JP4522182B2 - 圧電素子収納用パッケージ、圧電装置および圧電装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内部に圧電素子を収容するための圧電素子収納用パッケージ、このパッケージに圧電素子を収容してなる圧電装置、および圧電装置の製造方法に関するものである。
従来の圧電素子収納用パッケージは、圧電素子が搭載される基体と、圧電素子の電極端子が接続される電極と、基体に形成された外部接続端子と、電極および外部接続端子を接続する配線導体と、基体に形成された気密封止用の貫通孔とを備えている(例えば、下記特許文献1の図12参照)。基体は、例えばセラミックス材料等から成り、上面に圧電素子が収容される凹部を有している。電極は、基体の凹部の底面若しくは凹部に形成された支持台の上面に形成されている。外部接続端子は、基体の下面の外周部に形成されている。配線導体は、圧電素子が接続される電極から、基体を構成している複数の絶縁層の層間および基体の側面を介して、基体の下面に形成された外部接続端子へ導出されている。気密封止用の貫通孔は、例えば、基体の凹部の底面に形成されている。この気密封止用の貫通孔を介して真空引きが行われ、その後、貫通孔の内面に封止部材が接合される。
また、従来の他の圧電素子収納用パッケージとして、圧電素子の電極端子が接続される電極が基体に形成された貫通孔を介して外部へ引き回されているものがある(例えば、下記特許文献2の図14参照)。このような従来の他の圧電素子収納用パッケージにおいて、気密封止用の貫通孔は、電極を外部へ引き回すための貫通孔とは別に設けられている。
また、従来の圧電装置は、上述した圧電素子収納用パッケージと、パッケージに搭載された圧電素子と、パッケージの上面に取着された蓋体と、気密封止用の貫通孔に接合された封止部材とを備えている。圧電素子は、基体の底面若しくは支持台の上面に形成された電極に電気的に接続されている。蓋体は、基体の上面にろう材を介して接合されている。封止部材は、例えば金属製であり、基体の封止用貫通孔に接合されることによりパッケージ内を気密封止する。
特開2003−133897号公報 特開2004−56760号公報
しかしながら、従来の圧電素子収納用パッケージ(例えば、上記特許文献1の図12参照)においては、近年の圧電装置の小型化に伴い基体の凹部を取り囲む枠部の厚みが薄くなり、配線導体が形成された絶縁層間における絶縁層同士の密着性が低下し、パッケージ内部の気密封止性を確保することが困難であるという問題があった。すなわち、圧電装置の小型化が進み枠部の厚みが薄くなることにより、配線導体が形成された絶縁層とその上に積層された枠部を構成する絶縁層との接合面積が小さくなり、これら絶縁層同士の接合強度が低下してしまう。そして、これら絶縁層間にパッケージの内部と外部とを電気的に接続する配線導体が形成されることにより、これら絶縁層間に間隙が形成され、この間隙を介して外気がパッケージ内部に入り込みパッケージ内部の気密性が低下するおそれがあった。
また、従来の他の圧電素子収納用パッケージ(例えば、上記特許文献2の図14参照)においては、近年の圧電装置の小型化に伴い、電極を外部へ引き回すための貫通孔および気密封止用の貫通孔の双方を別途独立して設けることが極めて困難となってきた。この問題は、特に、圧電装置の寸法が数ミリ角程度のものになるにつれて顕著なものとなってきた。
本発明は、かかる問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、小型化を図るとともに気密性に優れた圧電素子収納用パッケージ、圧電装置および圧電装置の製造方法を提供することにある。
本発明の圧電素子収納用パッケージは、上面に圧電素子が収容される凹部を有する基体と、前記凹部に形成され、前記圧電素子の電極端子が電気的に接続される電極と、前記基体の下面に形成された外部接続端子と、前記凹部の底面と前記基体の前記下面との間に形成された封止用貫通孔と、前記封止用貫通孔の内面に形成され、前記電極と前記外部接続端子とを電気的に接続する導体層とを備えており、前記凹部の前記底面に形成され、上面に前記電極が形成されており、側面に前記電極と前記封止用貫通孔の前記導体層とを電気的に接続する側面導体層が形成された支持台を備え、前記封止用貫通孔は、前記凹部の前記底面側の開口部の一部が前記支持台によって塞がれていることを特徴とするものである。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、好ましくは、前記支持台は、側面に前記電極と前記封止用貫通孔の前記側面導体層とを電気的に接続する前記導体層が内面に被着された溝が形成され、該溝が前記封止用貫通孔の上方に位置するように形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、好ましくは、前記溝は横断面形状が弧形状であり、前記封止用貫通孔は横断面形状が円形状であり、前記溝の直径が前記封止用貫通孔の直径より小さいことを特徴とするものである。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、好ましくは、前記基体の前記凹部の前記底面に形成され、前記圧電素子の他の電極端子に電気的に接続される配線導体と、前記基体の前記下面に形成された他の外部接続端子と、前記凹部の前記底面と前記基体の前記下面との間に形成された他の封止用貫通孔と、前記他の封止用貫通孔の内面に形成され、前記配線導体と前記他の外部接続端子とを電気的に接続する他の導体層とを備えていることを特徴とするものである。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、好ましくは、前記他の封止用貫通孔は、前記凹部の前記底面側の開口部の一部が前記基体の枠部により塞がれていることを特徴とするものである。
また、本発明の圧電装置は、請求項1乃至請求項のいずれかに記載された圧電素子収納用パッケージと、前記凹部に収容され、前記電極に前記電極端子が電気的に接続された
前記圧電素子と、前記基体の前記上面に前記凹部を塞ぐように取着された蓋体と、前記封止用貫通孔を塞ぐ封止部材とを備えていることを特徴とするものである。
また、本発明の圧電装置は、請求項または請求項に記載された圧電素子収納用パッケージと、前記凹部に収容され、前記電極および前記配線導体に前記他の電極端子が電気的に接続された前記圧電素子と、前記基体の前記上面に前記凹部を塞ぐように取着された蓋体と、前記封止用貫通孔および前記他の封止用貫通孔を塞ぐ封止部材とを備えていることを特徴とするものである。
また、本発明の圧電装置の製造方法は、請求項1乃至請求項のいずれかに記載された圧電素子収納用パッケージの前記電極に前記圧電素子の前記電極端子を電気的に接続する工程と、前記基体の前記上面に前記凹部を塞ぐように前記蓋体を取着する工程と、前記凹部内を真空状態しくは不活性ガスが充填された状態にするとともに前記封止用貫通孔の前記内面に封止部材を接合する工程とを有することを特徴とするものである。
また、本発明の圧電装置の製造方法は、請求項または請求項に記載された圧電素子収納用パッケージの前記電極および前記配線導体に前記圧電素子の前記電極端子を電気的に接続する工程と、前記基体の前記上面に前記凹部を塞ぐように前記蓋体を取着する工程と、前記凹部内を真空状態もしくは不活性ガスが充填された状態にするとともに前記封止用貫通孔の前記内面および前記他の封止用貫通孔の前記内面に封止部材を接合する工程とを有することを特徴とするものである。
また、本発明の圧電装置の製造方法は、前記封止用貫通孔を介して、前記圧電素子の励振電極にレーザ光または電子ビームを照射して周波数の調整を行う工程を有することを特徴とするものである。
本発明の圧電素子収納用パッケージは、凹部の底面と基体の下面との間に形成された封止用貫通孔と、封止用貫通孔の内面に形成され、電極と外部接続端子とを電気的に接続する導体層とを備えていることにより、小型化を図ることにより枠部の厚みが薄くなった場合でも、圧電素子が接続される電極と外部接続端子とは封止用貫通孔に形成された導体層を介して電気的に接続されているため、枠部の絶縁層とその下の絶縁層との接合強度の低下の原因となる配線導体をこれら絶縁層間に形成する必要がなく、これら絶縁層同士の接合強度を確保することができる。そして、これら絶縁層同士の接合強度を確保することにより、これら絶縁層間に間隙が形成されることを抑制し、圧電装置として用いられる際に気密封止性を向上させることができる。そして、圧電装置として用いられる際に、封止用貫通孔を介してパッケージ内部を真空状態若しくは不活性ガスが充填された状態にすることができる。また、気密封止の際に用いられる封止用貫通孔の内面に形成された導体層を外部接続端子との導電経路とし、封止用貫通孔と外部接続端子への導電経路とを兼用することにより、パッケージの小型化を図ることが可能となる。このように本発明の圧電素子収納用パッケージは、圧電装置として用いられた際に、小型化を図るとともに気密封止性を向上させることができる。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、凹部の底面に形成され、上面に電極が形成されており、側面に電極と封止用貫通孔の導体層とを電気的に接続する側面導体層が形成された支持台を備え、封止用貫通孔は、凹部の底面側の開口部の一部が支持台によって塞がれていることにより、封止用貫通孔の内面に封止部材を接合したときに、封止部材の
圧電素子収納用パッケージに対する接合強度を向上させることができる。すなわち、封止部材が封止用貫通孔の内面および支持台の下面に接合されることにより、封止部材の接合面積を増大させることができ、封止部材の圧電素子収納用パッケージに対する接合強度を向上させることが可能となる。そして、封止部材の圧電素子収納用パッケージに対する接合強度を向上させることにより、圧電装置の気密封止性を向上させることができる。
また、封止用貫通孔は、凹部の底面側の開口部の一部が支持台により塞がれていることにより、封止部材を基体の下面側から封止用貫通孔に接合する際に、封止用貫通孔の上下方向における封止部材の位置決め精度を向上させることができる。そして、封止部材の位置決め精度を向上させることにより、圧電装置の気密封止性を向上させることが可能となる。
また、支持台の側面に電極と導体層とを電気的に接続する側面導体層が形成されていることにより、支持台の上面に形成された電極および基体の下面に形成された外部接続端子間の導電経路を短くすることができ、パッケージの小型化を図ることが可能となる。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、好ましくは、支持台は、側面に電極と封止用貫通孔の導体層とを電気的に接続する側面導体層が内面に被着された溝が形成され、溝が封止用貫通孔の上方に位置するように形成されていることにより、支持台の上面に形成された電極と基体の下面に形成された外部接続端子との導電経路を短くすることができ、パッケージの小型化を図ることが可能となる。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、好ましくは、溝は横断面形状が弧形状であり、封止用貫通孔は横断面形状が円形状であり、溝の直径が封止用貫通孔の直径より小さいことにより、封止用貫通孔の開口部の一部を支持台により効果的に塞ぎつつ、溝に形成された側面導体層と封止用貫通孔に形成された導体層との導電性を向上させることができる。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、好ましくは、基体の凹部の底面に形成され、圧電素子の他の電極端子に電気的に接続される配線導体と、凹部の底面と基体の下面との間に形成された他の封止用貫通孔と、他の封止用貫通孔の内面に形成され、配線導体と他の外部接続端子とを電気的に接続する他の導体層とを備えていることにより、圧電素子の電極端子は、封止用貫通孔の導体層を介して基体の下面に導出され、圧電素子の他の電極端子は、配線導体を介して支持台から離れた位置(例えば、支持台が形成された端部と対向する端部)において、他の封止用貫通孔に形成された導体層を介して基体の下面に導出され、圧電素子の電極端子に接続された外部接続端子と圧電素子の他の電極端子に接続された他の外部接続端子とを、基体の下面において離間された位置(基体の下面の対向する端部等)に形成することができ、圧電装置を外部回路基板の電極に接続する際に、電気的短絡を招くことなく実装することができる。また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、このような構成を有することにより、基体の絶縁層間に配線導体を形成することなく、凹部の内部と基体の下面に形成された外部接続端子とを電気的に接続することができ、パッケージの気密封止性を向上させることが可能となる。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、好ましくは、他の封止用貫通孔は、凹部の底面側の開口部の一部が基体の枠部により塞がれていることにより、他の封止用貫通孔に封止部材が接合された際に、基体と封止部材との接合強度を向上させることが可能となる。すなわち、封止部材が他の封止用貫通孔の内面および基体の枠部の下面に接合されることにより、パッケージに対する封止部材の接合面積を増大させることができ、封止部材の接合強度を向上させることが可能となる。そして、封止部材の接合強度を向上させることにより、圧電装置の気密封止性を向上させることができる。
また、本発明の圧電装置は、請求項1乃至請求項のいずれかに記載された圧電素子収納用パッケージと、凹部に収容され、電極に電極端子が電気的に接続された圧電素子と、基体の上面に凹部を塞ぐように取着された蓋体と、封止用貫通孔を塞ぐ封止部材とを備えていることにより、小型化を図るとともに気密封止性を向上させることができる。
また、本発明の圧電装置は、請求項または請求項に記載された圧電素子収納用パッケージと、凹部に収容され、電極および配線導体に他の電極端子が電気的に接続された圧電素子と、基体の上面に凹部を塞ぐように取着された蓋体と、封止用貫通孔および他の封止用貫通孔を塞ぐ封止部材とを備えていることにより、小型化を図るとともに気密封止性を向上させることができる。
また、本発明の圧電装置の製造方法は、請求項1乃至請求項のいずれかに記載された圧電素子収納用パッケージの電極に圧電素子の電極端子を電気的に接続する工程と、基体の上面に凹部を塞ぐように蓋体を取着する工程と、凹部内を真空状態しくは不活性ガスが充填された状態にするとともに封止用貫通孔の内面に封止部材を接合する工程とを有することにより、気密封止性に優れるとともに小型化を図った圧電装置を製造することができる。
また、本発明の圧電装置の製造方法は、請求項または請求項に記載された圧電素子収納用パッケージの電極および配線導体に圧電素子の電極端子を電気的に接続する工程と
、基体の上面に凹部を塞ぐように蓋体を取着する工程と、凹部内を真空状態しくは不活性ガスが充填された状態にするとともに封止用貫通孔の内面および他の封止用貫通孔の内面に封止部材を接合する工程とを有することにより、気密封止性に優れるとともに小型化を図った圧電装置を製造することができる。
また、本発明の圧電装置の製造方法は、好ましくは、封止用貫通孔を介して、圧電素子の励振電極にレーザ光または電子ビームを照射して周波数の調整を行う工程を有することにより、気密封止性および周波数特性にすぐれた圧電装置を製造することができる。
本発明の圧電素子収納用パッケージ、圧電装置および圧電装置の製造方法について図面を参照して説明する。
まず、図1を用いて本発明の圧電素子収納用パッケージについて説明する。図1(a)は、本発明の圧電素子収納用パッケージの平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示した圧電素子収納用パッケージのX−X’線における断面図であり、図1(c)は、図1(a)に示した圧電素子収納用パッケージのY−Y’線における断面図である。本発明の圧電素子収納用パッケージは、圧電素子(図示せず)が収容される基体101と、圧電素子の電極端子が電気的に接続される電極(第1の電極)102と、基体101に形成された外部接続端子(第1の外部接続端子)103と、基体101に形成された封止用貫通孔(第1の封止用貫通孔)104と、電極102と外部接続端子103とを電気的に接続する導体層(第1の導体層)105とを備えている。
基体101は、上面106に圧電素子が収容される凹部107を有する。この基体101は、酸化アルミニウム質焼結体(セラミックス),窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス等のセラミックスから成る。基体101は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウムやガラス等の原料粉末を有機溶剤,バインダーとともに従来周知のドクターブレード法等によりシート状に成形して複数のセラミックスグリーンシート(以下、単にグリーンシートという)を形成し、これを積層した後、約1500℃〜1600℃の温度で焼成することにより形成される。基体101は、例えば、一辺の長さが1.5〜20.0mm程度で、厚みが0.4〜3.0mm程度の四角形状である。
なお、凹部107は、最上層から複数層に位置するグリーンシートに打ち抜き加工を施し、グリーンシートの中央部に四角形状の開口部を設けることにより形成される。図1には、最上層に位置するグリーンシートとその下層に位置するグリーンシートとに開口部を設けた構造を示している。
電極102は、基体101の凹部107に形成されている。図1に示した圧電素子収納用パッケージにおいて、電極102は、圧電素子の端部に形成された電極端子が電気的に接続される。なお、本発明の圧電素子収納用パッケージにおいて、圧電素子は、例えば圧電振動子や表面弾性波素子等である。以下、図1に示した本発明の圧電素子収納用パッケージにおいて、圧電素子の例として圧電振動子を用いて説明する。圧電振動子は、例えば水晶振動子等であり、一般的に長方形状等の四角形状である。この圧電振動子の短辺側の端部には電極端子が形成され、この電極端子が電極102に電気的に接続される。
なお、電極102は、タングステン,モリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,白金,金等の金属材料から成る。そして、電極102は、例えばタングステンから成る場合であれば、タングステンの金属ペーストを基体101と成るグリーンシートに印刷しておくことにより形成される。
外部接続端子103は、基体101の下面108の外周部に形成されている。この外部接続端子103は、タングステン,モリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,白金,金等の金属材料から成る。そして、外部接続端子103は、例えばタングステンから成る場合であれば、タングステンの金属ペーストを基体101と成るグリーンシートに印刷しておくことにより形成される。
封止用貫通孔104は、基体101の凹部107の底面109と基体101の下面108との間に形成されている。この封止用貫通孔104は、例えば、基体101となるグリーンシートの所定の位置に打ち抜き加工を施すことによって形成される。ここで、封止用貫通孔104とは、後述するように、封止部材が接合されパッケージ内部気密封止される際に用いられる貫通孔のことである。封止用貫通孔104への封止部材の接合は、例えば、パッケージ内部を真空しくは不活性ガスが充填された状態で行われる。
導体層105は、封止用貫通孔104の内面に形成されている。導体層105は、凹部107の底面109側と基体101の下面108側とを貫通させた状態で形成されている。内面に導体層105が形成された封止用貫通孔104は、圧電素子が搭載され凹部107が気密封止される際に封止部材が接合される。
このように、本発明の圧電素子収納用パッケージは、封止用貫通孔104の内面に導体層105が形成され、この導体層105がパッケージ外部への導電経路として機能することにより、パッケージの小型化を図ることができる。すなわち、気密封止を行う際に使用される封止用貫通孔104とパッケージ外部への導電経路とを兼用することにより、パッケージの小型化を図ることが可能となる。従って、従来のパッケージでは、電極を外部へ引き回すための貫通孔と気密封止用の貫通孔とが別に設けられていることにより、パッケージの小型化にはある程度の限界があったが、本発明の圧電素子収納用パッケージによれば、従来からの小型化の限度をえてパッケージサイズを小さくすることができ、極めて小型な圧電素子収納用パッケージを実現することが可能となる。
なお、本発明の圧電素子収納用パッケージは、凹部107の底面109に形成された支持台(第1の支持台)110を備えており、封止用貫通孔104が、凹部107の底面109側の開口部の一部が支持台110により塞がれていることが好ましい。このような構成により、封止用貫通孔104に封止部材(図示せず)が接合されたときに、封止部材のパッケージに対する接合強度を向上させることができる。すなわち、封止部材が封止用貫通孔104の内面および支持台110の下面に接合されることにより、パッケージに対する封止部材の接合面積を増大させることができ、封止部材のパッケージに対する接合強度を向上させることが可能となる。そして、封止部材のパッケージに対する接合強度を向上させることにより、圧電装置の気密封止性を向上させることができる。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、封止用貫通孔104が、凹部107の底面109側の開口部の一部が支持台110によって塞がれていることにより、封止部材を基体101の下面108側から封止用貫通孔104には接合する際に、封止用貫通孔104の上下方向における封止部材の位置決め精度を向上させることができる。そして、封止部材の位置決め精度を向上させることにより、凹部107の気密封止性を向上させることが可能となる。
なお、凹部107の底面109に支持台110を備えている場合、電極102は、図1に示したように支持台110の上面111に形成される。支持台110は、凹部107に搭載される圧電素子と凹部107の底面との間に所定の距離を確保するためのものである。支持台110は、タングステン,モリブデン,銅,銀等の金属材料、または、基体101と同様のセラミックス材料により形成される。支持台110は、例えば図1に示すように基体101と同様のセラミックス材料から成る場合であれば、上から第2層目のグリーンシートに支持台110と成る部分を残して開口部を形成し、この支持台110と成る部分を最上層のグリーンシートの開口部に露出させた状態でグリーンシートを積層することにより形成される。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、支持台110の側面に電極102と封止用貫通孔104の導体層105とを電気的に接続する側面導体層113が形成されていることが好ましい。本発明の圧電素子収納用パッケージは、このような構成により、支持台110の上面111に形成された電極102および基体101の下面108に形成された外部接続端子103間の導電経路を短くすることができ、パッケージの小型化を図ることが可能となる。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、支持台110が、上面111から下面112にかけて、内面に電極102と封止用貫通孔104の導体層105とを電気的に接続する側面導体層113が被着された溝114が形成され、溝114が封止用貫通孔104の上方に位置するように形成されていることが好ましい。本発明の圧電素子収納用パッケージは、このような構成により、電極102と外部接続端子103との導電経路を短くすることができ、パッケージの小型化を図ることが可能となる。
また、本発明の圧電素子の収納用パッケージは、溝114の横断面形状が弧状であり、封止用貫通孔104の横断面形状が円形状であり、溝114の直径が封止用貫通孔104の直径より小さいことが好ましい。本発明の圧電素子収納用パッケージは、このような構成により、封止用貫通孔104の開口部の一部を支持台110によって効果的に塞ぎつつ、溝114の側面導体層113と封止用貫通孔104の導体層105との導電性を向上させることができる。ここで、凹部107内を真空しくは低圧の状態とするための封止用貫通孔104の直径は0.25〜0.50mm程度、また基体101の凹部107の底面109と基体101の下面108との間の基体101の厚みが0.10〜0.50mm程度である場合、封止用貫通孔104および溝114を介して凹部107内を真空しくは低圧とするためには、封止用貫通孔104と溝114との直径の差が0.10〜0.20mm程度となるように溝114の直径を0.15〜0.30mm程度とすることが望ましい。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、封止用貫通孔(第2の封止用貫通孔)115と、封止用貫通孔115の内面に形成された導体層(第2の導体層)116とを備えることが好ましい。封止用貫通孔115は、基体101の凹部107の底面109と基体101の下面108との間に形成されている。導体層116は、凹部107の底面109側と基体101の下面108側とを貫通させた状態で形成されている。本発明の圧電素子収納用パッケージは、支持台(第2の支持台)117を有している。支持台117の上面118には、圧電素子の電極端子(第2の電極端子)が電気的に接続される電極(第2の電極)119が形成されている。また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、凹部107の底面109に形成された配線導体120を有している。配線導体120は、電極119と導体層(第2の導体層)116とを電気的に接続する。また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、基体101の下面108に形成された外部接続端子(第2の外部接続端子)121を有している。配線導体120と外部接続端子121とは、封止用貫通孔115の内面に形成された導体層116により電気的に接続されている。
本発明の圧電素子収納用パッケージは、このような構成により、支持台110の上面111に形成された電極102は、導体層105を介して基体101の下面108に導出され、支持台117の上面118に形成された電極119は、配線導体120を介して支持台110から離れた位置(例えば、支持台110が形成された端部と対向する端部)において、導体層116を介して基体101の下面108に導出されることにより、導体層105に接続された外部接続端子103と導体層116に接続された外部接続端子121とを、基体101の下面108において離間された位置(基体101の下面108の対向する端部等)に形成することができ、圧電素子を収容した基体101を外部回路基板(図示せず)の電極に接続する際に、電気的短絡を招くことなく実装することができる。また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、このような導電経路を有することにより、基体の絶縁層間に配線導体を形成することなく、凹部107の内部と基体101の下面に形成された外部接続端子121とを電気的に接続することができ、パッケージの気密封止性を向上させることが可能となる。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、貫通孔115が、凹部107の底面109側の開口部の一部が基体101の枠部122により塞がれていることが好ましい。本発明の圧電素子収納用パッケージは、このような構成により、封止用貫通孔115に封止部材(図示せず)が接合された際に、基体101と封止部材との接合強度を向上させることが可能となる。すなわち、封止部材が封止用貫通孔115の内面および基体101の枠部122の下面に接合されることにより、パッケージに対する封止部材の接合面積を増大させることができ、封止部材の接合強度を向上させることが可能となる。そして、封止部材の接合強度を向上させることにより、圧電装置の気密封止性を向上させることが可能となる。
また、本発明の圧電素子収納用パッケージは、好ましくは、貫通孔115が、凹部107の底面109側の開口部の一部が基体101の枠部122により塞がれていることにより、封止部材を基体101の下面108側から封止用貫通孔115に接合する際に、封止用貫通孔115の上下方向における封止部材の位置決め精度を向上させることができる。そして、封止部材の位置決め精度を向上させることにより、凹部107の気密封止性を向上させることが可能となる。
なお、本発明の圧電素子収納用パッケージにおいて、電極102および電極119,配線導体120,第1の外部接続端子103および第2の外部接続端子121の表面に、酸化腐食を防止するとともに電極102および電極119と圧電素子の電極端子との電気的および機械的な接続強度を向上させ、外部接続端子103および121と外部回路基板との接続強度を向上させるために、例えば、10.0〜20.0μmの厚みのニッケルめっき層と0.1〜3.0μmの厚みの金めっき層とを順次被着させておくことが好ましい。これらのめっき層は、電解法や無電解法等のめっき法により形成することができる。
次に、図2を用いて本発明の圧電装置について詳細に説明する。図2(a)は、本発明の圧電装置の構造を示す平面図である。なお、図2(a)において、圧電装置の内部構造を示すために蓋体の外周を点線で示している。図2(b)は、図2(a)に示した圧電装置のX−X’線における断面図であり、図2(c)は、図2(a)に示した圧電装置のY−Y’線における断面図である。なお、図2に示した圧電装置において、図1に示した圧電素子収納用パッケージと同一の構成には同一の符号を付している。
本発明の圧電装置は、図1に示した圧電素子収納用パッケージ230と、凹部107に収容された圧電素子231と、凹部を塞ぐように取着された蓋体232と、封止用貫通孔104を塞ぐ封止部材233とを備えている。
圧電素子231は、端部に形成された電極端子が電極102に電気的に接続されている。圧電素子231の電極端子と電極102とは、導電性接着剤234を介して接合される。圧電素子231の電極と電極102との接続は、例えば、圧電素子231の端部を支持台110および支持台117の上面に位置決めして搭載し、ディスペンサー(図示せず)から導電性接着剤234を供給することにより行われる。このようにして、圧電素子231の端部に形成された電極端子と支持台110の電極102および支持台117の電極とは、電気的にまたは必要に応じて機械的に接続される。
蓋体232は、基体101の上面106に取着される。蓋体232は、鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属材料、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックス材料、エポキシ樹脂等の有機樹脂材料等により形成される。蓋体232は、例えば、四角形状の凹部107を塞ぐのに好適な四角平板状である。また、蓋体232は、下面側に凹部を有する椀形状のものでもよい。この蓋体232は、例えば、基体101の上面の外周部に凹部107を取り囲むようにして形成されたメタライズ層123にダイレクトシーム法や電子ビーム法等の溶接法で接合されている。なお、メタライズ層123は、タングステン,モリブデン,銅,銀等の金属材料から成り、配線導体120と同様の手段(金属ペーストをグリーンシートに印刷すること)により形成されている。
封止部材233は、例えば金属製の栓や半田等である。図2に示した圧電装置において、封止部材233は、鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属材料から成る栓である。
本発明の圧電装置は、このような構成により、小型化を図るとともに気密封止性を向上させることができる。すなわち、本発明の圧電装置は、凹部107の底面と基体101の下面108との間に形成された封止用貫通孔104と、封止用貫通孔104の内面に凹部107の底面109側と基体101の下面108側とを貫通させた状態で形成され、電極102と外部接続端子103とを電気的に接続する導体層105とを備えていることにより、小型化を図ることにより枠部122の厚みが薄くなった場合でも、圧電素子231が接続される電極102と外部接続端子103とは封止用貫通孔104に形成された導体層105を介して電気的に接続されているため、枠部122の絶縁層とその下の絶縁層との接合強度の低下の原因となる配線導体をこれら絶縁層間に形成する必要がなく、これら絶縁層同士の接合強度を確保することができる。そして、これら絶縁層同士の接合強度を確保することにより、これら絶縁層間に間隙が形成されることを抑制し、気密封止性を向上させることができる。このように本発明の圧電装置は、小型化を図るとともに気密封止性を向上させることができる。
また、本発明の圧電装置は、凹部107の底面109に形成され、上面111に電極102が形成されており、側面に電極102と封止用貫通孔104の導体層105とを電気的に接続する側面導体層113が形成された支持台110を備え、封止用貫通孔104は、凹部107の底面109側の開口部の一部が支持台110によって塞がれていることにより、封止部材233の圧電素子収納用パッケージ230に対する接合強度を向上させることができる。すなわち、封止部材233が封止用貫通孔104の内面および支持台110の下面112に接合されることにより、封止部材233の接合面積を増大させることができ、封止部材233の圧電素子収納用パッケージ230に対する接合強度を向上させることが可能となる。そして、封止部材233の圧電素子収納用パッケージ230に対する接合強度を向上させることにより、気密封止性を向上させることができる。
また、封止用貫通孔104は、凹部107の底面109側の開口部の一部が支持台110により塞がれていることにより、封止用貫通孔104の上下方向における封止部材233の位置精度が向上され、気密封止性を向上させることが可能となる。
また、支持台110の側面に電極102と導体層105とを電気的に接続する側面導体層113が形成されていることにより、支持台110の上面111に形成された電極102および基体101の下面108に形成された外部接続端子103間の導電経路を短くすることができ、小型化を図ることが可能となる。
また、本発明の圧電装置は、好ましくは、支持台110は、側面に電極102と封止用貫通孔104の導体層105とを電気的に接続する側面導体層113が被着された溝114が形成され、溝114が封止用貫通孔104の上方に位置するように形成されていることにより、支持台110の上面111に形成された電極102と基体101の下面108に形成された外部接続端子103との導電経路を短くすることができ小型化を図ることが可能となる。
また、本発明の圧電装置は、好ましくは、溝114は横断面形状が弧状であり、封止用貫通孔104は横断面形状が円形状であり、溝114の直径が封止用貫通孔104の直径より小さいことにより、封止用貫通孔104の開口部の一部を支持台により効果的に塞ぎつつ、溝114に形成された側面導体層113と封止用貫通孔104に形成された導体層105との導電性を向上させることができる。
また、本発明の圧電装置は、第2の封止用貫通孔を塞ぐ封止部材(第2の封止部材)23を備えている。封止部材235は、例えば金属製の栓や半田等である。図2に示した圧電装置において、封止部材233は、鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属材料から成る栓である。
本発明の圧電装置は、このような構成により、小型化を図るとともに気密封止性を向上させることができる。すなわち、本発明の圧電装置は、好ましくは、基体101の凹部107の底面109に形成され、圧電素子231の第2の電極端子に電気的に接続される配線導体120と、凹部107の底面109と基体101の下面108との間に形成された封止用貫通孔115と、封止用貫通孔115の内面に凹部107の底面109側と基体101の下面108側とを貫通させた状態で形成され、配線導体120と外部接続端子121とを電気的に接続する導体層116とを備えていることにより、圧電素子231の第1の電極端子は、封止用貫通孔104の導体層105を介して基体101の下面108に導出され、圧電素子231の第2の電極端子は、配線導体120を介して支持台110から離れた位置(例えば、支持台110が形成された端部と対向する端部)において、封止用貫通孔115に形成された導体層116を介して基体101の下面108に導出され、圧電素子231の第1の電極端子に接続された外部接続端子103と圧電素子231の第2の電極端子に接続された第2の外部接続端子121とを、基体101の下面108において離間された位置(基体の下面の対向する端部等)に形成することができ、圧電装置を外部回路基板の電極に接続する際に、電気的短絡を招くことなく実装することができる。また、本発明の圧電装置は、このような構成を有することにより、基体101の絶縁層間に配線導体を形成することなく、凹部107の内部と基体101の下面108に形成された外部接続端子103とを電気的に接続することができ、気密封止性を向上させることが可能となる。
また、本発明の圧電装置は、好ましくは、封止用貫通孔115は、凹部107の底面109側の開口部の一部が基体101の枠部122により塞がれていることにより、基体101と封止部材235との接合強度を向上させることが可能となる。すなわち、封止部材235が封止用貫通孔115の内面および基体101の枠部122の下面に接合されていることにより、パッケージ230に対する封止部材235の接合面積を増大させることができ、封止部材235の接合強度を向上させることが可能となる。そして、封止部材235の接合強度を向上させることにより、気密封止性を向上させることができる。
次に、図3を用いて本発明の圧電装置の製造方法を説明する。図3は、本発明の圧電装置の製造方法を示す図である。なお、図1に示した圧電素子収納用パッケージの構成および図2に示した圧電装置の構成と同一の構成については同一の符号を付している。
本発明の圧電装置の製造方法は、図1,2に示した圧電素子収納用パッケージ230の電極102に圧電素子231の電極端子を電気的に接続する工程(図3(a))と、基体101の上面106に凹部107を塞ぐように蓋体232を取着する工程(図3(b))と、凹部内を真空状態若しくは不活性ガスが充填された状態にするとともに封止用貫通孔104に封止部材233を接合する工程(図3(c))とを有する。以下、各工程について詳細に説明する。
まず、図1に示した本発明の圧電素子収納用パッケージの支持台110の上面111に形成された電極102および支持台117の上面118に形成された電極119に圧電素子231の電極を電気的に接続する(図3(a))。圧電素子231は、例えば長方形板状のATカット型の水晶振動子を用いた場合であれば、支持台110の上面111に形成された電極102および支持台117の上面118に形成された電極119に、予め所定量の導電性接着剤234を塗布しておき、画像処理装置等で圧電素子231の短辺側の端部を電極102および電極119上に位置合わせして載置し加圧することにより、導電性接着剤234を介して圧電素子231の短辺側の端部に形成された電極端子と電極102および電極119とが電気的に接続される。また、圧電素子231が支持台110,117に機械的に接続される。
次に、基板101の上面106に凹部107を塞ぐように蓋体232を取着する(図3(b))。蓋体232は、金属材料,セラミック材料,樹脂材料等から成る。この蓋体232は、シーム溶接法等により取着される。例えば、蓋体232が鉄−ニッケル−コバルト合金から成る平板状のものであれば、蓋体232の下面の外周部にろう材(図示せず)を塗布しておき、この蓋体232の下面の外周部と基体101の凹部107を取り囲む枠部122の上面とを位置合わせし、蓋体232の上面の外周部に沿って電極ローラーを移動させてろう材を加熱溶融することにより、蓋体232と基体101の上面とをろう材を介して接合する。なお、蓋体232は、例えば、鉄−ニッケル合金や鉄−ニッケル−コバルト等の金属から成る場合であれば、鉄−ニッケル合金板や鉄−ニッケル−コバルト合金板等の下面に銀−銅ろう等のろう材箔を重ねて圧延することにより、鉄−ニッケル合金板や鉄−ニッケル−コバルト合金板等の下面に厚みが20〜50μmのろう材層が圧着された複合金属板を得るとともに、この複合金属板を打ち抜き金型により打ち抜くことによって下面の全面に厚みが20〜50μmのろう材層が被着された所定形状の蓋体232を得ることができる。この場合、あらかじめ基体101の上面106にメタライズ層123を形成しておくことにより、ろう材の基体101に対する接合強度を向上させることができ、気密封止の信頼性を向上させることが可能となる。
次に、封止用貫通孔104,115を封止部材233,235で塞ぐことにより、基体101と蓋体232とで形成される容器の内部を気密封止する(図3(c))。この気密封止の工程は、真空(低圧)チャンバー301内で行うことにより、基体101と蓋体232とで形成される容器の内部を真空(低圧)状態にすることができる。すなわち、真空(低圧)雰囲気中において封止用貫通孔104,115に封止部材233,235を接合することにより、基体101と蓋体232とで形成される容器の内部を真空状態(若しくは、大気中より低圧な状態)とすることができる。真空状態(若しくは、大気中より低圧な状態)の容器内に圧電素子231が気密封止されることにより、圧電素子231の振動の正確性を向上させることができ、圧電装置の発振精度を向上させることが可能となる。
また、気密封止の工程は、不活性ガスの雰囲気中で行ってもよい。この場合、チャンバー内に不活性ガスを充填し、この不活性ガスの雰囲気中で封止用貫通孔104,115を封止部材233,235で塞ぐことにより、基体101と蓋体232とで構成される容器の内部を不活性ガスが充填された状態とすることができる。不活性ガスが充填された容器内に圧電素子231が気密封止されることにより、圧電素子231の振動の正確性を向上させることができ、圧電装置の発振精度を向上させることが可能となる。
なお、封止用貫通孔104,115を封止する封止部材233,235は、鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成る。また、封止部材233,235の形状は、封止用貫通孔104,115の横断面形状に対応した形状であり、例えば封止用貫通孔104,115が円柱形状であればそれに対応した円柱形状である。
封止用貫通孔104,115内に封止部材233,235を接合し、封止部材233,235の外側面と封止用貫通孔104,115の内側面とを半田等のろう材,接着剤,ガラス等を介して接合することにより、封止用貫通孔104,115が封止部材233,235により塞がれる。ここで、封止用貫通孔104の上端の一部が支持台110の下面により塞がれており、封止用貫通孔115の上端の一部が枠部122により塞がれていることにより、封止部材233,235が凹部107にまで入り込むことはない。そのため、封止部材233,235と封止用貫通孔104,115との接合面積を有効に確保することができ、気密封止性に優れた圧電装置を提供することが可能となる。また、封止部材233,235を封止用貫通孔104,115内に押し込むだけでよく、封止用貫通孔104,115内の深さ方向の位置決めを容易に行うことができるため、圧電装置の生産性を向上させることが可能となる。また、封止部材233,235は、半田等の金属封止材での接合性を考慮して、表面にニッケルメッキや金メッキ等が被着されていることが好ましい。
また、本発明の圧電装置の製造方法は、封止用貫通孔104または105を介して、レーザ光または電子ビームにより圧電素子の周波数の調整を行う工程を有することが好ましい。封止用貫通孔104,115を封止部材233,235で塞ぐ前であれば、第1の貫通孔104および第2の貫通孔115を介して凹部107の内部に搭載された圧電素子231の裏面を確認することができるので、発振周波数を微調整するために圧電素子231の励振電極を、第1の貫通孔104および第2の貫通孔115を通してレーザ等によりトリミングすることも可能である。本発明の圧電装置は、好ましくは、周波数の調整を行う工程を有することにより、真空封止性および周波数特性にすぐれた圧電装置を製造することができる。
(a)は、本発明の圧電素子収納用パッケージの構造を示す平面図であり、(b)は、(a)に示した圧電素子収納用パッケージのX−X’線における断面図であり、(c)は、(a)に示した圧電素子収納用パッケージのY−Y’線における断面図である。 (a)は、本発明の圧電装置の構造を示す平面図であり、(b)は、(a)に示した圧電装置のX−X’線における断面図であり、(c)は、(a)に示した圧電装置のY−Y’線における断面図である。 本発明の圧電装置の製造方法を示す図である。
符号の説明
101・・・基体
102・・・第1の電極
103・・・第1の外部接続端子
104・・・第1の封止用貫通孔
105・・・第1の導体層
106・・・上面
107・・・凹部
108・・・下面
109・・・底面
110・・・第1の支持台
111・・・上面
112・・・下面
113・・・側面導体層
114・・・溝
115・・・第2の封止用貫通孔
116・・・第2の導体層
117・・・第2の支持台
118・・・上面
119・・・第2の電極
120・・・配線導体
121・・・第2の外部接続端子
122・・・枠部

Claims (10)

  1. 上面に圧電素子が収容される凹部を有する基体と、前記凹部に形成され、前記圧電素子の電極端子が電気的に接続される電極と、前記基体の下面に形成された外部接続端子と、前記凹部の底面と前記基体の前記下面との間に形成された封止用貫通孔と、前記封止用貫通孔の内面に形成され、前記電極と前記外部接続端子とを電気的に接続する導体層とを備えており、前記凹部の前記底面に形成され、上面に前記電極が形成されており、側面に前記電極と前記封止用貫通孔の前記導体層とを電気的に接続する側面導体層が形成された支持台を備え、前記封止用貫通孔は、前記凹部の前記底面側の開口部の一部が前記支持台によって塞がれていることを特徴とする圧電素子収納用パッケージ。
  2. 前記支持台は、側面に前記電極と前記封止用貫通孔の前記導体層とを電気的に接続する前記側面導体層が内面に被着された溝が形成され、該溝が前記封止用貫通孔の上方に位置するように形成されていることを特徴とする請求項記載の圧電素子収納用パッケージ。
  3. 前記溝は横断面形状が弧形状であり、前記封止用貫通孔は横断面形状が円形状であり、前記溝の直径が前記封止用貫通孔の直径より小さいことを特徴とする請求項記載の圧電素子収納用パッケージ。
  4. 前記基体の前記凹部の前記底面に形成され、前記圧電素子の他の電極端子に電気的に接続される配線導体と、前記基体の前記下面に形成された他の外部接続端子と、前記凹部の前記底面と前記基体の前記下面との間に形成された他の封止用貫通孔と、該他の封止用貫通孔の内面に形成され、前記配線導体と前記他の外部接続端子とを電気的に接続する他の導体層とを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の圧電素子収納用パッケージ。
  5. 前記他の封止用貫通孔は、前記凹部の前記底面側の開口部の一部が前記基体の枠部によって塞がれていることを特徴とする請求項記載の圧電素子収納用パッケージ。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載された圧電素子収納用パッケージと、前記凹部に収容され、前記電極に前記電極端子が電気的に接続された前記圧電素子と、前記基体の前記上面に前記凹部を塞ぐように取着された蓋体と、前記封止用貫通孔を塞ぐ封止部材とを備えていることを特徴とする圧電装置。
  7. 請求項または請求項に記載された圧電素子収納用パッケージと、前記凹部に収容さ
    れ、前記電極および前記配線導体に前記他の電極端子が電気的に接続された前記圧電素子と、前記基体の前記上面に前記凹部を塞ぐように取着された蓋体と、前記封止用貫通孔および前記他の封止用貫通孔を塞ぐ封止部材とを備えていることを特徴とする圧電装置。
  8. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載された圧電素子収納用パッケージの前記電極に前記圧電素子の前記電極端子を電気的に接続する工程と、前記基体の前記上面に前記凹部を塞ぐように前記蓋体を取着する工程と、前記凹部内を真空状態しくは不活性ガスが充填された状態にするとともに前記封止用貫通孔の前記内面に封止部材を接合する工程とを有することを特徴とする圧電装置の製造方法。
  9. 請求項または請求項に記載された圧電素子収納用パッケージの前記電極および前記配線導体に前記圧電素子の前記電極端子を電気的に接続する工程と、前記基体の前記上面に前記凹部を塞ぐように前記蓋体を取着する工程と、前記凹部内を真空状態しくは不活性ガスが充填された状態にするとともに前記封止用貫通孔の前記内面および前記他の封止用貫通孔の前記内面に封止部材を接合する工程とを有することを特徴とする圧電装置の製造方法。
  10. 前記封止用貫通孔を介して、前記圧電素子の励振電極にレーザ光または電子ビームを照射して周波数の調整を行う工程を有することを特徴とする請求項または請求項記載の圧電装置の製造方法。
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