JP3620207B2 - 磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属磁性膜により磁路を形成してなる磁気ヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ビデオテープレコーダ等の磁気記録再生装置においては、画質を向上させるために信号をデジタル化して記録するデジタル記録が進められており、これに対応して記録の高密度化、記録周波数の高周波数化がなされている。
【0003】
ところで、磁気記録の高密度化、記録周波数の高周波数化が進むにつれ、磁気記録再生装置に搭載される磁気ヘッドには、高周波領域で出力が高く、ノイズが少ないことが要求される。例えば、従来VTR用磁気ヘッドとして多用されているフェライト材に金属磁性膜を成膜して、捲線を施したいわゆる複合型メタル・イン・ギャップタイプの磁気ヘッドでは、インダクタンスが大きく、インダクタンス当たりの出力低下のため、高周波領域で出力が低く、高周波、高密度が必要とされるデジタル画像記録に充分対応することが難しい。
【0004】
このような状況から、薄膜形成工程で作製したいわゆる薄膜型の磁気ヘッドが、高周波対応の磁気ヘッドとして検討されている。
【0005】
この薄膜型の磁気ヘッドは、金属磁性膜を有する一対の磁気コア半体を備え、非磁性金属材料を介してこれら一対の磁気コア半体を接合することにより形成される。この磁気コア半体には、金属磁性膜が埋設され、その略中央部に略矩形状のコイル形成用凹部が設けられている。また、磁気コア半体は、このコイル形成用凹部内に、フォトリソグラフィ等の薄膜形成手法によって形成されたコイルを備える。
【0006】
この金属磁性膜は、磁気コア半体の接合面に対して斜めに薄膜形成され、コイルを有するコイル形成用凹部が接合面に形成されるために略凹字状を呈する。すなわち、この金属磁性膜は、コイル形成用凹部により前後方向に分断されてなる前部突合せ面及び後部突合せ面を有することになる。この磁気ヘッドでは、一対の磁気コア半体の前部突合せ面同士が非磁性材を介して突き合わされることにより磁気ギャップが形成され、一対の磁気コア半体の後部突合せ面同士が非磁性材を介して突き合わされることによりバックギャップを形成している。
【0007】
このような薄膜型の磁気ヘッドでは、一対の磁気コア半体を突き合わせて接合する際に金属拡散接合が用いられる。この金属拡散接合では、非磁性金属材料として、例えば金が用いられる。この金を上述した非磁性材として用いることにより、上述したように、磁気ギャップ及びバックギャップが形成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような薄膜型の磁気へッドでは、記録再生時に所定の磁束が磁気コアに流れる。このとき、磁束の一部は、バックギャップを貫いて磁気コアを流れる。
【0009】
この磁気ヘッドにおいて、一対の磁気コア半体に形成された後部突合せ面の間には、金等の非磁性導電材料が配されている。このようにバックギャップを構成する金が導電性であるために、バックギャップを貫いて所定の磁束が流れると、バックギャップには、渦電流が発生する。このバックキャップに発生した渦電流は、バックギャップを貫いて流れる磁束を流れにくくするように作用することとなる。
【0010】
このように記録再生時に渦電流が発生すると、磁気コア全体に流れる磁束が減少することとなり、電磁変換特性が劣化してしまう。その結果、従来の磁気ヘッドは、記録再生特性が低下することになり、出力が低下したものとなってしまう。また、上述したような渦電流損失は、高周波数の磁界になればなるほど顕著なものとなる。したがって、従来の磁気へッドは、高密度記録化のために記録波長を高周波数化しても良好な記録再生特性を得ることができないといった問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した従来の磁気ヘッドの問題点を解決して、バックギャップ周辺の渦電流損失を低減して良好な記録再生特性を有する磁気ヘッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成した本発明にかかる磁気ヘッドは、基板上に金属磁性薄膜が斜めに成膜されてなる一対の磁気コア半体が非磁性金属材料を介して金属拡散接合されて磁気ギャップを形成し、少なくとも一方の磁気コア半体の金属磁性薄膜には、他方の磁気コア半体の金属磁性薄膜との突合せ面にコイルが薄膜形成された凹部が形成されてなる磁気ヘッドにおいて、上記凹部が形成された一方の磁気コア半体の金属磁性薄膜が上記凹部により前後方向に分断されてなる前部突合せ面及び後部突合せ面を有し、上記一対の磁気コア半体が一方の後部突合せ面と他方の後部突合せ面とが絶縁体を介して配されることにより磁気コアを形成するものである。
【0013】
以上のように構成された本発明に係る磁気ヘッドでは、一方の磁気コア半体の後部突合せ面と他方の磁気コア半体との間に電流が流れることがない。このため、これら一方の磁気コア半体の後部突合せ面と他方の磁気コア半体との間に所定の磁束が流れた場合でも、この部分に渦電流が発生するようなことがない。このため、これら一方の磁気コア半体の後部突合せ面と他方の磁気コア半体との間は、磁束が流れ易い状態となる。したがって、この磁気ヘッドは、記録再生時の出力が向上したものとなり、良好な記録再生特性を有するものとなる。
【0014】
一方、上述した問題点を解決した本発明に係る磁気ヘッドの製造方法は、基板上に金属磁性薄膜を斜めに成膜して一対の磁気コア半体を形成し、少なくとも一方の磁気コア半体に成膜された金属磁性薄膜に対して、他方の金属磁性薄膜との突合せ面に凹部を形成し、この凹部に薄膜形成工程によりコイルを形成し、これら一対の磁気コア半体を非磁性金属材料を介して金属拡散接合して磁気ギャップを形成する磁気ヘッドの製造方法であって、上記凹部が上記金属磁性薄膜を前後方向に分断することにより前部突合せ面及び後部突合せ面を形成し、一方の磁気コア半体の上記後部突合せ面と他方の磁気コア半体の後部突合せ面とを絶縁層を介して配するものである。
【0015】
以上のように構成された本発明に係る磁気へッドの製造方法によれば、一方の磁気コア半体の後部突合せ面と他方の磁気コア半体とを絶縁状態となるように接合しているため、これらの間に電流が流れるようなことがない。このように接合された一方の磁気コア半体の後部突合せ面と他方の磁気コア半体との間には、磁束が流れた場合でも、渦電流が発生するようなことがない。このため、この手法によれば、一方の磁気コア半体の後部突合せ面と他方の磁気コア半体との間を磁束が流れ易い状態とすることができる。したがって、この手法によれば、記録再生時の出力が向上し、良好な記録再生特性を示す磁気ヘッドを製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る磁気ヘッド及びその製造方法の実施の形態を図面を参照にしながら詳細に説明する。
【0017】
本発明に係る磁気ヘッド1は、図1及び図2に示すように、一対の磁気コア半体2,3が非磁性材料からなるギャップ材Gを介して接合されて構成されている。一対の磁気コア半体2,3は、非磁性基板4と、この非磁性基板4上に斜めに形成された金属磁性膜6とからそれぞれ構成されている。また、一対の磁気コア半体2、3は、少なくとも一方に励磁用又は誘導起電圧検出用のコイル7が形成されてなる。この磁気ヘッド1において、金属磁性膜6は、一対の磁気コア半体23がギャップ材Gを介して接合された状態で磁気コアを形成する。この磁気ヘッド1は、磁気コア半体2,3が接合した状態で図1中矢印Aで示した方向に磁気記録媒体が摺動することによって、磁気記録媒体に記録された信号磁界を再生又は信号磁界を磁気記録媒体に記録する。
【0018】
また、この磁気ヘッド1は、磁気記録媒体との接触面積を調節するために、当たり幅規制溝8が形成されている。この当たり幅規制溝8は、磁気記録媒体の摺動方向Aと平行に、磁気ヘッド1の両側面に形成されている。また、この磁気へッドでは、磁気記録媒体との当たり状態を調節するため、磁気記録媒体の摺動面が円弧状とされる。
【0019】
この磁気ヘッド1において、金属磁性膜6は、非磁性基板4上に所定の角度を有して斜めに形成されている。このため、一対の磁気コア半体2,3がギャップ材Gを介して接合されると、磁気コアは、磁気記録媒体の摺動方向に対して斜めに配されることとなる。また、この金属磁性膜6は、その断面形状が略コ字状を呈するように構成されている。すなわち、金属磁性膜6は、磁気コア半体2,3の接合される面側の端面の略中心部が凹部とされてなる。
【0020】
このため、金属磁性膜6は、磁気コア半体2,3の接合面2A,3Aに前後方向に分断されて露出する前部突合せ面10及び後部突合せ面11を有することとなる。そして、この磁気ヘッド1では、一方の磁気コア半体2の前部突合せ面10と他方の磁気コア半体の前部突合せ面10とがギャップ材Gを介して突き合わされて磁気ギャップを構成する。また、この磁気ヘッド1では、一方の磁気コア半体2の後部突合せ面11と他方の磁気コア半体3の後部突合せ面11とが離間して突き合わされてバックギャップを構成する。
【0021】
すなわち、この磁気ヘッド1は、一方の磁気コア半体2の後部突合せ面11と他方の磁気コア半体3の後部突合せ面11との間に空気層を有している。したがって、この磁気へッド1では、一方の磁気コア半体2の後部突合せ面11と他方の磁気コア半体3の後部突合せ面11との間が絶縁状態とされる。このように、磁気へッド1においては、バックギャップが絶縁状態とされる。
【0022】
また、この磁気ヘッド1において、金属磁性膜6は、非磁性層6Aを介して3層の金属磁性層6Bが積層されるように構成されている。なお、本発明に係る磁気へッドは、本実施の形態に示すような3層の金属磁性層3Bが積層されるような構成に限定されない。すなわち、本発明に係る磁気ヘッドは、例えば、単層の金属磁性薄膜を有するものであっても良く、また、数十層の金属磁性薄膜を有するものであっても良い。
【0023】
この磁気コア半体2,3において、非磁性基板4は、例えば、MnO−NiO系の非磁性材料からなるが、これに限定されず、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、アルミナ、アルミナチタンカーバイド、SiO2、Znフェライト、結晶化ガラス、高硬度ガラス等からなるものであれぱよい。また、金属磁性膜6は、例えば、Fe−Al−Si合金(センダスト)等の金属磁性材料からなるが、これに限定されず、Fe−Al合金、Fe−Si−Co合金、Fe−Ga−Si合金、Fe−Ga−Si−Ru合金、Fe−Al−Ge合金、Fe−Ga−Ge合金、Fe−Si−Ge合金、Fe−Co−Si−Al合金、Fe−Ni合金等の結晶質合金からなるものであればよい。あるいは、金属磁性膜6は、Fe,Co,Niのうちの1以上の元素とP,C,B,Siのうちの1以上の元素とからなる合金、またはこれを主成分としAl,Ge,Be,Sn,In,Mo,W,Ti,Mn,Cr,Zr,Hf,Nb等を含んだ合金等に代表されるメタル−メタロイド系アモルファス合金や、Co,Hf,Zr等の遷移金属と希土類元素を主成分とするメタル−メタル系アモルファス合金等の非晶質合金からなるようなものであってもよい。
【0024】
さらに、この磁気ヘッド1では、一対の磁気コア半体2,3にコイル7がそれぞれ形成されている。このコイル7は、一対の磁気コア半体2,3の接合面2A,3Aにコイル形成用凹部12が形成されており、そのコイル形成用凹部12内に薄膜形成される。このコイル7は、その中心側の一方端部7Aがコイル接続用端子13と接続されている。そして、コイル7は、コイル接続用端子13を基端部として、後部突合せ面11を略中心として円を描くように形成される。
【0025】
この一対の磁気コア半体2,3に形成されるコイル接続用端子13は、コイル形成用凹部12内に形成されており、コイル7の略中心部とされ、後部突合せ面11の近傍に形成されている。また、このコイル接続用端子13は、一対の磁気コア半体2,3の接合面2A,3Aと面一となるようにそれぞれ高さ調節されて形成されている。そして、この磁気ヘッド1において、一対の磁気コア半体2,3が接合されると、一対のコイル接続用端子13も接合されることとなる。これにより、この磁気ヘッド1では、一対の磁気コア半体2,3が接合されると、一対のコイル7が電気的に接続されることとなる。
【0026】
なお、この磁気ヘッド1では、一対の磁気コア半体2,3を接合する際、詳細を後述する金属拡散接合が用いられる。この場合、接合面2A,3Aは、金等の非磁性導電材料がそれぞれ成膜され、突き合わされる。これにより、一対の前部突合せ面10は、この非磁性導電材料を介して突き合わされて磁気ギャップを形成する。すなわち、この磁気ヘッド1では、上述したギャップ材Gとして、金属拡散接合の際に用いられる非磁性導電材料が使用される。
【0027】
また、コイル7の反対側の他方端部は、磁気ギャップとは反対側へ引き出されている。そして、このコイル7の他方端部は、外部接続用端子14と接続されている。この外部接続用端子14は、一対の磁気コア半体2,3の幅方向に所定の深さ寸法で穿設された端子溝15内に、銅等の導電材料が埋設されて構成されている。そして、これら外部接続用端子14は、磁気ヘッド1の側面に露出することにより外部とコイル7とを電気的に接続することができる。これら一対の外部接続用端子14は、一対の磁気コア半体2,3を接合した際に短絡を発生させないように、一対の磁気コア半体2,3における高さが異なる位置にそれぞれ形成されている。
【0028】
以上のように構成された本実施の形態に係る磁気へッド1では、磁気記録媒体に対して信号を記録する又は信号磁界を再生する際、上述した一対の金属磁性膜6が接合されてなる磁気コアに磁束が流れる。
【0029】
具体的には、この磁気ヘッド1を用いて磁気記録媒体に記録された磁気信号を再生する際には、磁気記録媒体からの信号磁界が磁気ギャップ周辺に印加される。そして、印加される信号磁界の方向が変化することによって、磁気コアに流れる磁束の方向が変化する。その結果、磁気ヘッド1では、電磁誘導が起こり、コイル7に所定の電流が流れる。
【0030】
また、この磁気ヘッド1を用いて磁気記録媒体に磁気信号を記録する際には、コイル7に対して所定の電流が供給される。そして、この磁気ヘッド1では、コイル7から発生する磁界により磁気コアに所定の磁束が流れる。これにより、この磁気ヘッド1では、磁気ギャップを挟んで漏れ磁界を発生する。磁気ヘッド1は、この漏れ磁界を磁気記録媒体に印加することにより磁気信号を記録する。
【0031】
上述したように、この磁気ヘッド1では、磁気信号を記録再生する際、磁気コアに所定の磁束が流れる。そして、磁気ヘッド1では、記録再生時における電磁変換特性を向上させることが記録再生特性を向上させることとなる。
【0032】
ところで、この磁気ヘッド1は、一方の磁気コア半体2の後部突合せ面11と他方の磁気コア半体3の後部突合せ面11との間に空気層を有してなり、すなわち、バックギャップが絶縁状態とされてなる。磁気ヘッド1は、上述したような記録再生時において、磁気コアに所定の磁束が流れると、このバックギャップにも空気層を貫いて磁束が流れることになる。この磁気ヘッド1では、空気層に磁束が流れたとしても、空気層が絶縁性を有するために、この磁束に起因する渦電流がバックギャップに発生することがない。
【0033】
なお、この磁気コアにおいて、渦電流は、磁気コアに流れる磁束に対して抵抗となり、磁束を流れ難くなるように作用する。特に、磁気信号か高周波になるに連れて、この渦電流による悪影響は顕著なものとなる。
【0034】
しかしながら、この磁気ヘッド1では、上述したように、空気層に渦電流が発生しないため、磁束が流れ難くなるようなことはない。このため、この磁気ヘッド1は、磁束が磁気コアを良好に流れ、電磁変換特性に優れたものとなる。この磁気ヘッド1では、磁気信号か高周波数になった場合でも、同様に電磁変換特性が優れたものとなる。したがって、この磁気ヘッド1は、良好な記録再生特性を示すものとなる。
【0035】
ところで、上述した実施の形態で示した磁気ヘッド1は、一方の磁気コア半体2の後部突合せ面11と他方の磁気コア半体3の後部突合せ面11との間に空気層を有するように構成されていた。しかしながら、本発明に係る磁気へッドは、このような構成に限定されるものではなく、一方の磁気コア半体2の後部突合せ面11と他方の磁気コア半体3の後部突合せ面11との間が絶縁状態となるような構成であれば良い。すなわち、上述した磁気ヘッド1における空気層の代わりに、絶縁材料を配するような構成であっても良い。
【0036】
この場合でも、磁気ヘッドは、上述した実施の形態で示した磁気ヘッド1と同様に、磁気コアのバックギャップ周辺に渦電流が発生することなく、良好な記録再生特性を有するもとなる。
【0037】
次に、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を図面を参照にして詳細に説明する。ここでは、上述した磁気ヘッド1を製造する際の製造方法を説明する。
【0038】
本実施の形態に係る磁気ヘッド1は、複数個の磁気コア半体2,3が同一基板上に形成される。そして、磁気ヘッド1は、この基板を一対貼り合わせ、個々の磁気ヘッド1に切り離すことにより形成される。
【0039】
先ず、この磁気ヘッド1を製造するには、図3に示すように、略平板状の基板21を用意する。この基板21は、磁気ヘッド1の非磁性基板4となるものであり、例えば、MnO−NiO等の非磁性材料からなる。この基板21は、例えば、厚み寸法が約2mmとされ、長さ寸法及ぴ幅寸法が約30mmとされてなる。
【0040】
次に、図4に示すように、上述した基板21の一方側面21Aに対して第1の溝加工を施す。この第1の溝加工では、その一方側面21Aに対して、砥石等により、例えば、約45°の角度を有するように複数本の磁気コア形成溝24を平行に形成する。そして、この第1の溝加工で形成された磁気コア形成溝24によって、複数の傾斜面24Aが形成されることとなる。
【0041】
ここで形成される傾斜面24Aは、基板平面に対して25〜60°程度の傾斜角が好ましいが、疑似ギャップやトラック幅精度を考慮すると35〜50°程度の傾斜角がより好ましい。また、ここで、この第1の溝加工により形成される磁気コア形成溝24は、その深さ寸法を130μmとし、幅寸法を150μmとして形成される。
【0042】
次に、図5に示すように、基板21の傾斜面24Aが形成された面に対して、上述したような材料からなる金属磁性膜6が成膜される。この成膜工程では、傾斜面24Aが形成された面に対して均一の膜厚となるように金属磁性膜6が形成される。このとき、金属磁性膜6は、非磁性層を介して3層の金属磁性材料が積層されてなるように成膜される。この成膜工程は、例えばマグネトロンスパッタリング法等のPVD法又はCVD法等により行われる。
【0043】
また、金属磁性膜6は、複数層の金属磁性層を有するものに限定されず、単数層の金属磁性層からなるような構成であってもよい。
【0044】
本実施の形態において、金属磁性膜6は、複数層からなるような場合、例えば、Fe−Al−Si合金(センダスト)5μm上にアルミナ0.15μmが交互に積層され、3層のFe−Al−Si合金層を有するような構成とした。また、金属磁性膜6が複数層からなる場合、非磁性層としては、アルミナ、SiO2及びSiO等の材料が単独又は混合して用いられる。この非磁性層の膜厚は、隣接して配される金属磁性層間の絶縁を取れる程度か必要である。
【0045】
次に、図6に示すように、金属磁性膜6が形成された面に対して磁気コア形成溝24と略直交する方向に第2の溝加工を施す。この第2の溝加工では、所望の大きさの磁気コアに分離するために形成される分離溝26と、この分離溝26により分離された各磁気コアにコイル形成用凹部12を形成するための巻線溝27とが形成される。
【0046】
ここで、分離溝26は、磁気コアを基板21上で前後方向に磁気的に分離して各磁気コアを形成し、各磁気コアに閉磁路を構成するための溝である。この分離溝26は、図6の例示では2本形成されているが、形成される磁気コア半体2,3の列の数だけ設ける必要がある。また、この分離溝26は、前後方向に並んで配される各磁気コアを磁気的に分離するため、金属磁性膜6が完全に切断される程度の深さ寸法を有するように形成される必要がある。具体的には、分離溝26は、磁気コア形成溝24の底辺より150μm深く、すなわち、280μmの深さ寸法とされる。
【0047】
一方、巻線溝27は、前部突合せ面10と後部突合せ面11とを有する磁気コアを形成し、コイル形成用凹部12を形成するために、金属磁性膜6を切断しない程度の深さ寸法で形成される必要がある。巻線溝27は、その形状が前部突合せ面10及び後部突合せ面11の長さ寸法に応じて決定されるが、ここでは、幅寸法が約140μm程度とされ、前部突合せ面10の長さ寸法が約300μmとなり、後部突合せ面11の長さ寸法が約85μmとなるように形成される。なお、この巻線溝27は、金属磁性膜6を切断することのない程度の深さ寸法でよいが、深すぎると磁路長が大きくなって磁束伝達の効率か低下する虞れがある。また、巻線溝27は、その深さ寸法が後述する工程で形成されるコイル7の厚み寸法に依存するが、ここでは、例えば約20μmとした。さらに、この巻線溝27は、その形状が限定されるものではないが、ここでは、例えば前部突合せ面9側の側面を約45゜の傾斜面27Aとする。これにより、この金属磁性膜6は、前部突合せ面9側に磁束が集中する構造となることによって、感度が向上したものとなる。
【0048】
次に、図7に示すように、上述したように磁気コア形成溝24、分離溝26及び巻線溝27が形成された基板21の一主面に対して溶融した低融点ガラス29を充填させる。そして、低融点ガラス29が充填された一主面に対して表面平坦化処理を施す。
【0049】
次に、図8に示すように、砥石等を用いて研削加工することにより端子溝30を形成する。この端子溝30は、上述した分離溝26の直上に位置するように形成され、その幅寸法が約200μmとされ、深さ寸法が約100μmとされてなる。そして、この端子溝30内にCu等の良導体をメッキ法等により充填する。その後、平坦化処理を行う。この端子溝30に充填されたCu等の良導体は、上述した磁気ヘッド1における外部接続用端子14となるものである。
【0050】
次に、図9に示すように、コイル7が薄膜形成されるコイル形成用凹部12を形成する。このコイル形成用凹部12は、後部突合せ面11を略中心とする略矩形状として、後部突合せ面11を除く部分をエッチングすることにより形成される。また、このコイル形成用凹部12は、その一端から端子溝30に達する溝12Aを有している。
【0051】
次に、図10に示すように、コイル形成用凹部12内にコイル7を薄膜形成する。このコイル7は、後部突合せ面11の近傍を一方端部7Aとした円を描くように、多数回巻回された形状を有する。また、このコイル7は、コイル形成用凹部12の一端に形成された溝12A内に引き出され、他方端部7Bが端子溝30に充填された良導体からなる外部接続用端子14と電気的に接続される。
【0052】
このコイル7を形成する際には、先ず、フォトレジストにより上述したようなコイル形状をパターニングする。次に、コイル形成用凹部12にCu等の良導体を鍍金等の手法によって、約3μm程度の厚みとなるように薄膜形成する。そして、フォトレジストを除去することによって、パターニシグされたコイル形状とされるコイル7を形成することができる。なお、このコイル7を形成するに際して、上述した鍍金法だけでなく、スパッタリング法や蒸着法等を用いることができる。
【0053】
次に、図11に示すように、コイル7の一方端部7Aにコイル接続用端子13を形成する。このコイル接続用端子13は、後部突合せ面11の近傍にあるコイル7の一方端部7A上に形成される。コイル接続用端子13は、良導体材料からなり、一対の磁気コア半体2,3の接合面2A,3Aと略々等しい高さ寸法を有している。
【0054】
次に、コイル7を外気との接触から保護するための保護層(図示せず。)を形成する。この保護層は、上述したコイル7を形成したコイル形成用凹部12を埋め込むように形成される。その後、保護層が形成された表面に対して平坦化処理を行う。この平坦化処理では、前部突合せ面10、後部突合せ面11及びコイル接続用端子13が外方へ露出するまで行われる。
【0055】
次に、図12に示すように、磁気コア半体2,3が平行に複数列形成された基板を、一方の磁気コア半体2と他方の磁気コア半体3とがそれぞれ一列毎となるように切断し、コイル7が形成された面が対向するように金属拡散接合により接合する。
【0056】
この金属拡散接合では、先ず、図13に示すように、非磁性金属材料からなる金属膜31を形成する。この金属膜31は、図13中破線で囲った領域にのみ形成される。すなわち、金属膜31は、前部突合せ面10を含むコイル形成用凹部12の周囲、コイル接続用端子13及び前部突合せ面10と反対の所定の領域Rに形成される。本発明に係る手法では、後部突合せ面11に金属膜31を形成することがない。
【0057】
上述したような所定の領域に金属膜31を形成するには、先ず、コイル7が形成された面に対して、CrとAuとからなる金属材料をスパッタリング法等により成膜する。次に、フォトプロセスによって、この金属膜31上にマスクをパターニングする。このマスクは、上述した所定の領域に相当する部分に形成される。そして、このマスクが形成された領域以外の金属膜31を除去することによって、上述した領域のみに金属膜31を形成することができる。
【0058】
金属拡散接合では、所定の領域に金属膜31が形成された後、磁気コア半体2,3がそれぞれ複数個一列に並んだ基板21を一対突き合わせる。このとき、一方の前部突合せ面10と他方の前部突合せ面10とを正確に位置決めする。また、同様に、一方のコイル接続用端子13と他方のコイル接続用端子13とを正確に位置決めする。そして、突き合わせた状態で所定の温度と圧力を加えることによって、磁気コア半体2,3がそれぞれ複数個一列に並んだ基板21同士を接合することができる。これによって、複数個の磁気へッド1が一列に並んでなる磁気ヘッドブロック32が形成されることになる。
【0059】
このとき、一対の前部突合せ面10は、非磁性良導体であるCr及びAuからなる金属膜31を介して接合されている。このため、一対の前部突合せ面10の間は、磁気ヘッド1における磁気ギャップとなる。一方、一対の後部突合せ面11は、接合された後の金属膜31の厚み寸法の分、離間して配されることとなる。すなわち、このように製造される磁気ヘッド1は、一対の後部突合せ面11の間に空間層を備えるような構成となる。したがって、一対の後部突合せ面11の間は、略々電流を流すことがない絶縁状態となる。
【0060】
また、一対のコイル接続用端子13は、非磁性良導体であるCr及びAuからなる金属膜31を介して接合されている。このため、一対のコイル接続用端子13の間は、電気的に接続されることとなる。これによって、対向して配されるコイル7は、コイル接続端子13を介して電気的に接続されることとなる。
【0061】
次に、図14に示すように、磁気ヘッドブロック32を個々の磁気ヘッド1に分離する。このとき、磁気ヘッドブロック32は、図14中B−B線で示す部分で切断される。
【0062】
これにより、前部突合せ面10間に磁気ギャップを有する磁気ヘッド1が形成される。そして、図示しないが、この磁気ヘッド1の媒体摺動面に対して表面が円筒形を呈するように研磨加工が施される。また、磁気記録媒体との当たり特性が良好なものとなるために、媒体摺動面に対して当たり規制溝8を形成する。この当たり規制溝8は、磁気記録媒体の摺動方向に対して略平行となるように形成され、磁気記録媒体との摩擦を規制している。
【0063】
以上のような本発明に係る磁気ヘッドの製造方法では、後部突合せ面11に金属膜31を形成しないため、一対の後部突合せ面11間を絶縁状態とすることができる。したがって、この手法によれば、一対の後部突合せ面11間に磁気コアに流れる磁束に悪影響を与えるような渦電流が発生するようなことがない。したがって、この手法によれば、電磁変換特性に優れ、良好な記録再生特性を示す磁気ヘッド1を製造することができる。
【0064】
ところで、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法において、金属拡散接合の際に形成される金属膜31は、上述したような手法により形成されるものに限定されるものではない。すなわち、図13に示したような所定の領域に金属膜31を形成する際には、図15に示すようなマスクパターン33を用いて行っても良い。
【0065】
この図15に示すマスクパターン33は、例えば、ステンレス等の材料からなり、上述した金属膜31を形成する領域に対応した部分が開口部34A,34B,34Cとされ、それ以外の部分が遮蔽されるような構成を有する。
【0066】
このマスクパターン33を用いて金属膜31を形成する際には、先ず、マスクパターン33を複数個の磁気コア半体2,3が一列に並んだ基板21上に正確に位置決めして載置する。次に、この状態で、Cr及びAuからなる金属膜31をスパッタリング等の手法により形成する。これにより、マスクパターン33の開口部34A,34B,34Cに臨む領域のみに金属膜31が形成される。
【0067】
すなわち、磁気コア半体2,3には、前部突合せ面10を含むコイル形成用凹部12の周囲、コイル接続用端子13及び前部突合せ面10と反対の所定の領域Rのみに金属膜31が形成されることとなる。このように、この手法でも、後部突合せ面11上には金属膜31を形成しない。そして、上述した手法と同様に、金属拡散接合を行うことにより磁気ヘッド1が製造される。
【0068】
このようなマスクパターン33を用いて金属膜31を形成した場合、フォトプロセスを用いたパターニング等を必要としない。このフォトプロセスには、通常、レジスト膜を除去するための有機物を使用する。また、このフォトプロセスでは、金属膜31の表面に汚れ水分が付着することがある。
【0069】
マスクパターン33を用いて金属膜31を形成する手法では、これら有機物を使用する必要がなく、また、金属膜31の表面に汚れ水分が付着するようなこともない。すなわち、この手法では、金属膜31の表面性を良好に保つことができる。これによって、金属拡散接合の際に接合不良を防止することができるとともに、接合部分の腐食等を防止することができる。
【0070】
ところで、本実施の形態に示した磁気ヘッド1の記録再生特性を検証するために、従来の磁気ヘッドを用いて比較した。
【0071】
ここで、従来の磁気ヘッドとは、一対の後部突合せ面40の間に非磁性金属膜を配してなるようなものであり、図16に示すように破線で囲った領域Sに金属膜が形成されて金属拡散接合されるものである。すなわち、従来の磁気ヘッドでは、前部突合せ面を含むコイル形成用凹部の周囲、コイル接続用端子、後部突合せ面及び前部突合せ面と反対の所定の領域に金属膜を形成している。
【0072】
上述したような従来の磁気ヘッドでは、一対の後部突合せ面40間に金属膜を形成し、後部突合せ面の間が金属膜により電気的に接続されることとなる。このような磁気ヘッドを製造するに際して、上述のような手法を用いた場合、図17に示すような従来のマスクパターン45を用いることとなる。
【0073】
この従来のマスクパターン45は、金属膜を形成する位置、すなわち、前部突合せ面を含むコイル形成用凹部の周囲、コイル接続用端子、後部突合せ面及び前部突合せ面と反対の所定の領域に対応した位置に開口部46A,46B,46C,46Dを有するように構成されている。この従来のマスクパターン45では、コイル接続用端子に対応する開口部46Cと後部突合せ面に対応する開口部46Bとの間隔が約10μmとされている。
【0074】
このような、従来のマスクパターン45を用いて金属膜を形成した場合、コイル接続用端子に対応する開口部46Cと後部突合せ面に対応する開口部46Bとの間隔が狭いために、金属膜が連結してしまうことがある。このような場合、磁気ヘッドとしては、コイルと磁気コアとが電気的に接触してしまうこととなり好ましくない。
【0075】
また、従来のマスクパターン45では、上述したような不都合を回避するために、コイル接続用端子に対応する開口部46Cと後部突合せ面に対応する開口部46Bとをそれぞれ正確に位置決めしなくてはならない。このため、後部突合せ面に金属膜を形成するような従来の手法は、金属膜の形成に長時間を要するとともに、生産性も悪かった。
【0076】
これに対して、本発明に係る手法によれば、後部突合せ面11に金属膜31を形成しないため、マスクパターン33を用いた場合でも、コイル7と磁気コアとの間に電気的な接触は発生しない。また、マスクパターン33を基板21上に位置決めする際にも、容易に且つ短時間で行うことができる。したがって、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法は、生産性を向上させるとともに、歩留まりを向上させることができるものである。
【0077】
以上のように構成された本発明に係る磁気ヘッド1と従来の磁気ヘッドとの記録再生特性を比較した。具体的には、様々な周波数を用いてそれぞれの磁気ヘッドの出力を測定した。そして、各周波数における従来の磁気ヘッドの出力を0dBとして、本発明に係る磁気ヘッドの出力比を測定した。結果を図18に示す。
【0078】
この図18から明らかなように、各周波数において、本発明に係る磁気ヘッドは、従来の磁気ヘッドと比較して出力が向上したものとなる。特に、本発明に係る磁気ヘッドは、高周波数のときに出力が向上したものといえる。
【0079】
これは、従来の磁気ヘッドでは、高周波数のときにバックギャップに発生する渦電流が磁束の流れを阻害し、電磁変換特性が劣化したために出力が落ちたものと考えられる。これに対して、本発明に係る磁気ヘッドは、高周波数のときも、バックギャップに周辺に渦電流が発生することがないために、出力が向上したものとなっている。
【0080】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明に係る磁気ヘッドでは、一対の後部突合せ面の間が絶縁状態とされる。このため、本発明では、バックギャップに渦電流が発生することがない。したがって、本発明に係る磁気ヘッドは、記録再生時に磁気コアに良好に磁束が流れるために電磁変換特性に優れたものとなる。これにより、磁気ヘッドは、記録再生特性に優れたものとなる。
【0081】
また、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法は、バックギャップに渦電流が発生せずに記録再生特性が向上した磁気ヘッドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気ヘッドの分解斜視図である。
【図2】同磁気ヘッドの媒体摺動面の要部斜視図である。
【図3】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、基板を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、第1の溝加工を施した基板の斜視図である。
【図5】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、金属磁性膜を成膜した基板の斜視図である。
【図6】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、第2の溝加工を施した基板の斜視図である。
【図7】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、各溝に低融点ガラスを充填した状態の基板の斜視図である。
【図8】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、低融点ガラスに端子溝を形成した基板の斜視図である。
【図9】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、コイル形成用凹部を形成した基板の要部斜視図である。
【図10】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、コイルを形成した基板の要部斜視図である。
【図11】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、コイル接続用端子を形成した基板の要部斜視図である。
【図12】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、磁気コア半体が形成されたブロックを突き合わせた状態を示す斜視図である。
【図13】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、金属拡散接合の際に形成される金属膜を示す要部平面図である。
【図14】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、磁気ヘッドブロックの斜視図である。
【図15】本発明において、金属膜を成膜する際に用いられるマスクパターンの平面図である。
【図16】従来の磁気ヘッドを製造する際に形成される金属膜を示す要部平面図である。
【図17】従来のマスクパターンの平面図である。
【図18】従来の磁気ヘッドと本発明に係る磁気ヘッドとの再生出力を比較した特性図である。
【符号の説明】
1 磁気ヘッド、2,3 磁気コア半体、4 非磁性基板、6 金属磁性膜、7コイル、8 当たり幅規制溝、10 前部突合せ面、11 後部突合せ面、12 コイル形成用凹部、13 コイル接続用端子
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属磁性膜により磁路を形成してなる磁気ヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ビデオテープレコーダ等の磁気記録再生装置においては、画質を向上させるために信号をデジタル化して記録するデジタル記録が進められており、これに対応して記録の高密度化、記録周波数の高周波数化がなされている。
【0003】
ところで、磁気記録の高密度化、記録周波数の高周波数化が進むにつれ、磁気記録再生装置に搭載される磁気ヘッドには、高周波領域で出力が高く、ノイズが少ないことが要求される。例えば、従来VTR用磁気ヘッドとして多用されているフェライト材に金属磁性膜を成膜して、捲線を施したいわゆる複合型メタル・イン・ギャップタイプの磁気ヘッドでは、インダクタンスが大きく、インダクタンス当たりの出力低下のため、高周波領域で出力が低く、高周波、高密度が必要とされるデジタル画像記録に充分対応することが難しい。
【0004】
このような状況から、薄膜形成工程で作製したいわゆる薄膜型の磁気ヘッドが、高周波対応の磁気ヘッドとして検討されている。
【0005】
この薄膜型の磁気ヘッドは、金属磁性膜を有する一対の磁気コア半体を備え、非磁性金属材料を介してこれら一対の磁気コア半体を接合することにより形成される。この磁気コア半体には、金属磁性膜が埋設され、その略中央部に略矩形状のコイル形成用凹部が設けられている。また、磁気コア半体は、このコイル形成用凹部内に、フォトリソグラフィ等の薄膜形成手法によって形成されたコイルを備える。
【0006】
この金属磁性膜は、磁気コア半体の接合面に対して斜めに薄膜形成され、コイルを有するコイル形成用凹部が接合面に形成されるために略凹字状を呈する。すなわち、この金属磁性膜は、コイル形成用凹部により前後方向に分断されてなる前部突合せ面及び後部突合せ面を有することになる。この磁気ヘッドでは、一対の磁気コア半体の前部突合せ面同士が非磁性材を介して突き合わされることにより磁気ギャップが形成され、一対の磁気コア半体の後部突合せ面同士が非磁性材を介して突き合わされることによりバックギャップを形成している。
【0007】
このような薄膜型の磁気ヘッドでは、一対の磁気コア半体を突き合わせて接合する際に金属拡散接合が用いられる。この金属拡散接合では、非磁性金属材料として、例えば金が用いられる。この金を上述した非磁性材として用いることにより、上述したように、磁気ギャップ及びバックギャップが形成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような薄膜型の磁気へッドでは、記録再生時に所定の磁束が磁気コアに流れる。このとき、磁束の一部は、バックギャップを貫いて磁気コアを流れる。
【0009】
この磁気ヘッドにおいて、一対の磁気コア半体に形成された後部突合せ面の間には、金等の非磁性導電材料が配されている。このようにバックギャップを構成する金が導電性であるために、バックギャップを貫いて所定の磁束が流れると、バックギャップには、渦電流が発生する。このバックキャップに発生した渦電流は、バックギャップを貫いて流れる磁束を流れにくくするように作用することとなる。
【0010】
このように記録再生時に渦電流が発生すると、磁気コア全体に流れる磁束が減少することとなり、電磁変換特性が劣化してしまう。その結果、従来の磁気ヘッドは、記録再生特性が低下することになり、出力が低下したものとなってしまう。また、上述したような渦電流損失は、高周波数の磁界になればなるほど顕著なものとなる。したがって、従来の磁気へッドは、高密度記録化のために記録波長を高周波数化しても良好な記録再生特性を得ることができないといった問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した従来の磁気ヘッドの問題点を解決して、バックギャップ周辺の渦電流損失を低減して良好な記録再生特性を有する磁気ヘッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成した本発明にかかる磁気ヘッドは、基板上に金属磁性薄膜が斜めに成膜されてなる一対の磁気コア半体が非磁性金属材料を介して金属拡散接合されて磁気ギャップを形成し、少なくとも一方の磁気コア半体の金属磁性薄膜には、他方の磁気コア半体の金属磁性薄膜との突合せ面にコイルが薄膜形成された凹部が形成されてなる磁気ヘッドにおいて、上記凹部が形成された一方の磁気コア半体の金属磁性薄膜が上記凹部により前後方向に分断されてなる前部突合せ面及び後部突合せ面を有し、上記一対の磁気コア半体が一方の後部突合せ面と他方の後部突合せ面とが絶縁体を介して配されることにより磁気コアを形成するものである。
【0013】
以上のように構成された本発明に係る磁気ヘッドでは、一方の磁気コア半体の後部突合せ面と他方の磁気コア半体との間に電流が流れることがない。このため、これら一方の磁気コア半体の後部突合せ面と他方の磁気コア半体との間に所定の磁束が流れた場合でも、この部分に渦電流が発生するようなことがない。このため、これら一方の磁気コア半体の後部突合せ面と他方の磁気コア半体との間は、磁束が流れ易い状態となる。したがって、この磁気ヘッドは、記録再生時の出力が向上したものとなり、良好な記録再生特性を有するものとなる。
【0014】
一方、上述した問題点を解決した本発明に係る磁気ヘッドの製造方法は、基板上に金属磁性薄膜を斜めに成膜して一対の磁気コア半体を形成し、少なくとも一方の磁気コア半体に成膜された金属磁性薄膜に対して、他方の金属磁性薄膜との突合せ面に凹部を形成し、この凹部に薄膜形成工程によりコイルを形成し、これら一対の磁気コア半体を非磁性金属材料を介して金属拡散接合して磁気ギャップを形成する磁気ヘッドの製造方法であって、上記凹部が上記金属磁性薄膜を前後方向に分断することにより前部突合せ面及び後部突合せ面を形成し、一方の磁気コア半体の上記後部突合せ面と他方の磁気コア半体の後部突合せ面とを絶縁層を介して配するものである。
【0015】
以上のように構成された本発明に係る磁気へッドの製造方法によれば、一方の磁気コア半体の後部突合せ面と他方の磁気コア半体とを絶縁状態となるように接合しているため、これらの間に電流が流れるようなことがない。このように接合された一方の磁気コア半体の後部突合せ面と他方の磁気コア半体との間には、磁束が流れた場合でも、渦電流が発生するようなことがない。このため、この手法によれば、一方の磁気コア半体の後部突合せ面と他方の磁気コア半体との間を磁束が流れ易い状態とすることができる。したがって、この手法によれば、記録再生時の出力が向上し、良好な記録再生特性を示す磁気ヘッドを製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る磁気ヘッド及びその製造方法の実施の形態を図面を参照にしながら詳細に説明する。
【0017】
本発明に係る磁気ヘッド1は、図1及び図2に示すように、一対の磁気コア半体2,3が非磁性材料からなるギャップ材Gを介して接合されて構成されている。一対の磁気コア半体2,3は、非磁性基板4と、この非磁性基板4上に斜めに形成された金属磁性膜6とからそれぞれ構成されている。また、一対の磁気コア半体2、3は、少なくとも一方に励磁用又は誘導起電圧検出用のコイル7が形成されてなる。この磁気ヘッド1において、金属磁性膜6は、一対の磁気コア半体23がギャップ材Gを介して接合された状態で磁気コアを形成する。この磁気ヘッド1は、磁気コア半体2,3が接合した状態で図1中矢印Aで示した方向に磁気記録媒体が摺動することによって、磁気記録媒体に記録された信号磁界を再生又は信号磁界を磁気記録媒体に記録する。
【0018】
また、この磁気ヘッド1は、磁気記録媒体との接触面積を調節するために、当たり幅規制溝8が形成されている。この当たり幅規制溝8は、磁気記録媒体の摺動方向Aと平行に、磁気ヘッド1の両側面に形成されている。また、この磁気へッドでは、磁気記録媒体との当たり状態を調節するため、磁気記録媒体の摺動面が円弧状とされる。
【0019】
この磁気ヘッド1において、金属磁性膜6は、非磁性基板4上に所定の角度を有して斜めに形成されている。このため、一対の磁気コア半体2,3がギャップ材Gを介して接合されると、磁気コアは、磁気記録媒体の摺動方向に対して斜めに配されることとなる。また、この金属磁性膜6は、その断面形状が略コ字状を呈するように構成されている。すなわち、金属磁性膜6は、磁気コア半体2,3の接合される面側の端面の略中心部が凹部とされてなる。
【0020】
このため、金属磁性膜6は、磁気コア半体2,3の接合面2A,3Aに前後方向に分断されて露出する前部突合せ面10及び後部突合せ面11を有することとなる。そして、この磁気ヘッド1では、一方の磁気コア半体2の前部突合せ面10と他方の磁気コア半体の前部突合せ面10とがギャップ材Gを介して突き合わされて磁気ギャップを構成する。また、この磁気ヘッド1では、一方の磁気コア半体2の後部突合せ面11と他方の磁気コア半体3の後部突合せ面11とが離間して突き合わされてバックギャップを構成する。
【0021】
すなわち、この磁気ヘッド1は、一方の磁気コア半体2の後部突合せ面11と他方の磁気コア半体3の後部突合せ面11との間に空気層を有している。したがって、この磁気へッド1では、一方の磁気コア半体2の後部突合せ面11と他方の磁気コア半体3の後部突合せ面11との間が絶縁状態とされる。このように、磁気へッド1においては、バックギャップが絶縁状態とされる。
【0022】
また、この磁気ヘッド1において、金属磁性膜6は、非磁性層6Aを介して3層の金属磁性層6Bが積層されるように構成されている。なお、本発明に係る磁気へッドは、本実施の形態に示すような3層の金属磁性層3Bが積層されるような構成に限定されない。すなわち、本発明に係る磁気ヘッドは、例えば、単層の金属磁性薄膜を有するものであっても良く、また、数十層の金属磁性薄膜を有するものであっても良い。
【0023】
この磁気コア半体2,3において、非磁性基板4は、例えば、MnO−NiO系の非磁性材料からなるが、これに限定されず、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、アルミナ、アルミナチタンカーバイド、SiO2、Znフェライト、結晶化ガラス、高硬度ガラス等からなるものであれぱよい。また、金属磁性膜6は、例えば、Fe−Al−Si合金(センダスト)等の金属磁性材料からなるが、これに限定されず、Fe−Al合金、Fe−Si−Co合金、Fe−Ga−Si合金、Fe−Ga−Si−Ru合金、Fe−Al−Ge合金、Fe−Ga−Ge合金、Fe−Si−Ge合金、Fe−Co−Si−Al合金、Fe−Ni合金等の結晶質合金からなるものであればよい。あるいは、金属磁性膜6は、Fe,Co,Niのうちの1以上の元素とP,C,B,Siのうちの1以上の元素とからなる合金、またはこれを主成分としAl,Ge,Be,Sn,In,Mo,W,Ti,Mn,Cr,Zr,Hf,Nb等を含んだ合金等に代表されるメタル−メタロイド系アモルファス合金や、Co,Hf,Zr等の遷移金属と希土類元素を主成分とするメタル−メタル系アモルファス合金等の非晶質合金からなるようなものであってもよい。
【0024】
さらに、この磁気ヘッド1では、一対の磁気コア半体2,3にコイル7がそれぞれ形成されている。このコイル7は、一対の磁気コア半体2,3の接合面2A,3Aにコイル形成用凹部12が形成されており、そのコイル形成用凹部12内に薄膜形成される。このコイル7は、その中心側の一方端部7Aがコイル接続用端子13と接続されている。そして、コイル7は、コイル接続用端子13を基端部として、後部突合せ面11を略中心として円を描くように形成される。
【0025】
この一対の磁気コア半体2,3に形成されるコイル接続用端子13は、コイル形成用凹部12内に形成されており、コイル7の略中心部とされ、後部突合せ面11の近傍に形成されている。また、このコイル接続用端子13は、一対の磁気コア半体2,3の接合面2A,3Aと面一となるようにそれぞれ高さ調節されて形成されている。そして、この磁気ヘッド1において、一対の磁気コア半体2,3が接合されると、一対のコイル接続用端子13も接合されることとなる。これにより、この磁気ヘッド1では、一対の磁気コア半体2,3が接合されると、一対のコイル7が電気的に接続されることとなる。
【0026】
なお、この磁気ヘッド1では、一対の磁気コア半体2,3を接合する際、詳細を後述する金属拡散接合が用いられる。この場合、接合面2A,3Aは、金等の非磁性導電材料がそれぞれ成膜され、突き合わされる。これにより、一対の前部突合せ面10は、この非磁性導電材料を介して突き合わされて磁気ギャップを形成する。すなわち、この磁気ヘッド1では、上述したギャップ材Gとして、金属拡散接合の際に用いられる非磁性導電材料が使用される。
【0027】
また、コイル7の反対側の他方端部は、磁気ギャップとは反対側へ引き出されている。そして、このコイル7の他方端部は、外部接続用端子14と接続されている。この外部接続用端子14は、一対の磁気コア半体2,3の幅方向に所定の深さ寸法で穿設された端子溝15内に、銅等の導電材料が埋設されて構成されている。そして、これら外部接続用端子14は、磁気ヘッド1の側面に露出することにより外部とコイル7とを電気的に接続することができる。これら一対の外部接続用端子14は、一対の磁気コア半体2,3を接合した際に短絡を発生させないように、一対の磁気コア半体2,3における高さが異なる位置にそれぞれ形成されている。
【0028】
以上のように構成された本実施の形態に係る磁気へッド1では、磁気記録媒体に対して信号を記録する又は信号磁界を再生する際、上述した一対の金属磁性膜6が接合されてなる磁気コアに磁束が流れる。
【0029】
具体的には、この磁気ヘッド1を用いて磁気記録媒体に記録された磁気信号を再生する際には、磁気記録媒体からの信号磁界が磁気ギャップ周辺に印加される。そして、印加される信号磁界の方向が変化することによって、磁気コアに流れる磁束の方向が変化する。その結果、磁気ヘッド1では、電磁誘導が起こり、コイル7に所定の電流が流れる。
【0030】
また、この磁気ヘッド1を用いて磁気記録媒体に磁気信号を記録する際には、コイル7に対して所定の電流が供給される。そして、この磁気ヘッド1では、コイル7から発生する磁界により磁気コアに所定の磁束が流れる。これにより、この磁気ヘッド1では、磁気ギャップを挟んで漏れ磁界を発生する。磁気ヘッド1は、この漏れ磁界を磁気記録媒体に印加することにより磁気信号を記録する。
【0031】
上述したように、この磁気ヘッド1では、磁気信号を記録再生する際、磁気コアに所定の磁束が流れる。そして、磁気ヘッド1では、記録再生時における電磁変換特性を向上させることが記録再生特性を向上させることとなる。
【0032】
ところで、この磁気ヘッド1は、一方の磁気コア半体2の後部突合せ面11と他方の磁気コア半体3の後部突合せ面11との間に空気層を有してなり、すなわち、バックギャップが絶縁状態とされてなる。磁気ヘッド1は、上述したような記録再生時において、磁気コアに所定の磁束が流れると、このバックギャップにも空気層を貫いて磁束が流れることになる。この磁気ヘッド1では、空気層に磁束が流れたとしても、空気層が絶縁性を有するために、この磁束に起因する渦電流がバックギャップに発生することがない。
【0033】
なお、この磁気コアにおいて、渦電流は、磁気コアに流れる磁束に対して抵抗となり、磁束を流れ難くなるように作用する。特に、磁気信号か高周波になるに連れて、この渦電流による悪影響は顕著なものとなる。
【0034】
しかしながら、この磁気ヘッド1では、上述したように、空気層に渦電流が発生しないため、磁束が流れ難くなるようなことはない。このため、この磁気ヘッド1は、磁束が磁気コアを良好に流れ、電磁変換特性に優れたものとなる。この磁気ヘッド1では、磁気信号か高周波数になった場合でも、同様に電磁変換特性が優れたものとなる。したがって、この磁気ヘッド1は、良好な記録再生特性を示すものとなる。
【0035】
ところで、上述した実施の形態で示した磁気ヘッド1は、一方の磁気コア半体2の後部突合せ面11と他方の磁気コア半体3の後部突合せ面11との間に空気層を有するように構成されていた。しかしながら、本発明に係る磁気へッドは、このような構成に限定されるものではなく、一方の磁気コア半体2の後部突合せ面11と他方の磁気コア半体3の後部突合せ面11との間が絶縁状態となるような構成であれば良い。すなわち、上述した磁気ヘッド1における空気層の代わりに、絶縁材料を配するような構成であっても良い。
【0036】
この場合でも、磁気ヘッドは、上述した実施の形態で示した磁気ヘッド1と同様に、磁気コアのバックギャップ周辺に渦電流が発生することなく、良好な記録再生特性を有するもとなる。
【0037】
次に、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を図面を参照にして詳細に説明する。ここでは、上述した磁気ヘッド1を製造する際の製造方法を説明する。
【0038】
本実施の形態に係る磁気ヘッド1は、複数個の磁気コア半体2,3が同一基板上に形成される。そして、磁気ヘッド1は、この基板を一対貼り合わせ、個々の磁気ヘッド1に切り離すことにより形成される。
【0039】
先ず、この磁気ヘッド1を製造するには、図3に示すように、略平板状の基板21を用意する。この基板21は、磁気ヘッド1の非磁性基板4となるものであり、例えば、MnO−NiO等の非磁性材料からなる。この基板21は、例えば、厚み寸法が約2mmとされ、長さ寸法及ぴ幅寸法が約30mmとされてなる。
【0040】
次に、図4に示すように、上述した基板21の一方側面21Aに対して第1の溝加工を施す。この第1の溝加工では、その一方側面21Aに対して、砥石等により、例えば、約45°の角度を有するように複数本の磁気コア形成溝24を平行に形成する。そして、この第1の溝加工で形成された磁気コア形成溝24によって、複数の傾斜面24Aが形成されることとなる。
【0041】
ここで形成される傾斜面24Aは、基板平面に対して25〜60°程度の傾斜角が好ましいが、疑似ギャップやトラック幅精度を考慮すると35〜50°程度の傾斜角がより好ましい。また、ここで、この第1の溝加工により形成される磁気コア形成溝24は、その深さ寸法を130μmとし、幅寸法を150μmとして形成される。
【0042】
次に、図5に示すように、基板21の傾斜面24Aが形成された面に対して、上述したような材料からなる金属磁性膜6が成膜される。この成膜工程では、傾斜面24Aが形成された面に対して均一の膜厚となるように金属磁性膜6が形成される。このとき、金属磁性膜6は、非磁性層を介して3層の金属磁性材料が積層されてなるように成膜される。この成膜工程は、例えばマグネトロンスパッタリング法等のPVD法又はCVD法等により行われる。
【0043】
また、金属磁性膜6は、複数層の金属磁性層を有するものに限定されず、単数層の金属磁性層からなるような構成であってもよい。
【0044】
本実施の形態において、金属磁性膜6は、複数層からなるような場合、例えば、Fe−Al−Si合金(センダスト)5μm上にアルミナ0.15μmが交互に積層され、3層のFe−Al−Si合金層を有するような構成とした。また、金属磁性膜6が複数層からなる場合、非磁性層としては、アルミナ、SiO2及びSiO等の材料が単独又は混合して用いられる。この非磁性層の膜厚は、隣接して配される金属磁性層間の絶縁を取れる程度か必要である。
【0045】
次に、図6に示すように、金属磁性膜6が形成された面に対して磁気コア形成溝24と略直交する方向に第2の溝加工を施す。この第2の溝加工では、所望の大きさの磁気コアに分離するために形成される分離溝26と、この分離溝26により分離された各磁気コアにコイル形成用凹部12を形成するための巻線溝27とが形成される。
【0046】
ここで、分離溝26は、磁気コアを基板21上で前後方向に磁気的に分離して各磁気コアを形成し、各磁気コアに閉磁路を構成するための溝である。この分離溝26は、図6の例示では2本形成されているが、形成される磁気コア半体2,3の列の数だけ設ける必要がある。また、この分離溝26は、前後方向に並んで配される各磁気コアを磁気的に分離するため、金属磁性膜6が完全に切断される程度の深さ寸法を有するように形成される必要がある。具体的には、分離溝26は、磁気コア形成溝24の底辺より150μm深く、すなわち、280μmの深さ寸法とされる。
【0047】
一方、巻線溝27は、前部突合せ面10と後部突合せ面11とを有する磁気コアを形成し、コイル形成用凹部12を形成するために、金属磁性膜6を切断しない程度の深さ寸法で形成される必要がある。巻線溝27は、その形状が前部突合せ面10及び後部突合せ面11の長さ寸法に応じて決定されるが、ここでは、幅寸法が約140μm程度とされ、前部突合せ面10の長さ寸法が約300μmとなり、後部突合せ面11の長さ寸法が約85μmとなるように形成される。なお、この巻線溝27は、金属磁性膜6を切断することのない程度の深さ寸法でよいが、深すぎると磁路長が大きくなって磁束伝達の効率か低下する虞れがある。また、巻線溝27は、その深さ寸法が後述する工程で形成されるコイル7の厚み寸法に依存するが、ここでは、例えば約20μmとした。さらに、この巻線溝27は、その形状が限定されるものではないが、ここでは、例えば前部突合せ面9側の側面を約45゜の傾斜面27Aとする。これにより、この金属磁性膜6は、前部突合せ面9側に磁束が集中する構造となることによって、感度が向上したものとなる。
【0048】
次に、図7に示すように、上述したように磁気コア形成溝24、分離溝26及び巻線溝27が形成された基板21の一主面に対して溶融した低融点ガラス29を充填させる。そして、低融点ガラス29が充填された一主面に対して表面平坦化処理を施す。
【0049】
次に、図8に示すように、砥石等を用いて研削加工することにより端子溝30を形成する。この端子溝30は、上述した分離溝26の直上に位置するように形成され、その幅寸法が約200μmとされ、深さ寸法が約100μmとされてなる。そして、この端子溝30内にCu等の良導体をメッキ法等により充填する。その後、平坦化処理を行う。この端子溝30に充填されたCu等の良導体は、上述した磁気ヘッド1における外部接続用端子14となるものである。
【0050】
次に、図9に示すように、コイル7が薄膜形成されるコイル形成用凹部12を形成する。このコイル形成用凹部12は、後部突合せ面11を略中心とする略矩形状として、後部突合せ面11を除く部分をエッチングすることにより形成される。また、このコイル形成用凹部12は、その一端から端子溝30に達する溝12Aを有している。
【0051】
次に、図10に示すように、コイル形成用凹部12内にコイル7を薄膜形成する。このコイル7は、後部突合せ面11の近傍を一方端部7Aとした円を描くように、多数回巻回された形状を有する。また、このコイル7は、コイル形成用凹部12の一端に形成された溝12A内に引き出され、他方端部7Bが端子溝30に充填された良導体からなる外部接続用端子14と電気的に接続される。
【0052】
このコイル7を形成する際には、先ず、フォトレジストにより上述したようなコイル形状をパターニングする。次に、コイル形成用凹部12にCu等の良導体を鍍金等の手法によって、約3μm程度の厚みとなるように薄膜形成する。そして、フォトレジストを除去することによって、パターニシグされたコイル形状とされるコイル7を形成することができる。なお、このコイル7を形成するに際して、上述した鍍金法だけでなく、スパッタリング法や蒸着法等を用いることができる。
【0053】
次に、図11に示すように、コイル7の一方端部7Aにコイル接続用端子13を形成する。このコイル接続用端子13は、後部突合せ面11の近傍にあるコイル7の一方端部7A上に形成される。コイル接続用端子13は、良導体材料からなり、一対の磁気コア半体2,3の接合面2A,3Aと略々等しい高さ寸法を有している。
【0054】
次に、コイル7を外気との接触から保護するための保護層(図示せず。)を形成する。この保護層は、上述したコイル7を形成したコイル形成用凹部12を埋め込むように形成される。その後、保護層が形成された表面に対して平坦化処理を行う。この平坦化処理では、前部突合せ面10、後部突合せ面11及びコイル接続用端子13が外方へ露出するまで行われる。
【0055】
次に、図12に示すように、磁気コア半体2,3が平行に複数列形成された基板を、一方の磁気コア半体2と他方の磁気コア半体3とがそれぞれ一列毎となるように切断し、コイル7が形成された面が対向するように金属拡散接合により接合する。
【0056】
この金属拡散接合では、先ず、図13に示すように、非磁性金属材料からなる金属膜31を形成する。この金属膜31は、図13中破線で囲った領域にのみ形成される。すなわち、金属膜31は、前部突合せ面10を含むコイル形成用凹部12の周囲、コイル接続用端子13及び前部突合せ面10と反対の所定の領域Rに形成される。本発明に係る手法では、後部突合せ面11に金属膜31を形成することがない。
【0057】
上述したような所定の領域に金属膜31を形成するには、先ず、コイル7が形成された面に対して、CrとAuとからなる金属材料をスパッタリング法等により成膜する。次に、フォトプロセスによって、この金属膜31上にマスクをパターニングする。このマスクは、上述した所定の領域に相当する部分に形成される。そして、このマスクが形成された領域以外の金属膜31を除去することによって、上述した領域のみに金属膜31を形成することができる。
【0058】
金属拡散接合では、所定の領域に金属膜31が形成された後、磁気コア半体2,3がそれぞれ複数個一列に並んだ基板21を一対突き合わせる。このとき、一方の前部突合せ面10と他方の前部突合せ面10とを正確に位置決めする。また、同様に、一方のコイル接続用端子13と他方のコイル接続用端子13とを正確に位置決めする。そして、突き合わせた状態で所定の温度と圧力を加えることによって、磁気コア半体2,3がそれぞれ複数個一列に並んだ基板21同士を接合することができる。これによって、複数個の磁気へッド1が一列に並んでなる磁気ヘッドブロック32が形成されることになる。
【0059】
このとき、一対の前部突合せ面10は、非磁性良導体であるCr及びAuからなる金属膜31を介して接合されている。このため、一対の前部突合せ面10の間は、磁気ヘッド1における磁気ギャップとなる。一方、一対の後部突合せ面11は、接合された後の金属膜31の厚み寸法の分、離間して配されることとなる。すなわち、このように製造される磁気ヘッド1は、一対の後部突合せ面11の間に空間層を備えるような構成となる。したがって、一対の後部突合せ面11の間は、略々電流を流すことがない絶縁状態となる。
【0060】
また、一対のコイル接続用端子13は、非磁性良導体であるCr及びAuからなる金属膜31を介して接合されている。このため、一対のコイル接続用端子13の間は、電気的に接続されることとなる。これによって、対向して配されるコイル7は、コイル接続端子13を介して電気的に接続されることとなる。
【0061】
次に、図14に示すように、磁気ヘッドブロック32を個々の磁気ヘッド1に分離する。このとき、磁気ヘッドブロック32は、図14中B−B線で示す部分で切断される。
【0062】
これにより、前部突合せ面10間に磁気ギャップを有する磁気ヘッド1が形成される。そして、図示しないが、この磁気ヘッド1の媒体摺動面に対して表面が円筒形を呈するように研磨加工が施される。また、磁気記録媒体との当たり特性が良好なものとなるために、媒体摺動面に対して当たり規制溝8を形成する。この当たり規制溝8は、磁気記録媒体の摺動方向に対して略平行となるように形成され、磁気記録媒体との摩擦を規制している。
【0063】
以上のような本発明に係る磁気ヘッドの製造方法では、後部突合せ面11に金属膜31を形成しないため、一対の後部突合せ面11間を絶縁状態とすることができる。したがって、この手法によれば、一対の後部突合せ面11間に磁気コアに流れる磁束に悪影響を与えるような渦電流が発生するようなことがない。したがって、この手法によれば、電磁変換特性に優れ、良好な記録再生特性を示す磁気ヘッド1を製造することができる。
【0064】
ところで、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法において、金属拡散接合の際に形成される金属膜31は、上述したような手法により形成されるものに限定されるものではない。すなわち、図13に示したような所定の領域に金属膜31を形成する際には、図15に示すようなマスクパターン33を用いて行っても良い。
【0065】
この図15に示すマスクパターン33は、例えば、ステンレス等の材料からなり、上述した金属膜31を形成する領域に対応した部分が開口部34A,34B,34Cとされ、それ以外の部分が遮蔽されるような構成を有する。
【0066】
このマスクパターン33を用いて金属膜31を形成する際には、先ず、マスクパターン33を複数個の磁気コア半体2,3が一列に並んだ基板21上に正確に位置決めして載置する。次に、この状態で、Cr及びAuからなる金属膜31をスパッタリング等の手法により形成する。これにより、マスクパターン33の開口部34A,34B,34Cに臨む領域のみに金属膜31が形成される。
【0067】
すなわち、磁気コア半体2,3には、前部突合せ面10を含むコイル形成用凹部12の周囲、コイル接続用端子13及び前部突合せ面10と反対の所定の領域Rのみに金属膜31が形成されることとなる。このように、この手法でも、後部突合せ面11上には金属膜31を形成しない。そして、上述した手法と同様に、金属拡散接合を行うことにより磁気ヘッド1が製造される。
【0068】
このようなマスクパターン33を用いて金属膜31を形成した場合、フォトプロセスを用いたパターニング等を必要としない。このフォトプロセスには、通常、レジスト膜を除去するための有機物を使用する。また、このフォトプロセスでは、金属膜31の表面に汚れ水分が付着することがある。
【0069】
マスクパターン33を用いて金属膜31を形成する手法では、これら有機物を使用する必要がなく、また、金属膜31の表面に汚れ水分が付着するようなこともない。すなわち、この手法では、金属膜31の表面性を良好に保つことができる。これによって、金属拡散接合の際に接合不良を防止することができるとともに、接合部分の腐食等を防止することができる。
【0070】
ところで、本実施の形態に示した磁気ヘッド1の記録再生特性を検証するために、従来の磁気ヘッドを用いて比較した。
【0071】
ここで、従来の磁気ヘッドとは、一対の後部突合せ面40の間に非磁性金属膜を配してなるようなものであり、図16に示すように破線で囲った領域Sに金属膜が形成されて金属拡散接合されるものである。すなわち、従来の磁気ヘッドでは、前部突合せ面を含むコイル形成用凹部の周囲、コイル接続用端子、後部突合せ面及び前部突合せ面と反対の所定の領域に金属膜を形成している。
【0072】
上述したような従来の磁気ヘッドでは、一対の後部突合せ面40間に金属膜を形成し、後部突合せ面の間が金属膜により電気的に接続されることとなる。このような磁気ヘッドを製造するに際して、上述のような手法を用いた場合、図17に示すような従来のマスクパターン45を用いることとなる。
【0073】
この従来のマスクパターン45は、金属膜を形成する位置、すなわち、前部突合せ面を含むコイル形成用凹部の周囲、コイル接続用端子、後部突合せ面及び前部突合せ面と反対の所定の領域に対応した位置に開口部46A,46B,46C,46Dを有するように構成されている。この従来のマスクパターン45では、コイル接続用端子に対応する開口部46Cと後部突合せ面に対応する開口部46Bとの間隔が約10μmとされている。
【0074】
このような、従来のマスクパターン45を用いて金属膜を形成した場合、コイル接続用端子に対応する開口部46Cと後部突合せ面に対応する開口部46Bとの間隔が狭いために、金属膜が連結してしまうことがある。このような場合、磁気ヘッドとしては、コイルと磁気コアとが電気的に接触してしまうこととなり好ましくない。
【0075】
また、従来のマスクパターン45では、上述したような不都合を回避するために、コイル接続用端子に対応する開口部46Cと後部突合せ面に対応する開口部46Bとをそれぞれ正確に位置決めしなくてはならない。このため、後部突合せ面に金属膜を形成するような従来の手法は、金属膜の形成に長時間を要するとともに、生産性も悪かった。
【0076】
これに対して、本発明に係る手法によれば、後部突合せ面11に金属膜31を形成しないため、マスクパターン33を用いた場合でも、コイル7と磁気コアとの間に電気的な接触は発生しない。また、マスクパターン33を基板21上に位置決めする際にも、容易に且つ短時間で行うことができる。したがって、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法は、生産性を向上させるとともに、歩留まりを向上させることができるものである。
【0077】
以上のように構成された本発明に係る磁気ヘッド1と従来の磁気ヘッドとの記録再生特性を比較した。具体的には、様々な周波数を用いてそれぞれの磁気ヘッドの出力を測定した。そして、各周波数における従来の磁気ヘッドの出力を0dBとして、本発明に係る磁気ヘッドの出力比を測定した。結果を図18に示す。
【0078】
この図18から明らかなように、各周波数において、本発明に係る磁気ヘッドは、従来の磁気ヘッドと比較して出力が向上したものとなる。特に、本発明に係る磁気ヘッドは、高周波数のときに出力が向上したものといえる。
【0079】
これは、従来の磁気ヘッドでは、高周波数のときにバックギャップに発生する渦電流が磁束の流れを阻害し、電磁変換特性が劣化したために出力が落ちたものと考えられる。これに対して、本発明に係る磁気ヘッドは、高周波数のときも、バックギャップに周辺に渦電流が発生することがないために、出力が向上したものとなっている。
【0080】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明に係る磁気ヘッドでは、一対の後部突合せ面の間が絶縁状態とされる。このため、本発明では、バックギャップに渦電流が発生することがない。したがって、本発明に係る磁気ヘッドは、記録再生時に磁気コアに良好に磁束が流れるために電磁変換特性に優れたものとなる。これにより、磁気ヘッドは、記録再生特性に優れたものとなる。
【0081】
また、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法は、バックギャップに渦電流が発生せずに記録再生特性が向上した磁気ヘッドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気ヘッドの分解斜視図である。
【図2】同磁気ヘッドの媒体摺動面の要部斜視図である。
【図3】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、基板を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、第1の溝加工を施した基板の斜視図である。
【図5】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、金属磁性膜を成膜した基板の斜視図である。
【図6】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、第2の溝加工を施した基板の斜視図である。
【図7】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、各溝に低融点ガラスを充填した状態の基板の斜視図である。
【図8】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、低融点ガラスに端子溝を形成した基板の斜視図である。
【図9】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、コイル形成用凹部を形成した基板の要部斜視図である。
【図10】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、コイルを形成した基板の要部斜視図である。
【図11】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、コイル接続用端子を形成した基板の要部斜視図である。
【図12】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、磁気コア半体が形成されたブロックを突き合わせた状態を示す斜視図である。
【図13】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、金属拡散接合の際に形成される金属膜を示す要部平面図である。
【図14】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であり、磁気ヘッドブロックの斜視図である。
【図15】本発明において、金属膜を成膜する際に用いられるマスクパターンの平面図である。
【図16】従来の磁気ヘッドを製造する際に形成される金属膜を示す要部平面図である。
【図17】従来のマスクパターンの平面図である。
【図18】従来の磁気ヘッドと本発明に係る磁気ヘッドとの再生出力を比較した特性図である。
【符号の説明】
1 磁気ヘッド、2,3 磁気コア半体、4 非磁性基板、6 金属磁性膜、7コイル、8 当たり幅規制溝、10 前部突合せ面、11 後部突合せ面、12 コイル形成用凹部、13 コイル接続用端子
Claims (14)
- 基板上に金属磁性薄膜が斜めに成膜されてなる一対の磁気コア半体が非磁性金属材料を介して金属拡散接合されて磁気ギャップを形成し、少なくとも一方の磁気コア半体の金属磁性薄膜には、他方の磁気コア半体の金属磁性薄膜との突合せ面にコイルが薄膜形成された凹部が形成されてなる磁気ヘッドにおいて、
上記凹部が形成された一方の磁気コア半体の金属磁性薄膜は、上記凹部により前後方向に分断されてなる前部突合せ面及び後部突合せ面を有し、
上記一対の磁気コア半体は、一方の後部突合せ面と他方の後部突合せ面とが絶縁体を介して配されることにより磁気コアを形成する
ことを特徴とする磁気ヘッド。 - 上記非磁性金属材料は、金であることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
- 一方の磁気コア半体の上記後部突合せ面と他方の磁気コア半体の後部突合せ面とは、離間して配されることにより空気層を介して対向することを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
- コイルが薄膜形成された上記凹部は、上記一対の磁気コア半体のそれぞれに形成されることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
- コイルが薄膜形成された上記凹部は、該コイルの略中心に位置する一方端部にコイル接続用端子を形成してなることを特徴とする請求項4記載の磁気ヘッド。
- 一方の磁気コア半体に形成された上記コイル接続用端子は、他方の磁気コア半体に形成された上記コイル接続用端子に対して上記非磁性金属材料を介して接合されることを特徴とする請求項4記載の磁気ヘッド。
- 上記金属磁性薄膜は、非磁性層を介して複数の金属磁性層が積層されてなることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
- 基板上に金属磁性薄膜を斜めに成膜して一対の磁気コア半体を形成し、少なくとも一方の磁気コア半体に成膜された金属磁性薄膜に対して、他方の金属磁性薄膜との突合せ面に凹部を形成し、この凹部に薄膜形成工程によりコイルを形成し、これら一対の磁気コア半体を非磁性金属材料を介して金属拡散接合して磁気ギャップを形成する磁気ヘッドの製造方法において、
上記凹部は、上記金属磁性薄膜を前後方向に分断することにより前部突合せ面及び後部突合せ面を形成し、
一方の磁気コア半体の上記後部突合せ面と他方の磁気コア半体の後部突合せ面とを絶縁層を介して配する
ことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。 - 上記非磁性金属材料は、金であることを特徴とする請求項8記載の磁気ヘッドの製造方法。
- 一方の磁気コア半体の上記後部突合せ面と他方の磁気コア半体の上記後部突合せ面とを、離間して配することにより空気層を介して対向させることを特徴とする請求項8記載の磁気ヘッド製造方法。
- コイルが薄膜形成された上記凹部を、上記一対の磁気コア半体のそれぞれに形成することを特徴とする請求項8記載の磁気ヘッドの製造方法。
- コイルが薄膜形成された上記凹部は、該コイルの略中心に位置する一方端部にコイル接続用端子を形成してなることを特徴とする請求項11記載の磁気ヘッドの製造方法。
- 一方の磁気コア半体に形成された上記コイル接続用端子と、他方の磁気コア半体の形成された上記コイル接続用端子とを上記非磁性金属材料を介して接合することを特徴とする請求項11記載の磁気ヘッドの製造方法。
- 上記金属磁性薄膜は、非磁性層を介して複数の金属磁性層が積層されてなることを特徴とする請求項8記載の磁気ヘッドの製造方法。
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