JP2005022354A - ハードコート処理物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐擦傷性とともに防汚性が付与され、環境にも優しい上、簡単な工程で容易に得ることのできるハードコート処理物品を提供すること。
【解決手段】基材の表面に、表面の鉛筆硬度H以上のフィルムが貼合されていることを特徴とするハードコート処理物品。フィルム表面の水の接触角は90°以上が好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、表面保護の目的でハードコートフィルムを貼合したハードコート処理物品に関する。詳しくは、耐傷性、防汚性に優れたハードコート処理物品に関する。特に、ハードコート処理を施したトイレ用床材、コンクリート型のせき板などに関する。
世の中が豊かになってくると、住居に対する快適さの要求は、温度、湿度の様な実用性に重点を置いた体に感じるものから、視覚的快適さの様な感性に訴える快適さへの要求へと重心が移ってくる。建築材料の内装材分野においては、視覚的な快適さへの要求の高まりとともに、傷や汚れに対するマイナスの感度が急激に高まってきている。
従来、傷防止のニーズは、画像表示装置の表示部等のように傷があると視認性を悪化するなど、明らかに実用上の価値が下がるものに限って高く、傷防止の発明も、傷があると画像や外の風景が見えなくなると言う実用上の理由から画像表示装置や窓ガラス、額縁等に対するものに極端に偏っていた。
皮肉なことに、これらの視認性そのものには高いニーズのなかった内装材、殊に床材は、外を歩いた砂の付いた靴で擦られたり、汚れを落とす目的でブラシ洗浄をされたり、ペットの爪で引掻かれたり、荷重が足部に集中する机などの家具が上に置かれたり、キャスター付き椅子や車椅子が上に乗ったり等、傷が付いたり汚れたりする機会が極めて多く、極めて過酷な条件で使用される。
視覚的な快適さの高まりから、これら内装材での傷防止や防汚性の付与が求められるようになってきているが、内装材分野においては傷が付かないことと同等に高意匠性も重要である。このため、画像表示装置の表示部等の視認性の維持を目的とした高表面硬度や耐擦傷性の付与の方法とは異なる技術が提案されている。たとえば、ウレタン樹脂等で塗装した樹脂系のシートを木質系の材料に貼合した化粧材が知られており(例えば、特許文献1〜4参照)、これらの方法により簡単な工程で意匠性を高め、ある程度の表面の硬度の改善、耐熱性の付与等が達成されている。しかしながら、高いレベルの表面高度と防汚性両立についてはいまだ不十分であり、建築現場や使用時における表面損傷、表面汚染等の問題があった。
一方、従来から基材の表面硬度、耐磨耗性、防汚性、耐薬品性、耐久性等を向上させる目的で、基材の表面に有機化合物を主体とする硬化樹脂を直接塗工し、硬化させるハードコート処理が、大型装置を用いないで処理が行えることから広く行われている。しかしながら、この方法では、割れや欠けなしに充分な表面硬度を得ることが難しい上、物品の形状によっては処理工程が煩雑となり容易に行えない。また、例えば床のフローリングなどの場合、ハードコート処理物品に一度傷がついてしまった場合に交換するのに手間が掛かる上、フローリング1ブロックを交換するため、傷がつかない部分まで廃材として処理されることになり、交換後の廃材が焼却処理されることを考えると、近年注目を集めている環境保全、二酸化炭素排出量削減の観点から好ましくない。
特開2001−232720号公報 特開2000−202810号公報 特開平5−208468号公報 特開平10−235771号公報
本発明の目的は、建築分野における内装材等の視認性の維持を特に目的とされていない物品において、耐擦傷性とともに防汚性が付与され、環境にも優しい上、容易に得ることのできるハードコート処理物品を提供することにある。
本発明者らは、ハードコート処理を施したい基材に、特定の表面硬度を有する特定のフィルムを貼合することにより、基材の形状を問わず思い通りの硬度と美観を有し、耐擦傷性および防汚性に優れ、意匠性が高く、しかも容易に貼合フィルムの交換も簡単なハードコート処理物品が容易に得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、上記課題は、下記の手段により解決される。
(1)波長380nmから780nmまでの光の平均透過率が10%以下で、かつ、波長380nmから780nmまでの光の平均鏡面反射率が50%以下の基材の表面に、表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムが貼合されていることを特徴とするハードコート処理物品。
(2)表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムが、水の接触角が90゜以上のフィルムであることを特徴とする上記(1)に記載のハードコート処理物品。
(3)表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムが、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかの原子と重合性基とを有する硬化性樹脂を含有する硬化性組成物が硬化した層を有するフィルムであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のハードコート処理物品。
(4)表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムが鉛筆硬度が4H以上のフィルムであることを特徴とする上記(1)〜(3)に記載のハードコート処理物品。
(5)表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムが#0000のスチールウールを用い、2N/cm2の荷重をかけ、50往復擦った後、表面の傷を観察したとき傷が見えないことを特徴とする請求項(1)〜(4)のいずれか1つに記載のハードコート処理物品。
(6)基材が、床材であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のハードコート処理物品。
(7)表面の鉛筆硬度がH以上のフィルム表面の鏡面反射率が2%以下であることを特徴とする上記(6)に記載のハードコート処理物品。
(8)表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムのヘイズが3%以上であることを特徴とする、上記(6)または(7)に記載のハードコート処理物品。
(9)基材が、トイレの床材であることを特徴とする上記(6)〜(8)のいずれかに記載のハードコート処理物品。
(10)基材が、コンクリート型枠用のせき板であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のハードコート処理物品。
(11)基材と表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムとが、JIS−K7106に準拠して測定した曲げこわさが100〜5000kg/cm2である粘着層を介して貼合されていることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載のハードコート処理物品。
本発明によれば、建築分野における内装材等の視認性の維持を特に目的とされていない物品においても、簡単な方法で、過酷な条件下で使用される時の傷を防止し、万一傷がついても貼り替えに伴う廃棄物の排出量を削減することができる。さらに、物品の意匠性を上げ、思い通りの美観を保ったまま、表面硬度と耐擦傷性を有するハードコート処理物品を得ることできる。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。なお、本願明細書において、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
〔基材〕
まず、本発明のハードコート処理物品の基材としては、用途に応じた物を使用すればよく、特に制限は無い。例えば、基材の形状としては、シート状、板状、その他立体物等がある。基材形状に応じて、シート状基材を使用すれば、ハードコート処理物品はシートとなり、板状基材を使用すれば、ハードコート処理物品は板となり、その他立体物の基材を使用すれば、ハードコート処理物品は立体物となる。また、ハードコート処理物品が装飾処理等による装飾効果を有し、該装飾効果を利用した装飾目的としてハードコート処理物品を使用すれば、ハードコート処理物品は、化粧材となる。化粧材は、形状がシートならば化粧シート、形状が板ならば化粧板、形状が立体物ならば化粧部材等として使用される。
基材の材料としては、樹脂、紙、織布、不織布、金属、木材等が使用される。
具体的には、例えば、シート状の基材の材料としては、樹脂、紙、織布、不織布、金属、木材等が使用される。
該樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド等の樹脂を、単体又は異種の2種以上の混合物からなる、単層又は積層体からなるシートが使用される。但し、ダイオキシン等の環境上の問題から塩化ビニル樹脂以外が好ましい。シートの厚み(積層体の場合は総厚)は20〜300μm程度である。
なお、上記熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレン(高密度、中密度、または低密度)、ポリプロピレン(アイソタクチック型、またはシンジオタクチック型)、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等が用いられる。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、上記に例示の如き結晶質ポリオレフィン樹脂からなるハードセグメントと、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アタクチックポリプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、水素添加スチレン−ブタジエンゴム等のエラストマーから成るソフトセグメントを混合して得られるものが好ましい。ハードセグメントとソフトセグメントとの混合比は、〔ソフトセグメント/ハードセグメント〕=5/95〜40/60(質量比)程度が好ましい。必要に応じて、エラストマー成分は、硫黄、過酸化水素等の公知の架橋剤によって架橋する。
また、シート状の基材の紙としては、坪量20〜200g/m2程度の薄葉紙、上質紙、リンター紙、和紙等が使用される。また。織布や不織布としては、ガラス、ビニロン、アクリル等からなるものが使用される。
シート状基材の金属としては、金属箔が使用される。
シート状基材の木材としては、杉、松、檜、樫、ラワン、チーク、メラピー等の樹木からなる厚さ50〜500μm程度の突板等が使用される。
板状の基材としては、その形状は、平板、断面L字型等に屈曲した板、または曲面板等の物でシート状の基材よりも厚みが厚いものが使用される。その材料としては、シート状の基材で例示した材料等が使用される他、例えば、木材に於いては、更に、単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等が使用される。また、材料としては、押し出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、ケイ酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス等の無機質材料等も使用される。また、前記シート状の基材を板状基材と積層した積層物も板状基材として使用される。
立体物の基材としては、前記シート状の基材、上記板状の基材のところで、例示した材料からなる物が使用さる。また、前記シート状の基材を立体物基材と積層した積層物も立体物基材として使用される。その他立体物の形状は、上記板状以外の各種三次元立体形状である。
基材としては、波長380nmから780nmまでの光の平均透過率が10%以下で、かつ、波長380nmから780nmまでの光の平均鏡面反射率が50%以下である基材も好ましい。この場合、本発明のハードコート処理物品には、耐傷性、防汚性と同時に光沢感を与えることができるため好ましい。
(基材の装飾処理)
基材は、必要に応じ装飾処理を施してもよい。装飾処理によって、ハードコート処理物品の意匠性を高め、或いは意匠性を付与することができる。
装飾処理によって、ハードコート処理物品を、化粧材として用いる場合に、より高意匠の物品が得られる。なお、もちろんであるが、これら装飾処理を施さない構成のハードコート処理物品であっても、それ自体が所望の必要十分な意匠性を有しておれば、該塗工物品のままで化粧材として使用できることは言うまでもない。
装飾処理の具体例としては、絵柄インキ層形成や金属薄膜層形成による装飾層の形成、基材自体への着色剤添加(基材が例えば樹脂、紙等の場合)等の公知の装飾処理を利用できる。たとえば、特開2001−232720号公報、特開平5−208468号公報、特開平6−170910号公報、特開平9−85924号公報、特開平5−169607号公報、特開平10−24529号公報、および特開平6−198810号公報に記載されている。また、これら処理は、単独で、または組み合わせて利用できる。
例えば、絵柄インキ層形成は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等公知の印刷法、または手描き等によってインキにて形成できる。また、全面ベタ柄の場合は、グラビアコート、ロールコート、スプレーコート等の公知の塗工法によって塗料で形成することもできる。使用するインキまたは塗料としては、バインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、等の樹脂を、一種又は二種以上混合したものに着色剤、適宜その他添加剤を添加した物を用いる。但し、ダイオキシン等の環境上の問題から塩素非含有化合物が好ましい。
なお、着色剤としては、例えば、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエロー等の無機顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、ペリレンレッド、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む)、または、アルミニウム、真鍮、等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢顔料(パール顔料)等を用いる。
また、装飾層としては、金属薄膜層でもよい。金属薄膜層の形成は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜する。またはこれらの組み合わせでもよい。該金属薄膜層は、全面に設けても、または、部分的にパターン状に設けてもよい。
これらの装飾層の絵柄は、例えば、木目、石目、布目、砂目、タイル貼模様、煉瓦積模様、皮絞模様、幾何学模様、文字、記号、全面ベタ等が、用途に合わせて、1種又は2種以上組み合わせて使用される。
(基材の表面処理)
本発明では、上述の通り、基材に表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムを貼合する。該フィルムと基材とを粘着層を介して貼合する際に粘着性を上げるために、貼合前に基材をプライマー処理することができる。プライマー処理は基材の表面にする処理であればいかなるものでもよい。基材が木質系板の場合、表面をサンドペーパー処理し、塗料を塗ることで粘着性を上げることができる。これにより意匠性も上げられる。この時使用する塗料は透明であっても、着色した塗料を用いて装飾処理を兼ねることもできる。また、紫外線吸収材を含有した塗料を用いて紫外線保護層を兼ねても構わない。この時使用する塗料は水溶性ニスや水溶性塗料など有機溶剤を含まないものを用いることが作業上また環境上好ましい。
〔ハードコートフィルム〕
本発明のハードコート処理物品は上述の基材に表面の鉛筆硬度がH以上のフィルム(ハードコートフィルム)を貼り合わせることによって作られる。傷防止の観点から鉛筆硬度は2H以上が好ましく、更に3H以上だと特に床材として使用する場合に耐キャスター性を付与できるため好ましい。また、更に4H以上だと床材として使用する場合に充分な耐キャスター性が付与できるため特に好ましい。また、上記フィルムが更に#0000のスチールウールで、2N/cm2の荷重をかけ、50往復擦った後、表面の傷が見えないことが好ましい。
更に上記フィルムは、表面の水の接触角が90゜以上であることが、防汚性の観点から好ましい。
以下に、このハードコートフィルムに関して述べる。
これまでコートフィルムあるいはラミネートフィルムとして、ポリエチレンやフッ素樹脂のシートが知られている。しかしながら、これらのフィルムの表面硬度は本発明の解決しようとする課題に対しては不十分である。
ハードコートフィルムとしては、熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等の活性エネルギー線重合性樹脂をプラスチック基材上に直接または0.03から0.5μm程度のプライマー層を介して3μm以上10μm以下程度の薄い塗膜を形成してできたフィルムが知られているが、通常のハードコート層は硬度が不十分であったこと、また、その塗膜厚みが薄いことに起因して、下地のプラスチック基材が変形した場合に、それに応じてハードコート層も変形し、ハードコート層に割れが生じてしまうため、十分に満足できるものではなかった。
本発明で用いられるハードコートフィルムとしては、以下のようなものが挙げられる。
(1)特許第1815116号記載のように層の硬度を上げるために、該層の樹脂形成成分を多官能性アクリル酸エステル系モノマーとし、これにアルミナ、シリカ、酸化チタン等の粉末状無機充填剤および重合開始剤を含有する被覆用組成物を支持体上に塗布したハードコートフィルム。
(2)特許1416240号記載のアルコキシシラン等で表面処理したシリカもしくはアルミナからなる無機質の装填材料を含む光重合性組成物がさらに架橋有機微粒子を充填したハードコートフィルム。
(3)特開2000−52472号記載のハードコート層を2層構成とし、第一層に微粒子のシリカを添加するハードコートフィルム。
(4)特開2000−71392号記載のハードコート層を2層構成とし、下層をラジカル硬化性樹脂とカチオン硬化性樹脂のブレンドからなる硬化樹脂層を使用し、上層にラジカル硬化性樹脂のみからなる硬化樹脂層を使用したハードコートフィルム。
(5)特開2002−248619号記載の充填材と樹脂を熔融混練、押出し成型で作製されるハードコートフィルム。
これらのハードコートフィルムは上記明細書記載のままでは充分な硬度が得られない場合が含まれるが、各々、以下のような調製方法の改善によって所望の硬度を得ることができる。
(1)多官能性アルキルエステルモノマーの官能基数増加、無機充填剤や開始剤量の増量
(2)無機質充填剤の増量
(3)1層目のシリカ量の増量
(4)ラジカル硬化樹脂の比率増加
(5)充填剤の増量
しかし、本発明の課題を解決するためには、以下のような構成の防汚性ハードコート層を支持体上に塗布したフィルムを用いることが好ましい。
1.フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかの原子と重合性基とを有する防汚性を付与するための硬化性樹脂を含有する硬化性組成物であり、該硬化組成物を硬化して得られるハードコート層表面の水の接触角が90度以上であることを特徴とする硬化性組成物より硬化形成されるハードコート層。
2.ハードコート層の表面弾性率が4.0GPa以上10GPa以下であることを特徴とする上記1に記載のハードコート層。
3.ハードコート層の厚みが10μm以上60μm以下であることを特徴とする上記1または2に記載のハードコート層。
4.硬化性組成物が、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性組成物であり、開環重合性基を含有する硬化性樹脂および/または同一分子内にエチレン性不飽和基を3個以上含む硬化性樹脂を含有することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のハードコート層。
5.開環重合性基を含有する硬化性樹脂が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する架橋性ポリマーであることを特徴とする上記4に記載のハードコート層。
一般式(1)
Figure 2005022354
一般式(1)中:
1は、水素原子または炭素原子数1から4のアルキル基を表す。
1は、一価の開環重合性基または開環重合性基を有する一価の基を表す。
1は、単結合または二価以上の連結基を表す。
6.開環重合性基が、カチオン重合性基であることを特徴とする上記4または5に記載のハードコート層。
以下、上記1〜6で述べた防汚性ハードコート層について詳細に説明する。
本発明の防汚性ハードコート層(以下、単に「ハードコート層」とも称する)は、硬化性組成物が硬化して形成されたハードコート層である。硬化は活性エネルギー線による重合が、生産性の観点から好ましい。そして、本発明のハードコート層表面の水に対する接触角は、防汚性の観点から好ましくは90度以上であり、より好ましくは97度以上である。また上限としては150度以下が好ましく、130度以下がより好ましい。
ハードコート層表面の水に対する接触角を上記範囲とするには、ハードコート層を形成するための硬化性組成物にフッ素原子および/またはケイ素原子を含有し、かつ重合性基を有する硬化性樹脂あるいは化合物を防汚剤として含有させる方法により達成される。重合性基は活性エネルギー線の照射により重合する基であることが好ましい。
ハードコート層に含有されるフッ素原子および/またはケイ素原子を含有し、活性エネルギー線により重合する基を有する防汚剤としての硬化性樹脂は、活性エネルギー線で重合する公知のフッ素硬化性樹脂やケイ素硬化性樹脂、あるいはフッ素原子を含有する骨格とケイ素原子を含有する骨格とを有する硬化性樹脂が用いられる。
さらにハードコート層を主として構成する硬化した樹脂あるいは該樹脂に分散した金属酸化物等と相溶性の良い骨格と、フッ素原子および/またはケイ素原子を含有する骨格とを有する活性エネルギー線重合性樹脂が好ましく挙げられる。
このような硬化性樹脂をハードコート層または防汚性層を形成するために硬化することで、ハードコート層表面にフッ素あるいはケイ素を存在させることができる。
ハードコート層に用いられる、防汚剤としての上記硬化性樹脂の具体的な例としては、フッ素原子またはケイ素原子を含有するモノマー、あるいはフッ素原子またはケイ素原子を含むモノマーの共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体にアクリル基を含有させたポリマーが挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
具体的には、2−パーフルオロオクチルエチルメタアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート(日本メクトロン(株)製)、M−3633、M−3833、R−3633、R−3833等のアクリレート化合物((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、AFC−1000,AFC−2000、FA−16等(共栄社化学(株)製)、メガファック531A(大日本インキ(株)製)などの重合性基を含有する化合物が挙げられる。
フッ素を含有する共重合体としては、主鎖が炭素原子のみからなり、かつ、含フッ素ビニルモノマー重合単位と側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位とを含んでなる共重合体があり、具体的には下記一般式(2)で表される共重合体が挙げられる。
Figure 2005022354
(一般式(2)中、Mfは含フッ素ビニルモノマー、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し30≦x≦60、40≦y≦80、0≦z≦65を満たす値を表す。)
一般式(2)におけるMfで表される含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やM−2020(商品名、ダイキン製)等)、パーフルオロアルキルスルホン酸メタアクリルアミド、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、パーフルオロオレフィン類が好ましく、溶解性、透明性、入手性等の観点からはヘキサフルオロプロピレンが特に好ましい。
本発明の共重合体は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を必須の構成成分として有する。共重合体への(メタ)アクリロイル基の導入法は特に限定されるものではないが、例えば、(1)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、(2)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(3)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(4)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(5)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(6)3―クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。これらの中で本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して(1)または(2)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
これらの(メタ)アクリロイル基含有重合単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上し、含フッ素ビニルモノマー重合単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有重合単位は40〜80モル%を占めることが好ましく、45〜75モル%を占めることがより好ましく、50〜70モル%を占めることが特に好ましい。
本発明に有用な共重合体では上記含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位以外に、一般式(2)におけるAで表される、支持体への密着性、ポリマーのTgの調整(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル等)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
一般式(2)中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。
好ましい例としては、*-(CH2)2-O-**, *-(CH2)2-NH-**, *-(CH2)4-O-**, *-(CH2)6-O-**, *-(CH2)2-O-(CH2 )2-O-**, *-CONH-(CH2)3-O-**, *-CH2CH(OH)CH2-O-**, *-CH2CH2OCONH(CH2)3-O-**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
一般式(2)中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、40≦y≦80、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、50≦y≦70、0≦z≦10の場合である。
ケイ素含有モノマーとしてはポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。末端(メタ)アクリレートのシロキサン化合物の具体例としては、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−2404、X−22−174D、X−22−8201、X−22−2426(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかの原子と活性エネルギー線重合性基を有する化合物を含まない硬化性組成物層に対し、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかの原子と活性エネルギー線重合性基を有する化合物を含有する硬化性組成物層を設けたハードコートフィルムの場合、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかの原子と活性エネルギー線重合性基を有する化合物を含有する硬化性組成物層の厚みは、0.05μm以上2μm以下が好ましい。薄すぎると塗膜の強度、防汚性の効果が得られ難いこと、1μm以上では多層構成にする意義が少なくなり、0.1μmから1μmの範囲がより好ましい。
活性エネルギー線の照射により重合する基は、例えばアクリル基等のラジカル重合性の二重結合やエポキシ基等のカチオン重合性基を導入することによって付与される。これら硬化性組成物に含まれるフッ素、ケイ素と活性エネルギー線重合性基を有する化合物の含有量は硬化性樹脂の0.01〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
ハードコート層が耐擦傷性に優れるためには、ハードコート層の硬度がある程度大きいことが好ましい。硬度の観点から、ハードコート層の表面弾性率は4.0GPa程度以上が好ましく、より好ましくは4.5GPa以上である。表面弾性率が4.0GPa未満のハードコート層では、十分な鉛筆硬度及び耐擦傷性が得られない。なお、上記の表面弾性率をユニバーサル硬度で表すと、その値は250N/mm2程度以上が好ましく、より好ましくは300N/mm2以上である。
無機微粒子を添加することにより、表面弾性率を上げることができる。無機微粒子の添加量を増やすと脆性が悪くなるので、表面弾性率の上限は、10GPa、好ましくは9.0GPaである。従って、好ましい表面弾性率の範囲は、4.0〜10GPaであり、特に好ましくは4.5〜9.0GPaである。
ハードコート層の鉛筆硬度と脆性の両立化を図ることを検討した結果、硬度は若干小さいが脆性が改善されているハードコート剤を厚く塗布することが有効である。
上記表面弾性率は、微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ製:フィッシャースコープH100VP−HCU)を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求められる弾性率である。
また、前述の微小表面硬度計を用いて表面硬度をユニバーサル硬度として求めることもできる。ユニバーサル硬度は四角錐圧子の試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で生じた圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。
上記の表面弾性率とユニバーサル硬度の間には、正の相関を有することが知られている。
本発明のハードコート層の厚みは、10μm以上が好ましく、20μm以上がさらに好ましい。ハードコート層の厚みをあまり厚くすると鉛筆硬度は向上するが、フィルムを曲げることが難しくなり、さらに曲げによる割れが発生しやすくなることから、ハードコート層の厚みは60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。従って、ハードコート層の厚みは、好ましくは10〜60μmであり、より好ましくは20〜50μmである。
ハードコート層は、単層でも複数層から構成されていてもよいが、製造工程上簡便な単層であることが好ましい。この場合の単層とは、同一の硬化性組成物から硬化形成されたハードコート層を指し、塗布、乾燥後の組成が、同一組成のものであれば、複数回の塗布後、硬化して形成されていてもよい。一方、複数層とは組成の異なる複数の硬化性組成物から硬化、形成された層を指す。
本発明のハードコート層は、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性組成物を塗布後、活性エネルギー線の照射により硬化して形成される。該硬化性組成物の活性エネルギー線照射による硬化収縮率は、0〜15%、好ましくは0〜13%、より好ましくは0〜11%である。
上記硬化収縮率は、用いた活性エネルギー線、例えばUV光の照射前の硬化性組成物の密度と照射硬化後の硬化性組成物の密度を求め、その値から下記数式Aで計算して求めた値である。なお、密度はマイクロメトリック社製MULTIVOLUME PYCNOMETERで測定(25℃)した値である。
数式A:体積収縮率={1−(硬化前密度/硬化後密度)}×100(%)
ハードコート層を形成するための硬化性組成物は、前記した防汚剤としての硬化性樹脂とは異なる、活性エネルギー線や熱によって硬化する硬化性樹脂を主成分として含有する。ハードコート層を形成するための硬化性組成物(以下、単に「硬化性組成物」とも称する。)は、該硬化性樹脂として、開環重合性基を有する硬化性樹脂および/またはエチレン性不飽和基を同一分子内に3個以上有する硬化性樹脂を含有することが好ましく、これら二種の硬化性樹脂のいずれをも含有することがより好ましい。このことによって、ハードコート層の表面硬度が高くなり、耐擦傷性に優れたハードコートフィルムが得られる。同時に、体積収縮率が上記した範囲を満たし、硬化後のカールが小さくなり、諸取り扱い時のひび割れが発生しにくくなる。さらに、ハードコート層の膜厚を一定の膜厚にすることによって、上記の効果がさらに顕著となる。
以下、本発明に好ましく用いられる開環重合性基を含む硬化性樹脂について説明する。
開環重合性基を含む硬化性樹脂とは、カチオン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進行する環構造を有する硬化性樹脂であり、この中でもヘテロ環状基含有硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂としてエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類などが挙げられ、特にエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、オキサゾリン誘導体が好ましい。
本発明において開環重合性基を有する硬化性樹脂は、同一分子内に2個以上の開環重合性基を有することが好ましいが、より好ましくは3個以上有することが好ましい。また、本発明において、開環重合性基を有する硬化性樹脂を2種以上を組み合わせて併用してもよい。この場合、同一分子内に開環重合性基を1個有する硬化性樹脂と同一分子内に開環重合性基を2個以上有する硬化性樹脂とを組み合わせてもよく、また同一分子内に開環重合性基を2個以上有する硬化性樹脂のみを2種以上組み合わせてもよい。
本発明で言う開環重合性基を有する硬化性樹脂とは、上記のような環状構造を有する硬化性樹脂であれば得に制限がない。このような硬化性樹脂の好ましい例としては、例えば単官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、2官能脂環式エポキシ類、ジグリシジルエーテル類(例えばグリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル)、3官能以上のグリシジルエーテル類(トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリス(グリシジルオキシエチル)イソシアヌレートなど)、4官能以上のグリシジルエーテル類(ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど)、脂環式エポキシ類(セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど)、オキセタン類(OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)など)などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明では開環重合性基を有する硬化性樹脂として、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーを含有していることが特に好ましい。以下にこれら架橋性ポリマーについて詳細に説明する。
一般式(1)中、R1は水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
1は、単結合または二価以上の連結基であり、好ましくは単結合、−O−、アルキレン基、アリーレン基および*側で主鎖に連結する*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−である。
1は、一価の開環重合性基または開環重合性基を有する一価の基であり、好ましいP1としては、エポキシ環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環、カーボネート環、オキサゾリン環などのイミノエーテル環などを有する一価の基が挙げられ、この中でも特に好ましくはエポキシ環、オキセタン環、オキサゾリン環を有する一価の基である。
本発明において一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、対応するモノマーを重合させて合成することが簡便で好ましい。この場合の重合反応としてはラジカル重合が最も簡便で好ましい。
以下に一般式(1)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005022354
Figure 2005022354
Figure 2005022354
本発明において、一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは複数種の一般式(1)で表される繰り返し単位で構成されたコポリマーであってもよく、また、一般式(1)以外の繰り返し単位(例えば開環重合性基を含まない繰り返し単位)を含んだコポリマーでもよい。特に架橋性ポリマーのTgや親疎水性をコントロールしたい場合や、架橋性ポリマーの開環重合性基の含有量をコントロールする目的で一般式(1)以外の繰り返し単位を含有するコポリマーとする手法は好適である。一般式(1)以外の繰り返し単位の導入方法は、対応するモノマーを共重合させて導入する手法が好ましい。
一般式(1)以外の繰り返し単位を、対応するビニルモノマーを重合することによって導入する場合、好ましく用いられるモノマーとしては、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から誘導されるエステル類(例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メチル−2−ニトロプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ペンチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシメトキシエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2−ジメチルブチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、3−ペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、セチルアクリレート、ベンジルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、4−メチル−2−プロピルペンチルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、メチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、n−オクタデシルメタクリレート、2−イソボルニルメタクリレート、2−ノルボルニルメチルメタクリレート、5−ノルボルネン−2−イルメチルメタクリレート、3−メチル−2−ノルボルニルメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなど)、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から誘導されるアミド類(例えば、N−i−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド)、、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導されるエステル類(マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチルなど)、マレイミド類(N−フェニルマレイミドなど)、マレイン酸、フマル酸、p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン類(例えばブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン)、芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、p−クロルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルサクシンイミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、1−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエーテル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等が挙げられる。
これらのビニルモノマーは2種類以上組み合わせて使用してもよい。これら以外のビニルモノマーはリサーチディスクロージャーNo.19551(1980年、7月)に記載されているものを使用することができる。
なかでも、アクリル酸またはメタクリル酸から誘導されるエステル類およびアミド類、ならびに芳香族ビニル化合物が特に好ましく用いられる。
一般式(1)以外の繰り返し単位として、開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位も導入することができる。特に、ハードコート層の硬度を高めたい場合や、支持体もしくはハードコート層上に別の機能層を用いる場合の層間の接着性を改良したい場合、開環重合性基以外の反応性基を含むコポリマーとする手法が好適である。開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位の導入方法は対応するビニルモノマー(以下、反応性モノマーと称する)を共重合する手法が簡便で好ましい。
以下に反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなど)、イソシアネート基含有ビニルモノマー(例えば、イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチルメタクリレートなど)、N−メチロール基含有ビニルモノマー(例えば、N-メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、カルボキシエチルアクリレート、安息香酸ビニル)、アルキルハライド含有ビニルモノマー(例えばクロロメチルスチレン、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート)、酸無水物含有ビニルモノマー(例えばマレイン酸無水物)、ホルミル基含有ビニルモノマー(例えばアクロレイン、メタクロレイン)、スルフィン酸基含有ビニルモノマー(例えばスチレンスルフィン酸カリウム)、活性メチレン含有ビニルモノマー(例えばアセトアセトキシエチルメタクリレート)、酸クロライド含有モノマー(例えばアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド)、アミノ基含有モノマー(例えばアリルアミン)、アルコキシシリル基含有モノマー(例えばメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)などが挙げられる。
本発明において、一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(1)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上100質量%以下、好ましくは30質量%以上100質量%以下、特に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい数重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定、ポリエチレングリコール換算値)の範囲は、1000以上100万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下である。最も好ましくは5000以上10万以下である。
以下に一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい例を表1に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、前記で具体例を挙げた一般式(1)で表される繰り返し単位は前記で挙げた具体例の番号で表し、共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し単位は、モノマー名を記載し、共重合組成比を質量%で付記した。
Figure 2005022354
既に述べたように、ハードコート層を形成するための活性エネルギー線によって硬化する硬化性組成物には、開環重合性基を含む硬化性樹脂とエチレン性不飽和基を同一分子内に3個以上含む硬化性樹脂との両方を含有することが好ましい。
以下に、上記エチレン性不飽和基を同一分子内に3個以上含む硬化性樹脂について詳しく説明する。
好ましいエチレン性不飽和基の種類は、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニルエーテル基であり、特に好ましくはアクリロイル基である。
なお、同一分子内にエチレン性不飽和基を3個以上含む硬化性樹脂と共に、エチレン性不飽和基を1個もしくは2個含む硬化性樹脂(モノマーあるいはオリゴマー)を併用してもよい。
さらに、分子内に3〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーや、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に数個のアクリル酸エステル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーなどを本発明の硬化性樹脂として好ましく使用することができる。
これら同一分子内に3個以上のアクリル基を有する硬化性樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート類、ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を挙げることができる。
また、本発明では同一分子内に3個以上のエチレン性不飽和基を有する硬化性樹脂として、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーも好ましく使用できる。以下、一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーについて詳細に説明する。
一般式(3)
Figure 2005022354
上記一般式(3)中、R2は、水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
2は、一価のエチレン性不飽和基またはエチレン性不飽和基を有する一価の基を表す。
2は、単結合もしくは二価以上の連結基を表し、好ましくは単結合、−O−、アルキレン基、アリーレン基および*側で主鎖に連結する*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−である。
好ましいP2としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基またはこれらの基のいずれかを含有する一価の基であり、最も好ましくはアクリロイル基またはこれを含有する一価の基である。
一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、(i)対応するモノマーを重合させて直接エチレン性不飽和基を導入する手法で合成してもよく、(ii)任意の官能基を有するモノマーを重合して得られるポリマーに高分子反応によりエチレン性不飽和基を導入する手法で合成してもよい。また、上記(i)および(ii)の手法を組み合わせて合成することもできる。重合反応としてはラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などが挙げられる。
上記(i)の方法を用いる場合、重合反応により消費されるエチレン性不飽和基と架橋性ポリマー中に残されるエチレン性不飽和基の重合性の差を利用することにより可能である。例えば、一般式(3)のP2が、アクリロイル基、メタクリロイル基またはこれらのいずれかを含有する一価の基である場合、架橋性ポリマーを生成させる重合反応をカチオン重合とすることで上記(i)の手法によって本発明の架橋性ポリマーを得ることができる。一方、P2がスチリル基またはスチリル基を含有する一価の基である場合は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれの方法をとってもゲル化が進行しやすいため、通常上記(ii)の手法によって一般式(3)の架橋性ポリマーを合成する。
このように上記(ii)の高分子反応を利用する手法は、一般式(3)中に導入されるエチレン性不飽和基の種類によらず、架橋性ポリマーを得ることが可能であり、有用である。
高分子反応は、(I)例えば2−クロロエチル基から塩酸を脱離させるようなエチレン性不飽和基をプレカーサー化した官能基を含むポリマーを生成させたあとに官能基変換(脱離反応、酸化反応、還元反応など)によりエチレン性不飽和基に誘導する方法と、(II)任意の官能基を含むポリマーを生成させたあとに、該ポリマー中の官能基と結合生成反応が進行して共有結合を生成しうる官能基とエチレン性不飽和基の両方を有する反応性モノマーを反応させる方法が挙げられる。これら(I)、(II)の方法は組み合わせて行ってもよい。
ここで言う結合形成反応とは、一般に有機合成分野で用いられる結合生成反応のなかで共有結合を形成する反応であれば特に制限なく使用できる。一方で、架橋性ポリマーに含まれるエチレン性不飽和基が反応中に熱重合し、ゲル化してしまう場合があるので、できるだけ低温(好ましくは60℃以下、特に好ましくは室温以下)で反応が進行するものが好ましい。また反応の進行を促進させる目的で触媒を用いても良く、ゲル化を抑制する目的で重合禁止剤を用いてもよい。
以下に好ましい高分子結合形成反応が進行する官能基の組み合わせの例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
加熱もしくは室温で反応が進行する官能基の組み合わせとしては、
(イ)ヒドロキシル基に対して、エポキシ基、イソシアネート基、N-メチロール基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物、酸クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、ホルミル基、アセタール基、
(ロ)イソシアネート基に対して、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、N-メチロール基、
(ハ)カルボキシル基に対して、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、N-メチロール基、
(ニ)N-メチロール基に対して、イソシアネート基、N-メチロール基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、
(ホ)エポキシ基に対して、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、N-メチロール基、
(ヘ)ビニルスルホン基に対してスルフィン酸基、アミノ基、
(ト)ホルミル基に対してヒドロキシル基、メルカプト基、活性メチレン基、
(チ)メルカプト基に対して、ホルミル基、ビニル基(アリル基、アクリル基など)、エポキシ基、イソシアネート基、N-メチロール基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物酸クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、
(リ)アミノ基に対して、ホルミル基、ビニル基(アリル基、アクリル基など)、エポキシ基、イソシアネート基、N-メチロール基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物、酸クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、などの組み合わせが挙げられる。
以下に反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなど)、イソシアネート基含有ビニルモノマー(例えば、イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチルメタクリレートなど)、N-メチロール基含有ビニルモノマー(例えば、 N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミドなど)、エポキシ基含有ビニルモノマー(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、CYCLOMER−M100、A200(ダイセル化学工業(株)製)など)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、カルボキシエチルアクリレート、安息香酸ビニル)、アルキルハライド含有ビニルモノマー(例えばクロロメチルスチレン、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート)、酸無水物含有ビニルモノマー(例えばマレイン酸無水物)、ホルミル基含有ビニルモノマー(例えばアクロレイン、メタクロレイン)、スルフィン酸基含有ビニルモノマー(例えばスチレンスルフィン酸カリウム)、活性メチレン含有ビニルモノマー(例えばアセトアセトキシエチルメタクリレート)、ビニル基含有ビニルモノマー(例えばアリルメタクリレート、アリルアクリレート)、酸クロライド含有モノマー(例えばアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド)、アミノ基含有モノマー(例えばアリルアミン)、などが挙げられる。
上記(II)に記載した任意の官能基を含むポリマーは、反応性官能基とエチレン性不飽和基の両方を有する反応性モノマーの重合を行うことで得ることができる。また、ポリ酢酸ビニルを変性して得られるポリビニルアルコールのように反応性の低い前駆体モノマーの重合後、官能基変換を行うことで得ることもできる。
これらの場合の重合方法としては、ラジカル重合が最も簡便で好ましい。
以下に一般式(3)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005022354
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Figure 2005022354
Figure 2005022354
Figure 2005022354
本発明において一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは複数種の一般式(3)で表される繰り返し単位で構成されたコポリマーであってもよく、また、一般式(3)以外の繰り返し単位(例えばエチレン性不飽和基を含まない繰り返し単位)を含んだコポリマーでもよい。特に架橋性ポリマーのTgや親疎水性をコントロールしたい場合や、架橋性ポリマーのエチレン性不飽和基の含有量をコントロールする目的で一般式(3)以外の繰り返し単位を含んだコポリマーとする手法は好適である。一般式(3)以外の繰り返し単位の導入方法は、(a)対応するモノマーを共重合させて直接導入する手法を用いてもよく、(b)官能基変換可能な前駆体モノマーを重合させ、高分子反応により導入する手法を用いてもよい。また、(a)および(b)の手法を組み合わせて導入することもできる。
(a)の手法によって一般式(3)以外の繰り返し単位を対応するビニルモノマーを重合することによって導入する場合、好ましく用いられるモノマーとしては、前述の一般式(1)の説明において、一般式(1)以外の繰り返し単位を対応するビニルモノマーを重合することによって導入する場合に好ましく用いられるモノマーとして挙げたものと同様なものが挙げられる。それらのビニルモノマーは2種類以上組み合わせて使用してもよい。これら以外のビニルモノマーはリサーチディスクロージャーNo.19551(1980年、7月)に記載されているものを使用することができる。なかでも、アクリル酸またはメタクリル酸から誘導されるエステル類およびアミド類、ならびに芳香族ビニル化合物が特に好ましく用いられる。
また、一般式(3)で表される繰り返し単位を前記(ii)のように高分子反応で導入し、反応を完結させない場合、エチレン性不飽和基をプレカーサー化した官能基や反応性官能基を含む繰り返し単位を有する共重合体となるが、本発明ではこれを特に制限無く用いることができる。
上記で挙げたビニルモノマーから誘導されるエチレン性不飽和基を含まない繰り返し単位の大部分は前述した(b)官能基変換可能な前駆体モノマーを重合させ、高分子反応により導入することも可能である。一方で、本発明において一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、高分子反応のみによってでしか導入できない、一般式(3)以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。典型的な例としてポリ酢酸ビニルを変性して得られるポリビニルアルコールやポリビニルアルコールのアセタール化反応によって得られるポリビニルブチラール等を挙げることができる。これらの繰り返し単位の具体的な例を以下に示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005022354
本発明において一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(3)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上100質量%以下、好ましくは30質量%以上100質量%以下、特に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい数量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定、ポリエチレングリコール換算値)の範囲は、1000以上100万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下である。最も好ましくは5000以上10万以下である。
以下に一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい例を表2に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、前記で具体例を挙げた一般式(3)で表される繰り返し単位とポリビニルアルコールなどの繰り返し単位は前記で挙げた具体例の番号で表し、共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し単位は、モノマー名を記載し、共重合組成比を質量%で付記した。
Figure 2005022354
本発明に用いることのできる開環重合性基を有する硬化性樹脂として、一般式(1)および(3)で表される両方の繰り返し単位を含むポリマーも挙げることができる。この場合の一般式(1)および(3)の好ましい繰り返し単位としては、前記したものと同じである。また、一般式(1)および(3)以外の繰り返し単位を含んだコポリマーであってもエチレン性不飽和基および開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位を含んだコポリマーであってもよい。
一般式(1)および(3)で表される両方の繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(1)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上99質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以下、特に好ましくは30質量%以上70質量%以下であり、一般式(3)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上99質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以下、特に好ましくは30質量%以上70質量%以下である。
一般式(1)および(3)で表される両方の繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定、ポリスチレン換算値)の範囲は、1000以上100万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下である。最も好ましくは5000以上10万以下である。
一般式(1)および(3)で表される両方の繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい例を表3に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、前記で具体例を挙げた一般式(1)および(3)で表される繰り返し単位とポリビニルアルコールなどの繰り返し単位は前記で挙げた具体例の番号で表し、共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し単位は、モノマー名を記載し、共重合組成比を質量%で付記した。
Figure 2005022354
ハードコート層を形成するための硬化性組成物に好ましく含有される、エチレン性不飽和基を同一分子内に3個以上含む硬化性樹脂と開環重合性基を含む硬化性樹脂との好ましい混合比は、用いる硬化性樹脂の種類によっても異なり、特に制限はないが、エチレン性不飽和基を含む硬化性樹脂の割合が硬化性樹脂全体の30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは50質量%以上80質量%以下である。
エチレン性不飽和基を含む硬化性樹脂と開環重合性基を含む硬化性樹脂を含有する硬化性組成物(以下、特に断りのない限り、「硬化性組成物」は、これら両者の硬化性樹脂を含有する組成物である)を硬化させる場合、両方の硬化性樹脂の架橋反応が進行することが好ましい。エチレン性不飽和基の好ましい架橋反応はラジカル重合反応であり、開環重合性基の好ましい架橋反応はカチオン重合反応である。いずれの場合も活性エネルギー線の作用により、重合反応を進行させることができる。通常、重合開始剤と称される少量のラジカル発生剤およびカチオン発生剤(もしくは酸発生剤)を添加し、活性エネルギー線によりこれらを分解し、ラジカルおよびカチオンを発生させ重合を進行させることができる。ラジカル重合とカチオン重合は別々に行ってもよいが、同時に進行させることが好ましい。
上記硬化性組成物を活性エネルギー線照射により硬化する場合、低温で架橋反応が進行する場合が多く、好ましい。
本発明では、活性エネルギー線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが用いられる。その中でも紫外線を用いて、ラジカルもしくはカチオンを発生させる重合開始剤を添加し、紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。また紫外線を照射した後、加熱することにより、さらに硬化を進行させることができる場合があり、この方法を好ましく用いることができる。この場合の好ましい加熱温度は140℃以下である。
紫外線によってカチオンを発生させる光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩などのイオン性の硬化性樹脂やスルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の硬化性樹脂が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、"イメージング用有機材料"ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている硬化性樹脂等種々の公知の光酸発生剤が使用できる。この中で特に好ましくはスルホニウム塩もしくはヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF6 -、SbF6 -、AsF6 -、B(C654 -などが好ましい。
紫外線によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン等の公知のラジカル発生剤が使用できる。また上記で挙げたように通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども紫外線照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを単独で用いてもよい。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。
重合開始剤は、それぞれ組み合わせて用いてもよいし、単独でラジカルとカチオンの両方を発生させるような硬化性樹脂の場合などは1種単独で用いることができる。重合開始剤の添加量としては、硬化性組成物中に含まれるエチレン性不飽和基含有硬化性樹脂と開環重合性基含有硬化性樹脂の総質量に対し、0.1〜15質量%の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
本発明において一般式(1)で表される繰り返し単位を有する架橋性ポリマーや、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する架橋性ポリマー(以下、これらを合わせて「本発明のポリマー」と称する)を使用する場合は、通常、本発明のポリマーは固体もしくは高粘度液体となり単独での塗布は困難であり、ポリマーが水溶性の場合や水分散物とした場合は水系で塗布することもできるが、通常有機溶媒に溶解して塗布される。有機溶媒としては、本発明のポリマーを溶解し得るものであれば特に制限なく使用できる。
好ましい有機溶媒としては、メチルエチルケトン等のケトン類、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。また、前記した単官能もしくは多官能のビニルモノマーや、単官能、2官能または3官能以上の開環重合性基を有する硬化性樹脂が低分子量硬化性樹脂である場合、これらを併用すると、硬化性組成物の粘度を調節することが可能であり、溶媒を用いなくても塗布可能とすることもできる。
また本発明では、硬化性組成物中に微粒子を添加してもよい。微粒子を添加することでハードコート層の硬化収縮量を低減できるため、支持体との密着性が向上したり、カールを低減でき好ましい。微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、有機-無機複合微粒子のいずれも使用できる。無機微粒子としては例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などが挙げられる。このような無機微粒子は一般に硬質であり、ハードコート層に充填させることで、硬化時の収縮を改良できるだけではなく、表面の硬度も高めることができる。
ただし、微粒子は一般にヘイズを増加させる傾向があるために、各必要特性のバランスの上で充填方法が調整される。
一般に、無機微粒子は本発明のポリマーや多官能ビニルモノマーなどの有機成分との親和性が低いため単に混合するだけでは凝集体を形成したり、硬化後のハードコート層がひび割れやすくなる場合がある。本発明では無機微粒子と有機成分との親和性を増すため、無機微粒子表面を有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することができる。表面修飾剤は、無機微粒子と結合を形成するか無機微粒子に吸着しうる官能基と、有機成分と高い親和性を有する官能基を同一分子内に有するものが好ましい。
無機微粒子に結合もしくは吸着し得る官能基を有する表面修飾剤としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド表面修飾剤や、リン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する表面修飾剤が好ましい。
さらに有機成分との親和性の高い官能基としては単に有機成分と親疎水性を合わせただけのものでもよいが、有機成分と化学的に結合しうる官能基が好ましく、特にエチレン性不飽和基、もしくは開環重合性基が好ましい。
本発明において好ましい無機微粒子表面修飾剤は金属アルコキシドもしくはアニオン性基とエチレン性不飽和基もしくは開環重合性基を同一分子内に有する硬化性樹脂である。
これら表面修飾剤の代表例として以下の不飽和二重結合含有のカップリング剤や、リン酸基含有有機硬化性樹脂、硫酸基含有有機硬化性樹脂、カルボン酸基含有有機硬化性樹脂等が挙げられる。
S−1 H2C=C(X)COOC36Si(OCH33
S−2 H2C=C(X)COOC24OTi(OC253
S−3 H2C=C(X)COOC24OCOC510OPO(OH)2
S−4 (H2C=C(X)COOC24OCOC510O)2POOH
S−5 H2C=C(X)COOC24OSO3
S−6 H2C=C(X)COO(C510COO)2
S−7 H2C=C(X)COOC510COOH
S−8 3−(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン
ここで、Xは、水素原子あるいはCH3を表す。
これらの無機微粒子の表面修飾は、溶液中でなされることが好ましい。無機微粒子を機械的に微細分散する時に、一緒に表面修飾剤を存在させるか、または無機微粒子を微細分散したあとに表面修飾剤を添加して攪拌するか、さらには無機微粒子を微細分散する前に表面修飾を行って(必要により、加温、乾燥した後に加熱、またはpH変更を行う)、そのあとで微細分散を行う方法でもよい。
表面修飾剤を溶解する溶液としては、極性の大きな有機溶剤が好ましい。具体的には、アルコール、ケトン、エステル等の公知の溶剤が挙げられる。
有機微粒子としては特に制限がないが、エチレン性不飽和基を有するモノマーからなるポリマー粒子、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、および本発明における一般式(1)および(3)からなるポリマー粒子が好ましく用いられ、その他に、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ゼラチン等の樹脂粒子が挙げられる。これらの粒子は架橋されていることが好ましい。
微粒子の微細化分散機としては、超音波、ディスパー、ホモジナイザー、ディゾルバー、ポリトロン、ペイントシェーカー、サンドグラインダー、ニーダー、アイガーミル、ダイノミル、コボールミル等を用いることが好ましい。また、分散媒としては前述の表面修飾用の溶媒が好ましく用いられる。
微粒子の充填量は、充填後のハードコート層の体積に対して、2〜40体積%が好ましく、3〜25体積%がより好ましく、5〜15体積%が最も好ましい。
本発明のハードコート層のヘイズは7%以下であることが好ましく、5%以下がさらに好ましく、3%以下が最も好ましい。ヘイズの評価法は、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−1001DP」を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される値を用いた。
本発明におけるハードコートフィルムは、カールを以下の数式Bで表したときの値が、マイナス15〜プラス15の範囲に入っていることが好ましく、マイナス12〜プラス12の範囲がより好ましく、さらに好ましくはマイナス10〜プラス10である。このときのカールの試料内測定方向は、ウェッブ形態での塗布の場合、支持体の搬送方向について測ったものである。
(数式B) カール=1/R Rは曲率半径(m)
これは、ハードコートフィルムの製造、加工、市場での取り扱いで、ひび割れ、膜はがれを起こさないための重要な特性である。カール値が前記範囲にあり、カールが小さいことが好ましい。上記範囲にカールを小さくすることと高表面硬度とすることは、ハードコート層形成用の硬化性組成物の硬化前後の体積収縮率を15%以下とすることによって可能である。
カールの測定は、JISK7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。測定条件は25℃、相対湿度60%、調湿時間10時間である。
ここで、カールがプラスとはフィルムのハードコート層塗設側が湾曲の内側になるカールを言い、マイナスとは塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。
また、本発明におけるハードコートフィルムは、上記したカール測定法に基づいて、相対湿度のみを80%と10%に変更したときの各カール値の差の絶対値が、24〜0が好ましく、15〜0がさらに好ましく、8〜0が最も好ましい。これはさまざまな湿度下でフィルムを貼り付けたときのハンドリング性や剥がれ、ひび割れに関係する特性である。
本発明におけるハードコートフィルムの耐ひび割れ性は、ハードコート層塗設側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率直径が、50mm以下であることが好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が最も好ましい。エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。この耐ひび割れ性は、ハードコートフィルムの塗布、加工、裁断、貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
本発明のハードコートフィルムに用いられる支持体は、透明なフィルム状やシート、板状のプラスチックが好ましい。具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマー等のフィルムやシートが好ましい。フィルムの厚みは20〜300μmが好ましく、80〜200μmがより好ましい。支持体の厚みが薄すぎると膜強度が弱く、厚いと剛性が大きくなり過ぎる。シートの厚みは透明性を損なわない範囲であればよく、300μm以上数mmのものが使用できる。
活性エネルギー線硬化塗布液(硬化組成物の塗布液)は、ケトン系、アルコール系、エステル系等の有機溶剤に、上記の多官能モノマーと重合開始剤を主体に溶解して調製する。さらに、表面修飾した硬無機微粒子分散液と軟微粒子分散液を添加して調製することができる。
本発明のハードコート層の作製は、支持体上に活性エネルギー線硬化塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法、スロットエクストルージョンコーター法(単層、重層)、スライドコーター法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、活性エネルギー線照射して、硬化させることにより作製することができる。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥条件は、支持体の熱的強度や搬送速度、乾燥工程長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが重合率を高める点で好ましい。
さらに、支持体とハードコート層の密着性を向上させる目的で、所望により支持体の片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
更に、一層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル等の共重合体或いはラテックス、低分子量ポリエステル、ゼラチン等の水溶性ポリマー等が挙げられる。さらに下塗り層に酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩等の帯電防止剤を含有させることができる。
ハードコート層は、複数層構成でも可能であり、硬度の順に適宜積層して作製することもできる。
〔ハードコートフィルムの装飾処理〕
ハードコートフィルムには、必要に応じて装飾処理を施してもよい。装飾処理によって、硬質塗膜塗工物品の意匠性を高め、または意匠性を付与することができる。装飾処理は、ハードコート層よりも支持体裏面にすることが好ましい。これによって、装飾処理は、ハードコート層により保護され、物理的損傷を受け難くなる。
装飾処理の具体例としては、絵柄インキ層形成や金属薄膜層形成による装飾層の形成、支持体自体への着色剤添加等の公知の装飾処理を利用できる。また、これら処理は、単独で、或いは組み合わせて利用できる。
例えば、絵柄インキ層形成は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等公知の印刷法、または手描き等によってインキにて形成できる。また、全面ベタ柄の場合は、グラビアコート、ロールコート、スプレーコート等の公知の塗工法によって塗料で形成することもできる。使用するインキまたは塗料としては、バインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、等の樹脂を、一種又は二種以上混合して用いたものに着色剤、適宜その他添加剤を添加した物を用いる。
着色剤としては、例えば、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエロー等の無機顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、ペリレンレッド、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む)、または、アルミニウム、真鍮、等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢顔料(パール顔料)等を用いる。
これら各種の装飾層に絵柄模様を施す他の印刷方法としては、大がかりな設備を必要とするグラビア印刷等の他に用途により、簡便に印刷できるインクジェットによる印刷方法も挙げられる。このインクジェット用インクは、内装用建材に使用する場合にはVOC等の対環境問題の点から、一般には水性タイプであるため、インク受理層を設けてることが好ましい。
装飾層としては、金属薄膜層でもよい。金属薄膜層の形成は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜する。またはこれらの組み合わせでもよい。該金属薄膜層は、全面に設けても、或いは、部分的にパターン状に設けてもよい。
これらの装飾層の絵柄は、例えば、木目、石目、布目、砂目、タイル貼模様、煉瓦積模様、皮絞模様、幾何学模様、文字、記号、全面ベタ等が、用途に合わせて、1種又は2種以上組み合わせて使用される。
〔ハードコートフィルム表面の映り込み防止〕
基材が床材であるハードコート処理物品では、歩く人のスカートの映り込みを防止するために、鏡面反射率が低いことが好ましい。この場合、ハードコートフィルム表面の鏡面反射率は3%以下であることが好ましく、視感補正平均反射率が3%以下であることが好ましく、2%あることが更に好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
光学薄膜干渉を利用した反射防止層を積層し上記の反射率を得る方法としては例えば(花岡英明著,「反射防止膜の特性と最適設計・膜作成技術」技術情報協会,2001年,第1章)に記載されており、本発明ではこの方法を用いることができる。
また、映り込みを防止する別の方法としてハードコート防眩性フィルムを用いる方法が挙げられる。防眩性フィルムは表面に映る反射像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させ、反射像の映り込みが気にならないようにするものである。このような防眩性を発現させるためには表面に凹凸を形成する必要があるが、防眩性を付与する手段として、表面凹凸を形成するためのマット粒子を塗布液に添加する方法(特開昭59−58036)が広く用いられている他、あらかじめ凹凸を形成した型を転写させる方法(特開昭63−298201)、エンボス(特開平6−234175)、スプレー塗布(特開平5−190089)等が挙げられ、本発明では上記の方法を用いることができる。また、防眩性を用いる方法は映り込みを防止すると同時に床表面をマット化することで意匠性を上げられるため好ましい。
ハードコートフィルムに防眩性を付与するとハードコートフィルムのヘイズが上昇するが、映り込み防止のためには3%以上であることが好ましく、10%以上であると像の輪郭は殆ど認識できないため特に好ましい。
防眩性を付与すると鏡面反射率が低下するが、薄膜干渉と防眩の両方を用いて鏡面反射率を下げ、映り込みを防止することも好ましい態様である。
〔粘着剤層〕
粘着剤としては、ハードコートフィルムと基材とを貼着できるものであればいかなるものであっても構わない。代表的な粘着剤として溶剤型やエマルジョン型粘着剤、ホットメルト型粘着剤、紫外線硬化型粘着剤が挙げられる。
溶剤型やエマルジョン型粘着剤は、炭素数4〜12の(メタ)アルキルアクリレート(炭素数4〜12のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル)を少なくとも一種とこれと共重合可能な化合物とを溶媒中かまたは水に分散して重合させたものである。ホットメルト型粘着剤はオレフィン系の熱可塑性樹脂に種々の軟化点を有する粘着付与樹脂を加えて溶融温度を調節したものであり、紫外線硬化型粘着剤は前記と同様のアルキル(メタ)アクリレートを主成分とした組成物に光重合開始剤を加えたものである。
ハードコートフィルムに粘着剤層を積層する方法は、溶剤型やエマルジョン型粘着剤を支持体又は剥離基材に塗工後、溶剤や水分を除去する方法や、ホットメルト型粘着剤を加熱溶融し押出し機で支持体又は剥離性基材上に押出す方法等がある。
紫外線硬化型粘着剤の場合、アルキル(メタ)アクリレートとこれと共重合可能な化合物と光重合開始剤からなる組成物に紫外線を照射する方法(ベルギー国特許675,420、5/1966)、アクリル系モノマーを主成分とする粘着剤組成物に、波長300〜400nm(300nm以下の紫外線が10%程度含まれていてもよい)の紫外線を7mW/cm2以下の強度で照射し粘着テープを製造する(USP4,181,752)等種々の方法が開示されている。
本発明の粘着層は、シックハウス症候群の問題回避と塗工のし易さを考慮し紫外線硬化型粘着剤の使用が好ましい。
本発明において粘着層は、そのJIS−K7106に準拠して測定した曲げこわさが100〜5000kg/cm2であることが好ましい。この曲げこわさは粘着層の軟質性(軟質度)の目安である。本発明では曲げこわさを上記範囲とすることで、基材(被貼着物)の表面が平滑である場合に基材へのハードコートフィルム貼着作業性がよく、さらに貼着した後は容易に剥離しないが、剥そうと思えば簡単に剥すことができる。軟質度(曲げこわさ)が上記範囲未満では、貼着面への接着性が強くなりすぎ、剥そうとしたときに基材からの剥離が困難となる。一方、軟質度が上記範囲を超えると基材への貼着面への接着性が低く剥がれやすくなりすぎるので好ましくない。したがって、上記で例示した粘着剤のうち、曲げこわさが上記範囲となるものを用いるのが好ましい。
本発明では粘着剤層の中に染料や含量を含有させることでハードコート処理物品の意匠性を上げることができる。また、本発明では、粘着剤層の中に紫外線吸収剤等の光吸収剤を含有させることによって特定の光から基材が受けるダメージを低減またはなくすこともできる。
〔ハードコート処理物品の用途〕
本発明のハードコート処理物品の用途としては、特に制限は無い。例えば、壁、床、天井等の建築物の内装材、外壁、屋根、扉外面、窓枠等の建築物の外装材、箪笥、棚、机等の家具の表面材、回縁、幅木、扉枠等の造作部材、テレビ受像機等の電気機器の筐体(キャビネット)、冷蔵庫の扉等の家電製品の表面材、自動車、電車、船等の乗物内装材等が挙げられる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
〔ハードコートフィルムの作製〕
(ハードコート層塗布液(h−1)の調製)
メチルエチルケトン(MEK)中にグリシジルメタクリレートを溶解させ、熱重合開始剤(V−65(和光純薬工業(株)製)を滴下しながら80℃で2時間反応させ、得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得たポリグリシジルメタクリレート(ポリスチレン換算分子量は12,000)をメチルエチルケトンに50質量%濃度になるように溶解した溶液100質量部に、トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート#295;大阪有機化学工業(株)製)150質量部と光ラジカル重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製)6質量部と光カチオン重合開始剤(ロードシル2074、ローディア社製)6質量部とフッ素含有モノマーであるメガファック531A(大日本インキ化学工業(株)製)10質量部を30質量部のメチルイソブチルケトンに溶解したものを撹拌しながら混合し、ハードコート層塗布液(h−1)を作製した。
(ハードコート層塗布液(h−2)の調製)
ハードコート層塗布液(h−1)の調製において、メガファック531Aを等質量のケイ素含有モノマーのX−22−164B(信越化学(株)製)に変更する以外は同様に行い、ハードコート層塗布液(h−2)を調製した。
(ハードコート層塗布液(h−3)の調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、ダイセル・ユーシービー(株)製)93質量部に、R−3833(ダイキンファインケミカル研究所製)5質量部、ケイ素含有モノマーのX−22−164C(信越化学(株)製)2質量部、光ラジカル重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)3質量部をメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(1:1質量比)混合液に溶解混合し、ハードコート層塗布液(h−3)を調整した。
(ハードコート層塗布液(h−4)の調製)
ハードコート層塗布液(h−1)の調製において、メガファック531Aを添加しなかった以外は同様に行い、ハードコート層塗布液(h−4)を調製した。
(ハードコートフィルムの作製)
厚さ175μmと100μmのPET(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)の両面をコロナ処理し、ハードコート層を設置する面に屈折率1.55、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(LX407C5、日本ゼオン(株)製)と酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物(FS−10D、石原産業(株)製)を質量で5:5の割合で混合し、乾燥後の膜厚が200nmとなるよう塗布し、帯電防止層付き下塗り層を形成した後、上記ハードコート層用塗布液を表4に記載の厚みになるようにエクストルージョン方式で塗布、乾燥し、紫外線を照射(700mJ/cm2)して表4に記載の厚みのハードコートフィルムを作製した。
(重層ハードコートフィルムの作製)
上記の操作でハードコート層塗布液h−4を塗布した後、さらに同様の操作で、h−3のハードコート層塗布液を0.1μmの厚みになるように形成し、重層のハードコートフィルムHCF5およびHCF7を作製した。
(防汚層の作製)
(1)防汚層塗布液(a−1)の調製
熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7214、JSR(株)製)にイソプロピルアルコールを加えて、0.2質量%の粗分散物液を調製した。粗分散液を更に超音波分散し、防汚性用塗布液を調製した。
(2)防汚層付きハードコートフィルムの形成
表4に示すように、(h−4)のハードコート層塗設後、(a−1)の防汚層塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥膜厚が0.1μmになるように塗布、乾燥、熱硬化して防汚層を形成し、防汚層付きハードコートフィルムHCF6を得た。
これらのフィルムの特性を表4に示す。
Figure 2005022354
それぞれの評価方法は、以下の方法で行った。
・表面弾性率;微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ社製:フィッシャースコープH100VP−HCU)を用いて、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から表面弾性率を求めた。
・鉛筆硬度試験;作製したハードコートフィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、9.8Nの荷重にて傷が認められない鉛筆の硬度を求めた。
・接触角;ハードコートフィルムを2×2cm2に切り取り、Contact-Angle meter(協和界面化学(株)製10927)を用いて水の接触角を測定した。
・防汚性;フィルム表面に書いた速乾性油性インキ(ゼブラ製、「マッキー」(登録商標))を東レ(株)製「トレシー」(登録商標)を用いて数回擦ってふき取った状態の評価(〇は書いた跡が完全にふき取れた状態、△は一部がふき取れずに残った状態、×は大部分がふき残った状態)。
・耐擦傷性;#0000のスチールウールを用い、2N/cm2の荷重をかけ、50往復擦った後、表面の傷を観察した(傷が見えないものを〇、僅かに見えるものを△、傷がはっきり見えるものを×とした)。
〔ハードコート処理物品の作成〕
(Pタイルへの応用)
表4にHCF7で示したハードコートフィルムを1)Pタイル、2)1mmガラス板、3)鏡に貼りつけ光沢感をテストした。各基材(ハードコートフィルム貼着前)の波長380nmから780nmまでの光の平均透過率と平均鏡面反射率、および光沢感を表5に示す。
Figure 2005022354
なお、光沢感の評価は、蛍光灯下で光沢感を目視にて、〇:光沢感があるもの、×:光沢感がないもの、△:中間のもの、との基準で評価した。
また、平均透過率と平均鏡面反射率は、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて測定した。
上記表5に示す結果から、波長380nmから780nmまでの光の平均透過率が10%以下で、平均鏡面反射率が50%以下の物品に本発明に従ってハードコートフィルムをアクリル系粘着材層(膜厚20μm)を設けて貼着すると光沢感が出て外観が好ましくなるが、平均透過率または平均鏡面反射率が元々高いものは光沢感を増す効果のないことが分かる。
また、表4にHCF7で示したハードコートフィルムを上記Pタイルで覆われたトイレの床にアクリル系粘着材層(膜厚20μm:曲げこわさが2500kg/cm2)を設けて貼合した。ハードコートフィルム貼合個所と未貼合個所の性能を比較した結果を表6に示した。各性能の評価基準は前記と同じである。
Figure 2005022354
また、体重65kgの人が載った車椅子で上記のハードコートフィルム貼着Pタイル床の上に載って車椅子を動かしてみたが傷が付かなかった。その後、ハートコートフィルムを剥してみたが容易に剥がれた。
上記結果から、本発明に従ってハードコートフィルムを貼着すると光沢感が増すことで意匠性を上げられる上に鉛筆硬度、防汚性、耐擦傷性が著しく向上することが分かった。また、車椅子で傷が付かないこと、貼着したハードコートフィルムが容易に剥がれ粘着が床に残らなかったことから、本発明が介護用トイレ床への応用が好適であることが分かった。
(フローリング床への応用)
表4にHCF6で示したハードコートフィルムを裏面の一部に漫画のキャラクターを逆向き(鏡像)にマジックインキで描いた後にフローリング貼りの子供部屋の床にアクリル系粘着材層(膜厚20μm)を設けて貼合した。ハードコートフィルム貼合個所と未貼合個所の性能を比較した結果を表7に示した。各性能の評価基準は前記と同じである。
Figure 2005022354
また、体重40kgの子供が乗ったキャスター付き椅子でフローリング床のハードコートフィルム貼着フィルムで覆われた部分に乗って動かしてみた後、ハードコートフィルムを剥して傷を調べてみたが、フローリングには傷が付いていなかった。
上記結果から本発明に従ってハードコートフィルムを貼着すると鉛筆硬度、防汚性、耐擦傷性が著しく向上することが分かった。また、ハードコートの裏面に絵を付けることで意匠性も上げられ、本発明がフローリング貼りの子供部屋への応用が好適であることが分かった。
(木質系基材への応用)
木質系基材として合板の表面に木質化粧単板を貼り合わせたものを用い、ハードコート処理する側の表面をサンドペーパーなどを用いて研磨し、平滑にした。次いでこの研磨された表面にスプレーガンを用いて水性ニスを厚みが5μmになるように塗布し、空気中で乾燥させた。(プライマー処理)次いで水性ニスを塗布した部分の一部に表4のHCF4とHCF6で示したハードコートフィルムをアクリル系粘着層(膜厚20μm)を設けて貼合した。ハードコートフィルム貼合個所と未貼合個所の性能を比較した結果を表8に示した。各性能の評価基準は前記と同じである。
Figure 2005022354
上記結果から本発明の方法に従ってハードコートフィルムを貼着すると鉛筆硬度、防汚性が著しく向上することが分かった。
(段ボール机への応用)
表4にHCF1、HCF2で示したハードコートフィルムと100μm厚みのPETフィルムを段ボール製チャイルドディスク(ダンディンドン有限会社製)にアクリル系粘着材層(膜厚20μm)を設けて貼合した。各フィルム貼合個所と未貼合個所の性能を比較した結果を表9に示した。
Figure 2005022354
ここで、防水性テストは、各フィルム貼合または未貼合個所に水5ccを垂らし、10分度に段ボールに水が染みているかどうかを確認し、段ボールに水が染みていないものを〇、段ボールに水が染みているものを×で評価した結果を示した。その他の性能の評価基準は前記と同じである。
上記HCF1貼合個所と、PETフィルム貼合個所と未貼合個所の防汚性テスト後、マジックの跡が残っている箇所に、脱脂綿にアセトンを付けて拭き取るテストを行ったところ、HCF1とPETフィルム貼合個所はきれいに拭き取れたが、未貼合個所はマジックが滲んで汚くなってしまった。
上記結果から本発明に従ってハードコートフィルムを貼着すると鉛筆硬度、防汚性、耐擦傷性が著しく向上することが分かった。また、防水性に関しても著しく向上することが確認できた。
(コンクリート型枠用のせき板への応用)
表4にHCF5で示したハードコートフィルムを、南洋材を原料としたコンクリート型枠のせき板にアクリル系粘着材層(膜厚20μm)を設けて貼合した。ハードコートフィルム貼合個所と未貼合個所の性能を比較した結果を表10に示した。各性能の評価基準は前記と同じである。
Figure 2005022354
上記結果から本発明に従ってハードコートフィルムを貼着すると鉛筆硬度、防汚性、耐擦傷性が著しく向上することが分かった。また、コンクリート付着性に関して貼着前後で調べたが、ハードコートフィルム貼着後の方が付着量が減少することが確認できた。

Claims (9)

  1. 波長380nmから780nmまでの光の平均透過率が10%以下で、かつ、波長380nmから780nmまでの光の平均鏡面反射率が50%以下の基材の表面に、表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムが貼合されていることを特徴とするハードコート処理物品。
  2. 表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムが、水の接触角が90゜以上のフィルムであることを特徴とする請求項1記載のハードコート処理物品。
  3. 表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムが、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかの原子と重合性基とを有する硬化性樹脂を含有する硬化性組成物が硬化した層を有するフィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載のハードコート処理物品。
  4. 表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムが、表面の鉛筆硬度4H以上のフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のハードコート処理物品。
  5. 表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムが、#0000のスチールウールを用い、2N/cm2の荷重をかけ、50往復擦った後、表面の傷を観察したとき傷が見えないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のハードコート処理物品。
  6. 基材が、床材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のハードコート処理物品。
  7. 基材が、トイレの床材であることを特徴とする請求項6に記載のハードコート処理物品。
  8. 基材が、コンクリート型枠用のせき板であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のハードコート処理物品。
  9. 基材と表面の鉛筆硬度がH以上のフィルムとが、JIS−K7106に準拠して測定した曲げこわさが100〜5000kg/cm2である粘着層を介して貼合されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のハードコート処理物品。
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