JP2005023203A - 有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法 - Google Patents

有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機系調色剤含有ポリエステルの連続重合に於て、ポリエステル原料またはポリエステル反応液に有機系調色剤分散液を安定的に添加することによる色調の安定した有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法を提供する。
【解決手段】テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを原料とし、エステル化反応および溶融重縮合反応を連続的に行なうポリエステルの製造工程と、有機系調色剤分散液調製槽から循環配管を介して線速度1.8m/秒以上で有機系調色剤分散液を抜出し且つ上記調製槽に循環させ、当該循環配管途中に分岐を設けてポリエステル原料またはポリエステル反応液へ有機系調色剤分散液を添加する調色剤添加工程とを含むことを特徴とする有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法に関するものであり、詳しくは、有機系調色剤分散液を安定的に添加することによる色調の安定した有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートをはじめとするポリエステルは、機械的強度、化学的安定性など、その優れた性質のゆえに、広く種々の分野、例えば、衣料用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などの各種フィルムやシート、ボトルやエンジニアリングプラスチックなどの成形物などで使用されている。特に、ガスバリヤ性、衛生性などに優れ、比較的安価で軽量であるために、各種食品、飲料包装容器として幅広く使用され、且つその応用分野はますます拡大している。
【0003】
一般にポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールとを原料として製造されるが、通常のポリエステルの重縮合条件下では、ポリエステルの熱分解により好ましくない黄着色を引き起こしてしまうことが知られている。特に、触媒としてチタン化合物を使用して製造したポリエステルは強く黄着色することが知られている。
【0004】
この様な好ましくない着色を防止するために、リン化合物の添加やコバルト化合物の添加等の手法が従来とられてきた。しかしながら、リン化合物を添加する方法に於ては、十分な色調改良が図れない上、触媒としてチタン化合物を使用した場合にリン化合物を添加すると重縮合活性を失活させるという欠点が有る。また、コバルト化合物を添加する方法に於ては、ポリエステルの黄味を抑えることはできるものの、一方でくすみを増大させるという欠点が有り、さらに重金属使用による環境問題も生じる。
【0005】
この様な問題点を解決するために、ポリエステルの製造工程でポリエステル反応液に対して少量の有機系調色剤を添加する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
上記有機系調色剤の中には、ポリエステルの原料であるグリコール類、またはポリエステル反応液と親和性の高い水などの溶媒に対して可溶でないものがある。それらは有機系調色剤粉粒体の分散液として添加されるが、当該有機系調色剤分散液は沈降性が高いため、連続添加に於て添加途中で沈降滞留し、有機系調色剤分散液濃度の好ましくない経時変化が生じ、その結果生成ポリマーの色調が安定しないという問題があった。そのため、上記の溶媒に可溶でない有機系調色剤の安定的な添加方法、特に連続重合に於ける添加方法が望まれている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−089557号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、その課題は、有機系調色剤含有ポリエステルの連続重合に於て、ポリエステル原料またはポリエステル反応液に有機系調色剤分散液を安定的に添加することによる色調の安定した有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、本発明者等は鋭意検討した結果、有機系調色剤分散液調製槽から循環配管を介して線速度1.8m/秒以上で有機系調色剤分散液を抜出し且つ上記調製槽に循環させ、当該循環配管途中に分岐を設けてポリエステル原料またはポリエステル反応液へ有機系調色剤分散液を添加することにより、有機系調色剤粒子の沈降を抑制し、有機系調色剤分散液を安定的に添加することが出来、色調の安定した有機系調色剤含有ポリエステルを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の第1の要旨は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを原料とし、エステル化反応および溶融重縮合反応を連続的に行なうポリエステルの製造工程と、有機系調色剤分散液調製槽から循環配管を介して線速度1.8m/秒以上で有機系調色剤分散液を抜出し且つ上記調製槽に循環させ、当該循環配管途中に分岐を設けてポリエステル原料またはポリエステル反応液へ有機系調色剤分散液を添加する調色剤添加工程とを含むことを特徴とする有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法に存する。
【0011】
そして、本発明の好ましい態様に於ては、エステル化率が90%以上のポリエステル反応液に有機系調色剤分散液を添加する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法はポリエステルの製造工程と調色剤添加工程とを含み、具体的には、エステル化反応工程、重縮合反応工程、ポリエステル原料またはポリエステル反応液に有機系調色剤分散液を添加する工程を含む。そして、本発明に於ては、ポリエステル原料またはポリエステル反応液に有機系調色剤分散液を添加混合する調色剤添加工程を行うに際し、循環配管を介して有機系調色剤分散液調製槽より抜出した有機系調色剤分散液を再び有機系調色剤分散液調製槽に循環させ、その循環配管途中に分岐を設け、生成ポリマーに対する有機系調色剤添加量が所定の量となる様に、ポリエステル原料またはポリエステル反応液に有機系調色剤分散液を添加する。
【0013】
有機系調色剤分散液は、前述の通り、有機系調色剤調製槽より循環配管を介して抜出し且つ当該調製槽へ循環し、その循環配管途中に分岐を設けてポリエステル原料またはポリエステル反応液に添加されるが、この際の有機系調色剤分散液の抜出し線速度および循環時の線速度は1.8m/秒以上、好ましくは2.0m/秒以上である。線速度が1.8m/秒未満であると、循環途中で有機系調色剤粒子が沈降して有機系調色剤分散液中の有機系調色剤濃度が変化するために、製造されたポリエステルの色調が安定しない。また、工業的に安定運転可能な範囲として、有機系調色剤分散液の抜出し線速度および循環時の線速度が10m/秒以下であることが好ましい。
【0014】
本発明に於て、有機系調色剤分散液調製槽とは有機系調色剤を分散媒に分散させ、有機系調色剤分散液を調製する槽を意味するが、これとは別に、調製された有機系調色剤分散液を貯蔵する有機系調色剤貯槽を使用する場合には、その有機系調色剤貯槽も有機系調色剤分散液調製槽の中に含まれる。
【0015】
有機系調色剤分散液調製槽は、前述の通り外部に循環配管を有する。循環配管の形状は特に限定されないが、有機系調色剤分散液の循環時の線速度が保たれる様に鋭角な屈曲部やたまり部のない形状である事が好ましい。循環配管からポリエステル原料またはポリエステル反応液に有機系調色剤分散液を添加するための分岐が設けられる。この分岐位置は特に限定されないが、分岐後の分岐配管内の有機系調色剤分散液の線速度は遅くなり、分岐配管内で有機系調色剤粒子が沈降してしまう可能性があるため、分岐配管の距離、すなわち分岐点からポリエステル原料またはポリエステル反応液への添加口までの距離が可能な限り短くなる位置が好ましい。
【0016】
有機系調色剤分散液のポリエステル原料またはポリエステル反応液への添加位置(添加段階)は、ポリエステル製造工程の何れの段階でもよいが、エステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基成分のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)が90%以上の時点で有機系調色剤分散液を添加することが好ましい。エステル化率が90%未満の時点で有機系調色剤分散液を添加すると、生成するポリマーの色調が緑味を帯びることがある。具体的には、多段反応装置における最終段のエステル化反応槽、または、エステル化反応槽から溶融重縮合槽への移送段階のエステル化反応生成物に、有機系調色剤を添加することが好ましい。
【0017】
本発明に於て使用される有機系調色剤としては、アントラキノン系化合物、イソキノリン系化合物、フタロシアニン系化合物、ペリノン系化合物、アゾ系化合物、キノクリドン系化合物などの有機系調色剤が例示され、カラーインデックスで表現すると、ソルベントブルー97、ソルベントブルー104、ソルベントブルー122、ピグメントブルー29、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:3、ソルベントレッド52、ソルベントレッド135、ソルベントレッド179、ソルベントレッド195、ピグメントレッド177、ピグメントレッド187、ピグメントレッド187、ピグメントレッド202、ピグメントレッド220、ピグメントレッド263、ソルベントバイオレット36、ピグメントバイオレット19等の染顔料等が例示され、好ましくはアントラキノン系化合物、ペリノン系化合物であり、特に好ましくはソルベントブルー97、ソルベントブルー104、ソルベントレッド135、ソルベントレッド195である。
【0018】
有機系調色剤分散媒としては、ポリエステルの原料であるグリコール類または水などの様なポリエステル反応液と親和性の高い溶媒が好ましい。例えば、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましい。
【0019】
有機系調色剤分散液の濃度は特に限定されないが、好ましくは0.01〜0.5wt%、より好ましくは0.02〜0.2wt%である。濃度が濃すぎると、循環配管分岐後の線速度が著しく遅くなるため有機系調色剤粒子が沈降してしまい、濃度が薄すぎるとポリエステル原料またはポリエステル反応液へ添加される分散媒の量が多くなり、エステル化率やアルコール成分共重合量に影響を与えることがある。
【0020】
有機系調色剤分散液中の有機系調色剤粒子のメジアン径は、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。有機系調色剤粒子メジアン径が小さいほど、有機系調色剤粒子の沈降を防ぐことができ、添加配管に設置されたフィルターや添加流量調整のためのコントロールバルブなどへの閉塞可能性が低減される。
【0021】
有機系調色剤分散液の調製方法としては、分散液中の有機系調色剤粒子のメジアン径を15μm以下に調製するため、ホモジナイザーを使用した調製方法や分散剤を添加する調製方法が例示されるが、細粒化効果の観点およびポリエステルの品質や安全衛生性への分散剤の影響の観点から、ホモジナイザーを使用した調製方法がより好ましい。
【0022】
有機系調色剤の添加量は、JIS Z8730の参考1に記載されるLab表色系によるハンターの色差式の明度指数L値の低下を抑える事を考慮すると、得られるポリエステルに対し、好ましくは0.1〜10ppm、より好ましくは0.1〜3ppm、特に好ましくは0.1〜2ppmである。
【0023】
本発明のポリエステルの製造方法は、前述の方法により、ポリエステル原料またはポリエステル反応液に、色調改良剤として有機系調色剤分散液を添加する以外は、常法に従うことができる。すなわち、エステル化反応槽に於て、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とをエステル化反応させ、エステル化反応生成物として得られたポリエステル低分子量体を重縮合槽に移送し、重縮合触媒の存在下で溶融重縮合させることによる、連続式のポリエステルの製造方法が採用できる。
【0024】
ポリエステル原料としては、全ジカルボン酸成分の96モル%以上がテレフタル酸から成り、全ジオール成分の96モル%以上がエチレングリコールから成ることが好ましい。全ジカルボン酸成分に於けるテレフタル酸成分の占める割合および全ジオール成分に於けるエチレングリコール成分の占める割合が少なすぎると、ボトル等に成形する際の延伸による分子鎖の配向結晶化が不充分となり、ボトル等の成形体の機械的強度、耐熱性、保香性およびガスバリア性等が不足する傾向となる。なお、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分以外の共重合成分の含有量は、好ましくは全ジカルボン酸成分に対して6モル%以下、より好ましくは1.5〜4.5モル%である。
【0025】
テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルエーテルジカルボン酸、ビフェニルスルフォンジカルボン酸、ビフェニルケトンジカルボン酸、ビフェノキシエタンジカルボン酸およびフェニレンジオキシジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ピペリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカンジカルボン酸およびドデカンジカルボン酸等の鎖状脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が例示される。
【0026】
一方、エチレングリコール以外のジオール成分としては、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリオキシテトラメチレングリコール等の直鎖脂肪族グリコール及びそのオリゴマー並びにそのポリマー、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,5−ノルボルネンジメタノール等の脂環式グリコール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の分岐型脂肪族グリコール、キシリレングリコール等の芳香族グリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フロパンのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物等が例示される。
【0027】
更に、上記のジカルボン酸成分やジオール成分に加えて単官能成分や多官能成分を少量併用してもよい。この様な併用成分としては、ステアリン酸、安息香酸などの単官能成分、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、没食子酸、トリメチロールプロパン、トリエチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン及びテトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどの3官能以上の多官能成分が例示される。
【0028】
本発明に於て、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とする上記ジカルボン酸成分、エチレングリコールを主成分とする上記ジオール成分および必要に応じて使用される上記共重合成分は、通常、エステル化反応を行なう際、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比を、好ましくは1.02〜2.0、より好ましくは1.03〜1.7の範囲となる様にジカルボン酸成分およびジオール成分を混合し、スラリーとして調製して使用される。
【0029】
エステル化反応は、単一のエステル化反応槽または複数のエステル化反応槽を直列に接続した多段反応装置を使用し、エチレングリコールの還流下で且つ反応で生成する水と余剰のエチレングリコールを系外に除去しながら、エステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)が通常90%以上、好ましくは93%以上に達するまで行われる。得られるエステル化反応生成物であるポリエステル低分子量体の数平均分子量は、好ましくは500〜5,000である。
【0030】
単一のエステル化反応槽を使用する場合のエステル化反応の反応条件としては、反応温度は通常200〜280℃、大気圧に対する相対圧力は通常0〜400kPa(0〜4kg/cmG)、攪拌下に於ける反応時間は通常1〜10時間である。一方複数のエステル化反応槽を使用する場合のエステル化反応の反応条件としては、第1段目のエステル化反応槽に於ける反応温度は通常240〜270℃、好ましくは245〜265℃、大気圧に対する相対圧力は通常5〜300kPa(0.05〜3kg/cmG)、好ましくは10〜200kPa(0.1〜2kg/cmG)であり、最終段に於ける反応温度は通常250〜280℃、好ましくは255〜275℃、大気圧に対する相対圧力は通常0〜150kPa(0〜1.5kg/cmG)、好ましくは0〜130kPa(0〜1.3kg/cmG)である。
【0031】
なお、エステル化反応に於て、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性化合物等を少量添加することにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生を抑制することができる。
【0032】
溶融重縮合は、単一の溶融重縮合槽、または、複数の溶融重縮合槽を直列に接続した、例えば、第1段目が攪拌翼を備えた完全混合型の反応器、第2段および第3段目が攪拌翼を備えた横型プラグフロー型の反応器から成る多段反応装置を使用して、減圧下で且つ生成するエチレングリコールを系外に留出させながら行われる。
【0033】
単一の重縮合槽を使用した場合の溶融重縮合の反応条件としては、反応温度は通常250〜290℃、圧力は、常圧から漸次減圧とし、最終的な絶対圧力が通常1.3〜0.013kPa(10〜0.1Torr)となる様に調整し、攪拌下に於ける反応時間は通常1〜20時間である。一方、複数の重縮合槽を使用した場合の溶融重縮合の反応条件としては、第1段目の重縮合槽に於ける反応温度は通常250〜290℃、好ましくは260〜280℃、絶対圧力は通常65〜1.3kPa(500〜10Torr)、好ましくは26〜2kPa(200〜15Torr)であり、最終段に於ける反応温度は通常265〜300℃、好ましくは270〜295℃、絶対圧力は通常1.3〜0.013kPa(10〜0.1Torr)、好ましくは0.65〜0.065kPa(5〜0.5Torr)である。なお、中間段における反応条件としては、それらの中間の条件が選択される。例えば、3段反応装置を使用した場合、第2段に於ける反応温度は通常265〜295℃、好ましくは270〜285℃、絶対圧力は通常6.5〜0.13kPa(50〜1Torr)、好ましくは4〜0.26kPa(30〜2Torr)である。
【0034】
本発明に於て使用される重縮合触媒としては、特に限定はされないが、例えば、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物などが使用できる。特に、重縮合触媒としてチタン化合物を使用した場合、一般的にポリエステルの色調が黄着色し易いため、有機系調色剤の添加により色調を改良する方法がとられることがあるが、本発明の方法に従い有機系調色剤分散液を添加することにより安定的にポリエステルの色調改良を行なうことができる。
【0035】
上記のチタン化合物の具体例としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート、酢酸チタン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸−水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム、チタンアセチルアセトナート等が例示され、中でも、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウムが好ましい。
【0036】
上記のチタン化合物の添加量は、生成するポリエステルに対するチタン原子の総量をT(モル/樹脂トン)とした場合、下記式(I)を満足することが好ましく、下記式(I’)を満足することがより好ましく、下記式(I’)を満足することが特に好ましい。チタン原子としての含有量が下記式の左辺値未満の場合、重縮合性が低下する傾向があり、一方、右辺値超過の場合、生成するポリエステルの成形体中のアセトアルデヒド含有量が多くなるだけでなく、ポリエステル樹脂としての色調が強く黄味がかる傾向がある。ポリエステルの黄着色は、本発明の方法に従い有機系調色剤を添加する事で改良することができるが、色調が悪化し過ぎると、色調改良のために必要とされる有機系調色剤添加量が多量になり、ポリエステルの明度指数L値が低下する傾向となる。
【0037】
【数1】
0.020≦T≦0.200 (I)
0.060≦T≦0.100 (I’)
0.070≦T≦0.090 (I’’)
【0038】
上記のチタン化合物を重縮合触媒として使用する場合、リン化合物やアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などの助触媒を添加することが好ましい。特に、リン化合物とマグネシウム化合物とを合せて添加することにより、加熱成形時の熱安定性、重縮合性を向上させるという効果が得られるだけでなく、生成するポリエステルの黄着色を抑制することも出来るため好ましい。
【0039】
上記のマグネシウム化合物の具体例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等が例示され、中でも、酢酸マグネシウムが好ましい。
【0040】
上記のリン化合物の具体例としては、正燐酸、ポリ燐酸、および、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート等の5価の燐化合物、亜燐酸、次亜燐酸、ジエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト等の3価の燐化合物等が例示される。中でも、正燐酸、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテート、エチルアシッドホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート、亜燐酸が好ましく、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテート、エチルアシッドホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェートが特に好ましい。
【0041】
上記のマグネシウム化合物の添加量は、生成するポリエステルに対するマグネシウム原子の総量をM(モル/樹脂トン)とした場合、下記式(II)を満足することが好ましく、下記式(II’)を満足することがより好ましく、下記式(II’’)を満足することが特に好ましい。マグネシウム原子としての含有量が下記式に於て左辺値超過である場合、重縮合性が低下するため、目的とする重合度に到達させるためにより長い反応時間またはより高い重合温度を必要とするため、色調が悪化する傾向となる。一方、右辺値超過の場合、固相重縮合性が低下し、左辺値超過時と同様に色調が悪化する傾向となる。
【0042】
【数2】
0.040≦M≦0.400 (II)
0.060≦M≦0.300 (II’)
0.110≦M≦0.220 (II’’)
【0043】
上記のリン化合物の添加量は、生成するポリエステルに対し、リン原子の総量をP(モル/樹脂トン)とした場合、下記式(III)を満足することが好ましく、下記式(III’)を満足することがより好ましく、下記式(III’’)を満足することが更に好ましく、下記式(III’’’)を満足することが特に好ましい。リン原子としての含有量が下記式に於て左辺値超過である場合、生成するポリエステルの熱安定性が低くなるため、アセトアルデヒド含有量が増加するだけでなく色調を悪化させる傾向となる。一方、右辺値超過の場合、重縮合性、特に固相重縮合性が低下し、目的とする重合度に到達させるためにより長い反応時間またはより高い重合温度を必要とするため、色調が悪化する傾向となる。
【0044】
【数3】
0.020≦P≦0.300 (III)
0.050≦P≦0.200 (III’)
0.080≦P≦0.180 (III’’)
0.090≦P≦0.150 (III’’’)
【0045】
本発明に於て、チタン、マグネシウム、リン各化合物に由来する各原子としての含有量が、前記式(I)〜(III)を満足した上で、M/Pが下記式(IV)を満足すること好ましく、下記式(IV’)を満足することがより好ましく、下記式(IV’’)を満足することが特に好ましい。
【0046】
【数4】
0.50≦M/P≦3.00 (IV)
0.90≦M/P≦1.80 (IV’)
1.10≦M/P≦1.50 (IV’’)
【0047】
さらに、M/Tが下記式(V)を満足することが好ましく、下記式(V’)を満足することがより好ましく、下記式(V’’)を満足することが更に好ましく、下記式(V’’’)を満足することが特に好ましい。
【0048】
【数5】
0.20≦M/T≦4.00 (V)
0.50≦M/T≦3.50 (V’)
1.00≦M/T≦2.90 (V’’)
1.50≦M/T≦2.40 (V’’’)
【0049】
M/P及びM/Tが前記式の左辺値未満である場合、何れに於ても、重縮合性が低下したり、色調が黄味がかったものとなる傾向があり、一方、M/P及びM/Tが前記式の右辺値超過である場合、何れに於ても、重縮合性、特に固相重縮合性が低下したり、色調が悪化する傾向となる。
【0050】
さらに、本発明に於て、チタン、マグネシウム、リン各化合物に由来する各原子としての含有量が、前記式(I)〜(V)を満足した上で、P/M/Tが下記式(VI)を満足することが好ましく、下記式(VI’)を満足することがより好ましく、下記式(VI’’)を満足することが特に好ましい。P/M/Tが下記式の左辺値未満である場合、ポリエステル樹脂としての色調が黄味がかったものとなる傾向があり、一方、下記式の右辺値超過である場合、重縮合性、特に固相重縮合性が低下し、前述の様に色調が悪化する傾向となる。
【0051】
【数6】
3.0≦P/M/T≦19.0 (VI)
5.0≦P/M/T≦15.0 (VI’)
8.0≦P/M/T≦12.0 (VI’’)
【0052】
なお、チタン、マグネシウム各化合物の反応系への添加は、前記ポリエステル原料スラリーの調製段階、前記エステル化反応の任意の段階または溶融重縮合の初期の段階の何れに於て行なってもよいが、本発明の効果である色調に優れたポリエステルを安定的に製造することを有効に発現させるためには、エステル化率が90%以上となった段階以降で、チタン、マグネシウム各化合物を添加することが好ましく、さらに、マグネシウム化合物、次いでチタン化合物の順序で添加することが好ましい。また、前記リン化合物の反応系への添加は、マグネシウム化合物の添加より前の段階とするのが好ましい。即ち、各化合物の添加順序は、リン化合物、マグネシウム化合物、チタン化合物とするのが好ましい。なお、ポリエステル重合触媒の反応系への添加に於て、反応設備や供給ポンプの能力等に応じ、エチレングリコール等の溶媒で希釈して添加してもよい。
【0053】
各化合物の具体的添加工程としては、例えば、チタン化合物は多段反応装置に於ける最終段のエステル化反応槽、または、エステル化反応槽から溶融重縮合槽への移送段階のエステル化反応生成物に添加し、マグネシウム化合物は多段反応装置における最終段のエステル化反応槽に添加することが好ましい。リン化合物はスラリー調製槽または第1段目のエステル化反応槽に添加することが好ましく、スラリー調製槽に添加することが特に好ましい。
【0054】
溶融重縮合により得られるポリエステルは、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒中30℃で測定した固有粘度(〔η1〕)の値が、0.35〜0.75dl/gであるのが好ましく、0.50〜0.65dl/gであるのが更に好ましい。固有粘度(〔η1〕)が0.35dl/g未満では、後述する重縮合槽からの抜出し性が不良となる傾向があり、一方、0.75dl/gを超えると、得られるポリエステル中のアセトアルデヒド含有量の低減化が困難と成る傾向がある他、色調が悪化する傾向もある。
【0055】
溶融重縮合により得られるポリエステルは、通常、重縮合槽の底部に設けられた抜出し口からストランド状に抜出され、水冷しながら又は水冷後、カッターで切断してペレット状、チップ状等の粒状体とするが、さらに、この溶融重縮合後の粒状体を固相重縮合させることにより、ポリエステルの重合度をさらに高く出来ると共に、アセトアルデヒド等の副生量を低減化することができる。固相重縮合は、好ましくは、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下に於て、大気圧に対する相対圧力として通常100kPa(1kg/cmG)以下、好ましくは20kPa(0.2kg/cmG)以下の加圧下で通常5〜30時間程度、または、絶対圧力として通常6.5〜0.013kPa(50〜0.1Torr)、好ましくは1.3〜0.065kPa(10〜0.5Torr)の減圧下で通常1〜20時間程度の反応圧力および時間で、通常190〜230℃、好ましくは195〜225℃の温度で加熱することにより行われる。
【0056】
上記固相重縮合に先立って、不活性ガス雰囲気下または水蒸気雰囲気下あるいは水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で、通常120〜200℃、好ましくは130〜190℃の温度で、1分〜4時間程度加熱することにより、ポリエステル粒状体表面を結晶化させることが好ましい。中でも、水蒸気雰囲気下で上記処理を行うと、ポリエステルの結晶化速度を向上させたり、得られるポリエステルのアセトアルデヒド含有量を更に低減化出来るため好ましい。
【0057】
固相重縮合により得られるポリエステルは、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として30℃で測定した固有粘度(〔η2〕)の値が、0.70〜0.90dl/gであるのが好ましく、0.73〜0.85dl/gであるのが更に好ましい。固有粘度(〔η2〕)が0.70dl/g未満では、ポリエステル成形体としての機械的強度が不足する傾向となり、一方、0.90dl/gを超えると、溶融成形時に於けるアセトアルデヒド等の副生を抑制することが困難と成る傾向がある他、色調が悪化する傾向もある。
【0058】
さらに、前述の溶融重縮合または固相重縮合により得られたポリエステルに対し、通常40℃以上の温水に10分以上浸漬させる水処理、通常60℃以上の水蒸気または水蒸気含有ガスに30分以上接触させる水蒸気処理、有機溶剤による処理、各種鉱酸、有機酸、燐酸、亜燐酸、燐酸エステル等の酸性水溶液または有機溶剤溶液による処理、第1A族金属、第2A族金属、アミン等のアルカリ性水溶液または有機溶剤溶液による処理の何れか1つ以上の処理を施すことにより、重縮合に使用した触媒を失活させることができる。
【0059】
本発明の製造方法により製造されるポリエステルは、成形体としての黄味がかる色調を抑えるため、JIS Z8730の参考1に記載されるLab表色系によるハンターの色差式の明度指数L値が、好ましくは80以上、更に好ましくは83以上であり、且つ、色座標b値が、好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.0以下である。色座標a値は特に設定されないが、成形体としての緑味がかる色調を抑えるため、好ましくは−1〜1、より好ましくは−0.5〜0.5である。
【0060】
本発明の製造方法によって得られるポリエステルは、その優れた性質により種々の成形体に使用することができる。例えば、押出成形によってシートに成形された後、熱成形することによってトレイや容器等に成形でき、さらに、当該シートを二軸延伸してフィルム等に成形でき、機械的強度や色調に優れ、副生成物が少ないことから、特に飲食品包装分野に於て好適に使用できる。また、射出成形によってプリフォームに成形された後、延伸ブロー成形することによって、または、押出成形によって成形されたパリソンをブロー成形することによって、ボトル等に成形できる。特に、射出成形によって得られたプリフォームを二軸延伸するブロー成形法によってボトルを成形するのに好適に使用でき、例えば、炭酸飲料、アルコール飲料、醤油、ソース、みりん、ドレッシング等の液体調味料等の容器として使用できる、また、ヒートセットを施すことにより、果汁飲料、茶やミネラルウォーター等の飲料等の耐熱性を要求される容器として、好適に使用できる。
【0061】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例で使用した物性値は以下の方法で測定した。
【0062】
(1)固有粘度:
フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に、濃度(c)1.0g/dlで凍結粉砕した樹脂粒状体ポリエステルペレット試料0.50gを溶解させた。なお、溶融重縮合樹脂の場合は110℃で20分間、固相重縮合樹脂の場合は120℃で20分間溶解させた。得られた溶液(原液)について、ウベローデ型毛細粘度管を使用し、30℃に於ける原液との相対粘度(ηrel)を測定し、この相対粘度(ηrel)−1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求めた。同様の方法で、濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlに変更した場合のそれぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿した場合の比(ηsp/c)を固有粘度〔η1〕(dl/g、溶融重縮合樹脂の場合)および固有粘度〔η2〕(dl/g、固相重縮合樹脂の場合)とした。
【0063】
(2)色調:
内径36mm、深さ15mmの円柱状の粉体測色用セルに樹脂粒状体試料をすりきりに充填し、測色色差計(日本電色工業社製「ND−300A」)を使用して、反射法により、JISZ8730の参考1に規定されるハンターの色差式に於ける色座標L,a,bを、セルを90度ずつ回転させて4箇所測定した値の単純平均値として求めた。なお、各値の表す意味は以下の通りである。明度指数L値は、高い方が明るい色調を表す。色座標a値は、マイナスになるほど緑味が強く、逆にプラスになるほど赤味が強い色調を表す。色座標b値は、マイナスになるほど青味が強く、逆にプラスになるほど黄味が強い色調を表す。
【0064】
(3)色調経時変化:
固相重縮合後のポリエステル樹脂の有機系調色剤添加量が定常状態に達した時間(ポリマー中の調色剤濃度が添加量から決定される所定濃度となった時間)を0とし、それから8時間後、16時間後、24時間後に製出した固相重縮合後のポリエステル樹脂の色調を前述の方法にて測定した。得られた色調平均値と色調の経時安定性より、◎:非常に良好、○:良好、×:不良の3段階で色調判定を行なった。
【0065】
(4)エステル化率:
ジメチルホルムアミドにエステル化反応物を溶解し、0.1N水酸化カリウムで滴定することにより、反応物中の酸当量値(酸価)を求める。また、水−エタノール中水酸化カリウムでオリゴマーをアルカリ加水分解し、0.5N塩酸で逆滴定することにより、反応物中の酸およびエステル化された酸の合計当量値(ケン化価)を求める。エステル化率は以下の式によって算出される。
【0066】
【数7】
エステル化率(%)=((ケン化価−酸価)/ケン化価)×100
【0067】
(5)有機系調色剤粒子メジアン径:
レーザー散乱粒径分布測定装置(HORIBA社製「LA−920」)を使用し、ブランクとしてエチレングリコールを使用し、屈折率を1.3に設定し、有機系調色剤分散液濃度が90〜95%となる様に調製し、有機系調色剤粒子メジアン径を測定した。
【0068】
<有機系調色剤分散液調製>
【0069】
方法A:
円筒型5Lポリエチレン製容器に有機系調色剤としてPolysynthren Blue RBL(S.B.104、アントラキノン系化合物、以降RBLと略す)とSandoplast Red G(S.R.135、ペリノン系化合物、以降RedGと略す)を各々250g添加し、エチレングリコールを加えて全量を5.0kgとし、ホモジナイザー(IKA製「ウルトラタラックスT−50」)を使用し、回転数10000rpmで30分間分散処理を行なった。ここで、RBLとRedGのエチレングリコール分散液調製濃度は、分散液全重量に対する各有機系調色剤添加量で表し、RBL/RedG混合エチレングリコール分散液5.0/5.0wt%と表記する。
【0070】
その分散液を有機系調色剤分散液調製槽へ移送し、エチレングリコールを分散液全重量が250kgとなる様に添加し、RBL/RedG混合エチレングリコール分散液(0.10/0.10wt%)を調製した。このときのRBL/RedG分散液中のRBL/RedG粒子メジアン径は8.3μmであった。
【0071】
方法B:
方法Aに於て、ホモジナイザーを使用せずに、ポリエチレン製容器中にて錨翼を使用して攪拌分散したこと以外は方法Aと同様の方法にて、RBL/RedG混合エチレングリコール分散液(0.10/0.10wt%)を調製した。このときのRBL/RedG分散液中のRBL/RedG粒子メジアン径は17.8μmであった。
【0072】
実施例1:
スラリー調製槽、当該スラリー調製槽に直列に接続された2段のエステル化反応槽、および当該2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽から成る連続重合装置を使用し、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコール(重量比=865:485)を連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.6重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1トン当たりのリン原子としての総量Pが0.129モル/樹脂トンとなる量で連続的に添加し、このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃の温度、相対圧力50kPa(0.5kg/cmG)、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃の温度、相対圧力5kPa(0.05kg/cmG)、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応を行なった。その際、前述の方法により測定したエステル化率は、第1段目に於ては85%、第2段目に於ては95%であった。
【0073】
また、その際、第2段目に設けた上部配管を通じて、得られるポリエステル樹脂1トン当たりのマグネシウム原子としての総量Mが0.165モル/樹脂トンとなる量で、酢酸マグネシウム4水和物の1.1重量%エチレングリコール溶液を連続的に添加した。また、方法Aにより調製されたRBL/RedG混合エチレングリコール分散液(調製濃度0.10/0.10wt%)を線速度2.1m/秒で循環させ、その循環配管より分岐し、得られるポリエステル樹脂1トン当たりの有機系調色剤の各々の総量が1.0g/樹脂トンとなる様連続的に第2段目のエステル化反応槽に設けた上部配管より添加した。
【0074】
前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、得られるポリエステル樹脂1トン当たりのチタン原子としての総量Tが0.084モル/樹脂トンとなる量でテトラ−n−ブチルチタネートのエチレングリコール溶液(テトラ−n−ブチルチタネート含有量:0.5重量%、水分濃度:0.5重量%)を連続的に添加しつつ、270℃の温度で、絶対圧力2.6kPa(20Torr)に設定された第1段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃の温度で、絶対圧力0.5kPa(4Torr)に設定された第2段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃の温度で、絶対圧力0.3kPa(2Torr)に設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、得られるポリエステル樹脂の固有粘度[η1]が0.66dl/gとなる様に各重縮合槽に於ける滞留時間を調整して溶融重縮合させた。次いで、重縮合槽の底部に設けられた抜出し口から生成物を連続的にストランド状に抜出し、水冷後、カッターで切断し、チップ状粒状体のポリエステル樹脂を製造した。引き続いて、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に、滞留時間が約60分となる様に前記で得られたポリエステル樹脂チップを連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下、210℃の温度で、得られるポリエステル樹脂の固有粘度[η2]が0.85dl/gとなる様に滞留時間を調整して固相重縮合させた。ポリエステル樹脂の色調の経時変化および色調判定結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
Figure 2005023203
【0076】
実施例 2:
有機系調色剤をスラリー調製槽(エステル化率 0%)に添加したこと以外は実施例1と同様の方法にてポリエステル樹脂を製造した。ポリエステル樹脂の色調の経時変化および色調判定結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
Figure 2005023203
【0078】
実施例 3:
有機系調色剤分散液を方法Bにより調製したこと以外は実施例1と同様の方法にてポリエステル樹脂を製造した。ポリエステル樹脂の色調の経時変化および色調判定結果を表3に示す。
【0079】
【表3】
Figure 2005023203
【0080】
比較例1:
有機系調色剤分散液を調製槽から循環させずに、線速度5mm/秒で添加したこと以外は実施例1と同様の方法にてポリエステル樹脂を製造した。ポリエステル樹脂の色調の経時変化および色調判定結果を表4に示す。
【0081】
【表4】
Figure 2005023203
【0082】
【発明の効果】
本発明により、有機系調色剤分散液を安定的にポリエステルの製造工程に添加することができ、色調の安定した有機系調色剤含有ポリエステルを製造することが出来、本発明の工業的価値は高い。

Claims (8)

  1. テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを原料とし、エステル化反応および溶融重縮合反応を連続的に行なうポリエステルの製造工程と、有機系調色剤分散液調製槽から循環配管を介して線速度1.8m/秒以上で有機系調色剤分散液を抜出し且つ上記調製槽に循環させ、当該循環配管途中に分岐を設けてポリエステル原料またはポリエステル反応液へ有機系調色剤分散液を添加する調色剤添加工程とを含むことを特徴とする有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法。
  2. エステル化率が90%以上のポリエステル反応液に有機系調色剤分散液を添加する請求項1に記載の有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法。
  3. 有機系調色剤がアントラキノン系化合物およびペリノン系化合物の群から選択される1種または2種以上である請求項1又は2に記載の有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法。
  4. 有機系調色剤がカラーインデックスのソルベントブルー97、ソルベントブルー104、ソルベントレッド135、ソルベントレッド179の群から選択される1種または2種以上である請求項1〜3の何れかに記載の有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法。
  5. 有機系調色剤分散液の分散媒が、グリコール類化合物から選択される1種または2種以上である請求項1〜4の何れかに記載の有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法。
  6. グリコール類化合物が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールから選択される1種または2種以上である請求項5に記載の有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法。
  7. 有機系調色剤分散液中の有機系調色剤粒子メジアン径が15μm以下である請求項1〜6の何れかに記載の有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法。
  8. 有機系調色剤の添加量が、得られるポリエステルに対し0.1〜10ppmである請求項1〜7の何れかに記載の有機系調色剤含有ポリエステルの製造方法。
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