JP2005061096A - 拡張アンカーおよびコンクリート母材の補修方法 - Google Patents

拡張アンカーおよびコンクリート母材の補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 複数のコンクリート躯体間をより強固かつ確実に接合できる拡張アンカーおよびコンクリート母材の補修方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 中空筒状に形成され、各端11a,11bから長手方向に延びるスリット14,15,16を有する拡開スリーブ11の一端11bに、該拡開スリーブ11への装着側に向かって先細りとなったテーパ部19aを外周に有する拡開コーン19が装着されるとともに、前記拡開スリーブ11の他端11aに、該拡開スリーブ11に向かって先細りとなったテーパ部18aを外周に有する中空筒状のコーン状パイプ部材18が、打ち込みによって破断される薄肉部17を介して連結された拡張アンカー1を用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、拡張アンカーおよび拡張アンカーを用いたコンクリート母材の補修方法に関する。
地下トンネル内等に構築された鉄道線路において、コンクリート路盤の上に道床を構築し、この道床の上にレールと枕木とを配置して、軌道を敷設したものがある。このような鉄道線路は、長年の使用を経ると、電車の振動や地震、コンクリートの老巧化等によって道床が路盤から分離して浮き上がり、道床のひび割れ等を引き起こすおそれがある。道床を路盤に再度固定するための補修方法としては、道床を貫通して路盤まで達する穴を穿設し、この穴より樹脂接着剤を圧入し、さらに、樹脂接着剤が硬化しないうちに穴に棒鋼(鉄筋コンクリート用の異形棒鋼など)を差し込んでから樹脂接着剤を硬化させるという道床の補修方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特公平4−27322号公報
上述の道床の補修方法の場合、2層のコンクリート躯体(道床と路盤)は、躯体間の間隙に注入された樹脂接着剤と、孔の内面に接着された棒鋼とにより接合されることになる。しかし、躯体間の間隙においても、棒鋼と孔の内面との間隙においても、樹脂接着剤の接着力により、躯体間を付着させているので、電車の振動や地震、コンクリートの老巧化等により、躯体と樹脂接着剤との剥離が生じると、躯体間の接合力を失い、固着状態を維持できなくなるおそれがある。
また、樹脂接着剤を圧入する際、その注入圧によって、かえって道床を一層浮き上がらせてしまうおそれもある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、複数のコンクリート躯体間を、より強固かつ確実に接合できる拡張アンカーおよびコンクリート母材の補修方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、中空筒状に形成され、各端から長手方向に延びるスリットを有する拡開スリーブの一端に、該拡開スリーブへの装着側に向かって先細りとなったテーパ部を外周に有する拡開コーンが装着されるとともに、前記拡開スリーブの他端に、該拡開スリーブに向かって先細りとなったテーパ部を外周に有する中空筒状のコーン状パイプ部材が、打ち込みによって破断される薄肉部を介して連結されたことを特徴とする拡張アンカーを提供する。
また、本発明は、複数の層を有するコンクリート母材に穿設された施工穴に、両端に拡張部を有する拡張アンカーを挿入して、前記コンクリート母材の層間の界面の1つ以上を貫通するように前記拡張アンカーを配置し、前記拡張アンカーを拡張させて前記コンクリート母材の複数の層を締結し、前記施工穴の開口部から接着材を注入して前記施工穴および前記界面にある隙間に前記接着材を充填することを特徴とするコンクリート母材の補修方法を提供する。
このコンクリート母材の補修方法においては、前記施工穴の開口部から接着材を注入する際に、該施工穴の開口部に接着材注入具を装着することが好ましい。
コンクリート母材の補修方法に使用される拡張アンカーとしては、上述の本発明の拡張アンカーを用いることができる。
本発明の拡張アンカーによれば、打ち込みにより、まず、拡開スリーブの一端に装着された拡開コーンが拡開スリーブ内に進入することによって一方の拡張部が拡張し、次いで、拡開コーンの進入の限界に達する頃になって、引き続いての打撃により薄肉部が破断して、拡開スリーブから分離したコーン状パイプ部材が該拡開スリーブ内に進入することにより他方の拡張部が拡張する。このように、拡開スリーブの両端の拡張部が、順に拡張することによって、複数層の躯体を強固に締結することができる。
さらに、コーン状パイプ部材が中空筒状となっているため、接着材の注入によって、該接着材を、拡開スリーブに刻設されたスリットを通して、施工穴内や、躯体間の間隙に充填することができる。これにより、拡張アンカーによる機械的な接合力と、接着材による接着力を複合させ、コンクリート母材の複数の層(躯体)を極めて強固に接合することができる。
本発明のコンクリート母材の補修方法によれば、拡張アンカーによる機械的な接合力と、接着材による接着力を複合させることにより、コンクリート母材の複数の層(躯体)を極めて強固に接合することができる。
層間が機械的にも固定されるため、補修後に、振動や地震や躯体の老巧化などによって接着材が剥離したとしても、層間の隙間の拡張や躯体のひび割れを大幅に抑制することができる。また、補修作業の際、接着材を圧入するときに接着材の圧力で層間の隙間を拡張させてしまうおそれがない。
又、既設のコンクリート躯体の壁面や天井面等に比較的軽量なコンクリート躯体を取付固定する場合にも、拡張アンカーで予め機械的に固定を行うため、新たに取り付けようとするコンクリート躯体が、自重により落下するのを防ぎながら、接着材を圧入することができる。
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
図1〜図7は、本発明の拡張アンカーの一実施の形態例を示す図である。また、図8〜図13は、本発明のコンクリート母材の補修方法の一例を説明する示す図である。
本実施の形態例の拡張アンカー1は、中空筒状に形成され、両端11a,11bから長手方向に延びるスリット14,15,16を有する拡開スリーブ11と、該拡開スリーブ11の一端(先端)11bに装着された拡開コーン19と、前記拡開スリーブ11の他端(基端)11aに、打ち込みによって破断される薄肉部17を介して連結されたコーン状パイプ部材18を具備する。図1等において符号10はアンカー本体である。このアンカー本体10は、拡開スリーブ11とコーン状パイプ部材18とが薄肉部17により連結されたものである。拡張アンカー1の各部11,18,19の材質は、例えば、鉄、ステンレスを用いることができる。表面に防錆処理など、適宜の表面処理を施しても良い。
図1,図4に示すように、拡開スリーブ11は、ここでは略同一径の円筒状に形成され、内部に、基端11aと先端11bの間を長手方向に貫通する貫通穴11cを有する。貫通穴11cは、拡開スリーブ11の両端部12,13の内側で、断面が各端11a,11bに向かって拡張するようなテーパ穴12a,13aとなっている。
図1〜図6に示すように、拡開スリーブ11には、各端11a,11bから長手方向に延びたスリット14,15,16が形成されている。スリットの本数や長さ等は、特に本発明を限定するものではないが、本実施の形態例では、詳しくは、基端11a側からの端14aから拡開スリーブ11の長手方向の中途部に位置する端部14bまで延びるスリット14と、先端11bからの端15aから拡開スリーブ11の基端11a側の端部12付近に位置する端部15bまで延びる2本のスリット15,15と、基端11a側からの端16aから先端11b側の端16bまで延びるスリット16とからなっている。
基端11a側には、上記のうち2本のスリット14,16が、拡開スリーブ11の周方向180°間隔で設けられている。先端11b側(図6参照)には、上記のうち3本のスリット15,15,16が、拡開スリーブ11の周方向120°間隔で設けられている。
図1〜図5に示すように、コーン状パイプ部材18は、内部に貫通穴18cを有して中空円筒状に形成されている。コーン状パイプ部材18は、一端が薄肉部17により拡開スリーブ11に連結されており、薄肉部17側と反対の他端18bが打ち込み用の端部(打撃面18b)となっている。コーン状パイプ部材18の薄肉部17側の端部の外周は、薄肉部17に向かって先細りとなったテーパ部18aになっている。また、コーン状パイプ部材18の貫通穴18cは、拡開スリーブ11の貫通穴11cと連通している。
図1,図4に示すように、薄肉部17は、拡開スリーブ11の基端11aからコーン状パイプ部材18側に向かう方向が、アンカー本体10の内方(貫通穴11c,18c内に突出する方向)に屈曲した形状となっており、薄肉部17付近において、拡開スリーブ11のテーパ穴12aの内径と、コーン状パイプ部材18のテーパ部18aの外径とは、略等しくなっている。
薄肉部17は、打ち込み(打撃面18bへの打撃)によって破断されるようになっており、薄肉部17が破断すると、コーン状パイプ部材18のテーパ部18aが拡開スリーブ11の貫通穴11cに進入し、拡開スリーブ11の基端部12を外方に拡張させるようになっている。つまり、拡開スリーブ11の基端部12とコーン状パイプ部材18により、拡張アンカー1の基端側の拡張部1aが構成されている。
図7に示すように、拡張コーン19は、中実状に形成されている。拡張コーン19は、小径の円筒状に形成された基端部19cと、基端部19cに対する反対側の先端部19bから、基端部19cに向かって縮径するテーパ部19aとが、拡開スリーブ11の貫通穴11cに挿入できるようになっている。拡張コーン19の基端部19cの外径は、拡開スリーブ11の貫通穴11cの内径と同程度または若干大きい程度が好ましい。特に限定されるものではないが、ここでは、拡張コーン19の先端部19bは面取りされている。
拡張アンカー1は、拡張コーン19を施工穴の底部に向けた姿勢で、傾くことなく、安定的に据え置くことができる。
拡張コーン19は、拡開スリーブ11に装着される側の端部(テーパ部19aや基端部19c)が拡開スリーブ11の貫通穴11cに進入することにより、拡開スリーブ11の先端部13を外方に拡張させるようになっている。つまり、拡開スリーブ11の先端部13と拡張コーン19とにより、拡張アンカー1の先端側の拡張部1bが構成されている。
なお、拡張コーン19は、内部に空洞があったり、先端または基端に有底の穴が凹陥していたり、先端と基端とを貫通する貫通穴があいている等の形態であっても差し支えない。
次に、以上説明した構成の本実施の形態の拡張アンカー1を用いたコンクリート母材の補修方法について、図8〜図13を参照しながら説明する。また、図14,図15は、接着材注入具の一例を示す図である。
図8に示すように、補修対象であるコンクリート母材2は、複数の層2a,2bを有する。層2a,2b同士の間の界面3は、振動、地震、コンクリートの老巧化などにより、層2a,2b間が分離して、部分的あるいは大域的に、隙間が生じている。
図8において、施工穴4は、コンクリート母材2の補修のため、層2a,2b間の界面3を貫通するように、コンクリート母材2の表面2sから穿設されたものである。施工穴4の開口部4aは、コンクリート母材2の表面2sに開口し、施工穴4の底部4bは、下側の層2bに達している。施工穴4の内径は、拡張アンカー1の外径より若干大きい程度である。
次いで、図9に示すように、施工穴4に拡張アンカー1を挿入する。拡張アンカー1は、基端側の拡張部1aが上側の層2aに位置するとともに、先端側の拡張部1bが下側の層2bに位置するように配置される。この結果、拡開コーン19の先端部19bは、施工穴4の底部4bまで達し、両拡張部1a,1bを連結する拡開スリーブ11は、コンクリート母材2の界面3を貫通することになる。
拡張アンカー1のコーン状パイプ部材18の打撃面18bを、施工穴4の開口部4aから挿入した打ち込み棒などの適宜の打込み用治具(図示略)によって打撃すると、拡開コーン19の先端部19bが施工穴4の底部4bから反力を受けて、拡開コーン19が拡張スリーブ11の貫通穴11cに進入する。この結果、図10に示すように、拡張スリーブ11の先端部13が内側から押圧されて拡張し、先端側拡張部1bが施工穴4の内面4cに食い込み、コンクリート母材2の下層2bと先端側拡張部1bとが締結される。
引き続いて、拡張アンカー1のコーン状パイプ部材18の打撃面18bを打撃すると、コーン状パイプ部材18と拡張スリーブ11を連結する薄肉部17が破断して、コーン状パイプ部材18が拡張スリーブ11の貫通穴11cに進入する。この結果、図11に示すように、拡張スリーブ11の基端部12が内側から押圧されて拡張し、基端側拡張部1aが施工穴4の内面4cに食い込み、コンクリート母材2の上層2aと基端側拡張部1aとが締結される。
このように、拡張アンカー1の両方の拡張部1a,1bが順次拡張することにより、コンクリート母材2の上層2aと下層2bとが、拡張アンカー1を介して機械的に締結、固着される。
拡張アンカー1の両方の拡張部1a,1bを拡張させた後、図12に示すように、施工穴4の開口部4aに、接着材注入具6を装着する。
接着材注入具6としては、特に限定するものではないが、例えば、図14,図15に示す接着材注入具6を用いることができる。
図14,図15において、符号61は注入具本体、符号62は第1のワッシャー、符号63は中空円筒状のスペーサー、符号64は第2のワッシャー、符号65は弾性スリーブ、符号66はコーン部材である。
注入具本体61は、一端部の外面に雄ねじ部61dを有する軸部61eと、該軸部61eの雄ねじ部61dに対向する他端部に形成された六角形状の頭部61bと、該頭部61bから延出した注入口61aとを備える。注入具本体61の内部には、注入口61aから軸部61e先端まで貫通する貫通穴61cが形成されている。
注入具本体61の軸部61eには、頭部61b側から順に、第1のワッシャー62、スペーサー63、第2のワッシャー64が通されている。第1のワッシャー62の外径は施工穴4の口径よりも大きくされ、接着材注入具6を施工穴4の開口部4aに装着したとき、第1のワッシャー62は、注入具本体61の頭部61bとコンクリート母材2の表面2sとの間に挟まれるようになっている。
コーン部材66は、小径の円筒状に形成された基端部66aと、基端部66aに対する反対側の先端部66eから、基端部66aに向かって縮径するテーパ部66bとを備え、内部には、該コーン部材66の両端を貫通する貫通穴66cが形成されている。貫通穴66cの基端部66a側には、注入具本体61の雄ねじ部61dと螺合可能な雌ネジ部66dが形成されている。
弾性スリーブ65は、ゴムなどのエラストマーからなる円筒状の部材であり、コーン部材66に基端部66a側から挿入できるような挿入穴65aを有する。
この接着材注入具6は、注入具本体61とコーン部材66をネジ61d,66dにより連結して、弾性スリーブ65を第2のワッシャー64とコーン部材66のテーパ部66bの間に挟んだ状態で使用される。頭部61bを回転させてネジ61d,66dを締め付けることにより、第2のワッシャー64とコーン部材66のテーパ部66bとの間隔が縮まり、弾性スリーブ65の挿入穴65a内にテーパ部66bが進入する。これにより、図12に示すように、弾性スリーブ65がテーパ部66bに沿って外方に拡張して、施工穴4の内面4cに食い込み、接着材注入具6が開口部4a付近に固着される。
さらに、図13に示すように、接着材注入具6の注入口61aに注入用チューブ7を接続し、注入用チューブ7および接着材注入具6を通して、接着材5を施工穴4に圧入して、施工穴4およびコンクリート母材2の界面3の隙間に接着材5を充填する。
この際、拡張アンカー1は、施工穴4の開口部4aに臨んで貫通穴11c,18cが開口しているので、基端側拡張部1aと施工穴4の内面4cの隙間がごく小さくなっていル場合でも、接着材5は、貫通穴11c,18cおよび拡張スリーブ11の側面に開口したスリット14,15,16(なお、図8〜図13において、スリット16は拡張アンカー1の裏側に位置しており、図中に表れていない)を通って、施工穴4の底部4bやコンクリート母材2の層2a,2b間の隙間3に到達することができる。接着材5は、隙間3を通って広がり、層2a,2b間を接着する。また、接着材5を施工穴4の内面4cや層2a,2b間の界面3に露出した微細なクラック等の欠陥部まで波及させることにより、欠陥部を充填して補修することができる。
接着材5の注入後、接着材注入具6は、少なくとも施工穴4の開口部4aから突出した部分(接着材注入具6の全体であっても良い)を除去するのが好ましい。例えば、図14,図15に示す接着材注入具6の場合、注入口61aの側をハンマー等でたたくことにより、施工穴4の開口部4aから突出した上部を叩き折って除去することができる。
これにより、コンクリート母材2の表面2sを平らに仕上げ、目立たなくすることができる。施工穴4の仕上げ(化粧)用には、セメントペーストなどを用いることができる。
接着材5としては、注入に適した流動性を有する限り、特に限定されないが、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などの常温硬化性の液状樹脂接着剤などを用いることができる。
接着材5を圧入する場合、その注入圧は、接着材5を層間の隙間3に持続的かつ安定的に注入できる程度とすることが好ましい。注入圧が過度であると、コンクリート母材2の層2a,2b間の隙間3を拡大させるおそれがある。注入圧としては、2〜50Paが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態例の拡張アンカーによれば、打ち込みにより、まず、拡開スリーブの一端に装着された拡開コーンが拡開スリーブ内に進入することによって先端側(施工穴の底部に近い側)の拡張部が拡張する。打撃を引き続き行い、先端側の拡張部の拡張の限界に達するころになって、薄肉部が破断して、拡開スリーブから分離したコーン状パイプ部材が該拡開スリーブ内に進入し、基端側(施工穴の開口部に近い側)の拡張部が拡張する。
このように、拡開スリーブの両拡張部のうち、先端側の拡張部が先に拡張し、その後で基端側の拡張部が拡張するので、それぞれの拡張部に打ち込み力を確実に及ぼすことができる。基端側の拡張部が先端側の拡張部よりも先に拡張することがないので、基端側の拡張部と施工穴との締結によって、先端側の拡張部を拡張させるための打ち込み力の伝達が阻止されるおそれがない。従って、コンクリート母材の複数の層(躯体)を強固に締結することができる。
コーン状パイプ部材が中空筒状となっているため、接着材の注入により、施工穴内や躯体間の間隙、さらには躯体内に生じたクラック内に接着材を浸透させて充填することができる。これにより、拡張アンカーによる機械的な接合力と、接着材による接着力を複合させ、コンクリート母材の複数の層(躯体)を極めて強固に接合することができる。
本実施の形態のコンクリート母材の補修方法によれば、拡張アンカーの拡張によってコンクリート母材の層間を機械的に接合させた後で、接着材を注入して接着させるので、機械的な接合力と接着材の接着力を複合させて、コンクリート母材の複数の層(躯体)を極めて強固に接合することができる。
層間が機械的にも固定されるため、補修後に、振動や地震や躯体の老巧化などによって接着材が剥離したとしても、層間の隙間の拡張や躯体のひび割れを大幅に抑制することができる。また、補修作業の際、接着材を圧入する前に層間が拡張アンカーによって接合されているので、接着材の圧力で層間の隙間を拡張させてしまうおそれがない。
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、本発明のコンクリート母材の補修方法において、拡張アンカーは、両端に拡張部を有するものであればよく、本発明の拡張アンカーに限定されるものではない。これにより、コンクリート母材の複数の層の界面の1つ以上を貫通するように拡張アンカーを配置してそれぞれの拡張部を拡張させることにより、コンクリート母材の複数の層を締結することができる。
施工穴の向きは、図8〜図13では、下向き(開口部から底部に向かう方向が鉛直方向下向き)として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上向き、横向き、斜めとすることもできる。施工穴に挿入された拡張アンカーは、拡張部の拡張により、施工穴内でコンクリート母材に固着されるので、接着材の注入作業中に外れたり、落下したりすることはない。
また、本発明は、既設のコンクリート躯体の壁面や天井面等に、比較的軽量なコンクリート躯体を新たに取付固定する場合にも適用することができる。すなわち、既設のコンクリート躯体と、新たに取り付けようとするコンクリート躯体とを、拡張アンカーで固定してから、接着材を圧入する。この場合、まず、拡張アンカーで機械的な固定を行うため、新たに取り付けようとするコンクリート躯体が、自重により落下するのを防ぎながら、接着材を圧入することができる。
図16,図17は、補修される鉄道線路の概要を例示する概略図である。
図16,図17において、符号2bは、地下トンネルの底部に打設されたインバートコンクリートである。このインバートコンクリートを路盤として、この路盤2bの上に道床(コンクリート道床)2aが打設され、さらに、道床2aの上に、レール21と枕木22が敷設されることにより、鉄道線路20が構築されている。
鉄道線路20の道床2aには、レール21,21間に排水溝23が設けられている。排水溝23の底部には、路盤2bが露出されている。
本実施例では、道床2aおよび路盤2bが、コンクリート母材2の複数の層(躯体)である。
排水溝23の両側の隅部に開口した間隙3の開口に向けて適当な間隔でエア抜きパイプ25を立て、排水溝23の隅部に急結材24を塗着して、エア抜きパイプ25を通じて間隙3から外気への空気の流通を確保しつつ、空気の出口を狭くして、間隙3内を加圧しても圧力をしばらく維持できるようにする。
以下、図8〜図13に示すように、上記実施の形態の補修方法で説明した手順により、補修作業を行う。すなわち、道床2aの表面2sから、層間の界面3を貫通して路盤2bに達するような施工穴4を穿設し、施工穴4に拡張アンカー1を挿入し、拡張アンカー1の先端側の拡張部1bを拡張させた後に、拡張アンカー1の基端側の拡張部1aを拡張させる。さらに、施工穴4に接着材を注入して、養生したのち、エア抜きパイプ25の除去や、施工穴4の仕上げ等をして、補修作業が完了する。
本発明の拡張アンカーの一例を示す(a)正面図、(b)平面図(片側断面図)、(c)I−I線に沿う断面図である。 図1に示す拡張アンカーの斜視図である。 図1に示す拡張アンカーのアンカー本体を示す正面図である。 図3のIV−IV線に沿う断面図である。 図1に示す拡張アンカーのアンカー本体を示す背面図である。 図1に示す拡張アンカーのアンカー本体を示す右側面図である。 図1に示す拡張アンカーの拡開コーンを示す正面図である。 本発明のコンクリート母材の補修方法を説明する第1の図である。 本発明のコンクリート母材の補修方法を説明する第2の図である。 本発明のコンクリート母材の補修方法を説明する第3の図である。 本発明のコンクリート母材の補修方法を説明する第4の図である。 本発明のコンクリート母材の補修方法を説明する第5の図である。 本発明のコンクリート母材の補修方法を説明する第6の図である。 接着材注入具の一例を示す片側断面図である。 図14に示す接着材注入具の分解斜視図である。 補修する鉄道線路の一例を示す断面図である。 図16に示す鉄道線路の平面図である。
符号の説明
1…拡張アンカー、1a…拡張部(基端側拡張部)、1b…拡張部(先端側拡張部)、2…コンクリート母材、2a…層(路盤)、2b…層(道床)、3…層間の界面(隙間)、4…施工穴、4a…施工穴の開口部、5…接着材、6…接着材注入具、11…拡開スリーブ、11a,11b…拡張アンカーの両端、14,15,16…スリット、17…薄肉部、18…コーン状パイプ部材、18a…コーン状パイプ部材のテーパ部、19…拡開コーン、19a…拡開コーンのテーパ部。

Claims (4)

  1. 中空筒状に形成され、各端(11a,11b)から長手方向に延びるスリット(14,15,16)を有する拡開スリーブ(11)の一端に、該拡開スリーブへの装着側に向かって先細りとなったテーパ部(19a)を外周に有する拡開コーン(19)が装着されるとともに、前記拡開スリーブの他端に、該拡開スリーブに向かって先細りとなったテーパ部(18a)を外周に有する中空筒状のコーン状パイプ部材(18)が、打ち込みによって破断される薄肉部(17)を介して連結されたことを特徴とする拡張アンカー(1)。
  2. 複数の層(2a,2b)を有するコンクリート母材(2)に穿設された施工穴(4)に、両端に拡張部(1a,1b)を有する拡張アンカー(1)を挿入して、前記コンクリート母材の層間の界面(3)の1つ以上を貫通するように前記拡張アンカーを配置し、前記拡張アンカーを拡張させて前記コンクリート母材の複数の層を締結し、前記施工穴の開口部(4a)から接着材(5)を注入して前記施工穴および前記界面にある隙間に前記接着材を充填することを特徴とするコンクリート母材の補修方法。
  3. 前記施工穴の開口部から接着材を注入する際に、該施工穴の開口部に接着材注入具(6)を装着することを特徴とする請求項2に記載のコンクリート母材の補修方法。
  4. 前記拡張アンカーが、請求項1に記載の拡張アンカーであることを特徴とする請求項2または3に記載のコンクリート母材の補修方法。
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