JP2005002216A - 食品包装用塩化ビニル系フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間に亘り安定で、かつ一定した優れた抗菌性能を得、添加剤の種類が限定されずにその変色や着色を防止する事ができる食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】本発明のフィルムは、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤20〜60重量部、および平均粒子径0.5〜6.0μmであるZnOを高濃度に含有するガラスからなる抗菌剤を0.03〜0.50重量部配合されている。
【選択図】無し
【解決手段】本発明のフィルムは、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤20〜60重量部、および平均粒子径0.5〜6.0μmであるZnOを高濃度に含有するガラスからなる抗菌剤を0.03〜0.50重量部配合されている。
【選択図】無し
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は抗菌性能を有する食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムは、スーパーマーケット市場における精肉、鮮魚、青果などの食品包装材料に用いられる、食品包装フィルム、いわゆるラップフィルムとして多量に使用されている。また、飲食店や一般家庭においても調理材料、調理品などの食品の保存などに使用されている。昨今消費者の衛生意識の高まりや食中毒の発生防止対策として抗菌性能を付与した様々な製品が製造販売されており、食品包装用フィルムも同様である。これら抗菌性能を付与された食品包装用フィルムは、構成している塩化ビニル系樹脂組成物に抗菌剤を添加したものが一般的で、その抗菌剤は安全性および抗菌性能の面から、抗菌性分が銀イオンであり、担体として、ゼオライト、アパタイト、リン酸ジルコニウムなどの無機物質を使用したもの(以後銀系無機抗菌剤と記す)が広く使用されている。(特許文献1,2参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平6−287324号公報
【0004】
【特許文献2】
実開平1−175814号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
抗菌効果の安定化には抗菌剤を均一に分散させる必要があり、一般的に平均粒子径の小さいものが使用されていた。一方、抗菌効果を大きくするには、フィルム表面から露出している抗菌剤の数が多いこと、1個あたりの露出する部分を多くする必要がある。しかし、平均粒子径が小さく、かつ、露出している部分が多いと加工時に抗菌剤がフィルムから脱落してしまい、添加量にみあった抗菌効果が得られなかった。よって、十分な抗菌効果を得るため過剰に抗菌剤を添加する必要があり不経済であった。また、添加量が増すと、押出成形時、押出機内部やダイ内部に抗菌剤のプレートアウトが生じ易くなり樹脂配合物の滑性を低下させ、結果、加熱分解物が発生しやすくなり、この分解物が異物となってフィルムに混入し品質低下を引き起こす不都合を生じてしまう。また、脱落の量を一定に制御することは困難である為、抗菌性能にばらつきが生じてしまう。さらに脱落した抗菌剤は、成形機である巻取機のフィルムが接触する各ロールに付着するため定期的に掃除する必要があり作業効率が悪くなるという不都合が生じていた。
従来の銀系無機抗菌剤は、そのものが極めて安定で抗菌性能も長期間に亘って発揮できる反面、可塑剤、安定剤、界面活性剤などとともに塩化ビニル系樹脂組成物に添加されると、これらの添加剤や、添加剤に含まれる触媒残さとの反応により、金属成分が過度にイオン化され、その結果成形して得られたフィルムが着色したり、あるいは抗菌性能が十分に発揮されず安定した効果が得られないという問題があった。また、光により著しく変色し品質低下をもたらす欠点があった。このため、上記した従来の塩化ビニル系樹脂組成物を用いて得られる成形物、特にフィルムは、長期間に亘り安定的、かつ一定した抗菌性能を得ることが出来ず、また、変色や着色を防止することも困難であった。さらに、変色を防止するため、添加剤の種類、量の限定をする必要があった。また、抗菌性分として銀を使用しているため高価であった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、長期間に亘り安定で、かつ一定した優れた抗菌性能を得ることが出来ると共に、添加剤の種類が限定されずに、その変色や着色を防止することが出来るフィルムとして好適な食品包装用塩化ビニル系樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤20〜60重量部、および平均粒子径が0.5〜6.0μmである、ZnOを高濃度に含有するガラスからなる抗菌剤を0.03〜0.50重量部配合されたことを特徴とする食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂としては、重合度700〜1700、特には重合度700〜1300の塩化ビニル単独重合体が好ましい。この塩化ビニル単独重合体の他に、これと共重合可能なビニル系単量体との共重合体、塩化ビニル系重合体以外の重合体に塩化ビニルをグラフト共重合体などが挙げられ、これらの共重合体は共重合体中の塩化ビニル以外の構成単位の含有量が多くなると、機械的特性が低下するので塩化ビニルを60重量%以上含有するのが好ましい。
上記の塩化ビニルと共重合可能なビニル系単量体としては、分子中に反応性二重結合を有するものであればよく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのα−オレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリル酸またはメタアクリル酸のエステル類、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸フェニルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル類、塩化ビニル類、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド類などが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで用いられる。
上記塩化ビニル系重合体以外の重合体としては、塩化ビニルをグラフト出来るものであれば良く、例えば、エチレン、酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート・一酸化炭素共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで用いられる。これらの塩化ビニル系樹脂は1種単独または2種以上の組み合わせで使用される。また、上記塩化ビニル系樹脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などのいずれの重合方法で得られたものでもよい。
【0009】
本発明に用いられる可塑剤は、イ)炭素数が8以上のアルキル基を有するアジピン酸エステル系可塑剤、ロ)炭素数が10以下のアルキル基を有する脂肪族アルコール2種以上とアジピン酸との反応で得られる混合アジピン酸エステル系可塑剤、および ハ)エポキシ化植物油系可塑剤の3種類の中から少なくとも2種以上を適宜選択して使用されるが、中でもその組み合わせはイ)とロ)とハ)、イ)とハ)、ロ)とハ)のものが好ましい。
イ)の具体例としてはジオクチルアジペート(DOA:炭素数8のアルキル基を有するアルコール(n−オクチルおよび/または2−エチルヘキシルアルコール)のエステル)、ジイソノニルアジペート(DINA:同9のもの)、ジイソデシルアジペート(DIDA:同10のもの)などが挙げられ、これらの中ではジイソノニルアジペートが好ましい。
ロ)の可塑剤は、n−ヘキシルアルコール(C6)、n−へブチルアルコール(C7)、n−オクチルアルコール(C8)、n−ノニルアルコール(C9)、n−デシルアルコール(C10)の中から2種以上の脂肪族アルコールとアジピン酸との反応で得られるもので、その具体例としては、C6、8アジペート、C8、10アジペート、C7、9アジペート、C6、8、10アジペートなどが挙げられ、これらの中ではC6、8、10アジペートが好ましい。
ハ)の可塑剤の具体例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化サフラワー油などが挙げられ、これらの中ではエポキシ化大豆油が好ましい。これら、イ)、ロ)、ハ)の可塑剤は、上記した組み合わせで使用することが好ましく、その使用量は塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、総量で20〜60重量部の範囲内、好ましくは25〜50重量部である。この可塑剤の割合が20重量部未満では、加工性の低下とフィルムとしての物性低下が著しくなる。一方、60重量部を超えるとフィルムが軟らかくなり過ぎ、粘着性が増すため、使用上弊害が生じ、さらに耐熱性が低下するため、電子レンジにおける使用が困難になる。また、ハ)の可塑剤の使用量は、上記範囲内において10〜30重量%の割合で使用するのが好ましい。10重量%未満では、押出成形時の熱安定性が悪く、30重量%を超えると、フィルムの着色が強くなり、加えて、フィルムの臭気が強まり食品等へ移行する不具合を生じる。イ)、ロ)の可塑剤の使用量は、上記ハ)の可塑剤の使用量に対して適宜選択して使用すればよい。
【0010】
次に本発明に用いられる抗菌剤は、ZnOを高濃度に含有するガラスからなり、フィルムに抗菌性能を付与するための無機化合物である。
平均粒子径は0.5〜6.0μm、好ましくは1.0〜6.0μm、更に好ましくは1.5〜5.0μmである。平均粒子径が0.5μm未満であると、フィルム内部埋没している抗菌剤数が多くなるため十分な抗菌効果を得ることが難しい。また、フィルム巻取る工程は、非常に高速であり、フィルム表面へ露出している抗菌剤は、平均粒子径が小さい程脱落が著しくなる。よって、添加量に見合った抗菌効果を得ることが出来ず、また、脱落量は制御できないため抗菌効果の安定化が難しい。一方、6.0μmより大きいとフィルムから露出する部分が大きすぎ、逆に脱落が多くなり十分な抗菌効果を得ることが出来なくなる。また、抗菌剤が脱落した場合、脱落した部分のフィルム厚が極端に薄くなるため、ピンホールとなる可能性が非常に高い。
【0011】
また、添加量は0.03〜0.50重量部、好ましくは0.05〜0.50重量部、更に好ましくは0.05〜0.30重量部である。0.03重量部未満であると、十分な抗菌効果が得られず、0.50重量部を超えると、フィルム上に抗菌剤が析出し外観上の問題がある他、その析出した抗菌剤が成形時脱落する。十分な抗菌効果は得られるが、巻取機のロールに過剰な抗菌剤が付着するため定期的な掃除が必要になり、作業効率の低下につながる。また、これは過剰添加の結果であるため、不経済である。
銀系無機抗菌剤の変色性は改良されつつあるが、未だ解決には至っていない。添加剤や、添加剤中の触媒残さなどの微量成分により変色することがあり、また、それら微量成分の混入量が一定でない場合、添加剤の使用量を制限しても効果がないため、使用する添加剤の種類自体を限定してしまう。これに対し、本特許における抗菌剤は添加剤の種類の制限は受けることはない。よって、食品包装用フィルムとして様々な機能を付与するにあたり、適切な添加剤を選択できる。
ZnOのガラスに対する濃度は、ZnOを50〜80モル%、さらには55〜70モル%含有したものが好ましい。50モル%未満であると、目的とする抗菌効果を得るためにより多くの抗菌剤を添加する必要がある。これはコスト面において不経済である。また、これら抗菌剤は、押出成形時滑性効果を示す。適量であれば、押出成形時、スクリュー表面やバレル表面に対し滑性を高める効果があるため安定した成形性を得ることが可能であるが、添加量が増えると、この滑性効果が過剰になり混練が不安定、かつ不十分になり、成形不能となり好ましくなくなる。一方、ZnOの含有量が80モル%を超すとガラスとして安定しなくなる。
【0012】
本発明において使用される添加剤としては、上記した成分に加え、必要に応じて安定剤、防曇剤、滑剤などを適宜選択して配合することが出来る。
安定剤としてはCa−Zn系安定剤が好ましい。Ca脂肪酸塩およびZn脂肪酸塩を主成分としており、この脂肪酸塩としてはラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルチミン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、2−エチルへキシル酸塩、イソデカン酸塩、ネオデカン酸塩等が挙げられ、Ca塩では、これらの塩の他にCa安息香酸塩が挙げられる。本発明においては、上記Ca脂肪酸塩とZn脂肪酸塩とから各々少なくとも2種以上を選択、組み合わせて用いる。また、Ca脂肪酸塩とZn脂肪酸塩の比率は、Ca脂肪酸塩40〜70%、Zn脂肪酸塩60〜30%の重量比率で構成することが好ましい。なお、上記安定剤に対して、酸化防止剤を兼ねたものとして、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、2、2‘−メチレンビス(4−メチル−6tert−ブチルフェノール)、ジプロピレングリコール、合成イソパラフィン石油炭化水素、トリデシルアルコール、デヒドロ酢酸、ハイドロタルサイト化合物などを併用してもよい。これらの添加量はそれぞれポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し1.0重量部以下が好ましい。
【0013】
防曇剤としては、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
このモノグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が12〜18の飽和または不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステルが好ましい。具体的には、モノグリセリンラウレート、モノグリセリンミリステート、モノグリセリンパルミテート、モノグリセリンステアレート、モノグリセリンオレート、モノグリセリンリノレートなどが挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が12〜18の飽和または不飽和脂肪酸のポリグリセリンエステルが好ましい。具体的には、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンミリステート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンリノレートなどが挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が12〜18の飽和または不飽和脂肪酸のソルビタンエステルが好ましい。具体的にはソルビタンラウレート、ソルビタンミリステート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレート、ソルビタンリノレートなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、炭素数12〜18の飽和アルコールのポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、より好ましくは、エチレンオキサイドの付加モル数が3〜7であるポリオキシエチレンアルキルエーテルである。具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどが挙げられる。上記の中では、特にモノグリセリンラウレート、モノグリセリンオレート、モノグリセリンリノレート、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンリノレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレート、ソルビタンリノレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが好ましく、これらは、1種または2種以上の組み合わせで使用すればよい。
【0014】
滑剤としては、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの高級脂肪酸、ポリエチレン、合成パラフィンペンタエリスリトールのアジピン酸・高級脂肪酸の混合エステルなどが使用できる。これらの添加量は各々0.1〜5.0重量部の範囲で使用される。
本発明における食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムは従来公知のインフレーション法、あるいはTダイ法などの溶融押出法により成形して得ることが出来る。また、このフィルムの厚さは7〜15μm程度のもが使用される。
【0015】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0016】
【表1】
【0017】
(試験内容)
1.抗菌性能試験(1)抗菌製品技術協議会が規定する抗菌製品の抗菌力評価試験法1(1998年度改訂版)のフィルム密着法に従う。
実施例に示す各配合に表1の配合物を添加した配合にて、Tダイ法により10μmのフィルムを製膜し、大腸菌に対する抗菌性試験を行った。各々の実施例の樹脂組成物について、抗菌剤を添加しない際の試験結果と比較した菌数の減少率(%)を示し、その結果を表2、3に示した。なお、この減少率が99.8%のものは抗菌性能が不十分とした。
2.抗菌力耐水性試験
抗菌製品技術協議会が規定する、抗菌製品の抗菌力持続性試験方法(1998年度版)耐水性試験に従う。
【0018】
試験片は、実施例に示す各配合に表1の配合物を添加した配合のものと、抗菌剤を添加しないものを、Tダイ法により10μmのフィルムを製膜し用いた。結果を表2、3、4に示した。
3.抗菌力耐光性試験
抗菌製品技術協議会が規定する、抗菌製品の抗菌力持続性試験方法(1998年度版)耐光性試験に従う。
【0019】
試験片は、実施例に示す各配合に表1の配合物を添加した配合のものと、抗菌剤を添加しないものを、Tダイ法により10μmのフィルムを製膜し用いた。結果を表2、3、4に示した。
4.プレートアウト試験
実施例に示す各配合に表1の配合物を添加した材料を、20リットルのヘンシェルミキサー中に投入して、攪拌・混合し、混合温度が115〜120℃まで上昇した時点で攪拌・混合を完了し、混合物を得た。
この混合物を、ロール温度150℃の6インチ二本ロールを用いて5分間混練し、ロール表面の汚れを目視観察し、1〜5の範囲の数値で評価し、その結果を表2、3、4に示した。なお、数値の小さいものほど効果的であり、3以上を不適とした。
5.抗菌剤の脱落状況
実施例に示す各配合に表1に示す配合物を添加した配合にて、Tダイ法により10μmのフィルムを製膜し、簡易巻替機にて200m/min以上の速度で10000mフィルムを巻替える。フィルムが接触するロール表面の汚れを目視観察し、1〜5の範囲の数値で評価しその結果を表2、3、4に示した。なお、数値の小さいものほど抗菌剤の付着が無く、3以上のロールが1本でもあった場合不適とした。簡易巻取機において、フィルムと接触するロールは3本である。
6.着色試験
実施例に示す各配合に表1に示す配合物を添加した配合物をロール温度150℃の6インチ二本ロールを用いて、樹脂組成物を2分間混練し、その後、165℃でプレスを行い厚さ0.3mmのシートを作成した。得られたシートの色調を色差計にて(ミノルタCM−3700D)測定し、その結果を表2、3、4に示した。なお、ΔEが3.0以上のものは実用上フィルムとしては不適とした。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【発明の効果】
上記の結果から明らかなように、本発明に寄れば、長期に亘り安定で、かつ一定した抗菌性能を得ることができるとともに、変色や着色を防止することができる良好な食品包装用塩化ビニル樹脂フィルムを提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は抗菌性能を有する食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムは、スーパーマーケット市場における精肉、鮮魚、青果などの食品包装材料に用いられる、食品包装フィルム、いわゆるラップフィルムとして多量に使用されている。また、飲食店や一般家庭においても調理材料、調理品などの食品の保存などに使用されている。昨今消費者の衛生意識の高まりや食中毒の発生防止対策として抗菌性能を付与した様々な製品が製造販売されており、食品包装用フィルムも同様である。これら抗菌性能を付与された食品包装用フィルムは、構成している塩化ビニル系樹脂組成物に抗菌剤を添加したものが一般的で、その抗菌剤は安全性および抗菌性能の面から、抗菌性分が銀イオンであり、担体として、ゼオライト、アパタイト、リン酸ジルコニウムなどの無機物質を使用したもの(以後銀系無機抗菌剤と記す)が広く使用されている。(特許文献1,2参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平6−287324号公報
【0004】
【特許文献2】
実開平1−175814号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
抗菌効果の安定化には抗菌剤を均一に分散させる必要があり、一般的に平均粒子径の小さいものが使用されていた。一方、抗菌効果を大きくするには、フィルム表面から露出している抗菌剤の数が多いこと、1個あたりの露出する部分を多くする必要がある。しかし、平均粒子径が小さく、かつ、露出している部分が多いと加工時に抗菌剤がフィルムから脱落してしまい、添加量にみあった抗菌効果が得られなかった。よって、十分な抗菌効果を得るため過剰に抗菌剤を添加する必要があり不経済であった。また、添加量が増すと、押出成形時、押出機内部やダイ内部に抗菌剤のプレートアウトが生じ易くなり樹脂配合物の滑性を低下させ、結果、加熱分解物が発生しやすくなり、この分解物が異物となってフィルムに混入し品質低下を引き起こす不都合を生じてしまう。また、脱落の量を一定に制御することは困難である為、抗菌性能にばらつきが生じてしまう。さらに脱落した抗菌剤は、成形機である巻取機のフィルムが接触する各ロールに付着するため定期的に掃除する必要があり作業効率が悪くなるという不都合が生じていた。
従来の銀系無機抗菌剤は、そのものが極めて安定で抗菌性能も長期間に亘って発揮できる反面、可塑剤、安定剤、界面活性剤などとともに塩化ビニル系樹脂組成物に添加されると、これらの添加剤や、添加剤に含まれる触媒残さとの反応により、金属成分が過度にイオン化され、その結果成形して得られたフィルムが着色したり、あるいは抗菌性能が十分に発揮されず安定した効果が得られないという問題があった。また、光により著しく変色し品質低下をもたらす欠点があった。このため、上記した従来の塩化ビニル系樹脂組成物を用いて得られる成形物、特にフィルムは、長期間に亘り安定的、かつ一定した抗菌性能を得ることが出来ず、また、変色や着色を防止することも困難であった。さらに、変色を防止するため、添加剤の種類、量の限定をする必要があった。また、抗菌性分として銀を使用しているため高価であった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、長期間に亘り安定で、かつ一定した優れた抗菌性能を得ることが出来ると共に、添加剤の種類が限定されずに、その変色や着色を防止することが出来るフィルムとして好適な食品包装用塩化ビニル系樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤20〜60重量部、および平均粒子径が0.5〜6.0μmである、ZnOを高濃度に含有するガラスからなる抗菌剤を0.03〜0.50重量部配合されたことを特徴とする食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂としては、重合度700〜1700、特には重合度700〜1300の塩化ビニル単独重合体が好ましい。この塩化ビニル単独重合体の他に、これと共重合可能なビニル系単量体との共重合体、塩化ビニル系重合体以外の重合体に塩化ビニルをグラフト共重合体などが挙げられ、これらの共重合体は共重合体中の塩化ビニル以外の構成単位の含有量が多くなると、機械的特性が低下するので塩化ビニルを60重量%以上含有するのが好ましい。
上記の塩化ビニルと共重合可能なビニル系単量体としては、分子中に反応性二重結合を有するものであればよく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのα−オレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリル酸またはメタアクリル酸のエステル類、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸フェニルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル類、塩化ビニル類、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド類などが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで用いられる。
上記塩化ビニル系重合体以外の重合体としては、塩化ビニルをグラフト出来るものであれば良く、例えば、エチレン、酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート・一酸化炭素共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで用いられる。これらの塩化ビニル系樹脂は1種単独または2種以上の組み合わせで使用される。また、上記塩化ビニル系樹脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などのいずれの重合方法で得られたものでもよい。
【0009】
本発明に用いられる可塑剤は、イ)炭素数が8以上のアルキル基を有するアジピン酸エステル系可塑剤、ロ)炭素数が10以下のアルキル基を有する脂肪族アルコール2種以上とアジピン酸との反応で得られる混合アジピン酸エステル系可塑剤、および ハ)エポキシ化植物油系可塑剤の3種類の中から少なくとも2種以上を適宜選択して使用されるが、中でもその組み合わせはイ)とロ)とハ)、イ)とハ)、ロ)とハ)のものが好ましい。
イ)の具体例としてはジオクチルアジペート(DOA:炭素数8のアルキル基を有するアルコール(n−オクチルおよび/または2−エチルヘキシルアルコール)のエステル)、ジイソノニルアジペート(DINA:同9のもの)、ジイソデシルアジペート(DIDA:同10のもの)などが挙げられ、これらの中ではジイソノニルアジペートが好ましい。
ロ)の可塑剤は、n−ヘキシルアルコール(C6)、n−へブチルアルコール(C7)、n−オクチルアルコール(C8)、n−ノニルアルコール(C9)、n−デシルアルコール(C10)の中から2種以上の脂肪族アルコールとアジピン酸との反応で得られるもので、その具体例としては、C6、8アジペート、C8、10アジペート、C7、9アジペート、C6、8、10アジペートなどが挙げられ、これらの中ではC6、8、10アジペートが好ましい。
ハ)の可塑剤の具体例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化サフラワー油などが挙げられ、これらの中ではエポキシ化大豆油が好ましい。これら、イ)、ロ)、ハ)の可塑剤は、上記した組み合わせで使用することが好ましく、その使用量は塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、総量で20〜60重量部の範囲内、好ましくは25〜50重量部である。この可塑剤の割合が20重量部未満では、加工性の低下とフィルムとしての物性低下が著しくなる。一方、60重量部を超えるとフィルムが軟らかくなり過ぎ、粘着性が増すため、使用上弊害が生じ、さらに耐熱性が低下するため、電子レンジにおける使用が困難になる。また、ハ)の可塑剤の使用量は、上記範囲内において10〜30重量%の割合で使用するのが好ましい。10重量%未満では、押出成形時の熱安定性が悪く、30重量%を超えると、フィルムの着色が強くなり、加えて、フィルムの臭気が強まり食品等へ移行する不具合を生じる。イ)、ロ)の可塑剤の使用量は、上記ハ)の可塑剤の使用量に対して適宜選択して使用すればよい。
【0010】
次に本発明に用いられる抗菌剤は、ZnOを高濃度に含有するガラスからなり、フィルムに抗菌性能を付与するための無機化合物である。
平均粒子径は0.5〜6.0μm、好ましくは1.0〜6.0μm、更に好ましくは1.5〜5.0μmである。平均粒子径が0.5μm未満であると、フィルム内部埋没している抗菌剤数が多くなるため十分な抗菌効果を得ることが難しい。また、フィルム巻取る工程は、非常に高速であり、フィルム表面へ露出している抗菌剤は、平均粒子径が小さい程脱落が著しくなる。よって、添加量に見合った抗菌効果を得ることが出来ず、また、脱落量は制御できないため抗菌効果の安定化が難しい。一方、6.0μmより大きいとフィルムから露出する部分が大きすぎ、逆に脱落が多くなり十分な抗菌効果を得ることが出来なくなる。また、抗菌剤が脱落した場合、脱落した部分のフィルム厚が極端に薄くなるため、ピンホールとなる可能性が非常に高い。
【0011】
また、添加量は0.03〜0.50重量部、好ましくは0.05〜0.50重量部、更に好ましくは0.05〜0.30重量部である。0.03重量部未満であると、十分な抗菌効果が得られず、0.50重量部を超えると、フィルム上に抗菌剤が析出し外観上の問題がある他、その析出した抗菌剤が成形時脱落する。十分な抗菌効果は得られるが、巻取機のロールに過剰な抗菌剤が付着するため定期的な掃除が必要になり、作業効率の低下につながる。また、これは過剰添加の結果であるため、不経済である。
銀系無機抗菌剤の変色性は改良されつつあるが、未だ解決には至っていない。添加剤や、添加剤中の触媒残さなどの微量成分により変色することがあり、また、それら微量成分の混入量が一定でない場合、添加剤の使用量を制限しても効果がないため、使用する添加剤の種類自体を限定してしまう。これに対し、本特許における抗菌剤は添加剤の種類の制限は受けることはない。よって、食品包装用フィルムとして様々な機能を付与するにあたり、適切な添加剤を選択できる。
ZnOのガラスに対する濃度は、ZnOを50〜80モル%、さらには55〜70モル%含有したものが好ましい。50モル%未満であると、目的とする抗菌効果を得るためにより多くの抗菌剤を添加する必要がある。これはコスト面において不経済である。また、これら抗菌剤は、押出成形時滑性効果を示す。適量であれば、押出成形時、スクリュー表面やバレル表面に対し滑性を高める効果があるため安定した成形性を得ることが可能であるが、添加量が増えると、この滑性効果が過剰になり混練が不安定、かつ不十分になり、成形不能となり好ましくなくなる。一方、ZnOの含有量が80モル%を超すとガラスとして安定しなくなる。
【0012】
本発明において使用される添加剤としては、上記した成分に加え、必要に応じて安定剤、防曇剤、滑剤などを適宜選択して配合することが出来る。
安定剤としてはCa−Zn系安定剤が好ましい。Ca脂肪酸塩およびZn脂肪酸塩を主成分としており、この脂肪酸塩としてはラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルチミン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、2−エチルへキシル酸塩、イソデカン酸塩、ネオデカン酸塩等が挙げられ、Ca塩では、これらの塩の他にCa安息香酸塩が挙げられる。本発明においては、上記Ca脂肪酸塩とZn脂肪酸塩とから各々少なくとも2種以上を選択、組み合わせて用いる。また、Ca脂肪酸塩とZn脂肪酸塩の比率は、Ca脂肪酸塩40〜70%、Zn脂肪酸塩60〜30%の重量比率で構成することが好ましい。なお、上記安定剤に対して、酸化防止剤を兼ねたものとして、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、2、2‘−メチレンビス(4−メチル−6tert−ブチルフェノール)、ジプロピレングリコール、合成イソパラフィン石油炭化水素、トリデシルアルコール、デヒドロ酢酸、ハイドロタルサイト化合物などを併用してもよい。これらの添加量はそれぞれポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し1.0重量部以下が好ましい。
【0013】
防曇剤としては、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
このモノグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が12〜18の飽和または不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステルが好ましい。具体的には、モノグリセリンラウレート、モノグリセリンミリステート、モノグリセリンパルミテート、モノグリセリンステアレート、モノグリセリンオレート、モノグリセリンリノレートなどが挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が12〜18の飽和または不飽和脂肪酸のポリグリセリンエステルが好ましい。具体的には、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンミリステート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンリノレートなどが挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が12〜18の飽和または不飽和脂肪酸のソルビタンエステルが好ましい。具体的にはソルビタンラウレート、ソルビタンミリステート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレート、ソルビタンリノレートなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、炭素数12〜18の飽和アルコールのポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、より好ましくは、エチレンオキサイドの付加モル数が3〜7であるポリオキシエチレンアルキルエーテルである。具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどが挙げられる。上記の中では、特にモノグリセリンラウレート、モノグリセリンオレート、モノグリセリンリノレート、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンリノレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレート、ソルビタンリノレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが好ましく、これらは、1種または2種以上の組み合わせで使用すればよい。
【0014】
滑剤としては、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの高級脂肪酸、ポリエチレン、合成パラフィンペンタエリスリトールのアジピン酸・高級脂肪酸の混合エステルなどが使用できる。これらの添加量は各々0.1〜5.0重量部の範囲で使用される。
本発明における食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルムは従来公知のインフレーション法、あるいはTダイ法などの溶融押出法により成形して得ることが出来る。また、このフィルムの厚さは7〜15μm程度のもが使用される。
【0015】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0016】
【表1】
【0017】
(試験内容)
1.抗菌性能試験(1)抗菌製品技術協議会が規定する抗菌製品の抗菌力評価試験法1(1998年度改訂版)のフィルム密着法に従う。
実施例に示す各配合に表1の配合物を添加した配合にて、Tダイ法により10μmのフィルムを製膜し、大腸菌に対する抗菌性試験を行った。各々の実施例の樹脂組成物について、抗菌剤を添加しない際の試験結果と比較した菌数の減少率(%)を示し、その結果を表2、3に示した。なお、この減少率が99.8%のものは抗菌性能が不十分とした。
2.抗菌力耐水性試験
抗菌製品技術協議会が規定する、抗菌製品の抗菌力持続性試験方法(1998年度版)耐水性試験に従う。
【0018】
試験片は、実施例に示す各配合に表1の配合物を添加した配合のものと、抗菌剤を添加しないものを、Tダイ法により10μmのフィルムを製膜し用いた。結果を表2、3、4に示した。
3.抗菌力耐光性試験
抗菌製品技術協議会が規定する、抗菌製品の抗菌力持続性試験方法(1998年度版)耐光性試験に従う。
【0019】
試験片は、実施例に示す各配合に表1の配合物を添加した配合のものと、抗菌剤を添加しないものを、Tダイ法により10μmのフィルムを製膜し用いた。結果を表2、3、4に示した。
4.プレートアウト試験
実施例に示す各配合に表1の配合物を添加した材料を、20リットルのヘンシェルミキサー中に投入して、攪拌・混合し、混合温度が115〜120℃まで上昇した時点で攪拌・混合を完了し、混合物を得た。
この混合物を、ロール温度150℃の6インチ二本ロールを用いて5分間混練し、ロール表面の汚れを目視観察し、1〜5の範囲の数値で評価し、その結果を表2、3、4に示した。なお、数値の小さいものほど効果的であり、3以上を不適とした。
5.抗菌剤の脱落状況
実施例に示す各配合に表1に示す配合物を添加した配合にて、Tダイ法により10μmのフィルムを製膜し、簡易巻替機にて200m/min以上の速度で10000mフィルムを巻替える。フィルムが接触するロール表面の汚れを目視観察し、1〜5の範囲の数値で評価しその結果を表2、3、4に示した。なお、数値の小さいものほど抗菌剤の付着が無く、3以上のロールが1本でもあった場合不適とした。簡易巻取機において、フィルムと接触するロールは3本である。
6.着色試験
実施例に示す各配合に表1に示す配合物を添加した配合物をロール温度150℃の6インチ二本ロールを用いて、樹脂組成物を2分間混練し、その後、165℃でプレスを行い厚さ0.3mmのシートを作成した。得られたシートの色調を色差計にて(ミノルタCM−3700D)測定し、その結果を表2、3、4に示した。なお、ΔEが3.0以上のものは実用上フィルムとしては不適とした。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【発明の効果】
上記の結果から明らかなように、本発明に寄れば、長期に亘り安定で、かつ一定した抗菌性能を得ることができるとともに、変色や着色を防止することができる良好な食品包装用塩化ビニル樹脂フィルムを提供できる。
Claims (1)
- 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤20〜60重量部、および平均粒子径が0.5〜6.0μmである、ZnOを高濃度に含有するガラスからなる抗菌剤を0.03〜0.50重量部配合されたことを特徴とする食品包装用塩化ビニル系樹脂フィルム。
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