JP2001114887A - ポリエステル樹脂 - Google Patents

ポリエステル樹脂

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JP2001114887A
JP2001114887A JP2000237894A JP2000237894A JP2001114887A JP 2001114887 A JP2001114887 A JP 2001114887A JP 2000237894 A JP2000237894 A JP 2000237894A JP 2000237894 A JP2000237894 A JP 2000237894A JP 2001114887 A JP2001114887 A JP 2001114887A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境安全性に優れるチタン化合物を重縮合触
媒とし、かつ、水中加熱処理により触媒が失活する性質
を有し、そのため溶融熱安定性が良好となると共に、成
形後の環状低量体増加を低減できるため成型時の金型汚
れが少ないポリエステル樹脂を提供する。 【解決手段】 主成分として芳香族ジカルボン酸とエチ
レングリコールとを、触媒としてチタン化合物をチタン
原子(Ti)としてポリエステル樹脂1トン当たり0.
002〜1.0モルの存在下で重合することにより製造
することができるポリエステル樹脂であって、該ポリエ
ステル樹脂の固有粘度がη1 で、固有粘度η1 の樹脂を
窒素ガス流通下210℃、10時間加熱処理したポリエ
ステル樹脂の固有粘度をη2 、別途、固有粘度η1 の樹
脂を95℃の水中加熱処理を4時間行った後に窒素ガス
流通下210℃、10時間加熱処理したポリエステル樹
脂の固有粘度をη3 とした場合、η1 、η2 及びη3
(η3 −η1 )/(η2 −η 1 )<0.90を満たすポ
リエステル樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種包装容器、フ
ィルム、繊維等に幅広く供されるポリエチレンテレフタ
レート等のポリエステル樹脂に関するものであって、詳
細には、環境安全性に優れるチタンを重縮合触媒元素と
し、かつ、水中熱処理により触媒失活する性質を有し、
そのため優れた溶融熱安定性を有すると共に成形時の環
状低量体増加を低減でき、ボトル等の成形に好適に使用
できるポリエステル樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート等のポリエ
ステル樹脂は、機械的強度、化学的安定性、ガスバリア
性、衛生性などに優れ、また比較的安価な軽量であるた
めに、各種包装容器、フィルム、繊維等として幅広く用
いられている。このようなポリエステル樹脂としては、
従来、主としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化
合物を重縮合触媒として重合したポリエステル樹脂が用
いられてきた。
【0003】しかしながら、重縮合触媒としてアンチモ
ン化合物を使用して重合したポリエステル樹脂は、例え
ば、成形して飲食品容器として用いられた場合、樹脂中
に残存したアンチモンが、高温下において容器から溶出
して内容飲食品に僅かながら移行する等の問題が懸念さ
れており、その代替が望まれていた。またゲルマニウム
化合物を使用して重合したポリエステル樹脂は、水中で
加熱処理することにより触媒失活し、成形時のポリエス
テルの環状低量体の副成を防止することができるため、
成形金型等の汚染が減少できることが知られているが、
ゲルマニウム化合物は埋蔵量が僅かであるため、その代
替として使用可能な触媒も望まれていた。
【0004】他方、重縮合触媒としてアンチモン化合物
またはゲルマニウム化合物を使用しないポリエステル樹
脂として、チタン化合物を使用したポリエステル樹脂が
提案されている(特開平8−73581号等参照)。し
かしながら、これら提案されているチタン化合物を使用
したポリエステル樹脂では、加熱再溶融後の色調変化が
大きく、また、溶融熱安定性が悪く、得られた成形品の
色調が黄みがかったものであり、製品として使用するに
は、不十分なものであり、また、ポリエステル樹脂を水
中で加熱処理を行っても成形した際のポリエステル環状
低量体の副成を防止することができないという問題点が
あった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑みてなされたものであって、環境安全性に優れるチタ
ン化合物を重縮合媒体とし、かつ、水中加熱処理により
触媒が失活する性質を有し、そのため溶融熱安定性が良
好となるとともに、成形後の環状低量体増加を低減でき
るため、成形時の金型汚れが少ないポリエステル樹脂を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族ジカル
ボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とする
ジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とする
ジオール成分とを、触媒としてチタン化合物をチタン原
子(Ti)としてポリエステル樹脂1トン当たり0.0
02〜1.0モルの存在下で重合することにより、製造
することができるポリエステル樹脂であって、該ポリエ
ステル樹脂の固有粘度がη1 で、固有粘度η1 の樹脂を
窒素ガス流通下210℃、10時間加熱処理したポリエ
ステル樹脂の固有粘度をη2 、別途、固有粘度η1 の樹
脂を95℃の水中加熱処理を4時間行った後に窒素ガス
流通下210℃、10時間加熱処理したポリエステル樹
脂の固有粘度をη3 とした場合、η1 、η2 及びη3
式1を満たすポリエステル樹脂、を要旨とする。
【0007】
【数3】 (η3 −η1 )/(η2 −η1 )<0.90 …式1
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂は、原料として芳香族ジカル
ボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主成分とする
ジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とする
ジオール成分とからなる。
【0009】芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成
性誘導体の具体的な例としては、テレフタル酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、オルトフタ
ル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジブロモイソフタ
ル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、ビフェニルジカ
ルボン酸、ビフェニルエーテルジカルボン酸、ビフェニ
ルスルフォンジカルボン酸、ビフェニルケトンジカルボ
ン酸、ビフェノキシエタンジカルボン酸及びフェニレン
ジオキシジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、また、
これらの芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアル
キルエステル、例えばジメチルテレフタレート、2,6
−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルなどやハロ
ゲン化物が挙げられる。
【0010】更に、これらの芳香族ジカルボン酸または
そのエステル形成性誘導体の他に、アジピン酸、セバシ
ン酸、コハク酸、グルタル酸、ピペリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、ウンデカンジカルボン酸及びドデカ
ンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、また、これら
の脂肪族ジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエ
ステルやハロゲン化物が使用でき、例えばジメチルテレ
フタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル
等が挙げられる。
【0011】エチレングリコール以外のジオール成分と
しては、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチ
レングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメ
チレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール及びポリオキシテ
トラメチレングリコール等の脂肪族グリコールが挙げら
れる。
【0012】また、これらの脂肪族グリコールの他に、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,5−ノルボ
ルネンジメタノール等の脂環式グリコール、ネオペンチ
ルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロ
パンジオール等の分岐型脂肪族グリコール、キシリレン
グリコール等の芳香族グリコール、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)フロパンのエチレンオキサイド付
加物及びプロピレンオキサイド付加物等が使用できる。
【0013】更に、上記の原料の他に、本発明の効果を
逸脱しない範囲で単官能成分や多官能成分を少量含んで
いてもよい。具体的な例としては、ステアリン酸、安息
香酸などの単官能成分、トリメリット酸、トリメシン
酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、没食子酸、ト
リメチロールプロパン、トリエチロールエタン、ペンタ
エリスリトール、グリセリン及びテトラキス[メチレン
−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]メタンなどの3官能以上
の多官能成分が挙げられる。
【0014】本発明のポリエステル樹脂は、重縮合触媒
としてチタン化合物の存在下で重合を行う。チタン化合
物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ
イソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネー
ト、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラフェニルチ
タネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベ
ンジルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテト
ラマー、酢酸チタン、シュウ酸チタン、シュウ酸チタン
酸カリウム、シュウ酸チタン酸ナトリウム、チタン酸カ
リウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸−水酸化アルミ
ニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニ
ウム混合物、シュウ化チタン、フッ化チタン、六フッ化
チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ
化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム、
六フッ化チタン酸マンガン及びチタンアセチルアセトナ
ート、などが挙げられる。これらは特に限定されない
が、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロ
ピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、蓚酸
チタン酸、及び蓚酸チタン酸カリウムが好ましい。
【0015】チタン化合物の含有量は、ポリエステル樹
脂1トン当たりのチタン原子(Ti)が0.002〜
1.0モルとなるように、チタン化合物を添加する。チ
タン原子の含有量が0.002モル未満だと十分な重合
速度が得られず、また1.0モルを超えると得られたポ
リエステル樹脂の色相及び溶融熱安定性に悪影響を及ぼ
すので好ましくない。好ましい含有量は、0.002〜
0.5モル、より好ましくは0.002〜0.2モル、
更に好ましくは0.002〜0.06モルである。
【0016】本発明のポリエステル樹脂は次のような物
性を有する樹脂である。即ち、本発明のポリエステル樹
脂の固有粘度がη1 で、固有粘度η1 の樹脂を窒素ガス
流通下210℃、10時間加熱処理したポリエステル樹
脂の固有粘度をη2 、別途、固有粘度η1 の樹脂を95
℃の水中加熱処理を4時間行った後に窒素ガス流通下2
10℃、10時間加熱処理したポリエステル樹脂の固有
粘度をη3 とした場合、η1 、η2 及びη3 が式1を満
たすものである。
【0017】
【数4】 (η3 −η1 )/(η2 −η1 )<0.90 …式1 固有粘度η1 、固有粘度η2 及び固有粘度η3 との関係
が(η3 −η1 )/(η2 −η1 )<0.90であると
いうことは、水中加熱処理を行うことにより重合速度が
小さくなることを示しており、水中加熱処理により触媒
が失活してることを示している。本発明のポリエステル
樹脂は、水中加熱処理により触媒が失活するため、成形
する際に熱を加えた場合でも樹脂の溶融熱安定性が良好
なため、得られる成型品の色調が良好であり、また成型
時の環状低量体の副成が抑えられるため、金型汚れを少
なくすることができるのである。本発明では、触媒の失
活を低量的に表すための一つの指標として、(η3 −η
1 )/(η2 −η1 )を規定しており、(η3 −η1
/(η2 −η1 )の値は、好ましくは0.60未満、更
に好ましくは0.40未満である。
【0018】上記のような性質を有するポリエステル樹
脂は、チタン化合物を重合触媒として使用して、その他
触媒や助剤を使用したり、これらの添加順序等の重合条
件を選択して重合することにより製造することができ
る。具体的な一例としては、チタン化合物の他にリン化
合物とチタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物と
を、適量併用して使用することにより製造することがで
きる。
【0019】リン化合物としては、亜リン酸や次亜リン
酸、そしてこれらのエステル類(例えば、ジエチルホス
ファイト、トリフェニルホスファイト、トリスドデシル
ホスファイト及びトリスノニルデシルホスファイトな
ど)や、これらのリチウム、ナトリウム及びカリウム等
の金属塩等の3価のリン化合物が挙げられる。また、正
リン酸やポリリン酸、そしてトリメチルホスフェート、
トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェー
ト、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェ
ート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレ
ングリコール)ホスフェート、エチルジエチルホスホノ
アセテート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシ
ッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェー
ト、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェー
ト、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート
及びトリエチレングリコールアシッドホスフェートなど
のエステル類等の5価のリン化合物が挙げられる。
【0020】これらの内、亜リン酸、正リン酸、エチル
アシッドホスフェート、トリス(トリエチレングリコー
ル)ホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホ
スフェート及びエチルジエチルホスホノアセテートが好
ましく、また重合系内の異物生成抑制や色相の観点か
ら、エチルアシッドホスフェート、トリス(トリエチレ
ングリコール)ホスフェート、トリエチレングリコール
アシッドホスフェート及びエチルジエチルホスホノアセ
テートが特に好ましい。
【0021】リン化合物の使用量は、ポリエステル樹脂
1トン当たりにリン原子の含有量が、0.02〜4モ
ル、好ましくは0.02〜2モル、さらに好ましくは
0.02〜1モルであるように使用する。リン化合物の
使用量により、得られるポリエステル樹脂の色調、溶融
熱安定性、重合速度や水処理による失活の程度((η3
−η1 )/(η2 −η1 ))の調整ができる。
【0022】また、チタン原子及びリン原子以外の他の
金属化合物の金属原子としては、例えば、リチウム、ナ
トリウム及びカリウムなどのアルカリ金属、マグネシウ
ム及びカルシウムなどのアルカリ土類金属、ジルコニウ
ム、ハフニウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、マンガン、
コバルト、ゲルマニウム及びアンチモン等が挙げられ
る。そのうちアルカリ金属、アルカリ土類金属及びマン
ガンが好ましく、なかでも、マグネシウムが特に好まし
い。
【0023】これら金属は、酸化物、水酸化物、アルコ
キシド、酢酸塩、蓚酸塩及びハロゲン化物といった、エ
チレングリコールなどのグリコール類や水に可溶な金属
化合物として、また溶液として使用するのが好ましい。
具体的な例としては、酢酸マグネシウム、水酸化マグネ
シウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネ
シウムアルコキサイド、酢酸マンガン、水酸化マンガ
ン、酸化マンガン、酢酸コバルト、蟻酸コバルト、ステ
アリン酸コバルト、シュウ化コバルト、炭酸コバルト、
コバルトアセチルアセトナート、塩化ジルコニウム、二
塩化ジルコノセン、酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウ
ム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、ジルコニウ
ムブトキシド、酸化ハフニウム、塩化鉄、硫酸鉄、酸化
亜鉛、酢酸亜鉛、塩化アルミニウム、酸化アルミニウ
ム、炭酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸アルミ
ニウム、アルミニウムブトキシド、アルミニウムプロポ
キシド、二酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモ
ンエチレングリコキシド、二酸化ゲルマニウム、水酸化
ゲルマニウム及び蓚酸ゲルマニウムなどが挙げられる。
【0024】チタン原子及びリン原子以外の他の金属化
合物の使用量としては、ポリエステル樹脂1トン当た
り、金属原子の含有量が0.04〜5モルが好ましい。
チタン原子及びリン原子以外の他の金属原子の使用量に
より、重合速度、色相、水処理による失活の程度、溶融
熱安定性、環状低量体の副成量の調節ができる。チタン
原子及びリン原子以外の他の金属化合物の金属原子がマ
グネシウムの場合は、ポリエステル樹脂1トン当たり、
マグネシウム原子の含有量が0.1〜3モルが好まし
く、0.2〜2モルがより好ましく、更に0.4〜1モ
ルが好ましい。
【0025】なお、前記のうち、コバルト、ゲルマニウ
ム及びアンチモンを使用する場合に限っては、コバルト
の場合は、0.34モル/トン以下、好ましくは0.1
7モル/トン以下、更に好ましくは0.09モル/トン
以下の少量使用することとし、また、ゲルマニウムの場
合は、0.42モル/トン以下、好ましくは、0.28
モル/トン以下、更に好ましくは、0.14モル/トン
以下で、更にアンチモンの場合は、0.84モル/トン
以下、好ましくは、0.42モル/トン以下、更に好ま
しくは、0.21モル/トン以下の使用にとどめること
とする。
【0026】また、チタン原子及びリン原子以外の他の
金属原子が、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマン
ガンから選択される少なくとも1種の金属原子の場合、
これら金属原子のポリエステル樹脂1トン当たりの合計
の含有量M′(モル)とチタン原子の含有量Ti(モ
ル)との比率M′/Tiが2.5〜250であることが
好ましい。より好ましくは、3.5〜150、更に好ま
しくは5〜30、特に好ましくは10〜15である。
【0027】M′/Tiが2.5〜250をはずれる
と、水中加熱処理による触媒の失活の度合いが低い傾向
にある。本発明のポリエステル樹脂は、従来公知の、原
料スラリー調製、エステル化法またはエステル交換及び
溶融重合による方法で製造することができる。エステル
化法は、例えばテレフタル酸、エチレングリコールその
他の共重合モノマーを用いて、加圧下で直接エステル化
反応を行い、ポリエステルの低量体を得る。エステル化
法は、エステル交換触媒が不要なため、ポリエステル樹
脂の色相及び溶融熱安定性等に悪影響を及ぼさず好まし
い。また、ジカルボン酸のかわりにジカルボン酸のエス
テル誘導体、例えばジメチルテレフタレートを原料とし
てエステル交換反応を行うことにより、ポリエステルの
低量体を得ても良いが、ポリエステル樹脂の色相及び溶
融熱安定性等にエステル交換触媒が悪影響を及ぼす場合
があるので、本発明のポリエステル樹脂を得るには、エ
ステル化法が好ましい。
【0028】エステル化法の場合には、エステル化反応
の温度は、例えばテレフタル酸とエチレングリコールを
原料とする場合には、通常240〜280℃の温度、0
〜3kg/cm2 Gの圧力下で1〜10時間加熱撹拌し
て行われる。溶融重合は、エステル化により得られたポ
リエステルの低量体を触媒の存在下、更に昇温するとと
もに次第に減圧とし重縮合反応させる。この場合、溶融
重合の温度は、例えばテレフタル酸とエチレングリコー
ルを原料とする場合には、通常温度は250〜290
℃、圧力は常圧から漸次減圧され、最終的には通常10
〜0.1Torrである。触媒等は、例えば、上記した
チタン化合物、リン化合物そしてチタン原子及びリン原
子以外の他の金属化合物とを用いて、添加順序として
は、リン化合物、チタン原子及びリン原子以外の他の金
属化合物、そしてチタン化合物の順に添加するのが好ま
しく、リン化合物はスラリー調製槽か、エステル化また
はエステル交換反応の初期に添加するのが好ましい。ま
た、チタン原子及びリン原子以外の他の金属化合物は、
エステル化またはエステル交換反応の後期または終了後
に添加するのが好ましく、チタン化合物は、エステル化
またはエステル交換反応終了後、重縮合反応の直前また
は初期の段階で添加して重合するのが好ましい。
【0029】また、本発明の効果を損なわない範囲で、
他の公知のエステル化触媒、エステル交換触媒、重縮合
触媒、核剤、無機充填剤、滑材、スリップ剤、アンチブ
ロッキング剤、安定剤、帯電防止剤、防曇剤及び顔料な
どの各種添加剤などを必要量使用していてもよい。この
ようにして溶融重合で得られたポリエステル樹脂は、通
常ストランド状に溶融押出して反応器より抜き出したの
ち、カッターによって粒状体(チップ)にカットされ
る。
【0030】また、本発明により得られたポリエステル
樹脂は、必要に応じて固相重合することができる。固相
重合は、溶融重合により得られたポリエステル粒状体
(チップ)を加熱処理して、乾燥・結晶化し、引き続き
融点以下の温度で、減圧下または不活性ガス気流下で重
縮合反応させたもので、溶融重合に比べて重合温度が低
いため、色調に優れたポリエステルを得ることができ、
また、固相重合することにより、環状低量体量やアセト
アルデヒドの量が低下するので好ましい。
【0031】具体的な固相重合の加熱処理としては、通
常、乾燥状態の窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性
ガス下または水蒸気下または水蒸気含有不活性ガス下で
60℃〜180℃の温度でポリエステル粒状体表面を結
晶化させた後、減圧下または不活性ガス下で樹脂の粘着
温度直下ないし80℃に低い温度で数十時間以下の範囲
内で実施される。また固相重合にあたっては、ポリエス
テル粒状同士が膠着しないように、転動法、気体流動床
法などの適当な方法で、ポリエステル粒状体を流動させ
ながら行うのがよい。
【0032】更に、以上のようにして溶融重合または固
相重合を経て得られたポリエステルは、水中加熱処理す
ることにより触媒を失活させることができ、前記の通り
成形時の溶融熱安定性を改良し、また環状低量体の副成
を低減することができる。この場合、水中加熱処理の条
件として、例えば、60℃以上の水蒸気又は水蒸気含有
ガスに30分以上接触させるか、又は40℃以上の水に
10分以上浸漬させる方法で行うことができる。
【0033】これらの各製造工程は、回分式又は連続式
のどちらでも良いが、製造コスト、色相及び結晶化速度
などの点で連続式が好ましい。本発明のポリエステル樹
脂の固有粘度は、好ましくは0.100〜1.500d
l/gであり、より好ましくは0.500〜0.900
dl/gである。固有粘度は用途に応じ、ポリエステル
製造時の溶融重合及び必要ならばそれに引き続く結晶化
及び固相重合の、温度および時間等の条件を調節するこ
とにより、調整することができる。溶融重合により固有
粘度0.100〜0.900dl/gとし、さらに結晶
化・固相重合によって固有粘度0.500〜1.500
dl/gとすると、色相、重合速度及び環状低量体副成
量などの点で好ましい。
【0034】なお、この場合の固有粘度とは、ポリエス
テルを凍結粉砕したのち、フェノール/テトラクロロエ
タン(重量比1/1)の混合溶媒に溶解して、濃度0.
1、0.2、0.5、1g/dlの溶液とし、各溶液の
粘度をウベローデ型毛細粘度管にて温度30℃で測定
し、定法により求めた値である。また、本発明のポリエ
ステル樹脂のハンター色座標b値は、3未満であると成
型品とした際に色調が良好なため好ましく、より好まし
くは−10以上3未満、更に好ましくは−5〜2、特に
好ましくは−3〜1である。
【0035】ハンター色座標b値が3以上であると、成
形品とした場合の黄みが強すぎる傾向があり、また、−
10未満であると、成形品とした場合の青みが強すぎる
傾向がある。ハンター色座標b値の調整は、重合条件や
添加する触媒系の種類により調整できるが、重合系に色
材(染料)等を添加して調整することもできる。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、以下の実施例に限定されるものではない。実施
例における種々の測定法および評価法は以下の通りであ
る。 <原子の定量>試料樹脂2.0gを、硫酸存在下に常法
により灰化、完全分解後、蒸留水にて100mlに定容
したものについて、ICP発光分光分析法により定量し
た。
【0037】<固有粘度η1 >凍結粉砕した樹脂試料
0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量
比1/1)の混合溶媒に、濃度cを1.0g/dlとし
て、110℃で20分間で溶解させた後、ウベローデ型
毛細粘度管を用いて、30℃で、原液との相対粘度ηr
elを測定し、この相対粘度ηrelから比粘度ηsp
=ηrel−1を求めこの比粘度(ηsp)と濃度cと
の比ηsp/cを求め、同じく濃度cを、0.5g/d
l、0.2g/dl、0.1g/dlとしたときについ
てもそれぞれの比ηsp/cを求め、これらの値より、
濃度cを0に外挿したときの比ηsp/cを固有粘度η
1 (dl/g)として求めた。
【0038】<固有粘度η2 >実施例及び比較例で得ら
れた樹脂試料を、ESPEC社製IPHH−201型イ
ナートオーブンで、窒素ガス流量50L/min下、1
60℃で2時間加熱乾燥した後、210℃で10時間加
熱処理した。得られた樹脂の固有粘度η2 を、上記固有
粘度η1 と同様にして求めた。
【0039】<固有粘度η3 >実施例及び比較例で得ら
れた樹脂試料22gを100mlの三角フラスコに、純
水80ml及びマグネティックスピナーと共に入れ、オ
イルバス中で95℃で4時間加熱撹拌した後、ESPE
C社製IPHH−201型イナートオーブンで、窒素ガ
ス流量50L/min下、160℃で2時間加熱乾燥し
た後、210℃で10時間加熱処理した。得られた樹脂
の固有粘度η3 を、上記固有粘度η1 と同様にして求め
た。
【0040】<ハンター色座標b値>樹脂試料を、内径
36mm×深さ15mmの円柱状の粉体測色用セル(受
光部は石英ガラス製)に摺り切りで充填し、日本電色工
業株式会社製「ND−300A」型測色色差計を用い
て、JIS Z8730の参考1に記載されるLab表
色系におけるハンターの色差式の色座標bを、反射法に
より測定セルの向きを90度ずつ回転させて4回測定し
た値の単純平均値として求めた。測定の際は、予め装置
を電源投入後4時間以上放置して十分安定させて行っ
た。
【0041】<加熱溶融後のハンター色座標b値(b
1)>樹脂試料22gを、内径22mm、長さ200m
mの試験管中に投入し、1mmHgの真空下160℃で
2時間乾燥させた後、試験管内を窒素ガス流通下280
℃で1時間加熱溶融させた後、樹脂を試験管底部からス
トランド状に抜き出して水冷、チップ化し、この樹脂の
ハンター色座標b値を前記した方法により求めた。
【0042】<水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座
標b値(b2)>樹脂試料22gを100mlの三角フ
ラスコに、純水80ml及びマグネティックスピナーと
共に入れ、オイルバス中で95℃で4時間加熱撹拌した
ものを、内径22mm、長さ200mmの試験管中に投
入し、1mmHgの真空下160℃で2時間乾燥させた
後、試験管内を窒素ガス流通下280℃で1時間加熱溶
融させた後、樹脂を試験管底部からストランド状に抜き
出して水冷、チップ化し、この樹脂のハンター色座標b
値を前記した方法により求めた。
【0043】<溶融熱安定性の改善効果の評価>前記に
よる加熱溶融後のハンター色座標b値(b1)と水中加
熱後の加熱溶融後のハンター色座標b値(b2)の差を
求めた。b1−b2の差が大きい程、水中加熱処理によ
る溶融熱安定性の改善効果が大きいことを示す。 実施例1 回分式反応槽内に、あらかじめテレフタル酸とエチレン
グリコールの無触媒直接エステル化反応により別途調製
しておいたポリエステルオリゴマー(粒平均重合度=
6.9)156gを仕込み、反応槽内を窒素置換すると
ともに260℃に昇温した。1時間後、ポリエステルオ
リゴマーが溶融したところで、撹拌を開始し、エチルア
シッドホスフェート、酢酸マグネシウム4水和物及びテ
トラ−n−ブチルチタネートを、この順序で、順次5分
間隔で、表1の量となるようにエチレングリコール溶液
として添加した。
【0044】続いて、系内を260℃から280℃まで
1時間20分で昇温するとともに、常圧から60分で減
圧し、1mmHgに保持しつつ得られる固有粘度η1
0.547となる時間溶融重合反応させ、得られた樹脂
を反応槽の底部に設けた抜出口よりストランド状に抜き
出し、水冷後、チップ状にカットし、約100gの固有
粘度η1 が0.547dl/gの溶融重合ポリエステル
樹脂を製造した。
【0045】ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合
物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/
トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度
η2、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値
(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標
b値(b2)を表1に示した。 実施例2〜6、比較例4 実施例1において、各化合物の量を表1に示す原子の濃
度(モル/トン)とした他は、同様な方法で溶融重合ポ
リエステル樹脂を製造した。
【0046】ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合
物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/
トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度
η2、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値
(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標
b値(b2)を表1に示した。 実施例7〜8 実施例1において、エチルアシッドホスフェート、酢酸
マグネシウム4水和物、二酸化ゲルマニウム及びテトラ
−n−ブチルチタネートを、この順序で、順次5分間隔
で、各化合物の量を表1に示す原子の濃度(モル/ト
ン)となるようにエチレングリコール溶液として添加し
た他は、同様な方法で溶融重合ポリエステル樹脂を製造
した。
【0047】ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合
物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/
トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度
η2、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値
(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標
b値(b2)を表1に示した。 実施例9 実施例7において、テトラ−n−ブチルチタネートを添
加の5分後に色材を表1の量となるようにエチレングリ
コールスラリーとして添加した他は、同様な方法で溶融
重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0048】ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合
物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/
トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度
η2、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値
(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標
b値(b2)を表1に示した。 比較例1 実施例1において、テトラ−n−ブチルチタネート、酢
酸マグネシウム4水和物及びエチルアシッドホスフェー
トを、この順序で、順次5分間隔で、各化合物の量を表
1に示す原子の濃度(モル/トン)となるようにエチレ
ングリコール溶液として添加した他は、同様な方法で溶
融重合ポリエステル樹脂を製造した。
【0049】ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合
物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/
トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度
η2、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値
(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標
b値(b2)を表1に示した。 比較例2 実施例1において、テトラ−n−ブチルチタネートのみ
を添加した他は、同様な方法で溶融重合ポリエステル樹
脂を製造した。
【0050】ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合
物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/
トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度
η2、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値
(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標
b値(b2)を表1に示した。 比較例3 実施例1において、亜リン酸、酢酸コバルト4水和物及
びシュウ酸チタン酸カリウム2水和物を、この順序で、
順次5分間隔で各化合物の量を表1に示す原子の濃度
(モル/トン)となるようにエチレングリコール溶液と
して添加した他は、同様な方法で溶融重合ポリエステル
樹脂を製造した。
【0051】ポリエステル樹脂の製造中に添加した化合
物、得られたポリエステル樹脂中の原子の濃度(モル/
トン)、固有粘度η1 、ハンター色座標b値、固有粘度
η2、固有粘度η3 、加熱溶融後のハンター色座標b値
(b1)及び水中加熱後の加熱溶融後のハンター色座標
b値(b2)を表1に示した。次に、本発明のポリエス
テル樹脂が水中加熱処理を行うことで、触媒が失活する
性質を有するという効果をボトル成形評価として参考例
で示す。なお、実施例及び比較例で得られた溶融重合ポ
リエステルは、ボトルを成形するために、参考例の記載
の方法で固相重合を行い、固有粘度を大きくした。
【0052】参考例1 実施例1により得られた固有粘度0.547dl/gの
溶融重合ポリエステルチップを、約160℃に保持され
た撹拌結晶化機内に滞留時間が約5分となるように連続
的に供給して結晶化させ、イナートオーブン(ESPE
C社製「IPHH−201型」)中で、40リットル/
分の窒素気流下160℃で4時間乾燥させた後、210
℃で、固有粘度が0.75dl/gとなる時間加熱して
固相重縮合させた。この固相重縮合ポリエステル樹脂チ
ップ3kgを窒素気流下120℃に維持するとともに、
別途5Lのステンレス容器に純水3Lを投入し撹拌しな
がら、95℃に加熱した。水温が95℃になったところ
で、前記120℃に維持してあった固相重縮合ポリエス
テル樹脂チップ3kgをこのステンレス容器の水中に投
入し、その後4時間水中加熱処理を行った。尚、ステン
レス容器から水が溢れず、かつポリエステル樹脂チップ
が完全に水中に隠れるように随時純水量の調節を行っ
た。このようにして得られた水中加熱処理したポリエス
テル樹脂チップを用いて、以下に示すボトル成形評価を
行い、ボトルの色調及び金型汚染性を評価した。評価結
果は、ボトルの色調が無色良好:○であり、金型汚染性
については、表面平滑であり、異常なし:○であり、良
好であった。
【0053】なお、ボトル成形評価は、次のようにして
行った。 <ボトル成形評価>得られたポリエステル樹脂チップを
真空乾燥機にて130℃で10時間乾燥させた後、射出
成形機(日精樹脂工業社製「FE−80S」)にて、シ
リンダー温度280℃、背圧5×105 Pa、射出率4
5cc/秒、保圧力30×105 Pa、金型温度20
℃、成形サイクル約40秒で、外径29.0mm、高さ
165mm、平均肉厚3.7mm、重量60gの試験官
状の予備成形体(プリフォーム)を射出成形した。この
予備成形体を、石英ヒーターを備えた近赤外線照射炉内
で70秒間加熱し、25秒間室温で放置した後、160
℃に設定したブロー金型内に装入し、延伸ロッドで高さ
方向に延伸しながら、ブロー圧力7×105 Paで1秒
間、更に30×105 Paで40秒間ブロー成形、ヒー
トセットし、空冷することにより、外径約95mm、高
さ約305mm、胴部平均肉厚約0.37mm、重量約
60g、内容積約1.5リットルのボトルを500本成
形し、得られた500本目のボトルについて表面外観を
目視観察して以下の基準で金型汚染性を評価した。
【0054】 [色調] ○:無色良好。 △:底部の肉厚部分などが若干黄色く見える。 ×:ボトル全体が黄色く見え不可。 [金型汚染性] ○:表面平滑であり、異常なし。
【0055】 △:表面平滑性が若干劣るが、実用上問題なし。 ×:表面が荒れて粗面となり、異物の付着も認められ
る。 参考例2 参考例1において、水中加熱処理を行わない他は、同様
に固有粘度0.75dl/gの固相重縮合ポリエステル
樹脂チップを得た。該チップを用いてボトル成形評価を
行った。評価結果は、ボトルの色調は△であり、また金
型汚染性は△であった。
【0056】参考例3 参考例1において、実施例1により得られた溶融重合ポ
リエステルチップに代えて、比較例1により得られた固
有粘度0.554dl/gの溶融重合ポリエステル樹脂
チップを使用した他、参考例1と同様に水中加熱処理し
たポリエステル樹脂チップを得た。該チップを用いてボ
トル成形評価を行った。評価結果は、ボトルの色調は×
であり、また金型汚染性は×であった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】表1中、TBTはテトラ−n−ブチルチタ
ネート、PTOはシュウ酸チタン酸カリウム2水和物、
EAPはエチルアシッドホスフェート、酢酸Mgは酢酸
マグネシウム4水和物、酢酸Coは酢酸コバルト4水和
物、色材の青はクラリアント社製ESTFOIL bl
ue SRBL、色材の赤はクラリアント社製SAND
PLAST RED Gを示す。
【0060】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂は、チタン化
合物を重縮合触媒として使用して重合するにもかかわら
ず、水中加熱処理を行うことで、触媒が失活する性質を
有し、そのため再溶融成形時の熱安定性が改良され成形
品の色調が良好なものとなり、また、成形時のポリエス
テル環状低量体の副成を低減できるため、金型汚れが少
なく成形用途に好適である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジカルボン酸またはそのエステル
    形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレ
    ングリコールを主成分とするジオール成分とを、触媒と
    してチタン化合物をチタン原子(Ti)としてポリエス
    テル樹脂1トン当たり0.002〜1.0モルの存在下
    で重合することにより、製造することができるポリエス
    テル樹脂であって、該ポリエステル樹脂の固有粘度がη
    1 で、固有粘度η1 の樹脂を窒素ガス流通下210℃、
    10時間加熱処理したポリエステル樹脂の固有粘度をη
    2 、別途、固有粘度η1 の樹脂を95℃の水中加熱処理
    を4時間行った後に窒素ガス流通下210℃、10時間
    加熱処理したポリエステル樹脂の固有粘度をη3 とした
    場合、η1 、η2 及びη3 が式1を満たすことを特徴と
    するポリエステル樹脂。 【数1】 (η3 −η1 )/(η2 −η1 )<0.90 …式1
  2. 【請求項2】 ポリエステル樹脂1トン当たり、チタン
    原子(Ti)が0.002〜0.5モル、リン原子
    (P)が0.02〜4モル、チタン原子(Ti)及びリ
    ン原子(P)以外の金属原子(M)が0.04〜5モル
    含まれることを特徴とする請求項1に記載のポリエステ
    ル樹脂。
  3. 【請求項3】 チタン原子(Ti)及びリン原子(P)
    以外の金属原子が、アルカリ金属、アルカリ土類金属及
    びマンガンから選択される少なくとも1種であることを
    特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹
    脂。
  4. 【請求項4】 ポリエステル樹脂1トン当たりのアルカ
    リ金属、アルカリ土類金属及びマンガンから選択される
    少なくとも1種の金属原子の合計の含有量M′(モル)
    と、チタン原子の含有量Ti(モル)とが、式2を満た
    すことを特徴とする請求項1または2に記載のポリエス
    テル樹脂。 【数2】 2.5≦M′/Ti≦250 …式2
  5. 【請求項5】 ポリエステル樹脂1トン当たり、チタン
    原子(Ti)が0.002〜0.06モル、リン原子
    (P)が0.02〜1モル、マグネシウム原子(Mg)
    が0.2〜2モル含まれることを特徴とする請求項3ま
    たは4に記載のポリエステル樹脂。
  6. 【請求項6】 固有粘度が0.100〜1.500dl
    /g、ハンター色座標b値が3未満であることを特徴と
    する請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリエス
    テル樹脂。
  7. 【請求項7】 芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸ま
    たは2,6−ナフタレンジカルボン酸であることを特徴
    とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリエ
    ステル樹脂。
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