JP2005003434A - 原子炉解体工法 - Google Patents

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正直 斎藤
Morishige Watanabe
守成 渡辺
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Shimizu Construction Co Ltd
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Abstract

【課題】圧力容器を安全かつ合理的に解体する。
【解決手段】原子炉を解体するに際し、圧力容器1の下部にその圧力容器全体をせり上げ可能な揚重機構3を設置するとともに、圧力容器の頂部を臨む位置には圧力容器を細分化し得る解体機構7を設置し、圧力容器の内部全体にモルタル等の遮蔽材を充填した後、揚重機構により圧力容器を順次せり上げて解体機構によって圧力容器を遮蔽材とともに頂部より順次解体する。解体機構としてワイヤーソー8を採用し、ワイヤーソーによって圧力容器を遮蔽材とともに縦横に切断することでブロック状に解体し、解体物12を遮蔽容器13に収納して搬出する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は原子炉解体工法に係わり、特に圧力容器を効率的かつ安全に解体するための工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉の廃止措置に伴って原子炉圧力容器(以下、圧力容器と略す)を解体撤去する場合、その解体工法としては、圧力容器を遠隔操作により解体して細分化し、解体物を逐次搬出して撤去するという工法が現実的であると考えられている。また、たとえば特許文献1に示されるように、廃原子炉を嵩上げして回転させながら廃炉上面より解体するという工法をはじめとして、様々な解体工法が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−39095号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、現時点までに提案されている様々な解体工法は、いずれにしても極めて複雑かつ高度の解体装置を必要とし、解体に膨大な費用と工期を要するものであるので、圧力容器をより安全かつ合理的に解体し得る有効適切な工法の確立が急務とされている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記事情に鑑み、請求項1の発明は、原子炉を解体するに際し、圧力容器の下部にその圧力容器全体をせり上げ可能な揚重機構を設置するとともに、圧力容器の頂部を臨む位置にはその圧力容器を細分化し得る解体機構を設置し、圧力容器の内部全体にモルタル等の遮蔽材を充填した後、前記揚重機構により圧力容器を順次せり上げて前記解体機構によって圧力容器を遮蔽材とともに頂部より順次解体していくことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明の原子炉解体工法において、解体機構としてワイヤーソーを採用し、ワイヤーソーによって圧力容器を遮蔽材とともに縦横に切断することでブロック状に解体し、解体物を遮蔽容器に収納して搬出することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図1〜図2に示す。本実施形態は沸騰水型原子炉(BWR)を対象としてその圧力容器1を解体する場合の適用例である。
【0008】
まず、圧力容器1の内部全体にモルタル等の遮蔽材を充填してしまい、圧力容器1の周辺エリアへの被ばく線量の低減を図る。
【0009】
次いで、図1(a)に示すように、遮蔽壁2の内側底部に、圧力容器1を支持してその全体をせり上げ可能な揚重機構3を設置する。揚重機構3としては適宜の構成のものが採用可能であるが、たとえば図2に示すように、櫓状に組んだ仮設構台4の上部に必要台数の油圧ジャッキ5を設置して、圧力容器1を支持架台6を介して油圧ジャッキ5により支持し、それら油圧ジャッキ5によって圧力容器1をせり上げるとともに、解体作業の進捗に伴って仮設構台4を順次上方に延長させて油圧ジャッキ5を盛り替える構成のものが好適に採用可能である。
【0010】
一方、圧力容器1の頂部を臨む位置には、圧力容器1を解体するための解体機構7を設置する。解体機構7としては適宜の構成のものが採用可能であるが、たとえば、圧力容器1を輪切り状態に切断するとともにそれをさらにブロック状に細分化し得るワイヤーソー8を採用し、遮蔽壁2の頂部に設けたフレーム9によりワイヤーソー8を支持案内して圧力容器1の頂部を縦横に切断してブロック状に解体する構成のものが好適に採用可能である。
【0011】
さらに、圧力容器1の頂部周辺を遮蔽バリア10により区画してその内側を作業エリア11として設定し、上記の揚重機構3および解体機構7を遮蔽バリア10の外部からの遠隔操作により稼働できるものとしておく。
【0012】
本実施形態の解体工法は、揚重機構3により圧力容器1をせり上げては、圧力容器1をその頂部から解体機構7によって順次解体していくものである。すなわち、圧力容器1を所定高さだけせり上げて図1(a)に示すようにその頂部をワイヤーソー8よりも上方に突出させ、その突出部を、内部に充填した遮蔽材とともにワイヤーソー8によって縦横に切断してブロック状に解体する。そして、(b)に示すように細分化した解体物12を作業エリア11内で遮蔽容器13内に収納して密封し、その遮蔽容器13を作業エリア11外に搬出する。なお、必要に応じて、解体物12を収納した遮蔽容器13内にモルタル等の遮蔽材を充填して解体物12を固定状態で封入すれば良く、また圧力容器1の解体部分に対しては補助遮蔽14を行えば良い。
【0013】
本実施形態の解体工法によれば、上記のように圧力容器1の全体を揚重機構3によりせり上げていきつつ、圧力容器1をその上部から解体機構7によって順次解体することにより、極めて単純な作業手順により圧力容器1の全体を効率的にかつ安全に解体することができるし、揚重機構3や解体機構7も単純な構成のもので良く、解体コストの低減を充分に図ることができる。
【0014】
特に、解体に先立って圧力容器1内全体にモルタル等の遮蔽材を充填してしまい、その遮蔽材とともに圧力容器1をワイヤーソー8により縦横に切断してブロック状に解体することにより、被ばく線量の低減を図ることができるのみならず、圧録容器1およびその内部機器を遮蔽材とともに一体に解体し得るので解体作業を効率的に行うことができ、しかもブロック状の解体物12はハンドリングが容易であるのでそれを遮蔽容器13に収納する作業も極めて容易かつ安全に行うことができる。なお、鋼板厚さが厚く、ワイヤーソーの切断効率が悪い場合には、事前に成形火薬やガウジング等により鋼板に切れ目を入れてからワイヤーソーによる切断を行うと、効率的に切断作業を行うことができる。
【0015】
さらに、圧力容器1の頂部周辺を遮蔽バリア10により区画して作業エリア11を設定し、その外部からの遠隔操作によって解体作業を行うとともに、作業エリア内で解体物12を遮蔽容器13に収納してしまうので、作業安全性の確保と汚染防止を充分に図ることができる。
【0016】
なお、上記実施形態はBWRへの適用例であるが、本発明は図3に示すように加圧水型原子炉(PWR)に対しても同様に適用可能であることはもとより、揚重機構や解体機構の具体的な構成その他に関しては適宜の設計的変更が可能であることは言うまでもない。
【0017】
【発明の効果】
請求項1の発明は、圧力容器の内部全体にモルタル等の遮蔽材を充填した後、揚重機構により圧力容器を順次せり上げては解体機構によって圧力容器を遮蔽材とともに頂部より順次解体していくので、極めて単純な作業手順により圧力容器の全体を効率的にかつ安全に解体することができるし、揚重機構や解体機構も単純な構成のもので良く、解体コストの低減を充分に図ることができる。
【0018】
請求項2の発明は、解体機構としてワイヤーソーを採用し、ワイヤーソーによって圧力容器を遮蔽材とともに縦横に切断することでブロック状に解体し、解体物を遮蔽容器に収納して搬出するので、解体作業および解体物の遮蔽容器への収納作業が容易であり、作業安全性の確保と汚染防止を充分に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の解体工法をBWRの解体に適用した場合の実施形態を示す図である。
【図2】同、要部拡大図である。
【図3】本発明の解体工法をPWRの解体に適用した場合の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1 圧力容器
2 遮蔽壁
3 揚重機構
4 仮設構台
5 油圧ジャッキ
6 支持架台
7 解体機構
8 ワイヤーソー
9 フレーム
10 遮蔽バリア
11 作業エリア
12 解体物
13 遮蔽容器
14 補助遮蔽

Claims (2)

  1. 原子炉を解体するに際し、圧力容器の下部にその圧力容器全体をせり上げ可能な揚重機構を設置するとともに、圧力容器の頂部を臨む位置には圧力容器を細分化し得る解体機構を設置し、圧力容器の内部全体にモルタル等の遮蔽材を充填した後、前記揚重機構により圧力容器を順次せり上げて前記解体機構によって圧力容器を遮蔽材とともに頂部より順次解体していくことを特徴とする原子炉解体工法。
  2. 解体機構としてワイヤーソーを採用し、ワイヤーソーによって圧力容器を遮蔽材とともに縦横に切断することでブロック状に解体し、その解体物を遮蔽容器に収納して搬出することを特徴とする請求項1記載の原子炉解体工法。
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