JP2011137303A - 免震構造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高層建築物に対して好適であるうえ、メンテナンスにかかる手間を少なくすることができる。
【解決手段】免震構造物1Aは、塔状構造体2の棟頂部21から吊り下げられた吊り構造体4を備えている。吊り構造体4は各層が柱材5によって接合され、最上層4Aと棟頂部21との間に上下方向に減衰するダンパー6が介装されるとともに、最下層4Bと棟頂部21とが低剛性の吊りワイヤー3によって連結された構造とすることで、吊り構造体に生じる上下振動の固有周期を長周期化させることができ、優れた免震効果が得られるとともに、吊り構造体の全体が安定的に吊り支持され、高層建築物に対しての適用を可能とした。
【選択図】図1
【解決手段】免震構造物1Aは、塔状構造体2の棟頂部21から吊り下げられた吊り構造体4を備えている。吊り構造体4は各層が柱材5によって接合され、最上層4Aと棟頂部21との間に上下方向に減衰するダンパー6が介装されるとともに、最下層4Bと棟頂部21とが低剛性の吊りワイヤー3によって連結された構造とすることで、吊り構造体に生じる上下振動の固有周期を長周期化させることができ、優れた免震効果が得られるとともに、吊り構造体の全体が安定的に吊り支持され、高層建築物に対しての適用を可能とした。
【選択図】図1
Description
本発明は、上下振動の固有周期を長周期化することのできる免震構造物に関する。
従来、免震構造物として、振り子型の耐震建物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、建物の中心部に設けた高剛性のコアシャフトの頂部を支点として、その周囲に多層階の建物本体部を吊り支持して設けることにより、地震時には建物本体部を全方向に揺動可能な振り子として応答させるようにした耐震建物について開示されている。このような構造によれば、建物本体部の固有周期を地振動周期よりも充分に長周期化することが可能であり、それにより地震時にもほとんど振動しないような建物を実現できるとされている。
ところで、上述した耐震建物に用いられる免震装置としては、空気ばねを採用したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献1には、建物の中心部に設けた高剛性のコアシャフトの頂部を支点として、その周囲に多層階の建物本体部を吊り支持して設けることにより、地震時には建物本体部を全方向に揺動可能な振り子として応答させるようにした耐震建物について開示されている。このような構造によれば、建物本体部の固有周期を地振動周期よりも充分に長周期化することが可能であり、それにより地震時にもほとんど振動しないような建物を実現できるとされている。
ところで、上述した耐震建物に用いられる免震装置としては、空気ばねを採用したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、免震装置として採用される空気ばねにあっては、面積当りの許容荷重が小さいことから高層建築物には適用し難いという問題があった。
また、空気ばねを駆動させるための空気圧縮機が常に良好に作動できるように管理する必要があり、そのためのメンテナンスに多大な労力を要していた。
また、空気ばねを駆動させるための空気圧縮機が常に良好に作動できるように管理する必要があり、そのためのメンテナンスに多大な労力を要していた。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、高層建築物に対して好適であるうえ、メンテナンスにかかる手間を少なくすることができる免震構造物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る免震構造物では、塔状構造体の棟頂部から吊り下げられた吊り構造体を備えた免震構造物であって、吊り構造体は、各層が柱材によって接合され、最上層と棟頂部との間に上下方向に減衰するダンパーが介装されるとともに、最下層と棟頂部とが低剛性の吊り材によって連結されていることを特徴としている。
また、本発明に係る免震構造物では、吊り材は、ワイヤーであることが好ましい。
また、本発明に係る免震構造物では、吊り材は、ワイヤーであることが好ましい。
本発明では、塔状構造体の棟頂部から例えばワイヤー等の低剛性の吊り材によって吊り構造体を吊り下げる構造であるので、吊り構造体全体の鉛直荷重が吊り材を介して棟頂部に伝達され、さらに棟頂部を介して塔状構造体から圧縮力として地盤に伝達され、これにより吊り構造体の全体が安定的に吊り支持される。そのため、高層建築物に対しても適用することが可能となる。しかも、吊り構造体と棟頂部との間に設けられたダンパーと低剛性の吊り材とによって、吊り構造体に生じる上下振動の固有周期を長周期化させることができ、地震時の振動を大幅に抑制することができ、これにより優れた免震効果が得られる。
また、本発明に係る免震構造物では、棟頂部には、水平方向の振動を抑制する免震装置が設けられていることが好ましい。
本発明では、水平方向の振動を抑える免震装置と、上述した上下振動の固有周期を長周期化させる吊り材およびダンパーとを組合せることで、より免震効果に優れた3次元免震化を実現することができる。
本発明の免震構造物によれば、吊り構造体全体の鉛直荷重を吊り材を介して棟頂部から塔状構造体全体にもたせる構成であるので、高層建築物に対しても確実に適用でき、しかも上下振動の固有周期を増大させることが可能となるため、優れた免震効果が得られる。
また、空気ばねに比べて長期にわたって安定した性能を維持することができるので、メンテナンスにかかる手間を少なくすることができる利点がある。
また、空気ばねに比べて長期にわたって安定した性能を維持することができるので、メンテナンスにかかる手間を少なくすることができる利点がある。
以下、本発明の第1の実施の形態による免震構造物について、図1に基づいて説明する。
図1に示すように、本第1の実施の形態による免震構造物1(1A)は、RCコアなどの塔状構造体2の棟頂部21から低剛性の吊りワイヤー3(吊り材)によって吊り下げされた複数層からなる吊り構造体4を備えた構造である。なお、本実施の形態の吊り構造体4は、塔状構造体2の周囲に配置されており、本実施の形態では塔状構造体2を中心に吊り構造体2が全周に配置されている。
図1に示すように、本第1の実施の形態による免震構造物1(1A)は、RCコアなどの塔状構造体2の棟頂部21から低剛性の吊りワイヤー3(吊り材)によって吊り下げされた複数層からなる吊り構造体4を備えた構造である。なお、本実施の形態の吊り構造体4は、塔状構造体2の周囲に配置されており、本実施の形態では塔状構造体2を中心に吊り構造体2が全周に配置されている。
塔状構造体2は、地盤Gから自立状態で立設された高軸剛性かつ高曲げ剛性の鉄筋コンクリート造のものであり、この免震構造物1A全体の全鉛直荷重および地震時における全水平荷重を支持し得るものとなっている。
ここで、塔状構造体2は、例えば水平断面形状がほぼ正方形とされてその内部がエレベータや階段室等の共用スペースとして(すなわち一般の建物におけるコア部として)利用されているが、内部に通じる開口部を除いては実質的に無開口の頑強な筒状の壁体として構築されている。
棟頂部21は、塔状構造体2の上端2aから側方へ向けて張り出した屋根形状をなしている。
ここで、塔状構造体2は、例えば水平断面形状がほぼ正方形とされてその内部がエレベータや階段室等の共用スペースとして(すなわち一般の建物におけるコア部として)利用されているが、内部に通じる開口部を除いては実質的に無開口の頑強な筒状の壁体として構築されている。
棟頂部21は、塔状構造体2の上端2aから側方へ向けて張り出した屋根形状をなしている。
そして、吊り構造体4は、各層が例えば鉄骨梁とコンクリートスラブとにより形成され、上下に位置する層どうしが平面視で適宜な位置において柱材5によって接合されている。そして、最上層4Aと棟頂部21との間には、上下方向に減衰する複数のダンパー6、6、…が介装されるとともに、最下層4Bと棟頂部21とが吊り材3によって連結された構成となっている。すなわち、最下層4Bは、地盤Gの上方に浮いた位置に配置されている。
ここで、図1では各吊り構造体4に対して2本の吊りワイヤー3、3が示されているが、実際は最下層4Bの周縁部に沿って所定の間隔をあけて複数の吊りワイヤー3、3、…が設けられている。
ここで、図1では各吊り構造体4に対して2本の吊りワイヤー3、3が示されているが、実際は最下層4Bの周縁部に沿って所定の間隔をあけて複数の吊りワイヤー3、3、…が設けられている。
なお、吊り構造体4の各層間には、ブレース(図示省略)を設け、それらブレースにより層間変位が拘束された状態で一体化させ、吊り構造体4全体としての水平剛性を確保する構成としてもよい。
このように構成される免震構造物1Aでは、塔状構造体2の棟頂部21から低剛性の吊りワイヤー3によって吊り構造体4を吊り下げる構造であるので、吊り構造体4全体の鉛直荷重が吊りワイヤー3を介して棟頂部21に伝達され、さらに棟頂部21を介して塔状構造体2から圧縮力として地盤Gに伝達され、これにより吊り構造体4の全体が安定的に吊り支持される。そのため、高層建築物に対しても適用することが可能となる。
しかも、吊り構造体4と棟頂部21との間に設けられたダンパー6と低剛性の吊りワイヤー3とによって、吊り構造体4に生じる上下振動の固有周期を長周期化させることができるとともに、地震時の振動を大幅に抑制することができることから、これにより優れた免震効果が得られる。
上述のように本実施の形態による免震構造物では、吊り構造体4全体の鉛直荷重を吊りワイヤー3を介して棟頂部21から塔状構造体2全体にもたせる構成であるので、高層建築物に対しても確実に適用でき、しかも上下振動の固有周期を増大させることが可能となるため、優れた免震効果が得られる。
また、吊りワイヤー3とダンパー6とからなる構造は、空気ばねに比べて長期にわたって安定した性能を維持することができるので、メンテナンスにかかる手間を少なくすることができる利点がある。
また、吊りワイヤー3とダンパー6とからなる構造は、空気ばねに比べて長期にわたって安定した性能を維持することができるので、メンテナンスにかかる手間を少なくすることができる利点がある。
次に、本発明の免震構造物による第2の実施の形態について、図2に基づいて説明する。なお、上述の第1の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略する。
図2に示す免震構造物1(1B)では、棟頂部21に水平方向の振動を抑制する免震装置7を備えた構造である。すなわち、免震装置7は、塔状構造体2における棟頂部21と本体部22との間に介装されている。免震装置7としては、周知の積層ゴム等が採用される。
ここで、第2の実施の形態による棟頂部21は、塔状構造体2の上部2aを含んだ部分とする。
図2に示す免震構造物1(1B)では、棟頂部21に水平方向の振動を抑制する免震装置7を備えた構造である。すなわち、免震装置7は、塔状構造体2における棟頂部21と本体部22との間に介装されている。免震装置7としては、周知の積層ゴム等が採用される。
ここで、第2の実施の形態による棟頂部21は、塔状構造体2の上部2aを含んだ部分とする。
第2の実施の形態による免震構造物1Bでは、水平方向の振動を抑える免震装置7と、上下振動の固有周期を長周期化させる吊りワイヤー3およびダンパー6とを組合せることで、より免震効果に優れた3次元免震化を実現することができる。
以上、本発明による免震構造物の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では吊り材として吊りワイヤーを採用しているが、これに限定されることはなく、低剛性の鋼材やケーブル等を用いてもかまわない。
また、吊りワイヤー3、ダンパー6、免震装置7の取付位置、数量、性能などの構成は、吊り構造体4の層数、平面形状、塔状構造体2、棟頂部21などの条件に応じて適宜設定することができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施の形態を適宜組み合わせてもよい。
例えば、本実施の形態では吊り材として吊りワイヤーを採用しているが、これに限定されることはなく、低剛性の鋼材やケーブル等を用いてもかまわない。
また、吊りワイヤー3、ダンパー6、免震装置7の取付位置、数量、性能などの構成は、吊り構造体4の層数、平面形状、塔状構造体2、棟頂部21などの条件に応じて適宜設定することができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施の形態を適宜組み合わせてもよい。
1、1A、1B 免震構造物
2 塔状構造体
21 棟頂部
3 吊りワイヤー(吊り材)
4 吊り構造体
4A 最上層
4B 最下層
5 柱材
6 ダンパー
7 免震装置
2 塔状構造体
21 棟頂部
3 吊りワイヤー(吊り材)
4 吊り構造体
4A 最上層
4B 最下層
5 柱材
6 ダンパー
7 免震装置
Claims (3)
- 塔状構造体の棟頂部から吊り下げられた吊り構造体を備えた免震構造物であって、
前記吊り構造体は、各層が柱材によって接合され、最上層と前記棟頂部との間に上下方向に減衰するダンパーが介装されるとともに、最下層と前記棟頂部とが低剛性の吊り材によって連結されていることを特徴とする免震構造物。 - 前記吊り材は、ワイヤーであることを特徴とする請求項1に記載の免震構造物。
- 前記棟頂部には、水平方向の振動を抑制する免震装置が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の免震構造物。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015200125A (ja) * | 2014-04-09 | 2015-11-12 | 株式会社大林組 | 制振建造物及び建造物の制振方法 |
WO2017193899A1 (zh) * | 2016-05-10 | 2017-11-16 | 潍坊清浞玻璃新材料科技有限公司 | 垂拉式集中承重建筑体 |
JP2020094390A (ja) * | 2018-12-12 | 2020-06-18 | 清水建設株式会社 | 免震構造 |
CN111719699A (zh) * | 2020-07-14 | 2020-09-29 | 东南大学建筑设计研究院有限公司 | 一种可释放温度效应的环形大跨悬挂结构 |
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JPH02232479A (ja) * | 1988-07-15 | 1990-09-14 | Mitsui Constr Co Ltd | 免震構造構築物 |
JPH10176432A (ja) * | 1996-12-19 | 1998-06-30 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 三次元免震装置 |
JP2001090374A (ja) * | 1999-07-16 | 2001-04-03 | Teiichi Takahashi | 耐震建物の構造 |
-
2009
- 2009-12-28 JP JP2009296629A patent/JP2011137303A/ja active Pending
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