JP3664552B2 - 拭き取りシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水洗トイレットの清掃用または除菌または殺菌用、あるいは人体のおしり拭き用などとして使用され、使用後にトイレなどに捨てることが可能な拭き取りシートに係り、特に水洗トイレット内の溜り水や浄化槽内での浮きを防止できるようにした拭き取りシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
トイレットや室内の清掃用、あるいはおしめを替えるときのおしり拭き用などとして、水洗トイレットに捨てることができる水解性のウエットシートが使用される。このウエットシートは、木材パルプ繊維などの繊維と、水溶性または水により膨潤するバインダーとで形成された水解性シートに、清浄薬液が含浸されたものである。清浄薬液は水とアルコールに界面活性剤、清浄成分や防腐剤、香料などが含まれ、さらに前記バインダーの溶解を抑制するために金属イオンなどが含まれる。このウエットシートは前記金属イオンを含む清浄薬液が含浸された状態では分解せずにシートの強度を保つことができ、水洗トイレット内に流すと、多量の水により清浄薬液の金属イオンが希釈化され、水洗トイレット内または浄化槽内で分解される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のウエットシートは、平坦な水解性シートが1枚で使用され、あるいは2、3枚が重ねられて使用されるものであるため、シートそのものの嵩が低く薄いものであった。したがって、手でシートを押さえ清掃場所を拭く際に、シートを手で保持する感触を得ることができず、例えば手とシートとが滑りやすく、使用感触の悪いものであった。
そこで、シートを嵩高にして布雑巾のような感触を得るために、不織布などの嵩の高いシートを重ねて使用することも考えられる。しかし、このような嵩高のシートでは重ねられたシート間に多くの空気を含み、シート全体の浮力が大きくなる。その結果、水洗トイレット内の溜り水内で浮いて流れにくくなったり、または浄化槽内で沈みにくくなるなどの問題が生じる。
【0004】
また、この種のウエットシートは、4つ折りあるいは8つ折りの状態で容器内に収納されており、清掃時も4つ折りまたは8つ折りあるいは2つ折りの状態で使用されるのが一般的であり、さらに使用後に4つ折りや8つ折りなどの状態で水洗トイレット内に捨てられることが多い。しかし、シートが折られた状態では、折り部の谷側に空気が存在しているため、この空気により浮力が生じ、水洗トイレット内での流れが悪くなる。また従来のこの種のウエットシートでは、2枚に分離できるようにミシン目が入られているものもあるが、このミシン目は、個々の切れ込みが短いものとなっている。そのため、水洗トイレットに捨てられたときに、シートの折り部の谷側に存在している空気を前記ミシン目の切れ込みから十分に逃がすことができず、浮力の抑制に寄与できるものとはなっていない。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、汚れを拭き取った後にトイレットなどに流して捨てることが可能な拭き取りシートにおいて、シートを嵩高に構成しても、全体の浮力を低下でき水洗トイレットの溜り水や浄化槽内で沈みやすくした拭き取りシートを提供することを目的としている。
【0006】
また本発明は、4つ折りや8つ折りあるいは2つ折りなどの状態で水洗トイレットに捨てられたときに、折り部の谷側の空気を逃げやすくして、水洗トイレットの溜り水や浄化槽内で沈みやすくした拭き取りシートを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の拭き取りシートは、水で分解可能で且つ低クレープ率またはクレープを有しない第1のシートと、同じく水で分解可能で且つ前記第1のシートよりも高クレープ率の第2のシートとが重ねられてシート間が複数の接合部において部分的に接合され、両シートのクレープの復元による伸び率の違いによって、前記接合部と接合部の間の領域で前記第2のシートに膨らみが形成されて嵩高とされており、少なくとも1枚のシートには、前記膨らみによるシート間の空隙と外気とを連通させる多数の孔が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
上記において、第2のシートは、第1のシートの表裏両側に重ねられており、少なくとも表裏両側の第2のシートに多数の孔が形成されているものとすることができる。
【0010】
さらに本発明は、水で分解可能なシートが折り畳まれている拭き取りシートであって、シートの折り部には、折り部の谷側の空気を山側へ逃がすことのできる切れ込みが部分的に形成されているものであり、
【0011】
さらに好ましくは、シートは第1の折り部にて2つ折りされ、さらに前記第1の折り部と直交する第2の折り部により折り畳まれるものであり、第1の折り部と第2の折り部の交叉部分に、折り部の谷側の空気を山側へ逃がすことのできる切れ込みが部分的に形成されているものとなる。
【0012】
上記において、折り部には、シートを切断するためのミシン目が形成されており、空気を逃がす部分的な切れ込みは、ミシン目の個々の切れ込みよりも長く開口しているものとすることが可能である。
【0015】
本発明の拭き取りシートは、例えばトイレットの清掃に使用され、使用後そのまま水洗トイレットに捨てられて、トイレットの水や浄化槽の水により分解可能なものである。前記拭き取りシートは複数のシートが重ねられているものであるが、この各シートは天然パルプ繊維、またはレーヨンなどの化学繊維を含む紙、あるいは不織布であり、水で分解可能に形成されている。例えば、シートは、天然パルプなどの繊維と、これらの繊維どうしを結合させるための、カルボキルシメチル化パルプまたはカルボキシメチルセルロースなどの水溶性または水膨潤性のバインダーとから構成される。また、複数のシートは、例えば水溶性のカルボキシメチルセルロースなどの水溶性接着剤などで互いに接合されている。
【0016】
なお、本発明でのシートは、浄化槽内で分解できるものであればどのようなものでもよく、前記のものに限られない。
【0017】
この拭き取りシートは、複数の接合部間で少なくとも一方のシートが膨らみを有しているものであるが、この膨らみを形成する方法としては、例えば低い伸び率のクレープ皺を有するかまたはクレープを有しない第1のシートと、この第1のシートよりも高い伸び率のクレープ皺を有する第2のシートとが重ねられて部分的に接合され、例えば、第2のシートが第1のシートの表裏両面に部分的に接着接合されて3層構造とされる。第1のシートと第2のシートが接合された後に清浄薬液などが含浸されると、前記第2のシートはクレープの復元により伸びるが、このとき第1のシートと第2のシートの伸び率の差により、第2のシートには接合部間で膨らみが発生する。また、図3に示すように、列を成す複数の短接合部が一定ピッチで形成されて第2のシートの表面に細かな凹凸が連続する皺が形成されたものとすることもできる。
【0018】
本発明の拭き取りシートは、少なくとも1枚のシートが接合部間で膨らみを有しているため、嵩高になり、手で保持しやすく、拭き取り時に、手とシート間で滑りが生じにくくなる。またシートの膨らみ部が汚れの掻きとり効果を発揮し、汚れを拭き取りやすいものとなる。
【0019】
ただし、本発明のシートでの膨らみの形成方法はシート間にクレープ率の差を持たせるものに限られず、例えば、予め凹凸皺をコルゲート加工などで形成しておき、このシートを部分的に接合して、接合部間においてシートに膨らみを形成するものであってもよい。
【0020】
汚れを拭き取った後水洗トイレットに捨てられたとき、少なくとも表面に現れているシートに多数の孔が形成されているため、シートの膨らみによるシート間の空隙内の空気が多数の孔から外部へ抜け出やすくなり、使用後の拭き取りシートが、水洗トイレットの溜り水や浄化槽内で沈みやすくなる。
【0021】
シートに多数の孔を形成する方法の一例としては、湿式抄紙工程の抄紙漕(ワイヤーパート)に設けられた抄紙用のシリンダーの表面に多数の凹凸を付け、このシリンダーで天然パルプ繊維などを抄紙して、前記凹凸に対応した多数の孔を有する紙層(または繊維ウエッブ)を形成し、この紙層(または繊維ウエッブ)を乾燥ドラムで巻き取って乾燥し、多数の孔を有する原紙(シート)を製造する。さらにシート(原紙)にクレープ加工を施す場合には、前記乾燥ロールにドクターブレードを当て、乾燥ロールと巻取りロールとの間に回転速度差を与える。
【0022】
前記抄紙工程で製造されるシート(原紙)の孔の大きさは、例えば平均直径が1.0〜5.0mm程度が好ましい。本発明のシートでの孔は、シート間の空隙の空気が外部へ抜け出ればよく、目に見える程度の大きさの孔であってもよいし、あるいは非常に微細な孔であって、シートとして使用される原紙または不織布の繊維密度の高い部分と低い部分が一定のピッチで繰り返され、前記繊維密度の低い部分(粗の部分)が空気を逃がすための孔として機能するものであってもよい。
【0023】
またシートに多数の孔を形成する工程としては、多孔質のベルト上に繊維ウエッブを形成し、このウエッブにエアーシャワーを与えて、前記ベルトの孔に対応した多数の孔を形成したものでもよく、または針などでシートの全面に穴を開けたものであってもよい。
【0024】
前記第2の本発明は、シートを折り畳むときの折り部に所定長の長い切れ込みを部分的に形成したものである。さらに好ましくは、シートが2つ折りされた後にさらに折り畳まれる際、それぞれの折り部の交叉する部分に前記長い切れ込みを形成したものである。このシートは、折り畳んだまま水洗トイレットに捨てられたときに、折り部の谷側に存在する空気が前記長い切れ込みから外部へ抜け出て、浮力が低下し、水洗トイレットや浄化槽で沈みやすくなる。また、折り部にシートを切断するミシン目が形成されているものでは、空気を逃がすための前記長い切れ込みを、ミシン目と異なる部分またはミシン目の途中部分のいずれかに形成し、空気を逃がすために長い切れ込みの開口寸法を、ミシン目の個々の切れ込みの開口寸法よりも大きくしておく。
【0025】
なお、前記長い切れ込みは、第1の本発明での多孔質のシートを用いたものと併用してもよいし、また従来の孔を有しない水解性シートによる拭き取りシートに、前記長い切れ込みを入れるだけでも、浮力の低下に効力を発揮できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の拭き取りシートの構造を示す斜視図であり、図2(A)(B)(C)は、シートの接合方法を示す断面図、図3は接合部と膨らみ皺の形成状態を示す拭き取りシートの部分拡大平面図、図4は多孔質のシートを形成する製造方法の一例を示す説明図、図5は図4の抄紙用のシリンダーを示す部分拡大図である。
【0027】
図1に示す拭き取りシート1は、例えばトイレットの清掃、またはおしりふき用などとして使用されるものであり、使用後に水洗トイレットに捨てられ、水洗トイレットの溜り水または浄化槽の水で分解可能なものである。
この拭き取りシート1は、第1のシートS1と、この第1のシートS1の表裏両面にて接着接合部Aにより部分的に接着接合された第2のシートS2、S2との3層のサンドイッチ構造であり、接着接合部Aと接着接合部Aとの間の領域で、第2のシートS2に膨らみが形成されて嵩高とされている。または第1のシートS1と第2のシートS2が一枚ずつ重ねられて接着された2層構造のものであってもよく、この2層の場合も、接着接合部Aの間の領域で第2のシートS2に膨らみが形成される。
【0028】
前記第1および第2のシートは、天然パルプ繊維などの原料繊維に、水溶性または水膨潤性のバインダーとしてカルボキシルメチル化パルプまたはカルボキシメチルセルロース、あるいはポリビニルアルコール、デンプン、カラギーナン、ガラクトマンナン、アクリル酸エステルなどが含まれて、水により分解可能とされている。
各シートS1とS2には多数の微細な小孔が形成されている。例えばこの微細な小孔は、湿式抄紙工程にて付与される。
【0029】
図4は湿式抄紙工程を説明するものである。天然パルプ繊維などの原料繊維と例えばカルボキシルメチル化パルプなどは、ポーチャー10内で水とともに撹拌され、抄紙槽11(ワイヤーパート)に送られる。抄紙槽11(ワイヤーパート)ではポンプ13による循環圧力で原料繊維がシリンダー12の外周に付着させられ紙層(繊維ウエッブ)Wが形成される。紙層(繊維ウエッブ)Wはウエットフェルト14に転写され、さらにトップフェルト15から乾燥ドラム16に転写され、乾燥ドラム16の表面で乾燥される。図5に示すように、前記抄紙用のシリンダー12の表面には微細な凸部12aが形成されており、この凸部12aを有する凹凸部に当たる紙層(繊維ウエッブ)Wに小孔が貫通し、または繊維の密度が低くなって空気が通過しやすい小孔が形成される。
【0030】
乾燥ドラム16により乾燥されたシートS2(またはS1)は巻取りドラム18、19により巻き取られるが、乾燥ドラム16の表面にはドクターブレード17が当てられ、乾燥ドラム16の周速よりも巻取りドラム18、19の周速が遅く設定され、シートS2にクレープ加工が施される。シートS1とS2とでは、乾燥ドラム16と巻取りドラム18、19との周速差が相違し、この周速差の大小によりクレープ率が調節される。シートS1は低クレープ率(またはクレープが形成されない)となり、シートS2はシートS1に対し相対的に高クレープ率となるように設定される。
【0031】
前記シートS1とS2は、図2(A)に示すように重ねられる。図2(A)では、第1のシートS1の表裏両面に接着剤2が塗布され、第2のシートS2、S2が第1のシートS1の表裏両面に重ねられる。接着剤2は、例えば図3に示す接合パターンとなるように塗布されるが、この接着剤2は、例えば水溶性のカルボキシメチルセルロースなどである。
第1のシートS1と第2のシートS2、S2は重ねられた状態で、加湿されながら加熱板4および5により挟圧される。加熱板5には接着接合部Aのパターンに合わせたエンボス5aが設けられており、このエンボス5aによりシートが加圧・加熱されて、第1のシートS1と第2のシートS2が接着接合部Aにて互いに接着接合される。接合されたものを図2(B)に示す。
【0032】
このように接着接合されたシートS1とS2に、水とアルコール、界面活性剤、防腐剤および消臭剤や芳香剤、さらにシートの水解を抑制する金属イオンなどを含む清浄薬液が含浸される。清浄薬液が含浸されると、シートのクレープ皺が復元して伸びを生じる。ただし第2のシートS2が第1のシートS1よりもクレープ率が高く、第2のシートS2のクレープ復元時の伸びが第1のシートS1よりも大きいため、図2(C)に示すように、接着接合部Aと接着接合部Aとの間の領域で、第2のシートS2に膨らみが発生して、嵩高の拭き取りシート1となる。
なお、シートに含浸される清浄薬液は前記のようにカルシウムやストロンチュームなどの金属イオンを含むため、第1および第2のシートに含まれているカルボキシルメチル化パルプや、シートどうしを接着する水溶性のカルボキシメチルセルロースなどの接着剤と架橋コンプレックスを生じ、バインダーおよび接合部の分解が抑制される。また使用後に水洗トイレットに捨てられると、清浄薬液が多量の水で希釈され、シートおよび接着接合部が水にて分解可能となる。
【0033】
図3は接着接合部Aの接着パターンの一例を示している。
図3では、第1および第2のシートが、▲1▼で示す短い直線状の短接合部aにより部分的に接着接合されている。この短接合部aは一定の間隔を開けてY方向へ列を成して配列されており、このY方向へ延びる列が図1に示す接着接合部Aとなっている。前記短接合部aは第2のシートS2のクレープ皺bの延びる方向(X方向)および短接合部aのピッチの方向(Y方向)に角度を有して斜めに設けられており、さらに短接合部aの並ぶ列(接着接合部A)は、X方向へ所定の間隔を開けて形成されている。
【0034】
各シートS1、S2、S2に清浄薬液が含浸されると、クレープ加工による微細な皺bがY方向へ膨らもうとする。このとき第1のシートS1と第2のシートS2は短接合部aの部分▲1▼で接着されているため、この▲1▼の部分では第2のシートS2にY方向への伸びが発生しにくい。これに対し短接合部aと短接合部aで挟まれた部分▲2▼では、第2のシートS2がY方向へ伸びやすく、このY方向への伸び(イ)により▲2▼の部分では弛みが発生しやすい。その結果、Y方向に配列された接着接合部Aと接着接合部Aとで挟まれた領域では、両側の短接合部aの部分を結ぶ谷部▲3▼が形成され、また両側の部分▲2▼を結ぶ膨らみにより山部▲4▼が現れる。よって、接着接合部Aに挟まれた領域では、短接合部aの配列ピッチとほぼ一致した凹凸の皺Bが現れ、凸部(山部)が膨らみを生じる。この皺Bを形成することにより、拭き取り効果を高めることができる。
【0035】
このように形成された拭き取りシート1は、図2(C)の断面図に示されているように、接着接合部AとAの間の領域において、前記凹凸皺Bの特に山の部分に膨らみを生じて、第2のシートS2と第1のシートS1の間に空隙Cが生じて嵩高となっている。この拭き取りシート1が使用後にトイレットなどに流されたとき、空隙C内の空気は第1のシートS1および第2のシートS2に形成された小孔3から抜けてシートの浮力が低下し、さらにこの小孔3からシートS1とS2の間に水が入り込むため、水洗トイレットの溜り水や浄化槽内で拭き取りシートが沈みやすくなる。
【0036】
図6は、上記拭き取りシート1が折り畳まれた状態を示す斜視図、図7は図6の部分拡大図である。
この拭き取りシート1は、図6に示すように、第1の折り部(折れ線)L1により2つ折りされ、さらに前記第1の折り部L1と直交する第2の折り部(折れ線)L2により折られて4つ折り状態に畳まれ、さらに第3の折り部L3の部分から折られて8つ折りとされる。容器に収納されるときは、通常8つ折り状態である。また拭き取り掃除に使用されるときは、手の大きさや拭き取り箇所によっても異なるが、図6に示す4つ折り状態、あるいは8つ折り状態などで使用される。
【0037】
また、第2の折り部L2には、ミシン目(パーフォレーション)P1が形成され、2つ折り状態にて前記ミシン目P1を切り離して拭き取りシート1を2枚に分離できるようになっている。このミシン目P1は、短い切れ込みが一定のピッチで形成されているものである。また、図6および図7(図6の部分拡大図)に示されているように、第1の折り部L1には、部分的な長い切れ込みP2及びP3が形成されている。この切れ込みP2およびP3は、前記ミシン目P1の個々の切れ込みよりも十分に長く形成されている。前記切れ込みP2は、2つ折りの折り部L1の稜線の部分に形成され、切れ込みP3は、第1の折り部L1と第2の折り部L2とが交叉する部分に形成されている。
【0038】
したがって、清掃後に、拭き取りシート1が第1の折り部L1の部分から折られた2つ折りの状態または図6に示す4つ折りの状態、さらには8つ折りの状態で、水洗トイレットに捨てられたときに、第1の折り部L1での2つ折りの谷の部分(i)に介在している空気が切れ込みP2とP3とから外部に逃げやすくなり、谷の部分(i)の空気により浮力が増加することがなく、水洗トイレットの溜り水や浄化槽内で沈みやすくなる。
さらに図6に示す4つ折りまたは8つ折りの状態で水洗トイレットに捨てられると、折り部L1の谷部(i)のみならず、折り部L1と折り部L2との交叉部分の内側(ii)に空気が溜まりやすいが、この(ii)の部分の空気は切れ込みP3の部分から外部へ容易に逃げることができる。したがって、折ったままの状態で水洗トイレットに捨てられても、溜まり水や浄化槽内で浮力が低下して、沈みやすくなる。
【0039】
また、第2の折り部L2の部分において、ミシン目P1の途中に長い切れ込みP2とP3を形成してもよい。
上記の例では、拭き取りシート1は、清浄薬液が含浸されたウエットな状態でプラスチックの容器などに入れられて使用される。あるいは、ドライな状態で容器に収納され、使用するときに清浄薬液が含浸されまたは含浸されないものでもよい。
【発明の効果】
以上のように本発明の拭き取りシートは、複数のシートが重ねられ、シートに膨らみが形成された嵩高のものであるため、手で保持しやすく、また拭き取り効果にも優れる。また、前記膨らみによりシート間に介在する空気を外部に逃げやすくしているため、水洗トイレットの溜まり水や浄化槽において浮力が低減し、沈みやすくなる。
【0040】
また、2つ折りや4つ折りまたは8つ折りなどの状態で水洗トイレットに捨てたときも、折り部の谷側の空気が山側へ逃げやすくなり、水洗トイレットや浄化槽内で沈みやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の拭き取りシートの全体の構造を示す斜視図、
【図2】(A)(B)(C)は本発明の拭き取りシートの製造方法のうちの接合接着工程を示す断面図、
【図3】前記拭き取りシートの接着パターンの一例を示す部分平面図、
【図4】湿式の抄紙工程を説明する説明図、
【図5】図4に示す抄紙用シリンダーの部分拡大図、
【図6】拭き取りシートが4つ折りとされた状態を示す斜視図、
【図7】図6の部分拡大図、
【符号の説明】
1 拭き取りシート
2 接着剤
3 小孔
12 抄紙用のシリンダー
12a 微小な凸部
S1 第1のシート
S2 第2のシート
A 接着接合部
B 皺
C 空隙
a 短接合部
L1 第1の折り部
L2 第2の折り部
L3 第3の折り部
P1 ミシン目
P2、P3 空気を逃がす切れ込み
W 紙層(または繊維ウエッブ)
Claims (5)
- 水で分解可能で且つ低クレープ率またはクレープを有しない第1のシートと、同じく水で分解可能で且つ前記第1のシートよりも高クレープ率の第2のシートとが重ねられてシート間が複数の接合部において部分的に接合され、両シートのクレープの復元による伸び率の違いによって、前記接合部と接合部の間の領域で前記第2のシートに膨らみが形成されて嵩高とされており、少なくとも1枚のシートには、前記膨らみによるシート間の空隙と外気とを連通させる多数の孔が形成されていることを特徴とする拭き取りシート。
- 第2のシートは、第1のシートの表裏両側に重ねられており、表裏両側の前記第2のシートに多数の孔が形成されている請求項1記載の拭き取りシート。
- 拭き取りシートが折り畳まれており、シートの折り部には、折り部の谷側の空気を山側へ逃がすことのできる切れ込みが部分的に形成されている請求項1または2記載の拭き取りシート。
- 拭き取りシートは第1の折り部にて2つ折りされ、さらに前記第1の折り部と直交する第2の折り部により折り畳まれており、第1の折り部と第2の折り部の交叉部分に、折り部の谷側の空気を山側へ逃がすことのできる切れ込みが部分的に形成されている請求項3記載の拭き取りシート。
- 折り部には、シートを切断するためのミシン目が形成されており、空気を逃がす部分的な切れ込みは、ミシン目の個々の切れ込みよりも長く開口している請求項3または4記載の拭き取りシート。
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