JP4405014B2 - 積層不織布およびその用途 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、湿潤時において充分な強度を維持し、過剰の水中で好ましくは攪拌など外部応力が付与されることにより解繊して水性媒体に分散させることができる積層不織布、この積層不織布を用いた包装ウエットティッシュなどの用途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、介護用品、乳幼児用品、生理用品、おむつ、清拭布等(以下これらを総称して、「衛生用品」と記載することもある)には布等が使用されていたが、近年、布に代わって紙、不織布が使用されることが多くなってきている。こうした紙、不織布からなる上記衛生用品は一回使い切りであり、非常に便利であることから、今後益々その需要の増大が予想される。
【0003】
こうした衛生用品には、例えば尿等の水分を良好に吸収することが必要であり、従って、こうした衛生用品として使用される紙、不織布類は、水分を含有しても、紙、不織布類の形態が維持されることが必要である。このため実際にこうした衛生用品は耐水性を有する紙、不織布類を用いて形成されている。従って、こうした衛生用品は水に不溶であることから、これらを使用した後に水洗トイレ等に流して処理することはできず、一般ゴミとして処理されていた。
【0004】
しかしながら、一度使用された衛生用品は汚物を含んでおり、使用後はできるだけ速やかに処理することが望まれる。こうした使用後の衛生用品を処理する方法として、水洗トイレに流して処理することができれば非常に好適である。
ところが、上述のように衛生用品は使用する段階では耐水性が必要であることから、使用された後の衛生用品も当然に優れた耐水性があり、こうした優れた耐水性を有する衛生用品を水洗トイレに流して処理することはできなかった。このように衛生用品において、使用時に必要となる耐水性と使用後に望まれる解繊性(あるいは水解性)とは相反する特性であり、両特性を有する衛生用品の製造は非常に困難であるとされていた。
【0005】
これに対して、特開平4-216889号公報には、上水及び体液に対して溶解しにくく、下水に対して溶解しやすい水崩壊性の不織布およびバインダーが開示されている。
この公報には、具体的に以下のような組成のバインダーが開示されている。
エチレン性不飽和カルボン酸あるいはその無水物と、架橋性単量体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを必須成分とする平均分子量5000〜10000の共重合体であって、カルボキシル基を一価のアルカリで中和したバインダー。
【0006】
ここで架橋性不飽和単量体は、N-メチロール(メタ)アクリルアミドまたはそのエーテル化合物であることが示されている。
しかしながら、このバインダーは、カルボキシル基が一価のアルカリで中和されているために、含水するとこの一価のアルカリ成分が解離し、この解離した一価のアルカリ成分は皮膚に対する刺激性を有している。また、下水に対して崩壊可能にするためには、上記の重合体の塩を用いる場合には、形成される架橋構造の量および構造が極めて重要な要素となり、こうした樹脂の溶解性を制御するための架橋構造の形成は著しく難しい。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、湿潤時において充分な引っ張り強度を保持し、水流中で解繊して溶解分散する性質を有する積層不織布を提供することを目的としている。
また、本発明は、このような性質を有する積層不織布を用いた包装ウエットティッシュを提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明の積層不織布は、カチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成されたイオン性繊維を含む水解性繊維から構成される水解性不織布と、短繊維から形成されている短繊維不織布との少なくとも二種類の不織布が水解可能に積層されていることを特徴としている。
【0009】
上記水解性不織布は、
再生セルロースとカチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成されたイオン性繊維、
および
非水解性短繊維から構成されていることが好ましい。
【0010】
本発明では、上記樹脂組成物中に、再生セルロースが20〜98重量%、上記カチオン性樹脂が1〜79重量%、上記アニオン性樹脂が1〜79重量%、それぞれ含有されていることが好ましい。
上記非水解性短繊維は、平均繊維長80mm未満の再生セルロース繊維であることが好ましい。
【0011】
本発明において、上記再生セルロースは、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、キュプラまたは鹸化アセテートのいずれかであることが好ましい。
また、上記カチオン性樹脂は、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化グアーガム、カチオン化デキストリンおよびポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の樹脂であることが好ましく、上記アニオン性樹脂は、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、アルギン酸、キサンタンガムおよびポリメタクリル酸塩よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の樹脂であることが好ましい。
【0012】
本発明の積層不織布は、水解性不織布と短繊維不織布と水解性不織布とがこの順序で積層された三層構造を有することが好ましい。
また、本発明の積層不織布の平均が厚さは、0.3〜1mmの範囲内にあることが好ましく、この積層不織布全体の目付けは、20〜80g/m2の範囲内にあることが好ましい。
【0013】
本発明の積層不織布は、しなやかで、肌触りが非常によく、さらに、例えば少量の水を含有しても良好な強度を有するが、大過剰の水と接触すると崩壊するとの特性を有している。このような特性を利用して、本発明の積層不織布は、使用後に水洗トイレなどに流して処理することができる湿潤清拭布(ウエットティッシュ)として使用することができる。
【0014】
即ち、本発明の包装ウエットティッシュは、カチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成されたイオン性繊維を含む水解性繊維から構成される水解性不織布と短繊維から形成されている短繊維不織布との少なくとも二種類の不織布が水解可能に積層されている積層不織布と該積層不織布に含浸された水性液剤とからなり、該積層不織布が連続して取り出し可能に包装袋に密封されていることを特徴とする。
【0015】
そして、本発明の包装ウエットティッシュでは、水解性不織布と短繊維不織布と水解性不織布とがこの順序で積層された三層構造を有することを積層不織布を使用することが好ましい。
また、この包装ウエットティッシュを形成する積層不織布の平均が厚さは、0.35〜0.55mmの範囲内にあることが好ましく、積層不織布全体の目付けは、35〜45g/m2の範囲内にあるが好ましい。
【0016】
このようなウエットティッスは、水性液剤が含浸された積層不織布を、水分非透過性の可撓性合成樹脂袋に収納して密閉することが好ましい。
このウエットティッシュは、水性液剤が含浸された湿潤時でも充分な引っ張り強度を有すると共に、多量の水と接触することにより解繊するので、このウエットティッシュは、使用後に例えば水洗トイレなどで水解させることにより、容易に廃棄することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の積層不織布および包装ウエットティッシュについてさらに詳細に説明する。
本発明の積層不織布は、水解性不織布および短繊維不織布の二種類の不織布が水解可能に積層された積層体である。
【0018】
水解性不織布は、カチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成されたイオン性繊維を含む水解性繊維から形成されている。
この水解性不織布を形成するイオン性繊維は、カチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成された繊維である。この樹脂組成物は、通常は基材樹脂を含有している。本発明の不織布において、基材樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、セルロース、再生セルロースなどを挙げることができる。これらの樹脂は単独であるいは組み合わせて使用することができる。従って、本発明において好適な水解性不織布は、再生セルロース、カチオン性樹脂およびアニオン性樹脂を含有する樹脂組成物から形成された繊維から構成されている。
【0019】
本発明の積層不織布を形成する水解性不織布を構成する繊維は、基材樹脂としての再生セルロースと、後述する水溶性高分子とを含有してなる樹脂組成物から得られる。ここで、「水溶性高分子」とは、水と接触することで膨潤あるいは溶解する性質を有する物質をいう。
このような水溶性高分子を基材樹脂として再生セルロースとともに含有させた繊維を用いて不織布を形成することにより、この不織布に、従来用いられていた特殊なバインダーを用いなくても、大過剰の水に投入することにより水解性が顕在化するとの特性を付与することができる。
【0020】
この水解性不織布には、この不織布を形成する繊維の形成樹脂成分の合計を100重量%としたとき、上記基材樹脂、特に再生セルロースが、通常は20〜98重量%、好ましくは20〜95重量%、特に好ましくは30〜85重量%、より好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは70〜90重量%の量で含有すると共に、上記水溶性高分子を通常は2〜80重量%、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは15〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは10〜30重量%の量で含有されている。
【0021】
また、上記水溶性高分子においては、カチオン性樹脂は、通常は1〜79重量%、好ましくは2〜68重量%、特に好ましくは2〜50重量%含有されるとともに、アニオン性樹脂が1〜79重量%、好ましくは2〜68重量%、特に好ましくは13〜48重量%含有されている。
再生セルロースおよび水溶性高分子(カチオン性樹脂およびアニオン性樹脂)を、上記範囲内にすることにより得られる不織布が良好な水解性を示すようになると共に、少量の水を含んでも不織布の物理的特性、例えば引っ張り強度などが通常の不織布の使用に充分耐え得る程度に維持される。即ち、湿潤時においても使用可能な引っ張り強度を保持することができ、同時に、大過剰の水が存在する条件ではこの不織布が水解するとの特性が発現し、両者のバランスが良好である。
【0022】
また、上記範囲内にあるときには、水溶性高分子の脱落が防止できることから繊維間に発生する膠着が少なくなるとの効果があり、従来と同じ繊維・不織布製造設備を用いることができる点で工業的にも有用な技術と言える。さらに歩留まりが向上し、製造コスト上でもメリットがある。
なお、この繊維を形成する樹脂組成物には、本発明の目的、効果を逸脱しない範囲で、基材樹脂(好ましくは再生セルロース)および水溶性高分子以外の第三成分を含有していてもよく、その含有量は80重量%以下、好ましくは40重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
【0023】
上記水解性不織布は、例えば以下の方法で得られた繊維を用いて製造することができる。
例えばパルプを水酸化ナトリウム溶液に浸漬してアルカリセルロースに変化させ、老成させた後、二硫化炭素を加えて硫化し、セルロースキサントゲン酸ナトリウムにして溶解し紡糸原液を作る。ここにカチオン化セルロースの水溶液およびポリアクリル酸ナトリウムの水溶液を加え混合する。これを紡糸孔から凝固浴中に圧出し紡糸する。
【0024】
このような繊維の長さは、通常2mm以上、好ましくは20〜100mm、さらに好ましくは30〜80mmである。
本発明の積層不織布を形成する水解性不織布は、例えば上記のようにして製造した繊維を用いて以下に示すようにして製造することができる。
上記繊維を用いた積層不織布を製造するための水解性不織布に加工する方法としては、水解性を逸脱しない範囲で繊維を交絡もしくは接着すれば良く、湿式法、湿式スパンレース法、乾式スパンレース法、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法の何れも好適に挙げることができる。しかしながら、先に述べたように、化学的なバインダーを用いることは衛生上好ましいことではない。本発明において最も好ましい不織布加工法は乾式スパンレース法およびニードルパンチ法である。
【0025】
ここで、上記再生セルロースとしては、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、キュプラ、鹸化アセテートなどが挙げられ、これらの中でもビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、キュプラが、衛生性、安全性の観点から好ましい。これらの再生セルロースは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0026】
上記カチオン性樹脂としては、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化グアーガム、カチオン化デキストリン、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウムなどが挙げられ、中でもカチオン化セルロース、カチオン化デンプンが、衛生性、安全性、水解性の観点から好ましい。これらのカチオン性樹脂は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0027】
上記アニオン性樹脂としては、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、ポリアルギン酸、キサンタンガムまたはポリメタクリル酸塩などが挙げられ、中でもポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプンが、衛生性、安全性、水解性の観点から好ましい。これらのアニオン性樹脂は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0028】
上記第三成分としては、パルプ、レーヨン、ポリプロピレン熱融着繊維、コットン、麻(ラミー)、ポリエステル繊維などが挙げられる。
本発明で使用される水解性不織布を形成する水解性繊維は、ウェブを形成して使用することが好ましい。
本発明で使用される水解性不織布は、好ましくは上記のように、再生セルロースとカチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から繊維(水解性繊維)を製造し、この繊維を用いて例えば上記の方法で製造することができるが、さらに、この水解性繊維に非水解性短繊維を加えて不織布を製造することができる。すなわち、本発明で使用される好ましい水解性不織布は、
再生セルロースとカチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成された繊維、
および
非水解性短繊維から構成することができる。
【0029】
ここで使用する非水解性短繊維は、それ自体では水に溶解あるいは安定に分散する特性は有していない樹脂からなる短繊維であり、このような短繊維の例としては、パルプ繊維、再生セルロース繊維(例;ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、キュプラ、鹸化アセテート)、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリル繊維、ポリウレタン繊維、ポリオレフィン繊維などの合成繊維、天然繊維および再生繊維を挙げることができる。上記のような非水解性短繊維の中でも、再生セルロース繊維を使用することが好ましい。このような再生セルロース繊維を使用することにより、得られる不織布の風合いあるいは肌触りが著しく改善されると共に、吸水性も高くなる。ここで使用する非水解性短繊維は、本発明で使用される水解性不織布の有する特性、特に水解性を損なわないように非水解性短繊維が複雑な交絡を形成せず、不織布の水解性が損なわれない程度の繊維長を有していることが好ましい。このような非水解性短繊維の平均繊維長は、通常は、80mm未満、好ましくは40mm未満、さらに好ましくは20mm未満である。こうした非水解性短繊維を水解性繊維に混合して不織布を製造した不織布において、この不織布が良好な水解性を維持するためには、非水解性短繊維の平均繊維長が短いことが好ましい。また、この非水解性短繊維の平均繊維長の下限値は、不織布を漉く際に非水解性短繊維が流出しないような長さであればよく、不織布の製造方法により異なるが、通常は下限値は0.1mm、好ましくは0.5mm程度である。このような非水解性繊維は、水解性繊維と同様にウェブを形成していることが好ましい。
【0030】
このような本発明の積層不織布において、特に好ましい水解性不織布は、水解性繊維と非水解性繊維とがこの不織布の水解性を損なわないような量比で使用されている。
この場合において、水解性不織布を製造する際に、水解性繊維と非水解性繊維とは通常は1:99〜99:1の範囲内の量、好ましくは30:70〜70:30の範囲内の量で混合して使用される。すなわち、水解性繊維と非水解性繊維とを上記の量で混合して、上述の湿式法、湿式スパンレース法、乾式スパンレース法、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、好ましくは乾式スパンレース法あるいはニードルパンチ法などの公知の方法を利用することにより水解性不織布を製造することができる。
【0031】
このような水解性不織布は、非水解性繊維を有しているにも拘わらず、非水解性繊維の繊維長が比較的短く、しかも水解性の良好ないイオン性繊維を含有することから、大過剰の水に対して良好な水解性を有している。
このようにして得られた水解性不織布の目付は、通常は20〜80g/m2の範囲内にあり、また、平均厚さは、通常は0.3〜1mmの範囲内にある。また、この水解性不織布は、湿潤時において充分な強度を保持し、過剰の水中で撹拌したときに水解性を示す。特に本発明で使用される水解性不織布は、多量の水との接触により水解性を示す。さらに、従来において用いられる含水時に一価のアルカリ成分を解離させるバインダーを用いずに不織布を形成しているため、直接肌に密着させても肌あれなどを引き起こしにくい。
【0032】
本発明の積層不織布を形成する短繊維不織布は、上記のようにイオン性繊維とは異なり、水に分散可能にするためのイオン性は有していないが、繊維長が短いために大過剰の水と接触することにより水解可能な不織布である。
ここで使用される短繊維不織布を形成する繊維としては、パルプ繊維、再生セルロース繊維(例;ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、キュプラ、鹸化アセテート)、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリル繊維、ポリウレタン繊維、ポリオレフィン繊維などの合成繊維、天然繊維および再生繊維を挙げることができる。特に本発明ではパルプ繊維、再生セルロース繊維が好ましい。本発明で使用される短繊維不織布としては、平均繊維長さが0.1〜20mm、好ましくは0.5〜10mmの範囲内にある短繊維を使用する。このような平均繊維長さを有する短繊維を用いて形成された不織布は、この不織布を形成する繊維自体は単独では水解性は有していないが、繊維長が短いために繊維相互の交絡による拘束力が小さく、大過剰の水と接触することにより解繊するとの特性を有する。
【0033】
本発明の積層不織布を形成する際に使用されるこの短繊維不織布の平均厚さは通常は0.05〜0.9mm、好ましくは0.1〜0.3mmの範囲にあり、また、この短繊維不織布の目付けは、通常は10〜70g/m2、好ましくは30〜70g/m2の範囲内にある。このような平均厚さおよび目付けを有する短繊維不織布を用いて積層不織布を形成することにより、この積層不織布が良好な吸水性を示すと共に、大過剰の水と接触した際の解繊性も損なわれることがない。
【0034】
本発明の積層不織布は上述した水解性不織布と短繊維不織布との積層体である。本発明の積層不織布は、水解性不織布/短繊維不織布のように二層を積層したものであってもよいが、三層以上の積層体であることが好ましい。特に本発明では、水解性不織布/短繊維不織布/水解性不織布のように三層以上の層構成を有しており、さらに外層が水解性不織布で形成されていることが好ましい。この水解性不織布は、良好な水解性を有していることは勿論、非常に肌触りがよく、非常に使い心地がよいと共に、内層に水分の吸収性のよい短繊維不織布が配置されているので、水を含有したときのこの積層不織布の形態保持性がよく、さらにこのように積層した積層不織布は、大過剰の水に投入することにより良好な水解性を示す。
【0035】
さらに本発明の積層不織布は、水解性不織布/短繊維不織布/水解性不織布/短繊維不織布のように多層積層体とすることもできる。また、上記のように水解性不織布を表層とするほかに、短繊維不織布/水解性不織布/短繊維不織布のように多層積層してもよい。
上記のように積層した本発明の積層不織布の全体の平均厚さは、通常は0.3〜0.6mm、好ましくは0.35〜0.55mmの範囲内にある。また、この積層不織布の合計の目付けは、30〜50g/m2、好ましくは、35〜45g/m2の範囲内にある。このような平均厚さおよび目付けを有する積層不織布は、非常に使用感がよく、また、このような積層不織布は、良好な水解性を有している。
【0036】
上述した水解性不織布および短繊維不織布を重ね合わせて加圧することにより、それそれの不織布の表面部分で不織布間に新たな交絡が形成されることから、一体となって積層体とすることが可能であるが、さらに接触する不織布面に少量の接着剤、好ましくは感熱接着剤を点在させて加熱下に加圧することによりより確実にこれらの不織布を一体に積層させることができる。
【0037】
このような構成を有する本発明の積層不織布は、より高い吸水性を必要とする用途、例えばウエットティッシュ、紙おむつなどのライナーなどとして使用することができる。即ち、水解性不織布を単独で使用するよりも高い吸水性を示し、湿潤状態における安定性も高く、しかも大過剰の水に投入すれば良好に水解するとの特性を有する。
【0038】
このような特性を利用して本発明の積層不織布は、包装ウエットティッシュとして好適に使用することができる。包装ウエットティッシュは、上記積層不織布とこの積層不織布に含浸された水性液剤とが、包装袋に密封された構成を有している。この包装袋は、水不透過性の合成樹脂などで形成されており、この包装袋毎据え置き用容器に詰め替えて使用する場合には、この包装袋には、積層不織布を連続して取り出すことができるスリットなどが形成されている。このスリットなどの積層不織布連続取り出し手段は、包装ウエットティッシュを保存中に内部に含有される水性液体が蒸散しないように易剥離性接着剤などが塗布されたシール材などで覆われており、使用時にこのシール材を剥離撤去して据え置き用容器にこの包装袋を収納して使用する。
【0039】
即ち、本発明の包装ウエットティッシュは、カチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成されたイオン性繊維を含む水解性繊維から構成される水解性不織布と短繊維から形成されている短繊維不織布との少なくとも二種類の不織布が水解可能に積層されている積層不織布と該積層不織布に含浸された水性液剤とからなり、該積層不織布が連続して取り出し可能に包装袋に密封されている。
【0040】
ここで包装ウエットティッシュに使用される積層不織布は、上述した水解性不織布と短繊維不織布との積層不織布である。本発明の包装ウエットティッシュでは、上記の積層不織布を包装袋に形成されている取り出し口から連続して取り出し可能に包装袋に収納されている。
上述したように本発明の積層不織布は少量の水と接触した際には、その形態が損なわれにくく、大量の水と接触することにより容易に崩壊するという特性を利用して、上記積層不織布に対して、通常1倍〜5倍(重量)の水性液剤を含浸させることによりウエットティッシュとすることができる。ここで使用される液剤としては、水、水-アルコールなどを挙げることができ、さらに、この液剤には、防腐剤(例:安息香酸ナトリウム等の芳香族系防腐剤など)、保湿剤(例:エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールなど)、界面活性剤、香料などを配合することができる。
【0041】
このようなウエットティッシュは、水不透過性の包装袋に封入して供給することができる。そして、本発明の包装ウエットティッシュは、自己の形態を保持することができる容器と、包装袋に封入され、液剤を含浸する不織布からなる包装ウエットティッシュとからなる据え置き型のウエットティッシュの詰め替え用包装体であることが好ましい。
【0042】
この据え置き型ウエットティッシュの詰め替え用包装ウエットティッシュについてさらに詳細に記載すると、本発明の包装ウエットティッシュを包装袋ごと収納して使用する据え置き型ウエットティッシュ供給キットは、
(i)容器はウエットティッシュの包装袋を収容できる容量を有する収容部、該収容部への包装袋の詰め替え時に開閉される蓋部、ウエットティッシュを1枚ずつ容器外部に取り出す開閉自在な開口部、および前記収容部と開口部との間に設けられ、ウエットティッシュ取り出しの抵抗となる取出口を設けた抵抗隔壁を有し、
(ii)包装ウエットティッシュは、収納されたウエットティッシュの各葉が互いに重なりを有して折り畳まれ、ウエットティッシュペーパーの取出口を有する。
【0043】
また、このキットは前記(ii)の包装ウエットティッシュに代えて、収納されたウエットティッシュの各葉がミシン目を介してつながっており、かつウエットティッシュペーパーの取出口を有する包装ウエットティッシュであってもよい。
このウエットティッシュ供給キットは、ウエットティッシュの包装袋の取出口に貼着されたシール部材を剥離して除去することにより開口し、そのまま容器に収容する。ウエットティッシュは、密閉された容器の開口部から広がった状態で順次1葉ずつ必要に応じて連続的に取り出すことができる。
【0044】
図1(a)は、このキットの一具体例を示す説明図である。図1(a)は本発明にウエットティッシュを用いたキットの容器の蓋部、(b)は包装ウエットティッシュ、(c)は容器本体の説明図である。本発明のウエットティッシュを用いたキットは図1に示すように、内部を密閉する容器1と、上記不織布に液剤を含浸させて水不透過性の包装袋に封入された包装ウエットティッシュ2からなる。
【0045】
(i)容器
このキットを形成する容器1は全体がほぼ直方体をなし、容器自身で自己の形状を保持できる材料からなる。このような材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂など比較的硬質で若干の柔軟性を備えた成形用材料を用いるのが好ましい。この容器に用いられる材料としては、前記合成樹脂のほか、金属板、あるいは紙器を用いてもよい。容器は自己の形状を保持できるものであればよく、柔軟なシートなどの材料を内部、外部より補強して形状を保持できるようにしたものであってもよい。
【0046】
この容器1は、容器本体30およびこれに緊密に取り付けることのできる蓋部10からなり、容器本体30は、上端部に前記蓋部10を被せる段を設けた受部31が形成されると共に、包装ウエットティッシュ2の収まる収容部33を有する。
前記蓋部10は、ほぼ中央にウエットティッシュ取り出し用の矩形の開口部11を有する。この開口部には、一端にて回転自在な開閉蓋12が取り付けられる。この開閉蓋12は開口部11から液体または気体が漏れにくいよう緊密に設けられる。
【0047】
また、蓋部10の内側の開口部11に対応する位置には、U字状突起13を有する取出口17を形成した抵抗隔壁14が設けられ、つぎに取り出されるべきウエットティッシュが1枚保持される。抵抗隔壁14と蓋部10上面の開口部11との間には、空間15が形成され、抵抗隔壁14に保持されたウエットティッシュの先端部が滞留する。なお、抵抗隔壁はウエットティッシュの取り出しに対して抵抗となるように設けられ、この具体例ではU字状突起13の弾性に基づく抵抗により、1枚のウエットティッシュに重なって出てきた次のウエットティッシュが保持される。
【0048】
(ii)包装ウエットティッシュ
包装ウエットティッシュ2に充填された積層不織布は、上記積層不織布に液剤を含浸させたものである。この積層不織布は、上述のように少量の水分によっては崩壊することがなく、他方多量の水と接触し、好ましくは攪拌、水流などの外部応力の付与により崩壊するという特性を有している。このような特性は、従来の乾燥状態で使用されるティッシュペーパー、ポケットティッシュペーパーなどにはない特性である。すなわち、従来の乾燥状態で使用されるティッシュペーパーなどは湿潤するとその引っ張り強度が著しく低下すると共に、水性液剤と接触すると数時間の内に崩壊し、各葉を分離しながら引き出すことはできない。
【0049】
包装袋22に封入されたウエットティッシュは、積層不織布の各葉が互いに重なりを有して折り畳まれ、1枚のティッシュペーパーを抵抗隔壁を通して容器1の開口部11より取り出すと、続くティッシュペーパー(積層不織布)の抵抗隔壁に保持され、つぎの使用に備える。このように連続的にウエットティッシュを取り出すには、ドライタイプのティッシュペーパーと異なり1枚目と2枚目の重なりをティッシュの面積の1/2以下、好ましくは1/4以下、さらに好ましくは1/10程度以下とする。好ましい折り畳みの具体例としては、図2のような折り畳み方が挙げられる。
【0050】
しかしながら、重なった各葉間の摩擦力を種々の手段により調整して小さくし、ドライティッシュの場合と同様、重なりの面積を1/2程度とすることもできる。
例えば、不織布にクレープ加工、エンボス加工などを施して凹凸を設け、ウエットティッシュ間の接触面積を減じてもよい。さらに、ウエットティッシュの水分率を低く設定することによっても摩擦力を小さくすることができる。
【0051】
さらに本発明では、図3(a)および(b)に示すように包装袋に封入されたウエットティッシュ21の各葉がミシン目を介してつながっていてもよい。このウエットティッシュでは、1枚分のティッシュペーパーを抵抗隔壁を通して容器1の開口部11より取り出すと、続く紙葉は抵抗隔壁に保持されてミシン目27でちぎれ、つぎの使用に備える。このようにミシン目により連続したウエットティッシュを順次、1枚ずつ取り出すには、図3(b)に示すようにミシン目27のカット部分28の長さをツナギ部分29の長さよりも長くするのが好ましい。ウエットティッシュに用いられる材料は、比較的引張強度が大きいため、各葉の切り放しに要する力を調整する。例えば、カット部分28の長さに対してツナギ部分29の長さを1/5以下、好ましくは1/20以下、さらに好ましくは1/50程度とする。
【0052】
ウエットティッシュの包装袋22は、ウエットティッシュに含浸された液体を透過することなく、また雑菌の侵入を防ぐよう、従来公知のプラスチックフィルム、ラミネートフィルムなどの柔軟な包装材料で形成するのが好ましい。包装袋22の上面には、使用にあたり容易に開封できるようミシン目、ハーフカットなど適宜の方法により予め切り込み23を入れた取出口24が設けられ、裏面に粘着剤(感圧接着剤)25を塗布したシール部材26がこの取出口24を覆って張り付けられ密着固定される。なお、このシール部材26に塗布される貼着剤は、ウエットティッシュ供給キットが据え置き型であり、容器に収容される際に剥離撤去されることから、この粘着剤は再付着性(一度剥離した後、再び接着することができる接着剤の性質)を有している必要はない。
【0053】
使用時、このシール部材26を引きはがすと、閉ループの切り込みの入った取出口24の部分のフィルム断片がシール部材26に粘着したまま取り外されて包装袋の開口が形成される。図4および図5に示すように、この包装袋を前記の容器本体30に収納し、蓋部10を被せた後、1枚目のウエットティッシュ21を抵抗隔壁14の取出口17に通して使用に供する。
【0054】
なお、抵抗隔壁の具体的な形状としては、図1に示す形状のほか、図7、図10(a)〜(d)に示すような形状などさまざまなものが挙げられるが、材質、材料厚さ、形状などの選択により適度の柔軟性と剛性を有する抵抗突起が張出した形状のものが好ましい。
これら抵抗隔壁は、図7および図9に示すように、取出口の最大長さ(A)がここを通過するティッシュペーパーの紙幅の15〜99%であるのが好ましい。最大長さがこれより短いとティッシュペーパーを滑らかに取り出すことができない。また、これより長いとティッシュペーパーの保持が充分でなく、容器の設計にも不都合であり、さらに異物混入の可能性が高い。
【0055】
一方、取出口の最小幅(B)は1mm〜1cmであるのが好ましい。最小幅がこれより狭いとティッシュペーパーの取り出しが困難である。また、最小幅がこれより広いとティッシュペーパーの保持が困難となる。
さらに、抵抗隔壁の取出口の最大長さ方向の中央付近の膨張部18の幅が、前記の取出口17の最大幅であるのが好ましい。このように取出口の中央付近に膨張部18を設けることにより、ティッシュペーパーよりも幅の狭い取出口17(幅A)に寄せ集められたティッシュペーパーの逃げが可能となり、適度の保持力を有しつつ、滑らかにティッシュペーパーの取り出しが可能となる。
【0056】
図6はこのキットの容器の他の具体例を示す斜視図である。この具体例では、蓋部10は容器本体30に対して回転して開閉可能に取り付けられる。また、抵抗隔壁14は中蓋16に設けられ、該中蓋16を本体内側に設けた中蓋受部32に緊密に取り付ける。さらに、キットの容器において、包装袋の詰め替えを行う蓋部は、図1、図6のような容器の前面でなく底部、側部に設けてもよい。
【0057】
図8は、ウエットティッシュの包装袋の取出口の他の具体例を示す斜視図である。この具体例では、横長の「H」字型に切り込み23を形成した取出口が設けられる。この形状の取出口は切り開かれたシートの断片のために、開口面積が小さくなり、空気中の菌による二次汚染や水性液剤の揮散が防止される。
上記のような据え置き型ウエットティッシュ供給キットは、ウエットティッシュの補充、詰め替えが極めて容易でかつ衛生的である。また、据え置いたまま片手でもウエットティッシュを1枚ずつ使用しやすい、広がった状態で必要なだけ迅速に取り出すことができる。
【0058】
上記のように本発明の積層不織布は、ウエットティッシュに使用することができ、この積層不織布は、包装袋に水性液剤と共に包装されている状態では水解することはなく、一葉づつ容器から取り出すことが可能であるが、多量の水と接触することにより水解するので、このウエットティッシュを使用後は、水洗トイレなどに流して処理することができる。本発明の積層不織布を用いたウエットティッシュは例えば乳幼児および介護用の清拭用品、特に乳幼児用のおしり拭きおよびトイレ清掃用具などの衛生用品に適用することができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明の積層不織布は、水解性不織布と短繊維不織布との積層体であり、良好な吸水性を有すると共に、少量の水を含有した状態では不織布としての形態が崩壊することがないが、この積層不織布を多量の水に投入すればこの積層不織布は水に崩壊する。従って、この積層不織布は、水を含浸して使用することができ、こうして使用した後は、水洗トイレなど多量の水中に投入すれば、この積層不織布は、この不織布を形成する繊維状にまで崩壊する。
【0060】
本発明の積層不織布は、上記のような特性を有することから、使用後に水解処理することができる。
本発明の包装ウエットティッシュは、本発明の積層不織布が有している上記の特性を利用するものであり、水不透過性の包装袋に上記積層不織布と水性液体とが密封されており、このような包装袋内では積層不織布は水性液体を含有しているにも拘わらず、この積層不織布の形態が崩壊することはない。このような包装ウエットティッシュを包装袋から取り出して使用した後は、このウエットティッシュを大過剰の水中に投入することにより、このウエットティッシュを形成する積層不織布は水解する。
【0061】
従って、本発明の包装ウエットティッシュは、使用後に水洗トイレなどで水解処理することができる。
さらに、この包装ウエットティッシュは、据え置き型の容器のウエットティッシュを包装袋ごと収納して使用するので、据え置き型容器内を常に衛生的に保持することができる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明の積層不織布およびこれを用いた包装ウエットティッシュの好ましい態様をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】
【実施例1】
ビスコースレーヨンを70重量%、ポリアクリル酸ナトリウムを15重量%、カチオン化セルロースを15重量%含有する樹脂組成物を用いて繊維を作成した。
この作成方法を下記に示す。
【0064】
常法によって製造された、セルロース濃度9.0重量%、アルカリ濃度5.7重量%のビスコース70重量部にポリアクリル酸ナトリウムとカチオン化セルロースの混合溶液(ポリアクリル酸ナトリウム4.5重量%、カチオン化セルロース4.5重量%、水酸化ナトリウム0.5重量%)30重量部を加えて撹拌機で充分混合し分散させた。
【0065】
こうして得られた分散液を用いて通常の紡糸工程で3.0デニール、38mmカット長の繊維とした紡糸工程における水溶性高分子の溶出はほとんど検出されないことがわかった。この繊維を精錬機を通して脱硫−水洗−漂白−水洗し、さらに油剤付与し乾燥した。
この繊維を試験用のカード機でウェブを形成した後に、このウェブを6m/分の速度で移動させながら25kg/cm2の高圧水ジェット流で交絡処理した。交絡処理したウェブを乾燥して目付が25g/m2、平均厚さが0.26mmである水解性不織布を作成した。
【0066】
これとは別に平均繊維長が3mmのパルプを用いて定法に従って短繊維不織布を製造した。この短繊維不織布の目付は、28g/m2、平均厚さは0.25mmであった。
上記のようにして製造した水解性不織布および短繊維不織布とを、水解性不織布/短繊維不織布/水解性不織布となるように重ね合わせて加熱下に加圧して、水解性不織布/短繊維不織布/水解性不織布の三層構造を有する積層不織布を製造した。
【0067】
この積層不織布に、この積層不織布の重量に対して200重量%の水を含浸させて、清拭布として使用したが、使用に際してこの積層不織布の形態が崩れることはなかった。
次いで、この積層不織布を、予め大過剰の水を入れた分液ロートに入れ、30秒間振蘯させたところ、この積層不織布は、ほぼ繊維状態にまで解繊された。
【0068】
【実施例2】
上記実施例1で製造した積層不織布70枚84gを、各葉が互いに重なり合うように折り畳んで、アルミニウム蒸着層を有するプラスチック性のラミネートフィルムで形成された水不透過性包装袋に収容した。この収容袋内に、水97重量部と、安息香酸ナトリウム0.6重量部とからなる液剤を218g入れ、収容袋の解放口をヒートシールして包装ウエットティッシュを製造した。
【0069】
この包装ウエットティッシュの包装袋の上面には、収容されているウエットティッシュを取り出すための切り込みが形成されており、この切り込みは、切り込みを覆うようにアクリル系接着剤でシール部材が貼着されている。
この包装ウエットティッシュを90日間放置した後、シール部材を剥離撤去して硬質プラスチックからなる容器に収容し、この容器に蓋をして、蓋体丈夫の開口部から容器に包装袋ごと収容されているウエットティッシュを一枚一枚取り出したところ、紙切れもなく、全部の不織布を取り出すことができた。
【0070】
また、こうして取り出されたウエットティッシュは、実施例1に示した積層不織布と同程度の水解性を有していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、包装ウエットティッシュの具体例を示す説明図であり、蓋部(a)、包装ウエットティッシュ(b)および容器本体(c)を示す。
【図2】図2はウエットティッシュの折り畳み方の具体例を示す断面図である。
【図3】図3は、ミシン目でつながったウエットティッシュを示す説明図である。
【図4】図4は、キットの使用状態を示す断面図である。
【図5】図5は、キットの使用状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、キットの他の具体例を示す説明図である。
【図7】図7は、抵抗隔壁の他の具体例を示す平面図である。
【図8】図8は、包装ウエットティッシュの取り出し口の他の具体例を示す斜視図である。
【図9】図9は、図1に示す抵抗隔壁の詳細平面図である。
【図10】図10は、抵抗隔壁の種々の具体例を示す平面図である。
【符号の説明】
1・・・容器
2・・・包装ウエットティッシュ
10・・・蓋部
11・・・開口部
14・・・抵抗隔壁
17・・・取り出し口
18・・・膨張部
21・・・ウエットティッシュ
22・・・包装袋
23・・・切り込み
24・・・取り出し口
27・・・ミシン目
30・・・容器本体
31・・・受部
33・・・収容部

Claims (14)

  1. 再生セルロースとカチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成されたイオン性繊維、および非水解性短繊維から構成される水解性不織布と、短繊維から形成されている短繊維不織布との少なくとも二種類の不織布が水解可能に積層されていることを特徴とする積層不織布。
  2. 上記樹脂組成物中に、再生セルロースが20〜98重量%、上記カチオン性樹脂が1〜79重量%、上記アニオン性樹脂が1〜79重量%、それぞれ含有されていることを特徴とする請求項第項記載の積層不織布。
  3. 上記非水解性短繊維が、平均繊維長80mm未満の再生セルロース繊維であることを特徴とする請求項第項記載の積層不織布。
  4. 上記再生セルロースが、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、キュプラまたは鹸化アセテートであることを特徴とする請求項第1項、第2項または第3項のいずれかの項記載の積層不織布。
  5. 上記カチオン性樹脂が、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化グアーガム、カチオン化デキストリンおよびポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の樹脂であることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の積層不織布。
  6. 上記アニオン性樹脂が、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、アルギン酸、キサンタンガムおよびポリメタクリル酸塩よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の樹脂であることを特徴とする第1項または第2項のいずれかの項記載の積層不織布。
  7. 上記積層不織布が、水解性不織布と短繊維不織布と水解性不織布とがこの順序で積層された三層構造を有することを特徴とする請求項第1項記載の積層不織布。
  8. 上記積層不織布の平均厚さが0.3〜1mmの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の積層不織布。
  9. 上記積層不織布全体の目付けが20〜80g/m2の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の積層不織布。
  10. 再生セルロースとカチオン性樹脂とアニオン性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成されたイオン性繊維、および非水解性短繊維から構成される水解性不織布と短繊維から形成されている短繊維不織布との少なくとも二種類の不織布が水解可能に積層されている積層不織布と
    該積層不織布に含浸された水性液剤と
    からなり、該積層不織布が連続して取り出し可能に包装袋に密封されていることを特徴とする包装ウェットティッシュ。
  11. 上記積層不織布が、水解性不織布と短繊維不織布と水解性不織布とがこの順序で積層された三層構造を有することを特徴とする請求項第10項記載の包装ウェットティッシュ。
  12. 上記積層不織布の平均厚さが0.35〜0.55mmの範囲内にあることを特徴とする請求項第10項記載の包装ウェットティッシュ。
  13. 上記積層不織布全体の目付けが35〜45g/m2の範囲内にあることを特徴とする請求項第10項記載の包装ウェットティッシュ。
  14. 上記水性液剤が含浸された不織布を収納する包装袋が、水分非透過性の可撓性合成樹脂袋であることを特徴とする請求項第10項記載の包装ウェットティッシュ。
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