JP2005010188A - 反射防止フィルム、それを用いた前面板及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】膜厚均一性に優れ、高温で長時間放置してもクラックが入りにくく、長期間、帯電防止効果、防汚性が維持され、耐久性に優れた反射防止フィルム、その反射防止フィルムを用いた前面板、反射像のゆがみのない表示装置を提供すること。
【解決手段】重合触媒としてチタン化合物を用いて得られ、リン化合物を含有し、リン原子とチタン原子のグラム原子比が0.6〜4.0であり、かつ該リン原子が150ppm以下であるポリエステルを、溶融押出し、熱固定処理して製造したフィルムの上にハードコート層、その上に反射防止層を有し、表面の純水に対する接触角が90°以上で表面比抵抗が1011Ω/cm2以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】重合触媒としてチタン化合物を用いて得られ、リン化合物を含有し、リン原子とチタン原子のグラム原子比が0.6〜4.0であり、かつ該リン原子が150ppm以下であるポリエステルを、溶融押出し、熱固定処理して製造したフィルムの上にハードコート層、その上に反射防止層を有し、表面の純水に対する接触角が90°以上で表面比抵抗が1011Ω/cm2以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射防止フィルム、それを用いた前面板及び表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CRTや液晶表示装置の高画質化に伴って、視認性を改善するため反射防止層を設けた表示装置が求められており、反射防止層が形成されたフィルム等を表示装置前面に張り付けることが行われている。
【0003】
フィルムの材質としては、液晶表示装置ではセルロースエステルフィルムが好ましく用いられているが、裂けやすい等取り扱いにくいという欠点があった。フィルムとしては、ポリエステルフィルムが安価で、防湿性及び強靱性に優れることから、好ましい基材として用いられてきており、その表面に反射防止層を形成する試みが行われているが(例えば、特許文献1参照)、ポリエステルフィルムを用いる場合、形成した層の膜厚むらによる反射光のむらの改善が求められていた。また、高温で長時間放置されると形成した層にクラックが入るという問題や、表示装置の最前面に貼り付けたときの平面性が劣り、反射像がゆがんで見えるという問題があり、その改善が求められていた。
【0004】
また、特開平6−170911号には重合触媒としてチタン化合物を用いたポリエステルフィルムとその製造方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−26632号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、膜厚均一性に優れ、高温で長時間放置してもクラックが入りにくく、長期間、帯電防止効果、防汚性が維持され、耐久性に優れた反射防止フィルム、それを用いた前面板、反射像のゆがみのない表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0008】
1.ポリエステルから形成されたポリエステルフィルム上にハードコート層及び反射防止層を順次設けてなる反射防止フィルムにおいて、
1)前記ポリエステルは、チタン化合物を触媒として二官能性芳香族カルボン酸のエチレングリコールエステルまたはその低重合体を縮重合反応させて得られたものであり、また、該ポリエステルはリン化合物を含むものであって、その含有量はリン原子とチタン原子のグラム原子比(P/Ti)が0.6〜4.0であり、かつリン原子として150ppm以下であること、
2)前記ポリエステルフィルムは、前記ポリエステルをダイから溶融押出し、熱固定処理して得られたものであること、
3)前記反射防止層の少なくとも一層は、金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有すること、
4)前記反射防止フィルムは、その表面の純水に対する接触角が90°以上であり、かつその表面比抵抗が1011Ω/cm2以下であること、
を特徴とする反射防止フィルム。
【0009】
2.チタン化合物が、リン酸とアルキル基が炭素数で2以上のチタンアルコキサイドとを予め反応させて得られる反応生成物であることを特徴とする前記1記載の反射防止フィルム。
【0010】
3.反応生成物が、リン酸/チタンアルコキサイドのモル比を2〜4として有機溶媒中で反応して得られたものであることを特徴とする前記2記載の反射防止フィルム。
【0011】
4.ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートを含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の反射防止フィルム。
【0012】
5.フィルムが幅1.4〜4mの長尺フィルムであることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載の反射防止フィルム。
【0013】
6.ハードコート層の膜厚が1〜20μmで、表面弾性率が7GPa以上であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の反射防止フィルム。
【0014】
7.ハードコート層が金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項記載の反射防止フィルム。
【0015】
8.前記1〜7のいずれか1項記載の反射防止フィルムを少なくとも一方の面に貼り付けたことを特徴とする前面板。
【0016】
9.前記1〜7のいずれか1項記載の反射防止フィルムまたは前記8記載の前面板を有することを特徴とする表示装置。
【0017】
本発明を更に詳しく説明する。
本発明者は、ポリエステルの重合触媒にチタン化合物を使用し、含まれるリン原子とチタン原子のグラム原子比(P/Ti)を特定の範囲としたポリエステルフィルム上にハードコート層を有し、さらにその上に金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有する層を含む反射防止層を有し、表面の純水に対する接触角が90°以上で表面比抵抗が1011Ω/cm2以下である反射防止フィルムにより、上記問題を解決できることを見い出した。特に幅1m以上の長尺フィルムであっても、膜厚の均一な金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有する層を含む反射防止層が形成でき、高温で長時間放置してもクラックが入りにくい反射防止フィルムを得ることができた。
【0018】
(ポリエステル)
本発明の反射防止フィルムの基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルである。中でも好ましいポリエステルはPET、PENであり、特に好ましくはPETである。PENとしてはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。
【0019】
PETはテレフタル酸とエチレングリコール、PENはナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールから構成されるが、これらを触媒としてチタン化合物を用いて適当な反応条件下で結合させることによって重合できる。このとき、適当な1種、または2種以上の第3成分を混合してもよい。適当な第3成分としては、2価のエステル形成官能基を有するジカルボン酸、グリコールであればよい。
【0020】
ジカルボン酸の例として次のようなものが挙げられる。イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0021】
また、グリコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオール等を挙げることができる。
【0022】
本発明に用いられるPET樹脂及びフィルムの固有粘度は0.5〜0.8であることが好ましい。さらに好ましくは0.6〜0.7である。固有粘度が0.5未満だとデラミを起こしやすく、0.8を越えると切断性が悪く好ましくない。また固有粘度の異なるものを混合して使用してもよい。混合して使用する場合、用いる樹脂の固有粘度差が0.1〜0.3であるものを混合したものが好ましく、0.15〜0.2がより好ましい。
【0023】
(触媒)
本発明に用いられるポリエステルは、重合触媒としてチタン化合物を用いて、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートはテレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化反応またはジメチルテレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応せしめ、次いで反応生成物を重合せしめる方法で製造することができる。このエステル交換反応やエステル化反応では公知の触媒を用いることができるが、重合触媒としてはチタン化合物を用いる必要がある。チタン化合物の中では、有機チタン化合物及び後述のリン酸とチタンアルコキサイドとの反応生成物が好ましい。
【0024】
有機チタン化合物としては、例えば特開昭63−278927号公報に記載されているものを挙げることができる。さらに、チタンのアルコキサイドや有機酸塩、テトラアルキルチタネートと芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応物等を例示でき、好ましい具体例としてチタンテトラブトキサイド、チタンテトライソプロポキシド、蓚酸チタン、酢酸チタン、安息香酸チタン、トリメリット酸チタン、テトラブチルチタネートと無水トリメリット酸との反応物等を挙げることができる。
【0025】
チタン化合物の使用量は、チタン原子がポリエステル中に7〜120ppm、好ましくは7.5〜75ppmとなる量である。ポリエステル中のチタン原子が7ppm未満では重合反応の時間が長くなり、一方120ppmを超えると重合反応中に熱分解反応が同時に進行するため、重合度が上らなくなり、好ましくない。チタン化合物の添加時期は重合反応初期以前であれば何時でもよく、例えばエステル交換反応開始時より存在せしめてもよいし、また重合反応速度をコントロールする目的で2回以上に分けて添加する方法を用いてもよい。チタン化合物、特に有機チタン化合物は反応系内でさまざまな形に変化するものであり、最終的に生成したポリエステル中には最初に添加したものとは異なった化合物で存在する可能性がある。
【0026】
また、本発明では上記触媒としてリン酸とアルキル基の炭素数が2以上のチタンアルコキサイドとの反応生成物を用いることがより好ましく、これにより良好な色調を有し、同時に溶融熱安定性にも優れたポリエステルを製造することができる。
【0027】
本発明で使用するアルキル基の炭素数が2以上のチタンアルコキサイドとしては、例えば、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシド等のチタンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネート等を挙げることができ、中でも上記のチタンテトラアルコキシドが好ましく、特にチタンテトラブトキシドが好ましい。
【0028】
リン酸と上記のチタンアルコキサイドとの反応は、好ましくは有機溶媒中で行われ、有機溶媒としてはリン酸及びチタンアルコサイドを溶解するものが好ましく、酢酸エチル、アセトニトリル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メタノール、エタノール等が例示できる。
【0029】
有機溶媒中でのリン酸とチタンアルコキサイドとの反応は、室温、攪拌下で混合するだけで十分進み、反応生成物は白色物として析出し、これを濾取することによって、例えば下記式に示されるようなリンを含むチタン化合物を含有するものが得られる。
【0030】
【化1】
【0031】
ただし、Rは炭素数が2以上のアルキル基を示す。
この反応の際、リン酸/チタンアルコキサイドのモル比は広い範囲をとることができるが、モル比があまり小さいと反応が充分に進行し難くなる傾向があり、この触媒を用いて作製したポリエステルフィルム上の薄膜にクラックが入りやすくなる。逆にモル比があまり大きいと、リン酸がチタンアルコキサイドの反応点に対して過剰になりロスが多くなるだけでなく、ポリエステルフィルム上の金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有する層の膜厚が変動しやすく、すじ状のむらが生じやすくなる傾向がある。このため、リン酸/チタンアルコキサイドのモル比は2〜4が好ましい。
【0032】
本発明において、触媒として添加されるリン酸とチタンアルコキサイドとの反応生成物の添加時期は、二官能性芳香族カルボン酸のエチレングリコールエステル及び/またはその低重合体の重縮合反応の初期の段階までであれば任意の段階でよい。
【0033】
上記反応生成物の添加量は、あまりに少ないと充分な重縮合反応速度が得られず、逆にあまり多すぎても好ましくない。このため、添加量はポリエステルを構成する全酸成分に対してチタン原子換算で5〜40mmol%の範囲が好ましい。
【0034】
また、触媒の添加方法は従来公知の任意の方法を採用することができるが、触媒をグリコール成分のスラリーとして反応系に添加することが望ましい。
【0035】
本発明では上記触媒としてリン酸とアルキル基の炭素数が2以上のチタンアルコキサイドとの反応生成物を用いることにより良好な色調を有し、同時に溶融熱安定性にも優れたポリエステルを製造することができる。
【0036】
詳しくは、
(A)下記一般式(I)で表されるチタン化合物(1)、または一般式(I)で表されるチタン化合物(1)と下記一般式(II)で表される多価カルボン酸またはその無水物とを反応させて得られたチタン化合物(2)から選ばれた少なくとも一種からなるチタン化合物成分(A)と、
(B)下記一般式(III)で表されるリン化合物(3)の少なくとも一種からなるリン化合物成分(B)との反応生成物からなる触媒である。
【0037】
【化2】
【0038】
式中、R1は2〜10個の炭素原子を有するアルキル基を表し、pは1〜3の整数を表す。
【0039】
【化3】
【0040】
式中、R2は1〜10個の炭素原子を有する脂肪族基または脂環式の二官能基を表す。
【0041】
【化4】
【0042】
式中、mは1または2を表し、qは0または1を表し、R3は未置換または置換された6〜20個の炭素原子を有するアリール基または1〜20個の炭素原子を有するアルキル基を表す。ただし、mとqとの和は1または2であり、mが2を表す場合、2個のR3は同一でも異なっていてもよい。
【0043】
チタン化合物成分(A)と、リン化合物成分(B)との反応生成物において、チタン化合物成分(A)のチタン原子換算モル量(mTi)の、リン化合物成分(B)のリン原子換算モル量(mP)に対する反応モル比mTi/mPは1:1〜1:4であることが好ましい。
【0044】
チタン化合物成分(A)のチタン原子換算モル量とは、チタン化合物成分(A)に含まれる各チタン化合物のモル量と、当該チタン化合物の1分子に含まれるチタン原子の個数との積の合計値であり、リン化合物成分(B)のリン原子換算モル量とは、リン化合物成分(B)に含まれる各リン化合物のモル量と、当該リン化合物の1分子に含まれるリン原子の個数との積の合計値である。ただし、式(III)のリン化合物は1分子当たり1個のリン原子を含むものであるから、リン化合物のリン原子換算モル量は当該リン化合物のモル量に等しい。
【0045】
反応モル比mTi/mPが1:1より大きくなると、すなわち、チタン化合物成分(A)の量が過多になると、得られる触媒を用いて得られるポリエステルを用いてその上に形成した反射防止フィルムを用いた表示装置ではコントラスト等の視認性が低下し、かつすじ状のむらが生じやすくなる。また、反応モル比が、1:4未満になると、すなわちチタン化合物成分(A)の量が過少であってもやはりすじ状のむらが生じやすくなり好ましくない。
【0046】
チタン化合物成分(A)に用いられる一般式(I)で表されるチタン化合物(1)としては、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシド等のチタンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネート等のアルキルチタネートを挙げることができるが、なかでも本発明において使用されるリン化合物成分との反応性の良好なチタンテトラアルコキシドを用いることが好ましく、特にチタンテトラブトキシドを用いることがより好ましい。
【0047】
チタン化合物成分(A)に用いられるチタン化合物(2)は、一般式(I)で表されるチタン化合物(1)と、一般式(II)で表される多価カルボン酸またはその無水物との反応により得られる。一般式(II)で表される多価カルボン酸及びその無水物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物を好ましく用いることができ、特にチタン化合物(1)との反応性がよいコハク酸無水物を用いることが好ましい。
【0048】
チタン化合物(1)と一般式(II)で表される多価カルボン酸またはその無水物との反応は、多価カルボン酸またはその無水物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物(1)を滴下し、0〜200℃の温度で30分以上、好ましくは30〜150℃で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧で充分である。なお、溶媒としては、式(II)の化合物またはその無水物の一部または全部を溶解し得るものから適宜に選択することができるが、好ましくは、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン、キシレン等から選ばれる。
【0049】
この反応におけるチタン化合物(1)と式(II)で表される化合物またはその無水物とのモル比は適宜に選択することができるが、チタン化合物(1)の割合が多過ぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりする傾向があり、逆にチタン化合物(1)の量が少な過ぎると重縮合反応が進みにくくなる傾向があるため、チタン化合物(1)と式(II)の化合物またはその無水物との反応モル比は、(2/1)〜(2/5)とすることが好ましい。この反応によって得られる反応生成物は、そのまま前述のリン化合物(3)との反応に供してもよく、またはこれをアセトン、メチルアルコール及び/または酢酸エチル等によって再結晶して精製した後、これをリン化合物(3)と反応させてよい。
【0050】
リン化合物成分(B)に用いられる一般式(III)で表されるリン化合物(3)において、R3で表される炭素数6〜20のアリール基、または炭素数1〜20のアルキル基は未置換でも、または1個以上の置換基により置換されていてもよく、この置換基としては、例えば、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシル基及びアミノ基等を包含する。
【0051】
一般式(III)で表されるリン化合物(3)は、例えば、フェニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3−ジカルボキシルフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,6−ジカルボキシルフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、及びビス(2,4,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸等から選ばれる。
【0052】
チタン化合物成分(A)とリン化合物成分(B)との触媒の調製は、例えば、式(III)で表される少なくとも一種のリン化合物(3)からなる成分(B)と溶媒とを混合して、リン化合物成分(B)の一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物成分(A)を滴下し、反応系を0〜200℃の温度に30分間以上、好ましくは60〜150℃の温度に40〜90分間、加熱することによって行われる。この反応において、反応圧力については格別の制限はなく、加圧下(0.1〜0.5MPa)、常圧下、または減圧下(0.001〜0.1MPa)のいずれであってもよく、通常常圧下が行われる。
【0053】
また上記触媒調製反応に用いられる式(III)で表されるリン化合物成分(B)用溶媒は、リン化合物成分(B)の少なくとも一部を溶解し得る限り格別の制限はないが、例えば、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン、及びキシレン等から選ばれた少なくとも一種からなる溶媒が好ましく用いられる。特に、最終的に得ようとするポリエステルを構成しているグリコール成分と同一の化合物を溶媒として用いることが好ましい。
【0054】
この触媒調製反応において、反応系中のチタン化合物成分(A)とリン化合物成分(B)との配合割合は、得られる触媒に含まれるチタン化合物成分(A)とリン化合物成分との反応生成物において、チタン化合物成分(A)のチタン原子換算モル量(mTi)の、リン化合物成分(B)のリン原子換算モル量(mP)に対する反応モル比mTi/mPが1:1〜1:4になるように設定することが好ましい。さらに好ましくは、1:1〜1:3である。
【0055】
チタン化合物成分(A)とリン化合物成分(B)との反応生成物は、それを反応系から遠心沈降処理または濾過等の手段により分離した後、または分離することなくそれをそのままポリエステル製造用触媒として用いてもよく、または、この分離された反応生成物を、再結晶剤、例えばアセトン、メチルアルコール及び/または水等により再結晶し精製した後、この精製物を触媒として用いてもよい。
【0056】
本発明においては、上記のポリエステルを常法によりダイから溶融押出して、所望により更に少なくとも一軸方向に延伸配向し、そして熱固定することによってフィルムとする。二軸延伸は、例えば逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法等の二軸延伸法で行うことができる。
【0057】
本発明においては、ポリエステル中のリン原子とチタン原子のグラム原子比(P/Ti)が0.6〜4.0であり、かつリン原子が150ppm以下であることが必要である。触媒として用いらるチタン化合物に含まれるリン原子がこの条件を満たさないときは、このグラム原子比になるようにリン原子を含有させる必要がある。このリン原子を含有させるには、ポリエステルにリン化合物を添加することによって達成できる。ここでリン化合物とは化合物中にリンを含有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸及びそれらの誘導体等が挙げられる。具体的には、リン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸アンモニウム等を挙げることができる。これらのリン化合物は二種以上を併用してもよい。
【0058】
リン化合物の添加量は、ポリエステル中のリン原子とチタン原子のグラム原子比(P/Ti)が0.6〜4.0、好ましくは0.5〜3.0であり、かつポリエステル中のリン原子の総量が150ppm以下、好ましくは115ppm以下を満足する必要がある。このグラム原子比(P/Ti)が0.6未満では金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層を形成したときにむらが生じやすく、一方4.0を超えると、過剰のリン化合物による副作用、例えば分解作用が生じ、ポリエステルフィルム上の金属または金属酸化物を含む層にクラックが入りやすいため好ましくない。
【0059】
リン化合物の添加時期は、ポリエステルの重合反応が実質的に完了した段階からポリマーをダイより溶融押出す迄の段階であり、この間であれば任意に選択できる。また添加は一度に行ってもよいし、2回以上に分割して行ってもよい。添加方法としては、所定量のリン化合物を直接添加する方法、またはリン化合物を高濃度含有する、いわゆるマスターポリマー(マスターバッチ)を添加する方法等が挙げられる。すなわち、重合反応末期の溶融ポリエステルにリン化合物の所定量を直接添加する方法、または媒体で希釈したリン化合物の所定量を添加する方法、固体状のポリエステルにリン化合物の所定量を添加し混合する方法またはマスターポリマーの所定量を混合する方法、ポリエステルフィルムの溶融押出し時にリン化合物の所定量を溶融混練する方法またはマスターポリマーの所定量を溶融混練する方法等を好ましく挙げることができる。
【0060】
本発明に用いられるPETは、従来公知のPETの製造方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。この際、必要に応じてエステル交換触媒または重合反応触媒を用い、または耐熱安定剤を添加することができる。熱安定剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、及びそれらのエステル化合物が挙げられる。また、合成時の各過程で着色防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、粘度調節剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料等を添加させてもよい。
【0061】
(ポリエステルフィルムの製膜)
次に、本発明で用いるポリエステルフィルムの製膜方法について説明する。
【0062】
未延伸シートを得る方法及び縦方向に一軸延伸する方法は、従来公知の方法で行うことができる。例えば、原料のポリエステルをペレット状に成型し、熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、Tダイよりシート状に押出して、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得る。次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群及び/または赤外線ヒーター等の加熱装置を介してポリエステルのTgからTg+100℃の範囲内に加熱し、縦延伸する方法である。延伸倍率は、通常2.5〜8倍の範囲である。
【0063】
この際、延伸温度を支持体の表裏で温度差を持たせることで巻きぐせをつき難くすることができる。具体的には、縦延伸の加熱時に、赤外線ヒーター等の加熱手段を片面側に設けることで温度をコントロールすることができる。延伸時の温度差は、好ましく0〜40℃、より好ましくは0〜20℃である。温度差が40℃より大きくなると、均一に延伸できずにフィルムの平面性が劣化しやすくなり好ましくない。
【0064】
次に、上記の様にして得られた縦方向に一軸延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tg+120℃の温度範囲内で、横延伸し、次いで熱固定する。横延伸倍率は通常3〜8倍であり、また、縦、横延伸倍率の比は、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整される。ついで熱固定は、その最終横延伸温度より高温で、Tg+180℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固定する。このとき、2つ以上の温度で熱固定されることが好ましい。このように2つ以上の温度で熱固定したフィルムは寸法安定性が向上する。
【0065】
また、本発明で用いるポリエステルフィルムは寸法安定性の点で弛緩処理を行うことが好ましい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、またはテンターを出た後に巻き取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は、処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、より好ましくは、処理温度が100〜180℃、更に好ましくは、処理温度が120〜160℃の範囲である。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは弛緩率が2〜6%で処理されることである。弛緩処理されたポリエステルフィルムは、好ましい熱寸法変化率のポリエステルフィルムとなる。
【0066】
本発明のポリエステルフィルムの透明性に関しては、ヘーズが3%以下であることが好ましく、更に好ましくは1%以下である。ヘーズが3%より大きいと反射防止フィルムに用いられる場合、画像が不鮮明になる。上記ヘーズは、ASTM−D1003−52に従って測定したものである。また上記ヘーズは支持体中の金属含有量を調整することで得られる。
【0067】
更に、機能性薄膜の形成前の何れかの工程でTg〜Tg+180℃の温度範囲で熱処理することにより、更に歩留まりが高く、均一性の高い機能性薄膜を形成することができる。熱処理時間としては、好ましくは0.5〜300秒間である。
【0068】
一般に反射防止フィルムに用いられるポリエステルフィルムは10〜300μmの膜厚であり、10〜90μmの薄いフィルムが効果的であるが、本発明においては10〜75μmであることが特に好ましい。
【0069】
(ハードコート層)
本発明の反射防止フィルムは、ポリエステルフィルム上にハードコート層を介して1層以上の金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有する層を含む反射防止層を形成することを特徴としている。熱硬化樹脂または活性線硬化樹脂からなるハードコート層を形成することが好ましく、特に紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を設けることが好ましい。なお、これらの層を形成する前にポリエステルフィルムの表面をコロナ放電処理またはグロー放電処理することが好ましい。
【0070】
樹脂硬化層は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを1種以上含む成分を重合させて形成した層であることが好ましい。エチレン性不飽和結合を有するモノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層としては、活性線硬化樹脂または熱硬化樹脂を硬化させて形成された層が好ましく用いられるが、特に好ましく用いられるのは活性線硬化樹脂層である。ここで、活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。
【0071】
活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。
【0072】
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0073】
具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0074】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させる容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151110号に記載のものを用いることができる。
【0075】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させる容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号に記載のものを用いることができる。
【0076】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号に記載のものを用いることができる。
【0077】
これらの光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及び誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。例えば、イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)等が好ましく用いられる。光増感剤と共に使用してもよい。
【0078】
上記光反応開始剤も光増感剤としても使用できる。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。
【0079】
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
【0080】
本発明において使用し得る市販品の紫外線硬化樹脂としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)等を適宜選択して利用できる。
【0081】
これらの活性線硬化樹脂層は公知の方法で塗設することができる。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させるための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって効率よく形成することができる。
【0082】
紫外線硬化樹脂層組成物塗布液の有機溶媒としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
【0083】
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥中または後に、紫外線を照射するのがよく、照射時間としては0.5秒〜5分が好ましく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から3秒〜2分がより好ましい。
【0084】
硬化樹脂層塗布液には、ブロッキングを防止するために、また耐擦り傷性等を高めるために、無機化合物または有機化合物の微粒子を加えることもできる。また導電性を向上するために、後述の(金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層)に記載の金属酸化物微粒子を加えることが好ましい。
【0085】
無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が好ましく用いられる。二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
【0086】
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂、アクリル樹脂、架橋ポリスチレン樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上、東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
【0087】
これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.005〜5μmが好ましく0.01〜1μmであることが特に好ましい。紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。
【0088】
ハードコート層の膜厚は1〜20μmが好ましい。1μm未満では下地のポリエステルフィルムが変形した場合に、それに応じてハードコート層も変形し、ハードコート層としての硬度は低下してしまう。一方、硬度が不充分であってもハードコート層の厚みを単に厚くすれば、得られたハードコート層付きフィルムの硬度は向上するが、特に20μmを超えるとハードコート層の割れや剥がれが生じやすく、同時に硬化収縮によるハードコート層付フィルムのカールが大きくなるという問題がある。
【0089】
ハードコート層の膜厚は、後述する金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層、低屈折率層と高屈折率層を積層した反射防止層等の薄膜の膜厚測定と同様の方法により求めることができる。
【0090】
ハードコート層の表面弾性率は7〜35GPaが好ましい。表面弾性率が7GPa未満ではハードコート層としての硬さが不足し、35GPaを超えると硬くなりすぎて脆くなる。弾性率をこれらの範囲にするために、上記熱硬化樹脂または活性線硬化樹脂の種類、その活性光線照射架橋による分子量のコントロール、無機化合物、有機化合物の微粒子、金属酸化物微粒子の添加等により調整することができる。
【0091】
表面弾性率は微小表面硬度計を用いて測定できる。具体的な方法は以下の通りである。微小表面硬度計(Hysitron社製Triboscope)を用い、試料表面にビッカース圧子(先端稜角90°、先端曲率半径35〜50nm)を接触させた後、10秒間に加重を1mNにまで増加させ、この状態で5秒保持する。この時のビッカース圧子の侵入深さをDv0とする。この後、加重を0mNとした時にビッカース圧子を押し戻す力(Fv)と侵入深さ(Dv)を測定し、その傾きを表面弾性率とする。この測定は25℃、60%RH下で行い、10点の平均値で表す。原理の詳細は、Handbook of Micro/Nano Tribology(Bharat Bhushan編 CRC)に記載されている。
【0092】
(反射防止層)
本発明に係る反射防止層の少なくと一層は、導電性向上のため金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有する。これらの層の作製に当たっては、金属または金属酸化物を蒸着、スパッタやメッキ等により作製する方法と、金属微粒子または金属酸化物微粒子を塗布して形成する方法があるが、塗布により形成する方法が生産性向上の点で好ましい。金属微粒子としては、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、パラジウム、プラチナまたはこれらの合金等である。また金属酸化物微粒子としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化鉄またはこれらの複合酸化物である。これらの中でも、本発明では金属微粒子が好ましく、特に銀が好ましい。さらに耐候性の観点から銀とパラジウムの合金が好ましいく、パラジウムの含有量としては5〜30質量%が好ましい。パラジウムが少ないと耐候性が悪く、パラジウムが多くなると導電性が低下する。
【0093】
金属微粒子または金属酸化物微粒子の作製方法としては、通常の低真空蒸発法による微粒子の作製方法や金属塩の水溶液を還元する金属コロイド作製方法が挙げられる。これらの金属微粒子の平均粒径は1〜200nmが好ましい。200nmを越える場合には、金属微粒子による光の吸収が大きくなり、このために粒子層の光透過率が低下すると同時にヘーズが大きくなる。また、これら金属微粒子の平均粒径が1nm未満の場合には微粒子の分散が困難になること、微粒子層の表面抵抗が急激に大きくなるため、低抵抗値を有する皮膜を得ることができない。この層は実質的に金属微粒子のみからなることが好ましく、バインダー等の非導電性のものを含有しないことが導電性の観点から好ましい。
【0094】
金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層は、水を主体とする溶剤に分散した塗料をハードコート上に塗布して作製する。これらの水と混合する溶剤としてはエチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、メチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコールが好ましい。
【0095】
金属微粒子または金属酸化物微粒子の塗布量としては、50〜150mg/m2が好ましく、塗布量が少ないと導電性が取れず、塗布量が多いと透過性が劣る。
【0096】
この層の表面抵抗率は、1000Ω/□以下であることが望ましく、透過率は可視光の透過率で50%以上が好ましく、55%以上が更に好ましく、60%以上が特に好ましい。
【0097】
本発明に係る反射防止層には、上記金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層の他に、例えば低屈折率層または高屈折率層を積層した反射防止層を有してもよい。上記金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層を高屈折率層とすることもできる。
【0098】
例えば、ポリエステルフィルム上に反射防止層を有する反射防止フィルムを作製する場合、屈折率1.6〜2.3の高屈折率層及び屈折率1.3〜1.5の低屈折率層をポリエステルフィルム表面に連続して積層し、効率的に作製することができる。
【0099】
低屈折率層としては、含フッ素有機化合物を含む溶液を塗設して形成された含フッ素化合物層、またはアルコキシシラン等の有機珪素化合物及び/または酸化ケイ素微粒子を含む溶液を塗設して形成された主に酸化ケイ素を有する層が好ましく、高屈折率層としては、有機金属化合物及び/または金属酸化物微粒子を含む溶液を塗設して形成された金属または金属酸化物を含む層、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタルを有する層または窒化チタン等の金属窒化物層が好ましい。
【0100】
本発明はこれらに限定されるものではなく、層構成もこれらに限定されるものではない。例えば、最表面にフッ素含有有機化合物を含む溶液を塗設して防汚層を設けてもよい。または公知の防汚層、例えばフルオロアルキルシラン等含む組成物を塗設することもできる。あるいは、アルキルシラン、フルオロアルキルシラン化合物を用いてCVD法により防汚層を形成することもできる。
【0101】
上記の方法により、本発明においては、多層の薄膜を積層することができ、各層の膜厚むらもなく、均一な反射防止フィルムを得ることができる。
【0102】
金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層、低屈折率層と高屈折率層を積層した反射防止層等の薄膜の膜厚は、積層体の断面を作製し、透過電子顕微鏡(Transmission Electoron Microscope:以下、TEMと称す)で観察を行うことによって求めることができる。
【0103】
断面の作製は、具体的には積層体を基材と共に電子顕微鏡観察前処理用のエポキシ包埋樹脂に包埋し、ダイヤモンドナイフを装着したウルトラミクロトームを用いて、厚さ約80nmの超薄切片を作製するか、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)加工装置を用いて、積層体表面にGaイオンビームを集束走査し、厚さ約100nmの薄片化した断面を切り出すことで作製することができる。
【0104】
TEMによる観察は倍率として50,000〜500,000倍にて明視野像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレート、CCDカメラ等に記録する。
【0105】
TEMの加速電圧としては、80〜400kVが好ましく、特に好ましくは80〜200kVである。
【0106】
その他、電子顕微鏡観察技法、及び試料作製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製法」(丸善)、「電子顕微鏡Q&A」(アグネ承風社)をそれぞれ参考にすることができる。
【0107】
適当な媒体に記録されたTEM画像は、画像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ましくは2048画素×2048画素以上に分解し、コンピュータによる画像処理を行なうことが好ましい。
【0108】
画像処理技術の詳細は「田中弘編 画像処理応用技術(工業調査会)」を参考にでき、画像処理プログラムまたは装置としては上記操作が可能なものであれば特に限定はされないが、一例としてMEDIA CYBERNETICS社(USA)製画像解析ソフトImage−Pro PLUSが挙げられる。
【0109】
画像処理を行なうためには、フィルムに記録されたアナログ画像はスキャナ等でデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調等を必要に応じ施すことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し、2値化処理によって、積層体界面に相当する箇所を抽出し、界面間の幅(Thickness)を計測する。
【0110】
同様にして少なくとも25箇所以上好ましくは50箇所以上について求めた値から平均膜厚及びその変動を算出することができる。
【0111】
このように、本発明においてはさまざまな機能を有する金属または金属酸化物を含む層を形成した反射防止フィルムを提供することができる。
【0112】
この反射防止フィルムを有する偏光板や反射防止フィルムを有する表示装置は視認性に優れており、過酷な環境下であっても優れた表示性能を提供することができるのである。
【0113】
本発明の反射防止フィルムには必要に応じて、防眩層、帯電防止層、導電層、光拡散層、易接着層、防汚層、電磁波遮蔽層を単独でまたは適宜組み合わせて設けることができる。
【0114】
本発明の反射防止フィルムは、帯電防止フィルム、導電フィルム、電磁波遮蔽フィルム、偏光板等の保護フィルム、プラズマディスプレイ前面フィルター、フィールドエミッションディスプレイ用前面フィルター等に好ましく用いられる。
【0115】
また、本発明の反射防止フィルムは反射型、透過型、半透過型液晶表示装置またはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型、IPS型等の各種駆動方式の液晶表示装置で好ましく用いられ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパーディスプレイ等の各種表示装置にも好ましく用いることができる。
【0116】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0117】
実施例
〔ポリエステルフィルムの作製〕
(ポリエステルフィルム1)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100部とエチレングリコール60部の混合物にチタンテトラブトキサイド(TBT)0.0111部を添加し、150℃から240℃に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応率が98%となった時点で、反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温290℃)にて重合反応を行ってポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
【0118】
このポリエチレン−2,6−ナフタレート100部にフェニルホスホン酸0.0104部を添加し、V型ブレンダーにて混合した後、170℃にて5時間乾燥処理を行った。その後常法に従ってダイより溶融押出し、急冷して厚さ800μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に140℃で4.0倍、横方向に155℃で5.0倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で10秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0119】
(ポリエステルフィルム2)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部、酢酸マンガン4水塩0.019部及び酢酸カリウム0.0025部を反応器に仕込み、内温を145℃から徐々に上げながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応率が95%となった時点でトリメチルホスフェート0.0108部を添加し、更に平均粒径0.25μmの二酸化ケイ素のエチレングリコールスラリー(二酸化ケイ素の10質量%/エチレングリコールスラリー)0.5部を添加した。そして十分攪拌した後、チタンテトラブトキサイド0.00876部を添加した。次いで反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温290℃)にて重合反応を行い、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートを得た。次いでこの溶融状態のポリエチレンテレフタレート100部にトリメチルホスフェート0.00438部を添加し、十分攪拌した後、ポリエチレンテレフタレートを得た。
【0120】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って、乾燥、溶融押出し、急冷して厚さ360μmの未延伸フィルムを作製し、次いで該未延伸フィルムを縦方向に90℃で3倍、横方向に105℃で3倍の逐次二軸延伸を行い、更に230℃で10秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。この際、横延伸前の一軸延伸フィルムに次の組成の塗液をロールコート法でフィルムの一表面に塗布した。
【0121】
(ポリエステルフィルム3)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部及びチタンテトライソプロポキシド0.0293部を反応器に仕込み、内温を145℃から徐々に上げながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応率が97%となった時点で正リン酸0.00253部を添加し、十分攪拌した。次いで反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温290℃)にて重合反応を行い、ポリエチレンテレフタレート(A)を得た。
【0122】
一方溶融状態のポリエチレンテレフタレート(A)に正リン酸1.008部を添加し、十分攪拌した後、固有粘度0.60のポリエチレンテレフタレート(B)を得た。
【0123】
これらのポリエチレンテレフタレート(A)、(B)を常法にて乾燥した後ポリエチレンテレフタレート(A)0.8部とポリエチレンテレフタレート(B)99.2部を十分混合し、常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0124】
(ポリエステルフィルム4)
テレフタル酸のビス−β−ヒドロキシエチルエステル100部、テレフタル酸65部及びエチレングリコール29部の混合物を210〜230℃でエステル化反応を行った。反応により生成する水の留出量が13部となった時点で反応終了とし、反応生成物100部当り0.0067部の酢酸チタンを添加した後十分攪拌して、反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温285℃)にて重合反応を行ってポリエチレンテレフタレートを得た。
【0125】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出しする際、ポリエチレンテレフタレート100部当り亜リン酸0.00769部を添加し、急冷して厚さ330μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.6倍、横方向に105℃で3.7倍に逐次二軸延伸を行い、更に220℃で10秒間熱固定を行って厚さ25.0μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0126】
(ポリエステルフィルム5)
チタンテトラブトキシド10部を酢酸エチル100部に室温で溶解し、この溶液に、室温、攪拌下でリン酸5.7部を滴下した。直ちに白色沈殿が生成するとともに発熱が起こり、発熱が収まるまで30分間攪拌下で放置した後、沈殿を濾取し、この析出物(触媒)をエチレングリコールの10質量%スラリーとした。
【0127】
テレフタル酸ジメチル194部、エチレングリコール124部及び酢酸マンガン4水塩0.06部を精留塔付き反応層に入れ、常法に従ってエステル交換反応を行い、理論量のメタノールを留出させた。次いで反応生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、安定剤としてトリメチルホスフェート0.04部、さらに重縮合触媒として上記触媒スラリーをテレフタル酸ジメチルに対して、チタンとして20mmol%を加え、温度285℃、常圧で30分、更に4kPaの減圧下で15分反応を進行させた後、系内を徐々に減圧にし、撹拌下110分間反応させた。最終内温は285℃、最終内圧は49Paであった。
【0128】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0129】
(ポリエステルフィルム6)
ポリエステルフィルム5の作製において、リン酸5.7部を8.6部に変更した以外は同様にしてポリエステルフィルム6を得た。
【0130】
(ポリエステルフィルム7)
ポリエステルフィルム5の作製において、リン酸5.7部を8.6部に、触媒スラリーをテレフタル酸ジメチルに対して、チタンとして30mmol%に変更した以外は同様にしてポリエステルフィルム7を得た。
【0131】
(ポリエステルフィルム8)
エチレングリコール2.5質量部に無水コハク酸0.4質量部を溶解し、この溶液にチタンテトラブトキシド0.7質量部を滴下し、この反応系を空気中、常圧下、80℃に60分間保持してチタンテトラブトキシドと無水コハク酸とを反応させ、反応生成物を熟成させた。その後反応系を常温に冷却し、これにアセトン15質量部を加え、析出物をNo.5ろ紙で濾過し、採取し、これを100℃で2時間乾燥した。
【0132】
次に、エチレングリコール131質量部中にフェニルホスホン酸3.6質量部を120℃に10分間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液134.5質量部に、さらにエチレングリコール40質量部を加えた後、これに上記チタン化合物5.0質量部を溶解させた。得られた反応系を120℃で60分間撹拌し、チタン化合物とフェニルホスホン酸とを反応させ、反応生成物を含む触媒(A)の白色スラリーを得た。
【0133】
テレフタル酸166質量部とエチレングリコール75質量部とを240℃においてエステル化反応させ、次いで得られた反応生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、重縮合触媒として上記触媒(A)スラリーをテレフタル酸の量を基準として、チタン原子量換算で10ミリモル%及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002質量部を加え、得られた反応系を温度285℃、常圧で30分間加熱し、さらに上記温度において4.0kPaの減圧下で15分間加熱して反応を進行させた後、反応系内を徐々に減圧にし、上記温度において撹拌しながら110分間加熱して反応を完了させた。このときの最終内温は285℃、最終内圧は49.3Paであった。
【0134】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0135】
(ポリエステルフィルム9)
エチレングリコール2.5質量部中に無水コハク酸0.4質量部を溶解し、この溶液中にチタンテトラブトキシド0.7質量部(無水コハク酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、この反応系を空気中、常圧下、80℃に60分間保持して、チタンテトラブトキシドと無水コハク酸とを反応熟成させた。その後この反応系を常温に冷却し、それにアセトン15質量部を加え、生成した析出物をNo.5ろ紙で濾取し、100℃で2時間乾燥し、チタン化合物を得た。
【0136】
次に、エチレングリコール129質量部中に3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸2.8質量部を混合し、これを120℃で10分間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液134.5質量部に、さらにエチレングリコール40質量部を加え、これに上記チタン化合物5.0質量部を溶解させ、この反応系を撹拌しながら120℃で60分間加熱して、微黄色透明の触媒溶液を得た。
【0137】
テレフタル酸166質量部とエチレングリコール75質量部とを240℃において、エステル化反応させ、次いで得られた生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、重縮合触媒として上記触媒溶液をテレフタル酸の量を基準として、チタン原子量換算で20ミリモル%、及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002質量部を加え、得られた反応系を温度285℃、常圧において30分間加熱し、さらに4.0kPaの減圧下で15分加熱して反応を進行させた。次に上記反応温度において、反応系内を徐々に減圧にし、撹拌下110分間加熱して反応させた。フラスコ中の最終温度は285℃であり最終内圧は49.3Paであった。
【0138】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0139】
(ポリエステルフィルム10)
エチレングリコール2.5質量部中に無水コハク酸0.4質量部を溶解し、この溶液にチタンテトラブトキシド0.7質量部(無水コハク酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、この混合物を空気中、常圧下、80℃に60分間保持して、無水コハク酸とチタンテトラブトキシドとを反応熟成させた。この反応混合物を常温に冷却した後、それにアセトン15質量部を加え、形成された析出物をNo.5ろ紙で濾取し、それを100℃で2時間乾燥し、チタン化合物を得た。
【0140】
次に、エチレングリコール136質量部中にジフェニルホスフィン酸2.6質量部を混合し、この混合物を120℃で10分間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液141.2質量部に、さらにエチレングリコール40質量部を加え、この混合物に上記チタン化合物5.0質量部を溶解させて反応系を調製し、この反応系を120℃で60分間撹拌して、チタン化合物とジフェニルホスフィン酸とを反応させて微黄色透明の触媒溶液を得た。
【0141】
テレフタル酸166質量部とエチレングリコール75質量部とを240℃においてエステル化反応させ、次いで得られたエステル化生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、これに重縮合触媒として上記触媒溶液をテレフタル酸の量を基準として、チタン原子量換算で20ミリモル%及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002質量部を加えて反応系を調製し、この反応系を285℃、常圧で30分加熱し、さらに前記温度において、4.0kPaの減圧下で15分間加熱して反応を進行させ、次に反応系内を徐々に減圧にし、前記反応温度において撹拌下、110分間反応させた。反応系の最終温度は285℃であり、最終内圧は49.3Paであった。
【0142】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0143】
(ポリエステルフィルム11)
トリメチレングリコール2.5質量部中に無水コハク酸0.4質量部を溶解し、この溶液中に、チタンテトラブトキシド0.7質量部(無水コハク酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、この反応混合物を、空気中、常圧下、80℃に60分間保持して、無水コハク酸とチタンテトラブトキシドとを反応熟成させた。その後この反応混合物を常温に冷却し、それにアセトン15質量部を加え、生成した析出物をNo.5ろ紙で濾取し、100℃で2時間乾燥し、チタン化合物を得た。
【0144】
次に、トリメチレングリコール131質量部中にフェニルホスホン酸3.6質量部を混合し、この混合物を120℃で10分間加熱して溶解した。このトリメチレングリコール溶液134.5質量部に、さらにトリメチレングリコール40質量部を加え、これに上記チタン化合物5.0質量部を溶解し、この反応系を120℃で60分間、加熱しながら撹拌して、フェニルホスホン酸とチタン化合物とを反応させ、この反応生成物、すなわち触媒を含む白色スラリーを得た。
【0145】
テレフタル酸166質量部とトリメチレングリコール92質量部とを240℃においてエステル化反応させ、得られたエステル化反応生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、これに、重縮合触媒として上記触媒スラリーをテレフタル酸のモル量を基準として、チタン原子のモル量換算で10ミリモル%及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002質量部を加えて反応系を調製した。この反応系を250℃、常圧で30分間加熱し、さらに前記温度において、4.0kPaの減圧下で、15分間加熱して反応を進行させた。次に、反応系内を、前記温度において徐々に減圧にし、撹拌下で110分加熱して反応させた。反応系の最終温度は250℃であり、最終内圧は49.3Paであった。
【0146】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0147】
(ポリエステルフィルム12)
ポリエステルフィルム4の作製において亜リン酸0.00769部を添加しないこと以外は全く同様にして二軸配向フィルムを作製した。
【0148】
(ポリエステルフィルム13)
ポリエステルフィルム4の作製において亜リン酸0.00769部を正リン酸0.0459部に変更する以外は同様にして二軸配向フィルムを作製した。
【0149】
(ポリエステルフィルム14)
ポリエステルフィルム4の作製において酢酸チタン0.0067部を0.0113部に変更し、ポリエチレンテレフタレートを得た。
【0150】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出しする際、ポリエチレンテレフタレート100部当り亜リン酸0.0427部を添加してポリエステルフィルム4の作製と同様にして厚さ25.0μmの二軸配向フィルムを得た。
【0151】
(ポリエステルフィルム15)
触媒としてチタンテトラブトキシドとリン酸との反応生成物の代わりにTBTのみを用い、触媒の添加量をテレフタル酸ジメチルに対してチタン原子換算で20mmol%となるようスラリーを添加した以外は、ポリエステルフィルム5と同様にしてポリエステルフィルム15を得た。
【0152】
(ポリエステルフィルム16)
ポリエステルフィルム8の作製において、フェニルホスホン酸3.6質量部を0.9部に変更した以外は同様にしてポリエステルフィルム16を得た。
【0153】
(ポリエステルフィルム17)
テレフタル酸ジメチル194質量部、エチレングリコール124質量部及び酢酸カルシウム0.12質量部を精留塔付き反応槽に投入し、220℃においてエステル交換反応を行い、生成した理論量のメタノールを留出除去した後、この反応混合物にリン酸0.09質量部を加えて第1段階の反応を終了した。次いで前記反応混合物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、この反応混合物に、重縮合触媒として、チタンテトラブトキシドをテレフタル酸ジメチルの量を基準として、チタン原子量換算で20ミリモル%、及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002質量部を加えた。
【0154】
この反応系を温度285℃、常圧で30分加熱しさらに前記温度において4.0kPaの減圧下で15分加熱して反応を進行させた後、反応系内を徐々に減圧にし、前記温度において撹拌下110分間加熱して反応を完了させた。フラスコ内の最終温度は285℃、最終内圧は49.3Paであった。
【0155】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0156】
(ポリエステルフィルム18)
テレフタル酸ジメチル78質量部及びエチレングリコール50質量部を酢酸マグネシウム二水和物0.05質量部を触媒として、常法に従いエステル交換反応した後、二酸化ゲルマニウムを0.01質量部を添加した。次いで、フェニルホスホン酸ジメチルエステル0.15質量部を添加した後、重合縮反応槽に移し、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して、133.3Paの減圧下、290℃で常法に従い重縮合反応を行なった。ポリエステルを溶融押出製膜して未延伸フィルムを得た後、常法に従って二軸延伸して厚さ40μmのポリエステルフィルム18を得た。
【0157】
(ポリエステル中のTi、Pの定量)
上記作製したポリエステルの所定量を塩酸と硝酸の混酸で分解し、イットリウム溶液を添加し定容とした後、JIS G1258に基づいてイットリウム内標準法により、誘導結合プラズマ発光分光法を用いてTi、P量を測定し、グラム原子比(P/Ti)を算出した。その結果を表1に示す。
【0158】
〔反射防止フィルムの作製〕
上記で得られたポリエステルフィルム1〜18上に、下記の方法で、帯電防止層、ハードコート層及び反射防止層を形成し、反射防止フィルム1〜18を作製した。
【0159】
(帯電防止層)
上記で得られたポリエステルフィルム1〜18上に、コロナ放電によって表面処理し、スチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(LX407C5、日本ゼオン(株)製)と酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物(FS−10D、石原産業(株)製)を質量で5:5の割合で混合し乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように塗布し、帯電防止層を形成した。
【0160】
(ハードコート層)
さらに、その上に下記ハードコート層塗布組成物1またはハードコート層塗布組成物2を塗布し、70℃で乾燥後200mJ/cm2の紫外線を照射して硬化しハードコート層1またはハードコート層2を形成した。
【0161】
ハードコート層を形成した試料について、ハードコート層の膜厚及び前記方法により弾性率を測定した。その結果を表1に示す。
【0162】
(反射防止層の形成)
下記組成物を容器に入れ、混合物の4倍量のジルコニアビーズ(φ0.3mm)を用いてペイントシェーカーで10時間攪拌し、攪拌後に光開始剤(イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ社製)を加えて下記組成の高屈折率層塗布組成物を得た。
【0163】
上記作製したハードコート層の上に、調製直後の高屈折率層塗布組成物をワイヤーバーで塗工し、60℃で1分間加熱乾燥した後、500mJのUV照射によって硬化させ、硬化後膜厚が0.03μmの高屈折率層(屈折率1.85)を形成した。
【0164】
上記高屈折率層上に、下記の低屈折率層塗布組成物をワイヤーバーで塗工し、80℃で5分間乾燥させた後、更に120℃で5分間熱硬化させ、さらに紫外線を175mJ/cm2照射して硬化させ、硬化後膜厚が0.12μmの低屈折率層(屈折率1.45)を設けた。
【0165】
〈テトラエトキシシラン加水分解物の調製〉
テトラエトキシシラン300gとエタノール455gを混合し、これに0.1mol/Lの酢酸水溶液295gを添加した後、室温にて10時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物を調製した。
【0166】
反射防止層を形成した試料について下記方法により、接触角及び表面比抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
【0167】
(接触角の測定)
接触角測定用液として、純水を使用し、23℃、55%RHに調湿したクリーンルームで、試料表面にシリンジから一滴を乗せ、接触角測定器(FIBLO社製)を使用して滴下3秒後の接触角を測定した。
【0168】
(表面比抵抗の測定)
試料を23℃、55%RHの条件にて24時間調湿し、川口電気(株)製テラオームメーターモデルVE−30を用いて測定した。測定は、2本の電極(試料と接する部分が1cm×5cm)を、間隔を1cmで平行に配置し、該電極に試料を接触させて測定し、測定値を5倍にした値を表面比抵抗値(Ω/cm2)とした。
【0169】
〔反射防止フィルムの評価〕
得られた反射防止フィルムについて下記のように、クラック及び膜厚均一性を評価した。その結果を表1に示す。
【0170】
(クラック)
反射防止フィルムを90℃、ドライで500時間処理し、表面に形成された金属または金属酸化物を含む層に発生したクラックを目視及び顕微鏡で観察し、下記のようにランク評価した。
【0171】
◎:クラックはほとんど認められず、透明性に優れる
○:クラックは認められるが、白濁はない
△:クラックが認められ、僅かに白濁している(実用不可)
×:著しくクラックが入り、白濁している(実用不可)
本発明では、◎、○が実用可のレベルである。
【0172】
(膜厚均一性)
反射防止フィルムの断面を透過電子顕微鏡により観察し、低屈折率層の膜厚を測定した。測定個所は反射防止フィルム1m×1mの範囲について25点選んだ。測定基準は以下の通りである。
【0173】
◎:膜厚の標準偏差が0.5nm未満
○:膜厚の標準偏差が0.5nm以上1nm未満
△:膜厚の標準偏差が1nm以上1.5nm未満
×:膜厚の標準偏差が1.5nm以上
なお、膜厚が変動すると反射光の色むらとなりやすく、△以上は実用可能レベルである。
【0174】
【表1】
【0175】
表1から、本発明の反射防止フィルムは、膜厚均一性に優れ、クラックが入りにくい反射防止フィルムであることが分かる。
【0176】
〔表示装置の評価〕
作製した反射防止フィルム1〜18を市販のプラズマディスプレイパネル(PDP−503HD、パイオニア(株)製)の最前面に接着剤で貼り付けて、それぞれ表示装置1〜18を作製した。得られた表示装置を、床から75cmの高さの机上に配置し、床から3mの高さの天井部にパルック蛍光灯(FL40SS・ELW/37型、3波長域発光形、長波長側のピーク発光波長は610nm、37W、松下電器産業(株)製)2本を1セットとして、1.5m間隔で8セット配置した。このとき評価者が表示装置正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に前記蛍光灯がくるように配置し、蛍光灯の写り込みを下記のようにランク評価した。その結果を表2に示す。
【0177】
◎:近くの蛍光灯の写り込みまでゆがみもなく、気にならない
○:近くの蛍光灯の写り込みがややゆがんで見えるが、気にならない
△:遠くの蛍光灯の写り込みもややゆがんで、気になる
×:遠くの蛍光灯の写り込みもゆがんで見え、気になる
本発明では、×は改善が求められるレベルである。
【0178】
【表2】
【0179】
表2より、本発明の反射防止フィルムを用いた表示装置は、比較に対して優れていることが明らかである。
【0180】
【発明の効果】
本発明により、膜厚均一性に優れ、高温で長時間放置してもクラックが入りにくく、長期間、帯電防止効果、防汚性が維持され、耐久性に優れた反射防止フィルム、その反射防止フィルムを用いた前面板、反射像のゆがみのない表示装置を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射防止フィルム、それを用いた前面板及び表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CRTや液晶表示装置の高画質化に伴って、視認性を改善するため反射防止層を設けた表示装置が求められており、反射防止層が形成されたフィルム等を表示装置前面に張り付けることが行われている。
【0003】
フィルムの材質としては、液晶表示装置ではセルロースエステルフィルムが好ましく用いられているが、裂けやすい等取り扱いにくいという欠点があった。フィルムとしては、ポリエステルフィルムが安価で、防湿性及び強靱性に優れることから、好ましい基材として用いられてきており、その表面に反射防止層を形成する試みが行われているが(例えば、特許文献1参照)、ポリエステルフィルムを用いる場合、形成した層の膜厚むらによる反射光のむらの改善が求められていた。また、高温で長時間放置されると形成した層にクラックが入るという問題や、表示装置の最前面に貼り付けたときの平面性が劣り、反射像がゆがんで見えるという問題があり、その改善が求められていた。
【0004】
また、特開平6−170911号には重合触媒としてチタン化合物を用いたポリエステルフィルムとその製造方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−26632号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、膜厚均一性に優れ、高温で長時間放置してもクラックが入りにくく、長期間、帯電防止効果、防汚性が維持され、耐久性に優れた反射防止フィルム、それを用いた前面板、反射像のゆがみのない表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0008】
1.ポリエステルから形成されたポリエステルフィルム上にハードコート層及び反射防止層を順次設けてなる反射防止フィルムにおいて、
1)前記ポリエステルは、チタン化合物を触媒として二官能性芳香族カルボン酸のエチレングリコールエステルまたはその低重合体を縮重合反応させて得られたものであり、また、該ポリエステルはリン化合物を含むものであって、その含有量はリン原子とチタン原子のグラム原子比(P/Ti)が0.6〜4.0であり、かつリン原子として150ppm以下であること、
2)前記ポリエステルフィルムは、前記ポリエステルをダイから溶融押出し、熱固定処理して得られたものであること、
3)前記反射防止層の少なくとも一層は、金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有すること、
4)前記反射防止フィルムは、その表面の純水に対する接触角が90°以上であり、かつその表面比抵抗が1011Ω/cm2以下であること、
を特徴とする反射防止フィルム。
【0009】
2.チタン化合物が、リン酸とアルキル基が炭素数で2以上のチタンアルコキサイドとを予め反応させて得られる反応生成物であることを特徴とする前記1記載の反射防止フィルム。
【0010】
3.反応生成物が、リン酸/チタンアルコキサイドのモル比を2〜4として有機溶媒中で反応して得られたものであることを特徴とする前記2記載の反射防止フィルム。
【0011】
4.ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートを含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の反射防止フィルム。
【0012】
5.フィルムが幅1.4〜4mの長尺フィルムであることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載の反射防止フィルム。
【0013】
6.ハードコート層の膜厚が1〜20μmで、表面弾性率が7GPa以上であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の反射防止フィルム。
【0014】
7.ハードコート層が金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項記載の反射防止フィルム。
【0015】
8.前記1〜7のいずれか1項記載の反射防止フィルムを少なくとも一方の面に貼り付けたことを特徴とする前面板。
【0016】
9.前記1〜7のいずれか1項記載の反射防止フィルムまたは前記8記載の前面板を有することを特徴とする表示装置。
【0017】
本発明を更に詳しく説明する。
本発明者は、ポリエステルの重合触媒にチタン化合物を使用し、含まれるリン原子とチタン原子のグラム原子比(P/Ti)を特定の範囲としたポリエステルフィルム上にハードコート層を有し、さらにその上に金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有する層を含む反射防止層を有し、表面の純水に対する接触角が90°以上で表面比抵抗が1011Ω/cm2以下である反射防止フィルムにより、上記問題を解決できることを見い出した。特に幅1m以上の長尺フィルムであっても、膜厚の均一な金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有する層を含む反射防止層が形成でき、高温で長時間放置してもクラックが入りにくい反射防止フィルムを得ることができた。
【0018】
(ポリエステル)
本発明の反射防止フィルムの基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルである。中でも好ましいポリエステルはPET、PENであり、特に好ましくはPETである。PENとしてはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。
【0019】
PETはテレフタル酸とエチレングリコール、PENはナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールから構成されるが、これらを触媒としてチタン化合物を用いて適当な反応条件下で結合させることによって重合できる。このとき、適当な1種、または2種以上の第3成分を混合してもよい。適当な第3成分としては、2価のエステル形成官能基を有するジカルボン酸、グリコールであればよい。
【0020】
ジカルボン酸の例として次のようなものが挙げられる。イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0021】
また、グリコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオール等を挙げることができる。
【0022】
本発明に用いられるPET樹脂及びフィルムの固有粘度は0.5〜0.8であることが好ましい。さらに好ましくは0.6〜0.7である。固有粘度が0.5未満だとデラミを起こしやすく、0.8を越えると切断性が悪く好ましくない。また固有粘度の異なるものを混合して使用してもよい。混合して使用する場合、用いる樹脂の固有粘度差が0.1〜0.3であるものを混合したものが好ましく、0.15〜0.2がより好ましい。
【0023】
(触媒)
本発明に用いられるポリエステルは、重合触媒としてチタン化合物を用いて、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートはテレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化反応またはジメチルテレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応せしめ、次いで反応生成物を重合せしめる方法で製造することができる。このエステル交換反応やエステル化反応では公知の触媒を用いることができるが、重合触媒としてはチタン化合物を用いる必要がある。チタン化合物の中では、有機チタン化合物及び後述のリン酸とチタンアルコキサイドとの反応生成物が好ましい。
【0024】
有機チタン化合物としては、例えば特開昭63−278927号公報に記載されているものを挙げることができる。さらに、チタンのアルコキサイドや有機酸塩、テトラアルキルチタネートと芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応物等を例示でき、好ましい具体例としてチタンテトラブトキサイド、チタンテトライソプロポキシド、蓚酸チタン、酢酸チタン、安息香酸チタン、トリメリット酸チタン、テトラブチルチタネートと無水トリメリット酸との反応物等を挙げることができる。
【0025】
チタン化合物の使用量は、チタン原子がポリエステル中に7〜120ppm、好ましくは7.5〜75ppmとなる量である。ポリエステル中のチタン原子が7ppm未満では重合反応の時間が長くなり、一方120ppmを超えると重合反応中に熱分解反応が同時に進行するため、重合度が上らなくなり、好ましくない。チタン化合物の添加時期は重合反応初期以前であれば何時でもよく、例えばエステル交換反応開始時より存在せしめてもよいし、また重合反応速度をコントロールする目的で2回以上に分けて添加する方法を用いてもよい。チタン化合物、特に有機チタン化合物は反応系内でさまざまな形に変化するものであり、最終的に生成したポリエステル中には最初に添加したものとは異なった化合物で存在する可能性がある。
【0026】
また、本発明では上記触媒としてリン酸とアルキル基の炭素数が2以上のチタンアルコキサイドとの反応生成物を用いることがより好ましく、これにより良好な色調を有し、同時に溶融熱安定性にも優れたポリエステルを製造することができる。
【0027】
本発明で使用するアルキル基の炭素数が2以上のチタンアルコキサイドとしては、例えば、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシド等のチタンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネート等を挙げることができ、中でも上記のチタンテトラアルコキシドが好ましく、特にチタンテトラブトキシドが好ましい。
【0028】
リン酸と上記のチタンアルコキサイドとの反応は、好ましくは有機溶媒中で行われ、有機溶媒としてはリン酸及びチタンアルコサイドを溶解するものが好ましく、酢酸エチル、アセトニトリル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メタノール、エタノール等が例示できる。
【0029】
有機溶媒中でのリン酸とチタンアルコキサイドとの反応は、室温、攪拌下で混合するだけで十分進み、反応生成物は白色物として析出し、これを濾取することによって、例えば下記式に示されるようなリンを含むチタン化合物を含有するものが得られる。
【0030】
【化1】
【0031】
ただし、Rは炭素数が2以上のアルキル基を示す。
この反応の際、リン酸/チタンアルコキサイドのモル比は広い範囲をとることができるが、モル比があまり小さいと反応が充分に進行し難くなる傾向があり、この触媒を用いて作製したポリエステルフィルム上の薄膜にクラックが入りやすくなる。逆にモル比があまり大きいと、リン酸がチタンアルコキサイドの反応点に対して過剰になりロスが多くなるだけでなく、ポリエステルフィルム上の金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有する層の膜厚が変動しやすく、すじ状のむらが生じやすくなる傾向がある。このため、リン酸/チタンアルコキサイドのモル比は2〜4が好ましい。
【0032】
本発明において、触媒として添加されるリン酸とチタンアルコキサイドとの反応生成物の添加時期は、二官能性芳香族カルボン酸のエチレングリコールエステル及び/またはその低重合体の重縮合反応の初期の段階までであれば任意の段階でよい。
【0033】
上記反応生成物の添加量は、あまりに少ないと充分な重縮合反応速度が得られず、逆にあまり多すぎても好ましくない。このため、添加量はポリエステルを構成する全酸成分に対してチタン原子換算で5〜40mmol%の範囲が好ましい。
【0034】
また、触媒の添加方法は従来公知の任意の方法を採用することができるが、触媒をグリコール成分のスラリーとして反応系に添加することが望ましい。
【0035】
本発明では上記触媒としてリン酸とアルキル基の炭素数が2以上のチタンアルコキサイドとの反応生成物を用いることにより良好な色調を有し、同時に溶融熱安定性にも優れたポリエステルを製造することができる。
【0036】
詳しくは、
(A)下記一般式(I)で表されるチタン化合物(1)、または一般式(I)で表されるチタン化合物(1)と下記一般式(II)で表される多価カルボン酸またはその無水物とを反応させて得られたチタン化合物(2)から選ばれた少なくとも一種からなるチタン化合物成分(A)と、
(B)下記一般式(III)で表されるリン化合物(3)の少なくとも一種からなるリン化合物成分(B)との反応生成物からなる触媒である。
【0037】
【化2】
【0038】
式中、R1は2〜10個の炭素原子を有するアルキル基を表し、pは1〜3の整数を表す。
【0039】
【化3】
【0040】
式中、R2は1〜10個の炭素原子を有する脂肪族基または脂環式の二官能基を表す。
【0041】
【化4】
【0042】
式中、mは1または2を表し、qは0または1を表し、R3は未置換または置換された6〜20個の炭素原子を有するアリール基または1〜20個の炭素原子を有するアルキル基を表す。ただし、mとqとの和は1または2であり、mが2を表す場合、2個のR3は同一でも異なっていてもよい。
【0043】
チタン化合物成分(A)と、リン化合物成分(B)との反応生成物において、チタン化合物成分(A)のチタン原子換算モル量(mTi)の、リン化合物成分(B)のリン原子換算モル量(mP)に対する反応モル比mTi/mPは1:1〜1:4であることが好ましい。
【0044】
チタン化合物成分(A)のチタン原子換算モル量とは、チタン化合物成分(A)に含まれる各チタン化合物のモル量と、当該チタン化合物の1分子に含まれるチタン原子の個数との積の合計値であり、リン化合物成分(B)のリン原子換算モル量とは、リン化合物成分(B)に含まれる各リン化合物のモル量と、当該リン化合物の1分子に含まれるリン原子の個数との積の合計値である。ただし、式(III)のリン化合物は1分子当たり1個のリン原子を含むものであるから、リン化合物のリン原子換算モル量は当該リン化合物のモル量に等しい。
【0045】
反応モル比mTi/mPが1:1より大きくなると、すなわち、チタン化合物成分(A)の量が過多になると、得られる触媒を用いて得られるポリエステルを用いてその上に形成した反射防止フィルムを用いた表示装置ではコントラスト等の視認性が低下し、かつすじ状のむらが生じやすくなる。また、反応モル比が、1:4未満になると、すなわちチタン化合物成分(A)の量が過少であってもやはりすじ状のむらが生じやすくなり好ましくない。
【0046】
チタン化合物成分(A)に用いられる一般式(I)で表されるチタン化合物(1)としては、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシド等のチタンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネート等のアルキルチタネートを挙げることができるが、なかでも本発明において使用されるリン化合物成分との反応性の良好なチタンテトラアルコキシドを用いることが好ましく、特にチタンテトラブトキシドを用いることがより好ましい。
【0047】
チタン化合物成分(A)に用いられるチタン化合物(2)は、一般式(I)で表されるチタン化合物(1)と、一般式(II)で表される多価カルボン酸またはその無水物との反応により得られる。一般式(II)で表される多価カルボン酸及びその無水物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物を好ましく用いることができ、特にチタン化合物(1)との反応性がよいコハク酸無水物を用いることが好ましい。
【0048】
チタン化合物(1)と一般式(II)で表される多価カルボン酸またはその無水物との反応は、多価カルボン酸またはその無水物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物(1)を滴下し、0〜200℃の温度で30分以上、好ましくは30〜150℃で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧で充分である。なお、溶媒としては、式(II)の化合物またはその無水物の一部または全部を溶解し得るものから適宜に選択することができるが、好ましくは、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン、キシレン等から選ばれる。
【0049】
この反応におけるチタン化合物(1)と式(II)で表される化合物またはその無水物とのモル比は適宜に選択することができるが、チタン化合物(1)の割合が多過ぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりする傾向があり、逆にチタン化合物(1)の量が少な過ぎると重縮合反応が進みにくくなる傾向があるため、チタン化合物(1)と式(II)の化合物またはその無水物との反応モル比は、(2/1)〜(2/5)とすることが好ましい。この反応によって得られる反応生成物は、そのまま前述のリン化合物(3)との反応に供してもよく、またはこれをアセトン、メチルアルコール及び/または酢酸エチル等によって再結晶して精製した後、これをリン化合物(3)と反応させてよい。
【0050】
リン化合物成分(B)に用いられる一般式(III)で表されるリン化合物(3)において、R3で表される炭素数6〜20のアリール基、または炭素数1〜20のアルキル基は未置換でも、または1個以上の置換基により置換されていてもよく、この置換基としては、例えば、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシル基及びアミノ基等を包含する。
【0051】
一般式(III)で表されるリン化合物(3)は、例えば、フェニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3−ジカルボキシルフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,6−ジカルボキシルフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、及びビス(2,4,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸等から選ばれる。
【0052】
チタン化合物成分(A)とリン化合物成分(B)との触媒の調製は、例えば、式(III)で表される少なくとも一種のリン化合物(3)からなる成分(B)と溶媒とを混合して、リン化合物成分(B)の一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物成分(A)を滴下し、反応系を0〜200℃の温度に30分間以上、好ましくは60〜150℃の温度に40〜90分間、加熱することによって行われる。この反応において、反応圧力については格別の制限はなく、加圧下(0.1〜0.5MPa)、常圧下、または減圧下(0.001〜0.1MPa)のいずれであってもよく、通常常圧下が行われる。
【0053】
また上記触媒調製反応に用いられる式(III)で表されるリン化合物成分(B)用溶媒は、リン化合物成分(B)の少なくとも一部を溶解し得る限り格別の制限はないが、例えば、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン、及びキシレン等から選ばれた少なくとも一種からなる溶媒が好ましく用いられる。特に、最終的に得ようとするポリエステルを構成しているグリコール成分と同一の化合物を溶媒として用いることが好ましい。
【0054】
この触媒調製反応において、反応系中のチタン化合物成分(A)とリン化合物成分(B)との配合割合は、得られる触媒に含まれるチタン化合物成分(A)とリン化合物成分との反応生成物において、チタン化合物成分(A)のチタン原子換算モル量(mTi)の、リン化合物成分(B)のリン原子換算モル量(mP)に対する反応モル比mTi/mPが1:1〜1:4になるように設定することが好ましい。さらに好ましくは、1:1〜1:3である。
【0055】
チタン化合物成分(A)とリン化合物成分(B)との反応生成物は、それを反応系から遠心沈降処理または濾過等の手段により分離した後、または分離することなくそれをそのままポリエステル製造用触媒として用いてもよく、または、この分離された反応生成物を、再結晶剤、例えばアセトン、メチルアルコール及び/または水等により再結晶し精製した後、この精製物を触媒として用いてもよい。
【0056】
本発明においては、上記のポリエステルを常法によりダイから溶融押出して、所望により更に少なくとも一軸方向に延伸配向し、そして熱固定することによってフィルムとする。二軸延伸は、例えば逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法等の二軸延伸法で行うことができる。
【0057】
本発明においては、ポリエステル中のリン原子とチタン原子のグラム原子比(P/Ti)が0.6〜4.0であり、かつリン原子が150ppm以下であることが必要である。触媒として用いらるチタン化合物に含まれるリン原子がこの条件を満たさないときは、このグラム原子比になるようにリン原子を含有させる必要がある。このリン原子を含有させるには、ポリエステルにリン化合物を添加することによって達成できる。ここでリン化合物とは化合物中にリンを含有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸及びそれらの誘導体等が挙げられる。具体的には、リン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸アンモニウム等を挙げることができる。これらのリン化合物は二種以上を併用してもよい。
【0058】
リン化合物の添加量は、ポリエステル中のリン原子とチタン原子のグラム原子比(P/Ti)が0.6〜4.0、好ましくは0.5〜3.0であり、かつポリエステル中のリン原子の総量が150ppm以下、好ましくは115ppm以下を満足する必要がある。このグラム原子比(P/Ti)が0.6未満では金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層を形成したときにむらが生じやすく、一方4.0を超えると、過剰のリン化合物による副作用、例えば分解作用が生じ、ポリエステルフィルム上の金属または金属酸化物を含む層にクラックが入りやすいため好ましくない。
【0059】
リン化合物の添加時期は、ポリエステルの重合反応が実質的に完了した段階からポリマーをダイより溶融押出す迄の段階であり、この間であれば任意に選択できる。また添加は一度に行ってもよいし、2回以上に分割して行ってもよい。添加方法としては、所定量のリン化合物を直接添加する方法、またはリン化合物を高濃度含有する、いわゆるマスターポリマー(マスターバッチ)を添加する方法等が挙げられる。すなわち、重合反応末期の溶融ポリエステルにリン化合物の所定量を直接添加する方法、または媒体で希釈したリン化合物の所定量を添加する方法、固体状のポリエステルにリン化合物の所定量を添加し混合する方法またはマスターポリマーの所定量を混合する方法、ポリエステルフィルムの溶融押出し時にリン化合物の所定量を溶融混練する方法またはマスターポリマーの所定量を溶融混練する方法等を好ましく挙げることができる。
【0060】
本発明に用いられるPETは、従来公知のPETの製造方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。この際、必要に応じてエステル交換触媒または重合反応触媒を用い、または耐熱安定剤を添加することができる。熱安定剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、及びそれらのエステル化合物が挙げられる。また、合成時の各過程で着色防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、粘度調節剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料等を添加させてもよい。
【0061】
(ポリエステルフィルムの製膜)
次に、本発明で用いるポリエステルフィルムの製膜方法について説明する。
【0062】
未延伸シートを得る方法及び縦方向に一軸延伸する方法は、従来公知の方法で行うことができる。例えば、原料のポリエステルをペレット状に成型し、熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、Tダイよりシート状に押出して、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得る。次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群及び/または赤外線ヒーター等の加熱装置を介してポリエステルのTgからTg+100℃の範囲内に加熱し、縦延伸する方法である。延伸倍率は、通常2.5〜8倍の範囲である。
【0063】
この際、延伸温度を支持体の表裏で温度差を持たせることで巻きぐせをつき難くすることができる。具体的には、縦延伸の加熱時に、赤外線ヒーター等の加熱手段を片面側に設けることで温度をコントロールすることができる。延伸時の温度差は、好ましく0〜40℃、より好ましくは0〜20℃である。温度差が40℃より大きくなると、均一に延伸できずにフィルムの平面性が劣化しやすくなり好ましくない。
【0064】
次に、上記の様にして得られた縦方向に一軸延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tg+120℃の温度範囲内で、横延伸し、次いで熱固定する。横延伸倍率は通常3〜8倍であり、また、縦、横延伸倍率の比は、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整される。ついで熱固定は、その最終横延伸温度より高温で、Tg+180℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固定する。このとき、2つ以上の温度で熱固定されることが好ましい。このように2つ以上の温度で熱固定したフィルムは寸法安定性が向上する。
【0065】
また、本発明で用いるポリエステルフィルムは寸法安定性の点で弛緩処理を行うことが好ましい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、またはテンターを出た後に巻き取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は、処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、より好ましくは、処理温度が100〜180℃、更に好ましくは、処理温度が120〜160℃の範囲である。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは弛緩率が2〜6%で処理されることである。弛緩処理されたポリエステルフィルムは、好ましい熱寸法変化率のポリエステルフィルムとなる。
【0066】
本発明のポリエステルフィルムの透明性に関しては、ヘーズが3%以下であることが好ましく、更に好ましくは1%以下である。ヘーズが3%より大きいと反射防止フィルムに用いられる場合、画像が不鮮明になる。上記ヘーズは、ASTM−D1003−52に従って測定したものである。また上記ヘーズは支持体中の金属含有量を調整することで得られる。
【0067】
更に、機能性薄膜の形成前の何れかの工程でTg〜Tg+180℃の温度範囲で熱処理することにより、更に歩留まりが高く、均一性の高い機能性薄膜を形成することができる。熱処理時間としては、好ましくは0.5〜300秒間である。
【0068】
一般に反射防止フィルムに用いられるポリエステルフィルムは10〜300μmの膜厚であり、10〜90μmの薄いフィルムが効果的であるが、本発明においては10〜75μmであることが特に好ましい。
【0069】
(ハードコート層)
本発明の反射防止フィルムは、ポリエステルフィルム上にハードコート層を介して1層以上の金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有する層を含む反射防止層を形成することを特徴としている。熱硬化樹脂または活性線硬化樹脂からなるハードコート層を形成することが好ましく、特に紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を設けることが好ましい。なお、これらの層を形成する前にポリエステルフィルムの表面をコロナ放電処理またはグロー放電処理することが好ましい。
【0070】
樹脂硬化層は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを1種以上含む成分を重合させて形成した層であることが好ましい。エチレン性不飽和結合を有するモノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層としては、活性線硬化樹脂または熱硬化樹脂を硬化させて形成された層が好ましく用いられるが、特に好ましく用いられるのは活性線硬化樹脂層である。ここで、活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。
【0071】
活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。
【0072】
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0073】
具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0074】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させる容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151110号に記載のものを用いることができる。
【0075】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させる容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号に記載のものを用いることができる。
【0076】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号に記載のものを用いることができる。
【0077】
これらの光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及び誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。例えば、イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)等が好ましく用いられる。光増感剤と共に使用してもよい。
【0078】
上記光反応開始剤も光増感剤としても使用できる。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。
【0079】
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
【0080】
本発明において使用し得る市販品の紫外線硬化樹脂としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)等を適宜選択して利用できる。
【0081】
これらの活性線硬化樹脂層は公知の方法で塗設することができる。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させるための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって効率よく形成することができる。
【0082】
紫外線硬化樹脂層組成物塗布液の有機溶媒としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
【0083】
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥中または後に、紫外線を照射するのがよく、照射時間としては0.5秒〜5分が好ましく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から3秒〜2分がより好ましい。
【0084】
硬化樹脂層塗布液には、ブロッキングを防止するために、また耐擦り傷性等を高めるために、無機化合物または有機化合物の微粒子を加えることもできる。また導電性を向上するために、後述の(金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層)に記載の金属酸化物微粒子を加えることが好ましい。
【0085】
無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が好ましく用いられる。二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
【0086】
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂、アクリル樹脂、架橋ポリスチレン樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上、東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
【0087】
これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.005〜5μmが好ましく0.01〜1μmであることが特に好ましい。紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。
【0088】
ハードコート層の膜厚は1〜20μmが好ましい。1μm未満では下地のポリエステルフィルムが変形した場合に、それに応じてハードコート層も変形し、ハードコート層としての硬度は低下してしまう。一方、硬度が不充分であってもハードコート層の厚みを単に厚くすれば、得られたハードコート層付きフィルムの硬度は向上するが、特に20μmを超えるとハードコート層の割れや剥がれが生じやすく、同時に硬化収縮によるハードコート層付フィルムのカールが大きくなるという問題がある。
【0089】
ハードコート層の膜厚は、後述する金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層、低屈折率層と高屈折率層を積層した反射防止層等の薄膜の膜厚測定と同様の方法により求めることができる。
【0090】
ハードコート層の表面弾性率は7〜35GPaが好ましい。表面弾性率が7GPa未満ではハードコート層としての硬さが不足し、35GPaを超えると硬くなりすぎて脆くなる。弾性率をこれらの範囲にするために、上記熱硬化樹脂または活性線硬化樹脂の種類、その活性光線照射架橋による分子量のコントロール、無機化合物、有機化合物の微粒子、金属酸化物微粒子の添加等により調整することができる。
【0091】
表面弾性率は微小表面硬度計を用いて測定できる。具体的な方法は以下の通りである。微小表面硬度計(Hysitron社製Triboscope)を用い、試料表面にビッカース圧子(先端稜角90°、先端曲率半径35〜50nm)を接触させた後、10秒間に加重を1mNにまで増加させ、この状態で5秒保持する。この時のビッカース圧子の侵入深さをDv0とする。この後、加重を0mNとした時にビッカース圧子を押し戻す力(Fv)と侵入深さ(Dv)を測定し、その傾きを表面弾性率とする。この測定は25℃、60%RH下で行い、10点の平均値で表す。原理の詳細は、Handbook of Micro/Nano Tribology(Bharat Bhushan編 CRC)に記載されている。
【0092】
(反射防止層)
本発明に係る反射防止層の少なくと一層は、導電性向上のため金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有する。これらの層の作製に当たっては、金属または金属酸化物を蒸着、スパッタやメッキ等により作製する方法と、金属微粒子または金属酸化物微粒子を塗布して形成する方法があるが、塗布により形成する方法が生産性向上の点で好ましい。金属微粒子としては、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、パラジウム、プラチナまたはこれらの合金等である。また金属酸化物微粒子としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化鉄またはこれらの複合酸化物である。これらの中でも、本発明では金属微粒子が好ましく、特に銀が好ましい。さらに耐候性の観点から銀とパラジウムの合金が好ましいく、パラジウムの含有量としては5〜30質量%が好ましい。パラジウムが少ないと耐候性が悪く、パラジウムが多くなると導電性が低下する。
【0093】
金属微粒子または金属酸化物微粒子の作製方法としては、通常の低真空蒸発法による微粒子の作製方法や金属塩の水溶液を還元する金属コロイド作製方法が挙げられる。これらの金属微粒子の平均粒径は1〜200nmが好ましい。200nmを越える場合には、金属微粒子による光の吸収が大きくなり、このために粒子層の光透過率が低下すると同時にヘーズが大きくなる。また、これら金属微粒子の平均粒径が1nm未満の場合には微粒子の分散が困難になること、微粒子層の表面抵抗が急激に大きくなるため、低抵抗値を有する皮膜を得ることができない。この層は実質的に金属微粒子のみからなることが好ましく、バインダー等の非導電性のものを含有しないことが導電性の観点から好ましい。
【0094】
金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層は、水を主体とする溶剤に分散した塗料をハードコート上に塗布して作製する。これらの水と混合する溶剤としてはエチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、メチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコールが好ましい。
【0095】
金属微粒子または金属酸化物微粒子の塗布量としては、50〜150mg/m2が好ましく、塗布量が少ないと導電性が取れず、塗布量が多いと透過性が劣る。
【0096】
この層の表面抵抗率は、1000Ω/□以下であることが望ましく、透過率は可視光の透過率で50%以上が好ましく、55%以上が更に好ましく、60%以上が特に好ましい。
【0097】
本発明に係る反射防止層には、上記金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層の他に、例えば低屈折率層または高屈折率層を積層した反射防止層を有してもよい。上記金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層を高屈折率層とすることもできる。
【0098】
例えば、ポリエステルフィルム上に反射防止層を有する反射防止フィルムを作製する場合、屈折率1.6〜2.3の高屈折率層及び屈折率1.3〜1.5の低屈折率層をポリエステルフィルム表面に連続して積層し、効率的に作製することができる。
【0099】
低屈折率層としては、含フッ素有機化合物を含む溶液を塗設して形成された含フッ素化合物層、またはアルコキシシラン等の有機珪素化合物及び/または酸化ケイ素微粒子を含む溶液を塗設して形成された主に酸化ケイ素を有する層が好ましく、高屈折率層としては、有機金属化合物及び/または金属酸化物微粒子を含む溶液を塗設して形成された金属または金属酸化物を含む層、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタルを有する層または窒化チタン等の金属窒化物層が好ましい。
【0100】
本発明はこれらに限定されるものではなく、層構成もこれらに限定されるものではない。例えば、最表面にフッ素含有有機化合物を含む溶液を塗設して防汚層を設けてもよい。または公知の防汚層、例えばフルオロアルキルシラン等含む組成物を塗設することもできる。あるいは、アルキルシラン、フルオロアルキルシラン化合物を用いてCVD法により防汚層を形成することもできる。
【0101】
上記の方法により、本発明においては、多層の薄膜を積層することができ、各層の膜厚むらもなく、均一な反射防止フィルムを得ることができる。
【0102】
金属微粒子または金属酸化物微粒子を含む層、低屈折率層と高屈折率層を積層した反射防止層等の薄膜の膜厚は、積層体の断面を作製し、透過電子顕微鏡(Transmission Electoron Microscope:以下、TEMと称す)で観察を行うことによって求めることができる。
【0103】
断面の作製は、具体的には積層体を基材と共に電子顕微鏡観察前処理用のエポキシ包埋樹脂に包埋し、ダイヤモンドナイフを装着したウルトラミクロトームを用いて、厚さ約80nmの超薄切片を作製するか、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)加工装置を用いて、積層体表面にGaイオンビームを集束走査し、厚さ約100nmの薄片化した断面を切り出すことで作製することができる。
【0104】
TEMによる観察は倍率として50,000〜500,000倍にて明視野像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレート、CCDカメラ等に記録する。
【0105】
TEMの加速電圧としては、80〜400kVが好ましく、特に好ましくは80〜200kVである。
【0106】
その他、電子顕微鏡観察技法、及び試料作製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製法」(丸善)、「電子顕微鏡Q&A」(アグネ承風社)をそれぞれ参考にすることができる。
【0107】
適当な媒体に記録されたTEM画像は、画像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ましくは2048画素×2048画素以上に分解し、コンピュータによる画像処理を行なうことが好ましい。
【0108】
画像処理技術の詳細は「田中弘編 画像処理応用技術(工業調査会)」を参考にでき、画像処理プログラムまたは装置としては上記操作が可能なものであれば特に限定はされないが、一例としてMEDIA CYBERNETICS社(USA)製画像解析ソフトImage−Pro PLUSが挙げられる。
【0109】
画像処理を行なうためには、フィルムに記録されたアナログ画像はスキャナ等でデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調等を必要に応じ施すことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し、2値化処理によって、積層体界面に相当する箇所を抽出し、界面間の幅(Thickness)を計測する。
【0110】
同様にして少なくとも25箇所以上好ましくは50箇所以上について求めた値から平均膜厚及びその変動を算出することができる。
【0111】
このように、本発明においてはさまざまな機能を有する金属または金属酸化物を含む層を形成した反射防止フィルムを提供することができる。
【0112】
この反射防止フィルムを有する偏光板や反射防止フィルムを有する表示装置は視認性に優れており、過酷な環境下であっても優れた表示性能を提供することができるのである。
【0113】
本発明の反射防止フィルムには必要に応じて、防眩層、帯電防止層、導電層、光拡散層、易接着層、防汚層、電磁波遮蔽層を単独でまたは適宜組み合わせて設けることができる。
【0114】
本発明の反射防止フィルムは、帯電防止フィルム、導電フィルム、電磁波遮蔽フィルム、偏光板等の保護フィルム、プラズマディスプレイ前面フィルター、フィールドエミッションディスプレイ用前面フィルター等に好ましく用いられる。
【0115】
また、本発明の反射防止フィルムは反射型、透過型、半透過型液晶表示装置またはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型、IPS型等の各種駆動方式の液晶表示装置で好ましく用いられ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパーディスプレイ等の各種表示装置にも好ましく用いることができる。
【0116】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0117】
実施例
〔ポリエステルフィルムの作製〕
(ポリエステルフィルム1)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100部とエチレングリコール60部の混合物にチタンテトラブトキサイド(TBT)0.0111部を添加し、150℃から240℃に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応率が98%となった時点で、反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温290℃)にて重合反応を行ってポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
【0118】
このポリエチレン−2,6−ナフタレート100部にフェニルホスホン酸0.0104部を添加し、V型ブレンダーにて混合した後、170℃にて5時間乾燥処理を行った。その後常法に従ってダイより溶融押出し、急冷して厚さ800μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に140℃で4.0倍、横方向に155℃で5.0倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で10秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0119】
(ポリエステルフィルム2)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部、酢酸マンガン4水塩0.019部及び酢酸カリウム0.0025部を反応器に仕込み、内温を145℃から徐々に上げながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応率が95%となった時点でトリメチルホスフェート0.0108部を添加し、更に平均粒径0.25μmの二酸化ケイ素のエチレングリコールスラリー(二酸化ケイ素の10質量%/エチレングリコールスラリー)0.5部を添加した。そして十分攪拌した後、チタンテトラブトキサイド0.00876部を添加した。次いで反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温290℃)にて重合反応を行い、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートを得た。次いでこの溶融状態のポリエチレンテレフタレート100部にトリメチルホスフェート0.00438部を添加し、十分攪拌した後、ポリエチレンテレフタレートを得た。
【0120】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って、乾燥、溶融押出し、急冷して厚さ360μmの未延伸フィルムを作製し、次いで該未延伸フィルムを縦方向に90℃で3倍、横方向に105℃で3倍の逐次二軸延伸を行い、更に230℃で10秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。この際、横延伸前の一軸延伸フィルムに次の組成の塗液をロールコート法でフィルムの一表面に塗布した。
【0121】
(ポリエステルフィルム3)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部及びチタンテトライソプロポキシド0.0293部を反応器に仕込み、内温を145℃から徐々に上げながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応率が97%となった時点で正リン酸0.00253部を添加し、十分攪拌した。次いで反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温290℃)にて重合反応を行い、ポリエチレンテレフタレート(A)を得た。
【0122】
一方溶融状態のポリエチレンテレフタレート(A)に正リン酸1.008部を添加し、十分攪拌した後、固有粘度0.60のポリエチレンテレフタレート(B)を得た。
【0123】
これらのポリエチレンテレフタレート(A)、(B)を常法にて乾燥した後ポリエチレンテレフタレート(A)0.8部とポリエチレンテレフタレート(B)99.2部を十分混合し、常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0124】
(ポリエステルフィルム4)
テレフタル酸のビス−β−ヒドロキシエチルエステル100部、テレフタル酸65部及びエチレングリコール29部の混合物を210〜230℃でエステル化反応を行った。反応により生成する水の留出量が13部となった時点で反応終了とし、反応生成物100部当り0.0067部の酢酸チタンを添加した後十分攪拌して、反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温285℃)にて重合反応を行ってポリエチレンテレフタレートを得た。
【0125】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出しする際、ポリエチレンテレフタレート100部当り亜リン酸0.00769部を添加し、急冷して厚さ330μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.6倍、横方向に105℃で3.7倍に逐次二軸延伸を行い、更に220℃で10秒間熱固定を行って厚さ25.0μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0126】
(ポリエステルフィルム5)
チタンテトラブトキシド10部を酢酸エチル100部に室温で溶解し、この溶液に、室温、攪拌下でリン酸5.7部を滴下した。直ちに白色沈殿が生成するとともに発熱が起こり、発熱が収まるまで30分間攪拌下で放置した後、沈殿を濾取し、この析出物(触媒)をエチレングリコールの10質量%スラリーとした。
【0127】
テレフタル酸ジメチル194部、エチレングリコール124部及び酢酸マンガン4水塩0.06部を精留塔付き反応層に入れ、常法に従ってエステル交換反応を行い、理論量のメタノールを留出させた。次いで反応生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、安定剤としてトリメチルホスフェート0.04部、さらに重縮合触媒として上記触媒スラリーをテレフタル酸ジメチルに対して、チタンとして20mmol%を加え、温度285℃、常圧で30分、更に4kPaの減圧下で15分反応を進行させた後、系内を徐々に減圧にし、撹拌下110分間反応させた。最終内温は285℃、最終内圧は49Paであった。
【0128】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0129】
(ポリエステルフィルム6)
ポリエステルフィルム5の作製において、リン酸5.7部を8.6部に変更した以外は同様にしてポリエステルフィルム6を得た。
【0130】
(ポリエステルフィルム7)
ポリエステルフィルム5の作製において、リン酸5.7部を8.6部に、触媒スラリーをテレフタル酸ジメチルに対して、チタンとして30mmol%に変更した以外は同様にしてポリエステルフィルム7を得た。
【0131】
(ポリエステルフィルム8)
エチレングリコール2.5質量部に無水コハク酸0.4質量部を溶解し、この溶液にチタンテトラブトキシド0.7質量部を滴下し、この反応系を空気中、常圧下、80℃に60分間保持してチタンテトラブトキシドと無水コハク酸とを反応させ、反応生成物を熟成させた。その後反応系を常温に冷却し、これにアセトン15質量部を加え、析出物をNo.5ろ紙で濾過し、採取し、これを100℃で2時間乾燥した。
【0132】
次に、エチレングリコール131質量部中にフェニルホスホン酸3.6質量部を120℃に10分間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液134.5質量部に、さらにエチレングリコール40質量部を加えた後、これに上記チタン化合物5.0質量部を溶解させた。得られた反応系を120℃で60分間撹拌し、チタン化合物とフェニルホスホン酸とを反応させ、反応生成物を含む触媒(A)の白色スラリーを得た。
【0133】
テレフタル酸166質量部とエチレングリコール75質量部とを240℃においてエステル化反応させ、次いで得られた反応生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、重縮合触媒として上記触媒(A)スラリーをテレフタル酸の量を基準として、チタン原子量換算で10ミリモル%及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002質量部を加え、得られた反応系を温度285℃、常圧で30分間加熱し、さらに上記温度において4.0kPaの減圧下で15分間加熱して反応を進行させた後、反応系内を徐々に減圧にし、上記温度において撹拌しながら110分間加熱して反応を完了させた。このときの最終内温は285℃、最終内圧は49.3Paであった。
【0134】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0135】
(ポリエステルフィルム9)
エチレングリコール2.5質量部中に無水コハク酸0.4質量部を溶解し、この溶液中にチタンテトラブトキシド0.7質量部(無水コハク酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、この反応系を空気中、常圧下、80℃に60分間保持して、チタンテトラブトキシドと無水コハク酸とを反応熟成させた。その後この反応系を常温に冷却し、それにアセトン15質量部を加え、生成した析出物をNo.5ろ紙で濾取し、100℃で2時間乾燥し、チタン化合物を得た。
【0136】
次に、エチレングリコール129質量部中に3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸2.8質量部を混合し、これを120℃で10分間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液134.5質量部に、さらにエチレングリコール40質量部を加え、これに上記チタン化合物5.0質量部を溶解させ、この反応系を撹拌しながら120℃で60分間加熱して、微黄色透明の触媒溶液を得た。
【0137】
テレフタル酸166質量部とエチレングリコール75質量部とを240℃において、エステル化反応させ、次いで得られた生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、重縮合触媒として上記触媒溶液をテレフタル酸の量を基準として、チタン原子量換算で20ミリモル%、及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002質量部を加え、得られた反応系を温度285℃、常圧において30分間加熱し、さらに4.0kPaの減圧下で15分加熱して反応を進行させた。次に上記反応温度において、反応系内を徐々に減圧にし、撹拌下110分間加熱して反応させた。フラスコ中の最終温度は285℃であり最終内圧は49.3Paであった。
【0138】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0139】
(ポリエステルフィルム10)
エチレングリコール2.5質量部中に無水コハク酸0.4質量部を溶解し、この溶液にチタンテトラブトキシド0.7質量部(無水コハク酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、この混合物を空気中、常圧下、80℃に60分間保持して、無水コハク酸とチタンテトラブトキシドとを反応熟成させた。この反応混合物を常温に冷却した後、それにアセトン15質量部を加え、形成された析出物をNo.5ろ紙で濾取し、それを100℃で2時間乾燥し、チタン化合物を得た。
【0140】
次に、エチレングリコール136質量部中にジフェニルホスフィン酸2.6質量部を混合し、この混合物を120℃で10分間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液141.2質量部に、さらにエチレングリコール40質量部を加え、この混合物に上記チタン化合物5.0質量部を溶解させて反応系を調製し、この反応系を120℃で60分間撹拌して、チタン化合物とジフェニルホスフィン酸とを反応させて微黄色透明の触媒溶液を得た。
【0141】
テレフタル酸166質量部とエチレングリコール75質量部とを240℃においてエステル化反応させ、次いで得られたエステル化生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、これに重縮合触媒として上記触媒溶液をテレフタル酸の量を基準として、チタン原子量換算で20ミリモル%及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002質量部を加えて反応系を調製し、この反応系を285℃、常圧で30分加熱し、さらに前記温度において、4.0kPaの減圧下で15分間加熱して反応を進行させ、次に反応系内を徐々に減圧にし、前記反応温度において撹拌下、110分間反応させた。反応系の最終温度は285℃であり、最終内圧は49.3Paであった。
【0142】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0143】
(ポリエステルフィルム11)
トリメチレングリコール2.5質量部中に無水コハク酸0.4質量部を溶解し、この溶液中に、チタンテトラブトキシド0.7質量部(無水コハク酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、この反応混合物を、空気中、常圧下、80℃に60分間保持して、無水コハク酸とチタンテトラブトキシドとを反応熟成させた。その後この反応混合物を常温に冷却し、それにアセトン15質量部を加え、生成した析出物をNo.5ろ紙で濾取し、100℃で2時間乾燥し、チタン化合物を得た。
【0144】
次に、トリメチレングリコール131質量部中にフェニルホスホン酸3.6質量部を混合し、この混合物を120℃で10分間加熱して溶解した。このトリメチレングリコール溶液134.5質量部に、さらにトリメチレングリコール40質量部を加え、これに上記チタン化合物5.0質量部を溶解し、この反応系を120℃で60分間、加熱しながら撹拌して、フェニルホスホン酸とチタン化合物とを反応させ、この反応生成物、すなわち触媒を含む白色スラリーを得た。
【0145】
テレフタル酸166質量部とトリメチレングリコール92質量部とを240℃においてエステル化反応させ、得られたエステル化反応生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、これに、重縮合触媒として上記触媒スラリーをテレフタル酸のモル量を基準として、チタン原子のモル量換算で10ミリモル%及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002質量部を加えて反応系を調製した。この反応系を250℃、常圧で30分間加熱し、さらに前記温度において、4.0kPaの減圧下で、15分間加熱して反応を進行させた。次に、反応系内を、前記温度において徐々に減圧にし、撹拌下で110分加熱して反応させた。反応系の最終温度は250℃であり、最終内圧は49.3Paであった。
【0146】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0147】
(ポリエステルフィルム12)
ポリエステルフィルム4の作製において亜リン酸0.00769部を添加しないこと以外は全く同様にして二軸配向フィルムを作製した。
【0148】
(ポリエステルフィルム13)
ポリエステルフィルム4の作製において亜リン酸0.00769部を正リン酸0.0459部に変更する以外は同様にして二軸配向フィルムを作製した。
【0149】
(ポリエステルフィルム14)
ポリエステルフィルム4の作製において酢酸チタン0.0067部を0.0113部に変更し、ポリエチレンテレフタレートを得た。
【0150】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出しする際、ポリエチレンテレフタレート100部当り亜リン酸0.0427部を添加してポリエステルフィルム4の作製と同様にして厚さ25.0μmの二軸配向フィルムを得た。
【0151】
(ポリエステルフィルム15)
触媒としてチタンテトラブトキシドとリン酸との反応生成物の代わりにTBTのみを用い、触媒の添加量をテレフタル酸ジメチルに対してチタン原子換算で20mmol%となるようスラリーを添加した以外は、ポリエステルフィルム5と同様にしてポリエステルフィルム15を得た。
【0152】
(ポリエステルフィルム16)
ポリエステルフィルム8の作製において、フェニルホスホン酸3.6質量部を0.9部に変更した以外は同様にしてポリエステルフィルム16を得た。
【0153】
(ポリエステルフィルム17)
テレフタル酸ジメチル194質量部、エチレングリコール124質量部及び酢酸カルシウム0.12質量部を精留塔付き反応槽に投入し、220℃においてエステル交換反応を行い、生成した理論量のメタノールを留出除去した後、この反応混合物にリン酸0.09質量部を加えて第1段階の反応を終了した。次いで前記反応混合物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、この反応混合物に、重縮合触媒として、チタンテトラブトキシドをテレフタル酸ジメチルの量を基準として、チタン原子量換算で20ミリモル%、及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002質量部を加えた。
【0154】
この反応系を温度285℃、常圧で30分加熱しさらに前記温度において4.0kPaの減圧下で15分加熱して反応を進行させた後、反応系内を徐々に減圧にし、前記温度において撹拌下110分間加熱して反応を完了させた。フラスコ内の最終温度は285℃、最終内圧は49.3Paであった。
【0155】
このポリエチレンテレフタレートを常法に従って溶融押出し、急冷して厚さ560μmの未延伸フィルムを作製し、次いで未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で4倍の逐次二軸延伸を行い、更に220℃で7秒間熱固定を行って厚さ40μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0156】
(ポリエステルフィルム18)
テレフタル酸ジメチル78質量部及びエチレングリコール50質量部を酢酸マグネシウム二水和物0.05質量部を触媒として、常法に従いエステル交換反応した後、二酸化ゲルマニウムを0.01質量部を添加した。次いで、フェニルホスホン酸ジメチルエステル0.15質量部を添加した後、重合縮反応槽に移し、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して、133.3Paの減圧下、290℃で常法に従い重縮合反応を行なった。ポリエステルを溶融押出製膜して未延伸フィルムを得た後、常法に従って二軸延伸して厚さ40μmのポリエステルフィルム18を得た。
【0157】
(ポリエステル中のTi、Pの定量)
上記作製したポリエステルの所定量を塩酸と硝酸の混酸で分解し、イットリウム溶液を添加し定容とした後、JIS G1258に基づいてイットリウム内標準法により、誘導結合プラズマ発光分光法を用いてTi、P量を測定し、グラム原子比(P/Ti)を算出した。その結果を表1に示す。
【0158】
〔反射防止フィルムの作製〕
上記で得られたポリエステルフィルム1〜18上に、下記の方法で、帯電防止層、ハードコート層及び反射防止層を形成し、反射防止フィルム1〜18を作製した。
【0159】
(帯電防止層)
上記で得られたポリエステルフィルム1〜18上に、コロナ放電によって表面処理し、スチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(LX407C5、日本ゼオン(株)製)と酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物(FS−10D、石原産業(株)製)を質量で5:5の割合で混合し乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように塗布し、帯電防止層を形成した。
【0160】
(ハードコート層)
さらに、その上に下記ハードコート層塗布組成物1またはハードコート層塗布組成物2を塗布し、70℃で乾燥後200mJ/cm2の紫外線を照射して硬化しハードコート層1またはハードコート層2を形成した。
【0161】
ハードコート層を形成した試料について、ハードコート層の膜厚及び前記方法により弾性率を測定した。その結果を表1に示す。
【0162】
(反射防止層の形成)
下記組成物を容器に入れ、混合物の4倍量のジルコニアビーズ(φ0.3mm)を用いてペイントシェーカーで10時間攪拌し、攪拌後に光開始剤(イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ社製)を加えて下記組成の高屈折率層塗布組成物を得た。
【0163】
上記作製したハードコート層の上に、調製直後の高屈折率層塗布組成物をワイヤーバーで塗工し、60℃で1分間加熱乾燥した後、500mJのUV照射によって硬化させ、硬化後膜厚が0.03μmの高屈折率層(屈折率1.85)を形成した。
【0164】
上記高屈折率層上に、下記の低屈折率層塗布組成物をワイヤーバーで塗工し、80℃で5分間乾燥させた後、更に120℃で5分間熱硬化させ、さらに紫外線を175mJ/cm2照射して硬化させ、硬化後膜厚が0.12μmの低屈折率層(屈折率1.45)を設けた。
【0165】
〈テトラエトキシシラン加水分解物の調製〉
テトラエトキシシラン300gとエタノール455gを混合し、これに0.1mol/Lの酢酸水溶液295gを添加した後、室温にて10時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物を調製した。
【0166】
反射防止層を形成した試料について下記方法により、接触角及び表面比抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
【0167】
(接触角の測定)
接触角測定用液として、純水を使用し、23℃、55%RHに調湿したクリーンルームで、試料表面にシリンジから一滴を乗せ、接触角測定器(FIBLO社製)を使用して滴下3秒後の接触角を測定した。
【0168】
(表面比抵抗の測定)
試料を23℃、55%RHの条件にて24時間調湿し、川口電気(株)製テラオームメーターモデルVE−30を用いて測定した。測定は、2本の電極(試料と接する部分が1cm×5cm)を、間隔を1cmで平行に配置し、該電極に試料を接触させて測定し、測定値を5倍にした値を表面比抵抗値(Ω/cm2)とした。
【0169】
〔反射防止フィルムの評価〕
得られた反射防止フィルムについて下記のように、クラック及び膜厚均一性を評価した。その結果を表1に示す。
【0170】
(クラック)
反射防止フィルムを90℃、ドライで500時間処理し、表面に形成された金属または金属酸化物を含む層に発生したクラックを目視及び顕微鏡で観察し、下記のようにランク評価した。
【0171】
◎:クラックはほとんど認められず、透明性に優れる
○:クラックは認められるが、白濁はない
△:クラックが認められ、僅かに白濁している(実用不可)
×:著しくクラックが入り、白濁している(実用不可)
本発明では、◎、○が実用可のレベルである。
【0172】
(膜厚均一性)
反射防止フィルムの断面を透過電子顕微鏡により観察し、低屈折率層の膜厚を測定した。測定個所は反射防止フィルム1m×1mの範囲について25点選んだ。測定基準は以下の通りである。
【0173】
◎:膜厚の標準偏差が0.5nm未満
○:膜厚の標準偏差が0.5nm以上1nm未満
△:膜厚の標準偏差が1nm以上1.5nm未満
×:膜厚の標準偏差が1.5nm以上
なお、膜厚が変動すると反射光の色むらとなりやすく、△以上は実用可能レベルである。
【0174】
【表1】
【0175】
表1から、本発明の反射防止フィルムは、膜厚均一性に優れ、クラックが入りにくい反射防止フィルムであることが分かる。
【0176】
〔表示装置の評価〕
作製した反射防止フィルム1〜18を市販のプラズマディスプレイパネル(PDP−503HD、パイオニア(株)製)の最前面に接着剤で貼り付けて、それぞれ表示装置1〜18を作製した。得られた表示装置を、床から75cmの高さの机上に配置し、床から3mの高さの天井部にパルック蛍光灯(FL40SS・ELW/37型、3波長域発光形、長波長側のピーク発光波長は610nm、37W、松下電器産業(株)製)2本を1セットとして、1.5m間隔で8セット配置した。このとき評価者が表示装置正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に前記蛍光灯がくるように配置し、蛍光灯の写り込みを下記のようにランク評価した。その結果を表2に示す。
【0177】
◎:近くの蛍光灯の写り込みまでゆがみもなく、気にならない
○:近くの蛍光灯の写り込みがややゆがんで見えるが、気にならない
△:遠くの蛍光灯の写り込みもややゆがんで、気になる
×:遠くの蛍光灯の写り込みもゆがんで見え、気になる
本発明では、×は改善が求められるレベルである。
【0178】
【表2】
【0179】
表2より、本発明の反射防止フィルムを用いた表示装置は、比較に対して優れていることが明らかである。
【0180】
【発明の効果】
本発明により、膜厚均一性に優れ、高温で長時間放置してもクラックが入りにくく、長期間、帯電防止効果、防汚性が維持され、耐久性に優れた反射防止フィルム、その反射防止フィルムを用いた前面板、反射像のゆがみのない表示装置を提供することができる。
Claims (9)
- ポリエステルから形成されたポリエステルフィルム上にハードコート層及び反射防止層を順次設けてなる反射防止フィルムにおいて、
1)前記ポリエステルは、チタン化合物を触媒として二官能性芳香族カルボン酸のエチレングリコールエステルまたはその低重合体を縮重合反応させて得られたものであり、また、該ポリエステルはリン化合物を含むものであって、その含有量はリン原子とチタン原子のグラム原子比(P/Ti)が0.6〜4.0であり、かつリン原子として150ppm以下であること、
2)前記ポリエステルフィルムは、前記ポリエステルをダイから溶融押出し、熱固定処理して得られたものであること、
3)前記反射防止層の少なくとも一層は、金属微粒子または金属酸化物微粒子を含有すること、
4)前記反射防止フィルムは、その表面の純水に対する接触角が90°以上であり、かつその表面比抵抗が1011Ω/cm2以下であること、
を特徴とする反射防止フィルム。 - チタン化合物が、リン酸とアルキル基が炭素数で2以上のチタンアルコキサイドとを予め反応させて得られる反応生成物であることを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
- 反応生成物が、リン酸/チタンアルコキサイドのモル比を2〜4として有機溶媒中で反応して得られたものであることを特徴とする請求項2記載の反射防止フィルム。
- ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の反射防止フィルム。
- フィルムが幅1.4〜4mの長尺フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の反射防止フィルム。
- ハードコート層の膜厚が1〜20μmで、表面弾性率が7GPa以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の反射防止フィルム。
- ハードコート層が金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の反射防止フィルム。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載の反射防止フィルムを少なくとも一方の面に貼り付けたことを特徴とする前面板。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載の反射防止フィルムまたは請求項8記載の前面板を有することを特徴とする表示装置。
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-
2003
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