JP2005019783A - 熱電変換材料と電極の接合方法及び熱電変換モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化亜鉛系熱電変換材料に対して、電極を有効に接合する方法及びこの接合方法により構成してなる熱電変換モジュールを提供する。
【解決手段】酸化亜鉛を主成分とする酸化物焼結体からなる熱電変換材料1の一部に、溶射によって接合部3,4を形成し、この接合部3,4と電極金属11とを接合する熱電変換材料1と電極11の接合方法。及びこの接合方法により、熱電変換材料1と電極11を接合した熱電変換モジュール10である。
【選択図】 図3
【解決手段】酸化亜鉛を主成分とする酸化物焼結体からなる熱電変換材料1の一部に、溶射によって接合部3,4を形成し、この接合部3,4と電極金属11とを接合する熱電変換材料1と電極11の接合方法。及びこの接合方法により、熱電変換材料1と電極11を接合した熱電変換モジュール10である。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電変換材料と電極の接合方法及び熱電変換モジュールに関し、さらに詳しくは、耐熱性を有する亜鉛系酸化物からなる熱電変換材料と電極を接合する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱電変換素子(熱電変換モジュール)の熱電変換材料としては、非酸化物系の熱電材料が用いられてきた。その代表的な材料として、例えば、Bi−Te,Pb−Te,Si−Ge,Fe−Si系化合物等が挙げられる。これらは電極と接合されて熱電変換素子が構成される。電極としては通常Mo,Cu,Al等の金属、あるいはそれらを主成分とする合金が使用されている。
【0003】
熱電変換素子においては、熱電変換材料と電極材料とを、高温接合部及び低温接合部の両部分で接合する必要があるが、熱電変換材料が非酸化物の場合には、熱電変換材料、電極材料ともに非酸化物系の材料であるので、両者を接合することは比較的容易であり、それにより熱電変換素子として現実に実用化されている。
一方、酸化物系材料の中にも優れた熱電変換特性を有しているものがあることが見出され、熱電変換材料として開発されている。それら酸化物系熱電変換材料は、室温から高温までの広い温度範囲で有効な熱電特性を備えているが、これら酸化物系の熱電変換材料の場合においても、熱電変換素子として利用するには電極と接合することが必要である。
【0004】
しかし、酸化物系熱電変換材料の場合には、600℃近傍の高温域での利用を想定しているため、ハンダ等による接合では耐熱性の点で不都合であること、また、一般に導電性を有する金属で構成される電極とは、濡れ性等の問題があることから接合が難しい。
その中で、ナトリウムコバルト酸化物系等の酸化物系の材料はロウ付けにより比較的容易に接合が出来ることが報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−156529号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者は、酸化亜鉛を主として含む酸化物が、高い熱電性能を示すことを発見している(特願2002−337636号)。
しかしながら、この材料を高温で使用するために接合方法の検討を行った結果、通常、セラミックスの接合に有効である、真空下でのロウ付けする方法では、酸化亜鉛系材料の濡れが悪いことや亜鉛の蒸発が起きることから困難であることがわかった。
本発明は上記課題に鑑み、酸化亜鉛系熱電変換材料に対して、電極を有効に接合する方法及びこの接合方法により構成してなる熱電変換モジュールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、各種実験、検討を加えたところ、溶射法(フレーム溶射法、アーク溶射法、レーザー溶射法又はプラズマ溶射法等)又は無電解メッキ法により、熱電変換材料の一部に接合部を形成し、この接合部と電極を形成する金属を、機械的にかしめ、又は、ロウ付けする等によって接合することにより、接合により生じる電気抵抗を向上することなく接合できることを見いだし、本発明に到達するに至ったものである。
【0008】
本発明の第一の態様によれば、酸化亜鉛を主成分とする酸化物焼結体からなる熱電変換材料の一部に、溶射(フレーム溶射法、アーク溶射法、レーザー溶射法又はプラズマ溶射法等)によって接合部を形成し、この接合部と電極とを接合する熱電変換材料と電極の接合方法が提供される。
本発明の第二の態様によれば、酸化亜鉛を主成分とする酸化物焼結体からなる熱電変換材料に、無電解メッキ法によって接合部を形成し、この接合部と電極とを接合する熱電変換材料と電極の接合方法が提供される。
本発明の第三の態様によれば、上記の接合方法により、熱電変換材料と電極を接合した熱電変換モジュールが提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いる熱電変換材料は、酸化亜鉛を主成分とする酸化物焼結体からなる。
酸化亜鉛に含有させる他の元素としては、三価又はそれ以上の価数をとりうる元素が良好であり、例えば、希土類元素、3d遷移金属元素,Ti,Zr,Al,In及びGa等が挙げられる。希土類元素の中でも、Ce、Pr、Nd、Sm及びYbが好ましく、また、Ti,Zr,Al,In,Ni及びGaが好ましい。
酸化亜鉛に含まれる元素は、一種でもよく、また、二種以上でもよい。
これらの元素は、酸化亜鉛の亜鉛1モルに対して、0.00001〜0.5モル含有されることが好ましく、0.002〜0.1モル含有されることが特に好ましい。
【0010】
酸化亜鉛を主成分とする酸化物焼結体は、必要な元素源を含む原料を、粉末等として均一に混合し、焼成することにより得られる。
酸化物を製造するに際して用いられる原料としては、各成分元素、各成分元素の酸化物又はその焼成時に酸化物となる原料が使用できる。
【0011】
Zn源としては、例えば、金属(Zn)、酸化物(ZnO)、水酸化物[(Zn(OH)2)]、硝酸塩[Zn(NO3)2]等が用いられる。
また、Al源としては、例えば、金属(Al)、酸化物(Al2O3)、硝酸塩(Al(NO3)3・9H2O)等が、Ga源としては、金属(Ga)、酸化物(Ga2O3)、硝酸塩(Ga(NO3)3・nH2O)等が、Zr源としては、金属(Zr)、酸化物(ZrO2)、硝酸塩(ZrO(NO3)2・2H2O)等が、Ti源としては、金属(Ti)、酸化物(TiO2)等が、Ni源としては、金属(Ni)、酸化物(NiO)、硝酸塩(Ni(NO3)2・6H2O)等が用いられる。
【0012】
また、希土類元素のうち、Ce源としては、例えば、金属(Ce)、酸化物(CeO2)、炭酸化物[Ce2(CO3)3・8H2O]、硝酸塩[Ce(NO3)3・6H2O]等が、Pr源としては、例えば、酸化物(Pr2O3)、炭酸化物[Pr2(CO3)3]、硝酸塩[Pr(NO3)3]等が、Sm源としては、例えば、酸化物(Sm2O3)、炭酸化物[Sm2(CO3)3]、硝酸塩[Sm(NO3)3]等が、Nd源としては、例えば、酸化物(Nd2O3)、炭酸化物[Nd2(CO3)3]、硝酸塩[Nd(NO3)3]等が、Yb源としては、例えば、酸化物(Yb2O3)、炭酸化物[Yb2(CO3)3]、硝酸塩[Yb(NO3)3]等がそれぞれ用いられる。また、In源としては、例えば、金属(In)、酸化物(In2O3)、水酸化物[In(OH)3]、硝酸塩[In(NO3)3]等が用いられる。
【0013】
これらの元素源の混合物に、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液等の成形助剤を加え、乾燥させ加圧成形したものを焼結することによって、酸化物焼結体を作製できる。
【0014】
続いて、上記の熱電変換材料の一部に接合部を形成する。
本発明では、熱電変換材料の一部表面を切削した導電性面上に、プラズマ溶射法、又は無電解メッキ法によって、溶射又はメッキを施し、接合部を形成する。
【0015】
溶射法は、コーティング材料を、加熱により溶融又は軟化させ、微粒子状にして加速し被覆対象物表面に衝突させて、扁平に潰れた粒子を凝固・堆積させることにより皮膜を形成するコーティング技術の一種で、使用する材料や熱源の種類等により分類でき、フレーム溶射、アーク溶射、レーザー溶射又はプラズマ溶射等が挙げられる。
本発明において、溶射(フレーム溶射法、アーク溶射法、レーザー溶射法又はプラズマ溶射法等)に用いる機器としては、公知であり一般に市販されているものを使用できる。また、溶射条件は、被溶射物である熱電変換材料、及び使用される溶射材料に合わせて適宜調整することができる。
【0016】
接合部を形成する溶射材料としては、例えば、Ni,Al,Cu,Fe,Zn,Sn及びIn等のいずれか一つの金属又はこれらの元素のうち少なくとも一つを含む合金等が使用できる。好ましくは、Ni,Al,Fe,Cu,Zn、又はこれらの元素を含む合金である。
具体的には、Ni95%Al5%合金、Al及びステンレス等が好適に使用できる。
【0017】
無電解メッキ法は、電流を使わずに金属を化学的に還元析出させることでメッキする方法である。
本発明において、無電解メッキ法は公知の方法によって行うことができる。
接合部を形成するメッキ材料としては、Ni,Cr,Cu,Ag,Au及びSn等が使用できる。好ましくは、Ni,Crである。
【0018】
熱電変換材料と接合される電極材料としては、Cu,Al,Ni等の金属や、ステンレス等の合金を用いることができる。電極材料には、熱電変換材料の逆向きの熱起電力を生じる材料を選択することが好ましい。即ち、n型熱電変換材料に対しては、熱起電力が正になるステンレス合金等が好ましく、p型熱電変換材料に対しては、熱起電力が負になるNiやCu等が好ましい。
また、電極材料は、線状又は薄膜形状として使用することが好ましい。
【0019】
以下、本発明の接合方法及び熱電変換モジュールの一実施形態を、図を用いて説明する。
図1は、熱電変換材料の形状を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
熱電変換材料1は、上述した酸化亜鉛を主とする混合物を、直方体に加圧成形し、これを焼結して作製したものである。熱電変換材料1の両端部の上面には、には、導電性面2が形成されている。
尚、導電性面2は、熱電変換材料1の表面を、ダイヤモンドドリル等の切削機器によって、切削することにより形成できる。
【0020】
図2は、接合部形成後の熱電変換材料の側面図である。
導電性面2上に、溶射(フレーム溶射法、アーク溶射法、レーザー溶射法又はプラズマ溶射法等)による溶射部又は無電解メッキ法によるメッキ部からなる第一端の接合部3及び第二端の接合部4を形成する。
【0021】
このように接合部3,4を形成した熱電変換材料1を、電極と接合して熱電変換モジュールとする。
図3は、熱電変換モジュールの概略上面図であり、図4は、図3中のA−A線切断図である。
熱電変換モジュール10は、熱電変換材料1が複数本介在配置され、一の熱電変換材料1の第一端の接合部3と、隣接して配置された他の熱電変換材料1の第二端の接合部4を、それぞれ電極金属11を介して接続した構成をしている。
【0022】
電極金属11は、複数の熱電変換材料1を電気的に接続するものであり、熱電変換材料1と、接合部3又は4以外の箇所で接触しない様に折り曲げ加工がなされている。
ケース13は、熱電変換材料1と電極を接合するためのもので、断面が凹形状であり、その上面及び下面の対向する位置に孔が設けられている。この孔にピン12を貫通させ、ピン12の一端をかしめることによって、ケース13の上面及び下面の間隙を狭めることができるようになっている。
【0023】
本実施形態においては、熱電変換材料1の接合部3又は4と電極金属11をケース13に挿入し、ピン12の一端をかしめることにより、ケース13の上面及び下面の間隙を狭めることによって、熱電変換材料1と電極金属11を接合している。
このように、接合部3又は4と金属電極11を接合することによって、この界面によって生じる電気抵抗の増加を抑制できる。
【0024】
尚、熱電変換モジュール10においては、接合部3又は4と金属電極11を、ケース13を用いて機械的に接合しているが、これに限らず、例えば、銀ろう,金ろう,黄銅ろう等のろう材によって接着することもできる。
また、ケース13内の間隙を、ピン12をかしめることによって狭めているが、これに代えてボトルナットで締め付けることによって接合してもよい。
【0025】
この熱電変換モジュール10を、リード線等によって電気回路に組み込み、熱電変換材料1の両端部間に温度差を与えるにより、ゼーベック効果によって電流が流れる。
本発明の接合方法により作製した熱電変換モジュールは、高温での使用にも熱電変換特性の劣化が少ないため、燃焼排ガス等の高温熱源を利用できる。
また、家庭用及び工業用石油燃料暖房器等に使用できる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0027】
実施例1
酸化亜鉛粉(純度99.9%)120g及び酸化セリウム(純度99.9%)1.2gを秤量し、遊星ボールミルで20時間混合粉砕した。
次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を120g添加し、よく混合した。これを乾燥機にて90℃、24時間乾燥させた後、乳鉢にとり、粉砕しながら100メッシュのふるいにかけ、粒度をそろえた。
得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約50mmの棒状に加圧成形した。得られた5本の成形体を、室温から8時間かけて1450℃まで昇温し、10時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却し、熱電変換材料(ZnO−Ce焼結体)を作製した。
【0028】
得られた熱電変換材料の長軸方向の表面を、長さ約10mm、幅約2mmずつダイヤモンドドリルで削り落として導電性面を形成した(図1参照)。これにアーク溶射法(日本ユテク株式会社製モデル9000アークシステム)を用い、溶射材料として、Ni95%Al15%線を用いて焼結体の導電性面に溶射し、接合部を形成した(図2参照)。
【0029】
この接合部に、電極金属としてSUS430のシート(厚さ100ミクロン)を、図3に示すように、電極金属及び熱電変換材料をケースに挿入し、機械的に締め付けることによって接合し、熱電変換モジュールを作製した。
この熱電変換モジュールをアルミナ基板に載せ、ホットプレート上に置いて、ホットプレートの温度を5分程度かけて室温(25℃)から450℃に上昇させ、450℃で20分保持後、室温にて放置し、モジュールの温度を室温まで戻すというヒートサイクル試験を10回繰り返した。その結果、ヒートサイクル試験の前後において、モジュールの熱起電力、電気抵抗の変化はなく、良好な接合が出来ていることがわかった。
【0030】
実施例2
酸化亜鉛粉(純度99.9%)を120g、酸化セリウム(純度99.9%)を0.5g、及び酸化ニッケル(純度99.9%)を1.9g秤量し、遊星ボールミルで20時間混合粉砕した。
次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%PVA(ポリビニルアルコール)水溶液を120g添加し、よく混合した。これを乾燥機にて90℃、24時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュのふるいにかけ、粒度をそろえた。
【0031】
得られた粉末を、金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約50mmの棒状に加圧成形した。得られた5本の成形体を、室温から8時間かけて1450℃まで昇温し、10時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却し、熱電変換材料を作製した。
得られた焼結体を実施例1と同様に加工し、熱電変換モジュールを作製した。
このモジュールを、実施例1と同様にヒートサイクル試験を行った結果、試験前後において、モジュールの熱起電力、電気抵抗の変化はなく、良好な接合が出来ていることがわかった。
【0032】
実施例3
実施例1において、溶射材料としてAl線を用いた他は、実施例1と同様にして、熱電変換モジュールを作製した。
このモジュールについて、実施例1と同様のヒートサイクル試験を実施した結果、試験前後において、モジュールの熱起電力、電気抵抗の変化はなく、良好な接合が出来ていることがわかった。
【0033】
実施例4
実施例1と同様にして、熱電変換材料を作製し、導電性面を形成した後、この導電性面上に、Niの無電解メッキを施し、接合部を形成した。
接合部の形成は以下の方法で行った。
メッキ液には、硫酸ニッケル25gと蒸留水500ccを5リットル容器に入れて溶かし、次いで、次亜リン酸ナトリウム20g、酢酸ナトリウム10g、クエン酸ナトリウム10gを入れてよくかき混ぜ、蒸留水を加えて1リットルにし、その後、硫酸と次亜リン酸ナトリウムでpHを5に調製したものを使用した。
このメッキ液を約90℃に加熱したものに、先端を研磨し、脱脂した熱電変換材料を浸し、治具で保持した状態で1時間放置してメッキを形成した。その後、メッキ部を水で洗浄し接合部とした。
【0034】
この試料に、電極金属として、SUS430のシート(厚さ100ミクロン)を、図3に示すように、電極金属及び熱電変換材料をケースに挿入し、機械的に締め付けることによって接合し、熱電変換モジュールを作製した。
このモジュールについて、実施例1と同様のヒートサイクル試験を実施した結果、試験前後において、モジュールの熱起電力、電気抵抗の変化はなく、良好な接合が出来ていることがわかった。
【0035】
実施例5
実施例1において、熱電変換材料と電極金属の接合方法を代えた他は、実施例1と同様にして、熱電変換モジュールを作製した。
熱電変換材料と電極金属の接合は、熱電変換材料に形成した接合部と電極金属を、大気下で、銀ロウ(Ag/Cu/Zn/Cd:45/15/16/24)付けによって行った。
このモジュールについて、実施例1と同様のヒートサイクル試験を実施した結果、試験前後において、モジュールの熱起電力、電気抵抗の変化はなく、良好な接合が出来ていることがわかった。
【0036】
比較例1
実施例1と同様に作製した熱電変換材料の長軸方向の表面を長さ約10mm、幅約2mmずつダイヤモンドドリルで削り落として導電性面を出した後(図1参照)、この導電性面に、電極金属であるSUS430のシート(厚さ100ミクロン)を橋渡し、真空下、800℃で、活性銀ロウ(TKC−591:AgCuInTi系)を使用して銀ロウ付けを行おうとしたが、銀ロウと熱電変換材料の濡れが悪く接合できなかった。
【0037】
比較例2
比較例1において、活性銀ロウの代わりに、銀ペースト(導電性接着剤二液タイプD−753、藤倉化成(株)製)を用いて、電極金属を橋渡して接合した他は比較例1と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
このモジュールについて、実施例1と同様のヒートサイクル試験を実施した結果、試験後において、モジュールの電気抵抗が著しく増加することがわかった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、酸化亜鉛系熱電変換材料に対して、電極を有効に接合する方法及びこの接合方法により構成してなる熱電変換モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱電変換材料の形状を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図2】接合部形成後の熱電変換材料の側面図である。
【図3】熱電変換モジュールの概略上面図である。
【図4】図3中のA−A線切断図である。
【符号の説明】
1 熱電変換材料
2 導電性面
3 第一端の接合部
4 第二端の接合部
10 熱電変換モジュール
11 電極金属(電極)
12 ピン
13 ケース
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電変換材料と電極の接合方法及び熱電変換モジュールに関し、さらに詳しくは、耐熱性を有する亜鉛系酸化物からなる熱電変換材料と電極を接合する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱電変換素子(熱電変換モジュール)の熱電変換材料としては、非酸化物系の熱電材料が用いられてきた。その代表的な材料として、例えば、Bi−Te,Pb−Te,Si−Ge,Fe−Si系化合物等が挙げられる。これらは電極と接合されて熱電変換素子が構成される。電極としては通常Mo,Cu,Al等の金属、あるいはそれらを主成分とする合金が使用されている。
【0003】
熱電変換素子においては、熱電変換材料と電極材料とを、高温接合部及び低温接合部の両部分で接合する必要があるが、熱電変換材料が非酸化物の場合には、熱電変換材料、電極材料ともに非酸化物系の材料であるので、両者を接合することは比較的容易であり、それにより熱電変換素子として現実に実用化されている。
一方、酸化物系材料の中にも優れた熱電変換特性を有しているものがあることが見出され、熱電変換材料として開発されている。それら酸化物系熱電変換材料は、室温から高温までの広い温度範囲で有効な熱電特性を備えているが、これら酸化物系の熱電変換材料の場合においても、熱電変換素子として利用するには電極と接合することが必要である。
【0004】
しかし、酸化物系熱電変換材料の場合には、600℃近傍の高温域での利用を想定しているため、ハンダ等による接合では耐熱性の点で不都合であること、また、一般に導電性を有する金属で構成される電極とは、濡れ性等の問題があることから接合が難しい。
その中で、ナトリウムコバルト酸化物系等の酸化物系の材料はロウ付けにより比較的容易に接合が出来ることが報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−156529号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者は、酸化亜鉛を主として含む酸化物が、高い熱電性能を示すことを発見している(特願2002−337636号)。
しかしながら、この材料を高温で使用するために接合方法の検討を行った結果、通常、セラミックスの接合に有効である、真空下でのロウ付けする方法では、酸化亜鉛系材料の濡れが悪いことや亜鉛の蒸発が起きることから困難であることがわかった。
本発明は上記課題に鑑み、酸化亜鉛系熱電変換材料に対して、電極を有効に接合する方法及びこの接合方法により構成してなる熱電変換モジュールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、各種実験、検討を加えたところ、溶射法(フレーム溶射法、アーク溶射法、レーザー溶射法又はプラズマ溶射法等)又は無電解メッキ法により、熱電変換材料の一部に接合部を形成し、この接合部と電極を形成する金属を、機械的にかしめ、又は、ロウ付けする等によって接合することにより、接合により生じる電気抵抗を向上することなく接合できることを見いだし、本発明に到達するに至ったものである。
【0008】
本発明の第一の態様によれば、酸化亜鉛を主成分とする酸化物焼結体からなる熱電変換材料の一部に、溶射(フレーム溶射法、アーク溶射法、レーザー溶射法又はプラズマ溶射法等)によって接合部を形成し、この接合部と電極とを接合する熱電変換材料と電極の接合方法が提供される。
本発明の第二の態様によれば、酸化亜鉛を主成分とする酸化物焼結体からなる熱電変換材料に、無電解メッキ法によって接合部を形成し、この接合部と電極とを接合する熱電変換材料と電極の接合方法が提供される。
本発明の第三の態様によれば、上記の接合方法により、熱電変換材料と電極を接合した熱電変換モジュールが提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いる熱電変換材料は、酸化亜鉛を主成分とする酸化物焼結体からなる。
酸化亜鉛に含有させる他の元素としては、三価又はそれ以上の価数をとりうる元素が良好であり、例えば、希土類元素、3d遷移金属元素,Ti,Zr,Al,In及びGa等が挙げられる。希土類元素の中でも、Ce、Pr、Nd、Sm及びYbが好ましく、また、Ti,Zr,Al,In,Ni及びGaが好ましい。
酸化亜鉛に含まれる元素は、一種でもよく、また、二種以上でもよい。
これらの元素は、酸化亜鉛の亜鉛1モルに対して、0.00001〜0.5モル含有されることが好ましく、0.002〜0.1モル含有されることが特に好ましい。
【0010】
酸化亜鉛を主成分とする酸化物焼結体は、必要な元素源を含む原料を、粉末等として均一に混合し、焼成することにより得られる。
酸化物を製造するに際して用いられる原料としては、各成分元素、各成分元素の酸化物又はその焼成時に酸化物となる原料が使用できる。
【0011】
Zn源としては、例えば、金属(Zn)、酸化物(ZnO)、水酸化物[(Zn(OH)2)]、硝酸塩[Zn(NO3)2]等が用いられる。
また、Al源としては、例えば、金属(Al)、酸化物(Al2O3)、硝酸塩(Al(NO3)3・9H2O)等が、Ga源としては、金属(Ga)、酸化物(Ga2O3)、硝酸塩(Ga(NO3)3・nH2O)等が、Zr源としては、金属(Zr)、酸化物(ZrO2)、硝酸塩(ZrO(NO3)2・2H2O)等が、Ti源としては、金属(Ti)、酸化物(TiO2)等が、Ni源としては、金属(Ni)、酸化物(NiO)、硝酸塩(Ni(NO3)2・6H2O)等が用いられる。
【0012】
また、希土類元素のうち、Ce源としては、例えば、金属(Ce)、酸化物(CeO2)、炭酸化物[Ce2(CO3)3・8H2O]、硝酸塩[Ce(NO3)3・6H2O]等が、Pr源としては、例えば、酸化物(Pr2O3)、炭酸化物[Pr2(CO3)3]、硝酸塩[Pr(NO3)3]等が、Sm源としては、例えば、酸化物(Sm2O3)、炭酸化物[Sm2(CO3)3]、硝酸塩[Sm(NO3)3]等が、Nd源としては、例えば、酸化物(Nd2O3)、炭酸化物[Nd2(CO3)3]、硝酸塩[Nd(NO3)3]等が、Yb源としては、例えば、酸化物(Yb2O3)、炭酸化物[Yb2(CO3)3]、硝酸塩[Yb(NO3)3]等がそれぞれ用いられる。また、In源としては、例えば、金属(In)、酸化物(In2O3)、水酸化物[In(OH)3]、硝酸塩[In(NO3)3]等が用いられる。
【0013】
これらの元素源の混合物に、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液等の成形助剤を加え、乾燥させ加圧成形したものを焼結することによって、酸化物焼結体を作製できる。
【0014】
続いて、上記の熱電変換材料の一部に接合部を形成する。
本発明では、熱電変換材料の一部表面を切削した導電性面上に、プラズマ溶射法、又は無電解メッキ法によって、溶射又はメッキを施し、接合部を形成する。
【0015】
溶射法は、コーティング材料を、加熱により溶融又は軟化させ、微粒子状にして加速し被覆対象物表面に衝突させて、扁平に潰れた粒子を凝固・堆積させることにより皮膜を形成するコーティング技術の一種で、使用する材料や熱源の種類等により分類でき、フレーム溶射、アーク溶射、レーザー溶射又はプラズマ溶射等が挙げられる。
本発明において、溶射(フレーム溶射法、アーク溶射法、レーザー溶射法又はプラズマ溶射法等)に用いる機器としては、公知であり一般に市販されているものを使用できる。また、溶射条件は、被溶射物である熱電変換材料、及び使用される溶射材料に合わせて適宜調整することができる。
【0016】
接合部を形成する溶射材料としては、例えば、Ni,Al,Cu,Fe,Zn,Sn及びIn等のいずれか一つの金属又はこれらの元素のうち少なくとも一つを含む合金等が使用できる。好ましくは、Ni,Al,Fe,Cu,Zn、又はこれらの元素を含む合金である。
具体的には、Ni95%Al5%合金、Al及びステンレス等が好適に使用できる。
【0017】
無電解メッキ法は、電流を使わずに金属を化学的に還元析出させることでメッキする方法である。
本発明において、無電解メッキ法は公知の方法によって行うことができる。
接合部を形成するメッキ材料としては、Ni,Cr,Cu,Ag,Au及びSn等が使用できる。好ましくは、Ni,Crである。
【0018】
熱電変換材料と接合される電極材料としては、Cu,Al,Ni等の金属や、ステンレス等の合金を用いることができる。電極材料には、熱電変換材料の逆向きの熱起電力を生じる材料を選択することが好ましい。即ち、n型熱電変換材料に対しては、熱起電力が正になるステンレス合金等が好ましく、p型熱電変換材料に対しては、熱起電力が負になるNiやCu等が好ましい。
また、電極材料は、線状又は薄膜形状として使用することが好ましい。
【0019】
以下、本発明の接合方法及び熱電変換モジュールの一実施形態を、図を用いて説明する。
図1は、熱電変換材料の形状を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
熱電変換材料1は、上述した酸化亜鉛を主とする混合物を、直方体に加圧成形し、これを焼結して作製したものである。熱電変換材料1の両端部の上面には、には、導電性面2が形成されている。
尚、導電性面2は、熱電変換材料1の表面を、ダイヤモンドドリル等の切削機器によって、切削することにより形成できる。
【0020】
図2は、接合部形成後の熱電変換材料の側面図である。
導電性面2上に、溶射(フレーム溶射法、アーク溶射法、レーザー溶射法又はプラズマ溶射法等)による溶射部又は無電解メッキ法によるメッキ部からなる第一端の接合部3及び第二端の接合部4を形成する。
【0021】
このように接合部3,4を形成した熱電変換材料1を、電極と接合して熱電変換モジュールとする。
図3は、熱電変換モジュールの概略上面図であり、図4は、図3中のA−A線切断図である。
熱電変換モジュール10は、熱電変換材料1が複数本介在配置され、一の熱電変換材料1の第一端の接合部3と、隣接して配置された他の熱電変換材料1の第二端の接合部4を、それぞれ電極金属11を介して接続した構成をしている。
【0022】
電極金属11は、複数の熱電変換材料1を電気的に接続するものであり、熱電変換材料1と、接合部3又は4以外の箇所で接触しない様に折り曲げ加工がなされている。
ケース13は、熱電変換材料1と電極を接合するためのもので、断面が凹形状であり、その上面及び下面の対向する位置に孔が設けられている。この孔にピン12を貫通させ、ピン12の一端をかしめることによって、ケース13の上面及び下面の間隙を狭めることができるようになっている。
【0023】
本実施形態においては、熱電変換材料1の接合部3又は4と電極金属11をケース13に挿入し、ピン12の一端をかしめることにより、ケース13の上面及び下面の間隙を狭めることによって、熱電変換材料1と電極金属11を接合している。
このように、接合部3又は4と金属電極11を接合することによって、この界面によって生じる電気抵抗の増加を抑制できる。
【0024】
尚、熱電変換モジュール10においては、接合部3又は4と金属電極11を、ケース13を用いて機械的に接合しているが、これに限らず、例えば、銀ろう,金ろう,黄銅ろう等のろう材によって接着することもできる。
また、ケース13内の間隙を、ピン12をかしめることによって狭めているが、これに代えてボトルナットで締め付けることによって接合してもよい。
【0025】
この熱電変換モジュール10を、リード線等によって電気回路に組み込み、熱電変換材料1の両端部間に温度差を与えるにより、ゼーベック効果によって電流が流れる。
本発明の接合方法により作製した熱電変換モジュールは、高温での使用にも熱電変換特性の劣化が少ないため、燃焼排ガス等の高温熱源を利用できる。
また、家庭用及び工業用石油燃料暖房器等に使用できる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0027】
実施例1
酸化亜鉛粉(純度99.9%)120g及び酸化セリウム(純度99.9%)1.2gを秤量し、遊星ボールミルで20時間混合粉砕した。
次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を120g添加し、よく混合した。これを乾燥機にて90℃、24時間乾燥させた後、乳鉢にとり、粉砕しながら100メッシュのふるいにかけ、粒度をそろえた。
得られた粉末を金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約50mmの棒状に加圧成形した。得られた5本の成形体を、室温から8時間かけて1450℃まで昇温し、10時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却し、熱電変換材料(ZnO−Ce焼結体)を作製した。
【0028】
得られた熱電変換材料の長軸方向の表面を、長さ約10mm、幅約2mmずつダイヤモンドドリルで削り落として導電性面を形成した(図1参照)。これにアーク溶射法(日本ユテク株式会社製モデル9000アークシステム)を用い、溶射材料として、Ni95%Al15%線を用いて焼結体の導電性面に溶射し、接合部を形成した(図2参照)。
【0029】
この接合部に、電極金属としてSUS430のシート(厚さ100ミクロン)を、図3に示すように、電極金属及び熱電変換材料をケースに挿入し、機械的に締め付けることによって接合し、熱電変換モジュールを作製した。
この熱電変換モジュールをアルミナ基板に載せ、ホットプレート上に置いて、ホットプレートの温度を5分程度かけて室温(25℃)から450℃に上昇させ、450℃で20分保持後、室温にて放置し、モジュールの温度を室温まで戻すというヒートサイクル試験を10回繰り返した。その結果、ヒートサイクル試験の前後において、モジュールの熱起電力、電気抵抗の変化はなく、良好な接合が出来ていることがわかった。
【0030】
実施例2
酸化亜鉛粉(純度99.9%)を120g、酸化セリウム(純度99.9%)を0.5g、及び酸化ニッケル(純度99.9%)を1.9g秤量し、遊星ボールミルで20時間混合粉砕した。
次に、この混合物をビーカーにとり、1重量%PVA(ポリビニルアルコール)水溶液を120g添加し、よく混合した。これを乾燥機にて90℃、24時間乾燥させた後、乳鉢にとり、さらに粉砕しながら100メッシュのふるいにかけ、粒度をそろえた。
【0031】
得られた粉末を、金型に入れて、幅約5mm、厚さ約5mm、長さ約50mmの棒状に加圧成形した。得られた5本の成形体を、室温から8時間かけて1450℃まで昇温し、10時間保持した後、8時間かけて室温まで冷却し、熱電変換材料を作製した。
得られた焼結体を実施例1と同様に加工し、熱電変換モジュールを作製した。
このモジュールを、実施例1と同様にヒートサイクル試験を行った結果、試験前後において、モジュールの熱起電力、電気抵抗の変化はなく、良好な接合が出来ていることがわかった。
【0032】
実施例3
実施例1において、溶射材料としてAl線を用いた他は、実施例1と同様にして、熱電変換モジュールを作製した。
このモジュールについて、実施例1と同様のヒートサイクル試験を実施した結果、試験前後において、モジュールの熱起電力、電気抵抗の変化はなく、良好な接合が出来ていることがわかった。
【0033】
実施例4
実施例1と同様にして、熱電変換材料を作製し、導電性面を形成した後、この導電性面上に、Niの無電解メッキを施し、接合部を形成した。
接合部の形成は以下の方法で行った。
メッキ液には、硫酸ニッケル25gと蒸留水500ccを5リットル容器に入れて溶かし、次いで、次亜リン酸ナトリウム20g、酢酸ナトリウム10g、クエン酸ナトリウム10gを入れてよくかき混ぜ、蒸留水を加えて1リットルにし、その後、硫酸と次亜リン酸ナトリウムでpHを5に調製したものを使用した。
このメッキ液を約90℃に加熱したものに、先端を研磨し、脱脂した熱電変換材料を浸し、治具で保持した状態で1時間放置してメッキを形成した。その後、メッキ部を水で洗浄し接合部とした。
【0034】
この試料に、電極金属として、SUS430のシート(厚さ100ミクロン)を、図3に示すように、電極金属及び熱電変換材料をケースに挿入し、機械的に締め付けることによって接合し、熱電変換モジュールを作製した。
このモジュールについて、実施例1と同様のヒートサイクル試験を実施した結果、試験前後において、モジュールの熱起電力、電気抵抗の変化はなく、良好な接合が出来ていることがわかった。
【0035】
実施例5
実施例1において、熱電変換材料と電極金属の接合方法を代えた他は、実施例1と同様にして、熱電変換モジュールを作製した。
熱電変換材料と電極金属の接合は、熱電変換材料に形成した接合部と電極金属を、大気下で、銀ロウ(Ag/Cu/Zn/Cd:45/15/16/24)付けによって行った。
このモジュールについて、実施例1と同様のヒートサイクル試験を実施した結果、試験前後において、モジュールの熱起電力、電気抵抗の変化はなく、良好な接合が出来ていることがわかった。
【0036】
比較例1
実施例1と同様に作製した熱電変換材料の長軸方向の表面を長さ約10mm、幅約2mmずつダイヤモンドドリルで削り落として導電性面を出した後(図1参照)、この導電性面に、電極金属であるSUS430のシート(厚さ100ミクロン)を橋渡し、真空下、800℃で、活性銀ロウ(TKC−591:AgCuInTi系)を使用して銀ロウ付けを行おうとしたが、銀ロウと熱電変換材料の濡れが悪く接合できなかった。
【0037】
比較例2
比較例1において、活性銀ロウの代わりに、銀ペースト(導電性接着剤二液タイプD−753、藤倉化成(株)製)を用いて、電極金属を橋渡して接合した他は比較例1と同様にして熱電変換モジュールを作製した。
このモジュールについて、実施例1と同様のヒートサイクル試験を実施した結果、試験後において、モジュールの電気抵抗が著しく増加することがわかった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、酸化亜鉛系熱電変換材料に対して、電極を有効に接合する方法及びこの接合方法により構成してなる熱電変換モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱電変換材料の形状を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図2】接合部形成後の熱電変換材料の側面図である。
【図3】熱電変換モジュールの概略上面図である。
【図4】図3中のA−A線切断図である。
【符号の説明】
1 熱電変換材料
2 導電性面
3 第一端の接合部
4 第二端の接合部
10 熱電変換モジュール
11 電極金属(電極)
12 ピン
13 ケース
Claims (8)
- 酸化亜鉛を主成分とする酸化物焼結体からなる熱電変換材料の一部に、溶射によって接合部を形成し、この接合部と電極とを接合する熱電変換材料と電極の接合方法。
- 前記接合部を形成する溶射材料が、Ni,Al,Cu,Fe,Zn,Sn及びInから選択される少なくとも1つの元素を含む請求項1に記載の熱電変換材料と電極の接合方法。
- 前記接合部を形成する溶射材料が、ステンレス鋼である請求項1に記載の熱電変換材料と電極の接合方法。
- 酸化亜鉛を主成分とする酸化物焼結体からなる熱電変換材料に、無電解メッキ法によって接合部を形成し、この接合部と電極とを接合する熱電変換材料と電極の接合方法。
- 前記接合部を形成するメッキ材料が、Ni,Cr,Cu,Ag,Au及びSnから選択される少なくとも1つの元素を含む請求項4に記載の熱電変換材料と電極の接合方法。
- 前記熱電変換材料が、酸化亜鉛に、希土類元素,3d遷移金属元素,Ti,Zr,Al,In及びGaの少なくとも1つを、前記酸化亜鉛の亜鉛1モルに対して、0.00001〜0.5モル含有した酸化物からなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱電変換材料と電極の接合方法。
- 前記溶射が、プラズマ溶射である請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱電変換材料と電極の接合方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の接合方法により、熱電変換材料と電極を接合した熱電変換モジュール。
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