JP2005018022A - 液晶表示素子用硬化性樹脂組成物、液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用封口剤、液晶表示素子用上下導通材料、及び、液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示素子用硬化性樹脂組成物、液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用封口剤、液晶表示素子用上下導通材料、及び、液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示素子並びにその製造において液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用封口剤及び液晶表示素子用上下導通材料の少なくとも一つとして用いた場合に、その成分が液晶材料中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色ムラが少ないことから、特に滴下工法による液晶表示装置の製造に最適である液晶表示素子用硬化性樹脂組成物、これを用いた液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用封口剤、液晶表示素子用上下導通材料及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】結晶性エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させてなる(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂を含有する液晶表示素子用硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示素子並びにその製造において液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用封口剤及び液晶表示素子用上下導通材料の少なくとも一つとして用いた場合に、その成分が液晶材料中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色ムラが少ないことから、特に滴下工法による液晶表示装置の製造に最適である液晶表示素子用硬化性樹脂組成物、これを用いた液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用封口剤、液晶表示素子用上下導通材料及び液晶表示装置に関する。
従来、液晶表示セル等の液晶表示素子は、2枚の電極付き透明基板を、所定の間隔をおいて対向させ、その周囲を硬化性樹脂組成物からなるシール剤で封着してセルを形成し、その一部に設けられた液晶注入口からセル内に液晶を注入し、その液晶注入口をシール剤又は封口剤を用いて封止することにより作製されていた。
この方法では、まず、2枚の電極付き透明基板のいずれか一方に、スクリーン印刷により熱硬化性シール剤を用いた液晶注入口を設けたシールパターンを形成し、60〜100℃でプリベイクを行いシール剤中の溶剤を乾燥させる。次いで、スペーサーを挟んで2枚の基板を対向させてアライメントを行い貼り合わせ、110〜220℃で10〜90分間熱プレスを行いシール近傍のギャップを調整した後、オーブン中で110〜220℃で10〜120分間加熱しシール剤を本硬化させる。次いで、液晶注入口から液晶を注入し、最後に封口剤を用いて液晶注入口を封止して、液晶表示素子を作製していた。
しかし、この作製方法によると、熱歪により位置ズレ、ギャップのバラツキ、シール剤と基板との密着性の低下等が発生する;残留溶剤が熱膨張して気泡が発生しギャップのバラツキやシールパスが発生する;シール硬化時間が長い;プリベイクプロセスが煩雑;溶剤の揮発によりシール剤の使用可能時間が短い;液晶の注入に時間がかかる等の問題があった。とりわけ、近年の大型の液晶表示装置にあっては、液晶の注入に非常に時間がかかることが大きな問題となっていた。
これに対して、光硬化熱硬化併用型シール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶表示素子の製造方法が検討されている。滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、スクリーン印刷により長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせ、シール部に紫外線を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができる。今後はこの滴下工法が液晶表示装置の製造方法の主流となると期待されている。
従来のシール剤として用いられる硬化性樹脂組成物としては、例えば、特許文献1に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の部分(メタ)アクリル化物を主成分とする接着剤が開示されている。また、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5等に開示されており、特許文献6には、(メタ)アクリル酸エステル樹脂を主成分とするものが開示されている。
しかしながら、これらの硬化性樹脂組成物は、液晶材料と近い極性値を示す傾向があり、両者は親和しやすい性質を持つ。したがって、これらの硬化性樹脂組成物からなるシール剤を用いて組み立てられた液晶表示素子では、液晶中にシール剤の成分が溶出し、シール剤の周辺部に液晶の配向乱れが生じ、色ムラ等の表示不良を引き起こすことがある。とりわけ、滴下工法では未硬化のシール剤が直接液晶と接する工程があることから、このようなシール剤成分による液晶汚染が大きな問題となっていた。また、シール剤と同様の硬化性樹脂組成物を用いて上下導通材料とした場合にも、シール剤と同様の問題があった。
特開平6−160872号公報 特開平1−243029号公報 特開平7−13173号公報 特開平7−13174号公報 特開平7−13175号公報 特開平7−13174号公報
本発明は、上記現状に鑑み、液晶表示素子並びにその製造において液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用封口剤及び液晶表示素子用上下導通材料の少なくとも一つとして用いた場合に、その成分が液晶材料中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色ムラが少ないことから、特に滴下工法による液晶表示装置の製造に最適である液晶表示素子用硬化性樹脂組成物、これを用いた液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用封口剤、液晶表示素子用上下導通材料及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、結晶性エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させてなる(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂を含有する液晶表示素子用硬化性樹脂組成物である。
なお、本明細書において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸のことをいう。また、本明細書において結晶性樹脂とは、示差走査熱量計により示差熱を測定したときに、鋭く明瞭な融点ピークを示し、結晶化度が10%を超える樹脂を意味し、非結晶性樹脂とは、示差走査熱量計により示差熱を測定したときに、鋭く明瞭な融点ピークを示さず、結晶化度が10%以下である樹脂を意味する。
以下に本発明を詳述する。
本発明の液晶表示素子用硬化性樹脂組成物(以下、単に硬化性樹脂組成物ともいう)は、硬化性樹脂成分として(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂を含有する。
上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂は、分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とを有することから、光によっても熱によっても硬化させることができる。従って、本発明の液晶表示素子用硬化性樹脂組成物を用いれば、例えば、いったん光を照射して仮止めした後に、加熱して本硬化させるような使用ができ、滴下工法により液晶表示素子の製造する場合におけるシール剤に好適である。
上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させることにより製造することができる。
本発明者らは、鋭意検討の結果、原料となるエポキシ樹脂として結晶性エポキシ樹脂を用いれば、得られる液晶表示素子用硬化性樹脂組成物の液晶非汚染性を向上させることが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
これは、一般に結晶性エポキシ樹脂は純度が高く不純物の含有量が小さいこと、及び、結晶性エポキシ樹脂を原料とすることにより得られる(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂の結晶性が高まり分子間の相互作用が強くなることから、滴下工法において未硬化の樹脂と液晶とが接しても液晶を汚染しにくいためと考えられる。
上記結晶性エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、エーテル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及び、それらの誘導体等が挙げられる。
上記結晶性エポキシ樹脂は、融点が140℃以下であることが好ましい。140℃を超えると、変性反応の際にゲル化してしまうことがある。より好ましい上限は120℃である。また、好ましい下限は40℃である。40℃未満であると、結晶性が低下してしまうことがある。
上記(メタ)アクリル酸以外で、(メタ)アクリル酸と同様な効果を奏する反応性二重結合を有するものとしては特に限定されず、例えば、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸等が挙げられる。
上記結晶性エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させる方法としては特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。
上記結晶性エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させる際には、塩基性の触媒を用いることが好ましく、上記塩基触媒としては特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルフェニルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルフォスフィン、塩化鉄、塩化亜鉛、塩化バナジウム等が挙げられる。
また、上記結晶性エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させる際、上記塩基触媒の存在下で、エポキシ基1当量に対して、(メタ)アクリル酸を1〜0.5当量反応させることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂は、結晶性(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂であることが好ましい。(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂が結晶性であるときには、分子間の相互作用が強くなることから、滴下工法において未硬化の樹脂と液晶とが接しても液晶を汚染しにくい。
上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂は、融点が80℃以下であることが好ましい。80℃を超えると、配合時に高温で加熱する必要があるのて、ゲル化等の問題が発生することがある。好ましい下限は40℃である。40℃未満であると、凝集力が低下して本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物の密着性が低下することがある。
上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂は、樹脂骨格中における硫黄原子と酸素原子との総計が5〜10であることが好ましい。5未満であると、分子としての極性が低くなって液晶を汚染しやすいことがあり、10を超えると、耐湿性に劣ることがある。
上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂は、樹脂骨格中の硫黄原子と酸素原子との総計を総原子数で除した値の好ましい下限が0.08、好ましい上限が0.14である。0.08未満であると、極性が低くなって液晶を汚染しやすいことがあり、0.14を超えると、耐湿性に劣ることがある。
本発明の硬化性樹脂組成物における上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂の配合量の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は50重量%である。10重量%未満であると、硬化させた硬化物の密着性が低下することがあり、50重量%を超えると、組成物が結晶化してしまうことがある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、光重合開始剤、熱硬化剤、フィラー、カップリング剤等を含有してもよい。
上記光重合開始剤としては、光照射により上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂を重合させるものであれば特に限定されないが、反応性二重結合と光反応開始部とを有するものが好適である。このような光重合開始剤は、本発明の硬化性樹脂組成物に配合した場合に充分な反応性を付与することができるとともに、液晶中に溶出し液晶を汚染することがない。なかでも、反応性二重結合と水酸基及び/又はウレタン結合とを有するベンゾイン(エーテル)類化合物が好適である。なお、ベンゾイン(エーテル)類化合物とは、ベンゾイン類及びベンゾインエーテル類を表す。
上記反応性二重結合としては、アリル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリル基等の残基が挙げられるが、本発明の硬化性樹脂組成物の光重合開始剤として用いる場合には、反応性の高さから(メタ)アクリル残基が好適である。このような反応性二重結合を有することにより、硬化性樹脂組成物に配合した際に耐候性が向上する。
上記ベンゾイン(エーテル)類化合物は、水酸基とウレタン結合とのどちらか1つを有していればよく、両方を有していてもよい。上記ベンゾイン(エーテル)類化合物が水酸基とウレタン結合のいずれも有していない場合には、硬化性樹脂組成物に配合した際に、硬化前に液晶へ溶出してしまうことがある。
上記ベンゾイン(エーテル)類化合物において、上記反応性二重結合及び水酸基及び/又はウレタン結合はベンゾイン(エーテル)骨格のどの部分に位置していてもよいが、下記一般式(1)で表される分子骨格を有するものが好適である。かかる分子骨格を有する化合物を、光重合開始剤として用いれば、残存物が少なくなり、アウトガスの量を少なくすることができる。
Figure 2005018022
式中、Rは水素、炭素数4以下の脂肪族炭化水素残鎖を表す。Rが炭素数4を超える脂肪族炭化水素残鎖であると、光重合開始剤を配合したときの保存安定性は増加するものの、置換基の立体障害により反応性が低下することがある。
一般式(1)で表される分子骨格を有するベンゾイン(エーテル)類化合物としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005018022
式中、Rは水素又は炭素数4以下の脂肪族炭化水素残基を表し、Xは炭素数13以下の2官能イソシアネート誘導体の残基を表し、Yは炭素数4以下の脂肪族炭化水素残基又は残基を構成する炭素と酸素の原子数比が3以下の残基を表す。Xが炭素数13を超える2官能イソシアネート誘導体の残基であると、液晶に溶解しやすくなることがあり、Yが炭素数4を超える脂肪族炭化水素残基又は炭素と酸素の原子数比が3を超える残基であると、液晶に溶解しやすくなることがある。
上記光重合開始剤としては他の、例えば、ベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン等の単独又は2種以上と併用してもよい。
上記光重合開始剤の配合量の好ましい下限は、上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂100重量部に対して0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。0.1重量部未満であると、光重合を開始する能力が不足して効果が得られないことがあり、10重量部を超えると、未反応の光重合開始剤が多く残ることがあり、耐候性が悪くなることがある。より好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は5重量部である。
上記熱硬化剤は、加熱により(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂中の熱硬化性の官能基であるエポキシ基やアクリル基等を反応させ、架橋させるためのものであり、硬化後の硬化物の接着性、耐湿性を向上させる役割を有する。上記熱硬化剤としては、融点が100℃以上の潜在性硬化剤が好適に用いられる。融点が100℃未満の硬化剤を使用すると保存安定性が著しく悪くなることがある。
このような硬化剤としては、1,3−ビス[ヒドラジノカルボノエチル−5−イソプロピルヒダントイン]等のヒドラジド化合物、ジシアンジアミド、グアニジン誘導体、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、N−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]尿素、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、変性脂肪族ポリアミン、テトラヒドロ無水フタル酸、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)等の酸無水物、各種アミンとエポキシ樹脂との付加生成物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記熱硬化剤の配合量の好ましい下限は、上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂100重量部に対して1重量部、好ましい上限は50重量部である。この範囲外であると、硬化物の接着性、耐薬品性が低下し、高温高湿動作試験での液晶の特性劣化が早まることがある。より好ましい下限は4重量部、より好ましい上限は30重量部である。
また、上記熱硬化剤としては、固体硬化剤粒子の表面が微粒子等により被覆されている被覆硬化剤を用いる場合には、本発明の硬化性樹脂組成物を一液タイプとした場合でも非常に高い保存安定性が得られることから特に好適である。
上記フィラーとしては特に限定されないが、例えば、含水硅酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種の無機充填材が好適である。これらのフィラーの粒子径は、1.5μm以下であることが好ましい。この場合、本発明の硬化性樹脂組成物中における上記フィラーの配合量の好ましい下限は8重量%、好ましい上限は20重量%である。
上記シランカップリング剤は、主に硬化性樹脂組成物とガラス基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。また、本発明の硬化性樹脂組成物が、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善等の目的に、少量の非導電性フィラーを含有する場合においては、非導電性フィラーと樹脂との相互作用を向上させるために、非導電性フィラーの表面をシランカップリング剤で処理する方法に用いられることもある。
上記シラン化合物としては、下記A群で示される少なくとも1つの官能基と下記B群で示される少なくとも1つの官能基とを有するものが好適である。
Figure 2005018022
具体的には、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような構造のシラン化合物をシランカップリング剤として用いることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、基板等との接着性を向上することができるとともに、B群で示される官能基を介してシラン化合物が上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂と化学結合することにより、液晶中への流出を防止することができる。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物がこのようなシランカップリング剤を配合する場合には、シランカップリング剤配合後に、加熱処理を行う。加熱処理により、上記シラン化合物が(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂とB群で示される官能基を介して化学結合する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後において体積抵抗値が1×1013Ω・cm以上であることが好ましい。1×1013Ω・cm未満であると、硬化性樹脂組成物がイオン性の不純物を含有していることを意味し、通電時にイオン性不純物が液晶中に溶出し、液晶駆動電圧に影響を与え、表示ムラの原因となることがある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後において100kHzにおける誘電率(比誘電率)が3以上であることが好ましい。液晶の誘電率は、通常ε//(パラレル)が10、ε⊥(垂直)が3.5程度であることから、誘電率が3未満であると、硬化性樹脂組成物が液晶中に溶出し、液晶駆動電圧に影響を与え、表示ムラの原因となることがある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後におけるガラス転移温度の好ましい下限が80℃、好ましい上限が150℃である。80℃未満であると、耐湿性(耐高温高湿性)に劣ることがあり、150℃を超えると、剛直になりすぎ基板との密着性に劣ることがある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化前において抽出水イオン伝導度が50μS/cm以下であることが好ましい。50μS/cmを超えると、本発明の硬化性樹脂組成物がイオン性の不純物を含有していることを意味し、イオン性不純物が液晶中に溶出し、液晶駆動電圧に影響を与え、表示ムラの原因となる。より好ましくは30μS/cm以下である。
なお、上記抽出水イオン伝導度は、樹脂組成物を溶媒に溶解させ、その溶液を純水で抽出し、その純水の伝導率を導電率計(例えば、堀場製作所社製ES−12等)を用いて測定することにより得ることができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化前における比抵抗値が1.0×106 〜1.0×1010Ω・cmであることが好ましい。1.0×106 Ω・cm未満であると、これらが液晶に溶出した場合、液晶駆動電圧に影響を与え、表示ムラの原因となる。1.0×1010Ω・cmを超えると、液晶への溶出が大きくなったり、基板との密着性に劣ったりすることがある。
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法としては特に限定されず、上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂と、必要に応じて配合される上記光開始剤、熱硬化剤、フィラー、カップリング剤等の所定量とを、従来公知の方法により混合する方法等が挙げられる。この際、含有するイオン性不純物を除去するために、イオン吸着性固体と接触させてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂を硬化性樹脂成分として含有することから、液晶表示素子用シール剤や液晶表示素子用封口剤として用いた場合、液晶を汚染することが少ない。とりわけ、滴下工法により液晶表示装置を製造する場合に好適である。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなる液晶表示素子用シール剤及び液晶表示素子用封口剤もまた、本発明の1つである。
また、液晶表示装置には、一般的に、2枚の透明基板上の対向する電極間を上下導通させるために、上下導通材料が使用されている。上記上下導通材料は通常、硬化性樹脂組成物に導電性微粒子が含有されて構成されている。
本発明の硬化性樹脂組成物と導電性微粒子とを含む液晶表示素子用上下導通材料もまた、本発明の1つである。
上記導電性微粒子としては特に限定されず、例えば、金属微粒子;樹脂基材微粒子に金属メッキを施したもの(以下、金属メッキ微粒子という);樹脂基材微粒子に金属メッキを施した後樹脂等で被覆したもの(以下、被覆金属メッキ微粒子という);更にこれらの金属微粒子、金属メッキ微粒子、被覆金属メッキ微粒子で表面に突起を有するもの等が挙げられる。なかでも、樹脂組成物中への均一分散性や導電性に優れることから、金メッキを施した金属メッキ微粒子や被覆金属メッキ微粒子が好ましい。
上記導電性微粒子の、上記硬化性樹脂組成物100重量部に対する配合量の好ましい下限は0.2重量部、好ましい上限は5重量部である。
本発明の液晶表示素子用上下導通材料を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記硬化性樹脂組成物、上記導電性微粒子等を所定の配合量となるように配合し、真空遊星式攪拌装置等で混合する方法等が挙げられる。
更に、本発明の液晶表示素子用シール剤、本発明の液晶表示素子用封口剤、及び本発明の液晶表示素子用上下導通材料の少なくとも一つを用いてなる液晶表示装置もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示素子用シール剤、本発明の液晶表示素子用封口剤、及び本発明の液晶表示素子用上下導通材料の少なくとも一つを用いて本発明の液晶表示装置を製造する方法としては特に限定されず、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、ITO薄膜等の2枚の電極付き透明基板(無機ガラス又はプラスチック板)の何れか一方に、本発明の液晶表示素子用シール剤を液晶注入口が解放された所定のパターンとなるように塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等が挙げられる。更に、もう一方の透明基板に、本発明の液晶表示素子用上下導通材料を所定の電極上に塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等が挙げられる。なお、上下導通材料を用いる代わりにシール剤に導電性微粒子を含有させ、上下導通を図ることも可能である。次いで、上記2枚の透明基板をスペーサーを介して対向させ、位置合わせを行いながら重ね合わせる。その後、透明基板のシール部及び上下導通材料部に紫外線を照射して仮留めし、更に100〜200℃のオーブン中で1時間加熱硬化させて硬化を完了させる。最後に液晶注入口より液晶を注入し、本発明の液晶表示素子用封口剤を用いて注入口を塞ぎ、液晶表示装置を作製する。
また、滴下工法による液晶表示装置の製造方法としては、例えば、ITO薄膜等の2枚の電極付き透明基板の一方に、本発明の液晶表示素子用シール剤をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により長方形状のシールパターンを形成する。更に、もう一方の透明基板に、本発明の液晶表示素子用上下導通材料をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により所定の電極上に上下導通用パターンを形成する。なお、上下導通材料を用いる代わりにシール剤に導電性微粒子を含有させ、上下導通を図ることも可能である。次いで、シール剤未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を上下導通材料未硬化の状態で重ねあわせ、シール部及び上下導通材料部に紫外線を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示装置を作製する。
本発明によれば、液晶表示素子並びにその製造において液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用封口剤及び液晶表示素子用上下導通材料の少なくとも一つとして用いた場合に、その成分が液晶材料中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色ムラが少ないことから、特に滴下工法による液晶表示装置の製造に最適である液晶表示素子用硬化性樹脂組成物、これを用いた液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用封口剤、液晶表示素子用上下導通材料及び液晶表示装置を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
下記一般式(3)で表される結晶性エポキシ樹脂(新日鐵化学社製:YSLV−80XY、融点78℃)1000重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、アクリル酸200重量部を、空気を送り込みながら、90℃で還流攪拌しながら5時間反応させ、非結晶性(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)を得た。
Figure 2005018022
式中、Gはグリシジル基を表す。
トリメチロールプロパン134重量部、重合開始剤としてBHT0.2重量部、反応触媒としてジブチル錫ジラウリレート0.01重量部、イソホロンジイソシアネート666重量部を加え、60℃で還流攪拌しながら2時間反応させた。次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート25.5重量部及びグリシドール111重量部を加え、空気を送り込みながら90℃で還流攪拌しながら2時間反応させた。得られた樹脂100重量部を、反応物中のイオン性不純物を吸着させる為にクオルツとカオリンの天然結合物(ホフマンミネラル社製、シリチンV85)10重量部が充填されたカラムで濾過し、ウレタン変性部分アクリル化物を得た。
得られた(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂40重量部、ウレタン変性部分アクリル化物20重量部、潜在性熱硬化剤としてヒドラジド系硬化剤(味の素ファインテクノ社製、アミキュアVDH)15重量部、光重合開始剤として2,2−ジエトキシアセトフェノン1重量部、シリカ粒子(平均粒径1.5μm)23重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1重量部を、三本ロールを用いて均一な液になるまで充分に混合して硬化性樹脂組成物を得た。
得られた硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤として液晶表示装置を作製した。
即ち、透明電極付きの2枚の透明基板の一方に、シール剤を長方形の枠を描く様にディスペンサーで塗布した。続いて、液晶(チッソ社製、JC−5004LA)の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせて、シール部に高圧水銀ランプを用い紫外線を50mW/cm2 の強度で60秒照射した。その後、液晶アニールを120℃にて1時間行い熱硬化させ、液晶表示装置を得た。
(実施例2)
下記一般式(4)で表される結晶性エポキシ樹脂(新日鐵化学社製:YSLV−80DE、融点79℃)1000重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、アクリル酸200重量部を、空気を送り込みながら、90℃で還流攪拌しながら5時間反応させ、結晶性(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)を得た。
非結晶性(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)の代わりにこの結晶性(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)を用いた以外は実施例1と同様の方法により、硬化性樹脂組成物を調製し、これをシール剤として液晶表示装置を作製した。
Figure 2005018022
式中、Gはグリシジル基を表す。
(比較例1)
下記一般式(5)で表されるウレタンアクリレート(共栄社化学社製、AH−600)35重量部、2−ヒドロキシブチルアクリレート15重量部、イソボニルアクリレート50重量部、ベンゾフェノン3重量部からなる硬化性樹脂組成物を均一な液となるように混合し、光硬化型のシール剤を得、これを用いて液晶表示装置を作製した。
Figure 2005018022
式中、R1 は炭素数5のアルキル鎖を表す。
(比較例2)
下記一般式(6)で表されるビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828US)50重量部、ヒドラジド系硬化剤(日本ヒドラジン工業社製、NDH)25重量部からなる硬化性樹脂組成物を均一な液となるように三本ロールを用いて充分に混合し、シール剤を得、これを用いて液晶表示装置を作製した。
Figure 2005018022
実施例1、2及び比較例1、2で作製した液晶表示装置について、60℃、95%RH、500時間放置前後に、シール部周辺の液晶に生じる色ムラを目視で観察し、◎(色ムラが全くない)、○(色ムラが微かにある)、△(色ムラが少しある)、×(色ムラがかなりある)の4段階で液晶汚染性の評価を行った。なお、ここでは1区につきサンプル数5で行った。
結果を表1に示した。
Figure 2005018022
(実施例3)
実施例1と同様にして得られた硬化性樹脂組成物を均一な液となるように三本ロールを用いて充分に混合した後、硬化性樹脂組成物100重量部に対して、導電性微粒子として金メッキを施した金属メッキ微粒子(積水化学工業社製、ミクロパールAU−206)2重量部を配合し、真空遊星式攪拌装置で混合して、液晶表示素子用上下導通材料を作製した。
透明基板に、得られた上下導通材料をディスペンサー塗布により上下導通用の電極上に上下導通用パターンを形成したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、60℃、95%RH、500時間放置前後に、上下導通材料周辺の液晶に生じる色ムラを目視で観察したところ、○(色ムラが微かにある)の評価結果であった。また、導通性も良好であった。
本発明によれば、液晶表示素子並びにその製造において液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用封口剤及び液晶表示素子用上下導通材料の少なくとも一つとして用いた場合に、その成分が液晶材料中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色ムラが少ないことから、特に滴下工法による液晶表示装置の製造に最適である液晶表示素子用硬化性樹脂組成物、これを用いた液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用封口剤、液晶表示素子用上下導通材料及び液晶表示装置を提供できる。

Claims (11)

  1. 結晶性エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させてなる(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂を含有することを特徴とする液晶表示素子用硬化性樹脂組成物。
  2. 結晶性エポキシ樹脂の融点が140℃以下であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子用硬化性樹脂組成物。
  3. (メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂は、結晶性(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示素子用硬化性樹脂組成物。
  4. (メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂は、融点が80℃以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の液晶表示素子用硬化性樹脂組成物。
  5. (メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂は、樹脂骨格中における硫黄原子と酸素原子との総計が5〜10であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の液晶表示素子用硬化性樹脂組成物。
  6. (メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂は、樹脂骨格中の硫黄原子と酸素原子との総計を総原子数で除した値が0.08〜0.14であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の液晶表示素子用硬化性樹脂組成物。
  7. (メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂の配合量が10〜50重量%であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の液晶表示素子用硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の液晶表示素子用硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする液晶表示素子用シール剤。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の液晶表示素子用硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする液晶表示素子用封口剤。
  10. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の液晶表示素子用硬化性樹脂組成物と導電性微粒子とを含むことを特徴とする液晶表示素子用上下導通材料。
  11. 請求項8記載の液晶表示素子用シール剤、請求項9記載の液晶表示素子用封口剤、及び請求項10記載の液晶表示素子用上下導通材料の少なくとも一つを用いてなることを特徴とする液晶表示装置。
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