JP6975676B2 - 原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法 - Google Patents

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Description

本発明は、原子炉格納容器(以下、単にPCV(Primary Containment Vessel)ということあり)及び生体遮蔽壁(以下、単にBSW(Biological Shield Wall)ということあり)の解体工法に関する。
図16は原子炉建屋の主要部の一例を示した断面図である。原子炉建屋10内にはPCV12が形成され、このPCV12内に原子炉圧力容器(以下、単にRPV(Reactor Pressure Vessel)ということあり)14が据え付けられている。RPV14の内部には炉内構造物15が取り付けられている。またRPV14の周囲には熱遮蔽壁(以下、単にRSW(Reactor Shield Wall)ということあり)16が設けられている。PCV12の周囲にはBSW11が形成されている。
このBSW11のPCV12側は、原子炉運転中に発生する中性子の影響で放射化するため、解体撤去する際にPCV12側表面から一定深さの範囲は放射性廃棄物として処分する必要がある。ここで本発明では、以下、放射性廃棄物として処分が必要なBSW11をBSW放射化部11aという。
一方、それより外側の範囲は、クリアランスレベル(放射性廃棄物として扱う必要のない放射性濃度レベル)以下となるため、解体撤去の際、管理区域(法令で定めた放射線レベルを超える可能性のある区域)解除後に原子炉建屋10本体と一緒に解体し廃棄処分等することも可能である。ここで本発明では、このBSW放射化部11aより外側の放射性廃棄物として処分する必要がないBSW11をBSW非放射化部11bという。
耐久年数の経過した原子炉建屋10は所定の廃止措置がとられる。図15は原子炉建屋内の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の一般的な解体工法のフロー図である。なお図15は、管理区域解除前にBSW非放射化部を解体しない場合に想定される原子炉解体手順を示している。
[ステップ1]
RPV14の炉内構造物15を撤去した後、RPV14、RSW16等を解体撤去する。
[ステップ2]
RPV14及びRSW16が撤去されたPCV12の内部に作業足場を設置して解体撤去する。
[ステップ3]
PCV12が撤去されたBSW11の内部に作業足場を設置してBSW放射化部11aを解体撤去する。
[ステップ4]
すべての放射性廃棄物の解体撤去が完了した後、管理区域を解除する。
[ステップ5]
クリアランスレベル以下のBSW非放射化部11bなど建物コンクリートを解体撤去する。
このようにBSW非放射化部11bは、管理区域解除後に解体すればよいが、管理区域解除前は一般的にはBSW放射化部11aのみを除去することになる。このとき、BSW11とPCV12の隙間はわずか数十ミリ程度であり作業スペースがない。このためBSW放射化部11aを解体するには、あらかじめPCV12を解体撤去しなければならない。
特許文献1に開示の原子炉解体装置は、BSWの内部にエレベータリフトと切断用足場を設置して、これに切断装置と回収装置を移動自在に装着してBSWの切断解体作業を自動化している。
特許第4087509号公報
PCVを解体した後にBSW放射化部を解体する手順をとる場合、解体箇所へのアクセスは、いずれも内側(原子炉格納容器側)からとなる。このときPCV又はBSWは内部の炉内構造物、RPV、RSWが解体撤去された状態である。解体作業は炉底部から最高数十メートル程度の高所となるため、十分な安全性が確保できるように努めなければならない。
特許文献1についても、装置を設置する際には足場を用いた高所作業が必要となり、同様のリスクが伴っている。
そこで上記従来技術の問題点に鑑み本発明は、高所作業を回避して作業の安全性を高めた原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、原子炉建屋の各フロア側から生体遮蔽壁を解体するBSW解体工程と、
前記生体遮蔽壁を解体したフロア側から原子炉格納容器を解体するPCV解体工程と、
を有することを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記第1の手段によれば、廃炉、事故後などの原子炉建屋の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体作業時において、原子炉格納容器内側からの高所作業を回避して、解体作業の安全性を高めることができる。
上記課題を解決するための第2の手段として、本発明は、炉内構造物と原子炉圧力容器と熱遮蔽壁を解体した原子炉建屋の各フロア側から生体遮蔽壁を解体するBSW解体工程と、
前記生体遮蔽壁を解体したフロア側から原子炉格納容器を解体するPCV解体工程と、
を有することを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記第2の手段によれば、原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体作業時において、原子炉格納容器内側からの高所作業を回避して、解体作業の安全性を高めることができる。
上記課題を解決するための第3の手段として、本発明は、第1又は第2の手段において、前記生体遮蔽壁を解体する前に各フロアを仮設補強部材で補強することを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記第3の手段によれば、BSW解体時においてフロアの強度不足による破損を防止して、作業の安全性を確保できる。
上記課題を解決するための第4の手段として、本発明は、第1ないし第3のいずれか1の手段において、前記BSW解体工程の前に前記原子炉格納容器の上面開口を蓋で塞ぐことを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記第4の手段によれば、PCVの上面開口よりも上階フロアのBSW解体作業において、作業中に発生するガラ(コンクリート破砕片)等がPCV内部への落下及び放射性物質の拡散を防止して、解体作業の安全性を確保できる。
上記課題を解決するための第5の手段として、本発明は、第1ないし第4のいずれか1の手段において、前記BSW解体工程は、BSW非放射化部を解体した後にBSW放射化部を解体し、前記BSW放射化部の解体作業前に解体装置を換えることを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記第5の手段によれば、クリアランスレベル以下のBSW非放射化部の解体物に放射能濃度の高いBSW放射化部の解体物が混入することを防止して、放射能濃度の高い廃棄物量を低減できる。
上記課題を解決するための第6の手段として、本発明は、第1ないし第5のいずれか1の手段において、前記PCV解体工程は、PCV円筒部を上階のフロアから順番に各フロアでリング状に切断した後、オペレイティングフロアへ搬出して細分化することを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記第6の手段によれば、作業スペースのあるオペレイティングフロアで効率良くPCV円筒部を細分化処理することができる。また高所作業を回避できる。
上記課題を解決するための第7の手段として、本発明は、第6の手段において、前記PCV円筒部は、切断作業前に天井クレーンで玉掛けすることを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記第7の手段によれば、PCV円筒部の切断後の落下を防止して作業の安全性を確保できる。
上記課題を解決するための第8の手段として、本発明は、第1ないし第7のいずれか1の手段において、前記PCV解体工程は、PCV球形部を各フロアで小片化した後、オペレイティングフロアへ搬出して細分化することを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記第8の手段によれば、作業スペースのあるオペレイティングフロアで効率良くPCV球形部を細分化処理することができる。
上記課題を解決するための第9の手段として、本発明は、第8の手段において、前記PCV球形部は、切断作業前に小型クレーンで玉掛けすることを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記第9の手段によれば、PCV球形部の切断後の落下を防止して作業の安全性を確保できる。
上記課題を解決するための第10の手段として、本発明は、第1又は第2の手段において、
前記BSW解体工程は、解体前にフロアに仮設補強部材を設定する工程と、
PCV上部開口にガラ落下防止蓋を設置する工程と、
前記フロアに切断装置を搬入する際に干渉する壁を撤去する工程と、
BSW非放射化部解体用切断装置を搬入する工程と、
解体場所を養生する工程と、
BSW非放射化部を解体する工程と、
前記BSW非放射化部の解体ガラを回収し、放射能確認測定を行い、保管場所へ搬出する工程と、
BSW放射化部解体用切断装置を入れ替える工程と、
BSW放射化部を解体する工程と、
前記BSW放射化部の解体ガラを回収し、放射能確認測定を行い、保管場所へ搬出する工程と、
前記フロアを片付け清掃した後に、階下フロアへ解体装置を移動する工程と、
を有することを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記課題を解決するための第11の手段として、本発明は、第1又は第2の手段において、
前記PCV解体工程は、切断作業を行うフロア及びそれより上方を汚染拡散防止兼火気養生する工程と、
前記フロアに作業足場を設置する工程と、
前記フロアに切断装置を搬入する工程と、
PCV球形部を天井クレーンに玉掛けする工程と、
前記PCV球形部をリング状に切断する工程と、
切断片をオペレーションフロアに移動する工程と、
前記フロアの片付け及び清掃した後、階下へ切断装置を移動する工程と、
球形部解体用の高所作業台車と小型クレーンと切断装置を搬入する工程と、
解体部位を前記小型クレーンで玉掛けする工程と、
前記高所作業台車上からPCVをパネル状に切断する工程と、
切断片をPCV底部に吊り下す工程と、
切断片を天井クレーンに玉掛けしてオペレーションフロアへ移動する工程と、
切断片を裁断して容器へ収納後、保管場所へ移動する工程と、
フロアの片づけ、清掃、階下へ切断装置を移動する工程と、
を有することを特徴とする原子炉格納容器及び生態遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記課題を解決するための第12の手段として、本発明は、第5の手段において、
前記BSW解体工程は、上階フロアから最下階フロアのBSW非放射化部の撤去を行い、その後、前記上階フロアから最下階フロアのBSW放射化部の撤去を行うことを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記課題を解決するための第13の手段として、本発明は、第5の手段において、前記BSW解体工程は、上階フロアのBSW非放射化部の撤去を行い下階に移行するときに、前記上階フロアのBSW放射化部の撤去を後追いで行うことを特徴とする請求項5に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記課題を解決するための第14の手段として、本発明は、第5の手段において、
前記BSW解体工程は、上階フロアからBSW非放射化部の撤去を行い、ついで同フロアのBSW放射化部の撤去を行うことを特徴とする請求項5に記載原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記課題を解決するための第15の手段として、本発明は、第1又は第2の手段において、
前記PCV解体工程は、切断作業前にPCV球形部を小型クレーンで玉掛けし、切断後、底面に降ろし、天井クレーンに玉掛けし直してオペレイティングフロアに移動して細分化することを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記課題を解決するための第16の手段として、本発明は、第1又は第2の手段において、
前記PCV解体工程は、PCV円筒部の切断作業を行うフロア及びそれより上階の汚染拡散防止兼火気養生を施し、前記フロアに作業用足場を設置し、前記作業用足場上を作業者がPCV周方向に移動しながら切断し、切断作業終了後、下階フロアに移動して解体作業を繰り返すことを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記課題を解決するための第17の手段として、本発明は、第3の手段において、
前記仮設補強部材は、壁を撤去する天井及び床の間に取り付ける支柱を用いることを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記課題を解決するための第18の手段として、本発明は、第3の手段において、
前記仮設補強部材は、撤去する壁に合わせた矩形状に連結、又は立方体の枠体の構成であることを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記課題を解決するための第19の手段として、本発明は、第3の手段において、
前記仮設補強部材は、天井を有する立方体の枠体の構成であることを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
上記課題を解決するための第20の手段として、本発明は、第1又は第2の手段において、
前記BSW解体工程は、解体場所への切断装置搬入に干渉する壁を撤去することを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法を提供することにある。
本発明によれば、高所作業がなくなりPCV及びBSWの解体撤去作業の安全性を高めることができる。
本発明の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法のフロー図である。 BSW解体の詳細フロー図である。 PCV解体の詳細フロー図である。 BSW解体の準備作業を示す説明図である。 解体対象フロアのうち最上階フロア(F1)のBSW非放射化部の解体作業の説明図である。 解体したコンクリートガラの回収作業の説明図である。 最上階フロア(F1)のBSW非放射化部の一部解体後の説明図である。 下階フロアのBSW解体準備の説明図である。 下階フロアのBSW解体の説明図である。 全てのBSW放射化部およびBSW非放射化部撤去後の原子炉建屋の説明図である。 PCV円筒部解体の説明図である。 PCV球形部の解体作業の説明図1である。 PCV球形部の解体作業の説明図2である。 PCV球形部の解体作業の説明図3である。 原子炉建屋内の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の一般的な解体工法のフロー図である。 原子炉建屋の主要部の一例を示した断面図である。
本発明の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
図1は、本発明の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法のフロー図である。図2はBSW解体の詳細フロー図である。図3はPCV解体の詳細フロー図である。本発明の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法は、廃炉(原子炉を停止させて原子炉及び関連する設備を解体すること)、事故後(自然災害又は運転制御不能など)の原子炉建屋を適用対象としている。
[ステップ10]
比較的高線量なRPV14の炉内構造物15を撤去した後、RPV14、RSW16等を解体撤去する。
[ステップ20]
本発明の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法では、原子炉建屋10の各フロアからBSW11を原子炉収納部の外側から内側に向かって解体して行く。このため、まずクリアランスレベル以下のBSW非放射化部11bを解体した後、BSW放射化部11aを解体する。なおBSW放射化部11aとBSW非放射化部11bの境界は、事前の放射線量の測定・評価等によって既知であるとする。
[ステップ201]
図4はBSW解体の準備作業を示す説明図であり(1)は側面断面図、(2)は(1)のA−A断面図である。BSW非放射化部11bを含むBSW11を解体する前に、まずBSW11解体後の建物強度を担保するために仮設補強部材18を各フロアに設置する。なお仮設補強部材18の設置箇所および必要強度等については、あらかじめ原子炉建屋10の解析等で設定しておく。
仮設補強部材18は、基本的に四角支柱であり、壁を撤去する天井及び床の間に取り付けて(壁面の端部)、壁の換わりに構造的な強度を保持している。その他の構成として仮設補強部材18は、撤去する壁の形状に合わせた矩形状(四角形など)に連結したり、矩形状の枠をその一部とする立方体や直方体の枠体としたりする構成を採用しても良い。枠体の場合、天井を設けることにより、万が一作業中にフロアが倒壊してもシェルターとして機能させることができる。
[ステップ202]
原子炉建屋10のオペレイティングフロア40の天井クレーン20を用いてPCV上部開口を塞ぐ蓋22を設置する。
BSW11を解体するフロアのうち最上階(F1)は、内側にPCV12の壁面がないため、蓋22を設置することによって壁撤去時にコンクリートガラがPCV12内に落下することを防止でき、かつ放射性物質の拡散を防止できる。
[ステップ203]
原子炉建屋10の解体場所(各フロア)への解体装置の搬入に干渉する壁を撤去する。なおこの作業は必要に応じて行う。
[ステップ204]
図5は解体対象フロアのうち最上階フロア(F1)のBSW非放射化部11bの解体作業の説明図である。まず現場に解体装置24を搬入する。図示の解体装置24は、ブレーカを装着した小型重機である。なおBSW非放射化部11bとBSW放射化部11aを分けて解体できる手法であれば採用工法はこれに限らず、この他にも例えばコンクリートカッターやワイヤーソーなどを適用することができる。また、解体装置24は必ずしも遠隔操作式である必要はない。
[ステップ205]
解体場所は、シート等による適切な養生26や局所排気設備28を設ける。これによりコンクリート破砕により発生する非放射性の粉塵や放射性粉塵による汚染が建物内に拡散することを防止できる。
[ステップ206]
養生完了後,BSW非放射化部11bを解体装置24となる小型重機ではつって解体する。
[ステップ207]
図6は解体したコンクリートガラの回収作業の説明図である。発生したガラは、ガラ回収用ショベル付重機30でかき集めてガラ搬送台車32に載せる。なお特に重機を使う必要はなく、人手によりガラを回収してガラ搬送台車32へ積載することもできる。
このとき、非放射性廃棄物への放射性廃棄物混入を防止するために、ガラの回収・台車積載と並行して、サーベイメータ等でガラの放射能測定を実施することが望ましい。ガラ搬送台車32に積載したガラは図示しない保管場所へ移送される。なお、保管場所が原子炉建屋10内の他のフロアあるいは原子炉建屋10以外の場合には、ガラ搬送台車32をオペレイティングフロア40および各フロアと通じた開口部(不図示)まで移動して、天井クレーン20で所定の場所まで吊り降ろしている。
[ステップ208]
図7は最上階フロア(F1)のBSW非放射化部の一部解体後の説明図である。BSW非放射化部11b解体で使った解体装置24とガラ搬送台車32を、BSW放射化部11a解体用の解体装置24とガラ搬送台車32に入れ替える。これによりBSW非放射化部11bとBSW放射化部11aの間のコンタミを防止できる。
[ステップ209]
その後、図5で解体した範囲より原子炉側の領域(BSW放射化部11a)のコンクリートを全て解体する。
[ステップ210]
解体したコンクリートは、図5と同様、ガラ搬送台車32で外部の保管場所へ搬出する。このとき並行してサーベイメータ等でガラの放射能測定を実施することが望ましい。
[ステップ211]
図8は下階フロアのBSW解体準備の説明図である。上階フロアのBSW解体が完了したら片付け・清掃し,解体装置24等を天井クレーン20で階下に下ろし移動する。また、以降、PCV12内へガラ落下のおそれがないため、蓋22を天井クレーン20で撤去する。
なお解体装置24を新たな解体場所に移動させる際、BSW11以外の壁が干渉する場合は、これらを撤去する。このとき撤去する壁は事前評価により建物強度に問題がないことが明らかになっているものとする。
図9は下階フロアのBSW解体の説明図である。上階フロアと同じくまずは養生26作業を実施してBSW非放射化部11bを解体する。次いでBSW放射化部11aを解体する。以後、最下階フロアのBSW11までステップ205〜211の解体作業を繰り返す。
図10は全てのBSW放射化部およびBSW非放射化部撤去後の原子炉建屋の説明図である。図示のように原子炉周辺のコンクリート壁(BSW)が撤去されている。このため、PCV12の外側からアクセス可能となっている。
なお、これまで述べた解体手順では、あるフロアのBSW非放射化部11bとBSW放射化部11aを連続して解体し、その後下階フロアの作業に移行していた。その他の手順として、各フロアのBSW非放射化部11bの撤去が完了してからBSW放射化部11aの解体に着手してもよい。また同様に、上階フロアのBSW非放射化部11bの解体作業が終了して下階フロアに移行するタイミングで,上階フロアのBSW放射化部11aを後追いで解体するような手順でも構わない。
[ステップ30]
次にPCV12を外側から解体作業を行う。
[ステップ301]
図11はPCV円筒部解体の説明図である。本実施形態のPCV解体は、一例として人手によるガス切断を採用し以下説明する。
そこでまず切断作業を行うフロアおよびそれより上方に汚染拡散防止兼火気養生34を施す。なお切断方法はガス切断に限らず、この他にもディスクカッター等による機械式切断などでもよい。また被曝低減を考慮する場合は、切断作業を遠隔化することでもよい。
[ステップ302]
次に切断のためにPCV円筒部に寄り付くために作業用足場36を作業するフロア上に組み立てて設置する。
[ステップ303]
さらにPCV切断片を細かく切断するための解体装置24を搬入する。
[ステップ304]
上記準備ができたらまず、天井クレーン20でPCV12上方まで吊り降ろした吊上げ天秤38にPCV12の上部を玉掛けする。この吊上げ天秤38は、PCV円筒部12aの周方向を複数点玉掛け可能な構造となっている。玉掛け作業は作業用足場36上から作業者がPCV12に寄り付いて行えばよい。
また吊上げ天秤38とPCV12の連結は、PCV12に仮設の吊点(不図示)を溶接等で取り付け、吊上げ天秤38とPCV12をワイヤーロープやチェーンブロックで連結するなどすればよい。
[ステップ305]
吊上げ天秤38にPCV12を玉掛け後、作業用足場36上を作業者がPCV12周方向に移動しながらガス切断し、PCV12をリング状に分割する。
[ステップ306]
リング状の切断片は天井クレーン20でオペレイティングフロア40に吊上げて手作業で縦方向(円筒の軸芯方向)に4分割や6分割程度にガス切断で粗切りする。さらにそれを廃棄物収納容器41に入る大きさにバンドソーなどの解体装置24で細断する。廃棄物を収納した廃棄物収納容器41は,図示しない容器の一時保管場所に移送される。
[ステップ307]
作業フロアでのPCV12のリング状の切断作業が終了したら、片付け・清掃を行い、下階フロアに移動する。
上述のPCV円筒部12aの解体作業を各フロアで繰り返し、PCV円筒部12aの解体を終了する。その後、PCV球形部12bの解体作業に移行する。
図12はPCV球形部の解体作業の説明図1である。図13はPCV球形部の解体作業の説明図2である。図14はPCV球形部の解体作業の説明図3である。PCV球形部12bは複雑形状なため、外周に足場を設けることが難しい。よってここでは高所作業台車42でPCV12付近までアクセスして切断作業を行う。また切断中のPCV球形部12bを天井クレーン20で吊るのも難しいため、ここでは上階フロアに配置した小型クレーン44で吊りながら切断作業を行う。
[ステップ308]
まず高所作業台車42、小型クレーン44を各作業フロアに移送する。その後、小型クレーン44にPCV球形部12bを玉掛けする。ここでPCV球形部12bはリング状には切断しても寸法形状の関係からそのままオペレイティングフロア40に上げることができない。このためPCV球形部12bはある程度細かいパネル状に切断する。
[ステップ309]
PCV球形部12bの切断箇所に高所作業台車42で寄り付き、吊り点(不図示)を切断部位に溶接するなどしてこれを小型クレーン44に玉掛けする。
[ステップ310]
玉掛け完了後、高所作業台車42上からPCV球形部12bを切断する。ここでは切断工法はPCV円筒部12aと同様にガス切断を適用する。
そこで切断作業を行うフロアおよびそれより上方に汚染拡散防止兼火気養生34を施す。なお切断方法はガス切断に限らず、この他にもディスクカッター等による機械式切断などでもよい。また被曝低減を考慮する場合は、切断作業を遠隔化することでもよい。
[ステップ311]
切断後、小型クレーン44で切断片を一旦PCV12の底部に吊り降ろす。
[ステップ312]
次にPCV12の底部に作業者が切断片を小型クレーン44から取り外しして、天井クレーン20に玉掛けし直してオペレイティングフロア40に移動する。
[ステップ313]
その後、オペレイティングフロア40で切断片を細断して廃棄物収納容器41に収納し、廃棄物収納容器41を保管場所まで移動する。
[ステップ314]
作業フロアでの作業が終了したら、片付け・清掃を行い、小型クレーン44を下階フロアに移して(図13,14参照)次の解体作業を行う。ステップ308〜314を繰返し、PCV球形部12bの解体作業を完了する。
[ステップ40]
全て放射性廃棄物撤去完了後、管理区域を解除する。
[ステップ50]
残りの原子炉建屋10の建物コンクリートを解体する。
このような本発明の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法によれば、高所作業がなくなりPCV及びBSWの解体撤去作業の安全性を高めることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。例えば、炉内構造物、原子炉圧力容器、熱遮蔽壁を解体した原子炉建屋のみに適用するとの限定は必須でなはく、BSW、PCVをフロア側から解体する工法としても良い。
本発明は、耐用年数の経過した原子力発電所の廃炉作業を行う原子力産業分野において産業上の利用可能性を有する。
10………原子炉建屋、11………生体遮蔽壁(BSW)、11a………BSW放射化部、11b………BSW非放射化部、12………原子炉格納容器(PCV)、12a………PCV円筒部、12b………PCV球形部、14………原子炉圧力容器(RPV)、15………炉内構造物、16………熱遮蔽壁(RSW)、18………仮設補強部材、20………天井クレーン、22………蓋、24………解体装置、26………養生、28………局所排気設備、30………ガラ回収用ショベル付重機、32………ガラ搬送台車、34………汚染拡散防止兼火気養生、36………作業用足場、38………吊上げ天秤、40………オペレイティングフロア、41………廃棄物収納容器、42………高所作業台車、44………小型クレーン。

Claims (20)

  1. 原子炉建屋の各フロア側から生体遮蔽壁を解体するBSW解体工程と、
    前記生体遮蔽壁を解体したフロア側から原子炉格納容器を解体するPCV解体工程と、
    を有することを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  2. 炉内構造物と原子炉圧力容器と熱遮蔽壁を解体した原子炉建屋の各フロア側から生体遮蔽壁を解体するBSW解体工程と、
    前記生体遮蔽壁を解体したフロア側から原子炉格納容器を解体するPCV解体工程と、
    を有することを特徴とする原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  3. 前記生体遮蔽壁を解体する前に各フロアを仮設補強部材で補強することを特徴とする請求項1又は2に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  4. 前記BSW解体工程の前に前記原子炉格納容器の上面開口を蓋で塞ぐことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  5. 前記BSW解体工程は、BSW非放射化部を解体した後にBSW放射化部を解体し、前記BSW放射化部の解体作業前に解体装置を換えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  6. 前記PCV解体工程は、PCV円筒部を上階のフロアから順番に各フロアでリング状に切断した後、オペレイティングフロアへ搬出して細分化することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  7. 前記PCV円筒部は、切断作業前に天井クレーンで玉掛けすることを特徴とする請求項6に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  8. 前記PCV解体工程は、PCV球形部を各フロアで小片化した後、オペレイティングフロアへ搬出して細分化することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  9. 前記PCV球形部は、切断作業前に小型クレーンで玉掛けすることを特徴とする請求項8に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  10. 前記BSW解体工程は、解体前にフロアに仮設補強部材を設定する工程と、
    PCV上部開口にガラ落下防止蓋を設置する工程と、
    前記フロアに切断装置を搬入する際に干渉する壁を撤去する工程と、
    BSW非放射化部解体用切断装置を搬入する工程と、
    解体場所を養生する工程と、
    BSW非放射化部を解体する工程と、
    前記BSW非放射化部の解体ガラを回収し、放射能確認測定を行い、保管場所へ搬出する工程と、
    BSW放射化部解体用切断装置を入れ替える工程と、
    BSW放射化部を解体する工程と、
    前記BSW放射化部の解体ガラを回収し、放射能確認測定を行い、保管場所へ搬出する工程と、
    前記フロアを片付け清掃した後に、階下フロアへ解体装置を移動する工程と、
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  11. 前記PCV解体工程は、切断作業を行うフロア及びそれより上方を汚染拡散防止兼火気養生する工程と、
    前記フロアに作業足場を設置する工程と、
    前記フロアに切断装置を搬入する工程と、
    PCV球形部を天井クレーンに玉掛けする工程と、
    前記PCV球形部をリング状に切断する工程と、
    切断片をオペレーションフロアに移動する工程と、
    前記フロアの片付け及び清掃した後、階下へ切断装置を移動する工程と、
    球形部解体用の高所作業台車と小型クレーンと切断装置を搬入する工程と、
    解体部位を前記小型クレーンで玉掛けする工程と、
    前記高所作業台車上からPCVをパネル状に切断する工程と、
    切断片をPCV底部に吊り下す工程と、
    切断片を天井クレーンに玉掛けしてオペレーションフロアへ移動する工程と、
    切断片を裁断して容器へ収納後、保管場所へ移動する工程と、
    フロアの片づけ、清掃、階下へ切断装置を移動する工程と、
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の原子炉格納容器及び生態遮蔽壁の解体工法。
  12. 前記BSW解体工程は、上階フロアから最下階フロアのBSW非放射化部の撤去を行い、その後、前記上階フロアから最下階フロアのBSW放射化部の撤去を行うことを特徴とする請求項5に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  13. 前記BSW解体工程は、上階フロアのBSW非放射化部の撤去を行い下階に移行するときに、前記上階フロアのBSW放射化部の撤去を後追いで行うことを特徴とする請求項5に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  14. 前記BSW解体工程は、上階フロアからBSW非放射化部の撤去を行い、ついで同フロアのBSW放射化部の撤去を行うことを特徴とする請求項5に記載原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  15. 前記PCV解体工程は、切断作業前にPCV球形部を小型クレーンで玉掛けし、切断後、底面に降ろし、天井クレーンに玉掛けし直してオペレイティングフロアに移動して細分化することを特徴とする請求項1又は2に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  16. 前記PCV解体工程は、PCV円筒部の切断作業を行うフロア及びそれより上階の汚染拡散防止兼火気養生を施し、前記フロアに作業用足場を設置し、前記作業用足場上を作業者がPCV周方向に移動しながら切断し、切断作業終了後、下階フロアに移動して解体作業を繰り返すことを特徴とする請求項1又は2に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  17. 前記仮設補強部材は、壁を撤去する天井及び床の間に取り付ける支柱を用いることを特徴とする請求項3に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  18. 前記仮設補強部材は、撤去する壁に合わせた矩形状に連結、又は立方体の枠体の構成であることを特徴とする請求項3に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  19. 前記仮設補強部材は、天井を有する立方体の枠体の構成であることを特徴とする請求項3に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
  20. 前記BSW解体工程は、解体場所への切断装置搬入に干渉する壁を撤去することを特徴とする請求項1又は2に記載の原子炉格納容器及び生体遮蔽壁の解体工法。
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