JP2005025803A - 磁気ヘッドおよび磁気ヘッドの製造方法、この磁気ヘッドを用いた磁気記録再生装置 - Google Patents
磁気ヘッドおよび磁気ヘッドの製造方法、この磁気ヘッドを用いた磁気記録再生装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高周波特性の優れた積層型磁気ヘッドと、それを用いた高周波信号を記録再生する高周波対応の磁気記録再生装置を提供すること。
【解決手段】一対の磁気コア半体を、負の磁歪定数を有する金属磁性層、あるいは前記金属磁性層と非磁性層とを交互に積層した積層膜の両側を基板で挟持した構成とし、磁気コア半体をスペーサを介して接合し積層型磁気ヘッドを構成する。磁気コア半体の少なくとも一方に設けられた巻線溝の内周部を前記金属磁性層の熱膨張率より大きな熱膨張率を有するガラスで覆うことにより、磁気ヘッドの記録再生効率に最も影響を及ぼす巻線溝近傍領域の磁路が磁化困難軸に沿うようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】一対の磁気コア半体を、負の磁歪定数を有する金属磁性層、あるいは前記金属磁性層と非磁性層とを交互に積層した積層膜の両側を基板で挟持した構成とし、磁気コア半体をスペーサを介して接合し積層型磁気ヘッドを構成する。磁気コア半体の少なくとも一方に設けられた巻線溝の内周部を前記金属磁性層の熱膨張率より大きな熱膨張率を有するガラスで覆うことにより、磁気ヘッドの記録再生効率に最も影響を及ぼす巻線溝近傍領域の磁路が磁化困難軸に沿うようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハイビジョンデジタルVTRやデータストリーマ等の、高い周波数の信号を記録再生するための磁気記録再生装置に用いる磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハイビジョン対応のデジタルVTR等の広帯域の信号を記録再生する磁気記録再生システムの開発が盛んに行われている。広域帯の信号の大量の情報を記録するために、磁気記録媒体も従来の酸化鉄系の磁性体を用いた媒体から、合金の粉末を用いた媒体や金属蒸着膜を用いた媒体等の高抗磁力を有する媒体へと変わってきた。そこで磁気ヘッドとしても、これらの高抗磁力を有する記録媒体に対応できるように、高い飽和磁束密度を有し、50MHz以上の高周波帯域での特性が優れた磁気ヘッドの開発が望まれている。従来このような磁気ヘッドは、飽和磁束密度の高いセンダストやアモルファス磁性合金等の金属磁性膜と絶縁膜とを交互に積層した積層膜で磁気コアを形成している。この磁気コアの両側を非磁性の基板で挟持して積層型の磁気ヘッドを構成し、高周波帯域での渦電流損失を低減して高周波特性を向上させていた。
【0003】
図9に従来例の積層型の磁気ヘッドの斜視図を示す。この磁気ヘッドは磁気コア41を構成する金属磁性膜に、磁気歪定数(磁歪定数ともいい、λsで表す)がほぼ零(λs=0)である金属磁性膜を用いている。金属磁性膜と絶縁膜を交互に積層した積層膜からなる磁気コア41の両面をそれぞれ2つの基板42ではさんで、コア半体60a、60bを形成している。コア半体60a、60bを図のように組合わせてヘッドコアを構成したときに形成される巻線孔55内の磁気ギャップ45近傍に接合ガラス43を加熱溶融して付着させ、コア半体60a、60bを一体に接合している。金属磁性膜の具体例としては、磁歪定数がほぼ零である、Co:85%、Nb:10%、Zr:5%(各数字は含有量をアトミックパーセントで表している)のアモルファスの金属磁性膜を用いており、磁路は全て等方性領域からなる。このヘッドコアを用いた磁気ヘッドで磁気記録媒体に記録したときのトラックの幅は磁気コア41の厚さの約5μmにほぼ等しい。
この構造の磁気ヘッドでは、磁路が金属磁性膜の面内で略円形に形成され、一定の方向を向いていない。そのため磁気コア41の金属磁性膜は異方性がほとんどない等方性であることが要求される。このような等方性の金属磁性膜は、当技術分野ではよく知られているように、高周波帯域における初透磁率が磁気双極子の自然共鳴のため低下し、磁気ヘッドを構成したとき良好な高周波特性が得られないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−217511号公報
【特許文献2】
特開平7−130536号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この問題を解決する方法として、前記積層膜において、絶縁膜を挟んで隣接する金属磁性膜のそれぞれの磁化容易軸を略直交させ、高周波での透磁率を向上させた積層型磁気ヘッドの従来例が特開昭63−217511及び特開平7−130536号公報に示されている。この従来例の磁気ヘッドでは、ヘッド内の磁束が金属磁性膜の磁化容易軸に沿う方向には通りにくくなるため、磁路の断面積が見かけ上磁性膜の厚さの約半分になる。そのため磁気ヘッドの効率があまり高くないという問題があった。「磁気ヘッドの効率」とは、磁気ヘッドの持性を表わすものとして当技術分野ではよく知られているものであり、記録時においては、磁気ヘッドに供給する電流に対する磁気ヘッドの磁気ギャップにおける磁界の強さの関係を表わし、再生時においては、記録磁化の強さと再生出力値との関係を表わすものである。
本発明は、上記従来の問題を解決するものであり、高周波特性の優れた積層型の磁気記録再生ヘッドと、それを用い高周波対応の磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気ヘッドは、負の磁気歪定数を有する磁性材により形成された一対のコア半体の少なくとも一方に、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせたとき、巻線を巻回するための巻線孔が形成される凹部を設けた磁気コア、及び前記巻線孔の内壁面に形成した、前記磁性材の熱膨張率より小さな熱膨張率を有するガラス材の層を有する。
本発明の他の観点の磁気ヘッドは、負の磁気歪定数を有する磁性材の層を備えた磁気コアの両側を非磁性の基板で挟持した磁気コア半体がスペーサを介して接合された積層型磁気ヘッドであって、前記磁気コア半体の少なくとも一方に設けられた巻線孔の内壁面を前記磁性材の熱膨張率より小さな熱膨張率を有するガラス材で覆ったことを特徴とする。
【0007】
負の磁気歪定数を有する磁性材の磁気コアでは、磁性材の熱膨張率より小さい熱膨張率を有するガラス材を用いて巻線孔の内壁面を覆っている。これにより、製造時に加熱処理を受けた磁気コアでは、磁気ヘッドとして用いるとき記録及び再生の効率に最も大きな影響を与える巻線孔の近傍の領域の磁性材には磁路に沿う方向に引っ張り力が生じる。そのため、磁化容易軸が巻線孔の略中心を通る方向(以下それらをラジアル方向と呼ぶ)を向く。その結果、巻線孔近傍の領域における磁路に沿う方向の初透磁率の高周波特性が向上し、高周波特性の優れた磁気ヘッドを得ることができる。
【0008】
本発明の他の観点の磁気ヘッドは、正の磁気歪定数を有する磁性材により形成された一対のコア半体の少なくとも一方に、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせたとき、巻線を巻回するための巻線孔が形成される凹部を設けた磁気コア、及び前記巻線孔の内壁面に形成した、前記磁性材の熱膨張率より大きな熱膨張率を有するガラス材の層を有する。
本発明の他の観点の磁気ヘッドは、正の磁気歪定数を有する磁性材の層を備えた磁気コアの両側を非磁性の基板で挟持した磁気コア半体がスペーサを介して接合された積層型磁気ヘッドであって、前記磁気コア半体の少なくとも一方に設けられた巻線孔の内壁面を前記磁性材の熱膨張率より大きな膨張率を有するガラス材で覆ったことを特徴とする。
【0009】
正の磁気歪定数を有する磁性材の磁気コアでは、磁性材の熱膨張率より大きい熱膨張率を有するガラス材を用いて巻線孔の内壁面を覆っている。これにより、製造時に加熱処理を受けた磁気コアでは、巻線孔の近傍の領域では磁路に沿う方向に圧縮力が生じ、磁化容易軸が巻線孔を中心としてラジアル方向を向く。その結果、巻線孔近傍の領域における磁路に沿う方向の初透磁率の高周波特性が向上し、高周波特性の優れた磁気ヘッドを得ることができる。
【0010】
本発明の磁気ヘッドの製造方法は、負の磁気歪定数を有する磁性材により形成された一対のコア半体の少なくとも一方に、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせたとき、巻線を巻回するための巻線孔が形成される凹部を設ける工程、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせ、前記巻線孔の中に前記磁性材の熱膨張率より小さな熱膨張率を有するガラス材を置き、前記組合わせた一対のコア半体を前記ガラス材の融点以上の所定の温度に加熱して前記巻線孔の内壁面に前記ガラス材の層を形成する工程、及び前記加熱した一対のコア半体を所定の温度変化速度で徐冷する工程を有する。上記の各工程により磁性材に引張り応力を生じさせることができる。
【0011】
本発明の磁気ヘッドの製造方法は、正の磁気歪定数を有する磁性材により形成された一対のコア半体の少なくとも一方に、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせたとき、巻線を巻回するための巻線孔が形成される凹部を設ける工程、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせ、前記巻線孔の中に前記磁性材の熱膨張率より大きな熱膨張率を有するガラス材を置き、前記組合わせた一対のコア半体を前記ガラス材の融点以上の所定の温度に加熱して前記巻線孔の内壁面に前記ガラス材の層を形成する工程、及び前記加熱した一対のコア半体を所定の温度変化速度で徐冷する工程を有する。上記の各工程により磁性材に圧縮応力を生じさせることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気ヘッドの好適な実施の形態について、図1から図7を参照して説明する。まず本発明の実施の形態における基本原理について図2を参照して説明する。
負の磁気歪定数(λs<0)を有する金属磁性材料の層について図2の(a)を参照して説明する。図において、初期状態では等方性である金属磁性層1Aに矢印8Aで示す方向に張力を加えると、金属磁性層1Aに引っ張り応力が生じる。その結果当技術分野ではよく知られているように、金属磁性層1Aに異方性が生じ、磁化容易軸は、矢印8Aの方向に直交する矢印6Aの方向に向く。
また、正の磁気歪定数(λs>0)を有する金属磁性材料の層では、図2の(b)に示すように、初期状態では等方性の金属磁性層11Aに矢印13Aの方向に圧縮力を加えると、金属磁性層11Aに圧縮応力が生じ、磁化容易軸は前記と同様に矢印6Aの方向に向く。
以下の各実施例の形態で詳しく説明する本発明の積層型の磁気コアは、巻線孔を形成する凹部の内壁面に設けたガラス層と磁気コアである金属磁性層のそれぞれの熱膨張率を異なるようにし、金属磁性層に張力又は圧縮力を加える。
【0013】
《実施の形態1》
以下、本発明の磁気ヘッドの実施の形態1について、図1を参照しながら詳細に説明する。
図1の(a)は本発明の実施の形態1の磁気ヘッドのヘッドコア33の斜視図である。図1の(a)において、負の磁気歪定数(磁気歪定数は磁歪定数ともいう)を有する金属磁性層1を非磁性の基板2ではさんでコア半体30a、30bを構成している。コア半体30a、30bを図1の(a)に示すように組合わせてヘッドコア33を構成したとき巻線孔15が形成されるように、コア半体30a、30bにはそれぞれ凹部31a、31bが形成されている。凹部31a、31bはコア半体30a、30bの少なくとも一方に形成すればよい。凹部31a、31bの内壁面には、薄いSiO2層である反応防止層24を設け、その上にガラス層4を設けている。ガラス層4の中央の穴が巻線孔15となる。コア半体30a、30bは、磁気ギャップ部5において、磁気ギャップを形成するため所定の厚さのギャップ材を介して対向している。
本実施の形態1では、凹部31a、31bに設けたガラス層4の熱膨張率が、金属磁性層1の熱膨張率より小さくなるようにガラス材料を選定している。ヘッドコア33の巻線孔15を通ってコイルを巻回することで磁気ヘッドが構成される。
【0014】
本実施の形態1のヘッドコアの製作時の加熱工程を説明する。
コア半体30aおよび30bを図1の(a)に示すように組み合わせ、凹部31a及び31bで形成される孔にガラス層4の素材であるガラス塊(図示省略)を挿入して加熱炉中に置き、約500℃に加熱する。その結果ガラス塊は溶融して凹部31a、31bの内壁面に付着するとともに、表面張力により中央部にほぼ円形の巻線孔15を有するガラス層4が形成される。加熱終了後ヘッドコアを常温に達するまで所定の温度変化速度(例えば、100℃/時間)で徐冷する。冷却の過程において、加熱時に膨張していた金属磁性層1及びガラス層4は収縮する。ガラス層4は約300℃で固化する。約300℃以下の温度において、熱膨張率が金属磁性層1のそれより小さいガラス層4の収縮率は、金属磁性層1の収縮率より小さいので、金属磁性膜1はガラス層4の周囲を圧迫する。すなわち金属磁性膜1は、凹部31a、31bの近傍の一点鎖線で囲む領域9において、ガラス層4により図1の(b)に矢印8で示すように外向きでラジアル方向の力を受ける。これにより金属磁性層1には領域9において引っ張り応力が生じる。その結果、磁化容易軸は図1の(c)に矢印6で示すように、巻線孔15のほぼ中心Cを通るラジアル方向に向く。すなわち、磁気ヘッドの記録再生の効率に大きな影響を及ぼす巻線孔15近傍の領域9では磁路7のすべての経路が磁化容易軸と直交する磁化困難軸に沿うことになる。磁束の通る磁路が磁化困難軸に沿うと、当技術分野ではよく知られているように、磁路に沿う経路の初透磁率変化の高周波特性が向上する。従ってこのような磁気コアを用いて磁気ヘッドを構成すると記録再生において良好な高周波特性を有する磁気ヘッドが得られる。
【0015】
負の磁歪定数(λs<0)を有する金属磁性層1の材料としては例えば、Co:80%、Nb:15%、Zr:5%(λs=−8×10−7、熱膨張率α=115×10−7 、各材料の比率は含有量をアトミックパーセントで表している)のアモルファス金属磁性層を用いる。ガラス材としては、熱膨張率αが94×10ー7の鉛ガラスを用いる。この鉛ガラスの組成例は、PbO:75%、SiO2:17%、B2O3:6%、Al2O3:1%、K2O:1%であり、各材料の後の後の百分比率は含有量を重量パーセントで表している。本実施の形態では、金属磁性層1の厚さを約5μmとしているのでトラック幅TWは約5μmとなる。非磁性基板2としては非磁性のチタン酸マグネシウム系セラミックス基板を用いるのが望ましい。反応防止層24は高温加熱時における巻線孔15内のガラス層4に含まれる酸素と金属磁性層1との間の反応を防止するためのものであり、非磁性金属又は非磁性の絶縁体の層である。
【0016】
本発明の実施形態1のヘッドコア33の製造方法を図3から図5を用いて説明する。まず図3の(a)に示すように、負の磁歪定数を有する金属磁性層1と非磁性基板2とを交互に複数枚積層にして接着した一対の磁気コア半体基板10a、10bを用意する。磁気コア半体基板10a、10bの上面10c、10dに後の工程で巻線孔となる溝3a、3bを形成する。磁気コア半体基板10a、10bの溝3a、3bを含む全面に図3の(b)に示すようにSiO2の反応防止層24をスパッタリング等の薄膜形成技術で形成する。
次に、図3の(c)に示すように、金属磁性膜1より熱膨張率の小さな低融点の棒状のガラス材54を溝3a、3b内に配置し、図4の(a)に示すように、熱処理によって溶融させてガラス材54を溝3a、3bに充填する。ガラス材54は磁気コア半体基板10a、10bの上面24から少し盛り上がって充填されるようにその量を加減する。磁気コア半体基板10a、10bの面から盛り上がっているガラス材54Aを研磨して除き面を平らにした後、図4の(b)に示すように、ダイシングソーを用いて溝14を設けガラス材54Bに形成する。溝14の深さは溝3a、3b内にガラス材54Bが残る状態に設定する。溝14を形成した後の磁気コア半体基板10a、10bの上面を厚さ10μm程度研磨して除去し、面17a、18a、17b、18bの上に非磁性材料(例えばSiO2と低融点ガラス)の薄膜からなる磁気ギャップ材(図示省略)を成膜する。
【0017】
次に図5の(a)に示すように、磁気コア半体基板10a、10bを、面17aと17bが接し、面18aと18bが接するように組合わせ側面を加圧しながら約500℃の加熱炉中で熱処理する。熱処理により溝3a、3bにある低融点のガラス材54が溶融して一体になるとともに表面張力により、図5の(b)に示すように中央部に略円形のトンネル状の巻線孔15が形成される。これにより磁気コア半体基板10a、10bは接合されてヘッドコア体33aが形成される。ヘッドコア体33を常温まで徐冷してから、ヘッドコア体33aの上面55を研磨して曲面にし、切断線60で切断して所定の幅Wで切り分けることにより、図1に示すヘッドコア33が複数個得られる。このヘッドコア33の巻線孔15を通ってコイルを巻くことにより磁気ヘッドが構成される。
【0018】
本発明の実施の形態1の磁気ヘッドを用いて、磁気記録体に記録された周波数が40MHz及び80MHzの磁化信号を再生し、その再生出力を従来例の等方性の磁性膜を用いた積層型磁気ヘッドの再生出力と比較した。
比較において、従来例の磁気ヘッドの再生出力レベルを零dBとして、本実施の形態1の磁気ヘッドの再生出力レベルの相対値を求めた。その結果、本実施の形態1の磁気ヘッドの再生出力は、40MHzでは従来例のものより2dB大きかった。また80MHzでは4dB大きかった。以上このように、本実施の形態1の磁気ヘッドは、等方性の膜を用いた従来例の磁気ヘッドに比べ、特に高い周波数領域で優れた特性を示すことがわかった。
本発明の磁気ヘッドでは、巻線孔15近傍の領域9における金属磁性層1の異方性は磁界誘導によって生じるものではなく、金属磁性膜1の応力によって生じる。従って磁気ヘッドの組立中あるいは使用中に異方性が消失することがなく、安定した特性が長期間にわたって保たれる。
【0019】
《実施の形態2》
本発明の実施の形態2の磁気ヘッドのへッドコアを図6を参照して説明する。図6の(a)は本実施の形態2のヘッドコア38の斜視図である。ヘッドコア38は正の磁歪定数をもつ金属磁性層11が両側から非磁性基板2により挟まれている。金属磁性層11及び非磁性基板2は凹部31a、31bを有している。凹部31a、31bの内壁面には反応防止層2を介して中央部に略円形の巻線孔15を有するガラス層12が形成されている。ガラス層12のガラス材は、その熱膨張率が金属磁性層11の熱膨張率より大きくなるように選定されている。本実施の形態のヘッドコアの製造工程は前記実施の形態1のものと同じである。
【0020】
本実施の形態2のヘッドコア38では、図6の(b)に示すように、ヘッドコア38の凹部31a、31bの近傍の一点鎖線で囲む金属磁性層1の領域9において磁路7に沿って矢印13で示す方向の圧縮力が生じる。そのため図6の(c)に示すように、磁化容易軸は矢印6で示すように、巻線孔15のラジアル方向に略平行になる。これにより、磁気ヘッドの記録再生の効率に大きな影響を及ぼす巻線孔15の近傍の領域9では、磁路7が全て磁化容易軸方向と直交する磁化困難軸に沿うことになり、記録再生の高周波特性が向上する。正の磁歪定数(λs>0)を有する金属磁性層11の材料としては、Co:80%、Nb:5%、Zr:15%(λs=+8×10−7、熱膨張率α=115×10−7、各数字は含有量をアトミックパーセントで表している)のアモルファス金属磁性層を用いた。ガラス材としては熱膨張率αが125×10−7の鉛ガラスを用いる。この鉛ガラスの組成例は、PbO:50%、SiO2:35%、ZnO:6%、Na2O:5%、K2O:4%であり、各材料の比率は含有量を重量パーセントで表している。本実施の形態2の磁気ヘッドにおいても前記実施の形態1と同様に高周波特性の向上が実現できた。
【0021】
前記実施の形態1及び2では、磁気コアを構成する単層の金属磁性層1の層厚が5μmの場合を例として述べたが、この層厚によりトラック幅が決まるので、所望のトラック幅に応じて膜厚を決めれば良い。
本実施の形態1及び2では、磁気コアとして厚みが5μmの単層の金属磁性層1及び11を有するヘッドコア33及び38について説明したが、さらに特性を向上させるために、図7の(a)に金属磁性層1又は11の断面図を示すように、例えば厚さ1μmの金属磁性層1Aと厚さ5nmの非磁性層21(本実施例ではSiO2を使用)とを交互に積層した積層膜23を磁気コアとして用いるのが望ましい。積層膜23では磁区構造がより安定化するのでさらに特性の優れた磁気ヘッドが実現できる。
【0022】
複数の金属磁性層1又は11を有し、トラック幅TWが数10μm程度の広いトラック幅を有する磁気ヘッドにおいては、磁気コア33、38の高周波における渦電流損失が無視できなくなり、これを減らす必要がある。この渦電流損失を減らすためには図7の(b)に示すように、金属磁性層1は11と導電性を有しない絶縁膜22とを交互に積層して各金属磁性層1又は11間を電気的に絶縁するのが望ましい。図7の(b)に示す磁気コア35の例では、厚さ5μmの金属磁性層1又は11と厚さ0.2μmのSiO2等による絶縁層22とを交互に積層している。金属磁性層1の層厚及び絶縁層22の層厚は、使用周波数帯域の渦電流損失を考慮して決めるのが望ましい。
トラック幅が広い磁気ヘッドの特性をさらに向上させるために、図7の(c)に示すように、図7の(a)に示す積層膜23の複数のものを、絶縁膜22を介して積層するのが望ましい。積層膜23と絶縁膜22とで複合膜を構成することで磁気コアとしての磁区構造がより安定化し、さらに特性の優れた磁気ヘッドが実現できる。
【0023】
本実施の形態において磁気コアが積層膜のものでは金属磁性層の層厚が1μm、非磁性層の層厚が5nmの場合の例を説明しているが、金属磁性層の層厚は0.1μm以上、非磁性層の層厚は10nm以下であれば特に問題はない。
磁気コアが複合膜の場合においては、絶縁層の層厚が0.2μmの場合を例として説明しているが、絶縁層の層厚は500nm以上であれば特に問題はない。また、金属磁性層1及び11としてCo系のアモルファス金属磁性材料を例に挙げているが、これだけに限定されるものではなく、FeTaN(微結晶系材料)又はセンダスト(結晶系材料)においても、磁歪定数が零でない金属磁性材料の層であれば、同様の効果が得られることは云うまでもない。
【0024】
本発明の前記実施の形態1及び2の磁気ヘッドにおいては、金属磁性層1又は11とガラス層4とが接しているので、加熱時に金属磁性層1又は11の合金CoNbZrとガラス層4のガラス(硼珪酸ガラスなど)に含まれる酸素や水素とが反応を起こして金属磁性層1又は11を劣化させるおそれがある。そこで実施の形態1及び2では、金属磁性層1又は11とガラス層4又は12との間にSiO2層などの反応防止層24を設けている。反応防止層24は反応防止の効果を有するとともに、金属磁性層1又は11とガラス層4又は12との接着性を向上させる効果もある。
そこで図8に示すように、凹部31a、31bの内面の金属磁性膜1又は11の上にまずSiO2などの非磁性絶縁膜25を設け、非磁性絶縁膜25の上に非磁性の金属膜26を形成するのが望ましい。これにより、金属磁性膜1又は11とガラス4又は11との濡れ性が向上して接着力が高くなる。非磁性の絶縁膜25としては、SiO2の外に、Al2O3、Cr2O3、Ta2O5、CrN、硼珪酸ガラスなどを用いても同様の効果が得られる。非磁性金属膜26としては、Ti、Cr、Cu、Zr、Nb、Taなどの金属及びこれらの合金を使用しても同様の効果が得られる。
【0025】
本発明の前記実施の形態1及び2の磁気ヘッドを用いた磁気記録再生装置の例について以下に説明する。この磁気記録再生装置では、記録再生用のヘッドとして本発明の実施の形態1又は2の磁気ヘッドを8個用いて磁気テープ上で8チャンネルにチャンネル分割を行う。その結果帯域幅80MHzの信号を良好に記録再生することができた。これにより、転送レートが1.2Gbpsのハイビジョンテレビのデジタル信号を記録再生することが可能となりハイビジョンテレビ用のVTRが実現できた。
【0026】
【発明の効果】
以上の各実施の形態において詳細に説明したように、本発明の磁気ヘッドは、ヘッドの特性に大きな影響を与える磁気コアの巻線窓近傍の領域における磁路がすべて磁化困難の軸に沿うように構成する。これにより、従来の等方性の磁性膜を用いた磁気ヘッドに比べ、特に高周波領域で優れた特性を有する。本発明の磁気ヘッドでは巻線窓近傍の領域の異方性を磁性膜の内部応力によって発生させているので、異方性が熱処理中の熱によって消失することはなく、安定した特性を有する磁気ヘッドを高歩留まりで製造できる。
また、この磁気ヘッドを用いた磁気記録再生装置は高周波信号を良好に記録再生でき、高転送レートが要求されるハイビジョンデジタルVTR等の磁気記録再生装置を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の形態1の磁気ヘッドの斜視図
(b)は同(a)の磁気ヘッドの金属磁性層1に働く力を示す金属磁性層1の正面図
(c)は前記金属磁性膜1の磁化容易軸を示す正面図
【図2】(a)負の磁歪定数を有する等方性金属磁性層に引っ張り力を加えたときの磁化容易軸の方向を示す平面図
(b)正の磁歪定数を有する等方性金属磁性層に圧縮力を加えたときの磁化容易軸の方向を示す平面図
【図3】(a)から(c)は本発明の磁気ヘッドの製造工程を示す斜投影図
【図4】(a)及び(b)は、本発明の磁気ヘッドの製造工程の図3の(c)に続く工程を示す斜投影図
【図5】(a)及び(b)は、本発明の磁気ヘッドの製造工程の図4の(b)に続く工程を示す斜投影図
【図6】(a)は本発明の実施の形態2の磁気ヘッドの斜視図
(b)は同(a)の磁気ヘッドの金属磁性層11に加わる力を示す正面図
(c)は同(a)の磁気ヘッドの金属磁性膜11の磁化容易軸を示す正面図
【図7】(a)は本発明の磁気ヘッドの磁気コアの例の断面図
(b)は前記磁気コアの他の例の断面図
(c)は前記磁気コアのさらに他の例の断面図
【図8】本発明の実施の形態1及び2の磁気ヘッドにおいて、凹部に非磁性絶縁膜と非磁性金属膜を設けた例の斜視図
【図9】従来の磁気ヘッドの構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 金属磁性層
2 非磁性基板
4 ガラス層
5 磁気ギャップ
6 磁化容易軸
7 磁路
8、8A 引っ張り力
9 近傍領域
10a、10b 磁気コア半体基板
11 金属磁性層
13、13A 圧縮力
14 溝
15 巻線孔
21 非磁性層
22 絶縁層
23 積層膜
24 反応防止層
30a、30b コア半体
31a、31b 凹部
TW トラック幅
【発明の属する技術分野】
本発明はハイビジョンデジタルVTRやデータストリーマ等の、高い周波数の信号を記録再生するための磁気記録再生装置に用いる磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハイビジョン対応のデジタルVTR等の広帯域の信号を記録再生する磁気記録再生システムの開発が盛んに行われている。広域帯の信号の大量の情報を記録するために、磁気記録媒体も従来の酸化鉄系の磁性体を用いた媒体から、合金の粉末を用いた媒体や金属蒸着膜を用いた媒体等の高抗磁力を有する媒体へと変わってきた。そこで磁気ヘッドとしても、これらの高抗磁力を有する記録媒体に対応できるように、高い飽和磁束密度を有し、50MHz以上の高周波帯域での特性が優れた磁気ヘッドの開発が望まれている。従来このような磁気ヘッドは、飽和磁束密度の高いセンダストやアモルファス磁性合金等の金属磁性膜と絶縁膜とを交互に積層した積層膜で磁気コアを形成している。この磁気コアの両側を非磁性の基板で挟持して積層型の磁気ヘッドを構成し、高周波帯域での渦電流損失を低減して高周波特性を向上させていた。
【0003】
図9に従来例の積層型の磁気ヘッドの斜視図を示す。この磁気ヘッドは磁気コア41を構成する金属磁性膜に、磁気歪定数(磁歪定数ともいい、λsで表す)がほぼ零(λs=0)である金属磁性膜を用いている。金属磁性膜と絶縁膜を交互に積層した積層膜からなる磁気コア41の両面をそれぞれ2つの基板42ではさんで、コア半体60a、60bを形成している。コア半体60a、60bを図のように組合わせてヘッドコアを構成したときに形成される巻線孔55内の磁気ギャップ45近傍に接合ガラス43を加熱溶融して付着させ、コア半体60a、60bを一体に接合している。金属磁性膜の具体例としては、磁歪定数がほぼ零である、Co:85%、Nb:10%、Zr:5%(各数字は含有量をアトミックパーセントで表している)のアモルファスの金属磁性膜を用いており、磁路は全て等方性領域からなる。このヘッドコアを用いた磁気ヘッドで磁気記録媒体に記録したときのトラックの幅は磁気コア41の厚さの約5μmにほぼ等しい。
この構造の磁気ヘッドでは、磁路が金属磁性膜の面内で略円形に形成され、一定の方向を向いていない。そのため磁気コア41の金属磁性膜は異方性がほとんどない等方性であることが要求される。このような等方性の金属磁性膜は、当技術分野ではよく知られているように、高周波帯域における初透磁率が磁気双極子の自然共鳴のため低下し、磁気ヘッドを構成したとき良好な高周波特性が得られないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−217511号公報
【特許文献2】
特開平7−130536号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この問題を解決する方法として、前記積層膜において、絶縁膜を挟んで隣接する金属磁性膜のそれぞれの磁化容易軸を略直交させ、高周波での透磁率を向上させた積層型磁気ヘッドの従来例が特開昭63−217511及び特開平7−130536号公報に示されている。この従来例の磁気ヘッドでは、ヘッド内の磁束が金属磁性膜の磁化容易軸に沿う方向には通りにくくなるため、磁路の断面積が見かけ上磁性膜の厚さの約半分になる。そのため磁気ヘッドの効率があまり高くないという問題があった。「磁気ヘッドの効率」とは、磁気ヘッドの持性を表わすものとして当技術分野ではよく知られているものであり、記録時においては、磁気ヘッドに供給する電流に対する磁気ヘッドの磁気ギャップにおける磁界の強さの関係を表わし、再生時においては、記録磁化の強さと再生出力値との関係を表わすものである。
本発明は、上記従来の問題を解決するものであり、高周波特性の優れた積層型の磁気記録再生ヘッドと、それを用い高周波対応の磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気ヘッドは、負の磁気歪定数を有する磁性材により形成された一対のコア半体の少なくとも一方に、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせたとき、巻線を巻回するための巻線孔が形成される凹部を設けた磁気コア、及び前記巻線孔の内壁面に形成した、前記磁性材の熱膨張率より小さな熱膨張率を有するガラス材の層を有する。
本発明の他の観点の磁気ヘッドは、負の磁気歪定数を有する磁性材の層を備えた磁気コアの両側を非磁性の基板で挟持した磁気コア半体がスペーサを介して接合された積層型磁気ヘッドであって、前記磁気コア半体の少なくとも一方に設けられた巻線孔の内壁面を前記磁性材の熱膨張率より小さな熱膨張率を有するガラス材で覆ったことを特徴とする。
【0007】
負の磁気歪定数を有する磁性材の磁気コアでは、磁性材の熱膨張率より小さい熱膨張率を有するガラス材を用いて巻線孔の内壁面を覆っている。これにより、製造時に加熱処理を受けた磁気コアでは、磁気ヘッドとして用いるとき記録及び再生の効率に最も大きな影響を与える巻線孔の近傍の領域の磁性材には磁路に沿う方向に引っ張り力が生じる。そのため、磁化容易軸が巻線孔の略中心を通る方向(以下それらをラジアル方向と呼ぶ)を向く。その結果、巻線孔近傍の領域における磁路に沿う方向の初透磁率の高周波特性が向上し、高周波特性の優れた磁気ヘッドを得ることができる。
【0008】
本発明の他の観点の磁気ヘッドは、正の磁気歪定数を有する磁性材により形成された一対のコア半体の少なくとも一方に、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせたとき、巻線を巻回するための巻線孔が形成される凹部を設けた磁気コア、及び前記巻線孔の内壁面に形成した、前記磁性材の熱膨張率より大きな熱膨張率を有するガラス材の層を有する。
本発明の他の観点の磁気ヘッドは、正の磁気歪定数を有する磁性材の層を備えた磁気コアの両側を非磁性の基板で挟持した磁気コア半体がスペーサを介して接合された積層型磁気ヘッドであって、前記磁気コア半体の少なくとも一方に設けられた巻線孔の内壁面を前記磁性材の熱膨張率より大きな膨張率を有するガラス材で覆ったことを特徴とする。
【0009】
正の磁気歪定数を有する磁性材の磁気コアでは、磁性材の熱膨張率より大きい熱膨張率を有するガラス材を用いて巻線孔の内壁面を覆っている。これにより、製造時に加熱処理を受けた磁気コアでは、巻線孔の近傍の領域では磁路に沿う方向に圧縮力が生じ、磁化容易軸が巻線孔を中心としてラジアル方向を向く。その結果、巻線孔近傍の領域における磁路に沿う方向の初透磁率の高周波特性が向上し、高周波特性の優れた磁気ヘッドを得ることができる。
【0010】
本発明の磁気ヘッドの製造方法は、負の磁気歪定数を有する磁性材により形成された一対のコア半体の少なくとも一方に、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせたとき、巻線を巻回するための巻線孔が形成される凹部を設ける工程、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせ、前記巻線孔の中に前記磁性材の熱膨張率より小さな熱膨張率を有するガラス材を置き、前記組合わせた一対のコア半体を前記ガラス材の融点以上の所定の温度に加熱して前記巻線孔の内壁面に前記ガラス材の層を形成する工程、及び前記加熱した一対のコア半体を所定の温度変化速度で徐冷する工程を有する。上記の各工程により磁性材に引張り応力を生じさせることができる。
【0011】
本発明の磁気ヘッドの製造方法は、正の磁気歪定数を有する磁性材により形成された一対のコア半体の少なくとも一方に、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせたとき、巻線を巻回するための巻線孔が形成される凹部を設ける工程、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせ、前記巻線孔の中に前記磁性材の熱膨張率より大きな熱膨張率を有するガラス材を置き、前記組合わせた一対のコア半体を前記ガラス材の融点以上の所定の温度に加熱して前記巻線孔の内壁面に前記ガラス材の層を形成する工程、及び前記加熱した一対のコア半体を所定の温度変化速度で徐冷する工程を有する。上記の各工程により磁性材に圧縮応力を生じさせることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気ヘッドの好適な実施の形態について、図1から図7を参照して説明する。まず本発明の実施の形態における基本原理について図2を参照して説明する。
負の磁気歪定数(λs<0)を有する金属磁性材料の層について図2の(a)を参照して説明する。図において、初期状態では等方性である金属磁性層1Aに矢印8Aで示す方向に張力を加えると、金属磁性層1Aに引っ張り応力が生じる。その結果当技術分野ではよく知られているように、金属磁性層1Aに異方性が生じ、磁化容易軸は、矢印8Aの方向に直交する矢印6Aの方向に向く。
また、正の磁気歪定数(λs>0)を有する金属磁性材料の層では、図2の(b)に示すように、初期状態では等方性の金属磁性層11Aに矢印13Aの方向に圧縮力を加えると、金属磁性層11Aに圧縮応力が生じ、磁化容易軸は前記と同様に矢印6Aの方向に向く。
以下の各実施例の形態で詳しく説明する本発明の積層型の磁気コアは、巻線孔を形成する凹部の内壁面に設けたガラス層と磁気コアである金属磁性層のそれぞれの熱膨張率を異なるようにし、金属磁性層に張力又は圧縮力を加える。
【0013】
《実施の形態1》
以下、本発明の磁気ヘッドの実施の形態1について、図1を参照しながら詳細に説明する。
図1の(a)は本発明の実施の形態1の磁気ヘッドのヘッドコア33の斜視図である。図1の(a)において、負の磁気歪定数(磁気歪定数は磁歪定数ともいう)を有する金属磁性層1を非磁性の基板2ではさんでコア半体30a、30bを構成している。コア半体30a、30bを図1の(a)に示すように組合わせてヘッドコア33を構成したとき巻線孔15が形成されるように、コア半体30a、30bにはそれぞれ凹部31a、31bが形成されている。凹部31a、31bはコア半体30a、30bの少なくとも一方に形成すればよい。凹部31a、31bの内壁面には、薄いSiO2層である反応防止層24を設け、その上にガラス層4を設けている。ガラス層4の中央の穴が巻線孔15となる。コア半体30a、30bは、磁気ギャップ部5において、磁気ギャップを形成するため所定の厚さのギャップ材を介して対向している。
本実施の形態1では、凹部31a、31bに設けたガラス層4の熱膨張率が、金属磁性層1の熱膨張率より小さくなるようにガラス材料を選定している。ヘッドコア33の巻線孔15を通ってコイルを巻回することで磁気ヘッドが構成される。
【0014】
本実施の形態1のヘッドコアの製作時の加熱工程を説明する。
コア半体30aおよび30bを図1の(a)に示すように組み合わせ、凹部31a及び31bで形成される孔にガラス層4の素材であるガラス塊(図示省略)を挿入して加熱炉中に置き、約500℃に加熱する。その結果ガラス塊は溶融して凹部31a、31bの内壁面に付着するとともに、表面張力により中央部にほぼ円形の巻線孔15を有するガラス層4が形成される。加熱終了後ヘッドコアを常温に達するまで所定の温度変化速度(例えば、100℃/時間)で徐冷する。冷却の過程において、加熱時に膨張していた金属磁性層1及びガラス層4は収縮する。ガラス層4は約300℃で固化する。約300℃以下の温度において、熱膨張率が金属磁性層1のそれより小さいガラス層4の収縮率は、金属磁性層1の収縮率より小さいので、金属磁性膜1はガラス層4の周囲を圧迫する。すなわち金属磁性膜1は、凹部31a、31bの近傍の一点鎖線で囲む領域9において、ガラス層4により図1の(b)に矢印8で示すように外向きでラジアル方向の力を受ける。これにより金属磁性層1には領域9において引っ張り応力が生じる。その結果、磁化容易軸は図1の(c)に矢印6で示すように、巻線孔15のほぼ中心Cを通るラジアル方向に向く。すなわち、磁気ヘッドの記録再生の効率に大きな影響を及ぼす巻線孔15近傍の領域9では磁路7のすべての経路が磁化容易軸と直交する磁化困難軸に沿うことになる。磁束の通る磁路が磁化困難軸に沿うと、当技術分野ではよく知られているように、磁路に沿う経路の初透磁率変化の高周波特性が向上する。従ってこのような磁気コアを用いて磁気ヘッドを構成すると記録再生において良好な高周波特性を有する磁気ヘッドが得られる。
【0015】
負の磁歪定数(λs<0)を有する金属磁性層1の材料としては例えば、Co:80%、Nb:15%、Zr:5%(λs=−8×10−7、熱膨張率α=115×10−7 、各材料の比率は含有量をアトミックパーセントで表している)のアモルファス金属磁性層を用いる。ガラス材としては、熱膨張率αが94×10ー7の鉛ガラスを用いる。この鉛ガラスの組成例は、PbO:75%、SiO2:17%、B2O3:6%、Al2O3:1%、K2O:1%であり、各材料の後の後の百分比率は含有量を重量パーセントで表している。本実施の形態では、金属磁性層1の厚さを約5μmとしているのでトラック幅TWは約5μmとなる。非磁性基板2としては非磁性のチタン酸マグネシウム系セラミックス基板を用いるのが望ましい。反応防止層24は高温加熱時における巻線孔15内のガラス層4に含まれる酸素と金属磁性層1との間の反応を防止するためのものであり、非磁性金属又は非磁性の絶縁体の層である。
【0016】
本発明の実施形態1のヘッドコア33の製造方法を図3から図5を用いて説明する。まず図3の(a)に示すように、負の磁歪定数を有する金属磁性層1と非磁性基板2とを交互に複数枚積層にして接着した一対の磁気コア半体基板10a、10bを用意する。磁気コア半体基板10a、10bの上面10c、10dに後の工程で巻線孔となる溝3a、3bを形成する。磁気コア半体基板10a、10bの溝3a、3bを含む全面に図3の(b)に示すようにSiO2の反応防止層24をスパッタリング等の薄膜形成技術で形成する。
次に、図3の(c)に示すように、金属磁性膜1より熱膨張率の小さな低融点の棒状のガラス材54を溝3a、3b内に配置し、図4の(a)に示すように、熱処理によって溶融させてガラス材54を溝3a、3bに充填する。ガラス材54は磁気コア半体基板10a、10bの上面24から少し盛り上がって充填されるようにその量を加減する。磁気コア半体基板10a、10bの面から盛り上がっているガラス材54Aを研磨して除き面を平らにした後、図4の(b)に示すように、ダイシングソーを用いて溝14を設けガラス材54Bに形成する。溝14の深さは溝3a、3b内にガラス材54Bが残る状態に設定する。溝14を形成した後の磁気コア半体基板10a、10bの上面を厚さ10μm程度研磨して除去し、面17a、18a、17b、18bの上に非磁性材料(例えばSiO2と低融点ガラス)の薄膜からなる磁気ギャップ材(図示省略)を成膜する。
【0017】
次に図5の(a)に示すように、磁気コア半体基板10a、10bを、面17aと17bが接し、面18aと18bが接するように組合わせ側面を加圧しながら約500℃の加熱炉中で熱処理する。熱処理により溝3a、3bにある低融点のガラス材54が溶融して一体になるとともに表面張力により、図5の(b)に示すように中央部に略円形のトンネル状の巻線孔15が形成される。これにより磁気コア半体基板10a、10bは接合されてヘッドコア体33aが形成される。ヘッドコア体33を常温まで徐冷してから、ヘッドコア体33aの上面55を研磨して曲面にし、切断線60で切断して所定の幅Wで切り分けることにより、図1に示すヘッドコア33が複数個得られる。このヘッドコア33の巻線孔15を通ってコイルを巻くことにより磁気ヘッドが構成される。
【0018】
本発明の実施の形態1の磁気ヘッドを用いて、磁気記録体に記録された周波数が40MHz及び80MHzの磁化信号を再生し、その再生出力を従来例の等方性の磁性膜を用いた積層型磁気ヘッドの再生出力と比較した。
比較において、従来例の磁気ヘッドの再生出力レベルを零dBとして、本実施の形態1の磁気ヘッドの再生出力レベルの相対値を求めた。その結果、本実施の形態1の磁気ヘッドの再生出力は、40MHzでは従来例のものより2dB大きかった。また80MHzでは4dB大きかった。以上このように、本実施の形態1の磁気ヘッドは、等方性の膜を用いた従来例の磁気ヘッドに比べ、特に高い周波数領域で優れた特性を示すことがわかった。
本発明の磁気ヘッドでは、巻線孔15近傍の領域9における金属磁性層1の異方性は磁界誘導によって生じるものではなく、金属磁性膜1の応力によって生じる。従って磁気ヘッドの組立中あるいは使用中に異方性が消失することがなく、安定した特性が長期間にわたって保たれる。
【0019】
《実施の形態2》
本発明の実施の形態2の磁気ヘッドのへッドコアを図6を参照して説明する。図6の(a)は本実施の形態2のヘッドコア38の斜視図である。ヘッドコア38は正の磁歪定数をもつ金属磁性層11が両側から非磁性基板2により挟まれている。金属磁性層11及び非磁性基板2は凹部31a、31bを有している。凹部31a、31bの内壁面には反応防止層2を介して中央部に略円形の巻線孔15を有するガラス層12が形成されている。ガラス層12のガラス材は、その熱膨張率が金属磁性層11の熱膨張率より大きくなるように選定されている。本実施の形態のヘッドコアの製造工程は前記実施の形態1のものと同じである。
【0020】
本実施の形態2のヘッドコア38では、図6の(b)に示すように、ヘッドコア38の凹部31a、31bの近傍の一点鎖線で囲む金属磁性層1の領域9において磁路7に沿って矢印13で示す方向の圧縮力が生じる。そのため図6の(c)に示すように、磁化容易軸は矢印6で示すように、巻線孔15のラジアル方向に略平行になる。これにより、磁気ヘッドの記録再生の効率に大きな影響を及ぼす巻線孔15の近傍の領域9では、磁路7が全て磁化容易軸方向と直交する磁化困難軸に沿うことになり、記録再生の高周波特性が向上する。正の磁歪定数(λs>0)を有する金属磁性層11の材料としては、Co:80%、Nb:5%、Zr:15%(λs=+8×10−7、熱膨張率α=115×10−7、各数字は含有量をアトミックパーセントで表している)のアモルファス金属磁性層を用いた。ガラス材としては熱膨張率αが125×10−7の鉛ガラスを用いる。この鉛ガラスの組成例は、PbO:50%、SiO2:35%、ZnO:6%、Na2O:5%、K2O:4%であり、各材料の比率は含有量を重量パーセントで表している。本実施の形態2の磁気ヘッドにおいても前記実施の形態1と同様に高周波特性の向上が実現できた。
【0021】
前記実施の形態1及び2では、磁気コアを構成する単層の金属磁性層1の層厚が5μmの場合を例として述べたが、この層厚によりトラック幅が決まるので、所望のトラック幅に応じて膜厚を決めれば良い。
本実施の形態1及び2では、磁気コアとして厚みが5μmの単層の金属磁性層1及び11を有するヘッドコア33及び38について説明したが、さらに特性を向上させるために、図7の(a)に金属磁性層1又は11の断面図を示すように、例えば厚さ1μmの金属磁性層1Aと厚さ5nmの非磁性層21(本実施例ではSiO2を使用)とを交互に積層した積層膜23を磁気コアとして用いるのが望ましい。積層膜23では磁区構造がより安定化するのでさらに特性の優れた磁気ヘッドが実現できる。
【0022】
複数の金属磁性層1又は11を有し、トラック幅TWが数10μm程度の広いトラック幅を有する磁気ヘッドにおいては、磁気コア33、38の高周波における渦電流損失が無視できなくなり、これを減らす必要がある。この渦電流損失を減らすためには図7の(b)に示すように、金属磁性層1は11と導電性を有しない絶縁膜22とを交互に積層して各金属磁性層1又は11間を電気的に絶縁するのが望ましい。図7の(b)に示す磁気コア35の例では、厚さ5μmの金属磁性層1又は11と厚さ0.2μmのSiO2等による絶縁層22とを交互に積層している。金属磁性層1の層厚及び絶縁層22の層厚は、使用周波数帯域の渦電流損失を考慮して決めるのが望ましい。
トラック幅が広い磁気ヘッドの特性をさらに向上させるために、図7の(c)に示すように、図7の(a)に示す積層膜23の複数のものを、絶縁膜22を介して積層するのが望ましい。積層膜23と絶縁膜22とで複合膜を構成することで磁気コアとしての磁区構造がより安定化し、さらに特性の優れた磁気ヘッドが実現できる。
【0023】
本実施の形態において磁気コアが積層膜のものでは金属磁性層の層厚が1μm、非磁性層の層厚が5nmの場合の例を説明しているが、金属磁性層の層厚は0.1μm以上、非磁性層の層厚は10nm以下であれば特に問題はない。
磁気コアが複合膜の場合においては、絶縁層の層厚が0.2μmの場合を例として説明しているが、絶縁層の層厚は500nm以上であれば特に問題はない。また、金属磁性層1及び11としてCo系のアモルファス金属磁性材料を例に挙げているが、これだけに限定されるものではなく、FeTaN(微結晶系材料)又はセンダスト(結晶系材料)においても、磁歪定数が零でない金属磁性材料の層であれば、同様の効果が得られることは云うまでもない。
【0024】
本発明の前記実施の形態1及び2の磁気ヘッドにおいては、金属磁性層1又は11とガラス層4とが接しているので、加熱時に金属磁性層1又は11の合金CoNbZrとガラス層4のガラス(硼珪酸ガラスなど)に含まれる酸素や水素とが反応を起こして金属磁性層1又は11を劣化させるおそれがある。そこで実施の形態1及び2では、金属磁性層1又は11とガラス層4又は12との間にSiO2層などの反応防止層24を設けている。反応防止層24は反応防止の効果を有するとともに、金属磁性層1又は11とガラス層4又は12との接着性を向上させる効果もある。
そこで図8に示すように、凹部31a、31bの内面の金属磁性膜1又は11の上にまずSiO2などの非磁性絶縁膜25を設け、非磁性絶縁膜25の上に非磁性の金属膜26を形成するのが望ましい。これにより、金属磁性膜1又は11とガラス4又は11との濡れ性が向上して接着力が高くなる。非磁性の絶縁膜25としては、SiO2の外に、Al2O3、Cr2O3、Ta2O5、CrN、硼珪酸ガラスなどを用いても同様の効果が得られる。非磁性金属膜26としては、Ti、Cr、Cu、Zr、Nb、Taなどの金属及びこれらの合金を使用しても同様の効果が得られる。
【0025】
本発明の前記実施の形態1及び2の磁気ヘッドを用いた磁気記録再生装置の例について以下に説明する。この磁気記録再生装置では、記録再生用のヘッドとして本発明の実施の形態1又は2の磁気ヘッドを8個用いて磁気テープ上で8チャンネルにチャンネル分割を行う。その結果帯域幅80MHzの信号を良好に記録再生することができた。これにより、転送レートが1.2Gbpsのハイビジョンテレビのデジタル信号を記録再生することが可能となりハイビジョンテレビ用のVTRが実現できた。
【0026】
【発明の効果】
以上の各実施の形態において詳細に説明したように、本発明の磁気ヘッドは、ヘッドの特性に大きな影響を与える磁気コアの巻線窓近傍の領域における磁路がすべて磁化困難の軸に沿うように構成する。これにより、従来の等方性の磁性膜を用いた磁気ヘッドに比べ、特に高周波領域で優れた特性を有する。本発明の磁気ヘッドでは巻線窓近傍の領域の異方性を磁性膜の内部応力によって発生させているので、異方性が熱処理中の熱によって消失することはなく、安定した特性を有する磁気ヘッドを高歩留まりで製造できる。
また、この磁気ヘッドを用いた磁気記録再生装置は高周波信号を良好に記録再生でき、高転送レートが要求されるハイビジョンデジタルVTR等の磁気記録再生装置を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の形態1の磁気ヘッドの斜視図
(b)は同(a)の磁気ヘッドの金属磁性層1に働く力を示す金属磁性層1の正面図
(c)は前記金属磁性膜1の磁化容易軸を示す正面図
【図2】(a)負の磁歪定数を有する等方性金属磁性層に引っ張り力を加えたときの磁化容易軸の方向を示す平面図
(b)正の磁歪定数を有する等方性金属磁性層に圧縮力を加えたときの磁化容易軸の方向を示す平面図
【図3】(a)から(c)は本発明の磁気ヘッドの製造工程を示す斜投影図
【図4】(a)及び(b)は、本発明の磁気ヘッドの製造工程の図3の(c)に続く工程を示す斜投影図
【図5】(a)及び(b)は、本発明の磁気ヘッドの製造工程の図4の(b)に続く工程を示す斜投影図
【図6】(a)は本発明の実施の形態2の磁気ヘッドの斜視図
(b)は同(a)の磁気ヘッドの金属磁性層11に加わる力を示す正面図
(c)は同(a)の磁気ヘッドの金属磁性膜11の磁化容易軸を示す正面図
【図7】(a)は本発明の磁気ヘッドの磁気コアの例の断面図
(b)は前記磁気コアの他の例の断面図
(c)は前記磁気コアのさらに他の例の断面図
【図8】本発明の実施の形態1及び2の磁気ヘッドにおいて、凹部に非磁性絶縁膜と非磁性金属膜を設けた例の斜視図
【図9】従来の磁気ヘッドの構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 金属磁性層
2 非磁性基板
4 ガラス層
5 磁気ギャップ
6 磁化容易軸
7 磁路
8、8A 引っ張り力
9 近傍領域
10a、10b 磁気コア半体基板
11 金属磁性層
13、13A 圧縮力
14 溝
15 巻線孔
21 非磁性層
22 絶縁層
23 積層膜
24 反応防止層
30a、30b コア半体
31a、31b 凹部
TW トラック幅
Claims (19)
- 負の磁気歪定数を有する磁性材により形成された一対のコア半体の少なくとも一方に、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせたとき、巻線を巻回するための巻線孔が形成される凹部を設けた磁気コア、及び
前記巻線孔の内壁面に形成した、前記磁性材の熱膨張率より小さな熱膨張率を有するガラス材の層を有する磁気ヘッド。 - 負の磁気歪定数を有する磁性材の層を備えた磁気コアの両側を非磁性の基板で挟持した磁気コア半体を所定の磁気ギャップを保って接合した磁気ヘッドであって、前記磁気コア半体の少なくとも一方に設けられた巻線孔の内壁面を前記磁性材の熱膨張率より小さな熱膨張率を有するガラス材で覆ったことを特徴とする磁気ヘッド。
- 正の磁気歪定数を有する磁性材により形成された一対のコア半体の少なくとも一方に、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせたとき、巻線を巻回するための巻線孔が形成される凹部を設けた磁気コア、及び
前記巻線孔の内壁面に形成した、前記磁性材の熱膨張率より大きな熱膨張率を有するガラス材の層を有する磁気ヘッド。 - 正の磁気歪定数を有する磁性材の層を備えた磁気コアの両側を非磁性の基板で挟持した磁気コア半体を所定の磁気ギャップを保って接合した磁気ヘッドであって、前記磁気コア半体の少なくとも一方に設けられた巻線孔の内壁面を前記磁性材の熱膨張率より大きな熱膨張率を有するガラス材で覆ったことを特徴とする磁気ヘッド。
- 前記コア半体が、磁性材の層と非磁性材の層とを交互に積層した積層膜であることを特徴とする請求項1又は3に記載の磁気ヘッド。
- 前記磁気コアが磁性材の層と非磁性材の層とを交互に積層した積層膜であることを特徴とする請求項2又は4記載の磁気ヘッド。
- 前記磁性材の層の層厚が0.1μm以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気ヘッド。
- 前記非磁性層の層厚が10nm以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気ヘッド。
- 前記磁気コアが前記積層膜と絶縁層とを交互に積層した積層体であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の磁気ヘッド。
- 前記絶縁層の層厚が500nm以上であることを特徴とする請求項9記載の磁気ヘッド。
- 前記巻線孔の内壁面とガラス材の層の間に反応防止層が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の磁気ヘッド。
- 前記反応防止層は非磁性金属の層であることを特徴とする請求項11記載の磁気ヘッド。
- 前記反応防止層は非磁性の絶縁体の層であることを特徴とする請求項11記載の磁気ヘッド。
- 前記反応防止層は、非磁性金属の層と非磁性絶縁体の層の2層構造を有し、巻線孔の内壁面に前記非磁性絶縁体の層を形成し、前記非磁性絶縁体の上に前記非磁性金属の層を形成していることを特徴とする請求項11記載の磁気ヘッド。
- 前記非磁性の金属がTi、Cr、Cu、Zr、Nb、Ta及び前記金属の合金の群から選択した1つであることを特徴とする請求項12又は14記載の磁気ヘッド。
- 前記非磁性絶縁体の材料が、Al2O3、SiO2、Cr2O3、Ta2O5、CrN、硼珪酸ガラスの群から選択した1種であることを特徴とする請求項13又は14記載の磁気ヘッド。
- 負の磁気歪定数を有する磁性材により形成された一対のコア半体の少なくとも一方に、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせたとき、巻線を巻回するための巻線孔が形成される凹部を設ける工程、
前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせ、前記巻線孔の中に前記磁性材の熱膨張率より小さな熱膨張率を有するガラス材を置き、前記組合わせた一対のコア半体を前記ガラス材の融点以上の所定の温度に加熱して前記巻線孔の内壁面に前記ガラス材の層を形成する工程、及び
前記加熱した一対のコア半体を所定の温度変化速度で徐冷する工程を有する磁気ヘッドの製造方法。 - 正の磁気歪定数を有する磁性材により形成された一対のコア半体の少なくとも一方に、前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせたとき、巻線を巻回するための巻線孔が形成される凹部を設ける工程、
前記一対のコア半体を所定の磁気ギャップを保って組合わせ、前記巻線孔の中に前記磁性材の熱膨張率より大きな熱膨張率を有するガラス材を置き、前記組合わせた一対のコア半体を前記ガラス材の融点以上の所定の温度に加熱して前記巻線孔の内壁面に前記ガラス材の層を形成する工程、及び
前記加熱した一対のコア半体を所定の温度変化速度で徐冷する工程を有する磁気ヘッドの製造方法。 - 磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気記録再生装置において、上記磁気ヘッドが請求項1から4のいずれかに記載の磁気ヘッドであることを特徴とする磁気記録再生装置。
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JP2003187246A JP2005025803A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 磁気ヘッドおよび磁気ヘッドの製造方法、この磁気ヘッドを用いた磁気記録再生装置 |
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JP2003187246A JP2005025803A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 磁気ヘッドおよび磁気ヘッドの製造方法、この磁気ヘッドを用いた磁気記録再生装置 |
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DE102008026863A1 (de) | 2008-06-05 | 2010-01-21 | Veritas Ag | Kupplungseinrichtung zum Verbinden von Leitungseinrichtungen |
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2003
- 2003-06-30 JP JP2003187246A patent/JP2005025803A/ja active Pending
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