JP2004533349A - 塗装のための作業器具を製造しかつ再生利用する方法 - Google Patents

塗装のための作業器具を製造しかつ再生利用する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】車両部品を塗装または被覆する時に、これらの部品の保持、保護、移送、適所への固定のため、あるいはこれらの部品の組立のために使用される作業器具を製造しかつ再生利用する方法。
【解決手段】作業器具を射出成形により製造し、使用後、塗装状態のまますりつぶす。爾後、粉末形態の原材料として射出成形工程に使用して、この作業器具を製造する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両部品の塗装または被覆作業中に、これらを保持、保護、移送するため、あるいはこれらを装着し、組み立てるために用いられる作業器具を製造しかつ再生利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
問題のこの種の作業器具は塗装される部品−ドア、車両前後部のプレート、シルプレート、同様な動く部品など−を、例えば特定の位置に保持して、塗装作業中部品が互いに接触、衝突したり、振動したりしないようにする。この手段の目的は、塗料施用装置に対して部品が所定の位置を占めることにより、塗料の指定通りの施用を保証することにある。
【0003】
これらの作業器具は、特定の施用範囲に対して、かつ塗装される特定の部品や模型にしたがって特定的に構成されており、今日では金属からつくられるのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの作業器具は塗装作業中それ自体も被覆されるから、これらを使用した後つねに、つまり各サイクルの後、塗料を機械的、熱的、化学的に取り除いて、新たに塗装される部品が、乾燥した塗装層の断片の剥落により汚損されるおそれを回避しなければならない。こうした塗料の除去は相当な費用を伴い、環境的側面の配慮に欠ける。
【0005】
本発明の文脈での用語「塗料」は、噴霧、浸漬、ブラシなどでの塗布、または同様の被覆技術により適用されるすべての通常の着色剤や被覆剤に対して用いられる。用語「塗装」はこれに応じた一般的な意味を持つものとする。
【0006】
上記の考察から、既述の機能を実行でき、廃棄や清掃に込み入った手順を必要としない、代案としての作業部品つまり創作部品が大いに必要となる。
【0007】
組立中に設置され塗装される製品の構成要素についても一連の同様な問題が存在する。これらの構成要素の稼動寿命の最後には、部品を取り集めて、利用するか廃棄するかしなければならない。さらにまた、適正な廃棄や再利用を確実にするために、塗料を除去する必要がある。これは上述のように費用がかかり、普通は車両製造業者、家庭用具または家具の製造業者、あるいはこれらの下請け業者の通常の中心的作業の中に入っていない。経済的な廃棄や再利用はこのように原則として不可能である。ここにまた、別の解決法が大いに必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって本発明の目的は代案の作業器具及び/または創作器具すなわち部品を製造する方法を利用可能にすることにあり、これにより上記問題は解決され、さらに製造/塗装中の要件や部品の稼動寿命中の要件を満足させる部品が提供される。この部品は、環境や経済的側面を考慮した簡単な方法により再利用が可能となる。
【0009】
この目的は請求項1に記載の方法、請求項9に記載の使用法、及び請求項10に記載の作業器具により達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の要点は、作業器具を製造する材料が従来のように金属ではないことである。代わりに、環境に優しくかつ経済的に簡易な方法により塗装状態で再生利用でき、さらに複雑な事前処理や爾後の処理もなく再利用できる材料が使用される。本発明による作業器具は最初射出成形操作によりつくられ、各使用ののち塗装状態のまますりつぶされる。結果として生じた粉末は再び使用されてそのまま作業器具を産出することができ、このようにすることにより新しいサイクルが開始される。
【0011】
以下に掲げるプラスチック材料を用いれば、作業器具の使用後、それらを型別に分類したり清掃する必要はなく、全製造工程、用役化、及び再生利用が簡易化される。
【0012】
作業器具はその第2の寿命サイクルの初めでは、粉末にすりつぶされ、爾後の射出成形作業の原材料として供給される使い捨て品である。このことは、機能表面が正しい状態にあることを保証する必要がないから、塗料の除去及び/または分類のための費用を伴わず、経費は相当に削減される。
【実施例】
【0013】
本発明の1実施形態によれば、一定量の一次原材料は再生利用された材料に加えられて射出成形される。これは、塗料汚染された再生利用品の品質が最早使えない場合に特に好都合である。一次原材料を加えることにより、上述の利点を有する作業器具の機能を維持することができる。
【0014】
強調すべきは、射出成形作業の前に暖めることにより、塗料自身、塗装された作業器具、及び一次原材料の均質化が達成されて、確実に作業器具の最適の特性が恒久的に保たれることである。不均質による減衰または分解を心配する必要はない。
【0015】
本発明の1実施形態によれば、付加される一次原材料の量は3重量%から30重量%の範囲、好ましくは5重量%から20重量%まで、さらに好ましくは8―15重量%の範囲が有用であることが分かっている。しかしながら原則として、再生利用製品を、特に射出成形に対してその機械的、熱的に安定な特性を犠牲にせずに数回使用できることを保証するには、少量、例えば全重量の約10%に相当する一次原材料を加えるだけで十分である。
【0016】
本発明の他の実施形態によれば、一次原材料は、150℃から280℃の範囲の温度、好ましくは170℃を超える温度で長期間使用できる、熱安定プラスチックである。このような長期間の温度耐性を持つプラスチックは射出成形による生産物に好ましい特性を呈する。なぜならこの特性は一方で熱可塑的変形力を、他方で材料の冷却時に機械的安定性をも保証するからである。したがってこの種のプラスチックの経年変化は遅らされる。
【0017】
他の実施形態によれば、一次原材料は1以上の以下の物質から成る;すなわち、ポリスルフォン、ポリ(アリールエーテル)ケトン、ポリ(エーテルスルフォン)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチロール)、ポリアミド、あるいは同様な熱可塑性材料(参照:plastics compendium Vogel Fachbuch, 4th edition 1996, by Dr. A. Frank, ISBN 3-8023-1589-8)。
【0018】
本発明による方法に特に適したものは、ガラス、カーボン繊維、ケブラー、あるいは同様な強化材などの繊維で強化されたプラスチックである。したがって、繊維強化プラスチックを一次原材料として用いるのが好ましい。
【0019】
取得コスト、再生利用性、射出成形への適合性(最適な流れ具合)、及び機械的特性とに関して、特に塗料の熱硬化のため炉の中で使用されるような高温においても、最適なプラスチックはガラス繊維強化ポリアミドであることが分かっている。
【0020】
本発明の他の実施形態によれば、作業器具、または一次原材料は0.1から40%の充填材の重量分量で充填物により強化される。射出成形中の流れ具合と、塗装作業中の作業器具の形状安定性や堅固さに関する要件にしたがって、この変動幅の充填物の量を付加することにより、所望の最適化が達成できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明による方法、及び方法からの製品、についての他の利点は、ガラス繊維強化ポリアミドへの塗料の付着が、衝撃への安定性と堅固さとに関して金属よりも優れており、その結果塗料の剥落も殆どなく、新たに被覆される表面を汚染するというリスクが低減されることである。
【0022】
一般的には繊維強化プラスチック、具体的にはガラス繊維強化ポリアミドなどのプラスチックに対して、この最適化された塗料付着性は、本発明の製品が車両の構成要素として、特に車両本体の構成要素やこれに装着される部品として用いられると、これらの構造物はひんぱんに大きな機械力を受けるため、特に有利に実証される。一方原理上この方法はまた、家具品目、さらに例えば街路信号など道路交通関連製品、チャネルカバー、及びその他この領域や家庭で使用される構造物の製造に、あるいはこれらの保持具の製作にも適している。
【0023】
この方法による製品は、前後のフラップ、泥よけ、側壁部などの車両の構成要素に特に適している。さらにまた、本発明により製造され塗装されたプラスチック部品は、二次的射出成形工程に事実上100%再利用することができる。
【0024】
上述の考察に応じて、本発明の他の実施形態により、この方法による製品が生産を助ける手段として、例えば塗装工程における遮蔽手段として、または保持、固定、移送手段として用いられることを提案する。
【0025】
このように本発明による方法は環境に優しいコンセプトを表現し、機械的にしろ、熱的にしろ、化学的にしろこれらの手法による塗料の除去を不必要とする。なぜなら本発明による作業器具は、すりつぶされた、つまり粉末にされた後、塗装状態のまま原材料に変換されて射出成形されるからである。この再生利用工程は、必要なときに少量の一次原材料を加え、射出成形の材料の特性を最適化すれば、所望通りに殆ど何度でも繰り返すことができる。
【0026】
通常用いられている金属は一般に高価であるため、本発明の作業器具を用いることはまた経済的側面からも優れている。特に、ユーザー(例えば家庭備品や車両のメーカー)は作業器具の取得や廃棄の労に煩わされない。なぜならこの作業は射出成型技術に責任を負う下請け業者により行われるからである。本源的なメーカーとは違い下請け業者は、その中心的作業として大量の材料を粉末化し再生利用製品を消費して作業器具を作製する。このような作業器具は多くの産業分野での用途が見出されるから、下請け業者には、合理的かつ経済的方法でこれらを製造する強い動機がある。
【0027】
この際指摘すべきは、上述した全ての部品と手順とは、本発明の骨子として個々にまたは結合してクレイムされていることである。これらからの変形は当業者にはよく知られたことである。

Claims (10)

  1. 部品の塗装や被覆に用い、さらにこれらの保持、保護、遮蔽、移送、固定、組立にも用いる作業器具を製造しかつ再生利用する、以下の手順を含む方法:
    a)射出成形により作業器具を製造する段階、
    b)塗装状態のままの作業器具を各使用後にすりつぶす段階、及び
    c)結果としての粉末を戻して次の射出成形工程の原材料として使用し、作業器具を製造する段階。
  2. 請求項1に記載の方法において、射出成形法を再生利用方式に用いる際、任意の分量の一次原材料が加えられることを特徴とする方法。
  3. 請求項2に記載の方法において、一次原材料の追加量は、3重量%から30重量%の範囲、好ましくは5重量%から20重量%の範囲、特に好ましくは8重量%から15重量%の範囲であることを特徴とする方法。
  4. 請求項2及び3の1以上の項に記載の方法において、一次原材料として、150℃から280℃の範囲の温度、好ましくは170℃を超える温度で長期間使用可能な熱安定プラスチックが使用されることを特徴とする方法。
  5. 請求項2乃至4の1以上の項に記載の方法において、一次原材料は1以上の以下の物質から成ることを特徴とする方法:ポリスルフォン、ポリ(アリールエーテル)ケトン、ポリ(エーテルスルフォン)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチロール)、ポリアミド類。
  6. 請求項3乃至5の1以上の項に記載の方法において、一次原材料として繊維強化プラスチックが用いられることを特徴とする方法。
  7. 請求項3乃至5の1以上の項に記載の方法において、一次原材料としてガラス繊維強化ポリアミドが用いられることを特徴とする方法。
  8. 請求項3乃至7の1以上の項に記載の方法において、作業器具は充填材により、特に0.1重量%から40重量%の分量の繊維により、強化されることを特徴とする方法。
  9. 請求項1乃至8の1以上の項に記載の方法による製品を、作業器具として、特に塗料の施用のための保護または遮蔽手段として、及び/または保持及び/または固定及び/又は移送手段として使用すること。
  10. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法により製造された作業器具。
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