JPH1168172A - シリコン−ゲルマニウム系材料の接合方法および熱電変換モジュールの製造方法ならびに熱電変換モジュール - Google Patents

シリコン−ゲルマニウム系材料の接合方法および熱電変換モジュールの製造方法ならびに熱電変換モジュール

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JPH1168172A
JPH1168172A JP9216780A JP21678097A JPH1168172A JP H1168172 A JPH1168172 A JP H1168172A JP 9216780 A JP9216780 A JP 9216780A JP 21678097 A JP21678097 A JP 21678097A JP H1168172 A JPH1168172 A JP H1168172A
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bonding
thermoelectric semiconductor
germanium
type thermoelectric
silicon
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JP9216780A
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Makoto Miyoshi
好 実 人 三
Yuichiro Imanishi
西 雄一郎 今
Keiko Kushibiki
引 圭 子 櫛
Kazuhiko Shinohara
原 和 彦 篠
Masakazu Kobayashi
林 正 和 小
Kenji Furuya
谷 健 司 古
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NGK Insulators Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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NGK Insulators Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温端接合部の耐熱性,耐熱衝撃性に優れ、
熱電変換効率が良い温度範囲で使用でき、接合部での発
電損失が少ない熱電変換モジュールを製造する。 【解決手段】 p型熱電半導体3と電極6,7とn型熱
電半導体2が電気的に接合された接合部をもつ熱電変換
モジュール1を製造するに際して、シリコン−ゲルマニ
ウムが主成分であるp型熱電半導体3およびn型熱電半
導体2と電極6,7の接合に、Agからなる接合材4,
5あるいはAg含有量が85重量%以上で残部がMn,
Cr,V,Tiのうちから選ばれる1種類以上の元素か
らなる接合材4,5を使用して接合部を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコン−ゲルマ
ニウム系材料同士の同種接合あるいはシリコン−ゲルマ
ニウム系材料と金属材料の異種接合に際して採用するの
に好適なシリコン−ゲルマニウム系材料の接合方法に関
し、また、熱源から熱起電力を取り出す熱電変換モジュ
ールにおいて、p型熱電半導体とn型熱電半導体の接合
部の構成をより一層改善したものとするのに好適な熱電
変換モジュールの製造方法およびこれにより製造された
熱電変換モジュールに関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、セラミック
ス材料と金属材料の異種接合方法の中で、Si
結体については、活性金属であるTiを含有するろう材
により高強度の接合層が形成できることが知られてい
る。具体的には、Cu−Tiろうでろう付けする方法
や、Ti−Zr−Cuろう,Ag−Cu−Tiろうでろ
う付けする方法である。この場合、ろう材中のTiはS
との界面に偏析し、SiのうちのNと反
応して、高強度な界面層としてTiN層が形成されるた
め、良好な接合層が形成できるとされている。
【0003】また、SiC焼結体については、同様のC
u−TiろうやAg−Cu−Tiろうによるろう付けに
おいて、高強度な界面層としてTiC層が形成された場
合は良好な接合層が形成できることが知られている。
【0004】しかしながら、シリコン−ゲルマニウム系
材料に関しては、異種接合技術や界面反応機構などにつ
いて開示されている例は非常に少ないのが現状である。
【0005】一方、シリコン−ゲルマニウム系材料は熱
電変換素子用半導体として期待されている。熱電変換と
は、p型の熱電半導体とn型の熱電半導体が電気的に接
合した接合部を持つ熱電変換素子対において、接合部を
高温にし、かつ熱電半導体の他方を低温にすると、温度
差に応じた熱起電力が発生する現象であり、これをゼー
ベック効果と称している。
【0006】また、この熱電変換には、上記熱電変換素
子対において、一方の熱電半導体から他方の熱電半導体
に電流を流すと、一方の接合部では熱を吸収し、他方で
は熱を発生する現象もあり、これをペルチェ効果と称し
ている。
【0007】さらに、この熱電変換には、p型の熱電半
導体またはn型の熱電半導体の一方を高温にしかつ他方
を低温にして温度勾配に沿って電流を流すと、電流の方
向によって半導体の内部で熱の吸収または発生を生じる
現象も含まれ、これをトムソン効果と称している。
【0008】このような効果を利用した熱電変換装置
は、振動,騒音,摩耗等を生じる可動部分が全くなく、
構造が簡単で信頼性が高く、高寿命で保守が容易である
という特徴をもった簡略化されたエネルギー直接変換装
置となりうるものである。そして、この熱電変換装置の
熱電変換機能部分は、p型とn型の熱電半導体が電気的
に接合した構成の熱電変換素子対を1対以上そなえた熱
電変換モジュールからなり、素子対接合部はp型および
n型の熱電半導体同士が直接電気的に接合した構成、あ
るいは、p型熱電半導体と電極とn型熱電半導体とが電
気的に(すなわち、間接的に)接合した構成をとるのが
普通である。
【0009】熱電変換モジュールには、両端の温度差に
依存して発電する熱電発電モジュールと、両端に印加し
た電圧に依存して一端を冷却する熱電冷却モジュールが
ある。一般的に、熱電発電モジュールは、熱電冷却モジ
ュールに比べて、熱電変換素子対の高温端側の温度が高
くなる。特に、自動車排気熱や燃焼熱を熱源とする排熱
利用した熱電発電装置に使用するときには、高温端は8
00℃程度にまで上昇する場合がある。
【0010】そのため、高温端側の接合部分において
は、高温に起因する破壊や剥離、発電出力の低下などの
問題が発生する。そして、これらの問題を解決するため
のシリコン−ゲルマニウム系材料の接合方法や接合部の
構造に関して開示されているいくつかの従来例がある。
【0011】(1) 例えば、p型およびn型のシリコ
ン−ゲルマニウム系半導体の両原料粉末を1つの成形型
内に左右に分けて詰め、一体で成形・焼結することによ
り、直接接合する方法がある(持丸敏昭,新素材 4月
号 p42(1995))。
【0012】この方法では、p型熱電半導体とn型熱電
半導体とが直接接合した構成であって、電極層および接
合層を介しない構成であるため、接合部の耐熱性は満足
できるものであるという特徴がある。
【0013】(2)一方、p型およびn型のシリコン−
ゲルマニウム系半導体をそれぞれ電極材である高ドープ
Si板と拡散接合する方法がある(G.Fly,Pro
c.16th IECEC,II,307−12(19
81))。この場合の拡散接合は、母材の融点以下の温
度で加圧し、接合面間の原子の拡散を利用して接合する
方法で、拡散を促進するためにインサート金属を挟んで
接合する手法がある。
【0014】具体的には、熱電半導体であるPあるいは
BをドープしたSiGe−5mol%GaPとイン
サート金属に相当するSiGe合金3μmをコーテ
ィングしたBドープSi電極材を拡散接合する方法が示
されている。そして、各材料を積層し、温度約1250
℃、圧力約140MPaの接合条件で接合でき、接合形
成に伴ってSiGe合金層は速やかに、熱電半導体
層と電極層に拡散すると報告されている。接合後は光学
顕微鏡視野で明確な接合層が形成されていない構成とな
るので、熱電半導体と電極との接合部の耐熱性は高いと
いう特徴がある。
【0015】(3)他方、別の熱電半導体を用いた素子
対接合部の構成および製造方法として、低温域で使用す
るビスマス−テルル系や鉛−テルル系熱電半導体に対し
て、熱電半導体と電極をろう付け接合あるいは半田付け
接合する接合方法が開示されている。このうち、ろう付
け接合は、母材間に溶融金属(ろう)を添加し、母材と
のぬれおよび流れを利用して接合する方法であり、半田
付け接合は、ろう付け接合の一種である。この場合、ろ
う付け工程時に、ろう材と母材である半導体が過剰に反
応しないことが重要で、ビスマス−テルル系や鉛−テル
ル系熱電半導体に対しては、熱電半導体とろう材との過
剰反応を抑制するために拡散バリア層を形成する具体的
な接合端の層構成やろう付け方法が提案されている。例
えば、拡散バリア層としてNiやAu層を熱電半導体層
と電極層との間に介在させた層構成とする方法や、メッ
キ法などのCVD法や蒸着法やスパッタリング法などの
PVD法による製造方法がある(特開平5−41543
号,特開平5−55638号等)。このようなろう付け
接合あるいは半田付け接合による方法は、大量生産に適
するメリットがあるという特徴がある。
【0016】(4)さらに、鉄シリサイド系熱電半導体
に対しては、Ti系活性金属ろう材でろう付け接合され
た構成の熱電変換素子対を提案しているものがある(特
開平6−97512号)。具体的には、鉄シリサイド系
熱電半導体をCu電極にNi−Cu/Ti/Ni−Cu
三層複合ろう材を使用して900℃でろう付けするもの
である。
【0017】(1)しかしながら、上記(1)の従来技
術では、p型およびn型熱電半導体の両原料粉末を1つ
の成形型において左右に分けて詰め、接合部のみが混合
するが他は混合しないように詰めるので、この工程は極
めて煩雑である。また、接合部近傍にp,n両方の不純
物が混在するため、モビリティーが低下して、電気伝導
度が低下する場合があるなど、接合部の特性が成形型ご
とに安定しないという問題がある。
【0018】また、この製造方法では、熱電変換素子対
を一つづつ加圧成形あるいはホットプレス焼結する必要
があるため、数対の熱電変換素子対からなるろうそくを
熱源とした非常用発電器やガスコンロ用火炎発電器など
は生産できるが、車載用や排熱利用発電装置などの数百
の素子対からなる熱電発電装置を量産することはできな
いという問題があった。
【0019】さらに、素子対を一つづつ加工して形状を
整えたのち、複数連結して熱電変換モジュールに組み立
てるので、コンパクトに組み上げることが難しく、発電
電力の割りにサイズが大きな熱電変換モジュールになっ
てしまうという問題があった。
【0020】(2)また上記(2)の従来技術では、製
造に際してかなりの高圧を必要とするため、大掛かりな
加圧加熱装置が必要である。この従来技術(2)の熱電
変換モジュールは、木星探査宇宙船用電源を意図して開
発されたもので、少量生産を前提としているのである
が、同様の製造方法で車載用や排熱利用発電装置などの
熱電発電装置用モジュールを量産することは困難であ
る。また、熱電半導体の熱電変換効率は熱伝導度の逆数
に比例するが、この製造方法では接合形成時に加圧加熱
するため、熱電半導体の焼結密度や結晶性が向上して、
熱伝導度が上昇してしまい、熱電変換効率が低下する場
合があるという問題があった。
【0021】(3)さらに上記(3)の従来技術では、
車載用やその他排熱利用発電装置などの熱電変換装置用
モジュールとして利用できる温度は300〜900℃の
高温であるので、ビスマス−テルル系や鉛−テルル系の
熱電半導体では耐熱性が不十分であるという問題があっ
た。
【0022】(4)さらにまた、上記(4)の従来技術
においては、熱電変換効率の指標となる鉄シリサイド系
材料の性能指数Z値(=ασ/κ,α=ゼーベック係
数,σ=電気伝導度,κ=熱コンダクタンス)は一般的
にシリコン−ゲルマニウム系材料のZ値より小さいた
め、同等の発電電力を得るためには、熱電変換モジュー
ル内の素子対数あるいは設置モジュール数をシリコン−
ゲルマニウム系材料を使用した場合よりも増加させる必
要があるため、熱電変換装置が大型化してしまい、車載
用などの熱電変換装置取付けスペースが限定されている
場合には、取付けが困難であるという問題があった。
【0023】
【発明の目的】本発明は、上記した従来の問題に鑑みて
なされたものであって、上記問題をを解決し、車載用や
その他の排熱利用発電装置などの熱電発電装置に適用し
た熱電変換モジュールを提供し、しかも、このような熱
電変換モジュールを大量生産に適した製造工程で製造で
きるようにすることを目的としている。
【0024】具体的には、高温端接合部の耐熱性、耐熱
衝撃性に優れ、熱電変換効率が良い温度範囲で使用で
き、接合部での発電損失が少ない熱電変換モジュールを
使用目的に適合した形状に、そしてまた、高温・高圧反
応装置のような大掛かりな装置を必要とせずして、製造
できるようにすることを目的としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるシリコン
−ゲルマニウム系材料の接合方法は、請求項1に記載し
ているように、シリコン−ゲルマニウム系材料の同種接
合あるいはシリコン−ゲルマニウム系材料と金属材料の
異種接合に際して、Ag含有率が85重量%以上、場合
によってはAg含有率が100重量%の接合材を使用す
るようにしたことを特徴としている。
【0026】そして、本発明に係わるシリコン−ゲルマ
ニウム系材料の接合方法の実施態様においては、請求項
2に記載しているように、シリコン−ゲルマニウム系材
料の同種接合あるいはシリコン−ゲルマニウム系材料と
金属材料の異種接合に際して、Ag含有量が85重量%
以上で残部がMn,Cr,V,Tiのうちから選ばれる
1種類以上の元素からなる接合材を使用するようになす
ことができる。
【0027】本発明に係わる熱電変換モジュールの製造
方法は、請求項3に記載しているように、p型熱電半導
体と電極とn型熱電半導体が電気的に接合された接合部
をもつ熱電変換モジュールを製造するに際して、シリコ
ン−ゲルマニウムが主成分であるp型熱電半導体および
/またはn型熱電半導体と電極の接合に、Agからなる
接合材あるいはAg含有量が85重量%以上で残部がM
n,Cr,V,Tiのうちから選ばれる1種類以上の元
素からなる接合材を使用するようにしたことを特徴とし
ている。
【0028】そして、本発明に係わる熱電変換モジュー
ルの製造方法の実施態様においては、請求項4に記載し
ているように、p型熱電半導体と電極とn型熱電半導体
が電気的に接合された接合部をもつ熱電変換モジュール
を製造するに際して、シリコン−ゲルマニウムが主成分
であるp型熱電半導体および/またはn型熱電半導体の
接合面上に、Agからなる接合材あるいはAg含有量が
85重量%以上で残部がMn,Cr,V,Tiのうちか
ら選ばれる1種類以上の元素からなる接合材を設置する
工程と、接合材上に電極厚膜を形成する工程を経るよう
になすことができる。
【0029】同じく、本発明に係わる熱電変換モジュー
ルの製造方法は、請求項5に記載しているように、p型
熱電半導体とn型熱電半導体が直接電気的に接合された
接合部をもつ熱電変換モジュールを製造するに際して、
シリコン−ゲルマニウムが主成分であるp型熱電半導体
とn型熱電半導体の接合に、Agからなる接合材あるい
はAg含有量が85重量%以上で残部がMn,Cr,
V,Tiのうちから選ばれる1種類以上の元素からなる
接合材を使用するようにしたことを特徴としている。
【0030】本発明に係わる熱電変換モジュールは、請
求項6に記載しているように、p型熱電半導体と電極と
n型熱電半導体が電気的に接合された接合部をもつ熱電
変換モジュールにおいて、シリコン−ゲルマニウムが主
成分であるp型熱電半導体と電極の間、および/または
電極とシリコン−ゲルマニウムが主成分であるn型熱電
半導体の間に、Agからなる接合層あるいはAgとM
n,Cr,V,Tiのうちから選ばれる1種類以上の元
素を含有する接合層が形成されている構成としたことを
特徴としている。
【0031】同じく、本発明に係わる熱電変換モジュー
ルは、請求項7に記載しているように、p型熱電半導体
とn型熱電半導体が直接電気的に接合された接合部をも
つ熱電変換モジュールにおいて、シリコン−ゲルマニウ
ムが主成分であるp型熱電半導体とn型熱電半導体の間
に、Agからなる接合層あるいはAgとMn,Cr,
V,Tiのうちから選ばれる1種類以上の元素を含有す
る接合層が形成されている構成としたことを特徴として
いる。
【0032】
【発明の作用】本発明に係わるシリコン−ゲルマニウム
系材料の接合方法および熱電変換モジュールの製造方法
ならびに熱電変換モジュールは、上述した構成を有する
ものであって、熱電変換モジュールの少なくとも高温端
は上記した本発明による接合部構成からなるものであ
る。そして、このように、本発明による熱電変換モジュ
ールは接合部の構成に特徴があり、p型熱電半導体とn
型熱電半導体や電極の形状、配置などに制限されるもの
ではない。
【0033】本発明による熱電変換モジュール内の接合
部においては、まず、p型熱電半導体とn型熱電半導体
あるいは熱電半導体と電極が接合できることが重要であ
る。そのためには、シリコン−ゲルマニウム系材料と接
合材との界面において、相互拡散反応が生じる必要があ
る。そして、熱電変換モジュールの場合は、さらに、接
合部の耐熱性が要求される。つまり、熱電変換モジュー
ルの使用時には、この拡散反応が進行しないことが必要
で、反応が進行する場合は、発電効率が低下したり、接
合部で破壊したりする原因になる。
【0034】また、熱電変換モジュールの接合部は、電
気的および熱的な低接触抵抗性が要求される。車載用や
その他の排熱利用発電装置などに使用できる汎用性の高
い熱電発電モジュールの場合は、特に、接合部を流れる
発電電流が大きい。それゆえ、接合部の電気的な接触抵
抗が高いと発電損失になるばかりでなく、接合部で局所
的に発熱して破壊の原因にもなる。また、接合強度と耐
熱性に優れた接合界面層を含む接合層が形成できたとし
ても、電気的に絶縁性であったり、電気抵抗が高くなっ
たりする場合は熱電変換装置用の接合部としては使用す
ることができない。そして、熱は高温熱源から高温端接
合部を介して熱電半導体に伝達されるので、接合部の熱
抵抗が高い場合は、熱電半導体の両端に発生する実質的
な温度差が低下し、発電効率が低下するので好ましくな
い。
【0035】さらに、熱電変換モジュールの接合工程を
行うことができる温度は、熱電変換モジュール使用時の
高温端温度以上、シリコン−ゲルマニウム系材料の熱電
変換特性劣化温度以下でなければならない。ここで、接
合工程の温度が低い場合は、熱電変換モジュールの使用
温度が低く制限されることになり、熱電変換効率が低下
する。また、接合工程の温度が熱電半導体特性の劣化温
度以上であったりシリコン−ゲルマニウム系材料の焼結
温度に近い場合は、シリコン−ゲルマニウム系材料が溶
融したり、特性が劣化したりして好ましくない。そし
て、車載用やその他の排熱利用発電装置などの汎用性の
高い熱電発電モジュールの場合は、およそ700〜12
00℃の範囲で接合できる接合方法および接合部構成と
することが好ましい。
【0036】以上の様な要求を満足できる熱電変換モジ
ュールの接合部の構成について鋭意研究をした結果、A
gからなる接合材あるいはAgとMn,Cr,V,Ti
のうちから選ばれる1種類以上の元素からなる接合材を
使用する接合方法とするのが良いことを見いだした。
【0037】本発明で使用される接合材はAgが85重
量%以上のものである。さらに好ましくは、Agが10
0重量%か、85重量%以上のAgと残部がMn,C
r,V,Tiのうちから選ばれる1種類以上の元素から
なる接合材である。ここで、Ag含有量が85重量%よ
り少なく、Mn,Cr,V,Tiのうちから選ばれる1
種類以上の元素からなる残部が15重量%よりも多い場
合は、シリコン−ゲルマニウム系材料の組成や密度、電
極の材質や厚さ、接合条件などにも依存するが、概し
て、シリコン−ゲルマニウム系材料が接合材と反応しす
ぎたり、電極板や電極層が剥離したりして接合できなか
ったり、高抵抗化する不具合が起きたりするため好まし
くない。また、本発明で用いる接合材は、Cuを含有し
ないCu−freeのものであることも特徴のひとつで
ある。
【0038】本発明による接合方法では、上記の接合材
を熱電半導体同士あるいは熱電半導体と電極の間に設置
し、熱電半導体および電極を所望の配置に組み立てる工
程と、ろう付け焼成する工程を経ることによって接合す
ることができる。そして、このときの接合材の設置に際
しては、Ag粉あるいはAgとMn,Cr,V,Tiの
うちから選ばれる1種類以上の元素からなる混合粉や合
金粉を有機バインダーと混練したペースト状接合材を塗
布する方法や、Agあるいは85重量%以上のAgと残
部がMn,Cr,V,Tiのうちから選ばれる1種類以
上の元素からなる合金のフィルム状あるいはワイヤー状
接合材を貼付して設置する方法などを採用することがで
きる。
【0039】また、接合材は、AgあるいはAgとM
n,Cr,V,Tiのうちから選ばれる1種類以上の元
素をスパッタリング法や蒸着法、溶射法、メッキ法など
の湿式・乾式の成膜法により形成することができる。
【0040】さらにまた、上記のペースト状接合材の塗
布方法やフィルム状あるいはワイヤー状接合材を用いた
貼付方法、成膜法などを組み合わせて形成することもで
きる。
【0041】接合材の設置に際しては、熱電半導体の端
面に行うこともできるし、電極の接合面に行うこともで
きる。また、接合した両面に接合材を設置した後、焼成
してろう付けすることもできる。さらにまた、接合材の
設置工程の前に、接合面の洗浄や酸化膜除去工程や、研
磨工程等が入る場合もあり、これらを適宜に組み合わせ
て採用することができる。
【0042】さらに、本発明による接合方法は、接続し
たいp型熱電半導体とn型熱電半導体の端面の間が断熱
絶縁体で埋められて、端面が平滑になっている場合は、
熱電半導体の接合面に上記方法で接合材を形成する工程
を経た後、この上に溶射法などの厚膜形成方法で電極層
を形成する工程を行うことにより、熱電半導体と電極を
電気的に接合することもできる。そしてまた、熱電半導
体の接合面に接合材を形成する工程と電極を形成する工
程の間に、熱処理工程を入れたり、電極形成面の研磨や
粗面化加工工程を入れたりすることもできる。
【0043】本発明による熱電変換モジュールにおける
接合層は、シリコン−ゲルマニウム系材料同士やシリコ
ン−ゲルマニウム系材料と金属材料あるいは電極の間に
形成される層で、接合材とシリコン−ゲルマニウム系材
料との界面反応層および金属材料や電極と接合材の界面
反応層を含む。それゆえ、界面反応層の形成状況に応じ
ては、接合層は光学顕微鏡観察によって複数層に観察さ
れる。
【0044】接合層の組成は、シリコン−ゲルマニウム
系材料や接合材、電極の材質・組成比や接合面粗さ、酸
化具合あるいは接合条件などに依存し、組成比の異なる
複数領域からなるが、概ね、Agを主成分とし、母材成
分であるSiとGeを含有する合金からなるか、あるい
はAg,Si,GeとMn,Cr,V,Tiのうちから
選ばれる1種類以上の元素を含有する合金からなる。そ
してこの接合層は、Cuを含有しないCu−freeで
あることが特徴のひとつである。
【0045】接合層の最適な厚さは、シリコン−ゲルマ
ニウム系材料の密度や組成、電極の材質や形状、接合方
法などに依存するが、1〜100μmが好ましい。そし
て、1μmより薄い場合は、熱衝撃に弱く、接合層内部
あるいはシリコン−ゲルマニウム系材料と接合層の界面
反応層近傍で剥離する傾向となるので好ましくない。ま
た、100μmより厚い場合は、熱衝撃に対して、シリ
コン−ゲルマニウム系材料の接合界面部分で剥離しやす
くなったり、ろう付け工程時に接合材がはみでて、絶縁
されるべき部分が導通してしまったり、接合材の設置が
困難になったりするなど、生産性が悪くなる傾向となる
ので好ましくない。
【0046】本発明で用いる接合層は、シリコン−ゲル
マニウム系材料同士やシリコン−ゲルマニウム系材料と
金属材料や電極を接合するための層であるが、熱電変換
モジュールの接合部においては、熱伝導する機能や電気
伝導する機能をも満たす。
【0047】接合材の設置に際しては、熱電素子端面上
だけでなく、電気接続したいp型熱電半導体とn型熱電
半導体の間が断熱絶縁体で埋められて端面が平滑になっ
ている場合は、この断熱絶縁体上にも形成される場合が
ある。そして、電気接続したいp型熱電半導体とn型熱
電半導体の間の断熱絶縁体上にも接合材を設置して接合
することにより、熱伝導機能や電気伝導機能がより一層
向上する長所がある。また、複数の熱電素子対から構成
される熱電変換モジュールの端面に接合材をパターニン
グして設置する場合、設置数を半減することができ、パ
ターニングの要求精度を低くできる特徴がある。
【0048】本発明で用いるシリコン−ゲルマニウム系
材料は、シリコンとゲルマニウムを主成分とする焼結体
や厚膜からなるものであって、接合できるシリコン−ゲ
ルマニウム系材料の組成比の最適比は、SixGeとし
た場合、x=0.2以上が好ましい。すなわち、x=
0.2よりも小さい場合は、接合材とシリコン−ゲルマ
ニウム系材料とが反応し過ぎるため、接合強度が低下し
たり、良好な接合層を形成できる接合条件の制御精度が
厳しくなる傾向となるので、製造歩留まりが悪化して好
ましくない。
【0049】そして、熱電半導体用としての最適なシリ
コンとゲルマニウムの組成比は、熱電変換モジュール全
体の構成や設計、発電電圧電流、熱源の形状や温度状
況、冷却方法や冷却効率などによって依存するが、自動
車用やその他排熱発電に利用するためには、SixGe
とした場合、x=0.6〜5.7が好ましい。そして、
x=0.6よりも小さい場合は、熱電半導体の耐久温度
が低く、熱電発電装置の使用最高温度が低下したり、熱
電発電モジュールを製造するための熱処理工程に使用で
きる温度範囲が制限される傾向となるため、製造するこ
とが難しくなる。他方、x=5.7より大きい場合は、
半導体の融点が高くなり、焼結する場合は焼結温度が高
くなるなど、製造にコストがかかることとなるので好ま
しくない。
【0050】また、電気伝導度、熱伝導度、ゼーベック
係数を制御する目的や焼結密度などを制御する目的で少
量の添加物を混在させることができる。この場合の添加
物としては、例えば、B,Al,Ga,In,N,P,
As,Sb,Znなどが挙げられる。
【0051】さらにまた、焼結体の焼結に際しては、公
知のホットプレス焼結法や放電プラズマ焼結法などを用
いることができる。また、厚膜の形成に際しては、蒸着
法や溶射法、CVD法などの成膜法を用いることができ
る。
【0052】本発明で用いるシリコン−ゲルマニウム系
材料の密度は、相対密度で70%以上が好ましい。そし
て、相対密度が70%より低い場合は、接合材とシリコ
ン−ゲルマニウム系材料とが反応し過ぎるため、接合強
度が低下したり、良好な接合層を形成できる接合条件の
制御精度が厳しくなったりする傾向となるので好ましく
ない。また、熱電半導体用としては、相対密度が70%
より低いと熱電半導体の機械的強度が弱いため、熱電素
子対の両端に設置されかつ熱電素子対よりも重い吸放熱
部材によって発生する不調和振動に対し、熱電半導体部
分や接合界面部分が破壊したり、クラックが入ったりす
るので、熱電変換モジュールの内部抵抗が増加したり、
断線したりする可能性があるので、好ましくない。ま
た、70%より低い場合は、熱電半導体の発電効率の指
標となる性能指数Z(=ασ/κ)において、その構
成因子である電気伝導度σの低下量が、ゼーベック係数
αと熱伝導度κとの関係値α/κの増加量を大幅に上
回るため、結果的に性能指数Zが著しく低下するので、
好ましくない。
【0053】この場合の相対密度は、シリコンとゲルマ
ニウムが同じ組成比である時の理論密度に対する、シリ
コン−ゲルマニウム系材料の実測した密度の比を示して
いる。密度は、公知のアルキメデス法によって測定する
ことができる。また、厚膜形成法によって形成されたシ
リコン−ゲルマニウム系材料の場合は、光学顕微鏡写真
から空孔率を測定し、公知の経験式に従って、相対密度
を算出することもできる。
【0054】電極を介してp型熱電半導体とn型熱電半
導体を接合する構成の熱電変換モジュールにおいて、電
極はp型熱電半導体とn型熱電半導体を電気的に接続す
るための部材であり、熱電発電機能を持つ必要はない。
そして、電極部分の抵抗は熱電半導体より小さく、好ま
しくは1桁以上小さいものが良い。また、電極の形状や
厚さは、電極材の比抵抗と熱電半導体の比抵抗との比や
熱電半導体の形状などに依存して決めることができる。
また、電極としては、薄板状電極材や、溶射法などの厚
膜形成法で形成した電極層を使用することができる。
【0055】本発明で用いる電極は、電気的に接続する
機能の他に、形状を大きくするなどして、接合部と高温
熱源や冷却媒体との熱交換を積極的に行える機能を具備
することもできる。そして、電極としては、例えば、M
o,W,Nb,Taなどの高融点金属、ヘビードープし
たSiやSi共晶合金などを挙げることができる。
【0056】
【発明の効果】本発明によるシリコン−ゲルマニウム系
材料の接合方法では、請求項1に記載しているように、
シリコン−ゲルマニウム系材料の同種接合あるいはシリ
コン−ゲルマニウム系材料と金属材料の異種接合に際し
て、Ag含有率が85重量%以上の接合材を使用するよ
うにしたから、シリコン−ゲルマニウム系材料の同種接
合あるいはシリコン−ゲルマニウム系材料と金属材料の
異種接合を高い接合強度で行うことが可能であるという
著しく優れた効果がもたらされる。
【0057】そして、請求項2に記載しているように、
シリコン−ゲルマニウム系材料の同種接合あるいはシリ
コン−ゲルマニウム系材料と金属材料の異種接合に際し
て、Ag含有量が85重量%以上で残部がMn,Cr,
V,Tiのうちから選ばれる1種類以上の元素からなる
接合材を使用するようになすことによっても、必らずし
も全量がAgのみからなる接合材を使用しなくとも、シ
リコン−ゲルマニウム系材料の同種接合あるいはシリコ
ン−ゲルマニウム系材料と金属材料の異種接合を高い接
合強度で行うことが可能であるという著しく優れた効果
がもたらされる。
【0058】本発明による熱電変換モジュールの製造方
法では、請求項3に記載しているように、p型熱電半導
体と電極とn型熱電半導体が電気的に接合された接合部
をもつ熱電変換モジュールを製造するに際して、シリコ
ン−ゲルマニウムが主成分であるp型熱電半導体および
/またはn型熱電半導体と電極の接合に、Agからなる
接合材あるいはAg含有量が85重量%以上で残部がM
n,Cr,V,Tiのうちから選ばれる1種類以上の元
素からなる接合材を使用するようにしたから、耐熱性お
よび耐熱衝撃性に優れ、熱電変換効率が良い温度範囲、
とくに高温端がより高温になる条件で使用することがで
き、接合部での発電損失が少ない熱電変換モジュールを
製造することが可能であるという著しく優れた効果がも
たらされる。
【0059】同じく、本発明による熱電変換モジュール
の製造方法では、請求項4に記載しているように、p型
熱電半導体と電極とn型熱電半導体が電気的に接合され
た接合部をもつ熱電変換モジュールを製造するに際し
て、シリコン−ゲルマニウムが主成分であるp型熱電半
導体および/またはn型熱電半導体の接合面上に、Ag
からなる接合材あるいはAg含有量が85重量%以上で
残部がMn,Cr,V,Tiのうちから選ばれる1種類
以上の元素からなる接合材を設置する工程と、接合材上
に電極厚膜を形成する工程を経るようにしたから、高温
・高圧装置のような特殊で大がかりな装置を使用するこ
となく、大量生産に適した生産性が良好な製造方法によ
って、耐熱性および耐熱衝撃性に優れた熱電変換モジュ
ールを製造することが可能であるという著しく優れた効
果がもたらされる。
【0060】同じく、本発明による熱電変換モジュール
の製造方法では、請求項5に記載しているように、p型
熱電半導体とn型熱電半導体が直接電気的に接合された
接合部をもつ熱電変換モジュールを製造するに際して、
シリコン−ゲルマニウムが主成分であるp型熱電半導体
とn型熱電半導体の接合に、Agからなる接合材あるい
はAg含有量が85重量%以上で残部がMn,Cr,
V,Tiのうちから選ばれる1種類以上の元素からなる
接合材を使用するようにしたから、耐熱性および耐熱衝
撃性に優れ、熱電変換効率が良い温度範囲、とくに高温
端がより高温になる条件で使用することができ、接合部
での発電損失が少ない熱電変換モジュールを製造するこ
とが可能であるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【0061】本発明による熱電変換モジュールでは、請
求項6に記載しているように、p型熱電半導体と電極と
n型熱電半導体が電気的に接合された接合部をもつ熱電
変換モジュールにおいて、シリコン−ゲルマニウムが主
成分であるp型熱電半導体と電極の間、および/または
電極とシリコン−ゲルマニウムが主成分であるn型熱電
半導体の間に、Agからなる接合層あるいはAgとM
n,Cr,V,Tiのうちから選ばれる1種類以上の元
素を含有する接合層が形成されている構成としたから、
熱電変換モジュールの耐熱性および耐熱衝撃性をより一
層向上させたものとすることが可能であり、高温端がよ
り一層高温となる条件下でも使用することができると共
に、自動車排気熱やその他の燃焼排熱などの熱源にゆら
ぎがある場合の熱電変換装置用としても使用することが
できる熱電変換モジュールを提供することが可能である
という著しく優れた効果がもたらされる。
【0062】同じく、本発明による熱電変換モジュール
によれば、請求項7に記載しているように、p型熱電半
導体とn型熱電半導体が直接電気的に接合された接合部
をもつ熱電変換モジュールにおいて、シリコン−ゲルマ
ニウムが主成分であるp型熱電半導体とn型熱電半導体
の間に、Agからなる接合層あるいはAgとMn,C
r,V,Tiのうちから選ばれる1種類以上の元素を含
有する接合層が形成されている構成としたから、熱電変
換モジュールの耐熱性および耐熱衝撃性をより一層向上
させたものとすることが可能であり、高温端がより一層
高温となる条件下でも使用することができると共に、自
動車排気熱やその他の燃焼排熱などの熱源にゆらぎがあ
る場合の熱電変換装置用としても使用することができる
熱電変換モジュールを提供することが可能であるという
著しく優れた効果がもたらされる。
【0063】
【実施例】以下、本発明の実施例について比較例と共に
詳細に説明するが、本発明はこのような実施例にのみ限
定されないことはいうまでもない。
【0064】(実施例1)相対密度96%のSiGe
シリコン−ゲルマニウム系材料よりなる熱電半導体をホ
ットプレス焼結により製作し、端面3×4mm、長さ
20mmの熱電半導体に切断した。次いで、この熱電半
導体の接合端面にAg−V(6重量%)の混合粉末を有
機バインダーで混練したペースト状接合材を塗布したの
ち、2つの熱電半導体の接合端面同士を接触させて保持
し、焼成してろう付けした。このときのろう付け条件
は、Arフロー中、温度1040℃、時間2min、荷
重0.5g/mmで行った。
【0065】続いて、ろう付け接合した棒状熱電素子対
において、3点曲げ強度測定法により接合強度を測定し
た。その結果、同じ条件で棒状熱電素子対を10個作製
した際の接合強度の平均値は112MPaであった。そ
して、破断箇所はSiGe焼結体の部分であり、熱電
半導体それ自体の破壊強度よりも、接合層の接合強度の
方が大きかった。また、接合層の厚さは50μmであっ
た。
【0066】このように、本発明で特定した接合材を用
いることによって、シリコン−ゲルマニウム系材料の焼
結体同士を高強度で接合することができた。
【0067】(実施例2,比較例2)この実施例2およ
び比較例2では、図1に示す熱電変換モジュール1を製
造した場合を例にとって示す。
【0068】それぞれPあるいはBを添加したSi
e(98重量%)−GaP(2重量%)粉末を焼結する
ことによって、n型熱電半導体とp型熱電半導体を作製
したのち、それぞれ端面3×9mm、高さ10mmに
切断してn型熱電半導体(素子)2とp型熱電半導体
(素子)3を得た。
【0069】次いで、表1に示す組成の接合材4,5を
用い、それぞれ熱電半導体2,3とMo製板状電極6,
7との間に接合材4,5を設置して、図1に示すモジュ
ール形状に組立てて、ろう付け焼成した。焼成温度は、
表1中、実施例および比較例2−1については1030
℃で、比較例2−2については850℃で、比較例2−
3については700℃で行った。そして、両板状電極
6,7の反対面側にそれぞれAlNからなる高温端基板
8と低温端基板9を貼付し、低温端側の両端の電極7に
発電出力取り出し用のリード線10をハンダ付けした。
ここで製造した熱電変換モジュール1は、p型およびn
型の熱電半導体2,3である素子対2対が電気的には直
列に接続され、熱的には並列に接続された構成をもつも
のである。
【0070】このようにして製造した熱電変換モジュー
ル1を水冷ブロック上にグリースで固定し、上端にブロ
ックヒーターを押しつけて設置した状態として、モジュ
ール両端の温度差600℃、高温端温度630℃の条件
での発電出力と内部抵抗を測定した。そして、高温端温
度630℃に50時間保持して耐熱テストを行った後、
発電出力と内部抵抗を測定した。引き続き、高温端温度
630℃から200℃の間を100℃/minの昇降温
速度で、冷却・昇温を5回繰り返し、熱衝撃テストを行
った後、発電出力と内部抵抗を再度測定した。耐熱テス
ト後の内部抵抗と発電出力を表1に示す。また、別途測
定した熱電半導体の素子自体の抵抗は0.09Ω、発電
出力は0.42Wであった。
【0071】
【表1】
【0072】表1に示した結果より明らかであるよう
に、本発明の実施例ではいずれも接合部での熱的、電気
的接触抵抗および発電出力の損失は認められないことが
確認された。また、耐熱テスト後、発電出力の低下ある
いは内部抵抗の増加は認められないことから、600℃
に対して優れた耐熱性があることも確認された。さら
に、熱衝撃テスト後においても、発電出力の低下あるい
は内部抵抗の増加は認められず、耐熱衝撃性にも優れて
いることが確認された。
【0073】これに対して、比較例2−1では、耐熱テ
スト後の劣化は認められなかったが、熱衝撃テスト後に
断線した。また、比較例2−2では、高温端温度が63
0℃に達した直後は導通があったが、50時間保持後は
断線しており、耐熱性に問題があった。また、比較例2
−3では、ろう付工程直後接合できなかった。また、こ
のろう材はろう材の融点が660℃と低いため、熱電変
換モジュールの使用温度を制限する問題もあった。
【0074】このように、本発明で特定する接合材を使
用して、シリコン−ゲルマニウム系材料からなる熱電半
導体と板状金属電極を接合することにより、接合強度、
熱伝導性、電気伝導性に優れ、かつまた、耐熱性、耐熱
衝撃性に優れた熱電変換モジュールの接合部を形成する
ことができる。そしてこれにより、接合部での発電損失
の少ない良好な熱電変換モジュールを製造することがで
きる。また、熱電半導体の劣化温度以下でモジュールの
使用温度を制限しない温度条件で、特殊な高温高圧装置
などを使用することなく熱電変換モジュールを製造する
ことができる。これによって、汎用性の熱電変換モジュ
ールを大量生産することが可能になるという著大なる効
果がもたらされる。
【0075】(実施例3)図2に本実施例の熱電変換モ
ジュール21の断面からみた製造工程の概略図を(a)
〜(d)に分けて示し、図3には本実施例の熱電変換モ
ジュールの全体構成の概略図を示す。
【0076】実施例2と同様にしてSiGe焼結体を
得たのち、端面3.5×3.5mm,長さ10mmに
切断することによって、n型熱電半導体22とp型熱電
半導体23を作製した。
【0077】続いで、図2(a)に示すように、p型と
n型の熱電半導体22,23を交互に2対づつ合計8対
を配置し、半導体と半導体の間には断熱絶縁体31で埋
め込まれたモジュールコア32を形成し、両端を研磨し
た。
【0078】次に、図2(b)に示すように、熱電半導
体22,23の両端面上に、全8対が電気的に直列に接
続されるパターンで、Agからなる接合材24,25を
減圧プラズマ溶射法を用いて厚さ60μmに成膜した。
そして、これをArフロー中、温度1020℃、時間5
分間の熱処理を行った。次いで、この接合材24,25
の上に電極26,27としてMoを大気溶射法を用いて
厚さ300μmに成膜し、モジュールコア32の両端に
接合材24,25と電極26,27を設置・接合した。
【0079】続いて、図2(c)に示すように、低温端
側のMo溶射電極27上の2箇所に、発電出力取り出し
用のリード電極30をハンダ付けした。
【0080】さらに、図2(d)に示すように、Mo電
極26,27上にはAlNからなる高温端基板28と低
温端基板29をセラミックスボンド33で貼着して、図
3に分解図として示す熱電変換モジュール21を製造し
た。
【0081】このようにして製造した熱電変換モジュー
ル21の接合部分を断面観察すると、接合層の厚さは5
μmであった。また、製造した熱電変換モジュール21
について、実施例2と同様に冷却用ブロックと加熱用ヒ
ーターの間に設置して、高温端温度630℃、両端温度
差600℃に保持し、発電出力と内部抵抗を測定した。
この結果、発電出力は0.6W、内部抵抗は0.6Ωで
あった。そして、高温端温度630℃に50時間保持し
て耐熱テストを行った後、発電出力と内部抵抗を測定し
たところ、発電出力の低下あるいは内部抵抗の増加は認
められなかった。引き続き、高温端温度630℃から2
00℃の間を100℃/minの昇降温速度で、冷却・
昇温を5回繰り返し、熱衝撃テストを行った後、発電出
力と内部抵抗を再度測定した。この結果、発電出力の低
下あるいは内部抵抗の増加は認められなかった。
【0082】このように本発明による接合方法および接
合部構成とすることにより、接合強度、熱伝導性、電気
伝導性に優れ、かつまた、耐熱性、耐熱衝撃性に優れた
接合部をもつ熱電変換モジュールを溶射法を用いた大量
生産に適した製造工程によって製造することができる。
さらに、本実施例では、電極形成工程後、絶縁基板を貼
着したが、電極層の上に引き続き溶射法によって絶縁厚
膜を形成する工程をとることもでき、製造工程をさらに
簡略化することが可能になるという著大なる効果がもた
らされる。
【0083】(実施例4)それぞれBあるいはPをドー
プしたSiGe焼結体をホットプレス焼結により成形
することによって、p型熱電半導体素材とn型熱電半導
体素材を得た。次いで、これを厚さ8mmの平板状に加
工し、平板面を研磨、脱脂洗浄、酸洗浄した後、銀めっ
きを施した。そして、ホウフッ化浴を用い、室温で、電
流密度5A/dm、電圧6Vの条件で、厚さ2μmの
銀めっき層を形成した。
【0084】次に、この焼結体平板から、両端面に接合
材が設置されている方向に、端面3.5×3.5m
、高さ8mmとなるように切断し、両端にAgめっ
き層からなる接合材が形成された熱電半導体素子を作製
した。
【0085】次いで、コージェライト製のハニカム材の
貫通穴に、p型およびn型の熱電半導体素子を8対挿入
し、Agめっきした端面上にAgペースト(Ag100
重量%)を用いて、Mo電極板を全素子が電気的に直列
に接続するパターンとなるように貼付した。そして、2
00gの荷重をかけ、Arフロー中、温度1040℃、
時間2minの条件で焼成した。
【0086】ここで製造した熱電変換モジュールについ
て、実施例3と同様にして、発電出力と内部抵抗を測定
した。また、耐熱性テストと耐熱衝撃性テストを行っ
た。この結果、耐熱性テスト後においても、また、その
後の耐熱衝撃性テスト後においても、発電出力の低下あ
るいは内部抵抗の増加は認められなかった。そして、製
造した熱電変換モジュールの接合部を断面観察したとこ
ろ、接合層の厚さは20μmであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例2で製造した熱電変換モジュー
ルの概略構成を示す斜面説明図である。
【図2】本発明の実施例3で製造した熱電変換モジュー
ルの断面からみた製造工程を(a)〜(d)に分けて順
次示す説明図である。
【図3】本発明の実施例3で製造した熱電変換モジュー
ルの概略構成を示す分解斜面説明図である。
【符号の説明】
1,21 熱電変換モジュール 2,22 n型SiGe熱電半導体 3,23 p型SiGe熱電半導体 4,5,24,25 接合材 6,7,26,27 電極 8,28 高温端基板 9,29 低温端基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 櫛 引 圭 子 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 篠 原 和 彦 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 小 林 正 和 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 古 谷 健 司 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン−ゲルマニウム系材料の同種接
    合あるいはシリコン−ゲルマニウム系材料と金属材料の
    異種接合に際して、Ag含有率が85重量%以上の接合
    材を使用することを特徴とするシリコン−ゲルマニウム
    系材料の接合方法。
  2. 【請求項2】 シリコン−ゲルマニウム系材料の同種接
    合あるいはシリコン−ゲルマニウム系材料と金属材料の
    異種接合に際して、Ag含有量が85重量%以上で残部
    がMn,Cr,V,Tiのうちから選ばれる1種類以上
    の元素からなる接合材を使用することを特徴とする請求
    項1に記載のシリコン−ゲルマニウム系材料の接合方
    法。
  3. 【請求項3】 p型熱電半導体と電極とn型熱電半導体
    が電気的に接合された接合部をもつ熱電変換モジュール
    を製造するに際して、シリコン−ゲルマニウムが主成分
    であるp型熱電半導体および/またはn型熱電半導体と
    電極の接合に、Agからなる接合材あるいはAg含有量
    が85重量%以上で残部がMn,Cr,V,Tiのうち
    から選ばれる1種類以上の元素からなる接合材を使用す
    ることを特徴とする熱電変換モジュールの製造方法。
  4. 【請求項4】 p型熱電半導体と電極とn型熱電半導体
    が電気的に接合された接合部をもつ熱電変換モジュール
    を製造するに際して、シリコン−ゲルマニウムが主成分
    であるp型熱電半導体および/またはn型熱電半導体の
    接合面上に、Agからなる接合材あるいはAg含有量が
    85重量%以上で残部がMn,Cr,V,Tiのうちか
    ら選ばれる1種類以上の元素からなる接合材を設置する
    工程と、接合材上に電極厚膜を形成する工程を経ること
    を特徴とする請求項3に記載の熱電変換モジュールの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 p型熱電半導体とn型熱電半導体が直接
    電気的に接合された接合部をもつ熱電変換モジュールを
    製造するに際して、シリコン−ゲルマニウムが主成分で
    あるp型熱電半導体とn型熱電半導体の接合に、Agか
    らなる接合材あるいはAg含有量が85重量%以上で残
    部がMn,Cr,V,Tiのうちから選ばれる1種類以
    上の元素からなる接合材を使用することを特徴とする熱
    電変換モジュールの製造方法。
  6. 【請求項6】 p型熱電半導体と電極とn型熱電半導体
    が電気的に接合された接合部をもつ熱電変換モジュール
    において、シリコン−ゲルマニウムが主成分であるp型
    熱電半導体と電極の間、および/または電極とシリコン
    −ゲルマニウムが主成分であるn型熱電半導体の間に、
    Agからなる接合層あるいはAgとMn,Cr,V,T
    iのうちから選ばれる1種類以上の元素を含有する接合
    層が形成されていることを特徴とする熱電変換モジュー
    ル。
  7. 【請求項7】 p型熱電半導体とn型熱電半導体が直接
    電気的に接合された接合部をもつ熱電変換モジュールに
    おいて、シリコン−ゲルマニウムが主成分であるp型熱
    電半導体とn型熱電半導体の間に、Agからなる接合層
    あるいはAgとMn,Cr,V,Tiのうちから選ばれ
    る1種類以上の元素を含有する接合層が形成されている
    ことを特徴とする熱電変換モジュール。
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