JP2000123314A - 磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

磁気ヘッド及びその製造方法

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JP2000123314A
JP2000123314A JP10290901A JP29090198A JP2000123314A JP 2000123314 A JP2000123314 A JP 2000123314A JP 10290901 A JP10290901 A JP 10290901A JP 29090198 A JP29090198 A JP 29090198A JP 2000123314 A JP2000123314 A JP 2000123314A
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magnetic
substrate
thin film
magnetic head
metal
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Seiichi Ogata
誠一 小形
Takashi Tamura
孝 田村
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Sony Corp
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板とガラスとの反応を防止しながら、磁気
ヘッドの磁気記録媒体との摺動部における偏摩耗の発生
を防ぐことにより、電磁変換特性を良好なものとする。 【解決手段】 基板上に金属磁性薄膜が斜めに成膜され
るとともに、薄膜コイルが形成された凹部を有し、ガラ
スにより突合せ面が平坦化されてなる一対の磁気コア半
体を備え、金属磁性薄膜の突合せ面同士が非磁性薄膜を
介して対向するように、これら磁気コア半体が突き合わ
されて磁気ギャップが形成された磁気ヘッドにおいて、
基板は、CaO、TiO2及びNiOを主成分とする第
1の非磁性体と、CaTiO3を主成分とする第2の非
磁性体とから形成されてなり、第2の非磁性体が突合せ
面に臨むように配されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属磁性薄膜によ
り磁気コアを形成した磁気ヘッド及びその製造方法に関
し、詳しくは、金属磁性薄膜を形成して磁路を短くする
ことによってインピーダンスを小さくした磁気ヘッド及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ヘッドは、例えばビデオテープレコ
ーダ(以下、VTRという。)等の磁気記録再生装置に
搭載されて、磁気記録媒体に対して情報信号の記録及び
/又は再生(以下、記録再生という。)を行うものであ
る。
【0003】磁気ヘッドにおいては、単結晶フェライト
等からなる一対の磁気コア半体のそれぞれの磁気ギャッ
プ形成面に金属磁性薄膜を成膜し、この一対の磁気コア
半体を磁気ギャップ形成面を突き合わせて接合一体化し
てなる、いわゆるメタル・イン・ギャップ(MIG)型
磁気ヘッドや、非磁性セラミック基板で金属磁性薄膜を
挟み込んだ形の、いわゆる積層型磁気ヘッドが提案さ
れ、実用化されている。
【0004】磁気ヘッドは、磁気記録の分野における記
録信号の高密度化やデジタル化に対応するために、より
高周波帯域で良好な電磁変換特性を示すことができるも
のが望まれている。また、VTR用の磁気ヘッドとして
は、小さなドラムに複数個搭載して装置の小型化・高性
能化に対応するために、小型化されることが望まれてい
る。
【0005】上述したMIG型磁気ヘッドは、インピー
ダンスが大きく高周波帯域での使用に適さない。また、
積層型磁気ヘッドは、記録信号の高密度化によるトラッ
ク幅の減少に伴い、磁路を構成する金属磁性薄膜の膜厚
を減少させる必要があるため、再生効率が低下してしま
う上に、ヘッドの小型化にも限界がある。
【0006】そこで、磁気ヘッドにおいては、高周波帯
域で良好な電磁変換特性を示すことのできる磁気ヘッド
として、例えば特開平6−259717号公報「磁気ヘ
ッド及びその製造方法」に記載されているように、金属
磁性薄膜を形成して磁路を短くすることによってインピ
ーダンスを小さくした、いわゆるバルク薄膜型磁気ヘッ
ドが提案されている。
【0007】バルク薄膜型磁気ヘッドは、基板上に金属
磁性薄膜が斜めに成膜されるとともに、薄膜コイルが形
成された凹部を有し、非磁性材料により突合せ面が平坦
化されてなる一対の磁気コア半体を備え、金属磁性薄膜
の突合せ面同士が非磁性薄膜を介して対向するようにこ
れら磁気コア半体が突き合わされて磁気ギャップが形成
されてなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
磁気ヘッドの製造での歩留りを向上させるには、磁気コ
アとして金属磁性薄膜が形成された磁気コア半体となる
非磁性基板の溝に、ガラスを完全に充填する必要があ
る。そのため、充填されるガラスとしては、融点の低い
低融点ガラスが用いられている。しかしながら、磁気ヘ
ッドにおいては、このような低融点ガラスが用いられて
いるために、非磁性基板と低融点ガラスとが反応し、こ
の非磁性基板又は低融点ガラスの強度が劣化してしま
い、このことが磁気ヘッド製造時における歩留り低下の
原因となっていた。
【0009】また、ヘッドの良好な電磁変換特性を得る
ためには、作製工程中に生じる低融点ガラスの残留応力
を出来るだけ低くする必要があり、金属磁性薄膜及び低
融点ガラスに適した熱膨張係数を有する非磁性基板を用
いる必要がある。
【0010】そのため、本出願人らは、この低融点ガラ
スとの反応を防止する非磁性基板を用いて磁気ヘッドを
作製することを提案している。
【0011】しかしながら、このような磁気ヘッドに
は、磁気記録媒体を長時間走行させた際、磁気ヘッドの
磁気記録媒体との摺動部に偏摩耗が発生し、電磁変換特
性が大幅に低下するといった問題がある。
【0012】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、基板とガラスとの反応を
防止しながら、磁気ヘッドの磁気記録媒体との摺動部に
おける偏摩耗の発生を防ぐことにより、電磁変換特性を
良好なものとした磁気ヘッドを提供するとともに、その
製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的を達成する本発
明に係る磁気ヘッドは、基板上に金属磁性薄膜が斜めに
成膜されるとともに、薄膜コイルが形成された凹部を有
し、ガラスにより突合せ面が平坦化されてなる一対の磁
気コア半体を備え、金属磁性薄膜の突合せ面同士が非磁
性薄膜を介して対向するように、これら磁気コア半体が
突き合わされて磁気ギャップが形成された磁気ヘッドに
おいて、基板は、CaO、TiO2及びNiOを主成分
とする第1の非磁性体と、CaTiO3を主成分とする
第2の非磁性体とから形成されてなり、第2の非磁性体
が突合せ面に臨むように配されていることを特徴とす
る。
【0014】以上のように構成された本発明に係る磁気
ヘッドによれば、磁気コア半体となる基板を形成するC
aO、TiO2及びNiOを主成分とする第1の非磁性
体に対して、CaTiO3を主成分とする第2の非磁性
体が、金属磁性薄膜及びガラスが形成された磁気コア半
体の突合せ面に臨むように配されたことから、磁気記録
媒体を走行させた際、この磁気コア半体となる基板と金
属磁性薄膜との間の偏摩耗の発生が防止され、電磁変換
特性が良好なものとなる。
【0015】また、この目的を達成する本発明に係る磁
気ヘッドの製造方法は、CaO、TiO2及びNiOを
主成分とする第1の非磁性基板と、突合せ面側となるC
aTiO3を主成分とする第2の非磁性基板とを接合一
体化して基板を形成した後、基板上に金属磁性薄膜を斜
めに成膜するとともに、ガラスにより突合せ面を平坦化
し、このガラスに形成した凹部に薄膜コイル及び外部接
続端子を形成して一対の磁気コア半体を作製し、金属磁
性薄膜の端面同士を非磁性薄膜を介して対向するよう
に、これら磁気コア半体を突き合わせて磁気ギャップを
形成することを特徴とする。
【0016】以上のように本発明に係る磁気ヘッドの製
造方法によれば、予め、CaO、TiO2及びNiOを
主成分とする第1の非磁性基板と、突合せ面側となるC
aTiO3を主成分とする第2の非磁性基板とを接合一
体化して基板を形成しているので、いわゆるバルク薄膜
型磁気ヘッドの通常の作製工程により磁気ヘッドを作製
することができ、製造装置の大幅な変更や、生産効率の
低下を最小限に抑えることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の実施
の形態として示す磁気ヘッド1は、図1乃至図3に示す
ように、金属拡散接合により接合された一対の磁気コア
半体2、3から構成されている。
【0018】この一対の磁気コア半体2、3は、Ca
O、TiO2及びNiOを主成分とする第1の非磁性体
4と、CaTiO3を主成分とする第2の非磁性体5と
から形成されてなる非磁性基板6と、この非磁性基板6
の傾斜面6a上に形成された金属磁性薄膜7と、この非
磁性基板6上に金属磁性薄膜7を覆うように形成された
低融点ガラス8とからそれぞれ形成されている。また、
一対の磁気コア半体2、3は、少なくとも一方に、励磁
用/誘導起電圧検出用の薄膜コイル9が形成されてな
る。(なお、図2においては、薄膜コイル9の図示を省
略する。)磁気ヘッド1においては、一対の磁気コア半
体2、3が非磁性薄膜であるギャップ材Gを介して接合
された状態で、金属磁性薄膜7が磁気コア10を形成す
る。磁気ヘッド1は、図中矢印Aで示す方向に磁気記録
媒体が摺動することにより、磁気記録媒体に記録された
信号磁界を磁気コア10が再生又は信号磁界を磁気コア
10が磁気記録媒体に記録して動作する。
【0019】また、この磁気ヘッド1は、磁気記録媒体
との当たり状態を調節するために、磁気記録媒体との摺
動面11が、磁気記録媒体の摺動方向Aと平行に、円弧
状に形成される。また、この磁気ヘッド1は、磁気記録
媒体との接触面積を調節するために、当たり幅規制溝1
2が形成されている。この当たり幅規制溝12は、磁気
記録媒体の摺動方向Aと平行に、磁気ヘッド1の両側面
に形成されている。
【0020】この磁気ヘッド1において、金属磁性薄膜
7は、非磁性基板6上に所定の角度を以て斜めに形成さ
れた傾斜部6a上に形成されている。このため、磁気コ
ア10は、金属磁性薄膜7が形成された一対の磁気コア
半体2、3がギャップ材Gを介して接合されると、磁気
記録媒体の摺動方向Aに対して斜めに配されることとな
る。
【0021】金属磁性薄膜7においては、その断面形状
が略コ字状を呈するように形成されている。すなわち、
金属磁性薄膜7は、磁気コア半体2、3の突き合わされ
る面側の端面の略中心部に凹部7aを有する。
【0022】このため、金属磁性薄膜7は、磁気コア半
体2、3の突合せ面2a、3aに前後方向に分断されて
低融点ガラス8から露出する、前部突合せ面13と後部
突合せ面14とを有することとなる。そして、一方の磁
気コア半体2の前部突合せ面13と、他方の磁気コア半
体3の前部突合せ面13とは、ギャップ材Gを介して突
き合わされてフロントギャップ15を構成する。また、
一方の磁気コア半体2の後部突合せ面14と、他方の磁
気コア半体3の後部突合せ面14とは、ギャップ材Gを
介して突き合わされてバックギャップ16を構成する。
【0023】また、金属磁性薄膜7は、磁気コア半体
2、3の突合せ面2a、3aに、後部突合せ面14を略
中心とした薄膜コイル9が内部に形成されたコイル形成
用凹部17を有する。このコイル形成用凹部17には、
後部突合せ面14の近傍にコイル接続用端子18が形成
されている。薄膜コイル9は、このコイル形成用凹部1
7内に形成されて、中心側の端部がコイル接続用端子1
8に接続されている。
【0024】コイル接続用端子18は、一対の磁気コア
半体2、3の突合せ面2a、3aと同一面を構成するよ
うにそれぞれ高さ調節されて形成されている。そして、
磁気ヘッド1においては、一対の磁気コア半体2、3が
接合されると、一対のコイル接続用端子18も接合され
ることとなる。これにより、この磁気ヘッド1において
は、一対の磁気コア半体2、3が接合されると、一対の
薄膜コイル9が電気的に接続されることとなる。
【0025】また、薄膜コイル9の外周側の端部は、磁
気記録媒体の摺動面11とは反対側へ導出されている。
一対の磁気コア半体2、3には、磁気記録媒体との摺動
面11とは反対側に、外部接続用端子19がそれぞれ形
成されている。そして、薄膜コイル9の外周側の端部
は、この外部接続用端子19と接続されている。
【0026】これら外部接続用端子19は、磁気ヘッド
1の側面に露出することによって、外部と薄膜コイル9
とを電気的に接続することができる。これら一対の外部
接続用端子19は、一対の磁気コア半体2、3を接合し
た際に短絡を発生させないように、一対の磁気コア半体
の2、3における高さが異なる位置にそれぞれ形成され
ている。
【0027】なお、金属磁性薄膜7は、単一層からなる
金属磁性層7bにより構成されてもよいが、金属磁性層
7bと非磁性層7cとを交互に積層した構成とすること
が望ましい。このことにより、磁気ヘッド1は、より高
周波領域において、感度が高いものとすることができ
る。ここでは、図3に示すように、3層の金属磁性層7
bを有する構成とした。
【0028】以上のように構成された磁気へッド1は、
磁気記録媒体に記録された磁気信号を再生する際に、磁
気記録媒体からの信号磁界がフロントギャップ15の周
辺に印加される。そして、印加される信号磁界の方向が
変化することによって、磁気コア10に流れる磁束の方
向が変化する。その結果、磁気ヘッド1では、電磁誘導
が起こり、薄膜コイル9に所定の電流が流れる。
【0029】また、この磁気ヘッド1を用いて磁気記録
媒体に磁気信号を記録する際には、薄膜コイル9に対し
て所定の電流が供給される。そして、この磁気ヘッド1
では、薄膜コイル9から発生する磁界により磁気コア1
0に所定の磁束が流れる。これにより、この磁気ヘッド
1では、フロントギャップ15を挟んで漏れ磁界を発生
する。磁気ヘッド1は、この漏れ磁界を磁気記録媒体に
印加することにより磁気信号を記録する。
【0030】ここで、図4に示すように、低融点ガラス
8との反応を防止する非磁性基板6として、CaO、T
iO2及びNiOを主成分とする第1の非磁性体4のみ
からなるセラミック基板を用いて作製された磁気ヘッド
においては、この基板内にNiTiO3相20やCaT
iO3相といった2種類以上の固相が密に混合した組織
として存在している。
【0031】このような磁気ヘッドにおいては、例えば
50℃、湿度20%といった高温低湿環境下で磁気記録
媒体を長時間走行させると、この基板内のNiTiO3
相20と、他のCaTiO3相、この磁気コア半体に形
成された金属磁性薄膜7及び低融点ガラス8との間に段
差等が生じる、いわゆる偏摩耗が発生する。
【0032】この偏摩耗の発生は、磁気ギャップGと走
行する磁気記録媒体との間に空隙が生じてしまうことか
ら、この磁気ギャップの磁気記録媒体に対する磁気強度
が弱くなり、磁気ヘッドの電磁変換特性を大幅に低下さ
せる。特に、このような磁気ヘッドにおいては、基板内
のNiTiO3相20と金属磁性薄膜7との距離が近い
ほど、大きな磁気変換特性の低下が見られた。
【0033】そこで、本発明に係る磁気ヘッド1におい
ては、図3に示すように、磁気コア半体2、3となる非
磁性基板6を形成するCaO、TiO2及びNiOを主
成分とする第1の非磁性体4に対して、CaTiO3
主成分とする第2の非磁性体5が、金属磁性薄膜7及び
低融点ガラス8が形成された磁気コア半体2、3の突合
せ面2a、3aに臨むように配されている。
【0034】これにより、磁気記録媒体を走行させた
際、この非磁性基板6内のNiTiO3相20と、他の
CaTiO3相、この磁気コア半体2、3に形成された
金属磁性薄膜7及び低融点ガラス8との間に、段差等が
生じるのを防ぐことができる。したがって、磁気ヘッド
1は、磁気記録媒体との摺動面11における偏摩耗の発
生を防ぐことができ、良好な電磁変換特性を得ることが
できる。
【0035】次に、上述した磁気ヘッド1を作製する際
の製造方法について説明する。
【0036】先ず、上述した上述した磁気ヘッド1とし
た際の磁気コア半体2、3となる基板21を作製する。
【0037】基板21を作製するに際しては、図5に示
すように、CaO、TiO2及びNiOを主成分とす
る、例えば、厚さ2mm程度の略平板状とされた第1の
非磁性基板22と、CaTiO3を主成分とする、例え
ば、厚さ1mm程度の略平板状の第2の非磁性基板23
とを用意する。また、基板21を作製するに際しては、
第1の非磁性基板22の長さ及び幅よりも小さくなされ
た第2の非磁性基板23を用い、例えば、第1の非磁性
基板22の長さ及び幅を32mmとし、第2の非磁性基
板23の長さ及び幅を30mmとした。
【0038】第1の非磁性基板22としては、その組成
がCaO:15〜45mol%、TiO2:40〜80
mol%、NiO:5〜30mol%であり、且つ熱膨
張率が100×10-7〜130×10-7-1である非磁
性材料からなる基板を用いることが好ましい。
【0039】CaOの含有量を15mol%以上とし、
TiO2の含有量を80mol%未満としたのは、Ca
Oの含有量が15mol%未満の場合及びTiO2の含
有量が80mol%を越える場合に、熱膨張係数が上述
した金属磁性薄膜7のそれよりもかなり小さくなってし
まうからである。また、CaOの含有量を45mol%
未満とし、TiO2の含有量を40mol%以上とした
のは、CaOの含有量が45mol%を越える場合及び
TiO2の含有量が40mol%未満の場合に、上述し
た非磁性材料に気孔が多く発生してしまうからである。
【0040】次に、図6に示すように、これら第1の非
磁性基板22と第2の非磁性基板23とを固相反応によ
り接合一体化する。これにより、第1の非磁性体と第2
の非磁性体とを強固に接合一体化することができる。
【0041】また、第1の非磁性基板22と第2の非磁
性基板23とをこれら接合面に形成されたAu等の金属
薄膜を低温金属拡散させることにより接合一体化しても
よい。さらに、第1の非磁性基板22と第2の非磁性基
板23とをこれら接合面に形成された非磁性薄膜であ
る、例えば接着剤や、水ガラス等を用いて接合一体化し
てもよい。
【0042】次に、図7に示すように、第1の非磁性基
板22と第2の非磁性基板23とを接合一体化した基板
21の第2の非磁性基板23側を研削/研磨し、この第
2の非磁性基板23の厚みを調整する。
【0043】この場合、第1の非磁性基板22の長さ及
び幅よりも小さくなされた第2の非磁性基板23が用い
られていることから、この第1の非磁性基板22と第2
の非磁性基板23との接合面を基準として第2の非磁性
基板23の厚みを高精度に調整することができる。
【0044】また、互いの長さ及び幅が同じである第1
の非磁性基板22と第2の非磁性基板23とが接合一体
化された基板21を用いる場合には、この第1の非磁性
基板22と第2の非磁性基板23とを接合一体化する
際、第2の非磁性基板23の厚み方向に亘って、例え
ば、切り欠き等の厚み確認用の目印を設けることによ
り、この第1の非磁性基板22と第2の非磁性基板23
との接合面を基準として第2の非磁性基板23の厚みを
高精度に調整することができる。
【0045】また、第2の非磁性基板23においては、
その厚みを300μm以下とすることが好ましい。より
好ましくは、100μm以下とすることが好ましい。こ
こでは、第2の非磁性基板23の厚みが90μmとなる
ように平面研削盤を用いて研削した。
【0046】第2の非磁性基板23の厚みを300μm
以下としたのは、第2の非磁性基板23の厚みを300
μm以上とした場合に、上述した磁気ヘッド1とした
際、この磁気ヘッド1における磁気記録媒体との摺動面
11の摩耗速度が早くなってしまうからである。
【0047】以上のようして、図8に示すような、Ca
O、TiO2及びNiOを主成分とする第1の非磁性基
板22と、CaTiO3を主成分とする第2の非磁性基
板23とが接合一体化された基板21を作製した。
【0048】なお、基板21を作製するに際しては、研
削/研磨後にこの基板21の不要部分を機械加工で除去
したが、作製工程を削減するために、このような処理工
程を必ずしも行う必要はない。
【0049】次に、図9に示すように、上述したように
作製された基板21の第2の非磁性基板23側の主面2
1aに対して、砥石等により、例えば、約45度の角度
を有するように複数の磁気コア形成溝24を平行に形成
する第1の溝加工を施す。そして、基板21には、磁気
コア形成溝24が形成されることによって、複数の傾斜
面21bが形成されることとなる。
【0050】なお、ここで形成される傾斜面21bは、
円形状や多角形状であってもよい。また、傾斜面21b
は、基板21の平面に対して25〜60度程度の傾斜角
が望ましいが、疑似ギャップ防止やトラック幅精度を考
慮すると、35〜50度程度の傾斜角がより好ましい。
また、この第1の溝加工により形成する磁気コア形成溝
24は、例えば、その深さを130μmとし、幅を15
0μmとして形成した。
【0051】次に、図10に示すように、基板21の傾
斜面21bが形成された全面に対して、例えばBs=
1.5TのFe系微結晶膜からなる厚さ4μmの金属磁
性薄膜25を成膜する。この成膜工程においては、金属
磁性薄膜25を、例えば、図示を省略するアルミナから
なる厚さ0.15μmの非磁性層を介して3層の金属磁
性材料が積層されてなるように成膜する。
【0052】金属磁性薄膜25を成膜するには、上述し
た金属磁性材料以外にも、センダスト(Fe−Al−S
i合金)等の軟磁性を示す材料を使用することができ、
これに類似した合金を使用することができる。具体的に
は、Fe−Ta−N合金、Fe−Al合金、Fe−Si
−Co合金、Fe−Ga−Si合金、Fe−Ga−Si
−Ru合金、Fe−Al−Ge合金、Fe−Ga−Ge
合金、Fe−Si−Ge合金、Fe−Co−Si−Al
合金、Fe−Ni合金等の結晶質合金を使用することが
できる。また、金属磁性材料としては、Fe,Co,N
iのうちの1以上の元素とP,C,B,Siのうちの1
以上の元素とからなる合金、又はこれを主成分としA
l,Ge,Be,Sn,In,Mo,W,Ti,Mn,
Cr,Zr,Hf,Nb等を含んだ合金等に代表される
メタル−メタロイド系アモルファス合金や、Co,H
f,Zr等の遷移金属と希土類元素を主成分とするメタ
ル−メタル系アモルファス合金等の非晶質合金を使用す
ることができる。さらに、金属磁性材料としては、窒化
系軟磁性合金又は炭化系軟磁性合金等を使用することが
できる。
【0053】また、金属磁性薄膜25を成膜する方法と
しては、マグネトロンスパッタリング法等のスパッタリ
ング法が好適であるが、真空蒸着法、分子線エピタキシ
ー(MBE)法等の他のPVD法(Physical vapor dep
osition method)、又はCVD法(Chemical vapor dep
osition method)等を用いることができる。
【0054】また、金属磁性薄膜25を複数層からなる
ように成膜する場合には、非磁性層として、アルミナを
使用したが、係る材料に限定されるものではなく、Si
2及びSiO等の材料を単独又は混合して使用するこ
とができる。この非磁性層の膜厚は、隣接して配される
金属磁性層間の絶縁を取れる程度とすることが好まし
い。
【0055】なお、金属磁性薄膜25においては、複数
層の金属磁性層を有するものに限定されず、単層の金属
磁性層からなるような構成であってもよい。しかしなが
ら、より高周波帯域で高い感度を得るためには、金属磁
性層を複数に分断した積層構造であることが好ましい。
これにより、金属磁性薄膜25は、渦電流損失が低減さ
れて、より高周波帯域で高い感度を得ることができる。
【0056】次に、図11に示すように、金属磁性薄膜
25が形成された面に対して磁気コア形成溝24と略直
交する方向に第2の溝加工を施す。この第2の溝加工で
は、所定の大きさの磁気コアに分離するために形成され
る分離溝26と、この分離溝26により分離された各磁
気コアに磁気ギャップを形成するための巻線溝27とを
形成する。
【0057】また、このとき、傾斜面21b上に形成さ
れた金属磁性薄膜25以外の部分、すなわち、磁気コア
形成溝24の底部に形成された金属磁性薄膜25を研削
加工により除去する。
【0058】ここで、分離溝26は、磁気コアを基板2
1上で前後方向に磁気的に分離して各磁気コアを形成
し、各磁気コアに閉磁路を構成するための溝である。ま
た、この分離溝26は、図11の例示では2本形成され
ているが、形成される磁気コア半体2、3の列の数だけ
設ける必要がある。また、この分離溝26は、前後方向
に並んで配される各磁気コアを磁気的に分離するため、
金属磁性薄膜25を完全に切断する程度の深さを有する
ように形成される必要がある。ここでは、分離溝26を
磁気コア形成溝24の底辺から150μmの深さとし、
すなわち、基板21の主面21aから280μmの深さ
とした。
【0059】一方、巻線溝27は、上述した磁気ヘッド
1とした際の金属磁性薄膜7に形成された凹部7aとな
るものである。したがって、巻線溝27は、上述した磁
気ヘッド1とした際の前部突合せ面13と後部突合せ面
14とを有する磁気コア10を形成し、コイル形成用凹
部17を形成するために、金属磁性薄膜25を切断しな
い程度の深さで形成する必要がある。このため、巻線溝
27は、その表面に金属磁性薄膜25の断面が露出して
なる。
【0060】また、この巻線溝27は、その形状が前部
突合せ面13及び後部突合せ面14の長さに応じて決定
されるが、ここでは、幅を約140μmとし、前部突合
せ面13の長さが30μmとなり、後部突合せ面14の
長さが85μmとなるように形成した。なお、この巻線
溝27は、金属磁性薄膜25を切断することのない程度
の深さでよいが、深すぎると磁路長が長くなって磁束伝
達の効率が低下する虞がある。また、巻線溝27は、そ
の深さが後述する工程で形成される薄膜コイル9の厚み
に依存するが、ここでは、20μmとした。
【0061】さらに、この巻線溝27は、その形状が限
定されるものではないが、ここでは、前部突合せ面13
側の側面を、例えば45度の傾斜面27aとした。これ
により、上述した磁気ヘッド1とした際、この磁気ヘッ
ド1の摺動面11に磁束が集中し、高い記録感度を得る
ことができる。
【0062】次に、図12に示すように、磁気コア形成
溝24、分離溝26及び巻線溝27が形成された基板2
1の一主面21aに、溶融した、例えばSiO2、Pb
O、B23及びBi23を主成分とし、520℃におけ
る粘度が約104.5Pa・sである低融点ガラス28
を充填させる。なお、金属磁性薄膜25においては、5
20℃の熱処理でHc≦30A/mの軟磁気特性が得ら
れる。
【0063】低融点ガラス28を充填するに際しては、
金属磁性薄膜25が良好な軟磁気特性を示す熱処理温度
で行うことが好ましい。これにより、金属磁性薄膜25
の熱処理工程と低融点ガラス28の充填工程とを同時に
行うことができる。
【0064】低融点ガラス28としては、金属磁性薄膜
25の熱処理温度での粘性が、102〜106Pa・sで
あるものを使用するが好ましい。さらに好ましくは、粘
性が103〜105Pa・sであるものを使用することが
好ましい。
【0065】ここで、上述した熱処理温度での粘度を1
2Pa・s以上としたのは、粘度が102Pa・sに満
たない場合に、この充填工程において金属磁性薄膜25
との反応が著しくなり、金属磁性薄膜25の磁気特性を
劣化させてしまうからである。また、上述した熱処理温
度での粘度を106Pa・s以下としたのは、粘度が1
6Pa・sを超えた場合に、基板21の隅々まで完全
に充填することが困難となってしまうからである。
【0066】これにより、金属磁性薄膜25が軟磁気特
性を失うことなく、基板21の一主面21aに形成され
た磁気コア形成溝24、分離溝26及び巻線溝27に、
低融点ガラス28を完全に充填することができる。
【0067】その後、この低融点ガラス28を冷却固化
させ、固化した低融点ガラス28の表面に対して平坦化
処理を施す。これにより、上述した磁気ヘッド1とした
際の金属磁性薄膜7の前部突合せ面13及び後部突合せ
面14が露出することになる。
【0068】なお、平坦化処理においては、研磨により
露出する金属磁性薄膜7の前部突合せ面13及び後部突
合せ面14の露出幅を大きくすると、上述した磁気ヘッ
ド1とした際の薄膜コイル9を内部に形成するためのコ
イル形成用凹部17を形成する際、この基板21と低融
点ガラス28とのエッチングレートが異なることから、
この基板21と低融点ガラス28との間に段差が生じる
ことになる。したがって、この平坦化処理においては、
研磨により露出する金属磁性薄膜7の前部突合せ面13
及び後部突合せ面14の露出幅を、形成される薄膜コイ
ル9の最内周の幅よりも狭くすることが好ましい。
【0069】次に、図13に示すように、固化した低融
点ガラス28に対して砥石等を用いて研削加工を施すこ
とにより、端子溝29を形成する。この端子溝29は、
上述した分離溝26の直上に位置するように、例えばそ
の幅及び深さを100μmとして形成する。そして、こ
の端子溝29内に、例えばCu等の良導体を鍍金法等に
より充填する。その後、再び平坦化処理を行う。この端
子溝29に充填されたCu等の良導体は、上述した磁気
ヘッド1とした際の外部接続用端子19となるものであ
る。
【0070】次に、図14に示すように、低融点ガラス
28に対してエッチング加工を施すことにより上述した
磁気ヘッド1とした際のコイル形成用凹部17を形成す
る。
【0071】コイル形成用凹部17は、後部突合せ面1
4を略中心とする略矩形状として、後部突合せ面14及
び上述した磁気ヘッド1とした際のコイル接続用端子1
8となる部分を除いてエッチング加工を施すことにより
形成する。また、このコイル形成用凹部17は、その一
端から端子溝29に達する溝部17aを有している。
【0072】その後、コイル形成用凹部17内に上述し
た磁気ヘッド1とした際の薄膜コイル9を薄膜形成す
る。この薄膜コイル9は、一方端部9aをコイル接続用
端子18上に配し、後部突合せ面14を中心とした円を
描くように、多数回巻回された形状を有する。また、こ
の薄膜コイル9は、コイル形成用凹部17の一端に形成
された溝17a内に引き出され、他方端部9bを端子溝
29に充填された良導体からなる外部接続用端子19と
電気的に接続する。
【0073】この薄膜コイル9を形成する際には、先
ず、フォトレジストにより上述したようなコイル形状を
パターニングする。次に、コイル形成用凹部17にCu
等の良導体を電解鍍金等の手法によって、例えば、3μ
m程度の厚みとなるように薄膜形成する。そして、フォ
トレジストを除去することによって、パターニングされ
たコイル形状とされる薄膜コイル9を形成することがで
きる。なお、この薄膜コイル9を形成するに際して、上
述した電解鍍金法だけでなく、スパッタリング法や蒸着
法等を用いることができる。
【0074】次に、薄膜コイル9を外気との接触から保
護するための保護層(図示せず。)を形成する。この保
護層は、上述した薄膜コイル9を形成したコイル形成用
凹部17を埋め込むように形成される。なお、この保護
層は、酸素アッシング処理により除去されないような非
磁性絶縁材料から形成されることが好ましい。
【0075】具体的には、非磁性絶縁材料として、Al
23、Ta25、SiO2、ZrO2、TiO2等の酸化
物又はガラス等の無機物が挙げられる。ここでは、保護
膜としては、Al23をスパッタリングにより0.4μ
mの厚さで基板21全面に形成した。このとき、保護膜
は、基板21の一主面に露出した前部突合せ面13や後
部突合せ面14等も覆ってしまうが、後述する工程でこ
れらを覆う部分は除去される。なお、この保護膜は、い
わゆる、マスクスパッタ法やリフトオフ法を用いること
によって、所定の領域のみに形成することも可能であ
る。また、保護膜の形成法としては、スパッタリング法
の他に蒸着法や塗布型SiO2のスピンコーティング等
を挙げることができる。
【0076】さらに、薄膜コイル9を形成する工程の前
段において、低融点ガラス28等が露出する基板21の
一主面に対して、例えばCu、Au等の下地をスパッタ
リング等により形成してもよい。この下地としては、C
u,Auに限定されず、薄膜コイル9に用いられる材料
との密着性が良いものであればよい。
【0077】次に、図15に示すように、一主面に並列
して臨む前部突合せ面13を横切るように角状の溝であ
るサイド溝30を形成する。その後、上述した磁気ヘッ
ドとした際の磁気コア半体2、3が平行に複数列形成さ
れた基板21を一方の磁気コア半体2と他方の磁気コア
半体3とがそれぞれ一列毎となるように切断して磁気コ
ア半体ブロック31を形成する。
【0078】このサイド溝30は、研削加工により形成
され、例えば、その深さを50μm、幅を400μmと
される。このサイド溝30が形成されると、サイド溝3
0の側面に前部突合せ面13の一端が露出することとな
る。このサイド溝30は、後述するように、一対の磁気
コア半体ブロック31を突き合わせる際に、位置決めの
指標として前部突合せ面13の上端部を露出させるため
に形成される。
【0079】そして、このサイド溝30が形成された
後、一主面に対して研磨加工を施すことにより、この一
主面を鏡面化する。このとき、保護膜により覆われた前
部突合せ面13や後部突合せ面14を外方へと露出させ
る。
【0080】次に、図16に示すように、一対の磁気コ
ア半体ブロック31を正確に位置決めして金属拡散接合
を行う。このとき、一対の磁気コア半体ブロック31
は、接合部に非磁性薄膜としてAuのパターニングを施
し、サイド溝30から臨む前部突合せ面13の上端部同
士を対向させることによって、正確に位置決めする。
【0081】このように、サイド溝30から臨む前部突
合せ面13の上端部を正確に対向させることにより、後
部突合せ面14やコイル接続用端子18を正確に対向さ
せることができる。そして、突き合わせた一対の磁気コ
ア半体ブロック31に対して所定の温度及び圧力を印加
することにより、金属拡散接合を行う。
【0082】なお、接合方法としては、Auのパターニ
ングを施して金属拡散接合を行ったが、非磁性薄膜とし
て、例えば接着剤や、水ガラス等を用いて一対の磁気コ
ア半体ブロック31を接合してもよい。
【0083】次に、図17に示すように、接合一体化さ
れた磁気ヘッドブロック32を個々の上述した磁気ヘッ
ド1となるように分離する。
【0084】このとき、先ず、磁気ヘッドブロック32
は、上述した磁気ヘッド1とした際の磁気記録媒体が摺
動する摺動面11となる表面を露出するために、長手方
向に切断加工する。そして、磁気ヘッドブロック32
は、この露出した表面に対して、円筒形を呈するように
円筒切削加工を施すことにより、この表面が摺動面11
となる。その後、磁気ヘッドブロック32には、上述し
た磁気ヘッド1とした際の当たり幅規制溝12を研削加
工する。当たり幅規制溝12は、磁気ヘッドブロック3
2から分離される摺動面11の両側面に相当する部位に
形成されることになる。
【0085】そして、磁気ヘッドブロック32、同図B
−B線で示す部分で切断することにより、個々の上述し
た磁気ヘッド1に分離する。
【0086】なお、個々の磁気ヘッド1とするに際して
は、基板21を一列毎となるように切断して磁気コア半
体ブロック31とし、この一対の磁気コア半体ブロック
31を接合一体化した磁気ヘッドブロック32を切断す
ることにより個々の磁気ヘッド1としたが、基板21を
個々の磁気コア半体とした後、これら磁気コア半体同士
を接合一体化して個々の磁気ヘッド1としてもよい。
【0087】以上のように本発明に係る磁気ヘッドの製
造方法によれば、予め、CaO、TiO2及びNiOを
主成分とする第1の非磁性基板22と、突合せ面側とな
るCaTiO3を主成分とする第2の非磁性基板23と
を接合一体化して基板21を形成しているので、いわゆ
るバルク薄膜型磁気ヘッドの通常の作製工程により磁気
ヘッド1を作製することができ、製造装置の大幅な変更
や、生産効率の低下を最小限に抑えることができる。
【0088】また、以上のように作製された磁気ヘッド
1では、基板として、CaO、TiO2及びNiOを主
成分としたセラミック基板のみを用いた磁気ヘッドと同
様に、基板として、MnO−NiO系セラミック基板を
用いた磁気ヘッドと比べて、低融点ガラスを充填させた
際、この基板21と低融点ガラス28との界面付近にお
いて、基板21と低融点ガラス28との反応や、それに
よる基板21と低融点ガラス28との間に割れのといっ
た不良の発生を防ぐことができる。
【0089】ここで、上述した磁気ヘッド1と、比較例
として、基板にCaO、TiO2及びNiOを主成分と
したセラミック基板のみを用いた磁気ヘッドとを民生用
DigitalVTR(以下、DVCという。)に搭載
して、50℃、湿度20%の環境下で、市販のDVC用
MEテープを500時間走行させたところ、基板にCa
O、TiO2及びNiOを主成分としたセラミック基板
のみを用いた磁気ヘッドでは、約1〜3dBの出力低下
が見られた。それに対して、磁気ヘッド1の出力低下
は、1dB以下であった。
【0090】また、これらテープ走行後の磁気ヘッドの
摺動面を観察したところ、基板にCaO、TiO2及び
NiOを主成分としたセラミック基板のみを用いた磁気
ヘッドでは、基板内のNiTiO3相と、他のCaTi
3相、この磁気コア半体に形成された金属磁性薄膜及
び低融点ガラスとの間に約50nmの段差が見られ、基
板内のNiTiO3相と金属磁性薄膜との距離が近いほ
ど、大きな出力低下が見られた。それに対して、磁気ヘ
ッド1では、このような偏摩耗の発生はなく、良好な電
磁変換特性を示した。
【0091】また、基板にCaO、TiO2及びNiO
を主成分としたセラミック基板のみを用いた磁気ヘッド
と、上述した磁気ヘッド1の作製工程において、CaT
iO3を主成分とする第2の非磁性基板23の厚みを変
えて作製した磁気ヘッドとをDVCに搭載して、−5℃
の環境下で、市販のDVCMEテープを1000時間走
行させたところ、基板にCaO、TiO2及びNiOを
主成分としたセラミックのみを用いた磁気ヘッドと比較
して、第2の非磁性基板23の厚みが300μm以上の
場合に、摩耗速度が3倍以上であったのに対して、第2
の非磁性基板23の厚みが100〜300μmの場合
に、1.5倍程度であり、第2の非磁性基板23の厚み
が100μm以下の場合に、1.2倍以内であった。
【0092】このことから、CaO、TiO2及びNi
Oを主成分とする第1の非磁性体に対して、CaTiO
3を主成分とする第2の非磁性体を、金属磁性薄膜及び
低融点ガラスが形成された磁気コア半体の突合せ面に臨
むように配することは、磁気記録媒体を走行させた際、
この磁気コア半体となる基板と金属磁性薄膜との間の偏
摩耗の発生を防止する上で有効であることが明らかにな
った。
【0093】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る磁気ヘッドによれば、磁気コア半体となる基板を構成
する、CaO、TiO2及びNiOを主成分とする第1
の非磁性体に対して、CaTiO3を主成分とする第2
の非磁性体が、金属磁性薄膜及びガラスが形成された磁
気コア半体の突合せ面に臨むように配されたことから、
磁気記録媒体を走行させた際、この磁気ヘッドの磁気記
録媒体との摺動部における偏摩耗の発生を防ぐことがで
き、良好な電磁変換特性を得ることができる。
【0094】また、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法
によれば、予め、CaO、TiO2及びNiOを主成分
とする第1の非磁性基板と、突合せ面側となるCaTi
3を主成分とする第2の非磁性基板とを接合一体化し
て基板を形成しているので、いわゆるバルク薄膜型磁気
ヘッドの通常の作製工程により磁気ヘッドを作製するこ
とができ、製造装置の大幅な変更や、生産効率の低下を
最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気ヘッドを示す分解斜視図であ
る。
【図2】同磁気ヘッドの摺動面を示す要部斜視図であ
る。
【図3】同磁気ヘッドの摺動面を示す要部拡大平面図で
ある。
【図4】比較のために適用した磁気ヘッドの摺動面を示
す要部拡大平面図である。
【図5】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明する
ための図であり、接合一体化される第1の非磁性基板と
第2の非磁性基板を示す斜視図である。
【図6】同磁気ヘッドの製造方法を説明するための図で
あり、第1の非磁性基板と第2の非磁性基板とを接合一
体化した状態を示す斜視図である。
【図7】同磁気ヘッドの製造方法を説明するための図で
あり、基板の第2の非磁性基板側を研削/研磨した状態
を示す斜視図である。
【図8】同磁気ヘッドの製造方法を説明するための図で
あり、作製された基板を示す斜視図である。
【図9】同磁気ヘッドの製造方法を説明するための図で
あり、第1の溝加工を施した基板を示す斜視図である。
【図10】同磁気ヘッドの製造方法を説明するための図
であり、金属磁性薄膜を形成した基板を示す斜視図であ
る。
【図11】同磁気ヘッドの製造方法を説明するための図
であり、第2の溝加工を施した基板を示す斜視図であ
る。
【図12】同磁気ヘッドの製造方法を説明するための図
であり、各溝に低融点ガラスを充填した状態の基板を示
す斜視図である。
【図13】同磁気ヘッドの製造方法を説明するための図
であり、低融点ガラスに端子溝を形成した基板を示す斜
視図である。
【図14】同磁気ヘッドの製造方法を説明するための図
であり、コイル形成用凹部を形成した基板を示す要部斜
視図である。
【図15】同磁気ヘッドの製造方法を説明するための図
であり、磁気コア半体ブロックを示す斜視図である。
【図16】同磁気ヘッドの製造方法を説明するための図
であり、一対の磁気コア半体ブロックを突き合わせる状
態を示す斜視図である。
【図17】同磁気ヘッドの製造方法を説明するための図
であり、磁気ヘッドブロックを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 磁気ヘッド、2 一方の磁気コア半体、2a 一方
の磁気コア半体の突合せ面、3 他方の磁気コア半体、
3a 他方の磁気コア半体の突合せ面、4 第1の非磁
性体、5 第2の非磁性体、6 非磁性基板、7 金属
磁性薄膜、8低融点ガラス、9 薄膜コイル、10 磁
気コア、11 磁気記録媒体との摺動面、13 前部突
合せ面、14 後部突合せ面、15 フロントギャッ
プ、16バックギャップ、17 コイル形成用凹部、1
8 コイル接続用端子、19外部接続用端子、20、基
板内のNiTiO3相、21 基板、22 第1の非磁
性基板、23 第2の非磁性基板、24 磁気コア形成
溝、25 金属磁性薄膜、26 分離溝、27 巻線
溝、28 低融点ガラス、29 端子溝、30サイド
溝、31 磁気コア半体ブロック、32 磁気ヘッドブ
ロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D093 AA01 AC01 AD05 BB05 CA01 CA07 EA02 JA12 5D111 AA22 BB01 BB12 BB31 BB48 CC21 DD06 FF15 KK07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に金属磁性薄膜が斜めに成膜され
    るとともに、薄膜コイルが形成された凹部を有し、ガラ
    スにより突合せ面が平坦化されてなる一対の磁気コア半
    体を備え、上記金属磁性薄膜の上記突合せ面同士が非磁
    性薄膜を介して対向するように、これら磁気コア半体が
    突き合わされて磁気ギャップが形成された磁気ヘッドに
    おいて、 上記基板は、CaO、TiO2及びNiOを主成分とす
    る第1の非磁性体と、CaTiO3を主成分とする第2
    の非磁性体とから形成されてなり、当該第2の非磁性体
    が上記突合せ面に臨むように配されていることを特徴と
    する磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 上記第1の非磁性体においては、その組
    成がCaO:15〜45mol%、TiO2:40〜8
    0mol%、NiO:5〜30mol%であり、且つ熱
    膨張率が100×10-7〜130×10-7-1であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 上記第2の非磁性体においては、その厚
    みが300μm以下であることを特徴とする請求項1記
    載の磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 上記ガラスにおいては、上記金属磁性薄
    膜の熱処理温度での粘度が102〜106Pa・sである
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 CaO、TiO2及びNiOを主成分と
    する第1の非磁性基板と、突合せ面側となるCaTiO
    3を主成分とする第2の非磁性基板とを接合一体化して
    基板を形成した後、 基板上に金属磁性薄膜を斜めに成膜するとともに、ガラ
    スにより突合せ面を平坦化し、このガラスに形成した凹
    部に薄膜コイル及び外部接続端子を形成して一対の磁気
    コア半体を作製し、 上記金属磁性薄膜の端面同士を非磁性薄膜を介して対向
    するように、これら磁気コア半体を突き合わせて磁気ギ
    ャップを形成することを特徴とする磁気ヘッドの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 上記基板を、上記第1の非磁性基板と上
    記第2の非磁性基板とを固相反応により接合一体化して
    形成することを特徴とする請求項5記載の磁気ヘッドの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 上記基板を、上記第1の非磁性基板と上
    記第2の非磁性基板とをこれら突合せ面に形成された非
    磁性薄膜により接合一体化して形成することを特徴とす
    る請求項5記載の磁気ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 上記基板において、上記第1の非磁性体
    よりも小さくなされた上記第2の非磁性基板を用いるこ
    とにより、当該第1の非磁性基板と当該第2の非磁性基
    板との接合面を基準として当該第2の非磁性基板の厚み
    を調整しながら研削/研磨することを特徴とする請求項
    5記載の磁気ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 上記基板において、上記第2の非磁性基
    板の厚み方向に亘って厚み確認用の目印を設けることに
    より、当該第1の非磁性基板と当該第2の非磁性基板と
    の接合面を基準として当該第2の非磁性基板の厚みを調
    整しながら研削/研磨することを特徴とする請求項5記
    載の磁気ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 上記第2の非磁性基板においては、そ
    の厚みが300μm以下であることを特徴とする請求項
    5記載の磁気ヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6426848B1 (en) * 1999-06-23 2002-07-30 Sony Corporation Non-magnetic substrate including TiO2 for a magnetic head and magnetic head

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