JP2004532142A - 多層構造体を有する分散可能な吸収性製品、並びに製造方法及び使用方法 - Google Patents

Abstract

分散可能な吸収性製品は、機械的に脆弱化された多層構造体を有し、水反応性バインダーによって接合された少なくとも２つの機械的に脆弱化された層を含む。機械的に脆弱化された領域は、標準のトイレにおける製品の分散性を高める。さらに、分散可能な吸収性製品は、組成物で予め湿化されてもよい。事前湿化製品は保管の際に安定しており、トイレで容易に分散可能であり、洗浄性、コンディショニング性、及び同様の利益を付与する。
かかる分散可能な吸収性製品を製造する方法もまた開示される。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、迅速に分散可能な吸収性製品、並びにかかる製品の製造方法及び使用方法に関する。本発明は、特に標準のトイレシステムで水に流すことができる、迅速に分散可能な吸収性製品に関する。
【背景技術】
【０００２】
女性用衛生製品、おむつ、トレーニングパンツ及び成人用失禁製品などの使い捨て吸収性製品は非常に便利であり、消費者に広く使用されている。しかしながら、これらの製品の普及に伴い、その処分に関する必要性が生じている。焼却又は埋立てなどの典型的な処分方法は、一般に、そのコスト及び環境問題の理由から不充分であると考えられている。物品を従来のトイレに流し、次いでその物品を公営の、又は私有の下水システム又は浄化システム内で分解することを伴う別の処分方法が実施されてきた。この処分方法は、一般に便利で個別のものであると考えられている。この処分方法にとって、適切な物質は、使用目的のためにその構造一体性を維持するばかりでなく、その物質が容易に分解されて、詰まることなく従来のトイレ及び配管システムに流せるものであるべきである。これらの素材要件は、素材が湿った状態で長期間保管安定性を有する必要がある事前湿化用途においてより困難になる。さらに、適切な物質は、廃棄物処理システム内に素材が大きな塊となって堆積しないように生分解性であることが好ましい。
【０００３】
例えば生理用ナプキン、おむつ、便座拭きなどを含むが、必ずしもこれらに限定されない様々な用途で使用される水で流せることができる繊維性製品を提供するために多数のアプローチが試みられてきた。例えば、エバース（Evers）に対して１９９４年４月５日に発行された米国特許第５，３００，３５８号は、冷水で溶解可能な材料を含む吸収性繊維性コア及びバックシートを有し、生理用ナプキン及びおむつなど用の分解可能であって水で流すことができる吸収性構造を開示し、バレンテ（M.Valente）に対して１９８６年３月１８日に発行された米国特許第４，５７５，８９１号は、上部厚紙層を有する約２インチ（５センチ）×２インチ（５センチ）の、水で流すことができる小さな便座拭きが開示され、ルイス（R.L.Lewis）らに対して１９９５年２月２２日に発行された英国特許２，２８１，０８１は、トイレで流すのに十分に水で分解可能であるとされている繊維性材料及び高分子バインダーのウェブを開示している。そのバインダーは、湿式ウェブ又はエアレイドウェブ上に噴霧又は浸漬により塗布される。タアケウチ（Taakeuchi）らによって１９９９年２月１０日に発行された欧州特許８９６，０８９Ａ１では、ポリビニルアルコールなどのバインダーで処理された繊維性シートを含み、大量の水に浸漬されると分解可能な繊維性シートが開示されている。デウィット（De Witt）らに対して１９８８年４月５日に発行された米国特許第４，７３４，９４１号は、女性の脚の間に置いて尿を容器に向けるための、水で流すことができる尿処理製品を開示している。その製品は、水中で分解可能な繊維性又は非繊維性のシート及び水溶性のポリマーフィルムを備える。その好ましい分解可能なシートは、ティッシューペーパーである。イェオ（Yeo）に対して１９９６年４月２３日に発行された米国特許第５，５０９，９１３号は、身体排泄物の存在下では不溶性であるが、通常の水道水の存在下では可溶性である、おむつ、布帛及び拭き取り布として使用されるシートなどの、トイレで水で流すことができる製品を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
残留身体滲出物を効果的に洗浄又は吸収し、その後、あらゆるトイレ及び後続の廃棄物処理システム（例えば下水管、腐敗槽）にて容易に処分できる、便利で使いやすく、処分しやすい吸収性製品に対する必要性がある。従って、容易にトイレに流せて、容易に配管を通過することができる程十分に分散可能であり、残留する身体滲出物の吸収に有用な吸収性製品を提供することが望ましい。
【０００５】
さらに、下水管、腐敗槽、又はその他廃棄物処理システム内に実質的に堆積しないような分解可能製品を提供することが望ましい。
【０００６】
また、保管の際に安定しており、トイレ／処分システムにおいて分散可能であり、下水管、腐敗槽、又はその他廃棄物処理システムにおいて分解可能である事前湿化製品を提供することが望ましい。
【０００７】
また、処分中には破断し、分散可能であるが、使用中には破断しない程十分な一体性を保持するような機械的に脆弱化されたウェブを提供することが望ましい。
【０００８】
さらに、硬質表面の洗浄、皮膚の洗浄、皮膚のコンディショニング及び／又はその他皮膚に対する利益を達成するような、液体又は組成物で予め湿化された製品を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、機械的に脆弱化された多層構造体を有する分散可能な吸収性製品を提供する。この分散可能な吸収性製品は、充填しすぎて漏れを生じることなく十分な量の流体を吸収することができ、標準のトイレを使用して容易に処分することができる。このウェブの機械的に脆弱化された領域により製品の分散性が向上する。さらに、分散可能な吸収性製品は硬質表面洗浄又は研磨、家庭用洗浄又は研磨、皮膚洗浄、皮膚コンディショニング、並びに同様の洗浄、コンディショニング及び研磨に関する利益を付与するのに適切な組成物によって予め湿化されてもよい。事前湿化製品は保管の際に安定しており、標準のトイレにおいて分散可能である。本発明は、さらに、繊維性ウェブを機械的に脆弱化することによって、かかる分散可能な吸収性製品を製造する方法を提供する。
【００１０】
全ての引用文献の関連部分は、本明細書において参照により組み込まれるものであり、いかなる文献の引用も、本発明に関する先行技術の承認として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
「分散可能な」は、本明細書で使用するとき、製品を標準のトイレで水に流した後、その製品が可視的な変化を呈することを意味し、この変化には、穴、スリット、細片などの、製品の一体性についての可視的な破損、より小さな断片への細分化、溶解又はこれらの組合せを包含してもよい。典型的には、下記に述べる水洗時の分散性の試験で少なくともスコアが２である場合、製品は分散可能である。
【００１２】
「水で流すことができる」は、本明細書で使用するとき、尿又は他の身体滲出物を受容し、それを水圧により配管システムを経由して下水システムまで輸送するために製造されたトイレ、小便器又は他の水洗装置において処分可能であることを意味する。「水反応性」は、本明細書で使用するとき、ある物質又はそれから製造された物品（例えば、フィルム、繊維不織布、積層体、成形物品）が、水性媒体に浸漬されたときに、脆弱化されるか、粉々になるか、又は溶解し得ることを意味する。
【００１３】
「ずれた」は、本明細書で使用するとき、層の機械的に脆弱化された領域が、互いにＺ方向（即ち、厚さ方向）に実質的に重なり合わないように置かれていることを意味する。脆弱領域が規則性又はパターンを有する場合、その規則性又はパターンは、脆弱領域が実質的に重ならないようにオフセットになっている。
【００１４】
「〜を含む」とは、本発明の目的が達成される限り、フィルム、層、ポリマー及び物質などの本発明で使用する多様な構成要素を多様な組合せで、及び他の任意成分と共に用いることができ、本発明で使用する多様な工程を様々な順序又は組合せで使用することができることを意味する。従って、用語「〜を含む」は、より制限的な用語「本質的に〜からなる」及び「〜からなる」を包含する。
【００１５】
本発明は、容易且つ迅速に分散可能であり、非常に吸収性のある分散可能な吸収性製品を提供する。
【００１６】
本発明の分散可能な吸収性製品は、共にずれて接合された少なくとも２つの機械的に脆弱化された層を含む多層シートである。即ち、それらの層は、機械的に脆弱化された領域が互いにＺ方向（即ち、層の厚さ方向）に直接重なり合わないように置かれる。脆弱領域のオフセット又はずれにより、各層は互いに補強し合い、脆弱部が構造体全体の厚さに延在することが防止される。結果生じた構造体が、実質的に脆弱化された層から製造されたとしても、全体的な構造一体性を有する。それらの層を共に直接固着すべく、圧力及び／又は熱を加えて接合してもよい。また、接着剤によって層を接合してもよい。また、超音波結合などの、当業者に知られている他の結合方法を使用してそれらの層を共に接合してもよい。
【００１７】
水反応性バインダーは、２つの機械的に脆弱化された層の間に連続して又は不連続的に配置されてもよい。バインダーは、２つの層を共に接合する接着力を付与する。また、バインダーは、脆弱層が付着される基材として機能することもできるので、脆弱層を支える構造一体性を付与する。従って、脆弱領域が実質的に脆弱層の厚さ全体に延在する実施形態において、結果生じた製品は、小さなパッチがキルト状に基材バインダー層に付着した外観を有する。
【００１８】
分散可能な吸収性製品は、使用中に破断しない程に十分な一体性を有するべきである。従って、２つの機械的に脆弱化された層の間にバインダー層が配置された３層構造は、好ましくは、少なくとも約１００ｇ／インチ（４０ｇ／ｃｍ）、より好ましくは少なくとも約２００ｇ／インチ（８０ｇ／ｃｍ）、より好ましくは少なくとも約３５０ｇ／インチ（１４０ｇ／ｃｍ）、及び最も好ましくは少なくとも約５００ｇ／インチ（２００ｇ／ｃｍ）の引張り強度を有する。
【００１９】
機械的に脆弱化された層は、繊維性ウェブ又はポリマーフィルムであってもよい。機械的に脆弱化された領域は、層の厚さの少なくとも一部分、即ち、層の厚さの好ましくは少なくとも約３０％、より好ましくは少なくとも約５０％、より好ましくは少なくとも約８５％に延在する。機械的に脆弱化された領域は、層の厚さ全体に延在してもよい。
【００２０】
機械的に脆弱化された層は、おむつ、トレーニングパンツ、女性用衛生製品、成人用失禁製品などの吸収性物品に使用されてもよく、その物品において、機械的に脆弱化された層は、吸収性コアに圧力接着されてもよいし、又は接着剤又はバインダーによって吸収性コアに接合されてもよい。吸収性物品は、１つ以上のかかる層を含んでもよい。機械的に脆弱化された層は、吸収性コアの身体に面する側及び／又は衣類に面する側に付着されてもよい。吸収性コアと任意のバインダー層により、機械的に脆弱化された層を支える構造一体性が得られる。
【００２１】
分散可能な吸収性製品は、シートの形状であってもよい。かかるシートは、使用前の保管、残尿又は他の予定する量の流体の吸収、保管及び使用の個別性、並びに使用後の処分の容易さのために、適切で便利な大きさとすることができる。かかるシートの上面の表面積は、約１０ｃｍ²〜約１０００ｃｍ²、より好ましくは約２０ｃｍ²〜約５００ｃｍ²、最も好ましくは約２５ｃｍ²〜２５０ｃｍ²であってもよい。
【００２２】
シートは、あらゆる数の形状をなすことができ、この形状としては、正方形、長方形、三角形、多角形、円形、楕円形、又はその他曲線形状が挙げられるが、これらに限定されない。シートはまた、脆弱線又は穿孔を有する大きなシート又はロール形状で提供されてもよく、典型的には、その脆弱線又は穿孔が、シートを上述の範囲内の大きさである複数のより小さなシートに分割することを促進することを含む。
【００２３】
シートの厚さを、使用する材料、吸収特性、坪量、密度及び構造、並びに意図する用途によって広く変更してもよい。典型的には、残尿の吸収、又は残留糞便又は経血の洗浄を意図するシートは、約０．３ｍｍ〜約５ｍｍ、好ましくは約０．５ｍｍ〜約２．５ｍｍ、より好ましくは約０．７５ｍｍ〜約２．２ｍｍ、最も好ましくは約０．８ｍｍ〜約２ｍｍの厚さを有する。
【００２４】
機械的に脆弱化された層のそれぞれは、約３０ｇ／ｍ²〜約２５０ｇ／ｍ²、より好ましくは約４０ｇ／ｍ²〜約１５０ｇ／ｍ²、最も好ましくは約５０ｇ／ｍ²〜約１２０ｇ／ｍ²の坪量を有してもよい。これより高いか又は低い坪量は、必ずしも除外されることを意味するものではなく、製品の意図された用途及び使用後の意図された処分手段によっては、望ましいこともある。
【００２５】
水反応性バインダーは、バインター物質が連続して又は実質的に連続して付着した繊維性ウェブ、繊維性マット、フィルム又は層であってもよい。水反応性バインダーは、約１０ｇ／ｍ²〜約２００ｇ／ｍ²、より好ましくは約２５ｇ／ｍ²〜約１２０ｇ／ｍ²、最も好ましくは約５０ｇ／ｍ²〜約１００ｇ／ｍ²の坪量を有してもよい。水反応性バインダーは、ランダムな、又は規則的な（例えば、点、線、らせん、幾何学的形状、装飾的形状など）パターンを有し、不連続的に製品内に配置されてもよい。従って、製品は、少なくとも約１グラム、好ましくは少なくとも約３グラム、より好ましくは少なくとも約１０グラムの水反応性バインダーを含んでもよい。
【００２６】
本発明の分散可能な吸収性製品は、シート以外の形状であってもよく、立方体、（例えば４辺以上の）他の多角形形状、円形又は楕円形の幾何学的形状（例えば、ボール、塊状（ｗａｄ）、円筒形）などの三次元形状を含むが、これらに限定されない。かかる製品の総外表面積は、約１０ｃｍ²〜約１０００ｃｍ²、好ましくは約２０ｃｍ²〜約５００ｃｍ²であってもよい。
【００２７】
使い捨て製品の有利な特徴は、製品の処分により水洗装置又は同様の処分装置の詰まりが生じないということである。これは、使用頻度が高く、且つ／又は詰まりやすい水洗装置を使用している公衆便所において特に重要である。従って、本発明による分散可能な吸収性製品は、便所で行う製品の処分状況をシミュレートする水洗時の分散性の試験において非常に分散可能なものである。水洗時の分散性の試験（ＦＤＴ）については、以下に述べる試験方法において開示する。本発明の分散可能な吸収性製品のＦＤＴスコアは、少なくとも２である。
【００２８】
別の態様において、下記の試験方法の項で述べる分散性評価試験に従って測定される本発明の分散可能な吸収性製品の「分散性の評価」は、２００秒以下、より好ましくは１２０秒以下、より好ましくは９０秒以下、より好ましくは６０秒以下、及び最も好ましくは３０秒以下であってもよい。
【００２９】
本発明の製品は、使用中十分な粘着性を保持するので、意図した容器内で処分する前の製造、保管、分配又は使用の間に、尚早にほぐれたり、さもなくば一体性を失ったりすることはない。従って、本発明の製品の分散性評価は典型的には５秒以上である。非常に分散可能なことに加えて、分散した製品は、使用後に製品がそこを通って流されるオリフィスを通過できなければならない。
【００３０】
繊維性製品又はその他非溶解性物質から製造された分散可能な吸収性製品について、例えば、この製品は分散して個々の繊維又は個々の水で流すことができる繊維断片となるべきであり、かかる断片はまだ粘着性を保持しているが、小さなオリフィスを通過するのに十分な程小さい及び／又はそれに適合するものである。繊維の「断片」は、本明細書で使用するとき、均一な（例えば、正方形であるがこれに限定されない）又は不均一な（例えば、塊、凝集体であるがこれらに限定されない）形状の繊維断片を含んでもよい。繊維の水性スラリーは、場合により、複数の個別化した繊維又は繊維断片を含有するものと考えるべきである。繊維は、オリフィスより長くしてもよいが、それでも、互いに十分に分散して水洗中に従来経験する圧力下でオリフィスを通過するのに合う程十分な可撓性を維持する限り、水で流すことができ、オリフィスをふさぐ、又は詰まらせることはない。溶解するのではなく分散して個別の断片となる非繊維性物質は、オリフィス寸法を通過するのに合う程十分に小さいか又は可撓性でなければならない。
【００３１】
本発明の分散可能な吸収性製品は、処分システム又は配管システムのオリフィスを通過し、腐敗システム、下水システム、又はその他廃棄物処理システムによって水洗されなければならない。本発明で使用される物質は、溶解又は分散して、通過しなければならないオリフィスの大きさよりも僅かに小さい断面を有する断片となることができる。処分装置又は配管システムのオリフィスの典型的な大きさは、約２インチ（５ｃｍ）径である。従って、分散可能な吸収性製品の断片は、最大辺長が約５ｃｍ以下、より好ましくは約４ｃｍ以下、より好ましくは約３ｃｍ以下、より好ましくは約２．５ｃｍ以下の長方形で囲まれた断面を有してもよい。あるいは、可撓性物質で製造された大きなサイズの製品もまた、水洗中に典型的に受ける圧力／渦動下で、処分システム又は配管システム内のオリフィスを通り抜けることができる。さらに、製品は、その構造一体性についての穴、スリット、細片化のような可視的な破損が生じるか、又はより小さい断片に破断され、これにより、さらに下水システム、腐敗システム又はその他廃棄物処理システムにおいて破断されやすくなる。
【００３２】
本発明の分散可能な吸収性製品は、その表面上に堆積した流体を迅速に吸収することができる。さらに、多くの状況において、本発明の製品は、流体が水平から逸れた角度で分散可能な吸収性製品に接触するような状況下で使用されるであろう。故に、本発明の典型的な分散可能な吸収性製品は、製品と接触する流体を迅速に吸収するので、吸収されない流体が製品の表面から流れ落ちるということはない。当技術分野では周知であり、理解されているように、合計吸収能力は、構造材料の選択（材料の化学的性質及び形状並びに材料表面のトポグラフィー）、吸収性構造表面上での液体の接触角、及び構造の孔容積分布によって決まる。製品の毛管圧又は静水圧は、当該技術分野で周知である方法、例えば吸収性要素の表面処理、吸収性要素の孔径、密度及び繊維長の調整により増大させることができるが、これらに限定されない。残尿又は他の流体を吸収するなどの目的に使用する製品は、意図する用途に必要とされる流体量を吸収するのに十分な吸収能力を有し得る。概して、残尿又は他の流体を吸収するのに使用することを意図した分散可能な吸収性製品は、少なくとも０．２ｍｌ、より好ましくは少なくとも０．５ｍｌ、さらにより好ましくは少なくとも０．７ｍｌ、最も好ましくは少なくとも約１．０ｍｌの流体を吸収することができる。
【００３３】
以下に述べる機械的脆弱化方法により、本発明の分散可能な吸収性製品は織目付きの表面を備えることができる。かかる織目付きの表面は、製品に柔軟性と布のような感触とを付与する。さらに、織目付きの表面はロフト及び間隙を含有し、これが製品の吸収性又は液体保持能力を向上させる。さらに、表面テクスチャはまた標的表面と複数の領域で接触するので、製品の洗浄効率が向上する。
【００３４】
本発明の分散可能な吸収性製品は、組成物で予め湿化されてもよい。この組成物は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、鉱油などの低級アルコールを含む単純液体であってもよい。この組成物は、洗浄、コンディショニング、研磨などの意図する用途に適切であるものとして当業者に一般的に既知であるあらゆる組成物であってよく、これについては以下に詳細に述べる。
【００３５】
事前湿化製品の液体充填量は、製品の乾燥重量を基準として約５０重量％〜約５００重量％、好ましくは約７５重量％〜約４００重量％、さらに好ましくは約１００重量％〜約３００重量％の範囲である。典型的には、ウェブは、液体又は組成物を充填すると、幾らかの又は全ての表面テクスチャを失う。驚くべきことに、本発明の事前湿化製品は、特にその表面テクスチャが下記のセルフィング方法により製造される場合には、その表面テクスチャを実質的に保持することが分かった。従って、事前湿化製品は望ましい柔軟性及び布のような感触、並びに乾燥製品の液体保持能力を保持する。
【００３６】
事前湿化製品は長期間（約６ヶ月〜３年）保管されることが多いので、事前湿化製品は使用されるまで十分な構造一体性を保つ必要がある。湿潤強度向上樹脂（例えば、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂）を高い割合で含むことにより、予め湿化された拭き取り布の保存寿命が向上し得ることは、知られている。しかしながら、結果生じた製品の湿潤強度はかなり高いので、水洗処分装置で典型的に受ける圧力／渦動下では容易に分散することはできない。
【００３７】
驚くべきことに、本発明の事前湿化製品は、湿潤強度向上樹脂もバインダーも実質的には必要としていなくてもよく、それでも分散性及び最大約３年の長期保存寿命を達成することが分かった。例えば、少なくとも５０重量％のレーヨンを含む本発明の機械的に脆弱化された繊維性ウェブは、水で予め湿化された場合、最大約３年その構造一体性を保持する。別の実施形態では、分散可能な吸収性製品は１００重量％のレーヨン（即ち、いかなる湿潤強度向上樹脂も含まない）から製造され、この製品は予め水で湿化されているが、３年以上保管しても安定している。予め湿化された状態での保管安定性にもかかわらず、機械的に脆弱化されたウェブは十分に脆弱化された領域を有し、処分装置により典型的に付与される圧力／渦動は、水洗時にウェブを分散可能にするのに十分である。
【００３８】
湿潤強度樹脂又はバインダーを組み込むと、トイレでの水洗に続く製品の破断を向上させることができる。従って、約５重量％未満、好ましくは３重量％未満、より好ましくは１重量％未満、及び最も好ましくは０．５重量％の湿潤強度向上樹脂又はバインダーを本発明の分散可能な吸収性製品に任意選択的に添加してもよい。本発明の製品の分散性は主に構造の機械的脆弱化に左右されるので、より多くの湿潤強度向上樹脂又はバインダーを製品に含ませて、さらに分散可能な製品を達成してもよい。
【００３９】
任意のバインダーとしては、ポリエチレンオキシド、ポリ（エチレン／プロピレン）オキシドなどのポリアルキレンオキシドなどの水溶性ポリマー、ポリビニルアルコール、ビニルアルコールコポリマー、デンプン、及びポリマーの主鎖から懸垂する極性又はイオン性官能基を有する高分子電解質が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、官能基は典型的にはスルホン酸基、カルボン酸基、アクリル酸基、メタクリル酸基及びそれらの混合物を含み、ポリマーの主鎖は典型的にはポリエステル、ポリアクリルアミド、ビニルポリマー、アクリルポリマー、メタクリルポリマー及びそれらのコポリマーを含む。これらの及び他のバインダーは一般には当業者に既知である。製品を分散可能にするのに十分な機械的脆弱化により、一般にはウェブの引張り強度が著しく低下する。典型的には、未脆弱化ウェブの引張り強度を基準として、約９０％、好ましくは約８０％、より好ましくは約７０％、及び最も好ましくは約５０％の低下が、結果として生じた製品を分散可能にさせるのに十分なものである。
【００４０】
しかしながら、機械的に脆弱化された製品は、意図する用途のために十分な構造一体性を保持する必要がある。従って、機械的に脆弱化された製品の残留（即ち、機械的脆弱化方法後の）引張り強度は、望ましくは少なくとも約７０ｇ／インチ（２８ｇ／ｃｍ）、好ましくは少なくとも約１５０ｇ／インチ（６０ｇ／ｃｍ）、より好ましくは少なくとも約２５０ｇ／インチ（１００ｇ／ｃｍ）、及び最も好ましくは少なくとも約５００ｇ／インチ（２００ｇ／ｃｍ）である。
【００４１】
本発明の分散可能な吸収性製品は、尿及び他の水性流体などの流体を吸収できるあらゆる物質から製造されてもよい。これらとしては、天然及び合成繊維、発泡体、スポンジ、泥炭などの天然吸収性物質、並びに粒子間架橋凝集体を含む吸収性多孔質ポリマーマクロ構造が挙げられる。適切な物質としては、繊維及び発泡体を挙げることができる。適切な合成繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエステル、ポリアクリレート、及びこれらのコポリマー、並びにこれらの混合物から製造された繊維を挙げることができる。それらの誘導体、同族体、及び類似体も上記物質に含まれると意図している。別々のポリマー材料の鞘及び芯構造繊維、又は別々である２つの材料のバイアス構造繊維などのコフォーム繊維も含まれると意図している。疎水性の繊維は、水性液体を吸収するのを容易にするために、湿潤剤で処理することができる。毛管路繊維も使用することができる。毛管路繊維は、内部又は外部の毛管路を有する繊維であり、流体の毛管移動を促進する。毛管路繊維は、例えば、トンプソン（Thompson）らに対して１９９３年４月６日に発行された米国特許第５，２００，２４８号に開示されており、これを本明細書において参照により組み込む。
【００４２】
本発明の製品は、繊維性ウェブ又はポリマーフィルムであってもよい。繊維性ウェブは、織性又は不織性であってもよいが、好ましくは不織性である。不織布ウェブ構造体は、エアレイドされてもよいし、湿式載置又はカード処理されてもよい。エアレイドウェブ方法は、湿式載置方法では凝集傾向を有するレーヨン繊維などの長繊維及び／又は親水性繊維に適する。エアレイドウェブは典型的には湿式交絡して構造体をなす。しかしながら、当該技術分野で既知である他の結合方法も本明細書で有用な繊維性ウェブを製造するのに使用されてもよい。本発明での使用に適切な不織布ウェブは典型的には、スフの長さ以上の繊維を、ウェブの重量を基準として典型的には少なくとも約７５％、好ましくは少なくとも約８５％、及びより好ましくは少なくとも約９５％という高い割合で含む。平均繊維長は少なくとも１ｃｍ、好ましくは少なくとも約２ｃｍ、最も好ましくは少なくとも約３ｃｍである。
【００４３】
不織布ウェブは、下記にさらに述べるような、切断、スリット付け、穿孔、幅出し、引張り、リングロール及びその変形などの構造脆弱化方法の適用により機械的に脆弱化される。
【００４４】
本発明において有用な水不溶性生分解性ポリマーとしては、サイ（Tsai）らに対して１９９７年１２月１６日に発行された米国特許第５，６９８，３２２号、オズッキ（Ozcki）らに対して１９９８年６月２日に発行された米国特許第５，７６０，１４４号、サイ（Tsai）らに対して１９９８年６月８日に発行された米国特許第５，９１０，５４５号）、ワング（Wang）らに対して１９９９年８月３１日に発行された米国特許第５，９４５，４８０号、サイ（Tsai）らに対して１９９８年７月９日に発行されたＰＣＴ国際公開特許ＷＯ９８／２９４９３、リンドクイスト（Lindquist）らに対して２０００年７月２７日に発行されたＰＣＴ国際公開特許ＷＯ００／４３５７９に開示されたポリ（乳酸）ポリマー及びそれらのブレンド（これら全てを本明細書において参照により組み込む）、１９９５年２月２１日に発行された米国特許第５，３９１，４２３号（ヌック（Wnuk）ら）に開示されたポリカプロラクトン（本明細書において参照により組み込む）、エル−アファンディ（El-Afandi）らに対して１９９８年１２月１５日に発行された米国特許第５，８４９，４０１号、サイ（Tsai）らに対して１９９９年６月８日に発行された米国特許第５，９１０，５４５号に開示された脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリアルキレンスクシネートポリマー、ポリアルキレンスクシネートアジペートコポリマー、又はそれらの混合物（本明細書において参照により組み込む）、ブチャナン（Buchanan）らに対して１９９４年３月８日に発行された米国特許第５，２９２，７８３号、ブチャナン（Buchanan）らに対して１９９５年８月２９日に発行された米国特許第５，４４６，０７９号、ブチャナン（Buchanan）らに対して１９９７年２月４日に発行された米国特許第５，５５９，８５８号及びブチャナン（Buchanan）らに対して１９９６年１２月３日に発行された米国特許第５，５８０，９１１号に開示された脂肪族−芳香族コポリエステル（本明細書において参照により組み込む）、ティマーマン（Timmerman）らに対して１９９７年７月１日に発行された米国特許第５，６４４，０２０号に開示された脂肪族及び部分的に芳香族のポリエステルアミドを含むポリエステルアミド（本明細書において参照により組み込む）、及びノダ（Noda）に対して１９９６年２月６日に発行された米国特許第５，４８９，４７０号及びノダ（Noda）に対して１９９６年３月１２日に発行された米国特許第５，４９８，６９２号に開示されたポリヒドロキシ酪酸エステル及びポリヒドロキシ酪酸／吉草酸エステルコポリマーを包含するポリヒドロキシアルコエート及びコポリマー（双方を本明細書において参照により組み込む）が挙げられる。
【００４５】
市販されている適切な水不溶性生分解性ポリマーとしては、ポリブチレンスクシネートポリマーが挙げられ、ポリブチレンスクシネートポリマー及びポリブチレンスクシネートアジペートコポリマーは、昭和高分子株式会社（Showa Highpolymer Co.Ltd）（日本、東京）からＢｉｏｎｏｌｌｅ（登録商標）タイプ１０００及び３０００という名称で入手でき、ポリ（テトラメチレン）アジペートエステル−コ−テレフタル酸エステルコポリエステルはイーストマンケミカル社（Eastman Chemical）からＥａｓｔｅｒ（登録商標）生分解性コポリエステル１４７７６という名称で入手でき、脂肪族ポリエステルアミドはバイエル社（Bayer）からＢＡＫ（登録商標）という商標名で入手できる。
【００４６】
本発明で有用な水反応性ポリマーとしては水溶性ポリマーが挙げられる。用語「水溶性」は、本明細書で使用するとき、ポリマー又はそれから製造された物品（例えば、繊維形状、フィルム形状、不織布形状、積層体形状の物品）が、水性環境に曝露されると、完全に又は実質的に可溶化する、溶解する、又は分散することを意味する。水溶性ポリマーが本発明の分散可能な吸収性製品に組み込まれる場合、それらの量を調整して保管安定性を付与する（事前湿化製品の場合）、及び使用中の製品の破断を防止する（乾燥製品の場合）。従って、本発明製品の水溶性ポリマーの重量パーセントは、好ましくは約５０％以下、より好ましくは約３０％以下、さらに好ましくは約１５％以下、及び最も好ましくは約５％以下である。
【００４７】
水溶性ポリマーの非限定例としては、ヒドロキシアルキルセルロース、特にヒドロキシプロピルセルロース、アルキルヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ（エチレン−プロピレン）オキシドなどのポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコールコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジンなどのその他ビニルポリマー、ヌック（Wnuk）らに対して１９９５年２月２１日に発行された米国特許第５，３９１，４２３号に開示されたゼラチン化デンプンなどのデンプン、及びデンプンとエチレン／ビニルアルコールコポリマーとの貫入組織（本明細書において参照により組み込む）、ナイロンコポリマー、アクリル酸コポリマー、ポリエチレングリコール、並びにこれらポリマーの適合性混合物及びブレンドが挙げられる。
【００４８】
適切な市販の水溶性ポリマーとしては、Ｐｏｌｙｏｘ（登録商標）ＷＳＲＮ−１０（分子量１００，０００）、ＷＳＲＮ−８０（分子量２００，０００）及びＷＳＲＮ−７５０（分子量３００，０００）という名称でユニオンカーバイド社（Union Carbide）から入手できるポリエチレンオキシド、及びＶｉｎｅｘ（登録商標）１０９０、２０３４、２０２５、２１４４及び５０３０という名称でエアプロダクツ社（Air Products）から入手できるポリビニルアルコールが挙げられる。
【００４９】
また、本発明で有用な水反応性ポリマーは、水に対する溶解性がゼロに制限された様々な生分解性ポリマーを含んでもよい。「生分解性」は、本明細書で使用するとき、微生物の存在により又はその存在下で、完全に又は実質的に完全に、二酸化炭素、メタン、水、バイオマス及び無機物質に分解され得るポリマー、層、フィルム又は物質を意味する。生分解性可能性は、唯一の炭素及びエネルギー源としての被試験物質を含有する培地及び均質化した活性スラッジの上澄みから得られた希釈細菌接種物からの溶解有機炭素の除去量及び二酸化炭素の発生量を測定することにより推定することができる。分解性の適切な推定方法が記載されているラーソン（Larson）の「生体異物有機化学物質の生分解ポテンシャルの推定（Estimation of Biodegradation Potential of Xenobiotic Organic Chemicals）」応用・環境微生物学（Applied and Environmental Microbiology）、３８巻（１９７９年）、１１５３〜１１６１ページを参照のこと。これらのポリマーは主に好気性環境下で生分解性である。必要ではないが、これらポリマーが嫌気的に生分解性であることもまた望ましい。
【００５０】
１つの実施形態において、レーヨンなどの水不溶性ポリマー繊維は、本発明の分散可能な吸収性製品の主成分として使用される。かかる製品は柔軟性を向上させる。具体的には、かかる分散可能な吸収性製品は、その乾燥重量を基準として、少なくとも約５０重量％、好ましくは少なくとも約７０重量％、より好ましくは少なくとも約８０重量％、より好ましくは少なくとも約９０重量％、より好ましくは少なくとも約９５重量％、及び最も好ましくは１００重量％の水不溶性ポリマー繊維を含有する。水反応性ポリマー繊維が使用される際、分散可能な吸収性製品は、その乾燥重量を基準として、約５重量％〜約５０重量％、より好ましくは約１０重量％〜約４０重量％、最も好ましくはその乾燥重量を基準として約１５重量％〜約２５重量％の水反応性ポリマー繊維を含有してもよい。
【００５１】
分散可能な吸収性製品を乾燥した（即ち、予め湿化されない）状態で適用しようとする場合、この製品はより多量の水反応性ポリマーを含有してもよい。水反応性ポリマーの含有量が、製品の乾燥重量を基準として、約６０重量％、好ましくは約７５重量％、より好ましくは約８５重量％であるのが申し分ない。
【００５２】
別の実施形態において、セルロース性繊維は製品の乾燥重量を基準として約５０重量％〜１００重量％を構成する。セルロール性繊維としては、樹木又は植物（例えば、広葉樹繊維、針葉樹繊維、大麻、綿など）由来の天然繊維、それらのプロセス／再生繊維（例えば、レーヨン）又は化学的に誘導体化された繊維（例えば、セルロースエステル）及びこれらの組合せが挙げられる。適切な広葉樹繊維はユーカリ繊維を含む。適切な広葉樹繊維はクラフト方法又は他の化学的パルプ製造方法により調製されてもよい。適切な針葉樹繊維は米国南部の針葉樹（ＳＳ）繊維及び米国北部の針葉樹（ＮＳ）繊維を含む。本明細書で使用する針葉樹繊維は、化学的（例えば、クラフトパルプであるがこれに限定されない）又は機械的にパルプ化（例えば、熱化学機械パルプ（ＣＴＭＰ）及び熱機械パルプ（ＴＭＰ）であるがこれらに制限されない）してもよい。適切な針葉樹繊維としては、米国南部の針葉樹クラフト（ＳＳＫ）などの化学的にパルプ化されたＳＳ繊維、及び米国北部の針葉樹の熱化学熱機械パルプ（ＣＴＭＰ）及び熱機械パルプ（ＴＭＰ）などの機械的にパルプ化されたＮＳ繊維が挙げられる。
【００５３】
本発明の分散可能な吸収性製品における製造又は使用中の製品一体性は、少なくとも部分的にウェブ構造の引張り強度に依存し、適切な短繊維（例えば、平均繊維長が約７ｍｍ以下のパルプ繊維）は、製品の乾燥重量を基準として約４０重量％未満、好ましくは約２５重量％未満、より好ましくは約１０重量％未満に制限されてもよい。
【００５４】
広葉樹繊維などのより短繊維は、分散可能な吸収性製品の分散性及び水洗性を向上することができる。針葉樹繊維は広葉樹繊維よりも長いものが多く、引張り強度及び製品の一体性を高めると共に広葉樹繊維よりも良好な柔軟性及び高い吸収能力を備える。木材パルプ繊維の平均繊維長は、Ｋａｊａａｎｉ ＦＳ−２００繊維分析器（バルメット社（Valmet）、米国、ジョージア州ノークロス（Norcross,Georgia,USA））により測定される数平均を基準にして決定してもよい。
【００５５】
広葉樹繊維及び針葉樹繊維の組合せを使用するとき、本発明の分散可能な吸収性製品は、その乾燥重量を基準として約５重量％〜約７５重量％、より好ましくは約５重量％〜約５０重量％、最も好ましくは約１０重量％〜約２０重量％の広葉樹繊維、及び製品の乾燥重量を基準として約２５重量％〜約９５重量％、より好ましくは約５０重量％〜約９５重量％、最も好ましくは約８０重量％〜約９０重量％の針葉樹繊維を含有してもよい。さらに、吸収性構造体は、ＳＳＫと米国北部の針葉樹（ＮＳ）繊維（ＣＴＭＰ又はＴＭＰ、好ましくはＣＴＭＰ）の混合物を含んでもよい。吸収性構造体は、製品の乾燥重量を基準として約５重量％〜約７５重量％、より好ましくは約５重量％〜約５０重量％、最も好ましくは約１５重量％〜約４０重量％の米国北部の針葉樹（ＣＴＭＰ又はＴＭＰ）、及び約２０重量％〜約８５重量％、より好ましくは約４５重量％〜約８５重量％の米国南部の針葉樹繊維を含有してもよい。１つの実施形態において、ブレンドは、約１５％の広葉樹、約４０％のＮＳ ＣＴＭＰ及び約４５重量％のＳＳＫを含有する。
【００５６】
吸収性構造はまた、吸収性発泡体を含んでもよい。本発明で使用するのに適切な吸収性発泡体は、デスマライス（DesMarais）らに対して１９９３年１１月９日に発行された米国特許第５，２６０，３４５号、デスマライス（DesMarais）らに対して１９９３年１２月７日に発行された米国特許第５，２６８，２２４号、ダイヤー（Dyer）らに対して１９９５年２月７日に発行された米国特許第５，３８７，２０７号、デスマライス（DesMarais）らに対して１９９６年８月２７日に発行された米国特許第５，５５０，１６７号、ストーン（Stone）らに対して１９９６年１０月８日に発行された米国特許第５，５６３，１７９号、デスマライス（DesMarais）らに対して１９９７年７月２２日に発行された米国特許第５，６５０，２２２号、及びダイヤー（Dyer）らに対して１９９７年７月２２日に発行された米国特許第５，６４９，９２０号に記載されており、これら全てを本明細書において参照により組み込む。
【００５７】
粒子間架橋凝集体を含む多孔質吸収性ポリマーマクロ構造は、ロー（Roe）らに対して１９９２年６月２３日に発行された米国特許第５，１２４，１８８号、ベルグ（Berg）らに対して１９９３年１月１９日に発行された米国特許第５，１８０，６２２号、及びベルグ（Berg）らに対して１９９４年７月１９日に発行された及び米国特許第５，３３０，８２２号に記載されており、これら全てを本明細書において参照により組み込む。
【００５８】
上述のように、本発明の分散可能な吸収性製品は、特に水性状況下で処分されると容易に分散可能になるように、十分な分散可能特性を有するべきである。しかしながら、良好な吸収特性を有する吸収性構造体のほとんどは、少なくとも２のＦＤＴスコアを要する本発明の目的に見合うほど十分に分散可能であるわけではない。例えば、Ｃｈａｒｍｉｎ（登録商標）（プロクター・アンド・ギャンブル社（The Procter & Gamble Company）（オハイオ州シンシナチ（Cincinnati,OH）から入手）又はＣｏｔｔｏｎｅｌｌｅ（登録商標）（キンバリー・クラーク社（Kimberly-Clark Corp）（ウィスコンシン州ニーナ（Neenah,WI）から入手）などの市販のトイレットペーパーのＦＴＤスコアは０である。
【００５９】
分散性の改良は、様々な技法により達成することができる。これらの技法としては、吸収性繊維性ウェブの繊維の交絡を部分的に解除すること、及び／又は吸収性構造体に脆弱領域を組み込むことなどにより、分散可能な吸収性製品を機械的に脆弱化するための様々な技法が挙げられるがこれらに限定されない。脆弱領域としては、連続の脆弱領域及び不連続の脆弱領域（脆弱領域よりも高い引張り強度を有する連続領域により分離されるランダムな又はパターン化された脆弱領域を含むが、これらに限定されない）が挙げられるが、これらに限定されない。連続する脆弱領域としては、吸収性構造体又は吸収性構造内の繊維の伸張されるか又は部分的に交絡解除された領域のスリット及び線状領域（又は「ライン」）が挙げられるが、これらに限定されない。不連続の脆弱領域としては、スリット及び穿孔、並びに吸収性構造体の高密度領域に囲まれる伸張した、即ち低密度の吸収性構造体又は部分的に分離した繊維が挙げられるが、これらに限定されない。吸収性構造体の「個別断片」は、本明細書で使用するとき、脆弱領域により隣接する個別断片から分離される吸収性構造体の断片を指す。
【００６０】
一実施形態において、吸収性構造体の個別断片はウェブの厚み全体に延在する脆弱領域により分離されるので、吸収性構造体の要素は隣接する断片間の間隙を橋絡していない。別の実施形態において、脆弱領域は吸収性構造体の厚みの一部に延在する刻み目、即ちスリットである。さらに別の実施形態において、脆弱領域は、隣接する断片よりも低密度ではあるが、繊維が隣接する断片間の脆弱線にわたる間隙を橋絡する低密度の脆弱領域である。別の実施形態において、脆弱領域は繊維の部分的に交絡解除された領域である。繊維性ウェブ、特に不織布ウェブは、繊維の交絡を部分的に解除することにより、機械的に脆弱化してもよい。これは、ウェブ全体で、又は交絡解除されていない繊維を部分的に保持しつつ、ウェブの一部で行われてもよい。
【００６１】
ウェブ物質繊維の部分的な交絡解除は、当該技術分野において既知であるようないかなる方法によっても達成することができる。１つの実施形態において、シッソン（Sisson）らに対して１９７８年８月１５日に発行された米国特許第４，１０７，３６４号、ウェーバー（G.M.Weber）らに対して１９７２年９月１日に発行された米国特許第５，１４３，６７９号、ブエル（K.B.Buell）らに対して１９９２年１０月２０日に発行された米国特許第５，１５６，７９３号、及びウェーバー（G.M.Weber）らに対して１９９２年１２月１日に発行された米国特許第５，１６７，８９７号（これら全てを本明細書において参照により組み込む）に記載されたような波形化又は「リングロール」として記載された方法にて、ウェブは溝付き又は模様付きロール間のニップを通過することができる。修正されたリングロール方法（例えば、セルフィング）は、チャッペル（Chappell）らに対して１９９６年５月２１日に発行された米国特許第５，５１８，８０号、アンダーソン（Anderson）らに対して１９９７年７月２２日に発行された米国特許第５，６５０，２１４号、及びベンソン（Benson）らに対して２０００年９月５日に発行された米国特許第６，１１４，２６３号、アンダーソン（Anderson）らによって２０００年９月２５日に出願された米国特許出願第０９／６６９，３２９号に記載されており、これら全てを本明細書において参照により組み込む。
【００６２】
リングロール方法は、吸収性構造体を伸長させることにより、部分的にそれらの交絡を解除するという効果を有する。典型的には、リングロール方法はまた局部的に密度を低下させ、柔軟性及び吸収能力を向上させる。具体的には、リングロール方法は、ウェブ内の繊維の限られた弾性を利用し、それによりロールの歯によって加えられた伸張力下でウェブを部分的に破断する（即ち、繊維は、部分的に交絡解除され、伸長され、又は切断される）。リングロール方法をレーヨン及び他のセルロース性繊維などの比較的非伸張性の繊維から製造された繊維性ウェブ構造体に適用する際、ウェブの破断がより高い程度で生じ、結果として局部的に繊維密度をより著しく低下させるので、より著しい機械的脆弱化を行うことができる。かかる機械的に脆弱化された領域は、水洗装置の圧力下で破断しやすく、結果として水で流したときの分散性が良好になる。さらに、その程度の低伸長性であるこれら繊維性ウェブの機械的脆弱化は、典型的には、ポリオレフィンなどのより伸長性の物質で製造された伝統的なリングロールウェブでは達成されない。
【００６３】
この製品が水洗により分散可能であるためには、脆弱領域は、典型的には、製品の全表面積の少なくとも約２０％、好ましくは少なくとも約４０％、より好ましくは少なくとも約５０％、より好ましくは少なくとも約７５％、及び最も好ましくは少なくとも約９０％を構成する。
【００６４】
繊維性及び非繊維性吸収性構造は、分散性を促進すべく、脆弱領域を組み込んでいてもよい。脆弱領域は、構造体が断続的なスリット（即ち不連続のスリット又は穿孔）又は連続するスリットなどの領域を含み、どちらの場合も、少なくとも吸収性構造体の厚みの一部に、任意選択的にはその厚み全体に延在するが、これらに限定されないことを意味する。リングロールなどの方法を行うことによりスリット（一般には、連続する脆弱領域）又は部分的に分離した繊維により特徴付けられる連続する脆弱領域が得られ、後者の場合、リングロール中にウェブが伸張されて、伸張領域の繊維密度は低下する。
【００６５】
１つの実施形態において、脆弱領域は、吸収性構造体の厚さの５０％超過、任意選択的には吸収性構造体の厚さ全体に延在する。かかる脆弱領域は、連続するスリット、又は不連続の穿孔若しくはスリットの形状である。
【００６６】
当業者にとって明らかなように、脆弱領域は、多数の技法により分散可能な吸収性製品に組み込んでもよい。脆弱領域を導入する適切な方途としては、ブレードにより製品を切断するか又は製品にスリット付けし、抄紙方法で使用するような模様形成ワイヤ又はウェブなどにより、吸収性構造体をそれに組み込んだ脆弱領域と共に最初に形成し、加工中、ウェブの高張力点を破断又は破壊するような条件下で製品をリングロール又はその変形（例えば、セルフィング）に供することが挙げられるが、これらに限定されない。これらの条件下でのリングロール及びセルフィングは、処理するウェブ物質の種類、ロール歯のピッチ、及びロールの対向歯の係合度合いに応じる。具体的に、平均繊維長が少なくとも約１ｃｍ、好ましくは少なくとも２ｃｍ、より好ましくは少なくとも約３ｃｍのスフ以上の長さの繊維を高い割合で使用することは、吸収性構造体の厚さの一部に延在するスリット形状の脆弱領域、特に、吸収性構造体の厚さの少なくとも５０％又は厚さ全体に延在する脆弱領域を導入することが望ましいリングロール方法に適切であるということが分かった。
【００６７】
別の実施形態において、脆弱領域は、部分的に交絡解除された繊維又は部分的に分離した繊維の形状で提供され、より高い引張り強度及び密度を有する隣接領域と比べて密度が低い。かかる製品は、前述のリングロール又はセルフィングによって製造されてもよい。具体的に、針葉樹繊維などの長繊維、又はかかる長繊維と短繊維とのブレンドを使用することは、かかる脆弱領域形状をなす部分的に交絡解除されるか又は脆弱化された繊維で製品を製造するためのリングロール又はセルフィングに適切であることが分かった。
【００６８】
さらに、以下に詳細に述べるリングロール又はセルフィング方法に従って、伸張／脆弱化工程中に増量の水又は他の液体をウェブ内に混入することにより、繊維密度低下領域の形成をさらに促進し、繊維性ウェブが全体的に分裂する（スリット、孔を生じる）のを最小限に抑えられる。理論によって限定されることはないが、水又は他の液体の添加は摩擦係数を低下させ、繊維性ウェブ及びロール歯間の引張り点での滑りを促進することができると考えられている。従って、繊維性ウェブが受ける引張り点での摩耗及び破壊が低減する。従って、ウェブは歯とより深く係合して加工を終えることができる。結果として生じたウェブの表面はより顕著なテクスチャを有し、それにより柔軟性、布のような感触が向上するので消費者の嗜好を満たし、また、吸収性が向上するので製品の機能的要件を満たす。一般に、リングロール中に約０．０００１ｍｌ／平方ｃｍ〜約０．００４ｍｌ／ｃｍ²の水がウェブ表面に含まれることにより、部分的に交絡解除された繊維からなる低密度領域形態の脆弱領域を有する所望の製品が製造される。
【００６９】
図３を参照すると、上部ロール５０２及び下部ロール５０４を有する一対の典型的なセルフィングロール５００が示されており、これらのロールは、本発明による繊維性ウェブを機械的に脆弱化するのに適切である。ロール５０２は、ロールの長手方向軸Ｂ−Ｂ’に垂直に延在する隆起線５０６ａを備えた円形の歯列５０６を有する。歯列５０６は切欠き５０８を有し、この切欠き５０８は非機械的弱化領域を付与するものである。切欠き５０８は、本発明の方法及び製品の任意の機構である。切欠きは完成品の吸収性構造体における模様又はテクスチャを形成する。図３に示すように、下部ロール５０４は、ロールの長手方向軸Ｂ−Ｂ’に垂直に延在する隆起線５１０ａを有する歯列５１０を有し、これらの歯列５１０には切欠きがない。ロール５０２及び５０４は、使用中歯列５０６が歯列５１０間のほぼ中間点に整列するように並ぶ。
【００７０】
具体的な方法パラメータは、具体的な使用物質及び所望の機械的脆弱度により広く変更してもよい。使用できる方法条件は、例えば、本明細書において参照により組み込む上述のセルフィングに関する参考文献に記載されている。本発明の幾つかの実施形態の場合、Ｂ−Ｂ’方向の歯列間の間隔は、約０．０２インチ（０．０５ｃｍ）〜約０．２５インチ（１．２５ｃｍ）、より好ましくは約０．０４インチ（０．１ｃｍ）〜約０．２０インチ（０．５１ｃｍ）、より好ましくは約０．０６インチ（０．１５ｃｍ）〜約０．１５インチ（０．３８ｃｍ）、最も好ましくは約０．１インチ（０．２５ｃｍ）であり、歯の深さは、約０．０８インチ（０．２０ｃｍ）〜約０．２５インチ（０．６４ｃｍ）、好ましくは約０．０８インチ（０．２０ｃｍ）〜約０．１８インチ（０．４６ｃｍ）であり、歯のピッチは、ウェブの厚さ及び他のロール寸法を考慮すると、加工中にウェブが歯の間に挟まれない程度で十分であり、対向するロールの歯間の係合度は、約０．０２０インチ（約０．００５ｃｍ）〜約０．２０インチ（約０．０５ｃｍ）、好ましくは約０．０４インチ（約０．１ｃｍ）〜約０．１５インチ（約０．３８ｃｍ）及び最も好ましくは約０．０６インチ（約０．１５ｃｍ）〜約０．１インチ（約０．２５ｃｍ）である。上記のパラメータは、本発明にて異なる製品を製造するのに使用するためのこれより下又は上の値の選択を除外することを意味するものではない。
【００７１】
本発明の別の実施形態において、ウェブ構造体は、レーヨン、他のセルロース性繊維、ポリ乳酸繊維又はこれら繊維のブレンドから製造されてもよく、かかる繊維又は繊維のブレンドの平均繊維長は、少なくとも約１ｃｍ、より好ましくは少なくとも約２ｃｍ、より好ましくは少なくとも約３ｃｍである。ウェブ構造体はさらに他のセルロース性繊維、例えば針葉樹繊維、特に化学的にパルプ化された針葉樹繊維、又は針葉樹繊維及び広葉樹繊維のブレンドなどを含んでもよい。別の実施形態において、ウェブ構造体は少なくとも約２５％の針葉樹繊維、より好ましくは少なくとも約５０％の針葉樹繊維、最も好ましくは少なくとも約８０％の針葉樹繊維を含有する。これらの種類の木材繊維の相対的な割合は前述した通りである。
【００７２】
本発明の１つの実施形態において、２つの不織布ウェブ３００、３０１は、まず、機械方向（ＭＤ）及び横機械方向（ＣＤ）に、交差する平行な線３０２、３０３に従って穿孔される。次いで、これらのウェブは、ウェブ間の接着剤としての水反応性バインダーであるポリビニルアルコール（ＰＶＯＨ）フィルムと積層される。この積層は、図１ａ及び図１ｂに例証されるように、穿孔線３０２、３０３をずらすようにして行われる。結果生じた３層構造体は、次いで、リングロール方法によりＣＤ及びＭＤ方向に機械的に脆弱化される。伸張性の違いのため、より高い弾性のＰＶＯＨフィルムは実質的には不変のままであるが、より低い弾性の穿孔ウェブは、主に脆弱化された穿孔線３０２、３０３に沿ってさらに脆弱化され、結果生じた構造体は、小さい個別断片に分離され、共に構造体を保持する連続的なＰＶＯＨフィルムに付着された２つのずれた不織布ウェブ層を有する。構造体は、トイレ内に置かれると簡単に分解して小さな個別断片になり、これらの断片は容易に配管システムを通過する。大量の水に曝されると、水反応性ＰＶＯＨは脆弱化／溶解し、典型的に水洗トイレで受ける剪断／渦動によって小さなウェブ断片がＰＶＯＨフィルムから引きはがされる。別の実施形態では、まず、２つの不織布ウェブは、ウェブ間の接着剤としてポリビニルアルコールフィルムを使用して積層される。次いで、結果生じた３層構造体の両方のウェブは、ＣＤ及びＭＤ方向に、交差する平行線３０２、３０３に従って切断される。この切断は、図１ａ及び図１ｂに例証されるように、穿孔線をずらすようにして行われる。これにより、小さい個別断片に分離した２つのずれた不織布ウェブ層が得られ、共に３層複合体を保持するこれらの不織布ウェブ層の間には連続するＰＶＯＨフィルムが設けられている。結果生じた積層体は、主に穿孔線３０２、３０３に沿って切断ウェブを引き裂くために、本明細書で開示された脆弱化方法によってさらに脆弱化される。適切な穿孔後の脆弱化方法としては、リングロール及びその修正形（例えばセルフィング）、幅出し、引張りが挙げられる。また、切断又は穿孔のそれぞれは、幾何学的形状（例えば、三角形、円形、正方形、菱形）又は他の装飾的形状であってもよい。装飾的形状の非限定例としては、動物の形状、花又は植物の形状、漫画のキャラクターが挙げられる。
【００７３】
代替実施形態において、少なくとも１つの不織布ウェブ又はポリマーフィルムは、吸収性コアの表面に接合され、次いで、穿孔されるか、さもなければ機械的に脆弱化されて小さな断片になる。ウェブ又はフィルムは、吸収性コアに圧力接着されてもよいし、水反応性バインダーであり得る接着層により吸収性コアに接合されてもよい。吸収性コア及び／又はバインダー層は、脆弱化ウェブ又はフィルムを支える構造一体性を付与する。
【００７４】
別の実施形態において、不織布ウェブ又はポリマーフィルムは、まずＣＤ及びＭＤ方向に交差する平行な線３０２、３０３に従って穿孔される。他の機械的脆弱化方法を使用してもよい。結果生じた脆弱化ウェブ又はフィルムは、望ましくは取り扱うのに十分な一体性を保持する。脆弱化ウェブ又はフィルムは、ＰＶＯＨなどのバインダーを使用して吸収性コアに接合される。
【００７５】
あるいは、上述のような３層積層体が吸収性コアに接合されてもよい。吸収性コアは、脆弱化ウェブ又はフィルムを両面に接合させてもよい。上記実施形態のこれらの及び他の変形例も考えられる。
【００７６】
図４を参照すると、上部ロール５５２及び下部ロール５５４を有する１組のロール５５０が示されており、これらロールはそれぞれ軸Ｃ’−Ｃ”を中心としてロール５５２、５５４の外周に円筒形状に延在する歯５５６の列５５５を備える。歯５５６の列５５５は非作動溝５５８により分離される。歯５５６は、軸Ｃ’−Ｃ”に平行な方向に延在する隆起線５５６ａを有する。溝５５８は、任意であり、本発明の目的にとり本質的ではない。任意選択的には、歯５５６は、歯５５６又は歯の隆起線５５６ａに対して溝他の中断するものを持たないロールの幅に沿って連続的に延在してもよい。ロール５５０は、上述したのと同じ範囲の歯の間隔、深さ及び使用中の係合度を有してもよい。
【００７７】
１つの実施形態において、吸収性構造体は、少なくとも２組のセルフィングロールによって脆弱化され、一方の組のセルフィングロールは、図３に示されるように、ロールの長手方向軸に垂直な方向に延在する歯を有し、他方の組のセルフィングロールは、図４に示されるように、ロールの長手方向軸に平行な方向に延在する歯を有する。
【００７８】
本発明のリングロール工程又はセルフィング工程のそれぞれは、ロール歯と平行方向に分散可能な吸収性製品の脆弱領域を付与する。従って、複数の直交脆弱領域（即ち、図１及び２に示すように、平行方向に脆弱な第一の領域の組及び鉛直方向に脆弱な垂直領域の組）を付与するロールを使用することにより、グリッドパターンをなす脆弱領域を有するウェブ構造体が得られる。脆弱領域は互いに垂直又は平行である必要はなく、様々な角度をなす脆弱領域もまた本発明内のものであることが認識される。
【００７９】
図２に示されるような製品の製造方法の別の実施形態において、第２のセルフィングロール組が図４に示される、但し、歯の隆起線はセルフィングロールの軸に沿って連続的に延在し、即ち別個の歯列に分かれていない。
【００８０】
非連続脆弱領域は、歯の外周に沿って複数の切欠きを有するロールでセルフィングすることによって得られる。かかる切欠きを有する歯は、ウェブ構造体上で１つの又は複数の方向にウェブを伸張するのに使用することができ、例えば、第２のロール適用は、第１のロール適用に対して垂直である。さらに、切欠きを有する歯と有さない歯を組合せてロールに使用してもよい。さらに、あらゆる具体的な伸張工程における歯は、切欠きを有する歯と有さない歯の組合せを含んでもよい。
【００８１】
非限定的な幅出し又は引張りなどの他の方法もウェブを伸張し脆弱化するのに使用してもよい。引張り方法はロール速度の差により行われる。例えば、引取ロールは、送りロール及び／又は成形ロールよりも高速で作動してもよく、それによりウェブは機械方向に引張り力を受ける。一方、切断、リングロール及び修正リングロール方法は局部的な脆弱化を生じ、幅出し及び引張り方法は、より広範囲でのウェブの脆弱化（即ち、結果として生じたウェブは実質的には均質に脆弱化されている）を生じる傾向にある。この態様において、広範囲での脆弱化方法は、ウェブを局部的に脆弱化する第１脆弱化方法によってウェブが部分的に又は実質的に脆弱化した後の第２方法として適切である。従って、切断、リングロール及び修正リングロール（即ち、セルフィング）は第１の脆弱化プロセスであり、引張り及び幅出し方法は第２の脆弱化プロセスである。
【００８２】
図５及び図６は、本発明の例示的実施形態の写真であり、この実施形態は、互いに直交する２方向に分散可能な吸収性製品をセルフィングして、部分的に交絡解除された繊維（写真に水平に存在する明色の平行領域として図５及び図６に示されている）の平行な領域である脆弱領域のパターンを形成することにより製造することができる。部分的に交絡解除した繊維からなる一連の平行及び垂直領域は、あまり明確ではないが識別でき、これらはまた明色の領域として存在するものである。図５は上面図である。図６は下面図である。暗色の領域は、セルフィング工程により部分的に交絡解除していない吸収性構造体の部分に対応する。図５及び図６の水平な脆弱領域は、あまりはっきりとは識別できない垂直な脆弱領域が一般にセルフィング工程の第１工程により形成されるのに対して、一般に、連続する２つのセルフィング工程のうちの第２工程により形成される。
【００８３】
図２は、分散可能な吸収性製品１００の例示実施形態の上面図を示す図であり、この製品１００は、例えば図５及び図６に示されたタイプの製品であり、繊維性ウェブ構造体１２を有し、その非交絡解除領域１８は、部分的に交絡解除された繊維１４の水平領域及び部分的に交絡解除された繊維１６の垂直領域によって分離されている。部分的に交絡解除された繊維１４、１６の水平領域と垂直領域との交差領域１０は、２つのセルフィング工程の結果、水平及び垂直方向に部分的に交絡解除される。図２に示されるような分散可能な吸収性製品は、針葉樹繊維又は他の比較的長い繊維（例えば、レーヨン）、又はかかる長繊維タイプと広葉樹繊維とのブレンドを使用して製造されてもよい。ある実施形態において、繊維性ウェブは１００％レーヨンから製造される。別の実施形態において、繊維性ウェブは７５％の木材パルプ、１３％のレーヨン及び１２％のラテックスバインダー（例えば、ポリビニルアセテートラテックス、アクリルコポリマーラテックス、スチレン−ブタジエンコポリマーラテックス）のブレンドから製造される。
【００８４】
図２に対応する別の実施形態において、脆弱部１４、１６は、部分的に交絡解除された繊維の連続領域であってもよく、これらの領域はさらに、繊維の機械的に脆弱化されていない領域の隣接領域と比べて低密度領域であることを特徴とする。かかる脆弱領域１４、１６は、製品が迅速に分散して個々の繊維、又は繊維の小塊、凝集体若しくは断片、又はこれらの組合せになるのを助ける。あるいは、ウェブ構造体は、非脆弱領域により分離され、あるパターン（ランダムなパターン、又は本特定実施形態では非ランダムなパターン）をなして配置された複数の脆弱領域有するものと考えられる。
【００８５】
本発明の製品は、広範な目的、例えば、トイレットペーパー（例えば、残尿又は他の体液を吸収するため、残留する排泄物を拭き取るため）、肛門、腋窩、首、手、足及び／又は顔などの多様な身体部分を洗浄するための拭き取り布又は同様の製品、ガラスクリーナー、台所掃除、家具掃除、風呂掃除などの家庭用及び硬質表面洗浄用拭き取り布、あらゆる硬質表面洗浄用途並びに化学製品の溢出を含む工業用洗浄製品及び流体吸収製品、皮膚及び顔洗浄などのパーソナルケア用途、化粧、コンディショナー、及び／又は皮膚に対するヘルスケア活性剤の塗布又は除去、布地及びテキスタイルの洗浄及び／又は拭き取り、よだれ掛け及びおむつなどのベビーケア製品、及び包帯などのヘルスケア製品のために使用できるが、これらに限定されない。
【００８６】
製品は様々な形状及び大きさであってもよい。製品はシートの形状であってもよい。かかるシートはさらに様々な形状及び大きさであってもよく、さらに本発明の吸収性シートを含む外側、内側領域、及び手、指、又は身体付属器官又は装置を挿入する開口部を有する、ミット又はグローブなどのほぼくるんだ製品の形状であってもよい。かかるほぼくるんだ製品は、２つの平行なシートを、縁の少なくとも一部を接着せずに残しつつ、接着剤などで互いに縁で貼り合わせることにより、身体付属器官又は装置を挿入できる開口部を形成して製造されることができる。
【００８７】
事前湿化製品のための適切な組成物としては、水、低級アルコール（例えばメタノール、エタノール、プロパノール）などの単純液体、湿潤剤（例えば、グリセリン又はプロピレングリコール）、フィルム形成剤（例えば、鉱油又はシリコーン）、及びこれらの組合せが挙げられるが、これに限定されない。適切な組成物としては、また、吸収性ポリマーゲル状物質（例えば、部分的に架橋されたポリアクリル酸／アクリル酸塩、又は一般に吸収性物品に見られる他の超吸収性ゲル状物質）、抗菌剤、芳香剤、皮膚コンディショニング剤、皮膚又は顔用クレンジング剤、臭い吸収剤（例えば、シクロデキストリン類、アルミナ、シリカ、炭素類）、家庭用又は硬質表面用洗浄剤、防腐剤及び染料が挙げられるが、これらに限定されない。適切な組成物の非限定例は、米国特許第４，５７５，８９１号、第４，９１７，８２３号、第４，９４１，９９５号、第５，５２５，３４５号、第５，５８５，１０４号、第５，６４３，５８８号、第５，６４５，８２５号、第５，６４８，０８３号、第５，６８６，０８８号、第５，７２０，９６６号、第５，７２６，１３９号、第５，８７１，７６２号、第５，９３２，５２７号、第５，９６５，１１５号、第６，０６３，３９７号、第６，０９３，４１０号、第６，１５３，２０９号、第６，１８３，７６３号、及び米国特許出願第０９／１４８，５４０号に記載されており、これらの全てを本明細書において参照により組み込む。
【００８８】
本発明の予め湿化された実施形態を調製する際に、意図する用途に適切な組成物は基材ウェブの少なくとも１つの表面に塗布される。この組成物は、製品の製造中であればいつでも塗布してよい。典型的には、この組成物は、ウェブを機械的に脆弱化した後にウェブに塗布される。流体又は半固体濃度を有する組成物を均等に分配する様々な塗布方法を使用してもよい。適切な方法としては、噴霧、浸漬、印刷（例えば、フレキソ印刷）、コーティング（例えば、グラビアコーティング又はフラッドコーティング）、押出コーティング、又はこれら塗布手法の組合せが挙げられる。
【００８９】
組成物は、均一に又は非均一に製品の片面又は両面に塗布されてもよい。この組成物はまた、あるパターン（即ち、ストライプ、ボックス、点、らせんなど）で塗布されてもよい。非均一とは、例えば、組成物の分配量、パターンなどが基材表面上で異なり得ることを意味する。１つの実施形態において、基材表面の幾つかは、より多いか又はより少ない量の組成物を有していてもよく、例えば、表面上に組成物を全く有さない表面部分を有する。組成物の塗布量は、基材ウェブの重量を基準として、約０．５ｇ／ｇ〜１０ｇ／ｇ、好ましくは１．０ｇ／ｇ〜５ｇ／ｇ、最も好ましくは２ｇ／ｇ〜４ｇ／ｇであってもよい。
【００９０】
（試験方法）
水洗時の分散性の試験
この試験は、製品がトイレで受ける処分状況をシミュレートするものである。
【００９１】
装置：
システムは、５９フィート（１８ｍ）、直径４インチ（１０ｃｍ）のＩＤ排水管に接続された米国標準トイレ（１．６ガロン／水洗［６．１リットル／フラッシュ］）からなる。この米国標準トイレは、トラップ内の詰まりに関して最悪のケースを示す。排水管は約１５フィート（４．６ｍ）ごとに９０°の曲部を有するので、正方形状に構成される。このシステムは、便器と排水管端部の間の高さを２％低下して構成される。排水管の終端からおよそ１５フィート（４．６ｍ）のところが、セメントの塊で部分的に閉塞されている（総断面積の約１０％）。これは排水管の障害物をシミュレートしており、製品が部分的に閉塞された排水管内に堆積し、残存し、且つ排水管内の詰まりの原因となる可能性を測定するのに使用される。
【００９２】
試験製品／充填
試験製品を便器内に据置し、１０秒間保持する。次にシステムの水を流す。排水管を通過した後に製品を回収し、平らに置いて分散性を評価する（下記参照）。この試験を繰り返して、１０個の製品を流す。
【００９３】
分散性の評価
排水管シーブから各製品を回収したら、下記の尺度で分散性を評価する。
【００９４】
【表１】

１０個の製品を流し、少なくとも平均が「２」の分散性の評価を達成しなければならない。最も好ましいのは、分散性の評価が「３」であることである。
【００９５】
張力試験
インストロンエンジニアリング社（Instron Engineering Corp.）（マサチューセッツ州キャントン（Canton,MA））又はシンテックエムティーエスシステムズ社（SINTECH-MTS Systems Corporation）（ミネソタ州エデンプレーリー（Eden Prairie,MN））から市販されている張力テスターを本試験に使用してもよい。ＣＤ張力特性については、フィルム又は積層体を切断してＭＤ（フィルム／積層体の機械方向）幅１インチ（２．５センチ）×ＣＤ（ＭＤに対して９０°である横機械方向）長さ２インチ（５センチ）の標本とする。ＭＤ張力特性については、フィルム／積層体の配向を９０°回転する。試験速度及び他の試験パラメータを制御し、データを収集、計算及び報告するために器具をコンピュータとつなぐ。これらの張力特性を室温（約２０℃）で測定する。手順は以下の通りである。
【００９６】
１．試験用に適当なジョーとロードセルを選択する。ジョーはサンプルにフィットするに十分な程幅広であるべきであり、典型的には１インチ（２．５ｃｍ）幅のジョーを使用する。被試験サンプルからの張力応答が、使用するロードセルの容量以内であるようにロードセルを選択する。典型的には５０ポンド（２３ｋｇ）のロードセルを使用する。
２．製造業者の指示に従って器具を較正する。
３．ゲージの長さを２インチ（５ｃｍ）に設定する。
４．製造業者の指示に従ってジョーの平らな表面にサンプルを置く。
５．クロスヘッド速度を一定速度２０インチ／分（５０ｃｍ／分）に設定する。
６．試験を開始し、同時にデータを収集する。
７．張力特性を計算し報告する。５つのサンプルからなる組の平均結果が報告される。
【００９７】
分散性の評価
分散性は、修正した日本工業規格（ＪＩＳ）試験Ｐ４５０１−１９９３により評価する。８００ｍｌの目盛り付き円筒形グリフィン（Griffin）ビーカー（６．３ｃｍ×１５．２ｃｍ、ＶＷＲ科学製品（Scientific Products）のカタログＮｏ．１３９１０−２６７、１９９７／１９９８など）に２３℃の脱イオン（ＤＩ）水を３００ｍｌ入れ、３５ｍｍ直径のマグネチック・スターヘッド撹拌円板（最大厚さ１２ｍｍ、スターヘッド突出しが両側から延びる、ＶＷＲ科学製品（VWR Scientific Products）のカタログＮｏ．５８９４８−５６８，９７／９８から入手可能なものなど、又は同等品）を備えてマグネチック撹拌板セットの上に置き、撹拌円板を毎分６００回転（ｒｐｍ）にて回転させる。
【００９８】
吸収性製品の０．３８グラムサンプルを、温度２０℃（＋／−５℃）及び相対湿度６５％（＋／−５％）にて平衡するまで事前調整する。試験する製品が０．３８グラムより少ない場合には、多数の製品又は多数の製品の部分を使用して、合計重量を０．３８グラムまで増加させる。試験する製品が０．３８グラムを超える場合には、製品の大きさを小さくして、製品の０．３８グラム分を試験するようにする。本試験により試験する製品サンプルは、合計外表面積が少なくとも２０ｃｍ²。０．３８グラムに減量した製品サンプルの合計外表面積が２０ｃｍ²未満である場合、合計表面積が２０ｃｍ²となるように、製品のより大きなサンプルを本試験に使用しなければならない。
【００９９】
サンプルを撹拌によって生じた渦の中心へ落とし、撹拌バーの回転速度を低下させ、同時にストップウォッチをスタートさせる。撹拌バーが回転速度を上げて５４０ｒｐｍになるまでの秒での時間を、分散性の評価として記録する。ビーカーへのサンプルの添加により、回転円板が回転の自然軸から中心ずれを起こした場合、又は回転が止まった場合、その試験は無効となり、製品の新しいサンプルで繰り返さなければならない。
【０１００】
本発明の特定の実施形態を説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多様な他の変更及び修正が可能であることは、当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【０１０１】
【図１ａ】本発明の分散可能な吸収性製品の上面図である。
【図１ｂ】本発明の分散可能な吸収性製品の断面図である。
【図２】本発明の分散可能な吸収性製品の代替実施形態の上面図である。
【図３】本発明の分散可能な吸収性製品の製造に有用な１組のセルフィングロールを示す。
【図４】本発明の分散可能な吸収性製品の製造に有用な１組のリングロールを示す。
【図５】本発明の実施形態の上平面図を示す４倍率写真である。
【図６】図５の製品の下平面図を示す４倍率写真である。

Claims (15)

1. 分散可能な吸収性製品であって、
   少なくとも第１の機械的に脆弱化された領域を有する第１層と、
   少なくとも第２の機械的に脆弱化された領域を有する第２層とを含み、
   前記第１及び第２の機械的に脆弱化された領域はｚ方向にずれており、
   前記製品は、少なくとも１００ｇ／インチ（３９．４ｇ／ｃｍ）の引張り強度を有し、水で流すことができることを特徴とする分散可能な吸収性製品。
2. 前記第１層及び前記第２層の間に配置された水反応性バインダーをさらに含み、製品は水で流すことができることを特徴とする請求項１に記載の分散可能な吸収性製品。
3. 前記第１層及び第２層の間に配置され、対向する第１表面及び第２表面を有する吸収性コアと、
   前記吸収性コアの第１表面と前記第１層との間に配置された第１の水反応性バインダーと、
   前記吸収性コアの第２表面と前記第２層との間に配置された第２の水反応性バインダーとをさらに含むことを特徴とする請求項１に記載の分散可能な吸収性製品。
4. 前記第１層又は前記第２層が繊維性ウェブ又はポリマーフィルムであることを特徴とする請求項１から３のいずれか一項に記載の分散可能な吸収性製品。
5. 前記第１層又は前記第２層は、その引張り強度が、少なくとも５０％、好ましくは少なくとも７０％、及びより好ましくは少なくとも８０％減少していることを特徴とする請求項１から４のいずれか一項に記載の分散可能な吸収性製品。
6. 前記第１層又は前記第２層が、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、脂肪族ポリアルキレンスクシネート、ポリアルキレンスクシネートアジペートコポリマー及びこれらの混合物、セルロース性ポリマー及びこれらの誘導体、脂肪族−芳香族コポリエステル、ポリエステルアミド、ポリヒドロキシアルコエート、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含むことを特徴とする請求項１から５のいずれか一項に記載の分散可能な吸収性製品。
7. 前記第１層又は前記第２層は、少なくとも５０重量％のレーヨンを含むことを特徴とする請求項１から６のいずれか一項に記載の分散可能な吸収性製品。
8. 前記第１層又は前記第２層は、平均の長さが１ｃｍ以上の繊維を含むことを特徴とする請求項１から７のいずれか一項に記載の分散可能な吸収性製品。
9. 製品の乾燥重量を基準として、５０重量％〜５００重量％の液体組成物を含むことを特徴とする請求項１から８のいずれか一項に記載の分散可能な吸収性製品。
10. 前記機械的に脆弱化された領域が、部分的に交絡解除された繊維、部分的に伸長された繊維、切断された繊維、又はこれらの組合せを含むことを特徴とする請求項１から９のいずれか一項に記載の分散可能な吸収性製品。
11. 前記第１層又は前記第２層は、穿孔、切断、スリット付け、リングロール、セルフィング、及びこれらの組合せからなる群から選択される方法によって機械的に脆弱化されることを特徴とする請求項１から１０のいずれか一項に記載の分散可能な吸収性製品。
12. 分散可能な吸収性製品を製造する方法であって、
    （１）第１シート及び第２シートを提供する工程と、
    （２）前記第１シート及び前記第２シートを接合して複合シートを形成する工程とを含み、
    各シートは少なくとも１つの機械的に脆弱化された領域を有し、前記機械的に脆弱化された領域はｚ方向にずれていることを特徴とする方法。
13. （３）前記複合シートを機械的に脆弱化する工程をさらに含むことを特徴とする請求項１２に記載の方法。
14. 前記第１シート又は前記第２シートが、繊維性ウェブ又はポリマーフィルムであることを特徴とする請求項１２または１３に記載の方法。
15. 前記機械的脆弱化は、穿孔、切断、スリット付け、リングロール、セルフィング、及びこれらの組合せからなる群から選択される方法によって行われることを特徴とする請求項１２から１４のいずれか一項に記載の方法。

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