JP2005005543A - 真空チャンバ内の位置決め機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】真空チャンバ6内で一軸方向に移動し得る第1の可動部材4と、この第1の可動部材4の移動方向と少なくとも平行および直角の方向に移動し得る第2の可動部材3とを備え、この第2の可動部材3は、第1の可動部材4に係合して第1の可動部材4の駆動力により前記一軸方向の所定の位置に移動し、その後前記一軸方向と直角の方向に移動するものであり、ワーク1は第2の可動部材3と共に移動することで位置決めされることを特徴とする真空チャンバ内の位置決め機構を提供する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は真空チャンバ内で位置決めステージを駆動する構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より真空チャンバ内での位置決め機能を必要とする装置が存在し、たとえば電子部品の気密封止装置がこれにあたる。半導体素子、水晶振動子等のチップを容器に気密に封止する方法としては、通電時に発生するジュール熱を利用したマイクロパラレルシーム溶接法が広く用いられている(例:特許文献1)。
【0003】
このシーム溶接法は、図7に示すようにセラミック製容器31の開口部周縁上に金属製のシーリングフレーム32をろう付けするか、あるいはセラミック製容器31の開口部周縁をろう材等でメタライズしたセラミック製(もしくは全体が金属製)の容器33の内部に水晶振動子、半導体素子等のチップ34を収納し、このチップ34と電極35をワイヤ36で電気的に接続した後、この容器33の開口部をコバール、42アロイ等からなる金属製のリッド37で覆う。
【0004】
次に、シーム溶接ヘッドを構成する一対のローラ電極38a,38bを下降させてリッド37の対向する2辺の端縁部に一定の加圧条件下で接触させ、容器33とローラ電極38a,38bを相対移動させると同時にローラ電極38a,38bにパルセーション通電を行ない、この時発生するジュール熱により2辺を溶融し容器33とリッド37をシーム溶接する。
【0005】
ところで、シーム溶接は一般的に、露点管理された窒素ガス雰囲気内で行われ、従って気密封止されたパッケージ内には窒素ガスが充填されている。しかしながら水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器等の水晶応用製品はいずれも水晶振動板の表面に金属薄膜電極を形成し、この金属薄膜電極を外気から保護するため気密封止されているが、最近の水晶振動デバイスの超小型化に伴い、水晶振動板もより小型化され、駆動時の抵抗を軽減するため真空雰囲気による気密封止が要求されるようになった。ところがシーム溶接を真空中で行うためには大型のチャンバが必要となり、装置自体が大型かつ高額になるという問題点を有していた。
【0006】
このように真空チャンバを大型化せざるを得ない大きな理由の一つに、リッドが載置されたパッケージを所定の位置に位置決めしたり、所定距離所定の方向に移動したりする位置決めステージの駆動機構全体を真空チャンバ内に収納しなければならなかったことが挙げられる。これは、駆動機構全体を収納しなければチャンバの気密性を維持するのが困難であったからである。
【0007】
ここで図8、9に基づいて、真空チャンバを用いた従来のシーム溶接装置の要部を説明する。図8は従来の真空チャンバ内の位置決めステージを示す斜視図である。本図において51は真空チャンバ、52はY軸モータ、53はX軸モータ54はY軸送りねじ、55はX軸送りねじ、56はステージ、57a、57bは一対のローラ電極である。
【0008】
まず、複数のワーク59が並べられたキャリアボード58が準備される。ここでワーク59とは図7で説明した容器33にリッド37が載置された、あるいは仮止めされた状態をいう。次にこのキャリアボード58がステージ56上に載置され、真空チャンバ51の蓋51bが閉じられて内部の空気が減圧される。
【0009】
次にX軸モータ53が回転し、これに伴ってX軸送りねじが回転するのでリニアガイド60a、60bに摺動自在に支持されたテーブル56がX軸方向に移動する。この移動でワーク59の所定の列がX軸方向におけるローラ電極57a、57bの位置に位置決めされる。
【0010】
さらにY軸モータ52が回転してY軸送りねじ54が回転し、リニアガイド61a、61bに摺動自在に支持されたプレート62がY軸方向に移動し、最初の溶接位置をローラ電極57a,57bの直下に位置合わせする。その後ローラ電極57a、57bがZ軸下方に移動し、先に図7に基づいて説明した方法で対向する2辺をシーム溶接する。
【0011】
【特許文献1】特公平1−38373号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、図8で示した真空チャンバー51内の位置決めステージ駆動機構を上方からみた平面図を図9に示す。図9は真空チャンバ51の本体部51aを水平に切断し上方から見たものなのでローラ電極57a、57bは図示されない。
【0013】
図9が示すように、この従来の真空チャンバ51は、X軸モータ53およびY軸モータ52を収納しているので外形寸法が大きくなり、高い真空度に耐え得る強度を持たせるのに不利である。また、X軸モータ53やY軸モータ52は真空中で使用可能な真空仕様としなければならない。
【0014】
さらにX軸モータ53およびY軸モータ52には、駆動するため電源供給線や動作情報をエンコーダからフィードバックするための信号線からなる複数のワイヤの束であるケーブル52a、53aを接続する必要があり、チャンバ51に貫通孔を設けこれらケーブル52a、53aを通した後空気圧に耐え得るようなシーリングを施す必要がある。
【0015】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、全てのモータを真空チャンバの外に配設することにより真空チャンバの外形寸法を縮小し、さらに密封及び耐圧手段を容易にし、その結果装置の大型化やコストアップを防ぐことを目的とする
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は第1の態様として、真空チャンバと、この真空チャンバ内で一軸方向に移動し得る第1の可動部材と、この第1の可動部材の移動方向と少なくとも平行および直角の方向に移動し得る第2の可動部材とを備え、この第2の可動部材は、前記第1の可動部材に係合してこの第1の可動部材の駆動力により前記一軸方向の所定の位置に移動し、その後前記一軸方向と直角の方向に移動するものであり、前記ワークは前記第2の可動部材と共に移動することで位置決めされることを特徴とする真空チャンバ内の位置決め機構を提供する。
【0017】
また第2の態様として、前記第1の可動部材は、前記真空チャンバの外に配置した第1のモータにより前記一軸方向に移動し、前記第2の可動部材は、前記真空チャンバの外に配置した第2のモータにより前記一軸方向と直角の方向に移動することを特徴とする第1の態様として記載の真空チャンバ内の位置決め機構を提供する。
【0018】
さらに第3の態様として、前記第2の可動部材は、少なくとも前記第1の可動部材との前記係合がなされていないときの、前記一軸方向の移動を阻止するストッパを備えることを特徴とする第1あるいは第2の態様として記載の真空チャンバ内の位置決め機構を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の1実施形態を示す真空チャンバの構成を示す斜視図である。図1において、1は先に図7に基づいて説明したワークであり、容器33にリッド37が載置された状態、あるいは容器33にリッド37が仮溶接された状態である。また、2はワーク1を複数規則的に並べて載置するキャリアボード、3は位置決めステージである第2の可動部材、4は第1の可動部材、5a、5bは一対のローラ電極、6は真空チャンバである。
【0020】
次に位置決めの動作を説明するが、方向の説明は図1に示したX、Y、Zの矢印に基づいて記載する。
【0021】
まず、複数のワーク1がキャリアボード2に搭載される。キャリアボード2にはX方向Y方向共に複数列の凹所が設けてあり、ワーク1をこれら凹所に合わせて載置することで複数のワーク1を整列させることができる。
【0022】
次にキャリアボード2が第2の可動部材3に載置される。このときキャリアボード2には位置決め孔2aが設けてあり、第2の可動部材3上に設けられた位置決めピン3pと勘合するようになっているので、第2の可動部材3上でのキャリアボード2は、所定の位置および方向に規制される。
【0023】
次に真空チャンバ6の蓋6bが閉じられ、図示しない真空ポンプにより内部の空気が減圧される。ここで、図1で示した真空チャンバー6内の位置決めステージ駆動機構を上方からみた平面図を図2、図3、図4に示す。図2、図3、図4は真空チャンバ6の本体部6aを水平に切断し上方から見たものなのでローラ電極5a、5bは図示されない。
【0024】
まず、真空チャンバ6内を減圧した直後の状態を図2に示す。ここで、ワーク1を搭載したキャリアボード2は第2の可動部材3に載置されており、第2の可動部材3の突起3aが第1の可動部材4の凹所4aに係合している。また、第1の可動部材4はリニアガイド15により摺動自在に支持されており、送りねじ13の回転によりX軸方向に直線運動する。
【0025】
この送りねじ13は真空チャンバ6の外部に設けられたX軸モータ7の駆動力により回転する。X軸モータ7のシャフトの回転力はカップリング11を介してシャフトホルダ9に貫装されたシャフト10に伝達され、さらにカップリング12を介して送りねじ13に伝達される。ここでシャフトホルダ9は真空チャンバ本体6aに穿設された取付孔に装着されているが、シャフト10を含めた状態で真空チャンバ6を密閉し、さらには圧力差にも耐え得るようになっている。
【0026】
また図3で示すように第2の可動部材3はプレート17上に設けられたリニアガイド18a、18bによりX軸方向に摺動自在に支持されており、さらに突起3aが第1の可動部材4の凹所4aに係合している。したがって第1の可動部材4のX軸方向の移動に伴って第2の可動部材3もX軸方向に移動する。
【0027】
このようにして、真空チャンバ6の外に設けたX軸モータ7の駆動により、キャリアボード2に搭載された複数のワーク1の所定の列をX軸方向における溶接位置に位置決めすることができる。
【0028】
次に、図4で示すように、真空チャンバ6の外に設けたY軸モータ8が駆動することにより送りねじ14が回転し、リニアガイド16a、16bにより摺動自在に保持されたプレート17は、Y軸方向に移動する。その結果前記した所定の列のさらに所定のワーク1を溶接位置に位置決めすることができる。
【0029】
このようにワーク1が位置決めされると、図1で示すローラ電極5a、5bが下降し溶接を行う。この場合、ローラ電極5a、5bをワーク1に接触させながら通電し、第2の可動部材3をY軸方向に移動させることで、ワーク1の対向する2辺を真空中でシーム溶接することが可能となる。
【0030】
ローラ電極5a、5bの上下移動は、真空チャンバ6の外に設けたZ軸モータ19が発生させる回転運動を、カム機構あるいはラックアンドピニオン機構で上下運動に変換することで容易に実現できる。
【0031】
またこの位置決め動作中、図4で示すようにY軸モータ8が駆動して第2の可動部材3が移動し、突起3aと凹所4aとの係合が離隔するのに伴い、ストッパ20が動作して第2の可動部材3のX軸方向の移動を阻止する。ここで図5、図6に基づいて前記ストッパ20の動作を説明する。
【0032】
図5は図3で示すア−ア矢視の詳細図である(図の方向はZ軸方向を上下方向にしてある)。また、図6は図4で示すイ−イ矢視の詳細図である(図の方向はZ軸方向を上下方向にしてある)。図5で示すように、ストッパ20はシャフト21,ガイド22、圧縮コイルばね23で構成されている。
【0033】
シャフト21はガイド22によりY軸方向に摺動自在に支持されており、ガイド22は第2の可動部材3に固定されている。またシャフト21の一端21aは大径になっており、この端部とガイド22とのあいだに圧縮コイルばね23が挟着されている。またシャフト21の他の一端21bはプレート17の立ち上がり部に設けられたスリット24を貫通してから大径になっている。
【0034】
第2の可動部材3が第1の可動部材4と係合している図5のような状態では、シャフト21の一端21aは第1の可動部材4に当接し圧縮コイルばね23を付勢する。その結果、シャフト21の他の一端21bとプレート17の立ち上がり部とのあいだには間隙ウが生じる。したがって、第1の可動部材4と共に第2の可動部材3がX軸方向に移動しても、第2の可動部材3に固定されたストッパ20とプレート17との間にはなんら制動力が働かない。
【0035】
一方図6で示すように第1の可動部材4と第2の可動部材3とが離隔した状態では、第1の可動部材4によるシャフト21の一端21aへの押圧がなくなり、圧縮コイルばね23の反発力でシャフト21が移動し、シャフト21の他の一端21bの大径部はプレート17の立ち上がり部に圧接される。
【0036】
この結果第2の可動部材3とプレート17との間に制動力が働き、何らかの外力が加わっても、第2の可動部材3はX軸方向に移動せず、Y軸モータ8の駆動力によりプレート17と共にY軸方向にのみ移動する。もちろんここで、スリット24は第2の可動部材3のX軸方向の可動範囲を満足するだけのX軸方向の長さを有し、シャフト21の他の一端21bの大径部が貫通しないスリット幅となっている。
【0037】
以上述べたものが本願発明の1実施の形態を示す位置決め機構の一連の動作であるが、前記所定の列全ての溶接がY軸送りにより終了したならば、Y軸モータ8の駆動により、第2の可動部材3を第1の可動部材4に係合させ、ワーク1の次の所定の列がX軸方向における溶接位置となるように、X軸モータ7を駆動させる。
【0038】
また、本願発明は真空チャンバ内の位置決め機構に関するものであるから、ワークあるいはツールを真空チャンバ内の一平面上の所定の位置に位置決めするものであれば、これがシーム溶接装置に限ることなく、他のあらゆる目的の装置にも有用であることは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、真空チャンバの外形寸法を小さくできるので、真空機能を持つことにより装置全体が大型でおおがかりになるのをある程度防ぐことができる。
【0040】
また、真空チャンバの外形寸法が小さくなることで、チャンバ自体の剛性を高めることが容易になり、チャンバ内の容積も小さくできるので、より真空度の高い環境をより短時間で生成することができる。
【0041】
また、モータを真空チャンバの外に設けることで、モータを真空仕様とする必要がなくなり、一般に発熱量の大きいモータを放熱作用の少ない真空環境で駆動する必要がないので、モータの放熱設計も通常の大気中の仕様で行える。
【0042】
さらに、真空チャンバを貫通する機構部材が軸心の移動を伴わないモータの回転軸だけなので、密閉が容易であり容易に耐圧も高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施の形態を示す真空チャンバ内の位置決め機構の斜視図
【図2】本発明の1実施の形態を示す真空チャンバ内の位置決め機構の平面図
【図3】本発明の1実施の形態を示す真空チャンバ内の位置決め機構の平面図
【図4】本発明の1実施の形態を示す真空チャンバ内の位置決め機構の平面図
【図5】本発明の1実施の形態を示すストッパの詳細図
【図6】本発明の1実施の形態を示すストッパの詳細図
【図7】シーム溶接を示す断面図
【図8】従来の形態を示す真空チャンバ内の位置決め機構の斜視図
【図9】従来の形態を示す真空チャンバ内の位置決め機構の平面図
【符号の説明】
1 ワーク
2 キャリアボード
3 第2の可動部材
4 第1の可動部材
5a、5b ローラ電極
6 真空チャンバ
7 X軸モータ
8 Y軸モータ
9 シャフトホルダ
10 シャフト
11、12 カップリング
13、14 送りねじ
15、16a、16b、18a、18b リニアガイド
17 プレート
19 Z軸モータ
20 ストッパ
21 シャフト
22 ガイド
23 圧縮コイルばね
24 スリット
Claims (3)
- 真空チャンバ内でワークを所定の位置に位置決めする機構であって、真空チャンバと、この真空チャンバ内で一軸方向に移動し得る第1の可動部材と、この第1の可動部材の移動方向と少なくとも平行および直角の方向に移動し得る第2の可動部材とを備え、この第2の可動部材は、前記第1の可動部材に係合してこの第1の可動部材の駆動力により前記一軸方向の所定の位置に移動し、その後前記一軸方向と直角の方向に移動するものであり、前記ワークは前記第2の可動部材と共に移動することで位置決めされることを特徴とする真空チャンバ内の位置決め機構。
- 前記第1の可動部材は、前記真空チャンバの外に配置した第1のモータにより前記一軸方向に移動し、前記第2の可動部材は、前記真空チャンバの外に配置した第2のモータにより前記一軸方向と直角の方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の真空チャンバ内の位置決め機構。
- 前記第2の可動部材は、少なくとも前記第1の可動部材との前記係合がなされていないときの、前記一軸方向の移動を阻止するストッパを備えることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の真空チャンバ内の位置決め機構。
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