JP2002087842A - 抗菌剤及び抗菌性人工大理石 - Google Patents

抗菌剤及び抗菌性人工大理石

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JP2002087842A
JP2002087842A JP2000245049A JP2000245049A JP2002087842A JP 2002087842 A JP2002087842 A JP 2002087842A JP 2000245049 A JP2000245049 A JP 2000245049A JP 2000245049 A JP2000245049 A JP 2000245049A JP 2002087842 A JP2002087842 A JP 2002087842A
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antibacterial
glass
resin
mol
artificial marble
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Noriyuki Yamamoto
則幸 山本
Koji Sugiura
晃治 杉浦
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2204/00Glasses, glazes or enamels with special properties
    • C03C2204/02Antibacterial glass, glaze or enamel

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  • Glass Compositions (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂に配合して優れた抗菌性を発揮すると共
に、耐変色性、耐水性、外観にも優れたガラスからなる
抗菌剤を提供するとともに、抗菌性能に優れ、成形時、
使用時における変色のない抗菌性人工大理石を提供する
ことを課題とするものである。 【解決手段】 構成成分の合計量を基準として、ZnO
を50〜70モル%、P 25を20〜35モル%、Al
23を0.5〜10モル%、SnO2を0.5〜10モ
ル%、SiO2を0〜5モル%、アルカリ金属酸化物を
5〜10モル%を含有するガラスからなる抗菌剤、及び
該ガラス系抗菌剤を配合した(メタ)アクリル樹脂組成
物又は不飽和ポリエステル樹脂組成物からなる人工大理
石である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化亜鉛を高濃度で
含有する特定組成のガラス系無機抗菌剤、並びに該ガラ
ス系無機抗菌剤と樹脂とからなる抗菌性樹脂組成物、及
び該ガラス系無機抗菌剤によって抗菌性を付与された
(メタ)アクリル樹脂組成物又は不飽和ポリエステル樹
脂樹脂を用いた抗菌性人工大理石に関する。無機抗菌剤
は、樹脂、合成繊維、人工大理石等の成形時に練り込
み、あるいはコーテング材料中に分散させて上記成形製
品や木工製品、紙製品、セラミック製品、セラミック製
品等に塗布する事によって、それら製品の表面に付着し
た細菌を死滅させたりその増殖を抑制するため、さらに
は防黴性、防藻性をも付与する目的で使用されている。
本発明のガラス系無機抗菌剤は、これら抗菌、防黴、防
藻製品、特にキッチンカウンター、洗面台、トイレ用
品、バス用品等の建材用品に使用される抗菌性人工大理
石の製造ために有用なものである。
【0002】
【従来の技術】従来から無機系の抗菌剤として、銀、亜
鉛、銅等の抗菌性金属をアパタイト、ゼオライト、ガラ
ス、リン酸ジルコニウム、シリカゲル等に担持させたも
のが知られている。これらは有機系の抗菌剤と比較して
安全性が高いうえ、溶出し難く、揮発及び分解しないた
め抗菌効果の持続性が長く、しかも耐熱性にすぐれる特
長を有している。そのため、これらの無機抗菌剤は各種
高分子化合物に混合することにより、繊維、フィルム又
は各種成形体などの抗菌性樹脂製品の製造に広い用途で
用いられている。
【0003】中でも、ガラス中に銀、銅又は亜鉛等の抗
菌性金属を含有させたガラス系抗菌剤は、粒度の調節が
容易であり、ガラス成分の組成を種々変更させることに
よって屈折率及び抗菌性金属の溶出速度等を目的に応じ
て容易に制御することができるという特性を有してい
る。
【0004】これまでに、銀を含有するガラス系抗菌剤
として特公平4−74453号公報、銀又は銅を含有す
るガラス系抗菌剤として特開平2−307968号公報
及び亜鉛を含有するガラス系抗菌剤として特開平7−2
57938号公報において、各発明が提案されている。
しかし、従来の銀含有ガラス系抗菌剤は、抗菌効果が高
い利点を有する反面、樹脂に練り込み加工する際の熱や
成形後の紫外線暴露等の影響で、樹脂加工製品が変色し
たり、樹脂自体が変質する等の劣化が起こりやすいとい
う問題があった。
【0005】また、銅含有ガラス系抗菌剤は、青く着色
しており、これを練り込み加工した樹脂成形品をも青変
させてしまうため、白色・淡色製品への使用が困難であ
り、その他の色彩の製品の色合わせにも支障をきたす
等、使用範囲が限定される問題があった。さらにまた、
銅または亜鉛を含有するガラス系抗菌剤は、銀を含有す
るガラスと比較して抗菌性が低いため、樹脂組成物にお
いて抗菌効果を十分発揮させようとすると、樹脂への添
加量を多くせざるを得ず、本来の樹脂物性を低下させて
しまう問題があった。
【0006】これらの問題を解決するために、P25
40〜55モル%、ZnOを35〜45モル%、Al2
3を5〜15モル%、B23を1〜10モル%含むガ
ラス100重量部に対して、Ag2Oを0.01〜1.0
重量%含有する抗菌剤が提案されている(特開平8−1
75843号公報)。しかし、この抗菌剤の抗菌性能を
高めるために加えられているAg2Oは、銀イオンに起
因する変色を抑制するために添加量が制限されている点
で、この抗菌剤の抗菌性は今一歩である。また、ここで
用いたガラスは、抗菌性金属(Zn)の溶出速度が大き
く、初期の抗菌性は高いものの、抗菌効果の持続性が十
分ではない。
【0007】また、特開平11−29343号には、Z
nO−B23−SiO2系(ZnO25〜80モル%、
23 5〜50モル%、SiO2 1〜70モル%で
あり、実施例1〜9におけるこれら3成分の合計は7
2.5〜100モル%である。)の組成からなり、Na
2Oの含有量が4モル%以下である抗菌性ガラス粉末が
提案されている。Na2O含有量を4モル%以下にする
ことにより、ガラス粉末を混合した樹脂製品の外観、す
なわちざらつき感や経時変化による光沢の低下を改善し
ようとするものである。しかし、この抗菌剤の組成は、
結合力の小さいガラス網目修飾成分であるアルカリ金属
イオンは極少量しか含んでいないため、ガラスの溶解性
が低く、抗菌性が十分ではない。
【0008】本発明のような亜鉛分を高濃度に含む抗菌
ガラスについては、特開平11−60268号公報、特
開平11−29343号号公報においても提案されてお
り、これらの抗菌ガラスは高濃度の酸化亜鉛とB23
含むものであるが、この抗菌ガラスを配合した樹脂組成
物は耐水性が悪く、水中に浸漬したり、湿度の多い場所
での抗菌力の低下が低いため用途が極めて限定されると
いう欠点がある。また、不飽和ポリエステル樹脂に配合
した場合には、粘度低下があり作業性が低下する問題が
ある。また特開平11−100227号公報、特開平1
1−100228号公報には高濃度の酸化亜鉛とP25
及びB23などを含む抗菌ガラスが提案されているが、
同じくこの抗菌剤の配合された樹脂組成物は耐水性が劣
る欠点がある。
【0009】人工大理石は、耐熱性、耐水性、耐摩耗性
や美観が優れた建材として、キッチンカウンター、洗面
台、トイレ用品、バス用品等に広く用いられている。こ
れらの製品は、ほとんどが細菌や黴が繁殖しやすい水周
りの環境で使用される。従って、人工大理石への細菌や
黴の増殖を抑える機能の付与を期待する声は大きい。特
に不特定多数の人たちが使用する病院、学校、公共施設
等では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の
院内感染、大腸菌O−157による集団食中毒等の問題
もあいまって、人工大理石の抗菌化が強く望まれてい
る。
【0010】これらの社会的要求に応えるため、抗菌剤
を人工大理石中に添加したり、その表面層に塗布する試
みがなされている。一般に抗菌剤は有機系抗菌剤と無機
系抗菌剤に大別できるが、前者は抗菌効果の持続性や安
全性に疑問がある。一方、無機系抗菌剤はこれらの点で
優れている。そこで、特開平7−266522号公報で
は、ゲルコート層に銀置換ゼオライト、銀イオン含有抗
菌ガラスを配合し、人工大理石の表面に塗布した抗菌性
人工大理石が提案されており、特開平8−73251号
公報にはチオサルファイト銀錯イオンの錯塩をシリカゲ
ルに担持させて得られる抗菌剤を添加した熱硬化性樹脂
塗膜を付着させた抗菌性人工大理石が提案されている。
しかし、これら銀を含有する抗菌剤を樹脂に配合した製
品は、銀イオンが原因となって、加工時に変色したり、
長期間の保存あるいは使用に際して経時的に変色が起こ
るという欠点を持っている。
【0011】人工大理石は、その用途から水、熱水、各
種食材、各種洗浄剤、熱等にさらされる機会が多いた
め、銀を含有した無機抗菌剤を配合した人工大理石は特
に変色が起こりやすい。この問題を緩和させるため、銀
イオンを、結合力が強い特定担体を選んで結合させるこ
とによって銀を安定化させ、抗菌剤の変色を防止する方
法があるが、銀を有している以上、変色を完全に抑制す
ることが出来ない。さらに、銀系抗菌剤そのものをマイ
クロカプセル化する方法も提案されているが、この方法
では抗菌効果が低下するという問題がある。
【0012】一方、銀を含まない抗菌剤を用いた人工大
理石として、特開平7−266522号公報には亜鉛置
換ゼオライトを配合したゲルコート層を表面に設ける提
案があり、特開平9−71727号公報には酸化亜鉛を
を含む人工大理石が提案されている。更に銀を含まず、
亜鉛を含有する抗菌性ガラスが特開平7−257938
号公報に提案されている。しかし、この抗菌剤を添加し
た人工大理石は抗菌効果が低いばかりか、その持続性が
十分でない。さらに、これを添加した人工大理石は温水
により白化するという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安定した抗
菌性能を有し、かつ製造時や、保存時の変色が少なく、
抗菌性樹脂組成物を提供すること、特にキッチンカウン
ター、洗面台、トイレ用品、バス用品等に使用される際
にも経時的な変色を引き起こすことが極めて少ない抗菌
性人工大理石を提供すること、及びこれら樹脂製品に抗
菌性を付与するため有用なガラス系抗菌剤を提供するこ
とを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、ZnOを極めて
高濃度で含有するとともに、P25、Al23、Sn
2、Si02およびアルカリ金属酸化物を特定濃度含有
するリン酸塩系ガラスは、抗菌性が高く、耐変色性、耐
水性に優れ、上記の課題をことごとく解消する優れたも
のであることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本
発明は、ZnOを50〜70モル%、P25を20〜3
5モル%、Al 23を0.5〜10モル%、SnO2
0.5〜10モル%、SiO2を0〜5モル%およびア
ルカリ金属酸化物を5〜10モル%含有するガラス系抗
菌剤(以下、この抗菌剤を抗菌ガラスという)に関する
ものである。また本発明は、上記抗菌ガラスと樹脂とか
らなる抗菌性樹脂組成物に関するものであり、さらに上
記抗菌ガラスの配合された(メタ)アクリル樹脂組成物
又は不飽和ポリエステル樹脂組成物とからなる抗菌性人
工大理石であり、また上記抗菌ガラスと(メタ)アクリ
ル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂とからなる抗菌性ゲ
ルコート層が表面に設けられた抗菌性人工大理石に関す
るものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 ○抗菌ガラス 本発明の抗菌ガラスは、ZnOを50〜70モル%、P
25を20〜35モル%、Al23を0.5〜10モル
%、SnO2を0.5〜10モル%、SiO2を0〜5モ
ル%およびアルカリ金属酸化物を5〜10モル%含有す
るガラスである。一般にガラスに含まれる酸化物成分
は、ガラスの骨組となる網目を形成する成分とそのすき
まに位置する網目修飾成分及びそれら両者の中間的成分
とに分けられることが知られている。上記各成分の内、
25、Al23、SnO2、SiO2はガラス中におい
て、ガラス網目形成成分として主としてガラス網目を形
成する働きを行い、中間成分であるZnOは主として抗
菌力の発現に寄与し、アルカリ金属酸化物は修飾成分と
して主としてガラスの溶融や成形を容易にし、水溶性の
調整などに寄与すると考えられる。好ましいZnOの含
有割合は、53〜65モル%であり、より好ましくは、
55〜60モル%である。ZnOを70モル%を超えて
多く配合すると、安定した網目構造のガラスが得られに
くいという欠点があり、50モル%未満では本発明のガ
ラスの持つ抗菌性が不十分となる。
【0016】P25の好ましい含有割合は、25〜30
モル%である。P25を35モル%を超えて配合する
と、本発明の抗菌ガラスの水溶性が大きくなってしま
い、耐水性が損なわれるという問題があり、逆に20モ
ル%未満では安定したガラスが得られにくいという問題
がある。
【0017】Al23及びSnO2の好ましい含有割合
は、2〜7モル%であり、いずれも10モル%を超えて
含有すると、ガラスの溶解性が低下し抗菌性が低下する
という問題があり、0.5モル%未満では、安定した網
目構造をもつガラスが得られにくい、またこの抗菌ガラ
スを配合した樹脂成形品の表面が荒れ、外観を害すると
いう問題がある。
【0018】アルカリ金属酸化物の好ましい例としてL
2O、Na2O、K2O等があるが、Na2Oが特に好ま
しい。アルカリ金属酸化物の好ましい含有割合は、6〜
8モル%である。アルカリ金属酸化物を10モル%を超
えて配合すると、溶解性が大きくなり過ぎ、耐水性が損
なわれてしまう。5モル%未満では、逆に溶解性が小さ
くなり過ぎ、十分な抗菌性が発揮されない。
【0019】本発明の抗菌ガラスにおけるガラス網目形
成成分として、P25、Al23、及びSnO2が必須で
あるが、所望によりその他のガラス網目形成成分を追加
することができる。その他のガラス網目形成成分の好ま
しい例として、SiO2、ZrO2、TiO2等がある
が、特にSiO2が好ましい。その他のガラス網目形成
成分の好ましい含有割合は、5モル%以下である。
【0020】又、所望により、MgO、CaO及びCa
2等を適宜含有させることができる。これらの所謂
「修飾成分」は、ガラスの溶融や成形性を容易にするの
に有効であるが、多量に含有させると、ガラスの耐水性
が低下する恐れがあるので、多くとも3モル%以下とす
るのが好ましく、より好ましくは1モル%以下である。
【0021】本発明の抗菌剤を樹脂に配合する際、通常
粉末状とし、一般的には平均粒径で20μm以下のもの
が樹脂への分散加工上好ましく、繊維製品や塗料、フィ
ルム等に加工する場合には、物性低下を生じさせないた
めに平均粒径5μm以下、最大粒径20μm以下のもの
が好ましい。
【0022】本発明の抗菌剤を製造する方法に制限はな
く、既知の製造方法を採用できる。一般には、ガラスの
原料調合物を溶融釜で1000〜2000℃で溶融した
後、溶融物を急冷してガラスを調製し、得られた塊状ガ
ラスを粉砕することにより粉末状のガラスを容易に得る
ことができる。
【0023】本発明の抗菌ガラスは、格段に優れた抗菌
性を発揮させるように、従来のガラス抗菌剤に比較して
酸化亜鉛(融点:約2000℃)を多量に含んでいるため、
ガラス網目骨格を形成し難い性質を持つが、適当な溶融
温度を選択し、溶融物の冷却特性に合った急冷手段を用
いることによって、本発明の組成を有する抗菌ガラスを
得ることができる。
【0024】本発明の抗菌ガラスの製造において、急冷
効果を高めるには、溶解物と冷却体との接触面積を大き
くすることが有効であり、例えば水等の冷媒で冷却され
た2個の回転する金属ローラー間にガラスの溶融物を高
速で通すことにより、極めて大きな冷却効果が得られ、
この冷却方法を用いれば、ガラス化は極めて容易であ
る。又、この方法により冷却すると、ローラー間から出
たガラスは薄い板状に成形されているので、粉末状に粉
砕することも極めて容易に行うことができる。
【0025】本発明の抗菌ガラスを樹脂や繊維に練り込
んだ場合、抗菌性能は樹脂成形や繊維の表面に存在する
抗菌ガラスにより発現するが、摩擦、洗浄、洗濯等によ
り抗菌ガラスが表面から脱落することがある。脱落が著
しい場合には抗菌効果が低下し、極めて短期間に効果が
消失してしまう例もある。本発明の抗菌ガラスを樹脂等
に練り込み加工する場合に、密着性や接着性を向上さ
せ、脱落を防止するために、シランカップリング剤等に
より抗菌ガラス自体の表面処理をすることが好ましい。
【0026】本発明の抗菌ガラスの密着性や接着性等を
向上させるために用いられる表面処理剤は、用途や樹脂
の種類、加工方法等により適宜最適なものを選択すれば
よく、従来より無機粉体の表面処理用のカップリング剤
として使用されているものはいずれも使用可能であり、
特に制限はない。表面処理剤の具体例としてビニルトリ
エトキシシランやビニルトリメトキシシランなどのビニ
ルシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシ
シランやγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
などの(メタ)アクリロキシシランあるいはグリシドキ
シラン、テトラエトキシシラン、シリコーンオイル、テ
トライソプロポキシチタン、アルミニウムエチラート等
が挙げられる。表面処理の方法は、特に制限はなく、従
来より無機系紛体の表面処理法として知られているいか
なる方法、例えば、乾式法、湿式法、スプレー法、ガス
化法等が使用できる。
【0027】本発明の抗菌ガラスは、それ自身単独で用
いることができるが、銀系無機抗菌剤を併用すると、そ
の抗菌性を一層高めることができる。これは本発明の抗
菌ガラス中の亜鉛イオンと銀系無機抗菌剤中の銀イオン
という2種の異なる抗菌性イオンによる相乗効果による
ものである。
【0028】本発明の抗菌ガラスと併用する銀系無機抗
菌剤は、銀を担持させた無機化合物であれば特に制限は
なく、銀を担持させる無機化合物としては、例えば以下
のものがある。即ち、活性アルミナ、シリカゲル等の無
機系吸着剤、ゼオライト、リン酸カルシウム、リン酸ジ
ルコニウム、リン酸チタン、チタン酸カリウム、含水酸
化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、ハイドロタルサイ
ト等の無機イオン交換体がある。
【0029】これらの無機化合物の中で、無機イオン交
換体は銀イオンを強固に担持できることから好ましく、
特に無機イオン交換体としてリン酸ジルコニウム塩を用
いた下記一般式〔1〕の銀系無機抗菌剤は、抗菌効果が
長期的に安定している点で好ましいものである。 AgabZr2(PO4)3・nH2O [1] (Aはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、
アンモニウムイオンまたは水素イオンから選ばれる少な
くとも1種のイオンであり、nは0≦n≦6を満たす数
である。a 及びbはいずれも正数であり、a+mb=
1である。但し、mはAの価数である。)
【0030】○樹脂 本発明の抗菌ガラスを各種樹脂に配合することにより、
人工大理石以外の抗菌性樹脂製品も容易に得ることがで
きる。用いることができる樹脂の種類に制限はなく、天
然樹脂、合成樹脂、半合成樹脂のいずれであってもよ
く、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよ
い。具体的な樹脂としては成形用樹脂、繊維用樹脂、ゴ
ム状樹脂のいずれであってもよく、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ABS樹脂、AS樹
脂、ナイロン樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリスチレン、ポリアセタ−ル、ポリカ−ボネイ
ト、PBT、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン
エラストマ−、ポリエステルエラストマ−、メラミン、
ユリア樹脂、四フッ化エチレン樹脂、不飽和ポリエステ
ル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、レ−ヨン、ア
セテ−ト、アクリル、ポリビニルアルコ−ル、キュプ
ラ、トリアセテ−ト、ビニリデン等の繊維用樹脂、天然
ゴム、シリコ−ンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチ
レンプロピレンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、クロ
ルスルホン化ポリエチレンゴム、ブタジエンゴム、合成
天然ゴム、ブチルゴム、ウレタンゴムおよびアクリルゴ
ム等のゴム状樹脂がある。
【0031】本発明の抗菌ガラスの、抗菌性樹脂組成物
中における配合割合は、抗菌性樹脂組成物100質量部
当たり0.01〜10質量部であり、より好ましくは0.
1〜5部質量部である。0.01部より少ないと抗菌性
樹脂製品の抗菌性が不充分となり、一方10部を超えて
多く配合すると最終樹脂製品の成形性や強度(曲げ、引
っ張り強度等)が低下し、しかも抗菌効果の向上がほと
んどない。また、抗菌性樹脂製品中の抗菌ガラスの分散
性を向上するために、最終抗菌性樹脂製品中の抗菌ガラ
ス濃度よりも高濃度の抗菌ガラスを含むマスターバッチ
という中間製品を作製し、これに抗菌ガラスを含まない
ストレート樹脂を加えた後成形することが好ましい。こ
の場合のマスターバッチ中の抗菌ガラスの好ましい割合
は、抗菌性樹脂組成物(マスターバッチ)100部当た
り10〜200部、より好ましくは10〜40部であ
る。
【0032】本発明の抗菌ガラスを樹脂に配合する際、
樹脂への練り込み加工性やその他の物性を改善するため
に、必要に応じて種々の他の添加剤を混合することもで
きる。具体例としては顔料、染料、酸化防止剤、耐光安
定剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、耐衝撃強化剤、ガ
ラス繊維、金属石鹸、防湿剤及び増量剤、カップリング
剤、流動性改良剤、消臭剤、木粉、防汚剤、防錆剤など
がある。また、有機系抗菌・防カビ剤をさらに併用する
ことにより、効果の速効性、防かび効果向上をはかるこ
ともできる。
【0033】本発明の抗菌ガラスに併用する有機系抗菌
防カビ化合物の好ましい例として、第4アンモニウム塩
系化合物、脂肪酸エステル系化合物、ビグアナイド類化
合物、ブロノポ−ル、フェノ−ル系化合物、アニリド系
化合物、ヨウ素系化合物、イミダゾ−ル系化合物、チア
ゾ−ル系化合物、イソチアゾロン系化合物、トリアジン
系化合物、ニトリル系化合物、フッ素系化合物、キトサ
ン、トロポロン系化合物及び有機金属系化合物(ジンク
ピリチオン、OBPA)等がある。
【0034】抗菌ガラスを樹脂(粉末状、ペレット状樹
脂が好ましく使用できる)へ配合する方法は公知の方法
が採用できる。例えば、抗菌ガラスの粉末を、添着剤
や分散剤を使用し、樹脂とミキサーで直接混合する方
法、前記のようにして混合して、さらに押し出し成形
機にてペレット状に成形した後、その成形物をペレット
状樹脂に配合する方法、抗菌ガラスをワックスを用い
て高濃度でペレット状に成形後、その成形物を樹脂に配
合する方法、抗菌ガラスをポリオ−ル等の高粘度の液
状物に分散混合したペ−スト状組成物を樹脂に配合する
方法等がある。
【0035】上記の抗菌性樹脂組成物の成形には、各種
樹脂の特性に合わせてあらゆる公知の加工技術と機械が
使用可能であり、適当な温度又は圧力で加熱及び加圧又
は減圧しながら混合、混入又は混練りの方法によって容
易に調製することができ、それらの具体的操作は常法に
より行えば良く、塊状、スポンジ状、フィルム状、シー
ト状、糸状またはパイプ状或いはこれらの複合体等、種
々の形態に成形することができる。
【0036】この様にして得られた抗菌性樹脂製品は、
その配合成分である抗菌ガラスが優れた抗菌性と耐変色
性を有しているため、抗菌ガラスと樹脂との混合時、及
びその後の抗菌性樹脂製品の保存時又は使用時に劣化す
ることがない。
【0037】本発明の抗菌ガラスの使用形態には特に制
限はなく、用途に応じて適宜他の成分と混合したり、他
の材料と複合させることができる。例えば、粉末状、粉
末分散液状、粒状、塗料状、繊維状、紙状、フィルム
状、エアゾ−ル状等の種々の形態で用いることができ
る。
【0038】○用途 本発明の抗菌ガラスを配合した抗菌性樹脂製品は、防か
び、防藻及び抗菌性を必要とされる種々の分野で利用す
ることが出来る。具体的用途としては、例えば、食器洗
浄機、食器乾燥機、冷蔵庫、洗濯機、ポット、テレビ、
パソコン、CDラジカセ、カメラ、ビデオカメラ、浄水
器、炊飯器、野菜カッタ−、レジスタ−、布団乾燥器、
FAX、換気扇、エアコンデョナ−等の電化製品、食
器、まな板、押し切り、トレ−、箸、旧茶器、魔法瓶、
包丁、おたまの柄、フライ返し、弁当箱、しゃもじ、ボ
−ル、水切り篭、三角コ−ナ−、タワシいれ、ゴミ篭、
水切り袋等の台所用品、シャワ−カ−テン、布団綿、エ
アコンフィルタ−、パンスト、靴下、おしぼり、シ−
ツ、布団側地、枕、手袋、エプロン、カ−テン、オム
ツ、包帯、マスク、スポ−ツウェア等の繊維製品、化粧
板、壁紙、床板、窓用フィルム、取っ手、カ−ペット、
マット、人工大理石、手摺、目地、タイル、ワックス等
の住宅・建材製品、便座、浴槽、タイル、おまる、汚物
いれ、トイレブラシ、風呂蓋、軽石、石鹸容器、風呂椅
子、衣類篭、シャワ−、洗面台等のトイレタリー製品、
薬包紙、薬箱、スケッチブック、カルテ、折り紙等の紙
製品、人形、ぬいぐるみ、紙粘土、ブロック、パズル等
の玩具、靴、鞄、ベルト、時計バンド、内装、椅子、グ
ロ−ブ、吊革等の皮革製品、ボ−ルペン、シャ−プペ
ン、鉛筆、消しゴム、クレヨン、用紙、手帳、フロッピ
−(登録商標)ディスク、定規、ポストイット、ホッチ
キス等の文具、その他にもインソ−ル、化粧容器、タワ
シ、化粧用パフ、補聴器、楽器、タバコフィルタ−、掃
除用粘着紙シ−ト、吊革握り、スポンジ、キッチンタオ
ル、カ−ド、マイク、理容用品、自販機、カミソリ、電
話機、体温計、聴診器、スリッパ、衣装ケ−ス、歯ブラ
シ、砂場の砂、食品包装フィルム、スプレ−等の製品が
ある。
【0039】○人工大理石の樹脂成分 本発明の抗菌ガラスの用途して特に有用な分野は人工大
理石である。本発明の抗菌性人工大理石は、人工大理石
用樹脂組成物全体に抗菌剤を含有これを硬化させること
によって製造したもの(以下、この製造方法をバルク
法)と、人工大理石の表面を構成するゲルコート用組成
物のみに抗菌剤を含有させ、基材の表面上にゲルコート
層として形成させることによって製造したもの(以下、
この製造方法をゲルコート法という)がある。いずれの
場合にも、本発明の抗菌ガラスは人工大理石を製造する
ために適した特定の樹脂成分に混合されて使用される。
【0040】本発明の人工大理石を構成する樹脂成分
は、人工大理石基材又はゲルコート層を構成するマトリ
ックス樹脂であり、(メタ)アクリル樹脂又は不飽和ポ
リエステル樹脂が使用できる。なお、本発明において
「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び又はメタク
リル」を意味する。(メタ)アクリル樹脂とは、各種
(メタ)アクリル系単量体を重合させて得られる樹脂で
ある。具体的な(メタ)アクリル系単量体としては、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート
等の(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)
アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどが挙
げられる。(メタ)アクリル系単量体とともに必要に応
じて、共重合用ビニル単量体を用いても良い。この共重
合用ビニル単量体としては、スチレン、α―メチルスチ
レン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、酢酸ビニル
等が挙げられる。共重合用ビニル単量体の使用量は、使
用する単量体100重量部当たり10量部以下が好まし
い。
【0041】更に、(メタ)アクリル樹脂を架橋させる
ための架橋剤として、エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の分
子中に複数の重合性二重結合を有する架橋性ビニル単量
体を併用することが好ましい。この架橋性ビニル単量体
の使用量は、通常0.05〜20重量部である。さらに
本発明の(メタ)アクリル樹脂としては、上記の(メ
タ)アクリル単量体とその重合体の混合物(シラップと
いう)を用いることが、水酸化アルミニウムなどの充填
物の沈降を防ぐためや樹脂成分の硬化時間短縮のため好
ましい。
【0042】本発明において使用される不飽和ポリエス
テル樹脂は、不飽和多塩基酸又はその酸無水物(必要に
応じて飽和多塩基酸又はその酸無水物も併用する)と多
価アルコール類との重縮合によって得られる。特に、
α、β―不飽和二塩基酸又はその酸無水物と、芳香族飽
和二塩基酸又はその酸無水物と、グリコール類との重縮
合によって得られた不飽和ポリエステルが好ましい。
【0043】不飽和ポリエステルを合成するためのα、
β―不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、マレイ
ン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラ
コン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等が挙
げられ、グリコール類としては、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、1、3―ブタンジオール、1、4―
ブタンジオール、2−メチルプロパンー1、3―ジオー
ル、ネオペンチルグルコール、トリエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコール、1、5−ペンタンジオ
ール、1、6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、
水素化ビスフェノールA等が挙げられる。
【0044】必要に応じて併用する飽和二塩基酸又はそ
の酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸テトラヒドロ無水フタル酸等の芳
香族酸又はその無水酸、シュウ酸、マロン酸、コハク
酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などの脂肪
族酸又はその無水物等が挙げられる。また不飽和ポリエ
ステルを架橋するための不飽和単量体として、スチレ
ン、ビニルトルエン、α―メチルスチレン、クロルスチ
レン、ビニルナフタレン、メチルビニルケトン、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等
が挙げられる。
【0045】必要に応じ、上記(メタ)アクリル樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂には、硬化(重合)触媒、硬化
(重合)促進剤、充填材、顔料、染料、難燃剤、離型
剤、増粘剤等を添加することが好ましい。硬化触媒とし
ては、ターシャリーブチルパーオキシマレイン酸、過酸
化ベンゾイル、メチルエトルケトンパーオキサイド、ク
メンヒドロペルオキシド、ターシャリーブチルヒドロキ
シパーオキシド、ジクミルパーオキシド等が挙げられ
る。また硬化促進剤として、ナフテン酸コバルト等が挙
げられる。充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸
化カルシウム、水酸化マグネシウム、タルク、石英、シ
リカ、酸化亜鉛、酸化チタン、クレー、炭酸カルシウム
などが挙げられ、特に水酸化アルミニウムが好ましく使
用される。
【0046】本発明の抗菌ガラスをバルク法における人
工大理石用樹脂組成物、ゲルコート法におけるゲルコー
ト用樹脂組成物に配合する方法は公知の方法が採用でき
る。例えば、人工大理石樹脂組成物に本発明の抗菌ガラ
スを所定量添加し、ニーダー、ミキサー、ロールミル、
押し出し機等で混練、混合し、十分に分散することによ
り実施される。本発明の抗菌ガラスの、バルク法による
人工大理石樹脂組成物又はゲルコート法におけるゲルコ
ート層樹脂組成物中における好ましい配合割合は、各樹
脂組成物100部当たり0.05〜10部であり、より
好ましくは0.5〜5部である。0.05部より少ないと
抗菌性人工大理石の抗菌性が不充分となる恐れがあり、
一方10部より多く配合しても抗菌効果の向上がほとん
どない。
【0047】○抗菌性人工大理石の製造方法 バルク法による本発明の抗菌性人工大理石は、次のよう
にして作製される。マトリックス樹脂即ち(メタ)アク
リル樹脂単量体又は不飽和ポリエステル樹脂原料、硬化
触媒、本発明の抗菌ガラスを混合する。必要に応じ、ガ
ラス繊維、水酸化アルミニウム、シリカ、シリカゲル等
の無機質充填材、架橋剤、硬化促進剤、顔料等を混合し
分散させればよい。この混合物を型に注入し、室温また
は加熱により硬化させることにより人工大理石が得られ
る。注入成型以外にも、射出成型、プレス成型等、他の
成型方法を用いることも可能であるが、注入成型が最も
好ましい。
【0048】また、ゲルコート層を基材樹脂の表面に有
する人工大理石の場合は、一般に次のようにして作製さ
れる。成型用の型に本発明の抗菌ガラスを分散させたゲ
ルコート層樹脂組成物をスプレーアップ法等により塗
装、硬化させる。次に基材樹脂用組成物を型に注入し、
硬化させる。ゲルコート層と基材樹脂の積層品を脱型す
ることにより人工大理石が得られる。
【0049】
【作用】本発明における抗菌ガラスが優れた抗菌性、耐
変色性を有する機構について以下のように推定される。
即ち、本発明におけるガラスは高濃度のZnOを含有
し、同時に適当量のアルカリ金属酸化物を含んでいるた
め、適度のガラス溶解性を有し、これによって抗菌効果
が大きく、また持続性も優れている。アルカリ金属酸化
物はガラスの溶解性を増加させるため、抗菌効果を高め
る一方で、耐水性や耐変色性を低下させる恐れがある
が、P25に、Al23とSnO2を適当量配合するこ
とにより、ガラス化を容易に、かつ安定して製造出来、
しかもこれら特定の組成に調整することで、ガラス溶解
性が適度に調整され結果的に耐水性や耐変色性に優れた
ガラスを得ることが出来る。さらに従来のガラス系抗菌
剤に比べ、硬度が低く粒径が細かいため、添加した樹脂
製品の外観を損なうことが少ない。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。 ○実施例1(抗菌ガラスの調製) 表1に示した組成(抗菌ガラスNo.A〜D)の原料調
合物を1000〜1400℃で加熱溶融し、冷却後、得
られたガラスをボ−ルミルにて粉砕して平均粒径約4μ
のガラスからなる抗菌ガラスを得た。
【0051】○実施例2(表面処理抗菌ガラスの調製) 実施例1の抗菌ガラスA 5kgをヘンセルミキサーに
入れ、攪拌しながらγ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン50gを含むエタノール溶液200gを噴霧し、取
り出した後、120℃で12時間加熱処理することにより
表面処理を行なった(抗菌ガラスNo.E)。
【0052】○比較例1(抗菌ガラスの調製) 表1に示した組成(抗菌ガラスNo.F〜I)の原料調
合物を用いた以外は実施例1と同様の方法によって抗菌
ガラスを得た。また表1に示した組成(抗菌ガラスN
o.J)の原料調合物を用いて実施例1と同様の処理を
行なったが、ガラス化しなかった。
【0053】
【表1】
【0054】○試験例1 ポリ(メチルメタアクリレート)とメチルメタアクリレ
ートからなる(重量比2/8)混合シラップ100重量
部に対して、水酸化アルミニウム150部を添加、さら
に硬化剤、硬化促進剤を加えた人工大理石樹脂組成物1
00重量部に対して、実施例1、実施例2及び比較例1
にて調製した各種抗菌剤(抗菌剤No.A〜I)を1.0
重量部添加、混合した。この組成物を型内に注入、室温
で硬化、脱型させることにより人工大理石成型体を得た
(試料No.1〜9)。比較のため、抗菌剤を添加せず
に(試作No.10)、同様に作製した。作製した成型
体の色彩を目視で確認することで外観評価とした。ま
た、作製した成型体の抗菌力を、以下の方法により評価
した。被検菌には黄色ブドウ球菌を用い、抗菌性人工大
理石成型体を5cm×5cmに切断し、大理石表面1枚
当りの菌数が105〜106個となるように菌液0.5m
lを表面に滴下し、その上から4.5cm×4.5cmの
ポリエチレン製フィルムを被せ表面に一様に接触させ、
温度35℃、湿度95RH%で24時間保存した。保存
開始から0時間後(理論添加菌数)及び24時間保存し
た後に、菌数測定用培地(SCDLP液体培地)で供試
品片上の生残菌を洗い出し、この洗液について、普通寒
天培地を用いる混釈平板培養法(37℃2日間)により
生菌数を測定して、抗菌性プレートの5cm×5cm当
りの生菌数に換算した。なお、初発菌数は2.2×10
5であり、24時間後のサンプルを用いずに同様の操作
を行った対照の菌数は2.5×105であった。さら
に、試験片を、50℃の温水に500時間浸漬させた後
の外観、及び90℃の温水に16時間浸漬させた後の抗
菌力を評価した。上記の試験の結果を表2に合わせて示
した。
【0055】
【表2】
【0056】○試験例2 微粒子シリカを配合したイソフタル酸系不飽和ポリエス
テル樹脂100重量部に対して、実施例1、実施例2及
び比較例1にて調製した各種抗菌ガラス(抗菌ガラスN
o.A〜I)を1.0重量部添加、混合した。硬化剤とし
てメチルエチルケトンパーオキサイド、及び硬化促進剤
としてナフテン酸コバルトを所定量添加し、ゲルコート
層用塗料組成物を得た。成型型の内側にスプレーガンに
より上記塗料組成物を厚さが約0.5mmとなるように
塗布し、室温で硬化させた。引き続き水酸化アルミニウ
ムを50重量%含有するイソフタル酸系不飽和ポリエス
テル樹脂を主成分とする基材樹脂組成物を型内に注入
し、室温で硬化、脱型させることによりゲルコート層を
有する人口大理石を得た(試料No.11〜19)。比較
のため、抗菌ガラスを添加せずに、同様の方法で人工大
理石を作製した(試作No.20)。作製した人工大理
石のゲルコート層表面の色彩を目視で確認することで外
観評価とした。また、作製した人工大理石のゲルコート
層表面の抗菌力を、以下の方法により評価した。被検菌
には黄色ブドウ球菌を用い、抗菌性人工大理石成型体を
5cm×5cmに切断し、大理石表面1枚当りの菌数が
105〜106個となるように菌液0.5mlを表面に滴
下し、その上から4.5cm×4.5cmのポリエチレン
製フィルムを被せ表面に一様に接触させ、温度35℃、
湿度95RH%で24時間保存した。保存開始から0時
間後(理論添加菌数)及び24時間保存した後に、菌数
測定用培地(SCDLP液体培地)で供試品片上の生残
菌を洗い出し、この洗液について、普通寒天培地を用い
る混釈平板培養法(37℃2日間)により生菌数を測定
して、抗菌性プレートの5cm×5cm当りの生菌数に
換算した。なお、初発菌数は2.2×105、24時間
後のサンプルを用いずに同様の操作を行った対照の菌数
は2.5×105であった。さらに、試験片を、50℃
の温水に500時間浸漬させた後の外観、及び90℃の
温水に16時間浸漬させた後の抗菌力を評価した。上記
の試験の結果を表3に合わせて示した。
【0057】
【表3】
【0058】
【発明の効果】本発明の抗菌ガラスは、優れた抗菌性、
耐変色性及び耐水性を有しており、抗菌効果を長時間持
続させることができる抗菌剤として極めて有用である。
また、本発明の人工大理石は、加工時、保存時及び使用
時に経時的に変色等の外観劣化が極めて少なく、安定し
て抗菌効果を示す優れた抗菌性を有している。さらに本
発明の抗菌性人工大理石は、耐温水性、及び耐変色性を
も有しており、キッチンカウンター、洗面台、トイレ用
品、バス用品等に用いられる人工大理石として極めて有
用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/00 CFE C08J 5/00 CFE C08K 3/40 C08K 3/40 C08L 33/06 C08L 33/06 67/06 67/06 101/00 101/00 Fターム(参考) 4F071 AA33 AA49 AB18 AB28 AE22 AF52 AH03 BB01 BC03 4G062 AA10 AA15 BB01 BB09 CC10 DA01 DA02 DA03 DB02 DB03 DC01 DD04 DD05 DE06 DF01 EA01 EA02 EA03 EA10 EB01 EB02 EB03 EC01 EC02 EC03 ED01 EE01 EF01 EG01 FA01 FB01 FC01 FD01 FE02 FE03 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM15 NN40 PP15 4H011 AA02 BA01 BB18 BC18 BC19 DD05 DG02 DH02 DH04 4J002 AB021 AC011 AC031 AC071 AC081 BB031 BB121 BB151 BB181 BB271 BC021 BC061 BD031 BD101 BD121 BD151 BE021 BG051 BN151 CB001 CC161 CC181 CF001 CF071 CF211 CG001 CK001 CL001 CP031 DE056 DE096 DE106 DE146 DH016 DJ016 DL006 FD186 GL02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成成分の合計量を基準としてZnOを
    50〜70モル%、P25を20〜35モル%、Al2
    3を0.5〜10モル%、SnO2を0.5〜10モル
    %、SiO2を0〜5モル%およびアルカリ金属酸化物
    を5〜10モル%含有するガラスからなる抗菌剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の抗菌剤と樹脂からなる抗
    菌性樹脂組成物
  3. 【請求項3】 請求項1記載の抗菌剤が樹脂組成物10
    0質量部に対し、0.01〜10質量部からなる請求項
    2の抗菌性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の抗菌剤の配合された(メ
    タ)アクリル樹脂組成物又は不飽和ポリエステル樹脂組
    成物からなる抗菌性人工大理石。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の抗菌剤と(メタ)アクリ
    ル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂とからなる抗菌性ゲ
    ルコート層が表面に設けられた抗菌性人工大理石。
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