JP2005016289A - 免震構造墓石または墓石様重層石造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 墓石や石塔は地震によって転倒し易く、剛構造の手段によってこれの防止を図ることは製造費、工事費の高価格化となり易くまた、既設の墓石には適応し難く狭小な旧来墓地など立地的にも対応し難いものであった。柔構造の手段によるものも製造が難しいなどの難点があった。これらの位置ずれや転倒倒壊を防止する現実的な工法を提供する。
【解決手段】 基段に固定される突起錐体に台座石が関与し、端部に円錐形状を形成する浮動状態の中子各1個を夫々接する上下の各役石固体に関与させることによって、各層の役石固体それぞれに穿孔した同心の貫通孔または有底孔を通して地震による複雑な振動を穿孔内に該錐体が作る振動余地空間で振動吸収する免震構造による手段をもって墓石の位置ずれと転倒倒壊を防止する。
【選択図】図1
【解決手段】 基段に固定される突起錐体に台座石が関与し、端部に円錐形状を形成する浮動状態の中子各1個を夫々接する上下の各役石固体に関与させることによって、各層の役石固体それぞれに穿孔した同心の貫通孔または有底孔を通して地震による複雑な振動を穿孔内に該錐体が作る振動余地空間で振動吸収する免震構造による手段をもって墓石の位置ずれと転倒倒壊を防止する。
【選択図】図1
Description
本発明は石造固体を積重ねて成る墓標、墓石及びこれに類する石造物の免震構造に関するものである。
従来、墓石等の石造固体を積重ねて成る構築物に対する耐震あるいは免震技術は、一般的に上下関係にある固体石同士、あるいは土台構造物から上部竿石まで一本の穿孔を通して全てを金属製ボルトで締め付け、隙間にモルタルを充填する等の所謂剛構造工法によって墓石の一体化を図り墓石の転倒や位置ずれを防止するものが普通であった(例えば特許文献1参照)。
こうした剛構造工法に対して柔構造工法と言える手段をもって転防止を図るものがある(例えば特許文献2参照)。また、前記2例の折衷的なものと思慮できるものもある(例えば許文献3参照。)。
特開平10−37532号公報
特開2002−38769号公報
特開平9−317248号公報
一般的墓石において前記した剛構造の技術を含め、従来技術は積層する石材を強力に一体化物として固めその強度をもって地震時の振動に耐えようとするところにその特徴がある。
従って製造工場において完成したものは1個の石造物体として存在し、その重量は1トンを遥かに超えたものとなるのが普通であり、狭小な墓地現場などにおいては大型機械の使用が不可能である場合が多く、場内の小運搬や据付け工程などその取扱いはより困難なものとなることが多かった。
また、前項に掲げた技術(特許文献1)が示していると考えられる墓石を組み物の単体として墓地に搬入し現地組立が可能な技術の場合であっても、狭小な墓地現場において従来になく複雑な組立や強力な固定化工程を施工することや、コンフリートエも加わるとすればそれなりの長い工期も必要となり、工事全体としては作業性が悪く困難な作業となることが考えられるし、伴う工事費も相当に高くなるのも自然の成り行きである。
また前記は既設の墓石を対象としていないものである。
従来技術は地震と言う自然の強大な力に対して、これに耐え得る力をもって対峙しようとするものであり、予測を超えた震度や予測範囲の震度であっても墓石自体の重量や揺れの波動が反発、呼応、共振、同調するなど予想外の複雑な作用に重量物故の強い加速度が加わるものであり、剛構造で耐え得るものかが懸念されるばかりかその工事費は相当に高いものになりやすかった。
前項に掲げた技術(特許文献2)に見られる例は、上下方向についてのみ解放がなされそれは柔構造と言えるものであるとしても、横方向についての融通は全く無いものであるからこれは剛構造であると見ることが出来る。
前項に掲げた技術(特許文献3)に示される例は柔構造であり、大きさの異なる2石を組合せた形を現す石を1原石から削り出すことで転倒耐力を図ろうとするものであり、免震工法である。本例は転倒を難しくすることは可能としても、先ず石自体の製造が極めて困難な工法であると思慮される。製造が難しいものは高コストとなるのが自然である。
これまでに詳述した現状を踏まえた上で、工場生産を容易とし、築墓現場における施工性を良好とし、旧来の既設墓石への改造施工も可能とする比較的廉価な施工費を実現する、もとより効果的な現実味のある技術が待望されていたものである。
上記課題とする困難さや危惧を解消し廉価で安全性の高い墓石を提供するために本発明は成されたもので、従来技術が主として剛構造であるのに対し本発明では柔構造として課題の解決に当るものであり、剛構造とは対極に位置するものであって、他の従来技術とも明確に一線を画すものである。
現代における墓所は一般的に箱を伏せた状態の土台構造物を納骨室及び基段としてコンクリート造りや板石を組み立てる形の石造りで構築し、その上に墓石として台座石を置き、その上に中台石、さらに竿石と称される文字などが刻み込まれた石である主体石を立てると言う構成となっている。
上記構成を踏まえて、本発明においては竿石にはその平面上の中心に底部から上方へ有底孔を穿設し、台座石と中台石には有底孔と同心の貫通孔を穿設する。
基段の天端中心部に円錐台形を成す位置決めと振動吸収のための突起錐体を強固な手段で突設し、前記台座石の貫通孔をこの突起錐体に遊嵌させて台座石を据え付ける。このとき孔径と突起錐体の底面直径の関係は僅かに遊びと言える余裕がある程度であり、この遊びの範囲内の誤差で台座石の位置決めが正確に決定付けされるもので、突起錐体と台座石は対(つい)として作用する。
該貫通孔の中に隠れた前記突起錐体の上に、次に来る役石の位置決めを決定付けるための1番目の中子を縦に積み上げる様に載置するが、この中子の形状は概ね中ほどから下部は円柱状を成して該貫通孔内に遊嵌し、中ほどから上部は先細りの円錐台形を成して台座石の上方に突出する。
次いで前記突出する中子に次段石である中台石の貫通孔を嵌めるように中台石を据設し、この中子と中台石の組合せを2段目の1対体とする。
次に、既設した中子と同様の中子を2番目の中子として中台石の貫通孔内に同様に立てて載置し、中台石から突出するこの円錐形の中子に最上部の竿石の有底孔を遊嵌させて竿石を据設し、これを3段目の1対体とする。
この場合はこの3段目が最終段の対であるが、さらに多段式の墓石等の場合は1段目と最終段の間に2段目と同様な物が必要数だけ増設される。
このような構成で組み上げられた墓石は基段から最上段の竿石まで上下関係が固着固定は成されておらず、平面上の横ずれに対する位置決めのみに規制を加えた墓石一体が出来上る。
実験によると強力な震度であれば石が水平を保持したままで揺れるものでは無く、例えるならば個々の石が踊るが如くに盤上で乱動する。
いま地震によって不規則な振動が加わると、縦揺れや横揺れが同時に墓石を直撃するが地震の振動は複雑なものであり、こうした免震や耐震構造のレベルで考えるとき単に縦揺れ横揺れだけで捉えることは実際的でなく3次元方向に不規則的に振動するもので、それが強力なものであったとき瞬時であれ宙に浮き落下することの繰り返しが乱動であり振動そのものである。
振動が続く間は役石それぞれは激しく乱れ動くが該突起錐体及び中子の作用によってその定位置がずれることは無い。
しかしその中にあって竿石の動きは独特なもので、竿石はそれ自体が底面が他の役石よりも比較的狭小で重心が高いために揺れに対しては極めて不安定であり、強震ともなると横ずれするよりも先に転倒するのであり、本発明においては連接載置する2番目の中子の上部錐体形状部分が有底孔の内側において作り出す空間的余裕の範囲内で竿石が自由に揺れ動くことで振動を吸収しつつ、一定以上の傾きは該中子の上部部分が内部で支持体として働き竿石の転倒を防止するのである。
積重された石は地震の振動によって乱動するが、前記突起錐体や中子の円錐体形状と各石の貫通孔や有底孔の孔径が作り出す余裕的空間の存在が振動中の石の乱動を充分に起こす余地として作用し、石の乱動すなわち振動の吸収を実現するものである。
揺れが収まることに連動して、それまで激しく動いていた石も自重により落ち着くがそのとき石の自重が、穿孔下端縁部を介して該突起錐体と中子の円錐体形状にそれぞれ作用して復元機能として働き、よって石固体は穿孔下端縁部と錐体形状に誘導案内され元の位置に自然に復元定着するのである。
以上で説明した墓石の構成は、わが国で主流の和型と呼ばれる三段墓についてのものである。三段墓は一般的に、土台となる芝台の上に墓石として中台を置き、その上に上台石、さらに竿石を立てると言う構成となっている。ただ、これらの名称は地域差もあり、本発明では芝台(下段、下石とも言う)を基段、中台を台座石、上台(上台石、うわ石、上段とも言う)を中台石としている。また、竿石(棹石とも言う)は、石碑としての中心的役割を荷う石のことで、主体石とも言う。尚役石とは、主体石、台座石、中台石のことを言うが、主体石の上に乗せる笠石(擬帽子)や水鉢や花立て、香立てなどを付属品的な役石と言うこともある。
更に本発明は、加工された石材を積重ねて成る主として墓石(墓標)に限らず、同様に積重ねて構築がなされる記念碑、モニュメント、灯篭、層塔、多宝塔、道標、なども対象に含む。従来、これらも地震に耐える構成となっていないものが多い。そして、例えば多宝塔の場合、基礎、軸部、首部などからなるが、基礎、軸部、首部を役石、首部を主体石と考えれば、本発明がそのまま応用できる。
次に、本発明中に言う中子(なかご)について説明する。中子とは、本来は刀剣の柄の中に位置する支持体を指す名称であるが、本発明においても中に在って外側体を支えるその所在と目的が共通するものであり、表現上これを流用した。そして、上下に接する2石の役石同士を1個の中子で位置決めをし、少なくともそのうち1石と中子は遊嵌し、中子の端部形状が錐体であることの作用によって該役石の地震振動吸収と、地震の鎮静と同時に位置と姿勢の原状復元を自然に実現する。
従って、中子は一方が柱状、他方が錐状で、一般的には円柱状、円錐状である。しかし、有底孔や貫通孔の形状によっては、角柱や角錐体形、角錐台形、多角錐体形、多角錐台形、または該錐体が曲線で形成される曲錐体形等のものも使用可能である。また、通常錐状のものを上向きに使用するが、下向きに使用することもできる。両端を錐状にしたものも使用でのる。この場合、役石の傾斜が大きくなる。
また、中子の他に基段に設ける突起錐体の先端も円錐以外のかたちが使用できる。更に、主体石(竿石)と笠石(擬帽子)の連結部、基段と香立てや花立ての間にも小中子や小型の突起錐体を設置することで、これらを地震による倒壊から防ぐことができる。更に、振動による墓石の回転ずれを防止するために、中子の取り付け位置とは離れた位置に、小中子や小型の突起錐体などからなる小位置決め体を併設するも考えられる。
これまでに詳述したように本発明によって次のような多くの効果が生じる。まず、形の上から最も不安定である竿石は他の階層石と異なり先ず先に転倒崩壊する石であるが、これに対しては有底孔11と中子9の存在と組合せによる作用及び中子9の形状による作用で、竿石10が大きく傾くつまり振れる余地を予め用意しておくことで、竿石を転倒させるほどの強い地震であっても振動を吸収し転倒崩壊を防止する効果を実現した。
各役石の自重が穿孔下端縁部を介して突起錐体と中子の円錐体形状に作用して復元機能として働き、それまで乱動していても地震が収まれば役石固体は穿孔下端縁部と錐体形状に誘導案内され元の姿勢に自然に復元し安定する。
台座石には突起錐体2を、上部石にはそれぞれに中子をと、階層石毎に独立した原状回復のための円錐体形状を対応させることによりこれまで無かった柔構造を効果的な構造で廉価に実現した。
また、振動による墓石の回転ずれを防止するために図1に示す小位置決め体bを併設することも高い効果がある。
前記小位置決め体bを設置しない各役石の固体階層においては地震によって回転ずれの現象が必然的に起るが、本発明の眼目は墓石の倒壊防止と修復経費の発生抑止または軽減にあり、この目的を達成出来た地震後は自前の人力をもって回転ずれを簡単に修正出来ることも経費節減効果である。
重層設置される1役石に対して1個の円錐体形状が独自に対応させることを主たる構成要素の1つとする本発明構成の結果、個々の位置決めと個々の振動吸収が全体の位置決めと振動吸収効果を実現するものであるから、他の形式に則った役石段数の異なる墓石または墓石様石造物についても必要とする増設を、新規穿孔と中子の増設だけで自在に可能とするもので効率的な汎用性効果がある。
図3のdに示す如く各石に穿設された孔の下端縁部をlmm乃至50mm程度の幅で円錐孔の形状に面取り加工することは、これに接する突起錐体2や各中子の円錐体形状に馴染み易いものとなり、各石の位置決め性や振動後の原状復帰性を誘導し高める効果がある。
旧来の墓石が本震の揺れに対して辛うじて倒壊を免れたとする時も、墓石は相当に位置ずれを起こしていることが考えられ、その後の余震に耐えることが出来ない状況は想像に難くないのが地震である。本発明による柔構造は劣化することが無いものであるから、代々受け継がれる人の世と共に墓石の無事が引き継がれるのであるから極めて経済的工法であると言える。
墓参という人の行動は墓石と人を極めて密接な関係で成り立たたせており、墓参時に地震と遭遇するなどの可能性も否定できないもので本発明において地震時の転倒倒壊を防止ならしむことは、予知の叶わぬ地震発生と遭遇に対して信頼のおける安全性を確立したと言えるものである。
上部主体石には有底孔を穿設し、主体石より下層の役石には該有底孔と同心の貫通孔または有底孔を穿設し、その孔内に中子を載置してなる墓石において、上下に接する2石の役石同士を1個の中子で位置決めをし、少なくともそのうち1石と中子は遊嵌し、中子の端部形状が錐体であることの作用によって該役石の地震振動吸収と、地震の鎮静と同時に位置と姿勢の原状復元を自然に実現する。
以下、本発明装置を、図面に基づいて詳細に説明する。図1で基段1の上に突起錐体2をボルト3などの強固な手段をもって突設し位置決め体aとする。
台座石4と中台石5の中心には貫通孔6及び7を穿設し、この貫通孔6に該突起錐体2を遊嵌させながら台座石4を据殺して位置を決定付け、その上に中台石5を重ねて据設する。
中子8及び9の胴体は円柱形をなし、概ねその長さの2分の1程度上部が円錐台形であり、中子9は特にこの円錐台形上部を長くしているがこれは対応する竿石の高さに合わせている。
これら部材の材質は突起錐体2及び中子共に耐腐食性金属か有機樹脂など耐破損性の高いものであることが条件となるが、型抜きの手段をもって製造される樹脂製とするのが廉価で好ましい。
中子8を縦にして貫通孔6に挿入し該突起錐体2上に載置することで中台石5の位置は決定付けされる。このとき中子8の円柱部が台座石の上にlmm乃至10mm程度出るものとし、これに貫通孔が遊嵌して中台石5の位置決めが正確になされる。
次に中子9を前記同様に貫通孔7に挿入し中子8上に載置するが、前記と同様に中子9の円柱部が中台の上部にlmm乃至10mm程度出ることを含めて円錐台形の部分が貫通孔7から突出する。
次いで最上段である竿石10の平面上の中心位置に底面から上方に有底孔11を穿設し、この孔に該中子9を遊嵌させて竿石10を据設する。このとき中子9の上端は有底孔の天井に接触することなく若干の間隙がある。
前記中子8、9の胴体直径及び突起錐体2の底面直径と、貫通孔6、7及び有底孔11の直径は遊嵌する大きさ関係にあり、若干の所謂遊びがある程度が良い結果が得られる。
墓石が静置状態にあるときは中子と孔とが遊び程度の間隙をもって位置決めが成され、地震時の強い振動に対しては上方が解放されたままであるから自在に浮き上り、また中子等の円錐体形状と穿孔内壁との間に形成された空間c1〜c3を墓石の振れ動く余地、すなわち振動吸収可能な余地とし、本発明免震構造の重要な要素としている。
図2は本発明の作用を地震に翻弄される墓石の状態にして図示したもので、一方向に強力な揺れが作用した一瞬であり、竿石10は中子9によって支持され転倒を免れた状態である。
各錐体の周辺の空間c1〜c3は各役石体乱動の余地であり範囲であって、基準線である垂直線xから傾斜線y、そして反動線zに至る角度y,0,zが概略の振動吸収可能余地である。
この振動吸収可能余地はc1〜c3の空間が可動角として概略合計された場合を示すものであり、竿石の振れが最大限に働いた場合を示す。
墓石等の形式によると主体石の上に笠石や擬帽子などの上層石を有するものもあり、これらは主体石に比べると遥かに小なるものであり、図1に示す様により小径の小中子13を逆さにして笠石14等に接着等の手段で固着一体化し、主体石に穿股した有底小孔12に該小中子13を挿入しながら該笠石等を据設する。
上記のように構成された墓石は地震時の複雑な振動に対して柔軟な動きで呼応共振し振動を吸収することが出来るもので、こうした所謂柔構造によって振動を吸収し墓石の位置ずれや倒壊を防止するものである。
図3のdに示す如く各役石に穿設された孔の下端縁部を1mm乃至50mm程度の幅で円錐形状孔に面取り加工することで、これに接する突程錐体2や各中子の円錐形状に馴染み易くすることは効果的な形状である。
各役石に穿孔するにあたり主体石以下全て単純な同径孔とし、墓石製造時に工場加工によって穿孔することが最も経済的であって好ましい。しかし本発明は既設の墓石に対しても現地加工と石の組み直し施工を可能としており、既設の墓石に対しては次善の策として経済的に実現することが出来る。
墓石の形式によれば前述した基段を構築すること無く、台座石が直接地面e上に据設される場合もあるがこうした場合には、図4の台座石4に示す様に突起錐体は省略し台座石に穿殺する孔も上方からの有底孔として穿設し、この中に中子16を立設載置し更に上部石と上部中子が積上げられるのは前述の例と同様である。
台座石の上に載置される上部役石において本発明の構成は、役石の1固体に対して中子1個を対として、同様の対を順次積重ねて夫々の位置決めをするため、振動に対しては各役石体階層夫々が乱動して振動吸収に働く。地震の振動は複雑なものであるからこれに対して有効な結果を得るため各役石毎に3次元方向に独自の振動吸収の余地を取ったものである。
図4に示すように、これまで述べた貫通孔に代えて有底孔とすることも可能であり効果は同様であるが、有底孔であれば雨水の滲入滞留によって寒冷地等では凍害の発生もあり、貫通孔の方が優れる。有底孔内で遊嵌する中子の円柱形部分を接着固定して雨水の滲入を防止することも良い。
付属品的な別の役石である香立てや花立てにも小型の突起錐体を設置することで地震による倒壊を防止することができる。
また、振動による墓石の回転ずれを防止するために図2に示す位置決め体bを併設することも有効である。
或いは、図5に示すように、竿石10と中台石5のみを中子9で連接するようにしてもよい。笠石10の転落を防止すればそれ以下の役石はずれて台から外れるまでは落下せず、従って損傷はないままに地震が終息することもあるので、このような簡易タイプでも安価な割りに効果があるものである。中台石5の孔と中子9は、のりづけしておいてもよい。
次に、図6は中子8A、9Aが上下両端部とも円錐状をした他の例を示す。この場合、竿石10の振れ角yAは図2の振れ角yxよりも大きくなり、振動吸収に有利となる。中台石5の場合も同様である。
尚、図6のものは、竿石(上部主体石)10の底面周縁部10aを円弧状に面取りしている。これは、振動実験の結果、振動により底面周縁部10aが非常に欠けやすいことが判明したことにより対処したものである。該箇所にアールを設けることはその分だけ竿石10の底辺が小さくなるので、揺れを促進させる、つまり振動吸収を促進させることになる。
墓石によっては、図7に示すように、中台石5の状面中央部分に、竿石10底部と同じ寸法の小台5Aを設けることがある。このように場合、竿石10の振動によって底面周縁部10a、特に両者の交点K部分に欠けが生じやすい。そこで、図8のように、竿石の底面周縁部10aと小台5Aの周縁部5Aaにも円弧状の面取りを設けるとよい。
地震による墓石等の倒壊が防止乃至軽減され、社会的に余分なコストを逓減できる。また、人身事故を減らせるなどの効果もある。
1:基段
2:突起錐体
3:ボールト
4:台座石
5:中台石
6,7:貫通孔
8,9:中子
10:竿石
11:有底孔
12:有底小孔
13:小中子
14:笠石
15:納骨室
16:中子
a:位置決め体
b:小位置決め体
c1,c2,c3:空間
d:面取り
e:地面
o:中心点
x:垂直線
y:傾斜角線
z:反動線である。
2:突起錐体
3:ボールト
4:台座石
5:中台石
6,7:貫通孔
8,9:中子
10:竿石
11:有底孔
12:有底小孔
13:小中子
14:笠石
15:納骨室
16:中子
a:位置決め体
b:小位置決め体
c1,c2,c3:空間
d:面取り
e:地面
o:中心点
x:垂直線
y:傾斜角線
z:反動線である。
Claims (6)
- 複数の役石を重層設置する墓石または墓石様石造物において、上部主体石には有底孔を穿設し、主体石より下層の役石(役石体の代わりに)には該有底孔と同心の貫通孔または有底孔を穿設し、その孔内に中子を載置してなる墓石または墓石様石造物であって、上下に接する2石の役石同士を1個の中子で位置決めをし、少なくともそのうち1石と中子は遊嵌し、中子の端部形状が錐体であることの作用によって該役石の地震振動吸収と、地震の鎮静と同時に位置と姿勢の原状復元を自然に実現することを特長とした免震構造墓石または墓石様重層石造物。
- 役石ことに上部主体石の底面周縁部を円弧状に面取りしたものである、請求項1記載の免震構造墓石または墓石様重層石造物。
- 役石に穿設された貫通孔または有底孔の下端周縁部を面取りしたものである、請求項1又は請求項2記載の免震構造墓石または墓石様重層石造物。
- 基段上に突設された突起錐体に最下段の役石である台座石の貫通孔または有底孔を遊嵌させて当該台座石を据設するものであり、該突起錐体の形状が錐体である請求項1、請求項2又は請求項3記載の免震構造墓石または墓石様重層石造物。
- 中子は、その上部又は下部或いはその両方が錐形である、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の免震構造墓石または墓石様重層石造物。
- 上部主体石の上に乗せる笠石などと上部主体石の間、水鉢や花立て、香立てと基段の間も、小型の中子で連結するものである、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5記載の免震構造墓石または墓石様重層石造物。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013249604A (ja) * | 2012-05-30 | 2013-12-12 | Hayashi Bussan Hatsumei Kenkyusho:Kk | 免震機能を具えた墓石 |
JP2013253388A (ja) * | 2012-06-05 | 2013-12-19 | Hayashi Bussan Hatsumei Kenkyusho:Kk | 墓石用免震具 |
-
2004
- 2004-03-29 JP JP2004095665A patent/JP2005016289A/ja active Pending
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