JP7017823B1 - 石材構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数の石材が積み重ねられた石材構造物において、最上部に設置された石材が脱落しない耐震化構造を提供すると共に、この耐震化構造の実現に最適なアンカーボルトを提供する。【解決手段】 墓石構造物200の上台270は土台と連結ボルト41によって連結固定される。上台270の上面からは連結ボルト41の上端41Aが所定の長さ突出する。上台270の上面には穿孔283が形成される。上台270に設置される棹石280は、その下面に穿孔282と穿孔283が形成される。穿孔282には上台270の上面より突出した連結ボルト41が挿入される。上台270の穿孔273にはアンカーボルト100の第1の円筒部120側が挿入され、棹石280の穿孔283にはアンカーボルト100の第2の円筒部130側が挿入される。アンカーボルト100の六角フランジ160を回動することで、棹石280は上台270上で密着して強固に固定される。【選択図】 図4

Description

本発明は、石材構造物に関し、特に両端が拡張されるアンカーボルトを用いて固定される石材構造物に関する。
我が国では、従来より、棹石、上台、中台、段石等、複数の石材(例えば、花崗岩等の石材)が積み重ねられた大型の墓石構造物等の石材構造物が数多く建造されている。
大型の石材構造物においては、近年、地震等による石材の倒壊を防ぐための耐震化が要求されるようになった。
図16に、従来より提案されている耐震化が図られた石材構造物の一例として墓石構造物10の設置例を示す。
ここで墓石構造物10は、基礎11、上台12、棹石13が積み重ねられた構造となっている。このうち基礎11と上台12は、下端のL字部15Bが基礎11に埋め込まれ、上台12の貫通孔12Cを貫通し、上部15Aの雄ネジがナット16と螺合するL字型連結ボルト15によって互いに連結されて、強固に固定される。
また、連結ボルト15の上端15Aを上台12の上面12Aから一定の長さだけ突出させ、該上端15Aを棹石13の穿孔13Cに挿入した状態で、上台12の上面12Aと棹石13の下面13Bとの間、更には穿孔13Cに接着剤5を充填することで墓石構造物10全体の耐震化が図られる。
墓石構造物の中心部に連結ボルトを貫通させて耐震化を図ることは、例えば、登録実用新案公報(実用新案登録第3134503号:以下「引用No1」という。)によって開示されている。
また、図17に示すような地上部に腰石27を設置して納骨堂を構成することで垂直方向に高くなる大型の墓石構造物20が知られているが、このような墓石構造物20において、その耐震化を図るため、棹石23、上台22、段石21、芝石28までを穿孔23a、貫通孔22a、貫通孔21a、貫通孔28aまでを貫通する連結ボルト25とナット24a(第1連結部)で連結し、芝石28、腰石27、基礎29を、貫通孔28c、28c、貫通孔27c、27cを貫通し、L字部26B、26Bが基礎29に埋め込まれるL字型ボルト26、26とナット24b、24b(第2連結部)で連結して、石材構造物20全体の耐震化が図ることも可能である。
この場合、連結ボルト26、26は、納骨堂を構成する腰石27の壁部に設けられた貫通孔27c、27cに挿入されるが、壁に貫通孔を設け、これに連結ボルトを挿入して固定する手法は、例えば、特許第6231060号の特許公報(以下「引用No2」という。)に開示されている。
我が国の墓石構造物においては、最上段に設置される棹石23には、通常、上面から下面まで貫通する貫通孔を設けないため、棹石23の倒壊を防止するためには、図17に示すように、棹石23の下面に設けた穿孔23aに連結ボルト25の上端25Aを挿入し、かつ、上台22と棹石23との間に接着剤5を充填し、連結ボルト25と接着剤5による石材(棹石23、上台22)間の確実な固定が図られることがある。
連結ボルトと接着剤とを併用して墓石構造物(石材構造物)の耐震化を図った場合、連結ボルトの挿入による棹石の脱落防止と、接着剤による棹石と上台との接合面の接着が図られる。
実用新案登録第3134503号公報
特許第6231060号公報
しかしながら、棹石23と上台22とを、連結ボルトと接着剤とによって固定した場合、接着剤は地震等による横揺れが生じ、その接着面で一度でも剥離が生じるとその後接着剤による接着効果はなくなる。よって、その後に揺れが発生した場合、接着剤による耐震性を維持することができなくなる。また、墓石構造物は、耐用年数が相当に長いため、接着剤に経年劣化が生じ、その後に大規模な地震が発生した場合には、もはや接着剤による耐震性の向上は望めない。
このように度重なる揺れで接着剤の接着効果が弱まったり、経年劣化によりなくなった場合、上台22の上面に設置される棹石23は、単に、下面の穿孔23aに連結ボルト25の上端25Aが差し込まれただけの構造となって不安定になり、地震が発生し棹石23の横揺れが始まると、図18(a)(b)(c)に示すように、その揺れが大きくなるに従い、棹石23が倒壊する虞れが生ずる。
特に墓石構造物の大型化が図られて最上部の棹石23の位置が高くなればなるほど、地震による横揺れによる影響が大きくなるため、大型化が図られた墓石構造物での耐震化を如何に図るかが課題となる。
また、墓石構造物が密集する霊園等で大型化した墓石構造物の1つが倒壊すると、隣接する墓石構造物を倒壊させる虞れがあり、これが更に隣接する墓石構造物を倒壊させる所謂「将棋倒し」が生じることも危惧される(図18(c))。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたもので、地震等によって想定を遙かに超える揺れが石材構造物(墓石構造物)に加わった場合、特に最上部に縦長の棹石が設置された大型の墓石構造物において、棹石が上台から外れる虞れがなく、しかも隣接する墓石構造物が倒れかけてきた場合でも、所謂「将棋倒し」を防止することができる石材構造物(墓石構造物)及びこれに用いることができるアンカーボルトを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本願の第1の発明は、土台上に設置される第1の石材と該第1の石材の上面に設置される第2の石材とを含んでなる石材構造物において、前記第1の石材に上面から下面に至る1又は2以上の貫通孔が形成されると共に上面に1又は2以上の第1の穿孔が形成され、前記第2の石材の下面に前記第1の石材の前記貫通孔と対応する位置に1又は2以上の第2の穿孔が形成されると共に前記第1の石材の前記第1の穿孔と対応する位置に1又は2以上の第3の穿孔が形成され、前記第1の石材の前記貫通孔に上端が前記第1の石材の上面から突出し下端が土台に固定された連結ボルトが挿入され、前記第2の石材は前記第2の穿孔に前記第1の石材の上面から突出する前記連結ボルトの上端が挿入され、前記第1の穿孔と前記第3の穿孔に挿入された両端が拡張するアンカーボルトが装着されて前記第1の石材の上面に固定されたものである。
また、本願の第2の発明は、第1の発明において、前記第2の穿孔が、少なくとも当該第2の石材の重心の高さに至るまで形成され、前記連結ボルトが前記第1の石材の上面から前記第2の石材の重心の高さに至るまで挿入されたものである。
また、本願の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記第2の石材が縦長の直方体で形成され、前記第2の穿孔は前記第2の石材の底面対角線上に少なくとも2つ形成され、前記第1の石材の前記貫通孔は前記第2の石材の前記第2の穿孔と対応する位置に少なくとも2つ形成されたものである。
また、本願の第4の発明は、第1から第3の発明において、前記土台が、少なくとも基礎上に設置された第3の石材と、該第3の石材の上面に設置された第4の石材とを含んでなり、前記第4の石材に、前記第1の石材の前記貫通孔と対応する位置に1又は2以上の第2の貫通孔が形成されると共に1又は2以上の第3の貫通孔が形成され、前記第3の石材に、前記第4の石材の前記第3の貫通孔と対応する位置に1又は2以上の第4の貫通孔が形成され、前記第1の石材と前記第4の石材とが、前記貫通孔と前記第2の貫通孔を貫通し下端が該第4の石材に固定された前記連結ボルトで連結され、前記第3の石材と前記第4の石材とが、前記第3の貫通孔と前記第4の貫通孔を貫通し下端が前記基礎に固定された第2の連結ボルトで連結されたものである。
また、本願の第5の発明は、第1から第4の発明において、アンカーボルトを、一端に頭部が形成され、他端に前記頭部より小さい径の雄ネジが形成され、中間に前記頭部より小さい径の回動部が形成されたボルト本体と、軸芯に形成された中空部に、前記頭部によって脱落しないように前記ボルト本体が挿入されて前記ボルト本体と空転可能な第1の駒部材と、筒状に形成され、一方の開口部が拡張可能で、かつ、該拡張可能な開口部の内側に前記第1の駒部材が位置するように前記ボルト本体と空転可能に挿入され、他方の開口部の側から前記頭部に向かって打ち込まれることで前記ボルト本体と空転可能なまま前記一方の開口部が前記第1の駒部材の形状に応じて拡張される第1の筒部と、拡張可能な一方の開口部が前記雄ネジ側となるように、かつ、他方の開口部が前記第1の筒部の側となるように前記ボルト本体に挿入される第2の筒部と、軸芯に形成された中空部の内壁に雌ネジが形成され、前記第2の筒部の前記拡張可能な一方の開口部の内側に位置するように前記中空部に前記ボルト本体が挿入されると共に前記雌ネジが前記ボルト本体の前記雄ネジと螺合される第2の駒部材とからなり、前記雄ネジが前記雌ネジと螺合する状態でボルト本体の前記回動部が回動することで、前記第2の駒部材が前記頭部に向かって移動し、もって前記第2の筒部の前記一方の開口部が前記第2の駒部材の形状に応じて拡張されるものとした。
本願の第1の発明によれば、土台の上に第1の石材、第2の石材が積み重ねられた石材構造物において、第1の石材と第2の石材が、第1の石材の上面に突出した連結ボルトを第2の石材の穿孔に挿入して嵌め込むことで固定され、更に、第2の石材が該第2の石材の第3の穿孔と前記第1の石材の第1の穿孔に嵌め込まれた、2以上のアンカーボルトによって強固に固定できる。
また、本願の第2の発明によれば、連結ボルトの上端が、第2の石材の重心に至る位置まで挿入されるので、第2の石材を第1の石材の上に設置した際、特にその横揺れに対して、第2の石材の落下防止の効果を十分に発揮できる。
また、本願の第3の発明によれば、縦長の直方体である前記第2の石材の底面対角線上に2つの穿孔が形成され、前記第1の石材の前記第2の貫通孔が前記2つの穿孔と対応する位置に2つ形成されているため、第2の石材の強度を保持しつつ、第2の石材が揺れて該第2の石材の縦の辺、又は、横の辺の何れの辺に沿って倒れかかっても倒れ難くなる。これは、2つの第2の穿孔を例えば第2の石材の縦の辺に平行に並べて形成すると横方向の揺れに弱くなり、横の辺に平行に並べて形成すると縦方向の揺れに弱くなるからであり、連結ボルトを対角線上に配置だけで揺れに強い構造にすることができる。
また、本願の第4の発明によれば、前記土台を第3、第4の石材を重ねたものとし、その垂直方向が高くなっても、連結ボルト、アンカーボルト、第2の連結ボルトによって石材構造物の優れた耐震化を実現することができる。
また、本願の第5の発明によれば、第1の石材と第2の石材とを固定する作業を単純かすることで作業時間の短縮化が図られる。また、アンカーボルトの構造が単純であるため、下方に位置する第1の石材側に第1の筒部側を挿入して固定することで、石材構造物全体として、その下方側での安定した積み重ねが可能になる。
本発明に係るアンカーボルト100の全体構成を示す分解斜視図である。 アンカーボルト100の組み立ての手順を示す説明図である。 アンカーボルト100により第1の対象物(上台270)と第2の対象物(棹石280)とを強固に密着固定する手順を示す説明図である。 墓石構造物(石材構造物)200の構造を示す断面図である。 墓石構造物200における第1連結部40と第2連結部50の位置関係を示す斜視図である。 段石250、中台260、上台270、棹石280の位置関係を示す平面図である。 基礎地盤201上に芝石240までを設置する手順を示す斜視図である。 芝石240上に中台260までを設置する手順を示す斜視図である。 中台260上に上台270を設置する手順を示す斜視図である。 上台270上に棹石280を設置する手順を示す斜視図である。 墓石構造物200の耐震性能評価実験の様子を示す説明図である。 重錘を墓石構造物200に水平方向1m離れた位置から衝突させた際の実験データを示すグラフである。 重錘を墓石構造物200に水平方向2m離れた位置から衝突させた際の実験データを示すグラフである。 重錘を墓石構造物200に水平方向3m離れた位置から衝突させた際の実験データを示すグラフである。 重錘を墓石構造物200に水平方向4m離れた位置から衝突させた際の実験データを示すグラフである。 従来の墓石構造物10における連結ボルトを用いた耐震構造を示す説明図である。 従来の墓石構造物20における連結ボルトを用いた耐震構造を示す説明図である。 従来の墓石構造物20に揺れが生じた場合の棹石23の倒壊の様子を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の墓石構造物(石材構造物)等の石材間の固定に用いられるアンカーボルト100を示す斜視図である。
アンカーボルト100は、ボルト本体110と、第1の円筒部(第1の筒部)120、第2の円筒部(第2の筒部)130と、アンカーボルト100の中心から外側に向かって広がるテーパー状の第1の駒部材140、同じくアンカーボルト100の中心から外側に向かって広がるテーパー状の第2の駒部材150と、六角フランジ160とによって構成されている。
このうちボルト本体110は、一端に頭部111が形成され、他端に雄ネジ113が形成され、その中間に回動部112が形成されている。
前記頭部111の外周の径は、少なくとも、回動部112や雄ネジ113より大きく形成され、ボルト本体110に第1の駒部材140が装着された時に、この頭部111がストッパーとして機能し、第1の駒部材140がボルト本体110から脱落しないようになっている。
また、回動部112の断面形状は、ボルト本体110に六角フランジ160が挿入された際、その外周が、六角フランジ160の内壁面(多角形)と嵌合するように多角形(この実施の形態では、六角フランジ160の内壁面、回動部112の断面共に六角形)となっている。また、回動部112はボルト本体110の頭部111側の径より小さく、かつ、雄ネジ113側の径より大きくなっており、六角フランジ160の挿入に際して、雌ネジ113側から挿入され、ボルト本体110の頭部111側の段差で止められる構造となっている。
六角フランジ160は、上述のように雄ネジ113側からボルト本体110の回動部112に挿入され、回動部では軸方向に摺動自在になり、前記段差で止まる。この六角フランジ160を回動することで、ボルト本体110が回動する。六角フランジ160をボルト本体110の軸方向に摺動自在とするのは、六角フランジ160を、ボルト本体110の軸方向最適位置で回動可能とするためである。
第1の駒部材140は、軸芯に中空部140Aが形成され、外形はボルト本体110の中心から外側に向かって広がるテーパー状となっている。
第1の駒部材140の中空部140Aの内径は、前記ボルト本体110が挿入された際、第1の駒部材140とボルト本体110とが相対的に回転するように、ボルト本体110の外径より大きくなっている。一方で、中空部の140Aの内径は前記頭部111の外径より小さく、これによりボルト本体110から脱落しないようになっている。
第1の円筒部(第1の筒部)120は中空の筒状であり、本体には一方の開口部120A側からスリット121、121…が切り込まれている。
第1の円筒部120は、その内部に前記第1の駒部材140が挿入され、この状態で、該第1の円筒部120がボルト本体110の頭部110A側に押しやられると第1の駒部材140の形状に沿ってスリット121、121、…が広がって開口部120A側が拡張する。
アンカーボルト100の使用時、第1の円筒部120側は、第1の対象物(この実施形態では、上台270)に設けられた穿孔(上台270の穿孔273、273)に挿入され、第1の円筒部120が頭部111側に押しやられることで、拡張した第1の円筒部120のが穿孔(穿孔273、273)をグリップし、アンカーボルト100の一端側(第1の円筒部120側)が穿孔内で固定される。
なお、第1の円筒部120には位置決め用突起123、123が形成され、この突起123、123により、使用時に第1の円筒部120が第1の対象物(上台270)に対して回転しないようになっている。なお、第1の円筒部120の頭部111側への移動は、打込み棒30等によって行われる(図3参照)。
第2の円筒部(第2の筒部)130も、第1の円筒部120と同様に、中空の筒状であり、本体には一方の開口部130A側からスリット131、131、132、132が切り込まれて拡張可能となっている。
このうちスリット132には、第2の駒部材150の案内用突起153が嵌合され、第2の駒部材150を第2の円筒部130内で案内する案内孔としても機能する。
この第2の円筒部130は、他方の開口部130Bが、前記第1の円筒部120側となるようにボルト本体110に挿入される(図1、図2(2))。
第2の駒部材150は、前記第1の駒部材140と同様に、軸芯に中空部150Aが形成され、外形はボルト本体110の中心から外側に向かって広がるテーパー状となっている。
第2の駒部材150の中空部150Aには雌ネジ152が形成され、該第2の駒部材150が前記ボルト本体110に挿入されたときに、ボルト本体110側の雄ネジ113と螺合するようになっている。
この第2の駒部材150には案内用突起153、153が設けられ、この案内用突起153,153が、スリット132内で案内されることで、第2の駒部材150は、ボルト本体110が回動されたときでも、第2の円筒部130に対して回動することなく、ボルト本体110の軸方向中心側に移動する。
第2の駒部材150の中空部150Aに前記ボルト本体110が挿入され、該ボルト本体110が回動と、雄ネジ113と雌ネジ152が螺合されているため、第2の駒部材150がボルト本体110の軸方向に沿って頭部111側に移動し、第2の円筒部130内部に食い込む。このとき、第2の円筒部130は、一方の端部130Aが第2の駒部材150の形状に沿って拡張する。
アンカーボルト100の使用時、第2の円筒部130側は、第2の対象物(この実施形態では、図4の棹石280)の穿孔に挿入され、ボルト本体110の回動によって、第2の円筒部130が拡張し、穿孔の内壁をグリップする。
なお、第2の円筒部130にも位置決め用突起133が形成され、使用時に、この突起133が第2の対象物(棹石280)側の凹部(図示省略)に嵌合されて、第2の円筒部130が第2の対象物に対して回転しないようになっている。
このようにアンカーボルト100は、使用時、第1の円筒部120が第1の対象物(上台270)の穿孔内に打込み棒30等による簡易な打ち込み作業により固定され(穿孔内で第1の駒部材140の形状に沿って拡張される。)、また、第2の円筒部130は、第2の対象物(棹石280)の穿孔に挿入された状態で六角フランジ160を回動することによって、第2の円筒部130が、該第2の駒部材150の形状に沿って前記穿孔内で拡張されて固定される。この状態で、更にボルト本体110を回動すると第2の対象物が、第1の対象物の側に引き寄せられて、2つの対象物が密着した状態で固定される。
次に、アンカーボルト100の組み立の手順を図2、このアンカーボルト100を用いて第1、第2の対象物(上台270、棹石280)を互いに引き寄せて固定する手順を図3を用いて説明する。ここではアンカーボルト100は、第1の円筒部120側が上台270の穿孔273に、第2の円筒部13側が棹石280の穿孔283に挿入される。
アンカーボルト100は、予め、ボルト本体110に、第1の駒部材140、第1の円筒部120が挿入され(図2(1))、この状態で、第1の対象物(上台270)の穿孔273に挿入される(図3(A))。
穿孔273内に挿入された状態のアンカーボルト100の第1の円筒部120を打込み棒30で打ち込むと(図3(B))、第1の円筒部120の端部120Aが拡張し、穿孔273内で固定される(図3(C))。
第1の円筒部120が穿孔273内部に固定された状態で、ボルト本体110に六角フランジ160、第2の円筒部130、第2の駒部材150が、順次、挿入される(図2(2)、図3(D))。このとき第2の駒部材150は、その雌ネジ152がボルト本体110の雄ネジ113と螺合する(図2(3)、図3(E))。
アンカーボルト100の第1の円筒部120側が穿孔273に固定された状態で、第2の円筒部130側が棹石280の穿孔283内に挿入される(図3(E))。
このとき上台270の上面と棹石280の下面との間には、目地棒4、4によって所定間隔の隙間(6mm)が設けられる(図3(F))。
目地棒4、4によって隙間を設けることで、スパナ等による六角フランジ160の回動が可能になり、ボルト本体110を回動することができる。
ボルト本体110を回動させると、該ボルト本体110の雄ネジ113と第2の駒部材150の雌ネジ152の螺合により、第2の円筒部130内部に挿入された第2の駒部材150は、ボルト本体110の頭部111側に引き寄せられ、該第2の円筒部130の端部130A側が拡張する(図2(4)、図3(G))。
六角フランジ160による回動に伴う第2の円筒部130の拡張で、該第2の円筒部130の端部130Aが、棹石280の穿孔283の内面をグリップするが、この状態で、更に六角フランジ160を回動すると、第2の円筒部130の端部130Aが棹石280の穿孔283をグリップしたまま、第2の駒部材150が更に図3(G)の下方向に引き寄せられ、結果、棹石280も上台270側に引き寄せられ、上台270と棹石280とが強固にかつ(目地棒4を挟んで)密着して固定される。
この結果、上台270と棹石280との連結に所謂「遊び」が生じることがなくなるため、地震による震動が生じた場合でも、この「遊び」に由来する僅かな揺れやひずみも防止され、振動によるストレスがなくなって、墓石構造物の耐震性が向上する。
特に、第1の対象物(上台270)と第2の対象物(棹石280)との間に補完的に接着剤を充填する場合には、2つの対象物の間に揺れによる僅かなひずみも生じないため、接着剤にストレスがかからなくなり、当該接着効果が低下することを防ぐことができる。
次に、棹石280と上台270とを、2本の連結ボルト41、と2つのアンカーボルト100、100とで強固にかつ密着して固定した墓石構造物(石材構造物)200の構造及びその組み立ての手順を、図4~図10を用いて説明する。
図4、図5に示すように、墓石構造物200は、基礎地盤201上に設けられたコンクリート基礎210に、根石220、腰石(第3の石材)230、芝石(第4の石材)240、段石250、中台260、上台(第1の石材)270、棹石(第2の石材)280が多段重ねられた大型の墓石構造物(石材構造物)である。なお。この実施の形態では、上台(第1の石材)270が設置される「土台」は、中台260より下側の石材(特に、芝石240、腰石230)によって構成されている。
図6は、墓石構造物200のうち段石250、中台260、上台270、棹石280の位置関係を示す平面図である。
中台260、上台270、棹石280は、その中心が同軸上に、かつ、互いの4つの辺が平行となるように設置される。これら中台260、上台270、棹石280は、段石250に対しては、墓石構造物200の背面側(図6中、上方)に偏って設置され、前面側に香炉291、水鉢293が設置される。
なお、図6中、一点鎖線は、上台270の上面での棹石280の設置位置を示す。
墓石構造物200では、芝石240から棹石280までは、第1連結部40によって固定され(図4、図5)、コンクリート基礎210から芝石240までは、第2連結部(図4、図5)50によって固定されている。
図7には、基礎地盤201上にコンクリート基礎210、根石220、腰石230、芝石240を設置する様子を示す。
同図に示すように、コンクリート基礎210には、3本のステンレス製L字型連結ボルト(第2の連結ボルト)51、51、51の下端のL字部分が埋め込まれ、垂直方向に立てられる。
一方で、L字型連結ボルト51、51、51は、根石220に形成された3つの貫通孔221、221、221、腰石230の壁面に形成された3つの貫通孔231、231、231、芝石240に形成された3つの貫通孔241、241、241を貫通した状態で、その上端51A、51A、51Aの雄ネジにナット52、52、52が螺合されて固定される(図7、図8)。
なお、芝石240の上面240Aから突出したL字型連結ボルト51、51、51の上端51A、51A、51Aは、段石250の下面250Bに形成された凹部251、251内に収容される。また、芝石240には2つの貫通孔242、242が設けられている(図7)。
図8、図9には、芝石240の上面240Aに、段石250、中台260、上台270を設置する様子を示す。
芝石240の上面240Aに設置される段石250、中台260、上台270には、芝石240の貫通孔242、242と対応する位置に、各々、貫通孔252、252、貫通孔262、262(以上、図8)、貫通孔272、272(図9)が形成されている。
芝石240、段石250、中台260、上台270には、各々に形成された貫通孔242、242、貫通孔252、252、貫通孔262、262、貫通孔272、272を貫通する2本のステンレス製の連結ボルト(第2の連結ボルト)41、41が連通する。
このとき連結ボルト41,41の上端41A、41Aにはナット43、43が螺合され、下端41B、41Bにはナット42、42が螺合されて、芝石240、段石250、中台260、上台270が連結ボルト41によって互いに強固に固定される(図8、図9)。
なお、連結ボルト41、41は、固定時に、その上端41A、41Aが、上台270の上面270Aから棹石280の1/2に至る高さとなるように全長が決められている(図10)。
図10には、L字型連結ボルト41によって土台(腰石230、芝石240)に、段石250、中台260を介して上台270を設置し、該上台270の上に棹石280を設置する様子を示す。
上台270の上面270Aに設置される棹石280には、その下面280Aに穿孔(第2の穿孔)282、282が設けられ(図6参照)、設置時、前記連結ボルト41、41の上端41A、41Aが、これら穿孔282、282に挿入される。
また、棹石280の設置の際には、上台270の上面270Aに設けられた穿孔(第1の穿孔)273、273(図6参照)に予めアンカーボルト100の一方の端部(第1の円筒部120側)が挿入される(図3参照)。
棹石280を設置するに際しては、棹石280の下面280Aに形成された穿孔(第2の穿孔)282、282と連結ボルト41、41との位置合わせ、及び、下面280Aに形成された穿孔(第3の穿孔)283、283とアンカーボルト100の第2の円筒部130側との位置合わせが行われる(図3、図6、図10)。
この墓石構造物200では、連結ボルト41を含む第1連結部40によって芝石240から棹石280までが固定され、L字型連結ボルト(第2の連結ボルト)51を含む第2連結部50によって芝石240からコンクリート基礎210までが固定されている(図4)。
棹石280の下面280Aに形成された2つの穿孔(第2の穿孔)282、282は、少なくとも棹石280の1/2の高さ(重心の位置)まで形成されている。
これら芝石240、段石250、中台260、上台270及び棹石280は、2つの連結ボルト(第1の連結ボルト)41、41と4つのナット42、42、43、43からなる第1連結部40によって連結されている。
棹石280の穿孔(第2の穿孔)282を該棹石280の重心の位置(高さの1/2)に至るまで形成することで、連結ボルト51、51の上端51A、51Aを棹石280の重心に至る深さまで挿入でき、この結果、地震等により大きな揺れが生じた場合でも、連結ボルト51、51が棹石280の穿孔282、282奥深く挿入されている分、脱落し難くなる。
ここで棹石280は、縦長の直方体であり、前記2つの穿孔(第2の穿孔)282、282は、棹石280の底面の対角線上に、一定距離(d1)隔てて形成される(図6参照)。
このように2つの穿孔282、282を底面の対角線上に形成することにより、この穿孔282、282に挿入される2本の連結ボルト41が直方体の棹石280の対角線上となるため、横揺れがあっても倒壊し難くなる。
これは直方体の物体に横揺れが生じた場合、直方体は、その底面の4つの辺の何れかを軸として傾きやすくなるからである。
仮に、穿孔282、282を、図6中、水平方向に並べて形成すると、揺れが図中、上下方向に生ずるとこの方向の揺れに弱くなる。反対に、穿孔282、282を、図6中、上下方向に並べて形成すると、揺れが図中、左右の方向に生ずるとこの方向の揺れに弱くなる。その点、穿孔282、282を底面の対角線上に形成すると、上下左右、何れの方向に揺れても、棹石280は揺れに強くなり、脱落し難くなる。
棹石280の下面の穿孔(第3の穿孔)283、283は、底面の4つの辺のうち対応する2つの辺から等距離(d2)奥まった位置に形成される(図6参照)。
この穿孔283、283が形成される位置は、棹石280の強度の低下を招かない位置であって、かつ、アンカーボルト100の六角フランジ160の回動作業がし易い、最適な位置(底面の辺から50~60mm)に形成される。
2本のアンカーボルト100、100の一方の端部(第1の円筒部120側)を打込み棒30で打ち込んで上台270の穿孔273内で固定し、棹石280を上台270上に載せた後、六角フランジ160でボルト本体110、110を回動させることで、他方の端部(第2の円筒部130側)を棹石280の穿孔283内で固定することができる。
更に、この状態で、六角フランジ160を回動させると、棹石280が上台270側に引き寄せられて、棹石280と上台270が強固にかつ密着して固定される。
〔実施例〕
本件出願人は、本発明を実際の墓石構造物(石材としては、花崗岩を使用)に適用し、その効果を実証した。
この実施例で用いるアンカーボルトの寸法は、ボルト本体の軸方向の長さが約85mm、回動部の長さが約25mm、可動部の対辺が約8mmとなっている。
また、第1、第2の円筒部は、長さが約32mm、外径が約13.5mm、内径が約10.5mm、スリットは幅約1mm、長さ23mm、案内孔を兼ねたスリットは幅2.2mm、長さ23mmである。
第1、第2の駒部材は、外側の外径が約13.5mm、中心側の外径が約10mmである。
また、六角形フランジは、内径の対辺が約8mm、外径の対辺が約17mm、厚さが約4.5mmである。
墓石構造物200を構成する各石材の寸法は、以下の通りである。
根石220は、幅210mm、長さ684mm、高さ120mmの縦長の石材を4つ組み合わされたものである。
腰石230は、縦×横が150mm×150mm、高さ400mmの4つの柱部と、その間に組み込まれた奥行き×幅が110mm×528mm、高さ400mmの3つの壁部と、前面開口を覆う扉部とからなる。
芝石240は、縦×横が900mm×900mm、高さ120mm、段石250は、奥行き×横が790mm×720mm、高さ120mm、中台260は、縦×横が540mm×540mm、高さ300mm、上台270は、縦×横が390mm×390mm、高さ270mmである。
また、最上部の棹石280は、縦×横が240mm×240mm、高さが600mmである。
ここで棹石280の穿孔(第2の穿孔)282、282は、棹石280の対角線(339.4mm)上でd1=126.5mm隔てて形成されており、その径は40mmで、深さが300mmである。
また、穿孔(第3の穿孔)283、283は、棹石280の側面から50mm~60mm程度奥まった位置に形成される。また、穿孔(第3の穿孔)283.283の深さと径は、アンカーボルト100の上端側(第2の円筒部130側)が挿入可能な大きさ(径が16.5mm、深さ620mm)に形成される。
芝石240に形成される貫通孔242、242、段石250に形成される貫通孔252、252、中台260に形成される貫通孔262、262、上台270に形成される貫通孔272、272は、全て、その内径が40mmである。
これら貫通孔242、242、貫通孔252、252、貫通孔262、262、貫通孔272、272を貫通する連結ボルト41は、ステンレス製で、太さが20mm、長さが約1110mmである。
この長さは、連結ボルト41の上端41Aが、上台270の上面より300mm程度突出する値となっている。
一方、根石220の3つの貫通孔221、221、221、腰石230の壁面の貫通孔231、231、231、芝石240の貫通孔241、241、241も、全て、その内径が40mmとなっている。
これら貫通孔221、221、貫通孔231、231、貫通孔241、241を貫通するステンレス製の連結ボルト(第2の連結ボルト)51も、太さが20mmである。
なお、第2の連結ボルト51の長さはその上端51Aが、段石250の下面250Aに形成された凹部251、251、251内に収まる長さとなっている。
〔耐震性能評価実験〕
次に、図11~図15を用いて、上記実施例の墓石構造物200がどの程度の衝撃に耐えられるかを実際に実験により確認した結果を説明する(耐震性能評価実験)。
図11は、高さ約2mの墓石構造物200に対して行った石材構造物の様子を示す図である。
この耐震性能評価実験では、同図に示すように、墓石構造物200の棹石280の略中心部(地上1.7m程度)に所定質量の重錘(質量187kg)の重錘を一定の高さ(ここでは約4mの高さ)から振り下ろしてその衝撃度を測定した。
耐震性能評価実験では、重錘の水平方向の振り幅に着目し、墓石構造物200の衝突面からの距離が水平方向に1m、2m、3m、4mとなるように重錘を静止させ、これらの位置から解き放ち(リリース)、棹石280に衝突したときの衝撃度(加速度)を棹石280に設置した加速度センサーACC1で検出した。
また、その衝撃が加わった際、墓石構造物200の各接合面(特に棹石280と上台270との間)に亀裂が生ずるか否かを目視した。
重錘のリリース位置からの水平距離と、そのときの衝撃度との関係を図12(1mからリリース)、図13(2mからリリース)、図14(3mからリリース)、図15(4mからリリース)に示す。
重錘を衝突面から水平方向1m離れた位置からリリースしたときの衝撃度は、加速度センサーACC1の値(図12)から、その最大値が6000Galであることが分かった。このとき亀裂は生じなかった。
重錘を衝突面から水平方向2m離れた位置からリリースしたときの衝撃度は、加速度センサーACC1の値(図13)から、その最大値が20000Gal超であることが分かった。このときも亀裂は生じなかった。
重錘を衝突面から水平方向3m離れた位置からリリースしたときの衝撃度は、加速度センサーACC1の値(図14)から、その最大値が略40000Galであることが分かった。このときも亀裂は生じなかった。
重錘を衝突面から水平方向4m離れた位置からリリースしたときの衝撃度は、加速度センサーACC1の値(図15(a))から、その最大値が、検出限界(40000Gal)を超えたことが分かった。
この水平方向4m離れた位置からのリリースにより、上台270と棹石280との間に亀裂が生じたことが目視できた。この僅かな亀裂が生じた状態で耐震性がどの程度残っているかを引き続き実験で確認した(図15(b)(c))。
棹石280と上台270との接合面の亀裂により衝撃が吸収されたものの、2回目の衝突実験での衝撃度は1回目と同様、検出限界(40000Gal)程度の衝撃に耐えられることが分かった。
3回目の衝突実験では、2回目で亀裂が拡大したと考えられ、その分、衝撃が吸収されたが墓石構造物200は、依然、35000Gal程度の衝撃に耐えた。
本発明が適用された実施例の墓石構造物200では、
(a)2本のステンレス製の連結ボルト41が、棹石280の重心の位置まで挿入され、
(b)上台270の穿孔273と、棹石280の穿孔283にそれぞれ挿入されたアンカーボルト100によって上台270と棹石280とが固定されているので、最上部の棹石280が脱落しない構造でしかも上台270と棹石280とが強固に密着して固定されて墓石構造物200全体としての耐震化が図られている。
以上説明したように、本実施態様の墓石構造物200では、特に最上部に設置される棹石280が、その下側の上台270と2本の連結ボルト41と2つのアンカーボルト100とからなる第1連結部40によって固定され、連結ボルト41が棹石280の重心に至るように、穿孔282に十分深く挿入されているので、大きな横揺れが生じても棹石280が上台270の上面270Aから脱落することがない。
また、棹石280と上台270との間が、2つのアンカーボルト100、100で強固に密着して固定されているので、地震の揺れが加わっても、上台270と棹石280との間は微動すらしない。
このため墓石構造物200は、大規模な地震によって倒壊する虞れがなくなるだけでなく、隣接する石材構造物が倒れかかってきても、その衝撃に十分に耐え、所謂「将棋倒し」を防止することができる。
また、地震が繰り返し生じて、墓石構造物200に微動が繰り返されても、上台270と棹石280との接合面には、ストレスが生じることかく、この部分での疲労がなくなり、長期に亘って強固で密着した連結が維持できる。
また、本実施例のアンカーボルト100は、第1の円筒部120側の拡張が、打込み棒によって穿孔(上台270の穿孔273)内に打ち込むだけで簡単に固定できるため、作業の手間を省くことができる。また、第2の円筒部130側の拡張を六角フランジ160をスパナによって回動して締め込む構成となっているため、第1の円筒部120側が上台270側に既に打ち込まれた状態で、棹石280の穿孔283に挿入された第2の円筒部130を該穿孔283内に締め込んで固定し、更に、締め込みを続けると、棹石280が上台270側に引き寄せられるため、上台270と棹石280との強固で密着した固定が、簡易な作業で実現できる。
また、第1の円筒部120側を打込み棒30で打ち付けるだけで固定できる簡単な構造であるため、アンカーボルト100自体の構造が単純化され、複雑な形状の部品の点数を減らすことで、アンカーボルト100自体の製造コストを抑えることもできる。
なお、上記した実施の形態では、墓石構造物200の棹石280と上台270とを、連結ボルト41とアンカーボルト100とで固定した例について説明したが、更に棹石280と上台270との間に接着剤を追加して更なる耐震化を図ってもよい。この場合、上台270と棹石280が密着して固定されているので、地震等があっても、この接合部が微動すらしないため、接着剤にストレスがかからず、接着剤による接着効果も向上する。
また、この実施の形態では、第1の石材(中台260)と、土台を構成する第4の石材(芝台240)との間に段石250、中台260を配置した例を示したが、これを設けず、直接、第4の石材の上に第1の石材を設置してもよい。
また、第3の石材(腰石230)と、第4の石材(芝石240)との間に、貫通孔を形成した他の石材を配置し、貫通孔に第2の連結ボルトを挿通して固定してもよい。
また、第4の石材(芝石240)とコンクリート基礎210との間に、貫通孔を形成した他の石材を配置し、貫通孔に第2の連結ボルトを挿通して固定してもよい。
また、この実施の形態では、第1連結部を2本の連結ボルトと2つのアンカーボルトで構成した例を示したが、連結ボルトとアンカーボルトとを併用するのであれば、各々の数を変えても、従来に比べて、墓石構造物200の耐震性能を高められるのは勿論である。
なお、アンカーボルト100を用いて固定する手法は、墓石構造物、さらには墓石以外の石材の構造物における石材の固定のみならず、コンクリートと石材、コンクリート同士の接合にも利用可能である。
さらに、2つの接合面に取付孔(穿孔)が形成可能であれば、他の如何なる材質、例えば木材やプラスティックの接合にも本発明を利用できる。
40 第1連結部
41 連結ボルト
42 ナット
50 第2連結部
51 L字型連結ボルト(第2の連結ボルト)
52 ナット
100 アンカーボルト
110 ボルト本体
111 頭部
112 回動部
113 雄ネジ
120 第1の円筒部(第1の筒部)
130 第2の円筒部(第2の筒部)
140 第1の駒部材
150 第2の駒部材
152 雌ネジ
160 六角フランジ
200 墓石構造物(石材構造物)
210 コンクリート基礎
220 根石
230 腰石(第3の石材)
231 貫通孔(第4の貫通孔)
240 芝石(第4の石材)
241 貫通孔(第3の貫通孔)
242 貫通孔(第2の貫通孔)
250 段石
260 中台
270 上台(第1の石材)
272 貫通孔(第1の貫通孔)
273 穿孔(第1の穿孔)
280 棹石(第2の石材)
282 穿孔(第2の穿孔)
283 穿孔(第3の穿孔)

Claims (5)

  1. 土台上に設置される第1の石材と、該第1の石材の上面に設置される第2の石材とを含んでなる石材構造物において、
    前記第1の石材には、上面から下面に至る1又は2以上の貫通孔が形成されると共に上面に1又は2以上の第1の穿孔が形成され、
    前記第2の石材の下面には、前記第1の石材の前記貫通孔と対応する位置に1又は2以上の第2の穿孔が形成されると共に前記第1の石材の前記第1の穿孔と対応する位置に1又は2以上の第3の穿孔が形成され、
    前記第1の石材の前記貫通孔には、上端が前記第1の石材の上面から突出し下端が土台に固定された連結ボルトが挿入され、
    前記第2の石材は、前記第2の穿孔に前記第1の石材の上面から突出する前記連結ボルトの上端が挿入され、
    前記第1の石材の第1の穿孔と前記第2の石材の前記第3の穿孔に、回動部の回動により両端が拡張するアンカーボルトであって両端が拡張した後の前記回動部の回動により両端が互いに引き付けられる構造のアンカーボルトが装着されて前記第2の石材が前記第1の石材の上面に密着して固定されていることを特徴とする石材構造物。
  2. 前記第2の穿孔は、少なくとも当該第2の石材の重心の高さに至るまで形成され、前記連結ボルトは、前記第1の石材の上面から前記第2の石材の重心の高さに至るまで挿入されることを特徴とする請求項1に記載の石材構造物。
  3. 前記第2の石材は縦長の直方体で形成され、
    前記第2の穿孔は、前記第2の石材の底面対角線上に少なくとも2つ形成され、
    前記第1の石材の前記貫通孔は、前記第2の石材の前記第2の穿孔と対応する位置に少なくとも2つ形成され、前記第3の穿孔は前記対角線から離れた位置に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の石材構造物。
  4. 前記土台は、少なくとも基礎上に設置された第3の石材と、該第3の石材の上面に設置された第4の石材とを含んでなり、
    前記第4の石材には、前記第1の石材の前記貫通孔と対応する位置に1又は2以上の第2の貫通孔が形成されると共に1又は2以上の第3の貫通孔が形成され、
    前記第3の石材には、前記第4の石材の前記第3の貫通孔と対応する位置に1又は2以上の第4の貫通孔が形成され、
    前記第1の石材と前記第4の石材とが、前記貫通孔と前記第2の貫通孔を貫通し下端が該第4の石材に固定された前記連結ボルトで連結され、
    前記第3の石材と前記第4の石材とが、前記第3の貫通孔と前記第4の貫通孔を貫通し下端が前記基礎に固定された第2の連結ボルトで連結されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の石材構造物。
  5. 請求項1から請求項4に記載のアンカーボルトは、
    一端に頭部が形成され、他端に前記頭部より小さい径の雄ネジが形成され、中間に前記頭部より小さい径の回動部が形成されたボルト本体と、
    軸芯に形成された中空部に、前記頭部によって脱落しないように前記ボルト本体が挿入されて前記ボルト本体と空転可能な第1の駒部材と、
    筒状に形成され、一方の開口部が拡張可能で、かつ、該拡張可能な開口部の内側に前記第1の駒部材が位置するように前記ボルト本体と空転可能に挿入され、他方の開口部の側から前記頭部に向かって打ち込まれることで前記ボルト本体と空転可能なまま前記一方の開口部が前記第1の駒部材の形状に応じて拡張される第1の筒部と、
    拡張可能な一方の開口部が前記雄ネジ側となるように、かつ、他方の開口部が前記第1の筒部の側となるように前記ボルト本体に挿入される第2の筒部と、
    軸芯に形成された中空部の内壁に雌ネジが形成され、前記第2の筒部の前記拡張可能な一方の開口部の内側に位置するように前記中空部に前記ボルト本体が挿入されると共に前記雌ネジが前記ボルト本体の前記雄ネジと螺合される第2の駒部材とからなり、
    前記雄ネジが前記雌ネジと螺合する状態でボルト本体の前記回動部が回動することで、前記第2の駒部材が前記頭部に向かって移動し、もって前記第2の筒部の前記一方の開口部が前記第2の駒部材の形状に応じて拡張されることを特徴とする石材構造物。
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