JP2005002001A - 高純度アダマンチル系化合物の製造方法 - Google Patents

高純度アダマンチル系化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ワンポットの反応で、アダマンタノンから高純度のアダマンチルエステル化合物を高い収率で得る方法を提供する。
【解決手段】アダマンタノンとアルキルハライドと所定の第一溶媒とを混合した溶液を冷却したものに、金属リチウムを少量ずつ添加する第一の反応の後、該溶液を冷却しながら、該溶液に少量ずつ酸ハライド化合物又は酸無水物を加える第二の反応を行う方法か又は、金属リチウムとアルキルハライドと所定の第一溶媒とを混合した溶液を冷却したものに、少量ずつアダマンタノンと所定の第二溶媒とを混合した溶液を添加する第一の反応の後、該溶液を冷却しながら、該溶液に少量ずつ酸ハライド又は酸無水物を加える第二の反応を行う方法によりアダマンチルエステル化合物を得る。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超高度集積回路用レジストの原材料として使用する、アダマンチル系化合物を高収率かつ高純度で得るための製造方法に関する。
アダマンチル系化合物は、超高度集積回路用であるArF線レーザー(波長193nm)対応レジストの原材料として近年使用されており、該レジストは0.01μmレベルの高精細パターン形成が可能な化学増幅型レジストである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置等のデバイスの超高集積化に伴い、近年、0.01μmレベルの高精細パターン形成が可能な、超高度集積回路用であるArFレーザー対応レジストの開発が盛んに行われている。
このようなArFレーザー対応レジストとして、アダマンチル系化合物を含む化学増幅型レジストやラクトン系化合物を含む化学増幅型レジストがある。現在は、アダマンチル系化合物とラクトン系化合物の共重合体から得られるレジスト材料が、ArFレーザー対応レジストとして高性能を示すことが認められており、現在、それぞれの化合物について様々な製造方法が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−182552号公報
【特許文献2】
特開2003−55301号公報
【特許文献3】
特開平11−130465号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、ラクトン系化合物については比較的容易な方法で高純度のものを得る方法を開発しており、特許出願も行っている(特願2002−294058)。また、アダマンチル系化合物に関しても、化学メーカー各社により合成の工業化のための検討が行われてきている。
【0005】
しかし、従来のアダマンチル系化合物の製造方法は収率が悪く、副生成物が多く含まれることから、精製が困難であった。また、中間体であるアダマンチルアルコールのガスクロマトグラフィーを用いた純度確認から、最終的に収率良く目的化合物が得られるとされた製造方法でも、薄層クロマトグラフィー(以下「TLC」とする)によって中間体の純度確認を行ったところ、原点にかなり大きいスポットが現れ、実際のところはかなりの量の非目的化合物が混入していることが判明した。更に、上記アダマンチルアルコールを酸ハライドを用いてエステルとした後、カラムにより精製した場合、その最終収率は30%程度と非常に低いものであった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、高い収率で高純度アダマンチル系化合物が得られる製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明に係る高純度アダマンチル系化合物の製造方法は、a)アダマンタノンとR−Xで表されるアルキルハライド(Rは炭素数1〜10までのアルキル基、Xはハロゲン原子)と所定の第一溶媒とを混合した溶液を冷却したものに、少量ずつ金属リチウムを添加する第一の反応の後、
b)該溶液を冷却しながら、これに少量ずつ式(I)
【化5】
Figure 2005002001
で表される酸ハライド(Rは水素又はメチル基、Xはハロゲン原子)又は式(II)
【化6】
Figure 2005002001
で表される酸無水物(Rは水素又はメチル基)を加える第二の反応を行う
ことによりアダマンチルエステル化合物を得るか又は、
【0008】
a)金属リチウムとR−Xで表されるアルキルハライド(Rは炭素数1〜10までのアルキル基、Xはハロゲン原子)と所定の第一溶媒とを混合した溶液を冷却したものに、少量ずつアダマンタノンと所定の第二溶媒とを混合した溶液を添加する第一の反応の後、
b)該溶液を冷却しながら、これに少量ずつ式(I)
【化7】
Figure 2005002001
で表される酸ハライド(Rは水素又はメチル基、Xはハロゲン原子)又は式(II)
【化8】
Figure 2005002001
で表される酸無水物(Rは水素又はメチル基)を加える第二の反応を行う
ことによりアダマンチルエステル化合物を得ることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
発明者らは、アダマンチル系化合物の合成に際し、原料の混合方法や反応温度の検討を行った。その結果、副生成物の生成が最小限に抑えられ、高純度のアダマンチル系化合物を高収率で得られる方法を見出した。
【0010】
具体的には、a)アダマンタノンとR−Xで表されるアルキルハライド(Rは炭素数1〜10までのアルキル基、Xはハロゲン原子)と所定の第一溶媒とを混合した溶液を冷却したものに、少量ずつ金属リチウムを添加する第一の反応の後、
b)該溶液を冷却しながら、これに少量ずつ式(I)
【化9】
Figure 2005002001
で表される酸ハライド(Rは水素又はメチル基、Xはハロゲン原子)又は式(II)
【化10】
Figure 2005002001
で表される酸無水物(Rは水素又はメチル基)を加える第二の反応を行う
ことによりアダマンチルエステル化合物を得る。
【0011】
又は、a)金属リチウムとR−Xで表されるアルキルハライド(Rは炭素数1〜10までのアルキル基、Xはハロゲン原子)と所定の第一溶媒とを混合した溶液を冷却したものに、少量ずつアダマンタノンと所定の第二溶媒とを混合した溶液を添加する第一の反応の後、
b)該溶液を冷却しながら、これに少量ずつ式(I)
【化11】
Figure 2005002001
で表される酸ハライド(Rは水素又はメチル基、Xはハロゲン原子)又は式(II)
【化12】
Figure 2005002001
で表される酸無水物(Rは水素又はメチル基)を加える第二の反応を行う
ことによりアダマンチルエステル化合物を得る。
なお、以上で示された反応は窒素雰囲気下で行い、より好ましくはアルゴン雰囲気下で行う。
【0012】
反応に用いるR−Xで表されるアルキルハライドにおいて、Rは炭素数1〜10までの鎖状又は環状のアルキル基、Xはハロゲン原子である。立体障害やレジストとしての有用性を考慮すると、このアルキル基の炭素数は1〜4であることが望ましく、具体的にはイソプロピル基、シクロプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基であることが望ましい。また、反応性の点から、Xで表されるハロゲン原子は塩素又は臭素であることが望ましい。
【0013】
また、反応で用いる酸ハライドは式(I)
【化13】
Figure 2005002001
で表され、Rは水素又はメチル基であって、Xはハロゲン原子である。具体的な酸ハライドとしては、アクリロイルクロリド、メタクリロイルクロリド、アクリロイルブロミド、メタクリロイルブロミドなどが挙げられる。ハロゲン原子としては、原料の入手容易性等を考慮すると、塩素であることが望ましい。
【0014】
酸ハライドの代わりに式(II)
【化14】
Figure 2005002001
で表される酸無水物を用いてもよい。ここでRは水素又はメチル基である。具体的な酸無水物としては、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物などが挙げられる。
上記酸ハライドや酸無水物は、目的化合物に応じて適宜選択する。
【0015】
第一および第二溶媒としては、原料と反応しない溶媒であれば沸点や溶解性等を考慮して適宜選択することができる。具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエンのいずれか又はこれらを二以上組み合わせたものなど、通常用いられる溶媒を適宜使用することができる。この中で、テトラヒドロフラン(THF)を使用することが安全性の点から好ましい。また、第一溶媒と第二溶媒は同じ溶媒を用いるのが好ましい。
【0016】
反応について、以下に詳細に記載する。
アダマンタノンと、臭化エチル、臭化メチル等の上記のアルキルハライドと、所定の第一溶媒とを混合後、好ましくはアルゴン雰囲気下で、少量ずつ金属リチウムを加えることにより、アルキルアダマンチルアルコラートのリチウム化合物が得られる。金属リチウムの添加で反応溶液の温度が上昇するが、温度が上昇しすぎるとアダマンチル化合物の二量化物等の副生成物が生じるため、反応溶液を十分冷却しなければならない。好ましくは、反応中の溶液温度が−30〜10℃、より好ましくは−20〜0℃の範囲内に保たれるようにする。これにより得られた反応溶液に、少量ずつ上記の酸ハライド又は酸無水物を加えると、アダマンチルエステル化合物が生成する。酸ハライド又は酸無水物を加える際は反応溶液の温度が上昇するため、反応溶液を十分冷却しなければならない。好ましくは、反応中の溶液温度が−30〜10℃の範囲内に保たれるようにする。酸無水物を使用した場合、通常、有機塩基を使用して反応を促進させるが、本発明においては、酸ハライドを用いた場合にも、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、ピリジン、キノリン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどの有機塩基をアルコラートの合成後に酸ハライドに対して0.1〜10mol%添加する。これにより、最終収率が10〜20%向上する。
酸ハライド等の添加後は、溶液を室温まで昇温させ、終夜放置する。
【0017】
[0016]に記載した方法に代わって、以下の方法により合成を行ってもよい。
好ましくはアルゴン雰囲気下で、金属リチウムと、上記のアルキルハライドと、所定の第一溶媒を混合した溶液に、少量ずつアダマンタノンと所定の第二溶媒とを混合した溶液を添加すると、アルキルアダマンチルアルコラートのリチウム化合物が得られる。この反応の際は反応溶液の温度が上昇するため、反応溶液を十分冷却しなければならない。好ましくは、反応中の溶液温度が−30〜10℃、より好ましくは−20〜0℃の範囲内に保たれるようにする。その後、反応溶液に少量ずつ上記の酸ハライド又は酸無水物を加えることによりアダマンチルエステル化合物が得られる。酸ハライド又は酸無水物を加える際は、副生成物の生成を避けるため、反応溶液を十分冷却しなければならない。好ましくは、酸ハライド等の滴下中に反応溶液温度が−30〜10℃の範囲内に保たれるようにする。酸無水物、酸ハライドのいずれを用いた場合も、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、ピリジン、キノリンなどの有機塩基をアルコラートの合成後に酸ハライドに対して0.1〜10mol%添加する。
酸ハライド等の添加後は、溶液を室温まで昇温させ、終夜放置する。
【0018】
上記の反応溶液に、イオン交換水や水酸化ナトリウム水溶液等を加えて反応を終了させた後、ヘキサン等の溶媒を加えて有機層を抽出分離する。ここで、高純度の目的化合物を得るために、反応終了後に(抽出分離前)反応溶液に塩基性及び/又は酸性のイオン交換樹脂を加えて、反応溶液中の未反応金属を除去するのが望ましい。
抽出分離によりアダマンチルエステル化合物を含有する有機溶液が得られ、この有機溶液を濃縮して液状物質(アダマンチルエステル化合物の粗体)を得た後、これを蒸留するか又は所定の有機溶媒に溶解して再結晶化を行う。その結果、高純度のアダマンチルエステル化合物が得られる。
【0019】
再結晶化には、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、メチレンクロライド、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのいずれか又はこれらを二以上組み合わせた溶媒を用いることができる。
なお、以上の精製方法に代わり、カラム等の通常の精製方法を用いることもできる。
【0020】
【発明の効果】
反応工程や反応温度を検討することにより、超高度集積回路用レジストの原材料である高純度のアダマンチル系化合物を高収率で得ることができる。
本発明により容易に高純度のアダマンチル系化合物が得られるようになる結果、超高度集積回路用レジストが安価で供給されることとなる。それにより、安価な超高集積デバイスが市場に供給され、コンピュータの低廉化ひいては情報化社会の更なる発展に寄するものと考えられる。
【0021】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
(実施例1)
マグネチックスターラー、温度計、滴下ロートを取り付けた5Lの四つ口フラスコに、アルゴン雰囲気下で2−アダマンタノンを253g(1.68mol)、臭化エチルを266g(2.44mol)、テトラヒドロフランを3L加えた。この溶液に、反応温度が−30〜10℃になるように制御しながら金属リチウムを26.28g(3.79mol)加え、金属リチウムが消滅するまで攪拌をした。この時の2−アダマンタノンの転換率をTLC及びガスクロマトグラフィーにより確認したところ、転換率は100%であった。
【0023】
この反応溶液にトリエチルアミンを93.6g(0.92mol)加えた後、反応温度が10℃以下になるように制御しながら、193.5g(1.85mol)のメタクリロイルクロリドを少量ずつ滴下した。滴下終了後反応溶液を自然昇温させ、6時間攪拌を行った。その後反応溶液にイオン交換水80mLと10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を2L加えて終夜攪拌した。これにヘキサンを3.3L加えて有機層を分離した後、分離した有機層をイオン交換水で二度水洗した。この有機層に更にイオン交換水を200mL、強酸性イオン交換樹脂を50g加えて終夜攪拌した後、有機層を分離した。なお、水酸化ナトリウム水溶液の代わりに炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素カリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液を用いてもよい。
【0024】
これにより得られた有機層に、ヒドロキノンモノメチルエーテルを0.5g(0.004mol)加えた後、溶媒を減圧留去した。溶媒を留去して得られた液状の残渣に、メタノールを2L加えて攪拌した後、不溶分を濾過により除去した。得られた濾液を減圧して溶媒を留去し、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートの軟結晶状態の粗体を390g(1.57mol)得た。
この粗体の純度は、ガスクロマトグラフィーで93.4%であった。
【0025】
得られた粗体にメタノールを100mL加え攪拌しながら60℃まで加熱した後、この溶液を自然冷却し、室温で一晩放置して結晶を析出させた。
これを減圧濾過して結晶を取り出し、室温にて結晶を減圧乾燥することにより、363g(1.46mol)の2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート結晶粉末を得た。
この結晶粉末の純度は、ガスクロマトグラフィーで97%であり、超高度集積回路用レジストの原材料として十分な純度であった。また、出発物質(2−アダマンタノン)に対する収率も87%と非常に高い収率であった。
【0026】
(実施例2)
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けた100Lステンレス反応釜に、アルゴン雰囲気下、2−アダマンタノンを4820g(32.08mol)、臭化エチルを5060g(46.43mol)、テトラヒドロフランを64L加えた。この溶液に、反応温度が−30〜10℃になるように制御しながら金属リチウムを500g(72.04mol)加え、金属リチウムが消滅するまで攪拌した。この時の2−アダマンタノンの転換率をTLC及びガスクロマトグラフィーにより確認したところ、転換率は100%であった。
【0027】
この反応溶液にトリエチルアミンを1780g(17.59mol)加えた後、反応温度が10℃以下になるように制御しながら3680g(35.21mol)のメタクリロイルクロリドを少量ずつ滴下した。滴下終了後反応溶液を自然昇温させ、6時間攪拌を行った。その後反応溶液にイオン交換水を5L加え、更に10質量%水酸化ナトリウム水溶液を10L加えて終夜攪拌した。この溶液にヘキサンを2L加えて有機層を分離し、有機層をイオン交換水で水洗した。その後、この有機層にイオン交換水、強酸性イオン交換樹脂を加えて終夜攪拌した後、有機層を分離した。
【0028】
有機層に、ヒドロキノンモノメチルエーテルを10g(0.080mol)加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた液状の残渣にメタノールを54L加えて攪拌し、不溶分を濾過により除去した。得られた濾液を減圧して溶媒を留去し、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートの軟結晶状態の粗体を8.0kg(32.32mol)得た。
この粗体の純度は、ガスクロマトグラフィーで92.4%であった。
【0029】
得られた粗体にメタノールを2L加え、攪拌しながら60℃まで加熱した。この溶液を自然冷却し、種結晶を加えた後、3時間放置して結晶を成長させた。結晶を成長させた後、この溶液を減圧濾過して結晶を取り出し、結晶を室温で減圧乾燥することにより、7.2kg(28.99mol)の2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート結晶粉末を得た。
この結晶粉末の純度は、ガスクロマトグラフィーで95.3%であった。
これにより、スケールアップして反応を行っても、出発物質(2−アダマンタノン)に対して90%以上という高い収率で高純度の2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートを得られることが示された。
【0030】
(実施例3)
マグネチックスターラー、温度計、滴下ロートを取り付けた500mLの四つ口フラスコに、アルゴン雰囲気下で金属リチウムを1.066g(0.15mol)、臭化エチルを10.8g(0.099mol)、テトラヒドロフランを150mL加えた。この溶液に反応温度が−30〜10℃になるように制御しながら100mLのTHFに溶解させた10.26g(0.068mol)の2−アダマンタノンを加え、金属リチウムが消滅するまで攪拌した。この時の2−アダマンタノンの転換率をTLC及びガスクロマトグラフィーにより確認したところ、転換率は100%であった。
【0031】
反応温度が10℃以下になるように制御しながら、上記反応溶液に7.9g(0.076mol)のメタクリロイルクロリドを少量ずつ滴下した。滴下終了後反応溶液を自然昇温させて2時間攪拌を行い、その後、0.5mol/Lの重曹水溶液を150mL加えて終夜攪拌した。この反応溶液にヘキサンを150mL加え、有機層を分離した。
【0032】
有機層に、ヒドロキノンモノメチルエーテルを0.02g(1.69×10−4mol)加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた液状の残渣にメタノールを300mL加えて攪拌し不溶分を濾過して取り除いた後、溶媒を減圧留去し、18.0g(0.072mol)の粗2−エチルー2−アダマンチルメタクレートの液体を得た。
この液体の純度は、ガスクロマトグラフィーで83%であった。
【0033】
(実施例4)
[0023]に記載のトリエチルアミンを添加しない以外は実施例1と同様の方法で、2−アダマンタノン253g(1.68mol)から2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートを合成した。その結果、最終的に308g(1.24mol)の2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート結晶粉末が得られた(収率74%)。
【0034】
(比較例1)
攪拌棒、温度計、滴下ロート、冷却管を取り付けた500mLの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、テトラヒドロフランを35mL、金属リチウムを2.78g(0.4mol)を加えた。この溶液に、予め2−アダマンタノン30g(0.2mol)と臭化エチル26.2g(0.24mol)をテトラヒドロフラン100mLに溶解させた溶液を、窒素雰囲気下、反応温度が40℃前後になるように制御しながら滴下し、滴下終了後反応溶液を45℃に加温して1時間放置した。金属リチウムが消失したのを確認してから4.36g(0.04mol)の臭化エチルを加え、更に45℃で1時間撹拌してリチウム2−エチル−2−アダマンチルアルコラートを生成させた。この時の2−アダマンタノンの転換率をTLC及びガスクロマトグラフィーにより確認したところ、ガスクロマトグラフ上での転換率は98%であったが、TLCでは原点に大きなスポットが残っており、反応が十分進んでいないことが確認された。
【0035】
攪拌棒、温度計、滴下ロート、冷却管を取り付けた500mLの四つ口フラスコを窒素置換し、これに22.0g(0.21mol)のメタクリロイルクロリドと、0.08g(0.4mmol)のフェノチアジン(重合禁止剤)を加え、更に、前段で調製したリチウム2−エチル−2−アダマンチルアルコラートの溶液を、窒素雰囲気下、反応溶液の温度が10℃以下になるようにしながら2時間かけて滴下した。滴下終了後、溶液温度が0〜10℃の温度範囲となるように制御しながら4時間撹拌した。
反応溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて撹拌した後、有機層を抽出分離した。分離した有機層から溶媒を減圧留去した後、カラム精製することにより、14.9g(0.06mol)の2−エチル−2−アダマンチルメタクリレートを得た(収率30%)。

Claims (13)

  1. a)アダマンタノンとR−Xで表されるアルキルハライド(Rは炭素数1〜10までのアルキル基、Xはハロゲン原子)と所定の第一溶媒とを混合した溶液を冷却したものに、少量ずつ金属リチウムを添加してアルキルリチウムアルコラートを生成する第一の反応の後、
    b)該溶液を冷却しながら、これに少量ずつ式(I)
    Figure 2005002001
    で表される酸ハライド(Rは水素又はメチル基、Xはハロゲン原子)又は式(II)
    Figure 2005002001
    で表される酸無水物(Rは水素又はメチル基)を加える第二の反応を行う
    ことによりアダマンチルエステル化合物を得ることを特徴とする、高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
  2. 上記第一の反応において、金属リチウムを反応溶液に添加する際の溶液温度が−30〜10℃であることを特徴とする請求項1に記載の高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
  3. 上記第二の反応において、酸ハライド又は酸無水物を反応溶液に添加する際の溶液温度が−30〜10℃であることを特徴とする請求項1に記載の高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
  4. アルキルリチウムアルコラートと酸ハライド又は酸無水物を反応させることにより高純度アダマンチル系化合物を製造する方法において、アダマンタノンとR−Xで表されるアルキルハライド(Rは炭素数1〜10までのアルキル基、Xはハロゲン原子)と所定の第一溶媒とを混合した溶液を冷却したものに、少量ずつ金属リチウムを添加することによりアルキルリチウムアルコラートを製造することを特徴とする、高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
  5. a)金属リチウムとR−Xで表されるアルキルハライド(Rは炭素数1〜10までのアルキル基、Xはハロゲン原子)と所定の第一溶媒とを混合した溶液を冷却したものに、少量ずつアダマンタノンと所定の第二溶媒とを混合した溶液を添加してアルキルリチウムアルコラートを生成する第一の反応の後、
    b)該溶液を冷却しながら、これに少量ずつ式(I)
    Figure 2005002001
    で表される酸ハライド(Rは水素又はメチル基、Xはハロゲン原子)又は式(II)
    Figure 2005002001
    で表される酸無水物(Rは水素又はメチル基)を加える第二の反応を行う
    ことによりアダマンチルエステル化合物を得ることを特徴とする、高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
  6. 上記第一の反応において、金属リチウムを反応溶液に添加する際の溶液温度が−30〜10℃であることを特徴とする請求項5に記載の高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
  7. 上記第二の反応において、酸ハライド又は酸無水物を反応溶液に添加する際の溶液温度が−30〜10℃であることを特徴とする請求項5に記載の高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
  8. アルキルリチウムアルコラートと酸ハライド又は酸無水物を反応させることにより高純度アダマンチル系化合物を製造する方法において、金属リチウムとR−Xで表されるアルキルハライド(Rは炭素数1〜10までのアルキル基、Xはハロゲン原子)と所定の第一溶媒とを混合した溶液を冷却したものに、少量ずつアダマンタノンと所定の第二溶媒とを混合した溶液を添加することによりアルキルリチウムアルコラートを製造することを特徴とする、高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
  9. 上記第一溶媒がテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエンのいずれか又はこれらの二以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
  10. 上記第二溶媒がテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエンのいずれか又はこれらの二以上の組み合わせであることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
  11. 上記第一の反応の後、反応溶液に酸ハライドに対して0.1〜10mol%の有機塩基を加えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
  12. 有機塩基がトリエチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、ピリジン、キノリン、N,N−ジメチルアミノピリジンのいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
  13. アルキルリチウムアルコラートと酸ハライド又は酸無水物を反応させた後、反応溶液に塩基性及び/又は酸性のイオン交換樹脂を加えて反応溶液中の未反応金属を除去することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の高純度アダマンチル系化合物の製造方法。
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