JP2005061096A - 拡張アンカーおよびコンクリート母材の補修方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 中空筒状に形成され、各端11a,11bから長手方向に延びるスリット14,15,16を有する拡開スリーブ11の一端11bに、該拡開スリーブ11への装着側に向かって先細りとなったテーパ部19aを外周に有する拡開コーン19が装着されるとともに、前記拡開スリーブ11の他端11aに、該拡開スリーブ11に向かって先細りとなったテーパ部18aを外周に有する中空筒状のコーン状パイプ部材18が、打ち込みによって破断される薄肉部17を介して連結された拡張アンカー1を用いる。
【選択図】 図1
Description
また、樹脂接着剤を圧入する際、その注入圧によって、かえって道床を一層浮き上がらせてしまうおそれもある。
このコンクリート母材の補修方法においては、前記施工穴の開口部から接着材を注入する際に、該施工穴の開口部に接着材注入具を装着することが好ましい。
コンクリート母材の補修方法に使用される拡張アンカーとしては、上述の本発明の拡張アンカーを用いることができる。
さらに、コーン状パイプ部材が中空筒状となっているため、接着材の注入によって、該接着材を、拡開スリーブに刻設されたスリットを通して、施工穴内や、躯体間の間隙に充填することができる。これにより、拡張アンカーによる機械的な接合力と、接着材による接着力を複合させ、コンクリート母材の複数の層(躯体)を極めて強固に接合することができる。
本発明のコンクリート母材の補修方法によれば、拡張アンカーによる機械的な接合力と、接着材による接着力を複合させることにより、コンクリート母材の複数の層(躯体)を極めて強固に接合することができる。
層間が機械的にも固定されるため、補修後に、振動や地震や躯体の老巧化などによって接着材が剥離したとしても、層間の隙間の拡張や躯体のひび割れを大幅に抑制することができる。また、補修作業の際、接着材を圧入するときに接着材の圧力で層間の隙間を拡張させてしまうおそれがない。
又、既設のコンクリート躯体の壁面や天井面等に比較的軽量なコンクリート躯体を取付固定する場合にも、拡張アンカーで予め機械的に固定を行うため、新たに取り付けようとするコンクリート躯体が、自重により落下するのを防ぎながら、接着材を圧入することができる。
図1〜図7は、本発明の拡張アンカーの一実施の形態例を示す図である。また、図8〜図13は、本発明のコンクリート母材の補修方法の一例を説明する示す図である。
基端11a側には、上記のうち2本のスリット14,16が、拡開スリーブ11の周方向180°間隔で設けられている。先端11b側(図6参照)には、上記のうち3本のスリット15,15,16が、拡開スリーブ11の周方向120°間隔で設けられている。
図1,図4に示すように、薄肉部17は、拡開スリーブ11の基端11aからコーン状パイプ部材18側に向かう方向が、アンカー本体10の内方(貫通穴11c,18c内に突出する方向)に屈曲した形状となっており、薄肉部17付近において、拡開スリーブ11のテーパ穴12aの内径と、コーン状パイプ部材18のテーパ部18aの外径とは、略等しくなっている。
薄肉部17は、打ち込み(打撃面18bへの打撃)によって破断されるようになっており、薄肉部17が破断すると、コーン状パイプ部材18のテーパ部18aが拡開スリーブ11の貫通穴11cに進入し、拡開スリーブ11の基端部12を外方に拡張させるようになっている。つまり、拡開スリーブ11の基端部12とコーン状パイプ部材18により、拡張アンカー1の基端側の拡張部1aが構成されている。
拡張アンカー1は、拡張コーン19を施工穴の底部に向けた姿勢で、傾くことなく、安定的に据え置くことができる。
拡張コーン19は、拡開スリーブ11に装着される側の端部(テーパ部19aや基端部19c)が拡開スリーブ11の貫通穴11cに進入することにより、拡開スリーブ11の先端部13を外方に拡張させるようになっている。つまり、拡開スリーブ11の先端部13と拡張コーン19とにより、拡張アンカー1の先端側の拡張部1bが構成されている。
なお、拡張コーン19は、内部に空洞があったり、先端または基端に有底の穴が凹陥していたり、先端と基端とを貫通する貫通穴があいている等の形態であっても差し支えない。
図8に示すように、補修対象であるコンクリート母材2は、複数の層2a,2bを有する。層2a,2b同士の間の界面3は、振動、地震、コンクリートの老巧化などにより、層2a,2b間が分離して、部分的あるいは大域的に、隙間が生じている。
図8において、施工穴4は、コンクリート母材2の補修のため、層2a,2b間の界面3を貫通するように、コンクリート母材2の表面2sから穿設されたものである。施工穴4の開口部4aは、コンクリート母材2の表面2sに開口し、施工穴4の底部4bは、下側の層2bに達している。施工穴4の内径は、拡張アンカー1の外径より若干大きい程度である。
このように、拡張アンカー1の両方の拡張部1a,1bが順次拡張することにより、コンクリート母材2の上層2aと下層2bとが、拡張アンカー1を介して機械的に締結、固着される。
接着材注入具6としては、特に限定するものではないが、例えば、図14,図15に示す接着材注入具6を用いることができる。
図14,図15において、符号61は注入具本体、符号62は第1のワッシャー、符号63は中空円筒状のスペーサー、符号64は第2のワッシャー、符号65は弾性スリーブ、符号66はコーン部材である。
注入具本体61の軸部61eには、頭部61b側から順に、第1のワッシャー62、スペーサー63、第2のワッシャー64が通されている。第1のワッシャー62の外径は施工穴4の口径よりも大きくされ、接着材注入具6を施工穴4の開口部4aに装着したとき、第1のワッシャー62は、注入具本体61の頭部61bとコンクリート母材2の表面2sとの間に挟まれるようになっている。
弾性スリーブ65は、ゴムなどのエラストマーからなる円筒状の部材であり、コーン部材66に基端部66a側から挿入できるような挿入穴65aを有する。
この際、拡張アンカー1は、施工穴4の開口部4aに臨んで貫通穴11c,18cが開口しているので、基端側拡張部1aと施工穴4の内面4cの隙間がごく小さくなっていル場合でも、接着材5は、貫通穴11c,18cおよび拡張スリーブ11の側面に開口したスリット14,15,16(なお、図8〜図13において、スリット16は拡張アンカー1の裏側に位置しており、図中に表れていない)を通って、施工穴4の底部4bやコンクリート母材2の層2a,2b間の隙間3に到達することができる。接着材5は、隙間3を通って広がり、層2a,2b間を接着する。また、接着材5を施工穴4の内面4cや層2a,2b間の界面3に露出した微細なクラック等の欠陥部まで波及させることにより、欠陥部を充填して補修することができる。
これにより、コンクリート母材2の表面2sを平らに仕上げ、目立たなくすることができる。施工穴4の仕上げ(化粧)用には、セメントペーストなどを用いることができる。
接着材5を圧入する場合、その注入圧は、接着材5を層間の隙間3に持続的かつ安定的に注入できる程度とすることが好ましい。注入圧が過度であると、コンクリート母材2の層2a,2b間の隙間3を拡大させるおそれがある。注入圧としては、2〜50Paが好ましい。
このように、拡開スリーブの両拡張部のうち、先端側の拡張部が先に拡張し、その後で基端側の拡張部が拡張するので、それぞれの拡張部に打ち込み力を確実に及ぼすことができる。基端側の拡張部が先端側の拡張部よりも先に拡張することがないので、基端側の拡張部と施工穴との締結によって、先端側の拡張部を拡張させるための打ち込み力の伝達が阻止されるおそれがない。従って、コンクリート母材の複数の層(躯体)を強固に締結することができる。
コーン状パイプ部材が中空筒状となっているため、接着材の注入により、施工穴内や躯体間の間隙、さらには躯体内に生じたクラック内に接着材を浸透させて充填することができる。これにより、拡張アンカーによる機械的な接合力と、接着材による接着力を複合させ、コンクリート母材の複数の層(躯体)を極めて強固に接合することができる。
層間が機械的にも固定されるため、補修後に、振動や地震や躯体の老巧化などによって接着材が剥離したとしても、層間の隙間の拡張や躯体のひび割れを大幅に抑制することができる。また、補修作業の際、接着材を圧入する前に層間が拡張アンカーによって接合されているので、接着材の圧力で層間の隙間を拡張させてしまうおそれがない。
例えば、本発明のコンクリート母材の補修方法において、拡張アンカーは、両端に拡張部を有するものであればよく、本発明の拡張アンカーに限定されるものではない。これにより、コンクリート母材の複数の層の界面の1つ以上を貫通するように拡張アンカーを配置してそれぞれの拡張部を拡張させることにより、コンクリート母材の複数の層を締結することができる。
施工穴の向きは、図8〜図13では、下向き(開口部から底部に向かう方向が鉛直方向下向き)として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上向き、横向き、斜めとすることもできる。施工穴に挿入された拡張アンカーは、拡張部の拡張により、施工穴内でコンクリート母材に固着されるので、接着材の注入作業中に外れたり、落下したりすることはない。
また、本発明は、既設のコンクリート躯体の壁面や天井面等に、比較的軽量なコンクリート躯体を新たに取付固定する場合にも適用することができる。すなわち、既設のコンクリート躯体と、新たに取り付けようとするコンクリート躯体とを、拡張アンカーで固定してから、接着材を圧入する。この場合、まず、拡張アンカーで機械的な固定を行うため、新たに取り付けようとするコンクリート躯体が、自重により落下するのを防ぎながら、接着材を圧入することができる。
図16,図17において、符号2bは、地下トンネルの底部に打設されたインバートコンクリートである。このインバートコンクリートを路盤として、この路盤2bの上に道床(コンクリート道床)2aが打設され、さらに、道床2aの上に、レール21と枕木22が敷設されることにより、鉄道線路20が構築されている。
鉄道線路20の道床2aには、レール21,21間に排水溝23が設けられている。排水溝23の底部には、路盤2bが露出されている。
本実施例では、道床2aおよび路盤2bが、コンクリート母材2の複数の層(躯体)である。
Claims (4)
- 中空筒状に形成され、各端(11a,11b)から長手方向に延びるスリット(14,15,16)を有する拡開スリーブ(11)の一端に、該拡開スリーブへの装着側に向かって先細りとなったテーパ部(19a)を外周に有する拡開コーン(19)が装着されるとともに、前記拡開スリーブの他端に、該拡開スリーブに向かって先細りとなったテーパ部(18a)を外周に有する中空筒状のコーン状パイプ部材(18)が、打ち込みによって破断される薄肉部(17)を介して連結されたことを特徴とする拡張アンカー(1)。
- 複数の層(2a,2b)を有するコンクリート母材(2)に穿設された施工穴(4)に、両端に拡張部(1a,1b)を有する拡張アンカー(1)を挿入して、前記コンクリート母材の層間の界面(3)の1つ以上を貫通するように前記拡張アンカーを配置し、前記拡張アンカーを拡張させて前記コンクリート母材の複数の層を締結し、前記施工穴の開口部(4a)から接着材(5)を注入して前記施工穴および前記界面にある隙間に前記接着材を充填することを特徴とするコンクリート母材の補修方法。
- 前記施工穴の開口部から接着材を注入する際に、該施工穴の開口部に接着材注入具(6)を装着することを特徴とする請求項2に記載のコンクリート母材の補修方法。
- 前記拡張アンカーが、請求項1に記載の拡張アンカーであることを特徴とする請求項2または3に記載のコンクリート母材の補修方法。
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