JP2011132690A - 制振構造物 - Google Patents

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Takehiko Terada
岳彦 寺田
Shinichi Sakamoto
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Abstract

【課題】単一の構造物に連結制振構造を適用し、平面計画上および使用勝手上の制約を軽減し得る有効適切な制振構造物を実現する。
【解決手段】構造物を互いに独立に挙動して相対振動を生じる複数の架構(第1架構Aおよび第2架構B)により構成し、各架構間に生じる相対振動により作動するダンパーを各架構間に介装する。各架構をそれぞれ該構造物の外周架構としての外周構造体1a、1bと床架構としての床構造体2a、2bとを一体に剛結して構成し、各架構の外周構造体をそれぞれ該構造物の外周部に設置するとともに、各架構の床構造体を上下に積層した状態でそれぞれ該構造物の床の位置に設置し、前記ダンパーを各架構の床構造体と他の架構の外周構造体との間に介装する。
【選択図】図1

Description

本発明は多層建物に適用して好適な制振構造物に関する。
建物の耐震安全性を高めるための構造として、建物内に制振ダンパーを設置して地震エネルギーを吸収する制振構造が広く普及している。
制振構造としては、制振ダンパーを層間に設置する形式のものと、制振ダンパーを建物頂部に設置する形式のものに大別されるが、前者はダンパー設置位置が建築計画上の都合により制約される場合が多いことから必ずしも充分な減衰性能を発揮できないことが多く、後者は頂部のみで建物全体に対する制振効果を得るためには大容量かつ大ストロークのダンパーを必要とするので、風による揺れや中層地震には有効ではあっても大地震には有効に対応できない。
さらに他の制振構造として連結制振構造も知られている。これは、たとえば特許文献1に示されるように数個の独立した建造物間をダンパーにより連結するもの、あるいは特許文献2に示されるように構造物を中央架構と外周架構とから構成してそれらを減衰装置により連結するものであり、優れた制振効果が得られるので今後の普及が期待されている。
特開昭54−1391号公報 特開平6−58017号公報
しかし、特許文献1に示される連結制振構造は複数棟の建物群に適用することが前提であって当然に単一建物には適用できないし、ダンパーの形式やその設置方向によって制振効果が得られないモードが生じるから、通常は建物同士が離接する方向の振動に対してしか有効ではない。
また、特許文献2に示されるものは1棟の建物にも適用可能であるが、中央架構と外周架構との間で生じる相対変位を吸収するために各階の中央部(コア部)に少なからぬスペースを確保してそこにダンパーとエキスパンションジョイントを設ける必要があるから、平面計画上および使用勝手上の制約が大きい点で難がある。
上記事情に鑑み、本発明は優れた制振効果が各方向に得られる連結制振構造を単一の構造物に適用し、しかも平面計画上および使用勝手上の制約を軽減することのできる有効適切な制振構造物を提供することを目的とする。
本発明は建物等の単一の構造物を互いに独立に挙動して相対振動を生じる複数の架構の組み合わせにより構成し、各架構間に生じる相対振動により作動するダンパーを各架構間に介装してなる制振構造物であって、前記各架構のそれぞれを前記構造物の外周架構としての外周構造体と該構造物の床架構としての床構造体とを一体に剛結して構成し、各架構の外周構造体をそれぞれ該構造物の外周部に設置するとともに、各架構の床構造体を上下に積層した状態でそれぞれ該構造物の床の位置に設置し、前記ダンパーを双方の架構の床構造体と外周構造体との間に介装してなることを特徴とする。
本発明においては、前記複数の架構を水平剛性が異なる第1架構と第2架構とにより構成して、それら第1架構と第2架構との組み合わせにより直交2方向の外壁面を有する多層階建物の全体架構を構成し、前記第1架構の一方向の水平剛性を他方向の水平剛性よりも相対的に低剛性として他方向の水平剛性を一方向の水平剛性よりも相対的に高剛性とし、前記第2架構の一方向の水平剛性を第1架構における他方向の水平剛性と同等の高剛性として他方向の水平剛性を第1架構の一方向の水平剛性と同等の低剛性とし、前記第1架構における外周構造体を直交2方向の外壁面のうち他方向の外壁面の位置に設置するとともに、前記第2架構における外周構造体を直交2方向の外壁面のうち一方向の外壁面の位置に設置し、前記第1架構における床構造体を奇数階または偶数階のいずれか一方の床の位置に設置するとともに、前記第2架構の床構造体を奇数階または偶数階のいずれか他方の床の位置に設置することにより、第1架構における床構造体と第2架構における床構造体を交互に積層し、前記第1架構の床構造体と前記第2架構の外周構造体との間、および前記第2架構の床構造体と前記第1架構の外周構造体との間に、それぞれダンパーを介装することが考えられる。
その場合においては、前記第1架構における外周構造体を他方向の外壁面に沿う偏平な壁柱を主体として構成するとともに、前記第2架構における外周構造体を一方向の外壁面に沿う偏平な壁柱を主体として構成し、前記第1架構および前記第2架構における床構造体を、それぞれ偏平梁を内蔵するスラブにより構成することが好ましい。
本発明の制振構造物は単一の構造物に連結制振構造を適用したので優れた制振効果が得られることはもとより、連結するべき双方の架構を外周構造体と床構造体とによる架構としたことからそれらの間に設置するダンパーおよびエキスパンションジョイントを各階の外周部に設置することが可能となり、したがって特許文献2に示される従来の連結制振構造のようにそれらを各階の中央部(コア部)に設置する必要がなく、それにより従来に比べて平面計画上の制約を受けることは少なく、また使用勝手を大きく損なうこともなく、連結制振構造を様々な用途の様々な形態の建物に対して広く適用することが可能となる。
特に、連結するべき双方の架構を水平2方向の剛性が異なる第1架構と第2架構とにより構成し、かつそれら第1架構と第2架構をいずれも壁柱を主体とする外周構造体と偏平梁を内蔵したスラブによる床構造体により構成することにより、建物全体の架構が充分に単純化されるし、各構造部材の断面を充分に節約し得て平面的および立面的なスペース効率にも優れる利点がある。
本発明の実施形態である制振構造物の概要を示す全体概略構成図である。 同、平面図である、 同、解析モデルを示す図である。 同、解析条件(固有周期)を示す図である。 同、解析条件(柱断面)を示す図である。 同、解析条件(入力地震動)を示す図である。 同、解析結果(最大応答層間変位)を示す図である。 同、解析結果(最大応答加速度)を示す図である。 同、解析結果(最大応答層せん断力)を示す図である。 同、解析結果(スラブと他系の変位)を示す図である。 本発明の他の実施形態である制振構造物の概要を示す全体概略構成図である。 同、平面図である、
図1〜図2は本発明の一実施形態である制振構造物の概略構成を示すものである。
これは10階建ての建物全体の架構を図1に示すような2つの架構、すなわち(a)に示す第1架構Aと(b)に示す第2架構Bとにより構成し、それらを同一平面内で組み合わせて同図(c)に示すような全体架構を構成するようにしている。
そして、本実施形態では、第1架構Aおよび第2架構Bの水平2方向(図示X方向およびY方向)の剛性に差をもたせることにより、それらが互いに独立に挙動して水平方向の相対振動を生じるようにし、その相対振動によって作動するダンパーC(図2参照)を第1架構Aと第2架構Bとの間に介装したものとなっている。(以下の説明では、第1架構の構成要素にはaの添字を付し、第2架構の構成要素にはbの添字を付す。)
具体的には、図1(a)に示す第1架構Aは一方向(X方向)が低剛性の柔系とされて他方向(Y方向)が高剛性の剛系とされている。つまり、X方向の水平剛性はY方向の水平剛性よりも相対的に低剛性とされている(換言すればY方向の水平剛性はX方向の水平剛性よりも相対的に高剛性とされている)。
一方、図1(b)に示す第2架構Bは一方向(X方向)が高剛性の剛系とされて他方向(Y方向)が低剛性の柔系とされている。つまり、X方向の水平剛性はY方向の水平剛性よりも相対的に高剛性とされている(換言すればY方向の水平剛性はX方向の水平剛性よりも相対的に低剛性とされている)。
なお、第1架構Aと第2架構Bのそれぞれの柔系と剛系の剛性はほぼ同等、つまり、第1架構AのX方向の剛性と第2架構BのY方向の剛性はいずれも同等の低剛性とされ、第1架構AのY方向の剛性と第2架構BのX方向の剛性はいずれも同等の高剛性とされている。
そして、上記のような水平2方向の剛性差を確保するために、本実施形態では第1架構Aおよび第2架構Bをいずれもこの建物の外周架構としての外周構造体1a、1bとこの建物の各階の床架構としての床構造体2a、2bとを一体に剛結した構成とものとされている。
すなわち、第1架構AはY方向の外壁面の位置に対向配置される2面の外壁構造体1aと、それらの間に架設されてこの建物の偶数階(2階、4階、6階、8階、10階)の床の位置に設置される床構造体2aからなる。
この第1架構Aにおける外周構造体1aはY方向に長い偏平断面形状の壁柱を主体として構成されており、これにより第1架構AではX方向に比べてY方向の水平剛性が高められたものとなっている。
なお、床構造体2aは偏平梁を内蔵してそれ自体で充分な剛性を有する版厚の大きいスラブにより構成されている。また、床構造体2aのスパンによってその鉛直荷重を中間部でも支持する必要があるような場合には、図示例のようにX方向の外壁の位置に小断面の細柱3aを適宜設置すれば良い。
一方、第2架構Bは、X方向の外壁面の位置に対向配置される2面の外壁構造体1bと、それらの間に架設されてこの建物の奇数階(設地面である1階を除く3階、5階、7階、9階、屋上階)の床の位置に設置される床構造体2bからなる。
この第2架構Bにおける外周構造体1bはX方向に長い偏平断面形状の壁柱を主体として構成されており、これにより第2架構Bでは第1架構Aとは逆にY方向に比べてX方向の水平剛性が高められたものとなっている。
なお、第1架構Aの場合と同様に床構造体2bは偏平梁を内蔵する高剛性のスラブにより構成されている。また、必要であれば図示例のようにY方向の外壁の位置に小断面の細柱3bを適宜設置して床構造体2bを支持すれば良い。
上記の第1架構Aと第2架構Bとはこの建物全体の架構の半分ずつを構成するものであり、したがって、図1(c)に示すように第1架構Aと第2架構Bとを組み合わせることによって、双方の外周構造体1a、1bによりこの建物の外周架構の全体が構成され、かつ双方の床構造体2a、2bが階高相当の間隔をおいて交互に積層されて各階の床が構成されるものとなっている。
そして、上記のように組み合わせられた第1架構Aと第2架構Bとの間に生じる相対振動を吸収するために、図2(a)に示すように偶数階の床としての第1架構Aの床構造体2aと第2架構Bの外周構造体1bとの間にはX方向に作動するダンパーCが介装され、同様に同図(b)に示すように奇数階の床としての第2架構Bの床構造体2bと第1架構Aの外周構造体1aとの間にはY方向に作動するダンパーCが介装されており、これらダンパーCによって第1架構Aと第2架構Bとの間に生じる水平2方向の相対振動が効率的に吸収されて優れた制振効果が得られるものとなっている。
以上のように、本実施形態の制振構造物は連結制振構造によるものであるので優れた制振効果が得られるものであるが、特許文献2に示される従来の連結制振構造のように中央架構と外周架構とを組み合わせるのではなく、それぞれが外周構造体1a、1bと床構造体2a、2bとにより構成された第1架構Aと第2架構Bとを組み合わせるものであることから、ダンパーCおよびエキスパンションジョイントを各階の外周部に設置することが可能となり、したがって特許文献2のようにそれらを各階の中央部(コア部)に設置する場合に比べて平面計画上の制約を受けることは少なく、また使用勝手を大きく損なうこともなく、様々な用途の様々な形態の建物に広く適用可能である。
特に、上記実施形態のように第1架構Aおよび第2架構Bをいずれも壁柱を主体とする外周構造体1a、1bと梁を内蔵した高剛性のスラブによる床構造体2a、2bとにより構成することにより、建物全体の架構を充分に単純化できるし、各構造部材の断面を充分に節約し得て平面的および立面的なスペース効率にも優れる利点がある。
以下、具体的な設計例とその性能を地震応答解析により検証する。
1.解析モデルおよびパラメータ
・建物諸元
上記実施形態の構造の建物(10階建て、階高4m、高さ40m)のX方向を対象として図3に示すようにモデル化する。各階の単位重量1ton/m2、各階面積20m×30m=600m2、各階総重量600ton、X方向の壁柱12本、壁柱1本当たりの各階重量50tonとする。
各方向の固有周期(1次〜3次)を図4に一覧として示す。
各架構の壁柱(剛系柱)および細柱(柔系柱)の柱断面を図5に一覧として示す。
柔系と剛系との間の偶数階にダンパーを設置し、その減衰係数Cを、C=0(No-Link:ダンパーなしに相当)、1kN/kine、10kN/kine、20kN/kine、50kN/kine、100kN/kine、1000kN/kine、C=∞(Rigid:剛結合に相当)の8ケースとする。
・入力地震動は告示波(K−net長岡2004EW、近距離位相)レベル2とし、その時刻歴と応答スペクトルを図6に示す。
2.解析結果
(1)層間変位
最大応答層間変位を図7に示す。ここでの層間変位は上下のスラブ間の相対水平変位であり、(a)は横軸の最大スケール1000mm、(b)は横軸を拡大して最大スケール50mmとしたものである。
柔系と剛系とをダンパーにより連結していない場合(No-Link)には上層で最大800mm以上の層間変位が生じる。これは柔系と剛系が完全に独立に振動しているので当然の結果である。
ダンパーを設置すると層間変位は小さくなり、ダンパー容量をある程度以上とすることで剛接合(Rigid)と同程度の層間変位に収斂することが分かる。
(2)応答加速度
各スラブの最大応答加速度を図8に示す。柔系と剛系とをダンパーにより連結していない場合(No-Link)には、偶数階を柔系が支持し、奇数階を剛系が支持しているので、偶数階の応答加速度小さく、奇数階の応答加速度は大きい結果となっている。
柔系と剛系をダンパーで連結することで奇数階の応答加速度は減少し、偶数階の応答加速度は増加しているが、適切なダンパー容量を設定することで剛接合(Rigid)の場合に対してかなり低減されることが分かる。
(3)最大応答層せん断力
各層の最大応答層せん断力を図9に示す。応答加速度と同様に、適切なダンパーを設定することで剛接合(Rigid)の場合に対して応答値が極めて低減されることが分かる。
(4)スラブと他系の変位
スラブと他系の変位、つまり柔系と剛系との間の相対変位を図10に示す。(a)は横軸の最大スケール1000mm、(b)は横軸を拡大して最大スケール50mmとしたものである。
ダンパーなし(No-Link)では柔系と剛系が完全に独立に振動しているが、ダンパーの設置により相互間の最大相対変位は小さくなることが分かる。したがってダンパーストロークはさして大きくならず、柔系と剛系との間に確保するべきクリアランスも小さくて済むことになる。
以上で本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでは勿論なく、たとえば以下に列挙するような変形や応用が可能である。
上記実施形態では、各架構の水平2方向の剛性に差をもたせるために、各架構の外周構造体を直交2方向の外壁面の内の一方の位置のみに設置し、かつその外周構造体を外壁面に沿う偏平な断面形状の壁柱を主体とするものとしたが、そのような架構の形態や部材断面の調整により水平2方向の剛性を調整することに代えて、あるいはそれに加えて、異種構造の組み合わせ(たとえば一方向を高剛性のCFT柱とし、他方を相対的に低剛性のRC柱とする等)や、耐震壁やブレースのような補剛要素を要所に付加することによっても、双方の架構の水平2方向の剛性に差をもたせることが可能である。
勿論、外周構造体としては上記実施形態のように偏平な壁柱を主体とすることに限らず、通常のラーメン架構によることでも良いし、あるいは外周構造体がそれ自体で外壁となるような壁構造体として形成することも可能である。
上記実施形態では直交2方向の外壁面がそれぞれ第1架構Aの外周構造体1aと第2架構Bの外周構造体1bに支持されて設置され、したがって両方向の外壁面の間には互いに直交する方向の相対変位が生じるので、必要であれば双方の外壁面の取合部(建物のコーナー部)に適宜のエキスパンションジョイントを設ければ良い。
また、上述したように必要に応じて床構造体2a、2bを支持するための細柱3a、3bを外周部に設置すれば良いし、さらに必要であれば架構内部にも中柱を設けても良いが、そのような細柱や中柱を設ける場合において他の架構との間で無視し得ない相対変位が生じる場合には、それを吸収するためのクリアランスを確保するとともにそこに必要に応じてエキスパンションジョイントや防火区画を設ければ良い。
上記実施形態では、一方の架構の床構造体を偶数階の床とし、他方の架構の床構造体を奇数階の床として双方の床構造体を完全交互に積層するようにしたが、それに限らず、双方の架構における床構造体の位置や数は任意であって、たとえば一方の架構の床構造体を上層階の床として他方の架構の床構造体を下層階の床としたり、用途別に設定した複数階のブロック単位で床構造体をいずれかの架構の要素として、床構造体を複数階単位で交互に積層することも可能である。要は、各階の床構造体が高剛性の外周構造体もしくは低剛性の外周構造体の一方にのみ剛結していれば良い。
また、床構造体としては上記実施形態のように偏平梁を内蔵する高剛性のスラブにより構成することに限らず、通常断面の梁とそれにより支持される通常厚のスラブとにより構成することでも勿論良いし、そのように各架構における床構造体の位置や数、床自体の剛性を調整することによっても、各架構の水平2方向の剛性比や質量比を調整して双方の架構の振動特性に差をもたせることが可能である。
上記実施形態では図2に示したように外周構造体を構成している全ての壁柱とそれに取り合う床構造体との間にダンパーCを設置したが、それに限らず、所要台数のダンパーを所要位置に任意に設置すれば良い。
勿論、ダンパーの形式や種類は特に限定されず、オイルダンパーや鋼材ダンパー、粘性ダンパー、粘弾性ダンパー等、任意のダンパーを採用可能である。
また、振動モードをコントロールするために、バネとダンパーを並列に設置することも効果的な場合がある。
上記実施形態では、X方向が柔系でY方向が剛系の第1架構Aと、逆にX方向が剛系でY方向が柔系の第2架構Bとを組み合わせたが、要は双方の架構が独立に挙動してそれらの間で水平方向の相対振動が生じれば良いのであって、そのためにはたとえば一方の架構を全方向で高剛性とし、他方の架構を全方向で低剛性とすることも考えられる。
その場合、一方の架構が全方向で高剛性となりかつ他方の架構が全方向で相対的に低剛性になるようにそれぞれの架構の形式やその形態、部材断面の調整等によりそれぞれの剛性を適正に設計すれば良いが、たとえば一方の架構の外周構造体を高剛性の外周柱を主体として構成してそれを建物全周に設置し、他方の架構の外周構造体は相対的に低剛性の外周柱により構成してそれを一方の架構の外周柱の間に設置することが考えられる。
勿論、この場合は双方の架構の床構造体をそれぞれの外周構造体としての外周柱に対して全周にわたって剛接合して一体に設けて、双方の床構造体を相対水平変位可能に積層した状態で設置すれば良い。
具体的には、たとえば図11〜図12に示すように、第1架構Aの外周構造体1aとしての両方向の外周柱をいずれも偏平な壁柱により構成して全方向で高剛性とし、第2架構Bの外周構造体1bとしての両方向の外周柱をいずれも細柱により構成して全方向で低剛性とすることが考えられる。
この場合、ダンパーCは、たとえば図12(b)に示すように第2架構Bの床構造体2bと第1架構Aの外周構造体1aとの間に全周にわたって設置すれば良いが、それに代えて、あるいはそれに加えて、第1架構Aの床構造体2aと第2架構Bの外周構造体1bとの間に設置することでも良い。要は、本発明では一方の架構の床構造体と他方の架構の外周構造体との間には自ずと相対振動が生じるので、それらの間に生じる相対振動の方向も考慮して効果的に作動するダンパーを最適位置に設置すれば良い。
いずれにせよ、外壁面は双方の外周構造体の間に生じる相対振動を吸収可能な状態で設置すれば良く、たとえば外壁をいずれか一方の架構の外周構造体により支持して設置して他方の架構の外周構造体に対しては構造的に絶縁しておけば良い。
上記実施形態は平面形状が矩形ないし正方形の多層建物を対象としたので、直交2方向の外壁面のいずれか一方に対応する外周構造体を有する第1架構Aと第2架構Bとの組み合わせによって建物全体の架構を構成するものとしたが、本発明は3以上の架構を任意に組み合わせてそれらの間にダンパーを構成することも可能であり、建物の平面形状や規模、構造、想定される振動モード、要求される制振性能等の諸条件を考慮して、各架構の形態やそれらの組み合わせの形態を最適に設計すれば良い。
勿論、本発明は上記実施形態のような多層建物に適用することが現実的であり最適であるが、それに限らず、外周構造体と床構造体による2以上の架構の組み合わせによって架構全体を構成できる限りにおいて様々な用途の各種の構造物に対して広く適用可能であることはいうまでもない。
A 第1架構
1a 外周構造体
2a 床構造体
3a 細柱
B 第2架構
1b 外周構造体
2b 床構造体
3b 細柱
C ダンパー

Claims (3)

  1. 建物等の単一の構造物を互いに独立に挙動して相対振動を生じる複数の架構の組み合わせにより構成し、各架構間に生じる相対振動により作動するダンパーを各架構間に介装してなる制振構造物であって、
    前記各架構のそれぞれを前記構造物の外周架構としての外周構造体と該構造物の床架構としての床構造体とを一体に剛結して構成して各架構の外周構造体をそれぞれ該構造物の外周部に設置するとともに、各架構の床構造体を上下に積層した状態でそれぞれ該構造物の床の位置に設置し、
    前記ダンパーを双方の架構の床構造体と外周構造体との間に介装してなることを特徴とする制振構造物。
  2. 請求項1記載の制振構造物であって、
    前記複数の架構を水平剛性が異なる第1架構と第2架構とにより構成して、それら第1架構と第2架構との組み合わせにより直交2方向の外壁面を有する多層階建物の全体架構を構成し、
    前記第1架構の一方向の水平剛性を他方向の水平剛性よりも相対的に低剛性として他方向の水平剛性を一方向の水平剛性よりも相対的に高剛性とし、
    前記第2架構の一方向の水平剛性を第1架構における他方向の水平剛性と同等の高剛性として他方向の水平剛性を第1架構の一方向の水平剛性と同等の低剛性とし、
    前記第1架構における外周構造体を直交2方向の外壁面のうち他方向の外壁面の位置に設置するとともに、前記第2架構における外周構造体を直交2方向の外壁面のうち一方向の外壁面の位置に設置し、
    前記第1架構における床構造体を奇数階または偶数階のいずれか一方の床の位置に設置するとともに、前記第2架構の床構造体を奇数階または偶数階のいずれか他方の床の位置に設置することにより、第1架構における床構造体と第2架構における床構造体を交互に積層し、
    前記第1架構の床構造体と前記第2架構の外周構造体との間、および前記第2架構の床構造体と前記第1架構の外周構造体との間に、それぞれダンパーを介装してなることを特徴とする制振構造物。
  3. 請求項2記載の制振構造物であって、
    前記第1架構における外周構造体を他方向の外壁面に沿う偏平な壁柱を主体として構成するとともに、前記第2架構における外周構造体を一方向の外壁面に沿う偏平な壁柱を主体として構成し、
    前記第1架構および前記第2架構における床構造体を、それぞれ偏平梁を内蔵するスラブにより構成してなることを特徴とする制振構造物。
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