JP3664551B2 - 拭き取りシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水洗トイレットの清掃用、除菌または殺菌用、あるいは人体のおしり拭き用、あるいは室内の清掃用やおしぼりなどとして使用されるウエットまたはドライの拭き取りシートに係り、特に従来のものよりも嵩高にして扱いやすいようにし、且つ汚れの拭き取り効果を改善した拭き取りシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
トイレットや室内の清掃、あるいはおしぼりなどとして、ウエットシートが使用される。このウエットシートは、木材パルプ繊維などで形成された紙のシートに、清浄薬液が含浸されたものである。前記清浄薬液には、水とアルコールに界面活性剤、清浄成分や防腐剤、香料などが含まれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のウエットシートは、平坦なシートが1枚で使用され、あるいは2、3枚が重ねられて使用されるものであったため、シートそのものの嵩が低く、非常に薄いものであった。したがって、手でシートを押さえ清掃場所を拭く際に、シートを手で保持する感触を得ることができず、例えば手とシートとが滑りやすく、使用感触の悪いものであった。
また平坦なウエットシートでは、清掃場所から汚れを十分に拭き取ることができない欠点があった。特に凹凸のある床などを拭く場合、凹部の汚れを拭き取りにくいものであった。また2、3枚の平坦なシートを重ね、シートに細かな凹凸エンボス加工を施したものもある。この細かな凹凸を有するものはシート全体の嵩が低いため、手で押さえて拭く作業を行なうときの取り扱いが不便である点において充分な改良がなされていなかった。また、細かな凹凸エンボスでは、汚れの拭き取り効果を向上させることに限界がある。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、ウエットまたはドライにて使用される拭き取りシートを嵩高に構成できるようにして、清掃作業のときに手でシートを保持しやすくし、また布雑巾に近い感触を得ることができるようにした拭き取りシートを提供することを目的としている。
【0005】
さらに本発明は、嵩高のシートの表面に細かな皺を現出させてこの皺によりシート表面に多数の凹凸を形成して、手との間で滑りにくくするのみならず、清掃場所の汚れの拭き取り効果を向上させた拭き取りシートを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、低クレープ率またはクレープを有しない第1のシートと、前記第1のシートよりも高クレープ率の第2のシートとが重ねられて、前記第1のシートと前記第2のシートとが複数の接合部において部分的に接合され、
前記接合部が間隔を開けて並んで列を成し、前記列が、前記列での前記接合部の配列間隔よりも広い間隔を空けて複数列形成されており、
両シートが接合された後の両シートのクレープの復元による伸び率の違いによって、隣り合う前記列の間の領域に位置する前記第2のシートに、前記列での前記接合部の配列ピッチとほぼ同一ピッチで凹凸を繰り返す皺が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
この場合に、前記第1のシートの表裏両面に第2のシートが接合されている3層構造とすることが好ましい。ただし、第1のシートと第2のシートとの2層構造であってもよい。
【0009】
上記において、個々の接合部は短い線状に形成された短接合部であり、この接合部(短接合部)は、列方向に対して斜めに形成されていることが好ましい。
【0010】
さらに、図1および図2では、接合部(短接合部a)が列方向に一定のピッチpで並んでいるが、列方向へのピッチpが個々の接合部(短接合部a)間で相違し、またはピッチpが列方向に向かうにしたがって周期的に変化するものであってもよい。さらに図1と図2では、接合部の並び列がY方向に直線状に延びているが、接合部が並ぶ列は必ずしも直線状である必要はなく、前記列が湾曲線状や折れ線状に延びていてもよい。
【0011】
本発明は、ウエット状態またはドライ状態で使用される清掃用、おしり拭き用その他の拭き取りシートを、複数の紙または不織布を重ねることにより形成するとともに、全体に嵩高感を与えるために、少なくとも表面のシートに凹凸皺を規則的に現出させたものである。また、規則的な凹凸皺を与えることにより、拭き取り効果を高くしている。
【0012】
複数のシートのうちの少なくとも表面のシートに、凹凸皺を規則的に現出させ、しかもこの凹凸皺の間隔およびピッチを制御するための構造として、接合部を、列方向へ間隔αを開けて例えば一定ピッチpまたは周期的に変化するピッチで配列させ、且つ複数の接合部が並ぶ並び列を所定間隔βで複数列設けている。これにより、前記並び列の列間の領域において、例えば接合部の部分でシートに凹部が、接合部間で凸部が現れるように制御され、接合部の配列ピッチpとほぼ同一ピッチにて凹凸を繰り返す皺を現出できる。
【0013】
少なくとも表面のシートに前記接合部のピッチに対応した凹凸皺を現出させる方法として、所定のピッチでシート間を接合していくときに、シートに皺付け加工を施し、接合部にてシート間を接合しながらこの接合部のピッチに対応した凹凸皺を形成することが可能である。
【0014】
または、低クレープ率またはクレープを有さない第1のシートと、前記第1のシートよりも高いクレープ率の第2のシートとを前記接合部により互いに接合させる。この場合、第1のシートの表裏両面に第2のシートを接合させた3層構造または、第1のシートと第2のシートのみが接合された2層構造であってもよい。図2に示すような複数の接合部により各シートを接合した後に、各シートに水分を与えると、クレープ皺が復元してシートが伸びるが、このとき第1のシートの伸び率よりも第2のシートの伸び率が大きくなる。よって第2のシートは、第1のシートにより拘束されながら伸びを生じ、その結果、第1のシート上にて第2のシートが膨らみを生じることになる。図2に示すように、接合部が形成されている部分では第2のシートの伸びが抑制され、接合部のピッチ間では第2のシートの伸びが大きくなり、その結果、接合部の並び列の列間の領域において、側方に接合部が有る部分では凹、接合部が無い部分では凸となり、接合部の配列ピッチpとほぼ同一ピッチの凹凸皺が現れる。
【0015】
また、各接合部を短い線状とし、この接合部をその配列ピッチに対して斜めに形成しておくと、接合部の両側の領域にてクレープ皺どうしが短絡することがなく、接合部の配列ピッチに応じた凹凸皺が、接合部の並び列の間の領域で、接合部の列を挟んで隣接する領域との間で独立して形成されることになる。
【0016】
本発明でのシートは、例えば前記のようにクレープ加工が施された、天然パルプ(木材パルプ)繊維の紙、またはレーヨンなどの化学繊維を含む紙である。あるいは不織布であってもよい。
【0017】
シート間の接合は、EVA系などのホットメルト接着剤などによる接着接合であってもよいし、またはシートがポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂繊維またはこれらを含む複合繊維などで形成されている場合には、シート間の接合は前記繊維どうしの熱溶着であってもよい。
【0018】
シートがホットメルト接着剤や熱溶着などのように水不溶性の接合手段により接合されているときは、シートに含まれる清浄薬液によって前記接合手段でのシートどうしの接合が解離することはない。清浄薬液としては、水とアルコールに界面活性剤、清浄成分や防腐剤、香料などが含まれたものが使用される。あるいはドライの状態で販売し、使用の際に、ユーザが水または前記清浄薬液を含浸させるものであってもよい。ドライシートとして販売される場合は、水などを含浸させて第2のシートに膨らみを形成した後、熱風などによりシートを乾燥させる。乾燥させたドライな状態でも皺は保持されるため、シートの嵩高感が損なわれることはない。
【0019】
また、シートが、天然パルプなどの繊維とカルボキシルメチル化パルプまたはカルボキシメチルセルロースなどの水溶性または水膨潤性のバインダーとから成る水解性シート(水解紙)で、水洗トイレットに流せるものである場合には、シート間がカルボキシルメチルセルロースなどの水溶性接着剤により接着されて前記接合部が形成される。この場合にシートに含ませる清浄薬液は、水にアルコール、およびカルシウムやストロンチュームなどの金属イオンが含まれたものなどが使用される。この金属イオンによりシートに含浸された薬液によるシートの解離および接着剤の溶解が抑制され、使用中は、シート強度を保つことができ、水洗トイレットに流した後は、清浄薬液が水で希釈化され、シートの水解および接着剤の解離が可能になる。
【0020】
この拭き取りシートによる拭き取り効果は、シート表面に現れる凹凸皺のピッチに左右され、また前記のようにシートの凹凸皺は接合部の列方向への配列ピッチpおよび接合部間の間隔αにより制御される。実験の結果、拭き取り効果を有効に発揮できるためには接合部の列方向の間隔αは0.5mm以上で3.0mm以下程度であることが好ましい。また、接合部の並び列の列間の間隔βが広すぎると、列間の凹凸皺のコシが弱くなり、凹凸皺による拭き取り効果が低下し、また列間の間隔βが狭すぎると、列間に生じる凹凸皺の凹凸高さが浅くなる。よって接合部の並び列の間隔βは、7.5mm以上で15.0mm以下にすることが好ましい。
【0021】
前記の接合部の列方向の間隔α(およびピッチp)ならびに接合部の並び列の間隔βは、シートの嵩高感にも影響を与える。さらに第1のシートのクレープ皺の復元による伸び率と第2のシートのクレープ皺の復元による伸び率の差も、嵩高間に影響を与える。第1と第2のシートのおいて適度に膨らみを持たせるためには、第1のシートと第2のシートの伸び率の差を、20%以上で80%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは30%以上で60%以下である。ここでいう伸び率とは、シートの元の長さをx、液にシートを浮かべてクレープ皺が復元されて伸びた後のシートの長さをΔxとしたときに、{(Δx−x)/x}×100(%)で表わされるものである。
【0022】
また、シートの柔軟性や強度は第1のシートおよび第2のシートの目付により変化するが、本発明では第1および第2のシートのそれぞれの目付は、15g/m2以上で75g/m2以下であることが好ましい。このようなシートを使用したとき、第1のシートと第2のシートの2層構造のものでは、シートの全目付は30g/m2以上で150g/m2以下であり、第2のシートの表裏両面に第1のシートが接合された3層構造のシートでは、全目付が45g/m2以上で225g/m2以下となる。
【0023】
このように構成することにより、嵩高で適度に皺が形成され、手で掴みやすく拭き取り効果の高い拭き取りシートを実現できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の拭き取りシートの構造を示す斜視図である。
この拭き取りシート1は、トイレットや台所などの室内の清掃用、またはおしり拭き用、あるいはおしぼりなどとして使用されるものであり、清浄用の薬液が含浸された非水解性のウエットシート、または、汚れを拭き取った後に水洗トイレットに流すことができる水解性のウエットシート、または乾いた状態で使用されるドライシートとして使用される。
【0025】
前記拭き取りシート1は、第1のシートS1と、この第1のシートS1の表裏両側にて接着接合部Aにより部分的に接着接合された第2のシートS2との3層のサンドイッチ構造である。第1のシートS1は、パルプ繊維などで湿式にて抄紙形成された原紙シートにクレープ加工が施されたまたはクレープ加工が施されていないものであり、第2のシートS2は、原紙シートに前記第1のシートより高い伸び率となるクレープ加工が施されたものである。
前記接着接合部Aは、X方向へ一定の間隔を開け、Y方向(列方向)に沿って直線状に設けられている。この拭き取りシート1に清浄薬液などが含浸されてシート1が濡れると、クレープ加工による微細な皺が復元されてシートが伸びるが、第2のシートS2、S2は第1のシートS1よりも高い伸び率を有し、しかも第1のシートS1と第2のシートS2は接着接合部Aにより互いに部分的に拘束されているため、第2のシートS2、S2は接合部Aと接合部Aとの間の領域で膨らみ変形する。さらに第2のシートS2には細かな皺Bが現出する。
【0026】
図2は図1の一部を拡大して、接着接合部Aの形状とこれに現れる皺の状態を模式的に示しており、図2でのX−Y座標は、図1に示すX−Y座標に対応している。
Y方向が抄紙工程での巻き取り方向、X方向が幅方向であり、このX方向は、クレープ加工による微細な皺bが延びる縦方向(クレープ方向)である。
【0027】
図2に示すように、前記接着接合部Aは、短い直線状の複数の短接合部aがY方向へ一定のピッチpで列を成して配列されており、個々の各短接合部aにより第1のシートS1と第2のシートS2が部分的に接着接合されている。また列方向に並ぶ隣接する短接合部a間の間隔をαで示している。個々の短接合部aは、前記ピッチpの方向(Y方向)およびクレープ方向(X方向)の双方に対して角度を有して斜めに形成されている。また、短接合部aの並ぶ列(Y列)の列間の間隔をβで示している。
【0028】
各シートS1、S2、S2に清浄薬液が含浸されると、クレープ加工による微細な皺bがY方向へ膨らもうとする。このとき第1のシートS1と第2のシートS2は短接合部aの部分▲1▼で接着されているため、この▲1▼の部分では第2のシートS2にY方向への伸びが発生しにくい。これに対し短接合部aと短接合部aで挟まれた間隔αの部分▲2▼では、第2のシートS2がY方向へ伸びやすく、このY方向への伸び(イ)により▲2▼の部分では弛みが発生しやすい。その結果、接着接合部Aと接着接合部Aとで挟まれた領域、すなわち短接合部aの成す列の列間の領域Lでは、両側の短接合部aの部分を結ぶ部分に谷部▲3▼が帯状に形成され、また両側の部分▲2▼を結ぶ帯状の山部▲4▼が現れる。
よって、短接合部aの成す列間に挟まれたLの領域では、短接合部aの配列ピッチpとほぼ一致したピッチで凹凸を繰り返す皺Bが現れる。なお、皺Bの山部▲4▼のY方向の幅寸法は、短接合部aの前記間隔αにより決められ、谷部▲3▼のY方向の幅寸法は、短接合部aのY方向の幅寸法γで決められる。
【0029】
また個々の短接合部aは、配列ピッチ方向(Y方向)およびクレープの形成方向(X方向)に対して角度を有するよう傾斜して形成され、さらに、Y方向へ並ぶ個々の短接合部aを見たときに、短接合部aと短接合部aとの間にY方向への重なり量δを有している。そのために、列間の領域Lのクレープ皺bと隣の列間の領域L1のクレープ皺bとが、境界となる斜めの短接合部aにより必ず遮断され、領域Lと隣の領域L1との間に渡って、いずれのクレープ皺bも連続することがない。これを説明するために、図2では1本のクレープ皺を代表させて点線bで示しているが、この点線bをどの部分に描いても、領域Lと領域L1とに渡って延びる点線bは、必ずいずれかの短接合部aで遮断されることが解る。したがって、第2のシートS2の凹凸皺Bは、領域Lと領域L1において、互いに独立して形成される。領域Lと領域L1とで凹凸皺Bが独立して形成されることにより、各凹凸皺Bのコシを強くでき、潰れにくい強度を与えることができる。この皺Bが確実に現れることにより、図1に示すような拭き取りシート1の全体にボリューム感が出る。また、この皺Bにより、拭き取りシートが手で掴みやすくなり、またこの皺Bによりシート1に凹凸ができるため汚れを拭き取る効果を高くできる。
【0030】
伸び率の高い第2のシートS2に一定の凹凸の皺Bを効果的に現出させるために、接着接合部Aにおいて、Y方向に並ぶ個々の短接合部aのピッチpを一定にすることが好ましい。ただしピッチpが周期的に変化するようなものであってもよい。また、短接合部aの▲2▼の部分の間隔αにより、山部▲4▼のY方向への幅寸法が決められるが、間隔αが大きすぎると山部▲4▼の幅が大きくなり、山部▲4▼による膨らみが潰れやすくなり、連続の拭き取りを行なっているうちに皺Bの山部▲4▼が平坦に変形し、汚れの拭き取り効果が低下する。逆に間隔αが短すぎると、山部▲4▼の幅が小さくなりすぎて皺Bの膨らみが小さくなり、拭き取り効果が低減し、またシートに嵩高感がでなくなる。
【0031】
したがって、山部▲4▼に適度な膨らみを持たせてシートを嵩高にし、拭き取り効果を高くするためには、Y方向に並ぶ短接合部a間の間隔αを0.5mm以上で3.0mm以下とすることが好ましい。ただし、間隔αが0.5mm以上で5.0mm以下でも従来のシートに比べて拭き取り効果は充分に期待でき、また10.0mm以下でも皺の潰れ以外の点ではさほど問題はない。よって間隔αが0.5以上で5.0mm以下、または0.5mm以上で10.0mm以下であってもよい。
【0032】
一方、短接合部aの幅寸法γは、凹凸皺Bの谷部▲3▼のY方向への幅寸法に影響を与える。前記幅寸法γが大きすぎると、シート全体として谷部▲3▼の占める面積が広くなりすぎ、シートの嵩高感がでなくなり、また山部▲4▼の数が減少して拭き取り効果が低下する。よって、谷部▲3▼の幅寸法を山部▲4▼の幅寸法と同じかまたはそれ以下とすることが好ましく、そのためには短接合部aの幅寸法γを間隔αと同じかまたはそれ以下とすることが必要である。
さらに、シート1の皺Bの形成具合および膨らみ具合は、Y方向に延びる接着接合部Aと、これに平行な接着接合部Aとの間隔すなわち、短接合部aが成す列の列間の間隔βによっても左右される。
【0033】
前記列間の間隔βが大きすぎると、列間の領域Lの幅寸法が長くなり、領域Lの皺Bが長く延びることになって皺Bの凹凸のコシが弱くなる。したがって、汚れを拭き取る際に皺Bが潰れやすくなる。逆に列間の間隔βが狭すぎると、シートに凹凸皺Bの膨らみが生じる面積に対する接着接合部Aの面積の比率が大きくなりすぎ、シートの嵩高感が乏しいものとなる。したがって、短接合部aの並ぶ列の列間の間隔βは7.5mm以上で15.0mm以下にすることが好ましい。ただし、間隔βが20.0mm以下であっても、皺が潰れやすい点以外を除けば、拭き取りシートとして従来のものよりも優れた拭き取り効果を発揮できる。
【0034】
図3(A)(B)(C)は拭き取りシート1の製造方法の一例を工程順に示している。
まず、図3(A)に示すように、低クレープ加工またはクレープ加工を施していない第1のシートS1の表裏両面に接着剤2が塗布され、第2のシートS2、S2が第1のシートS1の表裏両面に重ねられる。第1のシートS1および第2のシートS2は、木材パルプ繊維や非木材パルプ繊維、またはレーヨン繊維などを原料として、製紙抄造機を用いた湿式抄紙法などで製造され、その後にクレープ加工が施されたものである。前記のようにシートS2のクレープ率は、シートS1のクレープ率よりも高くしておく。
【0035】
第2のシートS2の短接合部の列の間において適度に膨らみを持たせるためには、第1のシートS1と第2のシートS2のクレープ皺の復元による伸び率の差を、20%以上で80%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは30%以上で60%以下である。伸び率の差が前記範囲よりも小さいと、拭き取りシート1全体を嵩高にすることができず、また前記範囲よりも大きいと、第2のシートS2の膨らみ量が大きくなりすぎ、凹凸皺Bの山部▲4▼が高くなり、山部▲4▼のコシが弱く、潰れやすくなる。また拭き取りシート1の厚さが大きくなりすぎ、これを重ねて容器に入れたときに、容器内で嵩張ることになる。
【0036】
また、第1のシートおよび第2のシートの目付が大きすぎるとシートの柔軟性が低くなり、ごわごわして汚れを拭き取りにくく、また小さすぎてもシートの強度が小さくなり拭き取り動作の途中でシートが破れるなどの問題がある。したがって、第1および第2のシートの目付は15g/m2以上で75g/m2以下であることが好ましい。このようなシートを使用したとき、第1のシートと第2のシートの2層構造のものではシートの全目付は30g/m2以上で150g/m2以下となり、第1のシートの表裏両面に第2のシートが接合された3層構造のシートでは、全目付が45g/m2以上で225g/m2以下となる。
【0037】
第1のシートS1には図2に示す接合パターンとなるように、接着剤2が塗布されるが、この接着剤として例えば水不溶性のポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系やEVA系のホットメルト接着剤が使用される。また、シートS1とS2が水解性シートの場合には、接着剤として、水溶性のカルボキシメチルセルロースなどが使用される。そして、接着剤が塗布された後に、第1のシートS1の表裏両面に第2のシートS2、S2が重ねられ、加湿されながら加熱板4および5に挟圧される。加熱板5には接着接合部Aのパターンに合わせたエンボス5aが設けられており、このエンボス5aによりシートが加圧・加熱されて、第1のシートS1と第2のシートS2が接着接合部Aにて互いに接着接合される。接合された状態を図3(B)に示す。
【0038】
このように接着された拭き取りシート1に水とアルコール、界面活性剤、防腐剤および消臭剤や芳香剤などが混合された清浄薬液(水解性シートの場合には金属イオンなどの水解を抑制する成分が含まれる)が含浸される。清浄薬液が含浸されるとクレープ加工による微細な皺bがY方向へ膨らみ、図2に示すように短接合部aと短接合部aとで挟まれた部分▲2▼で第2のシートS2がY方向へ伸び、Y方向に配列された接着接合部Aと接着接合部Aとで挟まれたLの領域において短接合部aの部分▲1▼を結ぶ谷部▲3▼および▲2▼を結ぶ山部▲4▼が現出し、接着接合部Aで挟まれたLの領域では、短接合部aの配列ピッチpとほぼ一致した凹凸の皺Bが現出される。
このようにして形成された拭き取りシート1は、清浄薬液が含浸されたウエットな状態でプラスチックの容器などに入れられる。
【0039】
また、前記拭き取りシート1はウエットシートに限らず、ドライなものでもよい。この場合、前記製造工程において第1のシートS1および第2のシートS2を接着接合させた後に、前記清浄薬液または除菌あるいは殺菌水さらには防かび剤などを含浸させて第2のシートに皺Bを形成した後に、熱風などにより乾かせばよい。このように、拭き取りシート1を乾かした後でも、前記皺Bは膨らみを保持しており、シートを嵩高にすることができる。
また、図4に示すように、低伸び率のクレープ加工が施され、またはクレープ加工が施されていない第1のシートS1と、高伸び率のクレープ加工が施された第2のシートS2とがそれぞれ一枚ずつ重ねられて2層構造となったものであってもよい。
【0040】
【実施例】
本発明の拭き取りシートにおいて、列方向に隣接する短接合部aの間隔αを0.5mm以上で3.0mm以下、接着接合部Aの列間の間隔βを5.0mm以上で15mm以下とし、第1および第2のシートS1、S2の最適な目付を15g/m2以上で75g/m2以下としたが、このような条件で形成した拭き取りシートの嵩(厚さ)、柔軟性、および拭き取り効果を調べるために以下の拭き取り試験を行った。
【0041】
(1)短接合部aの列方向の間隔αについての試験
まず、拭き取りシートの嵩高感を保持し、クレープ皺の伸びによる適度な皺(凹凸)を形成できる短接合部aの間隔αを調べるために以下の試験を行った。
パルプ繊維から成る目付60g/m2でクレープ率50%の高クレープ紙を第2のシートとし、同じくパルプ繊維から成る目付30g/m2のノークレープ紙を第1のシートとし、第1のシートの表裏両面に接着剤を部分的に塗布し、第1のシートの表裏両面に第2のシートを重ねて図3(A)に示す加熱板により両シートを加圧接着させて、3層構造の拭き取りシートを形成した。
【0042】
このとき、第1のシートおよび第2のシートの短接合部aの間隔αが0.6mm、1.5mm、3.0mm、5.0mm、10.0mmとなる5種類の実施例を製造した。いずれも、短接合部aの列の列間の間隔βを7.5mmとした。
第1および第2のシートを接着接合した後に、水にアルコールが含まれている清浄薬液をシートに含浸させて第2のシートにクレープ皺の伸びによる膨らみを生じさせた。
【0043】
拭き取り試験の被試験体(被拭き取り体)としては、台所用のタイル状の床を使用した。拭き取りを行った床の面積は500mm×500mm、タイルの凸部は28mm×28mmの正方形であり、その溝部の深さは0.85mmであった。この床にダストおよび開繊パルプを適当量散布して、この床を各実施例の拭き取りシートで5回拭いた。拭いた後の床の状態を観察し、溝部におけるダスト汚れおよび開繊パルプがどの程度拭き取られていたかを、○△×で評価した。また、拭き取った後、シートの拭き取りに使用した面の皺の潰れ具合を観察し、潰れ度合が小さければ○、少し潰れているものは△、かなり潰れているものは×で評価した。さらに、拭き取り動作前の拭き取りシートの厚さを測定した。
以上の試験の結果を以下の表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示すように、短接合部の間隔αが0.6mmのものは、拭き取りシートの見掛けの厚みが2.43mmと比較的大きく、全体として嵩高である。また、凹凸皺Bの形成状態が適度であり、ダストの拭き取りおよび開繊パルプの拭き取りが効果的に行われた。また、凹凸皺Bの強度が高く(コシが強く)拭き取り作業中に皺が潰れにくく、嵩の高さを保ちながら拭き取りを行うことができた。
短接合部の間隔αが1.5mmのものは、シートの厚さは2.14mmとなり、ピッチが0.6mmのものに比べてやや嵩が低くなるが、ダストおよび開繊パルプをきれいに拭き取りことができ、また皺も潰れにくく、扱いやすいものとなった。
【0046】
短接合部の間隔αが3.0mmのものは、凹凸皺Bの山部▲4▼の幅が広くなり、全体として嵩が低くなり、厚さは2.06mmと薄くなる。また凹凸皺Bの山部▲4▼の幅が大きすぎるため、山部▲4▼のコシが弱く、拭き取りのとき皺が潰れやすくなった。
短接合部の間隔αが5.0mmのものは、凹凸皺Bの山部▲4▼がさらに広がるために嵩が低くなり、厚さは2.0mmと薄くなる。また、山部▲4▼の幅が広いために、個々の皺のコシが弱くなり、潰れやすく、よってダストの拭き取り効果もやや劣るようになる。
【0047】
短接合部の間隔αが10.0mmとなると、凹凸皺の山部▲4▼が広がり、シートの厚さは1.9mmと小さくなる。また凹凸も少なくなり、ダストなどの細かい汚れの拭き取り効果がやや劣り、また拭き取り動作後に皺が潰れやすくなる。
以上から、嵩高となり、拭き取り動作により凹凸皺が潰れにくく、また汚れの拭き取り効果を高くできるためには、短接合部aの列方向の間隔αが、0.5mm以上で3.0mm以下であることが好ましい。ただし、間隔αが0.5mm以上で5.0mm以下でも従来のシートに比べて拭き取り効果は充分に期待でき、また10.0mm以下でも皺の潰れ以外の点ではさほど問題はない。よって間隔αが0.5以上で5.0mm以下、または0.5mm以上で10.0mm以下であってもよい。
【0048】
(2)短接合部の列間の間隔についての試験
拭き取りシートの嵩高感を保持し、適度な皺(凹凸)を形成するための、短接合部の列間の間隔βを調べるために以下の試験を行った。
パルプ繊維から成る目付60g/m2でクレープ率50%の高クレープ紙を第2のシートとし、同じくパルプ繊維から成る目付30g/m2のノークレープ紙を第1のシートとし、第1のシートの表裏両面に接着剤を部分的に塗布し、第1のシートの表裏両面に第2のシートを重ねて図3(A)に示す加熱板により両シートを加圧接着させて、3層構造の拭き取りシートを形成した。この第1のシートおよび第2のシートを接合する短接合部の間隔αは、前記(1)の試験結果に基づき0.6mmとした。また短接合部の列(接着接合部)の間隔βは、7.5mm、10.0mm、15.0mm、20.0mmの4種類とし、それぞれを実施例とした。第1のシートおよび第2のシートを接着接合させた後に、水にアルコールが含まれている清浄薬液をシートに含浸させて第2のシートにクレープ皺の伸びによる膨らみを生じさせた。
【0049】
比較例として、接合部がドット状のエンボス加工を施した拭き取りシートを使用した。
これら、短接合部の列の間隔βの異なる拭き取りシートを使用して、拭き取り試験をおこなた。被試験体(被拭き取り体)としては、前記試験(1)と同じものを使用した。
【0050】
床にダストおよび開繊パルプを適当量散布して、この床を前記各実施例および比較例の拭き取りシートにより5回ずつ拭いた。拭いた後の床の状態を観察し、溝部におけるダスト汚れおよび開繊パルプがどの程度拭き取られていたかを、○△×で評価した。また、拭き取った後の皺の潰れ具合を、潰れ度合が小さければ○、少し潰れているものは△、かなり潰れているものは×で評価した。また、拭き取り動作前の各拭き取りシートの厚さを測定した。
以上の試験の結果を以下の表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
表2に示されているように、短接合部の列間の間隔βが7.5mm、10.0mmのものは、列間に発生する凹凸皺BのX方向の長さが適度であり、またシートの厚さは、それぞれ2.43mm、2.44mmと厚く、嵩高となった。また列間の凹凸皺BのX方向の長さが適度であるために、個々の皺のコシが強く拭き取り時の強度に優れる。よって、ダストおよび開繊パルプをきれいに拭き取ることができた。また皺の潰れ具合も小さく、連続して拭き取りを行った後でも、嵩が高くて手で掴みやすいものであった。
【0053】
また、接着接合部の間隔βが15.0mmのものは、第2のシートS2の膨らみが大きくなり、列の間隔が7.5mm、10.0mmのものと比べてシートを厚くすることができ、見掛けの厚みが2.53mmとなる。また、ダストおよび開繊パルプの拭き取りもきれいに行うことができる。ただし、列間に現れる凹凸皺のX方向への寸法が長いために、凹凸皺のコシがやや弱くなり、拭き取り作業後皺が少し潰れた。
【0054】
また、間隔βを20.0mmと大きくしたものでは、皺の膨らみが列間にて妨げられないため、2.53mmとシートを厚くできるが、凹凸皺のX方向の寸法が長くなりすぎ、コシが弱くなって凹凸が潰れやすくなり、ダストの拭き取り効果がやや低下する。
また、シート全面にドット状の接合部を形成した比較例では、凹の部分よりも凸の部分の面積の方が大きく、凹凸が少ないため、ダストおよび開繊パルプを拭き取る効果が小さい。
【0055】
本発明では、図2に示すように、短接合部の列間の領域Lでの凹凸皺Bと、隣の列間の領域L1の凹凸皺とが斜めの短接合部aにより分離され、短接合部の列間で独立した凹凸皺が形成される。したがって列間の間隔βが個々の凹凸皺BのX方向の長さを決めることになる。このX方向の長さが長いと、個々の凹凸皺Bのコシが弱くなる。また列間の間隔が短いと、短接合部の占める面積が広くなり過ぎ、第2のシートS2の膨らみにより嵩高感が劣る。
したがって、接合部の列の間隔βは5.0mm以上で15.0mmとすることが好ましい。このような列の間隔にすることによって、シートにある程度の高さを持たせ、シートの全面に適度な凹凸を形成することができ、また接着接合部によって適度なコシを持たせることができ、拭き取り効果に優れる。ただし、間隔βが20.0mm以下であっても、皺が潰れやすい点以外を除けば、拭き取りシートとして従来のものよりも優れた拭き取り効果を発揮できる。
【0056】
(3)シートの目付についての試験
拭き取りシートの嵩および柔軟性を保持するために最適な第1のシートおよび第2のシート、およびこれら第1および2のシートにより形成される拭き取りシートの目付を調べるため、以下に示す実施例1ないし3および比較例1および2の拭き取りシートを用いて、試験を行った。
【0057】
・実施例1
パルプ繊維から成る目付15g/m2でクレープ率が50%の高クレープ紙を第2のシートとし、同じくパルプ繊維から成り目付15g/m2でクレープ加工が施されていないノークレープ紙を第1のシートとし、この第1のシートの表裏両面に第2のシートを接合したサンドイッチ構造の拭き取りシートを形成し、実施例1のシートとした。前記第1のシートと第2のシートとの接合は、第2のシートの表裏両面に部分的に接着剤を塗布し、第1のシートと第2のシートを重ねた後に、図3に示すような加熱板のエンボスにより接着剤の塗布された部分を加圧して、両シートを接着接合した。この接着接合は前記試験(1)および(2)の結果より、短接合部の間隔αを0.6mmとし、列間の間隔βを7.5mmとした。
前記間隔αおよび列間の間隔βは、以下の実施例2および3、および比較例1および2でも同じである。接着後、シートに水とアルコールを混合した清浄薬液を含浸させて第2のシートの接着接合部AとAの間において膨らみを生じさせ、嵩高な拭き取りシートを形成した。
【0058】
・実施例2
実施例1と同様、パルプ繊維から成るシートを第1および第2のシートとして使用した。第1および第2のシートの目付はそれぞれ30g/m2とし、他の条件、すなわち第1および第2のシートのクレープ率(第1のシートはノークレープ紙)、第1および第2のシートを接着するために使用された接着剤および接合方法、短接合部の間隔α、間隔β、清浄薬液などは実施例1と全く同じにものとして拭き取りシートを形成した。
【0059】
・実施例3
実施例1および実施例2とは第1のシートおよび第2のシートの目付だけを70g/m2と変えて、他の条件を全く同じにして拭き取りシートを形成した。
上記実施例1ないし3に対する比較例として、以下の拭き取りシートを形成した。
【0060】
・比較例1
比較例1は上記実施例1ないし3よりも各シートの目付を小さくし、第1のシートおよび第2のシートの目付をそれぞれ10g/m2とした。他の製造条件は実施例1ないし3と全く同じにした。
【0061】
・比較例2
比較例2は上記実施例1ないし3よりも各シートの目付を大きくしたものを使用し、第1のシートおよび第2のシートの目付がそれぞれ70g/m2のものを使用した。他の製造条件は実施例1ないし3および比較例1と全く同じとした。
【0062】
上記実施例1ないし3および比較例1および2の拭き取りシートの全目付、および見掛けの厚さ、および1kg/cm2の圧力で加圧した後の厚さを測定し、さらに拭き取りシートの柔らかさを調べた。全目付は単位g/m2で表し、厚さはmmで表した。シートの柔らかさは柔らかいものは◎、比較的柔らかいものは○、柔軟性が足りないものは×で表した。
この結果を以下の表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】
以上の表3に示されているように、実施例1の拭き取りシートの目付は45g/m2であり、厚さは2.4mmで加圧後の厚さも1.5mmである。またシートは非常に柔らかく◎で評価された。
また、実施例2の拭き取りシートの目付は90g/m2で、見かけの厚みは2.4mmであり実施例1のシートと同じであるが、加圧後の厚みは2.0mmと実施例1と比べて厚くなっている。また、シートの柔らかさは○で評価され、目付が大きい分実施例1よりも柔軟性がやや低くなっていることがわかる。
また、実施例3の拭き取りシートの全目付は210g/m2で、見かけの厚さは2.45mmと実施例1および実施例2よりもわずかに厚く、加圧後の厚さも2.2mmと実施例1および実施例2に比べて厚く、嵩高感を保持できるものである。但し柔軟性は実施例1よりもやや低いが良好な○で評価された。
【0065】
これに対し、比較例1では、各シートの目付が10g/m2と小さいため、シート全体の目付も30g/m2と小さい。よって、加圧前の厚さは2.4mmと前記実施例1ないし3と変わらないが、加圧後の厚さは1.0mmと小さいものとなり、また非常に柔らかいものとなる。
また、比較例2では各シートの目付が100g/m2と大きいため、拭き取りシートの全目付は300g/m2と大きい。したがって、加圧後の厚さも2.2mmと厚く、シートの嵩を高く保つことができる。しかし、その分柔軟性が低く、×と評価された。
【0066】
上記の試験結果より、第1および第2のシートの目付が小さすぎると、柔軟性は高いが加圧後の厚さが小さく、拭き取りのときに嵩高感を保持できない。またコシも弱くなる。逆に目付が大きいと、加圧後の厚さが大きく、拭き取り動作のときにシートの嵩を高いまま保持できるが、シートのコシが強すぎてゴワゴワした感触となり、手で掴みにくく、拭き取る箇所に合わせてシートが変形しにくく、拭き取り効果が低いものとなる。
したがって、各シートの目付は15g/m2以上で75g/m2以下であることが好ましく、前記試験で使用したように第2のシートの表裏両面に第1のシートが接合された3層構造のものでは、シートの全目付は45g/m2以上で225g/m2以下であり、第1のシートおよび第2のシートの2層構造のものでは、シートの全目付は30g/m2以上で150g/m2以下であることが好ましい。このような目付のシートにより形成された拭き取りシートは、拭き取り動作のときにも嵩高感を保持でき、また柔軟性もあるため、手で掴みやすく、汚れを拭き取る効果の高いものとなる。
【0067】
【発明の効果】
以上のように本発明では、シートの表面に凹凸皺を形成しているために、嵩高で拭き取り効果の高い拭き取りシートを得ることができる。
【0068】
また、シートの表面の凹凸皺を、例えばシート間のクレープ皺の伸び率の差により生じさせると、この凹凸皺のY方向へのピッチおよびX方向への長さを、列を成して形成された間欠的な接合部の間隔αと間隔βにより制御できるようになる。よって、全体として膨らみ感があり、凹凸皺の強度を高くして、潰れにくく且つ汚れの拭き取り効果の優れた拭き取りシートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の拭き取りシートの全体の構造を示す斜視図、
【図2】図1の一部を拡大して、接着接合部の形状とこれにより現れる皺の状態を示す平面図、
【図3】(A)(B)(C)は本発明の拭き取りシートの製造工程の一部を順に示す断面図、
【図4】シートの積層構造の他の構成例を示す断面図、
【符号の説明】
1 拭き取りシート
2 接着剤
S1 第1のシート
S2 第2のシート
A 接着接合部
B 皺
a 短接合部
p 短接合部のピッチ
α 短接合部の列方向の間隔
β 短接合部の列間の間隔
γ 短接合部の幅寸法
Claims (6)
- 低クレープ率またはクレープを有しない第1のシートと、前記第1のシートよりも高クレープ率の第2のシートとが重ねられて、前記第1のシートと前記第2のシートとが複数の接合部において部分的に接合され、
前記接合部が間隔を開けて並んで列を成し、前記列が、前記列での前記接合部の配列間隔よりも広い間隔を空けて複数列形成されており、
両シートが接合された後の両シートのクレープの復元による伸び率の違いによって、隣り合う前記列の間の領域に位置する前記第2のシートに、前記列での前記接合部の配列ピッチとほぼ同一ピッチで凹凸を繰り返す皺が形成されていることを特徴とする拭き取りシート。 - 第1のシートの表裏両面に第2のシートが接合されている請求項1記載の拭き取りシート。
- 個々の前記接合部は短い線状に形成され、この接合部は、列の延びる方向に対して斜めに形成されている請求項1または2記載の拭き取りシート。
- 前記列での前記接合部の配列間隔が、0.5mm以上で3.0mm以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の拭き取りシート。
- 隣り合う前記列の間隔が、5.0mm以上で15.0mm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の拭き取りシート。
- それぞれのシートの目付は、15g/m2以上で75g/m2以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の拭き取りシート。
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