JP3717380B2 - ポリエステル樹脂 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種包装容器、フィルム、繊維等に幅広く供されるポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂に関するものであって、詳細には、環境安全性に優れるチタンを重縮合触媒元素とし、かつ、水中熱処理により触媒失活する性質を有し、そのため優れた溶融熱安定性を有すると共に成形時の環状低量体増加を低減でき、ボトル等の成形に好適に使用できるポリエステル樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂は、機械的強度、化学的安定性、ガスバリア性、衛生性などに優れ、また比較的安価な軽量であるために、各種包装容器、フィルム、繊維等として幅広く用いられている。
このようなポリエステル樹脂としては、従来、主としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物を重縮合触媒として重合したポリエステル樹脂が用いられてきた。
【0003】
しかしながら、重縮合触媒としてアンチモン化合物を使用して重合したポリエステル樹脂は、例えば、成形して飲食品容器として用いられた場合、樹脂中に残存したアンチモンが、高温下において容器から溶出して内容飲食品に僅かながら移行する等の問題が懸念されており、その代替が望まれていた。
またゲルマニウム化合物を使用して重合したポリエステル樹脂は、水中で加熱処理することにより触媒失活し、成形時のポリエステルの環状低量体の副成を防止することができるため、成形金型等の汚染が減少できることが知られているが、ゲルマニウム化合物は埋蔵量が僅かであるため、その代替として使用可能な触媒も望まれていた。
【0004】
他方、重縮合触媒としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物を使用しないポリエステル樹脂として、チタン化合物を使用したポリエステル樹脂が提案されている(特開平8−73581号等参照)。
しかしながら、これら提案されているチタン化合物を使用したポリエステル樹脂では、加熱再溶融後の色調変化が大きく、また、溶融熱安定性が悪く、得られた成形品の色調が黄みがかったものであり、製品として使用するには、不十分なものであり、また、ポリエステル樹脂を水中で加熱処理を行っても成形した際のポリエステル環状低量体の副成を防止することができないという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、環境安全性に優れるチタン化合物を重縮合媒体とし、かつ、水中加熱処理により触媒が失活する性質を有し、そのため溶融熱安定性が良好となるとともに、成形後の環状低量体増加を低減できるため、成形時の金型汚れが少ないポリエステル樹脂を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、触媒としてチタン化合物をチタン原子(Ti)としてポリエステル樹脂1トン当たり0.002〜1.0モルの存在下で重合することにより、製造することができるポリエステル樹脂において、該触媒成分として、チタン化合物の他に、リン化合物と、チタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物とを併用し、これら各化合物を、リン化合物、チタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物、チタン化合物の順序で添加して得られたポリエステル樹脂であって、該ポリエステル樹脂の固有粘度がη1で、固有粘度η1の樹脂を窒素ガス流通下210℃、10時間加熱処理したポリエステル樹脂の固有粘度をη2、別途、固有粘度η1の樹脂を95℃の水中加熱処理を4時間行った後に窒素ガス流通下210℃、10時間加熱処理したポリエステル樹脂の固有粘度をη3とした場合、η1、η2及びη3が式1を満たすポリエステル樹脂、を要旨とする。
【0007】
【数3】
(η3 −η1 )/(η2 −η1 )<0.90 …式1
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂は、原料として芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とからなる。
【0009】
芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体の具体的な例としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルエーテルジカルボン酸、ビフェニルスルフォンジカルボン酸、ビフェニルケトンジカルボン酸、ビフェノキシエタンジカルボン酸及びフェニレンジオキシジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、また、これらの芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステル、例えばジメチルテレフタレート、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルなどやハロゲン化物が挙げられる。
【0010】
更に、これらの芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体の他に、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ピペリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカンジカルボン酸及びドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、また、これらの脂肪族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステルやハロゲン化物が使用でき、例えばジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル等が挙げられる。
【0011】
エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリオキシテトラメチレングリコール等の脂肪族グリコールが挙げられる。
【0012】
また、これらの脂肪族グリコールの他に、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,5−ノルボルネンジメタノール等の脂環式グリコール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の分岐型脂肪族グリコール、キシリレングリコール等の芳香族グリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フロパンのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物等が使用できる。
【0013】
更に、上記の原料の他に、本発明の効果を逸脱しない範囲で単官能成分や多官能成分を少量含んでいてもよい。具体的な例としては、ステアリン酸、安息香酸などの単官能成分、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、没食子酸、トリメチロールプロパン、トリエチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン及びテトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどの3官能以上の多官能成分が挙げられる。
【0014】
本発明のポリエステル樹脂は、重縮合触媒としてチタン化合物の存在下で重合を行う。
チタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、酢酸チタン、シュウ酸チタン、シュウ酸チタン酸カリウム、シュウ酸チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸−水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物、シュウ化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム、六フッ化チタン酸マンガン及びチタンアセチルアセトナート、などが挙げられる。これらは特に限定されないが、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、蓚酸チタン酸、及び蓚酸チタン酸カリウムが好ましい。
【0015】
チタン化合物の含有量は、ポリエステル樹脂1トン当たりのチタン原子(Ti)が0.002〜1.0モルとなるように、チタン化合物を添加する。チタン原子の含有量が0.002モル未満だと十分な重合速度が得られず、また1.0モルを超えると得られたポリエステル樹脂の色相及び溶融熱安定性に悪影響を及ぼすので好ましくない。好ましい含有量は、0.002〜0.5モル、より好ましくは0.002〜0.2モル、更に好ましくは0.002〜0.06モルである。
【0016】
本発明のポリエステル樹脂は次のような物性を有する樹脂である。即ち、本発明のポリエステル樹脂の固有粘度がη1 で、固有粘度η1 の樹脂を窒素ガス流通下210℃、10時間加熱処理したポリエステル樹脂の固有粘度をη2 、別途、固有粘度η1 の樹脂を95℃の水中加熱処理を4時間行った後に窒素ガス流通下210℃、10時間加熱処理したポリエステル樹脂の固有粘度をη3 とした場合、η1 、η2 及びη3 が式1を満たすものである。
【0017】
【数4】
(η3−η1)/(η2−η1)<0.90 …式1
固有粘度η1、固有粘度η2及び固有粘度η3との関係が(η3−η1)/(η2−η1)<0.90であるということは、水中加熱処理を行うことにより重合速度が小さくなることを示しており、水中加熱処理により触媒が失活してることを示している。本発明のポリエステル樹脂は、水中加熱処理により触媒が失活するため、成形する際に熱を加えた場合でも樹脂の溶融熱安定性が良好なため、得られる成型品の色調が良好であり、また成型時の環状低量体の副成が抑えられるため、金型汚れを少なくすることができるのである。本発明では、触媒の失活を定量的に表すための一つの指標として、(η3−η1)/(η2−η1)を規定しており、(η3−η1)/(η2−η1)の値は、好ましくは0.60未満、更に好ましくは0.40未満である。
【0018】
上記のような性質を有するポリエステル樹脂は、チタン化合物を重合触媒として使用して、その他触媒や助剤を使用したり、これらの添加順序等の重合条件を選択して重合することにより製造することができるが、本発明においては、チタン化合物の他にリン化合物とチタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物とを、適量併用して使用する。
【0019】
リン化合物としては、亜リン酸や次亜リン酸、そしてこれらのエステル類(例えば、ジエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト及びトリスノニルデシルホスファイトなど)や、これらのリチウム、ナトリウム及びカリウム等の金属塩等の3価のリン化合物が挙げられる。
また、正リン酸やポリリン酸、そしてトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート及びトリエチレングリコールアシッドホスフェートなどのエステル類等の5価のリン化合物が挙げられる。
【0020】
これらの内、亜リン酸、正リン酸、エチルアシッドホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート及びエチルジエチルホスホノアセテートが好ましく、また重合系内の異物生成抑制や色相の観点から、エチルアシッドホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート及びエチルジエチルホスホノアセテートが特に好ましい。
【0021】
リン化合物の使用量は、ポリエステル樹脂1トン当たりにリン原子の含有量が、0.02〜4モル、好ましくは0.02〜2モル、さらに好ましくは0.02〜1モルであるように使用する。リン化合物の使用量により、得られるポリエステル樹脂の色調、溶融熱安定性、重合速度や水処理による失活の程度((η3 −η1 )/(η2 −η1 ))の調整ができる。
【0022】
また、チタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物の金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム及びカルシウムなどのアルカリ土類金属、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、マンガン、コバルト、ゲルマニウム及びアンチモン等が挙げられる。そのうちアルカリ金属、アルカリ土類金属及びマンガンが好ましく、なかでも、マグネシウムが特に好ましい。
【0023】
これら金属は、酸化物、水酸化物、アルコキシド、酢酸塩、蓚酸塩及びハロゲン化物といった、エチレングリコールなどのグリコール類や水に可溶な金属化合物として、また溶液として使用するのが好ましい。具体的な例としては、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、酢酸マンガン、水酸化マンガン、酸化マンガン、酢酸コバルト、蟻酸コバルト、ステアリン酸コバルト、シュウ化コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトナート、塩化ジルコニウム、二塩化ジルコノセン、酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、ジルコニウムブトキシド、酸化ハフニウム、塩化鉄、硫酸鉄、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムブトキシド、アルミニウムプロポキシド、二酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモンエチレングリコキシド、二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム及び蓚酸ゲルマニウムなどが挙げられる。
【0024】
チタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物の使用量としては、ポリエステル樹脂1トン当たり、金属原子の含有量が0.04〜5モルが好ましい。チタン原子及びリン原子以外の他の金属原子の使用量により、重合速度、色相、水処理による失活の程度、溶融熱安定性、環状低量体の副成量の調節ができる。チタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物の金属原子がマグネシウムの場合は、ポリエステル樹脂1トン当たり、マグネシウム原子の含有量が0.1〜3モルが好ましく、0.2〜2モルがより好ましく、更に0.4〜1モルが好ましい。
【0025】
なお、前記のうち、コバルト、ゲルマニウム及びアンチモンを使用する場合に限っては、コバルトの場合は、0.34モル/トン以下、好ましくは0.17モル/トン以下、更に好ましくは0.09モル/トン以下の少量使用することとし、また、ゲルマニウムの場合は、0.42モル/トン以下、好ましくは、0.28モル/トン以下、更に好ましくは、0.14モル/トン以下で、更にアンチモンの場合は、0.84モル/トン以下、好ましくは、0.42モル/トン以下、更に好ましくは、0.21モル/トン以下の使用にとどめることとする。
【0026】
また、チタン原子及びリン原子以外の他の金属原子が、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマンガンから選択される少なくとも1種の金属原子の場合、これら金属原子のポリエステル樹脂1トン当たりの合計の含有量M′(モル)とチタン原子の含有量Ti(モル)との比率M′/Tiが2.5〜250であることが好ましい。より好ましくは、3.5〜150、更に好ましくは5〜30、特に好ましくは10〜15である。
【0027】
M′/Tiが2.5〜250をはずれると、水中加熱処理による触媒の失活の度合いが低い傾向にある。
本発明のポリエステル樹脂は、従来公知の、原料スラリー調製、エステル化法またはエステル交換及び溶融重合による方法で製造することができる。
エステル化法は、例えばテレフタル酸、エチレングリコールその他の共重合モノマーを用いて、加圧下で直接エステル化反応を行い、ポリエステルの低量体を得る。エステル化法は、エステル交換触媒が不要なため、ポリエステル樹脂の色相及び溶融熱安定性等に悪影響を及ぼさず好ましい。また、ジカルボン酸のかわりにジカルボン酸のエステル誘導体、例えばジメチルテレフタレートを原料としてエステル交換反応を行うことにより、ポリエステルの低量体を得ても良いが、ポリエステル樹脂の色相及び溶融熱安定性等にエステル交換触媒が悪影響を及ぼす場合があるので、本発明のポリエステル樹脂を得るには、エステル化法が好ましい。
【0028】
エステル化法の場合には、エステル化反応の温度は、例えばテレフタル酸とエチレングリコールを原料とする場合には、通常240〜280℃の温度、0〜3kg/cm2Gの圧力下で1〜10時間加熱撹拌して行われる。溶融重合は、エステル化により得られたポリエステルの低量体を触媒の存在下、更に昇温するとともに次第に減圧とし重縮合反応させる。この場合、溶融重合の温度は、例えばテレフタル酸とエチレングリコールを原料とする場合には、通常温度は250〜290℃、圧力は常圧から漸次減圧され、最終的には通常10〜0.1Torrである。触媒等は、例えば、上記したチタン化合物、リン化合物そしてチタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物とを用いて、添加順序としては、リン化合物、チタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物、そしてチタン化合物の順に添加する。リン化合物はスラリー調製槽か、エステル化またはエステル交換反応の初期に添加するのが好ましい。また、チタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物は、エステル化またはエステル交換反応の後期または終了後に添加するのが好ましく、チタン化合物は、エステル化またはエステル交換反応終了後、重縮合反応の直前または初期の段階で添加して重合するのが好ましい。
【0029】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の公知のエステル化触媒、エステル交換触媒、重縮合触媒、核剤、無機充填剤、滑材、スリップ剤、アンチブロッキング剤、安定剤、帯電防止剤、防曇剤及び顔料などの各種添加剤などを必要量使用していてもよい。
このようにして溶融重合で得られたポリエステル樹脂は、通常ストランド状に溶融押出して反応器より抜き出したのち、カッターによって粒状体(チップ)にカットされる。
【0030】
また、本発明により得られたポリエステル樹脂は、必要に応じて固相重合することができる。固相重合は、溶融重合により得られたポリエステル粒状体(チップ)を加熱処理して、乾燥・結晶化し、引き続き融点以下の温度で、減圧下または不活性ガス気流下で重縮合反応させたもので、溶融重合に比べて重合温度が低いため、色調に優れたポリエステルを得ることができ、また、固相重合することにより、環状低量体量やアセトアルデヒドの量が低下するので好ましい。
【0031】
具体的な固相重合の加熱処理としては、通常、乾燥状態の窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガス下または水蒸気下または水蒸気含有不活性ガス下で60℃〜180℃の温度でポリエステル粒状体表面を結晶化させた後、減圧下または不活性ガス下で樹脂の粘着温度直下ないし80℃に低い温度で数十時間以下の範囲内で実施される。また固相重合にあたっては、ポリエステル粒状同士が膠着しないように、転動法、気体流動床法などの適当な方法で、ポリエステル粒状体を流動させながら行うのがよい。
【0032】
更に、以上のようにして溶融重合または固相重合を経て得られたポリエステルは、水中加熱処理することにより触媒を失活させることができ、前記の通り成形時の溶融熱安定性を改良し、また環状低量体の副成を低減することができる。この場合、水中加熱処理の条件として、例えば、60℃以上の水蒸気又は水蒸気含有ガスに30分以上接触させるか、又は40℃以上の水に10分以上浸漬させる方法で行うことができる。
【0033】
これらの各製造工程は、回分式又は連続式のどちらでも良いが、製造コスト、色相及び結晶化速度などの点で連続式が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂の固有粘度は、好ましくは0.100〜1.500dl/gであり、より好ましくは0.500〜0.900dl/gである。固有粘度は用途に応じ、ポリエステル製造時の溶融重合及び必要ならばそれに引き続く結晶化及び固相重合の、温度および時間等の条件を調節することにより、調整することができる。溶融重合により固有粘度0.100〜0.900dl/gとし、さらに結晶化・固相重合によって固有粘度0.500〜1.500dl/gとすると、色相、重合速度及び環状低量体副成量などの点で好ましい。
【0034】
なお、この場合の固有粘度とは、ポリエステルを凍結粉砕したのち、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に溶解して、濃度0.1、0.2、0.5、1g/dlの溶液とし、各溶液の粘度をウベローデ型毛細粘度管にて温度30℃で測定し、定法により求めた値である。
また、本発明のポリエステル樹脂のハンター色座標b値は、3未満であると成型品とした際に色調が良好なため好ましく、より好ましくは−10以上3未満、更に好ましくは−5〜2、特に好ましくは−3〜1である。
【0035】
ハンター色座標b値が3以上であると、成形品とした場合の黄みが強すぎる傾向があり、また、−10未満であると、成形品とした場合の青みが強すぎる傾向がある。
ハンター色座標b値の調整は、重合条件や添加する触媒系の種類により調整できるが、重合系に色材(染料)等を添加して調整することもできる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。実施例における種々の測定法および評価法は以下の通りである。
<原子の定量>
試料樹脂2.0gを、硫酸存在下に常法により灰化、完全分解後、蒸留水にて100mlに定容したものについて、ICP発光分光分析法により定量した。
【0037】
<固有粘度η1 >
凍結粉砕した樹脂試料0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に、濃度cを1.0g/dlとして、110℃で20分間で溶解させた後、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で、原液との相対粘度ηrelを測定し、この相対粘度ηrelから比粘度ηsp=ηrel−1を求めこの比粘度(ηsp)と濃度cとの比ηsp/cを求め、同じく濃度cを、0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとしたときについてもそれぞれの比ηsp/cを求め、これらの値より、濃度cを0に外挿したときの比ηsp/cを固有粘度η1 (dl/g)として求めた。
【0038】
<固有粘度η2 >
実施例及び比較例で得られた樹脂試料を、ESPEC社製IPHH−201型イナートオーブンで、窒素ガス流量50L/min下、160℃で2時間加熱乾燥した後、210℃で10時間加熱処理した。得られた樹脂の固有粘度η2 を、上記固有粘度η1 と同様にして求めた。
【0039】
<固有粘度η3 >
実施例及び比較例で得られた樹脂試料22gを100mlの三角フラスコに、純水80ml及びマグネティックスピナーと共に入れ、オイルバス中で95℃で4時間加熱撹拌した後、ESPEC社製IPHH−201型イナートオーブンで、窒素ガス流量50L/min下、160℃で2時間加熱乾燥した後、210℃で10時間加熱処理した。得られた樹脂の固有粘度η3 を、上記固有粘度η1 と同様にして求めた。
【0040】
<ハンター色座標b値>
樹脂試料を、内径36mm×深さ15mmの円柱状の粉体測色用セル(受光部は石英ガラス製)に摺り切りで充填し、日本電色工業株式会社製「ND−300A」型測色色差計を用いて、JIS Z8730の参考1に記載されるLab表色系におけるハンターの色差式の色座標bを、反射法により測定セルの向きを90度ずつ回転させて4回測定した値の単純平均値として求めた。測定の際は、予め装置を電源投入後4時間以上放置して十分安定させて行った。
【0041】
<加熱溶融後のハンター色座標b値(b1)>
樹脂試料22gを、内径22mm、長さ200mmの試験管中に投入し、1mmHgの真空下160℃で2時間乾燥させた後、試験管内を窒素ガス流通下280℃で1時間加熱溶融させた後、樹脂を試験管底部からストランド状に抜き出して水冷、チップ化し、この樹脂のハンター色座標b値を前記した方法により求めた。
【0042】
<水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標b値(b2)>
樹脂試料22gを100mlの三角フラスコに、純水80ml及びマグネティックスピナーと共に入れ、オイルバス中で95℃で4時間加熱撹拌したものを、内径22mm、長さ200mmの試験管中に投入し、1mmHgの真空下160℃で2時間乾燥させた後、試験管内を窒素ガス流通下280℃で1時間加熱溶融させた後、樹脂を試験管底部からストランド状に抜き出して水冷、チップ化し、この樹脂のハンター色座標b値を前記した方法により求めた。
【0043】
<溶融熱安定性の改善効果の評価>
前記による加熱溶融後のハンター色座標b値(b1)と水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標b値(b2)の差を求めた。b1−b2の差が大きい程、水中加熱処理による溶融熱安定性の改善効果が大きいことを示す。
実施例1
回分式反応槽内に、あらかじめテレフタル酸とエチレングリコールの無触媒直接エステル化反応により別途調製しておいたポリエステルオリゴマー(粒平均重合度=6.9)156gを仕込み、反応槽内を窒素置換するとともに260℃に昇温した。1時間後、ポリエステルオリゴマーが溶融したところで、撹拌を開始し、エチルアシッドホスフェート、酢酸マグネシウム4水和物及びテトラ−n−ブチルチタネートを、この順序で、順次5分間隔で、表1の量となるようにエチレングリコール溶液として添加した。
【0044】
続いて、系内を260℃から280℃まで1時間20分で昇温するとともに、常圧から60分で減圧し、1mmHgに保持しつつ得られる固有粘度η1 が0.547となる時間溶融重合反応させ、得られた樹脂を反応槽の底部に設けた抜出口よりストランド状に抜き出し、水冷後、チップ状にカットし、約100gの固有粘度η1 が0.547dl/gの溶融重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0045】
ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度η2 、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標b値(b2)を表1に示した。
実施例2〜6、比較例4
実施例1において、各化合物の量を表1に示す原子の濃度(モル/トン)とした他は、同様な方法で溶融重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0046】
ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度η2 、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標b値(b2)を表1に示した。
実施例7〜8
実施例1において、エチルアシッドホスフェート、酢酸マグネシウム4水和物、二酸化ゲルマニウム及びテトラ−n−ブチルチタネートを、この順序で、順次5分間隔で、各化合物の量を表1に示す原子の濃度(モル/トン)となるようにエチレングリコール溶液として添加した他は、同様な方法で溶融重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0047】
ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度η2 、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標b値(b2)を表1に示した。
実施例9
実施例7において、テトラ−n−ブチルチタネートを添加の5分後に色材を表1の量となるようにエチレングリコールスラリーとして添加した他は、同様な方法で溶融重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0048】
ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度η2 、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標b値(b2)を表1に示した。
比較例1
実施例1において、テトラ−n−ブチルチタネート、酢酸マグネシウム4水和物及びエチルアシッドホスフェートを、この順序で、順次5分間隔で、各化合物の量を表1に示す原子の濃度(モル/トン)となるようにエチレングリコール溶液として添加した他は、同様な方法で溶融重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0049】
ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度η2 、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標b値(b2)を表1に示した。
比較例2
実施例1において、テトラ−n−ブチルチタネートのみを添加した他は、同様な方法で溶融重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0050】
ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度η2 、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標b値(b2)を表1に示した。
比較例3
実施例1において、亜リン酸、酢酸コバルト4水和物及びシュウ酸チタン酸カリウム2水和物を、この順序で、順次5分間隔で各化合物の量を表1に示す原子の濃度(モル/トン)となるようにエチレングリコール溶液として添加した他は、同様な方法で溶融重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0051】
ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度η2 、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標b値(b2)を表1に示した。
次に、本発明のポリエステル樹脂が水中加熱処理を行うことで、触媒が失活する性質を有するという効果をボトル成形評価として参考例で示す。なお、実施例及び比較例で得られた溶融重合ポリエステルは、ボトルを成形するために、参考例の記載の方法で固相重合を行い、固有粘度を大きくした。
【0052】
参考例1
実施例1により得られた固有粘度0.547dl/gの溶融重合ポリエステルチップを、約160℃に保持された撹拌結晶化機内に滞留時間が約5分となるように連続的に供給して結晶化させ、イナートオーブン(ESPEC社製「IPHH−201型」)中で、40リットル/分の窒素気流下160℃で4時間乾燥させた後、210℃で、固有粘度が0.75dl/gとなる時間加熱して固相重縮合させた。この固相重縮合ポリエステル樹脂チップ3kgを窒素気流下120℃に維持するとともに、別途5Lのステンレス容器に純水3Lを投入し撹拌しながら、95℃に加熱した。水温が95℃になったところで、前記120℃に維持してあった固相重縮合ポリエステル樹脂チップ3kgをこのステンレス容器の水中に投入し、その後4時間水中加熱処理を行った。尚、ステンレス容器から水が溢れず、かつポリエステル樹脂チップが完全に水中に隠れるように随時純水量の調節を行った。このようにして得られた水中加熱処理したポリエステル樹脂チップを用いて、以下に示すボトル成形評価を行い、ボトルの色調及び金型汚染性を評価した。評価結果は、ボトルの色調が無色良好:○であり、金型汚染性については、表面平滑であり、異常なし:○であり、良好であった。
【0053】
なお、ボトル成形評価は、次のようにして行った。
<ボトル成形評価>
得られたポリエステル樹脂チップを真空乾燥機にて130℃で10時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製「FE−80S」)にて、シリンダー温度280℃、背圧5×105 Pa、射出率45cc/秒、保圧力30×105 Pa、金型温度20℃、成形サイクル約40秒で、外径29.0mm、高さ165mm、平均肉厚3.7mm、重量60gの試験官状の予備成形体(プリフォーム)を射出成形した。この予備成形体を、石英ヒーターを備えた近赤外線照射炉内で70秒間加熱し、25秒間室温で放置した後、160℃に設定したブロー金型内に装入し、延伸ロッドで高さ方向に延伸しながら、ブロー圧力7×105 Paで1秒間、更に30×105 Paで40秒間ブロー成形、ヒートセットし、空冷することにより、外径約95mm、高さ約305mm、胴部平均肉厚約0.37mm、重量約60g、内容積約1.5リットルのボトルを500本成形し、得られた500本目のボトルについて表面外観を目視観察して以下の基準で金型汚染性を評価した。
【0054】
[色調]
○:無色良好。
△:底部の肉厚部分などが若干黄色く見える。
×:ボトル全体が黄色く見え不可。
[金型汚染性]
○:表面平滑であり、異常なし。
【0055】
△:表面平滑性が若干劣るが、実用上問題なし。
×:表面が荒れて粗面となり、異物の付着も認められる。
参考例2
参考例1において、水中加熱処理を行わない他は、同様に固有粘度0.75dl/gの固相重縮合ポリエステル樹脂チップを得た。該チップを用いてボトル成形評価を行った。評価結果は、ボトルの色調は△であり、また金型汚染性は△であった。
【0056】
参考例3
参考例1において、実施例1により得られた溶融重合ポリエステルチップに代えて、比較例1により得られた固有粘度0.554dl/gの溶融重合ポリエステル樹脂チップを使用した他、参考例1と同様に水中加熱処理したポリエステル樹脂チップを得た。該チップを用いてボトル成形評価を行った。評価結果は、ボトルの色調は×であり、また金型汚染性は×であった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1中、TBTはテトラ−n−ブチルチタネート、PTOはシュウ酸チタン酸カリウム2水和物、EAPはエチルアシッドホスフェート、酢酸Mgは酢酸マグネシウム4水和物、酢酸Coは酢酸コバルト4水和物、色材の青はクラリアント社製ESTFOIL blue SRBL、色材の赤はクラリアント社製SANDPLAST RED Gを示す。
【0060】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂は、チタン化合物を重縮合触媒として使用して重合するにもかかわらず、水中加熱処理を行うことで、触媒が失活する性質を有し、そのため再溶融成形時の熱安定性が改良され成形品の色調が良好なものとなり、また、成形時のポリエステル環状低量体の副成を低減できるため、金型汚れが少なく成形用途に好適である。
Claims (7)
- 芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、触媒としてチタン化合物をチタン原子(Ti)としてポリエステル樹脂1トン当たり0.002〜1.0モルの存在下で重合することにより、製造することができるポリエステル樹脂において、
該触媒成分として、チタン化合物の他に、リン化合物と、チタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物とを併用し、これら各化合物を、リン化合物、チタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物、チタン化合物の順序で添加して得られたポリエステル樹脂であって、
該ポリエステル樹脂の固有粘度がη1で、固有粘度η1の樹脂を窒素ガス流通下210℃、10時間加熱処理したポリエステル樹脂の固有粘度をη2、別途、固有粘度η1の樹脂を95℃の水中加熱処理を4時間行った後に窒素ガス流通下210℃、10時間加熱処理したポリエステル樹脂の固有粘度をη3とした場合、η1、η2及びη3が式1を満たすことを特徴とするポリエステル樹脂。
- ポリエステル樹脂1トン当たり、チタン原子(Ti)が0.002〜0.5モル、リン原子(P)が0.02〜4モル、チタン原子(Ti)及びリン原子(P)以外の金属原子(M)が0.04〜5モル含まれることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂。
- チタン原子(Ti)及びリン原子(P)以外の金属原子が、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマンガンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂。
- ポリエステル樹脂1トン当たり、チタン原子(Ti)が0.002〜0.06モル、リン原子(P)が0.02〜1モル、マグネシウム原子(Mg)が0.2〜2モル含まれることを特徴とする請求項3または4に記載のポリエステル樹脂。
- 固有粘度が0.100〜1.500dl/g、ハンター色座標b値が3未満であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
- 芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
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