本発明の第1実施形態を以下に図面を参照しつつ説明する。なお、この第1実施形態は、本願発明のうちの前記第1〜第5発明の実施形態である。
まず、図1〜図3を参照して、本実施形態の歩行補助装置の構造を説明する。図1は該歩行補助装置1の側面図、図2は図1のII線矢視図、図3は図1のIII−III線断面図である。なお、これらの図1〜図3の歩行補助装置1は、それを利用者A(仮想線で示す)に装備して動作させた状態で示している。この場合、図示の利用者Aはほぼ直立姿勢で起立している。但し、図2では、歩行補助装置1の構造を判り易くするために、利用者Aは、その両脚を左右に開いた姿勢を採っている。
図1および図2を参照して、歩行補助装置1は、利用者Aの体重の一部を支持する(利用者が自身の脚(立脚)で支持する重量を自身の体重よりも軽減する)体重免荷アシスト装置である。この歩行補助装置1は、利用者Aが着座する着座部2と、この着座部2に連結された左右一対の脚リンク3L,3Rとを備えている。脚リンク3L,3Rは互いに同一構造である。なお、図1では、脚リンク3L,3Rは、同じ姿勢で利用者Aの左右方向(図1の紙面に垂直な方向)に並んでいる。この状態では、図面上、重なっている(左側の脚リンク3Lが図の手前側に位置している)。
ここで、本明細書の実施形態の説明では、符号「R」は、利用者Aの右脚もしくは歩行補助装置1の右側の脚リンク3Rに関連するものという意味で使用し、符号「L」は、利用者Aの左脚もしくは歩行補助装置1の左側の脚リンク3Lに関連するものという意味で使用する。但し、左右を特に区別する必要が無いときは、符号R,Lをしばしば省略する。
着座部2は、サドル状のものであり、利用者Aは着座部2を跨ぐようにして(着座部2を利用者Aの両脚の付け根の間に配置するようにして)該着座部2の上面(座面)に着座可能とされている。この着座により、着座部2には、その上方から利用者Aの体重の一部が付与されるようになっている。なお、着座部2は、本発明における受け部に相当するものである。
また、着座部2の前端部2fと後端部2rとは、図1に示す如く、上方側に突出されており、これにより、利用者Aの着座部2に対する着座位置(前後方向の位置)が着座部2の前端部2fと後端部2rとの間に規制されるようになっている。なお、着座部2の前端部2fは、図2に示す如く二股状に形成されている。
各脚リンク3は、それぞれ着座部2の下面部に第1関節10を介して連結された大腿フレーム11と、この大腿フレーム11に第2関節12を介して連結された下腿フレーム13と、この下腿フレーム13に第3関節14を介して連結された足平装着部15とを備えている。
各脚リンク3の第1関節10は、利用者Aの股関節に相当する関節であり、該脚リンク3の左右方向の軸回りの揺動運動(脚リンク3の前後方向の振り出し運動)と、前後方向の軸回りの揺動運動(内転・外転運動)とを可能とする関節である。この第1関節10は、着座部2の下側に配置されており、着座部2の下面部の前側寄りの箇所と後端箇所とで図1の一点鎖線で示す前後方向の軸心C上に同軸に配置された一対の軸ピン20f,20rと、この軸ピン20f,20rにそれぞれ回転自在に軸支されたブラケット21f,21rと、これらのブラケット21f,21rの下端部に固定された円弧状のガイドレール22と、このガイドレール22に沿って移動自在に該ガイドレール22に支承されたプレート23とを備えている。そして、このプレート23から斜め前方および下方に向かって前記大腿フレーム11が延設されている。該大腿フレーム11は大略ロッド状の部材であり、プレート23と一体に構成されている。
各軸ピン20f,20rは、それぞれの両端部(前後端部)が着座部2の下面部に固定された軸受け24f,24rを介して該着座部2に固定されている。そして、ブラケット21fは、その上端部が軸ピン20fの中間部の外周に嵌合されて該軸ピン20fに軸支され、該軸ピン20fの軸心Cまわりに回転自在とされている。同様に、ブラケット21rは、その上端部が軸ピン20rの中間部の外周に嵌合されて該軸ピン20rに軸支され、該軸ピン20rの軸心Cまわりに回転自在とされている。従って、各第1関節10のガイドレール22は、ブラケット21f,21rと共に、軸ピン20f,20rの軸心Cを回転軸心として、揺動するようになっている。なお、本実施形態では、脚リンク3R,3Lのそれぞれの第1関節10R,10Lは、回転軸心Cを共通としており、軸ピン20f,20rを脚リンク3Rの第1関節10Rと脚リンク3Lの第1関節10Lとで共用している。すなわち、右側の第1関節10Rのブラケット21fRおよび左側の第1関節10Lのブラケット21fRは、いずれも共通の軸ピン20fに軸支され、右側の第1関節10Rのブラケット21rRおよび左側の第1関節10Lのブラケット21rLは、いずれも共通の軸ピン20rに軸支されている。
各脚リンク3の第1関節10のプレート23は、ガイドレール22の円弧を含む面に平行な姿勢で該ガイドレール22に近接して配置されている。このプレート23には、図1に示すように複数(例えば4個)の回転自在なローラ25を有するキャリア26が固定されている。そして、このキャリア26のローラ25がガイドレール22の上面(内周面)および下面(外周面)に同数づつ転動自在に係合されている。これにより、プレート23は、ガイドレール22に沿って移動自在とされている。この場合、ガイドレール22と着座部2との位置関係およびガイドレール22の円弧の半径は、ガイドレール22の円弧の中心点Pが、図1に示すように歩行補助装置1を矢状面で見たとき、着座部2と利用者Aとの接触面の前後方向の幅内で着座部2の上側に存在するように設定されている。該中心点Pは、本発明における所定の点に相当するものである。
以上説明した第1関節10の構成により、プレート23と一体の大腿フレーム11は、利用者Aの前後方向の回転軸心Cのまわりに揺動自在とされている。この揺動運動により、各脚リンク3の内転・外転運動が可能とされる。また、プレート23と一体の大腿フレーム11は、前記中心点(所定の点)Pを通る左右方向の軸まわりに(より正確にはガイドレール22の円弧を含む面に垂直で中心点Pを通る軸まわりに)揺動自在とされている。この揺動運動により、各脚リンク3の前後の振り出し運動が可能とされる。なお、本実施形態では、第1関節10は、前後方向および左右方向の2軸まわりの回転運動を可能とする関節である。ただし、さらに、上下方向の軸まわりの回転運動(各脚リンク3の内旋・外旋運動)が可能なように(すなわち、3軸まわりの回転運動が可能なように)第1関節を構成してもよい。あるいは、第1関節は、左右方向の1軸まわりの回転運動だけを可能とする関節(各脚リンク3の前後の揺動運動だけを可能とする関節)であってもよい。
また、各脚リンク3の第1関節10のプレート23は、図1に示す如く、歩行補助装置1を矢状面で見たとき、前記キャリア26の箇所から着座部2の後方側に向かって延在している。そして、このプレート23の後端部には、電動モータ27と、この電動モータ27のロータの回転角(所定の基準位置からの回転角)を検出する回転角検出手段としてのロータリエンコーダ28とが同軸に取り付けられている。本実施形態では、各脚リンク3の第1〜第3関節10,12,14のうちの第2関節12を駆動するようにしており、上記電動モータ27は、第2関節12を駆動するアクチュエータである。また、ロータリエンコーダ28は、第2関節12の変位量(回転角)を検出する変位量センサとしての機能を持つ。該ロータリーエンコーダが検出する回転角は、第2関節12の回転角(屈曲角度)を計測するために利用される。なお、左側脚リンク3Lの電動モータ27Lと、右側脚リンク3Rの電動モータ28Rとは、それぞれ本発明における左用アクチュエータ、右用アクチュエータに相当する。各アクチュエータは、油圧もしくは空圧アクチュエータを使用してもよい。また、各アクチュエータは、例えば着座部2の後部に適宜のブラケットを介して固定してもよい。あるいは、各アクチュエータを各脚リンク3の第2関節12に取り付けて、該第2関節12を直接的に駆動するようにしてもよい。また、第2関節12の変位量を検出する変位量センサは、各脚リンク3の第2関節12に直接的に取り付けてあってもよい。さらには、変位量センサは、ロータリエンコーダに代えて、ポテンショメータ等により構成してもよい。
各脚リンク3の第2関節12は、利用者Aの膝関節に相当する関節であり、該脚リンク3の伸展・屈曲運動を可能とする関節である。この第2関節12は、大腿フレーム11の下端部と下腿フレーム13の上端部とを左右方向の軸心(より正確には、前記ガイドレール22の円弧を含む面に垂直な方向の軸心)を有する軸ピン29を介して連結し、その軸ピン29の軸心まわりに下腿フレーム13を大腿フレーム11に対して相対回転自在としている。なお、第2関節12には、大腿フレーム11に対する下腿フレーム13の回転可能範囲を規制する図示しないストッパが設けられている。
各脚リンク3の下腿フレーム13は、該脚リンク3の第2関節12から斜め下方に延在する大略ロッド状のものである。この下腿フレーム13は、より詳しくは、第3関節14寄りの部分を構成する下部下腿フレーム13bと、この下部下腿フレーム13bよりも上側の部分を構成するロッド状の上部下腿フレーム13aとを、これらの間に力センサ30(これは本発明における第2力センサに相当する)を介在させて連結することで構成されている。下部下腿フレーム13bは、上部下腿フレーム13aに比して十分に短いものとされている。これにより、力センサ30は、第3関節14の近傍に配置されている。該力センサ30は、キスラーセンサ(登録商標)といわれる力センサであり、3軸の並進力(力センサ30の表面に垂直な軸方向の並進力と該表面に平行で且つ互いに直交する2つの軸方向の並進力)を検出する3軸力センサである。但し、本実施形態では、後述するように、検出される3軸の並進力のうちの2軸の並進力の検出値だけを利用する。従って、力センサ30を2軸の並進力を検出する2軸力センサで構成してもよい。
また、下腿フレーム13の上部下腿フレーム13aの上端部には、前記第2関節12の軸ピン29のまわりに該下腿フレーム13と一体に回転自在なプーリ31が固定されている。このプーリ31の外周部には、前記電動モータ27の回転駆動力を該プーリ31に伝達する駆動力伝達手段としての一対のワイヤ32a,32bの端部が固定されている。これらのワイヤ32a,32bは、プーリ31の外周部の直径方向に対向する2箇所からそれぞれ該プーリ31の接線方向に引き出されている。そして、ワイヤ32a,32bは、大腿フレーム11沿いに配管された図示しないゴム管(ワイヤの保護管)の中を通って、電動モータ27の回転駆動軸(図示省略)に連結されている。この場合、電動モータ27の回転駆動軸の正転によってワイヤ32a,32bの一方がプーリ31に巻き取られつつ他方がプーリ31から引きだされ、また、電動モータ27の回転駆動軸の逆転によってワイヤ32a,32bの他方がプーリ31に巻き取られつつ一方がプーリ31から引き出されるようにこれらのワイヤ32a,32bに電動モータ27から張力が付与されるようになっている。これにより、電動モータ27の回転駆動力がワイヤ32a,32bを介してプーリ31に伝達され、該プーリ31が回転駆動される(該プーリ31を固定した下腿フレーム13が大腿フレーム11に対して第2関節12の軸ピン29の軸心まわりに回転する)ようになっている。
なお、下腿フレーム13の下部下腿フレーム13bの下端部は、図3に示す如く、二股状に形成された2股状に形成された二股部13bbとなっている。
各脚リンク3の第3関節14は、利用者Aの足首関節に相当する関節である。この第3関節14は、本実施.形態では、図3に示す如く、3軸まわりの回転を可能とするフリージョイント33(図3参照)により構成され、このフリージョイント33が下腿フレーム13の下部下腿フレーム13bの前記二股部13bbに介装されて、該下腿フレーム13の下端部(二股部13bb)と足平装着部15の上部の連結部34とを連結している。これにより、足平装着部15は、下腿フレーム13に対して3自由度の回転が可能となっている。なお、足平装着部15の前後方向の軸まわりの回転に関しては、その回転可能範囲が下腿フレーム13の二股部13bbによって規制されるようになっている。
各脚リンク3の足平装着部15は、利用者Aの各足平に履かせる靴35と、この靴35の内部に収容されて上端部が前記連結部34に固定された鐙形状の環状部材36とを備えている。環状部材36は、図3に示す如く、その平坦な底板部を靴35の内部の底面に当接させ、且つその底板部の両端に連なる湾曲部を靴35の横断面沿いの側壁に当接させるようにして靴35の内部に収容されている。また、靴35の内部には、靴35の内部の底面と環状部材36の底板部とを覆うようにして可撓性の中敷部材37(図1では図示省略)が挿入されている。なお、連結部34は、靴35の靴紐装着部の開口を介して靴35の内部に挿入されている。
利用者Aの各足平に各脚リンク3の足平装着部15を装着するときには、その足平のつま先側の部分を、環状部材36の内部を通し、且つ、該足平の底面に前記中敷部材37を敷くようにして、靴35の履き口から利用者Aの足平を靴35の内部に挿入し、さらに靴紐を締め付けることで、該足平に足平装着部15が装着されるようになっている。
また、足平装着部15の中敷部材37の下面には、靴35の前部側の箇所(環状部材36の底板部よりも前側の箇所)と後側の箇所(環状部材36の底板部よりも後側の箇所)とに力センサ38,39が取り付けられている。前側の力センサ38は、足平装着部15を装着した利用者Aの足平のMP関節(中趾節関節)のほぼ直下に存するように配置されている。また、後側の力センサ39は、該足平の踵のほぼ直下に存するように配置されている。これらの力センサ38,39は、本実施形態では、足平装着部15の底面(接地面)に垂直な方向(利用者Aの脚が立脚となる状態ではほぼ床面に垂直な方向)の並進力を検出する1軸力センサである。以降、力センサ36,37をそれぞれMPセンサ38、踵センサ39という。なお、MPセンサ38、踵センサ39は、それらを合わせて、本発明における第1力センサを構成する。ここで、中敷部材37は、必ずしも剛体板である必用はなく、柔軟な(可撓性の)材質で構成してもよい。中敷部材37を柔軟な材質で構成した場合には、その下面側に複数の第1力センサを設けることで、利用者Aの足平の底面の各部にかかる力を精度良く検出することができる。一方、中敷部材37を剛体板で構成した場合には、利用者Aの足平全体による踏力を検出し易くなる。このため、中敷部材37の下面側に設置する第1力センサの個数を減らすことができる。
以上が本実施形態の歩行補助装置1の構造的な構成である。補足すると、利用者Aの各足平に各足平装着部15を装着し、また、後述するように歩行補助装置1を動作させつつ(電動モータ27により第2関節12を駆動しつつ)利用者Aが着座部2に着座した状態では、その利用者Aおよび歩行補助装置1を前額面で見たとき(利用者Aの正面側から見たとき)、例えば左側脚リンク3Lの大腿フレーム11Lは、利用者Aの左脚の内側面沿いに延在し(図2参照)、該第2リンク11Lの下端部の第2関節12Lも該左脚の内側に位置する。そして、図示を省略するが、この第2関節12Lに連なる下腿フレーム13Lは、前額面で見たとき、下腿フレーム13Lの上部(上部下腿フレーム13Lの上部)が第2関節12Lから利用者Aの左脚の内側面沿いに延在する。そして、下腿フレーム13Lの下側の部分が徐々に湾曲しつつ、該左脚の脛の前側で該左脚の足平の甲の直上に至るように形成されている。右側脚リンク3Rについても同様である。
また、通常的な体型の利用者Aが直立姿勢で起立したとき、各脚リンク3の第2関節12が図1に示す如く利用者Aの脚よりも前方に突き出るようになっている。すなわち、大腿フレーム11の長さと下腿フレーム13の長さとは、それらの長さの和が通常的な体型の利用者Aの脚の股下寸法よりも多少長いものになるように設定されている。このような大腿フレーム11および下腿フレーム13の長さの設定と、上述の第2関節12に設けられたストッパとによって、大腿フレーム11および下腿フレーム13が一直線となってしまう特異点状態や、大腿フレーム11および下腿フレーム13が図1に示す状態とは逆に屈曲した状態が生じないようになっている。この結果、各脚リンク3の特異点状態や逆屈曲状態に起因して、歩行補助装置1の制御が不能となってしまうことが防止される。
なお、各脚リンク3の第2関節は、直動型の関節であってもよい。
以上の如く構成された歩行補助装置1では、詳細は後述するが、利用者Aの各脚の足平に足平装着部15を装着した状態で、各電動モータ27により各第2関節12のトルクを発生させることで、着座部2から利用者Aに上向きの持ち上げ力を作用させる。このとき、例えば利用者Aの両脚を立脚(利用者Aの体重を支えようとする脚)として起立している状態(いわゆる両脚支持期の状態)では、両足平装着部15,15が床に接地し、そのそれぞれの接地面に床反力が作用する。各足平装着部15の接地面に作用する床反力は、それらの合力が、利用者Aに作用する重力と歩行補助装置1に作用する重力との和に釣り合うような床反力、すなわち、利用者Aと歩行補助装置1とを合わせた全重量を床に支えるための力(並進力。以下のこの力を全支持力という)である。なお、利用者Aの脚が歩行補助装置1の脚リンク3と共に歩行運動をしているときには、全支持力には、より正確には、利用者Aおよび歩行補助装置1の遊脚の運動によって発生する慣性力を支える力も加わるが、本実施形態の歩行補助装置1では、重量の大きな電動モータ27(アクチュエータ)およびエンコーダ28が各脚リンク3の膝付近ではなく、腰付近に配置されている。また、各脚リンク3の、利用者Aに拘束(装着)される部分は足平装着部15だけなので、利用者Aへの装着部材が少なく、各脚リンク3が軽量なものとなっている。このため、歩行補助装置1の遊脚の運動に伴う上記慣性力は十分に小さいものとなっている。
この場合、本実施形態の歩行補助装置1では、その両足平装着部15,15だけが利用者Aに装着されて拘束されている。また、各足平装着部15には前記環状リンク部材36が備えられている。このため、歩行補助装置1に作用する重力と該歩行補助装置1が着座部2を介して利用者Aから受ける荷重(下向きの並進力)とは、利用者Aにはほとんど作用せずに、両脚リンク3,3から両足平装着部15,15の環状リンク部材36,36を経由して床面に作用する。
従って、歩行補助装置1の両脚リンク3,3には、前記全支持力のうち、歩行補助装置1に作用する重力と該歩行補助装置1が着座部2を介して利用者Aから受ける荷重とを支えるための支持力が作用する。この支持力を歩行補助装置1が両脚リンク3,3を介して負担することとなる。以下、このように歩行補助装置1が負担する支持力を補助装置負担支持力という。該補助装置負担支持力は、換言すれば、歩行補助装置1の全体の重量と着座部2が利用者Aから受ける荷重に相当する重量(利用者Aの体重の一部)とを床に支えるための支持力である。なお、利用者Aの両脚が立脚であるとき(歩行補助装置1の両足平装着部15が接地しているとき)は、前記補助装置負担支持力を両脚リンク3,3で分担して負担する(補助装置負担支持力のうちの一部の支持力を一方の脚リンク3で負担し、残部の支持力を他方の脚リンク3で負担する)こととなる。また、利用者Aの一方の脚だけが立脚であるとき(他方の脚が遊脚であるとき)には、前記補助装置負担支持力の全てを立脚側の脚リンク3で負担することとなる。以降、補助装置負担支持力のうちの、各脚リンク3で負担する支持力(各脚リンク3に作用する支持力)を脚リンク支持力と言い、右側脚リンク3で負担する支持力を右側脚リンク支持力、左側脚リンク3で負担する支持力を左側脚リンク支持力と言う。左側脚リンク支持力と右側脚リンク支持力との総和は補助装置負担支持力に一致する。
一方、利用者Aの両脚には、前記全支持力から前記補助装置負担支持力を差し引いた分の支持力が床面側から作用し、この支持力を利用者Aがその脚で負担することとなる。以下、このように利用者Aが負担する支持力を利用者負担支持力という。該利用者負担支持力は、換言すれば、利用者Aの体重から、利用者Aが歩行補助装置1の着座部2に作用させる荷重に相当する重量を差し引いた重量を床に支えるための支持力である。なお、利用者Aの両脚が立脚であるときは、前記利用者負担支持力を利用者Aの両脚で分担して負担する(利用者負担支持力のうちの一部の支持力を一方の脚で負担し、残部の支持力を他方の脚で負担する)こととなる。また、利用者Aの一方の脚だけが立脚であるときには、前記利用者負担支持力の全てを該一方の脚で負担することとなる。以降、利用者負担支持力のうちの、各脚で負担する支持力(各脚に床面側から作用する支持力)を利用者脚支持力と言い、右脚で負担する支持力を利用者右脚支持力、左脚で負担する支持力を利用者左脚支持力と言う。利用者左脚支持力と利用者右脚支持力との総和は利用者負担支持力に一致する。また、利用者Aが自身を支えるために各脚の足平を床面側に押し付ける力を該脚の踏力という。各脚の踏力は、上記利用者脚支持力に釣り合う力である。
補足すると、各脚リンク3に備えた力センサ30は、第3関節14の上側に設けられているので、該脚リンク3に係わる脚リンク支持力から、該脚リンク3の力センサ30の下側の部分(足平装着部15など)の重量を支えるための支持力を差し引いた支持力が該力センサ30に作用する。その作用する支持力の3軸方向の成分(あるいは2軸方向の成分)が該力センサ30で検出される。換言すれば、各力センサ30に作用する力(これは本発明における制御対象力に相当する)は、歩行補助装置1の全体の重量から各力センサ30の下側の部分の重量の総和を差し引いた重量と、利用者Aから着座部2に付与される荷重に相当する重量とを支えるためのトータルの支持力のうちの、該力センサ30を備えた脚リンク3での負担分に相当する。また、両力センサ30,30でそれぞれ検出される支持力の総和が、歩行補助装置1の全体の重量から各力センサ30の下側の部分の重量の総和を差し引いた重量と、利用者Aから着座部2に付与される荷重に相当する重量とを支えるためのトータルの支持力に一致する(以降、力センサ30を支持力センサ30という)。なお、歩行補助装置1の各支持力センサ30の下側の部分の重量の総和は、歩行補助装置1の全体の重量に比して十分に小さい。このため、各支持力センサ30に作用する支持力は、前記脚リンク支持力にほぼ等しい。さらに、各支持力センサ30は、それを備えた脚リンク3の第3関節14に近接して設けられている。このため、該支持力センサ30に作用する支持力は、該脚リンク3の第3関節14から下腿フレーム13に作用する並進力(脚リンク支持力のうち、下腿フレーム13に床側から第3関節14を介して伝達される支持力)にほぼ等しい。以降、各支持力センサ30に作用する支持力、あるいは各脚リンク3の第3関節14から下腿フレーム13に作用する並進力の、両脚リンク3,3についての総和を総持ち上げ力と言う。また、この総持ち上げ力のうちの各脚リンク3の負担分を総持ち上げ力負担分と言う。
また、左側足平装着部15LのMPセンサ38Lおよび踵センサ39Lに作用する力の総和が前記利用者左脚支持力(あるいは左脚の踏力)に相当し、右側足平装着部15RのMPセンサ38Rおよび踵センサ39Rに作用する力の総和が前記利用者右脚支持力(あるいは右脚の踏力)に相当する。なお、本実施形態では、MPセンサ38および踵センサ39を1軸力センサとしたが、例えば靴33の底面にほぼ平行な方向の並進力をも検出する2軸力センサ、もしくは3軸力センサでもよい。MPセンサ38および踵センサ39は、少なくとも靴33の底面または床面にほぼ垂直な方向の並進力を検出し得るセンサであることが望ましい。
次に、上記の如く構成された歩行補助装置1の制御装置を説明する。
図4は、該制御装置50の構成(ハード構成)を概略的に示すブロック図である。図示の如く、制御装置50は、マイクロコンピュータ(CPU、RAM、ROM)および入出力回路(A/D変換器など)により構成された演算処理部51と、前記電動モータ27R,27Lのそれぞれのドライバ回路52R,52Lと、歩行補助装置1による利用者Aの持ち上げ力(着座部2から利用者Aに作用させる上向きの並進力)の大きさの目標値を設定するための持ち上げ力設定用キースイッチ53と、利用者Aの持ち上げ力を発生させるか否かを選択する持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54と、電源電池55と、該電源電池55に電源スイッチ56(ON・OFFスイッチ)を介して接続され、電源スイッチ56がON操作(閉成)されたときに電源電池55から制御装置50の各回路51,52R,52Lに電源電力を供給する電源回路57と備えている。なお、持ち上げ力設定用キースイッチ53は、本発明における目標持ち上げ力設定手段に相当する。
この制御装置50は、着座部2の後端部あるいは前記プレート23R,23Lなどにブラケット(図示せず)を介して固定されている。また、持ち上げ力設定用キースイッチ53、持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54および電源スイッチ56は、制御装置50の筐体(図示省略)の外面部に操作可能に装着されている。なお、持ち上げ力設定用キースイッチ53は、持ち上げ力の所望の目標値を直接的に設定し、あるいは、あらかじめ用意された複数種類の目標値から選択的に設定し得るように、テン・キースイッチあるいは複数の選択スイッチなどにより構成されている。
制御装置50には、図示を省略する接続線を介して前記MPセンサ38R,38L、踵センサ39R,39L、支持力センサ30R,30L、ロータリエンコーダ28R,28Lが接続されている。これらのセンサの出力信号が演算処理部51に入力される。また、演算処理部51には、持ち上げ力設定用キースイッチ53および持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54の操作信号(それらのスイッチの操作状態を示す信号)も入力される。また、制御装置50には、前記ドライバ回路52R,52Lからそれぞれ電動モータ27R,27Lに電流を流すべく図示しない接続線を介して該電動モータ27R,27Lに接続されている。そして、演算処理部51は、後述する演算処理(制御処理)によって、各電動モータ27R,27Lの通電電流の指令値(以下、指示電流値という)を決定する。そして、演算処理部51は、この指示電流値で各ドライバ回路52R,52Lを制御することにより各電動モータ27R,27Lの発生トルクを制御するようにしている。
なお、前記MPセンサ38R,38L、踵センサ39R,39L、支持力センサ30R,30Lの出力信号(電圧信号)は、これらのセンサの近くでプリアンプにより増幅した後に制御装置50に入力するようにしてもよい。また、前記MPセンサ38R,38L、踵センサ39R,39L、支持力センサ30R,30Lの出力信号は増幅された後、その電圧値がA/D変換されて演算処理部51に取り込まれる。
前記演算処理部51は、その主な機能的手段として、図5のブロック図で示すような機能的手段を備えている。この機能的手段は、ROMに格納されたプログラムによって実現される機能である。
図5を参照して、演算処理部51は、右側脚リンク3RのMPセンサ38Rおよび踵センサ39Rの出力信号が入力される右側踏力計測処理手段60Rと、左側脚リンク3LのMPセンサ38Rおよび踵センサ39Rの出力信号が入力される左側踏力計測処理手段60Lとを備えている。右側踏力計測処理手段60Rは、MPセンサ38Rおよび踵センサ39Rの出力信号の電圧値から、利用者Aの右脚の踏力の大きさ(前記利用者右脚支持力の大きさ)を計測する処理を行なう手段である。同様に、左側踏力計測処理手段60Lは、MPセンサ38Lおよび踵センサ39Lの出力信号の電圧値から、利用者Aの左脚の踏力の大きさ(前記利用者左脚支持力の大きさ)を計測する処理を行なう手段である。なお、これらの踏力計測処理手段60R,60Lは本発明における踏力計測手段に相当するものである。
また、演算処理部51は、ロータリエンコーダ28R,28Lの出力信号(パルス信号)がそれぞれ入力される右側膝角度計測処理手段61Rおよび左側膝角度計測処理手段61Lとを備えている。これらの膝角度計測処理手段61R,61Lは入力された信号から、それぞれに対応する脚リンク3の第2関節12における屈曲角度(第2関節12の変位量)を計測する手段である。なお、各脚リンク3の第2関節12は、該脚リンク3の膝関節に相当するものであるので、以下、第2関節における屈曲角度を膝角度という。また、これらの膝角度計測処理手段61R,61Lは、本発明における関節変位量計測手段に相当するものである。
また、演算処理部51は、右側脚リンク3Rの支持力センサ30Rの出力信号と前記右側膝角度計測処理手段61Rにより計測された右側脚リンク3Rの膝角度とが入力される右側支持力計測処理手段62Rと、左側脚リンク3Lの支持力センサ30Lの出力信号(出力電圧)と前記左側膝角度計測処理手段61Lにより計測された左側脚リンク3Lの膝角度とが入力される左側支持力計測処理手段62Lとを備えている。右側支持力計測処理手段62Rは、入力された支持力センサ30Rの出力信号および右側脚リンク3Rの膝角度の計測値を基に、前記右側脚リンク支持力のうちの支持力センサ30Rに作用する支持力、すなわち右側脚リンク3Rの前記総持ち上げ力負担分を計測する処理を行なう手段である。同様に、左側支持力計測処理手段62Lは、入力された支持力センサ30Lの出力信号および左側脚リンク3Lの膝角度の計測値を基に、前記左側脚リンク支持力のうちの支持力センサ30Lに作用する支持力、すなわち左側脚リンク3Lの前記総持ち上げ力負担分を計測する処理を行なう手段である。なお、これらの支持力計測処理手段62R,62Lは、本発明における制御対象力計測手段に相当するものである。
また、演算処理部51は、上記各計測処理手段60R,60L、61R,60L,62R,62Lの計測値と、前記持ち上げ力設定用キースイッチ53および持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54の操作信号とが入力される左右目標負担分決定手段63を備えている。この左右目標負担分決定手段63は、入力値を基に、前記総持ち上げ力の目標値である目標総持ち上げ力を決定すると共に、その目標総持ち上げ力に対する各脚リンク3の負担分の目標値、すなわち各脚リンク3の前記総持ち上げ力負担分の目標値(以下、単に制御目標値という)を決定する処理を行なう手段である。なお、該制御目標値は、本発明(第4発明)における目標負担分に相当する。
さらに、演算処理部51は、前記右側支持力計測処理手段62Rで計測された右側脚リンク3Rの総持ち上げ力負担分と前記左右目標負担分決定手段63で決定された右側脚リンク3Rの制御目標値とが入力される右側フィードバック操作量決定手段64Rと、前記左側支持力計測処理手段62Lで計測された左側脚リンク3Lの総持ち上げ力負担分と前記左右目標負担分決定手段63で決定された左側脚リンク3Lの制御目標値とが入力される左側フィードバック操作量決定手段64Lと、前記右側支持力計測処理手段62Rで計測された右側脚リンク3Rの総持ち上げ力負担分と前記左右目標負担分決定手段63で決定された右側脚リンク3Rの制御目標値と前記右側膝角度計測処理手段61Rにより計測された右側脚リンク3Rの膝角度とが入力される右側フィードフォワード操作量決定手段65Rと、前記左側支持力計測処理手段62Lで計測された左側脚リンク3Lの総持ち上げ力負担分と前記左右目標負担分決定手段63で決定された左側脚リンク3Lの制御目標値と前記左側膝角度計測処理手段61Lにより計測された左側脚リンク3Lの膝角度とが入力される左側フィードフォワード操作量決定手段65Lとを備えている。各フィードバック操作量決定手段64は、入力された総持ち上げ力負担分の計測値と制御目標値との偏差から所定のフィードバック制御則により該偏差を0に収束させるようにフィードバック操作量(各電動モータ27に対する前記指示電流値のフィードバック成分)を算出する手段である。また、各フィードフォワード操作量決定手段65は、入力された総持ち上げ力負担分の計測値と制御目標値と膝角度の計測値とから所定のフィードフォワード制御則によって総持ち上げ力負担分の計測値を制御目標値にするためのフィードフォワード操作量(各電動モータ27に対する前記指示電流値のフィードフォワード成分)を算出する手段である。
そして、演算処理部51は、右側フィードバック操作量決定手段64Rで算出されたフィードバック操作量と右側フィードフォワード操作量決定手段65Rで算出されたフィードフォワード操作量とを加算することで右側脚リンク3Rの電動モータ27R用の指示電流値を求める加算処理手段66Rと、左側フィードバック操作量決定手段64Lで算出されたフィードバック操作量と左側フィードフォワード操作量決定手段65Rで算出されたフィードフォワード操作量とを加算することで左側脚リンク3Lの電動モータ27L用の指示電流値を求める加算処理手段66Lとを備えている。
なお、前記フィードバック操作量決定手段64R,64L、フィードフォワード操作量決定手段65R,65L、および加算処理手段66R,66Lは、本発明におけるアクチュエータ制御手段に相当するものである。
以上が、演算処理部51の演算処理機能の概略である。
次に、演算処理部51の処理の詳細説明を含めて、本実施形態の制御装置50の制御処理を説明する。本実施形態の歩行補助装置1では、前記電源スイッチ56をOFFにした状態では、各脚リンク3の第2関節12に駆動力が付与されない。このため、各関節10,12,14が自由に動くことができる状態となっている。この状態では、各脚リンク3は自重によって折りたたまれている。この状態で、利用者Aの各足平に各足平装着部15を装着した後に、該利用者Aもしくは付き添いの補助者が、着座部2を持ち上げて、利用者Aの股下に配置する。
次いで、電源スイッチ56をON操作すると、制御装置50の各回路に電源電力が供給され、該制御装置50が起動する。そして、該制御装置50が起動すると、前記演算処理部51が所定の制御処理周期で、以下に説明する処理を実行する。
各制御処理周期において、演算処理部51は、まず、前記踏力計測処理手段60R,60Lの処理を実行する。この処理を図6を参照して説明する。図6は、踏力計測処理手段60R,60Lの処理の流れを示すブロック図である。なお、踏力計測処理手段60R,60Lのそれぞれの処理のアルゴリズムは同じである。このため、図6では左側踏力計測処理手段60Lに関するものについては、括弧書きで示している。
右側踏力計測処理手段60Rの処理について代表的に説明すると、まず、脚リンク3RのMPセンサ38Rの検出値(MPセンサ38Rの出力電圧値が示す力の検出値)と、踵センサ39Rの検出値(踵センサ39Rの出力電圧が示す力の検出値)とがそれぞれS101、S102においてローパスフィルタに通される。ローパスフィルタは、これらのセンサ38R,39Rの検出値からノイズ等の高周波成分を除去するものであり、そのカットオフ周波数は例えば100Hzである。
次いで、これらのローパスフィルタの出力がS103において加算される。これにより、利用者Aの右脚の踏力の暫定計測値FRF_p_Rが得られる。この暫定計測値FRF_p_Rには、右側足平装着部15Rの靴紐の締め付けなどに伴う、誤差分が含まれる。
そこで、本実施形態では、さらにS104において、この暫定計測値FRF_p_Rに変換処理を施すことで、最終的に利用者Aの右脚の踏力の計測値FRF_Rを得る。S104の変換処理は、図7に示すテーブルに従って行なわれる。すなわち、FRF_p_Rが所定の第1閾値FRF1以下であるときには、計測値FRF_Rを0とする。これにより、足平装着部15Rの靴紐の締め付けなどに伴う、微小な誤差分が計測値FRF_Rとして得られることが防止される。そして、暫定計測値FRF_p_Rが第1閾値FRF1よりも大きく、第2閾値FRF2(>FRF1)以下である場合には、FRF_p_Rの値の増加に伴い、計測値FRF_Rの値をリニアに増加させる。そして、FRF_p_Rが第2閾値FRF2を超えると、FRF_Rの値を所定の上限値(FRF_p_Rが第2閾値FRF2に等しいときのFRF_Rの値)に保持する。なお、FRF_Rの上限値を設定する理由は後述する。
以上が、右側踏力計測処理手段60Rの処理である。左側踏力計測処理手段60Lの処理も同様である。
演算処理部51は、次に、前記膝角度計測処理手段61R,61Lの処理と、支持力計測処理手段62R,62Lの処理とを順次行なう。これらの処理を図8および図9を参照して以下に説明する。図8は膝角度計測処理手段61R,61Lの処理および支持力計測処理手段62R,62Lの処理の流れを示すブロック図である。なお、膝角度計測処理手段61R,61Lのそれぞれ処理のアルゴリズムは同じである。また、支持力計測処理手段62R,62Lのそれぞれの処理のアルゴリズムは同じである。このため、図8では左側膝角度計測処理手段61Lおよび左側支持力計測処理手段62Lに関するものについては、括弧書きで示している。
右側膝角度計測処理手段61Rおよび右側支持力算出手段62Rの処理を代表的に説明すると、まず、右側膝角度計測処理手段61Rによって、S201およびS202の処理が実行され、右側脚リンク3Rの膝角度(第2関節12Rにおける脚リンク3Rの屈曲角度)の計測値θ1_Rが得られる。S201では、ロータリエンコーダ28Rの出力から、脚リンク3Rの膝角度の暫定計測値θ1p_Rが算出される。
ここで、図9を参照して、本実施形態では、脚リンク3Rの第1関節10Rに係わる前記中心点P(大腿フレーム11Rの前後方向の揺動運動の回転中心となる点P。以下、前後揺動中心点Pという)と第2関節12Rの中心点とを結ぶ線分S1と、該第2関節12Rの中心点と第3関節14Rの中心点とを結ぶ線分S2との成す角度θ1_Rを右側脚リンク3Rの膝角度として計測する。左側脚リンク3Lの膝角度についても同様である。なお、図9では、脚リンク3の要部構成を模式化して示している。
この場合、前記S201では、脚リンク3Rの大腿フレーム11Rと下腿フレーム13Rとが所定の姿勢関係になっている状態(例えば図1の姿勢状態)、すなわち、膝角度θ1_Rがある所定値になっている状態での第2関節12Rの回転位置を基準とし、この基準回転位置からの回転量(回転角変化量。これは電動モータ27Rのロータの回転量に比例する)をロータリエンコーダ28Rの出力信号から計測する。そして、この計測した第2関節12Rの回転量を上記基準回転位置での脚リンク3Rの膝角度の値(これはあらかじめ図示しないメモリに記憶保持される)に加算してなる値を前記暫定計測値θ1p_Rとして求める。
この暫定計測値θ1p_Rには、高周波のノイズ成分が含まれることがあるので、さらにS202において、このθ1p_Rをローパスフィルタに通すことで、最終的に脚リンク3Rの膝角度の計測値θ1p_Rが得られる。
以上が、右側膝角度計測処理手段61Rの処理である。左側膝角度計測処理手段61Lの処理も同様である。
補足すると、本実施形態で、上記線分S1,S2のなす角度θ1を脚リンク3の膝角度として計測するのは、その角度θ1の計測値を詳細を後述する左右目標負担分決定手段63の処理などで使用するからである。この場合、本実施形態の歩行補助装置1では、各脚リンク3の大腿フレーム11の軸心と上記線分S1とのなす角度は一定となる。従って、各膝角度計測処理手段61では、例えば脚リンク3の大腿フレーム11の軸心と下腿フレーム13に係わる前記線分S2とのなす角度を該脚リンク3の膝角度として求めておき、後述する左右目標負担分決定手段63の処理などで、その膝角度から上記角度θ1を求めるようにしてもよい。
上記のように脚リンク3Rの膝角度の計測値θ1_Rが求められた後、S203において、右側支持力計測処理手段62Rの処理が実行され、S202で得られた膝角度の計測値θ1_Rと、支持力センサ30Rの検出値(支持力センサ30Rの出力信号の電圧値が示す2軸の力の検出値)とから、該支持力センサ30Rに作用する支持力(すなわち脚リンク3Rの前記総持ち上げ力負担分)の計測値Fankle_Rが算出される。この処理の詳細を前記図9を参照して説明する。
脚リンク3Rの支持力センサ30Rに作用する支持力(総持ち上げ力負担分)Fankle_Rは、前記したように、脚リンク3Rの第3関節14Rから下腿フレーム13Rに作用する並進力にほぼ等しい。そして、その並進力は、第3関節14Rから脚リンク3Rの前後揺動中心点Pに向かうベクトル(線分S3を作用線とするベクトル)とほぼ等しい。従って、Fankle_Rの向きは、本実施形態の歩行補助装置1では、脚リンク3Rの第3関節14の中心点と前記前後揺動中心点Pとを結ぶ線分S3に平行な方向となる。
ここで、第1〜第3関節10,12,14における摩擦力や重力、歩行時の加減速、歩行補助装置1の総持ち上げ力の大きさ等の影響によって、厳密には、Fankle_Rの向きは、線分S3とは僅かに非平行となる場合もある。但し、これらの影響は微小であるので、本実施形態においては、これらの影響を無視する。
一方、支持力センサ30Rは、図示の如く、該支持力センサ30Rの表面(上面または下面)に垂直なz軸方向の力Fzと、このz軸に垂直で支持力センサ30Rの表面に平行なx軸方向の力Fxとを検出する。x軸、z軸は、支持力センサ30Rに固定された座標軸であり、前記ガイドレール22の円弧を含む面に平行な軸である。このとき、検出されるFz、Fxは、それぞれFankle_Rのz軸方向成分、x軸方向成分である。従って、図示の如く、Fankle_Rとz軸とのなす角度をθkとおくと、Fankle_Rは、Fz、Fxの検出値と、θkとから次式(1)により算出することができる。
Fankle_R=Fx・sinθk+Fz・cosθk ……(1)
また、角度θkは次のように求められる。すなわち、線分S2と線分S3とのなす角度(=Fankleの向きと線分S2とのなす角度)をθ2とすると、線分S1,S2,S3を3辺とする三角形における線分S1,S2のそれぞれの長さL1,L2は、一定値(あらかじめ定めらた既知の値)である。そして、線分S1,S2とのなす角度θ1は、右側膝角度計測処理手段61Rで前記したように得られた計測値θ1_Rである。従って、線分S1,S2のそれぞれの長さL1,L2(これらの値はあらかじめメモリに記憶保持される)と角度θ1の計測値θ1_Rとから幾何学的な演算によって、角度θ2が求められる。
具体的には、線分S1,S2,S3を3辺とする三角形において、次式(2),(3)の関係式が成り立つ。なお、L3は、線分S3の長さである。
L32=L12+L22−2・L1・L2・cosθ1 ……(2)
L12=L22+L32−2・L2・L3・cosθ2 ……(3)
従って、L1,L2の値と、角度θ1の計測値とから式(2)により、L3を算出し、その算出したL3の値と、L1,L2の値とから式(3)により、角度θ2を算出できる。
さらに、z軸と線分S2とのなす角度をθ3とおくと、この角度θ3は、支持力センサ30の下腿フレーム13に対する取り付け角度によってあらかじめ定まる一定値である。そして、この一定値の角度θ3(この値はあらかじめ図示しないメモリに記憶保持されている)から、上記の如く算出された角度θ2を減算することで式(1)の演算に必要な角度θkの値が求められる。
従って、本実施形態では、右側支持力計測処理手段62RのS203の処理では、上記の如く算出したθkと脚リンク3Rの支持力センサ30の検出値Fx,Fzとから前記式(1)により、右脚リンク3Rの総持ち上げ力負担分の計測値Fankle_Rが得られる。
以上が右側支持力計測処理手段62RのS203の処理の詳細である。左側支持力計測手段62Lの処理も同様である。
なお、本実施形態では、支持力センサ30を3軸力センサあるいは2軸力センサとし、前記式(1)により、各脚リンクの総持ち上げ力負担分の計測値Fankleを得るようにしたが、支持力センサ30が1軸力センサであっても、計測値Fankleを得ることが可能である。例えば、支持力センサ30が図9のx軸方向の力Fxのみを検出するセンサである場合には、次式(4)により計測値Fankleを求めることができる。また、支持力センサ30が図9のz軸方向の力Fzのみを検出するセンサである場合には、次式(5)により計測値Fankleを求めることができる。
Fankle=Fx/sinθk ……(4)
Fankle=Fz/cosθk ……(5)
但し、これらの式(4)または(5)を使用する場合には、角度θkが0度または90度に近い値になると、Fankleの値の精度が悪くなる。従って、前記式(1)によりFankleの計測値を得ることが望ましい。
また、計測値Fankleは、Fxの2乗値とFzの2乗値と和の平方根を求めることによって得るようにしてもよい。この場合には、膝角度の計測値θ1は不要である。
補足すると、以上説明した各計測処理手段60,61,62の処理は、必ずしも順番に行なう必要はなく、時分割等により並列的に行なうようにしてもよい。但し、支持力計測処理手段62R,62Lの処理でθ1を使用する場合には、支持力計測処理手段62R,62Lの処理よりも膝角度計測処理手段61R,61Lの処理を先に行なう必要がある。
なお、本実施形態では、各脚リンク3の総持ち上げ力負担分を計測するための支持力センサ30(第2力センサ)を、第3関節14と下腿フレーム13(より正確には上部下腿フレーム13a)との間に介在させるようにした。ただし、該支持力センサを第3関節14と足平装着部15の間(例えば第3関節14と足平装着部15の連結部34との間)に介在させるようにしてもよい。この場合には、第3関節14の回転角を計測して、第3関節14と足平装着部15の間の支持力センサで検出された支持力を座標変換することで、第3関節14から下腿フレーム13に作用する支持力を計測できる。
次いで、演算処理部51は、前記左右目標負担分決定手段63の処理を実行する。この処理を図10を参照して以下に詳説する。図10は左右目標負担分決定手段63の処理の流れを示すブロック図である。
まず、S301において、前記したように各支持力計測処理手段62によって求められた右側脚リンク3Rの総持ち上げ力負担分の計測値Fankle_Rと、左側脚リンク3Lの総持ち上げ力負担分の計測値Fankle_Lとが加算され、総持ち上げ力Fankle_tが算出される。この総持ち上げ力Fankle_tは、前記した如く、各支持力センサ30に作用する支持力、あるいは各脚リンク3の第3関節14から下腿フレーム13に作用する並進力の、両脚リンク3,3についての総和の計測値に相当するものである。また、総持ち上げ力Fankle_tは、前記補助装置負担支持力にほぼ等しい。
次いで、この総持ち上げ力Fankle_tから後述するS307の出力値およびS312の出力値を差し引いてなる値と、前記持ち上げ力設定用キースイッチ53により設定された、着座部2から利用者Aへの持ち上げ力(目標持ち上げ力)に対応する総持ち上げ力設定値とのうちの一方が、S302において、前記持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54の操作信号(該スイッチ54がONになっているかOFFになっているかを示す信号)に応じて選択的に出力される。この場合、本実施形態では、着座部2から利用者Aが持ち上げ力を受けたい時に前記持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がON操作され、それ以外では、持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がOFF操作されている。そして、S302においては、持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がOFFになっているときには、前記総持ち上げ力Fankle_tを選択して出力する。また、持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がONになっているときには、前記総持ち上げ力設定値を選択して出力する。
補足すると総持ち上げ力設定値は、前記キースイッチ53による持ち上げ力の設定値に、歩行補助装置1の全体重量から各支持力センサ30の下側の部分の総重量を差し引いた重量を支えるための支持力(すなわちその差し引いた重量が発生する重力に釣り合う支持力)の大きさを加えたものである。該支持力の大きさはあらかじめ図示しないメモリに記憶保持されている。なお、支持力センサ30の下側の部分の総重量は歩行補助装置1の全体重量に比して十分に小さい。このため、上記持ち上げ力の設定値(目標持ち上げ力)に、歩行補助装置1の全体重量を支えるための支持力(歩行補助装置1の全体に作用する重力に釣り合う支持力)の大きさを加えたものを、総持ち上げ力設定値としてもよい。あるいは、キースイッチ53の操作により、総持ち上げ力設定値を直接的に入力できるようにしてもよい。
次いで、S302の出力がS303において、ローパスフィルタに通され、これにより目標総持ち上げ力が決定される。このS303のローパスフィルタは、S302の出力が急変したとき(総持ち上げ力設定値が変更されたときや、S302の出力が総持ち上げ力Fankle_tから後述するS307の出力値およびS312の出力値を差し引いてなる値と、総持ち上げ力設定値との間で切り換わったときなど)に、目標総持ち上げ力が急変するのを防止、ひいては着座部2から利用者Aに作用する持ち上げ力が急変するのを避けるためのものである。該ローパスフィルタのカットオフ遮断周波数は例えば0.5Hzである。なお、S301〜S303の処理は、本発明における総目標持ち上げ力決定手段に相当する。
次いで、S304において、前記したように各踏力計測処理手段60によって求められた右脚の踏力の計測値FRF_Rの大きさと、左脚の踏力の計測値FRF_Lの大きさとを基に、目標総持ち上げ力を左右の各脚リンク3に分配するための比である分配比を決定する。この分配比は、目標総持ち上げ力の、右側脚リンク3Rへの分配割合である右分配比と、左側脚リンク3Lへの分配割合である左分配比とからなり、両分配比の和は1である。
この場合、右分配比は、計測値FRF_Rの大きさと計測値FRF_Lの大きさとの和に対するFRF_Rの大きさの比、すなわち、FRF_R/(FRF_R+FRF_L)に決定される。同様に、左分配比は、計測値FRF_Rの大きさと計測値FRF_Lの大きさと和に対するFRF_Lの大きさの比、すなわち、FRF_L/(FRF_R+FRF_L)に決定される。この場合、利用者Aの一方の脚が立脚となり、他方の脚が遊脚となる状態(すなわち片脚支持状態)では、遊脚となる脚に対応する分配比は0であり、立脚となる脚に対応する分配比は1である。なお、S304の処理は、前記S301〜S303の処理と並行して行なうようにしてもよい。
ここで、前記各踏力計測処理手段60のS104の変換処理(図6参照)において、各脚の踏力の計測値FRFに上限値を設定した理由を説明する。利用者Aの両脚が立脚となる状態(すなわち両脚支持期の状態)において、各脚の踏力の前記暫定計測値FRF_pは一般には、滑らかに変化するわけではなく、頻繁な変動を生じやすい。このような場合に、暫定計測値FRF_pを基に、左右の分配比を決定すると、その分配比が頻繁に変化し、目標総持ち上げ力のうちの、各脚リンク3の分担割合が頻繁に変化しやすい。その結果、着座部2から利用者Aに作用する持ち上げ力の微小変動が生じやすく、ひいては、利用者Aに不快感を及ぼす恐れがある。そのために、本実施形態では、各脚の踏力の計測値FRFの上限値を設定し、両脚支持期の状態において、左右の分配比が頻繁に変化するような事態を防止した。この場合、両脚支持期の状態においては、基本的には開始直後の期間と、終了直前の期間とを除いて左右の分配比が共に1/2に維持されるようになり、左右の分配比が安定する。
なお、前記図7において、閾値FRF1のみを有し、利用者Aの各脚の踏力の暫定計測値FRF_p_R(L)が閾値FRF1以上である場合にリニアに踏力の計測値FRF_R(L)が増加するように定めたテーブルに基づいて計測値FRF_R(L)を取得するようにしてもよい。暫定計測値FRF_pからFRF_R(L)を得るためのテーブルの閾値FRF1、FRF2等は、利用者Aが好む持ち上げ力のフィーリングや、歩行補助装置1の重量、制御装置50の計算能力などに応じて、適宜決定すればよい。
図10の説明に戻って、次に、S305およびS310の処理が実行される。なお、これらの処理S305、310の処理は、S301〜S303の処理あるいはS304の処理と並行して行なうようにしてもよい。
S305の処理は、ばねのような姿勢の復元力を右脚リンク3Rに発生させるための操作力を求める処理であり、S310の処理は、ばねのような姿勢の復元力を左脚リンク3Lにに発生させるための操作力を求める処理である。以下、これらの操作力をばね復元力という。
S305の処理およびS310の処理のアルゴリズムは同じであるので、以下に右側脚リンク3Rに係るS305の処理を前記図9を参照しつつ代表的に説明する。
S305の処理では、まず、前記した如く右側膝角度計測処理手段61Rの処理によって求められた脚リンク3Rの膝角度の計測値θ1_Rを使用して、前記式(2)により図9の線分S3の長さL3、すなわち、脚リンク3Rの第3関節14の中心点と前記前後揺動中心点Pとを結ぶ線分S3の長さL3を算出する。そして、その算出したL3からあらかじめ定めた基準値L3Sを差し引いた値(L3−L3S)に所定のばね定数kを乗算したものを、右側脚リンク3Rのばね復元力として求める。
すなわち、ばね復元力は次式(6)により算出される。
ばね復元力=k・(L3−LS3) ……(6)
左側脚リンク3Lに係る前記S310の処理も同様である。上記のようにして算出される各脚リンク3のばね復元力は、該脚リンク3の姿勢を、前記図9の線分S3の長さL3が前記基準値L3Sに一致するような姿勢に復元させるために歩行補助装置1に付加的に作用させるべき支持力(支持力の要求値)に相当する。
なお、本実施形態では、ばね復元力をフィードバック制御則としての比例制御則で求めているが、PD制御則などの他の手法で求めるようにしてもよい。また、前記線分S3の長さL3は、各脚リンク3の第3関節14と着座部2との間隔にほぼ一定のオフセット値を加えた長さに等しい。このため、上記偏差(L3−L3S)を0に近づけるようにばね復元力を算出するということは、各脚リンク3の第3関節14と着座部2との間隔と所定の基準値(L3Sから上記オフセット値を差し引いた値)との偏差を0に近づけるようにばね復元力を算出することと同等である。
次いで、右側脚リンク3Rに関するS306〜S309の処理と、左側脚リンク3Lに関するS311〜S314の処理とが実行される。右側脚リンク3Rに関するS306〜S309の処理では、まず、S306において、前記S303で得られた目標総持ち上げ力に右分配比を乗算する。これにより、目標総持ち上げ力のうちの右側脚リンク3Rによる負担分としての総持ち上げ力負担分の基本目標値が決定される。この基本目標値は、着座部2から利用者Aに作用させる持ち上げ力の目標値である目標持ち上げ力のうちの右側脚リンク3Rの負担分と、歩行補助装置1の全体重量から各支持力センサ30の下側の部分の総重量を差し引いた重量(あるいは歩行補助装置1の全体重量)を支えるための支持力のうちの右側脚リンク3Rの負担分との総和を意味する。
さらに、S307において、S305で求めたばね復元力に右分配比を乗算する。そして、その乗算結果の値(これは本発明における目標負担分の補正量に相当する)をS308において右側脚リンク3Rの総持ち上げ力負担分の基本目標値に加算することで、右側脚リンク3Rの総持ち上げ力負担分の暫定目標値Tp_Fankle_Rが求められる。そして、この暫定目標値Tp_Fankle_RをS309でローパスフィルタに通すことで、最終的に右側脚リンク3Rの総持ち上げ力負担分の目標値である制御目標値T_Fankle_Rが求められる。S309のローパスフィルタは、膝角度θ1の変動等に伴うノイズ成分を除去するためのものである。そのカットオフ周波数は、例えば15Hzである。
同様に、左側脚リンク3Lに関するS311〜S314の処理では、まず、S311において、前記S303で得られた目標総持ち上げ力に左分配比を乗算する。これにより、目標総持ち上げ力のうちの左側脚リンク3Lによる負担分としての総持ち上げ力負担分の基本目標値が決定される。この基本目標値は、着座部2から利用者Aに作用させる持ち上げ力の目標値である目標持ち上げ力のうちの左側脚リンク3Lの負担分と、歩行補助装置1の全体重量から各支持力センサ30の下側の部分の総重量を差し引いた重量(あるいは歩行補助装置1の全体重量)を支えるための支持力のうちの左側脚リンク3Lの負担分との総和を意味する。
さらに、S312において、S310で求めたばね復元力に左分配比を乗算する。そして、その乗算結果の値(これは本発明における目標負担分の補正量に相当する)をS313において左側脚リンク3Lの総持ち上げ力負担分の基本目標値に加算することで、左側脚リンク3Lの総持ち上げ力負担分の暫定目標値Tp_Fankle_Lが求められる。そして、この暫定目標値Tp_Fankle_LをS314でローパスフィルタに通すことで、最終的に左側脚リンク3Lの総持ち上げ力負担分の目標値である制御目標値T_Fankle_Lが求められる。例えば、S303の出力である目標総持ち挙げ力が200N(ニュートン)であり、利用者Aの左右の踏力に応じた左右分配比(S304の出力)が、0.4:0.6である場合には、S306の出力が120Nとなり、S311の出力が80Nとなる。
以上が、左右目標負担分決定手段63の処理である。以上のようにして、基本的には、左右の各脚リンク3の制御目標値T_Fankle_L,T_Fankle_Rは、それらの比率が利用者Aの左右の踏力の比率を同じ比率になるように決定される。さらに、該制御目標値T_Fankle_L,T_Fankle_Rには、それぞれ前記左側脚リンク3L、右側脚リンク3Rに係わるばね復元力が付加される。なお、制御目標値T_Fankle_Lに付加されるばね復元力と、制御目標値T_Fankle_Rに付加されるばね復元力との総和は、S305、S310でそれぞれ算出されたばね復元力の、左右の分配比を重み係数とする重み付き平均値となる。従って、制御目標値T_Fankle_L,T_Fankle_Rの総和は、S303で決定した目標総持ち上げ力に、ばね復元力の上記重み付き平均値を加えたものとなる。
なお、S304、S306、S311の処理は、本発明における分配手段に相当する。
以上のようにして左右目標負担分決定手段63の処理を実行した後、演算処理部51は、フィードバック操作量決定手段64R,64Lおよびフィードフォワード操作量決定手段65R,65Lの処理を順次、もしくは並行して実行する。
フィードバック操作量決定手段64R,64Lの処理を図11を参照して説明する。図11は、フィードバック操作量決定手段64R,64Lの処理の流れを示すブロック図である。なお、フィードバック操作量決定手段64R,64Lのアルゴリズムは同じであるので、図11では左側フィードバック操作量決定手段64Lに関するものについては、括弧書きで示している。
右側フィードバック操作量決定手段64Rの処理について代表的に説明すると、まず、前記左右目標負担分決定手段63で決定された右側脚リンク3Rの制御目標値T_Fankle_Rと、前記右側支持力計測処理手段62で計測された右側脚リンク3Rの総持ち上げ力負担分の計測値Fankle_Rとの偏差(T_Fankle_R−Fankle_R)がS401で算出される。そして、この偏差にS402、S403においてそれぞれゲインKp、Kdが乗算される。さらに、S403の演算結果は、S404において微分され(図中の「s」は微分演算子を意味する)、その微分値とS402の演算結果とがS405で加算される。これにより、右側電動モータ27の電流の操作量Ifb_Rが偏差(T_Fankle_R−Fankle_R)を0に収束させるようにフィードバック制御則としてのPD制御則により算出される。操作量Ifb_Rは、右側電動モータ27の指示電流値のフィードバック成分を意味する。
この場合、本実施形態では、前記ゲインKp,Kdの値は、S406において、脚リンク3Rの膝角度の計測値θ1_Rに応じて可変的に設定される。これは、脚リンク3Rの膝角度によって、電動モータ27Rの電流変化(トルク変化)に対する着座部2の持ち上げ力の変化の感度が変化するためである。この場合、膝角度θ1_Rが大きい程(脚リンク3Rが伸びるほど)、電動モータ27Rの電流変化(トルク変化)に対する着座部2の持ち上げ力の変化の感度が高くなる。このため、S406においては、図示を省略するデータテーブルに基づいて、基本的には、脚リンク3Rの膝角度の計測値θ1_Rが大きいほど、ゲインKp,Kdの値をそれぞれ小さくするように、該ゲインKp,Kdの値を設定する。
以上が右側フィードバック操作量決定手段64Rの処理である。左側フィードバック操作量決定手段64Lの処理も同様である。なお、本実施形態では、フィードバック制御則としてPD制御則を用いることによって、高速且つ安定に持ち上げ力を制御できるようにしている。但し、PD制御則以外のフィードバック制御則を使用してもよい。
次に、フィードフォワード操作量決定手段65R,65Lの処理を図12を参照して説明する。図12は、フィードフォワード操作量決定手段65R,65Lの処理の流れを示すブロック図である。なお、フィードフォワード操作量決定手段65R,65Lのアルゴリズムは同じであるので、図12では左側フィードフォワード操作量決定手段65Lに関するものについては、括弧書きで示している。
右側フィードフォワード操作量決定手段65Rの処理について代表的に説明すると、S501において、前記膝角度計測処理手段61Rで計測された脚リンク3Rの膝角度の計測値θ1_Rが微分されて該脚リンク3Rの第2関節12の屈曲角度の角速度ω1_Rが算出される。さらに、S502において、脚リンク3Rの膝角度の計測値θ1_Rと、前記支持力計測処理部62Rで計測された脚リンク3Rの総持ち上げ力負担分の計測値Fankle_Rとを用いて、脚リンク3Rのワイヤ32a,32bの実際の張力である実張力T1が算出される。この実張力T1の算出処理を図13を参照して説明する。なお、図13では、脚リンク3は模式化して記載している。また、図13では、図9と同じ要素には、同一の参照符号を付している。
まず、脚リンク3Rの総持ち上げ力負担分の計測値Fankle_Rの線分S2に直交する成分Fankle_aが次式(7)により算出される。
Fankle_a=Fankle_R・sinθ2 ……(7)
なお、角度θ2は、Fankle_Rと、線分S2とのなす角度であり、このθ2は、前記図9を参照して説明した通り、計測値θ1_Rを用いて幾何学的演算により算出される(前記式(2)、(3)を参照)。
そして、このようにして求めたFankle_aに、次式(8)の通り、線分S2の長さL2を乗算することによって、Fankle_Rによって、第2関節12(膝関節)に生じるモーメントM1を算出する。
M1=Fankle_a・L2 ……(8)
ワイヤ32a,32bの実張力T1によってプーリ31に発生するモーメントは、定常状態では上記モーメントM1に釣り合う。そこで、さらに、このモーメントM1を次式(9)の通り、プーリ31の有効半径rで除算することにより、ワイヤ32a,32bの実張力T1を算出する。
T1=M1/r ……(9)
以上が、S502の処理の詳細である。
図12の説明に戻って、さらに、S503において、脚リンク3Rのワイヤ32a,32bの目標張力T2が算出される。この目標張力T2は、前記左右目標負担分決定手段63の処理で決定された脚リンク3Rの制御目標値(総持ち上げ力負担分の目標値)に対応して、ワイヤ32a,32bに発生させるべき張力である。この目標張力T2の算出は、S502の算出処理と同様である。より具体的には、前記式(7)の右辺のFankle_Rを、前記左右目標負担分決定手段63の処理で決定された脚リンク3Rの制御目標値T_Fankle_Rに置き換えた式によって、制御目標値T_Fankle_Rの前記線分S2(図13参照)に直交する成分が算出される。そして、その算出した成分を、前記式(8)の右辺のFankle_aの代わりに用いることで、脚リンク3Rの第2関節12の目標モーメントが算出される。さらに、その目標モーメントを前記式(9)の右辺のM1の代わりに用いることで、ワイヤ32a,32bの目標張力T2が算出される。
以上がS503の処理である。
上記のようにS501〜S503の処理を実行した後、S504において、上記の如く算出された第2関節12の角速度ω1_R、ワイヤ32a,32bの実張力T1および目標張力T2を用いて、所定のフィードフォワード処理により電動モータ27Rの電流の操作量Iff_Rが決定される。操作量Iff_Rは、電動モータ27Rの指示電流値のフィードフォワード成分を意味する。
このS504の処理では、次式(10)で表されるモデル式により、操作量Iff_Rが算出される。
Iff_R=B1・T2+B2・ω1_R+B3・sgn(ω1_R) ……(10)
但し、B2=b0+b1・T1、B3=d0+d1・T1
ここで、式(10)中のB1は定数の係数、B2,B3は、それぞれ式(10)の但し書きで示す如く、実張力T1の一次関数で表される係数である。なお、b0,b1,d0,d1は定数である。また、sgn( )は、符号関数である。
この式(10)は、電動モータ27の電流と、ワイヤ32a,32bの張力と、第2関節12の角速度ω1との関係を表すモデル式である。式(10)の右辺の第1項は、張力の比例項、第2項はワイヤ32a,32bとプーリ31やゴム管(ワイヤ32a,32bの保護管)との間の粘性摩擦力や、に応じた項、第3項は、ワイヤ32a,32bとプーリ31やゴム管(ワイヤ32a,32bの保護管)との間の動摩擦力に応じた項を意味する。なお、式(10)の右辺には、さらに第2関節12の角加速度に応じた項(すなわち慣性力に応じた項)を追加してもよい。
補足すると、式(10)の演算に使用する各定数B1,b0,b1,d0,d1は、あらかじめ、式(10)の左辺の値と右辺の値との差の2乗値を最小化するような同定アルゴリズムによって実験的に同定される。そして、同定された各定数B1,b0,b1,d0,d1は、図示しないメモリに記憶保持され、歩行補助装置1の動作時に使用される。
以上が、右側フィードフォワード操作量決定手段65Rの処理である。左側フィードフォワード操作量決定手段65Lの処理も同様である。
図5を参照して、以上のように、電動モータ27Rの電流の操作量Ifb_R,Iff_Rと、電動モータ27Lの電流の操作量Ifb_L,Iff_Lとを算出した後、演算処理部51は、加算処理手段66Rにより、操作量Ifb_R,Iff_Rを加算する。これにより、電動モータ27Rの指示電流値を決定する。また、演算処理部51は、加算処理手段66Lにより、操作量Ifb_L,Iff_Lを加算する。これにより、電動モータ27Lの指示電流値を決定する。そして、演算処理部51は、これらの指示電流値をそれぞれ各電動モータ27に係るドライバ回路52に出力する。このとき、ドライバ回路52は、与えられた指示電流値に従って電動モータ27に通電する。
以上説明した演算処理部51の制御処理が、所定の制御周期で実行される。これにより、各脚リンク3の実際の総持ち上げ力負担分の計測値Fankleが、該脚リンク3に対応する制御目標値T_Fankleに一致するように(収束するように)、電動モータ27の発生トルク、ひいては、該脚リンク3の第2関節12(膝関節)の駆動力が操作されることとなる。
以上説明した第1実施形態では、各脚リンク3の第3関節14から下腿フレーム13に伝達される支持力(並進力)の作用線は、該第3関節14の中心点から着座部2と利用者Aとの接触面の前後方向の幅内で着座部2の上方に存する前記前後揺動中心点Pを通る直線とほぼ等しくなる。そして、各脚リンク13は、この前後揺動中心点Pを支点として、着座部2に対して前後方向に揺動自在である。このため、着座部2の位置及び姿勢は、利用者Aから着座部2に付与される荷重(着座部2から利用者Aへの持ち上げ力に釣り合う並進力)の作用点(より詳しくは、利用者Aと着座部2との接触面に分布する荷重の重心点)が前後揺動中心点Pの直下に位置するような状態、すなわち、該荷重の作用線が前後揺動中心点Pを通る上下方向の直線となるような状態で平衡する。そして、利用者Aの上体の傾斜などにより、利用者Aから着座部2への荷重の作用点が変位すると、着座部2の位置および姿勢は上記の平衡状態に自動的に復帰しようとする。このため、矢状面で見たとき、利用者Aから着座部2への荷重の作用線と、各脚リンク3の第3関節14から下腿フレーム13に伝達される支持力(並進力)の作用線とが基本的には共通の点Pを通るようになる。その結果、それらの作用線が前後方向で離間して、該荷重および支持力が着座部2に対して偶力して作用するような状態が回避される。従って、着座部2が利用者Aに対して位置ずれしたりするのを防止して、着座部2の位置および姿勢を安定化することができる。ひいては、利用者Aに所望の持ち上げ力を着座部2から安定且つ適切に作用させることができる。
また、利用者Aの右脚の踏力と左脚の踏力との比率に対応させて総目標持ち上げ力が左右の脚リンク3L,3Rに分配して、各脚リンク3の総持ち上げ力負担分を決定し、この総持ち上げ力負担分を各脚リンク3で発生させる。このため、特に、前記持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がON操作されている状態では、前記キースイッチ53により設定した持ち上げ力(目標持ち上げ力)を円滑且つ安定に着座部2から利用者Aに作用させることができ、利用者Aの各脚の負担を効果的に軽減できる。
補足すると、総目標持ち上げ力は、前記したように、前記キースイッチ53による持ち上げ力の設定値(目標持ち上げ力)と、歩行補助装置1の全体重量から各支持力センサ30の下側の部分の総重量を差し引いた重量(あるいは歩行補助装置1の全体重量)を支えるための支持力の大きさとを加え合わせたもの(より正確には、その加算結果の値をローパスフィルタに通したもの)である。このため、前記したように各脚リンク3の総持ち上げ力負担分を決定することにより、結果的には、着座部2から利用者Aに作用させるべき持ち上げ力の目標値である目標持ち上げ力が、利用者Aの右脚の踏力と左脚の踏力との比率に応じて、左右の脚リンク3L,3Rに分配される。そして、その分配された目標持ち上げ力の、各脚リンク3L,3Rの負担分が、各脚リンク3L,3Rから着座部23に作用するように、各脚リンク3L,3Rの電動モータ27L,27Rが制御されることとなる。
さらに、ばね復元力を各脚リンク3に発生させるので、利用者Aが膝を深く曲げるほど、大きな持ち上げ力が歩行補助装置1から得られる。これによって、利用者Aが歩行補助装置1によるアシスト感を実感し易くなる。また、ばね復元力に関する前記ばね定数k(前記式(6)を参照)の値を適切に設定しておくことで、各脚リンク3の姿勢が不適切な姿勢に発散してしまうのを防止することができる。
また、持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がOFF操作されている状態では、歩行補助装置1の支持力センサ30より上側にある部分の重量に相当する値が総目標持ち上げ力として決定される。この状態では、利用者Aが意図的に着座部2に体重を掛けない限り、着座部2を利用者Aに接触させつつ、それらの間で作用力が発生しない状態に平衡させることができる。そして、この状態から、持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がON操作されると、前記ローパスフィルタ(図10のS303を参照)によって急激な持ち上げ力が着座部2から利用者Aに作用するような事態を回避し、円滑に利用者Aに持ち上げ力を作用させることができる。
さらに、各電動モータ27の電流指示値をPD制御則(フィードバック制御則)とフィードフォワード制御則とを併用して決定するので、高速且つ安定に持ち上げ力を制御できる。
なお、前記実施形態では、各脚リンク3の総持ち上げ力負担分の目標値(制御目標値)にばね復元力を付加するようにしたが、このばね復元力の付加を省略するようにしてもよい(具体的には、図10のS305、S307、S310、S312の処理を省略する)。この場合には、図10のS301で求めたFankle_tをそのまま、S302に入力するようにすればよい。
また、図1に示すガイドレール22は円弧状のものに限らず、楕円周の一部(楕円の弧)など、大腿フレーム11を前後方向に揺動可能とする形状であれば他の形状であってもよい。ガイドレール22が円弧形状でない場合には、歩行補助装置1の動作によって、前後揺動中心点Pの位置は所定領域内で変動する。この場合において、Fankleを求めるときには、所定の演算処理周期毎にその瞬間の大腿フレーム11の回転中心が前後方向揺動中心点Pとして設定される。そして、その中心点Pと第3関節14とを結ぶ直線をFankleの作用線として、該Fankleを前記実施形態と同様に算出するようにすればよい。
さらに、着座部2が無意味に回転してしまうことを防止する装具(腰ベルト等)が歩行補助装置1に設けた場合には、前後揺動中心点Pは着座部2の前後方向の幅内から外れた位置に設定される構成としてもよい。
次に、本発明の第2実施形態を図14、図15を参照して説明する。なお、本実施形態の歩行補助装置の機構的構成は、第1実施形態と同一であり、制御処理の一部のみが第1実施形態と相違している。従って、本実施形態の説明では、第1実施形態と同一構成部分もしくは同一機能部分については第1実施形態と同一の参照符号を用い、説明を省略する。また、本実施形態は、前記第1実施形態と本発明のうちの第1〜第4発明、第6発明の実施形態である。
図14は、本実施形態における制御装置50の演算処理部51の機能的手段を示すブロック図である。図示の如く、本実施形態では、前記持ち上げ力設定用キースイッチ53の代わりに、利用者Aの全踏力(左脚の踏力と右脚の踏力との総和)のうちの歩行補助装置1により補助する力の、該全踏力に対する割合の目標値である目標アシスト割合を設定するためのアシスト割合設定用キースイッチ70(これは本発明における目標アシスト割合設定手段に相当する)が設けられている。なお、アシスト割合設定用キースイッチ70は、アシスト割合の所望の目標値を直接的に設定し、あるいは、あらかじめ用意された複数種類の目標値から選択的に設定し得るように、テン・キースイッチあるいは複数の選択スイッチなどにより構成されている。
そして、このアシスト割合設定用キースイッチ70の操作信号(該操作信号が示す目標アシスト割合の設定値)が、演算処理部51の左右目標負担分決定手段71に入力されるようになっている。ここで、本実施形態では、演算処理部51の機能的手段にあっては、左右目標負担分決定手段71の処理のみが、第1実施形態と相違しており、該左右目標負担分決定手段71以外の演算処理部51の各機能的手段の処理は、第1実施形態と同一である。従って、以降の本実施形態の説明は、この左右目標負担分決定手段71の処理を中心に行なう。
本実施形態における左右目標負担分決定手段71は、前記各計測処理手段60R,60L、61R,60L,62R,62Lの計測値と、前記アシスト割合設定用キースイッチ70および持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54の操作信号とが入力される。そして、左右目標負担分決定手段71は、それらの入力値を基に、各脚リンク3の前記制御目標値(各脚リンク3の第3関節14から下腿フレーム13に伝達される支持力の目標値、あるいは該脚リンク3の支持力センサ30に作用する支持力の目標値)を決定する処理を行なうものである。
この左右目標負担分決定手段71は、演算処理部51の各制御処理周期において、以下に説明する如く、各脚リンク3の制御目標値を決定する。図15は、その処理の流れを示すブロック図である。
まず、S1301において、各支持力計測処理手段62によって求められた右側脚リンク3Rの総持ち上げ力負担分の計測値Fankle_Rと、左側脚リンク3Lの総持ち上げ力負担分の計測値Fankle_Lとが加算される。これにより、総持ち上げ力Fankle_tが算出される。
次いで、上記総持ち上げ力Fankle_tから後述する補助装置重量支持力を差し引いたものと、前記各踏力計測処理手段60によって得られた各脚の踏力の計測値FRF_RおよびFRF_Lの総和、すなわち全踏力の計測値(FRF_R+FRF_L)とから、全踏力のうちの歩行補助装置1により実際に補助している力の、全踏力に対する割合である実アシスト割合をS1302において求める。具体的には、歩行補助装置1の全体重量から各支持力センサ30の下側の部分の重量の総和を差し引いた重量を支えるために必要な支持力(該重量に相当する重力に釣り合う支持力)、または、歩行補助装置1の全体重量を支えるために必要な支持力(該全体重量に相当する重力に釣り合う支持力)を上記補助装置重量支持力とし、この補助装置重量支持力の大きさがあらかじめ図示しないメモリに記憶保持されている。そして、この補助装置重量支持力を総持ち上げ力Fankle_tから減じてなる値(これは、着座部2から利用者Aに現在作用している上向きの持ち上げ力を意味する)を、全踏力の計測値(FRF_R+FRF_L)で割り算する。これにより、実アシスト割合が求められる。すなわち、実アシスト割合=(Fankle_t−補助装置重量支持力)/(FRF_R+FRF_L)という演算により、実アシスト割合が求められる。
次いで、この実アシスト割合と、前記アシスト割合設定用キースイッチ70により設定された目標アシスト割合の設定値とのうちの一方が、S1303において、前記持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54の操作信号(該スイッチ54がONになっているかOFFになっているかを示す信号)に応じて選択的に出力される。具体的には、持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がOFFになっているときには、前記S1302で求めた実アシスト割合を選択して出力する。また、持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がONになっているときには、前記目標アシスト割合の設定値を選択して出力する。
次いで、S1303の出力がS1304において、ローパスフィルタに通され、これにより実際に使用する目標アシスト割合としての実用目標アシスト割合が決定される。このS1304のローパスフィルタは、S1303の出力が急変したとき(目標アシスト割合の設定値が変更されたときや、S1303の出力が実アシスト割合から目標アシスト割合の設定値に切り換わったときなど)に、実用目標アシスト割合が急変するのを防止し、ひいては着座部2から利用者Aに作用する持ち上げ力が急変するのを避けるためのものである。該ローパスフィルタのカットオフ遮断周波数は例えば0.5Hzである。
次いで、S1305において、上記実用目標アシスト割合を前記右側踏力計測処理手段60Rで求めた利用者Aの右脚の踏力の計測値FRF_Rに乗じる。これにより、着座部2から利用者Aへの持ち上げ力のうちの、右側脚リンク3Rの負担分の目標値である右側目標持ち上げ負担分が決定される。同様に、S1306において、上記実用目標アシスト割合を前記左側踏力計測処理手段60Lで求めた利用者Aの左脚の踏力の計測値FRF_Lに乗じる。これにより、着座部2から利用者Aへの持ち上げ力のうちの、左側脚リンク3Lの負担分の目標値である右側目標持ち上げ負担分が決定される。
なお、S1301〜S1306の処理は、前記第5発明および第6発明における目標持ち上げ負担分決定手段に相当する。
次いで、S1307において、前記各踏力計測処理手段60によって求められた右脚の踏力の計測値FRF_Rの大きさと、左脚の踏力の計測値FRF_Lの大きさとを基に、前記補助装置重量支持力を左右の各脚リンク3に分配するための比である分配比を決定する。このS1307の処理は、第1実施形態における図10のS304の処理と同じである。
次いで、S1308において、前記補助装置重量支持力にS1307で求めた右分配比を乗じる。これにより、補助装置重量支持力のうちの右側脚リンク3Rの負担分の目標値である右側目標装置支持力負担分が求められる。同様に、S1311において、前記補助装置重量支持力にS1307で求めた左分配比を乗じる。これにより、補助装置重量支持力のうちの左側脚リンク3Lの負担分の目標値である左側目標装置支持力負担分が求められる。なお、S1307、S1308、S1311の処理は、前記S1301〜S1306の処理と並行して行なうようにしてもよい。
次いで、右側脚リンク3Rに関するS1309、S1310の処理と、左側脚リンク3Lに関するS1312、S1313の処理とが実行される。右側脚リンク3Rに関するS1309、S1310の処理では、まず、S1309において、前記S1305で得られた右側目標持ち上げ負担分にS1308で得られた右側目標装置支持力負担分を加算する。これにより、右側脚リンク3Rの前記制御目標値の暫定値としての暫定制御目標値Tp_Fankle_Rが決定される。そして、この暫定目標値Tp_Fankle_RをS1310でローパスフィルタに通すことで、最終的に右側脚リンク3Rの制御目標値T_Fankle_Rが求められる。S1309のローパスフィルタは、膝角度θ1の変動等に伴うノイズ成分を除去するためのものである。そのカットオフ周波数は、例えば15Hzである。
同様に、左側脚リンク3Lに関するS1312、S1313の処理では、まず、S1312において、前記S1306で得られた左側目標持ち上げ負担分にS1311で得られた左側目標装置支持力負担分を加算する。これにより、左側脚リンク3Lの前記制御目標値の暫定値としての暫定制御目標値Tp_Fankle_Lが決定される。そして、この暫定目標値Tp_Fankle_LをS1313でローパスフィルタに通すことで、最終的に左側脚リンク3Lの制御目標値T_Fankle_Lが求められる。
上記の如く決定される各脚リンク3の制御目標値は、前記補助装置重量支持力と、着座部2から利用者Aへのトータルの持ち上げ力との総和(すなわち前記総持ち上げ力)のうちの、各脚リンク3の負担分の目標値を意味する。
以上が、本実施形態における左右目標負担分決定手段71の処理である。補足すると、S1305、S1306で左右の目標持ち上げ負担分を算出する処理は、利用者Aの左右の脚の踏力の計測値FRF_R,FRF_Lの総和に前記実用目標アシスト割合を乗じたもの(これは着座部2から利用者Aへのトータルの持ち上げ力の目標値に相当する)を、前記右分配比、左分配比によって左右の脚リンク3に分配することと同等である。
なお、S1307、S1308、S1311の処理は、第5発明、第6発明における分配手段に相当する。さらに、S1309、S1310、S1312、S1313の処理は、第6発明における制御対象力目標値決定手段に相当する。
以上説明した第2実施形態では、各脚リンク3の第3関節14から下腿フレーム13に伝達される支持力(並進力)の作用線は、該第3関節14の中心点から着座部2と利用者Aとの接触面の前後方向の幅内で着座部2の上方に存する前記前後揺動中心点Pを通る直線となる。そして、各脚リンク13は、この前後揺動中心点Pを支点として、着座部2に対して前後方向に揺動自在である。従って、第1実施形態と同様に、着座部2が利用者Aに対して位置ずれしたりするのを防止して、着座部2の位置および姿勢を安定化することができる。ひいては、利用者Aに所望の持ち上げ力を着座部2から安定且つ適切に作用させることができる。
また、着座部2から利用者Aに作用させるべきトータルの持ち上げ力の目標値を利用者Aの右脚の踏力と左脚の踏力との比率に対応させて左右の脚リンク3L,3Rに分配すると共に、歩行補助装置1の全重量を支えるための補助装置重量支持力を利用者Aの右脚の踏力と左脚の踏力との比率に対応させて左右の脚リンク3L,3Rに分配する。これにより、各脚リンク3の総持ち上げ力負担分の目標値たる制御目標値を決定し、この制御目標値の支持力を各脚リンク3で発生させる。このため、特に、前記持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がON操作されている状態では、前記キースイッチ70により設定したアシスト割合に相当する持ち上げ力を円滑且つ安定に着座部2から利用者Aに作用させることができ、利用者Aの各脚の負担を効果的に軽減できる。
また、持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がOFF操作されている状態では、前記実アシスト割合が実用目標アシスト割合として決定される。このため、この状態では、利用者Aが意図的に着座部2に体重を掛けない限り、着座部2を利用者Aに接触させつつ、それらの間で作用力が発生しない状態に平衡させることができる。そして、この状態から、持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がON操作されると、前記ローパスフィルタ(図15のS1304を参照)によって急激な持ち上げ力が着座部2から利用者Aに作用するような事態を回避し、円滑に利用者Aに持ち上げ力を作用させることができる。
さらに、各電動モータ27の電流指示値をPD制御則(フィードバック制御則)とフィードフォワード制御則とを併用して決定するので、第1実施形態と同様に、高速且つ安定に持ち上げ力を制御できる。
なお、第2実施形態では、前記第1実施形態で説明したばね復元力を、各制御目標値T_Fankle_L,T_Fankle_Rに付加することを省略した。ただし、第1実施形態と同様に、各脚リンク3のばね復元力を決定し、それを各制御目標値T_Fankle_L,T_Fankle_Rに付加するようにしてもよい。
また、前記第1および第2実施形態では、持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54がOFFの状態でも、電動モータ27R,27Lの動作制御を行なうようにした。ただし、該スイッチ54がOFFの状態では、例えば前記演算処理部51の演算処理を行いながら、各ドライバ回路52への出力を停止して、各電動モータ27への通電を停止するようにしてもよい。このようにすることで、持ち上げ制御ON・OFFスイッチ54をONにした瞬間に、それまで利用者Aが着座部2に付与していた軽微な力(又はゼロ)に応じた持ち上げ力が発生する。そして、その後、最終的な総持ち上げ力の発揮に至るまで、ローパスフィルタ(図1のS303を参照)の効果によって、利用者Aへの衝撃を少なくしつつ、持ち上げ力の発生から増加に至る状態遷移を非常にスムーズに実現できる。また、該スイッチ54のOFF状態における各電動モータ27の電力消費を削減できる。
また、前記第1および第2実施形態では、受け部をサドル状の着座部2で構成したが、例えば可撓性部材により構成することも可能である。以下にこの場合の実施形態を第3実施形態として説明する。この第3実施形態では、例えば、図16に示すように、利用者Aの腰にベルト100を巻きつけ(ただし、ベルト100を利用者Aに完全に固定する必要はない)、このベルト100の下端に受け部としての2つのハーネス状の可撓性部材101L、10Rをぶら下げる。各可撓性部材101R,101Lは、その一端が利用者Aの前側でベルト100に固定され、他端が利用者Aの背面側でベルト100に固定されている。そして、可撓性部材101Rは、利用者Aの右脚の付け根の内側を通って利用者Aの股下部に接触され、可撓性部材101Lは、利用者Aの左脚の付け根の内側を通って利用者Aの股下部に接触される。これにより、各可撓性部材101R,Lの股下部分が利用者Aの体重の一部を上方から受ける受け部として機能することとなる。また、各脚リンク3の大腿フレーム11は、ベルト100の左右の各側部に設けられた第1関節102を介して、少なくとも前後方向の揺動(第1関節102を支点とする揺動)が可能なように延設される。この場合、矢状面で見たとき、その揺動中心点(本発明における所定の点)は、可撓性部材101R,Lの受け部の上方に存する。各脚リンク3の大腿フレーム11から下側の部分の構成は、前記第1実施形態、第2実施形態のものと同様でよい。なお、第2関節を駆動するアクチュエータは、例えばその第2関節に取り付ける。
また前記第1および第2実施形態では、各踏力計測処理手段60において、前記図7のテーブルを使用したが、例えば図17に示すようなテーブルを使用して各脚の踏力の暫定計測値FRF_pを計測値FRFに変換するようにしてもよい。以下に、この場合の実施形態を第4実施形態として説明する。この第4実施形態における図17のテーブルは、暫定計測値FRF_pが閾値FRF1よりも小さいときには、FRFが負の値となるように定められている。より詳しくは、図17のテーブルでは、FRF_pが閾値FRF1と、これよりも若干小さい閾値FRF3(この例ではFRF3>0)との間の値であるときには、FRF_pの減少に伴い、リニアにFRFが小さくなっていき、FRF_pが閾値FRF3よりもさらに小さくなると(FRF_p<0の場合を含む)、FRFが負の一定値(FRF_p=FRF3であるときの、FRFの値)に維持される。
ここで、利用者Aの歩行時に、例えば右脚を持ち上げると、そのときの運動加速度によってMPセンサ38Rおよび踵センサ39Rの出力が非常に小さい値(0近傍の値)または負の値になり、暫定計測値FRF_p_Rが閾値FRF1よりも小さくなる。このとき、図17のテーブルを使用して得られる右脚の踏力の計測値FRF_Rは負の値となる。
そして、このように図17のテーブルを使用して負の値の計測値FRF_Rが得られた場合には、前記第1実施形態においては、図10の処理(左右目標負担分決定手段63の処理)の一部を例えば次のように変更する。すなわち、図10のS304において、負の値の計測値FRF_Rが得られた場合には、両分配比の比率をあらかじめ決められた所定の比率とする。例えば、上記の如くFRF_R<0となったときには、左分配比:右分配比=1.1:−0.1とする。すなわち、左分配比および右分配比のうちの、負の値となったFRFに対応する分配比を負の所定値(本実施形態では−0.1)とし、他方の分配比を正の所定値(本実施形態では1.1)とする。なお、それらの所定値は、左分配比と右分配比との和が1になるように定めておくことが望ましい。そして、この分配比を使用して、S306およびS311の処理を行なう。このとき、例えば、図10のS303の出力である目標総持ち上げ力が200Nである場合、S306およびS311の出力は、それぞれ−20N、220Nとなる。なお、閾値FRF1よりも小さな暫定計測値FRF_pが得られた脚(上記の例では右脚)は、遊脚になったと判断され、その遊脚に対応するS305またはS310におけるばね復元力の算出処理は行なわれないものとする(その遊脚に対応するばね復元力を0とする)。これによって、片脚支持期(一方の脚だけを立脚とする時期)の開始時には、遊脚側の脚リンク3の第2関節12が屈曲側に駆動され、利用者Aによる遊脚側の脚の持ち上げ動作をアシストすることができる。
同様に第2実施形態においては、図15の処理(左右目標負担分決定手段71の処理)の一部を例えば次のように変更する。すなわち、図15のS1307において、負の値の計測値FRF_Rが得られた場合には、第1実施形態に関して上記した如く、左分配比および右分配比のうちの、負の値となったFRFに対応する分配比を負の所定値(例えば−0.1)とし、他方の分配比を正の所定値(例えば1.1)とする(好ましくは、左分配比+右分配比=1)。そして、この分配比を使用して、S1308およびS1311の処理を行なう。これによって、前記第1実施形態に関して説明した場合と同様に、片脚支持期(一方の脚だけを立脚とする時期)の開始時には、遊脚側の脚リンク3の第2関節12が屈曲側に駆動され、利用者Aによる遊脚側の脚の持ち上げ動作をアシストすることができる。
また、前記各実施形態では、第1力センサをMPセンサ38および踵センサ39で構成し、これらのセンサ38,39を、前記図3に示した如く、利用者Aの立脚の足平の底面と床との間に介在するように足平装着部15に設けた。ただし、第1力センサの設置位置は、これに限られるものではない。該第1力センサは、例えば図18に示すように足平装着部に設けるようにしてもよい。以下、この場合の実施形態を第5実施形態として説明する。
図18に示すように、第5実施形態では、足平装着部15の前記環状部材36の内側に足平支承部材100が備えられている。この足平支承部材100は、スリッパ状のものであり、利用者Aの足平の底面のほぼ全体に接触する板状の足底部101(靴の中敷状の部材)と、この足底部101に連結されたアーチ状部材102(横断面が大略半円弧状の部材)とから構成される。アーチ状部材102は、その両端の下端部が足底部101の両側部に一体に結合されている。該アーチ状部材102は、利用者Aの足平のつま先側の部分を挿入可能である。そして、この挿入状態で、該足平が足底部101上に支承される。これらの足平支承部材101およびアーチ状部材102は、例えば金属や樹脂などの所定の剛性を有する材料で形成されている。
また、アーチ状部材102の上部の外面部と環状部材36の上部の内面部との間に第1力センサを構成する引張力センサ103が介装されている。この引張力センサ103はアーチ状部材102と環状部材36とに接合されている。該引張力センサ103は、例えば引張型のロードセルである。この場合、足平支承部材100は、環状部材36や靴35と非接触状態で環状部材36の内側に配置されている。これにより、足平支承部材100は、それを下方から支える力が環状部材36や靴35から作用しないように、該環状部材36に引張力センサ103を介して吊設されている。
なお、足底部101の上面やアーチ状部材102の内面に利用者Aの足平を保護するためのクッション材を設けるようにしてもよい。
以上が、本実施形態における足平装着部15の構造である。なお、本実施形態の足平装着部15には、前記MPセンサ38および踵センサ39や、中敷部材37は備えられていない。そして、本実施形態の足平装着部15を利用者Aの各足平に装着するときには、その足平のつま先側の部分を、足平支承部材100のアーチ状部材102の内部に通し、且つ、該足平を足底部101上に載せるようにして、靴35の履き口から該足平を靴35の内部に挿入すればよい。
このように構成された足平装着部15を有する本実施形態の歩行補助装置では、立脚となる利用者Aの脚の踏力は、引張力センサ103に作用する引張力として該引張力センサ103により検出されることとなる。
そして、本実施形態では、左右の各足平装着部15の引張力センサ103の出力が前記MPセンサ38および踵センサ39の出力の代わりに、演算処理部51の各踏力計測処理手段60に入力される。そして、各踏力計測処理手段60は、それに対応する引張力センサ103の出力が表す力検出値(引張力を正の値とする)をローパスフィルタに通したものを、利用者Aの各脚の暫定計測値FRF_pとして得る。さらに、各踏力計測処理手段60は、その暫定計測値FRF_pから前記図7のテーブル(あるいは図17のテーブル)に従って、踏力の計測値FRFを求める。
以上説明した以外の構成および処理は、前記第1実施形態(あるいは第2実施形態)と同じである。
1…歩行補助装置、2…着座部(受け部)、3…脚リンク、10…第1関節、11…大腿フレーム、12…第2関節、13…下腿フレーム、14…第3関節、15…足平装着部、27…電動モータ(アクチュエータ)、38,39…第1力センサ、30…第2力センサ、50…制御装置、53…持ち上げ力設定用キースイッチ(目標持ち上げ力設定手段)、60…踏力計測処理手段(踏力計測手段)、62…支持力計測処理手段(制御対象力計測手段)、63…左右目標負担分決定手段(総目標持ち上げ力決定手段、分配手段、)、64,65,66…アクチュエータ制御手段、70…アシスト割合設定用キースイッチ(目標アシスト割合設定手段)、71…左右目標負担分決定手段(目標持ち上げ分担分決定手段、分配手段、制御対象力目標値決定手段)、101R,L…可撓性部材(受け部)、102R,102L…第1関節。