JP2005013534A - 動力補助機構付き長下肢装具 - Google Patents
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Abstract
【課題】装着者の下肢の振り出し運動を動力補助機構の作動により円滑に行わせるようにする。
【解決手段】患者の下肢全体を支持する長下肢支持部材5、5’と、これら両長下肢支持部材5、5’を、その上端部のところにて連結するとともに、上記両長下肢支持部材5、5’を、その正面視において所定の開き角度をもって、かつ、側面視において所定の揺動角度をもって揺動運動可能なように支持する股関節ジョイント機構1と、長下肢支持部材5、5’の中間部に設けられるものであって両長下肢支持部材5、5’の上半部51、51’と下半部52、52’とを相対回転運動が可能なように連結する膝関節ジョイント機構55、55’と、上記各ジョイント機構1、55、55’を駆動する動力補助機構2、3、3’と、各動力補助機構2、3、3’の作動を制御する制御手段4と、からなる。
【選択図】 図1
【解決手段】患者の下肢全体を支持する長下肢支持部材5、5’と、これら両長下肢支持部材5、5’を、その上端部のところにて連結するとともに、上記両長下肢支持部材5、5’を、その正面視において所定の開き角度をもって、かつ、側面視において所定の揺動角度をもって揺動運動可能なように支持する股関節ジョイント機構1と、長下肢支持部材5、5’の中間部に設けられるものであって両長下肢支持部材5、5’の上半部51、51’と下半部52、52’とを相対回転運動が可能なように連結する膝関節ジョイント機構55、55’と、上記各ジョイント機構1、55、55’を駆動する動力補助機構2、3、3’と、各動力補助機構2、3、3’の作動を制御する制御手段4と、からなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下肢麻痺患者の歩行を助けるために用いられる長下肢装具に関するものであり、特に、下肢(脚部)に装着される長下肢支持部材を、その上端部のところで連結するとともに、それぞれの長下肢支持部材が、装着者の仮想股関節回転中心点を支点にて揺動運動することができるようにし、更に、このような長下肢支持部材の膝関節部にもジョイント機構を設けるようにし、そして更に、これら各ジョイント機構部における作動を電動モータの駆動力にて補助させるようにした動力補助機構(パワーアシスト機構)付きの長下肢装具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、下肢麻痺患者用の装具としては、例えば特開平11−369号公報に記載の如く、下肢(脚部)に装着される長下肢支持部材をその上端部のところで連結するとともに、それぞれの長下肢支持部材が、装着者の仮想股関節回転中心点を支点にして揺動運動をすることができるようになっているものが挙げられる。そして、上記揺動運動が別途設けられた電動モータの駆動力によって補助されるようにしたもの等が挙げられる(特開平11−226070号公報参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−369号公報
【特許文献2】
特開平11−226070号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものにおいては、仮想股関節回転中心点を支点とした下肢(脚部)の振り出し運動は、別途設けられた電動モータの駆動力によって補助されるようになっているが、下肢全体は剛体状の長下肢支持部材にて固定されているため、膝関節部においては運動の自由度が制限されることとなる。このような問題点を解決するために、長下肢支持部材の膝関節部周りにもジョイント機構を設けるようにするとともに、この膝関節部のジョイント機構についても、電動モータによる動力補助(パワーアシスト)を行わせるようにした動力補助機構付き長下肢装具を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、下肢麻痺患者の歩行を助けるために用いられる長下肢装具に関して、装着者の下肢全体を保持する長下肢支持部材と、当該長下肢支持部材の上端部のところに設けられるものであって、左右に設けられる本長下肢支持部材を、その正面視において、所定の開き角をもって保持するとともに、その側面視において、上記左右の長下肢支持部材を所定の範囲内にて揺動運動可能なように支持し、更に、当該揺動運動の運動中心位置が、上記装着者の仮想股関節回転中心点とほぼ合致するように形成された股関節ジョイント機構と、上記長下肢支持部材の膝関節部周りに設けられるものであって上記長下肢支持部材の上半部と下半部とを相対回転運動が可能なように連結する膝関節ジョイント機構と、上記各ジョイント機構のところに設けられるものであって、当該ジョイント機構に連結される各部材を駆動する動力補助機構と、からなるようにした構成を採ることとした。
【0006】
このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては次のような作用を呈することとなる。すなわち、下肢麻痺状態の患者が本長下肢装具を装着することによって、当該装着者は、松葉杖等の補助具を用いることによって交互歩行を行うことができるようになる。まず、装着者は、自分の腰を横振りするように作動させることによって、一方の長下肢支持部材の装着された脚部(下肢)の部分を、本長下肢支持部材の上端部に設けられた股関節ジョイント機構を基点にして、前方へと振り出すことができるようになる。そして、このとき、当該股関節ジョイント機構は、正面視において所定の開き角度を有するようになっていること、及び各長下肢支持部材は、その揺動運動の中心位置が装着者の仮想股関節回転中心点付近に来るように設置(セット)されていることにより、上記長下肢支持部材、すなわち、下肢の、その振り出し操作は円滑に行なわれることとなる。また、上記各長下肢支持部材を連結する股関節ジョイント機構のところには動力補助機構が設けられるようになっているので、この動力補助機構の作動により、股関節ジョイント機構を介して設けられる両長下肢支持部材は、その振り出し作動が円滑に行われるようになる。
【0007】
また、本発明のものにおいては、上記長下肢支持部材が上半部と下半部とに二分割されているとともに、これらの連結部のところには膝関節ジョイント機構が設けられるようになっているので、装着者は膝関節部を曲げ伸ばししながら歩行運動を行うことができるようになる。そして、上記膝関節ジョイント機構のところには、当該膝関節ジョイント機構の作動を補助する動力補助機構が設けられるようになっているので、当該動力補助機構の作動により、装着者の膝関節部の曲げ伸ばし運動が円滑に行われるようになる。その結果、装着者の歩行運動は円滑に行われるようになる。
【0008】
次に、請求項2記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記請求項1記載のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1記載の動力補助機構付き長下肢装具に関して、上記股関節ジョイント機構を、中央に設けられるメインブロックと、当該メインブロックの両側面部のところを摺動運動するものであって長下肢支持部材の取付けられるキャリアと、からなるようにするとともに、当該股関節ジョイント機構を作動させる動力補助機構を、上記キャリアのところに設けられる円弧状ラック、当該左右の円弧状ラックと噛合い係合するピニオンギヤ、及び当該ピニオンギヤを駆動する電動モータからなるようにし、上記膝関節ジョイント機構を、上記長下肢支持部材を形成する上半部と下半部との間を相対回転運動が可能なように連結するジョイント機構からなるようにするとともに、上記膝関節ジョイント機構を駆動する動力補助機構を、上記長下肢支持部材を形成する上半部または下半部のうちのいずれか一方側に設けられるホイール及び残りのもう一方側に設けられるウオームにて形成されるウオーム・ホイール機構、及び当該ウオーム・ホイール機構を形成する上記ウオームを回転駆動する電動モータにて形成させるようにした構成を採ることとした。
【0009】
このような構成を採ることにより、本発明のものにおいても、上記請求項1記載のものと基本的には同じような作用を呈することとなる。すなわち、下肢麻痺状態の患者が本長下肢装具を装着することによって、当該装着者は、松葉杖等の補助具を用いることによって交互歩行を行なうことができるようになる。特に、本発明においては、上記股関節ジョイント機構が、正面視において所定の開き角度を有するようになっていること、及び各長下肢支持部材が、その揺動運動の中心位置が装着者の仮想股関節回転中心点付近に来るように設置(セット)されていることより、上記長下肢支持部材、すなわち、下肢の、その振り出し操作は円滑に行なわれることとなる。また、上記各長下肢支持部材を連結する股関節ジョイント機構は、メインブロックを中心にして、その両側面部のところに設けられるものであって左右の長下肢支持部材がそれぞれ取付けられるキャリアを主に形成されるようになっているものである。そして、このようなキャリアが上記メインブロックの両側面部を摺動運動するようになっているものである。そして更に、このようなキャリアの下方部には円弧状のラックが設けられるようになっており、これが動力補助機構を形成するピニオンギヤと噛み合うようになっているものである。従って、動力補助機構の作動により、上記キャリア及び当該キャリアに連結される左右の長下肢支持部材は、上記メインブロックを基点にして、当該メインブロックの両側面部のところを円滑に揺動運動することとなる。また、上記長下肢支持部材を形成する上半部と下半部との間を連結する膝関節ジョイント機構のところにはジョイント機構が設けられるようになっているとともに、この膝関節ジョイント機構のところにはウオーム・ホイール機構及び電動モータからなる動力補助機構が設けられるようになっているので、これら諸機構の作動により、装着者の膝関節部は、上記動力補助機構の補助を受けて円滑に動かされることとなる。その結果、両長下肢支持部材のところに支持される左右の各下肢(脚部)は、上記動力補助機構の作動により、その振り出し運動が円滑に行われることとなる。
【0010】
次に、請求項3記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記請求項1または請求項2記載のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1または請求項2記載の動力補助機構付き長下肢装具に関して、上記各ジョイント機構を駆動する動力補助機構の作動を制御するものであってマイクロコンピュータを主に形成される制御手段を設けるようにした構成を採ることとした。このような構成を採ることにより、本発明のものにおいても、上記請求項1または請求項2記載のものと同様、装着者の歩行運動が円滑に行われるようになる。これに加えて、更に本発明のものにおいては、各ジョイント機構部の駆動を担う各動力補助機構の作動順序等を含めた作動制御を、マイクロコンピュータを主に形成される制御手段にて行わせるようにしたので、装着者の膝関節部における曲げ伸ばし運動を動力補助を伴って円滑に行わせることができるようになる。その結果、装着者は歩行運動をより円滑に行なうことができるようになる。また、膝関節ジョイント機構の作動を予めコンピュータのROM部に入力しておいたプログラム等に基づいて制御させるようにすることによって、椅子に腰掛けた状態の装着者が自力にて起立作動等を行なうことができるようになる。
【0011】
次に、請求項4記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記請求項1記載のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1記載の動力補助機構付き長下肢装具に関して、上記各長下肢支持部材を形成する下半部の最下端部のところに設けられる足載置体を、その踵部付近にて、上記長下肢支持部材を形成する下半部に対して相対回転運動が可能なように連結するようにし、更に、上記長下肢支持部材を形成する下半部と上記足載置体との間に当該足載置体の底屈運動を規制するように作用するスプリングを設けるようにした構成を採ることとした。このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、上記請求項1記載のものと同様、装着者の歩行運動が円滑に行われるようになる。特に、本発明のものにおいては、フット部を保持する足載置体が、長下肢支持部材を形成する下半部の下端部のところに、足載置体の踵部を支点にして相対回転運動が可能なように取付けられるとともに、このような足載置体のつま先部が下方に降下するように動く、いわゆる底屈運動に対して、所定の拘束力を発揮させるように作用するスプリングが設けられるようになっているので、このスプリングのばね反力作用により、装着者の歩行運動中において、装着者のフット部には適度の底屈方向運動に対する反力が入力されるようになる。その結果、装着者は歩行運動を円滑に行うことができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1ないし図6を基に説明する。本発明の実施の形態に関するものの、その構成は、図1に示す如く、患者の下肢(脚部)全体を支持する長下肢支持部材5、5’と、これら左右の長下肢支持部材5、5’を、その上端部のところにて連結するとともに、上記両長下肢支持部材5、5’を、その正面視において所定の開き角度をもって(図1参照)、及び側面視において所定の揺動角度をもって揺動運動(振り出し運動)可能なように支持する股関節ジョイント機構1と、上記長下肢支持部材5、5’の中間部に設けられるものであって当該長下肢支持部材5、5’の上半部51、51’と下半部52、52’とを相対回転運動が可能なように連結する膝関節ジョイント機構55、55’と、上記各ジョイント機構1、55、55’のところに設けられるものであって、当該ジョイント機構に連結される各部材を駆動する動力補助機構2、3、3’と、当該動力補助機構2、3、3’の作動を制御する制御手段4と、からなることを基本とするものである。
【0013】
このような基本構成からなるものにおいて、上記左右の長下肢支持部材5、5’を連結する股関節ジョイント機構1は、図2に示す如く、本股関節ジョイント機構1の作動の基盤を成すメインブロック16と、当該メインブロック16の両側面部に設けられるものであって、当該メインブロック16に対して相対摺動運動、及び患者(装着者)の仮相股関節回転中心点を基点にしてのスイング運動(揺動運動)をするとともに、左右一組の状態で設けられるキャリア11、11と、からなることを基本とするものである。そして、このような股関節ジョイント機構1を形成する上記キャリア11の下方部のところには、上記仮相股関節回転中心点(O1)を基点にして形成される円弧の一部を成す円弧状ラック21、当該左右の円弧状ラック21と係合する一個のピニオンギヤ23、当該ピニオンギヤ23を駆動するものであって正転及び逆転運動が可能なように形成された電動モータ25、からなる動力補助機構2が設けられるようになっているものである。そして、このような構成からなる上記股関節ジョイント機構1を形成する上記キャリア11と一体的に形成される左右のアーム14のところには、患者の脚部(下肢)に装着される長下肢支持部材5、5’が連結される(取付けられる)ようになっているものである。
【0014】
なお、上記長下肢支持部材5、5’は、図1に示す如く、その正面視において、約10°〜20°の開き角度をもって取り付けられるようになっているものである。すなわち、本実施の形態においては、メインブロック16を間に挟んだ状態で、その両側面部に、対称形状に、キャリア11及びこれにアーム14を介して取り付けられる長下肢支持部材5、5’が、上記メインブロック16に対して、約5°〜10°の傾斜角をもって取り付けられるようになっているものである。そして、上記メインブロック16は、基本的には扇状の形態からなるものであって、その扇の要の部分を形成するところには所定の幅(厚み)を有するベース部166が設けられるようになっているとともに、当該ベース部166の下方部であって上記扇状の形態を有するところには、その両側面部に、同一形状のものからなるものであって、キャリア11を形成するメインローラ111の係合する円弧状溝161が設けられるようになっているものである。この円弧状溝161の、その円弧の中心点(O1)は、図3に示す如く、本股関節ジョイント機構1を有する長下肢装具を装着した者(患者)の仮想股関節回転中心点とほぼ合致するようになっているものである。また、上記円弧状溝161の、その円弧角度(θ)は、約20°〜45°の範囲に設定されるようになっているものである。
【0015】
また、このような構成からなる両円弧状溝161を有するメインブロック16の両側面部には、剛体状のプレートからなるサイドプレート17が設けられるようになっており、上記メインブロック16に形成された円弧状溝161と対応するように切欠穴171が設けられるようになっているものである。そして、このような切欠穴の上下に上記キャリア11に設けられたサイドローラ112、113、114の転動する円弧状のレール部172、173が設けられるようになっているものである(図3参照)。
【0016】
そして、このような構成からなるキャリア11のところには、図2及び図3に示す如く、動力補助機構2を形成する円弧状ラック21が設けられるようになっている。そして、この円弧状ラック21は、その円周ピッチ線が、図3に示す仮相股関節回転中心点であるO1点を中心とする円周の一部からなる円弧を形成するようになっているものである。そして更に、このような左右の円弧状ラック21の設けられるところには、図2及び図3に示す如く、これら左右の円弧状ラック21と噛合い係合するピニオンギヤ23が設けられるようになっているものである。そして、このようなピニオンギヤ23は、直接、または減速機構等を介して、電動モータ25に連結されるようになっているとともに、これらピニオンギヤ23及び電動モータ25は、図2に示す如く、ブラケット24を介して、上記メインブロック16の下方部のところに取り付けられるようになっているものである。なお、この電動モータ25については、この外に、その取付位置を長下肢支持部材5、5’の内側に設けるようにしたものも考えられる。そして、この場合、電動モータ25と上記ピニオンギヤ23との間にはフレキシブルシャフトが設けられ、当該フレキシブルシャフトを介してピニオンギヤ23に電動モータ25からの動力が適宜伝達されるようになっているものである。
【0017】
次に、このような構成からなる長下肢支持部材5、5’は、例えば図1に示す如く、上半部51、51’と下半部52、52’とに二分割されるとともに、これら上半部51、51’と下半部52、52’との間には、これら二つの部材間を回転自在なように連結するものであってヒンジ機構からなる膝関節ジョイント機構55、55’が設けられるようになっている。そして、この膝関節ジョイント機構55、55’周りには、当該膝関節ジョイント機構55、55’を作動させる動力補助機構3、3’が設けられるようになっているものである。
【0018】
これら膝関節ジョイント機構55、55’及び当該膝関節ジョイント機構55、55’を駆動する動力補助機構3、3’について、図4及び図5を基に説明する。まず、長下肢支持部材5を形成する上半部51と下半部52とは、例えば図4に示す如く、膝関節ジョイント機構55を介して相対回転運動が可能なように連結されるとともに、その上半部51にはカフ59が設けられ、当該カフ59を介して患者(装着者)の大腿部のところに上記上半部51が装着されるようになっているものである。また、下半部52にもカフ59が設けられ、当該カフ59を介して下半部52は患者の脛のところに装着されるようになっているものである。従って、このような長下肢支持部材5を装着した患者は、上記膝関節ジョイント機構55のところを支点にして膝関節部の屈曲運動をすることができるようになる。
【0019】
そして、このような膝関節ジョイント機構55のところには、ウオーム・ホイール機構及び電動モータからなる動力補助機構3、3’が設けられるようになっている(図1参照)。このものは、図4及び図5に示す如く、上記膝関節ジョイント機構55の回転中心(ヒンジ中心)と同一軸心上に設けられるものであって上記長下肢支持部材5を形成する上半部51または下半部52のうちのいずれか一方側の部材に固定的に取付けられるホイール31と、残りのもう一方側の部材に取付けられるものであって上記ホイール31と噛合い係合するように設けられるウオーム32と、当該ウオーム32を回転駆動する電動モータ35と、からなることを基本とするものである。このような構成を採ることにより、上記電動モータ35の作動が開始されると、ウオーム32が回転運動を開始するとともに、当該ウオーム32は上記ホイール31を回転駆動するようになる。
【0020】
ところで、本実施の形態のものにおいては、上記ホイール31は、上記長下肢支持部材5を形成する上半部51側に固定的に取付けられるようになっているので、上記ウオーム32はホイール31の周りを回転運動するようになる。また、上記ホイール31の中心は上記膝関節ジョイント機構55の回転中心(ヒンジ中心)と一致するようになっているものである。これらのことから、上記電動モータ35及びウオーム32の作動に伴って、長下肢支持部材5を形成する上半部51と下半部52とは、膝関節ジョイント機構55を中心にして相対屈曲運動をするようになる。これによって、患者(装着者)は、上記動力補助機構3の補助を受けて膝関節部において屈曲運動を行うことができるようになる。なお、このような構成からなる膝関節ジョイント機構55のところには、図5に示す如く、上記ホイール31とウオーム32との間の相対回転角度を検出するためのエンコーダ33が設けられるようになっている。そして、このエンコーダ33にて検出されたデータ(信号)は、図1に示す制御手段4のところにフィードバックされるようになっているものである。
【0021】
次に、このような構成からなる各動力補助機構2、3、3’の作動制御等を行う制御手段4について説明する。このものは、図1に示す如く、マイクロコンピュータを主に形成されるものであって、股関節ジョイント機構1の作動を補助する動力補助機構2の作動制御、及び上記股関節ジョイント機構1の作動に続いて行われる左右の膝関節ジョイント機構55、55’を中心とした上半部51と下半部52との間の相対屈曲運動の作動制御等を行うようになっているものである。そして、これら一連の制御は、予めROM部に入力されたデータ及びプログラムに基づいて行われるようになっているものである。なお、これらの制御作用を行う本制御手段4は、一体的にまとめられた状態で、例えば患者(装着者)の腰部等に取付けられるようになっているものである。
【0022】
このような構成からなる左右の長下肢支持部材5、5’の最下端部には、図1に示す如く、患者(装着者)のフット部が載せられる足載置体6、6’が設けられるようになっている。このものは、図4及び図6に示す如く、本足載置体6の踵部61のところが長下肢支持部材5を形成する下半部52の最下端部のところに支柱66を介して取付けられるようになっているものである。具体的には、踵部61のところが、支柱66の下端部のところに支点(O6)を介して相対回転運動が可能なように取付けられるようになっているものである。そして、このような足載置体6のつま先部65と上記支柱66との間には、上記つま先部65側が下方に降下するのを抑止するように作用するスプリング(コイルスプリング)7が設けられるようになっている。このコイルスプリング7の作用によって、上記足載置体6は、その底屈方向への移動が抑制されるようになる。従って、このような足載置体6を有する本長下肢装具を装着した患者は、歩行訓練時等において、常に底屈運動方向に対する反力を受けることとなり、歩行訓練運動等が円滑に進められるようになる。
【0023】
次に、このような構成からなる本実施の形態のものについての作動態様等について説明する。まず、股関節ジョイント機構1のところに設けられた動力補助機構2を形成する電動モータ25が一方向に回転運動、例えば正転運動をすると、これに伴なって、左右の円弧状ラック21は相対的に2倍の距離だけ、それぞれの方向に移動することとなる。その結果、当該円弧状ラック21と結合する左右のキャリア11、11及び左右の長下肢支持部材5、5’は、相対的に2倍の距離だけ移動させられるようになる。すなわち、本股関節ジョイント機構1は左右が連動するようになっているものであり、このようなジョイント機構を主体とする本長下肢装具の装着者は、一方の下肢が前方に移動させられることとなる。これと同時に、他方の下肢は後方へと引かれることとなる。このように左右の脚部(下肢)は相対的に2倍の距離だけ離れる(ストロークする)こととなる。
【0024】
次に、上記股関節ジョイント機構1を駆動する動力補助機構2の作動に伴って、左右の長下肢支持部材5、5’の膝関節ジョイント機構55、55’周りに設けられた動力補助機構3、3’が、制御手段4からの指令(信号)に基づいて作動をする。その結果、上記左右の長下肢支持部材5、5’の作動に連動した状態で各膝関節ジョイント機構55、55’を中心にした長下肢支持部材5、5’の上半部51、51’及び下半部52、52’の相対屈曲運動が開始されることとなる。これら一連の作動によって、患者(装着者)は膝関節部の屈曲運動を伴った脚部の振り出し運動を行うことができるようになる。
【0025】
そして、このようにして装着者の左右の脚部(下肢)のうち、いずれか一方の脚部(下肢)が、前方に振り出され、そして、この前方に振り出されたいずれか一方の下肢の、その足の部分(足載置体)6、6’が着地した状態において、次に、上記制御手段4からの信号に基づき、上記電動モータ25に逆転運動を与えるようにする。これによって、上記脚部(下肢)のうちの、もう一方の残りのものが前方に振り出される。このように、上記電動モータ25に、正転運動あるいは逆転運動を、交互に行なわせるようにすることによって、左右の脚部(下肢)の交互振り出し運動が行なわれることとなる。
【0026】
また、このような一連の運動(脚部の振り出し運動)中において、上記フット部(足載置体)6、6’が着地する場合、当該足載置体のつま先部65と支柱66との間には、図6に示す如く、本足載置体6、6’のつま先部65の底屈方向への降下を抑止するように作用するコイルスプリング7が設けられるようになっていることより、振り出された患者のフット部は足載置体6の踵部61側が着地するようになる。そして、このような状態から上記股関節ジョイント機構1の作動によって患者の股関節部が前方に運ばれるとともに、上記踵部61に設けられた回転中心(O6)を支点にした足載置体6の運動が進められることとなる。そして、この回転中心(O6)を支点とした足載置体6の運動は、上記コイルスプリング7のばね反力に抗した状態で行われることとなるので、患者(装着者)の踵部を中心にしたフット部の運動は円滑に行われるようになる。
【0027】
ところで、このような振り出し作動の行なわれる基点となる股関節ジョイント機構1を形成する、そのキャリア11に設けられる各ローラ111、112、113、114は、メインブロック16に形成された円弧状溝161内を、あるいはレール部172、173上を相対移動(転動)するようになっているものである。そして、これらローラの転動する上記円弧状溝161及びレール部172、173の、その円弧の中心点は、本長下肢装具装着者の仮想股関節回転中心点(O1)と、その側面視において、ほぼ合致するようになっているものである(図3参照)。従って、上記キャリア11及び当該キャリア11に上記アーム14を介して取り付けられる上記長下肢支持部材5、5’の上記メインブロック16に対する揺動運動の、その回転中心点は、本長下肢装具装着者の股関節回転中心点(側面視における)に、ほぼ合致することとなる。その結果、本長下肢装具装着者の下肢(脚部)の振り出し感覚は、下肢(脚部)に装着されている長下肢支持部材5、5’の揺動運動と、ほぼ合致することとなる。従って、装着者は、違和感の無い、円滑な下肢の振り出し動作を行なうことができるようになる。
【0028】
そして更に、本実施の形態のものにおいては、上記メインブロック16に対する、その側面部におけるキャリア11及び当該キャリア11に連結される長下肢支持部材5、5’の 相対摺動運動は、その正面視において、約5°〜10°の傾斜角、すなわち約10°〜20°の開き角度をもって保持されるようになっているものである。そして、このような左右のキャリア11、11は、そこに設けられた円弧状ラック21、ピニオンギヤ23、電動モータ25等からなる動力補助機構2の補助を受けて駆動されるようになっているものである。従って、このような各機構を介して取り付けられる左右の長下肢支持部材5、5’のところに支持される左右の各下肢(脚部)は上記電動モータ25からの補助動力の助けにより、その振り出し運動が円滑に行なわれるようになる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、下肢麻痺患者の歩行を助けるために用いられる長下肢装具に関して、装着者の下肢全体を保持する長下肢支持部材と、当該長下肢支持部材の上端部のところに設けられるものであって、左右に設けられる本長下肢支持部材を、その正面視において、所定の開き角をもって保持するとともに、その側面視において、上記左右の長下肢支持部材を所定の範囲内にて揺動運動可能なように支持し、更に、当該揺動運動の運動中心位置が、上記装着者の仮想股関節回転中心点とほぼ合致するように形成された股関節ジョイント機構と、上記長下肢支持部材の中間部に設けられるものであって上記長下肢支持部材の上半部と下半部とを相対回転運動が可能なように連結する膝関節ジョイント機構と、上記各ジョイント機構のところに設けられるものであって、当該ジョイント機構に連結される各部材を駆動する動力補助機構と、からなるようにした構成を採ることとしたので、当該装着者は、松葉杖等の補助具を用いることによって交互歩行を行うことができるようになった。そして、このとき、当該股関節ジョイント機構は、正面視において所定の開き角度を有するようになっていること、及び各長下肢支持部材は、その揺動運動の中心位置が装着者の仮想股関節回転中心点付近に来るように設置(セット)されていることにより、上記長下肢支持部材、すなわち、下肢の、その振り出し操作は円滑に行なわれるようになった。また、本発明のものにおいては、上記長下肢支持部材が上半部と下半部とに二分割されているとともに、これらの連結部のところには膝関節ジョイント機構が設けられるようになっているので、装着者は膝関節部を曲げ伸ばししながら歩行運動を行うことができるようになった。そして、これらの運動は、各ジョイント機構のところに設けられた動力補助機構の作動により補助されるようになっているので、患者(装着者)の脚部(下肢)の振り出し運動が円滑に行われるようになった。
【0030】
また、本発明においては、上記各ジョイント機構を駆動する動力補助機構の作動を制御するものであってマイクロコンピュータを主に形成される制御手段を設けるようにした構成を採ることとしたので、装着者の膝関節部における曲げ伸ばし運動を上記股関節ジョイント機構部の作動と連動させて行わせることができるようになり、装着者は歩行運動をより円滑に行なうことができるようになった。また、膝関節ジョイント機構の作動を予めコンピュータのROM部に入力しておいたプログラム等に基づいて制御させるようにすることによって、椅子に腰掛けた状態の装着者が自力にて起立作動等を行なうことができるようになった。
【0031】
また、本発明においては、上記各長下肢支持部材を形成する下半部の最下端部のところに設けられる足載置体を、その踵部付近にて、上記長下肢支持部材を形成する下半部に対して相対回転運動が可能なように連結するようにし、更に、上記長下肢支持部材を形成する下半部と上記足載置体との間に当該足載置体の底屈運動を規制するように作用するスプリングを設けるようにした構成を採ることとしたので、フット部を保持する足載置体のつま先部が下方に降下するように動く、いわゆる底屈運動に対して、所定の拘束力を発揮させることができるようになった。その結果、装着者は歩行運動を円滑に行うことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明の主要部を成す股関節ジョイント機構の全体構成を示す展開斜視図である。
【図3】本発明の主要部を成す股関節ジョイント機構の作動状態を示す側面図である。
【図4】本発明にかかる長下肢装具の全体構成を示す側面図である。
【図5】本発明にかかる膝関節ジョイント機構及びその駆動装置である動力補助機構の全体構成を示す図である。
【図6】本発明にかかる足載置体周りの全体構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 股関節ジョイント機構
11 キャリア
111 メインローラ
112 サイドローラ
113 サイドローラ
114 サイドローラ
14 アーム
16 メインブロック
161 円弧状溝
166 ベース部
17 サイドプレート
171 切欠穴
172 レール部
173 レール部
2 動力補助機構
21 円弧状ラック
23 ピニオンギヤ
24 ブラケット
25 電動モータ
3 動力補助機構
3’ 動力補助機構
31 ホイール
32 ウオーム
33 エンコーダ
35 電動モータ
4 制御手段
5 長下肢支持部材
5’ 長下肢支持部材
51 上半部
51’ 上半部
52 下半部
52’ 下半部
55 膝関節ジョイント機構
55’ 膝関節ジョイント機構
59 カフ
6 足載置体
6’ 足載置体
61 踵部
65 つま先部
66 支柱
7 スプリング(コイルスプリング)
【発明の属する技術分野】
本発明は、下肢麻痺患者の歩行を助けるために用いられる長下肢装具に関するものであり、特に、下肢(脚部)に装着される長下肢支持部材を、その上端部のところで連結するとともに、それぞれの長下肢支持部材が、装着者の仮想股関節回転中心点を支点にて揺動運動することができるようにし、更に、このような長下肢支持部材の膝関節部にもジョイント機構を設けるようにし、そして更に、これら各ジョイント機構部における作動を電動モータの駆動力にて補助させるようにした動力補助機構(パワーアシスト機構)付きの長下肢装具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、下肢麻痺患者用の装具としては、例えば特開平11−369号公報に記載の如く、下肢(脚部)に装着される長下肢支持部材をその上端部のところで連結するとともに、それぞれの長下肢支持部材が、装着者の仮想股関節回転中心点を支点にして揺動運動をすることができるようになっているものが挙げられる。そして、上記揺動運動が別途設けられた電動モータの駆動力によって補助されるようにしたもの等が挙げられる(特開平11−226070号公報参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−369号公報
【特許文献2】
特開平11−226070号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものにおいては、仮想股関節回転中心点を支点とした下肢(脚部)の振り出し運動は、別途設けられた電動モータの駆動力によって補助されるようになっているが、下肢全体は剛体状の長下肢支持部材にて固定されているため、膝関節部においては運動の自由度が制限されることとなる。このような問題点を解決するために、長下肢支持部材の膝関節部周りにもジョイント機構を設けるようにするとともに、この膝関節部のジョイント機構についても、電動モータによる動力補助(パワーアシスト)を行わせるようにした動力補助機構付き長下肢装具を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、下肢麻痺患者の歩行を助けるために用いられる長下肢装具に関して、装着者の下肢全体を保持する長下肢支持部材と、当該長下肢支持部材の上端部のところに設けられるものであって、左右に設けられる本長下肢支持部材を、その正面視において、所定の開き角をもって保持するとともに、その側面視において、上記左右の長下肢支持部材を所定の範囲内にて揺動運動可能なように支持し、更に、当該揺動運動の運動中心位置が、上記装着者の仮想股関節回転中心点とほぼ合致するように形成された股関節ジョイント機構と、上記長下肢支持部材の膝関節部周りに設けられるものであって上記長下肢支持部材の上半部と下半部とを相対回転運動が可能なように連結する膝関節ジョイント機構と、上記各ジョイント機構のところに設けられるものであって、当該ジョイント機構に連結される各部材を駆動する動力補助機構と、からなるようにした構成を採ることとした。
【0006】
このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては次のような作用を呈することとなる。すなわち、下肢麻痺状態の患者が本長下肢装具を装着することによって、当該装着者は、松葉杖等の補助具を用いることによって交互歩行を行うことができるようになる。まず、装着者は、自分の腰を横振りするように作動させることによって、一方の長下肢支持部材の装着された脚部(下肢)の部分を、本長下肢支持部材の上端部に設けられた股関節ジョイント機構を基点にして、前方へと振り出すことができるようになる。そして、このとき、当該股関節ジョイント機構は、正面視において所定の開き角度を有するようになっていること、及び各長下肢支持部材は、その揺動運動の中心位置が装着者の仮想股関節回転中心点付近に来るように設置(セット)されていることにより、上記長下肢支持部材、すなわち、下肢の、その振り出し操作は円滑に行なわれることとなる。また、上記各長下肢支持部材を連結する股関節ジョイント機構のところには動力補助機構が設けられるようになっているので、この動力補助機構の作動により、股関節ジョイント機構を介して設けられる両長下肢支持部材は、その振り出し作動が円滑に行われるようになる。
【0007】
また、本発明のものにおいては、上記長下肢支持部材が上半部と下半部とに二分割されているとともに、これらの連結部のところには膝関節ジョイント機構が設けられるようになっているので、装着者は膝関節部を曲げ伸ばししながら歩行運動を行うことができるようになる。そして、上記膝関節ジョイント機構のところには、当該膝関節ジョイント機構の作動を補助する動力補助機構が設けられるようになっているので、当該動力補助機構の作動により、装着者の膝関節部の曲げ伸ばし運動が円滑に行われるようになる。その結果、装着者の歩行運動は円滑に行われるようになる。
【0008】
次に、請求項2記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記請求項1記載のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1記載の動力補助機構付き長下肢装具に関して、上記股関節ジョイント機構を、中央に設けられるメインブロックと、当該メインブロックの両側面部のところを摺動運動するものであって長下肢支持部材の取付けられるキャリアと、からなるようにするとともに、当該股関節ジョイント機構を作動させる動力補助機構を、上記キャリアのところに設けられる円弧状ラック、当該左右の円弧状ラックと噛合い係合するピニオンギヤ、及び当該ピニオンギヤを駆動する電動モータからなるようにし、上記膝関節ジョイント機構を、上記長下肢支持部材を形成する上半部と下半部との間を相対回転運動が可能なように連結するジョイント機構からなるようにするとともに、上記膝関節ジョイント機構を駆動する動力補助機構を、上記長下肢支持部材を形成する上半部または下半部のうちのいずれか一方側に設けられるホイール及び残りのもう一方側に設けられるウオームにて形成されるウオーム・ホイール機構、及び当該ウオーム・ホイール機構を形成する上記ウオームを回転駆動する電動モータにて形成させるようにした構成を採ることとした。
【0009】
このような構成を採ることにより、本発明のものにおいても、上記請求項1記載のものと基本的には同じような作用を呈することとなる。すなわち、下肢麻痺状態の患者が本長下肢装具を装着することによって、当該装着者は、松葉杖等の補助具を用いることによって交互歩行を行なうことができるようになる。特に、本発明においては、上記股関節ジョイント機構が、正面視において所定の開き角度を有するようになっていること、及び各長下肢支持部材が、その揺動運動の中心位置が装着者の仮想股関節回転中心点付近に来るように設置(セット)されていることより、上記長下肢支持部材、すなわち、下肢の、その振り出し操作は円滑に行なわれることとなる。また、上記各長下肢支持部材を連結する股関節ジョイント機構は、メインブロックを中心にして、その両側面部のところに設けられるものであって左右の長下肢支持部材がそれぞれ取付けられるキャリアを主に形成されるようになっているものである。そして、このようなキャリアが上記メインブロックの両側面部を摺動運動するようになっているものである。そして更に、このようなキャリアの下方部には円弧状のラックが設けられるようになっており、これが動力補助機構を形成するピニオンギヤと噛み合うようになっているものである。従って、動力補助機構の作動により、上記キャリア及び当該キャリアに連結される左右の長下肢支持部材は、上記メインブロックを基点にして、当該メインブロックの両側面部のところを円滑に揺動運動することとなる。また、上記長下肢支持部材を形成する上半部と下半部との間を連結する膝関節ジョイント機構のところにはジョイント機構が設けられるようになっているとともに、この膝関節ジョイント機構のところにはウオーム・ホイール機構及び電動モータからなる動力補助機構が設けられるようになっているので、これら諸機構の作動により、装着者の膝関節部は、上記動力補助機構の補助を受けて円滑に動かされることとなる。その結果、両長下肢支持部材のところに支持される左右の各下肢(脚部)は、上記動力補助機構の作動により、その振り出し運動が円滑に行われることとなる。
【0010】
次に、請求項3記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記請求項1または請求項2記載のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1または請求項2記載の動力補助機構付き長下肢装具に関して、上記各ジョイント機構を駆動する動力補助機構の作動を制御するものであってマイクロコンピュータを主に形成される制御手段を設けるようにした構成を採ることとした。このような構成を採ることにより、本発明のものにおいても、上記請求項1または請求項2記載のものと同様、装着者の歩行運動が円滑に行われるようになる。これに加えて、更に本発明のものにおいては、各ジョイント機構部の駆動を担う各動力補助機構の作動順序等を含めた作動制御を、マイクロコンピュータを主に形成される制御手段にて行わせるようにしたので、装着者の膝関節部における曲げ伸ばし運動を動力補助を伴って円滑に行わせることができるようになる。その結果、装着者は歩行運動をより円滑に行なうことができるようになる。また、膝関節ジョイント機構の作動を予めコンピュータのROM部に入力しておいたプログラム等に基づいて制御させるようにすることによって、椅子に腰掛けた状態の装着者が自力にて起立作動等を行なうことができるようになる。
【0011】
次に、請求項4記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記請求項1記載のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1記載の動力補助機構付き長下肢装具に関して、上記各長下肢支持部材を形成する下半部の最下端部のところに設けられる足載置体を、その踵部付近にて、上記長下肢支持部材を形成する下半部に対して相対回転運動が可能なように連結するようにし、更に、上記長下肢支持部材を形成する下半部と上記足載置体との間に当該足載置体の底屈運動を規制するように作用するスプリングを設けるようにした構成を採ることとした。このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、上記請求項1記載のものと同様、装着者の歩行運動が円滑に行われるようになる。特に、本発明のものにおいては、フット部を保持する足載置体が、長下肢支持部材を形成する下半部の下端部のところに、足載置体の踵部を支点にして相対回転運動が可能なように取付けられるとともに、このような足載置体のつま先部が下方に降下するように動く、いわゆる底屈運動に対して、所定の拘束力を発揮させるように作用するスプリングが設けられるようになっているので、このスプリングのばね反力作用により、装着者の歩行運動中において、装着者のフット部には適度の底屈方向運動に対する反力が入力されるようになる。その結果、装着者は歩行運動を円滑に行うことができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1ないし図6を基に説明する。本発明の実施の形態に関するものの、その構成は、図1に示す如く、患者の下肢(脚部)全体を支持する長下肢支持部材5、5’と、これら左右の長下肢支持部材5、5’を、その上端部のところにて連結するとともに、上記両長下肢支持部材5、5’を、その正面視において所定の開き角度をもって(図1参照)、及び側面視において所定の揺動角度をもって揺動運動(振り出し運動)可能なように支持する股関節ジョイント機構1と、上記長下肢支持部材5、5’の中間部に設けられるものであって当該長下肢支持部材5、5’の上半部51、51’と下半部52、52’とを相対回転運動が可能なように連結する膝関節ジョイント機構55、55’と、上記各ジョイント機構1、55、55’のところに設けられるものであって、当該ジョイント機構に連結される各部材を駆動する動力補助機構2、3、3’と、当該動力補助機構2、3、3’の作動を制御する制御手段4と、からなることを基本とするものである。
【0013】
このような基本構成からなるものにおいて、上記左右の長下肢支持部材5、5’を連結する股関節ジョイント機構1は、図2に示す如く、本股関節ジョイント機構1の作動の基盤を成すメインブロック16と、当該メインブロック16の両側面部に設けられるものであって、当該メインブロック16に対して相対摺動運動、及び患者(装着者)の仮相股関節回転中心点を基点にしてのスイング運動(揺動運動)をするとともに、左右一組の状態で設けられるキャリア11、11と、からなることを基本とするものである。そして、このような股関節ジョイント機構1を形成する上記キャリア11の下方部のところには、上記仮相股関節回転中心点(O1)を基点にして形成される円弧の一部を成す円弧状ラック21、当該左右の円弧状ラック21と係合する一個のピニオンギヤ23、当該ピニオンギヤ23を駆動するものであって正転及び逆転運動が可能なように形成された電動モータ25、からなる動力補助機構2が設けられるようになっているものである。そして、このような構成からなる上記股関節ジョイント機構1を形成する上記キャリア11と一体的に形成される左右のアーム14のところには、患者の脚部(下肢)に装着される長下肢支持部材5、5’が連結される(取付けられる)ようになっているものである。
【0014】
なお、上記長下肢支持部材5、5’は、図1に示す如く、その正面視において、約10°〜20°の開き角度をもって取り付けられるようになっているものである。すなわち、本実施の形態においては、メインブロック16を間に挟んだ状態で、その両側面部に、対称形状に、キャリア11及びこれにアーム14を介して取り付けられる長下肢支持部材5、5’が、上記メインブロック16に対して、約5°〜10°の傾斜角をもって取り付けられるようになっているものである。そして、上記メインブロック16は、基本的には扇状の形態からなるものであって、その扇の要の部分を形成するところには所定の幅(厚み)を有するベース部166が設けられるようになっているとともに、当該ベース部166の下方部であって上記扇状の形態を有するところには、その両側面部に、同一形状のものからなるものであって、キャリア11を形成するメインローラ111の係合する円弧状溝161が設けられるようになっているものである。この円弧状溝161の、その円弧の中心点(O1)は、図3に示す如く、本股関節ジョイント機構1を有する長下肢装具を装着した者(患者)の仮想股関節回転中心点とほぼ合致するようになっているものである。また、上記円弧状溝161の、その円弧角度(θ)は、約20°〜45°の範囲に設定されるようになっているものである。
【0015】
また、このような構成からなる両円弧状溝161を有するメインブロック16の両側面部には、剛体状のプレートからなるサイドプレート17が設けられるようになっており、上記メインブロック16に形成された円弧状溝161と対応するように切欠穴171が設けられるようになっているものである。そして、このような切欠穴の上下に上記キャリア11に設けられたサイドローラ112、113、114の転動する円弧状のレール部172、173が設けられるようになっているものである(図3参照)。
【0016】
そして、このような構成からなるキャリア11のところには、図2及び図3に示す如く、動力補助機構2を形成する円弧状ラック21が設けられるようになっている。そして、この円弧状ラック21は、その円周ピッチ線が、図3に示す仮相股関節回転中心点であるO1点を中心とする円周の一部からなる円弧を形成するようになっているものである。そして更に、このような左右の円弧状ラック21の設けられるところには、図2及び図3に示す如く、これら左右の円弧状ラック21と噛合い係合するピニオンギヤ23が設けられるようになっているものである。そして、このようなピニオンギヤ23は、直接、または減速機構等を介して、電動モータ25に連結されるようになっているとともに、これらピニオンギヤ23及び電動モータ25は、図2に示す如く、ブラケット24を介して、上記メインブロック16の下方部のところに取り付けられるようになっているものである。なお、この電動モータ25については、この外に、その取付位置を長下肢支持部材5、5’の内側に設けるようにしたものも考えられる。そして、この場合、電動モータ25と上記ピニオンギヤ23との間にはフレキシブルシャフトが設けられ、当該フレキシブルシャフトを介してピニオンギヤ23に電動モータ25からの動力が適宜伝達されるようになっているものである。
【0017】
次に、このような構成からなる長下肢支持部材5、5’は、例えば図1に示す如く、上半部51、51’と下半部52、52’とに二分割されるとともに、これら上半部51、51’と下半部52、52’との間には、これら二つの部材間を回転自在なように連結するものであってヒンジ機構からなる膝関節ジョイント機構55、55’が設けられるようになっている。そして、この膝関節ジョイント機構55、55’周りには、当該膝関節ジョイント機構55、55’を作動させる動力補助機構3、3’が設けられるようになっているものである。
【0018】
これら膝関節ジョイント機構55、55’及び当該膝関節ジョイント機構55、55’を駆動する動力補助機構3、3’について、図4及び図5を基に説明する。まず、長下肢支持部材5を形成する上半部51と下半部52とは、例えば図4に示す如く、膝関節ジョイント機構55を介して相対回転運動が可能なように連結されるとともに、その上半部51にはカフ59が設けられ、当該カフ59を介して患者(装着者)の大腿部のところに上記上半部51が装着されるようになっているものである。また、下半部52にもカフ59が設けられ、当該カフ59を介して下半部52は患者の脛のところに装着されるようになっているものである。従って、このような長下肢支持部材5を装着した患者は、上記膝関節ジョイント機構55のところを支点にして膝関節部の屈曲運動をすることができるようになる。
【0019】
そして、このような膝関節ジョイント機構55のところには、ウオーム・ホイール機構及び電動モータからなる動力補助機構3、3’が設けられるようになっている(図1参照)。このものは、図4及び図5に示す如く、上記膝関節ジョイント機構55の回転中心(ヒンジ中心)と同一軸心上に設けられるものであって上記長下肢支持部材5を形成する上半部51または下半部52のうちのいずれか一方側の部材に固定的に取付けられるホイール31と、残りのもう一方側の部材に取付けられるものであって上記ホイール31と噛合い係合するように設けられるウオーム32と、当該ウオーム32を回転駆動する電動モータ35と、からなることを基本とするものである。このような構成を採ることにより、上記電動モータ35の作動が開始されると、ウオーム32が回転運動を開始するとともに、当該ウオーム32は上記ホイール31を回転駆動するようになる。
【0020】
ところで、本実施の形態のものにおいては、上記ホイール31は、上記長下肢支持部材5を形成する上半部51側に固定的に取付けられるようになっているので、上記ウオーム32はホイール31の周りを回転運動するようになる。また、上記ホイール31の中心は上記膝関節ジョイント機構55の回転中心(ヒンジ中心)と一致するようになっているものである。これらのことから、上記電動モータ35及びウオーム32の作動に伴って、長下肢支持部材5を形成する上半部51と下半部52とは、膝関節ジョイント機構55を中心にして相対屈曲運動をするようになる。これによって、患者(装着者)は、上記動力補助機構3の補助を受けて膝関節部において屈曲運動を行うことができるようになる。なお、このような構成からなる膝関節ジョイント機構55のところには、図5に示す如く、上記ホイール31とウオーム32との間の相対回転角度を検出するためのエンコーダ33が設けられるようになっている。そして、このエンコーダ33にて検出されたデータ(信号)は、図1に示す制御手段4のところにフィードバックされるようになっているものである。
【0021】
次に、このような構成からなる各動力補助機構2、3、3’の作動制御等を行う制御手段4について説明する。このものは、図1に示す如く、マイクロコンピュータを主に形成されるものであって、股関節ジョイント機構1の作動を補助する動力補助機構2の作動制御、及び上記股関節ジョイント機構1の作動に続いて行われる左右の膝関節ジョイント機構55、55’を中心とした上半部51と下半部52との間の相対屈曲運動の作動制御等を行うようになっているものである。そして、これら一連の制御は、予めROM部に入力されたデータ及びプログラムに基づいて行われるようになっているものである。なお、これらの制御作用を行う本制御手段4は、一体的にまとめられた状態で、例えば患者(装着者)の腰部等に取付けられるようになっているものである。
【0022】
このような構成からなる左右の長下肢支持部材5、5’の最下端部には、図1に示す如く、患者(装着者)のフット部が載せられる足載置体6、6’が設けられるようになっている。このものは、図4及び図6に示す如く、本足載置体6の踵部61のところが長下肢支持部材5を形成する下半部52の最下端部のところに支柱66を介して取付けられるようになっているものである。具体的には、踵部61のところが、支柱66の下端部のところに支点(O6)を介して相対回転運動が可能なように取付けられるようになっているものである。そして、このような足載置体6のつま先部65と上記支柱66との間には、上記つま先部65側が下方に降下するのを抑止するように作用するスプリング(コイルスプリング)7が設けられるようになっている。このコイルスプリング7の作用によって、上記足載置体6は、その底屈方向への移動が抑制されるようになる。従って、このような足載置体6を有する本長下肢装具を装着した患者は、歩行訓練時等において、常に底屈運動方向に対する反力を受けることとなり、歩行訓練運動等が円滑に進められるようになる。
【0023】
次に、このような構成からなる本実施の形態のものについての作動態様等について説明する。まず、股関節ジョイント機構1のところに設けられた動力補助機構2を形成する電動モータ25が一方向に回転運動、例えば正転運動をすると、これに伴なって、左右の円弧状ラック21は相対的に2倍の距離だけ、それぞれの方向に移動することとなる。その結果、当該円弧状ラック21と結合する左右のキャリア11、11及び左右の長下肢支持部材5、5’は、相対的に2倍の距離だけ移動させられるようになる。すなわち、本股関節ジョイント機構1は左右が連動するようになっているものであり、このようなジョイント機構を主体とする本長下肢装具の装着者は、一方の下肢が前方に移動させられることとなる。これと同時に、他方の下肢は後方へと引かれることとなる。このように左右の脚部(下肢)は相対的に2倍の距離だけ離れる(ストロークする)こととなる。
【0024】
次に、上記股関節ジョイント機構1を駆動する動力補助機構2の作動に伴って、左右の長下肢支持部材5、5’の膝関節ジョイント機構55、55’周りに設けられた動力補助機構3、3’が、制御手段4からの指令(信号)に基づいて作動をする。その結果、上記左右の長下肢支持部材5、5’の作動に連動した状態で各膝関節ジョイント機構55、55’を中心にした長下肢支持部材5、5’の上半部51、51’及び下半部52、52’の相対屈曲運動が開始されることとなる。これら一連の作動によって、患者(装着者)は膝関節部の屈曲運動を伴った脚部の振り出し運動を行うことができるようになる。
【0025】
そして、このようにして装着者の左右の脚部(下肢)のうち、いずれか一方の脚部(下肢)が、前方に振り出され、そして、この前方に振り出されたいずれか一方の下肢の、その足の部分(足載置体)6、6’が着地した状態において、次に、上記制御手段4からの信号に基づき、上記電動モータ25に逆転運動を与えるようにする。これによって、上記脚部(下肢)のうちの、もう一方の残りのものが前方に振り出される。このように、上記電動モータ25に、正転運動あるいは逆転運動を、交互に行なわせるようにすることによって、左右の脚部(下肢)の交互振り出し運動が行なわれることとなる。
【0026】
また、このような一連の運動(脚部の振り出し運動)中において、上記フット部(足載置体)6、6’が着地する場合、当該足載置体のつま先部65と支柱66との間には、図6に示す如く、本足載置体6、6’のつま先部65の底屈方向への降下を抑止するように作用するコイルスプリング7が設けられるようになっていることより、振り出された患者のフット部は足載置体6の踵部61側が着地するようになる。そして、このような状態から上記股関節ジョイント機構1の作動によって患者の股関節部が前方に運ばれるとともに、上記踵部61に設けられた回転中心(O6)を支点にした足載置体6の運動が進められることとなる。そして、この回転中心(O6)を支点とした足載置体6の運動は、上記コイルスプリング7のばね反力に抗した状態で行われることとなるので、患者(装着者)の踵部を中心にしたフット部の運動は円滑に行われるようになる。
【0027】
ところで、このような振り出し作動の行なわれる基点となる股関節ジョイント機構1を形成する、そのキャリア11に設けられる各ローラ111、112、113、114は、メインブロック16に形成された円弧状溝161内を、あるいはレール部172、173上を相対移動(転動)するようになっているものである。そして、これらローラの転動する上記円弧状溝161及びレール部172、173の、その円弧の中心点は、本長下肢装具装着者の仮想股関節回転中心点(O1)と、その側面視において、ほぼ合致するようになっているものである(図3参照)。従って、上記キャリア11及び当該キャリア11に上記アーム14を介して取り付けられる上記長下肢支持部材5、5’の上記メインブロック16に対する揺動運動の、その回転中心点は、本長下肢装具装着者の股関節回転中心点(側面視における)に、ほぼ合致することとなる。その結果、本長下肢装具装着者の下肢(脚部)の振り出し感覚は、下肢(脚部)に装着されている長下肢支持部材5、5’の揺動運動と、ほぼ合致することとなる。従って、装着者は、違和感の無い、円滑な下肢の振り出し動作を行なうことができるようになる。
【0028】
そして更に、本実施の形態のものにおいては、上記メインブロック16に対する、その側面部におけるキャリア11及び当該キャリア11に連結される長下肢支持部材5、5’の 相対摺動運動は、その正面視において、約5°〜10°の傾斜角、すなわち約10°〜20°の開き角度をもって保持されるようになっているものである。そして、このような左右のキャリア11、11は、そこに設けられた円弧状ラック21、ピニオンギヤ23、電動モータ25等からなる動力補助機構2の補助を受けて駆動されるようになっているものである。従って、このような各機構を介して取り付けられる左右の長下肢支持部材5、5’のところに支持される左右の各下肢(脚部)は上記電動モータ25からの補助動力の助けにより、その振り出し運動が円滑に行なわれるようになる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、下肢麻痺患者の歩行を助けるために用いられる長下肢装具に関して、装着者の下肢全体を保持する長下肢支持部材と、当該長下肢支持部材の上端部のところに設けられるものであって、左右に設けられる本長下肢支持部材を、その正面視において、所定の開き角をもって保持するとともに、その側面視において、上記左右の長下肢支持部材を所定の範囲内にて揺動運動可能なように支持し、更に、当該揺動運動の運動中心位置が、上記装着者の仮想股関節回転中心点とほぼ合致するように形成された股関節ジョイント機構と、上記長下肢支持部材の中間部に設けられるものであって上記長下肢支持部材の上半部と下半部とを相対回転運動が可能なように連結する膝関節ジョイント機構と、上記各ジョイント機構のところに設けられるものであって、当該ジョイント機構に連結される各部材を駆動する動力補助機構と、からなるようにした構成を採ることとしたので、当該装着者は、松葉杖等の補助具を用いることによって交互歩行を行うことができるようになった。そして、このとき、当該股関節ジョイント機構は、正面視において所定の開き角度を有するようになっていること、及び各長下肢支持部材は、その揺動運動の中心位置が装着者の仮想股関節回転中心点付近に来るように設置(セット)されていることにより、上記長下肢支持部材、すなわち、下肢の、その振り出し操作は円滑に行なわれるようになった。また、本発明のものにおいては、上記長下肢支持部材が上半部と下半部とに二分割されているとともに、これらの連結部のところには膝関節ジョイント機構が設けられるようになっているので、装着者は膝関節部を曲げ伸ばししながら歩行運動を行うことができるようになった。そして、これらの運動は、各ジョイント機構のところに設けられた動力補助機構の作動により補助されるようになっているので、患者(装着者)の脚部(下肢)の振り出し運動が円滑に行われるようになった。
【0030】
また、本発明においては、上記各ジョイント機構を駆動する動力補助機構の作動を制御するものであってマイクロコンピュータを主に形成される制御手段を設けるようにした構成を採ることとしたので、装着者の膝関節部における曲げ伸ばし運動を上記股関節ジョイント機構部の作動と連動させて行わせることができるようになり、装着者は歩行運動をより円滑に行なうことができるようになった。また、膝関節ジョイント機構の作動を予めコンピュータのROM部に入力しておいたプログラム等に基づいて制御させるようにすることによって、椅子に腰掛けた状態の装着者が自力にて起立作動等を行なうことができるようになった。
【0031】
また、本発明においては、上記各長下肢支持部材を形成する下半部の最下端部のところに設けられる足載置体を、その踵部付近にて、上記長下肢支持部材を形成する下半部に対して相対回転運動が可能なように連結するようにし、更に、上記長下肢支持部材を形成する下半部と上記足載置体との間に当該足載置体の底屈運動を規制するように作用するスプリングを設けるようにした構成を採ることとしたので、フット部を保持する足載置体のつま先部が下方に降下するように動く、いわゆる底屈運動に対して、所定の拘束力を発揮させることができるようになった。その結果、装着者は歩行運動を円滑に行うことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明の主要部を成す股関節ジョイント機構の全体構成を示す展開斜視図である。
【図3】本発明の主要部を成す股関節ジョイント機構の作動状態を示す側面図である。
【図4】本発明にかかる長下肢装具の全体構成を示す側面図である。
【図5】本発明にかかる膝関節ジョイント機構及びその駆動装置である動力補助機構の全体構成を示す図である。
【図6】本発明にかかる足載置体周りの全体構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 股関節ジョイント機構
11 キャリア
111 メインローラ
112 サイドローラ
113 サイドローラ
114 サイドローラ
14 アーム
16 メインブロック
161 円弧状溝
166 ベース部
17 サイドプレート
171 切欠穴
172 レール部
173 レール部
2 動力補助機構
21 円弧状ラック
23 ピニオンギヤ
24 ブラケット
25 電動モータ
3 動力補助機構
3’ 動力補助機構
31 ホイール
32 ウオーム
33 エンコーダ
35 電動モータ
4 制御手段
5 長下肢支持部材
5’ 長下肢支持部材
51 上半部
51’ 上半部
52 下半部
52’ 下半部
55 膝関節ジョイント機構
55’ 膝関節ジョイント機構
59 カフ
6 足載置体
6’ 足載置体
61 踵部
65 つま先部
66 支柱
7 スプリング(コイルスプリング)
Claims (4)
- 装着者の下肢全体を保持する長下肢支持部材と、当該長下肢支持部材の上端部のところに設けられるものであって、左右に設けられる本長下肢支持部材を、その正面視において、所定の開き角をもって保持するとともに、その側面視において、上記左右の長下肢支持部材を所定の範囲内にて揺動運動可能なように支持し、更に、当該揺動運動の運動中心位置が、上記装着者の仮想股関節回転中心点とほぼ合致するように形成された股関節ジョイント機構と、上記長下肢支持部材の膝関節部周りに設けられるものであって上記長下肢支持部材の上半部と下半部とを相対回転運動が可能なように連結する膝関節ジョイント機構と、上記各ジョイント機構のところに設けられるものであって、当該ジョイント機構に連結される各部材を駆動する動力補助機構と、からなることを特徴とする動力補助機構付き長下肢装具。
- 請求項1記載の動力補助機構付き長下肢装具において、上記股関節ジョイント機構を、中央に設けられるメインブロックと、当該メインブロックの両側面部のところを摺動運動するものであって長下肢支持部材の取付けられるキャリアと、からなるようにするとともに、当該股関節ジョイント機構を作動させる動力補助機構を、上記キャリアのところに設けられる円弧状ラック、当該円弧状ラックと噛合い係合するピニオンギヤ、及び当該ピニオンギヤを駆動する電動モータからなるようにし、上記膝関節ジョイント機構を、上記長下肢支持部材を形成する上半部と下半部とを相対回転運動可能なように連結するジョイント機構からなるようにするとともに、上記膝関節ジョイント機構を駆動する動力補助機構を、上記長下肢支持部材を形成する上半部または下半部のうちのいずれか一方側に設けられるホイール及び残りのもう一方側に設けられるウオームにて形成されるウオーム・ホイール機構、及び当該ウオーム・ホイール機構を形成する上記ウオームを回転駆動する電動モータにて形成させるようにした構成からなることを特徴とする動力補助機構付き長下肢装具。
- 請求項1または請求項2記載の動力補助機構付き長下肢装具において、上記各ジョイント機構を駆動する動力補助機構の作動を制御するものであってマイクロコンピュータを主に形成される制御手段を設けるようにしたことを特徴とする動力補助機構付き長下肢装具。
- 請求項1記載の動力補助機構付き長下肢装具において、上記各長下肢支持部材を形成する下半部の最下端部のところに設けられる足載置体を、その踵部付近にて、上記長下肢支持部材を形成する下半部に対して相対回転運動が可能なように連結するようにし、更に、上記長下肢支持部材を形成する下半部と上記足載置体との間に当該足載置体の底屈運動を規制するように作用するスプリングを設けるようにした構成からなることを特徴とする動力補助機構付き長下肢装具。
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