JP4107699B2 - ハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液およびその調製方法、ポリエステル製造用触媒、ポリエステルの製造方法 - Google Patents
ハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液およびその調製方法、ポリエステル製造用触媒、ポリエステルの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、ハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液、その調製方法、この反応液を用いた高活性ポリエステル製造用触媒およびこの触媒を用いるポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
ポリエチレンテレフタレートは、機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリア性に優れており、ジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填容器およびフィルム、シートなどに成形され、広く利用されている。
【0003】
このようなポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合反応させて得られるが、一般的には、まずテレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応により低次縮合物(エステル低重合体)を形成し、次いでこの低次縮合物を脱グリコール反応(液相重縮合)させて高分子量化し(極限粘度[IV]を高めて)、固体状ポリエチレンテレフタレートとしている。通常はこの液相重縮合に続いて固相重縮合を行なって、ポリエチレンテレフタレートの極限粘度[IV]をさらに高めている。
【0004】
上記のようなポリエチレンテレフタレートの製造では、特に液相重縮合工程に要する時間が長く、すなわちポリエチレンテレフタレートが所望の極限粘度に達するまでに長時間を要するとともに、この工程は高温加熱下に行なわれるので反応時間が長い程ポリエチレンテレフタレートが着色しやすいという問題点がある。
【0005】
このため高活性触媒を用いて重合速度を速め、液相重縮合時間を短縮させることが望ましく、このような高活性重縮合触媒として、従来アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物などが用いられている。
【0006】
しかしながらアンチモン化合物は、不純物として砒素を含むという問題がある。またゲルマニウム化合物は高価であるという問題点がある。このためゲルマニウム化合物を触媒として用いるときには、製品コスト高を招かないように重合時に飛散するゲルマニウム化合物を回収して再利用するなどのプロセスが検討されるなどしているが、これによってプロセスの煩雑化を招いたり、回収されたゲルマニウム化合物の再利用によるポリエステルの品質低下を招くおそれがある。
【0007】
本発明者は、上記のような従来技術に鑑みてポリエステル製造時の重縮合触媒について鋭意研究したところ、ハロゲン化チタンと、エチレングリコールとの反応液であって、かつ反応液中のX/Ti(モル比)が0<(X/Ti)≦1であるような反応液は、砒素含有の問題がなくかつ安価であり、しかもポリエステル製造用触媒として、ゲルマニウム化合物あるいはアンチモン化合物と同等あるいはそれ以上の重合活性を示すことを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
なお重縮合触媒としてエチレングリコールチタネートなどのグリコールチタネートを用いることは知られており、たとえば特公昭46−3395号公報には、シュウ酸またはそのアルキルエステルを添加して白度の向上したポリエステルを製造する際の重縮合触媒としてグリコールチタネートを用いることが提案されている。この公報には、エチレングリコールチタネートは、テトラアルキルチタネート、ハロゲン化チタンなどのチタン化合物を、エチレングリコール中で加熱することにより、最終的に白色の沈澱すなわち固体で得られることが記載されている。
【0009】
また特公昭57−46450号公報には、ポリエステルとポリアルキレングリコールとを重縮合させてブロックポリエーテルエステルを製造する際の重縮合触媒としてエチレングリコールチタネートなどの有機チタン化合物を用いることが開示されており、特開昭49−57092号公報および特公昭55−30010号公報にはポリメチレンテレフタレート製造時に、また特公昭55−7853号公報にはポリエステル製造時に、テレフタル酸とアルキレングリコールとのエステル交換触媒として、グリコールチタネートを用いることが開示されている。このうち特公昭55−30010号公報には、グリコールチタネートがアルコキシチタンTi(OR)4と、グリコール類とのエステル交換物として得られることが開示されている。
【0010】
本発明者の研究では、このようにアルコキシチタンとエチレングリコールとを反応させると、反応生成物であるエチレングリコールチタネートは、通常、エチレングリコールに不溶の固体で得られるという知見を得ている。
【0011】
【発明の目的】
本発明は、ハロゲン含有量の少ないハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液、その調製方法、この反応液からなる高活性ポリエステル製造用触媒およびこの触媒を用いるポリエステルの製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】
本発明に係るハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液は、TiX4(Xはハロゲン)と、エチレングリコールとの反応液であって、反応液中のXとTiとのモル比X/Tiが0<(X/Ti)≦1であることを特徴としている。
【0013】
このような反応液は、TiX4(Xはハロゲン)とエチレングリコールとの混合液を、該混合液中に不活性ガスをバブリングしながら100〜150℃で加熱して、得られる反応液中のX/Ti(モル比)を0<(X/Ti)≦1とすることにより得ることができる。
【0014】
上記TiX41モルに対して、エチレングリコールを5モル以上の量で用いることが望ましい。
本発明に係るポリエステル製造用触媒は、上記のようなハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液からなることを特徴としている。
【0015】
本発明に係るポリエステルの製造方法は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮合させてポリエステルを製造するに際して、上記ポリエステル製造用触媒を用いることを特徴としている。
【0016】
上記において、通常ジカルボン酸は芳香族ジカルボン酸を含み、ジオールは脂肪族ジオールを含んでおり、脂肪族ジオールはエチレングリコールであることが望ましい。
【0017】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液、その調製方法、ポリエステル製造用触媒、およびこの触媒を用いたポリエステルの製造方法について具体的に説明する。
【0018】
ハロゲン化チタン・エチレングリコール反応液
本発明に係るハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液は、TiX4(Xはハロゲン)と、エチレングリコールとの反応液であって、反応液中のXとTiとのモル比X/Tiが0<(X/Ti)≦1であることを特徴としている。
上記ハロゲンXは、Cl、Br、I、Fであるが、とくにTiX4としては四塩化チタンが好ましい。
【0019】
本発明に係るハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液は、後述するような調製方法によりTiX4とエチレングリコールとの反応液から、ハロゲン量が低減されたものであり、ハロゲンを少量含有している。このような反応液中のXとTiとのモル比X/Tiは、通常0<(X/Ti)≦1であって、好ましくは0<X/Ti≦0.75、さらに好ましくは0.1≦X/Ti≦0.5であることが望ましい。
【0020】
本発明では、上記のような反応液は、ハロゲン化チタンTiX4と、エチレングリコールとの混合液を、該混合液中に不活性ガスをバブリングしながら100〜150℃で加熱して、得られる反応液中のX/Ti(モル比)を0<(X/Ti)≦1とすることにより調製することができる。
【0021】
ハロゲン化チタンと、エチレングリコールとを混合する際には、Tiに対してエチレングリコールを過剰量で用いることが望ましく、エチレングリコールを、TiX41モルに対して、通常5モル以上、好ましくは10モル以上、より好ましくは20モル以上の量で用いることが望ましい。
【0022】
ハロゲン化チタンと、エチレングリコールとの混合は、エチレングリコールにハロゲン化チタンを徐々に添加(たとえば滴下)することにより行なわれることが望ましい。この混合により液温は通常上昇するが、混合開始から混合終了までの液温を0〜115℃の温度下に行なうことが望ましい。
【0023】
次いで得られた混合液を、該混合液中に不活性ガスをバブリングしながら100〜150℃、好ましくは120〜145℃、さらに好ましくは135〜145℃の温度で加熱する。この加熱は通常常圧下に行われ、バブリングは、混合液内に混合液1Lあたり20〜1000L/hrの量で不活性ガスを吹き込み、流通させることにより行なわれる。不活性ガスとしては、窒素、アルゴンなどを用いることができる。不活性ガスは乾燥して用いることが好ましい。
【0024】
上記のような加熱下でのバブリングは、最終的に得られる反応液中のハロゲン量が0<X/Ti(モル比)≦1となるように行なえばよいが、通常、5〜30時間、好ましくは8〜20時間行なわれる。
【0025】
なお加熱温度が上記よりも高いと固体反応物が生成して白濁した反応液が得られることがある。また加熱温度が上記よりも低いと反応液中のハロゲン量をX/Ti(モル比)≦1とすることが困難である。
【0026】
上記のようなハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液は、ポリエステル製造用触媒として用いたときに、高活性を示し、重合速度が速いので、特に液相重縮合時間に要する時間を短縮することができる。
【0027】
ポリエステルの製造
本発明では、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮合させてポリエステルを製造するに際して、上記のようなハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液を触媒として用いている。
【0028】
このジカルボン酸としては、テレフタル、フタル酸(オルトフタル酸)、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。ジカルボン酸を2種以上用いてもよく、ジカルボン酸のエステル形成性誘導体を用いてもよい。以下ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を単にジカルボン酸という。
【0029】
ジカルボン酸は、これらのうちでも芳香族ジカルボン酸を含むこと好ましく、特にテレフタル酸を含むことが好ましい。
またジオールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジオール類などが挙げられる。ジオールを2種以上用いてもよく、ジオールのエステル形成性誘導体を用いてもよい。以下ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を単にジオールという。
【0030】
ジオールは、これらのうちでも脂肪族ジオールを含むことが好ましく、特にエチレングリコールを含むことが好ましい。
また本発明では、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物を少量、たとえばジカルボン酸100モル%に対して2モル%以下の量で用いてもよい。
【0031】
本発明では、上記のうちでも特にテレフタル酸と、エチレングリコールとからポリエチレンテレフタレートを製造することが好ましい。
上記のようなジカルボン酸とジオールとを重縮合反応させてポリエステルを製造するに際して、通常、ジカルボン酸とジオールとをエステル化反応させて、低次縮合物(エステル低重合体)を得た後、この低次縮合物を、上記したような反応液からなる触媒の存在下に重縮合反応させる。
【0032】
具体的には、まずジカルボン酸とジオールとを含むスラリーを調製してエステル化反応に供する。スラリー調製時には、ジカルボン酸1モルに対して、通常1.02〜2.0モル好ましくは1.03〜1.5モルのジオールが用いられる。
【0033】
エステル化反応は、ジカルボン酸とジオールとの反応によって生成した水あるいはアルコールを系外に除去しながら実施されるが、このエステル化反応は一段で行ってもよく、また2以上のエステル化反応器を直列に連結した装置を用いてジオールが還流する条件下に多段で実施することもできる。
【0034】
たとえばテレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応は、通常240〜280℃好ましくは245〜275℃、0〜3kg/cm2G好ましくは0〜2kg/cm2Gの条件下で行なうことができる。
【0035】
またこのエステル化反応を多段で行う場合には、第1段目の反応は、通常240〜270℃好ましくは245〜265℃、0.2〜3kg/cm2G好ましくは0.5〜2kg/cm2Gの条件下で行なわれ、最終段目の反応は、通常250〜280℃好ましくは255〜275℃、0〜1.5kg/cm2G好ましくは0〜1.3kg/cm2Gの条件下で行われる。
【0036】
エステル化反応が3段以上で実施される場合には、第2段目から最終段の1段前までの反応は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件下で行われる。たとえばエステル化反応が3段で実施される場合には、第2段目の反応は、通常245〜275℃好ましくは250〜270℃、0〜2kg/cm2G好ましくは0.2〜1.5kg/cm2Gの条件下で行われる。
【0037】
これらの各段におけるエステル化反応の反応率は特に制限されないが、各段におけるエステル化反応率の上昇の度合が滑らかに分配されることが好ましく、さらに最終段目でのエステル化反応生成物においては通常は90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。
【0038】
エステル化反応は、ジカルボン酸およびジオール以外の添加物を添加せずに実施することも可能であり、また反応液からなる触媒の存在下に実施することも可能であるが、塩基性化合物を少量添加して実施することができる。
【0039】
塩基性化合物としては、たとえばトリメチルアミン、トリn-ブチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラn-ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムなどの第4級アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムなどを用いることができる。エステル化反応をこのような塩基性化合物の存在下に行なうと、ジオキシエチレンテレフタレート単位の含有量が少ない低次縮合物を得ることができる。
【0040】
上記のようなエステル化反応では、通常数平均分子量が500〜5000の低次縮合物が得られる。
次いでこのような低次縮合物を重縮合反応(液相重縮合)させるが、本発明ではこの液相重縮合を、上記したような反応液からなる触媒の存在下に行っている。
【0041】
重縮合反応では、ジカルボン酸1モルに対して、触媒中のチタン換算で、0.005〜0.2モル%好ましくは0.01〜0.1モル%の量の触媒が存在することが望ましい。
【0042】
この触媒は、重縮合時に反応系に存在していればよく、上記したようにエステル化反応時に添加されていてもよく、重縮合反応時に添加してもよい。
重縮合反応は、上記触媒の存在下、低次縮合物を減圧下で、得られるポリエステルの融点以上の温度に加熱して、生成するジオールを反応系外に留去させながら行われる。
【0043】
本発明では、この液相重縮合反応を1段で行なっても複数段に分けて行なってもよい。
たとえば重縮合反応を複数段で行なってポリエチレンテレフタレートを製造する場合には、第1段目の反応は、通常250〜290℃好ましくは260〜280℃、500〜20Torr好ましくは200〜30Torrの条件下で、また最終段目の反応は、通常265〜300℃好ましくは270〜295℃、10〜0.1Torr好ましくは5〜0.1Torr特に好ましくは2〜0.1Torrの条件下で行われる。
【0044】
重縮合反応が3段以上で実施される場合には、第2段目から最終段目の1段前までの重縮合反応は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間の条件下で行われる。たとえば重縮合反応が3段階で実施される場合には、第2段目の反応は、通常260〜295℃好ましくは270〜285℃、50〜2Torr好ましくは40〜5Torrの条件下で行われる。
【0045】
上記のような重縮合反応は、リン化合物の存在下に行うこともできる。
リン化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリn-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、メチルアッシドホスフェート、イソプロピルアッシドホスフェート、ブチルアッシドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステルおよびリン酸、ポリリン酸などを用いることができる。
【0046】
このようなリン化合物は、ジカルボン酸1モルに対して、リン原子換算で、0.005〜0.2モル%好ましくは0.01〜0.1モル%の量で反応系に存在することが望ましい。
【0047】
本発明では、上記のような液相重縮合で得られるポリエステルの極限粘度[IV]は、通常0.4〜1.0dl/g好ましくは0.5〜0.9dl/gであることが望ましい。
【0048】
上記液相重縮合で得られたポリエステルは、通常溶融押出成形され、粒状(チップ状)に成形される。
本発明では、この液相重縮合で得られたポリエステル(チップ)をさらに重縮合反応(固相重縮合)させることもできる。
【0049】
ポリエステル(チップ)を固相重縮合に供給するに先立って、予め固相重縮合温度よりも低い温度でポリエステルチップを加熱して予備結晶化することもできる。
【0050】
ポリエステルチップの予備結晶化は、具体的には、ポリエステルチップを乾燥状態で通常、120〜200℃、好ましくは130〜180℃で、1分間ないし4時間加熱することによって行なうことができ、あるいはポリエステルチップを、水蒸気、水蒸気含有不活性ガスあるいは水蒸気含有空気雰囲気下で、通常120〜200℃で1分間以上加熱することによって行なうこともできる。
【0051】
このようなポリエステルチップの固相重縮合工程は、少なくとも1段からなり、通常、190〜230℃、好ましくは195〜225℃、1kg/cm2G〜10Torr、好ましくは常圧から100Torrの条件下、不活性ガス雰囲気で実施される。
【0052】
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、炭酸ガスなどが挙げられるが、窒素ガスが好ましい。
上記のような固相重縮合工程で得られるポリエステルの極限粘度は、通常0.6〜1.0dl/g好ましくは0.75〜0.95dl/gであることが望ましい。
【0053】
なお本明細書において、極限粘度[IV]は、ポリエステル1.2gをo-クロロフェノール15ml中に加熱溶解した後、冷却して25℃で測定された溶液粘度から算出される。
【0054】
上記のようなエステル化反応工程と重縮合(液相、固相)工程とを含むポリエステルの製造工程は、バッチ式、半連続式のいずれでも行うことができる。
上記のような本発明で得られるポリエステルは、従来公知の添加剤、たとえば安定剤、離型剤、帯電防止剤、分散剤、染顔料などの着色剤を添加して用いることができる。本発明では、このような添加剤を、上記ポリエステル製造工程のいずれかの段階で添加してもよい。また予め添加剤を高濃度で含むポリエステルマスターバッチを調製して、成形加工時に該マスターバッチとポリエステルとを混合してもよい。
【0055】
【発明の効果】
上記のようにハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液であって、かつハロゲン含有量の少ない反応液を、重縮合触媒として用いると、液相重縮合時間を短縮することができ、生産効率よくポリエステルを製造することができる。また重縮合時の着色を抑制し、色相および透明性に優れたポリエステルを得ることができる。
このような本発明で得られるポリエステルは、ボトル、シート、フィルム成形用材料として好適に用いられる。
【0056】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、反応液(または固体)中のTi量は、試料(反応液)を灰化した後、硫酸水素カリウムで溶融し、希硝酸に溶解してICP(誘導結合形プラズマ分析法)で測定した。反応液中のCl量は、試料(反応液)をフラスコ燃焼法で処理した後、イオンクロマトグラフ法で測定した。
【0057】
【実施例1】
触媒の調製
エチレングリコールを161.57g装入した300mlのフラスコに、四塩化チタンを16.61g装入した滴下ロートを備え付け、バブリング用チューブ(内径1mmのテフロンチューブ)をフラスコ内のエチレングリコール中に導入し、モレキュラーシーブで乾燥した窒素を流量50L/hrで導入した。
【0058】
系内を窒素置換し、オイルバスで系内を50℃に保温しながら、50分かけて四塩化チタンを滴下した。滴下終了時の温度は65℃になっていた。
滴下終了後、窒素でバブリングしながら6時間、系内を130℃に加熱した。加熱後、窒素雰囲気で放冷し、無色透明の液体(反応液)約72gを得た。
得られた反応液のTi含有量は6.1重量%、Cl含有量は2.3重量%であった。Cl/Ti(モル比)は0.51であった。
【0059】
エステル化反応
以下のようにして、エチレングリコールとテレフタル酸との低次縮合物を連続的に製造した。
予め33500重量部の反応液(定常運転時)が滞留する反応器内に、攪拌下、窒素雰囲気で260℃、0.9kg/cm2G に維持された条件下に、6458重量部/時の高純度テレフタル酸と、2615重量部/時のエチレングリコールとを混合して調製されたスラリーを連続的に供給し、エステル化反応を行なった。このエステル化反応では、水とエチレングリコールとの混合液が留去された。
【0060】
エステル化反応物(低次縮合物)は、平均滞留時間が3.5時間になるように制御して、連続的に系外に抜き出した。
上記で得られたエチレングリコールとテレフタル酸との低次縮合物の数平均分子量は600〜1300(3〜5量体)であった。
【0061】
液相重縮合
上記で調製された反応液を重縮合触媒として、上記で得られた低次縮合物の液相重縮合反応を行なった。
上記反応液を、低次縮合物中のテレフタル酸単位1モルに対して、Tiとして0.021モル%となる量で加えて、280℃、1Torrの条件下で重縮合反応を行なった。
ポリエチレンテレフタレートの極限粘度[IV]が0.56dl/gに達するまでに要した時間(液重時間)を表1に示す。
【0062】
【実施例2】
触媒の調製
実施例1と同様にエチレングリコールを装入した反応装置を窒素置換した後、系内を100℃に保温しながら、45分かけて四塩化チタンを滴下した。滴下終了時の温度は115℃になっていた。
四塩化チタンの滴下終了後、窒素でバブリングしながら系内を120℃で16時間加熱した。
加熱後、窒素雰囲気で放冷し、無色透明の液体(反応液)約102gを得た。
得られた反応液のTi含有量は3.7重量%、Cl含有量は1.7重量%であった。Cl/Ti(モル比)は0.62であった。
【0063】
液相重縮合
触媒として上記で得られた反応液を用いた以外は、実施例1と同様に低次縮合物の液相重縮合反応を行なった。
ポリエチレンテレフタレートの[IV]が実施例1と同一値(0.56dl/g)に達するまでに要した時間(液重時間)を表1に示す。
【0064】
【比較例1】
触媒の調製
実施例1と同様にエチレングリコールを装入した反応装置を窒素置換した後、24℃で、60分かけて四塩化チタンを滴下した。滴下終了時の温度は45℃になっていた。
四塩化チタンの滴下終了後、系内を実施例1と同様に窒素でバブリングしながら50℃で5時間加熱した。
加熱後、窒素雰囲気で放冷し、無色透明の液体(反応液)約152gを得た。
得られた反応液のTi含有量は2.3重量%、Cl含有量は4.7重量%であった。Cl/Ti(モル比)は2.86であった。
【0065】
液相重縮合
触媒として上記で得られた反応液を用いた以外は、実施例1と同様に低次縮合物の液相重縮合反応を行なった。
ポリエチレンテレフタレートの[IV]が実施例1と同一値(0.56dl/g)に達するまでに要した時間(液重時間)を表1に示す。
【0066】
【比較例2】
触媒の調製
テトラブトキシチタン8.5gを装入した50mlのフラスコを窒素置換した後、26℃で5分かけて3.2gのエチレングリコールをシリンジで滴下した。滴下終了時の温度は34℃になっていた。
【0067】
エチレングリコールの滴下終了後、系内を130℃で2時間加熱した。(窒素バブリングはしなかった)約7gの液体が留出した。
系内からは約4.2gの白色固体が得られた。
得られた固体のTi含有量は32.3重量%であった。
【0068】
液相重縮合
触媒として上記で得られた固体を用いた以外は、実施例1と同様に低次縮合物の液相重縮合反応を行なった。
ポリエチレンテレフタレートの[IV]が実施例1と同一値(0.56dl/g)達するまでに要した時間(液重時間)を表1に示す。
【0069】
【比較例3〜7】
液相重縮合
表1に示すような触媒を用いた以外は、実施例1と同様に低次縮合物の液相重縮合反応を行なった。ポリエチレンテレフタレートの[IV]が実施例1と同一値(0.56dl/g)に達するまでに要した時間(液重時間)を表1に示す。
【0070】
【表1】
Claims (7)
- TiX4(Xはハロゲン)と、エチレングリコールとの反応液であって、反応液中のXとTiとのモル比X/Tiが0<(X/Ti)≦1であることを特徴とするハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液。
- TiX4(Xはハロゲン)とエチレングリコールとの混合液を、該混合液中に不活性ガスをバブリングしながら100〜150℃で加熱して、得られる反応液中のX/Ti(モル比)を0<(X/Ti)≦1とすることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液の調製方法。
- 前記TiX41モルに対して、エチレングリコールを5モル以上の量で用いることを特徴とする請求項2に記載のハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液の調製方法。
- 請求項1に記載のハロゲン化チタンとエチレングリコールとの反応液からなることを特徴とするポリエステル製造用触媒。
- ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮合させてポリエステルを製造するに際して、請求項4に記載のポリエステル製造用触媒を用いることを特徴とするポリエステルの製造方法。
- ジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸を含み、ジオールが脂肪族ジオールを含むことを特徴とする請求項5に記載のポリエステルの製造方法。
- 脂肪族ジオールがエチレングリコールであることを特徴とする請求項6に記載のポリエステルの製造方法。
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