JP4459712B2 - ポリエステル製造用触媒およびそれを用いたポリエステル - Google Patents
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並びに上記一般式(I)で表されるチタン化合物(1)、及び下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸
又はその無水物とを反応させて得られたチタン化合物(2)から選ばれた少なくとも一種からなるチタン化合物成分と、
ブトキシエチルアシッドホスフェートのモノエステル又はジエステルであるリン化合物(3)の反応生成物であり、微粉砕化処理により平均粒径が10μm以下であるポリエステル製造用触媒を使用する事によって達成することができる。
(触媒)
本発明においてポリエステル製造用触媒は、チタン化合物、必要な芳香族多価カルボン酸、リン化合物の反応生成物であり、それを微粉砕化処理したものである。チタン化合物としては、下記一般式(I)で表されるチタン化合物(1)を用いることが必要である。
具体的には、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド又はチタンテトラエトキシドに例示されるテトラアルキルチタネート(チタンテトラアルコキシド)、ヘキサアルキルジチタネート及びオクタアルキルトリチタネートよりなる群から少なくとも1種選ばれる化合物を好ましく挙げることができるが、なかでも本発明において使用されるリン化合物成分との反応性の良好なチタンテトラアルコキシド類を用いることが好ましく、特にテトラブチルチタネートを用いることがより好ましい。
具体的にはフタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸及びピロメリット酸並びにそれらの無水物よりなる群から少なくとも1種選ばれる化合物を好ましく用いることができる。特に、チタン化合物(1)との反応性がよく、また得られるポリエステル製造用触媒がポリエステルとの親和性が高いトリメリット酸無水物を用いることがより好ましい。これらの芳香族多価カルボン酸又はその無水物は1種又は複数種を併用して用いても良い。
これらの中でpがより大きい化合物が好ましいと考えられる。これらのリン化合物は単一種を用いても複数種を併用して用いても良い。特に工業的に生産されており入手が容易という点で、ブトキシエチルアシッドホスフェート(上記式(II)において、R2がブチル基、n=2、p=1、m=1、2の化合物に対応する。)が好ましい。このリン化合物を用いることで、本発明の効果が実現できると考えられる。その原因の詳細は不明であるが、分散に用いるグリコールとの親和性が関連していると考えられる。
次に、本発明のポリエステル製造用触媒を用いたポリエステルの製造方法について説明する。本発明の触媒を用いてポリエステルを製造する際には、例えば芳香族ポリエステルを製造する場合には、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、脂肪族グリコールとを重縮合させて製造することができる。
ここで芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸若しくはジフェノキシエタンジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を用いることができる。なおエステル形成性誘導体と具体的には低級アルキルエステル又は酸ハライドを挙げることができる。これらの中でもテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を用いることが好ましい。脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール又はドデカメチレングリコールを用いることができる。これらの中でもエチレングリコールを用いることが好ましい。これら芳香族ジカルボン酸、そのエステル形成製誘導体及び脂肪族グリコールは単一種を用いても複数種を併用して用いても良い。
まず、上記の原料を用いてポリエステルを製造するに際しては、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを直接エステル化反応させるか、芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体と脂肪族グリコールとをエステル交換反応させるか、又は芳香族ジカルボン酸にアルキレンオキサイドを付加反応させるなどしてオリゴマーを得た後、本発明のポリエステル製造用の重縮合触媒を用いて重縮合反応させるのが好ましい。例えば直接エステル化する具体的な方法においては、まず芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを含むスラリーを調製する。このようなスラリーには芳香族ジカルボン酸1モルに対して、通常1.1〜1.6モル、好ましくは1.2〜1.4モルの脂肪族グリコールが含まれる。次にこのスラリーは、エステル化反応工程に連続的に供給される。エステル化反応は、反応物を自己循環させなから一段で実施する方法、又は2つ以上のエステル化反応器を直列に連結し実施する方法が好ましく、いずれも脂肪族グリコールが還流する条件下で、反応によって生成した水を精留塔で系外に除去しながら行う。反応物を自己循環させなから一段で連続的にエステル化を行う場合の反応条件は、通常反応温度が240〜280℃、好ましくは250〜270℃であり、反応圧力は常圧〜0.3MPaの条件下で行われ、エステル化率が通常90%以上、好ましくは95%以上になるまで反応させることが望ましい。
次に液相重縮合工程において、上記した重縮合触媒の存在下にエステル化工程で得られたオリゴマーを、減圧下でかつポリエステルの融点以上の温度(通常240〜300℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応の脂肪族グリコール及び重縮合で発生する脂肪族グリコールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。重縮合反応は1槽で行ってもよく、複数の槽に分けて行ってもよい。例えば重縮合反応が2つの槽(2段階)で行われる場合には、第1槽目の重縮合反応は反応温度が245〜290℃、好ましくは260〜280℃、圧力が100〜1kPa、好ましくは50〜2kPaの条件下で行われる。最終第2槽での重縮合反応は、反応温度が265〜300℃、好ましくは270〜290℃、反応圧力は通常1000〜10Paで、好ましくは500〜30Paの条件下で行われる。
上記重縮合反応で得られたポリエステルは、必要に応じて、更に固相重縮合反応させることもできる。固相重縮合反応に供給される粒状ポリエステルは、予め固相重縮合を行う温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重縮合工程に供給すると、固相重合反応中に粒状のポリエステル同士及び/又は粒状ポリエステルの反応容器内壁への融着を抑止することができるので好ましい。
(1)固有粘度:
ポリエステル試料0.6gをo−クロロフェノール50cc中に加熱溶解した後、一旦冷却させた溶液をウベローデ式粘度計を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出して求めた。
(2)色相(Col):
粒状のポリマーサンプルを160℃×90分乾燥機中で熱処理し、結晶化させた後、カラーマシン社製CM−7500型カラーマシンで測定してL値、b値を求めた。なお、固相重縮合反応後のサンプルについては、160℃×90分の熱処理工程を行わないこと以外は同様に測定して求めた。
(3)ヘーズ:
ボトル形成用プリフォームを射出成形開始後、5ショット目以降のいずれか1個をサンプルとし、プリフォーム成形体胴部の長さ方向で中央箇所をサンプリングし、日本電色工業株式会社製濁度計(HD−1001DP)を用いて求めた。
(4)アセトアルデヒド含有量:
アセトアルデヒド(以下、「AA」と略記する。)含有量は、サンプルを凍結粉砕しバイアル瓶に仕込み、150℃×60分間保持し、株式会社日立製作所製ヘッドスペースガスクロマトグラフィーを用いて求めた。
(5)金属含有濃度分析(触媒中):
触媒中のチタン、リン原子濃度は、乾燥したサンプルを走査電子顕微鏡(SEM;日立計測機器サービス株式会社製S570型)にセットし、それに連結したエネルギー分散型X線マイクロアナライザー(XMA;株式会社堀場製作所製EMAX−7000)を用い定量分析して求めた。
(6)金属含有濃度分析(ポリエステルポリマー中):
ポリエステル中の残留触媒金属濃度は、粒状のポリマーサンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平坦面を有する試験成形体を作成し、蛍光X線装置(理学電機工業株式会社製3270E型)を用いて求めた。
(7)環状三量体(Cy−3)含有量:
環状三量体(以下、Cy−3と略記する。)含有量は、サンプルを粉砕機で粉砕しその一定量を秤量し、これを少量のヘキサフロロイソプロパノール/クロロホルム混合溶液中に溶解し、この溶液をクロロホルムで一定濃度(50g/リットル)に希釈した。この試料溶液をゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC;Waters社製ALC/GPC244型)に供して、低分子量領域を分離しかつそのピークを検出し、Cy−3の標準サンプルから求めた検量線を基準にして求めた。
(8)触媒の平均粒径:
レーザー散乱式粒度分布測定器(島津製作所(株)製SALD2000)を用いて測定した積算粒度分布から、積算粒子数(体積換算)50%の粒子径を平均粒径とした。
(9)微粉砕化処理:
アイメックス(株)製撹拌式ミル(5L容積)に東芝バロティーニ製ガラスビーズEGB−503MMを80%充填し、流量30L/hで1回処理した。
チタン化合物成分の調製:
溶液を混合撹拌できる機能を備え付けた2リットル容量の三ツ口フラスコを準備し、その中にエチレングリコール919部と無水トリメリット酸80部を入れて混合撹拌した中に、チタンテトラブトキシド71部をゆっくり徐々に添加し、透明なチタン化合物のエチレングリコール溶液を得た。以下、この溶液を「TB溶液」と略す。本溶液のチタン濃度を蛍光X線を用い測定したところ、1.02wt%であった。
加熱し混合撹拌できる機能を備え付けた2リットルの三ツ口フラスコを準備し、その中にエチレングリコール256部を入れて撹拌しながら100℃まで加熱した。その温度に達した時点で、城北化学工業(株)社製のブトキシエチルアシッドホスフェート(商品名JP−506H、モノエステル[m=1]とジエステル[m=2]の重量比4:6の混合物)を21.1部添加し、加熱混合撹拌して溶解し透明な溶液を得た。以下、この溶液を「P1溶液」と略す。
撹拌下で100℃に加熱コントロールした上記の「TB溶液」中に、「P1溶液」全量を添加した後、100℃の温度で1時間撹拌保持した。この時の「P1溶液」、および「TB溶液」の配合量比は、チタン原子、リン原子のモル濃度比が1:2に調整されたものとなっており、次に、撹拌式ミルを使用して、微粉砕化の処理を行い、処理時間等の処理条件を調整し、平均粒径5μmの触媒を得た。得られた触媒を以下「TP1−5触媒」と略す。得られた触媒中のチタン原子/リン原子のモル比は1:2であった。
実施例1において、撹拌式ミルを使用して、微粉砕化の処理を行い、処理時間等の処理条件を調整し、平均粒径10μmの触媒としたこと以外は基本的に同様な処理を行った。得られた触媒を以下「TP1−10触媒」と略す。得られた触媒中のチタン原子/リン原子のモル比は1:2であった。
実施例1において、微粉砕化の処理を行わなかった事以外は、基本的に同様な装置及び手順で反応を実施して触媒を得た。なおこの触媒の平均粒径は20μmであった。得られた触媒を以下「TP1−20触媒」と略す。得られた触媒中のチタン原子/リン原子のモル比は1:2であった。
実施例1において、撹拌式ミルを使用して、微粉砕化の処理を行い処理時間等の処理条件を調整し、平均粒径15μmの触媒としたこと以外は、基本的に同様な処理を行った。得られた触媒を以下「TP1−15触媒」と略す。得られた触媒中のチタン原子/リン原子のモル比は1:2であった。
予め225部のオリゴマーが滞留する反応器内に、撹拌下窒素雰囲気で255℃、常圧下に維持された条件下に、179部の高純度テレフタル酸と95部のエチレングリコールとを混合して調製されたスラリーを一定速度供給し、反応で発生する水とエチレングリコールを系外に留去ながら、エステル化反応を4時間し反応を完結させた。この時のエステル化率は98%以上で、生成されたオリゴマーの重合度は、約5〜7であった。
比較例5として、重縮合触媒として、三酸化アンチモンの1.3%濃度エチレングリコール溶液に変更し、その溶液の投入量を4.83部とし、更に安定剤としてトリメチルホスフェートの25%エチレングリコール溶液を0.121部を投入したこと以外は実施例3と同様に、溶融重合(液相重縮合)、固相重合の操作を行った。得られたポリエチレンテレフタレートの品質を表1に示した。尚使用した三酸化アンチモン触媒は、完全にエチレングリコール溶液に溶解していた。また実施例3と同様にしてプリフォーム成形体を作成し、測定評価を行った。結果を表2に示した。
Claims (9)
- 下記一般式(I)により表されるチタン化合物(1)、
並びに上記一般式(I)で表されるチタン化合物(1)、及び下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸
又はその無水物とを反応させて得られたチタン化合物(2)から選ばれた少なくとも一種からなるチタン化合物成分と、
ブトキシエチルアシッドホスフェートのモノエステル又はジエステルであるリン化合物(3)の反応生成物であり、微粉砕化処理により平均粒径が10μm以下であるポリエステル製造用触媒。 - 微粉砕化の処理を撹拌式ミル及び/又は高速回転粉砕機で実施する請求項1記載のポリエステル製造用触媒。
- 含有しているチタン原子とリン原子のモル比が1:1〜1:4である請求項1又は2記載のポリエステル製造用触媒。
- チタン化合物(1)が、テトラアルキルチタネート、ヘキサアルキルジチタネート及びオクタアルキルトリチタネートよりなる群から少なくとも1種選ばれる化合物である請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステル製造用触媒。
- 芳香族多価カルボン酸又はその無水物が、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸及びピロメリット酸並びにそれらの無水物よりなる群から少なくとも1種選ばれる化合物である請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステル製造用触媒。
- チタン化合物成分とリン化合物(3)の反応温度が50〜200℃である請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエステル製造用触媒。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の触媒を用いて製造されチタン元素を1〜50ppm含有するポリエステル。
- ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである請求項7記載のポリエステル。
- 固有粘度が0.70〜1.0dL/g、環状三量体の含有量が0.5wt%以下及びアセトアルデヒド含有量が5ppm以下である請求項7又は8記載のポリエステル。
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