペンチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−ヘプチル−N−トリルピペリジニウムイオン、N−オクチル−N−トリルピペリジニウムイオンが挙げられる。
【0072】
(4)R12及びR13は、炭素数が8以下の炭素、水素及び酸素からなる置換基の材料として、例えば、N−(2−メトキシエチル)ーN−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)ーN−メチルピペリジニウムイオン、N−メチルーN−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−メチルーN−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−エチルーN−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−エチルーN−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオンが挙げられる。
【0073】
中でも、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−イソプロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−イソブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−sec−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオンが好ましい。
【0074】
また、前記溶融塩を構成するアニオン成分として、BF4 −、PF6 −、B(C2O4)2 −、あるいは下記化学式A乃至化学式Cに示すアニオンのうちの少なくとも1種類を含有するものを用いることができる。
【0075】
これらのBF4 −、PF6 −、B(C2O4)2 −アニオンを生じさせる溶融塩としては、アルカリ金属或いはアルカリ土類金属のカチオン、或いは化学式1〜化学式5のカチオンとBF4 −、PF6 −、B(C2O4)2 −アニオンを組み合わせて得られる塩を挙げることができる。
【0076】
(CmF2m+1SO3)− ・・・(化学式A)
但し、前記化学式Aにおけるmは1以上、8以下である。
【0077】
この化学式Aのアニオンを生じさせる塩としては、アルカリ金属或いはアルカリ土類金属のカチオン、或いは化学式1〜化学式5のカチオンと化学式Aのアニオンを組み合わせて得られる塩を挙げることができる。
【0078】
(CnF2n+1SO2)(CpF2p+1SO2)N− ・・・(化学式B)
但し、前記化学式Bにおいて、n及びpはそれぞれ1以上、8以下の範囲内で、かつ互いに同じ値でも異なっていても良い。
【0079】
この化学式Bのアニオンを生じさせる塩としては、アルカリ金属或いはアルカリ土類金属のカチオン、或いは化学式1〜化学式5のカチオンと化学式Bのアニオンを組み合わせて得られる塩を挙げることができる。
【0080】
(CqF2q+1SO2)(CN)N− ・・・(化学式C)
但し、前記化学式Cにおいて、qは1以上、8以下の範囲内である。これは、mが8を超えると、溶融塩の粘度が増大して非水電解質の導電性が低下する恐れがあるからである。
【0081】
この化学式Cのアニオンを生じさせる塩としては、アルカリ金属或いはアルカリ土類金属のカチオン、或いは化学式1〜化学式5のカチオンと化学式Cのアニオンを組み合わせて得られる塩を挙げることができる。
これらのアニオン成分の濃度は、0.001〜5モル/Lとすることが望ましい。
【0082】
前記溶融塩にジシアナミドアニオン以外に前記アニオン成分を加えることにより、融点が降下し、低温放電特性を向上させることができる。中でも、(CF3SO2)2N−が好ましい。
【0083】
また、前記溶融塩中のリチウムイオンの濃度は、0.1〜4モル/Lとすることが望ましい。リチウムイオン濃度が0.1モル/Lを下回ると、十分なイオン伝導性が得られないため放電容量が低下してしまう。また、リチウムイオン濃度が4モル/Lを上回ると、溶融塩の粘度が上昇して正極活物質などへの含浸性が低下し、やはり放電容量が低下してしまう。
【0084】
また、前記溶融塩には、銀イオンなどリチウムイオンよりも酸化還元電位が高い金属イオンを添加してもよい。これら添加金属イオンは、負極上で皮膜を生成して負極の安定性を高めることができる。これら添加金属イオンの添加量は、0.1モル/L以下であることが望ましい。添加金属イオンの濃度が0.1モル/Lを上回ると、負極表面上の皮膜が厚くなり、リチウムイオンの吸蔵放出反応を阻害してしまう。
【0085】
また、前記溶融塩には、非イオン性の有機溶媒を添加してもよい。有機溶媒を添加することにより粘度が低下し、さらに導電性を向上させることができる。この有機溶媒はリチウム二次電池に用いられる有機溶媒を用いることができ、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、メチルプロピルカーボネートなどの炭酸エステル類や、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなどのエステル類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、及び前記化合物にフッ素などの置換器を導入した各種溶媒からなる群より選択される溶媒を用いることができる。中でも、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートまたはビニレンカーボネートが好ましい。有機溶媒の添加は、非水電解質の粘度を低下させるが、可燃性であり安全性が低下する可能性がある。そのため、有機溶媒の添加量としては、20体積%以下とすることが望ましい。
【0086】
また、前記溶融塩には、二酸化炭素を添加してもよい。二酸化炭素は、負極表面上で安定な皮膜を形成し、特性を向上させるとともに、不燃性ガスであることから安全性も向上することができる。
【0087】
尚、セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリビニリデンフルオライド(PVdF)を含む多孔質フィルムや、合成樹脂製不織布、あるいはガラス繊維製不織布などを用いることができる。
【0088】
また、高分子材料を溶融塩に溶解することによりゲル状電解質を得、セパレーターの代替として用いることができる。高分子材料としては、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PVdF、ポリメタクリル酸類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポリアクリル酸エステル類等を挙げることができる。
【0089】
また、前記化学式1乃至化学式5で表されるカチオン成分は、高分子に固定されていてもよい。例えば、1−ビニルイミダゾールとメタクリル酸エチルの共重合体を、4級化した後にアニオン交換によりジシアナミド塩としたもの等を挙げることができる。
【0090】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0091】
(実施例1)
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアイオダイドと、ジシアナミド銀より、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムジシアナミドを得た。また、ナトリウムジシアナミドと塩化リチウムより、リチウムジシアナミド(Li[N(CN)2])を得た。得られた1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。
【0092】
また、正極活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2 )を用い、これに導電剤として正極全体に対し8重量%の割合となるように黒鉛粉末、バインダーとして正極全体に対し5重量%の割合となるようにポリフッ化ビニリデン(PVdF)をそれぞれ配合し、得られた合剤を圧縮成形することにより正極ペレットを作製した。
【0093】
また、負極活物質として3000℃で熱処理した黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維粉末を用い、これにバインダーとして負極全体に対し6重量%の割合となるようにポリフッ化ビニリデン(PVdF)を配合し、得られた合剤を圧縮成形することにより負極ペレットを作製した。
【0094】
この常温溶融塩をセパレータとしてのポリエチレン製多孔質フィルムに含浸させた。このセパレータ、前記正極ペレット、前記負極ペレット及び正極集電体としてのアルミニウム製ホイルを用いて前述した図1に示す構造を有し、直径が20mmで、高さが1.6mmのコイン型非水電解質二次電池を製造した。
【0095】
(実施例2)
実施例1と同様の手法により得られたN−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0096】
(実施例3)
実施例1と同様の手法により得られたN−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0097】
(実施例4)
実施例1と同様の手法により得られたN−メチル−N−プロピルピペリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0098】
(実施例5)
N−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドに0.49モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解し、さらに0.01モル/Lの割合でビストリフルオロメタンスルホニルアミドリチウム[LiN(SO2CF3)2]を溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0099】
(実施例6)
N−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドに、0.1モル/Lの割合でジシアナミド銀を加え、室温で8時間攪拌した。不溶物をろ別し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。非水電解液中の銀イオン濃度をICPにより測定したところ、300ppmであった。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0100】
(実施例7)
N−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドに10体積%の割合でビニレンカーボネートを加え、さらに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0101】
(実施例8)
実施例1と同様の手法により得られたN−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0102】
(実施例9)
実施例1と同様の手法により得られたN−プロピル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0103】
(実施例10)
実施例1と同様の手法により得られたN,N,N−トリメチルブチルアンモニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0104】
(実施例11)
実施例1と同様の手法により得られたN−メチル−N−プロピルピロリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0105】
(実施例12)
実施例1と同様の手法により得られたN−メチル−N−ペンチルピロリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0106】
(実施例13)
実施例1と同様の手法により得られたN−ブチル−N−メチルピペリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0107】
(実施例14)
実施例1と同様の手法により得られたN−メチル−N−ペンチルピペリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0108】
(実施例15)
N−ブチル−N−メチルピロリジニウムビストリフルオロメタンスルホニルアミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0109】
(実施例16)
実施例1と同様の手法により得られたN−エチル−N,N−ジメチルアニリニウムジシアナミドとN−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムジシアナミドを体積比で1:1に混合し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0110】
(実施例17)
実施例1と同様の手法により得られたN−エチル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウムジシアナミドとN−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムジシアナミドを体積比で1:1に混合し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0111】
(実施例18)
実施例1と同様の手法により得られた2−メトキシ−N−エチル−N,N−ジメチルエチルアンモニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0112】
(実施例19)
実施例1と同様の手法により得られた2−(2−メトキシエチル)ー1−エチルー3−メチルイミダゾリウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0113】
(実施例20)
実施例1と同様の手法により得られた1−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0114】
(実施例21)
実施例1と同様の手法により得られた1,2−ジ(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0115】
(実施例22)
実施例1と同様の手法により得られたN−エチル−N−フェニルピロリジニウムジシアナミドとN−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドを体積比で1:1に混合し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0116】
(実施例23)
実施例1と同様の手法により得られたN−ベンジル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドとN−ブチル−N−メチルピロリジニウムジシアナミドを体積比で1:1に混合し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0117】
(実施例24)
実施例1と同様の手法により得られたN−(2−メトキシエチル)ーN−メチルピロリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0118】
(実施例25)
実施例1と同様の手法により得られたN−エチル−N−フェニルピペリジニウムジシアナミドとN−メチル−N−プロピルピペリジニウムジシアナミドを体積比1:1で混合し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0119】
(実施例26)
実施例1と同様の手法により得られたN−ベンジル−N−メチルピペリジニウムジシアナミドとN−メチル−N−プロピルピペリジニウムジシアナミドを体積比1:1で混合し、0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0120】
(実施例27)
実施例1と同様の手法により得られたN−(2−メトキシエチル)ーN−メチルピペリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドを溶解させることにより、非水電解質を調整した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0121】
(実施例28)
実施例1と同様の手法により得られた1−エチル−2−メチルイミダゾリウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。また、チタン酸リチウム70重量%と、アセチレンブラック20重量%と、ポリテトラフルオロエチレン10重量%を乾式混合し、圧延することによりフィルム状の負極層を得た。この負極層をニッケル製メッシュに圧着しすることにより負極を作製した。前記非水電解質及び前記負極を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0122】
(実施例29)
実施例1と同様の手法により得られたN−ブチルピリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例28と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0123】
(実施例30)
実施例1と同様の手法により得られた1−エチル−2,3−ジメチルー2−イミダゾリニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例28と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0124】
(実施例31)
実施例1と同様の手法により得られた1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例28と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0125】
(実施例32)
実施例1と同様の手法により得られたN−(2−メトキシエチル)ピリジニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例28と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0126】
(実施例33)
実施例1と同様の手法により得られた1−(2−メトキシエチル)−2,3−ジメチルイミダゾリニウムジシアナミドに0.5モル/Lの割合でリチウムジシアナミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例28と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0127】
(比較例1)
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニルアミドに、0.5モル/Lの割合でリチウムビストリフルオロメタンスルホニルアミドからなる電解質を溶解させることにより非水電解質を調製した。
前記非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0128】
(比較例2)
非水電解質として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)を体積比で1:1の割合で混合した有機溶媒中に、1モル/Lの割合で過塩素酸リチウムからなる電解質を溶解させることにより調製した非水電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作製した。
【0129】
得られた非水電解質二次電池について、45℃において0.1mA/cm2の条件で充放電サイクル試験を行った。また、45℃において1mA/cm2の条件で充放電サイクル試験を行った。また、4.2Vに充電した後100℃の恒温槽中で48時間貯蔵し、80℃において1mA/cm2の条件で充放電サイクル試験を行った。各々の条件での充放電試験における3サイクル目の放電容量を示す。尚、電圧範囲は、実施例1〜27および比較例1〜2の電池では4.2V〜2.7V、実施例28〜33の電池では2.7V〜1.5Vとした。
【0130】
【表1】
【0131】
この表1において、実施例の番号と各材料の関係を明確にするために、R1〜R13に対応する具体的な材料の種類を挙げた各項目(1)〜(6)を化学式の番号と共に記載した。
【0132】
比較例1の電池は、伝導度が低いために大電流放電特性に劣っているのがわかる。
【0133】
比較例2の電池は、有機電解液を用いているために大電流放電特性に優れている。しかしながら、高温貯蔵時では、有機電解液が充電状態の正・負極と反応してしまうために、放電容量が低下してしまう。
【0134】
これに対し、実施例1〜33の電池は、いずれも大電流放電特性に優れており、また100℃貯蔵後であっても、溶融塩が充電状態の正・負極に対して安定なため、貯蔵による容量劣化がほとんど観察されず、むしろ温度上昇にともなう伝導度の向上の効果で45℃条件と比較して放電容量が向上している場合があるのがわかる。
【0135】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、大電流放電特性と高温での放電特性に優れた非水電解質電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池を示す断面図。
【符号の説明】
1…収納ケース、
2…正極集電体、
3…正極ペレット、
4…セパレータ
5…負極ペレット、
6…負極封口板、
7…絶縁ガスケット。
Claims (3)
- 正極と、負極と、溶融塩からなる非水電解質とを具備した非水電解質二次電池において、下記化学式1乃至化学式5から選ばれる少なくとも1種類のカチオンと、ジシアナミドアニオン([N(CN)2]−)とを具備することを特徴とする非水電解質二次電池。
- 前記溶融塩は、BF4 −、PF6 −、及びB(C2O4)2 −、から選ばれる少なくとも1種類を含有するアニオンであることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
- 前記溶融塩は、下記化学式A乃至化学式Cに示すアニオンのうちの少なくとも1種類を含有することを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
(CmF2m+1SO3)− ・・・(化学式A)
但し、前記化学式Aにおけるmは1以上、8以下である。
(CnF2n+1SO2)(CpF2p+1SO2)N− ・・・(化学式B)
但し、前記化学式Bにおいて、n及びpはそれぞれ1以上、8以下である。
(CqF2q+1SO2)(CN)N− ・・・(化学式C)
但し、前記化学式Cにおいて、qは1以上、8以下である。
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